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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H01L
審判 全部申し立て 4号2号請求項の限定的減縮  H01L
管理番号 1371695
異議申立番号 異議2019-700711  
総通号数 256 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-04-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-09-06 
確定日 2021-01-07 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6477771号発明「洗浄水供給装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6477771号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-3〕について訂正することを認める。 特許第6477771号の請求項1に係る特許を維持する。 特許第6477771号の請求項2及び請求項3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 1 手続の経緯
特許第6477771号の請求項1?3に係る特許についての出願は、平成29年4月14日に出願され、平成31年2月15日にその特許権の設定登録がされ、平成31年3月6日に特許掲載公報が発行された。
本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和 1年 9月 6日 : 特許異議申立人黒崎惇子による請求項1?3に係る特許に対する特許異議の申立て
令和 1年11月27日付け: 取消理由通知書
令和 2年 1月 8日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和 2年 2月14日 : 特許異議申立人黒崎惇子による意見書の提出
令和 2年 5月21日付け: 取消理由通知書(決定の予告)
令和 2年 7月22日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出(以下、この訂正請求書による訂正請求を「本件訂正請求」という。)
令和 2年 9月10日 : 特許異議申立人黒崎惇子による意見書の提出

2 本件訂正請求による訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「pH調整剤及び/又は酸化還元電位調整剤を添加して」と記載されているのを、「pH調整剤及び酸化還元電位調整剤を添加して」に訂正するとともに、「該除去部は、イオン交換装置及び/又は白金族触媒装置を備える」と記載されているのを、「該洗浄機は、多数のバルブが不規則に開閉する多チャンバー枚葉式洗浄機であり、
該洗浄機に供給される該洗浄水量は変動するものであり、
該除去部は、イオン交換装置及び白金族触媒装置を備え」に訂正する。

イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1に「備えること」と記載されているのを、「を備え、
前記洗浄水製造部は、前記超純水ラインに超純水を定量供給する手段と、超純水に対し溶質を定量供給する手段とを有し、
前記洗浄水ラインに複数の洗浄機が接続されており、前記洗浄水製造部は、すべての洗浄機の最大使用量の合計よりも多量の洗浄水を製造可能であり、
該洗浄水製造部2から洗浄水ライン3へ供給される洗浄水量は、各洗浄機5A?5Nに供給される洗浄水量の最大量の合計量の120%以上であり、
該洗浄機5A,5B,………5Nへは、それぞれ、洗浄水ライン3から分岐配管7、配管10を介して洗浄水が供給され、配管10からはリターン配管11が分岐しており、該リターン配管11の末端側は洗浄水ライン3に接続されていること」に訂正する。

ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項2、3を削除する。

なお、訂正事項1ないし3に係る訂正前の請求項1?3は、請求項2は請求項1の記載を引用し、請求項3は請求項1又は2の記載を引用しているものであって、訂正の請求の対象である請求項1の記載を引用する関係にあるから、本件訂正は、一群の請求項〔1?3〕について請求されている。
したがって、訂正前の請求項1?3は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に該当する。
よって、訂正事項1ないし3に係る訂正の請求は、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 訂正事項1について
(ア)訂正の目的の適否
訂正前の請求項1に係る発明では、「pH調整剤及び/又は酸化還元電位調整剤を添加して」とあり、また、「該除去部は、イオン交換装置及び/又は白金族触媒装置を備える」とあり、pH調整剤と酸化還元電位調整剤のいずれか一方を添加してもよく、両方を添加してもよく、また、除去部は、イオン交換装置と白金族触媒装置のいずれか一方を備えてもよく、両方を備えてもよいものとされている。
これに対して、訂正後の請求項1に係る発明では、「pH調整剤及び酸化還元電位調整剤を添加して」として、pH調整剤と酸化還元電位調整剤の両方を添加するものに限定し、また、「該除去部は、イオン交換装置及び白金族触媒装置を備え」として、イオン交換装置及び白金族触媒装置の両方を備えるものに限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。

また、訂正前の請求項1に係る発明では、洗浄機に供給される洗浄水量の変動の有無について何ら特定されていない。
これに対して、訂正後の請求項1に係る発明では、「該洗浄機は、多数のバルブが不規則に開閉する多チャンバー枚葉式洗浄機であり、該洗浄機に供給される該洗浄水量は変動するものであり、」との記載を追加することにより、「該洗浄機」は、「多数のバルブが不規則に開閉する多チャンバー枚葉式洗浄機」であること、「該洗浄機」に供給される「該洗浄水」量が「変動するものであ」ることを限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)新規事項の有無
訂正事項1の「pH調整剤及び/又は酸化還元電位調整剤を添加して」を、「pH調整剤及び酸化還元電位調整剤を添加して」とし、「該除去部は、イオン交換装置及び/又は白金族触媒装置を備える」を、「該除去部は、イオン交換装置及び白金族触媒装置を備え、」とする訂正は、いずれも、「及び/又は」とあるのを「及び」とするものであり、訂正前の請求項1の記載に基づいて導き出される構成である。
訂正事項1の「該洗浄機は、多数のバルブが不規則に開閉する多チャンバー枚葉式洗浄機であり、」は、明細書の段落【0013】の記載に基づいて導き出される構成であり、訂正事項1の「該洗浄機に供給される該洗浄水量は変動するものであり、」は、明細書の段落【0003】?【0004】の記載に基づいて導き出される構成である。
よって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、訂正後の請求項1に係る発明の技術的範囲を狭めるものであるにとどまり、それらのカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

イ 訂正事項2について
(ア)訂正の目的の適否
訂正前の請求項1に係る発明では、洗浄水製造部の超純水ラインに供給される超純水の量と、超純水に供給される溶質の量について何ら特定されておらず、また、洗浄水ラインに接続される洗浄機の数や洗浄水製造部で製造される洗浄水の量について何ら特定されておらず、また、洗浄水供給部から洗浄水ラインへ供給される洗浄水量について何ら特定されておらず、更にまた、洗浄機それぞれへの洗浄水ライン3から配管の接続について何ら特定されていない。
これに対して、訂正後の請求項1に係る発明では、「前記洗浄水製造部は、前記超純水ラインに超純水を定量供給する手段と、超純水に対し溶質を定量供給する手段とを有し、前記洗浄水ラインに複数の洗浄機が接続されており、前記洗浄水製造部は、すべての洗浄機の最大使用量の合計よりも多量の洗浄水を製造可能であり、該洗浄水製造部2から洗浄水ライン3へ供給される洗浄水量は、各洗浄機5A?5Nに供給される洗浄水量の最大量の合計量の120%以上であり、該洗浄機5A,5B,………5Nへは、それぞれ、洗浄水ライン3から分岐配管7、配管10を介して洗浄水が供給され、配管10からはリターン配管11が分岐しており、該リターン配管11の末端側は洗浄水ライン3に接続されている」との記載を追加することにより、「前記洗浄水製造部」は、「前記超純水ラインに超純水を定量供給する手段と、超純水に対し溶質を定量供給する手段」を有すること、「前記洗浄水ラインに複数の洗浄機が接続されて」いること、「前記洗浄水製造部」は、「すべての洗浄機の最大使用量の合計よりも多量の洗浄水を製造可能」であること、「該洗浄水製造部2から洗浄水ライン3へ供給される洗浄水量は、各洗浄機5A?5Nに供給される洗浄水量の最大量の合計量の120%以上」であること、「該洗浄機5A,5B,………5Nへは、それぞれ、洗浄水ライン3から分岐配管7、配管10を介して洗浄水が供給され、配管10からはリターン配管11が分岐しており、該リターン配管11の末端側は洗浄水ライン3に接続されている」ことを限定することで、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)新規事項の有無
訂正事項2の「前記洗浄水製造部は、前記超純水ラインに超純水を定量供給する手段と、超純水に対し溶質を定量供給する手段とを有し」は、訂正前の請求項2の記載に基づいて導き出される構成である。
訂正事項2の「前記洗浄水ラインに複数の洗浄機が接続されており、前記洗浄水製造部は、すべての洗浄機の最大使用量の合計よりも多量の洗浄水を製造可能であり」は、訂正前の請求項3の記載に基づいて導き出される構成である。
訂正事項2の「該洗浄水製造部2から洗浄水ライン3へ供給される洗浄水量は、各洗浄機5A?5Nに供給される洗浄水量の最大量の合計量の120%以上であり」は、明細書の段落【0029】の記載に基づいて導き出される構成である。
訂正事項2の「該洗浄機5A,5B,………5Nへは、それぞれ、洗浄水ライン3から分岐配管7、配管10を介して洗浄水が供給され、配管10からはリターン配管11が分岐しており、該リターン配管11の末端側は洗浄水ライン3に接続されている」は、明細書の段落【0018】の記載に基づいて導き出される構成である。
よって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2は、訂正後の請求項1に係る発明の技術的範囲を狭めるものであるにとどまり、それらのカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。

ウ 訂正事項3について
(ア)訂正の目的の適否
訂正事項3は、訂正前の請求項2、3の記載を削除するものである。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)新規事項の有無
訂正事項3は、訂正前の請求項2、3の記載を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。

(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項3は、訂正前の請求項2、3の記載を削除するのみであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)小括
上記のとおり、訂正事項1ないし3に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第4項、第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?3〕について訂正することを認める。

3 本件訂正請求による訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された訂正後の請求項1ないし3に係る発明(以下、順に「本件発明1」ないし「本件発明3」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
超純水ラインと、該超純水ラインからの超純水にpH調整剤及び酸化還元電位調整剤を添加して一定濃度の洗浄水を製造する洗浄水製造部を有する洗浄水供給装置において、
該洗浄水製造部から該洗浄水を洗浄機に供給する洗浄水ラインと、
該洗浄水ラインからの余剰洗浄水から溶質を除去する除去部とを備える洗浄水供給装置っであって、
該洗浄機は、多数のバルブが不規則に開閉する多チャンバー枚葉式洗浄機であり、
該洗浄機に供給される該洗浄水量は変動するものであり、
該除去部は、イオン交換装置及び白金族触媒装置を備え、
前記洗浄水製造部は、前記超純水ラインに超純水を定量供給する手段と、超純水に対し溶質を定量供給する手段とを有し、
前記洗浄水ラインに複数の洗浄機が接続されており、前記洗浄水製造部は、すべての洗浄機の最大使用量の合計よりも多量の洗浄水を製造可能であり、
該洗浄水製造部2から洗浄水ライン3へ供給される洗浄水量は、各洗浄機5A?5Nに供給される洗浄水量の最大量の合計量の120%以上であり、
該洗浄機5A,5B,………5Nへは、それぞれ、洗浄水ライン3から分岐配管7、配管10を介して洗浄水が供給され、配管10からはリターン配管11が分岐しており、該リターン配管11の末端側は洗浄水ライン3に接続されていることを特徴とする洗浄水供給装置。
【請求項2】(削除))
【請求項3】(削除)」

4 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について
(1)取消理由の概要
本件訂正前の請求項1及び2に係る特許に対して、当審が令和2年5月21日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

