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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W
管理番号 1371470
審判番号 不服2020-8328  
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-06-16 
確定日 2021-03-16 
事件の表示 特願2018- 37184「二重接続における無線リンク障害ハンドリング」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 8月 2日出願公開、特開2018-121345、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)10月27日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2013年11月1日 英国(GB))を国際出願日とする特願2016-526956号の一部を平成30年3月2日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成30年 3月 2日 上申書の提出
平成31年 2月26日付け 拒絶理由通知書
令和 元年 5月 9日 手続補正書、意見書の提出
令和 元年 6月24日付け 拒絶理由通知書(最後)
令和 元年10月 8日 手続補正書、意見書の提出
令和 2年 3月10日付け 補正の却下の決定、拒絶査定
令和 2年 6月16日 拒絶査定不服審判の請求、
手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和2年3月10日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

1.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

●理由1(進歩性)について

・請求項 1、6-7、12-13
・引用文献等 1-2

・請求項 2、8
・引用文献等 1-4

・請求項 3、9
・引用文献等 1-6

・請求項 4、10
・引用文献等 1-7

・請求項 5、11
・引用文献等 1-6

<引用文献等一覧>
1.Kyocera,RLF issues in dual-connectivity[online],3GPP TSG-RAN WG2#83bis R2-133503,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_83bis/Docs/R2-133503.zip>,2013年9月28日アップロード
2.Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Study on Small Cell Enhancements for E-UTRA and E-UTRAN - Higher layer aspects (Release 12)[online],3GPP TSG-RAN WG2#83bis R2-133732,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_83bis/Docs/R2-133732.zip>,2013年10月21日アップロード,6-7ページ
3.米国特許出願公開第2011/0268085号明細書(周知技術を示す文献)
4.Nokia Siemens Networks, Nokia Corporation,Re-establishment procedure for carrier aggregation[online],3GPP TSG-RAN WG2♯69 R2-101114,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_69/Docs/R2-101114.zip>,2010年 2月16日アップロード(周知技術を示す文献)
5.3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Radio Access Network;Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA);Radio Resource Control (RRC);Protocol specification(Release 11),3GPP TS 36.331 V11.2.0,2013年1月3日アップロード,159-162ページ(周知技術を示す文献)
6.Fujitsu,Clarification on the UE reported timer in MRO[online],3GPP TSG-RAN WG3#80 R3-131180,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG3_Iu/TSGR3_80/Docs/R3-131180.zip>,2013年 4月6日アップロード(周知技術を示す文献)
7.LG Electronics Inc.,Correction to MAC Reset[online],3GPP TSG-RAN WG2#63 R2-084174,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_63/Docs/R2-084174.zip>,2008年8月11日アップロード

