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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 H04W
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H04W
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 H04W
管理番号 1372165
審判番号 不服2019-15619  
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-11-21 
確定日 2021-04-12 
事件の表示 特願2018-150120「強化されたモバイル電力管理のための装置および方法」拒絶査定不服審判事件〔平成30年12月20日出願公開、特開2018-201230、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2013年(平成25年)8月9日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2012年12月4日 中国)を国際出願日とする特願2015-544324号の一部を、平成30年8月9日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成30年 8月14日 手続補正書の提出
平成31年 4月 9日付け 拒絶理由通知書
令和 元年 6月20日 意見書、手続補正書の提出
令和 元年 8月30日付け 拒絶査定
令和 元年11月21日 拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提

令和 2年 3月17日 上申書の提出
令和 2年 6月10日 上申書の提出
令和 2年10月 7日付け 拒絶理由通知書(当審)
令和 3年 1月 4日 意見書、手続補正書の提出の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和元年8月30日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

2.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
3.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

●理由2(特許法第29条第1項第3号)について
・請求項 1-2、4-9、11-12、14
・引用文献等 1

●理由3(特許法第29条第2項)について
・請求項 1-2、4-6、8-9、11-12、14
・引用文献等 1

・請求項 3
・引用文献等 1-4


・請求項 7
・引用文献等 1-2

・請求項 10
・引用文献等 1

・請求項 13
・引用文献等 1、5-6

1.国際公開第2011/123744号
2.特開2003-169011号公報
3.特開2010-114659号公報
4.特開2001-251234号公報
5.国際公開第2011/083997号
6.特開2012-142942号公報

第3 当審拒絶理由の概要及び当審拒絶理由についての判断
1.当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

理由1.(実施可能要件)この出願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
理由2.(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
理由3.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

(1)請求項1に「デバイスの特性および/またはしきい値」と記載されているが、「デバイスの」の係り受けが不明確であり、「デバイスのしきい値」とすると、「デバイスのしきい値」とはどのようなしきい値か不明確である。
請求項1を引用している従属請求項についても同様に不備がある。
したがって、請求項1?14に係る発明は不明確である。(明確性)

(2)請求項1の「識別するステップ」で識別した結果が請求項1ではどのように利用されるか記載されておらず、他のステップとの関係が不明確である。
請求項1を引用している従属請求項についても同様に不備がある。
したがって、請求項1?14に係る発明は不明確である。(明確性)

(3)請求項1に「前記UEを指定する信号を含む定常超長期バッテリーデバイス指示をネットワークエンティティに送信するステップ」と記載されているが、「UEを指定する信号」とは何を示している信号であるか不明確であり、「定常超長期バッテリーデバイス指示」とはどのような指示をするのか不明確であり、「定常超長期バッテリーデバイス指示」の指示と「UEを指定する信号」との関係も不明確である。
また、「前記UEを指定する信号を含む定常超長期バッテリーデバイス指示をネットワークエンティティに送信するステップ」と発明の詳細な説明との対応関係が不明である。
例えば段落45には「UE12は、定常超長期バッテリーデバイス設定38を有するとしてUE12を指定する新しいUE機能ビットまたは信号の形態で、定常超長期バッテリーデバイス表示40を送信し得る」と「定常超長期バッテリーデバイス表示」と記載されており、請求項1の「定常超長期バッテリーデバイス指示」とは記載されておらず、日本語としては「表示」と「指示」では意味が相違する。
また、段落45では「UE12を指定する・・・信号の形態で、定常超長期バッテリーデバイス表示40を送信し得る」と記載されており、「UEを指定する信号」は「定常超長期バッテリーデバイス表示」であるのに対し、請求項1では「UEを指定する信号」が何を指定しているか不明確であり、「定常超長期バッテリーデバイス指示」の指示との関係も不明であるから、発明の詳細な説明のどの構成を規定しているか不明である。
請求項1を引用している従属請求項についても同様に不備がある。
したがって、請求項1?14に係る発明は不明確であり、発明の詳細な説明との対応関係が不明である。(明確性、サポート要件)

