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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G01N
管理番号 1371656
異議申立番号 異議2019-700914  
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-04-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-11-15 
確定日 2020-12-04 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6512308号発明「クロマトグラフ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6512308号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1-4〕について訂正することを認める。 特許第6512308号の請求項1、2、4に係る特許を維持する。 特許第6512308号の請求項3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6512308号の請求項1?4に係る特許についての出願は、平成27年12月28日に出願され、平成31年4月19日にその特許権の設定登録がされ、令和元年5月15日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、令和元年11月15日に特許異議申立人山田 宏基(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審は、令和2年2月18日付けで取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内である同年4月15日に意見書の提出及び訂正の請求を行い、その訂正の請求に対して、申立人は、同年6月5日に意見書を提出した。当審より、同年7月1日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、同年9月3日に特許権者より意見書の提出及び訂正の請求(以下、当該訂正の請求を「本件訂正請求」という。)がされ、その訂正の請求に対して、申立人は、令和2年10月13日に意見書を提出した。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は、以下のとおりである。(下線は、訂正箇所を示す。)

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「本体と、前記本体に設けられ、試料を検出して検出信号を出力する検出器と、前記本体に設けられ、タッチパネル式の表示画面を有する表示器と、」と記載されているのを、「カラム、及びカラムオーブンを収容する中空状の本体と、前記本体に設けられ、試料を検出して検出信号を出力する検出器と、前記本体に設けられ、タッチパネル式の表示画面を有する表示器と、過去の分析時に生成されたクロマトグラムのデータを格納する記憶部と、」に訂正し、特許請求の範囲の請求項1に「前記検出器からの検出信号に基づいて、前記表示画面内に配置され、クロマトグラムをリアルタイムで表示させるための領域であるグラフ領域内にクロマトグラムをリアルタイムで表示させるとともに、前記表示画面における前記グラフ領域に対するタッチ操作に基づいて、当該グラフ領域内の表示を変更する表示処理部とを備え、前記表示処理部は、前記検出器からの検出信号に基づいて、前記表示画面における前記グラフ領域内にクロマトグラムをリアルタイムで変化させながら表示させるとともに、前記表示画面における前記グラフ領域に対するタッチ操作に基づいて、クロマトグラムの変化を停止させ、その後の当該グラフ領域に対するタッチ操作に基づいて、当該グラフ領域内の表示を変更する」と記載されているのを、「前記検出器からの検出信号に基づいて、前記表示画面内に配置され、クロマトグラムをリアルタイムで表示させるための領域である第1グラフ領域内に第1クロマトグラムをリアルタイムで表示させるとともに、前記表示画面における前記グラフ領域に対するタッチ操作に基づいて、当該第1グラフ領域内の表示を変更する表示処理部とを備え、前記表示処理部は、前記検出器からの検出信号に基づいて、前記表示画面における前記第1グラフ領域内に前記第1クロマトグラムをリアルタイムで変化させながら表示させるとともに、前記表示画面における第2グラフ領域内に前記記憶部に格納されている前記データに対応する第2クロマトグラムを表示させ、さらに前記表示画面における前記第1グラフ領域又は前記第2グラフ領域に対するタッチ操作に基づいて、前記第1クロマトグラムおよび前記第2クロマトグラムの変化を停止させ、その後の当該第2グラフ領域に対するタッチ操作に基づいて、該第2クロマトグラムをコピーしたクロマトグラムを前記第1グラフ領域内の前記第1クロマトグラムに横軸である時間軸を対応付けた状態で重ねて表示することで、当該第1グラフ領域内の表示を変更する」に訂正する。
そして、請求項1を引用する、請求項2及び4も同様に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に、「前記表示処理部は、前記表示画面における前記グラフ領域に対するタッチ操作に基づいて、当該グラフ領域内に表示されているクロマトグラムを拡大表示又は縮小表示させることを」と記載されているのを、「前記表示処理部は、前記表示画面における前記第1グラフ領域に対するタッチ操作に基づいて、当該第1グラフ領域内に表示されている前記第1クロマトグラムを拡大表示又は縮小表示させることを」に訂正する。
そして、請求項2を引用する、請求項4も同様に訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に「前記表示処理部は、前記表示画面における前記グラフ領域内のクロマトグラムの表示を停止させた後、当該グラフ領域に対するタッチ操作が一定時間行われない場合に、クロマトグラムの変化を再開させることを特徴とする請求項1?3のいずれか一項に記載のクロマトグラフ。」と記載されているのを、「前記表示処理部は、前記表示画面における前記第1グラフ領域内の前記第1クロマトグラムの表示を停止させた後、当該第1グラフ領域に対するタッチ操作が一定時間行われない場合に、当該第1クロマトグラムの変化を再開させることを特徴とする請求項1?2のいずれか一項に記載のクロマトグラフ。」に訂正する。

なお、訂正前の請求項1?4について、請求項2?4はそれぞれ請求項1を直接又は間接的に引用しているから、訂正前において一群の請求項に該当するものである。
したがって、上記訂正の請求は、一群の請求項ごとにされたものである。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1に係る請求項1についての訂正は、「クロマトグラム」の「本体」が「カラム、及びカラムオーブンを収容する中空状」であり、「前記本体」は、「過去の分析時に生成されたクロマトグラムのデータを格納する記憶部」を備え、「前記本体」に備えられた「表示処理部」が、「前記検出器からの検出信号に基づいて、前記表示画面内に配置され、クロマトグラムをリアルタイムで表示させるための領域である第1グラフ領域内に第1クロマトグラムをリアルタイムで表示させるとともに、前記表示画面における前記グラフ領域に対するタッチ操作に基づいて、当該第1グラフ領域内の表示を変更」し、「前記検出器からの検出信号に基づいて、前記表示画面における前記第1グラフ領域内に第1クロマトグラムをリアルタイムで変化させながら表示させるとともに、前記表示画面における第2グラフ領域内に前記記憶部に格納されている前記データに対応する第2クロマトグラムを表示させ、さらに前記表示画面における前記第1グラフ領域又は前記第2グラフ領域に対するタッチ操作に基づいて、前記第1クロマトグラム及び前記第2クロマトグラムの変化を停止させ、その後の当該第2グラフ領域に対するタッチ操作に基づいて、該第2クロマトグラムをコピーしたクロマトグラムを第1グラフ領域内の前記第1クロマトグラムに横軸である時間軸に対応付けた状態で重ねて表示することで、当該第1グラフ領域内の表示を変更する」旨の限定を加えるものであるから特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、本件明細書の発明の詳細な説明に、(下線は当審にて付した。以下同様。)

(本a)「【0020】
1.ガスクロマトグラフの全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係るガスクロマトグラフの構成例を示した概略図である。このガスクロマトグラフは、キャリアガスとともに試料ガスをカラム1内に供給することにより分析を行うためのものであり、上記カラム1以外に、カラムオーブン2、試料導入部3、検出器4、及び、これらを収容する中空状の本体10などを備えている。
カラム1は、例えば、キャピラリカラムからなる。カラム1は、ヒータ及びファンなど(いずれも図示せず)とともにカラムオーブン2内に収容されている。
カラムオーブン2は、カラム1を加熱するためのものであり、分析時にはヒータ及びファンを適宜駆動させる。」

(本b)「【0054】
図7?図10は、比較モードの状態の表示画面111の表示態様の一例を示した概略図である。具体的には、図7は、表示画面111が比較モードとなった直後の状態を示している。また、図8は、第1グラフ領域113において、分析中のクロマトグラムに対して前回分析時のクロマトグラムを重ねて表示する状態を示している。また、図9は、第2グラフ領域115において、クロマトフラムの一部が選択される状態を示している。また、図10は、第1グラフ領域113において、分析中のクロマトグラムに対して前回分析時のクロマトグラムの一部を重ねて表示する状態を示している。
図7?図10を用いて、比較モードの場合の表示画面111の表示態様について説明する。
【0055】
例えば、表示画面111において基本画面が表示される状態において、グラフAの表示内容によっては、前回分析時のデータと比較することにより、精度の高い分析を行うことができる場合がある。このような場合に対応するため、表示処理部132は、表示画面111に対するタッチ操作に基づいて、表示画面111を比較モードにして、以下のように表示画面111の表示内容を変更する。
【0056】
図7に示すように、比較モードとなった表示画面111では、下方側に上記した第1グ
ラフ領域113が表示されており、上方側に第2グラフ領域115が表示される。
第1グラフ領域113では、上記したように、データ処理部131によって生成されたクロマトグラムであるグラフAが右から左に移動するように表示される。すなわち、第1グラフ領域113では、クロマトグラムがリアルタイム表示されている。
【0057】
第2グラフ領域115は、前回分析時に生成されたクロマトグラムを表示させるための領域であって、記憶部12に格納されている前回データ121に対応するグラフDが表示される。また、第2グラフ領域115では、第1グラフ領域113に表示されるグラフAに対応するように、グラフDが右から左に移動するように表示される。すなわち、表示画面111が比較モードとなった直後は、表示画面111では、クロマトグラムを表す領域が2つ表示されており、各領域において、クロマトグラムが移動するように表示されている。」

(本c)「【0059】
そして、この状態から、表示処理部132は、表示画面111に対するタッチ操作がさらに行われると、そのタッチ操作に基づいて表示内容を変更する。
具体的には、表示処理部132は、表示画面111を比較モードにした状態において、作業者によって、第1グラフ領域113又は第2グラフ領域115に対してタッチ操作が行われると、まず、第1グラフ領域113におけるグラフAの移動、及び、第2グラフ領域115におけるグラフDの移動を停止する。
【0060】
そして、表示処理部132は、作業者によって、第2グラフ領域115の一部分をタッチした状態から、そのタッチ部分を下方にずらすようにしてスライド操作(ドラッグ)が行われると、図8に示すように、第1グラフ領域113において、グラフAにグラフEを重ねる。グラフEは、第2グラフ領域115に表示されるグラフDをコピーしたグラフである。
【0061】
すなわち、第1グラフ領域113において、分析中のクロマトグラムであるグラフAと、前回分析時のクロマトグラムであるグラフEとが、横軸(時間軸)を対応付けた状態で、重ねて表示される。
このとき、グラフAとグラフEとを異なる色で表示させるなどして、互いに区別させることが好ましい。」