第3 本願発明
本願請求項1ないし9に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明9」という。)は、令和2年6月16日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
通信システムのユーザー機器で使用される方法であって、
デュアルコネクティビティの間に、MeNBを介し、かつ少なくとも一つのセカンダリーセルを含むセカンダリーセルグループ(SCG)に関連するSeNBを介して通信することと、
前記SCGに関連する前記SeNBとの通信リンクにおける無線リンク障害(RLF)を検出することと、
検出された前記RLFを発展型地上波無線アクセスネットワーク(E-UTRAN)に通知する手続を開始することと、を含み、
前記手続は、検出された前記RLFの障害タイプを送信することを含み、さらに、前記障害タイプの障害により影響を受ける無線リンクの方向、及び前記障害タイプの検出回数のうちの少なくとも1つを送信することを含み、
前記障害タイプは、無線リンク制御(RLC)レイヤー障害、媒体アクセス制御(MAC)レイヤー障害、物理レイヤー(PHY)障害、スケジューリング要求障害、及び時間同期タイマー(TAT)障害のうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項2】
前記手続を開始する際、前記SCGに関連した少なくとも一つのSCGベアラを一時停止することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記手続を開始する際、前記SCGの媒体アクセス制御(MAC)エンティティをリセットすることを含む請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
通信システムのMeNBで実行される方法であって、
デュアルコネクティビティの間に、前記MeNBを介し、かつ少なくとも一つのセカンダリーセルを含むセカンダリーセルグループ(SCG)に関連するSeNBを介して通信するユーザー機器に対して制御プレーン接続を与えることと、
前記ユーザー機器により検出された前記SCGに関連する前記SeNBとの通信リンクにおける無線リンク障害(RLF)を前記MeNBに通知するメッセージを受信することと、を含み、
前記メッセージは、前記RLFの障害タイプを含み、さらに、前記障害タイプの障害により影響を受ける無線リンクの方向、及び前記障害タイプの検出回数のうちの少なくとも1つを含み、
前記障害タイプは、無線リンク制御(RLC)レイヤー障害、媒体アクセス制御(MAC)レイヤー障害、物理レイヤー(PHY)障害、スケジューリング要求障害、及び時間同期タイマー(TAT)障害のうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項5】
通信システムに使用されるユーザー機器であって、
デュアルコネクティビティの間に、MeNBを介し、かつ少なくとも一つのセカンダリーセルを含むセカンダリーセルグループ(SCG)に関連するSeNBを介して通信する手段と、
前記SCGに関連する前記SeNBとの通信リンクにおける無線リンク障害(RLF)を検出する手段と、
検出された前記RLFを発展型地上波無線アクセスネットワーク(E-UTRAN)に通知する手続を開始する手段とを含み、
前記手続は、検出された前記RLFの障害タイプを送信することを含み、さらに、前記障害タイプの障害により影響を受ける無線リンクの方向、及び前記障害タイプの検出回数のうちの少なくとも1つを送信することを含み、
前記障害タイプは、無線リンク制御(RLC)レイヤー障害、媒体アクセス制御(MAC)レイヤー障害、物理レイヤー(PHY)障害、スケジューリング要求障害、及び時間同期タイマー(TAT)障害のうちの少なくとも1つを含む、ユーザー機器。
【請求項6】
前記手続を開始する際、前記SCGに関連した少なくとも一つのSCGベアラを一時停止する手段を含む請求項5に記載のユーザー機器。
【請求項7】
前記手続を開始する際、前記SCGの媒体アクセス制御(MAC)エンティティをリセットすることを含む請求項5又は6に記載のユーザー機器。
【請求項8】
MeNBとして構成される通信システムの基地局であって、
デュアルコネクティビティの間に、前記MeNBを介し、かつ少なくとも一つのセカンダリーセルを含むセカンダリーセルグループ(SCG)に関連するSeNBを介して通信するユーザー機器に対する制御プレーン接続を与える手段と、
ユーザー機器により検出された前記SCGに関連する前記SeNBとの通信リンクにおける無線リンク障害(RLF)を前記MeNBに通知するメッセージを受信する手段とを含み、
前記メッセージは、前記RLFの障害タイプを含み、さらに、前記障害タイプの障害により影響を受ける無線リンクの方向、及び前記障害タイプの検出回数のうちの少なくとも1つを含み、
前記障害タイプは、無線リンク制御(RLC)レイヤー障害、媒体アクセス制御(MAC)レイヤー障害、物理レイヤー(PHY)障害、スケジューリング要求障害、及び時間同期タイマー(TAT)障害のうちの少なくとも1つを含む、基地局。
【請求項9】
請求項5?7のいずれか一項に記載のユーザー機器と請求項8に記載の基地局とを含むシステム。」

第4 引用例の記載事項及び引用発明
1.引用例1について
原査定の拒絶理由で引用されたKyocera,RLF issues in dual-connectivity(当審仮訳:
デュアルコネクティビティにおけるRLFの問題)[online],3GPP TSG-RAN WG2#83bis R2-133503,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_83bis/Docs/R2-133503.zip>,2013年9月28日アップロード(以下、「引用例1」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。)

