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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01G
管理番号 1372084
審判番号 不服2020-8339  
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-06-16 
確定日 2021-03-11 
事件の表示 特願2016-125831「電解液及び電解コンデンサ」拒絶査定不服審判事件〔平成29年12月28日出願公開、特開2017-228738〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成28年6月24日の出願であって、その手続の経緯の概略は以下のとおりである。

令和 1年 8月26日付け :拒絶理由通知書
令和 1年11月 5日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年 3月23日付け :拒絶査定
令和 2年 6月16日 :審判請求書の提出

第2 本願発明について

本願の請求項1ないし4に係る発明は、令和1年11月5日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明という。)は次のとおりである。

「【請求項1】
誘電体酸化皮膜を有する陽極及び陰極と、前記陽極及び陰極の間に配置されたセパレータと、前記セパレータに保持された導電性高分子及び電解液とを備えた電解コンデンサに用いられる電解液であり、
ラクトンを含有した第1溶媒と、下記化学式1で表される化合物を含有した第2溶媒とを含み、
前記第1溶媒と前記第2溶媒の合計含有量100wt%に対し、第2溶媒の含有量が40wt%以上60wt%以下である電解液。
【化1】

ここで、R^(1)はC_(X)H_(2X)で表され、Xは1以上の整数であり、
nは1以上の整数であり、
R^(2),R^(3),R^(4),R^(5),R^(6)及びR^(7)はH又はC_(Y)H_(2Y+1)で表され、Yは1以上の整数である」

第3 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶理由の概要は、本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開2011-187705号公報

第4 引用文献の記載及び引用発明

1 引用文献の記載
原査定で引用された引用文献1には、図面ともに以下の事項が記載されている。(下線は、当審で付与した。)

「【請求項1】
下記一般式(1)又は(2)で示されるアルキルリン酸エステルアニオン(f)とアミジニウムカチオン(g)からなる電解質(A)、
一般式(3)で表わされるホウ酸アニオン(j)とアンモニウムカチオン(h)からなる電解質(B)、
γ-ブチロラクトン及び/又はスルホランを60?98重量%、下記の溶媒(C1)、溶媒(C2)、及び溶媒(C3)の群から選ばれる少なくとも1種の溶媒を2?40重量%含有する有機溶媒(C)を含有するアルミニウム電解コンデンサ用電解液。
溶媒(C1):炭素数2?5のアルコール
溶媒(C2):下記一般式(4)で示されるアミド類
(中略)
【0001】
本発明は、アルミニウム電解コンデンサ用電解液、およびそれを用いた電解コンデンサに関するものである。
(中略)
【0018】
本発明の電解液は、プロトン性溶媒である溶媒(C1)?(C3)を含むことで電解質(A)のアニオンであるリン酸エステルアニオンと溶媒和するため、安定に存在することを可能にし、その結果、電解液中の電解質(A)も経時的に安定である。
(中略)
【0037】
溶媒(C)は、γ-ブチロラクトン及び/又はスルホランを60?98重量%、好ましくは65?95重量%含有し、溶媒(C1)、溶媒(C2)、及び溶媒(C3)の群から選ばれる少なくとも1種の溶媒を2?40重量%、好ましくは5?35重量%含有する。この範囲外では、電解質(A)の溶媒(C)中での安定性が低下し、電解質(A)が分解してしまう可能性があるため好ましくない。
γ-ブチロラクトンとスルホランの混合溶媒の場合、その好ましい重量比率は、γ-ブチロラクトン/スルホランが好ましくは15/85?85/15、さらに好ましくは20/80?80/20である。
【0038】
<溶媒(C1)>溶媒(C1)は、炭素数2?5のアルコールである。本発明において、アルコールとは1価アルコール及び多価アルコールを含むものとする。
1価アルコール(メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミノアルコール、2-メトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコールなど)、
2価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、3-メトキシ-1,2-プロパンジオール、1,4-ブチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコールなど)、
3価アルコール(グリセリンなど)などが挙げられる。これらの中で、2価アルコールが好ましく、エチレングリコール、プロピレングリコールがさらに好ましい。4価から6価またはそれ以上のアルコール;炭素数1?5の4価から6価またはそれ以上のアルコール(ヘキシトールなど)など。
(中略)
【0049】
本発明の電解液は、アルミニウム電解コンデンサ用として好適である。アルミニウム電解コンデンサとしては、特に限定されず、例えば、捲き取り形のアルミニウム電解コンデンサであって、陽極表面に酸化アルミニウムが形成された陽極(酸化アルミニウム箔)と陰極アルミニウム箔との間に、セパレーターを介在させて捲回することにより構成されたコンデンサが挙げられる。本発明の電解液を駆動用電解液としてセパレーターに含浸し、陽陰極と共に、有底筒状のアルミニウムケースに収納した後、アルミニウムケースの開口部を封口ゴムで密閉してアルミニウム電解コンデンサを構成することができる。」

