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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1371457
審判番号 不服2019-12259  
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-09-17 
確定日 2021-03-19 
事件の表示 特願2017-538372「ユニバーサルシリアルバス管理」拒絶査定不服審判事件〔平成28年10月20日国際公開、WO2016/167802、平成30年 6月 7日国内公表、特表2018-514825、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)4月17日を国際出願日とする出願であって、平成30年9月14日付けで拒絶理由通知がされ、平成30年12月10日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ、令和元年5月9日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、令和元年9月17日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、令和2年9月29日付けで拒絶理由(当審拒絶理由)通知がされ、令和3年2月1日に意見書が提出されるとともに手続補正がされたものである。

第2 本願発明
本願請求項1ないし13に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明13」という。)は、令和3年2月1付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1ないし13は以下のとおりの発明である。(なお、下線は、補正された箇所を示す。)

「 【請求項1】
ユニバーサルシリアルバスを管理する方法であって、
ユニバーサルシリアルバスハブコントローラに接続されたデバイスを検知するステップと、
前記デバイスからユニバーサルシリアルバス情報スキームを、通信リソースを用いてフェッチするステップと、
前記ユニバーサルシリアルバス情報スキームを通じて前記デバイスの所要電力を求めるステップと、
前記ユニバーサルシリアルバスハブコントローラに接続された複数のデバイスの総電力消費を、処理リソースを用いて計算するステップと、
表示するユニバーサルシリアルバス情報スキームデータを求めるとともに、表示する該ユニバーサルシリアルバス情報スキームデータを表示するロケーションを含むデータ表示配置を求めるステップと、
該求められたデータ表示配置による前記ユニバーサルシリアルバス情報スキームと、前記総電力消費と、前記ユニバーサルシリアルバスハブコントローラに接続された前記デバイスを使用する優先度をユーザに選択させるユーザ設定とを、前記ユニバーサルシリアルバスコントローラに接続された前記デバイスに表示するようにモニタスカラ(monitor scalar)に命令するステップと、
前記ハブコントローラに接続された前記複数のデバイスのうち前記ユーザ設定に従って使用することを選択したデバイスについての総電力消費に基づいて前記デバイスに電力を分配するとともに、前記ユニバーサルシリアルバス情報スキームと前記ユーザ設定とに基づいて前記複数のデバイスの各データ伝送レートでデータを伝送するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記求められたデータ表示配置による前記ユニバーサルシリアルバス情報スキームをビデオコンテンツと多重化するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ユーザ設定は、電力分配プリファレンスである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ユーザ設定は、デバイス電池レベルに基づく、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ユニバーサルシリアルバスハブコントローラは、ユニバーサルシリアルバスタイプCレセプタクルに接続される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ユニバーサルシリアルバス管理システムであって、
電源装置と、
ユニバーサルシリアルバスハブコントローラと、
ユニバーサルシリアルバスレセプタクルと、
モニタスカラ(monitor scalar)と、
を備え、
前記ユニバーサルシリアルバスハブコントローラは、デバイスから前記ユニバーサルシリアルバスレセプタクルを通じてユニバーサルシリアルバス情報スキームを受信し、別のデバイスからの少なくとも1つの他のユニバーサルシリアルバス情報スキームとともに、表示する前記ユニバーサルシリアルバス情報スキームを表示するロケーションを含むユニバーサルシリアルバスデータの表示配置を求め、
前記モニタスカラは、前記ユニバーサルシリアルバスハブコントローラに接続された前記デバイスを使用する優先度をユーザに選択させるユーザ設定、前記表示配置による前記ユニバーサルシリアルバスデータ及び前記デバイスの総電力消費レベルを、前記ユニバーサルシリアルバスコントローラに接続された前記デバイスに表示し、
前記ユニバーサルシリアルバスハブコントローラは、前記ユーザ設定に従って使用することを選択したデバイスの総電力消費レベルに基づいて前記デバイスに電力を分配するとともに、前記デバイスの前記ユニバーサルシリアルバス情報スキームと前記ユーザ設定とに基づいて前記デバイスの各データ伝送レートでデータを伝送する、
システム。
【請求項7】
前記ユニバーサルシリアルバスデータとビデオデータとを多重化するマルチプレクサを更に備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記ユニバーサルシリアルバスハブコントローラは、Inter-Integrated Circuitである、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記ユニバーサルシリアルバスレセプタクルは、タイプCレセプタクルである、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
ユニバーサルシリアルバスを管理するコンピュータプログラムが記憶された非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムは、
ユニバーサルシリアルバスハブコントローラに接続されたデバイスを検知する命令と、
前記デバイスのポートタイプと、前記デバイスがホストに接続されているポートの物理ロケーションに対応するポートのロケーションとを求める命令と、
前記デバイスからユニバーサルシリアルバスデータスキームをフェッチする命令と、
前記ユニバーサルシリアルバスデータスキームを通じて前記デバイスのデータ伝送要件を求める命令と、
前記ユニバーサルシリアルバスコントローラに接続されたデバイスに表示する要求を受信する命令と、
前記ユニバーサルシリアルバスデータスキームと、前記デバイスの総電力消費レベルと、前記ユニバーサルシリアルバスハブコントローラに接続された前記デバイスを使用する優先度をユーザに選択させるユーザ設定とを、前記デバイスがホストに接続されているポートの前記物理ロケーションに関連する前記デバイスに表示するようにモニタスカラ(monitor scalar)に指示する命令と、
前記ユーザ設定に従って使用することを選択したデバイスの総電力消費レベルに基づいて前記デバイスに電力を分配するとともに、前記デバイスの前記ユニバーサルシリアルバスデータスキームと前記ユーザ設定とに基づいて前記デバイスの各データ伝送レートをネゴシエートする命令と、
の一組の命令を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項11】
前記デバイスの総電力消費レベルと、前記ユーザ設定と、前記データスキームと、ビデオストリームと、を多重化する命令を更に含む、請求項10に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項12】
前記ユーザ設定は、データ伝送優先プリファレンスに基づく、請求項10に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項13】
前記ユーザ設定は、データ伝送レートプリファレンスに基づく、請求項10に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。」

