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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A63F 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A63F 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 A63F |
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管理番号 | 1371564 |
審判番号 | 不服2019-11324 |
総通号数 | 256 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-04-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-08-28 |
確定日 | 2021-03-23 |
事件の表示 | 特願2017-253929「ゲームプログラム、及びゲームシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 3月29日出願公開、特開2018- 47354、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成28年8月18日(以下「原出願日」という。)に出願した特願2016-160890号(以下、「原出願」という。)の一部を、平成29年12月28日に特願2017-253929号として出願したものであって、その後の手続の経緯は以下のとおりである。 平成30年 2月19日 :手続補正書、上申書の提出 平成30年10月31日付け:拒絶理由通知書(平成30年11月13日発送) 平成30年12月27日 :意見書、手続補正書の提出 令和 1年 5月16日付け:拒絶査定(謄本到達日:令和1年5月28日) 令和 1年 8月28日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和 1年11月29日付け:前置報告書 令和 2年 7月13日付け:拒絶理由通知書(以下、この拒絶理由通知書に記載した拒絶理由を、「第1の当審拒絶理由」という。)(令和2年7月14日発送) 令和 2年 9月14日 :意見書、手続補正書の提出 令和 2年10月27日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書(以下、この拒絶理由通知書に記載した拒絶理由を、「第2の当審拒絶理由」という。)(令和2年11月10日発送) 令和 3年 1月 7日 :意見書、手続補正書の提出 第2 本願発明 本願の請求項1ないし請求項4に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明4」という。)は、令和3年1月7日付け手続補正書による手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし請求項4に記載された事項により特定される以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 各々のユーザにより操作される複数のユーザ端末と、複数のユーザ端末と通信により接続可能なサーバ装置とで実現されるゲームシステムにおける、サーバ装置で実行されるゲームプログラムであって、 サーバ装置を、 所定の分類基準に基づいて、複数のユーザを複数のグループに分類するグループ分類手段、 グループごとに、少なくとも1種類以上の種類が異なる所定の数のゲーム媒体を複数のユーザに付与可能な状態に設定するゲーム媒体設定手段、 ゲーム媒体設定手段により設定されたゲーム媒体を、ユーザ端末からの付与要求に基づき、ユーザに付与するゲーム媒体付与手段 として機能させ、 所定の分類基準のうちの一つの基準が、ユーザのレベルであり、 同一のグループに含まれる複数のユーザ間で、付与可能なゲーム媒体の数が共有される、ゲームプログラム。 【請求項2】 グループ分類手段が、一のユーザが複数のグループに属することが可能なようにグループを分類するものであり、 一のユーザが複数のグループに属している場合、ゲーム媒体設定手段は、複数のグループそれぞれに対して付与可能な状態に設定されたゲーム媒体を、前記一のユーザに対して付与可能にするものである、 請求項1に記載のゲームプログラム。 【請求項3】 ゲーム媒体設定手段が、所定の期間の経過によって、付与可能な状態に設定されていたゲーム媒体を付与不可能な状態にするものである、 請求項1又は2に記載のゲームプログラム。 【請求項4】 各々のユーザにより操作される複数のユーザ端末と、複数のユーザ端末と通信により接続可能なサーバ装置とにおいて実現されるゲームシステムであって、 所定の分類基準に基づいて、複数のユーザを複数のグループに分類するグループ分類手段と、 グループごとに、少なくとも1種類以上の種類が異なる所定の数のゲーム媒体を複数のユーザに付与可能な状態に設定するゲーム媒体設定手段と、 ユーザ端末を操作するユーザに対して付与可能な状態に設定されたゲーム媒体をユーザに提示するゲーム媒体提示手段と、 ゲーム媒体提示手段により提示されたゲーム媒体の付与要求を、ユーザ端末からサーバ装置に送信する送信手段と、 ゲーム媒体設定手段により設定されたゲーム媒体を、ユーザ端末からの付与要求に基づき、ユーザに付与するゲーム媒体付与手段と を備え、 所定の分類基準のうちの一つの基準が、ユーザのレベルであり、 同一のグループに含まれる複数のユーザ間で、付与可能なゲーム媒体の数が共有される、ゲームシステム。」 第3 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について (1)引用文献1の記載事項 本願の拒絶査定(以下、「原査定」という。)の拒絶の理由において引用文献1として引用され、原出願日前である平成26年6月12日に頒布された刊行物である「ファンタシースターオンライン2,電撃PlayStation Vol.568,株式会社KADOKAWA,2014年6月12日,第20巻,第23号,通巻674号,p.196-199」(以下、「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。 ア 「PHANTASY STAR ONLINE2」「ファンタシースターオンライン」(p.196右上のタイトル) イ 「チーム電撃警備保障「PSO2」連載企画4thシーズン第5回」(p.196左上の画像の下の記載) ウ 「2シップ1組でアークス同士が競うアークシップス対抗戦。全プレイヤー参加型の新イベントシステムで、2周年も盛り上がろう! PC PS Vita サービス中(2012年7月4日配信) ファンタシースターオンライン2 …●ゲームダウンロード無料、エピソード2デラックスパッケージ版¥5,229(税込)…●オンライン専用…」(p.196右上、タイトルの下の記載) エ 「新イベントシステム/アークスシップ対抗戦」(p.196中央部分) オ 「アークスシップ対抗戦は、10隻あるシップ(サーバ)が2つのシップで1組となり、5つのグループに分かれて競うイベントだ。運営チームが過去のプレイヤーデータを分析して、グループごとの戦力が平均化するように組み合わせるため、組み合わせによる有利不利が出にくい(対抗戦の開催期間中に、グループの組合せが変更されることはない)。対抗戦の勝敗は、出された課題をクリアしたときに得られるポイントの合計点数で決定。アークス同士が直接戦うものではないので、どのレベル帯のプレイヤーでも気軽に楽しめる。なお、対抗戦は今後も不定期で開催される予定だ。」(p.196中央部分、上記エの下の説明文) カ 「 」(p.196中央部分、上記オの下の図) キ 「※写真はPS Vita版&PC版で、一部開発中のものです。」(p.196最下部の記載) ク 「Ship5で活動中」「チーム・電撃警備保障」「「感謝祭2014」取材、そして書籍「電撃PSO2」と、今夏も「PSO2」に全力投球!」「レトロ」「ステラ」「ユウヒ」「スーザンアントン子」「ホロ=ロゥ」「野良」「hal」(p.196左下の黒地背景部分) ケ 「黒地白抜き1(※当審注 黒地で白抜きの字で記載されているものを「黒地白抜き」と表記する。以下同様)」「12時間ごとに区切って10日間の勝ち点を競う」(p.197左上部) コ 「対抗戦の開催期間は10日。12時間を1ラウンドとして区切り、それぞれのラウンドで順位を決める。順位によって勝ち点が付与され、最終ラウンド終了時の累計勝ち点が最も多かったグループが優勝というルールだ。そのため、全ラウンドでコンスタントに勝ち点が得られるかが勝利のカギとなる。また、最終順位はスターで手に入る賞品にも影響するので重要だ。」(p.197左上部、上記ケの下の説明文) サ 「黒地白抜き2」「ラウンド目標を達成して貢献ポイントを獲得せよ」(p.197左上?左中央部) シ 「ラウンドごとに目標が設定され、それを達成すると貢献ポイントとスターを獲得できる。前者はグループが獲得できるポイントで、ラウンドの順位を競うためのもの。後者は各プレイヤーが得られるポイントで、賞品を入手するために使う。それぞれのポイントには上限があるため、個人で稼ぐには限界がある。グルーブを勝利へと導くために、一致団結してイベントに挑もう。ちなみに、スターにはボーダーライン達成ポーナスが存在。そのラウンドで稼いだスターの数が指定されたボーダーラインを超えると、ボーナスとしてスターやアイテムを追加でもらえる。なお、目標は「特定のクエストをクリア」や「指定されたエネミーの撃破」などさまざまだ。」(p.197左上?左中央部、上記サの下の説明文) ス 「黒地白抜き4」「集めたスターで楽しいアイテムをゲット!」