(4)請求項1に「前記UEを指定する信号を含む定常超長期バッテリーデバイス指示をネットワークエンティティに送信する前記ステップに応答して、前記ネットワークエンティティが前記定常超長期バッテリーデバイス指示に基づいて前記UEが前記定常超長期バッテリーデバイス設定に従って動作していると識別した後、測定しきい値調整メッセージを受信するステップ」と記載されているが、「前記UEを指定する信号を含む定常超長期バッテリーデバイス指示をネットワークエンティティに送信する前記ステップに応答して、」の係り受けが不明確であり、「識別した後」に係るのか、又は「測定しきい値調整メッセージを受信する」に係るのか不明確であるから、「前記UEを指定する信号を含む定常超長期バッテリーデバイス指示をネットワークエンティティに送信する前記ステップに応答して、」動作する主体がネットワークエンティティなのかUEなのか不明確である。
請求項1を引用している従属請求項についても同様に不備がある。
したがって、請求項1?14に係る発明は不明確である。(明確性)

(5)請求項4の「電源の充電または交換のためにアクセスすることが困難なエリア内に配置されていることに基づいて、ユーザ機器(UE)が定常超長期バッテリーデバイス設定に従って動作していると識別するステップ」の記載について、「アクセス」とは通信のことか,電源の充電または交換のためとのことから人のアクセスか不明であり、「電源の充電または交換のためにアクセスすることが困難なエリア」とはどのようなエリアか不明である。また、「電源の充電または交換のためにアクセスすることが困難なエリア内に配置されていること」は引用している請求項1の「デバイスの特性および/またはしきい値」とは無関係であるから、請求項1の識別するステップと請求項4の構成の関係が不明である。
そして、発明の詳細な説明の段落23に「UE12は、電源の充電または交換のためにUE12にアクセスすることが非常に困難なエリア内に配置されることがある」と記載されているが、「電源の充電または交換のためにアクセスすることが困難なエリア内に配置されていることに基づいて、・・・識別する」ことは発明の詳細な説明に記載されていない。さらに、「電源の充電または交換のためにアクセスすることが困難なエリア内に配置されている」ことをユーザ機器(UE)においてどのように検出することができるのか不明であるから、「電源の充電または交換のためにアクセスすることが困難なエリア内に配置されていることに基づいて、ユーザ機器(UE)が定常超長期バッテリーデバイス設定に従って動作していると識別するステップ」をユーザ機器(UE)においてどのように行うか当業者が実施しうる程度に発明の詳細な説明に記載されていない。
したがって、請求項4に係る発明は不明確であり、発明の詳細な説明との対応関係が不明であり、発明の詳細な説明は請求項4に係る発明を実施しうる程度に記載されていない。(明確性、サポート要件、実施可能要件)

(6)請求項8に「前記測定しきい値調整メッセージを受信するステップが、ネットワークエンティティからシステム情報ブロック(SIB)を受信するステップを含む」と記載されているが、発明の詳細な説明の段落28に「SIBは、・・・ブロードキャストチャネル・・・上でUE12に送信され得る」と記載されているように、SIBはブロードキャストされる。一方、引用している請求項1の「前記UEを指定する信号を含む定常超長期バッテリーデバイス指示をネットワークエンティティに送信する前記ステップに応答して、前記ネットワークエンティティが前記定常超長期バッテリーデバイス指示に基づいて前記UEが前記定常超長期バッテリーデバイス設定に従って動作していると識別した後、測定しきい値調整メッセージを受信するステップ」は1対1通信を意図しておりブロードキャストを意図しているとは読み取れない。よって、請求項8の構成と引用する請求項1の測定しきい値調整メッセージを受信するステップの関係が不明確である。
請求項8を引用している従属請求項についても同様に不備がある。
したがって、請求項8?10に係る発明は不明確である。(明確性)

(7)請求項10に「UE固有の測定または再選択設定パラメータを受信するステップ」と記載され、請求項10が引用する請求項9にも「UE固有の測定または再選択設定パラメータを受信するステップ」と記載されており、両者のステップの関係が不明確である。
したがって、請求項10に係る発明は不明確である。(明確性)

(8)請求項10の「レガシーセル再選択パラメータ、HCSパラメータ、絶対優先度再選択パラメータ、および周波数内/周波数間パラメータ」と「アイドルモード測定または再選択設定パラメータ」の関係が不明であり、請求項10ではどのようなパラメータを受信するのか不明確である。
したがって、請求項10に係る発明は不明確である。(明確性)