令和2年1月8日に提出された訂正請求書により訂正請求された訂正後の請求項1及び2に係る発明は、引用文献1に記載された発明、及び引用文献1?12に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。そうすると、令和2年1月8日に提出された訂正請求書により訂正請求された訂正後の請求項1及び2に係る発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。

(2)引用文献の記載と引用発明等
ア 引用文献1の記載と引用発明
(ア)取消理由通知(決定の予告)において引用した引用文献1(甲第1号証:特開2003-340458号公報)には、以下の事項が記載されている(下線は合議体が付加した。以下同じ。)。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機能水の回収方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、使用ずみの機能水を良好な水質を有する状態で回収し、又は、ユースポイントで使用されなかった余剰機能水を回収し、機能水の原料水として再利用することができる機能水の回収方法に関する。」

「【0002】
【従来の技術】半導体、液晶などの電子部品の製造においては、多量の超純水が用いられている。ユースポイントにおいて発生する排水には、汚染物質を多量に含む濃厚排水と、リンスなどに使用され、汚染物質の濃度が低い希薄排水がある。汚染の程度が原水に比べて低い希薄排水は、水の完全利用のために一次純水装置又は二次純水装置にリサイクルされ、再利用される。図1は、超純水供給装置の一例の系統図である。超純水供給装置では、市水、工業用水、井水などを原水とし、前処理装置、一次純水装置及び二次純水装置で処理されて、超純水が製造される。前処理装置では、・・・。二次純水装置では、一次純水中に残存する極微量のイオン、シリカ、有機物、微粒子などを除去するために、さらに紫外線照射、イオン交換、限外ろ過膜などを組み合わせて最終的に処理され、超純水が得られる。製造された超純水は、ウエハー洗浄工程などのユースポイントに送られて使用される。ユースポイントで発生する濃厚排水は、排水処理されたのち、放流又は排水処理系で回収再利用される。希薄排水は排水回収装置で処理され、使用されなかった純水は純水回収装置で処理されて、本例では一次純水装置に供給され、再利用されている。そして最近では、超純水に水素ガス、オゾン、酸素ガスなどを溶解した機能水が、半導体用シリコン基板などの汚染を効果的に除去することが見いだされ、研究が進められるとともに、実用化されている。例えば、・・・。このような機能水を用いる洗浄においても、汚染の程度が低い希薄排水が発生する。しかし、このような機能水の希薄排水を原料水として機能水を製造し、電子材料などの洗浄に用いると、機能水が本来有する機能が十分に発現しないという現象が起こり、その解決が求められていた。また、機能水は、ユースポイントへ送られて洗浄に使用されるが、ユースポイントで不足が生じないように、常に余裕をもって多めに送られる。その結果、ユースポイントにおいて、洗浄に使用されなかった余剰の機能水が発生する。ユースポイントで使用されなかった機能水には、超純水に特定の機能を付与するために溶解された気体又は気体とpH調整剤などの薬剤が含まれている。しかし、これらの気体と薬剤の含有量は、機能水を循環している間に、揮散、分解などにより減少し、機能水が本来有すべき値から外れ、しかもユースポイントにおける未使用の機能水の発生量などによっても変動する。未使用の機能水の気体と薬剤の含有量を連続的に分析し、気体と薬剤の不足分を添加すれば、理論的には気体と薬剤の使用量を節減して機能水を循環再使用することができる。しかし、変動する気体と薬剤の含有量を連続的に分析し、分析値に対応した量の気体と薬剤を添加するためには、複雑な設備と管理が必要になり、機能水の水質を一定に保つことは容易ではない。このため、従来はこのような未使用の機能水は、排水として排出されていたのが現実であり、余剰の未使用機能水を有効に利用する方法が求められていた。」

「【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、使用ずみ又は未使用の機能水を良好な水質を有する状態で回収し、機能水の原料水として再利用することができる機能水の回収方法を提供することを目的としてなされたものである。」

「【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、汚染の程度が低い希薄排水や未使用の機能水を原料水として製造した機能水が十分な性能を発揮しない原因は、水中に含まれるイオン性物質にあることを突き止め、使用ずみ又は未使用の機能水をイオン除去手段で処理したのち、機能水の製造工程に供給することにより、本来の性能を有する機能水を製造し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。・・・」

「【0005】
【発明の実施の形態】本発明の機能水の回収方法においては、使用された機能水又は未使用の機能水を回収して再利用する方法において、使用ずみ又は未使用の機能水をイオン除去手段で処理したのち、機能水の製造工程に供給する。本発明方法を適用する機能水としては、例えば、超純水に水素ガスを溶解した機能水(水素水)、超純水にオゾンを溶解した機能水(オゾン水)、超純水に酸素ガスを溶解した機能水(酸素水)、超純水にオゾンと酸素ガスを溶解した機能水、超純水にオゾンと炭酸ガスを溶解した機能水、超純水に酸素ガスとアンモニアと過酸化水素を溶解した機能水、超純水に水素ガスとアンモニアと過酸化水素を溶解した機能水、超純水にチオ硫酸ナトリウムとアンモニアと過酸化水素を溶解した機能水、超純水にフッ化水素と水素ガスを溶解した機能水、超純水にフッ化水素と過酸化水素と酸素ガスを溶解した機能水などを挙げることができる。」

「【0007】図3は、本発明方法の実施の他の態様の工程系統図である。原料水貯槽12に貯留された超純水が、ポンプ13によりフィルター14に送られ、原料水中に含まれる微粒子などが除去される。微粒子などが除去された原料水は、膜脱気装置15に送られ、溶存している気体が除去される。膜脱気装置の気相部は、真空ポンプ16により減圧に保たれ、除去された気体は、ガス無害化装置17で処理されて大気中に排出される。脱気された原料水は、気体透過膜装置18に送られ、水素ガス、オゾン、酸素ガス、希ガスなどが溶解されて、機能水となる。機能水には、必要に応じて、薬剤貯槽19から薬注ポンプ20により、アンモニア、過酸化水素、フッ化水素などの薬剤が添加され、ユースポイント21に送られる。ユースポイントで使用された機能水は、排水として排出され、処理される。ユースポイントで使用されなかった機能水は、いったん未使用機能水貯槽22に貯留されたのち、ポンプ23によりイオン除去手段24に送られ、アンモニウムイオン、フッ化物イオンなどのイオンが除去されて、原料水貯槽12に返送される。原料水貯槽には、水位計25が設けられ、バルブ26に信号が送られて、超純水が補給されて原料水貯槽内の水量は、常に一定に保たれる。」

「【0010】本発明方法に用いる非再生型イオン交換樹脂装置に特に制限はなく、例えば、・・・。機能水の希薄排水に含まれるイオン性物質の量が多いときは、再生型イオン交換樹脂装置を好適に用いることができる。本発明の機能水の回収方法として、図2に示す態様においては使用ずみの機能水を、図3及び図4に示す態様においては未使用の機能水をイオン除去手段で処理して機能水の製造工程に供給しているが、使用ずみの機能水と余剰の未使用機能水が同時に発生する場合には、使用ずみ機能水と未使用機能水とを混合し、イオン除去手段で処理して回収することができる。本発明の機能水の回収方法によれば、機能水の希薄排水に含まれるイオン性物質を除去して、機能水の製造工程に供給するので、使用ずみの機能水を原料水として用いて、超純水を原料水とする機能水と等しい性能を有する機能水を製造することができる。また、未使用の機能水についても、イオン性物質を除去して機能水の製造工程に供給するので、イオン性物質に影響されることなく、所望の水質の機能水を製造することができる。」

「【0011】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例1
オゾンを含有する超純水で表面を酸化した直径6インチのシリコンウェーハを、アルミナ微粉末で汚染することにより、表面にアルミナの微粒子が付着した汚染ウェーハを作製した。この汚染ウェーハについて、レーザー散乱光検出方式にもとづくウェーハゴミ検査装置[東京光学機械(株)、WM-3]を用いて、直径0.2μm以上の付着微粒子数を測定したところ、ウェーハ1枚当たり2,130個であった。この汚染ウェーハを500rpmで回転させ、超純水に水素ガス1.1mg/Lとアンモニア1.0mg/Lを溶解した機能水に、超音波照射ノズル[プレテック社、Fine Jet]を用いて周波数1.6MHzの超音波を出力13.5W/cm^(2)で照射しつつ、700mL/分で流しかけ、60秒間スピン洗浄を行った。洗浄後のウェーハ表面の残存微粒子数を同様にして測定したところ、ウェーハ1枚当たり20個であり、微粒子の除去率は99%であった。・・・
比較例1
・・・
実施例2
図3に示す装置を用い、水素ガスとアンモニアを溶解した機能水を製造して、半導体用シリコン基板の洗浄を20時間行った。原料水貯槽12の貯留量は1,000Lであり、ポンプ13により原料水5L/minを送り、気体透過膜装置18において水素ガス1.2mg/Lを溶解し、薬注ポンプ20によりアンモニア1.0mg/Lを添加した。ユースポイントにおける機能水の使用量は、150?220L/hであり、使用されなかった機能水は、連続式電気脱イオン装置でイオン除去処理し、原料水貯槽へ返送した。ユースポイント入口A、連続式電気脱イオン装置出口B及び膜脱気装置出口Cの3か所で、溶存する水素濃度とアンモニア濃度を測定した。経過時間と水素ガス濃度及びアンモニア濃度の関係を、第1表に示す。」

図3は、以下のとおりのものである。


(イ)以上の記載によれば、引用文献1には以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「原料水貯槽12に貯留された超純水が、ポンプ13によりフィルター14に送られ、微粒子などが除去された原料水は、膜脱気装置15に送られ、脱気された原料水は、気体透過膜装置18に送られ、水素ガス、オゾン、酸素ガス、希ガスなどが溶解されて、機能水となり、機能水には、薬剤貯槽19から薬注ポンプ20により、アンモニア、過酸化水素、フッ化水素などの薬剤が添加され、ユースポイント21に送られ、
ユースポイントで使用されなかった機能水は、イオン除去手段24に送られ、アンモニウムイオン、フッ化物イオンなどのイオンが除去されて、原料水貯槽12に返送され、
原料水貯槽には、水位計25が設けられ、バルブ26に信号が送られて、超純水が補給されて原料水貯槽内の水量は、常に一定に保たれる機能水供給装置であって、
機能水は、ユースポイントへ送られて洗浄に使用されるが、ユースポイントで不足が生じないように、常に余裕をもって多めに送られ、その結果、ユースポイントにおいて、洗浄に使用されなかった余剰の機能水が発生し、
ユースポイントで使用されなかった機能水には、超純水に特定の機能を付与するために溶解された気体又は気体とpH調整剤などの薬剤が、含まれているが、これらの気体と薬剤の含有量は、機能水を循環している間に、揮散、分解などにより減少し、機能水が本来有すべき値から外れ、しかもユースポイントにおける未使用の機能水の発生量などによっても変動するものであるところ、機能水の希薄排水に含まれるイオン性物質を除去して、機能水の製造工程に供給するので、使用ずみの機能水を原料水として用いて、超純水を原料水とする機能水と等しい性能を有する機能水を製造することができ、また、未使用の機能水についても、イオン性物質を除去して機能水の製造工程に供給するので、イオン性物質に影響されることなく、所望の水質の機能水を製造することができる、
機能水の回収方法において用いられる機能水供給装置。」

