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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1372079
審判番号 不服2020-5728  
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-04-27 
確定日 2021-03-11 
事件の表示 特願2019- 31130「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 5月16日出願公開、特開2019- 72619〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件に係る出願(以下「本願」という。)は、平成31年2月25日の出願であって、令和1年9月3日付けで拒絶の理由が通知され、同年11月8日に意見書が提出され、令和2年1月29日付け(送達日:同年2月4日)で拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、これに対し、同年4月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1及び2に係る発明は、願書に最初に添付された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項によって特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである(なお、記号AないしEは、分説するため合議体が付した。)。
「A 主表示装置と、
B 前記主表示装置の手前側に設けられ、画像が表示されていない部分が光透過性を有する副表示装置と、
C 演出時における発光部の光量を、遊技者の任意で増減させることが可能な光量調整機能と、
を備え、
D 前記光量調整機能により光量の調整がなされる際、光量の増減に伴って、前記副表示装置に表示される補助画像の明るさが変化する
E ことを特徴とする遊技機。」

第3 拒絶査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、概略、次のとおりである。
(進歩性)この出願の請求項1及び2に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.特開2016-116586号公報
2.特開2018-175997号公報(周知技術を示す文献)
3.特開2017-64274号公報(周知技術を示す文献)

第4 引用例の記載、引用発明及び周知技術
1 引用例
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2016-116586号公報(平成28年6月30日公開)(以下「引用例」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。なお、下線は合議体が付した。以下同じ。
(1)「【実施例1】
【0015】
まず、本発明の遊技機の一例であるパチンコ遊技機の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。尚、以下の説明において、図1の手前側(遊技者側)をパチンコ遊技機1の前面側(前方側)、奥側(内方側)を背面側(後方側)として説明する。尚、本実施例におけるパチンコ遊技機1の前面とは、遊技者側からパチンコ遊技機1を見たときに該遊技者と対向する対向面である。
【0016】
パチンコ遊技機1は、縦長の方形状に形成された外枠100と、外枠100に開閉可能に取り付けられた前面枠101と、で主に構成されている。前面枠101の前面には、ガラス扉枠102及び下扉枠103がそれぞれ一側を中心に開閉可能に設けられている。
・・・略・・・
【0021】
ガラス扉枠102の背面には、前面枠101に対して着脱可能に取り付けられた遊技盤6が配置されている。尚、遊技盤6は、それを構成する板状体と、その板状体に取り付けられた種々の部品とを含む構造体である。また、遊技盤6の前面には遊技領域7が形成されている。
【0022】
遊技領域7の中央付近には、それぞれが演出用の演出図柄(演出図柄ともいう)を変動(可変)表示する複数の変動表示領域を含む演出表示装置(演出図柄表示装置)9が、遊技盤6に設けられた開口を介して目視できるように、該遊技盤6の背面に設けられている。
【0023】
また、演出表示装置9は、図8に示すように、遊技盤6から所定距離奥側(後方側)に配置されており、この演出表示装置9の前面側(前方側)には、演出表示装置9の表示と連携されるエフェクト画像が表示される導光板ユニット11が配置されている。なお、導光板ユニット11は、演出表示装置9と同様に遊技盤6よりも背面側に配置されているが、演出表示装置9と導光板ユニット11とは、所定距離K1の間隔を空けて離間配置されている。更に、遊技者の視点位置は、導光板ユニット11の前方側に所定距離K2の間隔を空けた位置とする。」

