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審決分類 |
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 H04L 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04L |
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管理番号 | 1371982 |
審判番号 | 不服2020-4794 |
総通号数 | 257 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-05-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-04-08 |
確定日 | 2021-03-10 |
事件の表示 | 特願2017-525852「共有無線周波数スペクトル帯域中のバースト的干渉を扱うための技法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 5月19日国際公開,WO2016/077603,平成30年 2月 1日国内公表,特表2018-503285〕について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は,2015年11月12日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年11月14日 米国,2015年3月17日 米国,2015年11月11日 米国)を国際出願日とする出願であって,令和元年8月19日付けで拒絶理由が通知され,令和元年11月26日に手続補正がなされ,令和元年12月2日付けで拒絶査定がされ,令和2年4月8日に審判請求がされると同時に手続補正がなされたものである。 2.令和2年4月8日の手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 令和2年4月8日の手続補正を却下する。 [理由] 2-1.本件補正の目的 令和2年4月8日の手続補正(以下,「本件補正」という。)により,特許請求の範囲の請求項1は, 「第1の無線アクセス技術(RAT)上で動作するユーザ機器(UE)において,基地局からダウンリンク送信を受信することと, 前記UEにおいて,前記UEが前記ダウンリンク送信の少なくとも一部分中にバースト的干渉にさらされていると決定することと,ここにおいて,前記バースト的干渉は,共有無線周波数スペクトル帯域中で第2のRAT上で動作する第2のデバイスからのものであり,前記第1のRATと前記第2のRATとは,異なる, 前記バースト的干渉に少なくとも部分的に基づいて,前記基地局への前記UEによるフィードバックメッセージ報告を変更することと,ここにおいて,前記変更することは,1つよりも多くのダウンリンク送信が前記バースト的干渉の1つよりも多くのインスタンスにさらされていると決定することに少なくとも部分的に基づいて,前記バースト的干渉のパターンを備えるフィードバックメッセージを送信することを備える, を備える,ワイヤレス通信のための方法。」(以下,「補正前発明」という。) から 「第1の無線アクセス技術(RAT)上で動作するユーザ機器(UE)において,基地局からダウンリンク送信を受信することと, 前記UEにおいて,前記UEが前記第1のRAT上の前記ダウンリンク送信の少なくとも一部分中にバースト的干渉にさらされていると決定することと,ここにおいて,前記バースト的干渉は,共有無線周波数スペクトル帯域中で第2のRAT上で動作する第2のデバイスからのものであり,前記第1のRATと前記第2のRATとは,異なり,前記UEが前記バースト的干渉にさらされていると決定することが, 前記バースト的干渉の少なくとも1つのパラメータを決定することを備え, ここにおいて,前記バースト的干渉の前記少なくとも1つのパラメータが,前記バースト的干渉の強度,前記バースト的干渉の持続時間,前記バースト的干渉のパターン,前記バースト的干渉の周期性,前記バースト的干渉中に含まれているプリアンブル,前記バースト的干渉に関連する送信フォーマット,または前記バースト的干渉に関連するワイヤレス規格のうちの1つまたは複数を備える, 前記バースト的干渉に少なくとも部分的に基づいて,前記基地局への前記UEによるフィードバックメッセージ報告を変更することと,ここにおいて,前記変更することは,前記ダウンリンク送信が前記バースト的干渉にさらされていると決定することに少なくとも部分的に基づいて,前記バースト的干渉の少なくとも1つの前記決定されたパラメータを備えるフィードバックメッセージを送信することを備える, を備える,ワイヤレス通信のための方法。」(以下,「本願補正発明」という。下線は請求人により付されたもの。) と補正された。 