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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F |
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管理番号 | 1371500 |
審判番号 | 不服2019-13697 |
総通号数 | 256 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-04-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-10-15 |
確定日 | 2021-02-25 |
事件の表示 | 特願2015-139142「装置及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 1月26日出願公開、特開2017- 21601〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、平成27年7月10日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成31年 2月12日付け:拒絶理由通知書 平成31年 4月16日 :意見書、手続補正書の提出 令和 元年 7月10日付け:拒絶査定(以下、「原査定」という。) 令和 元年10月15日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和 2年 9月 8日付け:拒絶理由通知書 令和 2年11月13日 :意見書、手続補正書の提出 2 本願発明 本願の請求項に係る発明は、令和2年11月13日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 当該装置を装着する対象となる表示画面を備えた機器の意匠を異ならせるための意匠が施される部材と、 所定の情報を前記機器に対して出力する出力手段と、を備え、 前記所定の情報を使用して前記機器が行なう報知の出力内容と、当該装置が前記機器に装着された状態の前記機器の意匠とを知覚したユーザが、該報知の出力内容及び該意匠に統一感を覚えるように、前記部材と前記所定の情報とを組み合わせて構成した装置であって、 当該装置を装着する対象となる表示画面を備えた機器の意匠を異ならせるための意匠が施される部材は、前記意匠が施される面とは反対側の面を含む前記機器と向き合う筐体の複数の面からなる内周の形状を、前記機器の筐体の複数の面からなる外周の形状と同じ形状で僅かに大きなサイズとし、当該部材を当該機器に取り付けると、当該部材の当該機器に取り付ける面の筐体の内周と当該機器の筐体の外周が嵌合し、当該部材が振動により外れることを防止する構成としたこと を特徴とする装置。」 3 拒絶の理由 令和2年9月8日付けの当審が通知した拒絶理由の理由は、概略、次のとおりのものである。 本願の請求項1-5に係る発明は、本願の出願日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1-2に記載された発明に基いて、その出願日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献1:特開2008-48071号公報 引用文献2:特開2002-365773号公報 4 引用文献の記載及び引用発明 (1) 引用文献1の記載 引用文献1には、図面とともに以下の記載がある(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。)。 ア 「【0010】 図1は、本発明の実施の形態にかかわる携帯端末装置および携帯端末外装カバーの外観構造を説明するための図である。 図1において、携帯端末装置本体1は折り畳み式筐体で構成され、キースイッチが実装されるベース筐体10と、メインLCD(Liquid Crystal Display Device)、およびサブLCDが実装されるディスプレイ筐体20とがヒンジ機構30を介して回転自在に結合されている。ここでは、ディスプレイ筐体20がベース筐体10を覆う、両筐体10、20が閉じた状態を示している。したがって、ベース筐体10、ディスプレイ筐体20が閉じた状態で、サブLCD40がディスプレイ筐体20の表面(メインLCDは裏面)に示されており、また、ディスプレイ筐体20の上部に、スイッチとして動作する電極検出端子50が実装されている。 【0011】 一方、外装カバー70は、表面に、例えば、著名なキャラクタの絵(図中、人マーク)が印刷されており、この外装カバー70を、携帯端末本体1のディスプレイ筐体20内の周縁部に設けられたスライド溝60に嵌め込み、矢印方向にスライドさせることで、携帯端末本体1の外観を覆う構造になっている。また、この外装カバー70を逆方向にスライドさせることで着脱自在に形成されるものとする。 なお、外装カバー70は、外装カバー70の周縁部に形成されるラッチをディスプレイ筐体20の対向する位置に設けられた溝に嵌め合わせることによりワンタッチで着脱自在とする(ラッチおよび溝ともに不図示)、あるいは螺子等により四隅を固定するタイプのものであってもよい。 