(2)「【0081】
次に、導光板ユニット11の構造について図9から図11を参照して詳述する。図9に示すように、導光板ユニット11は、前述した演出表示装置9の表示画面と略同一寸法をなし、該演出表示装置9の表示画面を覆うことができる四角形状をなすユニットである。図10に示すように、導光板ユニット11は、光を透過可能な透光性を有する第1導光板11a及び第2導光板11bを有している。この各導光板11a,11bは、前後に重畳して配置されており、該導光板11a,11bを介して演出表示装置9の表示画面を前面側から視認することができる。
【0082】
なお、本実施例では、第1導光板11aが前面側に配置され、第2導光板11bが背面側に配置されているが、両導光板11a,11bの離間距離は数ミリ程度となっており、各導光板11a,11bから演出表示装置9の表示画面までの所定距離K1は略同一であるとして以下に説明する。
【0083】
また、図10及び図11に示すように、導光板ユニット11は、各導光板11a,11bの端面に光を入射可能に設けられる発光体としての表示用LED62a,62bと、各導光板11a,11bの背面に所定の画像(静止画像)を表す態様にて設けられ、各導光板11a,11bの端面から内部に入射された表示用LED62a,62bからの入射光を誘導して前面から出射させることで画像を表示する反射部510,511と、各導光板11a,11bと表示用LED62a,62bとの間に配置され、該表示用LED62a,62bからの入射光を各導光板11a,11b側に誘導しながら板厚方向に集光して各導光板11a,11bの端面に向けて出射する前レンズ507a及び後レンズ507bと、非透光性を有する合成樹脂材により四角枠状に形成されたフレーム枠体504と、から主に構成されている。
・・・略・・・
【0088】
図10に示すように、第1導光板11a及び第2導光板11bは、所定の前後幅寸法(板厚(例えば、5mm))を有するアクリルやポリカーボネートなどの透明な合成樹脂板により正面視で横長の長方形状に形成されている。尚、導光板11a,11bは、透光性を有していれば必ずしも透明でなくても良く、例えば、着色されていても良いし、半透明とされていても良い。なお、導光板ユニット11に代えて、透光性を有する表示手段(たとえば、透過型の液晶表示装置など)を用いてもよい。
【0089】
なお、第1導光板11aの背面には、表示用LED62aからの光を反射して前面から出射させるための反射部510が形成されている。この第1導光板11aには、図22(a)に示す第1画像(星の画像)が反射部510として形成されている。
【0090】
また、第2導光板11bの背面には、表示用LED62bからの光を反射して前面から出射させるための反射部511が形成されている。この第2導光板11bには、図22(b)に示す第2画像(稲妻の画像)が反射部511として形成されている。
【0091】
これら反射部510,511は、第1導光板11aと第2導光板11bとがフレーム枠体504に差し込まれた状態で前後に重畳する位置に配置される。
【0092】
これら反射部510,511は、導光板11a,11b内を導光される光の進行方向の断面視が一定ピッチの略三角波形状をなす凹凸状態(粗面)に形成されている。具体的には、スタンパーやインジェクションにより導光板11a,11bの背面に凹凸部をつける成型方式にて構成されているが、例えばアクリル板に白色インクで反射ドットを印刷したシルク印刷方式や、アクリル板と反射板とをドット状の粘着材で貼り付けた貼着ドット方式や、溝加工方式等により反射部を構成しても良い。
【0093】
尚、本実施例では、導光板11a,11bの背面における反射部510,511を光の進行方向の断面視が略三角波形状の凹凸部としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら反射部510,511の断面形状を略半円形状等、光を前面に向けて反射可能な反射面を構成するものであれば種々に変形可能である。尚、これら反射部510,511は枠線で囲まれた絵柄の画像として表されているが、実際には枠線はなく、上記ドット等の集まりにより絵柄の画像が形成されている。
【0094】
また、本実施例では、導光板11a,11bにより表示可能とする表示情報として、絵柄が例示されているが、これら以外にも、文字、記号、図柄、あるいは模様等の装飾も含む他の表示情報を表示可能としても良い。
【0095】
また、上フレーム504dの上面開口には、表示用LED62a,62bが下面に設けられたLED基板514が嵌合されている。このLED基板514を配置することで、上フレーム504dに形成された前後のレンズ溝512a,512bの上面開口に表示用LED62a,62bが対向して配置される。なお、レンズ溝512a,512bには、前レンズ507a及び後レンズ507bが配置される。
【0096】
各表示用LED62a,62bから出射された出射光は、レンズ507a,507bの上端面に入射される。ここで、レンズ507a,507bの上端面の前後幅寸法L2と発光面の前後幅寸法L4とはほぼ同寸であるため(L2≒L4)、各表示用LED62a,62bからの出射光は、前後方向に拡散せずにほぼ上端面に入射される(図11の部分拡大図参照)。
【0097】
レンズ507a,507bの上端面からレンズ507a,507bの内に入射された入射光は、下方の導光板11a,11bに向けて誘導される。LEDの光は指向性が高いが、レンズ507a,507bの上端面を通して入射されることで、入射光は左右方向に放射状に拡散される。そして、レンズ面として形成された下端面を通過する際に、鉛直下方に向けて屈折して出射されるようになっている(図11の部分拡大図参照)。
【0098】
これにより、指向性が高い表示用LED62a,62bからの出射光を、レンズ507a,507bによりある程度左右方向に放射状に拡散させて発光領域を広げることが可能となるとともに、下端面から出射される光は鉛直下方に導光されて放射状に拡がることはないので、各表示用LED62a,62bに対応する鉛直下方領域のみを部分的に発光させることが可能となる。
【0099】
また、入射光は、下方の導光板11a,11bに向けて誘導されながら、前後(板厚)方向に全反射を繰り返し、該前後方向の略中央位置に向けて集光される。このように、表示用LED62a,62bからの光を前後幅(板厚)方向に拡散させることなく集光して導光板11a,11bの上端面に導くことができる。
【0100】
そして、入射光が反射部510,511に到達したときに、この反射部510,511により入射光が前面側に向けて反射されることで、遊技者からは、それぞれの反射部510,511に対応する箇所が反射光により発光されることで、所定の絵柄等の画像が表示されるようになる。
【0101】
なお、前列側の表示用LED62aを点灯させた場合は、第1導光板11aの第1画像(図22(a))が表示され、後列側の表示用LED62bを点灯させた場合は、第2導光板11bの第2画像(図22(b))が表示される。更に、前列側の表示用LED62aと後列側の表示用LED62aとを同時に点灯させることで、各導光板11a,11bの画像(第1画像と第2画像)を同時に表示させることもできる(図22(c))。」