(1)「2. Discussion
Both dual-connectivity and CA has the benefit of increasing user-throughput by allowing the UE to connect simultaneously to multiple cells. To prevent unnecessary complexity for both the UE and the NW it would be preferable for the CP architecture of CA to be reused in dual-connectivity’s CP architecture as much as possible. However, the reuse of the CA procedures should be done with caution to prevent any significant degradation to dual-connectivity performance. In the RLF discussions below, RLF related issues for dual-connectivity are discussed in context of the existing procedure for CA.
2.1. RLM of the SeNB
In CA, RLM isn’t supported on the SCell since PCell uses CQI and measurement reports to determine the status of the SCell, including addition/activation and possible RLF. In dual-connectivity, the situation isn’t as simple, since it is assumed that the SeNB has its own scheduler and the latency in the Xn interface may be excessive, it’s reasonable for the UE to send CQI to the MeNB and the SeNB. This concept is described in Fig.1. Furthermore, even if the UE’s radio link to the MeNB has failed, the UE’s radio link to the SeNB may be perfectly fine. If the UE only applies RLM to the MeNB, the UE would be required to declare RLF when only the link to the MeNB fails. Therefore, it would be beneficial to also allow the UE to also apply RLM of the SeNB.」(第1ページ第13-27行目)
(当審仮訳:2. 議論
デュアルコネクティビティとCAの両方に、UEが複数のセルに同時に接続できるようにすることで、ユーザースループットが向上するという利点があります。 UEとNWの両方の不要な複雑さを防ぐために、CAのCPアーキテクチャは、デュアルコネクティビティのCPアーキテクチャで可能な限り再利用することが望ましいでしょう。 ただし、CA接続の再利用は、二重接続のパフォーマンスが大幅に低下しないように注意して行う必要があります。 以下のRLFの議論では、デュアルコネクティビティのRLF関連の問題が、CAの既存の手順のコンテキストで議論されています。
2.1. SeNBのRLM
CAでは、PCellはCQIと測定レポートを使用して、追加/アクティブ化及び可能なRLFを含むSCellのステータスを決定するため、RCellはSCellでサポートされていません。 デュアルコネクティビティでは、状況はそれほど単純ではありません。SeNBには独自のスケジューラがあり、Xnインターフェースのレイテンシが過剰になる可能性があるため、UEがCQIをMeNBとSeNBに送信することは妥当です。 この概念を図1に示します。 さらに、MeNBへのUEの無線リンクに障害が発生しても、SeNBへのUEの無線リンクは完全に正常である可能性があります。 UEがRLMをMeNBにのみ適用する場合、UEは、MeNBへのリンクのみが失敗したときにRLFを宣言する必要があります。 したがって、UEがSeNBのRLMも適用できるようにすることも有益であろう。)

(2)「Proposal 2: UE should also apply RLM to the SeNB.
If Proposal 2 is agreeable, it will also be necessary to determine whether the MeNB needs to know the status of the RLM. As explained in [1], it would be necessary for the MeNB to remove the SeNB as soon as possible to prevent the UE from sending further SRS to the SeNB in case UL transmission to the SeNB is also allowed. Additionally, if the MeNB knows the RLF status of the SeNB, the MeNB could configure the UE with measurement of other candidate inter-frequency SeNBs. Although either SeNB or UE may inform the MeNB of the SeNB’s RLF status, in case the backhaul latency is excessive, it may be preferable for the UE to provide the SeNB’s RLF status to the MeNB.
Proposal 3: MeNB should be notified of the SeNB’s RLF status.
Assuming Proposal 3 is agreed, it is also necessary to determine the form of the notification of the SeNB’s RLF status to the MeNB. One possibility would be for the UE or the SeNB to send indication to the MeNB only after the UE has declared RLF with the SeNB. However, it may also be beneficial for the MeNB to obtain the CQI information of the SeNB to better monitor the link to the SeNB since the MeNB is responsible for the addition/removal/switching of the SeNB. Currently, the UP architecture is still uncertain, but if one of the Alt 3 options were adopted with the bearer split option, it would be up to the MeNB to determine the traffic that would be steered toward the SeNB. Having the CQI of the SeNB would also be beneficial for the MeNB to decide on the bearer split.」(第1ページ第29行-第2ページ第14行目)
(当審仮訳:提案2 UEはSeNBにもRLMを適用する必要があります。
提案2に同意できる場合は、MeNBがRLMのステータスを知る必要があるかどうかを判断する必要もあります。 [1]で説明したように、SeNBへのUL送信も許可されている場合、UEがSeRSにさらにSRSを送信しないように、MeNBはできるだけ早くSeNBを削除する必要があります。 さらに、MeNBがSeNBのRLFステータスを知っている場合、MeNBは他の候補周波数間SeNBの測定値を使用してUEを構成できます。 SeNB又はUEのいずれかがMeNBにSeNBのRLFステータスを通知する場合がありますが、バックホールのレイテンシが長すぎる場合は、UEがSeNBのRLFステータスをMeNBに提供することが望ましい場合があります。
提案3:SeNBのRLFステータスをMeNBに通知する必要があります。
提案3が合意されたと仮定すると、MeNBへのSeNBのRLFステータスの通知の形式を決定することも必要です。1つの可能性は、UEがSeNBとともにRLFを宣言した後にのみ、UE又はSeNBが指示をMeNBに送信することである。しかしながら、MeNBはSeNBの追加/削除/切り替えを担当するので、MeNBがSeNBへのリンクをよりよく監視するためにSeNBのCQI情報を取得することも有益である可能性がある。 現在、UPアーキテクチャはまだ不確実ですが、ベアラスプリットオプションでAlt 3オプションの1つが採用された場合、SeNBに向けられるトラフィックを決定するのはMeNBです。 SeNBのCQIを持つことは、MeNBがベアラ分割を決定するためにも有益です。)

