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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D
管理番号 1372082
審判番号 不服2020-7882  
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-06-08 
確定日 2021-03-11 
事件の表示 特願2016-69192号「合成樹脂製ボトル」拒絶査定不服審判事件〔平成29年10月 5日出願公開、特開2017-178381号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年3月30日の出願であって、令和元年8月26日付けで拒絶理由が通知され、令和元年10月25日に意見書及び手続補正書が提出され、令和2年2月28日付けで拒絶査定がされた。これに対し、令和2年6月8日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 令和2年6月8日付けの手続補正の補正却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年6月8日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について
本件補正は、令和元年10月25日の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1の
「内容物を注出する口部と、該口部の下方に連なる胴部と、胴部の下方に連なり内部の減圧に伴いボトル内部方向に変位する減圧吸収領域を有する底部と、を備える合成樹脂製ボトルであって、
前記胴部は、該胴部の中心軸線に沿う軸線方向の長さが100mm以上であるとともに凹凸が設けられていない円筒状のストレート領域を有し、
前記ストレート領域の重量が、前記減圧吸収領域の重量の11倍以上であり、
前記胴部は、前記ストレート領域の上方に位置し、上方に向かって縮径しながら前記口部まで延在する上方領域と、前記ストレート領域の下方に位置し、前記底部まで延びる下方領域とを有し、
前記ストレート領域と前記上方領域との間には環状の段差部が形成されており、前記ストレート領域と前記下方領域との間には環状溝が形成されていることを特徴とする合成樹脂製ボトル。」を
「内容物を注出する口部と、該口部の下方に連なる胴部と、該胴部の下方に連なる底部と、を備える合成樹脂製ボトルであって、
前記胴部は、
該胴部の中心軸線に沿う軸線方向の長さが100mm以上であるとともに凹凸が設けられていない円筒状のストレート領域と、
前記ストレート領域の上方に位置し、上方に向かって縮径しながら前記口部まで延在する上方領域と、
前記ストレート領域の下方に位置し、前記底部まで延びる下方領域とを有し、
前記底部は、
下端の外周縁部が接地部となる底壁部と、
当該底壁部における前記接地部の径方向内側に設けられ、内部の減圧に伴いボトル内部方向に変位する減圧吸収領域とを有し、
前記ストレート領域の重量が、前記減圧吸収領域の重量の11倍以上であり、
前記ストレート領域と前記上方領域との間には環状の段差部が形成されており、
前記ストレート領域と前記下方領域との間には環状溝が形成されており、
前記減圧吸収領域には、上方に向けて曲面状に窪む複数の凹部が径方向に沿って配設されていることを特徴とする合成樹脂製ボトル。」とする補正である。

2 特許法第17条の2第5項に適合するかについて
上記補正は、補正前の「合成樹脂製ボトル」について、「前記ストレート領域の上方に位置し、上方に向かって縮径しながら前記口部まで延在する上方領域と、前記ストレート領域の下方に位置し、前記底部まで延びる下方領域とを有」することを限定し、底部に有する「胴部の下方に連なり減圧吸収領域」について、「当該底壁部における前記接地部の径方向内側に設けられ」ること、及び「上方に向けて曲面状に窪む複数の凹部が径方向に沿って配設されている」ことを限定するものであって、この補正により、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題を変更するものでないことは明らかである。

よって、本件補正における請求項1に係る補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とするものである。

3 独立特許要件についての検討
そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反しないか)について検討する。