上記補正は, (1)「前記ダウンリンク送信」が「前記第1のRAT上の前記ダウンリンク送信」であることに限定するもの (2)「前記UEが前記バースト的干渉にさらされていると決定すること」が,「前記バースト的干渉の少なくとも1つのパラメータを決定することを備え, ここにおいて,前記バースト的干渉の前記少なくとも1つのパラメータが,前記バースト的干渉の強度,前記バースト的干渉の持続時間,前記バースト的干渉のパターン,前記バースト的干渉の周期性,前記バースト的干渉中に含まれているプリアンブル,前記バースト的干渉に関連する送信フォーマット,または前記バースト的干渉に関連するワイヤレス規格のうちの1つまたは複数を備える,」ものであることに限定するもの (3)「前記バースト的干渉に少なくとも部分的に基づいて,前記基地局への前記UEによるフィードバックメッセージ報告を変更することと,ここにおいて,前記変更することは,1つよりも多くのダウンリンク送信が前記バースト的干渉の1つよりも多くのインスタンスにさらされていると決定することに少なくとも部分的に基づいて,前記バースト的干渉のパターンを備えるフィードバックメッセージを送信することを備える」ことについては,拒絶査定の「拒絶の理由C」として記載したように,明瞭でない記載であり,その明瞭でない記載を「前記バースト的干渉に少なくとも部分的に基づいて,前記基地局への前記UEによるフィードバックメッセージ報告を変更することと,ここにおいて,前記変更することは,前記ダウンリンク送信が前記バースト的干渉にさらされていると決定することに少なくとも部分的に基づいて,前記バースト的干渉の少なくとも1つの前記決定されたパラメータを備えるフィードバックメッセージを送信することを備える」と明瞭にしたもの であるから,限定的減縮あるいは明瞭でない記載の釈明に該当する。 そこで,本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。 2-2.引用例記載の発明 原査定の拒絶の理由に引用された,国際公開第2013/177184号(以下,「引用例1」という。当審訳として,ファミリ文献の特表2015-525024号公報を参考にする。下線は当審が付与した。)には, 「[0002] The present disclosure relates generally to communication systems, and more particularly, to providing feedback for enhancing rate prediction in the presence of bursty interference.」 (当審訳: [0002]本開示は,一般に通信システムに関し,より詳細には,バースト的干渉の存在下でのレート予測を向上させるためのフィードバックを与えることに関する。) 「[0025] FIG.1 is a diagram illustrating an LTE network architecture 100. The LTE network architecture 100 may be referred to as an Evolved Packet System (EPS) 100. The EPS 100 may include one or more user equipment (UE) 102, an Evolved UMTS Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN) 104, an Evolved Packet Core (EPC) 110, a Home Subscriber Server (HSS) 120, and an Operator's Internet Protocol (IP) Services 122. The EPS can interconnect with other access networks, but for simplicity those entities/interfaces are not shown. As shown, the EPS provides packet-switched services, however, as those skilled in the art will readily appreciate, the various concepts presented throughout this disclosure may be extended to networks providing circuit- switched services. [0026] The E-UTRAN includes the evolved Node B (eNB) 106 and other eNBs 108. The eNB 106 provides user and control planes protocol terminations toward the UE 102. The eNB 106 may be connected to the other eNBs 108 via a backhaul (e.g., an X2 interface). The eNB 106 may also be referred to as a base station, a Node B, an access point, a base transceiver station, a radio base station, a radio transceiver, a transceiver function, a basic service set (BSS), an extended service set (ESS), or some other suitable terminology. The eNB 106 provides an access point to the EPC 110 for a UE 102. Examples of UEs 102 include a cellular phone, a smart phone, a session initiation protocol (SIP) phone, a laptop, a personal digital assistant (PDA), a satellite radio, a global