なお、請求項1に記載の「ユニバーサルシリアルバス情報スキームデータ」は、「ユニバーサルシリアルバス情報スキーム」の誤記と認められる。(請求項1には、前記「ユニバーサルシリアルバス情報スキームデータ」の後に「前記ユニバーサルシリアルバス情報スキーム」と記載されており、また、請求項6には「ユニバーサルシリアルバス情報スキーム」と記載されている。)

また、本願発明2ないし5は、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明6(「システム」に係る発明)及び10(「非一時的コンピュータ可読記憶媒体」に係る発明)は、それぞれ本願発明1に対応し、実質的にはカテゴリ表現が異なるだけの発明であり、請求項7ないし9及び請求項11ないし13はそれぞれ、請求項6又は10を減縮した発明である。

第3 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

本願請求項1ないし14に係る発明は、以下の引用文献1ないし4に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

[引用文献等一覧]
1 国際公開第2005/022369号
2 特開2003-029885号公報
3 特開平10-116139号公報
4 特開2012-063817号公報

第4 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
[理由1]サポート要件違反
本願請求項1ないし13に係る発明において、「デバイスの使用の可否をユーザに選択させるユーザ設定」を「表示」すること、及び、「前記ユーザ設定に従って使用することを選択したデバイス」は、発明の詳細な説明に記載したものではないから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

[理由2]明確性要件違反
本願請求項1、6及び10における「オンスクリーン表示」、「スクリーン」及び/又は「オンスクリーンメニュー」に関する記載は明確ではなく、また、本願請求項4、12及び13における「ユーザ設定」に関する記載は明確ではなく、引用形式の請求項を含め、本願請求項1ないし13に係る発明は、明確ではないから、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
ア 引用文献1記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

「[0001] 本発明は、ホスト装置と複数のデバイスとがシリアル通信を行うためのバスを介して接続され、該ホスト装置のバス給電によって各デバイスを動作させる通信システムに用いられるホスト装置、デバイス、通信システムの制御方法に関する。」

「[0002] パーソナルコンピュータの分野では、シリアルバスインターフェース規格であるUSB2.0/1.1の規格に準拠したUSB(ユニバーサルシリアルバス)インターフェースを持つ周辺機器(デバイス)が世界標準となりつつあり、…(後略)」