(1)引用例1
令和元年8月26日付けで通知した拒絶理由に引用され、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2011-79585号公報(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。
(ア)「【0001】
本発明は、一般的に、商品、特に液体商品を保持するためのプラスチック容器に関連する。より具体的には、本発明はパネルのないプラスチック容器に関連しており、その底部構造によって、該底部が真空圧を大幅に吸収することができ、上記容器の別の部分に不要な変形をもたらすこともないプラスチック容器に関連するものである。」
(イ)「【0017】
上記のように、本発明は、ホットパック充填されて室温まで冷却された後のあらゆる処理において美的および機械的一体性を維持するプラスチック容器を提供するものである。上記プラスチック容器は、底部が真空圧を大幅に吸収することを可能にする底部構造を有しており、そのため底部以外の部分に不要な変形をもたらすことがない。ガラス容器の場合、該容器は動かず、その構造は全ての圧力および力を抑制しなければならない。袋容器の場合、該容器は容易に動いて製品に適応する。本発明は、やや洗練されており、動く領域と動かない領域とを提供している。最終的には、本発明によるプラスチック容器の底部が移動または変形した後、該容器の残りの全体構造は、つぶれることなく、新たなあらゆる圧力または力を抑制する。」
(ウ)「【0024】
図1および2に示すように、本発明のプラスチック容器10は、端部12、伸長首状部14、肩領域16、胴体部18、および底部20を備えている。プラスチック容器10は、高温・低温度殺菌またはレトルトのような熱処理中に商品を保持するよう特殊に設計されている。プラスチック容器10は、上記以外の熱処理中に商品を保持するために使用してもよい。
・・・
【0026】
プラスチック容器10の端部12は、開口部または口状部22、ねじ山領域24、および支持リング26を形成する部分を備えている。開口部22は、プラスチック容器10に商品を注入することを可能にし、一方、ねじ山領域24は、図2に示す、同様のねじ蓋またはキャップ28の取り付け手段を提供している。もしくは、プラスチック容器10の端部12は、上記以外の適切な器具と係合する構成を含んでいてもよい。したがって、蓋またはキャップ28は、端部12と係合する機能を有し、好ましくはプラスチック容器10をハーメチック封止する。蓋またはキャップ28は、蓋産業では一般的なプラスチックまたは金属素材から製造され、高温・低温殺菌およびレトルトなどを含む、後に行われる熱処理に適していることが好ましい。支持リング26は、製造を通して、また製造の種々の工程において、プリフォーム(プラスチック容器10の前駆体)(不図示)を運ぶ、またはプリフォームの方向を変えるために使用してもよい。例えば、上記プリフォームは支持リング26を用いて運ばれてもよく、支持リング26は、上記プリフォームを金型内に位置決めする一助として使用されてもよい。もしくは、支持リング26は、最終消費者がプラスチック容器10を持ち運ぶために使用されてもよい。
【0027】
プラスチック容器10の首状部14は細長くなっているため、プラスチック容器10が容積要求に合わせることができる。伸長首状部14と一体的に形成され、首状部14から下方に伸びている部分は肩領域16である。肩領域16は、伸長首状部14と胴体部18との境を形成および提供している。胴体部18は、肩領域16から底部20まで下方に伸び、側壁30を有している。容器10の底部20における構成が特殊であるため、ヒートセット容器10の側壁30は、その内部に真空パネルまたはピンチグリップを備えることなく形成されており、一般的に滑らかでガラス様である。極めて軽量の容器は、底部20と共に、真空パネルおよび/またはピンチグリップを備えさせることによって形成することができる。
【0028】
