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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F01D
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 F01D
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 F01D
管理番号 1371483
審判番号 不服2020-1521  
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-02-04 
確定日 2021-03-16 
事件の表示 特願2018-540516「オイルコンソール設備、オイルコンソール設備付き回転機械、及び排ガスに含まれる潤滑油の回収方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年3月29日国際公開、WO2018/055672、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1.手続の経緯
この出願(以下、「本願」という。)は、2016年(平成28年)9月20日を国際出願日とする出願であって、令和元年7月10日付け(発送日:同年7月16日)で拒絶理由が通知され、令和元年9月3日に意見書の提出及び手続補正がされ、令和元年10月29日付け(発送日:同年11月5日)で拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、令和2年2月4日に拒絶査定不服審判が請求されたと同時に手続補正がされ、当審において令和2年9月28日付け(発送日:同年9月29日)で拒絶理由が通知され、令和2年11月30日に意見書の提出及び手続補正がされたものである。


第2.当審において通知した拒絶理由とその判断
当審において令和2年9月28日付けで通知した拒絶理由の概要とその判断は以下のとおりである。
1.拒絶理由
本願は、明細書及び特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号、同条第6項第1号及び2号に規定する要件を満たしていない。



令和2年2月4日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1及び請求項8における「噴射・噴霧させることなく垂らすように吐出する」なる語句についての具体的な説明が、本願明細書の発明の詳細な説明から見いだせないから、上記語句を発明特定事項の一部とする請求項1ないし10に係る発明は、本願明細書の発明の詳細な説明に記載された発明であるとはいえず、また、特許を受けようとする発明が明確であるともいえない。
さらに、上記手続補正で補正された明細書の段落【0013】及び【0033】における「垂らすように吐出する」なる語句並びに【0014】における「噴射・噴霧させることなく垂らすように吐出させ」なる語句は、その具体的な内容が不明であるから、本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、本願の請求項1ないし10に係る発明を、当業者が正確に理解し、その実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとはいえない。

2.判断
令和2年11月30日の手続補正により、上記「噴射・噴霧させることなく垂らすように吐出する」なる語句及び「噴射・噴霧させることなく垂らすように吐出させ」なる語句は、いずれも、本願の願書に最初に添付した明細書の段落【0013】に記載されていた「・・・冷却された前記液状の潤滑油を供給する第1の冷却潤滑油供給ラインと、を備え、前記第1の潤滑油捕集部は、前記第1の潤滑油捕集部の上端から下端に移動する冷却された前記液状の潤滑油と、・・・」との事項から、前記「第1の潤滑油捕集部の上端」に供給される「潤滑油」は液状であって、当該「潤滑油」を噴射・噴霧させた際の状態である液滴状ないし霧状でないことが自明な事項であることを根拠として、「噴射・噴霧させることなく供給する」なる語句及び「噴射・噴霧させることなく供給した」なる語句に補正されたため、当審において通知した拒絶理由は、その理由がなくなり、解消された。


第3.本願発明
本願の請求項1ないし10に係る発明は、令和2年11月30日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1ないし10に係る発明(以下、「本願発明1ないし10」という。)は、次のとおりである。