(3)「【図22】




(4)「【0225】
図20は、図19に示された演出制御プロセス処理における演出図柄変動開始処理(ステップS801)を示すフローチャートである。演出図柄変動開始処理において、CPU86は、まず、変動パターンコマンド格納領域から変動パターンコマンドを読み出す(ステップS821)。尚、変動パターンコマンド格納領域には、主基板31から受信した変動パターンを特定可能な変動パターンコマンドが格納されている。次いで、変動表示結果指定コマンド格納領域に格納されているデータ(すなわち、受信した変動表示結果指定コマンド)に応じて演出図柄の表示結果(停止図柄)を決定する(ステップS822)。この場合、CPU86は、変動表示結果指定コマンドで指定される表示結果に応じた演出図柄の停止図柄を決定し、決定した演出図柄の停止図柄を示すデータを演出図柄表示結果格納領域に格納する。
・・・略・・・
【0228】
そして、ステップS823に進み、予告演出を実施するか否かとともに、実施を決定した予告演出に関する設定を行う予告演出設定処理を実施する。
【0229】
尚、本実施例では、CPU86がステップS823において予告演出を実施すると決定すると、予告演出を第1導光板11aを用いた予告演出A、第2導光板11bを用いた予告演出B、第1導光板11a及び第2導光板11bを用いた予告演出Cのいずれかに決定する。
【0230】
予告演出Aは、図22(a)に示すように、表示用LED62aからの入射光を第1導光板11aに誘導することで、反射部510によって施された所定の画像としての第1導光板11aに多数の星が配置された画像を表示する演出であり、予告演出Bは、図22(b)に示すように、表示用LED62bからの入射光を第1導光板11aに誘導することで、反射部510によって施された所定の画像としての第2導光板11bに多数の稲妻状のパターンが配置された画像を表示する演出である。
【0231】
また、予告演出Cは、図22(b)に示すように、表示用LED62aからの入射光を第1導光板11aに誘導することで、反射部510によって施された所定の画像としての第1導光板11aに多数の星が配置されたエフェクト画像を表示するとともに、表示用LED62bからの入射光を第1導光板11aに誘導することで、反射部511によって施された所定の画像としての第2導光板11bに多数の稲妻状のパターンが配置された画像を表示する演出である。
【0232】
尚、これら各予告演出においては、導光板11の発光とともに、装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c等も、所定の点灯パターンにて点灯され、バックライト9dも点灯されることで、演出表示装置9における表示も実行される。また、装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28cは、予告演出の開始前の変動表示中や、予告演出の終了後の変動表示中においても、変動パターンに応じた態様の点灯パターンにて点灯されるとともに、大当り図柄が停止することに応じて実行されるファンファーレ演出や、大当り遊技中におけるラウンド演出や、大当り遊技の終了時に実行される大当り終了演出等においても、各演出に対応した所定の点灯パターンにて点灯される。また、バックライト9dは、パチンコ遊技機1の起動中においては、常に点灯される。
【0233】
そして、ステップS824に進んで、予告演出の実施が決定されているか否か、具体的には、ステップS823の予告演出設定処理において予告演出の実施が決定されることでセットされる予告実行決定フラグがセットされているか否かを判定する。
【0234】
予告実行決定フラグがセットされている場合には、ステップS825+に進んで、予告演出開始待ち時間を特定し、該特定した待ち時間を予告演出開始待ちタイマにセットした後、ステップS825に進む。
【0235】
尚、予告演出開始待ちタイマは演出図柄変動中処理(ステップS802)内にて実行される予告演出処理を実行する毎に-1されるようになっており、該予告演出開始待ちタイマがタイマアウトすることでステップS823において設定された予告演出が開始されるようになっている。尚、予告実行決定フラグは、予告演出開始待ちタイマがタイマアウトすることでクリアされる。」