引用文献1の上記記載及び図面から、次のことがいえる。

ア 【請求項1】及び段落【0001】によれば、引用例1には、アルミニウム電解コンデンサ用の電解液が記載されている。

イ 【請求項1】、段落【0018】及び【0037】によれば、電解液は、γ-ブチロラクトンを60?98重量%、溶媒(C1)を2?40重量%含有する有機溶媒(C)を含有する。

ウ 段落【0038】によれば、溶媒(C1)は、1,4-ブチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオールのいずれかを選択できる。

エ 段落【0049】によれば、電解液は、陽極表面に酸化アルミニウムが形成された陽極(酸化アルミニウム箔)と陰極アルミニウム箔との間に、セパレーターを介在させて捲回することにより構成されたアルミニウム電解コンデンサ用として好適であることが記載されている。

したがって、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「陽極表面に酸化アルミニウムが形成された陽極(酸化アルミニウム箔)と陰極アルミニウム箔との間に、セパレーターを介在させて捲回することにより構成されたアルミニウム電解コンデンサ用の電解液であって、
γ-ブチロラクトンを60?98重量%、溶媒(C1)を2?40重量%含有する有機溶媒(C)を含有し、
溶媒(C1)は、1,4-ブチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオールのいずれかを選択できる、
アルミニウム電解コンデンサ用の電解液。」

第5 対比・判断

1 本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「酸化アルミニウム」は誘電体であって、電解コンデンサの陽極表面に皮膜状の誘電体を形成することは技術常識であるから、引用発明の「酸化アルミニウム」は本願発明の「誘電体酸化皮膜」に相当する。
してみると、引用発明の「陽極表面に酸化アルミニウムが形成された陽極(酸化アルミニウム箔)と陰極アルミニウム箔との間に、セパレーターを介在させて捲回することにより構成されたアルミニウム電解コンデンサ用の電解液」と本願発明とは、「誘電体酸化皮膜を有する陽極及び陰極と、前記陽極及び陰極の間に配置されたセパレータ及び電解液とを備えた電解コンデンサに用いられる電解液」である点で共通する。
ただし、「電解液」に関し、本願発明は「セパレータに保持された導電性高分子及び電解液を備えた電解コンデンサ」に用いられるのに対し、引用発明は「電解液を備えた電解コンデンサ」に用いられる点で相違する。

(2)本願明細書段落【0029】の「化学式1で表される化合物として、例えば、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール及びこれらの誘導体、並びに、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチルペンタン-2,4-ジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール及びこれらの誘導体が挙げられる。」との記載からすれば、本願発明の「化学式1で表される化合物」は、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオールのいずれかを含むものである。よって、引用発明の「γ-ブチロラクトンを60?98重量%、溶媒(C1)を2?40重量%含有する有機溶媒(C)を含有し、溶媒(C1)は、1,4-ブチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオールのいずれかを選択できる」ことは、本願発明の「ラクトンを含有した第1溶媒と、下記化学式1で表される化合物を含有した第2溶媒とを含」むことに相当する。
ただし、「第1溶媒」と「第2溶媒」に関し、本願発明は、「前記第1溶媒と前記第2溶媒の合計含有量100wt%に対し、第2溶媒の含有量が40wt%以上60wt%以下である」のに対し、引用発明は、その旨の特定がなされていない点で相違する。

(3)以上から、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

(一致点)
「誘電体酸化皮膜を有する陽極及び陰極と、前記陽極及び陰極の間に配置されたセパレータ及び電解液とを備えた電解コンデンサに用いられる電解液であり、
ラクトンを含有した第1溶媒と、下記化学式1で表される化合物を含有した第2溶媒とを含み、
前記第1溶媒と前記第2溶媒の合計含有量100wt%に対し、第2溶媒の含有量が40wt%以上60wt%以下である電解液。

