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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1371515
審判番号 不服2020-4069  
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-03-26 
確定日 2021-02-25 
事件の表示 特願2017-197334号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 5月 9日出願公開、特開2019- 69061号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年10月11日の出願であって、平成31年4月22日付けの拒絶理由通知に対して、令和1年7月3日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、同年10月28日付けの最後の拒絶理由通知に対して、同年12月17日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたところ、令和2年2月25日付けで令和1年12月17日付けの手続補正が却下されるとともに拒絶査定(以下、「原査定」という。)がなされ、これに対して、令和2年3月26日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 令和2年3月26日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年3月26日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を補正するものであって、特許請求の範囲の請求項1について、本件補正前の令和1年7月3日付けの手続補正において、

「【請求項1】
遊技に供される遊技機において、
遊技機の外部に対して信号を出力可能な外部出力手段と、
遊技機において発生し得る、第1エラー及び第2エラーを含む複数種類のエラーを検出するためのエラー検出手段と、
前記第1エラー又は前記第2エラーが検出されたとき、エラーの報知を行うことが可能な報知手段と、
遊技機に対する電源が復旧したときに所定の復旧表示を行う復旧表示手段と、を備え、
前記第1エラーが検出された際には所定のエラー検出信号が前記外部出力手段から出力される一方、前記第2エラーの検出は前記外部出力手段の出力に影響を与えず、
前記報知手段は、前記第2エラーの報知中に前記第1エラーが検出された場合には前記第1エラーの報知を行うことを可能とし、前記第1エラーの報知中に前記第2エラーが検出された場合には前記第2エラーの報知の一部又は全部を非実行とし、
遊技機に対する電源が復旧したときに前記第1エラーを検出した場合、前記復旧表示と共に前記第1エラーの報知を行う、又は、実行中の前記復旧表示を終了させて前記第1エラーの報知を行う
ことを特徴とする遊技機。」

とあったものを、

「【請求項1】
A 遊技に供される遊技機において、
B 遊技機の外部に対して信号を出力可能な外部出力手段と、
C 遊技機において発生し得る、第1エラー及び第2エラーを含む複数種類のエラーを検出するためのエラー検出手段と、
D 前記第1エラー又は前記第2エラーが検出されたとき、エラーの報知を行うことが可能な報知手段と、
E 遊技機に対する電源が復旧したときに所定の復旧表示を行う復旧表示手段と、を備え、
F 前記第1エラーが検出された際には所定のエラー検出信号が前記外部出力手段から出力される一方、前記第2エラーの検出は前記外部出力手段の出力に影響を与えず、
G 前記報知手段は、前記第2エラーの報知中に前記第1エラーが検出された場合には前記第1エラーの報知を行うことを可能とし、前記第1エラーの報知中に前記第2エラーが検出された場合には前記第2エラーの報知の一部又は全部を非実行とし、
H 遊技機に対する電源が復旧したときに前記第1エラーが検出された場合、前記復旧表示と共に前記第1エラーの報知を行う、又は、実行中の前記復旧表示を終了させて前記第1エラーの報知を行い、
I 前記外部出力手段は、遊技者に有利な特別遊技を行うか否かの特別遊技判定にて前記特別遊技を行うと判定される確率と依存関係にある設定値情報を表示及び設定可能な設定変更モードにおいて、所定の信号を遊技機の外部に対して出力し、前記所定の信号と前記第1エラーが検出された際に出力される前記エラー検出信号とを共通の出力端子から出力する
J ことを特徴とする遊技機。」

と補正することを含むものである(下線部は補正箇所を示す。記号A?Jは、分説するため当審で付した。)。

2 補正の適否
(1)補正の目的
本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「外部出力手段」について、「遊技者に有利な特別遊技を行うか否かの特別遊技判定にて前記特別遊技を行うと判定される確率と依存関係にある設定値情報を表示及び設定可能な設定変更モードにおいて、所定の信号を遊技機の外部に対して出力し、前記所定の信号と前記第1エラーが検出された際に出力される前記エラー検出信号とを共通の出力端子から出力する」との限定を付加するとともに、補正前の「前記第1エラーを検出した場合」について、補正後の「前記第1エラーが検出された場合」という意味内容の変わらない別表現へと言い改めようとするものである。
そして、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。

(2)新規事項
本件補正は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面における【0730】等の記載に基づくものであり、新たな技術事項を導入するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

3 独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するかについて、以下に検討する。

(1)引用文献に記載された事項
ア 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に公開された特開2014-68729号公報(以下、「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下、同様。)。

(ア)「【0015】
[第1実施形態]
以下、本発明をパチンコ遊技機に具体化した第1実施形態について図1?図11を参照して説明する。
【0016】
図1には、遊技に関する制御を行うパチンコ遊技機10と、該パチンコ遊技機10が遊技場の遊技機設置設備(遊技島)に設置された際に並設される遊技媒体貸出用ユニットとしてのカードユニット装置11とが略示されている。・・・」

(イ)「【0062】
また、電源基板55には、オン設定、オフ設定に切替操作が可能なRWMクリアスイッチRCSが配設されている。電源基板55からは、RWMクリアスイッチRCSの操作に応じて、RWMクリア信号が払出制御基板56に出力され、払出制御基板56及び主制御中継端子板58を介して、主制御基板54にも出力される。また、電源基板55からは、RWMクリア信号以外にも、電源断信号、リセット信号等が払出制御基板56に出力され、払出制御基板56及び主制御中継端子板58を介して、主制御基板54にも出力される。
・・・・・
【0072】
また、払出制御基板56には、外部端子板53が接続されているとともに、該外部端子板53にはホールコンピュータHCが接続されるようになっている。払出制御基板56は、外部端子板53を介してホールコンピュータHCに対して、パチンコ遊技機10の動作状態等の遊技情報を出力可能である。」