イ 引用文献2の記載
取消理由通知(決定の予告)において引用した引用文献2(甲第5号証:特開2015-155083号公報)には、以下の事項が記載されている。

「【0002】
半導体デバイス(液晶表示装置を含む。)の製造プロセスにおいては、基板の表面に付着する有機物やパーティクル等を除去するために、基板に対して洗浄処理が繰り返される。ここに使用される洗浄液としては、有機溶剤、酸液等が多用されているが、近年では、環境面で問題の少ないオゾン水が使用されている。」

「【0017】
本発明のオゾン水供給方法及び本発明のオゾン水供給装置について、図1を参照して説明する。図1は、本発明のオゾン水供給方法を実施するための本発明のオゾン水供給装置の形態例のフロー図である。
【0018】
図1中、オゾン水供給装置30は、原料超純水5が供給されると共にユースポイント7で使用されなかった返送オゾン水25が返送される循環タンク1と、原料酸素ガス4を原料にオゾンガスを発生させて、オゾン含有ガスを得るための放電式のオゾンガス発生手段2と、放電式のオゾンガス発生手段2で得たオゾン含有ガス28を、被処理水26に溶解させるオゾン溶解手段3と、循環タンク1に繋がり、原料超純水5を循環タンク1に供給するための原料水供給管29と、循環タンク1とオゾン溶解手段3とを繋ぎ、循環タンク1内の被溶解水26をオゾン溶解手段3に供給するための被溶解水供給管20と、原料酸素ガス4をオゾン発生手段に供給するための原料ガス供給管31と、放電式のオゾン発生手段2とオゾン溶解手段3とを繋ぎ、放電式のオゾン発生手段2で得たオゾン含有ガス28をオゾン溶解手段3に供給するためのオゾン含有ガス供給管22と、オゾン溶解手段3とユースポイント7とを繋ぎ、オゾン溶解手段3で生成させたオゾン溶解水27をユースポイント7に供給するためのオゾン溶解水供給管18と、ユースポイント7と循環タンク1とを繋ぎ、ユースポイント7で使用されなかった返送オゾン水25を循環タンク1に返送するための返送管19と、を有する。」

図1は、以下のとおりのものである。


ウ 引用文献3の記載
取消理由通知(決定の予告)において引用した引用文献3(甲第7号証:特開2015-88740号公報)には、以下の事項が記載されている。

「【請求項17】
基板が配置され、該基板を処理する基板処理液が供給される処理室と、
前記基板が配置された前記処理室の中に不活性ガスを充填する不活性ガス充填機構と、
前記処理室の近傍または前記処理室の内部に設置され、被処理液に水素を添加してなる水素溶解液を通液する白金族系金属触媒が充填された触媒ユニットと、
を備え、
前記水素溶解液を前記白金族系金属触媒に通液して得た水素溶解処理液を前記基板処理液として前記処理室内に供給することを特徴とする基板処理装置。」

「【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する基板処理方法および基板処理装置に関する。特に、回路基板の洗浄処理、化学処理又は浸漬処理に用いられる基板処理方法および基板処理装置に関する。処理対象となる基板には、例えば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、電界放出ディスプレイ用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板などが含まれる。」

「【0041】
さらに本願発明では、図3に示すように、超純水製造装置のサブシステム9(詳しくは図1参照)からの超純水(被処理液)が、基板処理装置1の各処理室2(洗浄機構)に供給される。サブシステム9の超純水(被処理液)循環配管9aからの出口9bと各基板処理装置1の超純水(被処理液)入口1aとは、半導体製造ラインに主に使われるPVCやPFA、PTFEなどのフッ素樹脂からなるメイン配管10を介して接続されている。各メイン配管10は、各基板処理装置1内を延び、かつ分岐されて、当該基板処理装置1内の各処理室2の処理液ノズル4に連通する処理液供給管27と接続されている。処理液供給管27もまた、PVCやPFA、PTFEなどのフッ素樹脂からなる。
【0042】
メイン配管10における基板処理装置1の超純水入口1a付近には、触媒ユニット21(図2参照)が設置され、さらに、メイン配管10における触媒ユニット21の後段に膜分離ユニット22(図2参照)が設置されている。
【0043】
メイン配管10から触媒ユニット21へ供給する超純水(被処理液)は、溶存水素濃度が8μg/L以上(好ましくは15μg/L以上、より好ましくは66μg/L以上)有る水素溶解処理液に調整されている。サブシステム9からメイン配管10へ出水される超純水(被処理液)は、サブシステム9が有する水素溶解処理装置(図1参照)によって処理された、所定の溶存水素濃度を有する水素溶解水である。しかし、図2の触媒ユニット21の直前の位置で、当該水素溶解水の溶存水素濃度が8μg/L以上(好ましくは15μg/L以上、より好ましくは66μg/L以上)に満たない場合は、当該水素溶解水に水素を添加して当該水素溶解水の溶存水素濃度が8μg/L以上(好ましくは15μg/L以上、より好ましくは66μg/L以上)に調整されている。この場合、触媒ユニット21の直前の配管部分に水素ガス導入装置(不図示)が設けられる。
【0044】
触媒ユニット21は、水素溶解水を触媒ユニット21に通液して得た水素溶解処理液における溶存酸素濃度を2μg/L以下、過酸化水素濃度を2μg/L以下に減じる白金族系金属触媒を充填した態様を有する。例えば、パラジウム触媒を充填した触媒ユニットや、パラジウム触媒をモノリス状有機多孔質アニオン交換体に担持した触媒ユニットが挙げられるが、当該白金族系金属触媒のより詳細な具体例については後で記載することにする(第三実施形態を参照)。」

図3は、以下のとおりのものである。


エ 引用文献4の記載
取消理由通知(決定の予告)において引用した引用文献4(特開2004-122020号公報)には、以下の事項が記載されている。

「【0025】
【発明の実施の形態】
図1は本発明装置の実施態様を示す略図であり、1は原水槽、2は前処理装置、3は前段貯槽、4は一次純水装置、5は純水貯槽である。6は供給ラインで、この供給ライン6は純水貯槽5とユースポイント7の間を繋ぎ、超純水をユースポイント7に送水するものである。この供給ライン6には純水貯槽5から送水される一次純水を処理して超純水を製造する二次処理装置が設置されている。この二次処理装置として、紫外線酸化装置10、イオン交換処理装置(カートリッジポリッシャー)11、膜処理装置12が順次設けられている。8はポンプ、9は熱交換器である。
・・・
【0027】
15はユースポイント7と純水貯槽5の間を繋ぎ、残余の超純水を純水貯槽5に戻すリターン配管としての返送ラインであり、この返送ライン15と前記供給ライン6とで超純水の循環系が構成されている。
【0028】
返送ライン15には不純物除去装置16が設けられている。この不純物除去装置16としては、イオン交換処理装置、膜処理装置、活性炭処理装置等、種々の処理装置を用いることができ、またそれらの処理装置のうちの1つを用いても或いは2つ以上を組み合わせて用いてもよい。どの処理装置を用いるか、どのような処理装置の組み合わせにするかは、使用する洗浄液自体の成分や、洗浄時に洗浄液に溶解或いは混入される他の成分、または通常運転(循環通水)時に残余の超純水に溶解或いは混入してくる他の成分等によって決定される。イオン交換処理装置はイオン性物質を、膜処理装置は微粒子や生菌を、活性炭処理装置は過酸化水素等をそれぞれ除去する。
【0029】
前記したように、使用する洗浄液自体の成分等によってどの処理装置を用いるかが決定されるが、例えば、洗浄液がテトラメチルアンモニウムヒドロキサイド(TMAH)である場合には、不純物除去装置16としてイオン交換処理装置又は膜処理装置が用いられ、また洗浄液が塩酸水溶液等の酸性水溶液である場合には、不純物除去装置16としてイオン交換処理装置(アニオン交換樹脂装置)又は膜処理装置が用いられる。更に洗浄液が界面活性剤水溶液である場合には、不純物除去装置16としてイオン交換処理装置、膜処理装置又は活性炭処理装置が用いられ、また洗浄液が過酸化水素水溶液である場合には、不純物除去装置16として活性炭処理装置が用いられる。」

「【0033】
不純物除去装置16として用いられる活性炭処理装置も公知のものを用いることができ、該活性炭処理装置は過酸化水素の他、界面活性剤等の有機物を除去することができる。更に活性炭処理装置はオゾンや次亜塩素酸等の酸化性物質を除去することができる。ここにおいて活性炭処理装置とは、活性炭を用いるものに限定されず、合成炭素系粒状吸着剤を用いるものも含まれる概念である。合成炭素系粒状吸着剤としては、ロームアンドハース社製のアンバーソープ(商品名)を好適に用いることができる。アンバーソープは、巨大網目構造を有するスチレン-ジビニルベンゼンタイプのスルホン酸型イオン交換樹脂の熱分解物である。アンバーソープの中では、グレード572が特に好ましい。
【0034】
尚、不純物除去装置16として、上記したイオン交換処理装置、膜処理装置、活性炭処理装置の他、紫外線照射装置、脱気装置等を単独或いは適宜組み合わせて用いることもできる。」

「【0064】
図2は本発明の別の実施態様を示すもので、機能水供給ラインを併設した超純水製造装置を示す。図2は構造的には、図1の超純水製造装置に機能水供給機構を付加したもので、図中、図1と同一の構成を示すものは同一符号をもって示す。供給ライン6から分岐して機能水供給ライン21が設けられ、この機能水供給ライン21に機能水製造装置22が設置されている。
【0065】
本発明において、機能水としては水素水、オゾン水等が挙げられ、またそれらは酸、アルカリ添加によってpHを調節したものであってもよい。水素水やオゾン水はガス溶解装置により水素ガスやオゾンガスを超純水に溶解して製造される。ガス溶解装置としては例えば中空糸膜等のガス透過膜を備えた構造のものが用いられる。
【0066】
供給ライン6より分岐して機能水製造装置22に超純水が供給され、ここで水素ガスやオゾンガスが超純水に溶解され、機能水が製造される。該装置22によって製造された機能水は機能水供給ライン21を通り、ユースポイント7に供給され、各種用途に利用される。機能水が水素水である場合、例えば半導体ウエハ製造工程において、微粒子の除去処理に用いられ、また機能水がオゾン水である場合、同工程における金属除去処理或いは有機物除去処理に用いられる。
【0067】
機能水供給ライン21には返送ライン23が連続して設けられており、該返送ライン23には不純物除去装置24が設置されている。25はバイパス配管である。
【0068】
不純物除去装置24はシステム洗浄における洗浄工程終了後に洗浄液の処理を行なう機能と、機能水成分である水素やオゾン等を除去する機能とがある。前者の機能のためには図1の実施態様の説明で述べたように、不純物除去装置24としてイオン交換処理装置、膜処理装置、活性炭処理装置等を用いることができ、具体的にはそれらのうちの1つの装置或いはそれらの2つ以上の装置を組み合わせて用いることができる。
・・・
【0070】
返送ライン23は純水貯槽5に接続され、不純物除去装置24で処理された処理水を純水貯槽5に戻す。純水貯槽5に戻された処理水は超純水製造用として或いは機能水製造用として再び系内に送られる。」