(本d)「【0078】
また、以上の説明では、表示画面111が比較モードとなった場合に、第2グラフ領域115には、前回分析時のクロマトグラムが表示されるとして説明したが、第2グラフ領域115には、複数の過去の分析時に生成されたクロマトグラムから選択された一のクロマトグラムが表示されてもよい。具体的には、記憶部12に、過去の分析時に生成されたクロマトグラムのデータが複数記憶され、表示処理部132は、表示画面111が比較モードとなった場合に、第2グラフ領域115において、これらの複数のデータから選択された一のデータに基づくクロマトグラムを表示させてもよい。」

と記載されていることから、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(2)訂正事項2について
訂正事項2に係る請求項2についての訂正は、「前記表示処理部」が、「基づく」「タッチ操作」を、「前記表示画面における前記グラフ領域に対するタッチ操作」から、「前記表示画面における前記第1グラフ領域に対するタッチ操作」に限定し、この「タッチ操作に基づいて」、「拡大表示又は縮小表示させる」「当該グラフ領域内に表示されているクロマトグラム」を、「当該グラフ領域内に表示されているクロマトグラム」から「当該第1グラフ領域内に表示されている前記第1クロマトグラム」に限定しているから、訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、本件明細書の発明の詳細な説明に、

(本e)「【0046】
具体的には、表示処理部132は、表示画面111を編集モードにした状態において、作業者によって、第1グラフ領域113の所定部分に対するタッチが一定時間続けられると(第1グラフ領域113に対して長押しされると)、図5に示すように、表示画面111に拡大画面114を表示させる。
【0047】
拡大画面114は、第1グラフ領域113に重ねて表示されている。拡大画面114では、一定時間続けてタッチされた部分を中心とする第1グラフ領域113の一定領域が拡大表示される。
なお、図5では、図3に示す領域Bに対するタッチが続けられることにより、編集モードとなった場合の表示画面111を示している。すなわち、図5では、図3に示す領域Bが拡大画面114において拡大表示されている。
【0048】
さらに、表示処理部132は、この状態から、拡大画面114に対してタッチ操作が行われた場合には、そのタッチ操作に基づいて、拡大画面114内の表示内容を変更する。
【0049】
例えば、表示処理部132は、作業者によって、拡大画面114の一部分をタッチした
状態から、そのタッチ部分をずらすようにしてスライド操作が行われると、そのスライド方向に拡大画面114内の表示を移動させる。また、表示処理部132は、作業者によって、拡大画面114における任意の2箇所をタッチした状態から、そのタッチ部分を拡げるようにしてスライド操作(ピンチアウト)が行われると、拡大画面114内の表示をさらに拡大させる。また、表示処理部132は、作業者によって、拡大画面114における任意の2箇所をタッチした状態から、そのタッチ部分を狭めるようにしてスライド操作(ピンチイン)が行われると、拡大画面114内の表示を縮小させる。」

と記載されていることから、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)訂正事項3について
訂正事項3に係る請求項3についての訂正は、請求項3を削除する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、この訂正が、新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではないことは明らかである。

(4)訂正事項4について
訂正事項4に係る請求項4についての訂正は、「グラフ領域」及びクロマトグラム」を、それぞれ「第1グラフ領域」及び「第1クロマトグラム」に限定するものであり、そして、訂正事項3により請求項3が削除されたことに伴い、訂正前の請求項4が引用する請求項1?3の内、請求項3を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。そして、この訂正が、新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではないことは明らかである。

3 小括
上記のとおり、訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?4〕について訂正することを認める。

第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1?4に係る発明(以下「本件発明1?4」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1?4に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
カラム、及びカラムオーブンを収容する中空状の本体と、
前記本体に設けられ、試料を検出して検出信号を出力する検出器と、
前記本体に設けられ、タッチパネル式の表示画面を有する表示器と、
過去の分析時に生成されたクロマトグラムのデータを格納する記憶部と、
前記検出器からの検出信号に基づいて、前記表示画面内に配置され、クロマトグラムをリアルタイムで表示させるための領域である第1グラフ領域内に第1クロマトグラムをリアルタイムで表示させるとともに、前記表示画面における前記グラフ領域に対するタッチ操作に基づいて、当該第1グラフ領域内の表示を変更する表示処理部とを備え、
前記表示処理部は、前記検出器からの検出信号に基づいて、前記表示画面における前記第1グラフ領域内に第1クロマトグラムをリアルタイムで変化させながら表示させるとともに、前記表示画面における第2グラフ領域内に前記記憶部に格納されている前記データに対応する第2クロマトグラムを表示させ、さらに前記表示画面における前記第1グラフ領域又は前記第2グラフ領域に対するタッチ操作に基づいて、前記第1クロマトグラム及び前記第2クロマトグラムの変化を停止させ、その後の当該第2グラフ領域に対するタッチ操作に基づいて、該第2クロマトグラムをコピーしたクロマトグラムを第1グラフ領域内の前記第1クロマトグラムに横軸である時間軸に対応付けた状態で重ねて表示することで、当該第1グラフ領域内の表示を変更することを特徴とするクロマトグラフ。
【請求項2】
前記表示処理部は、前記表示画面における前記グラフ領域に対するタッチ操作に基づいて、当該グラフ領域内に表示されているクロマトグラムを拡大表示又は縮小表示させることを特徴とする請求項1に記載のクロマトグラフ。
【請求項3】 (削除)
【請求項4】
前記表示処理部は、前記表示画面における前記第1グラフ領域内の前記第1クロマトグラムの表示を停止させた後、当該第1グラフ領域に対するタッチ操作が一定時間行われない場合に、当該第1クロマトグラムの変化を再開させることを特徴とする請求項1?2のいずれか一項に記載のクロマトグラフ。」

第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
訂正前の請求項1?4に係る特許に対して、当審が令和2年7月1日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。
訂正前の請求項1及び2に係る発明は、引用文献1に記載された発明、甲第1号証及び引用文献3に記載された技術事項並びに周知技術に基いて、訂正前の請求項3に係る発明は、引用文献1に記載された発明、甲第1号証、引用文献3及び引用文献8に記載された技術事項並びに周知技術に基いて、訂正前の請求項4に係る発明は、甲第1号証、引用文献3、引用文献6及び引用文献8に記載された技術事項並びに周知技術に基いて、当業者が容易に発明することができたものである。よって、請求項1?4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。

引用文献1:特開2010-32277号公報
引用文献2:特開2015-59782号公報(甲2号証)
引用文献3:特開2014-169882号公報(甲6号証)
引用文献4:特表2012-529351号公報(甲7号証)
引用文献5:特開2007-190228号公報(甲8号証)
引用文献6:米国特許出願公開第2013/0030257号明細書(甲9号証)
引用文献7:特開2014-32093号公報(甲3号証)
引用文献8:特開2008-58156号公報(甲4号証)
甲1号証:実願平5-55537号(実開平7-20559号)のCD-ROM
参考文献1:国際公開第2008/102872号の再公表公報
参考文献2:特開2010-91474号公報

2 引用文献の記載
(1) 引用文献1
ア 引用文献1に記載された事項
引用文献1には、以下の事項が記載されている。

(引1a)「【0017】
このLC装置はLC部本体1と処理部2とから成る。LC部本体1は、移動相が貯留された移動相容器10と、移動相を送給する送液ポンプ11と、予め用意された複数の液体試料の中から指定された試料を選択し、送給される移動相中に該試料を注入するインジェクタ12と、試料に含まれる各種成分を分離するカラム13と、カラム13からの溶出液中の各種成分を検出する検出器14と、検出器14により検出された信号をデジタル値に変換するA/D変換器(ADC)15と、を備える。検出器14は、紫外可視分光光度検出器、フォトダイオードアレイ検出器、示差屈折率検出器、電気伝導度検出器など、その検出方式は特に問わない。
【0018】
処理部2は、データ処理部20とデータ記憶部25とを含み、データ処理部20に操作部28及び表示部29が接続されている。この処理部2の実体はCPU、RAM、ROM、HDDなどを含むパーソナルコンピュータ(PC)であり、このPCにインストールされた専用の制御・処理ソフトウエアが実行されることで、後述するようなデータ処理部20内の各機能が達成される。操作部28はPCに接続されるキーボードやマウスなどのポインティングデバイスであり、表示部29はPCに接続される液晶モニタ等の表示モニタである。
【0019】
データ処理部20、クロマトグラム描画部21、ピーク検出部22、指示ピーク特定部23、クロマトグラム伸縮処理部24などの機能ブロックを含む。データ記憶部25は分析により収集されたクロマトグラムデータを保存するためのクロマトグラムデータ格納部26を含む。データ記憶部25はPCに内蔵されたHDDを利用することができるが、PCとは別の外部のHDDや、LANなどの通信線を介してPCに接続されたサーバなどの記憶装置を利用してもよい。
【0020】
次に、本実施例のLC装置における特徴的なデータ処理動作として、クロマトグラム描画処理の動作を、図2を参照して説明する。
いまここでは、LC部本体1による分析の結果、或る試料についてのクロマトグラムデータが収集され、それらが、クロマトグラムデータ格納部26に例えば1つのデータファイルとして格納されている場合を想定する。
【0021】
分析担当者が操作部28で上記データファイルを指定してクロマトグラムの描出を指示すると、データ処理部20においてクロマトグラム描画部21が該当するデータファイルをクロマトグラムデータ格納部26から読み出し、図2(a)に示すようなクロマトグラム表示画面40を作成して表示部29の画面上に表示する。この際に、例えばベースライン補正やノイズ除去などの適宜の波形処理を実行し、その処理後のクロマトグラムを表示するようにすることができる。」