一般的に胴体部18から伸びるプラスチック容器10の底部20は、一般的に、出縁32、接触リング34、および中心部36を備えている。図5および6に示すように、接触リング34は、容器10を支える支持面38に接触する底部20の一部それ自体である。このように、接触リング34は、一般的に底部20を連続的または断続的に囲む平面または接触線であってよい。底部20は、プラスチック容器10の底部を閉じ、また伸長首状部14、肩領域16、および胴体部18と共に製品を保持する機能を有する。
【0029】
プラスチック容器10は、前述した処理または別の従来のヒートセット処理に従ったヒートセットであることが好ましい。真空力を調節し、また容器10の胴体部18の真空パネルおよびピンチグリップの省略を可能にするため、本発明の底部20は斬新かつ革新的な構成を採用している。一般的に、底部20の中心部36には、中心上げ底部40および反転リング42が備えられている。さらに底部20は、反転リング42と接触リング34との境を形成している直立する周辺壁または縁44を備えている。」
(エ)「【0032】
接触リング34と反転リング42との境を構成している周辺壁または縁44は、起立壁であり、直径2.75インチ(69.85mm)の底部を有する容器の場合は、高さ約0.030インチ(0.762mm)から約0.180インチ(4.572mm)であり、直径5インチ(127mm)の底部を有する容器の場合は、高さ約0.050インチ(1.27mm)から約0.325インチ(8.255mm)であり、または上記と同様の比率を有するものである。周辺壁または縁44は、一般的に、容器10の中心縦軸50に平行であるように見える。周辺壁または縁44は、中心縦軸50に厳密に平行である必要はない。しかし、周辺壁または縁44は、接触リング34と反転リング42との間において、はっきりと識別可能な構成である点については注目すべきである。周辺壁または縁44は、接触リング34と反転リング42との境に強度を与えている。局部強度を最大にし、かつ構造的に強固な構造を形成するために、上記境は急でなければならない。この結果として得られる局所強度は、底部20における折れ曲がりに対する耐性を増加させる。
【0033】
初期形成時において、中心上げ底部40および反転リング42は、前述したような、そして図1、3、および5に示すような状態になっている。従って、成型時において、反転リング42の上部54と支持面38との間の寸法52は、反転リング42の下部58と支持面38との間の寸法56より大きいか、または等しい。充填時、製品の温度条件下および重量下において、底部20の中心部36および反転リング42はわずかに沈下するか、または支持面38に向かって下方にたわむ。その結果、寸法56はほぼゼロになる。つまり、反転リング42の下部58は、支持面38に実質的に接触する。図2、4、および6に示すように、キャッピング、密封、および冷却時において、真空力が生じる結果、中心上げ底部40および反転リング42は、真空力によって持ち上がるか、または上方に引っ張られ、容積を縮小する。この位置において、中心上げ底部40は、一般的に、その断面において円錐台形状を維持し、中心上げ底部40の上面46は、支持面38に対してほぼ平行状態となる。しかし、反転リング42は、底部20の中心部36と一体となり、事実上存在しなくなり、形状はより円錐形となる。さらに、容器10のキャッピング、密封、および冷却時において、底部20の中心部36は、図6に示すように、円錐により近い形状を呈しており、ほぼ平面であるとともに容器10の中心縦軸50に向かって上方に傾斜する面60を有する。この円錐形およびほぼ平坦な面60は、角62において、水平面または支持面38に対して約0°から約15°の角度を形成するものであってよい。寸法52が大きいほど、そして寸法56が小さいほど、より多く容積を縮小できる。」
(オ)「【0041】
上記等式において、Fはポンドでの力を表し、Aは平方インチでの面積を表す。図1に示すように、底部20の中心部36の直径は、d1として識別される。一方、胴体部18の直径はd2として識別される。引き続き図1において、肩領域16の底部から出縁32の上部に至る胴体部18の高さ、つまりプラスチック容器10の滑らかなラベル・パネル領域は、lとして識別される。前述したように、胴体部18の追加構造(例えばリブ)は補強効果を有することがよく知られている。以下の解析では、上記のような構造を持たない容器の上記部分についてのみ考慮する。」