(ウ)「【0090】
本実施形態において主制御基板54の主制御用CPU54aは、図6に示す主なエラー状態を検出するように構成されている。具体的に言えば、主制御用CPU54aは、RWMクリアと、磁気エラーと、誘導磁界検知エラーと、振動検知エラーと、第1大入賞口不正入賞エラーと、第2大入賞口不正入賞エラーと、普通電動役物不正入賞エラーと、役物内球詰まりエラーと、扉開放と、満杯エラーと、賞球エラーとを検出する。RWMクリアは、バックアップデータが初期化されることを示す状態であり、電源基板55から出力されるRWMクリア信号がオンとなった状態で、リセット信号がオンとなったときに検出される。・・・
【0091】
また、図5に示すように、主制御基板54は、主制御中継端子板58を介して払出制御基板56に対して、情報1信号?情報7信号と、扉開放情報信号と、セキュリティ情報信号(出力情報、エラー関連情報)と、賞球制御信号(払出制御コマンド)とを出力する。これらの各信号は、別々の信号線を用いて出力される。情報1信号?情報7信号は、ホールコンピュータHCに対し、パチンコ遊技機10の遊技に関する情報を出力する信号である。例えば、これらの情報としては、大当り遊技や小当り遊技などの遊技状態を示す情報、第1始動入賞口37及び第2始動入賞口38に遊技球が入球したことを示す情報、図柄変動ゲーム及び普通図柄変動ゲームが終了したことを示す情報などである。扉開放情報信号は、前枠16が開放されたこと、すなわち扉開放検知スイッチ85が扉の開放を検出したことを出力する信号である。セキュリティ情報信号は、複数種類のエラー状態のうち、特定のエラー状態の少なくとも何れかが検知されたことを出力する信号である。なお、本実施形態において、この特定のエラー状態としては、図6に示すように、RWMクリア、磁気エラー、誘導磁界検知エラー、振動検知エラー、第1大入賞口不正入賞エラー、第2大入賞口不正入賞エラー及び普通電動役物不正入賞エラーが該当する。その一方で、役物内球詰まりエラー、扉開放、満杯エラー及び賞球エラーは、特定のエラー状態に該当せずに、非特定のエラー状態に該当する。この特定のエラー状態として規定されたエラー状態は、主に不正防止に関わるエラー状態であり、非特定のエラー状態として規定されたエラー状態は、必ずしも不正防止に関わるというエラー状態ではない。・・・」

(エ)「【0098】
その一方で、統括制御基板70の統括制御用CPU70aは、エラー指定コマンドを入力すると、該コマンドに対応するエラー報知を実行させる。具体的に、統括制御用CPU70aは、表示制御基板72に演出表示装置33において画像によるエラー報知を実行させ、音声・ランプ制御基板71に対してエラー報知の実行を指示し、スピーカ20からのエラー音によるエラー報知を実行させる。また、統括制御基板70のCPUは、エラー解除指定コマンドを入力すると、該コマンドに対応するエラー報知を終了させる。なお、本実施形態においては、図6に示すように、RWMクリア、磁気エラー、誘導磁界検知エラーについては、画像、音声及びランプを用いてエラー報知が行われる。また、振動検知エラー、第1大入賞口不正入賞エラー、第2大入賞口不正入賞エラー、役物内球詰まりエラー、扉開放については、音声及びランプを用いてエラー報知が行われる。また、普通電動役物不正入賞エラーについては、ランプを用いてエラー報知が行われる。また、満杯エラーについては、画像及び音声を用いてエラー報知が行われる。また、賞球エラーについては、ランプを用いてエラー報知が行われる。
・・・・・
【0101】
また、統括制御用ROM70bには、エラー状態毎に優先順位が記憶されている。具体的には、優先順位の高い順に、RWMクリア、磁気エラー、誘導磁界検知エラー、振動検知エラー、第1大入賞口不正入賞エラー、第2大入賞口不正入賞エラー、普通電動役物不正入賞エラー、役物内球詰まりエラー、扉開放、満杯エラー、賞球エラーとして優先順位が規定されている。特に、振動検知エラーのほうが、役物内球詰まりエラーより優先順位が高くなるように優先順位が規定されている。なお、本実施形態において、このような統括制御用ROM70bは、複数種類のエラー毎に優先順位が記憶された優先順位記憶手段として機能する。
【0102】
そして、統括制御用CPU70aは、複数種類のエラー状態が検知されている場合には、検知されている複数のエラーに関するエラー報知を重複させて実行させることはなく、複数のエラーの優先順位を統括制御用ROM70bから読み出し、優先順位の最も高い1種類のエラー状態に関するエラー報知を実行させるように制御する。また、統括制御用CPU70aは、複数種類のエラー状態が検知されている場合において、優先順位が最も高いエラー状態を指定するエラー解除指定コマンドを入力したときには、エラー解除指定コマンドにより指定されたエラー状態を除いて、優先順位が最も高いエラー状態に関するエラー報知を実行させるように制御する。
【0103】
次に、払出制御基板56は、主制御中継端子板58を介して主制御基板54から出力された各種信号を入力すると、情報1信号?情報7信号と、扉開放情報信号と、セキュリティ情報信号と、賞球予定情報信号(払出予定信号)と、賞球情報信号とを外部端子板53を介してホールコンピュータHCに出力する。これらの各信号は、別々の信号線を用いて出力される。・・・」