(引1b)「【0024】
分析担当者は表示部29の画面上に表示された図2(b)に示したようなクロマトグラム表示画面40を見て、着目するピークを操作部28により選択した上で自動拡大・縮小表示を指示する。より詳しく説明すると、クロマトグラム表示画面40上に重畳して表示される矢印形状のカーソル43は操作部28のマウス(或いはキーボードの矢印キーなど)に連動して移動するようになっており、分析担当者はマウス操作によりカーソル43を着目するピークの内側に移動させる。図2(b)の例では、ピークPが着目するピークであるものとし、このピークPを指示するようにカーソル43の位置が設定されている。その状態で分析担当者がマウスの右ボタンをクリック操作すると、処理操作のメニューが開く。分析担当者は、その処理操作メニューの中で「選択したピークでノーマライズ表示する」なる項目を選択してクリック操作する。なお、例えばカーソル43が或るピークの内側に移動されたときに、そのピーク領域の色が変化するようにすると、ピークが選択可能な状態であることを分析担当者に分かり易く知らせることができる。
【0025】
上記のような操作を受けてデータ処理部20では、指示ピーク特定部23が、マウスで指示された画面上のポイントの位置情報(X軸及びY軸に沿った値)をクロマトグラム描画部21が保持する各ピークの開始点及び終了点の位置情報に照らして、指示されたピークを特定する。これによって、分析担当者が指示したピークがピークPであることが特定される。さらに、特定されたピークPのピークトップP1の位置情報(図2(c)中の(x1、y1))も取得する。
【0026】
次にクロマトグラム伸縮処理部24は、特定されたピークPのピークトップP1が予め定められた強度軸上の位置に来るように、或いは、このピークP全体が強度軸上の所定の表示範囲に入るように、強度軸の拡大率(又は縮小率)を計算する。いま、ここでは一例として、図2(c)右側に示すように、クロマトグラムの強度軸の全表示範囲Qの中で下端から0.1×Qだけ上方の高さにクロマトグラムのベースラインを位置させ、全表示範囲Qの中で上端から0.1×Qだけ下方の高さに、指定されたピークのピックトップを位置させるように、ノーマライズ表示を行うものとする。なお、このノーマライズ表示の目標値はあくまでも一例であり、適宜決めることができるのは当然である。」

(引1c)「【0029】
また上記実施例は、分析終了後に既に収集されているクロマトグラムデータを用いてクロマトグラムを描画する際の処理について説明したが、分析実行中に順次得られるクロマトグラムデータに基づいてリアルタイムでクロマトグラムを描画する際にも同様の処理を行うこともできる。その場合、既に収集された分のクロマトグラムデータに対してピーク検出を実行し、それにより検出された任意のピークを指定してノーマライズ表示できるようにすればよい。この場合、ノーマライズ表示により強度軸が拡大・縮小されたクロマトグラムに表示が更新された後、その強度軸を保ってそれ以降のリアルタイムのクロマトグラム描画が続行されるようにするとよい。」

イ 引用文献1に記載された発明
(ア)上記(引1c)より、引用文献1に、「分析実行中に順次得られるクロマトグラムデータに基づいてリアルタイムでクロマトグラムを描画する際にも同様の処理を行うこともできる。その場合、既に収集された分のクロマトグラムデータに対してピーク検出を実行し、それにより検出された任意のピークを指定してノーマライズ表示できるようにすればよい。この場合、ノーマライズ表示により強度軸が拡大・縮小されたクロマトグラムに表示が更新された後、その強度軸を保ってそれ以降のリアルタイムのクロマトグラム描画が続行されるようにするとよい。」と記載されていることから、上記(引1a)の「データ記憶部25は分析により収集されたクロマトグラムデータを保存するためのクロマトグラムデータ格納部26を含み、LC部本体1による分析の結果、或る試料についてのクロマトグラムデータが収集され、それらが、クロマトグラムデータ格納部26にデータファイルとして格納され、分析担当者が操作部28で上記データファイルを指定してクロマトグラムの描出を指示すると、データ処理部20においてクロマトグラム描画部21が該当するデータファイルをクロマトグラムデータ格納部26から読み出し、クロマトグラム表示画面40を作成して表示部29の画面上に表示」することは、上記(引1c)に記載された実施例においては、「データ記憶部25は分析により収集されたクロマトグラムデータを保存するためのクロマトグラムデータ格納部26を含み、LC部本体1による分析中に、或る試料についての分析実行中に順次得られるクロマトグラムデータが収集され、それらが、クロマトグラムデータ格納部26にデータファイルとして格納され、分析担当者が操作部28で上記データファイルを指定してクロマトグラムの描出を指示すると、データ処理部20においてクロマトグラム描画部21が該当するデータファイルをクロマトグラムデータ格納部26から読み出し、クロマトグラム表示画面40を作成してリアルタイムで表示部29の画面上に表示」することであり、(引1b)に記載の、「上記操作を受けてデータ処理部20では、指示ピーク特定部23が、マウスで指示された画面上のポイントの位置情報をクロマトグラム描画部21が保持する各ピークの開始点及び終了点の位置情報に照らして、指示されたピークを特定し、クロマトグラム伸縮処理部24は、特定されたピークPのピークトップP1が予め定められた強度軸上の位置に来るように、或いは、このピークP全体が強度軸上の所定の表示範囲に入るように、強度軸の拡大率(又は縮小率)を計算し、指定されたピークのピックトップを位置させるように、ノーマライズ表示を行」うことは、「上記操作を受けてデータ処理部20では、指示ピーク特定部23が、マウスで指示された画面上のポイントの位置情報をクロマトグラム描画部21が保持する各ピークの開始点及び終了点の位置情報に照らして、既に収集された分のクロマトグラムデータに対して、指示されたピークを特定し、クロマトグラム伸縮処理部24は、特定されたピークPのピークトップP1が予め定められた強度軸上の位置に来るように、或いは、このピークP全体が強度軸上の所定の表示範囲に入るように、強度軸の拡大率(又は縮小率)を計算し、指定されたピークのピックトップを位置させるように、ノーマライズ表示を行い、ノーマライズ表示により強度軸が拡大・縮小されたクロマトグラムに表示が更新された後、その強度軸を保ってそれ以降のリアルタイムのクロマトグラム描画が続行される」ことである。

(イ)上記(ア)を踏まえれば、上記(引1a)?(引1c)より、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「LC部本体1と処理部2とから成るLC装置において、
LC部本体1は、試料に含まれる各種成分を分離するカラム13と、カラム13からの溶出液中の各種成分を検出する検出器14と、検出器14により検出された信号をデジタル値に変換するA/D変換器(ADC)15と、を備え、
処理部2は、データ処理部20とデータ記憶部25とを含み、
処理部2はPCであり、
操作部28はPCに接続されるキーボードやマウスなどのポインティングデバイスであり、表示部29はPCに接続される液晶モニタ等の表示モニタであり、
データ処理部20、クロマトグラム描画部21、ピーク検出部22、指示ピーク特定部23、クロマトグラム伸縮処理部24などの機能ブロックを含み、
データ記憶部25は分析により収集されたクロマトグラムデータを保存するためのクロマトグラムデータ格納部26を含み、
LC部本体1による分析中に、或る試料についての分析実行中に順次得られるクロマトグラムデータが収集され、それらが、クロマトグラムデータ格納部26にデータファイルとして格納され、
分析担当者が操作部28で上記データファイルを指定してクロマトグラムの描出を指示すると、データ処理部20においてクロマトグラム描画部21が該当するデータファイルをクロマトグラムデータ格納部26から読み出し、クロマトグラム表示画面40を作成してリアルタイムで表示部29の画面上に表示し、
分析担当者は表示部29の画面上に表示されたクロマトグラム表示画面40を見て、着目するピークを操作部28により選択した上で自動拡大・縮小表示を指示し、
クロマトグラム表示画面40上に重畳して表示される矢印形状のカーソル43は操作部28のマウスに連動して移動するようになっており、分析担当者はマウス操作によりカーソル43を着目するピークの内側に移動させ、
ピークPが着目するピークであるものとし、このピークPを指示するようにカーソル43の位置が設定され、
上記操作を受けてデータ処理部20では、指示ピーク特定部23が、マウスで指示された画面上のポイントの位置情報をクロマトグラム描画部21が保持する各ピークの開始点及び終了点の位置情報に照らして、既に収集された分のクロマトグラムデータに対して、指示されたピークを特定し、
クロマトグラム伸縮処理部24は、特定されたピークPのピークトップP1が予め定められた強度軸上の位置に来るように、或いは、このピークP全体が強度軸上の所定の表示範囲に入るように、強度軸の拡大率(又は縮小率)を計算し、指定されたピークのピックトップを位置させるように、ノーマライズ表示を行い、
ノーマライズ表示により強度軸が拡大・縮小されたクロマトグラムに表示が更新された後、その強度軸を保ってそれ以降のリアルタイムのクロマトグラム描画が続行される
LC装置。」

(2)引用文献2
ア 引用文献2には、以下の事項が記載されている。
(引2a)「【0025】
図1は本実施例の波形処理支援装置1が用いられる分取液体クロマトグラフ装置の要部構成を示すブロック図である。溶離液槽11に貯留されている溶離液(移動相)は送液ポンプ12により吸引され、一定流量で試料導入部13を介してカラム14に流される。試料導入部13において移動相中に注入された試料溶液は移動相に乗ってカラム14に導入され、カラム14を通過する間に時間方向に成分分離されて溶出する。紫外可視分光光度計である検出器15はカラム14から溶出する成分を順次検出し、検出信号を信号処理部21へと送る。検出器15を通った溶出液はその全量又は一部がフラクションコレクタ16に導入される。信号処理部21は、検出器15から得られる検出信号に基づいてクロマトグラムを作成する。
【0026】
使用者は、作成されたクロマトグラムのピーク波形に基づき、分取する区間を決定するが、上記信号処理部21、波形解析部22、及び分取時刻決定部23を有し、所定の処理プログラムが搭載されたコンピュータ10と、入力装置からなる入力部25と、表示画面からなる表示部26を有する波形処理支援装置1は以下のようにこの分取区間決定のための波形処理の作業者負担を軽減する。
【0027】
まず、波形解析部22の波形表示処理部27は波形処理支援装置1の使用者に「Width」および「Slope」という2つのパラメータに基づいて該クロマトグラム上のピークの立ち上がり位置及び立ち下がり位置を指定させるために、信号処理部21が作成したクロマトグラムの波形を表示部26の表示画面に表示する。
【0028】
クロマトグラムのピーク波形が表示された表示画面の一例を図3に示す。表示部26の表示画面は横軸を時間、縦軸を強度として、クロマトグラムのピーク波形を表示する画面領域20を有する。画面領域20には、使用者がマウスを操作し、波形解析部22の標点表示処理部28が表示するマウスポインタ31をピーク波形の点Pに重ねてクリックすることで、ピークの立ち上がり位置を指定した場合の表示画面の一例が示されている。
【0029】
使用者がマウスポインタ31を移動させ、それをピーク波形の点Pに重ねて、マウスのボタンをクリックすると、波形解析部22の傾斜情報表示処理部29は、波形データに基づき、使用者が指定した点Pの傾きの値を直ちに計算し、点Pの傾きの値(数値)32を点Pの近くに表示する。なお、傾きの値(数値)は、点Pの近くではなく、画面の右上等、別の分かりやすい場所でも良い。
【0030】
本実施例では、入力部25としてマウスを用い、使用者がマウスでクリックしてピークの立ち上がり位置を指定した場合を示したが、表示部26がタッチパネルとなっている場合は、ペン型入力デバイスや指でタッチする等の方法でピーク波形の点Pを指定しても良い。また、クリック等の特別な指定のための操作を行うことなく、マウスポインタ31が載ったピーク波形の点を指定された点としても良い。」