(5)「【0330】
また、前記実施例では、演出表示装置9に設定調整画面が表示されている状態で遊技者が操作ボタン516及び操作レバー600を操作することで装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、演出表示装置9のバックライト9dから出力される光量(輝度)を遊技者設定値として調整可能とする一方で、導光板ユニット11から出力される光量は調整不可能となっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、導光板ユニット11の光量(表示用LED62a,62bから出力される光量)を、装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、演出表示装置9のバックライト9dから出力される光量とともに操作ボタン516及び操作レバー600を操作することで調整可能としても良い。
【0331】
但し、この場合は、変形例3として図39に示すように、装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、演出表示装置9のバックライト9dから出力される光量の遊技者設定値が『100%』である場合は、導光板ユニット11から出力される光量の遊技者設定値を『100%』に設定する。
【0332】
そして、操作ボタン516及び操作レバー600を操作することで装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、演出表示装置9のバックライト9dから出力される光量の遊技者設定値を『75%』に設定した場合は、導光板ユニット11から出力される光量の遊技者設定値を『90%』に設定し、操作ボタン516及び操作レバー600を操作することで装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、演出表示装置9のバックライト9dから出力される光量の遊技者設定値を『65%』に設定した場合は、導光板ユニット11から出力される光量の遊技者設定値を『80%』に設定し、操作ボタン516及び操作レバー600を操作することで装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、演出表示装置9のバックライト9dから出力される光量の遊技者設定値を『65%』に設定した場合は、導光板ユニット11から出力される光量の遊技者設定値を『80%』に設定し、操作ボタン516及び操作レバー600を操作することで装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、演出表示装置9のバックライト9dから出力される光量の遊技者設定値を『50%』に設定した場合は、導光板ユニット11から出力される光量の遊技者設定値を『75%』に設定し、操作ボタン516及び操作レバー600を操作することで装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、演出表示装置9のバックライト9dから出力される光量の遊技者設定値を『30%』に設定した場合は、導光板ユニット11から出力される光量の遊技者設定値を『60%』に設定する。尚、これら導光板ユニット11の光量設定は、前述したステップSs19aにおいて、遊技者設定値に基づいて、該遊技者設定値に対応する上記設定値(光量設定)を設定すれば良い。
【0333】
このように、導光板ユニット11の光量を、装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、演出表示装置9のバックライト9dの光量とともに操作ボタン516及び操作レバー600を操作することで遊技者が調整可能とする場合は、装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、演出表示装置9のバックライト9dの光量の変化割合よりも少ない変化割合とすることで、遊技者設定値よりも導光板ユニット11の光量が高くなるように調整されるので、装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、演出表示装置9のバックライト9dの光量調整によって、各導光板11a,11bの反射部510,511による第1画像や第2画像が視認し難くなってしまうことを防ぐことができる。
・・・略・・・
【0337】
また、前記実施例では、遊技中における所定のタイミングで演出を実行するために操作される操作レバー600及び操作ボタン516を、スピーカ27L,27R,27a,27bから出力される音量と装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、演出表示装置9のバックライト9dの光量とを設定するために使用したが、本発明はこれに限定されず、これら操作レバー600及び操作ボタン516とは個別に、スピーカ27L,27R,27a,27bから出力される音量と、装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、演出表示装置9のバックライト9dの光量とを設定するため音量・光量設定用の操作部をパチンコ遊技機1の遊技者が操作可能な位置に設け、遊技者は、該操作部を操作することで、スピーカ27L,27R,27a,27bから出力される音量と装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、演出表示装置9のバックライト9dの光量とを設定するようにしても良い。
【0338】
また、前記実施例では、大当り遊技中または小当り遊技中でなく、且つ保留記憶が存在せず演出図柄が変動していない場合に限り、遊技者が操作ボタン516を操作することで演出図柄プロセスフラグが0であり、保留記憶及び未解析コマンドが無い場合、つまり、大当り遊技中または小当り遊技中ではなく、保留記憶が存在せずに演出図柄の変動が実行されていない非遊技状態に限り、操作ボタン516を長押し操作することでスピーカ27L,27R,27a,27bから出力される音量と装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、演出表示装置9のバックライト9dから出力される光の光量を設定可能としたが、本発明はこれに限定されず、演出図柄の変動中や大当り遊技中または小当り遊技中においても、遊技者が操作ボタン516を操作することでスピーカ27L,27R,27a,27bから出力される音量と装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、演出表示装置9のバックライト9dから出力される光の光量を設定可能としてもよい。」

(6)上記(1)の「【0016】パチンコ遊技機1は、縦長の方形状に形成された外枠100と、外枠100に開閉可能に取り付けられた前面枠101と、で主に構成されている。・・・
【0021】・・・前面枠101に対して着脱可能に取り付けられた遊技盤6が配置されている。・・・
【0022】・・・演出表示装置(演出図柄表示装置)9が、遊技盤6に設けられた開口を介して目視できるように、該遊技盤6の背面に設けられている。」との記載より、
パチンコ遊技機1が、演出表示装置(演出図柄表示装置)9を備えていると認められる。