(9)請求項12に「前記UEをより長い持続時間の間変化しないままであるか、またはより長い動作時間を有するように設定するステップ」と記載されているが、「より長い持続時間の間変化しない」とは長い持続時間の間何が変化しないのか不明確であり、また、「より長い動作時間」とは何の動作時間か不明確であり、そして、「より長い」とは何より長いのか不明であるから、請求項12は日本語として意味不明である。
また、請求項12の構成と引用する請求項1の「デバイスの特性および/またはしきい値」との関係も不明確であるから、請求項12のステップと引用する請求項1のステップの関係も不明確である
請求項12を引用している従属請求項についても同様に不備がある。
したがって、請求項12?13に係る発明は不明確である。(明確性)

(10)請求項13の構成は引用する請求項1の「デバイスの特性および/またはしきい値」ではないことから、請求項13のステップと引用する請求項1の設定するステップとの関係も不明確である。
したがって、請求項13に係る発明は不明確である。(明確性)

2.上記拒絶理由について検討する。
令和3年1月4日にされた手続補正により、
a.請求項1の「デバイスの特性および/またはしきい値」を「デバイスの特性、および/またはしきい値」に補正することにより、拒絶理由(1)は解消された。

b.請求項1の定常超長期バッテリーデバイス表示をネットワークエンティティに送信するステップに、「前記識別するステップにおいて識別された後、」という発明特定事項を追加する補正をすることで、拒絶理由(2)は解消された。

c.請求項1の「前記UEを指定する信号を含む定常超長期バッテリーデバイス指示をネットワークエンティティに送信する」という記載を「前記定常超長期バッテリーデバイス設定を有するとして前記UEを指定する信号を含む定常超長期バッテリーデバイス表示をネットワークエンティティに送信する」に補正し、請求項1の「定常超長期バッテリーデバイス指示」を「定常超長期バッテリーデバイス表示」に補正することにより、拒絶理由(3)は解消された。

d.請求項1の「前記UEが前記定常超長期バッテリーデバイス設定に従って動作していると識別した後、測定しきい値調整メッセージを受信するステップと」という記載を、「前記UEが前記定常超長期バッテリーデバイス設定に従って動作していると識別した後、前記UEが測定しきい値調整メッセージを受信するステップと」に補正することにより、拒絶理由(4)は解消された。

e.請求項4、8ないし10、12、13を削除することにより、拒絶理由(5)ないし(10)は解消された。
以上のとおりであるから、令和3年1月4日にされた手続補正により、当審拒絶理由は全て解消された。

第4 本願発明について
本願の請求項1ないし8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明8」という。)は、令和3年1月4日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1ないし8は以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
ワイヤレス通信ネットワークにおける電力管理の方法であって、
デバイスの特性、および/またはしきい値に基づいて、ユーザ機器(UE)が定常超長期バッテリーデバイス設定に従って動作していると識別するステップと、
前記識別するステップにおいて識別された後、前記定常超長期バッテリーデバイス設定を有するとして前記UEを指定する信号を含む定常超長期バッテリーデバイス表示をネットワークエンティティに送信するステップと、
前記定常超長期バッテリーデバイス設定を有するとして前記UEを指定する前記信号を含む定常超長期バッテリーデバイス表示をネットワークエンティティに送信する前記ステップに応答して、前記ネットワークエンティティが前記定常超長期バッテリーデバイス表示に基づいて前記UEが前記定常超長期バッテリーデバイス設定に従って動作していると識別した後、
前記UEが測定しきい値調整メッセージを受信するステップと、
前記測定しきい値調整メッセージに基づいてアイドルモードセル測定しきい値を調整するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記UEがマシンタイプ通信デバイスであることに基づいて、定常超長期バッテリーデバイス設定を識別するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記UEの電源が電源しきい値未満であることに基づいて、ユーザ機器(UE)が定常超長期バッテリーデバイス設定に従って動作していると識別するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記アイドルモードセル測定しきい値を調整するステップが、現在の測定しきい値から減少したアイドルモード測定しきい値に前記アイドルモードセル測定しきい値を減少させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アイドルモードセル測定しきい値を調整するステップが、セル測定の数または頻度を低減するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記アイドルモードセル測定しきい値を調整するステップが、前記UEの専用プロパティを調整するステップを含み、前記専用プロパティを調整するステップが、少なくとも1つのアイドルモードセル測定または再選択優先度を調整するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記測定しきい値調整メッセージを受信するステップが、ネットワークエンティティから専用RRCシグナリングメッセージを受信するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
プロセッサによって実行されたとき、請求項1に記載の方法を実施する命令を備える、コンピュータ可読記憶媒体。」

