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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 B65D
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D
管理番号 1372142
審判番号 不服2020-9606  
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-07-08 
確定日 2021-03-15 
事件の表示 特願2016- 64108「包装袋」拒絶査定不服審判事件〔平成29年10月 5日出願公開、特開2017-178322〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年3月28日に出願された特願2016-64108号であり、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和元年10月25日付け:拒絶理由通知書
令和元年12月23日 :意見書、手続補正書の提出
令和2年 4月14日付け:拒絶査定
令和2年 7月 8日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 令和2年7月8日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年7月8日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「シート材を用いて形成されて対向するように配置される一対の対向壁部と、シート材を用いて形成されて一対の対向壁部のそれぞれと対向するように一対の対向壁部間に配置される中間壁部とを備えており、
一対の対向壁部と中間壁部との間に形成される収容空間に物品を供給可能な供給口が各対向壁部の一方向の一端部と中間壁部との間に形成される包装袋であって、
供給口を形成する各対向壁部の一方向の一端部は、一方向における中間壁部の一端よりも他端側に位置しており、
前記中間壁部は、一対の対向壁部と対向方向で重なり合わない非重合部を備えており、
該非重合部は、一方向における中間壁部の一端を含み、且つ、一方向に直交する他方向における中間壁部の両端間に亘って帯状に形成されており、
各対向壁部の一方向の一端部と中間壁部とがシールされて形成されるシール部であって供給口を閉塞するシール部に、各対向壁部及び中間壁部を他方向に切断する切断手段を備えないことで、中間壁部における収容空間を形成する領域から非重合部が分離されないように構成されている包装袋。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和元年12月23日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「シート材を用いて形成されて対向するように配置される一対の対向壁部と、シート材を用いて形成されて一対の対向壁部のそれぞれと対向するように一対の対向壁部間に配置される中間壁部とを備えており、
一対の対向壁部と中間壁部との間に形成される収容空間(R1,R2)に物品を供給可能な供給口が各対向壁部の一方向の一端部と中間壁部との間に形成される包装袋であって、
供給口を形成する各対向壁部の一方向の一端部は、一方向における中間壁部の一端よりも他端側に位置しており、
前記中間壁部は、一対の対向壁部と対向方向で重なり合わない非重合部を備えており、
該非重合部は、一方向における中間壁部の一端を含み、且つ、一方向に直交する他方向における中間壁部の両端間に亘って帯状に形成されると共に、中間壁部における収容空間を形成する領域から分離されないように構成されている包装袋。」

2.補正の適否
本件補正は、[請求項1]に「各対向壁部の一方向の一端部と中間壁部とがシールされて形成されるシール部であって供給口を閉塞するシール部に、各対向壁部及び中間壁部を他方向に切断する切断手段を備えないことで」との発明特定事項を追加するものである。
そして、当該発明特定事項は、願書に最初に添付した明細書の段落【0025】に「そして、各供給口側端部2aと中間壁部3とをシールして供給口4を閉塞することで、一対の収容空間R1,R2に物品が収容された包装袋1が形成される。」と記載されており、また、図1?3には、切断手段が設けられていない包装袋が図示されているから、本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)に記載された事項の範囲内においてするものであって、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たすものである。
また、本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「包装袋」について、上記のとおり限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献
ア 引用文献1
(ア)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2003-137306号公報(平成15年5月14日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。なお、以下、下線は,当審で付した。

ア)「【請求項1】上部に開口部(5)を有する袋本体(1)を構成する1対の外側シート(2a),(2b)の間に、前記袋本体(1)の内部を区画する区画シート(3)が設けられた自動包装用袋において、前記区画シート(3)の上部が、前記外側シート(2a),(2b)の開口部(5)の端縁よりも上方に延出されて、吸着具が吸着されうる寸法に形成された延長片(6)が形成されてなることを特徴とする自動包装用袋。
【請求項2】 袋本体(1)の外側シート(2a),(2b)及び区画シート(3)の上部に、ミシン目(7)が形成されてなる請求項1記載の自動包装用袋。」