イ 引用文献2に記載された技術事項
上記(引2a)より、引用文献2には、以下の技術事項(以下「技術事項2」という。)が記載されている。

「波形処理支援装置1が用いられる分取液体クロマトグラフ装置において、
紫外可視分光光度計である検出器15はカラム14から溶出する成分を順次検出し、検出信号を信号処理部21へと送り、
信号処理部21は、検出器15から得られる検出信号に基づいてクロマトグラムを作成し、
波形処理支援装置1は、上記信号処理部21、波形解析部22、及び分取時刻決定部23を有し、所定の処理プログラムが搭載されたコンピュータ10と、入力装置からなる入力部25と、表示画面からなる表示部26を有し、
該クロマトグラム上のピークの立ち上がり位置及び立ち下がり位置を指定させるために、信号処理部21が作成したクロマトグラムの波形を表示部26の表示画面に表示し、
画面領域20には、使用者がマウスを操作し、波形解析部22の標点表示処理部28が表示するマウスポインタ31をピーク波形の点Pに重ねてクリックすることで、ピークの立ち上がり位置を指定し、
入力部25としてマウスを用い、使用者がマウスでクリックしてピークの立ち上がり位置を指定した場合に換えて、表示部26がタッチパネルとなっている場合は、ペン型入力デバイスや指でタッチする等の方法でピーク波形の点Pを指定し、クリック等の特別な指定のための操作を行うことなく、マウスポインタ31が載ったピーク波形の点を指定された点としても良い
分取液体クロマトグラフ装置。」

(3)引用文献3
ア 引用文献3に記載された技術事項
引用文献3には、以下の事項が記載されている。

(引3a)「【0028】
図1に、本発明を適用する波形表示装置1の一例を示す。この波形表示装置1は、同図に示すように、操作者(測定者)が手(同図の例では左手90b)に持って使用が可能な大きさの携帯型の本体2を有している。本体2は、その正面に表示画面17を備えている。表示画面17は、一例としてタッチパネルであり、操作部18を兼ねている。この波形表示装置1は、一例として、測定データを測定し、測定データに基づく波形A,Bを、表示画面17に表示する測定装置である。
【0029】
図2に、波形表示装置1の構成をブロック図で示す。
【0030】
波形表示装置1は、一例として、本体2(図1参照)の内部に、衝撃検出センサ10、測定用センサ11、測定部12、CPU(中央処理演算装置)15、表示画面17、操作部18、記憶部19、外部I/F部20、及び外部記録装置21を備えている。」

(引3b)「【0039】
波形表示装置1のCPU15(図2参照)は、電源が投入されると記憶部19のプログラムに従って動作する。CPU15は、測定部12を制御して測定を実行し、測定データを取得する。CPU15は、取得した測定データを記憶部19に記憶させる。この測定動作は、従来の測定装置と同様である。外部I/F部20や外部記録装置21から測定データを読み込んで、記憶部19に記憶させてもよい。
【0040】
CPU15は波形表示処理手段30として動作して、記憶部19から測定データを読み込んで、図1に示すように表示画面17に測定データに基づく波形の一部を波形A,Bとして表示する。波形表示処理手段30は、測定中にリアルタイムに波形A,Bを表示してもよいし、測定終了後に、操作者による波形表示操作によって波形A,Bを表示してもよい。波形表示処理手段30は、波形A,Bとして、電圧などの測定データを時間軸に沿って波形表示したり、電圧及び電流の測定データに基づきインピーダンス等に演算処理してから時間軸に沿って波形表示したりする。波形表示装置1が、測定プローブを移動機構で順次移動させて測定を行うものである場合、測定位置を横軸とする波形を表示するものであってもよい。波形を表示する縦軸・横軸、グラフの種類等は、公知の波形表示装置の波形表示方法と同様であり、測定対象物や測定データの種類によって異なる。波形の表示スケールや表示するデータ範囲は、表示画面17(操作部18)の操作により、適宜設定できる。表示スケールの設定により測定データの全ての範囲を波形A,Bとして表示画面17に表示することもできる。表示スケールの設定により測定データの一部の範囲を表示画面17に波形A,Bとして表示する場合(波形の一部を表示する場合)、後述するように波形A,Bをスクロールさせたりジャンプさせたりすることで、表示画面17に表示する波形の表示位置(表示範囲)を移動させて、全体の波形の中の任意の位置(測定データの範囲)の波形A,Bを表示することが可能になっている。」

(引3c)「【0053】
波形移動指示手段31は、停止操作が行われたときに、波形のスクロールを直ちに停止させる(停止ステップS6)。停止操作は、例えば、操作者が本体2を再度手で叩く操作、タッチパネル(表示画面17)をタッチする操作、操作ボタンを押す操作などである。停止操作が行われない場合、波形の先頭、又は最後尾までスクロールして停止する。波形移動指示手段31は、波形を停止して、衝撃検出ステップS1に戻る。」

(引3d)「



イ 引用文献3に記載された技術事項
上記(引3a)?(引3c)より、引用文献3には以下の技術事項(以下「技術事項3という。」が記載されている。

「波形表示装置1は、本体2を有し、
本体2は、表示画面17を備え、
表示画面17は、タッチパネルであり、操作部18を兼ね、
測定データを測定し、測定データに基づく波形A,Bを、表示画面17に表示する測定装置であって、
本体2の内部に、測定部12、CPU15、表示画面17、操作部18、記憶部19、を備え、
CPU15は、測定部12を制御して測定を実行し、測定データを取得し、
CPU15は、取得した測定データを記憶部19に記憶させ、
CPU15は波形表示処理手段30として動作して、記憶部19から測定データを読み込んで、表示画面17に測定データに基づく波形の一部を波形A,Bとして表示し、
波形表示処理手段30は、測定中にリアルタイムに波形A,Bを表示し、
波形移動指示手段31は、停止操作が行われたときに、波形のスクロールを直ちに停止させ、
停止操作は、タッチパネル(表示画面17)をタッチする操作である
波形表示装置1。」

(4) 引用文献4
ア 引用文献4に記載された事項
引用文献4には以下の事項が記載されている。

(引4a)「【0078】
次に図6A?図7を参照して、遠隔装置12上に表示される波形のタッチ測定を説明する。特に図6Aを参照すると、図5Gに示すスクリーンショット例と同様の患者生命徴候表示250のスクリーンショット例が示されている。患者生命徴候表示250は、患者データ値を提供することができ、かつ/または患者データのグラフ形状を(ストリップ表示、または波形などとして)表示することができる。図6Aの例では、患者生命徴候の値が提供され、患者生命徴候がグラフ形状で示されている。患者生命徴候の例には、心拍数、血圧、酸素飽和度、呼気終末CO2、スワントレーシング(Swan tracing)、動脈ライントレース(Arterial Line Tracing)、中心静脈圧、EKG/ECG、呼吸器波形および体温が含まれるがそれらに限定されない。患者生命徴候は、静的表示として提供することもでき、リアルタイムで表示する(すなわち、測定が患者監視装置によって行われるのと同時に更新する)こともでき、かつ/または再生する(すなわち、記憶された患者データを再生して履歴表示を提供する)こともできる。
【0079】
遠隔装置12のユーザは、装置12のディスプレイ上に詳細に提示される特定の波形を選択することができる。例えば、ディスプレイは、装置12の動作を調節するための装置12への入力としてディスプレイとの接触を登録することができるタッチスクリーンディスプレイとして提供することもできる。そのような接触は、(指などを使った)ユーザによる直接接触、および/またはスタイラスを使った接触によって行うことができる。ユーザが図6Aにおける心拍数波形を選択する場合、図6Bおよび図6Cのスクリーンショット例を表示することができる。特に図6Aを参照すると、心拍数波形252は、基礎となる患者データが遠隔装置によって受信されるのと同時にリアルタイムで表示することができる。例えばユーザは、「Real Time」表示ボタンを選択してリアルタイムで波形252を表示させることができる。また、波形252のリアルタイム更新を一時停止しかつ波形252の履歴照会を提供するための、再生ボタン256も含まれている。」

イ 引用文献4に記載された技術事項
上記(引4a)より、引用文献4には、以下の技術事項(以下「技術事項4」という。)が記載されている。

「患者生命徴候がグラフ形状で示される患者生命徴候表示250を、遠隔装置12上に表示し、
患者生命徴候は、リアルタイムで表示することができ、
ユーザは、遠隔装置12のディスプレイ上に詳細に提示される特定の波形を選択することができ、
ディスプレイは、装置12の動作を調節するための装置12への入力としてディスプレイとの接触を登録することができるタッチスクリーンディスプレイとして提供され、
ユーザが心拍数波形を選択する場合、心拍数波形252は、基礎となる患者データが遠隔装置によって受信されるのと同時にリアルタイムで表示することができ、
波形252のリアルタイム更新を一時停止しかつ波形252の履歴照会を提供するための、再生ボタン256も含む
遠隔装置12。」