【請求項1】
潤滑油を貯留する潤滑油槽と、
前記潤滑油槽と接続されており、回転体を支持する軸受に前記潤滑油槽内に貯留された液状の前記潤滑油を供給する潤滑油供給ラインと、
前記潤滑油供給ラインに設けられ、前記軸受に供給する前記液状の潤滑油を冷却する第1の冷却器と、
前記潤滑油槽と接続されており、前記軸受から回収した前記潤滑油を前記潤滑油槽内に導入する潤滑油回収ラインと、
前記潤滑油槽と接続されており、前記潤滑油槽内の気相に存在し、ミスト化した前記潤滑油である潤滑油ミスト、及びガスを含む第1の排ガスが導出される第1の大気放出管と、
前記第1の大気放出管に連結された状態で設けられ、鉛直方向に延在する第1の管状部材と、前記第1の管状部材内に形成された空間に配置されており、前記潤滑油ミストが捕集され、前記ガスが通過可能な第1の潤滑油捕集部と、を含む第1の潤滑油ミスト捕集装置と、
を備え、
前記第1の潤滑油捕集部は、複数の第1の充填部材を含み、
前記複数の第1の充填部材は、前記第1の潤滑油捕集部の下端側から目視した際に、前記第1の潤滑油捕集部の上端側が見えないように、隙間を介在させた状態で、前記第1の管状部材内の前記空間に配置されており、
前記第1の冷却器の下流側に位置する前記潤滑油供給ラインから分岐されるとともに、前記第1の管状部材内に配置された吐出口を含み、前記吐出口を介して、前記第1の潤滑油捕集部の上端に、冷却された前記液状の潤滑油を、噴射・噴霧させることなく供給する第1の冷却潤滑油供給ラインをさらに備え、
前記第1の潤滑油捕集部は、前記第1の潤滑油捕集部の上端から下端に向かって前記充填部材の表面を流れるように移動する冷却された前記液状の潤滑油と、前記第1の潤滑油捕集部の下端から上端に移動する前記第1の排ガスと、を気液接触させることを特徴とするオイルコンソール設備。
【請求項2】
前記第1の冷却潤滑油供給ラインに設けられ、前記第1の冷却器により冷却された前記潤滑油をさらに冷却する第2の冷却器を有することを特徴とする請求項1に記載のオイルコンソール設備。
【請求項3】
前記潤滑油槽と前記第1の潤滑油ミスト捕集装置との間に位置する前記第1の大気放出管に設けられたファンと、
前記第1の潤滑油ミスト捕集装置と前記ファンとの間に位置する前記第1の大気放出管から分岐され、前記潤滑油槽と接続された潤滑油ミスト回収ラインと、
前記潤滑油ミスト回収ラインに設けられたオリフィスと、
を有することを特徴とする請求項1または2記載のオイルコンソール設備。
【請求項4】
前記軸受と接続されており、ミスト化した前記潤滑油である潤滑油ミスト、及びガスを含む第2の排ガスを大気放出する第2の大気放出管と、
前記第2の大気放出管の分離された部分に両端が連結された第2の管状部材と、前記第2の管状部材内に形成された空間の所定領域に配置されており、前記潤滑油ミストが捕集され、前記ガスが通過可能な第2の潤滑油捕集部と、を含む第2の潤滑油ミスト捕集装置と、
前記第1の冷却潤滑油供給ラインから分岐されるとともに、前記第2の管状部材内に配置された吐出口を含み、前記吐出口を介して、前記第2の潤滑油捕集部の上端に、冷却された前記液状の潤滑油を吐出する第2の冷却潤滑油供給ラインと、
を有することを特徴とする請求項1または2記載のオイルコンソール設備。
【請求項5】
前記第2の潤滑油捕集部は、複数の第2の充填部材を含み、
前記複数の第2の充填部材は、前記第2の潤滑油捕集部の下端側から目視した際に、前記第2の潤滑油捕集部の上端側が見えないように、隙間を介在させた状態で、前記第2の管状部材内の前記所定領域に配置されていることを特徴とする請求項4記載のオイルコンソール設備。
【請求項6】
前記第1の冷却潤滑油供給ラインには、第2の冷却器が設けられており、
前記第2の冷却潤滑油供給ラインは、前記第1の潤滑油ミスト捕集装置と前記第2の冷却器との間に位置する第1の冷却潤滑油供給ラインから分岐させることを特徴とする請求項4または5記載のオイルコンソール設備。
【請求項7】
請求項1ないし6のうち、いずれか1項記載のオイルコンソール設備と、
前記回転体及び前記軸受を含む回転機械と、
を備えたことを特徴とするオイルコンソール設備付き回転機械。
【請求項8】
オイルコンソール設備内の排ガスに含まれる潤滑油の回収方法であって、
潤滑油を貯留する潤滑油槽から導出した液状の前記潤滑油を冷却し、前記潤滑油槽の気相と接続された第1の大気放出管に連結された第1の管状部材内の空間の所定領域を充填する第1の潤滑油捕集部の上端側から前記第1の潤滑油捕集部内に冷却した液状の前記潤滑油を、噴射・噴霧させることなく供給する工程と、
前記潤滑油槽内の気相から前記第1の大気放出管内に、ミスト化した前記潤滑油である潤滑油ミスト、及びガスを含む第1の排ガスを導出し、前記第1の潤滑油捕集部の下端側から前記第1の潤滑油捕集部に前記第1の排ガスを供給する工程と、
を含み、
前記第1の潤滑油捕集部は、複数の第1の充填部材を含み、
前記複数の第1の充填部材は、前記第1の潤滑油捕集部の下端側から目視した際に、前記第1の潤滑油捕集部の上端側が見えないように、隙間を介在させた状態で、前記第1の管状部材内の前記空間に配置されており、
前記第1の潤滑油捕集部において、該第1の潤滑油捕集部の上端から下端に向かって前記充填部材の表面を流れるように移動する冷却した前記液状の潤滑油と前記第1の排ガスとを気液接触させることで、前記第1の排ガスに含まれる前記潤滑油ミストを液滴化させて回収するとともに、前記第1の潤滑油捕集部の上端側に前記第1の排ガスに含まれる前記ガスを通過させる工程と、
を含むことを特徴とする排ガスに含まれる潤滑油の回収方法。
【請求項9】
前記第1の排ガスを供給する工程では、前記第1の大気放出管に設けられたファンを用いて、前記第1の潤滑油捕集部に前記第1の排ガスを供給し、
前記潤滑油ミストを回収する工程では、前記第1の潤滑油捕集部と前記ファンとの間に位置する前記第1の大気放出管から分岐された潤滑油ミスト回収ラインを介して、前記潤滑油ミストを含む前記冷却した潤滑油を回収することを特徴とする請求項8記載の排ガスに含まれる潤滑油の回収方法。
【請求項10】
潤滑油を貯留する潤滑油槽から導出した液状の前記潤滑油を冷却し、冷却した前記液状の潤滑油の一部を軸受と接続された第2の大気放出管に連結された第2の管状部材内に形成された空間の所定領域を充填する第2の潤滑油捕集部の上端側から前記第2の潤滑油捕集部内に冷却した前記液状の潤滑油を吐出する工程と、
前記軸受から前記第2の大気放出管内に、ミスト化した前記潤滑油である潤滑油ミスト、及びガスを含む第2の排ガスを導出し、前記第2の潤滑油捕集部の下端側から前記第2の潤滑油捕集部に前記第2の排ガスを供給する工程と、
前記第2の潤滑油捕集部において、冷却した前記液状の潤滑油と前記第2の排ガスとを気液接触させることで、前記第2の排ガスに含まれる前記潤滑油ミストを液滴化させて回収するとともに、前記第2の潤滑油捕集部の上端側に前記第2の排ガスに含まれる前記ガスを通過させる工程と、
を含むことを特徴とする請求項8記載の排ガスに含まれる潤滑油の回収方法。


第4.原査定の拒絶理由とその判断
1.原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶理由の概要は以下のとおりである。

本願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

・請求項 1、2、4ないし11
・引用文献等 1ないし3

・請求項 3
・引用文献等 1ないし4

<引用文献等一覧>
1.特許第5237433号公報
2.実願昭57-53607号(実開昭57-184729号)のマイクロフィルム(周知技術を示す文献)
3.実願昭46-18014号(実開昭47-13775号)のマイクロフィルム(周知技術を示す文献)
4.特開2002-273151号公報