(7)上記(1)の「【0023】・・・この演出表示装置9の前面側(前方側)には、演出表示装置9の表示と連携されるエフェクト画像が表示される導光板ユニット11が配置されている。・・・」との記載、
上記(4)の「【0225】・・・演出図柄変動開始処理において、・・・
【0228】・・・ステップS823に進み、予告演出を実施するか否かとともに、実施を決定した予告演出に関する設定を行う予告演出設定処理を実施する。
【0229】・・・CPU86がステップS823において予告演出を実施すると決定すると、予告演出を第1導光板11aを用いた予告演出A、第2導光板11bを用いた予告演出B、第1導光板11a及び第2導光板11bを用いた予告演出Cのいずれかに決定する。・・・
【0232】尚、これら各予告演出においては、導光板11の発光とともに、装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c等も、所定の点灯パターンにて点灯され、バックライト9dも点灯されることで、演出表示装置9における表示も実行される。・・・
【0235】・・・予告演出開始待ちタイマは演出図柄変動中処理(ステップS802)内にて実行される予告演出処理を実行する毎に-1されるようになっており、該予告演出開始待ちタイマがタイマアウトすることでステップS823において設定された予告演出が開始されるようになっている。」との記載より、
導光板ユニット11は、演出図柄変動中の予告演出で発光するものと認められる。

(8)上記(1)ないし(7)からみて、引用例には、次の発明が記載されている。なお、aないしeについては本願発明のAないしEに概ね対応させて付与し、引用箇所の段落番号等を併記した。
「a 演出表示装置(演出図柄表示装置)9(上記(6))と、
b 演出表示装置9の前面側(前方側)に配置され、光を透過可能な透光性を有し演出表示装置9の表示画面を前面側から視認することができる第1導光板11a及び第2導光板11bを有し、各導光板11a,11bの端面に光を入射可能に設けられる発光体としての表示用LED62a,62bと、各導光板11a,11bの背面に所定の画像(静止画像)を表す態様にて設けられ、各導光板11a,11bの端面から内部に入射された表示用LED62a,62bからの入射光を誘導して前面から出射させることで画像を表示する反射部510,511と、から主に構成され、演出図柄変動中の予告演出で発光する導光板ユニット11(【0023】、【0081】、【0083】、上記(7))と、を備え、
c 導光板ユニット11の光量(表示用LED62a,62bから出力される光量)を、装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、演出表示装置9のバックライト9dから出力される光量とともに遊技者が操作ボタン516及び操作レバー600を操作することで調整可能とするものであり(【0330】)、
具体的には、操作ボタン516及び操作レバー600を操作することで装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、演出表示装置9のバックライト9dから出力される光量の遊技者設定値を『75%』に設定した場合は、導光板ユニット11から出力される光量の遊技者設定値を『90%』に設定し、
操作ボタン516及び操作レバー600を操作することで装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、演出表示装置9のバックライト9dから出力される光量の遊技者設定値を『65%』に設定した場合は、導光板ユニット11から出力される光量の遊技者設定値を『80%』に設定し、
操作ボタン516及び操作レバー600を操作することで装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、演出表示装置9のバックライト9dから出力される光量の遊技者設定値を『50%』に設定した場合は、導光板ユニット11から出力される光量の遊技者設定値を『75%』に設定し、
操作ボタン516及び操作レバー600を操作することで装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、演出表示装置9のバックライト9dから出力される光量の遊技者設定値を『30%』に設定した場合は、導光板ユニット11から出力される光量の遊技者設定値を『60%』に設定できるものであり(【0332】)、
d 演出図柄の変動中や大当り遊技中または小当り遊技中においても、装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、演出表示装置9のバックライト9dから出力される光の光量を設定可能とする(【0338】)、
e パチンコ遊技機1(【0016】)。」(以下「引用発明」という。)

2 周知例
(1)原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2018-175997号公報(平成30年11月15日公開)(以下「周知例1」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、ぱちんこ遊技機(一般的に「パチンコ機」とも称する)や回胴式遊技機(一般的に「パチスロ機」とも称する)等の遊技機に関するものである。」