第5 引用発明について
1.引用例1について
原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第2011/123744号(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに次の記載がある。(下線は当審が付与。)

(1)「TECHNICAL FIELD
[0002] This application is related to mobility procedures for wireless communication systems and devices.
(略)
SUMMARY
[0006] Methods and devices for optimizing utilization of network resources and UE are described herein. In order to prevent excess signaling overhead and to conserve power on the UE, new mobility procedures may be defined for devices in low mobility or no mobility states. A wireless transmit/receive unit (WTRU) may determine that is operating in a low mobility state based on triggers related to the frequency of movement of the WTRU between network cells. The WTRU may change cells less frequently in a low or no mobility state than in a normal mobility state. Upon determining that the WTRU is in the low or no mobility state, the WTRU may configure mobility procedures associated with the low or no mobility state in order to conserve power and other network resources.
[0007] The WTRU may receive the mobility procedures or parameters related to the mobility procedures from the wireless network. The procedures may be designed to optimize power consumption or signaling overhead for the defined mobility states. The WTRU may detect triggers related to signal quality or other network parameters to determine if it should transition into or out of a low or no mobility state. The WTRU may inform the network that it has changed mobility states or it may request permission from the network to change mobility states.」
(当審訳:
技術分野
[0002]本出願は、無線通信システム及び装置のためのモビリティプロシージャ(mobility procedure)に関する。
(略)
要約
[0006] ネットワークリソース及びUEの利用を最適化する方法及び装置が、本明細書で説明される。過度なシグナリングオーバヘッドを防止し、UEの電力を節約するため、低移動度(low mobility state)又は移動度無し状態(no mobility state)にある装置に対し、新規のモビリティプロシージャを定義することができる。無線送信/受信ユニット(WTRU)は、ネットワークセルの間をWTRUが移動する頻度に関係するトリガに基づいて、低移動度状態で稼動していることを判定することができる。当該WTRUは低移動度状態又は移動度無し状態においては、通常移動度状態(normal mobility state)にあるときよりも少ない頻度でセルを変更することができる。WTRUが低移動度状態又は移動度無し状態にあると判定すると、当該WTRUは低移動度状態又は移動度無し状態に関連するモビリティプロシージャを構成し、電力及びその他のネットワークリソースを節約することができる。
[0007] WTRUは、モビリティプロシージャ又は当該モビリティプロシージャに関係するパラメータを無線ネットワークから受信することができる。定義された移動度状態に対する電力消費又はシグナリングオーバヘッドを最適化するために、当該プロシージャを設計してもよい。WTRUは、信号品質に関係するトリガ、又はその他のネットワークパラメータを検出して、当該WTRUが低移動度状態もしくは移動度無し状態へ、又はそれらの状態から遷移すべきかを判定することができる。WTRUは移動度状態を変更したことをネットワークに情報提供し、又は移動度状態を変更するための許可をネットワークに要求することができる。)

