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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1371643
審判番号 不服2019-11644  
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-04-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-09-04 
確定日 2021-03-23 
事件の表示 特願2018-170948「情報表示プログラム、情報表示装置、情報表示方法および配信装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 3月19日出願公開、特開2020- 42672、請求項の数(19)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成30年9月12日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成31年 1月25日付け:拒絶理由通知書
平成31年 3月19日 :意見書、手続補正書の提出
令和 元年 5月28日付け:拒絶査定
令和 元年 9月 4日 :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提

令和 2年10月13日付け:拒絶理由(当審拒絶理由)通知書
令和 2年12月21日 :意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和元年5月28日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
この出願の請求項1?21に係る発明は、以下の引用文献A?Gに記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
A 米国特許出願公開第2016/0035119号明細書
B 特開2001-118006号公報
C 米国特許出願公開第2012/0222064号明細書
D 特開2003-22042号公報
E 特開2009-287973号公報
F 特開2016-145864号公報
G 特開2017-21436号公報

第3 当審拒絶理由の概要
この出願の請求項1?21に係る発明は、以下の引用文献1?9に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1 米国特許出願公開第2016/0035119号明細書(拒絶査定時の引用文献A)
2 特開2017-21436号公報(拒絶査定時の引用文献G)
3 国際公開第2017/201326号
4 特許第6263161号公報
5 特開2001-118006号公報(拒絶査定時の引用文献B)
6 米国特許出願公開第2012/0222064号明細書(拒絶査定時の引用文献C)
7 特開2003-22042号公報(拒絶査定時の引用文献D)
8 特開2009-287973号公報(拒絶査定時の引用文献E)
9 特開2016-145864号公報(拒絶査定時の引用文献F)