2.当審の判断
(1)引用文献、引用発明
ア.原査定の拒絶の理由に引用した特許第5237433号公報(以下、「引用文献1」という。)には、「オイルコンソール設備」の発明に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。
(ア)「【請求項1】
回転体の軸受へ供給する潤滑油を溜める潤滑油槽と、
前記潤滑油槽内の潤滑油を前記回転体の軸受へ供給する潤滑油供給手段と、
前記回転体の軸受にて潤滑した後の潤滑油を前記潤滑油槽へ回収する回収手段と、
前記潤滑油槽内のガスを排気するように当該潤滑油槽に連結して設けられた大気放出管と、
前記大気放出管内に潤滑油を液滴で噴射する潤滑油噴射手段とを具備し、
前記潤滑油供給手段は、前記潤滑油槽と前記回転体の軸受とを連絡して設けられる供給管と、前記供給管内の潤滑油に前記回転体の軸受へ向かう流れ成分を付与する潤滑油流成分付与手段と、前記供給管において前記潤滑油流成分付与手段よりも潤滑油流通方向下流側に設けられ、前記潤滑油内の不純物を除去するフィルタとを有し、
前記潤滑油噴射手段は、一方の端部が前記供給管において前記フィルタよりも潤滑油流通方向下流側に連通すると共に、他方の端部側が前記大気放出管に貫通して設けられ、当該大気放出管内に位置して、潤滑油噴射穴が形成された送給管である
ことを特徴とするオイルコンソール設備。
【請求項2】
請求項1に記載のオイルコンソール設備であって、
前記供給管における前記送給管の連通箇所よりも潤滑油流通方向上流側に配置され、前記潤滑油を冷却する冷却手段を具備する
ことを特徴とするオイルコンソール設備。」
(イ)「【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルコンソール設備に関する。」
(ウ)「【0016】
以下に、本発明に係るオイルコンソール設備を実施するための形態を参考例および実施例に基づき具体的に説明する。
【0017】
[参考例]
以下に、本発明の参考例に係るオイルコンソール設備につき、図面を用いて具体的に説明する。
図1は、本発明の参考例に係るオイルコンソール設備の概略図である。
【0018】
本発明の参考例に係るオイルコンソール設備50は、図1に示すように、電動モータや蒸気タービンなどの駆動機1や駆動機1により軸体3を介して駆動される圧縮装置2などが具備する当該軸体3などの回転体を回転可能に支持する軸受(回転体の軸受)4a,4b,4c,4dに潤滑油Lを供給する一方、当該軸受4a,4b,4c,4dを潤滑した後の潤滑油Lを回収し、回収した潤滑油Lを前記軸受4a,4b,4c,4dに供給しており、潤滑油Lを循環して利用する設備である。
【0019】
オイルコンソール設備50は、潤滑油Lを一時的に貯留する(溜める)潤滑油槽11と、潤滑油槽11と軸受4a,4b,4c,4dとを連絡して設けられる供給管12と、供給管12に介在して設けられ、供給管12内の潤滑油Lを潤滑油槽11から軸受4a,4b,4c,4dへ向かう流れ成分を付与する動力源である潤滑油送給ポンプ(潤滑油流成分付与手段)14とを具備する。すなわち、潤滑油送給ポンプ14および上述した供給管12が潤滑油送給手段をなす。さらに、軸受4a,4b,4c,4dと潤滑油槽11とを連絡して設けられ、軸受4a,4b,4c,4dにて潤滑した後の潤滑油Lを潤滑油槽11へ回収する回収手段であるドレイン管13を具備する。
【0020】
上述した供給管12には、潤滑油Lを冷却する冷却器15、および、冷却された潤滑油内の不純物を分離して除去するフィルタ16が設けられる。ただし、冷却器15は、潤滑油ポンプ14の潤滑油L流通方向下流側に配置される。フィルタ16は、冷却器15の潤滑油L流通方向下流側に配置され、並列に配置された2つのフィルタ16a,16bからなる。」
(エ)「【0022】
ここで、上述した大気放出管17eの直径は、以下のように設定される。
最初に、大気放出管17eで回収する対象となる、ミスト状潤滑油の直径L1を設定する。
続いて、大気放出管17eの抵抗係数、潤滑油Lの密度、空気の密度、および温度などに基づき、前記ミスト状潤滑油の直径L1に対して、大気放出管17e内を流通するガスの最適な流速を設定する。抵抗係数は、設備ノウハウより決定される。例えば、VG32タイプ潤滑油では、L1=10μmとすると流速は、0.16m/s以下となる。この最適な流速となるように大気放出管17eの直径Dが設定される。
すなわち、大気放出管17eは、潤滑油槽11内部のガスに含まれるミスト状潤滑油を回収できる最適な直径Dを持つように設定される。
【0023】
このように内部を流通するガスが最適な流速となるように最適な直径Dに設定された大気放出管17eとすることで、潤滑油槽11内部のガスに含まれる、潤滑油ベーパが、大気放出管17e内を流通して当該大気放出管17eにおける大気放出側の開口部までの間にて、滞留中に冷却されて液滴の潤滑油となり、その自重により潤滑油槽11内に落下して回収される。さらに、前記ガスに含まれる、直径L1以上の大きさのミスト状潤滑油が、大気放出管17e内を流通して当該大気放出管17eにおける大気放出側の開口部までの間にて、互いに衝突したり大気放出管17eの壁面又は放出管内の邪魔板に衝突したりして液滴の潤滑油となり、その自重により潤滑油槽11内に落下して回収される。よって、潤滑油Lの大気放出が抑制される。
【0024】
したがって、本発明の参考例に係るオイルコンソール設備50によれば、潤滑油Lを溜める潤滑油槽11と、潤滑油槽11内の潤滑油Lを軸受4a,4b,4c,4dへ供給する供給管12および潤滑油送給ポンプ14と、軸受4a,4b,4c,4dにて潤滑した後の潤滑油Lを回収するドレイン管13と、潤滑油槽11に連結して設けられ、潤滑油槽11内部のガスに含まれるミスト状潤滑油を回収できる最適な直径Dに設定された大気放出管17eとを具備することで、上述したように、潤滑油ベーパが冷却されて液滴化すると共に、所定の大きさ(直径L1)以上のミスト状潤滑油が液滴化し、その自重により潤滑油槽11内に落下して回収されるため、潤滑油Lの大気放出が抑制される。このような潤滑油回収機構は、所定の大きさ(直径L1以上)のミスト状潤滑油を回収できるように内部を流通するガスの流速を設定し、このガスの流速に応じて、潤滑油槽11の天井部11aに連結される大気放出管17eの直径Dを設定したものであり、その構造自体が簡易、且つ小型である。」
(オ)「【実施例】
【0026】
以下に、本発明の実施例に係るオイルコンソール設備につき、図面を用いて具体的に説明する。なお、本実施例に係るオイルコンソール設備は、上述した本発明の参考例に係るオイルコンソール設備に潤滑油噴射装置をさらに具備したものであり、それ以外は同一の機器構成である。よって、本実施例において、上記参考例に係るオイルコンソール設備と同一機器には、同一符号を付記しその説明を省略する。
図2は、本発明の実施例に係るオイルコンソール設備の概略図であり、図2(a)にその全体を示し、図2(b)に図2(a)における一点鎖線の囲み線の拡大を示す。
【0027】
本発明の実施例に係るオイルコンソール設備100では、図2に示すように、供給管12に連結して、潤滑油槽11に連結された大気放出管17eに液滴の潤滑油を噴射する潤滑油噴射装置(潤滑油噴射手段)60が設けられる。なお、図2中の符号71はドレイン油戻りラインであり、ドレイン油戻りライン71は大気放出管17eにおける吸引装置18のガス流通方向下流側と潤滑油槽11の天井部11aとを連絡している。
【0028】
潤滑油噴射装置60は、一方の端部が供給管12に連結すると共に、他方の端部側が大気放出管17e内に貫通して設けられ、大気放出管17e内に位置し、水平より下方へ所定の角度にて傾斜して延在する傾斜部61aが設けられ、傾斜部61aに液滴の潤滑油Lを噴射する潤滑油噴射穴62が複数形成された送給管61である。潤滑油噴射穴62は、送給管61の下方側に設けられる。
【0029】
供給管12における送給管61の連結箇所は、フィルタ16の潤滑油流通方向下流側に設けられる。このような箇所にて送給管61の一方の端部を送給管12に連結することで、大気放出管17e内に噴射される液滴の潤滑油が冷却された液体であり、冷却された液滴の潤滑油によりガスに含まれる潤滑油ベーパが直接冷却されて液滴化がより一層促進される上に、前記冷却された液滴の潤滑油がガスに含まれるミスト状潤滑油と衝突して当該ミスト状潤滑油を当該冷却された液滴の潤滑油内に取り込まれる。よって、潤滑油の大気放出をさらに抑制することができる。
【0030】
したがって、本発明の実施例に係るオイルコンソール設備100によれば、潤滑油Lを溜める潤滑油槽11と、潤滑油槽11内の潤滑油Lを軸受4a,4b,4c,4dへ供給する供給管12および潤滑油送給ポンプ14と、軸受4a,4b,4c,4dにて潤滑した後の潤滑油Lを回収するドレイン管13と、潤滑油槽11内のガスを排気するように潤滑油槽11に連結して設けられた大気放出管17eと、大気放出管17e内に潤滑油を液滴で噴射する潤滑油噴射装置60とを具備することにより、大気放出管17e内へ噴射された液滴の潤滑油によりガスに含まれる潤滑油ベーパが直接冷却されて液滴化が促進される一方、前記液滴の潤滑油と前記ガスに含まれるミスト状潤滑油とが衝突して当該ミスト状潤滑油を当該液滴の潤滑油内に取り込まれる。よって、潤滑油Lの大気放出を抑制することができる。これら機器構成自体も簡易、且つ小型である。さらに、軸受4a,4b,4c,4dに供給する潤滑油Lを利用することができる上に、回転体の軸受4a,4b,4c,4dへ向かう流れ成分が付与された潤滑油Lを利用するできるため、機器構成自体が簡易、且つ小型である。」