「[0094] 以下、本発明を具体化した第5実施形態を図面に従って説明する。図15は、第5実施形態のホスト装置51の概略的なブロック回路図である。
ホスト装置(具体的には、パーソナルコンピュータ)51は、MPU52、メモリ53、ホストコントローラ54、電流供給回路55、及びディスプレイ56を含む。ホスト装置51において、MPU52は、メモリ53、ホストコントローラ54、電流供給回路55、及びディスプレイ56に内部バス57を介して接続され、相互にデータの授受が行われる。また、ホスト装置51には、USBデバイスを接続するための第1?第10の通信ポートP1?P10が設けられている。
[0095] 制御回路であるMPU52は、メモリ53に格納されたプログラムに従って各種の処理を実行し、ホスト装置51を統括的に制御する。メモリ53に格納されるプログラムは、ホストコントローラ54や電流供給回路55を制御する通信プログラムと、各通信ポートP1?P10に接続されている各デバイスの機器情報をGUI(Graphic User Interface)形式でディスプレイ56に表示する表示プログラムとを含む。
[0096] ホストコントローラ54は、USB規格に準拠した通信回路であり、各通信ポートP1?P10に接続されたデバイスとの間の通信を制御する。ホストコントローラ54にはレジスタ54aが設けられており、該レジスタ54aに各通信ポートP1?P10に接続されたデバイスの機器情報が格納される。具体的には、ホスト装置51は、通信ポートP1?P10のいずれかにデバイスが接続されたとき、その接続を認識するためにデバイスとの間でネゴシエーションを行い、それにより得られた機器情報をレジスタ54aに格納する。
[0097] 電流供給回路55は、レジスタ54aの機器情報に含まれる最大消費電流を通信ポートに接続されているデバイスに供給する。また、電流供給回路55と各通信ポートP1?P10とを結ぶ電流経路の途中にリミッタ58が設けられている。リミッタ58は、スイッチ回路を含む電流監視回路であり、予め設定された規定電流以上の過電流が流れたときにスイッチ回路をオフして電流経路を遮断する。
[0098] MPU52は、アプリケーションプログラム(表示用のプログラム)を実行することにより、ホストコントローラ54のレジスタ54aに格納されている機器情報を読み出し、ステータスウインドウを表示装置であるディスプレイ56に表示する。
[0099] 具体的には、図16に示すように、ホスト装置51に複数のデバイス61?67が接続されている場合には、図17に示すステータスウインドウW1をディスプレイ56に表示する。すなわち、ホスト装置51における第1の通信ポートP1にはマウス付きのキーボード61が接続され、第2の通信ポートP2にはプリンタ62が接続され、第3の通信ポートP3にはハードディスク63が接続されている。また、第4の通信ポートP4には光ディスク64が接続され、第5の通信ポートP5にはスキャナ65が接続されている。さらに、第8の通信ポートP8及び第9の通信ポートP9にはデジタルスチルカメラ(DSC)66,67が接続されている。キーボード61、プリンタ62、ハードディスク63、光ディスク64、スキャナ65、及びDSC66,67は、USBファンクション(USB通信機能)を内蔵したUSBデバイスであり、それぞれUSBケーブルC1を介してホスト装置51の各通信ポートに接続されている。
[0100] なお、第5実施形態において、プリンタ62は、USBのバス給電ではなく、別途設けられた電源ケーブル(図示略)からの給電によって動作するデバイスである。その他のデバイスはUSBのバス給電により動作するバスパワーデバイスである。
[0101]
図17に示すように、ディスプレイ56に表示されたステータスウインドウW1には、セレクタ、ポート番号(Port No.)、装置名、メーカー、消費電流(mA)、状態の各項目欄が設けられている。装置名、メーカー、消費電流は、ホストコントローラ54のレジスタ54aに記憶された機器情報に基づいて通信ポート毎に表示される。また、消費電流の欄には、ホスト装置51に要求するデバイスの消費電流値(要求値)と、ホスト装置51からUSBケーブルC1を介して供給している現時点での電流値(現在値)とが表示されている。
…(中略)…
[0103] セレクタの欄には、各通ポートに接続されるデバイスをオン状態又はオフ状態(使用状態又は未使用状態)のいずれかに切り替えるための選択ボタンが設けられている。デバイス61?67が接続されている各通信ポートP1?P5,P8,P9では、オン又はオフのいずれか一方のボタンが選択されている。ここでは、第1?第4の通信ポートP1?P4と第9の通信ポートP9はオンボタンが選択され、第5の通信ポートP5と第8の通信ポートP8はオフボタンが選択されている。
[0104] 通信ポートP1?P4,P9のオンボタンが選択されると、デバイス61?64,67が要求する消費電流が電流供給回路55から供給され、該デバイスにおけるUSBファンクションが活性化される。そのため、状態の欄は「Active」となる。但し、プリンタ62は、バス給電ではなく自前の電源で動作するため、「Active」の状態は青色で表示され、他のデバイスはバス給電で動作しているため、「Active」の状態は赤色で表示される。消費電流の欄には、要求値と同一の電流値である現在値が表示される。
[0105] 一方、通信ポートP5,P8のオフボタンが選択されると、デバイス65,66が要求する消費電流が電流供給回路55から供給されることはなく、該デバイス65,66のUSBファンクションが停止(非活性化)される。そのため、状態の欄には「suspend」が表示され、消費電流の現在値は2.5mAが表示される。
[0106] また、未使用の通信ポートP6,P7,P10については、消費電流の要求値及び現在値には0mAが表示され、状態の欄には「Not Use」が表示されている。
さらに、ステータスウインドウW1の下方には、全ポートの要求消費電流と使用電流と許容電流と余裕電流とを表示するための表示欄が設けられている。ここで、要求消費電流は全ての通信ポートの要求値を合計した電流であり、使用電流は全てのポートの現在値を合計した電流である。また、許容電流は電流供給回路55が出力可能な最大電流であり、余裕電流はその許容電流から使用電流を減算した電流である。」