第4 本願発明
本願請求項1?19に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明19」という。)は、令和2年12月21日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?19に記載された事項により特定される、以下のとおりの発明である(下線は補正箇所を示す。)。
「【請求項1】
コンピュータに
ウェブコンテンツである第1コンテンツが有する所定の表示領域内に、広告に関するコンテンツである第2コンテンツを配置して、各コンテンツを所定の画面上に表示する表示手順と、
利用者の操作により前記第2コンテンツが所定の位置まで移動した場合は、前記第2コンテンツを前記第1コンテンツよりも画面の奥方向へと仮想的に移動させる態様で前記第2コンテンツの表示サイズを所定の表示サイズまで縮小させ、その後、前記第2コンテンツを前記第1コンテンツよりも画面の手前方向へと仮想的に移動させる態様で当該第2コンテンツの表示サイズを前記表示領域よりも大きい表示サイズまで徐々に拡大し、当該第2コンテンツのうち一部の領域が前記画面外にはみ出る態様で当該第2コンテンツを表示させる表示制御手順と
を実行させるための情報表示プログラム。
【請求項2】
前記表示手順は、前記第1コンテンツに対するスクロール操作に従って、前記第1コンテンツと前記第2コンテンツとをスクロールさせ、
前記表示制御手順は、前記スクロール操作の結果前記第2コンテンツが所定の位置まで移動した場合は、当該第2コンテンツの表示サイズを変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報表示プログラム。
【請求項3】
前記表示手順は、表示サイズが前記表示領域以下となる第2コンテンツを前記表示領域内に配置し、
前記表示制御手順は、前記第2コンテンツの表示サイズを変更する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報表示プログラム。
【請求項4】
前記表示制御手順は、前記第1コンテンツよりも前面に重ねて配置された前記第2コンテンツの表示サイズを変更する
ことを特徴とする請求項1?3のうちいずれか1つに記載の情報表示プログラム。
【請求項5】
前記表示制御手順は、背面に配置されたコンテンツを透過させる表示領域を有する前記第1コンテンツよりも背面に重ねて配置された前記第2コンテンツの表示サイズを変更する
ことを特徴とする請求項1?3のうちいずれか1つに記載の情報表示プログラム。
【請求項6】
前記表示制御手順は、表示サイズを拡大した前記第2コンテンツのうち、前記表示領域と重なる範囲を表示させる
ことを特徴とする請求項5に記載の情報表示プログラム。
【請求項7】
前記表示制御手順は、前記第2コンテンツに影を付加した状態で、当該第2コンテンツの表示サイズを変更する
ことを特徴とする請求項1?6のうちいずれか1つに記載の情報表示プログラム。
【請求項8】
前記表示制御手順は、前記第2コンテンツの背面側を見せる態様で、前記第2コンテンツの表示サイズを縮小させる
ことを特徴とする請求項1?7のうちいずれか1つに記載の情報表示プログラム。
【請求項9】
前記表示制御手順は、前記第2コンテンツを回転させながら、当該第2コンテンツの表示サイズを拡大させる
ことを特徴とする請求項1?8のうちいずれか1つに記載の情報表示プログラム。
【請求項10】
前記表示制御手順は、前記第2コンテンツを移動させながら、当該第2コンテンツの表示サイズを拡大させる
ことを特徴とする請求項1?9のうちいずれか1つに記載の情報表示プログラム。
【請求項11】
前記表示制御手順は、表示サイズを拡大させた前記第2コンテンツを選択可能な状態で表示させる
ことを特徴とする請求項1?10のうちいずれか1つに記載の情報表示プログラム。
【請求項12】
前記表示制御手順は、表示サイズを拡大させた前記第2コンテンツのうち、前記表示領域と重なる領域を選択可能な状態で表示させ、他の領域を選択不可能な状態で表示させる
ことを特徴とする請求項11に記載の情報表示プログラム。
【請求項13】
前記表示制御手順は、表示サイズを拡大させた前記第2コンテンツのうち、前記表示領域と重ならない領域を透過領域とする
ことを特徴とする請求項1?12のうちいずれか1つに記載の情報表示プログラム。
【請求項14】
前記表示手順は、前記第2コンテンツを所定の表示サイズで表示し、
前記表示制御手順は、前記第2コンテンツの表示サイズを拡大させた状態で所定の条件が満たされた場合は、当該第2コンテンツの表示サイズを前記所定の表示サイズに戻す
ことを特徴とする請求項1?13のうちいずれか1つに記載の情報表示プログラム。
【請求項15】
前記表示制御手順は、前記第1コンテンツが有する表示領域の表示サイズを変更することなく、前記第2コンテンツの表示サイズを徐々に拡大する
ことを特徴とする請求項1?14のうちいずれか1つに記載の情報表示プログラム。
【請求項16】
前記表示制御手順は、前記第2コンテンツを表示サイズを、前記表示領域よりも大きい所定の表示サイズまで徐々に拡大する
ことを特徴とする請求項1?15のうちいずれか1つに記載の情報表示プログラム。
【請求項17】
ウェブコンテンツである第1コンテンツが有する所定の表示領域内に、広告に関するンテンツである第1コンテンツが有する所定の表示領域内に、広告に関するコンテンツである第2コンテンツを配置して、各コンテンツを所定の画面上に表示する表示部と、
利用者の操作により前記第2コンテンツが所定の位置まで移動した場合は、前記第2コンテンツを前記第1コンテンツよりも画面の奥方向へと仮想的に移動させる態様で前記第2コンテンツの表示サイズを所定の表示サイズまで縮小させ、その後、前記第2コンテンツを前記第1コンテンツよりも画面の手前方向へと仮想的に移動させる態様で当該第2コンテンツの表示サイズを前記表示領域よりも大きい表示サイズまで徐々に拡大し、当該第2コンテンツのうち一部の領域が前記画面外にはみ出る態様で当該第2コンテンツを表示させる表示制御部と
を有することを特徴とする情報表示装置。
【請求項18】
情報表示装置が実行する情報表示方法であって、
ウェブコンテンツである第1コンテンツが有する所定の表示領域内に、広告に関するコンテンツである第2コンテンツを配置して、各コンテンツを所定の画面上に表示する表示工程と、
利用者の操作により前記第2コンテンツが所定の位置まで移動した場合は、前記第2コンテンツを前記第1コンテンツよりも画面の奥方向へと仮想的に移動させる態様で前記第2コンテンツの表示サイズを所定の表示サイズまで縮小させ、その後、前記第2コンテンツを前記第1コンテンツよりも画面の手前方向へと仮想的に移動させる態様で当該第2コンテンツの表示サイズを前記表示領域よりも大きい表示サイズまで徐々に拡大し、当該第2コンテンツのうち一部の領域が前記画面外にはみ出る態様で当該第2コンテンツを表示させる表示制御工程と
を含むことを特徴とする情報表示方法。
【請求項19】
画面に情報を表示する端末装置に制御情報を配信する配信部を備え、
前記配信部は、前記端末装置に前記制御情報を配信することで、
ウェブコンテンツである第1コンテンツが有する所定の表示領域内に、広告に関するコンテンツである第2コンテンツを配置して、各コンテンツを所定の画面上に表示する表示手順と、
利用者の操作により前記第2コンテンツが所定の位置まで移動した場合は、前記第2コンテンツを前記第1コンテンツよりも画面の奥方向へと仮想的に移動させる態様で前記第2コンテンツの表示サイズを所定の表示サイズまで縮小させ、その後、前記第2コンテンツを前記第1コンテンツよりも画面の手前方向へと仮想的に移動させる態様で当該第2コンテンツの表示サイズを前記表示領域よりも大きい表示サイズまで徐々に拡大し、当該第2コンテンツのうち一部の領域が前記画面外にはみ出る態様で当該第2コンテンツを表示させる表示制御手順と
を実行させるよう前記端末装置を制御する、
ことを特徴とする配信装置。」