前記(ア)ないし(オ)に摘記した事項を踏まえると、引用文献1には、次の二つの発明(以下、「引用発明1」及び「引用発明2」という。)が記載されているといえる。

《引用発明1》
潤滑油Lを貯留する潤滑油槽11と、
前記潤滑油槽11と接続されており、回転体を支持する軸受4aないし4dに前記潤滑油槽11内に貯留された液状の前記潤滑油Lを供給する供給管12と、
前記供給管12に設けられ、前記軸受4aないし4dに供給する前記液状の潤滑油Lを冷却する冷却器15と、
前記潤滑油槽11と接続されており、前記軸受4aないし4dから回収した前記潤滑油Lを前記潤滑油槽11内に導入するドレイン管13と、
前記潤滑油槽11と接続されており、前記潤滑油槽11内部のガスに含まれる潤滑油ベーパやミスト状潤滑油が導出される大気放出管17eと、
前記冷却器15の下流側に位置する供給管12から分岐されるとともに、前記大気放出管17e内に配置され、液滴の潤滑油Lを噴射する潤滑油噴射穴62が複数形成された送給管61である、潤滑油噴射装置60とを備え、
前記潤滑油噴射装置60により、大気放出管17e内に噴射される液滴の潤滑油Lが冷却された液体であり、冷却された液滴の潤滑油Lによりガスに含まれる潤滑油ベーパが直接冷却されて液滴化がより一層促進される上に、前記冷却された液滴の潤滑油Lはガスに含まれるミスト状潤滑油と衝突して当該ミスト状潤滑油が前記冷却された液滴の潤滑油L内に取り込まれる、
オイルコンソール設備100。

《引用発明2》
オイルコンソール設備100内の排ガスに含まれる潤滑油Lの回収方法であって、
潤滑油Lを貯留する潤滑油槽11から導出した液状の前記潤滑油Lを冷却器15で冷却し、前記潤滑油槽11と接続され、前記潤滑油槽11内部のガスに含まれる潤滑油ベーパやミスト状潤滑油が導出される大気放出管17e内に、液滴の潤滑油Lを噴射する工程と、
前記大気放出管17e内に、前記潤滑油槽11内部のガスに含まれる潤滑油ベーパやミスト状潤滑油を導出する工程と、を含み、
前記大気放出管17e内に噴射される液滴の潤滑油Lが冷却された液体であり、冷却された液滴の潤滑油Lによりガスに含まれる潤滑油ベーパが直接冷却されて液滴化がより一層促進される上に、前記冷却された液滴の潤滑油Lはガスに含まれるミスト状潤滑油と衝突して当該ミスト状潤滑油が前記冷却された液滴の潤滑油L内に取り込まれる、
潤滑油Lの回収方法。

イ.原査定の拒絶の理由に引用した実願昭57-053607号(実開昭57-184729号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献2」という。)には、「潤滑表面を持つデミスター」の考案に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。
(ア)「本考案は、ジグザグプレート型デミスター(demistar)の改良に関するものであつて、残留同伴粒子がデミスタープレートの入口部分で蓄積されるのを防止するデミスターに係る。
フライアツシユ含有煙道ガス又は粒子を伴つた他種のガス流をスクラツピングする場合、スクラツピング塔の出口と接続される衝突型デミスター領域の入口部分では閉塞がしばしば生起する。従つて、前設のスクラツピング工程で除去されなかつた粒子の析出(堆積)を防止するデミスターを設けることが望ましい訳である。
デミスターとしては様々なタイプが知られている。その一つは棚を多層に設けたものであつて、他の一つは様々の形状のプレートを放射状に配置して同伴された水分と液滴とを遠心分離するものである。
さらにまた別のデミスター装置は表面積が大きい波形状又はジグザグ状のプレートを互違いに又は狭い一定間隔で配列し、しかもそのプレートをガス流通路を横断する状態に設置してガス流に狭い曲折した複数個の通路を与えたものである。隣接させて設けた上記の如き屈折プレートはシエプロン(chevron)パツキング又はシエプロンプレートとも呼ばれるが、一般には衡突型分離器として分類される。」(明細書2頁5行ないし3頁9行)
(イ)「第1図には近接して設けられた複数個のジグザグプレート1が示されており、各プレートは3つの平板部を有しているため、3通路を持つジグザグプレートである。各プレートはガス流に対して曲折した狭い通路を提供して同伴ミストがプレートに衝突するよう、互に比較的狭い間隔で配置される。パイプ2は一定間隔で配置されたノズル3に洗浄液を供給し、ノズルはプレート1の下部に洗液を噴霧する。この場合、ノズルからの噴霧がチヤンバーの水平面全体をカバーし、各ジグザグプレートの少なくとも下部屈折プレートを充分に湿らすようパイプ2とノズル3は配置される。」(明細書6頁6ないし18行)

前記(ア)及び(イ)に摘記した事項を踏まえると、引用文献2には、次の事項(以下、「引用文献2事項」という。)が記載されているといえる。

《引用文献2事項》
表面積が大きい波形状又はジグザグ状のプレート1を互違いに又は狭い一定間隔で配列し、フライアツシユ含有煙道ガス又は粒子を伴つた他種のガス流に、狭い曲折した複数個の通路を与えるよう、前記プレートを前記ガス流通路を横断する状態に設置し、各ジグザグプレートの少なくとも下部屈折プレートを充分に湿らすよう、洗液を噴霧するノズル3を前記プレート1の下部に配置すること。

