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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B08B
管理番号 1371588
審判番号 不服2020-9948  
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-07-16 
確定日 2021-03-25 
事件の表示 特願2016- 66748号「凍結品搬入システム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年10月 5日出願公開,特開2017-176984号,請求項の数(9)〕について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成28年3月29日の出願であって,令和1年10月30日付けで拒絶理由が通知され,同年12月16日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がされたが,令和2年4月17日付けで拒絶査定(以下,「原査定」という。)がされ,これに対し,令和2年7月16日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
本願の請求項1?9に係る発明は,以下の引用文献1-8に基いて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項 1,2,6-9
・引用文献等 1-4,7,8

・請求項 3-5
・引用文献等 1-8

引用文献等一覧
1.特開2004-275464号公報
2.特開2010-200711号公報
3.特開平4-186043号公報
4.再公表特許第2004/114378号
5.特開平10-287310号公報
6.特開2006-29606号公報
7.特開平5-64575号公報(周知技術を示す文献:新たに引用した文献)
8.特開2001-340215号公報(周知技術を示す文献:新たに引用した文献)

第3 本願発明
本願請求項1?9に係る発明(以下,「本願発明1」?「本願発明9」という。)は,令和2年7月16日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?9に記載された事項により特定される,以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】
凍結品を清浄度の低い空間から清浄度の高い空間へ搬入するシステムであって,凍結品に付着した微粒子を除去する微粒子除去部,凍結品に付着した微生物を除去する微生物除去部,凍結品を温めて解凍する解凍部および凍結品の清浄度を測定する清浄度測定部を備え,前記清浄度測定部は,微粒子除去,微生物除去および解凍が行われた凍結品の清浄度を,前記清浄度の高い空間の清浄度と同等の環境下で搬入前に測定できるように構成されている,
前記システム。
【請求項2】
清浄度測定部における清浄度が,ISO,Class1?9である,請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
所定の高い清浄度の空気が,清浄度の高い空間から清浄度の低い空間へ向けて流れる,請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
微粒子除去部と,微生物除去部と,解凍部とで,微粒子除去を行うことができる,請求項1?3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
清浄度の高い空間が,バイオクリーンルームである,請求項1?4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
解凍部が,温度検知装置,温風発生装置,転倒混和機構,振動機構,水分回収機構,および湿度測定機構からなる群から選択される,少なくとも1つを含む,請求項1?5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
凍結品を清浄度の低い空間から清浄度の高い空間へ搬入する方法であって,凍結品に付着した微粒子を除去する工程,凍結品に付着した微生物を除去する工程,凍結品を温めて解凍する工程,および,微粒子除去,微生物除去および解凍が行われた凍結品の清浄度を,前記清浄度の高い空間の清浄度と同等の環境下で搬入前に測定する工程を含み,前記各工程が連続的かつ自動的に行われる,前記方法。
【請求項8】
凍結品が凍結細胞であり,凍結品を解凍する工程において,解凍温度36?38℃,解凍時間2分以内で,凍結細胞を解凍する,請求項7に記載の方法。
【請求項9】
各工程が,請求項1?5のいずれか一項に記載のシステムを用いて行われる,請求項7または8に記載の方法。」