イ)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動包装用袋とその自動包装用袋を用いた被包装物の包装方法、さらに詳しくは、袋本体が区画シートで区画されて2個の収納部が形成され、それぞれの収容部に異なる被包装物を収納して機械等により自動的に包装を行う自動包装用袋と、その袋を用いた包装方法に関する。
・・・
【0011】本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたもので、従来の自動包装用袋のように吸着孔の穿設作業を不要とすることによって全体の袋の製造作業を簡易化し、しかも吸着盤の吸引力を好適に作用させることができ、それによって袋の開口作業を確実に行わせることができる自動包装用袋を提供することを課題とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような課題を解決するために、自動包装用袋と、その自動包装用袋による被包装物の包装方法としてなされたもので、自動包装用袋としての特徴は、上部に開口部5を有する袋本体1を構成する1対の外側シート2a,2bの間に、前記袋本体1の内部を区画する区画シート3が設けられた自動包装用袋において、前記区画シート3の上部が、前記外側シート2a,2bの開口部5の端縁よりも上方に延出されて、吸着具が吸着されうる寸法に形成された延長片6が形成されてなることである。
【0013】また、自動包装用袋による被包装物の包装方法としての特徴は、上記のような自動包装用袋の区画シート3の延長片6に吸着具を吸着して一方の外側シート2a側に吸引することにより、区画シート3と他方の外側シート2bとの開口端縁を開口させて、該区画シート3と他方の外側シート2bとの間に被包装物を収納し、次に区画シート3の延長片6に吸着具を吸着して他方の外側シート2b側に吸引することにより、区画シート3と一方の外側シート2bとの開口端縁を開口させて、該区画シート3と他方の外側シート2bとの間に被包装物を収納し、その後、袋本体1の開口部5を閉塞して被包装物を包装することである。
【0014】袋本体1の外側シート2a,2b及び区画シート3の上部には、好ましくはミシン目7が形成される。」

ウ)「【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について図面に従って説明する。
【0016】図1乃至図3において、1は袋本体で、ポリプロピレン等の合成樹脂製フィルムからなる1対の外側シート2a,2bと、該外側シート2a,2b間に介装されて袋本体1を区画するポリプロピレン等の合成樹脂製フィルムからなる区画シート3とで構成されている。
【0017】1対の外側シート2a,2b、及び該外側シート2a,2b間に介装された区画シート3は、両側縁4a,4b及び底縁4cの三方が熱シールされて、上縁に開口部5が形成されている。
【0018】そして、この開口部5における区画シート3の端縁が、前記外側シート2a,2bの開口部5における端縁よりも上方に延出されて延長片6が形成されている。この延長片6は、後述する吸着具が吸着されうるに十分な寸法に形成されている。
【0019】袋本体1の外側シート2a,2b及び区画シート3の上部には、ミシン目7が形成されている。
・・・
【0024】このとき、他方の外側シート2bは、外向きに吸引される区画シート3に押し広げられることとなり、その結果、図4に示すように袋本体1の一方の収納室9aが開口することとなる。
【0025】次に、図5に示すように、被包装物の1つである乾燥材10を、前記開口した一方の収納室9a内に収納する。
・・・
【0028】このとき、一方の外側シート2aは、外向きに吸引される区画シート3に押し広げられることとなり、その結果、図6に示すように袋本体1の他方の収納室9bが開口することとなる。
【0029】次に、図7に示すように、他の被包装物であるふりかけ11を、前記開口した他方の収納室9b内に収納する。
【0030】次に、図8に示すように、袋本体1における開口部5の近辺の両外側シート2a,2bと区画シート3との三者を熱シールする。
【0031】その後、図9に示すように、ミシン目7の位置を切断することによって、延長片6が除去されることとなり、図10に示すような四法がシールされた包装体12が得られることとなる。」

エ)「【0035】上述のように、本実施形態においては、2個の収納室9a,9bを形成すべく袋本体1を区画している区画シート3の上部が、両外側シート2a,2bの開口端縁より上側に延長されて延長片6が形成されているため、その区画シート3の延長片6と一方の外側シート2aとにそれぞれ吸着具を吸着させ、相互に外側に吸引することによって、延長片6によって他方の外側シート2bを外向きに押し広げることができ、袋本体1の一方の収納室9aを好適に開口させることがきる。」

オ)「【0038】尚、上記実施形態では、袋本体1の外側シート2a,2b及び区画シート3の上部に、ミシン目7を形成したため、被包装物を収納し、袋本体1の上部をシールした後に、上記ミシン目7を介して延長片6を切除することで該延長片6を容易に除去することができるという好ましい効果が得られたが、このようなミシン目7を形成することは、本発明に必須の要件ではない。
【0039】たとえば、シールされた部分をカッター等で切断することによって、延長片6の部分を除去してもよい。」