ウ.原査定の拒絶の理由に引用した実願昭46-018014号(実開昭47-013775号)のマイクロフィルム(以下、「引用文献3」という。)には、「ガス洗浄装置」の考案に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。
(ア)「すなわち,本考案は洗浄塔の下部にガス導入管を有し,その上部に洗浄液散布管および気液分離装置を有するガス洗浄設備において,波形凸形の頂部またはその近傍に洗浄液の飛沫化を促進するための突起を有する波形板の複数枚を,上記洗浄塔内に並設してなるガス洗浄装置である。
・・・洗浄塔(3)の下部にはガス導入管(1)を有する洗浄液槽(2)がありまた洗浄塔(3)の上部には洗浄液導入管(4),それに通過する洗浄液散布管(5),気液分離装置(6)および洗浄塔(3)と一体となつた煙道(9)がある。上記洗浄塔(3)の内部には複数枚の波形板(6)が並列され,各波形板(6)にはその多数の波形凸側の頂部またはその近傍に,洗浄塔(3)を下流する洗浄液を上昇ガス流によつて飛沫化するように,洗浄液の飛沫化用突起(7)が設けられている。
洗浄塔(3)の内部に並設される波形板(6)としては第4図に示すように,曲線波形の波形板が好適例として挙げられるが,これのみに限定されるものではなく,洗浄液の直接滴下を妨げ,板にそつて滑らかに流下するような凹凸形状を周期的に有するものであればよく,図示形状以外の例えば三角波形の波形板であつてもよい。」(明細書2頁19行ないし4頁6行)
(イ)「一方,洗浄液は洗浄液導入管(4)を経て洗浄塔上部に位置する洗浄液散布管(6)から,洗浄塔(3)の各部分に対して均一に散布される。洗浄塔内部に並設された複数枚の波形板(6)に沿つて流下する洗浄液は,波形凸側の頂部またはその近傍に設けられた洗浄液飛沫化用突起(7)によつて波形板(6)からはずれて落下しようとし,この際上昇するガスによって飛沫となり,有効な気液の接触をもたらしガス洗浄を効果的にする。」(明細書7頁2ないし10行)

前記(ア)及び(イ)に摘記した事項を踏まえると、引用文献3には、次の事項(以下、「引用文献3事項」という。)が記載されているといえる。

《引用文献3事項》
洗浄塔の下部にガス導入管を有し,その上部に洗浄液散布管および気液分離装置を有するガス洗浄設備において,洗浄液の直接滴下を妨げ,板にそつて滑らかに流下するような凹凸形状を周期的に有し,波形凸側の頂部またはその近傍に洗浄液飛沫化用突起(7)が設けられた複数枚の波形板(6)を,洗浄塔内部に並設し,洗浄液を洗浄塔(3)の各部分に対して均一に散布することで,前記波形板(6)に沿つて流下する洗浄液が,前記洗浄液飛沫化用突起(7)によつて波形板(6)からはずれて落下しようとし,この際上昇するガスによって飛沫となり,有効な気液の接触をもたらしガス洗浄を効果的にすること。

エ.原査定の拒絶の理由に引用した特開2002-273151号公報(以下、「引用文献4」という。)には、「排ガス清浄化装置」の発明に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。
(ア)「【0020】図1?図5は本発明を実施する形態の一例であって、液溜部8に貯留された洗浄液を循環洗浄液ポンプ9の作動により循環させて上方のスプレーノズル10から噴霧し、排ガスと洗浄液とを気液接触させ排ガスを洗浄する洗浄塔11と、該洗浄塔11で排ガスを洗浄した洗浄液に含まれる排ガス除去成分を捕集するカートリッジ式のフィルタ12と、前記洗浄塔11で排ガスを洗浄した洗浄液を冷却する冷却器13と、前記洗浄塔11へ導入される排ガスと該洗浄塔11で洗浄された排ガスとを熱交換させる熱交換器14とを備えてなる排ガス清浄化装置15を構成したものである。
【0021】前記洗浄塔11の上方に配設されるスプレーノズル10は、図2及び図3に示す如く、洗浄液の循環配管16から複数に分岐させた散水管17に取り付けてあり、又、前記洗浄塔11の内部には、図1、図4及び図5に示す如く、多数の排ガス通過孔18が穿設されたシーブトレイ19を上下に複数段配設し、上方のスプレーノズル10から噴霧される洗浄液を最上段のシーブトレイ19から順次下の段のシーブトレイ19へ流下させつつ、排ガスを最下段のシーブトレイ19の排ガス通過孔18から順次上の段のシーブトレイ19の排ガス通過孔18を通過させ上昇させて行くようにしてある。」
(イ)「【0023】前記冷却器13は、冷却水循環ポンプ20の作動によって循環される冷却水を冷却媒体として循環洗浄液を冷却するようにしたものであって、冷却水は水冷却器21において冷却するようにしてあり、該水冷却器21としては、トラック等の自動車の場合、既存のラジエータ等を用いることも可能である。」
(ウ)「【0028】洗浄塔11においては、液溜部8に貯留された洗浄液が循環洗浄液ポンプ9の作動により循環して上方のスプレーノズル10から噴霧されており、洗浄塔11へ導入された排ガスと洗浄液とが気液接触し、排ガスの洗浄が行われ、洗浄塔11で排ガスを洗浄した洗浄液は、排ガス除去成分がフィルタ12で捕集されると共に、冷却器13で冷却され循環される。」

前記(ア)ないし(ウ)に摘記した事項を踏まえると、引用文献4には、次の事項(以下、「引用文献4事項」という。)が記載されているといえる。

《引用文献4事項》
液溜部8に貯留された洗浄液を循環洗浄液ポンプ9の作動により循環させて上方のスプレーノズル10から噴霧し、多数の排ガス通過孔18が穿設されたシーブトレイ19を上下に複数段配設し、前記上方のスプレーノズル10から噴霧される洗浄液を最上段のシーブトレイ19から順次下の段のシーブトレイ19へ流下させつつ、排ガスを最下段のシーブトレイ19の排ガス通過孔18から順次上の段のシーブトレイ19の排ガス通過孔18を通過させ上昇させて行くようにして、排ガスと洗浄液とを気液接触させ排ガスを洗浄する洗浄塔11と、該洗浄塔11で排ガスを洗浄した洗浄液に含まれる排ガス除去成分を捕集するカートリッジ式のフィルタ12と、前記洗浄塔11で排ガスを洗浄した洗浄液を冷却する冷却器13と、前記洗浄塔11へ導入される排ガスと該洗浄塔11で洗浄された排ガスとを熱交換させる熱交換器14とを備えてなる排ガス清浄化装置15を構成すること。

(2)対比、判断
ア.本願発明1について
(ア)対比
引用発明1の「潤滑油L」は、その構成、機能及び技術的意義からみて、本願発明1の「潤滑油」に相当し、同様に、「潤滑油槽11」は「潤滑油槽」に、「軸受4aないし4d」は「軸受」に、「供給管12」は「潤滑油供給ライン」に、「冷却器15」は「第1の冷却器」に、「ドレイン管13」は「潤滑油回収ライン」に、相当する。
また、引用発明1の「潤滑油槽11内部のガスに含まれる潤滑油ベーパやミスト状潤滑油」は、潤滑油槽11内の気相に存在するものであるから、引用発明1の「前記潤滑油槽11と接続されており、前記潤滑油槽11内部のガスに含まれる潤滑油ベーパやミスト状潤滑油が導出される大気放出管17e」は、その構成、機能及び技術的意義からみて、本願発明1の「前記潤滑油槽と接続されており、前記潤滑油槽内の気相に存在し、ミスト化した前記潤滑油である潤滑油ミスト、及びガスを含む第1の排ガスが導出される第1の大気放出管」に相当する。
そして、引用発明1の「大気放出管17e」、「潤滑油噴射穴62」及び「送給管61」は、おのおの、本願発明1の「第1の大気放出管」、「吐出口」及び「第1の冷却潤滑油供給ライン」に対応するものであり、また、本願発明1の「第1の管状部材」は、「第1の大気放出管に連結された状態で設けられ、鉛直方向に延在する」ものであるから、「第1の大気放出管に関する管」といえるものであることを踏まえると、
引用発明1の「前記冷却器15の下流側に位置する供給管12から分岐されるとともに、前記大気放出管17e内に配置され、液滴の潤滑油Lを噴射する潤滑油噴射穴62が複数形成された送給管61」と、
本願発明1の「前記第1の冷却器の下流側に位置する前記潤滑油供給ラインから分岐されるとともに、前記第1の管状部材内に配置された吐出口を含み、前記吐出口を介して、前記第1の潤滑油捕集部の上端に、冷却された前記液状の潤滑油を、噴射・噴霧させることなく供給する第1の冷却潤滑油供給ライン」とは、
「前記第1の冷却器の下流側に位置する前記潤滑油供給ラインから分岐されるとともに、前記第1の大気放出管に関する管内に配置された吐出口を含み、前記吐出口を介して、冷却された前記液状の潤滑油を供給する第1の冷却潤滑油供給ライン」という限りにおいて一致する。
以上を踏まえると、本願発明1と引用発明1との一致点、相違点は、以下のとおりである。