第4 引用文献,引用発明等
(1)引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には,図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。以下同様。)。
・「【請求項3】
作業者が作業するクリーンルーム内の作業エリアに前記作業者が取り扱う物品を消毒して搬入するためのクリーンルーム用物品受け渡し装置において,
エアシャワー後に消毒液を噴霧して,前記物品を消毒した後に,このクリーンルーム用物品受け渡し装置内の空気を外部に排気して,このクリーンルーム用物品受け渡し装置内に前記クリーンルーム内の空気が流入することを特徴とするクリーンルーム用物品受け渡し装置。」
・「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,クリーンルームの作業エリアに物品を消毒して搬入するためクリーンルーム用物品受け渡し装置(所謂パスボックス)に関する。」
・「【0021】
Fは,本願のパスボックスである。このパスボックスFは,カート搬入搬出可能なパスボックスである。1は外側に開くフレンチドアである。2はクリーンルーム側に開くフレンチドアである。
【0022】
図2は,このパスボックスFの上面からの図である。1は外側に開くフレンチドアである。2はクリーンルーム側に開くフレンチドアである。
【0023】
3はパスボックスFの通過エリアである。4は噴霧・排気ユニットエリアである。5はエアシャワーユニットエリアである。6はクリーンルーム側操作盤であり,7は外側操作盤である。8,8は消毒液噴霧用ノズルである。9は排気フランジである。
【0024】
図3において,1は外側に開くフレンチドアである。4は排気ユニットエリアである。5はエアシャワーユニットエリアである。8,8は消毒液噴霧用ノズルである。9は排気フランジである。
【0025】
エアシャワーユニットエリア5において,10はエアシャワー用HEPAフィルタである。11は,ジェットエアファンである。12はプレフィルタである。このファン11を駆動することにより,パスボックス内にジェットエアが噴出され,このエアはプレフィルタ12及びHEPAフイルタ3により浄化され再びパスボックス内に噴出される。これにより,パスボックス内の物品の清浄をある程度行える。20はエアジェットノズルである。
【0026】
噴霧・排気ユニットエリア4において,13は台,14はアルコール液タンクであり,このアルコール液が図示省略したポンプによりミスト状になりパスボックス内にノズル8,8から噴霧される。15は排気用HEPAフィルタである。16は排気ファンである。ファン16を駆動することにより,パスボックス内の空気はHEPAフイルタ15を介して外部に排出される。これにより,パスボックス内にはクリーンルーム側から空気が流れ込み換気を行うことが出来る。
【0027】
17はドア1のロック機構であり,ドア1をロックして,エアシャワー中,噴霧中,排気中にドア1及びドア2の開放を禁止するためのものである。
【0028】
図4は,このパスボックスFの内側の図である。1は外側に開くフレンチドアである。2はクリーンルーム側に開くフレンチドアである。6はクリーンルーム側操作盤であり,7は外側操作盤である。12はプレフィルタである。17,17はドア1,2のロック機構であり,ドア1,2をロックして,エアシャワー中,噴霧中,排気中にドア1及びドア2の開放を禁止するためのものである。18は蛍光灯である。20はエアジェットノズルである。21は緊急停止・扉ロック解除ボタンである。」
・「【0031】
まず,外部作業者は,クリーンルーム内で作業者が使用する物品をカートに載せ,パスボックスF前まで押して行く。
【0032】
次に,外部作業者は,ドア1を開けて,カートをパスボックス内に移動せしめる。ドア1を閉める。操作盤7の起動スイッチを押す。これにより,ロック機構17,17がドア1,2をロックする。そして,ファン11を駆動してエアシャワーをカートに浴びせる。これにより,カート及びカートに載せられた物品のホコリ等が除去できる。この実施形態では40秒ほど行い終了する。
【0033】
次に,図示しないポンプにより,アルコール液の噴霧を行う。これにより,300ccほどの消毒液(アルコール液)を3分間ほどパスボックス内に噴霧して消毒を行う。
【0034】
その後,消毒液による消毒がすすむように3分間ほど放置する。
【0035】
そして,ファン16を駆動して,このパスボックス内のアルコールを外部に強制排気する。10秒ほどで,パスボックス内の霧状物は外部に排気され,クリーンルーム側から清浄な空気が流入する。
【0036】
物品に付着した霧状のアルコールの蒸発・排気のために,この排気は1分間ほど行われる。ファン16の停止後に,操作盤6において,完了ブザーが短く鳴ると共に,完了ランプが点灯しこの点灯は継続される。
【0037】
クリーンルーム内の作業者は,消毒が完了したことを知り,操作盤6のリセットスイッチを押す。これにより,ドアのロックが外れる。そして,ドア2を開けて,カートをクリーンルーム内の作業エリアにいれる。
【0038】
クリーンルーム内からカート等を出す場合は,ドア2を開けて,カートをパスボックス内に入れ,操作盤の出庫スイッチを押すと,外側の操作盤7において,完了ブザーが短く鳴ると共に,完了ランプが点灯しこの点灯は継続される。
【0039】
外部の作業者は,消毒が完了したことを知り,操作盤7のリセットスイッチを押す。そして,ドア1を開けて,カートを搬出する。
【0040】
【発明の効果】
本発明は,消毒液噴霧の前にエアシャワーを行うので,ホコリ等を除去でき少ない消毒液でも十分な消毒ができる。
【0041】
本発明では,パスボックスにおいても強制排気をしているので,物品からの消毒液臭による作業者のストレスを軽減することができる。」
・図2,図3には,以下の内容が示されている。



これらの記載事項からみて,引用文献1には,以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「クリーンルームの作業エリアに物品を消毒して搬入するためのクリーンルーム用物品受け渡し装置に関し,
エアシャワーユニットエリア5において,エアシャワー用HEPAフィルタ10,ジェットエアファン11,プレフィルタ12,エアジェットノズル20が設けられ,ジェットエアファン11を駆動することにより,パスボックスF内にジェットエアが噴出され,このエアはプレフィルタ12及びHEPAフイルタ3により浄化され再びパスボックスF内に噴出され,パスボックスF内の物品の清浄をある程度行え,物品のホコリ等が除去でき,
噴霧・排気ユニットエリア4において,アルコール液タンク14,排気用HEPAフィルタ15,排気ファン16が設けられ,アルコール液がポンプによりミスト状になりパスボックスF内にノズル8,8から噴霧され,消毒を行い,排気ファン16を駆動することにより,パスボックスF内の空気はHEPAフイルタ15を介して外部に排出され,パスボックスF内にはクリーンルーム側から空気が流れ込み換気を行う,
クリーンルーム用物品受け渡し装置。」