図1は、以下のとおりのものである。


図2は、以下のとおりのものである。


オ 引用文献5の記載
取消理由通知(決定の予告)において引用した引用文献5(特開平11-181493号公報)には、以下の事項が記載されている。

「【0013】本発明の電子材料用洗浄水は、密閉式の電子材料用洗浄水貯槽から配管を通してユースポイントまで送水し、余剰の電子材料用洗浄水を配管を通して密閉式の電子材料用洗浄水貯槽に返送し、循環利用する電子材料用洗浄水の供給装置を用いて、好適に使用することができる。図1は、本発明の電子材料用洗浄水の製造、供給装置の一態様の系統図である。原水は、真空ポンプ1により気相側が減圧に保たれた前段の気体透過膜モジュール2に送られ、溶存気体が除去される。溶存気体が除去された水は、次いで後段の気体透過膜モジュール3に送られ、酸素ガス供給器4から供給される酸素ガスが所定濃度になるように溶解されて、大気飽和濃度より高濃度に酸素ガスを溶解した水となる。大気飽和濃度より高濃度に酸素ガスを溶解した水には、次いで、アンモニア水貯槽5よりポンプ6によりアンモニア水が、また、過酸化水素水貯槽7よりポンプ8により過酸化水素水が注入されて本発明の電子材料用洗浄水が調製され、密閉式の電子材料用洗浄水貯槽9に貯留される。大気飽和濃度より高濃度に酸素ガスを溶解した水の流入量及び貯槽内の電子材料用洗浄水のアンモニアと過酸化水素の濃度を計測し、コントローラーに信号を送ってポンプ6及びポンプ8によるアンモニア水及び過酸化水素水の注入量を制御し、貯槽内の電子材料用洗浄水のアンモニア及び過酸化水素の濃度を所定の値に保つことができる。密閉式の電子材料用洗浄水貯槽9に貯留された電子材料用洗浄水は、ポンプ10により配管11を通してユースポイント12まで送給される。ユースポイントで使用されなかった余剰の電子材料用洗浄水は、配管を通して密閉式の電子材料用洗浄水貯槽に返送し、循環して再利用することができる。
【0014】酸素ガスを溶解し、低濃度のアンモニア及び過酸化水素を含有する本発明の電子材料用洗浄水は、酸素ガスは自己分解を起こさず極めて安定であり、含有するアンモニアと過酸化水素も低濃度であるために、密閉式の貯槽と供給配管を使用することにより、長時間にわたって水質を保持することができる。このような装置を用いることにより、多くのユースポイントに対して個々に洗浄水製造装置を設けることなく、集中的に電子材料用洗浄水を製造し、主配管と分岐配管とを通して、複数のユースポイントまで水質の安定した電子材料用洗浄水を供給することができる。しかも、ユースポイントで使用されなかった余剰の電子材料用洗浄水は貯槽に返送し、繰り返しユースポイントへ送って使用する循環システムを形成することができる。本発明の電子材料用洗浄水によれば、微粒子で汚染された電子材料の洗浄に使用する薬品の量を大幅に減少し、室温での洗浄により高い洗浄効果を得ることができ、さらに、電子材料の洗浄後の廃液処理が容易になる。すなわち、従来の洗浄廃液は、アンモニアや過酸化水素を大量に含んだ高濃度の状態で排出されるため、中和処理や分解処理が必要であり、廃液処理においても洗浄液の調製に使用したのと同程度の量の薬品が必要となる。本発明においては、排出されるのは低濃度のアンモニアと過酸化水素を含んだ液であり、例えば、少量の酸を加えて中和することにより放流し得る水質となる。もちろん、原水として再利用することも可能な水質である。廃液中に含まれる過酸化水素は微量であり、通常は安全上の問題を生ずることはないが、使用環境によっては、必要に応じて廃液中に溶存する過酸化水素を分解することができる。例えば、過酸化水素を含有した水を、白金、パラジウム、二酸化マンガンなどの触媒と接触させることにより、過酸化水素を分解して水と酸素ガスとし、除去することができる。」

図1は、以下のとおりのものである。


カ 引用文献6の記載
取消理由通知(決定の予告)において引用した引用文献6(特開平11-166700号公報)には、以下の事項が記載されている。

「【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特定の気体の溶存濃度が制御された洗浄用の気体含有超純水を連続的に製造し、ユースポイントにおける断続的な使用に対しても、安定的かつ迅速に供給し得る気体含有超純水供給装置を提供することを目的としてなされたものである。」

「【0006】図1は、本発明の気体含有超純水供給装置の一態様の系統図である。装置に送られた超純水は、超純水供給系統1と気体含有超純水供給系統2に分岐される。気体含有超純水供給系統の超純水には、気体供給器3から溶解すべき気体が供給され、気体混合部4において超純水に供給される。気体供給器に特に制限はなく、例えば、オゾン発生器のように装置内で必要とする気体を発生させることができ、あるいは、水素ガス容器のように別途に入手した気体容器を接続して気体供給器とすることもできる。気体混合部に特に制限はなく、例えば、気体を超純水に直接吹き込んで、気液混合状態で気体含有超純水供給主配管中を移送しつつ、気体を超純水に溶解することができ、あるいは、気体透過膜モジュールなどを用いて、超純水に気体を溶解することもできる。本発明装置は、気体を含有する超純水を移送する気体含有超純水供給主配管5と、主配管から分岐してユースポイントに連結する枝管6と、枝管に配置された気体含有超純水を貯留するバッファータンク7を有する。バッファータンク内の気体含有超純水は、洗浄槽8に送られて、電子材料の洗浄などに使用される。本態様においては、超純水供給系統1にも枝管9を設け、気体含有超純水に超純水を添加することにより、気体含有超純水中の気体濃度を調整することができる。ユースポイントで使用されなかった超純水は、超純水供給系統の返送配管を通じて返送し、ふたたび使用することができる。ユースポイントで使用されなかった気体含有超純水は、そのまま循環使用するか、必要に応じて含有されている気体を除去し、超純水として、あるいは、一次純水として、ふたたび使用することができる。含有されている気体の除去方法に特に制限はなく、例えば、オゾン含有超純水は、活性炭処理、紫外線照射などにより、オゾンを除去することができる。
【0007】図2は、本発明装置の一態様のバッファータンク近傍を示す系統図である。気体含有超純水は、連続的に製造され、気体含有超純水供給主配管を通り、ユースポイントであるバッチ式や枚葉式などの洗浄機付近まで送られる。気体含有超純水は、主配管から分岐した枝管6を通ってバッファータンク7に貯留される。本発明装置において、バッファータンクは、ユースポイントへ気体含有超純水の断続供給のための待機容器としての機能を有する。量産工場において、洗浄水としての気体含有超純水は、断続的に使用される。バッチ式洗浄の場合は、空の洗浄槽に迅速に洗浄水を満たす供給工程と、次の供給工程までの待機工程とが繰り返される。待機工程中に、一定量の補給水を洗浄槽に送り続けるオーバーフロー又はダウンフローの流通式洗浄が行われる場合もある。また、枚葉式洗浄の場合も、一定流量の液を被洗浄物に当てる供給工程が、断続的に繰り返される。いずれの場合も、洗浄の場においては、断続的な供給が求められているのに対し、無駄なく溶存気体濃度を制御するには、連続的に気体含有超純水を製造することが好ましいところに問題があった。本発明装置においては、バッファータンクに気体含有超純水を貯留することにより、気体含有超純水の連続的な製造と、断続的な使用の双方の要求を適合させることができる。バッファータンクには、水量の変動に対応し得るよう、給排気弁10を設け、さらに無菌フィルター11も備えることが好ましい。本発明装置においては、バッファータンクの容量が、ユースポイントにおける洗浄槽の容量又はユースポイントにおいて一度に使用される水量にほぼ等しいことが好ましい。例えば、バッチ式洗浄の場合、洗浄槽の容量が20リットルであれば、バッファータンクの容量も20リットルとすることにより、洗浄水の更新に際して、簡便かつ迅速に対応することができる。すなわち、バッファータンク7を洗浄槽8に対し上部に配置しておくことにより、簡単なバルブ操作のみで所定量の洗浄水を重力を利用して洗浄槽に満たすことができる。給排気弁を、開いた状態とすることにより、洗浄槽への給水速度を高めることができる。バッファータンクには、水量計を設け、コントローラーに信号を送って、自動的にバルブを開閉し、気体含有超純水を補給する機構とすることが好ましい。
【0008】・・・一つのユースポイントについて2個以上のバッファータンクを設けることにより、1個のバッファータンクは待機用、他のバッファータンクは補充用と使い分け、ユースポイントにおける洗浄水更新の間隔、すなわち平均使用流量に応じた補充を行うことにより、主配管から枝管への気体含有超純水の取り出しを定常化することができる。・・・ユースポイントにおける洗浄水の使用状態が変動する場合には、・・・」

「【0010】図3は、オゾン含有超純水を供給するための本発明装置の他の態様の系統図である。装置に送られた超純水には、オゾン供給器16からオゾンを含有する気体が供給され、オゾン混合部17において超純水に供給される。オゾンを含有する気体は超純水に直接吹き込んで、気液混合状態でオゾン含有超純水供給主配管中を移送することが好ましい。気液混合状態でオゾン含有供給主配管中を移送することにより、自己分解により失われる超純水中のオゾンを、気相から超純水に溶け込むオゾンにより補充し、超純水中のオゾン濃度をほぼ一定に保つことができる。本態様の装置は、オゾンを含有する超純水を移送するオゾン含有超純水供給主配管18と、主配管から分岐してユースポイントに連結する枝管19と、枝管に配置されたオゾン含有超純水を貯留するバッファータンク20を有する。バッファータンク内のオゾン含有超純水は、洗浄槽21に送られて、電子材料の洗浄などに使用される。本態様においては、ユースポイントで使用されなかったオゾン含有超純水は、オゾン分解装置22に送られてオゾンが分解除去されたのち、返送配管23を経由して返送される。オゾン分解装置の機構に特に制限はなく、例えば、紫外線照射、活性炭処理などにより、オゾンを分解することができる。本態様の装置においては、返送配管にも枝管24を設け、オゾン含有超純水にオゾンが分解除去された超純水を添加して希釈することにより、オゾン含有超純水中のオゾン濃度を調整することができる。使用されなかったオゾンが分解除去された超純水は、超純水として、あるいは、一次純水として、ふたたび使用することができる。各ユースポイントにおいて使用するオゾン含有超純水のpHがすべて同じである場合には、オゾン混合部の上流又は下流の主配管系において、pH調整剤の添加によるpH調整を一括して行うことができる。」