第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)当審拒絶理由で引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。
ア 「[0036] The display control apparatus 100 controls displaying of a screen image 11 on a terminal 10. When a page displayed on the screen image 11 is scrolled, the display control apparatus 100 may control displaying of the page. For example, when new contents are exposed on the screen image 11 as the page is scrolled, the display control apparatus 100 may apply an animation to the newly exposed contents. The display control apparatus 100 includes a scroll recognizing unit 110, an animation generating unit 120, and a display control unit 130.
[0037] The scroll recognizing unit 110 recognizes a scrolling operation input from a user. The scroll recognizing unit 110 recognizes the speed, the direction, and the location of the scrolling page. A scrolling operation may be input via a touch operation using a touch panel, e.g., a drag, a gesture, a motion, etc., via an external input device, such as a wheel of a mouse, a joypad, etc., or via a scroll bar displayed on a screen image. However, the inventive concept is not limited thereto.
[0038] The display control unit 130 scrolls a page displayed on the screen image 11 based on a recognized scrolling operation. The display control unit 130 may apply a designated animation to content included in the page being scrolled. For example, if content that is newly exposed on a screen image as a page displayed thereon is scrolled, the display control unit 130 may apply an animation to the content, thereby providing a visual effect to the exposure of the content. Therefore, the newly exposed content may draw attention of a user, and a visual effect is provided by scrolling a page, thereby improving user's visual interest.」
(当審訳: 「[0036] 表示制御装置100は、端末10上のスクリーンイメージ11の表示を制御する。スクリーンイメージ11に表示されるページがスクロールされるとき、表示制御装置100は、そのページの表示を制御し得る。例えば、ページがスクロールされるにつれて新たなコンテンツがスクリーンイメージ11上に出現したとき、表示制御装置100は、新たに出現したコンテンツにアニメーションを適用することができる。表示制御装置100は、スクロール認識部110、アニメーション生成部120、および表示制御部130を備えている。
[0037] スクロール認識部110は、ユーザから入力されたスクロール操作を認識する。スクロール認識部110は、速度、方向、およびスクロールしているページの位置を認識する。スクロール操作は、例えば、ドラッグ、ジェスチャ、動き等を用いたタッチ操作を介して、マウスのホイール、ジョイパッド等の外部入力装置を介して、又は、スクリーンイメージ上に表示されるスクロールバーを介して入力されてもよい。しかし、発明概念はそれに限定されるものではない。
[0038] 表示制御部130は、認識されたスクロール操作に基づいてスクリーンイメージ11上に表示されるページをスクロールする。表示制御部130は、スクロールされているページに含まれるコンテンツに指定されたアニメーションを適用してもよい。例えば、その上で表示されたページとしてスクリーンイメージに新たに出現したコンテンツがスクロールされた場合、表示制御部130は、コンテンツにアニメーションを適用することができ、それにより、コンテンツ出現への視覚的効果を提供する。それゆえ、新しく出現したコンテンツは、ユーザの注意を引き付けることができ、ページをスクロールすることによって視覚効果が提供され、それにより、ユーザの視覚的な興趣が向上する。」)