また,引用文献1には,引用発明1を方法の発明とした引用発明2が記載されていると認められる。
「クリーンルームの作業エリアに物品を消毒して搬入するための方法に関し,
エアシャワーユニットエリア5において,エアシャワー用HEPAフィルタ10,ジェットエアファン11,プレフィルタ12,エアジェットノズル20が設けられ,ジェットエアファン11を駆動することにより,パスボックスF内にジェットエアが噴出され,このエアはプレフィルタ12及びHEPAフイルタ3により浄化され再びパスボックスF内に噴出され,パスボックスF内の物品の清浄をある程度行え,物品のホコリ等が除去でき,
噴霧・排気ユニットエリア4において,アルコール液タンク14,排気用HEPAフィルタ15,排気ファン16が設けられ,アルコール液がポンプによりミスト状になりパスボックスF内にノズル8,8から噴霧され,消毒を行い,排気ファン16を駆動することにより,パスボックスF内の空気はHEPAフイルタ15を介して外部に排出され,パスボックスF内にはクリーンルーム側から空気が流れ込み換気を行う,
前記方法。」

(2)引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には,次の事項が記載されている。
・「【技術分野】
【0001】
本発明は,特に患者の自家移植用細胞を培養するのに好適なバイオクリーンルームの清浄度管理方法及びバイオクリーンルームに関する。」
・「【0022】
バイオクリーンルーム10内には,処理手段20,交差汚染検査手段30,倉庫40,搬送手段,制御手段を設けている。 本発明の処理手段20は,培養,増殖,分化,保存,解凍,輸送などの処理を対象としている。図1に模式的に示したとおりバイオクリーンルーム10は複数の目的試料12を並行して処理することができる。」
これらの記載事項からみて,引用文献2には,以下の事項(以下「引用文献2に記載された事項」という。)が記載されているといえる。」
「患者の自家移植用細胞を培養するのに好適なバイオクリーンルームの清浄度管理方法及びバイオクリーンルームに関し,バイオクリーンルーム10内には,処理手段20を設け,処理手段20は,解凍などの処理を対象としている,バイオクリーンルーム。」

(3)引用文献3
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には,次の事項が記載されている。
・「2.特許請求の範囲
クリーンルームに入室する人,或いは物の塵埃を,その入室前に除去するエアシャワー室(1)であって,
ダストカウンタ(2)とエアシャワー(3)と扉機構(4)とを有し,
該ダストカウンタ(2)は塵埃検知器(5)と演算器(6)とモニターとを具備し,該エアシャワー室(1)内の大気中の塵埃を計量して,塵埃量に対応する表示をするように構成され,
該エアシャワー(3)はイオナイザ(8)とエア吹き出し口(9)とを具備し,人,或いは者が在室している間,エア吹き出し口(9)からエアを吹き出して,人,或いは物の塵埃を除去するとともに,該イオナイザ(8)よりイオンを放出して,人,或いは物に帯電している電荷を中和するように構成され,
該扉機構(4)は扉(10)と扉制御器(11)とを具備し,前記ダストカウンタ(2)により計量した塵埃量が,あらかじめ設定された塵埃量に達した時に,扉制御器(11)を作動して,扉(10)を開扉し,人,或いは物を該クリーンルームに入室可能とする機能を有していることを特徴とするエアシャワー室。」
この記載事項からみて,引用文献3には,以下の事項(以下「引用文献3に記載された事項」という。)が記載されているといえる。
「クリーンルームに入室する人,或いは物の塵埃を,その入室前に除去するエアシャワー室1であって,ダストカウンタ2とエアシャワー3と扉機構4とを有し,該ダストカウンタ2は塵埃検知器5と演算器6とモニターとを具備し,該エアシャワー室1内の大気中の塵埃を計量して,塵埃量に対応する表示をするように構成され,該扉機構4は扉10と扉制御器11とを具備し,前記ダストカウンタ2により計量した塵埃量が,あらかじめ設定された塵埃量に達した時に,扉制御器11を作動して,扉10を開扉し,人,或いは物を該クリーンルームに入室可能とする機能を有している,エアシャワー室1。」