ア 上記(1)によれば、「デュアルコネクティビティでは、・・・UEがCQIをMeNBとSeNBに送信することは妥当です。」と記載されていることから、UEは、デュアルコネクティビティで、MeNBかつSeNBにCQIを送信する。

イ 上記(2)によれば、「UEがSeNBとともにRLFを宣言した後にのみ、UE・・・が指示をMeNBに送信することである。」と記載されていることから、UEは、SeNBのRLFを宣言する。そして、UEは、SeNBのRLFステータスをMeNBに通知する。

以上を総合すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「UEは、デュアルコネクティビティで、MeNBかつSeNBにCQIを送信することと、SeNBのRLFを宣言することと、SeNBのRLFステータスをMeNBに通知することを行う、方法。」

2.引用例2について
原査定の拒絶理由で引用されたTechnical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); Study on Small Cell Enhancements for E-UTRA and E-UTRAN - Higher layer aspects (Release 12)(当審仮訳:技術仕様グループ無線アクセスネットワーク;進化したユニバーサル地上無線アクセス(E-UTRA); E-UTRA及びE-UTRANのスモールセル拡張に関する研究-上位層の側面(リリース12))[online],3GPP TSG-RAN WG2#83bis R2-133732,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_83bis/Docs/R2-133732.zip>,2013年10月21日アップロード,6-7ページ(以下、「引用例2」という。)には、以下の事項が記載されている。

「Secondary Cell Group: the group of the serving cells associated with the SeNB.」(第7ページ第4行目)
(当審仮訳:セカンダリーセルグループ:SeNBに関連付けられているサービングセルのグループ)

上記記載によれば、引用例2には、「セカンダリーセルグループは、SeNBに関連付けられているサービングセルのグループ」という技術的事項が記載されていると認められる。

3.引用例3について
原査定の拒絶理由で引用された米国特許出願公開第2011/0268085号明細書(以下、「引用例3」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。)

「[0060] A more detailed explanation of an exemplary forward handover is described with respect to FIG. 6A. FIG. 6A illustrates an example system 600 that performs a successful access procedure related to forward handover of a UE to a target access point. The system 600 includes a UE 120 that receives access from a source eNodeB 110a, and a target eNodeB 110b which receives the UE 120 communications in a forward handover procedure. The UE 120 sends uplink data and receives downlink data on a default EPS (evolved packet system) bearer and, optionally, on one or more dedicated EPS bearers via the current serving cell belonging to the source eNodeB 110a. The UE 120 sends a measurement report at time 608 to the source eNodeB 110a. In one example, the measurement report is not received at the source eNodeB 110a due to degraded radio conditions. At time 610, the UE 120 detects physical layer problems and starts a timer. If the UE does not recover from the detected physical layer problems before the timer expires, then the UE 120 also declares RLF (radio link failure) and starts a second timer and suspends SRB1 (signal radio bearer 1), SRB2 and all DRBs (dedicated radio bearers). The UE 120 then selects a target eNodeB 110b to access. At time 612, the UE 120 then transmits a PRACH (physical random access channel) signature sequence to the target eNodeB 110b. At time 614 the target eNodeB 110b transmits a random access response to the UE 120, which can include resources over which the UE 120 can request a connection to the target eNodeB 110b.」
(当審仮訳:[0060] 例示的な順方向ハンドオーバーの図6aに関して説明されるより詳細な説明は、図6(a)は、ターゲット・アクセス・ポイントへのUEのハンドオーバーに関連した成功アクセス手順を実行するシステム600の一例を示す図である。システム600は、ソースeNodeB110aからのアクセスを受信した前記UE120と、順方向ハンドオーバー手順におけるUE120の通信を受信したターゲットeNodeB110bを含む。UE120は、アップリンクデータを送信し、かつ、デフォルトのEPS(進化型パケットシステム)ベアラ、及び、任意に、ソースeNodeB110aに属する現在のサービス提供セルを介して1つ又は複数の専用EPSベアラ上のダウンリンク・データを受信する。UE120は、時間608において測定レポートをソースeNodeB110aに送信する。一実施例では、測定報告は無線条件により、ソースeNodeB110aで受信されない。時間610において、UE120は、物理層問題を検出してタイマーを起動する。UEは、タイマーが時間切れになる前に検出された物理層の問題から復旧しない場合には、UE120は、RLF(無線リンク障害)を宣言し、第2のタイマを開始し、SRB1(シグナリング無線ベアラ1)、SRB2及びすべてのDRB(個別無線ベアラ)を停止する。UE120は、次にアクセスするターゲットeNodeB110bを選択する。時間612では、UE120は、PRACH(物理ランダムアクセスチャネル)シグニチャ系列を送信する、ターゲットeNodeB110bとする。時間614では、ターゲットeNodeB110bは、UE120に対して、ランダムアクセス応答は、UE120はターゲットeNodeB110bへの接続を要求することができるリソースを有することができる。)