イ 「[0049] The animation generating unit 120 may generate an animation for gradually changing the size of content. The animation may include an operation for changing the size of the content to be gradually increased from a size smaller than the original size of the content to the original size of the content. A speed for changing the size of content may be set in proportion to the speed of a scrolling operation or a speed of scrolling the page. For example, the animation generating unit 120 may generate an animation for changing the size of content from 80% to 100%.」
(当審訳: 「[0049] アニメーション生成部120は、コンテンツのサイズを徐々に変化させるアニメーションを生成してもよい。アニメーションは、コンテンツのオリジナルサイズよりも小さいサイズから、コンテンツのオリジナルサイズまで、徐々に増大するように、コンテンツのサイズを変化させる操作を含んでもよい。コンテンツのサイズを変更するための速度は、スクロール操作又はページをスクロールする速度に比例するように設定されてもよい。例えば、アニメーション生成部120は、コンテンツのサイズを80%から100%まで変化させるためのアニメーションを生成してもよい。」)

ウ 「[0100] FIG. 7 shows that the page 60 is scrolled upward on the screen image 11 of the terminal 10. An animation is applied to the content 631 included in the content region 63 newly exposed as the page 10 is scrolled, and the content 631, to which the animation is applied, is enlarged and moved on the page.
[0101] The animation applied to the content 631 may be executed from the time point at which the content region 63 is exposed on the screen image 11 of the terminal 10. As the animation is executed, the content 631 is exposed on the screen image 11 after the time point at which the content region 63 is exposed on the screen image, and it will look as if the content 631 is scrolled faster than the page 60 and enlarged.」
(当審訳: 「[0100] 図7は、ページ60が端末10のスクリーンイメージ11上で上方向にスクロールされることを示している。アニメーションは、ページ10がスクロールされるにつれて、新たに出現するコンテンツ領域63に含まれるコンテンツ631に適用され、アニメーションが適用されるコンテンツ631は、ページ上で拡大されて移動される。
[0101] コンテンツ631に適用されるアニメーションは、端末10のスクリーンイメージ11上にコンテンツ領域63が出現した時点から実行され得る。アニメーションが実行されるにつれて、コンテンツ631は、コンテンツ領域63がスクリーンイメージ上に出現した時点よりも後で、スクリーンイメージ11に出現し、あたかもコンテンツ631がページ60よりも速くスクロールされて拡大されたように見える。」)

エ 「[0148] According to the display control apparatus, the display control method, and a computer readable recording medium having recorded thereon a computer program for implementing the display control method according to the one or more of the above exemplary embodiments, a visual effect occurs when a scrolling operation is performed, and the visual effect improves a user's satisfaction.」
(当審訳: 「[0148] 表示制御装置、表示制御方法、および、上記の例示的な実施形態の一つ又は複数による表示制御方法を実現するためのコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体によれば、スクロール操作が行われた場合の視覚効果が発生し、視覚効果は、ユーザの満足度を向上させる。」)