(5)引用文献5
ア 引用文献5に記載された事項
引用文献5には以下の事項が記載されている。

(引5a)「【0022】
制御部170は例えばCPUであり、例えばファイル記憶部160に記録された制御プログラムを実行して本実施形態の心電計全体の動作を制御する。入力部180はボタン、スイッチ、キーボード、マウス、ジョイスティック、タッチパネル等を代表とする少なくとも1つのインプットデバイスであり、ユーザが各種設定や指示を行う際に使用する。表示部190はLCDやCRT等の表示装置であり、制御部170の制御に従い、心電図をはじめとする各種情報を表示する。なお、直感的な使用を実現するため、本実施形態では表示部190に入力部180の一部を構成するタッチパネルが設けられているものとする。プリンタ200は、例えば一般的に心電計で用いられる感熱記録型のプリンタであり、制御部170の指示に従って心電図波形や各種レポートを印刷出力する。また、カラーレポート出力用に、通常パーソナルコンピュータの周辺機器として販売されているカラープリンタを別途接続することも可能である。
【0023】
このような構成を有する本実施形態の心電図解析装置は、例えばパーソナルコンピュータとして市販されている汎用コンピュータ装置を用いて実現することが可能である。また、信号処理部120及び波形解析部150は個別のハードウェアによって実現されても良いし、各部の機能を実現するプログラムをCPUが実行することによってソフトウェア的に実現されても良い。」

(引5b)「【0025】
まず、ステップS201で、リアルタイム画面表示を行う。図3は、本実施形態の心電計におけるリアルタイム画面表示の例を示す図である。リアルタイム画面には、検査の状態、心電図波形(リアルタイム)、被検者の情報、心電計の状態などが表示される。」

(引5c)「【0029】
ファンクションキー表示部37は、現在表示中の画面で利用可能な機能がパーソナルコンピュータのキーボードが有するファンクションキーを模して表示される。アイコン部分をタッチすると、画面上に設けられたタッチパネルにより検知され、ファンクションキーを押下したのと同等の操作感が得られる。
【0030】
図2に戻って、ステップS203で、バッファリング処理を開始する。バッファリング処理は、一時記憶部130に心電図波形データを書き込む処理であり、少なくとも1つ以上の誘導波形が検出可能な状態が検出された時点で開始される。バッファリング処理は、ユーザの指示とは無関係に、自動的に開始、継続される。バッファリング処理の詳細については後述する。
【0031】
ステップS205では、入力部180を通じてユーザから自動解析記録の実行指示があったかどうかを検出する。自動解析記録の指示があった場合、ステップS207で後述する自動解析記録処理を行なう。指示がなければステップS209へ進む。
【0032】
ステップS209では、入力部180(図3の「フリーズ」ファンクションキーの押下)を通じてユーザからフリーズ指示があったかどうかを検出する。フリーズの指示があった場合、ステップS211で後述するフリーズ処理を行ない、フリーズ解除指示により再度リアルタイム画面表示に復帰する(ステップS213)。ステップS209でフリーズ指示がなければ、ステップS215へ進む。」

(引5d)「【0068】
(フリーズ処理)
次に、図8に示すフローチャートを用いて、図2のステップS211で行われる、本実施形態の心電計におけるフリーズ処理動作について説明する。
図3のリアルタイム画面表示において、ファンクションキー表示部37の「フリーズ」が押下されると、フリーズ処理を開始する。
【0069】
まず、ステップS501において、フリーズされた(データが固定された)バッファから、全データを読み出す。そして、ステップS503で、読み出したデータに基づいてバッファイメージを作成する。この際、例えば記録されている誘導数が測定チャンネル数よりも少ない区間は電極外れ区間としたり、バッファの空き区間を検出したり、異常波形等のイベントの検出等を行う。バッファイメージについては後で詳しく説明する。
次に、ステップS505で、フリーズ画面表示を行う。フリーズ画面の詳細については後述する。
【0070】
ステップS507では、自動解析記録指示がなされたかどうかをチェックする。指示があった場合には、フリーズ画面上で手動指定された区間、或いはデフォルトで設定された区間を対象として、図5で説明した自動解析記録処理を行ない(ステップS509)、ステップS511へ進む。ステップS507で指示が検出できなければ、直接ステップS511へ進む。
【0071】
ステップS511では、手動記録指示がなされたかどうかをチェックする。指示があった場合には、フリーズ画面上で手動指定された区間のフリーズデータを対象として、出力処理を行なう(ステップS513)。出力処理では、上述の通りプリンタ200に印刷出力しても、電子データとしてファイル記憶部160へ保存しても良い。また、両方とも行うことも可能である。出力処理が終了したら、ステップS515へ進む。ステップS511で指示が検出できなければ、直接ステップS515へ進む。
【0072】
ステップS515では、フリーズ解除指示の有無を確認する。具体的には、フリーズ画面のファンクションキー表示部37に含まれるフリーズ解除ボタンが押下されたかどうかを検出する。フリーズ解除指示がなされた場合には、ステップS213へ戻ってリアルタイム画面表示を行う。
【0073】
フリーズ解除指示が無ければ、手動による記録範囲や解析対象区間の変更、表示区間の変更など、フリーズ画面の更新が必要な操作がなされたかどうかを確認する(ステップS517)。フリーズ画面の更新が必要な操作がなされた場合には、ステップS501に戻り、バッファデータの読み出しやバッファイメージの更新等を行い、フリーズ画面の更新を行う。フリーズ画面の更新が必要な操作がなされていない場合には、ステップS507へ戻る。
【0074】
(フリーズ画面)
図9は、本実施形態の心電計におけるフリーズ画面表示の例を示す図であり、図3のリアルタイム画面表示と同等の内容が表示される領域には同じ参照数字を付し、重複する説明は良略する。
【0075】
波形表示部94には、図3と同様、予め設定された誘導波形(図9では6チャンネルの誘導波形だが、図3と同様に12誘導を表示することも可能である)が表示される。しかし、図3ではリアルタイムで表示波形が変化するのに対し、フリーズ画面ではユーザが表示範囲を変更しない限り固定区間の表示がなされる点が異なる。初期の表示区間は任意に設定可能であるが、ここではフリーズ指示の入力時から直近の所定区間とする。」

イ 引用文献5に記載された技術事項
上記(引5a)?(引5d)より、引用文献5には、以下の技術事項(以下「技術事項5」という。)が記載されている。

「制御部170の制御に従い、心電図をはじめとする各種情報を表示する表示部190に入力部180の一部を構成するタッチパネルが設けられた構成を有する心電図解析装置において、
利用可能な機能がパーソナルコンピュータのキーボードが有するファンクションキーを模して表示し、アイコン部分をタッチすると、画面上に設けられたタッチパネルにより検知され、ファンクションキーを押下したのと同等の操作感が得られるファンクションキー表示部37を有し、
リアルタイム画面に、検査の状態、心電図波形(リアルタイム)、被検者の情報、心電計の状態などを表示するリアルタイム画面表示を行う、ステップS201と、
バッファリング処理を開始するステップS203と、
入力部180の「フリーズ」ファンクションキーの押下を通じてユーザからフリーズ指示があったかどうかを検出するステップS209と、
フリーズの指示があった場合、フリーズ処理を行なうステップS211とを有し、
ステップS211で行われる、フリーズ処理動作は、
フリーズされたバッファから、全データを読み出すステップS501と、
読み出したデータに基づいてバッファイメージを作成するステップS503と、
フリーズ画面表示を行うステップS505と、
手動記録指示がなされたかどうかをチェックするステップS511と、
指示があった場合には、フリーズ画面上で手動指定された区間のフリーズデータを対象として、出力処理を行なうステップS513と、
手動による記録範囲や解析対象区間の変更、表示区間の変更など、フリーズ画面の更新が必要な操作がなされたかどうかを確認するステップS517とからなり、
フリーズ画面の更新が必要な操作がなされた場合には、ステップS501に戻り、バッファデータの読み出しやバッファイメージの更新等を行い、フリーズ画面の更新を行い、
フリーズ画面表示の波形表示部94には、予め設定された誘導波形が表示され、
フリーズ画面では固定区間の表示がなされる
心電図解析装置。」

(6)引用文献6
ア 引用文献6に記載された事項
引用文献6には、以下の事項が記載されている。

(引6a)「[0003]This application in general relates to one, two, or more monitors that can assess the physiological and/or psychological state of a subject. In particular, some implementations relate to non-contact and radar-based physiologic sensors and their method of use that can provide, apnea monitoring, apnea therapy to subjects, sway cancellation, multi-parameter systems, realize cessation of breath, identify patients, or any combination thereof.」(当審下線部訳:「[0003]・・・特に、いくつかの実装は、非接触およびレーダーベースの生理学的センサと、被験者への無呼吸モニタリング、無呼吸療法、同様キャンセル、マルチパラメーターシステム、呼吸停止の実現、患者の特定、または、それらの任意の組み合わせに関する。」)

(引6b)「[0018]According to another aspect, a system for integrated monitoring of physiological parameters of a subject is provided. The system can include one or more non-contact vital sign sensors configured to: generate a signal, such as an electromagnetic signal, e.g., a radio frequency (RF) signal; transmit the generated RF signal towards a subject; receive radiation scattered by the subject; extract a Doppler shifted signal from the scattered radiation; and derive information corresponding to physiological movement of at least a portion of the subject that is substantially separate from non-cardiopulmonary motion. The system can also include at least one of a separate contact based patient monitoring device and a separate contact based vital signs measurement device.」(当審下線部訳:「[0018]・・・システムはまた、別個の接触ベースの患者監視デバイス及び別個の接触ベースのバイタルサイン測定デバイスの少なくとも一方を含むことができる。」

(引6c)「[0328]In various embodiments, the device's display may be co-located with the radar unit, or it may be separate such that the orientation and/or position of the display may be changed independently of that of the radar unit. In various embodiments, the device may use the display of an associated vital signs and/or patient monitoring device. In various embodiments of a spot check device, which can display a point-in-time respiratory rate, it may be possible to alternate between the respiratory rate and the respiratory waveform used to obtain the rate. In embodiments that utilize a touch-screen, this may be achieved by touching the number where the rate is displayed. Alternatively, a separate button may be used to toggle between the rate and the trace, or waveform. In various embodiments, it may be possible to zoom in and out on the waveform or trace. In various embodiments, the zoom may utilize a multi-touch screen. In various embodiments the zoom may utilize zoom in and zoom out buttons.
[0329]In various embodiments, a waveform may be displayed and the user may select the portion of the waveform to use to determine the rate in a spot check scenario. In some embodiments, the real-time waveform may be continuously displayed and the user may touch a button to freeze the waveform and select an interval in which to determine the rate. In some embodiments, the waveform can un-freeze after a pre-determined time.」(当審下線部訳:「[0328]・・・タッチスクリーンを利用する実施形態では、これは、レートが表示される数字に触れることにより達成され得る。または、別のボタンを使用して、レートとトレースまたは波形を切り替えることができる。様々な実施形態において、波形またはトレースをズームイン及びズームアウトすることが可能である。様々な実施形態において、ズームはマルチタッチスクリーンを利用してもよい。様々な実施形態において、ズームは、ズームインおよびズームアウトボタンを利用してもよい。
[0329]・・・いくつかの実施形態では、リアルタイム波形は連続的に表示されてもよく、ユーザはボタンをタッチして波形をフリーズし、レートを決定する間隔を選択してもよい。いくつかの実施形態において、波形は、所定の時間の後に停止を解除することができる。」