(2)「[0050] To optimize a UE device, for example an MTC device, in its various mobility states, techniques are disclosed herein that allow a UE to perform a reduced set of measurements in each respective mobility state.
(略)
[0051] In an embodiment for reduced measurement, a UE may perform serving cell and/or neighbor cell measurements less frequently than in other states.
(略)
[0053] In another embodiment for reduced measurements, a UE may monitor the serving cell and trigger neighbor cell measurements when the serving cell measurement goes below a predefined threshold. In this scenario, the UE may perform no neighbor cell measurements while a serving cell measurement is above the predetermined threshold, or it may perform neighbor cell measurements less frequently then it would in the normal mobility state while the serving cell measurement is above the predetermined threshold. This threshold may be determined in a number of ways. For example, if the UE is a MTC device, the threshold may be a MTC specific threshold configured by the network. The threshold may be configured by the network for all devices in a no mobility state and/or the low mobility state. The network may have the option to configure different thresholds for different mobility states.
[0054] In another example, the network may provide a single predefined threshold and a scaling factor may be applied to this threshold depending on the mobility state. For example, the scaling factor may be signaled by the network. In response, the UE may scale a common threshold value, e.g., S_(intrasearch) , by this scaling factor. A different scaling factor may apply for no mobility and low mobility states, or the same scaling factor may apply.」
(当審訳:
[0050] 様々な移動度状態にあるUEデバイス、例えば、MTCデバイス、を最適化するのに、UEはそれぞれの移動度状態における軽減した測定のセットを実行することができることがここで開示されている。
(略)
[0051] 軽減した測定についての実施例では、UEはその他の状態よりもサービングセル及び/又は隣接セルの測定の実行頻度を少なくすることができる。
(略)
[0053] 軽減した測定についての別の実施例では、UEはサービングセルをモニタリングし、サービングセルが所定の閾値を下回るときに、隣接セルの測定をトリガ(始動)してもよい。このシナリオでは、UEはサービングセルの測定値が所定の閾値を上回っている間は、隣接セルの測定を行わなくてもよく、又は、UEはサービングセルの測定値が所定の閾値を上回っている間は、通常移動度状態にあるときよりも少ない頻度で隣接セルの測定を実行してもよい。当該閾値は多くの方法で判定されてもよい。例えば、UEがMTCデバイスである場合、当該閾値はネットワークにより構成されたMTC固有の閾値としてもよい。当該閾値は、移動度無し状態及び/又は低移動度状態にある全ての装置に対して、ネットワークにより構成されてもよい。ネットワークは、異なる移動度状態ごとに異なる閾値を構成するオプションを有していてもよい。
[0054] 別の実施例では、ネットワークは単一の所定の閾値、及び移動度状態に応じて当該閾値に適用されうるスケーリングファクタを提供してもよい。例えば、スケーリングファクタは、ネットワークにより信号伝達されてもよい。それに応じて、UEはこのスケーリングファクタにより共通閾値(例えば、S_(intrasearch))を増減させてもよい。異なるスケーリングファクタを移動度無し状態又は低移動度状態に適用してもよく、又は、同一のスケーリングファクタを適用してもよい。)

(3)「[0091] In support of the state transitions, there may be some coordination between the UE and the network. For example, when the UE moves from no or low mobility state or to a normal mobility state, it may start operating according to the mobility state specific characteristics, procedures and parameters of a typical device in a normal state. For some parameters, such as the DRX period, periodic update timers, etc., the network and the UE may need to be synchronized. Methods to allow such coordination are described below.
[0092] Consider a situation in which state transition criteria are met. Coordination between the network and the UE may be desirable. In a first example, the UE may autonomously perform a state transition and not update the network. Alternatively, the UE may autonomously perform the state transition and indicate the state transition to the network. In another example, the UE may indicate to the network that the trigger has been met and wait for an explicit indication by the network to move to one of the configured states.」
(当審訳:
[0091] 状態遷移のサポートにおいて、UEとネットワークとの間で、ある調整がされてもよい。例えば、UEが移動度無し状態もしくは低移動度状態から移動するとき、又は通常移動度状態へ移動するときに、通常状態にある典型的な装置の移動度状態固有な特性、プロシージャ、及びパラメータにしたがって動作を開始してもよい。DRX期間、定期的な更新タイマなどのいくつかのパラメータについて、ネットワーク及びUEは同期される必要がある場合がある。かかる調整を可能とする手法を以下に説明する。
[0092] 状態遷移基準が満たされる状態を考える。ネットワークとUEとの間の調整が望ましい場合がある。第1の例では、UEは自発的に状態遷移を実行し、ネットワークの更新を行わなくてもよい。代わりに、UEは自発的に状態遷移を実行し、ネットワークに対して状態遷移を指示してもよい。別の例では、UEはネットワークに対してトリガが満たされたことを指示し、当該ネットワークによる明確なインジケーションを待って、構成された状態のうちの1つへ移動してもよい。)