positioning system, a multimedia device, a video device, a digital audio player (e.g., MP3 player), a camera, a game console, a tablet, or any other similar functioning device. The UE 102 may also be referred to by those skilled in the art as a mobile station, a subscriber station, a mobile unit, a subscriber unit, a wireless unit, a remote unit, a mobile device, a wireless device, a wireless communications device, a remote device, a mobile subscriber station, an access terminal, a mobile terminal, a wireless terminal, a remote terminal, a handset, a user agent, a mobile client, a client, or some other suitable terminology.」 (当審訳: [0025]図1は,LTEネットワークアーキテクチャ100を示す図である。LTEネットワークアーキテクチャ100は発展型パケットシステム(EPS:Evolved Packet System)100と呼ばれることがある。EPS100は,1つまたは複数のユーザ機器(UE)102と,発展型UMTS地上波無線アクセスネットワーク(E-UTRAN:Evolved UMTS Terrestrial Radio Access Network)104と,発展型パケットコア(EPC:Evolved Packet Core)110と,ホーム加入者サーバ(HSS:Home Subscriber Server)120と,事業者のインターネットプロトコル(IP)サービス122とを含み得る。EPSは他のアクセスネットワークと相互接続することができるが,簡単のために,それらのエンティティ/インターフェースは図示されていない。図示のように,EPSはパケット交換サービスを提供するが,当業者なら容易に諒解するように,本開示全体にわたって提示する様々な概念は,回線交換サービスを提供するネットワークに拡張され得る。 [0026]E-UTRANは,発展型ノードB(eNB)106と他のeNB108とを含む。eNB106は,UE102に対してユーザプレーンプロトコル終端と制御プレーンプロトコル終端とを与える。eNB106は,バックホール(たとえば,X2インターフェース)を介して他のeNB108に接続され得る。eNB106はまた,基地局,ノードB,アクセスポイント,トランシーバ基地局,無線基地局,無線トランシーバ,トランシーバ機能,基本サービスセット(BSS:basic service set),拡張サービスセット(ESS:extended service set),または何らかの他の好適な用語で呼ばれることがある。eNB106は,UE102にEPC110へのアクセスポイントを与える。UE102の例としては,セルラーフォン,スマートフォン,セッション開始プロトコル(SIP:session initiation protocol)電話,ラップトップ,携帯情報端末(PDA),衛星無線,全地球測位システム,マルチメディアデバイス,ビデオデバイス,デジタルオーディオプレーヤ(たとえば,MP3プレーヤ),カメラ,ゲーム機,タブレット,または任意の他の同様の機能デバイスがある。UE102は,当業者によって,移動局,加入者局,モバイルユニット,加入者ユニット,ワイヤレスユニット,リモートユニット,モバイルデバイス,ワイヤレスデバイス,ワイヤレス通信デバイス,リモートデバイス,モバイル加入者局,アクセス端末,モバイル端末,ワイヤレス端末,リモート端末,ハンドセット,ユーザエージェント,モバイルクライアント,クライアント,または何らかの他の好適な用語で呼ばれることもある。) 「[0054] In an aspect, scenarios where bursty interference is present may include: 1) UE-UE interference; 2) heterogeneous networks with range expansion; 3) partial loading; and 4) coexistence with other technologies, for example. In the scenario involving UE-UE interference, operators in neighboring LTE TDD carriers may use different TDD configurations. UEs of an operator may see significant interference on downlink subframes that are uplink subframes of a neighboring operator if a UE of the neighboring operator is nearby. The interference may be bursty because the interference depends on whether the neighboring UE is transmitting. Also, the interference may only impact a subset of subframes since downlink subframes of the neighboring operator are not impacted. The eNB may know of the subframes which can see, and cannot see, the interference if the eNB is aware of the TDD configuration of the neighboring operator.」 (当審訳: [0054]一態様では,バースト的干渉が存在するシナリオは,たとえば,1)UE間干渉,2)範囲拡大を伴う異種ネットワーク,3)部分ローディング,および4)他の技術との共存を含み得る。UE間干渉を伴うシナリオでは,近隣LTE TDDキャリアにおける事業者は異なるTDD構成を使用し得る。事業者のUEは,近隣事業者のUEが近くにある場合,近隣事業者のアップリンクサブフレームであるダウンリンクサブフレーム上で著しい干渉を経験し得る。干渉は,近隣UEが送信しているかどうかに依存するので,干渉はバースト的であり得る。また,近隣事業者のダウンリンクサブフレームは影響を受けないので,干渉はサブフレームのサブセットにのみ影響を及ぼし得る。eNBは,eNBが近隣事業者のTDD構成に気づいている場合,干渉を経験し得るサブフレームと,干渉を経験し得ないサブフレームについて知り得る。) 「[0057] In the scenario involving coexistence with other technologies, the UE may have multiple capabilities, such as Bluetooth, LTE, and Wi-Fi, for example. Moreover, all of these capabilities may be active at the same time. Thus, the active multiple capabilities crossing different technologies, may cause interference with each other. The interference may be bursty because the interference depends on the traffic conditions of each technology. [0058] In an aspect, when the UE receives a packet from the eNB, the UE may send a positive acknowledgment (ACK) to the eNB when the UE completely decodes the packet based on the MCS determined for the packet by the eNB. When the UE is not able to completely decode the packet, the UE may send a negative acknowledgment (NACK) to the eNB. Based on ACK or NACK, the eNB is informed of whether the UE has completely decoded the transmitted packet, and may retransmit the packet accordingly. However, although ACK/NACK may be received by the eNB, when the UE does not completely decode the transmitted packet, the eNB is still unaware of any specific additional information needed by the UE for completely decoding the packet. Accordingly, a mechanism is desired for informing the eNB of additional information needed by the UE for decoding a packet transmitted from the eNB. [0059] The additional information reported to the eNB may be a channel and/or interference condition related to a currently transmitted packet or a previously transmitted packet (e.g., SNR). Alternatively, the additional information reported to the eNB may be an amount of the packet decoded during the initial attempt to decode. Upon the eNB receiving the additional information from the UE, the eNB may optimize the packet by assigning a