「[0109] そこで、第5実施形態では、図18に示すように、ホスト装置の通信ポートP6,P7,P10に新規のデバイス(ハードディスク71,72、Hub73)が接続されたとき、各デバイスを直ぐには動作可能な状態とせずに、先ず、100mAのバス給電を許可して情報の授受のみを実行する。ホスト装置51は、その情報の授受により得られた機器情報に基づいて、図19に示すステータスウインドウW2を表示する。
…(中略)
[0111] また、ステータスウインドウW2において、要求消費電流は3450mA、使用電流は1755mA、許容電流は2500mA、余裕電流は745mAである。
ステータスウインドウW2をディスプレイ56に表示させて、ホスト装置51を操作するユーザに各デバイスを使用するか否かの判断を求めるようにしている。ここで、ユーザがステータスウインドウW2に表示されている許容電流に留意し、キーボード61のマウスを操作することで、直ぐに使わない光ディスク64とDSC67におけるオフボタンを選択した後、新規に接続したハードディスク71,72とHub73におけるオンボタンを選択する。]

「[0118] また、図18に示すように、ユーザが各通信ポートP6,P7,P10にハードディスク71,72、Hub73を順次接続する場合、ステップ530?560の処理が3回繰り返され、その結果、ディスプレイ56には図19のステータスウインドウW2が表示される。
[0119] ユーザがステータスウインドウW2におけるセレクタ欄のボタンを選択する。すると、MPU52は、ステップ560からステップ570に移行し、選択された通信ポートについて電流供給回路55から供給する電流を変更する。その後、MPU52は、ステップ580に移行してユーザのボタン選択に対応するステータスウインドウをディスプレイ56に表示した後、ステップ530の処理に戻る。ステップ580では、ボタン選択に応じて状態の欄の変更が行われるとともに、消費電流に関する計算(使用電流と余裕電流の計算)が行われる。[0120] 具体的に、ステータスウインドウW2において、第4の通信ポートP4及び第9の通信ポートP9のオフボタンを選択した後、第6の通信ポートP6、第7の通信ポートP7、及び第10の通信ポートP10のオンボタンを順次選択する。この場合、ボタン選択の度にステップ560?ステップ580の処理が繰り返され、その結果、ディスプレイ56には図20のステータスウインドウW3が表示される。」

「[図15]



「[図17]



「[図19]



「[図20]



イ 引用発明
したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「 ホスト装置と複数のデバイスとがシリアル通信を行うためのバスを介して接続され、該ホスト装置のバス給電によって各デバイスを動作させる通信システムに用いられるホスト装置、デバイス、通信システムの制御方法であって、
ホスト装置51は、MPU52、メモリ53、ホストコントローラ54、電流供給回路55、及びディスプレイ56を含み、
ホスト装置51において、MPU52は、メモリ53、ホストコントローラ54、電流供給回路55、及びディスプレイ56に内部バス57を介して接続され、相互にデータの授受が行われ、
ホスト装置51には、USB(ユニバーサルシリアルバス)デバイスを接続するための第1?第10の通信ポートP1?P10が設けられており、
制御回路であるMPU52は、メモリ53に格納されたプログラムに従って各種の処理を実行し、ホスト装置51を統括的に制御し、
メモリ53に格納されるプログラムは、ホストコントローラ54や電流供給回路55を制御する通信プログラムと、各通信ポートP1?P10に接続されている各デバイスの機器情報をGUI形式でディスプレイ56に表示する表示プログラムとを含み、
ホストコントローラ54は、USB規格に準拠した通信回路であり、各通信ポートP1?P10に接続されたデバイスとの間の通信を制御し、
ホストコントローラ54にはレジスタ54aが設けられており、該レジスタ54aに各通信ポートP1?P10に接続されたデバイスの機器情報が格納され、具体的には、ホスト装置51は、通信ポートP1?P10のいずれかにデバイスが接続されたとき、その接続を認識するためにデバイスとの間でネゴシエーションを行い、それにより得られた機器情報をレジスタ54aに格納し、
電流供給回路55は、レジスタ54aの機器情報に含まれる最大消費電流を通信ポートに接続されているデバイスに供給し、
MPU52は、アプリケーションプログラム(表示用のプログラム)を実行することにより、ホストコントローラ54のレジスタ54aに格納されている機器情報を読み出し、ステータスウインドウを表示装置であるディスプレイ56に表示し、具体的には、ホスト装置51に複数のデバイス61?67が接続されている場合には、ステータスウインドウW1をディスプレイ56に表示し、複数のデバイスは、USBファンクション(USB通信機能)を内蔵したUSBデバイスであり、それぞれUSBケーブルC1を介してホスト装置51の各通信ポートに接続され、プリンタ62以外のデバイスはUSBのバス給電により動作するバスパワーデバイスであり、
ステータスウインドウW1には、セレクタ、ポート番号(Port No.)、装置名、メーカー、消費電流(mA)、状態の各項目欄が設けられており、装置名、メーカー、消費電流は、ホストコントローラ54のレジスタ54aに記憶された機器情報に基づいて通信ポート毎に表示され、
セレクタの欄には、各通信ポートに接続されるデバイスをオン状態又はオフ状態(使用状態又は未使用状態)のいずれかに切り替えるための選択ボタンが設けられており、
ユーザが各通信ポートP6,P7,P10にハードディスク71,72、Hub73を順次接続する場合、ディスプレイ56にはステータスウインドウW2が表示され、
通信ポートP1?P4,P9のオンボタンが選択されると、デバイス61?64,67が要求する消費電流が電流供給回路55から供給され、該デバイスにおけるUSBファンクションが活性化され、一方、通信ポートP5,P8のオフボタンが選択されると、デバイス65,66が要求する消費電流が電流供給回路55から供給されることはなく、該デバイス65,66のUSBファンクションが停止(非活性化)され、
ステータスウインドウW1の下方には、全ポートの要求消費電流と使用電流と許容電流と余裕電流とを表示するための表示欄が設けられ、ここで、要求消費電流は全ての通信ポートの要求値を合計した電流であり、使用電流は全てのポートの現在値を合計した電流であり、
ホスト装置の通信ポートP6,P7,P10に新規のデバイス(ハードディスク71,72、Hub73)が接続されたとき、情報の授受のみを実行し、その情報の授受により得られた機器情報に基づいてステータスウインドウW2を表示して、ホスト装置51を操作するユーザに各デバイスを使用するか否かの判断を求め、ここで、ユーザがステータスウインドウW2に表示されている許容電流に留意し、直ぐに使わない光ディスク64とDSC67におけるオフボタンを選択した後、新規に接続したハードディスク71,72とHub73におけるオンボタンを選択し、
ユーザがステータスウインドウW2におけるセレクタ欄のボタンを選択すると、選択された通信ポートについて電流供給回路55から供給する電流を変更し、状態の欄の変更が行われるとともに、消費電流に関する計算(使用電流と余裕電流の計算)が行われ、ステータスウインドウW3が表示される、
ホスト装置、デバイス、通信システムの制御方法。」