(p.197下部) セ 「集めたスターを消費して、さまざまな賞品と交換できる。賞品は便利なブーストアイテム類と、イベント限定アイテムが中心。限定アイテムは、新キャラのアークマをモチーフにしたものが多い。なお、賞品には期間中いつでも交換できるものと、最終結果発表後に最終順位によって追加されるものが存在。例えば「進化デバイス/アークマ」は、最終順位が1位のグループのみ交換できる。狙ったアイテムをゲットするためにもがんばろう!」(p.197下部、上記スの下の説明文) ソ 「「PSO2」は現在、10のシップ(サーバ)に分かれており」「約2年を経て、それぞれのシップの個性も出てきていますが……」(p.197右上部の「アークスシップ対抗戦」の下のコマの記載) (2)引用文献1の記載から認定できる事項 ア 上記(1)ア、イ、ウ及びソの記載より、「PSO2」は、「PHANTASY STAR ONLINE2」の各単語の頭文字をとったもので、かつ、「PSO2」、「PHANTASY STAR ONLINE2」はいずれも「ファンタシースターオンライン2」のことを意味するものであること。 イ 上記(1)ウの「PC」「PS Vita」「ファンタシースターオンライン2」「●ゲームダウンロード無料」「●オンライン専用」との記載、上記(1)キの「PS Vita版&PC版」との記載より、引用文献1に記載の「ファンタシースターオンライン2」はPS Vita版&PC版のオンライン専用ゲームであるといえること。 ウ 上記(1)ウの「PC」「PS Vita」「ファンタシースターオンライン2」との記載、及び、上記(1)ソの「「PSO2」は現在、10のシップ(サーバ)に分かれており」との記載より、引用文献1に記載の「ファンタシースターオンライン2」は、10のシップ(サーバ)、並びに、PC及びPS Vitaが用いられることによって実現されていることも明らかであること。 エ 上記(1)ウの「●ゲームダウンロード無料」が、ゲームプログラムを無料でダウンロードできることを意味することは明らかであるとともに、オンラインゲームに関する技術常識を勘案すれば、引用文献1に記載の「ファンタシースターオンライン2」を実現する際に、ゲームプログラムをダウンロードしたPC及びPS Vitaだけでなく、シップ(サーバ)においても、ゲームプログラムが実行されていることは明らかであること。 オ 上記イ、ウ及びエより、引用文献1には、シップ(サーバ)、並びに、PC及びPS Vitaにおいて実行され、PS Vita版&PC版のオンライン専用ゲームであるファンタシースターオンライン2のゲームプログラムについて記載されているものと認められること。 カ 上記(2)アの説示を踏まえれば、上記(1)オ及びソの記載より、ファンタシースターオンライン2は、10のシップ(サーバ)に分かれており、10隻あるシップ(サーバ)が2つのシップで1組となり、5つのグループに分かれて競うイベントであるアークスシップ対抗戦が開催されるものであること。 キ 上記(1)カの図より、Ship1?Ship10までの10のシップを5つのグループにグループ分けしていること、上記(1)クの記載より、「Ship5」には、7名のプレイヤーが活動しているものと認められるから、各シップ(サーバ)では、複数のプレイヤーが活動しているといえること。 ク 上記(1)コの記載からすれば、アークスシップ対抗戦では、最終ラウンド終了時の累計勝ち点が最も多かったグループが優勝となるのであるから、最終ラウンド終了時の累計勝ち点によってグループの最終順位が決められるものであると認められること。 (3)引用発明1について 上記(1)及び(2)の事項から、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。 「シップ(サーバ)、並びに、PC及びPS Vitaで実行され、PS Vita版&PC版のオンライン専用ゲームであるファンタシースターオンライン2のゲームプログラムであって、 10のシップ(サーバ)に分かれており、各シップ(サーバ)では、複数のプレイヤーが活動しており、10隻あるシップ(サーバ)が2つのシップで1組となり、5つのグループに分かれて競うイベントであるアークスシップ対抗戦が開催されるものであり、アークスシップ対抗戦は、 運営チームが過去のプレイヤーデータを分析して、グループごとの戦力が平均化するようにグループを組み合わせ、 ラウンドごとの目標を達成すると、グループが獲得できる、ラウンドの順位を競うための貢献ポイントと、各プレイヤーが得られるポイントで、賞品を入手するために使うスターを獲得でき、 それぞれのラウンドで順位を決め、順位によって勝ち点が付与され、最終ラウンド終了時の累計勝ち点によってグループの最終順位が決められ、 集めたスターを消費して、期間中いつでも交換できるものと、最終結果発表後に最終順位によって追加されるものが存在するさまざまな賞品と交換できる ものである、ファンタシースターオンライン2のゲームプログラム。」 2.引用文献2について (1)引用文献2の記載事項 原査定の拒絶の理由において引用され、原出願日前である平成28年1月13日に頒布された刊行物である特許第5841275号公報(以下、「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。 ア 「【技術分野】 【0001】 この発明は、ゲームプログラム、ゲーム制御方法、及び情報処理装置に関し、特に複数のプレイヤが参加可能なゲームを制御するための技術に関する。」 イ 「【課題を解決するための手段】 【0007】 上記課題を解決するために、本発明のある態様は、複数のプレイヤが参加可能なゲームを制御するためのゲームプログラムである。このゲームプログラムは、コンピュータに、複数のプレイヤの中の2以上のプレイヤから構成されるプレイヤグループを、記憶部に記憶して管理するグループ管理機能と、出現確率が異なる複数種類の報酬から構成される報酬グループを対象として報酬を選択し、プレイヤに提供する報酬選択機能と、各プレイヤに許可する報酬取得回数の上限を定める報酬取得許可回数と、複数種類の報酬それぞれの出現確率との少なくともいずれか一方を含む報酬選択の仕様を、プレイヤグループ毎に対応づけて記憶部に記憶して管理する仕様管理機能と、プレイヤグループを構成するプレイヤから、仕様を変更する変更操作を取得する変更取得機能とを実現させ、仕様管理機能は、変更取得機能がプレイヤから取得した変更操作に応じて、当該プレイヤを含むプレイヤグループに対応する仕様を変更する。」 ウ 「【発明を実施するための形態】 【0023】 図1は、実施の形態に係るゲーム提供システム1の全体構成を模式的に示す図である。実施の形態に係るゲーム提供システム1は、情報処理装置100、第1端末200a、第2端末200b、及び第3端末200cを含む。以下本明細書において、第1端末200a、第2端末200b、及び第3端末200cを特に区別する場合を除き「端末200」と総称する。端末200は、ネットワーク300を介して情報処理装置100と通信可能に接続されている。情報処理装置100は、端末200に対してゲームを提供するサーバとして機能する。図1に示す例では、ゲーム提供システム1は第1端末200a、第2端末200b、及び第3端末200cの3台の端末200を含むが、端末200の数は3台に限られず、2台または4台以上であってもよい。 【0024】 図1を参照して、実施の形態に係るゲーム提供システム1の概要を述べる。実施の形態に係る情報処理装置100は、複数のプレイヤが参加可能なゲームをネットワーク300を介して端末200に提供する。情報処理装置100は、複数のプレイヤから構成されるプレイヤグループを管理し、そのプレイヤグループに対して報酬選択を実行する。なお、各端末200のユーザが、情報処理装置100が提供するゲームのプレイヤとなる。 【0025】 ここで「報酬選択」とは、例えば、出現確率が異なる複数種類の報酬から構成される報酬グループを対象とする報酬の選択であり、いわゆる「ガチャ」として知られるものである。情報処理装置100が選択した報酬は、情報処理装置100に報酬取得を要求したプレイヤに対して提供される。これにより、プレイヤは報酬を取得することができる。すなわち、プレイヤが情報処理装置100に対して「報酬取得」を要求すると、情報処理装置100は、「報酬選択」を実行し、選択した報酬をプレイヤに提供する。 【0026】 情報処理装置100は、プレイヤグループを単位として報酬の選択を実施する。情報処理装置100は、報酬の確率や各プレイヤが報酬取得可能な回数等を定める報酬選択の仕様を変更する変更操作をプレイヤに許可する。プレイヤから変更操作を取得すると、情報処理装置100は、そのプレイヤが属するプレイヤグループに対応する報酬選択の仕様を変更する。なお、情報処理装置100が実施する報酬選択は、完全にランダムなものに限定されず、予め順序がきまっていて、それに応じて選択するものも含む。すなわち、「報酬選択」には、あらかじめ定めた多くのアイテムの中から抽選するだけでなく、提供順序が所定のルールに基づいて決まっており、それに基づいてプレイヤに報酬を提供することも含む。 【0027】 このように、実施の形態に係る情報処理装置100は、2以上のプレイヤで構成されるプレイヤグループを単位として報酬を選択する。各プレイヤが報酬選択の仕様を変更すると、その変更はプレイヤグループ全体の報酬選択にも反映される。各プレイヤは自分が所属するプレイヤグループのために報酬選択の仕様を有利な方向に変更すること、いわば「ガチャ」を成長させることができる。プレイヤグループに属するプレイヤが協働して仕様を変更することによってプレイヤ同士の交流が促進され、また各プレイヤの報酬取得に対する意欲を向上させることもできる。」 エ 「【0029】 図2は、実施の形態に係る情報処理装置100の機能構成を模式的に示す図である。