カ)「



キ)「



(イ)上記段落【0018】の記載及び図1の図示から「延長片6は、区画シート(3)の端縁と両側縁(4a、4b)からなる矩形であることが分かる。
また、上記段落【0030】の「図8に示すように、袋本体1における開口部5の近辺の両外側シート2a、2bと区画シート3との三者を熱シールする。」との記載及び段落【0038】の「このようなミシン目7を形成することは、本発明に必須の要件ではない。」との記載、さらには、上記請求項1、2の特定事項からみて、引用文献1には、袋本体1における開口部5の近辺の両外側シート2a,2bと区画シート3との三者を熱シールする部位に、ミシン目7を設ける態様、及び、ミシン目7を設けない態様が記載されている。

(ウ)上記(ア)、(イ)を踏まえて、ミシン目7を設けない態様に注目すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「合成樹脂製フィルムからなる1対の外側シート2a、2bと、合成樹脂製フィルムからなる区画シート3とを備えており、
1対の外側シート2a、2b及び外側シート2a,2b間に介装された区画シート3が、収納室9a、9bに被包装物を収納するための開口部5を外側シート2a、2bの上縁に形成する袋本体1であって、
開口部5における区画シート3の端縁が、前記外側シート2a,2bの開口部5における端縁よりも上方に延出されて延長片6が形成されており、
延長片6は、区画シート3の端縁と両側縁4a、4bからなる矩形であり、
袋本体1における開口部5の近辺の両外側シート2a,2bと区画シート3との三者を熱シールする部位に、ミシン目7を設けない袋本体1。」

イ 引用文献2
(ア)技術水準を示す、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2011-102132号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。

ア)「【請求項1】
一対の外面シートと少なくとも1枚の仕切シートを備え、両外面シートの左右両側縁と下縁を接合して両外面シートで収納部を形成するとともに、収納部の上端に袋口を形成し、両外面シートの間に仕切りシートを介在させて収納部を少なくとも第1収納部と第2収納部に区画するとともに、袋口を第1収納部に通じる第1袋口と第2収納部に通じる第2袋口に区画した包装袋であって、
前記仕切シートの上縁が前記袋口の周縁から収納部外方へ突出するように設けたことを特徴とする包装袋。」

イ)「【0017】
仕切シート13はその上縁13aが袋口10eの周縁すなわち、外面シート11の上縁11a及び外面シート12の上縁12aから収納部10d上方(外方)へ所定寸法だけ突出している。上縁13aの突出寸法は後述する吸盤によって上縁13aを吸着するに必要なサイズに設定されている。」

ウ)「【0020】
次に、グリッパー20,21の間隔を拡げて包装袋10を引っ張った状態で、第3吸盤26で仕切シート13の上縁13aを吸着するとともに、第4吸盤27で他方の外面シート12の袋口10eの下方近辺を吸着する。続いて、グリッパー20,21の間隔を狭めながら、両吸盤26,27を離間方向へ移動させる(図3のC、図4のB参照)。これにより第2袋口10hが開口するので、ガイド28を第2袋口10iに進入させ、ガイド口28aを開き、ガイド28中にふりかけ投入機29を進入させ、ふりかけ30を第2収納部10hへ所定量投入する(図4のC参照)。
【0021】
脱酸素剤の小袋25とふりかけ30をそれぞれ第1収納部10fと第2収納部10hに投入後、グリッパー20,21の間隔を拡げて包装袋10を引っ張り、その状態でヒートシール31で袋口10eを溶着する。」

エ)図3




オ)図4




(イ)上記イ)の「その状態でヒートシール31で袋口10eを溶着する。」との記載、ウ)及びエ)の図示から、仕切シート13の突出する部分と外面シート11の上縁11a及び外面シート12の上縁12aをシールすることが分かる。また。引用文献2には、当該シール部分にミシン目のような切断のための構成を設けることや仕切シート13を分離する旨の記載はないことから、引用文献2の包装袋は、仕切りシート13の切断のための構成を備えず、仕切りシート13の突出部が分離されないように構成されていることが分かる。

(ウ)上記(ア)、(イ)を踏まえると、引用文献2には、次の事項(以下「引用文献2の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「両外側シーの間に仕切りシートを介在させて収納部を第1収納部と第2収納部に区画する包装袋であって、仕切シートの突出する部分と外面シートの上縁をシールするとともに、仕切りシート13の切断のための構成を備えず、仕切りシート13の突出部が分離されないように構成する点。」

ウ 引用文献3
(ア)技術水準を示す、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2003-40282号公報以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある。