(オ)「【0106】
まず、メイン処理について以下に説明する。 本実施形態のパチンコ遊技機では、電源の投入に伴って、主制御用CPU54aは、リセット信号が入力されると、タイマ割込み処理の割込みを禁止するとともに、CPU内蔵のRWMのアクセスを許可し、さらにCPU周辺デバイスとウォッチドッグタイマの初期設定を行い、電源投入時に必要な各種設定を行う。次に、主制御用CPU54aは、RWMクリアスイッチRCSの設定に応じて初期化を行うか否かと、正常にバックアップが行われているか否かと、を判定する。主制御用CPU54aは、初期化を行う、又は、正常にバックアップが行われていないと判定した場合、主制御用RWM54cに記憶されているバックアップデータを消去し、初期値に基づき初期化時の処理を行う。その一方で、主制御用CPU54aは、初期化を行わず、正常にバックアップが行われていると判定した場合、バックアップデータの設定値に基づき復電時の処理を行う。」

(カ)「【図6】



上記(ア)?(カ)の記載事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる(記号a?jは、本願補正発明の構成A?Jに対応させて付した。ただし、引用発明は、本願補正発明の構成H及びIに対応する構成を有しないので、記号h及びiは使用していない。また、丸括弧内に引用文献1における引用箇所を示した。)。

「a 遊技に関する制御を行うパチンコ遊技機10において(【0016】)、

b 外部端子板53を介してホールコンピュータHCに対して、パチンコ遊技機10の動作状態等の遊技情報を出力可能である払出制御基板56と(【0072】)、

c RWMクリアと、磁気エラーと、誘導磁界検知エラーと、振動検知エラーと、第1大入賞口不正入賞エラーと、第2大入賞口不正入賞エラーと、普通電動役物不正入賞エラーと、役物内球詰まりエラーと、扉開放と、満杯エラーと、賞球エラーとを検出する主制御用CPU54aと(【0090】)、

d 表示制御基板72に演出表示装置33において画像によるエラー報知を実行させ、音声・ランプ制御基板71に対してエラー報知の実行を指示し、スピーカ20からのエラー音によるエラー報知を実行させ、RWMクリア、磁気エラー、誘導磁界検知エラーについては、画像、音声及びランプを用いてエラー報知を行わせ、満杯エラーについては、画像及び音声を用いてエラー報知を行わせる統括制御用CPU70aと、を備え(【0098】)、

e 電源の投入に伴って、主制御用CPU54aは、リセット信号が入力されると、タイマ割込み処理の割込みを禁止するとともに、CPU内蔵のRWMのアクセスを許可し、RWMクリアスイッチRCSの設定に応じて初期化を行うか否かと、正常にバックアップが行われているか否かと、を判定し(【0106】)、
電源基板55からは、RWMクリアスイッチRCSの操作に応じて、RWMクリア信号が払出制御基板56に出力され、払出制御基板56及び主制御中継端子板58を介して、主制御基板54にも出力され(【0062】)、
RWMクリアは、バックアップデータが初期化されることを示す状態であり、電源基板55から出力されるRWMクリア信号がオンとなった状態で、リセット信号がオンとなったときに検出され(【0090】)、

f 払出制御基板56は、主制御中継端子板58を介して主制御基板54から出力された各種信号を入力すると、情報1信号?情報7信号と、扉開放情報信号と、セキュリティ情報信号と、賞球予定情報信号と、賞球情報信号とを外部端子板53を介してホールコンピュータHCに出力し(【0103】)、
セキュリティ情報信号は、複数種類のエラー状態のうち、特定のエラー状態の少なくとも何れかが検知されたことを出力する信号であり、この特定のエラー状態としては、RWMクリア、磁気エラー、誘導磁界検知エラー、振動検知エラー、第1大入賞口不正入賞エラー、第2大入賞口不正入賞エラー及び普通電動役物不正入賞エラーが該当し、その一方で、役物内球詰まりエラー、扉開放、満杯エラー及び賞球エラーは、特定のエラー状態に該当せずに、非特定のエラー状態に該当し(【0091】)、

g 統括制御用ROM70bには、エラー状態毎に優先順位が記憶されており、具体的には、優先順位の高い順に、RWMクリア、磁気エラー、誘導磁界検知エラー、振動検知エラー、第1大入賞口不正入賞エラー、第2大入賞口不正入賞エラー、普通電動役物不正入賞エラー、役物内球詰まりエラー、扉開放、満杯エラー、賞球エラーとして優先順位が規定されており(【0101】)、
統括制御用CPU70aは、複数種類のエラー状態が検知されている場合には、検知されている複数のエラーに関するエラー報知を重複させて実行させることはなく、複数のエラーの優先順位を統括制御用ROM70bから読み出し、優先順位の最も高い1種類のエラー状態に関するエラー報知を実行させるように制御する(【0102】)、

j パチンコ遊技機10(【0016】)。」

イ 引用文献2に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に公開された特開2017-93698号公報(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)「【0017】
(パチンコ機10について)
実施例に係るパチンコ機10は、図1に示すように、前後に開口する矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に縦置き姿勢で設置される固定枠としての外枠11の開口前面側に、遊技盤20を着脱可能に保持する本体枠としての中枠12が開閉および着脱可能に組み付けられて、該遊技盤20の裏側に、複数種類の図柄を変動表示可能な表示手段としての表示装置(演出手段)17が着脱可能に配設されている。・・・」