(4)引用文献4
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には,次の事項が記載されている。
・「【請求項1】
クリーンな環境に維持することができる作業室と,
上記作業室の後部,上部および下部のうちの少なくとも一つならびに少なくとも一方の側部にそれぞれ設けられた連結部とを有することを特徴とするクリーンユニット。」
・「【請求項15】
上記クリーンユニットは,コンパクトなプロセス装置,解析装置,反応装置,マイクロケミカルシステム,マイクロケミカルリアクター,露光装置,エッチング装置,成長装置,加工装置,殺菌装置,粒径フィルター,人工光源,バイオ装置,食品加工装置,検査装置または駆動装置を内部に有することを特徴とする請求の範囲第1項記載のクリーンユニット。」
・「【請求項34】
内部環境を制御することができる作業室と,
上記作業室の後部,上部および下部のうちの少なくとも一つならびに少なくとも一方の側部にそれぞれ設けられた連結部とを有することを特徴とする機能ユニット。
【請求項35】
上記内部環境のパラメータが清浄度であることを特徴とする請求の範囲第34項記載の機能ユニット。
【請求項36】
上記内部環境のパラメータが所定の粒径を有する粒子数であることを特徴とする請求の範囲第34項記載の機能ユニット。
【請求項37】
上記内部環境のパラメータが温度,湿度,気体成分,光スペクトル分布,光強度,光強度の時間依存性および植物栄養成分のうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求の範囲第34項記載の機能ユニット。
【請求項38】
上記作業室の内部環境の制御手段が,温度制御装置,湿度制御装置,高清浄度化装置,気体成分制御装置,吸着装置,除害装置,特定波長照明器および密閉/開放環境選択機構のうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求の範囲第34項記載の機能ユニット。」
・「【技術分野】
この発明は,クリーンユニット,クリーンユニットシステム,機能ユニット,機能ユニットシステム,材料処理方法,素子製造方法,細胞系育成方法および植物体育成方法に関し,例えば,半導体素子を始めとした各種の機能素子の製造や植物工場あるいは植物の形質改変などに適用して好適なものである。」(5ページ下から3行?6ページ2行)
この記載事項からみて,引用文献4には,以下の事項(以下「引用文献4に記載された事項」という。)が記載されているといえる。
「クリーンな環境に維持することができ,又は,内部環境を制御することができる作業室と,上記作業室の後部,上部および下部のうちの少なくとも一つならびに少なくとも一方の側部にそれぞれ設けられた連結部とを有する,クリーンユニット又は機能ユニットであって,上記クリーンユニットは,殺菌装置,バイオ装置,検査装置または駆動装置を内部に有し,上記内部環境のパラメータが清浄度,所定の粒径を有する粒子数,温度,湿度であり,上記作業室の内部環境の制御手段が,温度制御装置,湿度制御装置,高清浄度化装置である,クリーンユニット又は機能ユニット。」