キ 引用文献7の記載
取消理由通知(決定の予告)において引用した引用文献7(特開平11-302689号公報)には、以下の事項が記載されている。

「【0002】
【従来の技術】従来より、半導体用シリコン基板、液晶用ガラス基板、フォトマスク用石英基板などの電子材料に付着した微粒子汚染は、アンモニア水と過酸化水素水と超純水の混合液を用いる、いわゆるSC1洗浄により除去されていた。このような洗浄液を採用した場合の多大な薬液コスト、リンス用の超純水コスト、廃液処理コスト、薬品蒸気を排気して新たに清浄空気を作る空調コストなどを低減し、さらに水の大量使用、薬物の大量廃棄、排ガスの放出などの環境への負荷を低減するために、近年ウェット洗浄工程の見直しが進められている。本発明者らは、先に洗浄対象物及び洗浄目的に応じて、超純水又は超純水に塩酸、アンモニア、過酸化水素、重亜硫酸塩などを溶解した水に、オゾン、水素ガス、酸素ガス、炭酸ガス、塩素ガス、窒素ガス、希ガスなどのガスを溶解した省資源型の電子材料用洗浄水を開発した。これらの電子材料用洗浄水の中で、水素ガス又は酸素ガスを溶解した超純水は、電子材料に付着した微粒子汚染を除去する効果が大きく、水素ガス又は酸素ガスを溶解した超純水に、さらに超音波を伝達しつつ洗浄すると、電子材料に付着した微粒子汚染を高い除去率で除去することができる。水素ガス又は酸素ガスを溶解した超純水に、アンモニアなどの薬品を微量添加すると洗浄効果は一層高まるが、高度に汚染されていない被洗浄物に対しては、薬品を添加しない水素ガス又は酸素ガスを溶解した超純水を用いて、十分な洗浄効果を得ることができる。薬品を添加しない水素ガス又は酸素ガスを溶解した超純水は、溶存ガス以外についてはこれらの機能性洗浄水の原水である超純水と同一の水質を保持した高純度の水である。電子材料の洗浄工程において、セントラル方式の洗浄水給水システムを用いる場合には、複数のユースポイントにおいて、電子材料を洗浄するための洗浄装置がそれぞれに設けられている。洗浄水は主配管を通して各ユースポイントに移送され、ユースポイントでは必要に応じて洗浄水を消費するが、主配管には、各ユースポイントで不足を生じないように、十分な量の洗浄水を移送している。このため、移送されている洗浄水の一部は使用されることなく、余剰の洗浄水として主配管から排出される。また、洗浄工程の最終段階に近いところで、清浄な被洗浄物に接触した洗浄排水は、ほとんど汚れがない。このようなユースポイントで使用されなかった余剰の洗浄水や、洗浄工程の最終段階から排出される洗浄排水は、改めて純度向上の操作を行うことなく洗浄やリンスに適用し得る程度の水質を有する。しかし、厳密に見れば、還元性又は酸化性の溶存ガスは、洗浄やリンス時に被洗浄物に影響を与えるおそれがある。特に、シリコンが露出した基板の洗浄、リンスにおいては、溶存酸素ガスは表面の酸化を引き起こすので、極めて低い濃度まで除去しておかなければならない。このために、水素ガス又は酸素ガスを含有する洗浄水又は洗浄排水から、溶存ガスを高度に除去して超純水と同等の水質とし、再利用することが求めらるようになった。本発明者らは、このような要求に応えて、洗浄に使用されなかった溶存水素ガス又は溶存酸素ガスを含む洗浄水に、水素ガス又は酸素ガスと反応して水又は不活性ガスを生成する物質を供給し、触媒と接触させることにより水素ガス又は酸素ガスを除去し、回収、再利用する電子材料の洗浄方法を先に開発した。この方法により、電子材料の洗浄工程における超純水の使用量を節減することが可能となったが、さらに簡略な工程により洗浄水を回収し再利用することが望まれている。」

ク 引用文献8の記載
取消理由通知(決定の予告)において引用した引用文献8(特開2014-160759号公報)には、以下の事項が記載されている。

「【背景技術】
【0002】
従来、電子部品となる基板の洗浄、表面改質又は表面保護プロセスには、RCA洗浄を代表とする高濃度の薬液や洗剤と、それを濯ぐための大量の純水又は超純水が用いられてきた。これに対し、洗浄工程のコスト削減、環境保全などを目的とした様々な洗浄技術の簡略化の取り組みがなされ、成果を挙げてきた。その代表的なものが、酸、アルカリ等の薬剤や、オゾン、水素などのガスを、純水又は超純水に極低濃度で溶解させた洗浄水による洗浄技術である。この方法であれば、洗浄水の調製のためのコスト、洗浄廃液の処理コストも低減される上に、洗浄後の濯ぎ水量も大幅に削減される。また、洗浄時にエッチングを伴わないため、基板表面の品質向上にも寄与するという利点もある。
【0003】
上記の洗浄水は、通常、純水製造装置又は超純水製造装置からの純水又は超純水の給水配管に、酸、アルカリ等の薬剤やオゾン、水素などのガスといった洗浄剤成分を、ライン注入することにより調製されて、ユースポイント(使用場所)に供給されるが、目的の洗浄効果を得るためには、調製された洗浄水の洗浄剤成分濃度が常に安定して一定濃度であることが重要となる。即ち、洗浄水の洗浄剤成分濃度が不安定であると、洗浄後の電子部品表面の品質に影響を及ぼし、製品不留りが悪くなる。このため、洗浄剤成分は、例えば、純水又は超純水の給水配管に設けられた流量計、又は洗浄水の供給配管に設けられた洗浄剤成分の濃度センサーに連動する制御手段により、所定の洗浄剤成分濃度の洗浄水が得られるようにその注入量が制御されている。
【0004】
ところで、基板の洗浄方式には、複数枚の基板を専用のキャリアにセットして、基板をこのキャリアごと洗浄水を入れた洗浄槽に浸漬して洗浄するバッチ式洗浄と、回転台に載置した基板に対して洗浄水を噴き付けて、1枚ずつ洗浄を行う枚葉式洗浄とがあるが、いずれの方式でも、洗浄機で使用する洗浄水量は一連の洗浄工程において変動する。
特に枚葉式洗浄では、用いる洗浄機毎に設定されている洗浄プログラムに従って、基板に噴き付ける洗浄水量を変化させたり、噴き付けを断続的に行ったりすることで洗浄効果を上げており、洗浄機での洗浄水使用量は秒単位で変化する。
【0005】
このように、使用水量が変化する洗浄水を、常に一定の洗浄剤成分濃度でユースポイントに安定的に供給するために、従来は、一定流量の洗浄水を連続的に製造し、これをそのままユースポイントに供給し、余剰の洗浄水は廃棄するという方法が採用されていた。しかし、廃液処理コスト、環境問題の観点からは、ユースポイントでの必要量だけの洗浄水を供給し、廃棄する余剰水を発生させないことが望ましい。
【0006】
ユースポイントにおける使用量に対応した洗浄水を供給するためには、その使用量の変動に応じた洗浄水を調製してユースポイントに供給する制御機構を設ける必要がある。
例えば、前述した従来の洗浄水の供給方法において、純水又は超純水の給水量を洗浄水の使用量に応じて変化させ、一方で、給水配管に設けられた流量計に連動する洗浄剤成分の注入量制御手段により、給水配管を経て供給される純水又は超純水の流量変動に応じて洗浄剤成分の注入量を制御し、常に一定濃度の洗浄水を調製してユースポイントに供給することが考えられる。
しかしながら、流量変動のある給水に対して、上述のような流量計に連動する洗浄剤成分の注入量制御のみで対応することは困難であり、給水流量変動に応じて、調製される洗浄水の洗浄剤成分濃度が不安定となることは避けられない。特に、洗浄水が洗浄剤成分を極低濃度で含む希薄溶液である場合には、この濃度管理が極めて困難となる。」

「【0026】
本発明の溶液の供給方法及び供給装置は、特に、半導体用のシリコンウェハ、フラットパネルディスプレイ用のガラス基板等、高度な清浄度を必要とする電子部品などの洗浄、表面改質又は表面保護プロセスに用いられる、酸又はアルカリや、オゾン、酸素などのガスといった洗浄剤成分を低濃度で含む洗浄水を、ユースポイントである洗浄機に供給するための方法及び装置として有用であり、特に、洗浄水使用量が秒単位で変動する枚葉式洗浄機への洗浄水の供給に有効である。」

「【0037】
このような洗浄水の供給系統において、本発明では、洗浄水の供給配管11の途中部分、即ち配管11の薬液注入点13とユースポイント4との間の部分に、気液界面が存在しない滞留部1を設ける。この滞留部1が存在することにより、ユースポイント4での洗浄水使用量が変動する場合であっても、これによる濃度変動を、滞留部1で吸収し、所望の薬剤濃度の洗浄水をユースポイント4に安定に供給することができる。」

ケ 引用文献9の記載
取消理由通知(決定の予告)において引用した引用文献9(特開2004-181364号公報)には、以下の事項が記載されている。

「【請求項6】
前処理システムと、一次純水システムと、二次純水システムと、二次純水システムにおけるユースポイントで使用された超純水を活性炭処理装置を介して前記前処理システム又は前記一次純水システムに還流させる回収システムとを備えた超純水製造装置において、
前記活性炭処理装置が、過酸化水素に対する分解能が異なる少なくとも2種の活性炭を、過酸化水素に対する分解能が低い方の活性炭を上流側に、過酸化水素に対する分解能が高い方の活性炭を下流側に配置してなることを特徴とする超純水製造装置。」

「【0004】
近時、水素や酸素、オゾン等の活性基体を溶解させた機能水がシリコンウエハの洗浄に有効であることが見出されて、二次純水システムに機能水の製造装置を設けることが行われているが、濃度管理が非常に難しいという問題があった。
【0005】
・・・従来回収システムに介挿されていた活性炭では完全に過酸化水素を分解することができず、回収水中にはppbオーダーで過酸化水素が残存し、この微量残存する過酸化水素が一次純水システムと二次純水システムでも分解できずに末端超純水装置まで到達して、超純水を利用した機能水の濃度を変動させていることを見出した。
【0006】
すなわち、従来の二酸化過マンガン酸法やヨウ素電極法を用いた過酸化水素モニターで0ppmであった超純水がヨウ素電極滴定法を用いた過酸化水素モニターで測定すると5?30ppbの範囲で過酸化水素が検出され、この微量残存する過酸化水素が機能水の濃度を変動させていたのである。
【0007】
さらに、本発明者等は、かかる微量の過酸化水素も過酸化水素に対する分解能が高い活性炭を用いることにより、完全に除去できることを見出した。」

「【0015】
本発明で用いられる過酸化水素に対する分解能が高い方の活性炭は、20?1000A(A=10nm)の細孔の割合を10Vol%以上、好ましくは20Vol%以上に高くするか、又は白金、パラジウム、銀のような分解触媒を担持させて過酸化水素に対する分解能を高くしたもので、純水中例えば10mg/lの過酸化水素をSV=10h-1で通水したとき、処理水中の過酸化水素を50μg/l、好ましくは10μg/l、より好ましくは5μg/l未満にまで分解する性能を有るものである。」