2 引用文献2ないし4について
(1)引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の技術的事項が記載されている。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばパーソナルコンピュータ装置とその周辺機器とで構成されるシステムに適用して好適な電源供給システム及びこのシステムを構成する各機器に適用される電子機器に関する。」

「【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、それぞれがバッテリを備えた一方及び他方の電子機器を、電源供給可能なラインで接続させた場合に、それぞれの電子機器の状況を監視して、その監視結果に応じて、接続されたラインで、一方の電子機器から他方の電子機器に電源を供給する場合と、他方の電子機器から一方の電子機器に電源を供給する場合と、電源供給を行わない場合とを選択するようにしたものである。

(2)引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の技術的事項が記載されている。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコンピューター装置に接続されるディスプレイ装置に関するものであり、具体的には内部に設置された電源供給装置から提供される電源をUSBハブを通じてハブ接続される周辺器機に選択的に供給することができるモニター装置と、このモニター装置で定格範囲を超過した異常電源がUSBディバイスに提供される際、該当ポートを通じて供給される電源を遮断させる電源供給制御方法に関するものである。」

「【0052】また本発明のモニター装置11aに適用されたハブシステムは、図9で見せていることのように、前記のモニター制御部19との情報伝達を遂行するためにI^(2)CあるいはUARTを通じて接続されており、そしてコンピューター装置10のルートハブを通じて提供される情報に依拠し、相応する制御動作を実行するUSB制御部62と、このUSB制御部62から提供される制御信号によって、モニター装置11a内にある電源供給部16から提供される電源をUSBディバイスに選択的に提供されるようにするパワースイッチング部(power switching section :64)の及び入出力ポートUP1、DP1-DP3として構成されている。ここで、入力ポートUP1は前記のコンピューター装置10のルートハブRH1から提供される電源及び情報を入力するアップストリングポートであり、そして出力ポートDP1-DP3はキーボード12とオーディオ装置23及びプリンター14等のUSBディバイスに電源を供給及び情報を伝達するダウンストリングポートである。」

(3)引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、図面とともに次の技術的事項が記載されている。

「【0001】
本発明は、例えばUSB(Universal Serial Bus)インターフェースのように通信速度の異なる複数の転送方式に切り替え可能な通信装置に関する。」

「【0034】
第二の通信手段としてのDS・リンク制御部14は、ファンクションデバイス(外部メモリーカードコントローラ3)とのインターフェースを制御するブロックで、USBプロトコルにおける物理層およびリンク層の制御を行う。DS・リンク制御部14は、外部に接続されたファンクションデバイスから入力されたデータ(プロトコル層にかかる制御情報も含む)をデータバッファ/バッファ制御部13へ、後述するファンクション情報はファンクション情報バッファ部15へ、それぞれ出力している。また、DS・リンク制御部14は、ファンクションデバイスまたはCPU16によって通信速度の異なる複数の転送方式であるUSB3.0と2.0の転送方式が切り替え可能となっている。また、DS・リンク制御部14は、外部メモリーカードコントローラ3などが接続されることで所望のファンクションを行うファンクションブロックとして機能する。また、図4に示したUSBハブコントローラ1は、DS・リンク制御部14を複数備えている。」