イ 引用文献6に記載された技術事項
上記(引6a)?(引6c)より、引用文献6には以下の技術事項(以下「技術事項6」という。)が記載されている。

「非接触およびレーダーベースの生理学的センサと、被験者への無呼吸モニタリング、無呼吸療法、同様キャンセル、マルチパラメーターシステム、呼吸停止の実現、患者の特定、または、それらの任意の組み合わせに関するシステムにおいて、
システムはまた、別個の接触ベースの患者監視デバイス及び別個の接触ベースのバイタルサイン測定デバイスの少なくとも一方を含むことができ,
タッチスクリーンを利用する場合は、レートが表示される数字に触れることにより、レートとトレースまたは波形を切り替えることができ、
ズームはマルチタッチスクリーンを利用して、波形またはトレースをズームイン及びズームアウトすることが可能であり、
リアルタイム波形は連続的に表示され、
ユーザはボタンをタッチして波形をフリーズし、レートを決定する間隔を選択し、
波形は、所定の時間の後にフリーズを解除することができるシステム。」

(7)引用文献7
ア 引用文献7に記載された事項
引用文献7には、以下の事項(以下「技術事項7」という。)が記載されている。

(引7a)「【請求項5】
測定結果と測定結果に関するパラメータを同一画面上で表示する表示装置と、前記パラメータの情報を処理するデータ処理部とを有する液体クロマトグラフ装置であって、
前記表示装置はタッチパネル操作が可能であり、前記表示画面上でピンチイン又はピンチアウトすることにより測定結果の波形を拡大縮小し、前記測定結果の波形を拡大した状態で表示画面上でスライド操作することにより、前記測定結果の波形のピークのベースラインを設定することが可能であることを特徴とする液体クロマトグラフ装置。」

(8)引用文献8
ア 引用文献8に記載された事項
引用文献8には、以下の事項が記載されている。

(引8a)「【0001】
本発明はクロマトグラフ分析装置に関し、特に、クロマトグラフデータの波形処理機能を有するクロマトグラフ装置に関する。」

(引8b)「【0052】
図10は、表示装置に表示された分離処理結果表示画面の例を示す。ここでは、EMGモデルフィッティングを用いて分離処理を行ったものとする。上述のように、図9のEMGモデルフィッティングパラメータ設定画面分離処理結果表示画面の実行ボタン903をクリックすると、本例の分離処理結果表示画面が表示される。本例の分離処理結果表示画面は、グラフ領域1001、フィッティング結果表示フィールド1002、分離波形パラメータ表示フィールド1003、保存ボタン1004及びキャンセルボタン1005を有する。グラフ領域1001の上端には、図8の第1設定処理画面の分離方法指定フィールド802にて指定された分離方法が表示される。グラフ領域1001の中央には、サンプル波形と分離された2つの波形が表示される。フィッティング結果表示フィールド1002には、反復計算回数、分離された2つのピークの定数等が表示される。分離波形パラメータ表示フィールド1003には、図8の第1設定処理画面の分離波形パラメータ設定フィールド801及び図9のEMGモデルフィッティングパラメータ設定画面の固有パラメータ設定フィールド902にて設定されたパラメータが表示される。保存ボタン1004をクリックすることにより、この画面に表示された分離方法及び分離処理結果がピーク形状ライブラリに保存される。」

(引8c)「【図10】



イ 引用文献8に記載された技術事項
(ア)上記(引8c)より、「表示装置に表示された分離処理結果表示画面」の「グラフ領域1001」に、分離処理を行う前のグラフと、分離処理を行った後のグラフとを重ねて表示している点が見て取れる。

(イ)(ア)を踏まえると、上記(引8a)?(引8c)より、引用文献8には、以下の技術事項(以下「技術事項8」という。)が記載されている。

「EMGモデルフィッティングパラメータ設定画面分離処理結果表示画面の実行ボタン903をクリックすると、分離処理結果表示画面が表示され、
分離処理結果表示画面のグラフ領域1001には、分離処理を行う前のグラフと、分離処理を行った後のグラフとが重ねて表示される
クロマトグラフデータの波形処理機能を有するクロマトグラフ装置。」

(9)甲1号証について
ア 甲1号証に記載された事項
申立人が、特許異議申立書において引用した甲1号証には、以下の事項が記載されている。

(甲1a)「 【0014】
図1は、液体クロマトグラフィー用検出装置のひとつである示差屈折率検出装置に本考案を適用した場合の一実施例を示す正面図であり、一体となった表示部17を備える装置本体11は、移動相中の溶質の濃度を光学的に測定する検出手段(図示せず)のほか、RAMとROMとからなるメモリを有して装置の全体を統括制御している演算制御手段(図示せず)など、少なくとも示差屈折率検出装置として機能すべき構成部材を備えてその全体が形成されている。なお、図中の符号13は装置本体の正面12側に配設されている電源スイッチを、14は前記表示部17の画面18の明暗を調節する輝度調節用ツマミを、15は流入側接続用管端部を、16は流出側接続用管端部をそれぞれ示す。
【0015】
また、装置本体11の一側表面、例えば装置本体11の正面16側に一体となって配設される前記表示部17は、検出手段が検出した測定データを装置本体11が備える演算制御手段により出力制御された波形画像として画面18上に出力表示するためのものであり、例えばバックライト式のLCDなどで形成されている。
【0016】
しかも、前記表示部17が画面18の画面パターンを切替え操作するためのタッチパネル機能をも兼備して形成されている場合には、装置本体11に配設されている電源スイッチ13をオン入力して所定の操作を行うことで、種々の画面パターンを選択的に表示することができる。」

(甲1b)「 【0019】
このように、画面18に表示される各種のファンクションキーを押圧することで、例えば図3に示すようなレンジ選択キー29や各種操作キー30を備える画面パターンなど、演算制御手段を介して予め設定されている各種の画面パターンを選択的に出力表示することができるようになっている。
【0020】
一方、装置本体11が備える検出手段により検出された測定データは、図4の(イ)に示すように波形画像31として画面18上に出力表示することができ、さらには、必要に応じ各種操作キー30を操作することで(ロ)に示すように部分的に拡大した波形画像31として出力表示することもできる。
【0021】
このように表示部17をタッチパネル機能をも兼備させて形成している場合には、外付けの操作部ではなく、画面18上に表示される所定のキー表示部位を押圧することで、当該キーに対応する画面パターンを表示させたり、必要な入力ができることになる。」

(甲1c)「



イ 甲1号証に記載された技術事項
(ア)上記(甲1c)より、「装置本体11」は、筐体を備えている点が見て取れる。

(イ)また、(甲1a)より、甲1号証の「装置本体11」は、「移動相中の溶質の濃度を光学的に測定する検出手段のほか、RAMとROMとからなるメモリを有して装置の全体を統括制御している演算制御手段など、検出装置として機能すべき構成部材を備えて」いるものであって、通常「移動相中の溶質の濃度を光学的に測定する検出手段のほか、RAMとROMとからなるメモリを有して装置の全体を統括制御している演算制御手段など、検出装置として機能すべき構成部材」は、「装置本体11」の内部に備えられることから、上記「装置本体11」の筐体は中空状であるといえ、「移動相中の溶質の濃度を光学的に測定する検出手段のほか、RAMとROMとからなるメモリを有して装置の全体を統括制御している演算制御手段など、検出装置として機能すべき構成部材」は、中空状の筐体内に備えられているものであるといえる。

(ウ)上記(ア)及び(イ)を踏まえると、上記(甲1a)?(甲1c)より、甲1号証には以下の技術事項(以下「甲1技術事項」という。)が記載されている。

「液体クロマトグラフィー用検出装置において、移動相中の溶質の濃度を測定する検出手段のほか、RAMとROMとからなるメモリを有して装置の全体を統括制御している演算制御手段など、検出装置として機能すべき構成部材を中空状の筐体内に備えた、一体となった表示部17を備える装置本体11において、
装置本体11の正面16側に一体となって配設される前記表示部17は、検出手段が検出した測定データを装置本体11が備える演算制御手段により出力制御された波形画像として画面18上に出力表示し、
表示部17が画面18の画面パターンを切替え操作するためのタッチパネル機能をも兼備して形成され、
装置本体11が備える検出手段により検出された測定データは、波形画像31として画面18上に出力表示することができ、
各種操作キー30を操作することで部分的に拡大した波形画像31として出力表示することもでき、
画面18上に表示される所定のキー表示部位を押圧することで、当該キーに対応する画面パターンを表示させたり、必要な入力ができる
装置本体11。」

(10)参考文献について
ア 参考文献1に記載された事項
参考文献1には、以下の事項が記載されている。

(参1a)「【0026】
図5には本実施形態にかかるカラムオーブンが適用された液体クロマトグラフ装置の構成が示されている。
同図に示す液体クロマトグラフ装置100は、脱気機構102と、パージ機構104と、ポンプオーブン機構106と、カラムオーブン機構108と、示差屈折率測定機構110と、インジェクション機構112と、ドレイン機構114とを備え、さらに必要によりUV検出機構116などがオプションとして設置される。
【0027】
そして、溶媒槽118からの溶媒は、脱気機構102により脱気され、さらにパージ機構104を介してポンプオーブン106に向かう。該ポンプオーブン106でプレヒートされた溶媒はサンプルルートとリファレンスルートに二分割され、カラムオーブン機構108内のサンプルカラム、リファレンスカラムをそれぞれ通過して示差屈折率測定機構110により屈折率が測定される。なお、前記サンプルルートには前記インジェクション機構112によりサンプルが注入されている。測定が終了したサンプル溶液及びリファレンス溶液はそれぞれドレイン機構114を介して廃棄ないし回収されるように構成することもできる。」