上記記載によれば、引用例3には、「UEは、タイマーが時間切れになる前に検出された物理層の問題から復旧しない場合には、RLF(無線リンク障害)を宣言し、SRB1(シグナリング無線ベアラ1)、SRB2及びすべてのDRB(個別無線ベアラ)を停止する」という技術的事項が記載されていると認められる。

4.引用例4について
原査定の拒絶理由で引用されたNokia Siemens Networks, Nokia Corporation,Re-establishment procedure for carrier aggregation(当審仮訳:キャリアアグリゲーションの再確立手順)[online],3GPP TSG-RAN WG2♯69 R2-101114,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_69/Docs/R2-101114.zip>,2010年2月16日アップロード(以下、「引用例4」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。)

「2 Re-establishment procedure
Rel-9 RRC connection re-establishment procedure upon detection of RLF based on T310, N310 or RACH/RLC failure indication is as follows [3]:

」(第1ページ第14-16行目)
(当審仮訳:2 再確立手順
T310、N310、又はRACH / RLC障害表示に基づいてRLFを検出した場合のRel-9 RRC接続の再確立手順は次のとおりです[3]。
(1) SRB0を除くすべてのRBを一時停止します;セルを選択します
その他、省略)

上記記載によれば、引用例4には、「RLFを検出した場合、SRB0を除く全てのRBを一時停止する」という技術的事項が記載されていると認められる。

5.引用例5について
原査定の拒絶理由で引用された3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Radio Access Network;Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA);Radio Resource Control (RRC);Protocol specification(Release 11)(当審仮訳:第3世代パートナーシッププロジェクト;技術仕様グループ無線アクセスネットワーク;進化したユニバーサル地上無線アクセス(E-UTRA);無線リソース制御(RRC);プロトコル仕様(リリース11)),3GPP TS 36.331 V11.2.0,2013年1月3日アップロード,159-162ページ(以下、「引用例5」という。)には、以下の事項が記載されている。

「 UEInformationResponse message
-- ASN1START
(中略)
rlf-Cause-r11 ENUMERATED {
t310Expiry, randomAccessProblem,
rlc-MaxNumRetx, spare1} OPTIONAL,
」(第159ページ第35行-第160ページ第40行目)

「rlf-Cause
This field is used to indicate the cause of the last radio link failure that was detected.」(第162ページ第37-38行目)
(当審仮訳:rlf-Cause
このフィールドは、最後に検出された無線リンク障害の原因を示すために使用されます。)

上記記載によれば、引用例5には、「UEInformationResponse messageにおいて、t310Expiry、randomAccessProblem、rlc-MaxNumRetxで、最後に検出された無線リンク障害の原因を示す」という技術的事項が記載されていると認められる。

6.引用例6について
原査定の拒絶理由で引用されたFujitsu,Clarification on the UE reported timer in MRO(当審仮訳:MROで報告されたUEのタイマーに関する説明)[online],3GPP TSG-RAN WG3#80 R3-131180,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG3_Iu/TSGR3_80/Docs/R3-131180.zip>,2013年4月6日アップロード(以下、「引用例6」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。)