different MCS to the packet according to the received information. Thereafter, the eNB may retransmit the optimized packet to the UE. [0060] In an aspect, the additional information reported to the eNB may be referred to as data CQI (DCQI). Hence, the UE may report the DCQI corresponding to allocated data in addition to ACK/NACK. A DCQI report may correspond to resource blocks on which data is allocated and may correspond to a scheme that is used for the data transmission. The DCQI may correspond to a worst CQI seen by different code blocks. The DCQI may be configured per UE using UE-specific signaling, or be enabled for a cell using cell-specific signaling. DCQI reporting may be enabled for UEs seeing, or expecting to see, bursty interference. The DCQI may be enabled/disabled by an RRC configuration message, or enabled more dynamically by being included in a downlink grant. The DCQI may be triggered when a packet is not completely decoded; otherwise, if completely decoded, ACK may be sent. The transmission of DCQI may be limited to a subset of downlink subframes (e.g., subframes that are likely to see bursty interference, or one of a set of subframes used with dual CQI). The DCQI corresponding to a downlink subframe may be sent on an uplink subframe that would have been used to send ACK. DCQI reports may be sent in addition to dual CQI/regular CQI reports. Moreover, one DCQI report may be sent for multiple subframes.」 (当審訳: [0057]他の技術との共存を伴うシナリオでは,UEは,たとえば,Bluetooth(登録商標),LTE,およびWi-Fiなど,複数の機能を有し得る。その上,これらの機能のすべては同時にアクティブであり得る。したがって,異なる技術をまたぐアクティブな複数の機能は,互いとの干渉を生じ得る。干渉は各技術のトラフィック状態に依存するので,干渉はバースト的であり得る。 [0058]一態様では,UEがeNBからパケットを受信すると,UEは,eNBによってパケットについて決定されたMCSに基づいてUEがパケットを完全に復号したとき,eNBに肯定応答(ACK)を送り得る。UEがパケットを完全には復号することが可能でないとき,UEはeNBに否定応答(NACK)を送り得る。ACKまたはNACKに基づいて,eNBは,UEが送信されたパケットを完全に復号したかどうかについて通知され,それに応じてパケットを再送信し得る。しかしながら,ACK/NACKがeNBによって受信され得るが,UEが,送信されたパケットを完全には復号しないとき,eNBは,パケットを完全に復号するためにUEによって必要とされる特定の追加情報に依然として気づいていない。したがって,eNBから送信されたパケットを復号するためにUEによって必要とされる追加情報についてeNBに通知するための機構が望まれる。 [0059]eNBに報告される追加情報は,現在送信されるパケットまたは前に送信されたパケットに関係するチャネル状態および/または干渉状態(たとえば,SNR)であり得る。代替的に,eNBに報告される追加情報は,復号する初期試み中に復号されるパケットの量であり得る。eNBがUEから追加情報を受信すると,eNBは,受信された情報に従ってパケットに異なるMCSを割り当てることによってパケットを最適化し得る。その後,eNBは,最適化されたパケットをUEに再送信し得る。 [0060]一態様では,eNBに報告される追加情報はデータCQI(DCQI)と呼ばれることがある。したがって,UEは,ACK/NACKに加えて,割り振られたデータに対応するDCQIを報告し得る。DCQI報告は,データが割り振られるリソースブロックに対応し得,データ送信のために使用される方式に対応し得る。DCQIは,異なるコードブロックによって経験される最悪のCQIに対応し得る。