上記記載及び当業者における技術常識からみて、
a.上記(1)の段落2に「本出願は、無線通信システム・・・のためのモビリティプロシージャ(mobility procedure)に関する」と記載されていることから無線通信システムが前提であることは明らかである。
また、上記(1)の段落6に「UEの電力を節約するため、・・・新規のモビリティプロシージャを定義することができる。」と記載されていることから、UEの電力を節約するための方法が記載されているといえる。
よって、引用例1には、無線通信システムのUEの電力を節約するための方法が記載されているといえる。

b.上記(2)の段落53の「軽減した測定についての別の実施例では、UEはサービングセルをモニタリングし、サービングセルが所定の閾値を下回るときに、隣接セルの測定をトリガ(始動)してもよい。このシナリオでは、UEはサービングセルの測定値が所定の閾値を上回っている間は、隣接セルの測定を行わなくてもよく」との記載から、軽減した測定のために、UEはサービングセルの測定値が所定の閾値を上回っている間は、隣接セルの測定を行わない。
また、上記(2)の段落53の「例えば、UEがMTCデバイスである場合、当該閾値はネットワークにより構成されたMTC固有の閾値としてもよい。当該閾値は、移動度無し状態及び/又は低移動度状態にある全ての装置に対して、ネットワークにより構成されてもよい。」との記載から、閾値は、MTCデバイスであるか否かや、移動度無し状態及び/又は低移動度状態にあるかでネットワークにより変更されるといえる。
そして、上記(2)の段落54の「ネットワークは単一の所定の閾値、及び移動度状態に応じて当該閾値に適用されうるスケーリングファクタを提供してもよい。・・・UEはこのスケーリングファクタにより共通閾値(例えば、S_(intrasearch))を増減させてもよい。」との記載から、ネットワークは閾値としてS_(intrasearch)及び移動度状態に応じて当該閾値に適用されうるスケーリングファクタを提供するといえる。
よって、軽減した測定のために、UEはサービングセルの測定値が所定の閾値を上回っている間は、隣接セルの測定を行わなく、閾値は、MTCデバイスであるか否かや、移動度無し状態及び/又は低移動度状態にあるかでネットワークにより変更され、ネットワークは閾値としてS_(intrasearch)及び移動度状態に応じて当該閾値に適用されうるスケーリングファクタを提供するといえる。

c.上記(3)の段落91の「状態遷移のサポートにおいて、UEとネットワークとの間で、ある調整がされてもよい。」との記載、「DRX期間、定期的な更新タイマなどのいくつかのパラメータについて、ネットワーク及びUEは同期される必要がある場合がある。」との記載及び段落92の「UEはネットワークに対してトリガが満たされたことを指示し、当該ネットワークによる明確なインジケーションを待って、構成された状態のうちの1つへ移動してもよい。」との記載から、DRX期間、定期的な更新タイマなどのいくつかのパラメータであって、ネットワーク及びUEは同期される必要がある場合は、UEとネットワークとの間で調整が行われ、UEはネットワークに対してトリガが満たされたことを指示し、当該ネットワークによる明確なインジケーションを待って、UEは1つの状態へ移動するといえる。

以上を総合すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「無線通信システムのUEの電力を節約するための方法であって、
軽減した測定のために、UEはサービングセルの測定値が所定の閾値を上回っている間は、隣接セルの測定を行わなく、
閾値は、MTCデバイスであるか否かや、移動度無し状態及び/又は低移動度状態にあるかでネットワークにより変更され、
ネットワークは閾値としてS_(intrasearch)及び移動度状態に応じて当該閾値に適用されうるスケーリングファクタを提供し、
DRX期間、定期的な更新タイマなどのいくつかのパラメータであって、ネットワーク及びUEは同期される必要がある場合は、UEとネットワークとの間で調整が行われ、UEはネットワークに対してトリガが満たされたことを指示し、当該ネットワークによる明確なインジケーションを待って、UEは1つの状態へ移動する
を含む、方法。」

2.引用例2ないし4について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された特開2003-169011号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに次の記載がある。(下線は当審が付与。)