(5)引用文献5
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5には,図面とともに次の事項が記載されている。
・「【請求項1】 第1クリーンルーム内における洗浄殺菌工程に引き続き行われる第2クリーンルーム内におけるボトルの内容物充填が,搬送装置を介して連接され,それぞれ区画された1(審決注:○の中に1)仕上げリンサー室→2(審決注:○の中に2)内容物充填室→3(審決注:○の中に3)キャッピング室を経由して行われ,かつ,各室の圧力差が,1(審決注:○の中に1)<2(審決注:○の中に2)>3(審決注:○の中に3)に設定されていることを特徴とするボトルの殺菌充填方法。」
・「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,飲料水,ジュース,ウーロン茶,ミルクコーヒーなどの各種飲料が充填されるボトルの殺菌充填方法に関するものであり,より詳しくは,内容物充填室を完全に無菌状態に保持するためのエアーの流れを制御したボトルの殺菌充填方法に関する。」
・「【0015】以下,図面に基づいて本発明の好適な態様を説明する。図1は,本発明のボトルの殺菌方法の工程図の一例を示すものである。図1において,第1クリーンルームA内においては,ボトル洗浄殺菌域5が区画されたブース内に配置される。洗浄殺菌されたボトルは,ベルトコンベア等のボトル搬送装置1によって第2クリーンルームB内において区画された仕上げリンサー室2,内容物充填室3,キャッピング室4へ順次送り込まれる。
【0016】仕上げリンサー室2では,前工程で洗浄殺菌されたボトルに付着している殺菌液などを完全に取り除き清浄化する。この仕上げリンサー室には,無菌水を噴出するための無菌水噴出ノズル(図示せず)を有する洗浄機が備えられており,無菌水によるリンスが行われた後,搬送装置によって内容物充填室3に送り込まれる。内容物充填室では飲料供給手段(図示せず)が備えられ,例えば,ミルクコーヒなどの飲料がボトル内に充填される。
【0017】この内容物充填室3は,全工程の中でも最も厳格に無菌状態が保持されなければならないゾーンであり,機械に何らかのトラブルがあっても,内容物充填室内に汚れたエアーが送り込まれる事態だけは避けなければならず,そのために,本発明においては,内容物充填室の圧力を,装置内で最も高く保持することが重要な特徴である。
【0018】つまり,本発明においては,内容物充填室の圧力を,仕上げリンサー室およびキャッピング室の圧力よりも高く(陽圧)保持することにより,この圧力差によって,エアーの流れは図1に矢印で示すように,搬送装置部分を介して仕上げリンサー室およびキャッピング室に向けて進み,外方からの汚れたエアーが内容物充填室内に入り込むことはない。なお,上記の条件が満たされれば本発明の目的は達成されるものであり,仕上げリンサー室とキャッピング室の圧力差はあってもなくてもどちらでも良い。
【0019】これによって,上記仕上げリンサー室,内容物充填室,キャッピング室のいずれかにおいて装置のトラブルが発生しても,最も重要な内容物充填室の無菌状態が損なわれることがないため,すべての殺菌系を停止することなく,故障部位のみを修復すればよく,装置故障に伴う損害を最小限に抑制できる。
【0020】内容物充填室の圧力をほかの室よりも高く保持するためには,室内に送り込まれる容積当たりの風量を,ほかの室よりも多くしてやることによって容易に調整できる。内容物充填室に送り込まれる風量は,特に限定されるものではないが,420CMM程度が好ましく用いられる。これに対して,仕上げリンサー室は410CMM,キャッピング室は140CMM程度のものが好適である。
【0021】クリーンルーム内は,A,BともにHEPAフィルターを通してクラス10,000に保たれる。HEPAフィルターからの風量は,第1クリーンルームにおいては270CMM程度,第2クリーンルームにおいては370CMM程度が送り込まれる。この風量の差は,クリーンルームの容積の違いに基づくものであり,A,Bともにクラス10,000に調整されることに変わりはない。
【0022】仕上げリンサー室2,内容物充填室3,キャッピング室4は,それぞれがクラス100に調整される。クラス100という条件は,第2クリーンルームのクラス10,000のエアーを,更に,HEPAを通して前記の風量で送り込むことによって達成される。」
・図1には,以下の内容が示されている。



(6)引用文献6
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献6には,図面とともに次の事項が記載されている。
・「【技術分野】
【0001】
本発明は,半導体装置,電子部品,機械部品,医薬品,食品等を製造する際に必要とされる高い清浄度の空気環境を有するクリーンルームに関するものである。」
・「【0002】
従来,図4に示すような空気の清浄度(クリーン度)のレベルが異なる二つの清浄室2,3を有するクリーンルーム1が知られている(特許文献1など参照)。
【0003】
例えば,第1清浄室2はウェハ処理などの極めて高度な清浄度を要する空間であり,第2清浄室3はこれよりも必要清浄度が低いメンテナンス室等に使用される空間である。
【0004】
これらの清浄室2,3は,いずれもダウンフロー方式で空気が供給されており,天井部2c,3cから送り込まれた空気は,グレーチングといわれる孔開きの通気床部2d,3dを通過して,床下室2b,3bに流れ出す。
【0005】
これらの清浄室2,3を通過する空気の清浄度の相違は,そこに空気が送られるまでの処理のレベルによって生じる。
【0006】
すなわち,第1清浄室2に送り込まれる空気は,まず,大型の外気処理装置5Aによって吸引した外気に対して初期段階の清浄化をおこない,温度及び湿度の調節を厳密におこなう。
【0007】
そして,外気処理装置5Aから天井室2aに送られた空気は,非常に清浄化能力の高い第1フィルタ4A(例えばULPAフィルタ)を通過して第1清浄室2に送られる。また,この第1清浄室2を通過して床下室2bに流れ出した空気も,大型の再処理装置6Aによって再び浄化及び温湿度調整されて,還気管7Aを通って前記天井室2aに戻される。
【0008】
これに対して,前記第2清浄室3用に配備される外気処理装置5B及び再処理装置6Bは,前記第1清浄室2用の装置に比べて小型で処理能力の低い装置となる。また,前記天井部3cに取り付けられた第2フィルタ4Bには,例えば,ULPAフィルタに比べて清浄化能力が低下するHEPAフィルタが使用される。
【0009】
一方,図5に示すような,第1清浄室2で使用した空気を第2清浄室3で再利用するクリーンルーム8も知られている(特許文献2乃至4など参照)。
【0010】
図5では,第1清浄室2を通過した空気が床下室2bに流れ出し,一部は前記した図4の例と同様に再処理装置6Aを通過して天井室2aに戻される。そして,残りの空気が逆止弁9を通過して給気管10によって前記第2清浄室3の天井室3aに送り込まれる。
【0011】
そして,第2フィルタ4Bによって清浄化された空気が第2清浄室3に送り込まれ,前記第2清浄室3から床下室3bに送り出された空気の一部は,再処理装置6Bによって再度浄化されて,前記天井室3aに戻される。また,前記床下室3bの残りの空気は,排出管11を通して外部に排出される。」
・図4,図5には,以下の内容が示されている。