【0012】 また、外装カバー70の上部裏面には、図中、点線で示されるように、外装カバー70が携帯端末本体1のディスプレイ筐体20に装着されたときに、ディスプレイ筐体20に取り付けられた電極検出端子50と対向する位置に、1以上の端子電極80が実装配置されている(端子電極80は、図中、破線で示す)。更に、外装カバー70には、ほぼ中央に携帯端末本体1のサブLCD40と対向する位置にサブLCD窓80が形成されており、外装カバー70を携帯端末本体1のディスプレイ筐体20に装着したときに、ディスプレイ筐体20の表面に実装されたサブLCD40の表示内容がサブLCD窓90を通して視認できるようになっている。 【0013】 図2は、本発明の実施の形態にかかわる携帯端末装置の内部構成を機能展開して示したブロック図である。ここでは本発明と関係するブロックのみ抽出して示してある。 このため、本発明の実施の形態にかかわる携帯端末装置は、主制御部11と、装着検知部12と、メインLCD/サブLCD13と、スピーカ14とにより構成される。 【0014】 図2において、主制御部11は、外装カバー70の装着を検知し、装着された外装カバー70に対応した表示情報もしくは音声情報を取得して出力する制御手段として動作する。主制御部11は、ハードウェア的にはマイコンおよびメモリを含む周辺デバイスで構成される。詳細は後述する。 装着検知部12は、外装カバー70が装着、あるいは交換されたことを検知する機能を有し、ここでは更に、外装カバー70に取り付けられた端子電極80が示す情報、すなわち、外装カバー70が持つ固有の情報(以下、属性という)を検知するものとする。」 イ 「【0017】 上記した主制御部11は、属性判定部111と、属性テーブル検索部112と、メディア情報取得部113と、メディア情報再生部114と、サイトアクセス制御部115と、GUI提供部116と、モード設定部117と、属性テーブル118と、メディアライブラリ119とにより構成される。 【0018】 属性判定部111は、装着検知部12により起動され、装着検知部12により出力される端子電極80の数に応じて割当てられた“High”“Low”の組み合わせから外装カバー70の属性を判定し、属性テーブル検索部112を起動する。 属性テーブル検索部112は、外装カバー70の属性毎に対応する表示情報もしくは音声情報のアドレスが保持された属性テーブル118を参照し、対応するメディア情報(画像もしくは音声)のアドレスを得てメディア情報取得部113へ出力する。メディア情報取得部113は、取得したアドレスに基づきメディアライブブラリ119を参照し、対応するメディア情報を取得してメディア情報再生部114へ引き渡し、メディア情報再生部114による、メインLCD41/サブLCD40もしくはスピーカ14の再生制御を起動する。」 ウ 「【0029】 上記した本発明の実施の形態によれば、外装カバー70の装着あるいは交換に連動して、外装カバー70に印刷された、例えば、著名なキャラクタに合致した待受け画像を表示し、あるいはそのキャラクタ関連の着信音を鳴動させることができる。このため、別途、アダプタやICカード等のハードウェア資源を使用することなく、スタイリッシュで、かつ、ユーザの嗜好に基づきカスタマイズされた待受け画像および着信音を持つ携帯端末装置を提供することができる。 また、ユーザによっては外装カバー70の装着、あるいは交換により、メニュー等を変更したくない場合も考えられるため、連動動作禁止モードが用意され、このモードを設定することで対応が可能である。 【0030】 なお、上記した本発明の実施の形態によれば、外装カバー70の装着あるいは交換に連動して待受け画像のみ交換する例のみ示したが、他に、メニュー、ピクト(バッテリ残量、アンテナ感度、時計)、壁紙、あるいは、着信音や音楽等の音声メディアであっても良い。このことにより、例えば、待ち受け画像と着信音を外装カバー70に印刷された著名なキャラクタ関連のもので統一することもでき、この場合、トータルコーディネイトが可能である。」 (2) 引用発明 したがって、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「携帯端末装置本体1は折り畳み式筐体で構成され、ベース筐体10と、サブLCDが実装されるディスプレイ筐体20とがヒンジ機構30を介して回転自在に結合されており、サブLCD40がディスプレイ筐体20の表面(メインLCDは裏面)に示されており、ディスプレイ筐体20の上部に、スイッチとして動作する電極検出端子50が実装されており、 外装カバー70は、表面に著名なキャラクタの絵が印刷されており、この外装カバー70を、携帯端末本体1のディスプレイ筐体20内の周縁部に設けられたスライド溝60に嵌め込み、矢印方向にスライドさせることで、携帯端末本体1の外観を覆う構造になっており、この外装カバー70を逆方向にスライドさせることで着脱自在に形成されるものとし、 なお、外装カバー70は、外装カバー70の周縁部に形成されるラッチをディスプレイ筐体20の対向する位置に設けられた溝に嵌め合わせることによりワンタッチで着脱自在とする、あるいは螺子等により四隅を固定するタイプのものであってもよく、 外装カバー70の上部裏面には、外装カバー70が携帯端末本体1のディスプレイ筐体20に装着されたときに、ディスプレイ筐体20に取り付けられた電極検出端子50と対向する位置に、1以上の端子電極80が実装配置され、 