(カ)「【0055】
【表1】



(キ)「【図1】



(ク)「【図5】


(ケ)図1より、胴体部18の上方領域は、上方に向かって縮径しながら開口部または口状部22まで延在している点が看取できる。

(2)引用例1に記載された発明
上記(1)の摘記事項を総合し、【0055】の【表1】中の「20オンス(.00059m^(3))(II)」の容器に着目すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「開口部または口状部22を形成する部分を備える端部12、伸長首状部14、肩領域16、胴体部18、および底部20を備えるプラスチック容器10であって、
肩領域16の底部から出縁32の上部に至る胴体部18のプラスチック容器10の滑らかなラベル・パネル領域は、l=4.039インチ(102.59mm)であり、
胴体部18の上方領域は、上方に向かって縮径しながら開口部または口状部22まで延在しており、
底部20は、
出縁32、接触リング34、および中心部36を備え、
底部20の中心部36には、中心上げ底部40および反転リング42が備え、
底部20の中心部36の直径d_(1)が2.4インチ(60.96mm)、底部20の厚みが15ミル、胴体部18の直径d_(2)が2.821インチ(71.65mm)、胴体部18の厚みが26ミルであるプラスチック容器10。」

(3)引用例2
本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2012-91860号公報(以下「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトルに関する。」
(イ)「【0023】
可動壁部22には、複数のリブ26がボトル軸Oを中心に放射状に配設されている。すなわち、各リブ26は、周方向に沿って等間隔に配設されている。図示の例では、リブ26は、上方に向けて曲面状に窪んだ複数の凹部26aが径方向に沿って断続的に、かつ真直ぐ延在して構成されている。これにより、リブ26は、周方向に沿う縦断面視形状が波形状に形成される。 各凹部26aは、それぞれ同形同大に形成され、径方向に沿って等間隔に配置されている。そして、複数のリブ26各々において、複数の凹部26aが配設されている径方向に沿う各位置は同じになっている。なお、各リブ26において、複数の凹部26aのうち、最も径方向の外側に位置する凹部26aは、曲面部25に径方向の内側から近接し、最も径方向内側に位置する凹部26aは、陥没周壁部23に径方向外側から近接している。」
(ウ)「【0027】
このように構成されたボトル1内が減圧すると、底壁部19の曲面部25を中心にして可動壁部22が上方に向かって回動することで、可動壁部22は、陥没周壁部23を上方に向けて持ち上げるように移動する。すなわち、減圧時にボトル1の底壁部19を積極的に変形させることで、胴部13等の変形を伴うことなく、ボトル1の内圧変化(減圧)を吸収することができる。この場合、立ち上がり周壁部21と可動壁部22との接続部分を、上方に向けて突の曲面部25に形成することで、立ち上がり周壁部21の上端部を中心にして可動壁部22を移動(回動)させ易くすることができる。そのため、ボトル1の内圧変化に応じて可動壁部22を柔軟に変形させることができる。」

(4)引用例2に記載された事項
上記(3)の摘記事項を総合すると、引用例2には、以下の事項(以下「引用例2記載事項」という。)が記載されている。

「ボトルの底壁部に設けた可動壁部において、減圧時に底壁部を積極的に変形させることで、胴部等の変形を伴うことなく、ボトルの内圧変化を吸収するために、可動壁部に、上方に向けて曲面状に窪んだ複数の凹部を径方向に沿って断続的に、かつ真直ぐ延在させて設ける点。」


(5)本願補正発明と引用発明の対比・判断
ア 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「開口部または口状部22」は、その機能及び構造から、本願補正発明の「内容物を注出する口部」に相当する。
また、引用発明の「底部20」は、胴体部18に連なる底部20上方部と、その下方連なる底部20下方部とを有することは明らかであって、当該底部20下方部は、本願補正発明の「底部」に相当し、「伸長首状部14、肩領域16、胴体部18」、および底部20の上方部は、本願補正発明の「胴部」に相当する。

(イ)引用発明の「開口部または口状部22を形成する部分を備える端部12、伸長首状部14、肩領域16、胴体部18、および底部20を備えるプラスチック容器10」ことは、開口部または口状部22を形成する部分を備える端部12、伸長首状部14、肩領域16、胴体部18、および底部20が全体として連なっていることが明らかであるから、本願補正発明の「内容物を注出する口部と、該口部の下方に連なる胴部と、該胴部の下方に連なる底部と、を備える合成樹脂製ボトル」に相当する。

(ウ)引用発明の「肩領域16の底部から出縁32の上部に至る胴体部18のプラスチック容器10の滑らかなラベル・パネル領域は、l=4.039インチ(102.59mm)であ」る態様は、引用例1の【0027】を参酌すると、胴体部18が、凹凸が設けられておらず、円筒のストレート形状であって、lが胴体部18の中心軸線に沿う軸線方向の長さと表現できるから、本願補正発明の「該胴部の中心軸線に沿う軸線方向の長さが100mm以上であるとともに凹凸が設けられていない円筒状のストレート領域」を有する態様に相当する。