《一致点》
潤滑油を貯留する潤滑油槽と、
前記潤滑油槽と接続されており、回転体を支持する軸受に前記潤滑油槽内に貯留された液状の前記潤滑油を供給する潤滑油供給ラインと、
前記潤滑油供給ラインに設けられ、前記軸受に供給する前記液状の潤滑油を冷却する第1の冷却器と、
前記潤滑油槽と接続されており、前記軸受から回収した前記潤滑油を前記潤滑油槽内に導入する潤滑油回収ラインと、
前記潤滑油槽と接続されており、前記潤滑油槽内の気相に存在し、ミスト化した前記潤滑油である潤滑油ミスト、及びガスを含む第1の排ガスが導出される第1の大気放出管と、
前記第1の冷却器の下流側に位置する前記潤滑油供給ラインから分岐されるとともに、前記第1の大気放出管に関する管内に配置された吐出口を含み、前記吐出口を介して、冷却された前記液状の潤滑油を供給する第1の冷却潤滑油供給ラインとを備える、オイルコンソール設備。

《相違点1》
本願発明1は、「第1の大気放出管に関する管」が「第1の大気放出管に連結された状態で設けられ、鉛直方向に延在する第1の管状部材」であり、「第1の管状部材と、前記第1の管状部材内に形成された空間に配置されており、前記潤滑油ミストが捕集され、前記ガスが通過可能な第1の潤滑油捕集部と、を含む第1の潤滑油ミスト捕集装置を備え」、「前記第1の潤滑油捕集部は、複数の第1の充填部材を含み、前記複数の第1の充填部材は、前記第1の潤滑油捕集部の下端側から目視した際に、前記第1の潤滑油捕集部の上端側が見えないように、隙間を介在させた状態で、前記第1の管状部材内の前記空間に配置されており」、「冷却された前記液状の潤滑油」を、「前記第1の潤滑油捕集部の上端に」、「噴射・噴霧させることなく」供給するものであり、「前記第1の潤滑油捕集部は、前記第1の潤滑油捕集部の上端から下端に向かって前記充填部材の表面を流れるように移動する冷却された前記液状の潤滑油と、前記第1の潤滑油捕集部の下端から上端に移動する前記第1の排ガスと、を気液接触させる」ものであるのに対し、引用発明1は、「第1の大気放出管に関する管」が「大気放出管17e」そのものであり、「潤滑油捕集部」に対応する構成を有しておらず、「冷却器15」で冷却された「潤滑油L」は、「潤滑油噴射装置60」により、「液滴」の状態で噴射され、「大気放出管17e内に噴射される液滴の潤滑油Lが冷却された液体であり、冷却された液滴の潤滑油Lによりガスに含まれる潤滑油ベーパが直接冷却されて液滴化がより一層促進される上に、前記冷却された液滴の潤滑油Lはガスに含まれるミスト状潤滑油と衝突して当該ミスト状潤滑油が前記冷却された液滴の潤滑油L内に取り込まれる」ものである点。

(イ)判断
上記《相違点1》について検討する。
上記(1)イで示した《引用文献2事項》、すなわち、「表面積が大きい波形状又はジグザグ状のプレート1を互違いに又は狭い一定間隔で配列し、フライアツシユ含有煙道ガス又は粒子を伴つた他種のガス流に、狭い曲折した複数個の通路を与えるよう、前記プレートを前記ガス流通路を横断する状態に設置し、各ジグザグプレートの少なくとも下部屈折プレートを充分に湿らすよう、洗液を噴霧するノズル3を前記プレート1の下部に配置すること。」における「表面積が大きい波形状又はジグザグ状のプレート1」は、その構成、機能及び技術的意義からみて、本願発明1の「第1の潤滑油捕集部」に対応するものであり、同様に、「フライアツシユ含有煙道ガス又は粒子を伴つた他種のガス」は「潤滑油ミスト」及び「ガス」に、「洗液」は「液状の潤滑油」に、対応するものである。
また、上記(1)ウで示した《引用文献3事項》、すなわち、「洗浄塔の下部にガス導入管を有し,その上部に洗浄液散布管および気液分離装置を有するガス洗浄設備において,洗浄液の直接滴下を妨げ,板にそつて滑らかに流下するような凹凸形状を周期的に有し,波形凸側の頂部またはその近傍に洗浄液飛沫化用突起(7)が設けられた複数枚の波形板(6)を,洗浄塔内部に並設し,洗浄液を洗浄塔(3)の各部分に対して均一に散布することで,前記波形板(6)に沿つて流下する洗浄液が,前記洗浄液飛沫化用突起(7)によつて波形板(6)からはずれて落下しようとし,この際上昇するガスによって飛沫となり,有効な気液の接触をもたらしガス洗浄を効果的にすること。」における「複数枚の波形板(6)」は、その構成、機能及び技術的意義からみて、本願発明1の「第1の潤滑油捕集部」に対応するものであり、同様に、「ガス」は「潤滑油ミスト」及び「ガス」に、「洗浄液」は「液状の潤滑油」に、対応するものである。
さらに、上記(1)エで示した《引用文献4事項》、すなわち、「液溜部8に貯留された洗浄液を循環洗浄液ポンプ9の作動により循環させて上方のスプレーノズル10から噴霧し、多数の排ガス通過孔18が穿設されたシーブトレイ19を上下に複数段配設し、前記上方のスプレーノズル10から噴霧される洗浄液を最上段のシーブトレイ19から順次下の段のシーブトレイ19へ流下させつつ、排ガスを最下段のシーブトレイ19の排ガス通過孔18から順次上の段のシーブトレイ19の排ガス通過孔18を通過させ上昇させて行くようにして、排ガスと洗浄液とを気液接触させ排ガスを洗浄する洗浄塔11と、該洗浄塔11で排ガスを洗浄した洗浄液に含まれる排ガス除去成分を捕集するカートリッジ式のフィルタ12と、前記洗浄塔11で排ガスを洗浄した洗浄液を冷却する冷却器13と、前記洗浄塔11へ導入される排ガスと該洗浄塔11で洗浄された排ガスとを熱交換させる熱交換器14とを備えてなる排ガス清浄化装置15を構成すること。」における「多数の排ガス通過孔18が穿設されたシーブトレイ19」は、その構成、機能及び技術的意義からみて、本願発明1の「第1の潤滑油捕集部」に対応するものであり、同様に、「排ガス」は「潤滑油ミスト」及び「ガス」に、「洗浄液」は「液状の潤滑油」に、対応するものである。