情報処理装置100は、ストーリー提供部110、変更取得部120、仕様管理部130、報酬選択部140、グループ管理部150、イベント開催部160、譲渡操作受付部170、送受信部180、及び記憶部190を備える。 【0030】 図2は、実施の形態に係る情報処理装置100がゲームを提供するための機能構成を示しており、その他の構成は省略している。図2において、さまざまな処理を行う機能ブロックとして記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU(Central Processing Unit)、メインメモリ、その他のLSI(Large Scale Integration)で構成することができる。またソフトウェア的には、メインメモリにロードされたプログラムなどによって実現される。なお、このプログラムは、コンピュータが読み出し可能な記録媒体に格納されていてもよく、通信回線を介してネットワークからダウンロードされてもよい。これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組み合わせによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。 【0031】 図2に示す情報処理装置100の各機能部をソフトウェアにより実現する場合、情報処理装置100は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行することで実現される。このプログラムを格納する記録媒体は、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記検索プログラムは、当該検索プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。本発明は、上記検索プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。」 オ 「【0037】 グループ管理部150は、複数のプレイヤの中の2以上のプレイヤから構成されるプレイヤグループを、記憶部190に記憶して管理する。 【0038】 図3は、実施の形態に係るプレイヤグループを管理するためのグループ管理テーブル10のデータ構造を模式的に示す図である。グループ管理テーブル10は記憶部190に記憶され、グループ管理部150によって管理される。各プレイヤには、プレイヤ名と、プレイヤを一意に特定することができるプレイヤ識別子とが割り当てられている。 【0039】 ここでグループ管理部150が管理するプレイヤグループは、種々の方法で構成することができる。例えば、ストーリー提供部110がプレイヤグループを編成するための仮想的な場所を各プレイヤにオンラインで提供する。このプレイヤグループを編成するための場所は、「ギルド」や「町」と呼ばれることもある。プレイヤはこのプレイヤグループ編成のための場所でメンバーを募り、プレイヤグループを編成してもよい。 【0040】 あるいは、グループ管理部150が、プレイヤグループの構成メンバを任意の方法(例えばランダムに選択する、プレイ時間が近いプレイヤを集める等の方法)で割り当ててもよい。」 カ 「【0042】 プレイヤは、ゲーム内で用いる竿や餌等のゲーム媒体を、ゲーム内において報酬取得を実行することによって獲得することができる。この報酬取得に応じて報酬選択部140が実行する報酬選択は、例えば、出現確率が異なる複数種類の報酬から構成される報酬グループを対象とする抽選であってもよい。報酬選択部140は、プレイヤに対して提供する報酬を選択する。ここで、報酬選択部140が実行する報酬選択は、報酬グループにどのゲーム媒体が含まれるか、各報酬の出現確率、各プレイヤに許可する報酬取得回数の上限等を定める「報酬選択の仕様」がプレイヤグループ毎に定められている。 【0043】 図4は、実施の形態に係る報酬選択の仕様を管理するための仕様管理テーブル12のデータ構造を模式的に示す図である。仕様管理テーブル12は記憶部190に記憶され、仕様管理部130によって管理される。図4に示すように、仕様管理テーブル12には、各プレイヤに許可する報酬取得回数の上限を定める報酬取得許可回数と、複数種類の報酬それぞれの出現確率とが、プレイヤグループ毎に対応づけられて格納されている。図4に示す仕様管理テーブル12は、プレイヤグループ識別子がGID000001で特定されるプレイヤグループについての報酬選択の仕様を例示している。」 キ 「【0047】 報酬選択部140は、プレイヤから報酬取得の要求を取得すると、そのプレイヤが属するプレイヤグループに対応する報酬選択の仕様を記憶部190から読み出す。報酬選択部140は、読み出した報酬選択の仕様を参照して、報酬取得の要求をしたプレイヤのプレイヤ識別子に対応付けられている報酬取得許可回数を確認する。報酬取得許可回数が1以上であれば、報酬選択部140はそのプレイヤに報酬取得を提供する。このとき、報酬選択部140は、各報酬ランクに対応付けられている出現確率に基づく報酬選択を実施し、当たった報酬ランクに対応する報酬をプレイヤに提供する。 【0048】 なお、報酬選択部140は、第1報酬選択モードと第2報酬選択モードとの2種類の報酬選択モードを持ち、それぞれの報酬選択モードに対応する2種類の報酬選択を実行する。第1報酬選択モードは、複数種類の報酬それぞれについて定められた出現確率に基づく報酬選択によって報酬を決定する報酬選択モードである。具体的には、第1報酬選択モードは、図4に示す仕様管理テーブル12に記憶された出現確率に基づく報酬選択を実行する報酬選択モードである。 【0049】 第2報酬選択モードは、複数種類の報酬それぞれの提供可能な上限数を定め、報酬選択によってプレイヤに提供する報酬を決定するとともに、提供した報酬の上限数を減じる報酬選択モードである。各報酬ランクに対応する報酬の数を定めることにより、結果として各報酬ランクの出現確率が規定される。この意味で、第2報酬選択モードも第1報酬選択モードと同様に各報酬に定められた出現確率に基づく報酬選択を実施することになる。しかしながら、第2報酬選択モードは、報酬選択が実行される度に各報酬に定められた出現確率が変動する点で、第1報酬選択モードと相違する。 【0050】 実施の形態に係る情報処理装置100が提供するゲームは、プレイヤが報酬選択の仕様を変更することを許可する。これを実現するために、変更取得部120は、プレイヤグループを構成するプレイヤから報酬選択の仕様を変更するための変更操作を取得する。仕様管理部130は、変更取得部120がプレイヤから取得した変更操作に応じて、そのプレイヤを含むプレイヤグループに対応する報酬選択の仕様を変更する。より具体的には、仕様管理部130は、変更取得部120がプレイヤから取得した変更操作に応じて所定の報酬の出現確率を増加させたり、報酬取得許可回数を増加させたりする。 【0051】 上述したように、仕様管理テーブル12は、プレイヤグループ毎に報酬選択の仕様を管理するために用いられる。このため、あるプレイヤが報酬選択の仕様を変更すると、その変更はプレイヤが所属するプレイヤグループ全体に対して反映される。いわば、プレイヤグループのメンバ全員で報酬選択/取得(ガチャ)を成長させることができる。これにより、プレイヤグループのメンバ間の交流が活性化され、プレイヤの報酬取得に対する意欲を向上させることができる。」 ク 「【0103】 (第6の変形例) 上記では、仕様管理部130が、報酬取得における報酬の出現確率が上昇するように仕様を変更する場合について説明した。上述した第2報酬選択モードの場合には、これに代えて、あるいはこれに加えて、所定のアイテムを追加したり、削除したりするといった仕様の変更によって、結果として報酬の出現確率を変更するようにしてもよい。」 (2)引用文献2に記載から認定できる事項 ア 上記(1)のイの【0007】には、「複数のプレイヤの中の2以上のプレイヤから構成されるプレイヤグループを、記憶部に記憶して管理する管理機能」と記載され、上記(1)のオの【0037】には、「グループ管理部150は、複数のプレイヤの中の2以上のプレイヤから構成されるプレイヤグループを、記憶部190に記憶して管理する。」と、いずれも複数のプレイヤの中の2以上のプレイヤから構成されるプレイヤグループを、記憶部に記憶して管理するという機能を奏する点で共通するのであるから、引用文献1に記載の「グループ管理部150」は「複数のプレイヤの中の2以上のプレイヤから構成されるプレイヤグループを、記憶部に記憶して管理する」という「グループ管理機能」を奏するものと認められること。 イ 上記(1)のイの【0007】には、「出現確率が異なる複数種類の報酬から構成される報酬グループを対象として報酬を選択し、プレイヤに提供する報酬選択機能」と記載され、上記(1)のカの【0042】には、「この報酬取得に応じて報酬選択部140が実行する報酬選択は、例えば、出現確率が異なる複数種類の報酬から構成される報酬グループを対象とする抽選であってもよい。報酬選択部140は、プレイヤに対して提供する報酬を選択する。」と、いずれも出現確率が異なる複数種類の報酬から構成される報酬グループを対象として報酬を選択し、プレイヤに提供する機能が記載されていることから、引用文献1に記載の「報酬選択部140」は、「出現確率が異なる複数種類の報酬から構成される報酬グループを対象として報酬を選択し、プレイヤに提供する」という「報酬選択機能」とを奏するものと認められること。 ウ 上記(1)のウの【0023】には、「実施の形態に係るゲーム提供システム1は、情報処理装置100、第1端末200a、第2端末200b、及び第3端末200cを含む。」と記載され、上記(1)のエの【0029】には、「図2は、実施の形態に係る情報処理装置100の機能構成を模式的に示す図である。