(エ)引用発明の「上方に向かって縮径しながら開口部または口状部22まで延在して」いる「胴体部18の上方領域」は、上方領域が胴体部18の上方に位置していることが明らかであるから、本願補正発明の「前記ストレート領域の上方に位置し、上方に向かって縮径しながら前記口部まで延在する上方領域」に相当する。

(オ)引用発明の「底部20」中の底部20の上方部は、胴体部18の下方に位置し、底部20の下方部まで延びていることが明らかであるから、本願補正発明の「前記ストレート領域の下方に位置し、前記底部まで延びる下方領域」に相当する。

(カ)引用発明の「接触リング34、および」「中心上げ底部40および反転リング42」を備えた「中心部36」は、接触リング34が中心部36の下端の外周縁に設けられているから、本願補正発明の「下端の外周縁部が接地部となる底壁部」に相当する。

(キ)引用発明の「中心上げ底部40および反転リング42」は、「底部20の中心部36」に備えられているから、「接触リング34」の径方向内側に設けられており、引用例1の【0033】を参照すると、ボトル内部の減圧に伴いボトル内部方向に変位するものであるから、本願補正発明の「当該底壁部における前記接地部の径方向内側に設けられ、内部の減圧に伴いボトル内部方向に変位する減圧吸収領域」に相当する。

したがって、本願補正発明と引用発明とは、
「内容物を注出する口部と、該口部の下方に連なる胴部と、該胴部の下方に連なる底部と、を備える合成樹脂製ボトルであって、
前記胴部は、
該胴部の中心軸線に沿う軸線方向の長さが100mm以上であるとともに凹凸が設けられていない円筒状のストレート領域と、
前記ストレート領域の上方に位置し、上方に向かって縮径しながら前記口部まで延在する上方領域と、
前記ストレート領域の下方に位置し、前記底部まで延びる下方領域とを有し、
前記底部は、
下端の外周縁部が接地部となる底壁部と、
当該底壁部における前記接地部の径方向内側に設けられ、内部の減圧に伴いボトル内部方向に変位する減圧吸収領域とを有する合成樹脂製ボトル。」の点で一致し、以下の点で相違する。

<相違点1>
本願補正発明は、「前記ストレート領域の重量が、前記減圧吸収領域の重量の11倍以上であ」るのに対して、引用発明では、プラスチック容器10の滑らかなラベル・パネル領域l=4.039インチ(102.59mm)であり、胴体部18の直径d_(2)が2.821インチ(71.65mm)、胴体部18の厚みが26ミルであり、底部20の中心部36の直径d_(1)が2.4インチ(60.96mm)、底部20の厚みが15ミルである点。
<相違点2>
本願補正発明は、「前記ストレート領域と前記上方領域との間には環状の段差部が形成されており、
前記ストレート領域と前記下方領域との間には環状溝が形成されて」いるのに対して、引用発明では、段差部や溝が設けられていない点。
<相違点3>
本願補正発明は、「前記減圧吸収領域には、上方に向けて曲面状に窪む複数の凹部が径方向に沿って配設されている」のに対して、引用発明では、凹部が設けられていない点。

イ 当審の判断
上記相違点について検討する。
<相違点1について>
引用発明は、プラスチック容器10の滑らかなラベル・パネル領域l=4.039インチ(102.59mm)であり、、胴体部18の直径d_(2)が2.821インチ(71.65mm)、胴体部18の厚みが26ミルであり、底部20の中心部36の直径d_(1)が2.4インチ(60.96mm)、底部20の厚みが15ミルあるから、胴体部18の壁面体積は、15093mm^(3)程度であって、中心部36の壁面体積は、引用例1の【0036】の記載を参酌すると、1103mm^(3)程度であるから、胴体部18の重量は、中心部36の重量の13.7倍程度である。
したがって、相違点1は実質的な相違点でない。