しかし、上記《引用文献2事項》ないし《引用文献4事項》は、上記《相違点1》に係る本願発明1の発明特定事項、特に、「冷却された前記液状の潤滑油」を、「第1の潤滑油捕集部の上端に」、「噴射・噴霧させることなく」供給し、「前記第1の潤滑油捕集部の上端から下端に向かって前記充填部材の表面を流れるように移動する冷却された前記液状の潤滑油と、前記第1の潤滑油捕集部の下端から上端に移動する前記第1の排ガスと、を気液接触させる」ことを開示するものではないし、これを示唆するものでもない。
また、上記《引用文献2事項》及び《引用文献3事項》から、「気体中の液体微粒子を分離することを目的として、波状に湾曲された複数の板材を設けること」が、本願出願前の周知技術であったことが把握されるとしても、この周知技術に基いて、上記《相違点1》に係る本願発明1の発明特定事項を備えるように、引用発明1の構成を変更することが容易であった、とすることはできない。

そして、本願発明1は、本願明細書の段落【0011】に記載された「しかしながら、特許文献1(当審注:原査定及び本審決における引用文献1であって、冷却された液滴の潤滑油により、ミスト化した潤滑油を冷却して液滴化させることが開示されている、特許第5237433号公報)に記載された技術のように、より小さなミストの粒径で潤滑油を噴霧すると熱交換しやすくすることが可能となるが、潤滑油のミスト自体が上昇して、大気放出されるという可能性があった。一方、噴霧する潤滑油のミストの粒径を大きくすると、噴霧した潤滑油のミストが上昇しにくくなるが、潤滑油のミストとガス(例えば、ベントガス)とが接触する表面積が減少するため、熱交換しにくくなるという可能性があった。」という技術的背景の下、上記《相違点1》に係る発明特定事項を備えることにより、特に、本願明細書の段落【0014】に記載された「・・・第1の潤滑油捕集部の上端側から冷却された潤滑油を噴射・噴霧することなく供給した際、第1の潤滑油捕集部の表面に付着し、下方に移動する冷却された液状の潤滑油と第1の排ガス(気体)とが気液接触する確率を高めることが可能となる。これにより、冷却された液状の潤滑油により、第1の排ガスの多くが冷却されるため、第1の排ガスに含まれる潤滑油ミストの多くを液滴化して、回収することができる。つまり、第1の排ガスに含まれる潤滑油ミストの回収効率を高めることができる。」、【0081】に記載された「・・・第1の潤滑油捕集部63を第1の大気放出管46に設けることで、第1の冷却潤滑油供給ライン49を介して、第1の潤滑油捕集部63の上端に冷却された液状の潤滑油L1を吐出させた際、第1の潤滑油捕集部63の表面(複数の充填部材67の表面67a)に付着し、下方に移動する冷却された液状の潤滑油L1と、第1の潤滑油捕集部63の下端側から供給される第1の排ガス(気体)と、が気液接触する確率を高めることができる。」及び【0082】に記載された「・・・複数の充填部材67は、第1の潤滑油捕集部63の下端側から目視した際(C視した際)に、第1の潤滑油捕集部63の上端側が見えないように、隙間69を介在させた状態で、所定領域61Eに配置するとよい。このような構成とすることで、冷却された液状の潤滑油L_(1)と第1の排ガスとが気液接触する確率をさらに高めることができる。」という格別な作用効果を奏するものである。

(ウ)小括
したがって、本願発明1は、引用発明1、引用文献2事項、引用文献3事項、引用文献2事項や引用文献3事項から把握される周知技術、及び、引用文献4事項に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

イ.本願発明2ないし7について
本願発明2ないし7は、本願発明1の発明特定事項の全てを発明特定事項とし、さらに、技術的な限定を加える事項を発明特定事項として備えるものであるから、上記本願発明1についての判断と同様の理由により、引用発明1、引用文献2事項、引用文献3事項、引用文献2事項や引用文献3事項から把握される周知技術、及び、引用文献4事項に基いて、その出願前に当業者が容易に発明することができたものとはいえない。

ウ.本願発明8について
(ア)対比
引用発明2の「潤滑油L」は、その構成、機能及び技術的意義からみて、本願発明8の「潤滑油」に相当し、同様に、「潤滑油槽11」は「潤滑油槽」に、「大気放出管17e」は「第1の大気放出管」に、相当する。
また、本願発明8の「第1の管状部材」は、「第1の大気放出管に連結された」ものであるから、「大気放出管に関する管」といえるものであることを踏まえると、
引用発明2の「潤滑油Lを貯留する潤滑油槽11から導出した液状の前記潤滑油Lを冷却器15で冷却し、前記潤滑油槽11と接続され、前記潤滑油槽11内部のガスに含まれる潤滑油ベーパやミスト状潤滑油が導出される大気放出管17e内に、液滴の潤滑油Lを噴射する工程」と、
本願発明8の「潤滑油を貯留する潤滑油槽から導出した液状の前記潤滑油を冷却し、前記潤滑油槽の気相と接続された第1の大気放出管に連結された第1の管状部材内の空間の所定領域を充填する第1の潤滑油捕集部の上端側から前記第1の潤滑油捕集部内に冷却した液状の前記潤滑油を、噴射・噴霧させることなく供給する工程」とは、
「潤滑油を貯留する潤滑油槽から導出した液状の前記潤滑油を冷却し、前記潤滑油槽の気相と接続された第1の大気放出管に関する管内に冷却した液状の前記潤滑油を、供給する工程」という限りにおいて一致する。
そして、引用発明2の「潤滑油槽11内部のガスに含まれる潤滑油ベーパやミスト状潤滑油」は、潤滑油槽11内の気相に存在するものであることを踏まえると、
引用発明2の「前記大気放出管17e内に、前記潤滑油槽11内部のガスに含まれる潤滑油ベーパやミスト状潤滑油を導出する工程」と、
本願発明8の「前記潤滑油槽内の気相から前記第1の大気放出管内に、ミスト化した前記潤滑油である潤滑油ミスト、及びガスを含む第1の排ガスを導出し、前記第1の潤滑油捕集部の下端側から前記第1の潤滑油捕集部に前記第1の排ガスを供給する工程」とは、
「前記潤滑油槽内の気相から前記第1の大気放出管内に、ミスト化した前記潤滑油である潤滑油ミスト、及びガスを含む第1の排ガスを導出する工程」という限りにおいて、一致する。
以上を踏まえると、本願発明8と引用発明2との一致点、相違点は、以下のとおりである。