ア)「【0007】
【発明の実施の形態】本発明は、中仕切により複数室に分割する開口袋体において、中仕切を突出させたことを特徴とする開口袋体である。図1、2に示すように、中仕切2を外袋3や他の外袋4より突出して設ける。突出の程度は、充填工程で中仕切2を保持したり、吸引等により、開口することが出来る程度でよい。・・・」

イ)「【0012】
充填が完了したら、外袋と中仕切を接着・溶着等してシールする。その際、突出した中仕切を切除して、図3、4に示すようにしてもよい。・・・」

・図1?図4




(イ)上記ウ)の「充填が完了したら、外袋と中仕切を接着・溶着等してシールする。その際、突出した中仕切を切除して、図3、4に示すようにしてもよい。」との記載から、突出した中仕切を切除する又は切除しないのうち、いずれを選択するかは任意であることが分かる。

(ウ)上記(ア)、(イ)を踏まえると、引用文献3には、次の事項(以下「引用文献3の技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「中仕切を突出させ、中仕切により複数室に分割する開口袋体において、充填が完了したら、外袋と中仕切を接着・溶着等してシールし、その際、突出した中仕切の切除は任意である点。」

(3)対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「合成樹脂製フィルムからなる1対の外側シート2a、2b」は、その構成や機能からみて、本件補正発明の「シート材を用いて形成されて対向するように配置される一対の対向壁部」に相当する。
同様に、引用発明の「合成樹脂製フィルムからなる」、「外側シート2a,2b間に介装された区画シート3」は本件補正発明の「シート材を用いて形成されて一対の対向壁部のそれぞれと対向するように一対の対向壁部間に配置される中間壁部」に、
「収納室9a、9bに被包装物を収納するための開口部5を外側シート2a、2bの上縁に形成する」ことは、収納室9a,9bが外側シート2a,2bと区画シート3との間に形成されるものであって、開口部5から被包装物が供給されることが明らかであるから、「一対の対向壁部と中間壁部との間に形成される収容空間に物品を供給可能な供給口が各対向壁部の一方向の一端部と中間壁部との間に形成される」ことに、
「袋本体1」は「包装袋」に、
「開口部5における区画シート3の端縁が、前記外側シート2a,2bの開口部5における端縁よりも上方に延出されて延長片6が形成されて」いることは、「供給口を形成する各対向壁部の一方向の一端部は、一方向における中間壁部の一端よりも他端側に位置しており、前記中間壁部は、一対の対向壁部と対向方向で重なり合わない非重合部を備えて」いることに、
「延長片6は、区画シート3の端縁と両側縁4a、4bからなる矩形であ」ることは、「該非重合部は、一方向における中間壁部の一端を含み、且つ、一方向に直交する他方向における中間壁部の両端間に亘って帯状に形成されて」いることに、
「袋本体1における開口部5の近辺の両外側シート2a,2bと区画シート3との三者を熱シールする部位」は「各対向壁部の一方向の一端部と中間壁部とがシールされて形成されるシール部」に、
「袋本体1における開口部5の近辺の両外側シート2a,2bと区画シート3との三者を熱シールする部位にミシン目7を設けない」ことは、「供給口を閉塞するシール部に、各対向壁部及び中間壁部を他方向に切断する切断手段を備えない」ことに、
それぞれ相当する。

イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「シート材を用いて形成されて対向するように配置される一対の対向壁部と、シート材を用いて形成されて一対の対向壁部のそれぞれと対向するように一対の対向壁部間に配置される中間壁部とを備えており、
一対の対向壁部と中間壁部との間に形成される収容空間に物品を供給可能な供給口が各対向壁部の一方向の一端部と中間壁部との間に形成される包装袋であって、
供給口を形成する各対向壁部の一方向の一端部は、一方向における中間壁部の一端よりも他端側に位置しており、
前記中間壁部は、一対の対向壁部と対向方向で重なり合わない非重合部を備えており、
該非重合部は、一方向における中間壁部の一端を含み、且つ、一方向に直交する他方向における中間壁部の両端間に亘って帯状に形成されており、
各対向壁部の一方向の一端部と中間壁部とがシールされて形成されるシール部であって供給口を閉塞するシール部に、各対向壁部及び中間壁部を他方向に切断する切断手段を備えない包装袋。」

【相違点】
各対向壁部及び中間壁部を他方向に切断する切断手段を備えないことに関して、本件補正発明では、当該構成で、「中間壁部における収容空間を形成する領域から非重合部が分離されないように構成されている」の対して、引用発明では、そのように特定されていない点。