(イ)「【0108】
(エラー処理について)
次に、前記演出制御基板65(演出制御CPU65a)が、前記メイン制御基板60(メイン制御CPU60a)から出力されたエラーコマンドの入力に基づいて実行するエラー処理について説明する。演出制御基板65(演出制御CPU65a)は、前記各エラー毎に異なるエラーコマンドの内容に基づいて、前記表示装置17、ランプ装置18、スピーカ19等のエラー報知手段によりエラーが発生したことを報知する処理を行う。すなわち、演出制御CPU65aは、エラーを処理するエラー処理手段としての機能を備えている。ここで、エラー報知の実行に際しては、発生したエラーの種類に応じて報知優先順位が設定されている。これにより、例えばエラー報知を実行中のエラーよりも報知優先順位が上位のエラーが後から発生した場合には、当該エラー報知を中断して報知優先順位が上位のエラーのエラー報知態様に切り替わるようになっている。一方、エラー報知を実行中のエラーよりも報知優先順位が下位のエラーが後から発生した場合には、当該エラー報知を中断せずに継続して、後に発生した報知優先順位が下位のエラーのエラー報知を実行しないようになっている。そして、報知優先順位が異なる複数のエラーが重複して発生した場合は、報知優先順位が上位のエラーが発生したことを示すエラー報知が優先して実行されるようになっている。」

上記(ア)?(イ)の記載事項を総合すると、引用文献2には、次の技術的事項(以下、「引用文献2に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる(丸括弧内に引用文献2における引用箇所を示した。)。

「エラー報知を実行中のエラーよりも報知優先順位が上位のエラーが後から発生した場合には、当該エラー報知を中断して報知優先順位が上位のエラーのエラー報知態様に切り替わるようになっており、エラー報知を実行中のエラーよりも報知優先順位が下位のエラーが後から発生した場合には、当該エラー報知を中断せずに継続して、後に発生した報知優先順位が下位のエラーのエラー報知を実行しないようになっている(【0108】)、パチンコ機10(【0017】)。」

ウ 引用文献3に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に公開された特開2012-50481号公報(以下、「引用文献3」という。)には、以下の事項が記載されている。

(ア)「【0020】
本発明は、遊技に関する制御を実行する制御手段と、複数種類のエラーを夫々検出可能なエラー検出手段とを備えたパチンコ遊技機に適用されるものである。以下、発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0021】
図1に示すように、パチンコ遊技機1には、遊技ホールの島構造体に取付けられる外枠に開閉枠2が開閉自在に装着され、開閉枠2に開閉扉3が開閉自在に装着されている。・・・」

(イ)「【0070】
電源投入・エラー報知情報記憶手段82はROM82からなり、図11に示すように、この電源投入・エラー報知情報記憶手段82には、電源投入・エラー情報を報知するために、複数種類(例えば、2種類)の電源投入に関する電源投入報知情報、複数種類(例えば、15種類)のエラーに関するエラー報知情報が記憶されている。
【0071】
電源投入・エラー報知制御手段83は、遊技制御手段21Aから情報を受けて、電源投入処理手段50で検出された電源投入の電源投入情報や電源投入履歴、前記エラー検出で手段検出されたエラーのエラー情報やエラー履歴を画像表示器17に表示(報知)させる(異常事項表示制御手段である)。
【0072】
電源投入情報やエラー情報については、例えば、電源投入(RAMクリア無)が検出された場合、報知態様Aとして、図12(a)に示すように、「復旧」が画像表示器17に表示され、枠ランプ41や盤ランプ42が点滅される。例えば、電源投入(RAMクリア有)が検出された場合、報知態様Bとして、図12(b)に示すように、「RAMクリア」が画像表示器17に表示され、枠ランプ41や盤ランプ42が高速点滅される。
【0073】
例えば、皿満タンエラーが検出された場合、報知態様Cとして、図13(c)に示すように、エラー情報「球を抜いてください」が画像表示器17に表示され、同旨のエラー情報が音声でスピーカ40から出力される。例えば、扉開放エラーが検出された場合、報知態様Dとして、図13(d)に示すように、エラー情報「扉開放エラー」が画像表示器17に表示され、同旨のエラー情報が音声でスピーカ40から出力され、枠ランプ41や盤ランプ42が点滅される。
【0074】
例えば、乱数エラーが検出された場合、報知態様E(第1報知)として、図14(e)に示すように、「係員をお呼びください」が画像表示器17に表示され、枠ランプ41や盤ランプ42が点滅される。例えば、大入賞口異常入賞エラーが検出された場合、報知態様F(第1報知)として、図14(f)に示すように、「エラー発生」が画像表示器17に表示され、エラー発生音がスピーカ40から出力され、枠ランプ41や盤ランプ42が高速点滅される。尚、例えば、複数の電源投入・エラーが同時に検出された場合には、報知態様E又はF(第1報知)にて報知される。」

(ウ)「【0114】
ところで、電源投入処理中、又は、電源投入情報の報知中に、乱数エラー等のエラーが発生する(検出される)場合、即ち、複数の電源投入・エラーが検出される場合がある。この場合、先ず、画像表示器17、枠ランプ41や盤ランプ42で電源投入・エラー情報が報知される。このとき、画像表示器17に図14(e)に示す画面が表示され、枠ランプ41や盤ランプ42が点滅され、或いは、画像表示器17に図14(f)に示す画面が表示され、枠ランプ41や盤ランプ42が高速点滅される。」