イ「【2013】
また、選択画面で輝度調節が選択されると、これにより輝度調節処理(ステップS1123)が実行される。輝度調節処理では、扉枠5や遊技盤4の各装飾基板に設けられる複数のLEDの輝度を70%?100%まで5%刻みで調節できるように7段階の輝度に対応するように7つの目盛が表示され、ダイヤル操作部401の操作に応じて色付けされる目盛の表示を増減させることで扉枠5や遊技盤4の各装飾基板に設けられる複数のLEDの輝度を調節できるとともに変更後の輝度を把握することができるようになっている。また、輝度調節処理においてダイヤル操作部401が操作されると、扉枠5や遊技盤4の各装飾基板に設けられる複数のLEDの設定情報が即座に書き換えられ、扉枠5や遊技盤4の各装飾基板に設けられる複数のLEDの輝度に反映される。そして、扉枠5や遊技盤4の各装飾基板に設けられる複数のLEDの輝度の調節後に操作ユニット400の押圧操作部405を操作するか、操作ユニット400の非操作期間が所定期間(例えば2秒)に達すると設定モード割込処理が終了して設定モードを行うための画面を非表示にする。また、輝度調節処理においてもボリューム調節処理と同様に通常、ダイヤル操作部401が操作されると扉枠5や遊技盤4の各装飾基板に設けられる複数のLEDの設定情報が即座に書き換えられて、扉枠5や遊技盤4の各装飾基板に設けられる複数のLEDの輝度に反映されるようになっているため、扉枠5や遊技盤4の各装飾基板に設けられる複数のLEDの輝度を演出表示装置1600(遊技盤側液晶表示装置1900)に表示される目盛だけでなく実際に扉枠5や遊技盤4の各装飾基板に設けられる複数のLEDの明るさを見て確認しながら調節することができる。」

(2)原査定の拒絶の理由に引用文献3として引用され、本願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2017-64274号公報(平成29年4月6日公開)(以下「周知例2」という。)には、遊技機(発明の名称)に関し、次の事項が図とともに記載されている。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機やスロットマシン等の遊技機に関する。」

イ 「【0050】
輝度設定は、所定の演出においてランプ9等の発光部(発光手段)の輝度の設定値である。ここで、所定演出とは発光部から所定の光を出力する演出であり、演出制御用CPU120によって実行される。輝度設定は、遊技者によって設定される。例えば、遊技者は、画像表示装置5の表示画面に表示される輝度設定用の表示を見ながら操作部を操作して、ランプ9から出力される光量を確認しながら輝度を調節する。従って、スティックコントローラ31A等の操作部を、輝度を調節可能な調節手段として機能させることができる。本実施形態では、操作部が輝度を調節可能な調節手段である場合を説明するが、例えば、遊技者の動作を検出する、センサやテレビカメラ等の検出手段を、輝度を調節可能な調節手段として用いてもよい。遊技者によって調節された輝度は輝度設定として、例えばRAM122等の記憶部に記憶させることができる。図3において遊技者は「1」?「6」の6段階で輝度の設定が可能であるものとする。「1」は輝度が一番小さい設定値、また「6」は輝度が一番大きい設定値である。すなわち、遊技者が操作部を操作して輝度を調節することによって輝度の設定値が増減することになる。」

(3)上記(1)及び(2)からみて、次の事項が周知といえる。
「光源の光量を調整可能な遊技機において、表示装置に表示される目盛とともに、光源から出力される光量を確認しながら、光量を調整可能な遊技機。」(以下「周知技術」という。)

第5 対比
本願発明と引用発明を対比する。

1 特定事項A
引用発明の「演出表示装置(演出図柄表示装置)9」は、本願発明の「主表示装置」に相当するから、引用発明のaは、本願発明の特定事項Aに相当する。

2 特定事項B
引用発明の導光板ユニット11は、演出表示装置9(主表示装置)の前面側(手前側)に配置され、光を透過可能な透光性を有し演出表示装置9の表示画面を前面側から視認することができる第1導光板11a及び第2導光板11bを有し、各導光板11a,11bの端面に光を入射可能に設けられる発光体としての表示用LED62a,62bと、各導光板11a,11bの背面に所定の画像を表す態様にて設けられ、各導光板11a,11bの端面から内部に入射された表示用LED62a,62bからの入射光を誘導して前面から出射させることで画像を表示する反射部510,511と、から主に構成されているものである。
そうすると、引用発明の導光板ユニット11の第1導光板11a及び第2導光板11bは、反射部510,511で所定の画像を表示し、所定の画像が表示されない該反射部510,511以外の領域で光透過性を有するものである。
してみると、引用発明の「導光板ユニット11」は、本願発明の「前記主表示装置の手前側に設けられ、画像が表示されていない部分が光透過性を有する副表示装置」に相当するから、引用発明のbは、本願発明の特定事項Bに相当する。

3 特定事項C
引用発明の「『表示用LED62a,62b』、『装飾LED25a』、『ステージ装飾LED25b』、『天ランプモジュール530』、『左枠LED28b』、『右枠LED28c』又は『演出表示装置9のバックライト9d』」は、本願発明の「発光部」に相当する。
引用発明のcにおいて、導光板ユニット11の光量(表示用LED62a,62b(発光部)から出力される光量)を、装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、演出表示装置9のバックライト9d(発光部)から出力される光量とともに、遊技者が操作ボタン516及び操作レバー600を操作することで調整可能であり、引用発明のdのように、演出図柄の変動中や大当り遊技中または小当り遊技中においても、すなわち、演出時においても調整可能であるから、引用発明は、本願発明の「C 演出時における発光部の光量を、遊技者の任意で増減させることが可能な光量調整機能」を備える。