図1は、以下のとおりのものである。


したがって、引用文献9には、以下の技術的事項が開示されているといえる。
「前処理システムと、一次純水システムと、二次純水システムと、二次純水システムにおけるユースポイントで使用された超純水を活性炭処理装置を介して前記前処理システム又は前記一次純水システムに還流させる回収システムとを備え、
前記活性炭処理装置が、過酸化水素に対する分解能が異なる少なくとも2種の活性炭を、過酸化水素に対する分解能が低い方の活性炭を上流側に、過酸化水素に対する分解能が高い方の活性炭を下流側に配置してなる超純水製造装置において、過酸化水素に対する分解能が高い方の活性炭は、白金、パラジウム、銀のような分解触媒を担持させて過酸化水素に対する分解能を高くしたものであり、回収水中に微量残存し、機能水の濃度を変動させていた過酸化水素を完全に除去できる、超純水製造装置。」

コ 引用文献10の記載
取消理由通知(決定の予告)において引用した引用文献10(甲第6号証:特開2011-245380号公報)には、以下の事項が記載されている。

「【0010】
特許文献4には、超純水製造装置において、被処理水からH_(2)O_(2)を除去するために、紫外線酸化装置の後段に、過酸化水素分解触媒を有する過酸化水素分解装置を設け、さらにH_(2)O_(2)の分解などによって生成した溶存酸素を除去するために、膜脱気装置を設けることが開示されている。ここで過酸化水素分解触媒としては、白金族の金属ナノコロイド粒子を担体に担持させたものが用いられている。」

「【0041】
図1は、本発明の実施の一形態における純水製造装置を示している。
【0042】
この装置は、純水を貯留するタンク11と、タンク11から純水を送出するポンプ(P)12を備えており、ポンプ12に対し、熱交換器15、紫外線酸化装置(UV)16、H_(2)O_(2)除去装置17、膜脱気装置(MD)18、非再生型混床式イオン交換装置(CP)19及び限外濾過装置(UF)20がこの順で接続し、限外濾過装置20からの水はユースポイントに送られ、ユースポイントで使用されなかった分の水は循環配管によりタンク11に戻されるようになっている。この装置では、タンク11からポンプ12、熱交換器15、紫外線酸化装置16、H_(2)O_(2)除去装置17、膜脱気装置18、非再生型混床式イオン交換装置19及び限外濾過装置20を経てタンク11に戻る循環系が形成されている。ユースポイントでの純水の使用に応じて循環系内の水量が減るので、循環系内の水量を一定に保つために、タンク11には、外部からの水(供給水)も供給されている。
供給水は、例えば一次純水である。
【0043】
この構成において、紫外線酸化装置16に供給される水のTOC濃度は、10ppb以下であるものとする。さらにこのシステムは、H_(2)O_(2)を貯えるH_(2)O_(2)貯槽(H_(2)O_(2))13を、熱交換器15と紫外線酸化装置16とを接続する配管に接続し、この配管中の被処理水に対してH_(2)O_(2)を添加するようにH_(2)O_(2)貯槽13からH_(2)O_(2)を供給するポンプ(P)14と、を備えている。ポンプ14は、添加後の被処理水におけるH_(2)O_(2)濃度が例えば10ppb以上400ppb以下となるように、被処理水にH_(2)O_(2)を添加する。
【0044】
このようなシステムでは、タンク11に貯えられた純水が、被処理水として、ポンプ12により、まず熱交換器15に送られて温度が調整される。その後、H_(2)O_(2)を添加され、紫外線酸化装置16において紫外線を照射される。その結果、被処理水中のTOC成分が分解される。
・・・
【0050】
紫外線酸化装置16によって紫外線酸化処理を受けた被処理水は、次に、H_(2)O_(2)除去装置17に送られ、H_(2)O_(2)が除去される。ここで除去されるH_(2)O_(2)は、紫外線酸化装置16の前段においてポンプ14によって添加され紫外線酸化装置16では使用されなかったH_(2)O_(2)と、紫外線酸化装置16内での紫外線照射により被処理水中に生じたH_(2)O_(2)の両方である。
【0051】
H_(2)O_(2)除去装置17内には、白金族金属触媒が設けられており、処理水が白金族金属触媒と接触することにより、H_(2)O_(2)の残留分が触媒分解によって除去される。H_(2)O_(2)の分解触媒としては活性炭も知られているが、純水系での適用を考えると、溶出物の少ない白金族金属触媒を用いることが好ましい。ここでいう白金族金属とは、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)のことであり、これらの一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて使用してもよい。これら白金族金属のうち、PtやPdなどを好ましく使用することができ、コスト等の観点からはPdが好ましい。
・・・
【0053】
白金族金属触媒を有するH_(2)O_(2)除去装置17を設け、被処理水に添加したH_(2)O_(2)及び紫外線酸化装置16で発生したH_(2)O_(2)を白金族金属触媒に接触させることにより、H_(2)O_(2)を極低濃度にまで除去することができる。これにより、酸化性物質であるH_(2)O_(2)によって後段の非再生型混床式イオン交換装置19内のイオン交換樹脂が酸化劣化するなどの悪影響を防ぐことができる。
【0054】
H_(2)O_(2)除去装置17から流出した被処理水は、次に膜脱気装置18に送られて溶存酸素(DO)などが除去され、続いて非再生型混床式イオン交換装置19に送られる。紫外線酸化処理によって生成して被処理水中に含まれることとなった有機酸及び二酸化炭素(CO_(2))は、非再生型混床式イオン交換装置19において除去される。さらに、被処理水は、限外濾過装置20に送られ、高度に不純物が除去された水となって、ユースポイントに送られることになる。使用されなかった水は、循環されて、タンク11に戻される。場合によっては膜脱気装置18を省略することができる。この構成では、ユースポイントから、TOC濃度とH_(2)O_(2)濃度とが極めて低いレベルに抑えられた純水が得られ、このような純水は循環管路を介してタンク11にも戻される。
・・・
【0056】
図3は、さらに別の実施形態における純水製造装置を示している。
【0057】
図3に示す装置は、図1に示す装置において、溶存酸素(DO)を除去し、H_(2)O_(2)の分解除去を促進するために水素(H_(2))を添加するようにしたものである。H_(2)添加のために、紫外線酸化装置16とH_(2)O_(2)除去装置17との間にガス溶解膜装置22が設けられ、ガス溶解膜装置22には、H_(2)貯槽(H_(2))21からH_(2)が供給されている。この場合、H_(2)O_(2)除去装置17において溶存酸素を除去できるので、膜脱気装置18は設けられていない。
【0058】
この構成では、紫外線酸化装置16からの水は、H_(2)を溶解させられた後に、白金族金属触媒と接触させられる。PdあるいはPt等の白金族金属触媒は、溶存水素の存在下で溶存酸素を除去できる。H_(2)溶解後に白金族金属触媒で処理することによって、残留H_(2)O_(2)の除去とDOの除去とを同時に行うことができる。」

サ 引用文献11の記載
取消理由通知(決定の予告)において引用した引用文献11(甲第8号証:特許第5329463号公報)には、以下の事項が記載されている。

「【0002】
半導体製造産業においては、不純物を高度に除去した超純水を用いてシリコンウエハの洗浄等が行われている。超純水は、一般に原水(河川水、地下水、工業用水等)中に含まれる懸濁物質や有機物の一部を前処理工程で除去した後、その処理水を一次純水系システム及び二次純水系システム(サブシステム)で順次処理することによって製造され、ウエハ洗浄を行うユースポイントに供給される。・・・」

「【0032】
本発明の過酸化水素分解処理水の製造装置においては、モノリス状有機多孔質アニオン交換体に白金族金属が担持されてなる白金族金属担持触媒を用いていることから、通常の粒子状アニオン交換樹脂を用いた場合に比べて被処理水との接触効率を格段に高めることができる。そして、上記白金族金属担持触媒は、過酸化水素分解能力が著しく高いため、触媒の充填層高を薄くしても被処理水中の過酸化水素を十分に分解除去することができる。」

「【0145】
<電子部品の洗浄方法>
次に、本発明の電子部品の洗浄方法について説明する。
【0146】
本発明の電子部品の洗浄方法は、本発明の過酸化水素分解処理水の製造方法もしくは本発明の過酸化水素分解処理水の製造装置により得られる過酸化水素分解処理水を含む洗浄水、本発明の超純水の製造方法もしくは本発明の超純水の製造装置により得られる超純水を含む洗浄水、本発明の水素溶解水の製造方法もしくは本発明の水素溶解水の製造装置により得られる水素溶解水を含む洗浄水または本発明のオゾン溶解水の製造方法もしくは本発明のオゾン溶解水の製造装置により得られるオゾン溶解水を含む洗浄水から選ばれるいずれか一種以上の洗浄水により、表面洗浄することを特徴とするものである」

「【0160】
<白金族金属担持触媒>
次に、本発明の過酸化水素分解処理水の製造方法、過酸化水素分解処理水の製造装置、超純水の製造方法、超純水の製造装置、水素溶解水の製造方法、水素溶解水の製造装置、オゾン溶解水の製造方法、オゾン溶解水の製造装置および電子部品の洗浄方法において共通に用いられる、モノリス状有機多孔質アニオン交換体に白金族金属が担持されてなる白金族金属担持触媒について説明する。
【0161】
上記白金族金属担持触媒としては、モノリス状有機多孔質アニオン交換体に白金族金属ナノ粒子が担持されてなるものを挙げることができる。」

シ 引用文献12の記載
取消理由通知(決定の予告)において引用した引用文献12(甲第3号証:国際公開第2016/042933号)には、以下の事項が記載されている。

「[0001] 本発明は、希釈液を製造する希釈液製造方法および希釈液製造装置に関するものである。」
「[0002] 半導体装置や液晶ディスプレイの製造プロセスにおいては、シリコンウエハや液晶パネル用ガラス基板の洗浄液として、アンモニア水などの薬液を超純水で希釈した希釈液が用いられている。希釈液の製造方法としては、ユースポイントに向けて供給される超純水に対して微少量の薬液を添加する方法が知られており、種々の提案がなされている。」

「[0058] <実施例1>
図4に実施例1の希薄アンモニア水製造装置の概念図を示す。
[0059] まず、PFA製の第1の配管11に超純水を流す。超純水としては、電気抵抗率が18MΩ・cm以上、TOC(有機体炭素)が1.0ppb以下の超純水を使用した。次いで、PFA製のタンク12から薬液としての29wt%の高濃度アンモニア水(電子工業用、関東化学(株))を、第2の配管13を通して第1の配管11内の超純水に供給することにより、所定の成分濃度の希薄アンモニア水を製造して、ユースポイントに供給した。・・・」

「[0066] <実施例3>
図7に実施例3の希薄アンモニア水製造装置の概念図を示す。
[0067] 実施例3では、実施例1の装置(図4)に対し、第1の配管11と第2の配管13との連結部11aの圧力を測定することができる圧力計(HPS、サーパス工業(株))18Aと、圧力計18Aの測定値に基づいて連結部11aの圧力を所定の値にするための磁気浮上式の供給ポンプ(BPS-4、レビトロニクスジャパン(株))19Aとを追加した。そして、圧力計18Aの測定値が280kPaになるようにポンプ19Aの回転数を制御するとともに、流量計14および導電率計15Aの測定値に基づき、タンク12内の圧力の目標値を算出した。これら以外の構成は実施例1と変わらない。」