「The eNB receiving the RLF Report from the UE may forward the report to the eNB that served the UE before the reported connection failure using the RLF INDICATION message. The radio measurements contained in the RLF Report may be used to identify coverage issues as the potential cause of the failure. The cause for the RLF contained in the RLF Report may be used to identify the cause of the failure, i.e., expiry of T310, MAC random access problem or uplink RLC problem. This information may be used to exclude those events from the MRO evaluation of intra-LTE mobility connection failures and redirect them as input to other algorithms.」(第3ページ第20-25行目)
(当審仮訳:UEからRLFレポートを受信するeNBは、RLF INDICATIONメッセージを使用して、報告された接続失敗の前に、UEにサービスを提供したeNBにレポートを転送することができる。 RLFレポートに含まれる無線測定を使用して、障害の潜在的な原因としてカバレッジの問題を特定できます。 RLFレポートに含まれるRLFの原因は、障害の原因、つまりT310の期限切れ、MACランダムアクセスの問題、又はアップリンクRLCの問題の特定に使用できます。この情報は、これらのイベントをLTE内のモビリティ接続障害のMRO評価から除外し、他のアルゴリズムへの入力としてリダイレクトするために使用できます。)

上記記載によれば、引用例6には、「RLFレポートに含まれるRLFの原因は、障害の原因、つまりT310の期限切れ、MACランダムアクセスの問題、又はアップリンクRLCの問題の特定に使用できる」という技術的事項が記載されていると認められる。

7.引用例7について
原査定の拒絶理由で引用されたLG Electronics Inc.,Correction to MAC Reset(当審仮訳:MACリセットの修正)[online],3GPP TSG-RAN WG2#63 R2-084174,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_63/Docs/R2-084174.zip>,2008年8月11日アップロード(以下、「引用例7」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。)

「- if a reset of the MAC entity is caused by RLF or HOF:」(第2ページ第4行目)
(当審仮訳:- MACエンティティのリセットがRLF又はHOFによって引き起こされた場合:)

上記記載によれば、引用例7には、「RLFによってMACエンティティのリセットが引き起こされる」という技術的事項が記載されていると認められる。

第5 対比・判断
1.本願発明1について
本願発明1と引用発明とを対比する。

(1)引用発明における「UE」が、通信システムにおけるユーザー機器を示すことは技術常識であるから、本願発明1における「ユーザー機器」に相当する。
そして、引用発明の「UEは、デュアルコネクティビティで、MeNBかつSeNBにCQIを送信することと、SeNBのRLFを宣言することと、SeNBのRLFステータスをMeNBに通知することを行う、方法。」はUEの動作に関する方法であるから、UEで使用される方法といえ、本願発明1と同様に、「通信システムのユーザー機器で使用される方法」といえる。

(2)引用発明の「デュアルコネクティビティ」では、UEがMeNBを介し、かつSeNBを介し通信することは明らかである。そうすると、引用発明の「UEは、デュアルコネクティビティで、MeNBかつSeNBにCQIを送信すること」と、本願発明1の「デュアルコネクティビティの間に、MeNBを介し、かつ少なくとも一つのセカンダリーセルを含むセカンダリーセルグループ(SCG)に関連するSeNBを介して通信すること」とは、「デュアルコネクティビティの間に、MeNBを介し、かつSeNBを介して通信すること」という点で一致する。

(3)引用発明の「RLF」が、Radio Link Failure、すなわち通信リンクにおける無線リンク障害であることは技術常識であって、また、「UE」は、「SeNBのRLFを宣言する」のであるから、SeNBのRLFを検出することは明らかである。そうすると、引用発明の「SeNBのRLFを宣言すること」と、本願発明1の「前記SCGに関連する前記SeNBとの通信リンクにおける無線リンク障害(RLF)を検出すること」とは、「前記SeNBとの通信リンクにおける無線リンク障害(RLF)を検出すること」という点で一致する。

(4)引用発明の「MeNB」は、発展型地上波無線アクセスネットワーク(E-UTRAN)を構成する装置の1つであることは技術常識であるから、引用発明の「SeNBのRLFステータスをMeNBに通知すること」は、本願発明1の「検出された前記RLFを発展型地上波無線アクセスネットワーク(E-UTRAN)に通知する手続を開始すること」に含まれる。