4 特定事項E
引用発明の「パチンコ遊技機1」は、本願発明の「遊技機」に相当するから、引用発明のeは、本願発明の特定事項Eに相当する。

5 上記1ないし4からみて、本願発明と引用発明とは、
「A 主表示装置と、
B 前記主表示装置の手前側に設けられ、画像が表示されていない部分が光透過性を有する副表示装置と、
C 演出時における発光部の光量を、遊技者の任意で増減させることが可能な光量調整機能と、
を備える、
E 遊技機。」である点で一致し、以下の点で相違する。

・相違点(特定事項D)
「前記光量調整機能により光量の調整がなされる際、」
本願発明では、「光量の増減に伴って、前記副表示装置に表示される補助画像の明るさが変化する」のに対し、
引用発明では、装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、演出表示装置9のバックライト9dから出力される光量とともに、導光板ユニット11(副表示装置)の光量(表示用LED62a,62bから出力される光量)を調整可能とするものの、本願発明のように、調整(光量の増減)に伴って導光板ユニット11に表示される画像(補助画像)の明るさが変化するかどうか明らかでない点。

第6 判断
1 相違点について
(1)上記第4の2(3)で示したとおり、光源の光量を調整可能な遊技機において、表示装置に表示される目盛とともに、光源から出力される光量を確認しながら、光量を調整可能なことは周知技術である。該周知技術は、本願発明の特定事項Dのうち、「前記光量調整機能により光量の調整がなされる際、光量の増減に伴って、」発光手段の「の明るさが変化する」との特定事項を備えるといえる。また、テレビやPC等の一般的なディスプレイにおいても、輝度や光量を調整する際に、ディスプレイに表示される目盛とともに、ディスプレイの実際の輝度や光量を確認しながら調整可能とすることは慣用されている。

(2)引用発明は、装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、演出表示装置9のバックライト9dから出力される光量とともに、導光板ユニット11(副表示装置)の光量、すなわち、表示用LED62a,62bから出力される光量を調整可能とするものであり、表示用LED62a,62bから出力される光量が増減すれば、導光板ユニット11の反射部510,511から出力される光量も増減し、それに伴い、反射部510,511で表示される画像(補助画像)の明るさも変化することが明らかである。

(3)引用発明において、演出図柄の変動中においても、装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、演出表示装置9のバックライト9d(以下「バックライト等」という。)から出力される光の光量を設定可能とするものであるところ、バックライト等の光量の調整とともにその光量を調整可能な導光板ユニット11が演出図柄変動中の予告演出で発光するものであるから、演出図柄変動中に、バックライト等の光量の設定とともに、導光板ユニット11の表示用LED62a,62bの光量も設定可能となすことは自明な事項である。そうすると、導光板ユニット11の表示用LED62a,62bの光量の設定を変更すれば、上記(2)で示したとおり、導光板ユニット11の反射部510,511で表示される画像(補助画像)の明るさも変化する。
そして、引用発明と周知技術とは、光源の光量を調整可能な遊技機として技術分野が共通し、光源の光量を調整可能であれば、調整した光量を実際に目視で確認可能とすることは自明な課題であり、当該課題でも、引用発明と周知技術とは共通することは明らかであるから、引用発明と周知技術に接した当業者であれば、引用発明において、周知技術を当然考慮し得るものであり、LED等の光量調整がなされる際に、導光板ユニットの明るさの変化を確認できるようにしようとする着想に至るものである。
してみると、引用発明において、導光板ユニット11の反射部510,511で表示される画像(補助画像)の明るさを確認しながら光量を調整可能とするために、光量の調整がなされる際に、光量の増減に伴って、前記反射部510,511で表示される画像(補助画像)の明るさも変化するようになすことは、当業者が周知技術に基づいて容易になし得たことである。

(4)上記(1)ないし(3)からみて、引用発明において、上記相違点に係る本願発明の特定事項のようになすことは、当業者が周知技術に基づいて適宜なし得たことである。

(5)本願発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果及び周知技術の奏する効果から、予測することができた程度のものである。

2 小括
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3 請求人の主張について
(1)請求人は、審判請求書の「(3)原査定が取り消されるべき理由」において、以下のとおり主張している。
「3-1)審査では、『拒絶理由通知書においては、一方の光量調整の目安として、他方を利用することなど記載していない。』から、出願人の主張は採用することはできないと判断されておりますが、拒絶理由通知書に記載されたことを前提とした主張でなければ、採用することができないとする根拠が不明であります。
主引用発明に対し副引用発明(周知技術)を適用することが容易であるか否かは、主引用発明や副引用発明として提示される文献等の記載に基づき判断されることが当然であって、拒絶理由通知にてなされた判断が前提となるものではありません。
令和1年11月8日付意見書にて行った出願人の主張は、これらの文献等の記載に基づくものでありますから、それを「拒絶理由通知書に記載されていない」ことを理由に退けることは誤りであります。