(7)引用文献7
原査定に周知技術として引用された引用文献7には,図面とともに次の事項が記載されている。
・「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,冷凍された魚獣肉や野菜等の食品をその品質を劣化させることなく短時間に解凍し得る物品解凍装置に関する。」
・「【0049】図17および図18においてAは,大型に形成され連続的に大量の解凍処理を行なうために用いる物品解凍装置で,移送手段40と,加温手段2と,容体1と,保温手段3とにより基本的に構成される。
【0050】前記した移送手段40は,一側から他側へ所定距離を移動するように略水平に懸張され,モータ等の駆動手段(図示せず)により連続または間欠的に走行する無端状のコンベアを用いるもので,この移送手段40は所定速度で移送されるものであり,該コンベア長さにより始端から終端に移動する間に応じて適宜速度調整する。
【0051】そして,図17に示すように,無限軌道式か,あるいは,図18に示すように,ベルト式等を採用するものであって,その始端側に被解凍物品bの供給位置41を,終端側に該被解凍物品bの取り出し位置42を形成させてある。
【0052】前記した加温手段2は,前記移送手段40へ着脱自在に載置するタイプと,移送手段40の移送面を該加温手段2により成形する固定式のタイプとがあるもので,前者のものは,図10,図11に示すような平板状に成形されたものを用い,図18に示すベルト式の移送手段40の場合は,この平板状の加温手段2へ被解凍物品bを載せた後,前記供給位置41において移送手段40上へ連続的に一列または複列をなして後記する容体1へ供給し,解凍を終了して容体1より送出されたものは,前記取り出し位置42より取り出されるものである。
【0053】また,後者のものは,図10,図11に示すような平板状に成形されたものを,無端状のチェーンコンベアのアタッチメントへ隙間なく取り付けて帯状とし,この上に被解凍物品bを一列または複列をなして後記する容体1へ供給する。
【0054】前記した容体1は,前記移送手段40の移送途中に設けてこの内部において被解凍物品bの解凍を行なうもので,移送手段40の移送路に対応させてその始端側に入口43を,また,終端側に出口44を被解凍物品bが容易に通過し得る大きさに開口させてあって,これら出入口43,44の開口には可撓性を有する暖簾式の閉塞部材46を吊持させてある。
【0055】前記した保温手段3は,前記加温手段2の温度調節を行なうもので,送風式の場合は,図18に示すように,容体1内において移送方向に対して直交するようにその一側に排風機47を取り付け,前記したようにセラミックス等の遠赤外線放射物質を含有させたフィルター48を通過した清浄空気を,容体1内に取り込んで加温手段2の異常な温度降下を防止する。
【0056】また,加温手段2を移送手段40に取り付けたタイプの場合の保温手段3は,図17に示すように,該移送手段40の往路側の下側にヒータ等を配設して,これにより温度調節するもので,容体1内において設けることが好ましいものであり,前記した送風式と併用する場合もある。」
・図17,図18には,以下の内容が示されている。


(8)引用文献8
原査定に周知技術として引用された引用文献8には,次の事項が記載されている。
・「【0013】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため,本発明の電気調理器は,被加熱物を鍋またはプレートを介して加熱する加熱手段と,被加熱物の温度を検出する温度検出手段と,該温度検出手段による検出温度によって前記加熱手段を制御する制御手段とを備えた電気調理器において,冷凍された前記被加熱物の表面温度が5℃から45℃の間で解凍するように,前記加熱手段による加熱量を調節する解凍機能を設けた構成としている。」