情報処理装置100は、ストーリー提供部110、変更取得部120、仕様管理部130、報酬選択部140、グループ管理部150、イベント開催部160、譲渡操作受付部170、送受信部180、及び記憶部190を備える。」と記載され、上記(1)のエの【0031】には、「図2に示す情報処理装置100の各機能部をソフトウェアにより実現する場合、情報処理装置100は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行することで実現される。」と記載されており、上記(1)のエの【0031】の「各機能部」が、上記(1)のエの【0029】に記載の「情報処理装置100の機能構成」である「ストーリー提供部110、変更取得部120、仕様管理部130、報酬選択部140、グループ管理部150、イベント開催部160、譲渡操作受付部170、送受信部180、及び記憶部190」のことを指していることは明らかであるから、上記(2)のア及びイの説示も踏まえれば、上記(1)のイの【0007】に記載の「複数のプレイヤが参加可能なゲームを制御するためのゲームプログラム」は、情報処理装置100、第1端末200a、第2端末200b、及び第3端末200cを含むゲーム提供システム1における、情報処理装置100で実行されるものであって、情報処理装置100に、上記(1)のエの【0029】に記載の各機能部を実現させるものであること。 (3)引用発明2について 上記(1)及び(2)の事項から、引用文献2には、以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。 「情報処理装置100、第1端末200a、第2端末200b、及び第3端末200cを含むゲーム提供システム1における、情報処理装置100で実行される、複数のプレイヤが参加可能なゲームを制御するためのゲームプログラムであって、 情報処理装置100に、 複数のプレイヤの中の2以上のプレイヤから構成されるプレイヤグループを、記憶部に記憶して管理するグループ管理機能と、 プレイヤから報酬取得の要求を取得すると、出現確率が異なる複数種類の報酬から構成される報酬グループを対象として報酬を選択し、プレイヤに提供する報酬選択機能と、 各プレイヤに許可する報酬取得回数の上限を定める報酬取得許可回数と、複数種類の報酬それぞれの出現確率との少なくともいずれか一方を含む報酬選択の仕様を、プレイヤグループ毎に対応づけて記憶部に記憶して管理する仕様管理機能と、 プレイヤグループを構成するプレイヤから、仕様を変更する変更操作を取得する変更取得機能と、 を実現させ、 仕様管理機能は、変更取得機能がプレイヤから取得した変更操作に応じて、当該プレイヤを含むプレイヤグループに対応する仕様を変更し、 グループ管理機能は、プレイヤグループの構成メンバをプレイ時間が近いプレイヤを集める方法で割り当て、 報酬選択機能は、第1報酬選択モードと第2報酬選択モードとの2種類の報酬選択モードを持ち、それぞれの報酬選択モードに対応する2種類の報酬選択を実行するとともに、第2報酬選択モードは、複数種類の報酬それぞれの提供可能な上限数を定め、報酬選択によってプレイヤに提供する報酬を決定するとともに、提供した報酬の上限数を減じる報酬選択モードである、 ゲームプログラム。」 3.引用文献3について (1)引用文献3の記載事項 原査定の拒絶の理由において引用され、原出願日前である平成18年2月2日に頒布された刊行物である特開2006-26237号公報(以下、「引用文献3」という。)には、次の事項が記載されている。 ア 「【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明は、外部からの操作を受け付ける複数の端末装置と通信可能に接続され、仮想的なチーム戦のゲーム大会として前記端末装置からの操作情報を用いて所定期間内又は所定回数だけ行う対戦ゲームの進行を管理するゲーム用サーバ装置、ゲーム進行管理プログラム及びゲーム進行管理方法に関するものである。」 イ 「【課題を解決するための手段】 【0006】 請求項1に記載のゲーム用サーバ装置は、外部からの操作を受け付ける複数の端末装置と通信可能に接続され、仮想的なチーム戦のゲーム大会として前記端末装置からの操作情報を用いて所定期間内又は所定回数だけ行う対戦ゲームの進行を管理するゲーム用サーバ装置であって、プレイヤの識別情報を所定人数のプレイヤが仮想的に所属するチームの識別情報と対応付けて所定数のチーム分だけ格納するチーム情報記憶手段と、前記端末装置からプレイヤの識別情報を受信することに対応して、前記対戦ゲームへの該プレイヤの参加を前記所定期間内又は前記所定回数だけ受け付けると共に、受け付けた端末装置の中から対戦相手として所定数の端末装置を選定する参加受付手段と、受け付けられた端末装置と対戦相手として選定された端末装置との間で対戦ゲームを実行させるゲーム実行指示手段と、前記対戦ゲーム終了時にプレイヤの順位に応じてポイントを決定し、決定したポイントを仮想的にプレイヤに付与するポイント付与手段と、前記ゲーム大会終了時に、チーム毎に、チーム内の各プレイヤに付与されたポイントをチームポイントとして合算し、合計値の高い順にチームの順位を決定する集計手段と、プレイヤに対して、プレイヤが仮想的に所属するチームの順位に応じた特典を付与する特典付与手段とを備えることを特徴としている。」 ウ 「【0093】 図9は、センターサーバ装置3の制御部36の一例を示す機能構成図である。制御部36のCPU361は、クライアント端末装置1からプレイヤの識別情報を受信することに対応して、予選への該プレイヤの参加を所定期間内だけ受け付けると共に、受け付けたクライアント端末装置1の中から対戦相手として所定数のクライアント端末装置1を選定する予選受付部361a(予選受付手段に相当する)と、受け付けられたクライアント端末装置1と対戦相手として選定されたクライアント端末装置1との間で対戦ゲームを実行させる予選対戦指示部361b(予選対戦指示手段に相当する)と、予選の各対戦ゲーム終了時にプレイヤの順位に応じてゲーム毎のポイントを決定し、決定したポイントを仮想的にプレイヤに付与する予選ポイント付与部361c(予選ポイント付与手段に相当する)と、予選終了時に、プレイヤ毎に付与されたポイントを合算し、チーム毎に、チーム内の各プレイヤのポイントの合計値の高い順にプレイヤの順位を決定する予選集計部361d(予選集計手段に相当する)と、チーム内の順位が上位のプレイヤから順に所定数のプレイヤを予選通過者として選定し、後述するチーム情報記憶部362bにプレイヤの識別情報を格納する予選通過判定部361e(予選通過判定手段に相当する)とを備えている。 【0094】 なお、予選受付部361a、予選対戦指示部361b、予選ポイント付与部361c、予選集計部361d、及び、予選通過判定部361eは、予選実行手段に相当するものである。ここで、チームは、1道1都2府43県の47都道府県と香港とを合わせた計48チームである。すなわち、例えば、兵庫県にあるゲームセンタ内のクライアント端末装置1を介してユーザ登録(センターサーバ装置3への登録)をした場合には、プレイヤは兵庫県チームに仮想的に所属することになる。 【0095】 更に、制御部36のCPU361は、クライアント端末装置1からプレイヤの識別情報を受信することに対応して、決勝戦への該プレイヤの参加を所定期間内だけ受け付けると共に、受け付けたクライアント端末装置1の中から対戦相手として所定数の端末装置を選定する決勝参加受付部361f(参加受付手段に相当する)と、受け付けられたクライアント端末装置1と対戦相手として選定された所定数のクライアント端末装置1との間で対戦ゲームを実行させる決勝対戦指示部361g(ゲーム実行指示手段に相当する)と、各対戦ゲーム終了時にプレイヤの順位に応じてポイントを決定し、決定したポイントを仮想的にプレイヤに付与する決勝ポイント付与部361h(ポイント付与手段に相当する)と、決勝戦終了時に、チーム毎に、チーム内の各プレイヤに付与されたポイントをチームポイントとして合算し、合計値の高い順にチームの順位を決定する決勝集計部361i(集計手段に相当する)と、プレイヤに対して、プレイヤが仮想的に所属するチームの順位に応じた特典を付与する特典付与部361j(特典付与手段に相当する)とを備えている。」 エ 「【0109】 特典付与部361jは、プレイヤに対して、プレイヤが仮想的に所属するチームの順位に応じて予め設定された特典を、決勝集計部361iによって算出されたプレイヤの獲得ポイントの合計値(=個人ポイント)が正である場合に限って、この個人ポイントに比例して配分し、付与するものである。 【0110】 ここで、プレイヤのゲーム上の強さを表す段位(初段?八段)を決定するファイトオーブ(以下、オーブという)を例として、特典付与部361jによるプレイヤへの付与方法について具体的に説明する。まず、図10に示す段位(初段?八段)の付与条件を示す図表を用いて、段位とオーブ個数との関係について説明する。 【0111】 図10は、プレイヤの本ゲームにおける強さのレベルを表わす段位(初段?八段)の付与条件を示す図表である。所定の成績を納めた(例えば、対戦ゲームにおいて、1位になった回数が10回以上である)プレイヤ(又は、初めてゲームに参加するプレイヤ)に対して、仮想的にオーブというアイテムを3個付与すると共に、段位を初段とする。そして、プレイヤが仮想的に所持しているオーブがプレイヤ間で移動された結果、プレイヤが仮想的に所持しているオーブの個数が変化し、更新的に格納される。なお、大会ではない通常の対戦ゲーム(東風戦)においては、4位のプレイヤが仮想的に所持しているオーブが1個だけ1位のプレイヤに移動される。例えば、オーブの個数が5個以上10個未満となった時に段位を二段とする。