(エ)「【図12】



(オ)「【図14】



上記(ア)?(オ)の記載事項を総合すると、引用文献3には、次の技術的事項(以下、「引用文献3に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる(記号e、h、jは、本願補正発明の構成E、H、Jに対応させて付した。また、丸括弧内に引用文献3における引用箇所を示した。)。

「e 電源投入(RAMクリア無)が検出された場合、報知態様Aとして、「復旧」を画像表示器17に表示させ、枠ランプ41や盤ランプ42を点滅させ、電源投入(RAMクリア有)が検出された場合、報知態様Bとして、「RAMクリア」を画像表示器17に表示させ、枠ランプ41や盤ランプ42を高速点滅させる電源投入・エラー報知制御手段83を備え(【0071】、【0072】)、
h 電源投入情報の報知中に、乱数エラー等のエラーが発生する(検出される)場合、報知態様Eとして、「係員をお呼びください」が画像表示器17に表示され、枠ランプ41や盤ランプ42が点滅され、或いは、報知態様Fとして、「エラー発生」が画像表示器17に表示され、枠ランプ41や盤ランプ42が高速点滅される(【0114】、【0074】)、
j パチンコ遊技機1(【0021】)。」

(2)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する(対比にあたっては、本願補正発明の構成A?Jについて、それぞれ(a)?(j)の見出しを付けて行った。なお、引用発明は、本願補正発明の構成H及びIに対応する構成を有しないため、(h)及び(i)の見出しは使用していない。)。

(a)引用発明の「遊技に関する制御を行う」ことは、本願補正発明の「遊技に供される」ことに相当し、引用発明の「パチンコ遊技機10」は、本願補正発明の「遊技機」に相当する。
してみると、引用発明の構成aは、本願補正発明の構成Aに相当する。

(b)引用発明の「ホールコンピュータHC」は、本願補正発明の「遊技機の外部」に相当し、引用発明の「パチンコ遊技機10の動作状態等の遊技情報を出力可能である」ことは、本願補正発明の「信号を出力可能」であることに相当する。
そして、引用発明の「払出制御基板56」及び「外部端子板53」は、本願補正発明の「外部出力手段」に相当する。
してみると、引用発明の構成bは、本願補正発明の構成Bに相当する。

(c)引用発明の「磁気エラー」、「満杯エラー」は、それぞれ本願補正発明の「第1エラー」、「第2エラー」に相当し、引用発明の「RWMクリアと、磁気エラーと、誘導磁界検知エラーと、振動検知エラーと、第1大入賞口不正入賞エラーと、第2大入賞口不正入賞エラーと、普通電動役物不正入賞エラーと、役物内球詰まりエラーと、扉開放と、満杯エラーと、賞球エラー」は、本願補正発明の「遊技機において発生し得る、第1エラー及び第2エラーを含む複数種類のエラー」に相当する。
そして、引用発明の「主制御用CPU54a」は、本願補正発明の「エラー検出手段」に相当する。
してみると、引用発明の構成cは、本願補正発明の構成Cに相当する。

(d)上記(c)で検討したとおり、引用発明の「磁気エラー」、「満杯エラー」は、それぞれ本願補正発明の「第1エラー」、「第2エラー」に相当する。
そして、引用発明の「統括制御用CPU70a」は、「表示制御基板72に演出表示装置33において画像によるエラー報知を実行させ、音声・ランプ制御基板71に対してエラー報知の実行を指示し、スピーカ20からのエラー音によるエラー報知を実行させ」、「磁気エラー」「については、画像、音声及びランプを用いてエラー報知を行わせ、満杯エラーについては、画像及び音声を用いてエラー報知を行わせる」ものであるから、引用発明の「統括制御用CPU70a」、「表示制御基板72」及び「音声・ランプ制御基板71」は、本願補正発明の「前記第1エラー又は前記第2エラーが検出されたとき、エラーの報知を行うことが可能な報知手段」に相当する。
してみると、引用発明の構成dは、本願補正発明の構成Dに相当する構成を有している。

(e)引用発明は、「電源の投入に伴って、主制御用CPU54aは、リセット信号が入力されると」「RWMクリアスイッチRCSの設定に応じて初期化を行うか否か」「を判定」するものであり、「電源基板55からは、RWMクリアスイッチRCSの操作に応じて、RWMクリア信号が払出制御基板56に出力され、払出制御基板56及び主制御中継端子板58を介して、主制御基板54にも出力され」るものである。
そして、引用発明の「RWMクリア」は、画像、音声及びランプを用いたエラー報知の対象となるものであるところ(構成d)、「電源基板55から出力されるRWMクリア信号がオンとなった状態で、リセット信号がオンとなったときに検出され」るものであるから、引用発明において、RWMクリアスイッチRCSを操作して電源の投入をした場合には、「RWMクリア」のエラー報知(画像表示を含む)がなされるものといえる。
ここで、「RWMクリア」のエラー報知(画像表示を含む)は、遊技機の管理者以外の者がRWMクリアスイッチRCSを操作して電源の投入をした場合になされると、不正の可能性を示す「エラー報知」といえるものであるが、遊技機の管理者がRWMクリアスイッチRCSを操作して電源の投入をした場合には、「エラー報知」の画像表示がされても、不正の可能性はなく、単にRWMクリアを伴う電源投入がされたことを示すにすぎないから、「復旧表示」ということもできるものである。
そうすると、引用発明の構成dの「統括制御用CPU70a」及び「表示制御基板72」は、「RWMクリア」のエラー報知(画像表示)をするものであるから、「復旧表示手段」ともいい得るものである。
一方、引用発明において、RWMクリアスイッチRCSを操作せずに電源の投入をした場合に、所定の復旧表示を行うかは明らかでない。
してみると、引用発明の構成d及びeは、本願補正発明の構成Eと、「遊技機に対する電源が復旧したときに所定の復旧表示を行う場合がある復旧表示手段」を備える点で共通している。