<相違点2について>
合成樹脂製のボトルにおいて、ストレート領域の上下に強度向上のために環状の段差部や溝部を設けることは、周知(例えば、令和2年2月28日の拒絶査定で周知例として示した特表2012ー514566号公報の【0022】、【図2】、【図9】及び特表平6-500979号公報の7頁右下欄12行、9頁右下欄10?11行、FIG-9、FIG-17、当審で新たに提示する特開平1-124546号公報の第2図、特開平2-98536号公報の第2図参照。)である。
そして、引用発明は、底部で真空圧を大幅に吸収し、底部以外の部分の不要な変形を防止するもの(引用例1の【0017】等参照。)であって、引用例1の【0041】には、胴体部18に追加の補強を行うことも示唆されているから、引用発明において、胴体部18の上下に、補強のために段差部や溝部を適宜設けることで、相違点2に係る本願補正発明の事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

<相違点3について>
引用例2記載事項と本願補正発明とを対比すると、引用文献2記載事項の「可動壁部」、「上方に向けて曲面状に窪んだ複数の凹部」は、それぞれ本願補正発明の「減圧吸収領域」、「上方に向けて曲面状に窪む複数の凹部」に相当する。
そうすると、引用例2記載事項を本願補正発明の文言に置き換えて整理すると、引用例2には、
「減圧吸収領域において、減圧時に底壁部を積極的に変形させることで、胴部等の変形を伴うことなく、ボトルの内圧変化を吸収するために、減圧吸収領域に、上方に向けて曲面状に窪む複数の凹部が径方向に沿って配設する点。」が記載されているといえ、当該事項は、本願出願前周知の事項である。
そして、引用発明は、底部で真空圧を大幅に吸収し、底部以外の部分の不要な変形を防止するものである(引用例1の【0017】等参照。)から、引用発明において、周知の事項を適用して、相違点3に係る本願補正発明の事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

<本願補正発明の効果について>
そして、段差部や溝部を設けると段差部や溝部の一方から他方への応力伝達が緩和されることは、その構造から明らかであるから、本願補正発明の奏する効果は、引用発明及び周知の事項から、予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

ウ まとめ
したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)小括
ゆえに、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

3 むすび
以上のとおりであるから、本件補正発明は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定により違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。


第3 本願発明について
1 本願発明
令和2年6月8日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和元年10月25日の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。(上記「第2 令和2年6月8日付けの手続補正の補正却下の決定」の「1 本件補正について」の記載参照。)

2 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及び引用発明については、上記「第2 令和2年6月8日付けの手続補正の補正却下の決定」の「2 独立特許要件違反についての検討」の「(1)引用例」及び「(2)引用例に記載された発明」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、本願補正発明の「前記ストレート領域の上方に位置し、上方に向かって縮径しながら前記口部まで延在する上方領域と、前記ストレート領域の下方に位置し、前記底部まで延びる下方領域とを有」すること、「当該底壁部における前記接地部の径方向内側に設けられ」ること、及び「上方に向けて曲面状に窪む複数の凹部が径方向に沿って配設されている」ことの限定を削除するものである。
そうすると、本願発明を特定するための事項をすべて含み、更に他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2 令和2年6月8日付けの手続補正の補正却下の決定」の「2 独立特許要件違反についての検討」の「(4)本願補正発明と引用発明の対比・判断」に記載したとおりの引用発明及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


第4 まとめ
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定より特許を受けることができない。 ゆえに、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2020-12-25 
結審通知日 2021-01-05 
審決日 2021-01-19 
出願番号 特願2016-69192(P2016-69192)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉澤 秀明西山 智宏内田 茉李  
特許庁審判長 森藤 淳志
特許庁審判官 佐々木 正章
横溝 顕範
発明の名称 合成樹脂製ボトル  
代理人 杉村 光嗣  
代理人 片岡 憲一郎  
代理人 杉村 憲司  
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