3-2)そもそも、令和1年9月3日付拒絶理由通知書にてなされた、主引用発明に対し副引用発明(周知技術)を適用することが容易であるとする論理構成は、『引用文献1に記載された発明において、導光板ユニットの明るさの変化を確認できるように、光量調整がなされる際、光量の増減に伴って、導光板ユニットの画像の明るさが変化するように構成することは当業者が容易に相当し得ることである。』というものであって、引用文献1の記載等が何ら参照されておらず、具体性に欠けるものであることは明らかです。
例えば、『導光板ユニットの明るさの変化を確認できるように』するという目的が記載されておりますが、このような目的(このような着想に至る根拠)が主引用文献である引用文献1のどの記載から導き出せるのか全く提示されておりません。令和1年11月8日付意見書にて記載しました通り、引用文献1記載の発明において、「導光板ユニット11」の光量の変化割合と「その他LED等」の光量の変化割合とは大きくかけ離れた状態となることは明らかです(その根拠となる段落等は同意見書参照)から、引用文献1に接した当業者が、LED等の光量調整がなされる際に、『導光板ユニットの明るさの変化を確認できるように』しようとする着想には至らないはずです(なぜ、変化割合が大きくかけ離れた二つの要素について、一方を変化させた際に、他方を確認しようとする発想に至ることが容易であるのか不明である)。本願出願人は、前記拒絶理由通知書にてなされた判断は、「導光板ユニット11」の光量の変化割合と「その他LED等」の光量の変化割合とは大きくかけ離れた状態となることが引用文献1に記載されている点が反映されていないから、前記意見書にて主張したものであります。
このように、引用文献1に記載される発明に対し、引用文献2、3に記載される技術を適用することが容易であるとする十分な動機付けとなる要因が存在しないばかりか、適用を阻害する要因があることは明らかでありますから、本願請求項1,2に係る発明は引用文献1?3の存在を理由として進歩性が否定されるものではありません。

3-3)なお、拒絶査定謄本では、『導光板ユニット11の画像についても、光量が調整される際の光量の増減に伴って、当該画像の実際の明るさが変化するように構成することは当業者が容易に相当し得ることである。』とされており、『導光板ユニットの明るさの変化を確認できるように』するという記載が取り除かれて(変更されて)おります。つまり、拒絶査定謄本における拒絶査定とする理由の記載が、前記拒絶理由通知書の記載と相違していることは明らかです。「拒絶理由通知書に記載されていない」ことを理由に本願出願人の主張を退けているにも拘わらず、拒絶査定謄本における拒絶査定とする理由の記載を、先の拒絶理由通知における記載と異ならせることは不合理であると思料致します。」

(2)上記主張について検討する。
ア 上記3-1)及び3-3)について
原査定は、「拒絶理由通知書に記載されていない」ことのみを理由にしているわけではなく、引用文献1(引用例)に記載された発明及び周知技術に基づく、通知した拒絶の理由に基づいて、総合的に進歩性を判断していることは明らかである。そして、拒絶理由通知における記載と拒絶査定における記載とで異なる記載があったとしても、通知した拒絶の理由の趣旨の範囲内で当該趣旨を変えないものであれば、不合理であるとまではいえない。

イ 上記3-2)について
引用文献1(引用例)において、「導光板ユニット11」の光量の異なり具合と「その他LED等」の光量の異なり具合とが異なることは程度問題のことであり、大きくかけ離れた状態といえるかどうかは主観的な事項にすぎず、大きくかけ離れた状態であるか否かに関する主張は、本願発明の特定事項に基づく主張ということができないから進歩性欠如を否定する根拠とはならない。そして、「その他LED等」及び「導光板ユニット11」は、「その他LED等」と「導光板ユニット11」の全体の光量を調整する際に、全体としての光量を見ながら調整するものであるから、引用文献1に接した当業者が、LED等の光量調整がなされる際に、導光板ユニットの明るさの変化を確認できるようにしようとする着想に至るものである。
してみると、上記1で示したとおり、引用発明において、周知技術を考慮することについて十分な動機付けとなる要因が存在し、引用発明において周知技術を考慮することについて阻害する要因がないから、本願発明は引用文献1(引用例)及び周知技術の存在を理由として進歩性が否定されるものである。

ウ 以上のとおり、請求人の上記主張は採用できない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、当業者が引用発明及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-12-24 
結審通知日 2021-01-05 
審決日 2021-01-19 
出願番号 特願2019-31130(P2019-31130)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 眞壁 隆一  
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 鉄 豊郎
▲高▼木 尚哉
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人上野特許事務所  

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