(参1b)「【図5】



イ 参考文献2に記載された事項
参考文献2には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(参2a)「【0001】
本発明は、GPC(Gel Permeation Chromatography)の検出器のノイズ、特に高温GPCの検出器のノイズを低減したGPC分析方法及びGPC装置に関する。」

(参2b)「【0036】
比較例
図1及び2にGPC装置の概略図を示す。GPC装置1は本体及びオートサンプラー4からなり、本体筐体内には、カラム及び検出器フローセルが内蔵されたカラムオーブン2、プレオーブン3、ポンプ部5及び検出用受光素子部を有する電子回路部6が配設され、背面には換気ファン7が設けられている。
この装置によりNIST1475のGPC分析を6回繰返し行ない、得られたクロマトグラムを図3に示した(個々のクロマトグラムを分り易くするためにクロマトグラムを検出量方向にシフトして作図した)。得られたクロマトグラムは溶出時間19?28分間に試料ピークは認められるものの、試料ピーク前の溶出時間での検出量の変化が大きいものであった。」

(参2c)「【図1】



ウ 参考文献1及び2に記載された技術事項
(ア)上記(参1b)より、参考文献1の「液体クロマトグラフ装置100」は、筐体を備えている点及び該筐体内に、「カラムオーブン機構108を備え」ている点が見て取れる。
そうすると、(参1a)及び(参1b)より、参考文献1には、「カラムオーブン機構108を」筐体内に「備え」、「カラムオーブン機構108内のサンプルカラム、リファレンスカラムをそれぞれ通過して示差屈折率測定機構110により屈折率が測定される」「液体クロマトグラフ装置100」が記載されている。

(イ)上記(参2b)及び(参2c)より、参考文献2には、「本体筐体内に」、「カラム」「が内蔵されたカラムオーブン2」「が配設され」た「GPC装置1」が記載されている。

(ウ)参考文献2の「GPC(Gel Permeation Chromatography)」「装置」は液体クロマトグラフ装置の1種であるから、参考文献1及び2には、いずれも、「本体筐体内にカラムが内蔵されたカラムオーブンが配設された液体クロマトグラフ装置」が記載されているから、「液体クロマトグラフ装置において、カラムが内蔵されたカラムオーブンを、本体筐体内に配設する技術」は周知技術であるといえる。

3 当審の判断
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「LC装置」及び「LC部本体1」は、それぞれ本件発明1の「クロマトグラフ」及び「本体」に相当する。そして、

(イ)引用発明の「検出器14」は、「LC部本体1」に備えられたものであって、「各種成分を検出する」ものであり、「検出された信号」を、「デジタル値に変換するA/D変換器(ADC)15」へ送っており、「各種成分」は、試料における「各種成分」であるから、引用発明の「LC装置」に設けられ、「各種成分を検出」して、「検出された信号」を、「デジタル値に変換するA/D変換器(ADC)15」へ送る「検出器14」は、本件発明1の「前記本体に設けられ、試料を検出して検出信号を出力する検出器」に相当する。

(ウ)本件発明1の「タッチパネル式の表示画面を有する表示器」は、表示機能を有するとともに、操作機能も有しているものであるから、引用発明の「キーボードやマウスなどのポインティングデバイスであ」る「操作部28」と、「液晶モニタ等の表示モニタであ」る「表示部29」は、本件発明1の「前記本体に設けられ、タッチパネル式の表示画面を有する表示器」と、操作部及び「表示画面を有する表示器」である点で共通する。

(エ)引用発明の「データ記憶部25は分析により収集されたクロマトグラムデータを保存するためのクロマトグラムデータ格納部26」は、本件発明1の「過去の分析時に生成されたクロマトグラムのデータを格納する記憶部」に相当する。

(オ)引用発明の「処理部2は、データ処理部20とデータ記憶部25とを含み」、「データ処理部20」は、「クロマトグラム描画部21、ピーク検出部22、指示ピーク特定部23、クロマトグラム伸縮処理部24などの機能ブロックを含み、データ記憶部25は分析により収集されたクロマトグラムデータを保存するためのクロマトグラムデータ格納部26を含み、LC部本体1による分析中に、或る試料についての分析実行中に順次得られるクロマトグラムデータが収集され、それらが、クロマトグラムデータ格納部26にデータファイルとして格納され、分析担当者が操作部28で上記データファイルを指定してクロマトグラムの描出を指示すると、データ処理部20においてクロマトグラム描画部21が該当するデータファイルをクロマトグラムデータ格納部26から読み出し、クロマトグラム表示画面40を作成してリアルタイムで表示部29の画面上に表示し」ている。ここで「或る試料についての分析実行中に順次得られるクロマトグラムデータ」は、「検出器14」からの「検出された信号」に基づくものであり、「リアルタイムで表示部29の画面上に表示し」た「クロマトグラム表示画面40」は、「クロマトグラム」を表示させるための領域に「クロマトグラム」を「リアルタイム」で表示させた画面である。
すると、引用発明の「検出器14」からの「検出された信号」に基づいて、「表示部29の画面上」の「クロマトグラム表示画面40」を「リアルタイム」で表示させる「データ処理部20」と、本件発明1の「前記検出器からの検出信号に基づいて、前記表示画面内に配置され、クロマトグラムをリアルタイムで表示させるための領域である第1グラフ領域内に第1クロマトグラムをリアルタイムで表示させ」、「前記表示画面における前記第1グラフ領域内に第1クロマトグラムをリアルタイムで変化させながら表示させるとともに、前記表示画面における第2グラフ領域内に前記記憶部に格納されている前記データに対応する第2クロマトグラムを表示させ」る「表示処理部」とは、「前記検出器からの検出信号に基づいて、前記表示画面内に配置され、クロマトグラムをリアルタイムで表示させるための領域であるグラフ領域内にクロマトグラムをリアルタイムで表示させる」「表示処理部」である点で共通する。

(カ)引用発明は、「分析担当者は表示部29の画面上に表示されたクロマトグラム表示画面40を見て、着目するピークを操作部28により選択した上で自動拡大・縮小表示を指示し、クロマトグラム表示画面40上に重畳して表示される矢印形状のカーソル43は操作部28のマウスに連動して移動するようになっており、分析担当者はマウス操作によりカーソル43を着目するピークの内側に移動させ、ピークPが着目するピークであるものとし、このピークPを指示するようにカーソル43の位置が設定され」、「データ処理部20」は、「上記操作を受けて」「強度軸が拡大・縮小されたクロマトグラム」を表示するから、引用発明の「データ処理部20」は、「クロマトグラム表示画面40」への「強度軸が拡大・縮小されたクロマトグラム」の表示を、「操作部28のマウスに連動して移動」する「クロマトグラム表示画面40上に重畳して表示される矢印形状のカーソル43」の操作に基づいて行っているといえる。
すると、引用発明の「操作部28のマウスに連動して移動」する「クロマトグラム表示画面40上に重畳して表示される矢印形状のカーソル43」の操作に基づいて、「クロマトグラム表示画面40」への「強度軸が拡大・縮小されたクロマトグラム」を表示する「データ処理部20」は、本件発明1の「前記表示画面における前記グラフ領域に対するタッチ操作に基づいて、当該第1グラフ領域内の表示を変更」し、「前記表示画面における前記第1グラフ領域又は前記第2グラフ領域に対するタッチ操作に基づいて、前記第1クロマトグラム及び前記第2クロマトグラムの変化を停止させ、その後の当該第2グラフ領域に対するタッチ操作に基づいて、該第2クロマトグラムをコピーしたクロマトグラムを第1グラフ領域内の前記第1クロマトグラムに横軸である時間軸に対応付けた状態で重ねて表示することで、当該第1グラフ領域内の表示を変更する」「表示処理部」とは、「前記表示画面における前記グラフ領域に対する操作に基づいて、当該グラフ領域内の表示を変更する表示処理部」である点で共通する。

(キ)上記(オ)及び(カ)から、引用発明の「データ処理部20」と本件発明1の「表示処理部」とは、「前記表示処理部は、前記検出器からの検出信号に基づいて、前記表示画面における前記グラフ領域内にクロマトグラムをリアルタイムで変化させながら表示させる」点で一致し、「前記表示画面における前記グラフ領域に対する操作に基づいて、当該グラフ領域内の表示を変更する」点で共通する。

g 以上a?fより、本件発明1と引用発明との間には、以下の一致点と相違点がある。

(一致点)「本体と、
前記本体に設けられ、試料を検出して検出信号を出力する検出器と、
操作部及び表示画面を有する表示器と、
前記検出器からの検出信号に基づいて、前記表示画面内に配置され、クロマトグラムをリアルタイムで表示させるための領域であるグラフ領域内にクロマトグラムをリアルタイムで表示させるとともに、前記表示画面における前記グラフ領域に対する操作に基づいて、当該グラフ領域内の表示を変更する表示処理部とを備え、
前記表示処理部は、前記検出器からの検出信号に基づいて、前記表示画面における前記グラフ領域内にクロマトグラムをリアルタイムで変化させながら表示させるとともに、前記表示画面における前記グラフ領域に対するタッチ操作に基づいて、当該グラフ領域内の表示を変更するクロマトグラフ。」

(相違点1)本体が、本件発明1は、「カラム、及びカラムオーブンを収容する中空状」であるのに対し、引用発明は、そのような特定がない点。

(相違点2)操作部及び表示画面を有する表示器が、本件発明1は、「前記本体に設けられ、タッチパネル式の表示画面を有する表示器」であるのに対し、引用発明の「操作部28」及び「表示部29」は「処理部2」である「PCに接続され」ており、「LC部本体1」とは別体に設けられているといえるから、引用発明は、「LC部本体1」とは別体に設けられた「操作部28」及び「表示部29」である点。

(相違点3)前記表示画面における前記グラフ領域に対する操作が、本件発明1は、「タッチ操作」であるのに対し、引用発明は、「クロマトグラム表示画面40上に重畳して表示される矢印形状のカーソル43」を「連動して移動する」「操作部28のマウス」による操作である点。