「【0035】
ファンクション情報バッファ部15は、ファンクションデバイス(外部メモリーカードコントローラ3)から読み出されたファンクション情報(転送スピード情報)などを格納(保持)するメモリである。
【0036】
デバイス情報取得手段、転送方式決定手段としてのCPU16は、ROMから読み出した制御プログラムが実行される中央処理装置(Central Processing Unit)であり、本実施形態では、特にファンクション情報バッファ部15に格納(保持)されたファンクション情報に基づいてDS・リンク制御部14とファンクションデバイス(外部メモリーカードコントローラ3)との間の転送方式を選択・決定する。」

第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 引用発明は、「USB規格に準拠した通信回路」である「ホストコントローラ54」の「通信ポートP1?P10」及び「USBケーブルC1」に接続される「USB(ユニバーサルシリアルバス)デバイス」に対して「バス給電」を制御するものであるから、全体としてみれば、「USB(ユニバーサルシリアルバス)」(「通信ポートP1?P10」及び「USBケーブルC1」)の使用を管理する方法といい得るものである。
よって、引用発明の「制御方法」は、本願発明1の「ユニバーサルシリアルバスを管理する方法」に相当する。

イ 引用発明において、「ホストコントローラ54」の「通信ポートP1?P10」及び「USBケーブルC1」に接続される「USB(ユニバーサルシリアルバス)デバイス」は、本願発明1の「デバイス」に相当し、また、そのような「デバイス」が接続される引用発明の「ホストコントローラ54」は、本願発明1の「ユニバーサルシリアルバスハブコントローラ」に相当する。
また、引用発明は、「 ホスト装置51は、通信ポートP1?P10のいずれかにデバイスが接続されたとき、その接続を認識するためにデバイスとの間でネゴシエーションを行い、それにより得られた機器情報をレジスタ54aに格納し、」との構成を備え、また、「機器情報」を読み出すことによって表示される「ステータスウインドウ」には、「装置名」等が含まれることから、接続されている「デバイス」との間の「ネゴシエーション」によって「デバイス」の「装置名」等を含む「機器情報」を取得するものであって、この「ネゴシエーション」の前提となる「通信ポートP1?P10のいずれかにデバイスが接続されたとき」は、接続された「デバイス」を「検知」するステップを含むものである。
以上から、引用発明は、本願発明1の「ユニバーサルシリアルバスハブコントローラに接続されたデバイスを検知するステップ」を備える。

ウ 引用発明の「機器情報」は、本願発明1の「ユニバーサルシリアルバス情報スキーム」に相当する。また、(「機器情報」を)取得することは、(「ユニバーサルシリアルバス情報スキーム」)を「フェッチ」することと同義である。
また、引用発明において、接続されている「デバイス」との間の「ネゴシエーション」によって「デバイス」の「装置名」等を含む「機器情報」を取得するにあたり、通信に必要なハードウェア(「ホストコントローラ54」、「通信ポートP1?P10」及び「USBケーブルC1」)やソフトウェア(「通信プログラム」)である「通信リソース」を用いることは自明である。
よって、引用発明は、本願発明1の「前記デバイスからユニバーサルシリアルバス情報スキームを、通信リソースを用いてフェッチするステップ」を備える。

エ 引用発明において、「機器情報」を取得することによって得られる(求められる)「(最大)消費電流」は、本願発明1の「前記デバイスの所要電力」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明1の「前記ユニバーサルシリアルバス情報スキームを通じて前記デバイスの所要電力を求めるステップ」を備える。

オ 引用発明は、「 ステータスウインドウW1の下方には、全ポートの要求消費電流と使用電流と許容電流と余裕電流とを表示するための表示欄が設けられ、ここで、要求消費電流は全ての通信ポートの要求値を合計した電流であり、使用電流は全てのポートの現在値を合計した電流であり、」との構成を備えていることから、「通信ポート」の「要求値」、すなわち、「通信ポート」を介して「ホストコントローラ54」に接続されている「USBデバイス」から取得した「機器情報」に含まれる「(最大)消費電流」を合計して、「全ポートの要求消費電流」を計算するステップをMPU52のリソースを用いて実行することは自明である。そして、引用発明の「全ポートの要求消費電流」は、本願発明1の「前記ユニバーサルシリアルバスハブコントローラに接続された複数のデバイスの総電力消費」に相当する。
よって、引用発明は、本願発明1の「前記ユニバーサルシリアルバスハブコントローラに接続された複数のデバイスの総電力消費を、処理リソースを用いて計算するステップ」を備える。