外装カバー70を携帯端末本体1のディスプレイ筐体20に装着したときに、ディスプレイ筐体20の表面に実装されたサブLCD40の表示内容がサブLCD窓90を通して視認できるようになっており、 携帯端末装置の内部構成は、主制御部11と、装着検知部12と、メインLCD/サブLCD13と、スピーカ14とにより構成され、 装着検知部12は、外装カバー70が装着、あるいは交換されたことを検知する機能を有し、ここでは更に、外装カバー70に取り付けられた端子電極80が示す情報、すなわち、外装カバー70が持つ固有の情報(以下、属性という)を検知し、 上記した主制御部11は、属性判定部111と、属性テーブル検索部112と、メディア情報取得部113と、メディア情報再生部114と、により構成され、 属性判定部111は、装着検知部12により起動され、装着検知部12により出力される端子電極80の数に応じて割当てられた“High”“Low”の組み合わせから外装カバー70の属性を判定し、属性テーブル検索部112を起動し、属性テーブル検索部112は、対応するメディア情報(画像もしくは音声)のアドレスを得てメディア情報取得部113へ出力し、メディア情報取得部113は、対応するメディア情報を取得してメディア情報再生部114へ引き渡し、メディア情報再生部114によるサブLCD40の再生制御を起動し、 外装カバー70の装着あるいは交換に連動して、外装カバー70に印刷された、例えば、著名なキャラクタに合致した待受け画像を表示し、このことにより、待ち受け画像と着信音を外装カバー70に印刷された著名なキャラクタ関連のもので統一する、携帯端末装置本体1及び外装カバー70。」 (3) 周知文献Aの記載 平成31年2月12日付け拒絶理由通知において、「先行技術文献」の一つとして提示された2件の文献のうち、米国特許出願公開第2013/0244727号明細書(以下、「周知文献A」という。)には、以下の記載がある(下線は当審で追加。訳は当審抄訳。)。 ア 段落[0022] 「[0022] ・・・(中略)・・・ Furthermore, the back cover 110 can be assembled to the body 120 by way of fastening, jointing, and or locking. With reference to FIG. 1B, the back cover 110 comprises the integrated circuit (IC) element 111 and the first connection interface 112.」 (訳: [0022] ・・・(中略)・・・ さらに、背面カバー110は、固定(fastening)、接合(jointing)、及び/又は、連結(locking)を介して、本体120に取り付けられる。図1Bを参照すると、背面カバー110は、集積回路(IC)素子111と、第1の接続インタフェース112とを含む。) イ 段落[0024] 「[0024] ・・・(中略)・・・ When different back cover is assembled to the body 120, the mobile communication device may enable the corresponding function.」 (訳: [0024] ・・・(中略)・・・ 別の背面カバーが本体120に取付けられると、移動通信装置は、対応する機能が有効化される。) ウ 段落[0025] 「[0025] The identification information 113 recorded by the IC element 111 can be transmitted to the body 120 by the first connection interface 112. ・・・(中略)・・・ Alternatively, the identification information 113 may be transmitted by the transmission protocols such as General Purpose I/O (GPIO), Universal Asynchronous Receiver/Transmitter (UART), Secure Digital Input/output (SDIO), or Universal Serial Bus (USB).」 (訳: [0025] IC素子111に記録された識別情報113は、第1の接続インターフェース112によって、本体120に送信することができる。 ・・・(中略)・・・ あるいは、識別情報113は、例えば、汎用I/O(GPIO)、汎用非同期送受信回路(UART)、セキュアデジタル入/出力(SDIO)、または、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)などの伝送プロトコルによって、送信することができる。) エ 段落[0026] 「[0026] The body 120 at least comprises the processing unit 121, the storage unit 122, the display unit 123, and the second connection interface 124. ・・・(後略)・・・ 」 (訳: [0026] 本体120は、少なくとも、処理部121、記憶部122、表示部123、及び、第2の接続インタフェース124を含む。) オ 段落[0030] 「[0030] The position of the second connection interface 124 is set corresponding to the position of the first connection interface 112. When the back cover 110 is assembled to the body 120, the first connection interface 112 can contact with the second connection interface 124. The type of the second connection interface is the same as that of the first connection interface. For example, if the first connection interface 112 is GIPO, the second connection interface 124 is also GIPO. With reference to FIG. 1D , the processing unit 121 can obtain the identification information 113 from the IC element by the first connection interface 112 and the second connection interface 124.」 (訳: [0030] 第2の接続インタフェース124の位置は、第1の接続インタフェース112の位置に対応して設けられる。背面カバー110が、本体120に取り付けられると、第1の接続インタフェース112は、第2の接続インタフェース124と接触することになる。第2の接続インタフェースの形式は、第1の接続インタフェースと同じである。例えば、第1の接続インタフェース112がGPIOである場合、第2の接続インタフェース124もGIPOである。図1Dを参照すると、処理部121は、第1の接続インタフェース112と第2の接続インタフェース124によって、IC素子から識別情報113を取得することができる。) カ 図1D 「 」 (4) 周知文献Bの記載 原査定において、周知技術を示す「引用文献5」として引用された、特開2009-279920号公報(以下、「周知文献B」という。)には、以下の記載がある(下線は当審で追加。)。 ア 段落【0033】-【0035】 「【0033】 図5に示されているように、本発明に係るコンピュータ用の前面ケース20は、2重の樹脂層から形成されている。すなわち、前面ケース20は、外層21と内層22との2重層から形成されている。外層21は、透明な樹脂で成形されており、内層22は、有色の樹脂で成形されている。外層21と内層22とは、その形状が実質的に同一である。場合によっては、外層21と内層22とが2重の樹脂層により形成されうる限り、互いに異なる形状に成形されてもよい。外層21と内層22との間には、各種のインサート物26、27、28、29が挿入されている。 ・・・(中略)・・・ 【0035】 図6及び図7は、本発明に係るノートパソコン用の上部面ケース30及び上部面ケース30が組み立てられたノートパソコン500を示している。本発明に係るノートパソコン500用の上部面ケース30も、前述したように、デスクトップコンピュータ用の前面ケース20と同じ構成となっている。つまり、ノートパソコン500用の上部面ケース30もまた、外層31と、内層32と、その間に挟まれている各種のインサート物33、34とを含んでいる。これらの構成は、前述したデスクトップコンピュータ用の前面ケース20の場合と同一であるため、詳細な説明は省略する。」 イ 図5 「 」 ウ 図7 「 」 5 対比 本願発明と引用発明とを対比すると以下のことがいえる。 (1) 引用発明の「外装カバー70」は、本願発明の「当該装置」に対応する。 よって、引用発明の「携帯端末本体1」は、「外装カバー70」が「着脱自在に形成されるもの」であって、「メインLCD」と「サブLCD40」とを備えるから、本願発明の「当該装置を装着する対象となる表示画面を備えた機器」に相当する。 したがって、引用発明の「外装カバー70」の「著名なキャラクタの絵が印刷され」た部分は、携帯端末本体1の外観を著名なキャラクタとするためのものであることから、本願発明の「当該装置を装着する対象となる機器の意匠を異ならせるための意匠が施される部材」に相当する。 (2) 引用発明における携帯端末本体1(本願発明の「前記機器」に相当)は、属性判定部111において、「装着検知部12により出力される端子電極80の数に応じて割当てられた“High”“Low”の組み合わせから外装カバー70の属性を判定」するから、引用発明の「外装カバー70に取り付けられた端子電極80」は、本願発明の「所定の情報を前記機器に対して出力する出力手段」に相当する。 (3) 引用発明の「外装カバー70の属性」に「対応するメディア情報」は、本願発明の「前記所定の情報を使用して前記機器が行なう報知の出力内容」に相当する。 