【化1】

ここで、R^(1)はC_(X)H_(2X)で表され、Xは1以上の整数であり、
nは1以上の整数であり、
R^(2),R^(3),R^(4),R^(5),R^(6)及びR^(7)はH又はC_(Y)H_(2Y+1)で表され、Yは1以上の整数である」

(相違点1)
「電解液」に関し、本願発明は「セパレータに保持された導電性高分子及び電解液を備えた電解コンデンサ」に用いられるのに対し、引用発明は「電解液を備えた電解コンデンサ」に用いられる点で相違する。

(相違点2)
「第1溶媒」と「第2溶媒」に関し、本願発明は、「前記第1溶媒と前記第2溶媒の合計含有量100wt%に対し、第2溶媒の含有量が40wt%以上60wt%以下である」のに対し、引用発明は、その旨の特定がなされていない点で相違する。

2 上記各相違点について判断する。
(1)相違点1について
電解コンデンサにおいて、ラクトンを含有する溶媒及び2価アルコールを含有する溶媒を含む電解液と導電性高分子と併用することは、例えば、本願出願日前に頒布された刊行物である特開2003-203826号公報(段落【0016】、【0022】、【0023】を参照)、特開2006-086302号公報(段落【0004】、【0050】ないし【0055】を参照)、特開2007-235105号公報(段落【0017】、【0035】ないし【0036】を参照)、特開2015-069985号公報(段落【0011】ないし【0014】、【0026】を参照)、国際公開第2015/198546号(段落[0012]、[0014]、[0045]を参照)に記載されているように慣用的に行われている技術事項である。さらに、導電性高分子を備える場合、該導電性高分子をセパレータで保持することも慣用される構成であり当業者が適宜選択しうる事項にすぎない(例えば、上記特開2006-086302号公報の段落【0004】、特開2007-235105号公報の段落【0059】、【0060】、国際公開第2015/198546号の段落[0014]を各参照)。
よって、引用発明に慣用的に行われている技術事項を採用し、電解液を電解コンデンサに用いる際、導電性高分子も併用して、相違点に係る構成とすることは当業者が容易になし得たことである。

(2)相違点2について
本願発明の「第2溶媒の含有量が40wt%以上60wt%以下」に関し、本願明細書段落【0037】ないし【0044】および表1、表2には、難揮発性溶媒に1,4-ブタンジオール又は1,5-ペンタンジオールを、低粘性溶媒にγ-バレルラクトンをそれぞれ用いた実施例1ないし6が示されている。
しかし、化学式1で表される化合物を含有した第2溶媒の含有量の上限値40wt%、下限値60wt%の設定に関して、該上限値を上回る及び該下限値を下回ると不都合な具体例(比較例)は示されておらず、また、その技術的理由についての記載もないことから、第2溶媒の含有量の上限値を40wt%、下限値を60wt%と定めたことに格別の技術的意義(臨界的意義)は見いだせない。
さらに、引用発明は、γ-ブチロラクトンと溶媒(C1)との合計含有量100重量%に対し、溶媒(C1)を2?40重量%含有するから、引用発明の溶媒(C1)の含有量の範囲と本願発明の第2溶媒の含有量の範囲とは、「40wt%」で一致することは明らかである。
してみれば、上記相違点2は実質的な相違点とはいえない。

3 審判請求人の主張について
(1)審判請求人は審判請求書(7頁6?23行)において、
「引用文献1に記載の電解液単独で用いる電解コンデンサ用の電解液は、混合溶媒中にγ-ブチロラクトン(第1溶媒)を多量(86wt%、87wt%)に含むことによって、電解液の粘度を低下させ、電解液の電導度を高めている、つまり高電導度であることが特徴です。・・(中略)・・。
これに対し、本願発明のハイブリッド型の電解コンデンサは、導電性高分子の劣化を防止する観点から、むしろ、電解液の電導度が低いことが望まれます(例えば、定格電圧100(V)以下では、電解液単独で用いる電解コンデンサ用の電解液の電導度に対し、10分の1?100分の1の電導度にすることが好ましい)。一方、本願発明では、導電性高分子が存在するため、電解液自体の電導度が低くとも電解コンデンサ全体として所望の電導度を確保することが可能となっております。
このように、電解液単独で用いる電解コンデンサ用の電解液と、ハイブリッド型の電解コンデンサ用の電解液とでは、電導度といった特性において大きく相違し、この相違が電解液の組成に大きく関わってきます。」と主張する。
しかしながら、「電解液の電導度」に関し、何を基準にして「高い」又は「低い」と評価しているのか不明であり、本願明細書及び図面にも、該基準に関する記載も示唆も見当たらない。
そして、本願発明の「第1溶媒と前記第2溶媒の合計含有量100wt%に対し、第2溶媒の含有量が40wt%以上60wt%以下である」との規定から、低粘性溶媒であるラクトンを含有する第1溶媒の含有量も「60wt%ないし40wt%」であるといえ、引用発明の「γ-ブチロラクトン」の含有量は「60?98重量%」であるから、仮に、引用発明におけるγ-ブチロラクトンの含有量が60重量%であるものが電導度が高いのであるならば、本願発明における第1溶媒の含有量が60wt%であるものも電導度が高いといえ、請求人の「本願発明のハイブリッド型の電解コンデンサは、・・・、電解液の電導度が低いことが望まれます」「本願発明では、・・・、電解液自体の電導度が低く」との主張とは整合しない。