《一致点》
オイルコンソール設備内の排ガスに含まれる潤滑油の回収方法であって、
潤滑油を貯留する潤滑油槽から導出した液状の前記潤滑油を冷却し、前記潤滑油槽の気相と接続された第1の大気放出管内に冷却した液状の前記潤滑油を、供給する工程と、
前記潤滑油槽内の気相から前記第1の大気放出管に関する管内に、ミスト化した前記潤滑油である潤滑油ミスト、及びガスを含む第1の排ガスを導出する工程と、
を含む、排ガスに含まれる潤滑油の回収方法。

《相違点2》
本願発明8は、「第1の大気放出管に関する管」が「第1の大気放出管に連結された第1の管状部材」であり、「冷却した液状の前記潤滑油を、供給する工程」が、「第1の大気放出管に連結された第1の管状部材内の空間の所定領域を充填する第1の潤滑油捕集部の上端側から前記第1の潤滑油捕集部内に冷却した液状の前記潤滑油を、噴射・噴霧させることなく供給する」ことを含み、「第1の排ガスを導出する工程」が、「前記第1の潤滑油捕集部の下端側から前記第1の潤滑油捕集部に前記第1の排ガスを供給する」ことを含み、さらに、「前記第1の潤滑油捕集部は、複数の第1の充填部材を含み、前記複数の第1の充填部材は、前記第1の潤滑油捕集部の下端側から目視した際に、前記第1の潤滑油捕集部の上端側が見えないように、隙間を介在させた状態で、前記第1の管状部材内の前記空間に配置されており、前記第1の潤滑油捕集部において、該第1の潤滑油捕集部の上端から下端に向かって前記充填部材の表面を流れるように移動する冷却した前記液状の潤滑油と前記第1の排ガスとを気液接触させることで、前記第1の排ガスに含まれる前記潤滑油ミストを液滴化させて回収するとともに、前記第1の潤滑油捕集部の上端側に前記第1の排ガスに含まれる前記ガスを通過させる工程と、を含む」ものであるのに対し、引用発明2は、「第1の大気放出管に関する管」が「大気放出管17e」そのものであり、前記「潤滑油捕集部」に対応する構成を有しておらず、「冷却器15」で冷却された「潤滑油L」は、「液滴」の状態で噴射されるものであり、「前記大気放出管17e内に噴射される液滴の潤滑油Lが冷却された液体であり、冷却された液滴の潤滑油Lによりガスに含まれる潤滑油ベーパが直接冷却されて液滴化がより一層促進される上に、前記冷却された液滴の潤滑油Lはガスに含まれるミスト状潤滑油と衝突して当該ミスト状潤滑油が前記冷却された液滴の潤滑油L内に取り込まれる」ものである点。

(イ)判断
上記《相違点2》について検討する。
上記(1)イで示した《引用文献2事項》における「表面積が大きい波形状又はジグザグ状のプレート1」は、その構成、機能及び技術的意義からみて、本願発明8の「第1の潤滑油捕集部」に対応するものであり、同様に、「フライアツシユ含有煙道ガス又は粒子を伴つた他種のガス」は「潤滑油ミスト」及び「ガス」に、「洗液」は「液状の潤滑油」に、対応するものである。
また、上記(1)ウで示した《引用文献3事項》における「複数枚の波形板(6)」は、その構成、機能及び技術的意義からみて、本願発明1の「第1の潤滑油捕集部」に対応するものであり、同様に、「ガス」は「潤滑油ミスト」及び「ガス」に、「洗浄液」は「液状の潤滑油」に、対応するものである。
さらに、上記(1)エで示した《引用文献4事項》における「多数の排ガス通過孔18が穿設されたシーブトレイ19」は、その構成、機能及び技術的意義からみて、本願発明1の「第1の潤滑油捕集部」に対応するものであり、同様に、「排ガス」は「潤滑油ミスト」及び「ガス」に、「洗浄液」は「液状の潤滑油」に、対応するものである。

しかし、上記《引用文献2事項》ないし《引用文献4事項》は、上記《相違点2》に係る本願発明8の発明特定事項、特に、「冷却された前記液状の潤滑油」を、「第1の潤滑油捕集部の上端に」、「噴射・噴霧させることなく」供給し、「第1の潤滑油捕集部の上端から下端に向かって前記充填部材の表面を流れるように移動する冷却した前記液状の潤滑油と前記第1の排ガスとを気液接触させることで、前記第1の排ガスに含まれる前記潤滑油ミストを液滴化させて回収する」ことを開示するものではないし、これを示唆するものでもない。
また、上記《引用文献2事項》及び《引用文献3事項》から、「気体中の液体微粒子を分離することを目的として、波状に湾曲された複数の板材を設けること」が、本願出願前の周知技術であったことが把握されるとしても、この周知技術に基いて、上記《相違点2》に係る本願発明8の発明特定事項を備えるように、引用発明2の構成を変更することが容易であった、とすることはできない。

そして、本願発明8は、本願明細書の段落【0011】に記載された技術的背景の下、上記《相違点2》に係る発明特定事項を備えることにより、特に、本願明細書の段落【0014】、【0081】及び【0082】に記載された上記格別な作用効果を奏するものである。

(ウ)小括
したがって、本願発明8は、引用発明2、引用文献2事項、引用文献3事項、引用文献2事項や引用文献3事項から把握される周知技術、及び、引用文献4事項に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

エ.本願発明9及び10について
本願発明9及び10は、本願発明8の発明特定事項の全てを発明特定事項とし、さらに、技術的な限定を加える事項を発明特定事項として備えるものであるから、上記本願発明8についての判断と同様の理由により、引用発明2、引用文献2事項、引用文献3事項、引用文献2事項や引用文献3事項から把握される周知技術、及び、引用文献4事項に基いて、その出願前に当業者が容易に発明することができたものとはいえない。


第5.むすび
以上のとおり、本願発明1ないし7は、引用発明1、引用文献2事項、引用文献3事項、引用文献2事項や引用文献3事項から把握される周知技術、及び、引用文献4事項に基いて、その出願前に当業者が容易に発明することができたものとはいえない。
また、本願発明8ないし10は、引用発明2、引用文献2事項、引用文献3事項、引用文献2事項や引用文献3事項から把握される周知技術、及び、引用文献4事項に基いて、その出願前に当業者が容易に発明することができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-02-25 
出願番号 特願2018-540516(P2018-540516)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (F01D)
P 1 8・ 537- WY (F01D)
P 1 8・ 536- WY (F01D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 池田 匡利高吉 統久  
特許庁審判長 金澤 俊郎
特許庁審判官 渡邊 豊英
鈴木 充
発明の名称 オイルコンソール設備、オイルコンソール設備付き回転機械、及び排ガスに含まれる潤滑油の回収方法  
代理人 伊藤 英輔  
代理人 橋本 宏之  
代理人 松沼 泰史  
代理人 鎌田 康一郎  
代理人 古都 智  

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