そして、オーブの個数の増加(あるいは減少)に伴って段位を上昇(あるいは降下)させ、オーブの個数が46個以上となった時に段位を八段とする。 【0112】 つぎに、特典付与部361jによるオーブのプレイヤへの付与方法について説明する。まず、特典付与部361jは、プレイヤが仮想的に所属するチームの順位に応じて予め設定された個数のオーブを(チームの順位が上位である程、多くの個数のオーブを)、当該チームに仮想的に所属するプレイヤに分配するオーブとする。例えば、チームの順位が、1、2位である場合にはそれぞれ、500、300個のオーブが設定され、3位?8位である場合には、200個のオーブが設定され、9位?100位である場合には、100個のオーブが設定される。 【0113】 そして、特典付与部361jは、チームの順位に応じて予め設定された個数(以下、チーム付与オーブ個数という)のオーブを、プレイヤの個人ポイントが正である場合に限って、この個人ポイントに比例して配分し、付与する。具体的には、次の(1)式を用いて算出された個数のオーブがプレイヤに付与される。 (オーブ個数)=(貢献度)×(チーム付与オーブ個数) (1) ただし、(1)式中の貢献度は、次の(2)式で定義されるチーム内の各プレイヤの決勝戦におけるチームへの仮想的な貢献度(チームの順位を上げるための仮想的な貢献度)である。また、(1)式の右辺の計算の結果が小数部を有する場合には、切上げるものとする。 (貢献度)=(プレイヤの獲得ポイントの合計値)÷(総合計値) (2) ここで、総合計値は、チーム内のプレイヤの内、個人ポイントが正である全プレイヤについて、個人ポイントを合算したものである。」 オ 「【0180】 (G)本実施形態においては、チームが都道府県単位に構成される場合について説明したが、他の地域である形態でもよいし、他の条件による形態でもよい。例えば、国別のチームでもよいし、市町村単位のチームでもよい。また、会社別のチームでもよいし、家族毎のチームでもよい。」 (2)引用発明3について 上記(1)の事項から、引用文献3には、以下の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されているものと認められる。 「外部からの操作を受け付ける複数の端末装置と通信可能に接続され、仮想的なチーム戦のゲーム大会として前記端末装置からの操作情報を用いて所定期間内又は所定回数だけ行う対戦ゲームの進行を管理するゲーム用サーバ装置であって、プレイヤの識別情報を所定人数のプレイヤが仮想的に所属するチームの識別情報と対応付けて所定数のチーム分だけ格納するチーム情報記憶手段と、プレイヤに対して、プレイヤが仮想的に所属するチームの順位に応じた特典を付与する特典付与手段とを備え、 特典付与手段は、プレイヤが仮想的に所属するチームの順位が上位である程、多くの個数のオーブを、当該チームに仮想的に所属するプレイヤに分配するオーブとして設定し、チームの順位に応じて予め設定された個数のオーブを、プレイヤの個人ポイントに比例して配分し、付与し、 チームは、都道府県単位、国別、市町村単位、会社別、又は、家族毎に構成される、 ゲーム用サーバ装置。」 4.引用文献4について (1)引用文献4の記載事項 前置報告書において引用され、原出願日前である平成18年2月2日に頒布された刊行物である特開2016-30213号公報(以下、「引用文献4」という。)には、次の事項が記載されている。 ア 「【技術分野】 【0001】 本発明は、サーバ装置の制御方法、サーバ装置及びプログラムに関する。」 イ 「【0011】 更に、上記課題を解決するために本発明に係るサーバ装置は、少なくとも1つの端末装置と通信を行うことにより当該端末装置に対してゲームを提供するサーバ装置であって、ユーザをグループに対応付ける対応付け部と、ゲーム又はゲーム内のイベントの少なくとも一方に対するユーザの活動に関する情報に基づいて、当該ユーザが対応付けられたグループの活動に関する情報を判定する判定部と、前記グループの活動に関する情報に基づいてグループに報酬を対応付ける報酬付与部であって、前記ゲーム内で一のユーザによって行われた、同一のグループ内の他のユーザに対する救援の回数若しくは内容、又は、協力の回数若しくは内容に応じて、前記報酬の価値を変更する、報酬付与部とを備える。」 ウ 「【0016】 [システム構成] 図1は、本発明の一実施形態に係るゲームシステムの機能ブロック図である。ゲームシステムにおいて、ネットワークを介してサーバ装置1と端末装置2が通信する。サーバ装置1及び端末装置2の数は限定されない。端末装置2は、携帯型の端末であっても、設置型の端末であってもよい。 【0017】 サーバ装置1は、制御部11、対応付け部12、判定部13、報酬付与部14、通信部15及び記憶部16を備える。サーバ装置1は、端末装置2に対してゲームを提供する。サーバ装置1の各種動作は制御部11により制御される。本発明に係るサーバ装置1の各機能を説明するが、サーバ装置1が備える他の機能を排除することを意図したものではないことに留意されたい。 【0018】 対応付け部12は、ユーザをグループに対応付ける。1つのグループには1以上のユーザが対応付けられる。どのような基準に基づいて対応付け部12が対応付け(以下、グループ分けともいう)を行うかは後述する。」 エ 「【0034】 [対応付け処理] 本実施形態に係るゲームシステムが行う処理を具体的に説明する。まず、ゲームシステムがどのようにユーザをグループへ対応付けるかを説明する。対応付け処理において対応付け部12は、ユーザ操作によって同一の対象に関連付けられた少なくとも一のユーザを同一のグループに対応付ける。具体的には、後述するような方法がある。」 オ 「【0044】 また、対応付け部12は、グループ分けを、グループ分けを行う前の各ユーザの活動状況に基づいて行ってもよい。例えば、各グループに含まれるユーザのログイン数によって参加状況を判定する場合、仮に過去の所定の期間においてログイン数が多いユーザ同士でグループを組んでしまうと、そのグループに含まれるユーザの合計ログイン数は多くなる可能性が高くなる。結果的に、そのグループの参加状況が他のグループの参加状況に比べて良いと判定される可能性が高くなり、判定結果に偏りが生じてしまう。そこで、対応付け部12は、過去の所定の期間においてログイン数が多いユーザが同じグループにならないようにグループ分けを行ってもよい。」 カ 「【0058】 [報奨付与処理] 次に、参加状況判定処理で報酬を付与すると判定されたグループ(参加状況が良いと判定されたグループ)に対して、どのように報酬を付与するかを説明する。報酬付与部14は、グループの活動の度合いに基づいて報酬を付与する。具体的には、後述のような方法がある。 【0059】 報酬付与部14が報酬をユーザ単位で付与する場合、ゲームでの活動意欲を向上させるため、報酬は、例えばユーザのログインを促すものであることが望ましい。そこで、報酬は例えば、ログインボーナス(ログインしたことに対する報酬)でしか手に入らないカード、ユーザの投票によって上位となったカード、アイテム、ゲーム内通貨等であってもよい。 【0060】 報酬付与部14が報酬をグループ単位で付与する場合、報酬は、例えば、グループの運営に利用されるゲーム内通貨やグループ間の対戦で用いることのできるアイテム等であってもよい。 【0061】 報酬付与部14は、報酬を、グループの参加状況に応じて段階的に差をつけて複数グループに付与してもよい。 【0062】 報酬は、報酬を付与されるユーザが複数の報酬の候補の中から選択可能であってもよい。 【0063】 更に、報酬付与部14は、ゲーム又はゲーム内のイベントの少なくとも一方に対する活動状況を活性化させる、同じグループに対応付けられたユーザ間の関与に応じて報酬の価値を変更してもよい。例えば、報酬付与部14は、グループに属するユーザが活動状況の活性化を図る行為を行った場合に、報酬の価値を高めてもよい。また、上記の活性化を図る行為の結果、活動状況が活性化した場合、報酬付与部14はさらに、報酬の価値を高めてもよい。具体的には、あるユーザが、同じグループ内の他のユーザに所定期間内に所定のゲーム又はゲーム内のイベントへの招待メールを送信した場合に、報酬付与部14は、そのユーザが対応付けられたグループに対する報酬の価値を高めてもよい。報酬の価値を高めることとは、例えば、報酬の数を増やすこと、より高い価値の報酬に変更すること及び/又は報酬獲得率を高めることである。報酬付与部14は、招待メールを受信したユーザが実際にイベントに参加した場合にのみ報酬の価値を高めてもよい。」 (2)引用発明4について 上記(1)の事項から、引用文献4には、以下の発明(以下、「引用発明4」という。)が記載されているものと認められる。 「少なくとも1つの端末装置と通信を行うことにより当該端末装置に対してゲームを提供するサーバ装置であって、 ユーザをグループに対応付ける対応付け部と、 ゲーム又はゲーム内のイベントの少なくとも一方に対するユーザの活動に関する情報に基づいて、当該ユーザが対応付けられたグループの活動に関する情報を判定する判定部と、 前記グループの活動に関する情報に基づいてグループに報酬を対応付ける報酬付与部であって、前記ゲーム内で一のユーザによって行われた、同一のグループ内の他のユーザに対する救援の回数若しくは内容、又は、協力の回数若しくは内容に応じて、前記報酬の価値を変更する、報酬付与部とを備え、 対応付け部は、グループ分けを、グループ分けを行う前の各ユーザの活動状況に基づいて行う、 サーバ装置。」 5.周知技術について 引用文献2には、「この装置は、複数のプレイヤの中の2以上のプレイヤから構成されるプレイヤグループを、記憶部に記憶して管理するグループ管理部と出現確率が異なる複数種類の報酬から構成される報酬グループを対象として報酬を選択し、プレイヤに提供する報酬選択部と、各プレイヤに許可する報酬取得回数の上限を定める報酬取得許可回数と、複数種類の報酬それぞれの出現確率との少なくともいずれか一方を含む報酬選択の仕様を、プレイヤグループ毎に対応づけて記憶部に記憶して管理する仕様管理部と、プレイヤグループを構成するプレイヤから、仕様を変更する変更操作を取得する変更取得部とを備える。