(f)引用発明の「セキュリティ情報信号」は、本願補正発明の「所定のエラー検出信号」に相当する。
また、上記(b)で検討したとおり、引用発明の「払出制御基板56」及び「外部端子板53」は、本願補正発明の「外部出力手段」に相当するところ、引用発明の「払出制御基板56」は、「主制御基板54から出力された各種信号を入力すると、情報1信号?情報7信号と、扉開放情報信号と、セキュリティ情報信号と、賞球予定情報信号と、賞球情報信号とを外部端子板53を介してホールコンピュータHCに出力」するものである。
そして、引用発明において、「セキュリティ情報信号は、複数種類のエラー状態のうち、特定のエラー状態の少なくとも何れかが検知されたことを出力する信号であり、この特定のエラー状態としては、RWMクリア、磁気エラー、誘導磁界検知エラー、振動検知エラー、第1大入賞口不正入賞エラー、第2大入賞口不正入賞エラー及び普通電動役物不正入賞エラーが該当し、その一方で、役物内球詰まりエラー、扉開放、満杯エラー及び賞球エラーは、特定のエラー状態に該当せずに、非特定のエラー状態に該当」するから、引用発明の「磁気エラー」は、「特定のエラー状態」に該当し、磁気エラーが検知されると、セキュリティ情報信号が外部端子板53を介してホールコンピュータHCに出力される一方、引用発明の「満杯エラー」は、「特定のエラー状態」には該当せず、満杯エラーが検知されてもセキュリティ情報信号は外部端子板53を介してホールコンピュータHCには出力されないといえる。
ここで、引用発明において、「磁気エラーが検知されると、セキュリティ情報信号が外部端子板53を介してホールコンピュータHCに出力される」こと、「満杯エラーが検知されてもセキュリティ情報信号は外部端子板53を介してホールコンピュータHCには出力されない」ことは、それぞれ本願補正発明の「前記第1エラーが検出された際には所定のエラー検出信号が前記外部出力手段から出力される」こと、「前記第2エラーの検出は前記外部出力手段の出力に影響を与え」ないことに相当する。
してみると、引用発明の構成fは、本願補正発明の構成Fに相当する。

(g)上記(c)及び(d)で検討したとおり、引用発明の「統括制御用CPU70a」、「磁気エラー」、「満杯エラー」は、それぞれ本願補正発明の「報知手段」、「第1のエラー」、「第2のエラー」に相当する。
また、引用発明の「統括制御用ROM70b」には、「エラー状態毎に優先順位が記憶されており、具体的には、優先順位の高い順に、RWMクリア、磁気エラー、誘導磁界検知エラー、振動検知エラー、第1大入賞口不正入賞エラー、第2大入賞口不正入賞エラー、普通電動役物不正入賞エラー、役物内球詰まりエラー、扉開放、満杯エラー、賞球エラーとして優先順位が規定されて」いるから、引用発明において、「磁気エラー」は、「満杯エラー」よりも優先順位が高いエラーであるといえる。
そして、引用発明の「複数種類のエラー状態が検知されている場合」には、磁気エラーと満杯エラーの両方が検知されている場合も含まれるから、引用発明の「複数種類のエラー状態が検知されている場合には、検知されている複数のエラーに関するエラー報知を重複させて実行させることはなく」「優先順位の最も高い1種類のエラー状態に関するエラー報知を実行させるように制御する」ことと、本願補正発明の「前記第2エラーの報知中に前記第1エラーが検出された場合には前記第1エラーの報知を行うことを可能とし、前記第1エラーの報知中に前記第2エラーが検出された場合には前記第2エラーの報知の一部又は全部を非実行と」することとは、「前記第1エラーと前記第2エラーの両方が検出された場合には、前記第1エラーの報知を行うことを可能」とする点で共通する(なお、本願補正発明において、「前記第1エラーの報知中に前記第2エラーが検出された場合には前記第2エラーの報知の一部又は全部を非実行と」することは、第1エラーの報知を第2エラーの報知よりも優先させるための構成であり、第2エラーの報知の一部又は全部を非実行とする際に、第1エラーの報知が継続され得ることが前提であることは明らかであるから、「前記第1エラーの報知を行うことを可能」とする点を本願補正発明と引用発明との共通点に含めた。)。
してみると、引用発明の構成gは、本願補正発明の構成Gと「前記報知手段は、前記第1エラーと前記第2エラーの両方が検出された場合には、前記第1エラーの報知を行うことを可能」とする点で共通する。

(j)引用発明の「パチンコ遊技機10」は、本願補正発明の「遊技機」に相当するから、引用発明の構成jは、本願補正発明の構成Jに相当する。

上記(a)?(j)の検討により、本願補正発明と引用発明とは、

(一致点)
「A 遊技に供される遊技機において、
B 遊技機の外部に対して信号を出力可能な外部出力手段と、
C 遊技機において発生し得る、第1エラー及び第2エラーを含む複数種類のエラーを検出するためのエラー検出手段と、
D 前記第1エラー又は前記第2エラーが検出されたとき、エラーの報知を行うことが可能な報知手段と、
E’ 遊技機に対する電源が復旧したときに所定の復旧表示を行う場合がある復旧表示手段と、を備え、
F 前記第1エラーが検出された際には所定のエラー検出信号が前記外部出力手段から出力される一方、前記第2エラーの検出は前記外部出力手段の出力に影響を与えず、
G’ 前記報知手段は、前記第1エラーと前記第2エラーの両方が検出された場合には、前記第1エラーの報知を行うことを可能とする、
J 遊技機。」