DCQIは,UE固有シグナリングを使用してUEごとに構成され得るか,またはセル固有シグナリングを使用して1つのセルについてイネーブルされ得る。DCQI報告は,バースト的干渉を経験しているか,または経験することを予想しているUEについてイネーブルにされ得る。DCQIは,RRC構成メッセージによってイネーブル/ディセーブルにされるか,またはダウンリンク許可中に含められることによってより動的にイネーブルにされ得る。DCQIは,パケットが完全には復号されないときにトリガされ得る。そうではなく,完全に復号された場合,ACKが送られ得る。DCQIの送信は,ダウンリンクサブフレームのサブセット(たとえば,バースト的干渉を経験する可能性があるサブフレームか,またはデュアルCQIとともに使用されるサブフレームのセットのうちの1つ)に限定され得る。ダウンリンクサブフレームに対応するDCQIは,ACKを送るために使用されたであろうアップリンクサブフレーム上で送られ得る。DCQI報告は,デュアルCQI報告/通常CQI報告に加えて送られ得る。その上,1つのDCQI報告は,複数のサブフレームについて送られ得る。) 「[0065] In another aspect, a signal may be sent from the UE indicating to the eNB that high interference was observed on a particular subframe. The eNB may then avoid outer-loop adjustments for such subframes. Further, a signal may be sent from the UE to the eNB indicating an interference profile (e.g., time/frequency selectivity, level of interference, etc.) in order to help mitigate issues due to bursty interference.」 (当審訳: [0065]別の態様では,高干渉が特定のサブフレーム上で観測されたことをeNBに示す信号がUEから送られ得る。eNBは,次いで,そのようなサブフレームのための外部ループ調整を回避し得る。さらに,バースト的干渉による問題を緩和するのを助けるために,干渉プロファイル(たとえば,時間/周波数選択性,干渉レベルなど)を示す信号がUEからeNBに送られ得る。) の記載があるから,引用例1には, 「LTEネットワークアーキテクチャ100は発展型パケットシステム(EPS)100と呼ばれ, 前記EPS100は,1つまたは複数のユーザ機器(UE)102と,発展型UMTS地上波無線アクセスネットワーク(E-UTRAN)104と,発展型パケットコア(EPC)110と,ホーム加入者サーバ(HSS)120と,事業者のインターネットプロトコル(IP)サービス122とを含み, 前記E-UTRANは,発展型ノードB(eNB)106と他のeNB108とを含み,eNB106は,UE102に対してユーザプレーンプロトコル終端と制御プレーンプロトコル終端とを与え, 前記eNB106は,基地局と呼ばれ, バースト的干渉の存在下でのレート予測を向上させるためのフィードバックを与える通信システムであって, バースト的干渉が存在するシナリオは,他の技術との共存を含み得, 他の技術との共存を伴うシナリオでは,UEは,たとえば,Bluetooth(登録商標),LTE,およびWi-Fiなど,複数の機能を有し得,これらの機能のすべては同時にアクティブであり得るから,異なる技術をまたぐアクティブな複数の機能は,互いとの干渉を生じ得, UEがeNBからパケットを受信すると,UEがパケットを完全には復号することが可能でないとき,UEはeNBに否定応答(NACK)を送り得,ACKまたはNACKに基づいて,eNBは,UEが送信されたパケットを完全に復号したかどうかについて通知され,それに応じてパケットを再送信し得るが,UEが,送信されたパケットを完全には復号しないとき,eNBは,パケットを完全に復号するためにUEによって必要とされる特定の追加情報に依然として気づいていないから,eNBから送信されたパケットを復号するためにUEによって必要とされる追加情報についてeNBに通知するための機構が望まれ, eNBに報告される追加情報は,現在送信されるパケットまたは前に送信されたパケットに関係するチャネル状態および/または干渉状態であり得, 高干渉が特定のサブフレーム上で観測されたことをeNBに示す信号がUEから送られ得,さらに,バースト的干渉による問題を緩和するのを助けるために,干渉プロファイル(たとえば,時間/周波数選択性,干渉レベルなど)を示す信号がUEからeNBに送られ得る 通信システム。」 の発明が記載されている。(以下,「引用発明」という。) 2-3.本願補正発明と引用発明の対比 引用発明の通信システムにおいて,UEはeNBからパケットを受信するから,「ユーザ機器(UE)において,基地局からダウンリンク送信を受信する」といえる。 引用発明は,Bluetooth,LTE,Wi-Fiなど複数の技術がアクティブであるためにバースト的干渉を生じており,Bluetooth,LTE,Wi-Fiはいずれも無線アクセス技術である。通信システムで使用するLTEを「第1の無線アクセス技術(RAT)」と称し,すなわち,UEが「第1の無線アクセス技術(RAT)上で動作するユーザ機器(UE)」であり,その他のBluetooth,Wi-Fiを「第2のRAT」と称することは任意であり,Bluetooth,Wi-FiはLTEと異なるから,「前記第1のRATと前記第2のRATとは,異なる」といえる。