オ 図7




(2)上記(1)から、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、段落[0100](上記(1)ウ)の「page 10」は「page 60」の誤記と認められるので、その点を考慮している。
「表示制御装置100が、端末10上のスクリーンイメージ11の表示を制御し、スクリーンイメージ11に表示されるページがスクロールされるとき、表示制御装置100は、そのページの表示を制御し得るものであり、例えば、ページがスクロールされるにつれて新たなコンテンツがスクリーンイメージ11上に出現したとき、表示制御装置100は、新たに出現したコンテンツにアニメーションを適用することができ([0036])、
表示制御装置100は、スクロール認識部110、アニメーション生成部120、および表示制御部130を備えており([0036])、
スクロール認識部110は、ユーザから入力されたスクロール操作を認識し([0037])、
その上で表示されたページとしてスクリーンイメージに新たに出現したコンテンツがスクロールされた場合、表示制御部130は、コンテンツにアニメーションを適用することができ、それにより、コンテンツ出現への視覚的効果を提供し、それゆえ、新しく出現したコンテンツは、ユーザの注意を引き付けることができ、ページをスクロールすることによって視覚的効果が提供され、それにより、ユーザの視覚的な興趣が向上し([0038])、
アニメーション生成部120は、コンテンツのサイズを徐々に変化させるアニメーションを生成してもよく、アニメーションは、コンテンツのオリジナルサイズよりも小さいサイズから、コンテンツのオリジナルサイズまで、徐々に増大するように、コンテンツのサイズを変化させる操作を含んでもよく、例えば、アニメーション生成部120は、コンテンツのサイズを80%から100%まで変化させるためのアニメーションを生成してもよく([0049])、
ページ60が端末10のスクリーンイメージ11上で上方向にスクロールされ(図7)、アニメーションが、ページ60がスクロールされるにつれて、新たに出現するコンテンツ領域63に含まれるコンテンツ631に適用され、アニメーションが適用されるコンテンツ631は、ページ上で拡大されて移動され([0100])、
コンテンツ631に適用されるアニメーションは、端末10のスクリーンイメージ11上にコンテンツ領域63が出現した時点から実行され得るものであり、アニメーションが実行されるにつれて、コンテンツ631は、コンテンツ領域63がスクリーンイメージ上に出現した時点よりも後で、スクリーンイメージ11に出現し、あたかもコンテンツ631がページ60よりも速くスクロールされて拡大されたように見える([0101])、
表示制御方法を実現するためのコンピュータプログラム([0148])。」

2 引用文献3について
当審拒絶理由で引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「[00356] In some embodiments, the selected impact effect option is applied to all (or substantially all) of the display screen of an electronic device that sends or receives the message, which includes the message region with the sent message, for a full-screen effect, an example of which is shown by the sequence of user interface images in Figures 5AX through 5BF. Figures 5AX through 5BF show the progression of the "slam" effect of a first message input ("Hell No! !"), starting with the first message input displayed shown enlarged, rotated and with a dark background (Figure 5AX), then displayed even larger and with a somewhat lighter background (Figure 5 AY), then less enlarged and rotated at a different angle than before (Figure 5AZ), then shown with further reduced enlargement and with blurry borders (Figure 5BA), then shown with reduced size a different background and a different rotation (Figure 5BB) and then with a sequence of different shadows around the message region (Figures 5BC, 5BD, 5BE) until the first message input is shown at normal (default) size, not rotated, and with a normal (default) background (Figure 5BF).」
(当審訳: 「[00356] 一部の実施形態では、選択されたインパクト効果オプションは、全画面効果のため、送信メッセージを有するメッセージ領域を含む、メッセージを送信又は受信する電子デバイスの表示画面の全て(又は実質的に全て)に適用されるが、その一例を、図5AX?図5BFのユーザインタフェース画像のシーケンスによって示す。図5AX?図5BFは、第1のメッセージ入力(「Hell No!!」)の「スラム」効果の進行を示す。まず、第1のメッセージ入力が拡大され、回転され、かつ暗い背景で表示され(図5AX)、次にいっそう大きくかついくぶん薄い背景で表示され(図5AY)、次に拡大が少なくなりかつ以前とは異なる角度で回転され(図5AZ)、次に拡大がより減少しかつぼやけたボーダーで表示され(図5BA)、次に縮小されたサイズの異なる背景かつ異なる回転で表示され(図5BB)、次に、第1のメッセージ入力が回転されない通常(デフォルト)のサイズでかつ通常(デフォルト)の背景(図5BF)で表示されるまで、メッセージ領域の周りに異なる影のシーケンスが表示される(図5BC、5BD、5BE)。」)