である点で一致し、構成E、G、H、Iに関する以下の点で相違している。

(相違点1)
本願補正発明では、「遊技機に対する電源が復旧したときに所定の復旧表示を行う復旧表示手段」を備える(構成E)のに対して、引用発明では、RWMクリアスイッチRCSを操作して電源の投入をした場合には、「RWMクリア」のエラー報知の画像表示(所定の復旧表示)がなされるが、RWMクリアスイッチRCSを操作せずに電源の投入をした場合に、所定の復旧表示を行うかが明らかでない点。

(相違点2)
「前記報知手段」について、本願補正発明では、「前記第2エラーの報知中に前記第1エラーが検出された場合には前記第1エラーの報知を行うことを可能とし、前記第1エラーの報知中に前記第2エラーが検出された場合には前記第2エラーの報知の一部又は全部を非実行」とする(構成G)のに対して、引用発明では、複数種類のエラー状態が検知されている場合には、優先順位の最も高い1種類のエラー状態に関するエラー報知を実行させるものの、満杯エラーの報知中に磁気エラーが検出された場合や、磁気エラーの報知中に満杯エラーが検知された場合について明記されていない点。

(相違点3)
本願補正発明では、「遊技機に対する電源が復旧したときに前記第1エラーが検出された場合、前記復旧表示と共に前記第1エラーの報知を行う、又は、実行中の前記復旧表示を終了させて前記第1エラーの報知を行」う(構成H)のに対して、引用発明では、そのような構成を有しない点。

(相違点4)
「前記外部出力手段」について、本願補正発明では、「遊技者に有利な特別遊技を行うか否かの特別遊技判定にて前記特別遊技を行うと判定される確率と依存関係にある設定値情報を表示及び設定可能な設定変更モードにおいて、所定の信号を遊技機の外部に対して出力し、前記所定の信号と前記第1エラーが検出された際に出力される前記エラー検出信号とを共通の出力端子から出力する」(構成I)のに対して、引用発明では、設定変更モードを有しない点。

(3)判断
ア 相違点1及び3の判断について
相違点1と相違点3は、いずれも復旧表示に関連するものであるから、まとめて検討する。
本願補正発明と引用文献3に記載された技術的事項とを対比すると、引用文献3に記載された技術的事項の「電源投入(RAMクリア無)が検出された場合」及び「電源投入(RAMクリア有)が検出された場合」は、本願補正発明の「遊技機に対する電源が復旧したとき」に相当する。そして、引用文献3に記載された技術的事項の「報知態様Aとして、「復旧」を画像表示器17に表示させ」ること、及び「報知態様Bとして、「RAMクリア」を画像表示器17に表示させ」ることは、本願補正発明の「所定の復旧表示を行う」ことに相当し、引用文献3に記載された技術的事項の「電源投入・エラー報知制御手段83」は、本願補正発明の「復旧表示手段」としての機能を有している。
また、引用文献3に記載された技術的事項の「電源投入情報の報知中に、乱数エラー等のエラーが発生する(検出される)場合」は、本願補正発明の「遊技機に対する電源が復旧したときに前記第1エラーが検出された場合」と、「遊技機に対する電源が復旧したときにエラーが検出された場合」である点で共通する。そして、引用文献3に記載された技術的事項の「報知態様Eとして、「係員をお呼びください」が画像表示器17に表示され、」「或いは、報知態様Fとして、「エラー発生」が画像表示器17に表示され」ることは、本願補正発明の「前記復旧表示と共に前記第1エラーの報知を行う、又は、実行中の前記復旧表示を終了させて前記第1エラーの報知を行」うことと、「前記復旧表示と共にエラーの報知を行う、又は、実行中の前記復旧表示を終了させてエラーの報知を行」う点で共通する。
そして、引用発明においても、RAMクリア(RWMクリアスイッチRCSの操作)の有無にかかわらず、遊技機に対する電源が復旧したときに復旧処理中であることを分かるようにし、復旧処理中にエラーが発生した場合にエラーが発生したことを分かるようにすることが、遊技機の管理者にとって有益であることは明らかであるから、引用発明に対して引用文献3に記載された技術的事項を適用して、RWMクリアスイッチRCSを操作して電源の投入をした場合に加えて、RWMクリアスイッチRCSを操作せずに電源の投入をした場合にも、所定の復旧表示を行うようにするとともに、遊技機に対する電源が復旧したときに磁気エラー(第1エラー)などの各種エラーが検出された場合に、前記復旧表示と共に前記磁気エラー(第1エラー)などの各種エラーの報知を行う、又は、実行中の前記復旧表示を終了させて前記磁気エラー(第1エラー)などの各種エラーの報知を行うようにして、相違点1及び3に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到できたことである。