また,両方のRATがアクティブであるためにバースト干渉が生じているから,バースト的干渉が「第2のRAT上で動作する第2のデバイスからのもの」であることは明らかである。 引用発明は,UEからeNBに「干渉レベル」を示す信号を送っており,「バースト的干渉」が生じている状況における「干渉レベル」は,「バースト的干渉の1つのパラメータ」であり,「前記バースト的干渉の前記少なくとも1つのパラメータが,前記バースト的干渉の強度,前記バースト的干渉の持続時間,前記バースト的干渉のパターン,前記バースト的干渉の周期性,前記バースト的干渉中に含まれているプリアンブル,前記バースト的干渉に関連する送信フォーマット,または前記バースト的干渉に関連するワイヤレス規格のうちの1つまたは複数を備える」に含まれる。 引用発明が「干渉レベル」をUEからeNBに送信するには,UEが「干渉レベル」を「決定」していることは明らかであるから,UEにおいて,「前記バースト的干渉の少なくとも1つのパラメータを決定」しているといえる。 引用発明において送信する「干渉レベル」は「フィードバックメッセージ」であり,「干渉レベル」に応じて送信していることは自明であるから,「フィードバックメッセージ報告を変更」しているといえる。 したがって,本願補正発明と引用発明は, 「第1の無線アクセス技術(RAT)上で動作するユーザ機器(UE)において,基地局からダウンリンク送信を受信することと, 前記UEにおいて,前記UEが前記第1のRAT上の前記ダウンリンク送信の少なくとも一部分中にバースト的干渉にさらされていると決定することと,ここにおいて,前記バースト的干渉は,第2のRAT上で動作する第2のデバイスからのものであり,前記第1のRATと前記第2のRATとは,異なり,前記UEが前記バースト的干渉にさらされていると決定することが, 前記バースト的干渉の少なくとも1つのパラメータを決定することを備え, ここにおいて,前記バースト的干渉の前記少なくとも1つのパラメータが,前記バースト的干渉の強度,前記バースト的干渉の持続時間,前記バースト的干渉のパターン,前記バースト的干渉の周期性,前記バースト的干渉中に含まれているプリアンブル,前記バースト的干渉に関連する送信フォーマット,または前記バースト的干渉に関連するワイヤレス規格のうちの1つまたは複数を備える, 前記バースト的干渉に少なくとも部分的に基づいて,前記基地局への前記UEによるフィードバックメッセージ報告を変更することと,ここにおいて,前記変更することは,前記ダウンリンク送信が前記バースト的干渉にさらされていると決定することに少なくとも部分的に基づいて,前記バースト的干渉の少なくとも1つの前記決定されたパラメータを備えるフィードバックメッセージを送信することを備える, を備える,ワイヤレス通信のための方法。」 で一致し,下記の点で相違する。 本願補正発明の第2のRAT上で動作する第2のデバイスが,「共有無線周波数スペクトル帯域中で」動作するのに対し,引用発明は,どの帯域中で動作しているか記載がない点。 2-4.相違点についての検討 相違点について 本願補正発明の「共有無線周波数スペクトル帯域」とは,発明の詳細な説明【0005】に「いくつかの通信モードは,共有無線周波数スペクトル帯域中での基地局とUEとの間の通信を可能にし得る。専用(dedicated)(たとえば,認可(licensed))無線周波数スペクトル帯域を使用するセルラーネットワークにおけるデータトラフィックの増加とともに,少なくとも一部のデータトラフィックの,共有無線周波数スペクトル帯域へのオフローディングは,セルラー事業者に拡張データ送信容量のための機会を与え得る。(中略)しかしながら,共有無線周波数スペクトル帯域中の異種タイプの非協調送信(uncoordinated transmissions)は、共有無線周波数スペクトル帯域中で1つの無線技術に従って動作しているノードが、共有無線周波数スペクトル帯域中で第2の無線技術に従って動作しているノードに対する干渉(interference)を引き起こすことにつながり得る。」の記載を考慮すれば,「専用(認可)無線周波数スペクトル帯域を使用するデータトラフィックの増加によりオフローディングを行う帯域」であって,「別の無線技術に従って動作しているノードに対する干渉を引き起こす帯域」であるといえる。 一方,NTTドコモ報道発表資料2014年8月21日「アンライセンス周波数帯におけるLTE通信の実験に成功」(URL:https://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/2014/08/21_00.html)に記載されるように,LTEにおいて,無線LANやBluetoothが使用するアンライセンス周波数帯を使用して通信を行うことは周知技術であり,引用発明がBluetooth,LTE,およびWi-Fiなどによる干渉が発生することを考慮すれば,引用発明の「バースト的干渉」が「共有無線周波数スペクトル帯域中で」発生していること,すなわち,「第2のRAT上で動作する第2のデバイス」が「共有無線周波数スペクトル帯域中で」動作していることは当業者にとって容易に想到しうることである。 そして,本願補正発明のように構成したことによる効果も引用発明から予測できる範囲のものである。 したがって,本願補正発明は,引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものである。 2-5.むすび よって,本願補正発明は引用発明及び周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 したがって,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について 3-1.