仕様管理部は、変更取得部がプレイヤから取得した変更操作に応じて、当該プレイヤを含むプレイヤグループに対応する仕様を変更する。」(【0019】)、「なお、報酬選択部140は、第1報酬選択モードと第2報酬選択モードとの2種類の報酬選択モードを持ち、それぞれの報酬選択モードに対応する2種類の報酬選択を実行する。」(【0048】)、及び、「第2報酬選択モードは、複数種類の報酬それぞれの提供可能な上限数を定め、報酬選択によってプレイヤに提供する報酬を決定するとともに、提供した報酬の上限数を減じる報酬選択モードである。」(【0049】)と記載されているとともに、引用文献3には、「まず、特典付与部361jは、プレイヤが仮想的に所属するチームの順位に応じて予め設定された個数のオーブを(チームの順位が上位である程、多くの個数のオーブを)、当該チームに仮想的に所属するプレイヤに分配するオーブとする。」(【0112】)及び「そして、特典付与部361jは、チームの順位に応じて予め設定された個数(以下、チーム付与オーブ個数という)のオーブを、プレイヤの個人ポイントが正である場合に限って、この個人ポイントに比例して配分し、付与する。」(【0113】)と記載されていることからすれば、「同一のグループに含まれる複数のプレイヤ間で、付与可能なゲーム媒体の数が共有される」という技術手段は、原出願日前における周知の技術手段(以下「周知技術」という。)といえる。 第4 対比・判断 1.本願発明1について (1)本願発明1と、引用発明1とを対比すると、以下のことがいえる。 ア 引用発明1のゲームプログラムは、「シップ(サーバ)、並びに、PC及びPS Vitaで実行され」るものであるところ、PC及びPS Vitaは、プレイヤーとなる各々のユーザにより操作される端末であり、かつ、端末であるPC及びPS Vitaが複数台存在することも自明である。よって、引用発明1の「シップ(サーバ)」及び「PC及びPS Vita」は、それぞれ本願発明1の「サーバ装置」及び「各々のユーザにより操作される複数のユーザ端末」に相当する。 イ 引用発明1は、「シップ(サーバ)、並びに、PC及びPS Vitaで実行され、PS Vita版&PC版のオンライン専用ゲームであるファンタシースターオンライン2のゲームプログラム」であるところ、オンラインゲームに係る技術常識を勘案すれば、シップ(サーバ)と、端末であるPC及びPS Vitaとでオンライン専用ゲームのサービスを提供するゲームシステムを構成していること、及び、引用発明1が、シップ(サーバ)と、端末であるPC及びPS Vitaとが通信により接続した状態で実行されるゲームプログラムであることはいずれも当業者にとって明らかであるとともに、ゲームプログラムが、ゲームシステムを、オンラインゲームを実現するために必要な手段として機能させることも当業者にとって自明の事項であるから、上記アの説示も踏まえれば、引用発明1の「シップ(サーバ)、並びに、PC及びPS Vitaで実行され、PS Vita版&PC版のオンライン専用ゲームであるファンタシースターオンライン2のゲームプログラム」は、本願発明1の「各々のユーザにより操作される複数のユーザ端末と、複数のユーザ端末と通信により接続可能なサーバ装置とで実現されるゲームシステム」において「実行されるゲームプログラム」に相当する。 ウ 引用発明1は、「10のシップ(サーバ)に分かれており、各シップ(サーバ)では、複数のプレイヤーが活動しており、10隻あるシップ(サーバ)が2つのシップで1組となり、5つのグループに分かれて競うイベントであるアークスシップ対抗戦」において、「運営チームが過去のプレイヤーデータを分析して、グループごとの戦力が平均化するようにグループを組み合わせ」るものであるところ、一のグループは2つのシップ(サーバ)で構成され、各シップ(サーバ)では複数のプレイヤーが活動している以上、一のグループは複数のプレイヤーで構成されることは明らかであるから、引用発明1において「グループごとの戦力が平均化するようにグループを組み合わせ」ることは、シップ(サーバ)の組み合わせによって、各グループに複数のプレイヤーが含まれるように、複数のプレイヤーを複数のグループに分類することであるといえる。 また、組み合わせたグループの情報を、オンラインゲームを提供するゲームシステムに反映させる必要があることは自明であり、運営チームの入力に基づいて、ゲームシステムが、シップ(サーバ)単位で複数のグループに分類するといえることからすれば、本願発明1の「所定の分類基準に基づいて、複数のユーザを複数のグループに分類するグループ分類手段」と、引用発明1の「運営チームが過去のプレイヤーデータを分析して、グループごとの戦力が平均化するようにグループを組み合わせ」ることとは、「複数のユーザを複数のグループに分類するグループ分類手段」を有する点で一致する。 エ 引用発明1の「賞品」は、上記第3の1.(1)タの「賞品は便利なブーストアイテム類と、イベント限定アイテムが中心。」との記載からすれば、ゲームに用いるゲーム媒体であるといえることから、引用発明1の「賞品」は、本願発明1の「ゲーム媒体」に相当する。 オ 引用発明1は、「集めたスターを消費して、期間中いつでも交換できるものと、最終結果発表後に最終順位によって追加されるものが存在するさまざまな賞品と交換できる」ものであり、最終結果発表後に、プレイヤーが集めたスターを消費することによって交換できる賞品は、グループの最終順位によって追加されるものが存在する以上、グループごとに、少なくとも1種類以上の種類が異なる所定の数の賞品であるといえることから,上記エの説示も踏まえれば、引用発明1の「期間中いつでも交換できるものと、最終結果発表後に最終順位によって追加されるものが存在するさまざまな賞品」は、本願発明1の「グループごとに、少なくとも1種類以上の種類が異なる所定の数のゲーム媒体」に相当する。 カ 引用発明1は、「集めたスターを消費して、期間中いつでも交換できるものと、最終結果発表後に最終順位によって追加されるものが存在するさまざまな賞品と交換できる」ものであって、最終順位によって自動的に賞品をプレイヤーとなるユーザに付与するものではなく、プレイヤーとなるユーザから、集めたスターを消費して賞品と交換する旨の要求があってはじめてユーザに賞品を付与するものであることは明らかであることからすれば、上記オの説示も踏まえれば、引用発明1の「集めたスターを消費して、期間中いつでも交換できるものと、最終結果発表後に最終順位によって追加されるものが存在するさまざまな賞品と交換できる」ことは、本願発明1の「ゲーム媒体設定手段」が「グループごとに、少なくとも1種類以上の種類が異なる所定の数のゲーム媒体を複数のユーザに付与可能な状態に設定する」ことに相当する。 キ 引用発明1は、「集めたスターを消費して、期間中いつでも交換できるものと、最終結果発表後に最終順位によって追加されるものが存在するさまざまな賞品と交換できる」ものであって、プレイヤーから、集めたスターを消費して賞品と交換する旨の要求に応じて、ユーザに賞品を付与するものであることは明らかであるから、引用発明1の「集めたスターを消費して、期間中いつでも交換できるものと、最終結果発表後に最終順位によって追加されるものが存在するさまざまな賞品と交換できる」ことは、本願発明1の「ゲーム媒体付与手段」が「ゲーム媒体設定手段により設定されたゲーム媒体を、ユーザ端末からの付与要求に基づき、ユーザに付与する」ことにも相当する。 ク 上記アないしキから、本願発明1と引用発明1とは、以下の点で一致する。 [一致点] 「各々のユーザにより操作される複数のユーザ端末と、複数のユーザ端末と通信により接続可能なサーバ装置とで実現されるゲームシステム」において「実行されるゲームプログラムであって、」ゲームシステムを、 「複数のユーザを複数のグループに分類するグループ分類手段、 グループごとに、少なくとも1種類以上の種類が異なる所定の数のゲーム媒体を複数のユーザに付与可能な状態に設定するゲーム媒体設定手段、 ゲーム媒体設定手段により設定されたゲーム媒体を、ユーザ端末からの付与要求に基づき、ユーザに付与するゲーム媒体付与手段 として機能させるゲームプログラム」。 ケ そして、本願発明1と引用発明1とは、以下の点で相違する。 [相違点1] 本願発明1は、ゲームプログラムが、ゲームシステムにおける「サーバ装置」を手段「として機能」させるものであるのに対し、引用発明1は、ゲームシステムを手段「として機能させる」ものであるが、ゲームシステムにおける「サーバ」を手段「として機能」させるものであるのか否かは不明である点。 [相違点2] 本願発明1は、「同一のグループに含まれる複数のユーザ間で、付与可能なゲーム媒体の数が共有される」のに対し、引用発明1は、「集めたスターを消費して、期間中いつでも交換できるものと、最終結果発表後に最終順位によって追加されるものが存在するさまざまな賞品」の数が同一のグループに含まれる複数のプレイヤー間で共有されるのか否かが不明である点。 [相違点3] 本願発明1は、「所定の分類基準のうちの一つの基準が、ユーザのレベルであ」る、「所定の分類基準に基づいて、」複数のユーザを複数のグループに分類するのに対し、引用発明1は、運営チームが過去のプレイヤーデータを分析して、グループごとの戦力が平均化するようにグループを組み合わせている点。 (2)相違点についての判断 上記各相違点について以下検討する。 