カ 引用発明において、「機器情報」に基づいて表示される「ステータスウインドウ」(W1?W3)[HT3]は、本願発明1の「表示するユニバーサルシリアルバス情報スキームデータ」に相当する。
また、引用発明は、「各通信ポートP1?P10に接続されている各デバイスの機器情報をGUI形式でディスプレイ56に表示する表示プログラム」を備え、また、「GUI形式」は、引用文献1の図17、図19及び図20にあるように、複数の「項目欄」ないし「表示欄」(ロケーション)を含む所定の「データ表示配置」を備えるものといえ、「表示プログラム」は、前記「表示するユニバーサルシリアルバス情報スキームデータ」と、その「データ表示配置」を求めるステップを実行するものといえる。
よって、引用発明は、本願発明1の「表示するユニバーサルシリアルバス情報スキームデータを求めるとともに、表示する該ユニバーサルシリアルバス情報スキームデータを表示するロケーションを含むデータ表示配置を求めるステップ」を備える。

キ 引用発明において、「MPU52」は、「表示プログラム」を実行することにより、「GUI形式」(「データ表示配置」)による「ステータスウインドウ」(「前記ユニバーサルシリアルバス情報スキーム」)と、(「ステータスウインドウ」内の)「全ポートの要求消費電流」(「前記総電力消費」)と、(「ステータスウインドウ」内の「セレクタ欄」に設けられる)「各通信ポートに接続されるデバイスをオン状態又はオフ状態(使用状態又は未使用状態)のいずれかに切り替えるための選択ボタン」とを表示するように、「ホスト装置51」の「ディスプレイ56」に命令するステップを実行するものといえる。
そして、引用発明の「各通信ポートに接続されるデバイスをオン状態又はオフ状態(使用状態又は未使用状態)のいずれかに切り替えるための選択ボタン」と、本願発明1の「前記デバイスを使用する優先度をユーザに選択させるユーザ設定」とは、「デバイスをユーザに選択させるユーザ設定」である点において共通し、また、引用発明の「ディスプレイ56」と、本願発明1の「モニタスカラ(monitor scalar)」とは、「表示命令受信手段」である点において共通する。また、「表示」の観点からすると、引用発明の「ディスプレイ56」と、本願発明1の「前記ユニバーサルシリアルバスコントローラに接続された前記デバイス」とは「表示装置」である点において共通する。
そうすると、引用発明と本願発明1の「該求められたデータ表示配置による前記ユニバーサルシリアルバス情報スキームと、前記総電力消費と、前記ユニバーサルシリアルバスハブコントローラに接続された前記デバイスを使用する優先度をユーザに選択させるユーザ設定とを、前記ユニバーサルシリアルバスコントローラに接続された前記デバイスに表示するようにモニタスカラ(monitor scalar)に命令するステップ」とは、「該求められたデータ表示配置による前記ユニバーサルシリアルバス情報スキームと、前記総電力消費と、前記ユニバーサルシリアルバスハブコントローラに接続された前記デバイスをユーザに選択させるユーザ設定とを、表示装置に表示するように表示命令受信手段に命令するステップ」との構成を備える点において共通する。

ク 引用発明は、「ステータスウインドウW2」に表示される「選択ボタン」に関して、「通信ポートP1?P4,P9のオンボタンが選択されると、デバイス61?64,67が要求する消費電流が電流供給回路55から供給され、該デバイスにおけるUSBファンクションが活性化され、一方、通信ポートP5,P8のオフボタンが選択されると、デバイス65,66が要求する消費電流が電流供給回路55から供給されることはなく、該デバイス65,66のUSBファンクションが停止(非活性化)され」るものであることから、「ホストコントローラ54」(「前記ハブコントローラ」)に接続された複数の「USBデバイス」のうち「選択ボタン」(「ユーザ設定」)に従って選択したデバイスに電力を分配するステップを実行するものといえる。
よって、引用発明と本願発明1の「前記ハブコントローラに接続された前記複数のデバイスのうち前記ユーザ設定に従って使用することを選択したデバイスについての総電力消費に基づいて前記デバイスに電力を分配するとともに、前記ユニバーサルシリアルバス情報スキームと前記ユーザ設定とに基づいて前記複数のデバイスの各データ伝送レートでデータを伝送するステップ」とは、「前記ハブコントローラに接続された前記複数のデバイスのうち前記ユーザ設定に従って選択したデバイスに電力を分配するステップ」との構成を備える点において共通する。