「【0087】記憶部16の節電モード情報がONの場合、制御部14は、電源残量検出部18からの検出信号に基づいて、電源電圧Vが第1のしきい値電圧V1より低いか否か判定する(ステップS702)。電源電圧Vが第1のしきい値電圧以上の場合は、位置登録を行なうための通常のセルサーチ動作を行なう(ステップS703)。即ち、ネットワークから指示された数のセル全て(最大32個)を対象として、信号処理部13のサーチブロックを動作させる。
【0088】一方、電源電圧Vが、第1のしきい値電圧V1より低い場合は、機能制限処理を行う(ステップS704)。即ち、監視セルの数を予め定められたm個に制限する。mの数は、発呼着呼の処理に悪影響を与えない適切な値、例えば4?8個に設定される。」

(2)原査定の拒絶の理由に引用された特開2010-114659号公報(以下、「引用例3」という。)には、図面とともに次の記載がある。(下線は当審が付与。)

「【0057】
また、上記第2の実施形態では、バッテリ残量に応じて、最大スリープ時間Tmaxを増加させるようにしている。これにより、バッテリ残量の減少と共に、節電の重要性がさらに高まる際には、最大スリープ時間Tmaxを超えてスリープ時間を設定することが可能となる。
【0058】
したがって、本発明に係る移動通信端末は、探索時間が長時間に渡ってしまう場合であっても、消費電力の増大を抑え、効率的に節電しながら間欠探索動作を行うことができる。」

(3)原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-251234号公報(以下、「引用例4」という。)には、図面とともに次の記載がある。(下線は当審が付与。)

「【0025】制御処理部7は、CPU(Central Processing Unit)等のマイクロプロセッサから構成され、この移動電話装置100全体の動作を制御するためのものであり、移動電話装置100が通信サービス圏外にあるときに、電池6aの電圧レベルを監視する。この際、制御処理部7は、電池6aの電圧レベルが低下するに従って、止まり木チャネルのスキャンを実行する時間間隔が長くなるように動作を制御する。」

以上を総合すると、引用例2-4に記載されているように、次の技術的事項(以下、「技術的事項2」という。)は周知である。

「端末の電池残量が所定値以下になった場合にセルサーチを低電力状態で動作させる。」

3.引用例5について
原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第2011/083997号(以下、「引用例5」という。)には、図面とともに次の記載がある。(下線は当審が付与。)




(当審訳:
【0058】
図2において、マシンタイプ通信端末機230は自動車に組み込まれて搭載されたマシンタイプ通信端末機を示す。この場合、ユーザはユーザノード241を用いてマシンタイプ通信機能を制御するかまたはマシンタイプ通信端末機240が提供する別途のユーザインターフェースを通じてマシンタイプ通信機能を制御及び設定することができる。)

以上を総合すると、引用例5には、次の技術的事項(以下、「技術的事項5」という。)が記載されていると認められる。

「ユーザ入力を介してMTC端末の設定を行う。」

4.引用例6について
原査定の拒絶の理由に引用された特開2012-142942号公報(以下、「引用例6」という。)には、図面とともに次の記載がある。(下線は当審が付与。)

「【0003】
3GPP TS 23.060仕様, v10.1.0(TS 23.060 仕様と称される)および3GPP TS 24.008 仕様, v10.1.0(24.008仕様と称される)に従うLTE技術を例とする。
遅延に対し耐性があることを示す移動局(Mobile Station、MS)は、低優先度のインジケーター(low priority indicator)またはMTCインジケーターを定義する。
MEは、製造の過程でMTCに設定されるおよび/またはサービスネットワークにアクセスする時、オープンモバイルアライアンス(Open Mobile Alliance、OMA)デバイスマネジメント(Device Management、DM)および/または加入者識別モジュール(Subscriber Identity Module)/汎用加入者識別モジュール(Universal Subscriber Identity Module、SIM/USIM)オーバージエア(Over-The-Air、OTA)により設定される。PLMNアイデンティティが” 禁止PLMNリスト” または” GPRSサービスの禁止PLMN” リストに加えられる時、または、GPRSまたは非GPRSサービスに対し、SIM/USIMが無効に設定される時、MTCに設定されるMSまたは低優先度装置として設定されるMSは、24? 48時間の幅の乱数値で、バックオフタイマーT3245が開始され、この状況は、PLMNアイデンティティに関連するサービスネットワークが混雑またはオーバーロードで、且つ、通信トラフィックを減少させたい時に発生する。一旦、バックオフタイマーが開始すると、バックオフタイマーが期限切れになるまで、MSは、PLMNアイデンティティに関連するサービスネットワークへのアクセスを禁止し、バックオフタイマーが期限切れになる時、MSは、” 禁止PLMNリスト” および” GPRSサービスの禁止PLMN” リストを削除し、GPRSまたは非GPRSサービスに対し、SIM/USIMを有効に設定するので、PLMNアイデンティティに関連するサービスネットワークに再度アクセスすることができる。」