ア [相違点1]について オンラインゲームにおいて、ゲームを提供する際の各機能を、サーバで実現するか、ユーザ端末で実現するかは、各機能をサーバ装置で実現することの必要性の有無や、制御負荷の分担等を考慮して、当業者が適宜選択し得る設計的事項であり、引用発明1において、ゲームシステムにおける「サーバ」を、プレイヤーにゲームを提供するための各手段「として機能」させることによって、相違点1に係る本願発明1の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。 イ [相違点2]について 上記第3の5.で説示したように、同一のグループに含まれる複数のプレイヤ間で、付与可能なゲーム媒体の数が共有される、という技術は周知技術であり、当該周知技術は、本願発明1の「同一のグループに含まれる複数のユーザ間で、付与可能なゲーム媒体の数が共有される」に相当する。 そして、引用発明1、並びに、上記周知技術は、いずれもオンラインゲームの技術分野に属するとともに、複数のユーザを複数のグループに分類し、グループごとに、ユーザに付与可能なゲーム媒体を設定する点で共通の技術的特徴を有するものであることからすれば、引用発明1において、上記周知技術を適用して、「集めたスターを消費して、期間中いつでも交換できるものと、最終結果発表後に最終順位によって追加されるものが存在するさまざまな賞品」の数を、グループに属するプレイヤー間で共有することによって、上記相違点2に係る本願発明1の構成とすることは当業者が容易になし得たことである。 ウ [相違点3]について (ア)引用発明1と引用発明2に基づく本願発明1の容易想到性についての判断 a 引用発明2は、「複数のプレイヤの中の2以上のプレイヤから構成されるプレイヤグループを、記憶部に記憶して管理するグループ管理機能」が「プレイヤグループの構成メンバをプレイ時間が近いプレイヤを集める方法で割り当て」るものであって、「プレイ時間」が、グループに分類するための基準であるといえることから、引用発明2の「プレイ時間」は、上記相違点3に係る本願発明1の「複数のユーザを複数のグループに分類する」ための「所定の分類基準」に相当する。 してみると、引用発明2の「情報処理装置100」において実現される「複数のプレイヤの中の2以上のプレイヤから構成されるプレイヤグループを、記憶部に記憶して管理するグループ管理機能」が「プレイヤグループの構成メンバをプレイ時間が近いプレイヤを集める方法で割り当て」ているのであるから、引用発明2の「情報処理装置100」は、上記相違点3に係る本願発明1の「所定の分類基準に基づいて、複数のユーザを複数のグループに分類するグループ分類手段」を備えているといえる。 b しかしながら、引用発明2において、「所定の分類基準」は「プレイ時間」であるから、本願発明1の「ユーザのレベル」といえるものではない。 c また、引用文献2には、上記第3の2.(1)オでも摘記したように、【0040】に「あるいは、グループ管理部150が、プレイヤグループの構成メンバを任意の方法(例えばランダムに選択する、プレイ時間が近いプレイヤを集める等の方法)で割り当ててもよい。」と記載されているものの、当該記載には、プレイヤのレベルを示唆する記述は含まれていないことから、引用発明2において、上記相違点3に係る本願発明1の「所定の分類基準のうちの一つの基準が、ユーザのレベルであ」る点は示されていないし、上記相違点3に係る本願発明1の「ユーザのレベル」を所定の分類基準として複数のユーザを複数のグループに分類するという構成が、当業者が適宜なし得る設計的事項であったとも認められない。 d よって、上記相違点3に係る本願発明1の発明特定事項は、当業者であっても引用発明1及び引用発明2に基づいて容易に想到し得たことであるとはいえない。 (イ)引用発明1、引用発明2、引用発明3、引用発明4及び周知技術に基づく本願発明1の容易想到性についての判断 a 引用発明3の「プレイヤの識別情報を所定人数のプレイヤが仮想的に所属するチームの識別情報と対応付けて所定数のチーム分だけ格納するチーム情報記憶手段と、プレイヤに対して、プレイヤが仮想的に所属するチームの順位に応じた特典を付与する特典付与手段とを備え」る「ゲーム用サーバ装置」における「チーム」は、「都道府県単位、国別、市町村単位、会社別、又は、家族毎」に構成されるものであって、「ユーザのレベル」を基準に構成されるものではないので、引用発明3は、上記相違点3に係る本願発明1の構成のうち、「所定の分類基準のうちの一つの基準が、ユーザのレベルであり、」に相当する構成を有しているものではなく、また、引用文献3のその他の記載にも、ユーザのレベルを基準としてチームを構成することの示唆はなされていない。 b 引用発明4は、「グループ分けを、グループ分けを行う前の各ユーザの活動状況に基づいて行う」ものであるが、ユーザの活動状況がユーザのレベルを含むことについては、引用文献4には何ら記載されていないため、上記相違点3に係る本願発明1の構成のうち、「所定の分類基準のうちの一つの基準が、ユーザのレベルであり、」に相当する構成を有しているものではなく、また、引用文献4のその他の記載にも、ユーザのレベルを基準としてグループ分けを行うことの示唆はなされていない。 c 周知技術は、「同一のグループに含まれる複数のプレイヤ間で、付与可能なゲーム媒体の数が共有される」という技術手段についてのものであって、複数のユーザを複数のグループに分類するというものではないから、上記周知技術には、ユーザのレベルを基準としてチームを構成することの示唆はなされていない。 d よって、上記相違点3に係る本願発明1の発明特定事項は、当業者であっても引用発明1、引用発明2、引用発明3、引用発明4及び周知技術に基づいて容易に想到し得たことであるとはいえない。 (3)小括 したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明1、引用発明2、引用発明3、引用発明4及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 2.本願発明2ないし4について 本願発明2ないし3は、本願発明1をさらに減縮した発明であり、本願発明1の上記相違点3に係る発明特定事項を備えるものである。 また、本願発明4は、ゲームプログラムの発明である本願発明1に対応するゲームシステムの発明であり、本願発明1とカテゴリ表現が異なるだけの発明であり、本願発明1の上記相違点3に係る発明特定事項を備えるものである。 よって、本願発明2ないし4は、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1、引用発明2、引用発明3、引用発明4及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。 第5 原査定の概要及び原査定についての判断 1.原査定の概要 原査定は、平成30年12月27日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1-5に係る発明について、上記引用文献1及び周知技術(上記引用文献2及び引用文献3)に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものであるとともに、平成30年12月27日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項5に係る発明について、上記引用文献1に記載されているから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないか、上記引用文献1に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。 2.原査定についての判断 しかしながら、令和3年1月7日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1-4に係る発明である本願発明1-4は、上記相違点3に係る本願発明1の発明特定事項である、「所定の分類基準のうちの一つの基準が、ユーザのレベルであ」る、「所定の分類基準に基づいて、」複数のユーザを複数のグループに分類する、という構成を有するものであるから、上記第4の1.(2)ウ及び2.で説示した理由により、当業者であっても、引用文献1、引用文献2及び引用文献3に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。また、上記第4の1.(1)ケで示したように、本願発明1と引用発明1との間には、少なくとも上記相違点3があることから、本願発明1-4が引用発明1と同一であるともいえない。 したがって、原査定を維持することはできない。 第6 当審拒絶理由について 1.第1の当審拒絶理由について (1)特許法第36条第6項第2号について ア 当審では、令和1年8月28日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1-4に係る発明は、以下の点で特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとの拒絶の理由を通知している。 (ア)令和1年8月28日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1には、「ユーザのレベルを含む所定の分類基準に基づいて、複数のユーザを複数のグループに分類するグループ分類手段」と記載されているが、「ユーザのレベルを含む」ことが「所定の分類基準」をどのように特定するのかが明確でない。 (イ)令和1年8月28日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1には、「ゲーム媒体設定手段が、グループごとに、異なるゲーム媒体をユーザに付与可能な状態に設定可能なものであり」と記載されているが、グループごとに、種類が異なるゲーム媒体をユーザに付与可能な状態に設定可能なものに限られるのか、グループごとに、同種の別のゲーム媒体をユーザに付与可能な状態に設定可能なものも包含するのかが明らかでない。 (ウ)令和1年8月28日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1には、「前記所定の数が、同一グループに含まれる複数のユーザ間で共有されるものである」と記載されているが、この記載が、「同一のグループに含まれる複数のユーザ間」で「所定の数」の情報が共有されることを特定するのか、「同一のグループに含まれる複数のユーザ」のそれぞれに対して、「所定の数」が共通して適用されることを特定するのかが明らかでない。 (エ)令和1年8月28日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項2ないし4に係る発明についても、上記(ア)ないし(ウ)と同様に明確でない。 イ 本願発明1ないし4が、第1の当審拒絶理由における特許法第36条第6項第2号の拒絶理由を解消しているか否かについて (ア)上記ア(ア)の理由に対して、令和3年1月7日付け手続補正書による手続補正により、本願発明1ないし4において、「所定の分類基準に基づいて、複数のユーザを複数のグループに分類するグループ分類手段」及び「所定の分類基準のうちの一つの基準が、ユーザのレベルであり、」と、所定の分類基準のうちの一つの基準が、ユーザのレベルであることが明確に特定されたため、上記ア(ア)の拒絶の理由は解消した。 (イ)上記ア(イ)の理由に対して、令和3年1月7日付け手続補正書による手続補正により、本願発明1ないし4において、「グループごとに、少なくとも1種類以上の種類が異なる所定の数のゲーム媒体を複数のユーザに付与可能な状態に設定するゲーム媒体設定手段」と、異なるゲーム媒体が、少なくとも1種類以上の種類が異なるゲーム媒体であることが明確に特定されたため、上記ア(イ)の拒絶の理由は解消した。 (ウ)上記ア(ウ)の理由に対して、令和3年1月7日付け手続補正書による手続補正により、本願発明1ないし4において、「同一のグループに含まれる複数のユーザ間で、付与可能なゲーム媒体の数が共有される」と、「同一のグループに含まれる複数のユーザ間」で共有されるのが「所定の数」ではなく、「付与可能なゲーム媒体の数」であることが明確に特定されたため、上記ア(ウ)の拒絶の理由は解消した。 (エ)上記ア(エ)については、上記(ア)?(ウ)と同様の理由により、上記ア(エ)の拒絶の理由は解消した。 (2)特許法第36条第6項第1号について ア 当審では、令和1年8月28日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1-4に係る発明は、以下の点で特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないとの拒絶の理由を通知している。 (ア)発明の詳細な説明には、【0099】ないし【0121】、図14及び図15に、「付与可能な状態に設定されたゲーム媒体ごとに、付与可能なゲーム媒体の数の上限を設定すること」が記載されているものと認められるとともに、発明の詳細な説明には、そのようにしたことの効果に関して、「・・・実力が近くランキングを競い合う上でのライバル同士となるユーザ間で、ゲーム媒体の上限が共有されるため、他のユーザとの駆け引きがより重要となり、ゲームの戦略性を高めることが可能となる」(【0149】)と記載されているが、令和1年8月28日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1の記載では、「所定の数」が「上限の値」であることを特定しないため、令和1年8月28日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されたものと対応しない。 (イ)上記(ア)と同様の理由により、令和1年8月28日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項2-4に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。 イ 本願発明1ないし4が、第1の当審拒絶理由における特許法第36条第6項第1号の拒絶理由を解消しているか否かについて (ア)上記ア(ア)の理由に対して、令和3年1月7日付け手続補正書による手続補正により、本願発明1ないし4において、「同一のグループに含まれる複数のユーザ間で、付与可能なゲーム媒体の数が共有される」と、「同一のグループに含まれる複数のユーザ間」で共有されるのが「所定の数」ではなく、「付与可能なゲーム媒体の数」であることが特定され、当該特定された事項は、発明の詳細な説明の【0113】に裏付けられているため、上記ア(ア)の拒絶の理由は解消した。 (イ)上記ア(イ)の理由については、上記(ア)と同様の理由により、上記ア(イ)の拒絶の理由は解消した。 2.第2の当審拒絶理由について (1)特許法第36条第6項第2号について ア 当審では、令和2年9月14日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1-4に係る発明は、以下の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとの拒絶の理由を通知している。 (ア)令和2年9月14日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1には、「ゲーム媒体設定手段」について、(1)「ゲーム媒体を複数のユーザに付与可能な状態に設定する」という機能、(2)「グループごとに、種類が異なるゲーム媒体及び/又は同種の別のゲーム媒体をユーザに付与可能な状態に設定可能な」という機能、及び、(3)「グループごとに、所定の数のゲーム媒体を複数のユーザに付与可能な状態に設定する」という機能が、それぞれ特定されているが、上記(1)の「ゲーム媒体を複数のユーザに付与可能な状態」(特に「付与可能な状態」)とは具体的にどのような状態を意味しているのか明らかでなく、これに対して、上記(2)及び(3)では、いずれも「付与可能な状態」の内容を具体的に特定しているものと解されるが、請求項1の記載では、上記(1)?(3)がそれぞれ独立に記載されていることから、上記(1)?(3)における相互の技術的関係については何ら特定されておらず、そのため、請求項1の記載では、請求項1に係る発明が、「ゲーム媒体を複数のユーザに付与可能な状態に設定するゲーム媒体設定手段」における具体的な機能として、上記(2)及び(3)を特定しているものであるのか、「ゲーム媒体設定手段」が、上記(1)、(2)及び(3)の機能をそれぞれ有することを単に特定しているものであるのかを明確に把握することができない。 (イ)令和2年9月14日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1には、「ゲーム媒体設定手段が、グループごとに、種類が異なるゲーム媒体及び/又は同種の別のゲーム媒体をユーザに付与可能な状態に設定可能なものであり、」と記載されているが、当該「同種の別のゲーム媒体」について、種類(例:レア度)は同じだが互いに別のものであることが識別可能なゲーム媒体を「同種の別のゲーム媒体」と特定しているのか、それとも、種類が同じで互いに違いを識別できない複数のゲーム媒体のそれぞれを「同種の別のゲーム媒体」と特定しているのか、を明確に把握することができない。 (ウ)令和2年9月14日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項2-4についても、上記(ア)及び(イ)と同様に明確でない。 イ 本願発明1ないし4が、第2の当審拒絶理由における特許法第36条第6項第2号の拒絶理由を解消しているか否かについて (ア)上記ア(ア)の理由に対して、令和3年1月7日付け手続補正書による手続補正により、本願発明1ないし4における「ゲーム媒体設定手段」が、「グループごとに、少なくとも1種類以上の種類が異なる所定の数のゲーム媒体を複数のユーザに付与可能な状態に設定するゲーム媒体設定手段」とゲーム媒体の種類と数についての構成を取り込んで一つにまとめられたことにより、上記ア(ア)の拒絶の理由は解消した。 (イ)上記ア(イ)の理由に対して、令和3年1月7日付け手続補正書による手続補正により、「種類が異なるゲーム媒体及び/又は同種の別のゲーム媒体」を「少なくとも1種類以上の種類が異なる」「ゲーム媒体」と、グループごとに、「少なくとも1種類以上の種類が異なる」ゲーム媒体を複数のユーザに付与可能な状態に設定することが明確に特定されたため、上記ア(イ)の拒絶の理由は解消した。 (ウ)上記ア(ウ)の理由については、上記(ア)及び(イ)と同様の理由により、上記ア(ウ)の拒絶の理由は解消した。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明1ないし4は、原査定の理由及び当審拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2021-03-02 |
出願番号 | 特願2017-253929(P2017-253929) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
WY
(A63F)
P 1 8・ 121- WY (A63F) P 1 8・ 537- WY (A63F) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 比嘉 翔一 |
特許庁審判長 |
藤本 義仁 |
特許庁審判官 |
畑井 順一 古川 直樹 |
発明の名称 | ゲームプログラム、及びゲームシステム |
代理人 | 特許業務法人ライトハウス国際特許事務所 |