第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
ア.本願発明1と引用発明1とを対比すると,後者の「パスボックスF」は前者の「清浄度の低い空間」に相当し,以下同様に,「クリーンルーム内の作業エリア」は「清浄度の高い空間」に,「エアシャワーユニットエリア5」における「エアシャワー用HEPAフィルタ10,ジェットエアファン11,プレフィルタ12,エアジェットノズル20」は「微粒子を除去する微粒子除去部」に,「噴霧・排気ユニットエリア4」における「アルコール液タンク14,排気用HEPAフィルタ15,排気ファン16」,「ポンプ」,「ノズル8,8」は「微生物を除去する微生物除去部」に,それぞれ相当する。
イ.後者の「クリーンルームの作業エリアに物品を消毒して搬入するためのクリーンルーム用物品受け渡し装置」と,前者の「凍結品を清浄度の低い空間から清浄度の高い空間へ搬入するシステム」とは「物品を清浄度の低い空間から清浄度の高い空間へ搬入するシステム」において共通する。
ウ.後者の「クリーンルーム用物品受け渡し装置」は「エアシャワーユニットエリア5」における「エアシャワー用HEPAフィルタ10,ジェットエアファン11,プレフィルタ12,エアジェットノズル20」及び「噴霧・排気ユニットエリア4」における「アルコール液タンク14,排気用HEPAフィルタ15,排気ファン16」,「ポンプ」,「ノズル8,8」を備えていることは明らかであるから,前者の「凍結品に付着した微粒子を除去する微粒子除去部,凍結品に付着した微生物を除去する微生物除去部,凍結品を温めて解凍する解凍部および凍結品の清浄度を測定する清浄度測定部を備え」ることとは,「物品に付着した微粒子を除去する微粒子除去部,物品に付着した微生物を除去する微生物除去部を備え」ていることにおいて共通する。
そうすると,両者は,
「物品を清浄度の低い空間から清浄度の高い空間へ搬入するシステムであって
物品に付着した微粒子を除去する微粒子除去部,物品に付着した微生物を除去する微生物除去部を備えている,
前記システム。」
の点で一致し,以下の点で相違すると認められる。
<相違点>
「物品」と「システム」に関して,本願発明1では,物品が「凍結品」であるとともに,システムが「凍結品を温めて解凍する解凍部および凍結品の清浄度を測定する清浄度測定部を備え,前記清浄度測定部は,微粒子除去,微生物除去および解凍が行われた凍結品の清浄度を,前記清浄度の高い空間の清浄度と同等の環境下で搬入前に測定できるように構成されている」のに対して,引用発明1では,物品が凍結品であるとの特定はなく,システムが「エアシャワーユニットエリア5において,エアシャワー用HEPAフィルタ10,ジェットエアファン11,プレフィルタ12,エアジェットノズル20が設けられ,ジェットエアファン11を駆動することにより,パスボックスF内にジェットエアが噴出され,このエアはプレフィルタ12及びHEPAフイルタ3により浄化され再びパスボックスF内に噴出され,パスボックスF内の物品の清浄をある程度行え,物品のホコリ等が除去でき,
噴霧・排気ユニットエリア4において,アルコール液タンク14,排気用HEPAフィルタ15,排気ファン16が設けられ,アルコール液がポンプによりミスト状になりパスボックスF内にノズル8,8から噴霧され,消毒を行い,排気ファン16を駆動することにより,パスボックスF内の空気はHEPAフイルタ15を介して外部に排出され,パスボックスF内にはクリーンルーム側から空気が流れ込み換気を行う」点。
上記相違点について検討する。
上述した引用文献2に記載された事項には,バイオクリーンルーム(清浄度の高い空間)内における処理として解凍することについての開示はあるが,上記相違点における本願発明1の構成のうち,少なくとも,清浄度の高い空間への「搬入前に」「凍結品を温めて解凍する解凍部」とともに「微粒子除去,微生物除去および解凍が行われた凍結品の清浄度を」清浄度の高い空間への「搬入前に」[測定できる」「清浄度測定部」(以下「構成A」という。)についての開示はない。
そして,本願発明1は,上記構成Aにより「解凍部」と「清浄度測定部」の両者が「搬入前」に機能することで「本来搬入後に行う解凍作業を搬入作業の最中に行うことができるため,全体的な作業時間を短縮することができるうえ,微粒子や微生物が凍結品に付着した霜や結露に混入したまま搬入されることを防ぐことができる。」という格別の作用効果を奏するものであるが、そのような構成は、各引用文献のいずれにも記載されていない。
したがって,本願発明1は,引用発明,引用文献2?4に記載された事項,引用文献7,8に例示される周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2.本願発明2?6について
本願発明2?6は,本願発明1の発明特定事項を全て含み,さらに限定して発明を特定するものであるから,本願発明1と同じ理由により,本願発明2,6は,引用発明,引用文献2?4に記載された事項,及び,引用文献7,8に例示される周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。また,本願発明3-5については,引用発明,引用文献2?6に記載された事項,及び,引用文献7,8に例示される周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。