また、引用発明の「著名なキャラクタの絵が印刷され」た「外装カバー70」は、「携帯端末本体1の外観を覆う構造」であることから、引用発明の「外装カバー70」に印刷された「著名なキャラクタの絵」は、本願発明の「装置が前記機器に装着された状態の前記機器の意匠」に相当する。 そして、引用発明において、「例えば、著名なキャラクタに合致した待受け画像」である「対応するメディア情報」と、「外装カバー70に印刷された著名なキャラクタ」とを、「著名なキャラクタ関連のもので統一する」ことは、本願発明の「ユーザが、該報知の出力内容及び該意匠に統一感を覚えるように、前記部材と前記所定の情報とを組み合わせて構成した」ことに相当する。 よって、引用発明の「外装カバー70の属性」に「対応するメディア情報」と、「著名なキャラクタの絵が印刷され」た「外装カバー70」とを組み合わせて構成した「外装カバー70」は、本願発明の「前記所定の情報を使用して前記機器が行なう報知の出力内容と、当該装置が前記機器に装着された状態の前記機器の意匠とを知覚したユーザが、該報知の出力内容及び該意匠に統一感を覚えるように、前記部材と前記所定の情報とを組み合わせて構成した装置」に相当する。 よって、本願発明と引用発明との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。 [一致点] 「当該装置を装着する対象となる表示画面を備えた機器の意匠を異ならせるための意匠が施される部材と、 所定の情報を前記機器に対して出力する出力手段と、を備え、 前記所定の情報を使用して前記機器が行なう報知の出力内容と、当該装置が前記機器に装着された状態の前記機器の意匠とを知覚したユーザが、該報知の出力内容及び該意匠に統一感を覚えるように、前記部材と前記所定の情報とを組み合わせて構成した装置。」 [相違点] 「当該装置」を「前記機器」に「取り付け」する際、 本願発明では、「当該装置を装着する対象となる表示画面を備えた機器の意匠を異ならせるための意匠が施される部材は、前記意匠が施される面とは反対側の面を含む前記機器と向き合う筐体の複数の面からなる内周の形状を、前記機器の筐体の複数の面からなる外周の形状と同じ形状で僅かに大きなサイズとし、当該部材を当該機器に取り付けると、当該部材の当該機器に取り付ける面の筐体の内周と当該機器の筐体の外周が嵌合し、当該部材が振動により外れることを防止する構成とした」のに対し、 引用発明は、「この外装カバー70を、携帯端末本体1のディスプレイ筐体20内の周縁部に設けられたスライド溝60に嵌め込み、矢印方向にスライドさせることで、携帯端末本体1の外観を覆う構造になっており、この外装カバー70を逆方向にスライドさせることで着脱自在に形成されるものとし、なお、外装カバー70は、外装カバー70の周縁部に形成されるラッチをディスプレイ筐体20の対向する位置に設けられた溝に嵌め合わせることによりワンタッチで着脱自在とする、あるいは螺子等により四隅を固定するタイプのものであってもよ」いものであって、両者を「嵌め合わせ」、すなわち、「篏合」するものであるものの、本願発明の上記構成を備えていない点。 6 判断 上記した[相違点]について検討する。 一般に、2つの部材を嵌合する際、一方の部材の内周と、他方の部材の外周とを、ほぼ同じ形状、サイズとすることによって、両者を篏合するように構成することは、必要ならば、上記周知文献A、B(上記4(3)、(4)を参照。)に記載され、図示されるように、周知技術である。 また、引用文献1のような「携帯端末」に篏合部を設ける場合、「携帯」する端末であるから、その嵌合部が、携帯しているとき振動などで外れないように、形状やサイズを定めるべきことは、当業者にとって自明のことであるといえる。 よって、引用発明において、嵌合部の構成として、一方の部材の内周と、他方の部材の外周とを、同様の形状、及び、サイズとすることで、両者を篏合するように構成する周知技術を採用して、この際、振動などで外れないように、嵌合部の形状やサイズを定めることによって、「当該装置を装着する対象となる表示画面を備えた機器の意匠を異ならせるための意匠が施される部材は、前記意匠が施される面とは反対側の面を含む前記機器と向き合う筐体の複数の面からなる内周の形状を、前記機器の筐体の複数の面からなる外周の形状と同じ形状で僅かに大きなサイズとし、当該部材を当該機器に取り付けると、当該部材の当該機器に取り付ける面の筐体の内周と当該機器の筐体の外周が嵌合し、当該部材が振動により外れることを防止する構成とした」、上記[相違点]に係る構成とする点に格別の困難性は認められない。 さらに、本願発明の効果も、引用発明及び周知・慣用技術に基づいて、当業者が予測し得る範囲内のものである。 7 むすび したがって、本願発明は、引用発明、及び、周知・慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2020-12-08 |
結審通知日 | 2020-12-15 |
審決日 | 2021-01-05 |
出願番号 | 特願2015-139142(P2015-139142) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 征矢 崇 |
特許庁審判長 |
角田 慎治 |
特許庁審判官 |
稲葉 和生 野崎 大進 |
発明の名称 | 装置及びプログラム |