(相違点4)表示処理部が、本件発明1は、「前記検出器からの検出信号に基づいて、前記表示画面内に配置され、クロマトグラムをリアルタイムで表示させるための領域である第1グラフ領域内に第1クロマトグラムをリアルタイムで表示させるとともに、前記表示画面における前記グラフ領域に対するタッチ操作に基づいて、当該第1グラフ領域内の表示を変更し」、「前記検出器からの検出信号に基づいて、前記表示画面における前記第1グラフ領域内に第1クロマトグラムをリアルタイムで変化させながら表示させるとともに、前記表示画面における第2グラフ領域内に前記記憶部に格納されている前記データに対応する第2クロマトグラムを表示させ、さらに前記表示画面における前記第1グラフ領域又は前記第2グラフ領域に対するタッチ操作に基づいて、前記第1クロマトグラム及び前記第2クロマトグラムの変化を停止させ、その後の当該第2グラフ領域に対するタッチ操作に基づいて、該第2クロマトグラムをコピーしたクロマトグラムを第1グラフ領域内の前記第1クロマトグラムに横軸である時間軸に対応付けた状態で重ねて表示することで、当該第1グラフ領域内の表示を変更する」のに対し、引用発明はそのような特定がない点。

イ 判断
事案に鑑み相違点4について検討する。
本件発明1の「前記表示画面における第2グラフ領域内に」「表示させ」る「第2クロマトグラム」は、「前記表示画面における前記第1グラフ領域又は前記第2グラフ領域に対するタッチ操作に基づいて」、「前記第1クロマトグラム」とともに「変化」が「停止させ」られるものであるから、本件発明1の「第2クロマトグラム」は、「前記第1グラフ領域内」の「第1クロマトグラム」とともに「リアルタイムで変化」するものであるといえる。そうすると、上記相違点4に係る「前記検出器からの検出信号に基づいて、前記表示画面における前記第1グラフ領域内に第1クロマトグラムをリアルタイムで変化させながら表示させるとともに、前記表示画面における第2グラフ領域内に前記記憶部に格納されている前記データに対応する第2クロマトグラムを表示させ」る構成は、「前記検出器からの検出信号に基づいて、前記表示画面における前記第1グラフ領域内に第1クロマトグラムをリアルタイムで変化させながら表示させるとともに、前記表示画面における第2グラフ領域内に前記記憶部に格納されている前記データに対応する第2クロマトグラムを」「リアルタイムで変化させながら表示させる」構成であるといえ、該構成は、引用文献1?8、甲1号証、参考文献1及び2に記載されていないし、当該技術分野において周知の構成であるともいえない。そして、「前記検出器からの検出信号に基づいて、前記表示画面における前記第1グラフ領域内に第1クロマトグラムをリアルタイムで変化させながら表示させるとともに、前記表示画面における第2グラフ領域内に前記記憶部に格納されている前記データに対応する第2クロマトグラムを」「リアルタイムで変化させながら表示させる」構成が、引用文献1?8、甲1号証、参考文献1及び2に記載されていない以上、これら文献には、上記相違点4に係る「前記表示画面における前記第1グラフ領域又は前記第2グラフ領域に対するタッチ操作に基づいて、前記第1クロマトグラム及び前記第2クロマトグラムの変化を停止させ、その後の当該第2グラフ領域に対するタッチ操作に基づいて、該第2クロマトグラムをコピーしたクロマトグラムを第1グラフ領域内の前記第1クロマトグラムに横軸である時間軸に対応付けた状態で重ねて表示することで、当該第1グラフ領域内の表示を変更する」構成が記載されているとはいえないから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明、引用文献1?8、甲1号証、参考文献1及び2に記載された技術事項から、当業者が容易に想到できたものであるとはいえない。

ウ 申立人の意見書における主張について
令和2年10月13日に提出した意見書において申立人は、

「・構成(A)に関して
過去のクロマトグラムと現在のクロマトグラムとを並べて表示するというように、過去の波形を表示画面に表示させることについては、例えば、参考資料3及び4に記載されているように、当該技術分野において通常行われていることです。このような構成は、例えば、参考資料3の段落0003、0004、0019、0022及び図3(c)、並びに、参考資料4の段落0003及び図9に記載されています。
・・・
また、異議申立書に添付した甲10号証にも、センサ出力結果の波形をディスプレイ上に重ねて表示させる構成やタッチ操作により表示を変更させる構成が記載されております。甲10号証は、クロマトグラフに限らず汎用的な表示器に関して記載されたものですが、構成(C)の表示のさせ方が従来公知のものであることの根拠となるものです。
さらに、過去のクロマトグラムと現在のクロマトグラムとを画面上に重ね合わせて相違を判別し易くする構成については、例えば、参考資料4及び5に記載されているように、当該技術分野おいて通常行われていることです。このような構成は、例えば、参考資料4の段落0003及び図10、並びに、参考資料5の段落0002に記載されています。
すなわち、構成(C)は、引用文献1?3及び8、甲10号証、並びに、参考資料4及び5に基づいて容易に想到できるものです。
・・・」

旨主張している。しかしながら、上記参考資料3(特開平11-304787号公報)、参考資料4(特開2007-147464号公報)及び参考資料5(特開平7-49341号公報)には、今回測定したクロマトグラムと、過去に測定したクロマトグラムとを比較するために表示する構成は記載されているものの、リアルタイムで変化するクロマトグラムと過去のクロマトグラムとを同時に表示する構成は記載されていないし、甲10号証には重ねて表示されるグラフがどのようなグラフであるか特定されていないから、上記相違点4に係る構成は、上記参考資料3?5及び甲10号証を参酌しても、当業者が容易に想到できたものであるとはいえないから、申立人の上記主張は採用されない。

(2)本件発明2及び4について
本件発明2は、本件発明1に「前記表示処理部は、前記表示画面における前記第1グラフ領域に対するタッチ操作に基づいて、当該第1グラフ領域内に表示されている前記第1クロマトグラムを拡大表示又は縮小表示させる」旨の限定を、本件発明4は、本件発明1及び2のいずれかの発明に「前記表示処理部は、前記表示画面における前記第1グラフ領域内の前記第1クロマトグラムの表示を停止させた後、当該第1グラフ領域に対するタッチ操作が一定時間行われない場合に、当該第1クロマトグラムの変化を再開させる」旨の限定を、それぞれ加えたものであって、いずれの発明も、上記相違点4に係る構成を有しているものである。
そうすると、本件発明2及び4は、上記(1)と同様の理由により、引用発明、引用文献1?8、甲1号証、参考文献1及び2に記載された技術事項から、当業者が容易に想到できたものであるとはいえない。

第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立て理由について
申立人は、特許異議申立書において、訂正前の請求項1に係る発明は、甲1号証に記載された発明並びに甲2及び5?11号証に記載された技術事項に基づいて、訂正前の請求項2に係る発明は、甲1号証に記載された発明並びに甲2、3及び5?11号証に記載された技術事項に基づいて、訂正前の請求項3に係る発明は、甲1号証に記載され得た発明並びに甲2、4及び10号証に記載された技術事項に基づいて、訂正前の請求項4に係る発明は、甲1号証に記載された発明及び甲2?11号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に想到できたものである旨主張する。
しかしながら、上記第4の3(1)イで検討したとおり、本件訂正請求により限定されたことにより生じた上記相違点4に係る構成は、甲1号証、引用文献2?8である甲2、6?9、3及び4に記載されていないし、さらに、甲5、10および11号証にも記載されていない。
そうすると、本件発明1、2及び4は、甲1号証に記載された発明、甲2?11号証に記載された技術事項から当業者が容易に発明できたものであるとはいえないから、申立人の上記主張は採用されない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1、2及び4に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1、2及び4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項3に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、請求項3に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラム、及びカラムオーブンを収容する中空状の本体と、
前記本体に設けられ、試料を検出して検出信号を出力する検出器と、
前記本体に設けられ、タッチパネル式の表示画面を有する表示器と、
過去の分析時に生成されたクロマトグラムのデータを格納する記憶部と、
前記検出器からの検出信号に基づいて、前記表示画面内に配置され、クロマトグラムをリアルタイムで表示させるための領域である第1グラフ領域内に第1クロマトグラムをリアルタイムで表示させるとともに、前記表示画面における前記グラフ領域に対するタッチ操作に基づいて、当該第1グラフ領域内の表示を変更する表示処理部とを備え、
前記表示処理部は、前記検出器からの検出信号に基づいて、前記表示画面における前記第1グラフ領域内に前記第1クロマトグラムをリアルタイムで変化させながら表示させるとともに、前記表示画面における第2グラフ領域内に前記記憶部に格納されている前記データに対応する第2クロマトグラムを表示させ、さらに前記表示画面における前記第1グラフ領域又は前記第2グラフ領域に対するタッチ操作に基づいて、前記第1クロマトグラムおよび前記第2クロマトグラムの変化を停止させ、その後の当該第2グラフ領域に対するタッチ操作に基づいて、該第2クロマトグラムをコピーしたクロマトグラムを前記第1グラフ領域内の前記第1クロマトグラムに横軸である時間軸を対応付けた状態で重ねて表示することで、当該第1グラフ領域内の表示を変更することを特徴とするクロマトグラフ。
【請求項2】
前記表示処理部は、前記表示画面における前記第1グラフ領域に対するタッチ操作に基づいて、当該第1グラフ領域内に表示されている前記第1クロマトグラムを拡大表示又は縮小表示させることを特徴とする請求項1に記載のクロマトグラフ。
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
前記表示処理部は、前記表示画面における前記第1グラフ領域内の前記第1クロマトグラムの表示を停止させた後、当該第1グラフ領域に対するタッチ操作が一定時間行われない場合に、当該第1クロマトグラムの変化を再開させることを特徴とする請求項1?2のいずれか一項に記載のクロマトグラフ。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-11-25 
出願番号 特願2017-558836(P2017-558836)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (G01N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 高田 亜希  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 福島 浩司
渡戸 正義
登録日 2019-04-19 
登録番号 特許第6512308号(P6512308)
権利者 株式会社島津製作所
発明の名称 クロマトグラフ  
代理人 吉本 力  
代理人 喜多 俊文  
代理人 新宅 将人  
代理人 妹尾 明展  
代理人 喜多 俊文  
代理人 岸本 雅之  
代理人 阿久津 好二  
代理人 妹尾 明展  
代理人 吉本 力  
代理人 江口 裕之  
代理人 新宅 将人  
代理人 阿久津 好二  
代理人 江口 裕之  
代理人 岸本 雅之  
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