(2)図5AX、図5AY




3 引用文献4について
当審拒絶理由で引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【0292】
その後、図32(2)に示すように、仮停止表示されている一般装飾図柄DI1?DI3が、画像表示部6(正確には、画像表示部6の画面)から一部がはみ出す(見切れる)まで拡大表示されることによって、再抽選演出が実行されることを煽る(期待させる)演出が行われる。ここで、再抽選演出は、報知演出において、大当りを示す図柄パターンで装飾図柄を仮停止させて一旦大当りを報知したように見せた後に、仮停止させた装飾図柄を再変動させて(正確には、再変動させたように見せて)から、同じ大当り又は異なる大当りを示す図柄パターンで最終的に確定停止させる演出であり、大当りの種類を決定する抽選が再度実行されたように見せる演出である。」

(2)「【図32】



第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
ア 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
(ア)引用発明の、「ページ60が端末10のスクリーンイメージ11上で上方向にスクロールされ(図7)、アニメーションが、ページ60がスクロールされるにつれて、新たに出現するコンテンツ領域63に含まれるコンテンツ631に適用され、アニメーションが適用されるコンテンツ631は、ページ上で拡大されて移動され」ることに関し、図7(上記第5の1(1)オ)を参照すると、「コンテンツ631」は、同図(中央及び右)から拡大される様子が読み取れる「CONTENT 3」であり、その一方で、「スクリーンイメージ11」上で、「ページ60」が有する「所定の表示領域内」に、「CONTENT 3」と共に「CONTENT 2」が配置されることも同図から読み取れる。
そして、引用発明の「ページ60」全体のコンテンツ、「コンテンツ631」、「スクリーンイメージ11」は、それぞれ、本願発明1の「第1コンテンツ」、「第2コンテンツ」、「所定の画面」に相当する。
以上のことから、引用発明と、本願発明1の
「ウェブコンテンツである第1コンテンツが有する所定の表示領域内に、広告に関するコンテンツである第2コンテンツを配置して、各コンテンツを所定の画面上に表示する」
こととは、
「第1コンテンツが有する所定の表示領域内に、第2コンテンツを配置して、各コンテンツを所定の画面上に表示する」
ことである点で共通している。

(イ)引用発明では、「アニメーションは、コンテンツのオリジナルサイズよりも小さいサイズから、コンテンツのオリジナルサイズまで、徐々に増大するように、コンテンツのサイズを変化させる操作を含んでもよ」いものであり、また、「コンテンツ631に適用されるアニメーションは、端末10のスクリーンイメージ11上にコンテンツ領域63が出現した時点から実行され得るものであり、アニメーションが実行されるにつれて、コンテンツ631は、コンテンツ領域63がスクリーンイメージ上に出現した時点よりも後で、スクリーンイメージ11に出現し、あたかもコンテンツ631がページ60よりも速くスクロールされて拡大されたように見える」のであるから、「コンテンツ631」は、「サイズ」が「徐々に増大する」「アニメーション」により、「ページ60のスクロールに伴ってコンテンツ領域63が出現した時点」まで「コンテンツ631」が「移動した場合」、すなわち、「コンテンツ631」が「所定の位置まで移動した場合」に、「徐々に拡大」する態様で「表示」されるといえる。
また、引用発明では、「スクロール認識部110は、ユーザから入力されたスクロール操作を認識」するから、「ページ60のスクロール」は、「ユーザから入力されたスクロール操作」であり、ここで、「ユーザ」は本願発明1の「利用者」に相当する。
以上のことから、引用発明と、本願発明1の
「利用者の操作により前記第2コンテンツが所定の位置まで移動した場合は、前記第2コンテンツを前記第1コンテンツよりも画面の奥方向へと仮想的に移動させる態様で前記第2コンテンツの表示サイズを所定の表示サイズまで縮小させ、その後、前記第2コンテンツを前記第1コンテンツよりも画面の手前方向へと仮想的に移動させる態様で当該第2コンテンツの表示サイズを前記表示領域よりも大きい表示サイズまで徐々に拡大し、当該第2コンテンツのうち一部の領域が前記画面外にはみ出る態様で当該第2コンテンツを表示させる」
こととは、
「利用者の操作により前記第2コンテンツが所定の位置まで移動した場合は、当該第2コンテンツの表示サイズを徐々に拡大する態様で当該第2コンテンツを表示させる」
ことである点で共通している。