「 符号の説明」
[0088]・・・19A・・・定量ポンプ・・・」

以上から、引用文献12には、以下の技術的事項が開示されているといえる。
「超純水にアンモニア水を供給する連結部11aにおける圧力の測定値が一定(280kPa)となるように、定量ポンプであるポンプ19Aの回転数を制御すること。」、
「タンク12から薬液としての29wt%の高濃度アンモニア水を第2の配管13を通して第1の配管11内の超純水に供給することにより、所定の成分濃度の希薄アンモニア水を製造すること。」

(3)当審の判断
ア 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と引用発明とを対比する。

a 本件発明1の「超純水ラインと、該超純水ラインからの超純水にpH調整剤及び酸化還元電位調整剤を添加して一定濃度の洗浄水を製造する洗浄水製造部を有する洗浄水供給装置において」、「該洗浄水製造部から該洗浄水を洗浄機に供給する洗浄水ライン」を備える「洗浄水供給装置」と、引用発明の「原料水貯槽12に貯留された超純水が、ポンプ13によりフィルター14に送られ、微粒子などが除去された原料水は、膜脱気装置15に送られ、脱気された原料水は、気体透過膜装置18に送られ、水素ガス、オゾン、酸素ガス、希ガスなどが溶解されて、機能水となり、機能水には、薬剤貯槽19から薬注ポンプ20により、アンモニア、過酸化水素、フッ化水素などの薬剤が添加され、ユースポイント21に送られ」る、「機能水供給装置」であって、機能水は、「洗浄に使用される」ものであり、「ユースポイントで使用されなかった機能水には、超純水に特定の機能を付与するために溶解された気体又は気体とpH調整剤などの薬剤が、含まれているが、これらの気体と薬剤の含有量は、機能水を循環している間に、揮散、分解などにより減少し、機能水が本来有すべき値から外れ、しかもユースポイントにおける未使用の機能水の発生量などによっても変動するものであるところ、機能水の希薄排水に含まれるイオン性物質を除去して、機能水の製造工程に供給するので、使用ずみの機能水を原料水として用いて、超純水を原料水とする機能水と等しい性能を有する機能水を製造することができ、また、未使用の機能水についても、イオン性物質を除去して機能水の製造工程に供給するので、イオン性物質に影響されることなく、所望の水質の機能水を製造することができる」、「機能水供給装置」とを対比する。

(a)引用発明の「洗浄に使用される」「機能水」を供給する「機能水供給装置」、「機能水」が「洗浄に使用され」る「ユースポイント21」は、それぞれ、本件発明1の「洗浄水供給装置」、「洗浄機」に相当する。

(b)引用発明における「アンモニア」は、本件発明1の「pH調整剤」に相当する。
また、引用発明における「水素ガス」、「オゾン」、「過酸化水素」はいずれも、本件発明1の「酸化還元電位調整剤」に相当する(水素ガスについては、必要であれば、技術常識を示す文献である、甲第2号証(特開2008-205490号公報)の段落【0039】の「とりわけ、酸化還元電位調整剤として水素を用いると、添加によるpH変動が生じず工程における洗浄組成物の濃度管理を簡便化できる上、排水処理への負荷も大幅に軽減できる。」との記載を参照されたい。)。

(c)引用発明は、「バルブ26に信号が送られて、超純水が補給されて原料水貯槽内の水量は、常に一定に保たれる」ものであるから、引用発明のバルブ26を介して原料水貯槽に超純水を補給するラインは、本件発明1の「超純水ライン」に相当する。
引用発明において、気体透過膜装置18で生成された機能水は、「アンモニア、過酸化水素、フッ化水素などの薬剤が添加され、ユースポイント21に送られ」るから、図3のユースポイント21に送るラインは、本件発明1の「洗浄水ライン」に相当し、ユースポイント21に送られる、薬剤が添加された機能水は、本件発明1の「洗浄水」に相当する。

(d)また、引用発明において、「ユースポイントで使用されなかった機能水には、超純水に特定の機能を付与するために溶解された気体又は気体とpH調整剤などの薬剤が、含まれているが、これらの気体と薬剤の含有量は、機能水を循環している間に、揮散、分解などにより減少し、機能水が本来有すべき値から外れ、しかもユースポイントにおける未使用の機能水の発生量などによっても変動するものであるところ、機能水の希薄排水に含まれるイオン性物質を除去して、機能水の製造工程に供給するので、使用ずみの機能水を原料水として用いて、超純水を原料水とする機能水と等しい性能を有する機能水を製造することができ、また、未使用の機能水についても、イオン性物質を除去して機能水の製造工程に供給するので、イオン性物質に影響されることなく、所望の水質の機能水を製造することができる」のであるから、「機能水製造装置」が「ユースポイント」へ供給する「機能水」のイオン性物質の濃度は一定であるといえる。

(e)したがって、本件発明1と引用発明とは、「超純水ラインと、該超純水ラインからの超純水にpH調整剤及び酸化還元電位調整剤を添加して」「洗浄水を製造する洗浄水製造部を有する洗浄水供給装置において」、「該洗浄水製造部から該洗浄水を洗浄機に供給する洗浄水ライン」を備える「洗浄水供給装置」である点で一致する。

b 本件発明1の「該洗浄水ラインからの余剰洗浄水から溶質を除去する除去部」を備えとの構成、「該除去部は、イオン交換装置及び白金族触媒装置を備え」との構成と、引用発明の「ユースポイントで使用されなかった機能水は、イオン除去手段24に送られ、アンモニウムイオン、フッ化物イオンなどのイオンが除去されて」とを対比する。
引用発明の「イオン除去手段24」は、本件発明1の「除去部」であって、当該除去部が備える「イオン交換装置」に相当する。
また、引用発明において、機能水には、「アンモニア、過酸化水素、フッ化水素などの薬剤が添加され」、「ユースポイントで使用されなかった機能水」は、イオン除去手段24で、「アンモニウムイオン、フッ化物イオンなどのイオン」が除去されるから、引用発明の「ユースポイントで使用されなかった機能水」、「アンモニア、過酸化水素、フッ化水素などの薬剤」は、それぞれ、本件発明1の「余剰洗浄水」、「溶質」に相当する。
したがって、本件発明1と引用発明とは、「該洗浄水ラインからの余剰洗浄水から溶質を除去する除去部」を備える点で一致し、「該除去部は、イオン交換装置」を備える点で共通する。

c 本件発明1の「前記洗浄水製造部は、すべての洗浄機の最大使用量の合計よりも多量の洗浄水を製造可能である」と、引用発明の「機能水は、ユースポイントへ送られて洗浄に使用されるが、ユースポイントで不足が生じないように、常に余裕をもって多めに送られ、その結果、ユースポイントにおいて、洗浄に使用されなかった余剰の機能水が発生し」とを対比する。
引用発明において、「洗浄」に使用される「機能水」は、本件発明1の「洗浄水製造部」で製造される「洗浄水」に相当し、「ユースポイント」では、「未使用の機能水」が「発生」するのであるから、本件発明1と引用発明とは、「前記洗浄水製造部は、すべての洗浄機の最大使用量の合計よりも多量の洗浄水を製造可能である」点で一致する。

d そうすると、本件発明1と引用発明との一致点と相違点は次のとおりである。
<一致点>
「超純水ラインと、該超純水ラインからの超純水にpH調整剤及び酸化還元電位調整剤を添加して洗浄水を製造する洗浄水製造部を有する洗浄水供給装置において、
該洗浄水製造部から該洗浄水を洗浄機に供給する洗浄水ラインと、
該洗浄水ラインからの余剰洗浄水から溶質を除去する除去部とを備える洗浄水供給装置っであって、
該除去部は、イオン交換装置を備え、
前記洗浄水製造部は、すべての洗浄機の最大使用量の合計よりも多量の洗浄水を製造可能である洗浄水供給装置。」

<相違点>
<相違点1>
本件発明1は、「該洗浄機は、多数のバルブが不規則に開閉する多チャンバー枚葉式洗浄機であり、該洗浄機に供給される該洗浄水量は変動するものであ」るのに対し、引用発明では、ユースポイント21に送られる機能水について、そのような特定はなされていない点。
<相違点2>
本件発明1は、該除去部は、「イオン交換装置及び白金族触媒装置」を備えるものであり、洗浄水製造部は、「一定濃度」の洗浄水を製造するのに対し、引用発明は、イオン除去手段10を備えるものの、「白金族触媒装置」を備えるものではなく、「機能水の希薄排水に含まれるイオン性物質を除去して、機能水の製造工程に供給するので、使用ずみの機能水を原料水として用いて、超純水を原料水とする機能水と等しい性能を有する機能水を製造することができ、また、未使用の機能水についても、イオン性物質を除去して機能水の製造工程に供給するので、イオン性物質に影響されることなく、所望の水質の機能水を製造することができる」ものである点。
<相違点3>
本件発明1は、「前記洗浄水製造部は、前記超純水ラインに超純水を定量供給する手段と、超純水に対し溶質を定量供給する手段とを有」するのに対し、引用発明では、そのような特定はなされていない点。
<相違点4>
洗浄水ラインに接続される洗浄機について、本件発明1では、「複数の洗浄機」が接続されているのに対し、引用発明では、ユースポイントについて、そのような特定はなされていない点。
<相違点5>
本件発明1は、「該洗浄水製造部2から洗浄水ライン3へ供給される洗浄水量は、各洗浄機5A?5Nに供給される洗浄水量の最大量の合計量の120%以上であ」るのに対し、引用発明では、そのような特定はなされていない点。
<相違点6>
本件発明1は、「該洗浄機5A,5B,………5Nへは、それぞれ、洗浄水ライン3から分岐配管7、配管10を介して洗浄水が供給され、配管10からはリターン配管11が分岐しており、該リターン配管11の末端側は洗浄水ライン3に接続されている」のに対し、引用発明では、ユースポイント21(洗浄機)への配管の接続関係について、そのような特定はなされていない点。

(イ)判断
a 相違点6について
事案に鑑み、まず、相違点6について検討する。
相違点6に係る本件発明1の「該洗浄機5A,5B,………5Nへは、それぞれ、洗浄水ライン3から分岐配管7、配管10を介して洗浄水が供給され、配管10からはリターン配管11が分岐しており、該リターン配管11の末端側は洗浄水ライン3に接続されている」との構成について、上記引用文献2?12には記載も示唆もされておらず、本件出願前において周知技術であるともいえない。
したがって、引用発明において、上記引用文献2?12を参照した当業者が、上記相違点6に係る本件発明1の構成とすることは容易になし得たこととはいえない。

b 小括
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明、並びに引用文献2?12に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

c 特許異議申立人の意見について
(a)特許異議申立人黒崎惇子は、令和2年9月10日に提出した意見書10?12ページにおいて、構成要件P(上記「a」の相違点6に係る本件発明1に係る構成)について、
「例えば、参考資料3(特許公報第260691号公報)」には、・・・(略)・・・と記載され、超純水製造された超純水が供給ライン8を経由してユースポイント9の超純水分配箇所に分配供給され、未使用分はリターンライン10を経て一次純水タンク2に戻ることが記載されている。ここで、参考資料3の下記第1図には、供給ライン8からユースポイント9に超純水を供給するラインから分岐してリターンライン10に繋がる配管が記載されており、未使用分の超純水が当該配管を経由してリターンライン10に戻されていることは明らかである。
・・・
また、参考資料4(特開平11-186207号公報)には、・・・(略)・・・と記載され、・・・(略)・・・一次純水製造部に返送して原水とする方法が望ましいことが記載されている。
よって、甲1-1発明において、ユースポイントで使用されなかった洗浄水を回収するために、供給ラインからユースポイントに洗浄水を供給するラインから分岐してリターンラインに繋がる配管を設け、当該配管を経由して洗浄水を回収することは当業者にとって自明である。
・・・(略)・・・
したがって、訂正後の本件特許発明1は、・・・(略)・・・特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」と主張している。