(2)一致点・相違点
したがって、本願発明1と引用発明との間には、以下の点において一致ないし相違する。

[一致点]
「 ユニバーサルシリアルバスを管理する方法であって、
ユニバーサルシリアルバスハブコントローラに接続されたデバイスを検知するステップと、
前記デバイスからユニバーサルシリアルバス情報スキームを、通信リソースを用いてフェッチするステップと、
前記ユニバーサルシリアルバス情報スキームを通じて前記デバイスの所要電力を求めるステップと、
前記ユニバーサルシリアルバスハブコントローラに接続された複数のデバイスの総電力消費を、処理リソースを用いて計算するステップと、
表示するユニバーサルシリアルバス情報スキームデータを求めるとともに、表示する該ユニバーサルシリアルバス情報スキームデータを表示するロケーションを含むデータ表示配置を求めるステップと、
該求められたデータ表示配置による前記ユニバーサルシリアルバス情報スキームと、前記総電力消費と、前記ユニバーサルシリアルバスハブコントローラに接続された前記デバイスをユーザに選択させるユーザ設定とを、表示装置に表示するように表示命令受信手段に命令するステップと、
前記ハブコントローラに接続された前記複数のデバイスのうち前記ユーザ設定に従って選択したデバイスに電力を分配するステップと、
を含む、方法。」

[相違点]
<相違点1>
「ユーザ設定」が、本願発明1は「前記ユニバーサルシリアルバスハブコントローラに接続された前記デバイスを使用する優先度をユーザに選択させる」ものであるのに対し、引用発明の「選択ボタン」は、電力を供給するデバイス、即ち、デバイスの使用の可否をユーザに選択させるものである点。

<相違点2>
「ユーザ設定」等を表示する「表示装置」が、本願発明1は、「前記ユニバーサルシリアルバスコントローラに接続された前記デバイス」であるのに対し、引用発明は、「ホスト装置51」の「ディスプレイ56」である点。

<相違点3>
「表示命令受信手段」が、本願発明1は「モニタスカラ(monitor scalar)」であるのに対し、引用発明は、「ホスト装置51」の「ディスプレイ56」である点。

<相違点4>
「電力を分配するステップ」が、本願発明1は、「総電力消費に基づいて」すなわち「総電力消費」を考慮してなされるのに対し、引用発明においては当該事項について特定するものではない点。

<相違点5>
本願発明1は、「電力を分配するステップ」にあたり「前記ユニバーサルシリアルバス情報スキームと前記ユーザ設定とに基づいて前記複数のデバイスの各データ伝送レートでデータを伝送するステップ」を備えるのに対し、引用発明は、当該ステップについて特定するものではない点。

(3)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点2及び3について先に検討する。
相違点2に係る本願発明1の構成、すなわち、「デバイス」の選択に関する「ユーザ設定」等を、選択の対象となる「前記ユニバーサルシリアルバスコントローラに接続された前記デバイス」に「表示する」ことは、引用文献1ないし4には記載されておらず、また、本願出願日前の技術常識であるともいえない。
また、相違点3に関し、仮に、外部のデバイスに対して表示を行う際に「モニタスカラ(monitor scalar)」に表示命令を送信する構成が本願出願日前の技術常識又は周知技術であるとしても、引用発明は、「ホスト装置51」の「ディスプレイ56」に表示を行うものであるから、「モニタスカラ(monitor scalar)」を採用すべき動機付けが存在しない。
したがって、上記相違点1、4及び5について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2ないし4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明することができたものであるとはいえない。

2 本願発明2ないし13について
本願発明2ないし13は、相違点2及び3に係る本願発明1の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2ないし4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明することができたものとはいえない。

第7 原査定についての判断
令和3年2月1日付け手続補正により補正された請求項1ないし13(本願発明1ないし13)は、上記相違点2及び3に係る本願発明1の構成を備えるものとなり、上述したとおり、上記引用文献1に記載された発明(引用発明)及び上記引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第8 当審拒絶理由について
1 理由1(サポート要件違反)について
令和3年2月1日付けの手続補正により、本願発明1ないし13に係る発明において、「デバイスの使用の可否をユーザに選択させるユーザ設定」との記載は、「前記デバイスを使用する優先度をユーザに選択させるユーザ設定」という、本願明細書の段落【0030】に基づく記載に補正された。
よって、この拒絶の理由は解消した。

2 理由2(明確性要件違反)について
令和3年2月1日付けの手続補正により、本願発明1ないし13の記載から「オンスクリーン表示」、「スクリーン」及び/又は「オンスクリーンメニュー」との語が削除されるとともに、表示先が「前記ユニバーサルシリアルバスコントローラに接続された前記デバイス」であることが明確となった。
よって、この理由は解消した。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし13は、当業者が引用発明及び引用文献2ないし4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-03-02 
出願番号 特願2017-538372(P2017-538372)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 佐賀野 秀一  
特許庁審判長 角田 慎治
特許庁審判官 太田 龍一
林 毅
発明の名称 ユニバーサルシリアルバス管理  
代理人 奥山 尚一  
代理人 松島 鉄男  
代理人 有原 幸一  
代理人 森本 聡二  
代理人 中村 綾子  
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