(ウ)引用発明の「表示制御方法を実現するためのコンピュータプログラム」は、「コンピュータ」に、上記(ア)の「CONTENT 3」等を含む「ページ60」の「表示手順」や、上記(イ)の「コンテンツ631」に「アニメーション」を「適用」する「表示制御手順」を「実行させる」ものであることが明らかであり、本願発明1の「情報表示プログラム」に相当する。

イ したがって、本願発明1と引用発明とは以下の点で一致する。
(一致点)
「コンピュータに
第1コンテンツが有する所定の表示領域内に、第2コンテンツを配置して、各コンテンツを所定の画面上に表示する表示手順と、
利用者の操作により前記第2コンテンツが所定の位置まで移動した場合は、当該第2コンテンツの表示サイズを徐々に拡大する態様で当該第2コンテンツを表示させる表示制御手順と
を実行させるための情報表示プログラム。」

ウ また、本願発明1と引用発明とは以下の点で相違する。
(相違点1)
本願発明1では、「第1コンテンツ」が「ウェブコンテンツである」とともに、「第2コンテンツ」が「広告に関するコンテンツである」のに対し、引用発明では、「ページ60」のコンテンツ、「コンテンツ631」がそれぞれ何のコンテンツであるかの具体的な特定がない点。

(相違点2)
本願発明1は、「第2コンテンツの表示サイズを徐々に拡大する」ことを、「前記第2コンテンツを前記第1コンテンツよりも画面の奥方向へと仮想的に移動させる態様で前記第2コンテンツの表示サイズを所定の表示サイズまで縮小させ、その後、前記第2コンテンツを前記第1コンテンツよりも画面の手前方向へと仮想的に移動させる態様で」、「前記表示領域よりも大きい表示サイズまで」行うとともに、拡大後において「当該第2コンテンツを表示させる」ことを、「当該第2コンテンツのうち一部の領域が前記画面外にはみ出る態様で」行うのに対し、引用発明は、「コンテンツ631」を単に「ページ上で拡大」するものである点。

(2)判断
事案に鑑みて、相違点2について先に検討する。
画面上で一部のコンテンツを拡大表示することについて、当該コンテンツを他のコンテンツよりも画面の奥方向へと仮想的に移動させる態様で当該コンテンツの表示サイズを所定の表示サイズまで縮小させ、その後、当該コンテンツを他のコンテンツよりも画面の手前方向へと仮想的に移動させる態様で行うことは、引用文献1?9には記載されておらず、本願出願日前において周知技術であるともいえない。
上記第5の2、同3によれば、引用文献3、引用文献4にはそれぞれ、コンテンツの一部の領域が画面外にはみ出る態様でコンテンツを拡大表示することが記載されていることが認められるが、上記の画面の奥方向への移動等を伴った態様の拡大表示については記載されていない。
よって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用文献1?9に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2?19について
本願発明2?16は、いずれも本願発明1を減縮した発明である。
また、本願発明17?19は、いずれも本願発明1に対応する発明特定事項を含んでいる。
そうすると、本願発明2?19も本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用文献1?9に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第7 原査定についての判断
令和2年12月21日付けの補正により、補正後の請求項1?19は、「前記第2コンテンツを前記第1コンテンツよりも画面の奥方向へと仮想的に移動させる態様で前記第2コンテンツの表示サイズを所定の表示サイズまで縮小させ、その後、前記第2コンテンツを前記第1コンテンツよりも画面の手前方向へと仮想的に移動させる態様で当該第2コンテンツの表示サイズを前記表示領域よりも大きい表示サイズまで徐々に拡大し」という技術的事項を有するものとなった。当該技術的事項は、原査定における引用文献A?Gには記載されておらず、本願優先日前における周知技術でもないので、本願発明1?19は、当業者であっても、原査定における引用文献A?Gに基づいて容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-03-04 
出願番号 特願2018-170948(P2018-170948)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 三吉 翔子滝谷 亮一野村 和史  
特許庁審判長 稲葉 和生
特許庁審判官 富澤 哲生
林 毅
発明の名称 情報表示プログラム、情報表示装置、情報表示方法および配信装置  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  

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