(4)判断
以下、相違点について検討する。
上記(2)ア(イ)のとおり引用文献1には、ミシン目7(切断手段)に関して、熱シールする部位に、ミシン目7を設ける態様とミシン目7を設けない態様が記載されている。ここで、ミシン目7を設ける態様にあっては、当該ミシン目7自体の機能により延長片6の部分を比較的容易に除去(分離)し得るのに対して、ミシン目7を設けない態様にあっては、カッター等の別異の手段を用いない限り、延長片6の部分を除去(分離)することが困難であることは、当業者にとって自明である。そうすると、ミシン目7を設けない態様である引用発明は、ミシン目7を設ける態様に比べて延長片6の部分が分離され難いのであって、区画シート3における収納空間を形成する領域から延長片6が分離されないように構成されていると表現できるから、本願補正発明の「中間壁部における収容空間を形成する領域から非重合部が分離されないように構成されている」に相当する。ゆえに、上記相違点は、実質的なものではない。
したがって、本件補正発明は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

また、仮に、上記相違点が、引用発明が延長片6をカッター等により分離する点で相違する場合について検討する。
上記(2)イ、ウにおいて、技術水準を示す文献として例示した引用文献2の技術的事項や引用文献3の技術的事項のとおり、シール後に中間壁部における収容空間を形成する領域から非重合部が分離されないようにすること、及び、非重合部が分離されるようにするか否かを選択的に決定することは、本願出願前に周知の技術的事項である。
そして、かかる周知の技術的事項を踏まえれば、引用発明において、非重合部を分離しないようになすことを選択して、相違点に係る本件補正発明の事項とする程度のことは、当業者が容易になし得ることである。
そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果である「対向壁部と中間壁部との間に形成される供給口を効果的に広げることができる」や「対向壁部と中間壁部との間へ供給口から物品を効率的に供給することができる」(本願明細書段落【0014】)ことは、引用発明及び周知の技術的事項から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

なお、出願人は、令和2年7月8日提出の審判請求書において、「今回の補正後の本願発明は、「非重合部は、中間壁部における収容空間を形成する領域から分離されないように構成されていること」を構成とするものであります。これにより、収容空間に物品が収容されて開口部が閉塞された状態で、非重合部に形成した穴にフック等を通すことができ、物品の入った包装袋を吊るして陳列することが可能となります。また、非重合部に装飾を施すことで、製品の意匠性を向上させることも可能となります。更に、包装袋に物品が収容された状態で、非重合部側から包装袋に衝撃が加わった際には、非重合部がクッションとなり、物品が収容された部分に加わる衝撃を緩和することができます。このため、収容された物品や包装袋自体が衝撃によって破損するのを抑制することができます。
そして、これらの効果は、引用文献1に開示された発明の包装袋のように、延長片6が除去されてしまう発明からは予測しうるものではありません。このため、本願発明は、進歩性を有するものであります。」と本件補正発明の作用効果を主張する。
しかしながら、本願の当初明細書等には、非重合部に形成した穴にフック等を通すであるとか、非重合部に装飾を施すであるとか、それによる陳列や意匠性等効果については、記載がない。
このように、本件審判請求書に記載された上記各事項については、本件補正発明に係る明細書等に何ら示唆されていないのであるから、本件補正発明には、これらの事項に関する技術的意義や作用・効果が含まれるものではなく、本件補正発明に係る明細書等に接した当業者においても、本件補正発明に上記の技術的意義又は作用・効果が存すると理解することはない。
そうすると、本件補正発明の奏する作用・効果は、引用発明及び周知の技術的事項からみて、当然に奏するものである。

(5)小活
したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

3.むすび(補正の却下の決定のむすび)
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1.本願発明
令和2年7月8日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和元年12月23日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、又は、引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開2003-137306号公報

3.引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「各対向壁部の一方向の一端部と中間壁部とがシールされて形成されるシール部であって供給口を閉塞するシール部に、各対向壁部及び中間壁部を他方向に切断する切断手段を備えないことで」との発明特定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明は、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明であるから、又は、引用発明及び周知の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明である、又は、引用発明及び周知の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、又は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2021-01-12 
結審通知日 2021-01-15 
審決日 2021-01-26 
出願番号 特願2016-64108(P2016-64108)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B65D)
P 1 8・ 113- Z (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 米村 耕一  
特許庁審判長 間中 耕治
特許庁審判官 佐々木 正章
森藤 淳志
発明の名称 包装袋  
代理人 藤本 昇  
代理人 中谷 寛昭  
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