(2)また、審判請求人は、審判請求書(8頁2?8行)において、
「本願発明において混合溶媒(第1溶媒と第2溶媒)中の第2溶媒の含有量をいかに設定するかは、「(1)本願請求項1の発明の説明」の項で説明したように、(A)低温環境下から高温環境下まで電解コンデンサのESRの上昇を低く抑えること、かつ(B)高温高湿環境下でも電極等に含まれるアルミニウムの電解液への溶出を抑えることを両立させるために、化合物の構造的特徴も踏まえて本願発明者らが見出したもので、単に電解液の耐熱性を高めるために設定したものではありません。」と主張する。
ここで、本願明細書の表1、表2を参照すると、実施例1ないし実施例6の低粘性溶媒であるγ-バレルラクトンの含有量及び難揮発性溶媒である1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオールの含有量がそれぞれ開示されている。
しかしながら、本願明細書には、1,4-ブタンジオール又は1,5-ペンタンジオールの含有量を40wt%未満、60wt%超過する具体的な例は記載されておらず、さらに、1,4-ブタンジオール又は1,5-ペンタンジオールの含有量の下限値を40wt%、上限値を60wt%に設定する理由(下限値以下または上限値以上で起こり得る不都合な事項)も何等記載されていないことから、請求人の「本願発明において混合溶媒(第1溶媒と第2溶媒)中の第2溶媒の含有量をいかに設定するかは、・・・、(A)低温環境下から高温環境下まで電解コンデンサのESRの上昇を低く抑えること、かつ(B)高温高湿環境下でも電極等に含まれるアルミニウムの電解液への溶出を抑えることを両立させるために、化合物の構造的特徴も踏まえて本願発明者らが見出した」とは何を根拠としているのか不明である。

(3)さらに、審判請求人は審判請求書(9頁1?7行)において、
「本発明は、ラクトンを含有した第1溶媒と、上記化学式1で表される化合物を含有した第2溶媒との合計含有量100wt%に対し、第2溶媒の含有量が40wt%以上60wt%以下である電解液です。第2溶媒の含有量の範囲(40wt%以上60wt%以下)は、引用文献1の溶媒(C1)の含有量の範囲(2?40重量%)と異なります。第1溶媒の含有量の範囲(40wt%未満、60wt%超え)は、引用文献1の溶媒(C1)の含有量の範囲(60?98重量%)と異なります。」と主張する。
しかし、上記(2)で述べたように、1,4-ブタンジオール又は1,5-ペンタンジオールの含有量の下限値を40wt%、上限値を60wt%に設定する理由も何等記載されていないことから、第2溶媒の含有量の上限値を40wt%、下限値を60wt%と定めたことに格別の技術的意義(臨界的意義)は見いだせない。
そして、上記「1」「(3)」で述べたように、引用発明の溶媒(C1)の含有量の範囲と本願発明の第2溶媒の含有量の範囲とは、「40wt%」で一致することは明らかである。

(4)以上から、審判請求人の主張は採用できない。

4 まとめ
したがって、本願発明は、引用発明及び慣用的に行われている技術事項から当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2020-12-22 
結審通知日 2021-01-05 
審決日 2021-01-20 
出願番号 特願2016-125831(P2016-125831)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 多田 幸司  
特許庁審判長 酒井 朋広
特許庁審判官 山本 章裕
畑中 博幸
発明の名称 電解液及び電解コンデンサ  
代理人 特許業務法人梶・須原特許事務所  

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