本願発明 令和2年4月8日の手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,令和元年11月26日の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される,以下のとおりのものである。(「補正前発明」に同じ。) 「第1の無線アクセス技術(RAT)上で動作するユーザ機器(UE)において,基地局からダウンリンク送信を受信することと, 前記UEにおいて,前記UEが前記ダウンリンク送信の少なくとも一部分中にバースト的干渉にさらされていると決定することと,ここにおいて,前記バースト的干渉は,共有無線周波数スペクトル帯域中で第2のRAT上で動作する第2のデバイスからのものであり,前記第1のRATと前記第2のRATとは,異なる, 前記バースト的干渉に少なくとも部分的に基づいて,前記基地局への前記UEによるフィードバックメッセージ報告を変更することと,ここにおいて,前記変更することは,1つよりも多くのダウンリンク送信が前記バースト的干渉の1つよりも多くのインスタンスにさらされていると決定することに少なくとも部分的に基づいて,前記バースト的干渉のパターンを備えるフィードバックメッセージを送信することを備える, を備える,ワイヤレス通信のための方法。」 3-2.原査定における拒絶の理由 この出願の下記の請求項1?36に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記1?4の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 1.国際公開第2014/110390号 2.国際公開第2013/177184号 3.NTT DOCOMO, Inter-operator and Inter-RAT co-existence techniques for LAA using LTE [online], 3GPP TSG RAN WG1 Meeting #78bis R1-144339, 2014年10月9日(公衆利用可能日), インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_78b/Docs/R1-144339.zip>(周知技術を示す文献) 4.LG Electronics, CSI feedback and handling interference variation in unlicensed band [online], 3GPP TSG RAN WG1 Meeting #79 R1-144902, 2014年11月8日(公衆利用可能日), インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_79/Docs/R1-144902.zip>(周知技術を示す文献) 3-3.引用例記載の発明 引用発明は,「2-2.引用例記載の発明」に記載したとおりである。 3-4.本願発明と引用発明の対比と検討 本願発明は,2-1.(3)に記載した明瞭でない記載はあるものの,前記2.で検討した本願補正発明において, (1)「前記ダウンリンク送信」が「前記第1のRAT上の前記ダウンリンク送信」であること (2)「前記UEが前記バースト的干渉にさらされていると決定すること」が,「前記バースト的干渉の少なくとも1つのパラメータを決定することを備え, ここにおいて,前記バースト的干渉の前記少なくとも1つのパラメータが,前記バースト的干渉の強度,前記バースト的干渉の持続時間,前記バースト的干渉のパターン,前記バースト的干渉の周期性,前記バースト的干渉中に含まれているプリアンブル,前記バースト的干渉に関連する送信フォーマット,または前記バースト的干渉に関連するワイヤレス規格のうちの1つまたは複数を備える,」ものであること に限定しないものである。 そうすると,本願発明の構成要件をすべて含み,さらに構成要件を限定した本願補正発明が,前記2-3.および2-4.に記載したとおり,引用発明及び周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も同様の理由により,引用発明及び周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものである。 4.まとめ 以上のとおり,本願発明は,引用発明及び周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって,本願は他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,拒絶すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2020-10-01 |
結審通知日 | 2020-10-06 |
審決日 | 2020-10-22 |
出願番号 | 特願2017-525852(P2017-525852) |
審決分類 |
P
1
8・
57-
Z
(H04L)
P 1 8・ 121- Z (H04L) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 川口 貴裕 |
特許庁審判長 |
佐藤 智康 |
特許庁審判官 |
谷岡 佳彦 吉田 隆之 |
発明の名称 | 共有無線周波数スペクトル帯域中のバースト的干渉を扱うための技法 |
代理人 | 岡田 貴志 |
代理人 | 井関 守三 |
代理人 | 蔵田 昌俊 |