3.本願発明7について
(1)対比
ア.本願発明7と引用発明2を対比すると,後者の「パスボックスF」は前者の「清浄度の低い空間」に相当し,以下同様に,「クリーンルーム内の作業エリア」は「清浄度の高い空間」に相当する。
イ.後者の「クリーンルームの作業エリアに物品を消毒して搬入するための方法」と,前者の「凍結品を清浄度の低い空間から清浄度の高い空間へ搬入する方法」とは「物品を清浄度の低い空間から清浄度の高い空間へ搬入する方法」において共通する。
ウ.後者の「ジェットエアファン11を駆動することにより,パスボックスF内にジェットエアが噴出され,このエアはプレフィルタ12及びHEPAフイルタ3により浄化され再びパスボックスF内に噴出され,パスボックスF内の物品の清浄をある程度行え,物品のホコリ等が除去でき」る工程と,前者の「凍結品に付着した微粒子を除去する工程」とは,「物品に付着した微粒子を除去する工程」において共通し,後者の「アルコール液がポンプによりミスト状になりパスボックスF内にノズル8,8から噴霧され,消毒を行い,排気ファン16を駆動することにより,パスボックスF内の空気はHEPAフイルタ15を介して外部に排出され,パスボックスF内にはクリーンルーム側から空気が流れ込み換気を行う」工程と,前者の「凍結品に付着した微生物を除去する工程」とは「物体に付着した微生物を除去する工程」において共通する。
そうすると,両者は,
「物品を清浄度の低い空間から清浄度の高い空間へ搬入する方法であって
物品に付着した微粒子を除去する工程,物品に付着した微生物を除去する工程を含む,
前記方法。」
の点で一致し,以下の点で相違すると認められる。
<相違点’>
「物品」と「方法」に関して,本願発明7では,物品が「凍結品」であるとともに,方法が,凍結品に付着した微粒子を除去する工程,凍結品に付着した微生物を除去する工程以外に,「凍結品を温めて解凍する工程,および,微粒子除去,微生物除去および解凍が行われた凍結品の清浄度を,前記清浄度の高い空間の清浄度と同等の環境下で搬入前に測定する工程」を含み,「前記各工程が連続的かつ自動的に行われる」のに対して,引用発明2では,物品が「凍結品」であるとの特定はなく,「ジェットエアファン11を駆動することにより,パスボックスF内にジェットエアが噴出され,このエアはプレフィルタ12及びHEPAフイルタ3により浄化され再びパスボックスF内に噴出され,パスボックスF内の物品の清浄をある程度行え,物品のホコリ等が除去でき」る工程と,「アルコール液がポンプによりミスト状になりパスボックスF内にノズル8,8から噴霧され,消毒を行い,排気ファン16を駆動することにより,パスボックスF内の空気はHEPAフイルタ15を介して外部に排出され,パスボックスF内にはクリーンルーム側から空気が流れ込み換気を行う」工程を含むが,それらの工程が連続的かつ自動的に行われることまでは特定されていない点。
上記相違点’について検討する。
上述した引用文献2に記載された事項には,バイオクリーンルーム(清浄度の高い空間)内における処理として解凍することについての開示はあるが,上記相違点’における本願発明7の構成のうち,少なくとも,「凍結品を温めて解凍する工程」および「微粒子除去,微生物除去および解凍が行われた凍結品の清浄度を」「測定する工程」を清浄度の高い空間への「搬入前」に行うこと(以下「構成A’」という。)についての開示はない。
そして,本願発明7は,上記構成A’により「凍結品を温めて解凍する工程」および「微粒子除去,微生物除去および解凍が行われた凍結品の清浄度を測定する工程」の両工程が「搬入前」に行われることで「本来搬入後に行う解凍作業を搬入作業の最中に行うことができるため,全体的な作業時間を短縮することができるうえ,微粒子や微生物が凍結品に付着した霜や結露に混入したまま搬入されることを防ぐことができる。」という格別の作用効果を奏するものであるが,そのような構成は,各引用文献のいずれにも記載されていない。
したがって,本願発明7は,引用発明,引用文献2?4に記載された事項,引用文献7,8に例示される周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。

4.本願発明8,9について
本願発明8,9は,本願発明7の発明特定事項を全て含み,さらに限定して発明を特定するものであるから,本願発明7と同じ理由により,本願発明8,9は,引用発明,引用文献2?4に記載された事項,及び,引用文献7,8に例示される周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第6 むすび
以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-03-11 
出願番号 特願2016-66748(P2016-66748)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B08B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 村山 睦  
特許庁審判長 佐々木 一浩
特許庁審判官 氏原 康宏
藤井 昇
発明の名称 凍結品搬入システム  
代理人 葛和 清司  

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