(b)上記参考資料3(特許公報第260691号公報)の【第1図】は、以下のとおりのものである。


上記参考資料3の【第1図】には、「9ユースポイント」(本件発明1の「(複数の)洗浄機」に相当する。)」へ、「8供給ライン」(本件発明1の「洗浄水ライン」に相当する。)から「分岐する配管」(本件発明1の「分岐配管7」に対応する。)を介して洗浄水が供給され、該「分岐する配管」からは「更に分岐する配管」が分岐しており、該「更に分岐する配管」の末端側は「リターンライン10」に接続されていることが、開示されているものの、本件発明1の「配管10」及び「『該配管10』からはリターン配管11が『分岐』して」いる構成は記載されておらず、しかも、上記【第1図】において、「リターンライン10」と「供給ライン8」とは同じラインではないから、上記参考資料3には、前記「更に分岐する配管」の末端側が「8供給ライン」に接続されていること、すなわち、本件発明1の、「該リターン配管11の末端側は『該洗浄水ライン3に』接続されている』」という構成は、記載も示唆もされていない。
また、上記参考資料4(特開平11-186207号公報)にも、相違点6に係る本件発明1の「該洗浄機5A,5B,………5Nへは、それぞれ、洗浄水ライン3から分岐配管7、配管10を介して洗浄水が供給され、配管10からはリターン配管11が分岐しており、該リターン配管11の末端側は洗浄水ライン3に接続されている」との構成について、記載も示唆もされていない。

したがって、甲1-1発明において、構成要件Pが自明であるとする、特許異議申立人黒崎惇子の上記主張は、採用することができない。

d 判断についてのまとめ
したがって、本件発明1は、引用発明、並びに引用文献2?12、及び上記参考資料3、4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

5 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について
(1)特許異議申立人黒崎惇子は、特許異議申立書において、登録時の特許請求の範囲に関し、本件特許発明1、2は、その出願前に日本国内において頒布された甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない旨を主張する。
しかしながら、本件発明1は、本件訂正請求により訂正され、本件発明1は、上記3のとおりのものであり、上記「4(3)ア」「(ア)対比」のとおり、本件発明1と引用発明とは、相違点1?6の点で相違する。
したがって、本件発明1は、甲第1号証(引用文献1)に記載された発明ではなく、特許法第29条第1項第3号には該当しない。

(2)特許異議申立人黒崎惇子は、特許異議申立書において、登録時の特許請求の範囲に関し、本件特許発明1は、甲第1号証(引用文献1)に記載された発明および甲第6-8号証(順に、引用文献10、引用文献3、引用文献11)に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件特許発明2は、甲第1号証(引用文献1)に記載された発明および甲第3号証(引用文献12)に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件特許発明3は、甲第1号証(引用文献1)に記載された発明、および周知技術(例えば、甲第4号証、甲第5号証(引用文献2)、甲第7号証(引用文献3))に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない旨を主張する。
しかしながら、上記「4(3)ア」「(イ)判断」「a 相違点6について」のとおり、相違点6に係る本件発明1の「該洗浄機5A,5B,………5Nへは、それぞれ、洗浄水ライン3から分岐配管7、配管10を介して洗浄水が供給され、配管10からはリターン配管11が分岐しており、該リターン配管11の末端側は洗浄水ライン3に接続されている」との構成について、上記引用文献2?12(引用文献2、3、10?12は、それぞれ、甲第5号証、甲第7号証、甲第6号証、甲第8号証、甲第3号証に対応。)には記載も示唆もされておらず、本件出願前において周知技術であるともいえない。すなわち、上記相違点6に係る本件発明1の上記の構成について、甲第3、5?8号証には記載も示唆もされていない。
また、甲第2号証、甲第4号証にも、上記相違点6に係る本件発明1の上記の構成について記載も示唆もされていない。
したがって、甲第4号証を併せて検討しても、本件発明1が、甲第1、3?8号証から容易に発明をすることができたものとは認められない。

(3)特許異議申立人黒崎惇子は、特許異議申立書42?44ページにおいて、登録時の特許請求の範囲に関し、本件特許発明1には、「具体的な「pH調整剤」、「酸化還元電位調整剤」、及び「イオン交換装置」の種類については何ら特定されておらず、本件特許発明1は、「発明の課題(余剰洗浄水から溶質除去部にて溶質を除去して回収することによって、ごく低濃度の溶質を含む洗浄水を安定供給することができる洗浄水装置を提供する)を解決できない態様を含むものである。したがって、請求項1-3の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。よって、本件特許発明1-3は、発明の詳細な説明に記載したものではない。」旨を主張する。

しかしながら、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1には、「pH調整剤及び酸化還元電位調整剤を添加して」、「該除去部は、イオン交換装置及び白金族触媒装置を備え」と記載されているところ、発明の詳細な説明には、以下のように記載されている。
「【0002】
半導体ウェハの洗浄・リンス水工程では、ウェハの帯電、金属腐食・溶解、微粒子付着を抑制する目的で、酸又はアルカリのpH調整剤や、酸化剤又は還元剤のような酸化還元電位調整剤を、必要最低限のごく低濃度で超純水に溶解させた水質調整水が洗浄水(リンス水を含む)として使用される場合がある(例えば特許文献1)。この洗浄水の製造方法としては、H_(2)、O_(3)、CO_(2)、NH_(3)といった還元性、酸化性、酸性、又はアルカリ性のガスを超純水に溶解させる方法もあるが、操作が簡便であることから、pH調整剤及び/又は酸化還元電位調整剤を水に溶解させた薬液を薬注する方法が採用される場合が多い。」

「【0030】
本発明において、超純水に薬注する薬液は、pH調整剤及び/又は酸化還元電位調整剤を超純水に溶解させて調製した薬液であり、そのpH調整剤としては、塩酸、酢酸、硝酸、リン酸、硫酸、フッ酸、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、又は炭酸アンモニウム等を用いることができる。
【0031】
また、酸化還元電位調整剤としては過酸化水素や硝酸を用いることができる。」と記載されている。
・・・
【0033】
超純水に溶解させるガスとしては、H_(2),O_(3),CO_(2),NH_(3)などが例示される。これらの濃度も、通常はppmオーダー例えば50ppm以下特に20ppm以下の希薄濃度とされる。」

「【0035】
除去部4における余剰水の処理は、イオン交換樹脂又は白金族触媒のみで対応可能である。即ち、ppmオーダーの酸・アルカリはイオン交換装置で容易に除去できる。電気再生式イオン交換装置(いわゆるEDI)を適用することもできる。酸化剤・還元剤の除去には白金ナノコロイド担持樹脂などの触媒が有効である。オゾンを多く含む余剰水がある場合には、オゾン分解に適した触媒を追加することが望ましい。
【0036】
洗浄水ライン3からの余剰洗浄水中の溶質濃度がppmオーダーと非常に低く、また、溶質の種類が限られているため、溶質を十分に除去することは容易であり、簡単なイオン交換装置と触媒装置の組み合わせで超純水に近い純度に戻る。・・・」

したがって、発明の詳細な説明には、pH調整剤として、アンモニア等を用い、イオン交換装置で除去することができ、酸化還元電位調整剤として、過酸化水素や硝酸を用い、白金ナノコロイド担持樹脂などの触媒で除去することができる旨が開示されている。

また、特許異議申立人黒崎惇子は、特許異議申立書43ページにおいて、「例えば、本件特許発明1には、「pH調整剤」としてアンモニア(本件明細書の段落[0030])を添加し、「イオン交換装置」としてアニオン交換樹脂のみを充填した構成も含まれるが、この構成ではカチオン性物質であるアンモニウムイオンを除去することはできない。つまり、余剰洗浄水から溶質(アンモニア)を除去することはできない。」と主張している。
しかしながら、「pH調整剤」としてのアンモニアは、陽イオン(カチオン)であるから、カチオン交換樹脂を充填した「イオン交換装置」で除去することができることは技術常識である。したがって、技術常識を踏まえれば、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できないとはいえない。
したがって、特許異議申立人黒崎惇子のかかる主張は、採用することができない。

6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項2及び3に係る特許は、上記のとおり、本件訂正請求による訂正により削除された。これにより、特許異議申立人黒崎惇子による特許異議の申立てについて、請求項2及び3に係る申立ては、申立ての対象が存在しないこととなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超純水ラインと、該超純水ラインからの超純水にpH調整剤及び酸化還元電位調整剤を添加して一定濃度の洗浄水を製造する洗浄水製造部を有する洗浄水供給装置において、
該洗浄水製造部から該洗浄水を洗浄機に供給する洗浄水ラインと、
該洗浄水ラインからの余剰洗浄水から溶質を除去する除去部とを備える洗浄水供給装置っであって、
該洗浄機は、多数のバルブが不規則に開閉する多チャンバー枚葉式洗浄機であり、
該洗浄機に供給される該洗浄水量は変動するものであり、
該除去部は、イオン交換装置及び白金族触媒装置を備え、
前記洗浄水製造部は、前記超純水ラインに超純水を定量供給する手段と、超純水に対し溶質を定量供給する手段とを有し、
前記洗浄水ラインに複数の洗浄機が接続されており、前記洗浄水製造部は、すべての洗浄機の最大使用量の合計よりも多量の洗浄水を製造可能であり、
該洗浄水製造部2から該洗浄水ライン3へ供給される洗浄水量は、各洗浄機5A?5Nに供給される洗浄水量の最大量の合計量の120%以上であり、
該洗浄機5A,5B,………5Nへは、それぞれ、該洗浄水ライン3から分岐配管7、配管10を介して洗浄水が供給され、該配管10からはリターン配管11が分岐しており、該リターン配管11の末端側は該洗浄水ライン3に接続されていることを特徴とする洗浄水供給装置。
【請求項2】(削除)
【請求項3】(削除)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-12-21 
出願番号 特願2017-80626(P2017-80626)
審決分類 P 1 651・ 572- YAA (H01L)
P 1 651・ 121- YAA (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 堀江 義隆  
特許庁審判長 加藤 浩一
特許庁審判官 恩田 春香
小田 浩
登録日 2019-02-15 
登録番号 特許第6477771号(P6477771)
権利者 栗田工業株式会社
発明の名称 洗浄水供給装置  
代理人 重野 剛  
代理人 重野 隆之  
代理人 重野 隆之  
代理人 重野 剛  

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