以上のことから、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

(一致点)
「 通信システムのユーザー機器で使用される方法であって、
デュアルコネクティビティの間に、MeNBを介し、かつSeNBを介して通信することと、
前記SeNBとの通信リンクにおける無線リンク障害(RLF)を検出することと、
検出された前記RLFを発展型地上波無線アクセスネットワーク(E-UTRAN)に通知する手続を開始することと、を含む、方法。」

(相違点1)
ユーザー機器が通信するSeNBが、本願発明1では、「少なくとも一つのセカンダリーセルを含むセカンダリーセルグループ(SCG)に関連するSeNB」であるのに対し、引用発明では、当該発明特定事項が特定されていない点。

(相違点2)
無線リンク障害(RLF)を検出する通信リンクに関し、本願発明1では、「前記SCGに関連する前記SeNBとの通信リンク」であるのに対し、引用発明では、当該発明特定事項が特定されていない点。

(相違点3)
検出されたRLFをE-UTRANに通知する手続に関し、本願発明1では、「前記手続は、検出された前記RLFの障害タイプを送信することを含み、さらに、前記障害タイプの障害により影響を受ける無線リンクの方向、及び前記障害タイプの検出回数のうちの少なくとも1つを送信することを含み、
前記障害タイプは、無線リンク制御(RLC)レイヤー障害、媒体アクセス制御(MAC)レイヤー障害、物理レイヤー(PHY)障害、スケジューリング要求障害、及び時間同期タイマー(TAT)障害のうちの少なくとも1つを含む」のに対し、引用発明では、通知するRLFステータスにどのような情報が含まれているか特定されていない点。

事案に鑑みて、上記相違点3について先に検討すると、本願発明1の相違点3に関する発明特定事項の一部である「さらに、前記障害タイプの障害により影響を受ける無線リンクの方向、及び前記障害タイプの検出回数のうちの少なくとも1つを送信すること」は、引用例2ないし7に記載されておらず、当該技術分野において周知技術であるともいえない。
したがって、上記相違点1及び2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用例2ないし7のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明することができたものであるとはいえない。

2.本願発明2及び3について
本願発明2及び3は、本願発明1の発明特定事項を全て含むから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2ないし7のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。

3.本願発明4及び8について
本願発明4及び8は、本願発明1の上記相違点3の発明特定事項と対応する「前記メッセージは、前記RLFの障害タイプを含み、さらに、前記障害タイプの障害により影響を受ける無線リンクの方向、及び前記障害タイプの検出回数のうちの少なくとも1つを含み、
前記障害タイプは、無線リンク制御(RLC)レイヤー障害、媒体アクセス制御(MAC)レイヤー障害、物理レイヤー(PHY)障害、スケジューリング要求障害、及び時間同期タイマー(TAT)障害のうちの少なくとも1つを含む」という発明特定事項を備えるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2ないし7のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。

4.本願発明5ないし7及び9について
本願発明5ないし7及び9も、本願発明1の「前記手続は、検出された前記RLFの障害タイプを送信することを含み、さらに、前記障害タイプの障害により影響を受ける無線リンクの方向、及び前記障害タイプの検出回数のうちの少なくとも1つを送信することを含み、
前記障害タイプは、無線リンク制御(RLC)レイヤー障害、媒体アクセス制御(MAC)レイヤー障害、物理レイヤー(PHY)障害、スケジューリング要求障害、及び時間同期タイマー(TAT)障害のうちの少なくとも1つを含む」という同一の発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例2ないし7のそれぞれに記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 原査定について
本願発明1ないし9は、上記「第5」の「1.」ないし上記「第5」の「4.」のとおり、当業者であっても、原査定において引用された引用例1ないし7に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし9は、当業者が引用発明及び引用例2ないし7のそれぞれに記載された技術的事項に基いて容易に発明することができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-02-25 
出願番号 特願2018-37184(P2018-37184)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04W)
最終処分 成立  
前審関与審査官 石田 紀之中野 修平松野 吉宏新井 寛石田 信行  
特許庁審判長 中木 努
特許庁審判官 本郷 彰
永田 義仁
発明の名称 二重接続における無線リンク障害ハンドリング  
代理人 家入 健  

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