イ 相違点2の判断について
上記(1)イで引用文献2に記載された技術的事項として認定したとおり、引用文献2には、「エラー報知を実行中のエラーよりも報知優先順位が上位のエラーが後から発生した場合には、当該エラー報知を中断して報知優先順位が上位のエラーのエラー報知態様に切り替わるようになっており、エラー報知を実行中のエラーよりも報知優先順位が下位のエラーが後から発生した場合には、当該エラー報知を中断せずに継続して、後に発生した報知優先順位が下位のエラーのエラー報知を実行しないようになっている、パチンコ機10。」との技術的事項が記載されている。
引用発明と引用文献2に記載された技術的事項とは、エラー報知の対象となる複数のエラーに報知優先順位が規定されており、当該優先順位に従ってエラー報知が行われる遊技機である点で技術分野及び機能が共通している。
そして、引用発明の磁気エラー(第1のエラー)と満杯エラー(第2のエラー)とでは、磁気エラーの方が報知優先順位が高いから(構成g)、引用発明の磁気エラーと満杯エラーの報知に対して、引用文献2に記載された技術的事項を適用して、満杯エラーの報知中に報知優先順位が上位の磁気エラーが発生した場合に、満杯エラーの報知を中断して磁気エラーのエラー報知態様に切り替わるように(第1エラーの報知を行うことを可能と)し、磁気エラーの報知中に報知優先順位が下位の満杯エラーが後から発生した場合に、磁気エラー報知を中断せずに継続して、後に発生した満杯エラーのエラー報知を実行しないように(第2エラーの報知の一部又は全部を非実行と)することにより、相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到できたことである。

ウ 相違点4の判断について
スロットマシンなどの遊技機の技術分野において、遊技者に有利な特別遊技を行うか否かの特別遊技判定にて前記特別遊技を行うと判定される確率と依存関係にある設定値情報を表示及び設定可能な設定変更モードにおいて、所定の信号を遊技機の外部に対して出力し、前記所定の信号とエラーが検出された際に出力されるエラー検出信号とを共通の出力端子から出力することは、例えば特開2011-67704号公報(【0015】、【0113】、【0114】等)、特開2005-185741号公報(【0078】?【0080】、【0085】、【0112】等)、特開2009-34353号公報(【請求項3】、【0058】、【0076】等)などにも記載されているように、本願の出願前における周知技術である。
そして、パチンコ遊技機の技術とスロットマシンなどの他の遊技機の技術を相互に適用することが一般的に広く行われていることや、周知例として上記に例示した特開2005-185741号公報の【0123】?【0125】や同特開2009-34353号公報の【0005】に、設定値変更の技術をパチンコ遊技機に適用することを示唆する記載があることも考慮すると、引用発明のパチンコ遊技機に対して、遊技機の管理者の便宜のためや外部出力端子や配線を最小限にしてコスト削減を図るなどの観点から、上記の周知技術を適用して、相違点4に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到できたことである。

エ 本願補正発明の作用効果について
本願補正発明の作用効果は、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項、引用文献3に記載された技術的事項及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものであり、格別顕著なものとはいえない。

オ 請求人の主張について
請求人は、審判請求書において、「本願請求項1の如く“設定変更モードにおいて、所定の信号を遊技機の外部に対して出力”するようにしておくことで、現在のモードが設定変更モードであるのか否かを遊技機の管理者に明確に知らせることが可能となり、利便性の向上が図られます。」、「また、“前記所定の信号と前記第1エラーが検出された際に出力される前記エラー検出信号とを共通の出力端子から出力する”ように構成しておくことで、端子数の低減及び省配線化が実現されます。」(6頁19行?25行)と主張している。
しかしながら、審判請求書にて請求人の主張する効果は、上記周知技術においても奏されるものであり、上記周知技術から当業者が予測できる範囲のものであるから、本願補正発明において請求人の主張する効果が奏されるからといって、本願補正発明が当業者にとって容易に発明をすることができたものでないとはいえない。

(4)まとめ
したがって、本願補正発明は、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項、引用文献3に記載された技術的事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。

4 むすび
以上のとおり、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されることとなったので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、令和1年7月3日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりの、上記「第2[理由]1 補正の内容」に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記1?3、又は、下記4の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

1.特開2014-68729号公報
2.特開2017-93698号公報
3.特開2012-50481号公報
4.特開2016-63950号公報

3 引用文献に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1?3の記載事項、並びに、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項及び引用文献3に記載された技術的事項の認定については、上記「第2[理由]3(1)引用文献に記載された事項」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、上記「第2[理由]」で検討した本願補正発明から、構成要件である「外部出力手段」に関して、「遊技者に有利な特別遊技を行うか否かの特別遊技判定にて前記特別遊技を行うと判定される確率と依存関係にある設定値情報を表示及び設定可能な設定変更モードにおいて、所定の信号を遊技機の外部に対して出力し、前記所定の信号と前記第1エラーが検出された際に出力される前記エラー検出信号とを共通の出力端子から出力する」との限定を省くとともに、「前記第1エラーが検出された場合」という意味内容の変わらない別表現に言い改めていたものを、元の「前記第1エラーを検出した場合」との表現に戻したものである。
そうすると、本願発明と引用発明とは、上記「第2[理由]3(2)」に記載した相違点1?3において相違し、その余の点で一致している。そして、相違点1?3は、上記「第2[理由]3(3)ア及びイ」にて説示したとおり、引用発明に対して引用文献2に記載された技術的事項及び引用文献3に記載された技術的事項を適用することにより、当業者が容易に想到することができたものであるから、本願発明は、引用発明、引用文献2に記載された技術的事項及び引用文献3に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-12-10 
結審通知日 2020-12-15 
審決日 2021-01-05 
出願番号 特願2017-197334(P2017-197334)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 湊 和也弓指 洋平  
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 小島 寛史
蔵野 いづみ
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人 佐野特許事務所  
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