以上を総合すると、引用例6には、次の技術的事項(以下、「技術的事項6」という。)が記載されていると認められる。

「OTAを介してMTC端末の設定を行う。」

第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。
a.引用発明1の「無線通信システム」と「UE」は、それぞれ本願発明1の「ワイヤレス通信ネットワーク」と「ユーザ機器(UE)」に相当する。また、引用発明1の「ネットワーク」は本願発明1の「ネットワークエンティティ」に相当する。
そして、引用発明1の「UEの電力を節約するための方法」は、電力管理の方法に含まれる。
よって、引用発明1の「無線通信システムのUEの電力を節約するための方法」は、本願発明1の「ワイヤレス通信ネットワークにおける電力管理の方法」に含まれる。

b.引用発明1では「閾値は、MTCデバイスであるか否かや、移動度無し状態及び/または低移動度状態にあるかでネットワークにより変更され、」及び「ネットワークは閾値としてS_(intrasearch)及び移動度状態に応じて当該閾値に適用されうるスケーリングファクタを提供」される。ここで、UEは閾値を選択する上で、MTCデバイスであるか否か、つまりデバイスタイプを判別し、又は、移動度無し状態又は低移動度状態にあるか否か、つまり移動度に関する閾値に基づいて移動度状態を判別しているといえる。そして、引用発明1では、判別したデバイスタイプや移動度状態に基づいてUEは閾値を選択する上で、UEがどのようなデバイスタイプか、あるいは、UEがどのような移動度状態かを識別しているといえる。したがって、引用発明1は、本願発明1と同様に、「デバイスの特性、および/またはしきい値に基づいてユーザ機器(UE)を識別しているといえる。
よって、本願発明1の「デバイスの特性、および/またはしきい値に基づいて、ユーザ機器(UE)が定常超長期バッテリーデバイス設定に従って動作していると識別するステップ」と、引用発明1の「閾値は、MTCデバイスであるか否かや、移動度無し状態及び/または低移動度状態にあるかでネットワークにより変更され、」及び「ネットワークは閾値としてS_(intrasearch)及び移動度状態に応じて当該閾値に適用されうるスケーリングファクタを提供」は、「デバイスの特性、および/またはしきい値に基づいて、ユーザ機器(UE)を識別するステップ」の点で共通する。

c.引用発明1の「S_(intrasearch)」はアイドルモードセル測定のしきい値の一種であることは技術常識であるから、本願発明1の「アイドルモードセル測定しきい値」に含まれる。
また、引用発明1では「ネットワークは閾値としてS_(intrasearch)及び移動度状態に応じて当該閾値に適用されうるスケーリングファクタを提供」することから、本願発明1と同様に、UEでは閾値を調整するメッセージを受信し、閾値を調整するメッセージに基づいてアイドルモードセル測定しきい値を調整している。
よって、引用発明1の「ネットワークは閾値としてS_(intrasearch)及び移動度状態に応じて当該閾値に適用されうるスケーリングファクタを提供」することは、本願発明1の「前記UEが測定しきい値調整メッセージを受信するステップ」及び「前記測定しきい値調整メッセージに基づいてアイドルモードセル測定しきい値を調整するステップ」に一致する。

以上のことから、本願発明1と引用発明1との一致点及び相違点は、次のとおりである。

(一致点)
「ワイヤレス通信ネットワークにおける電力管理の方法であって、
デバイスの特性、および/またはしきい値に基づいて、ユーザ機器(UE)を識別するステップと、
前記UEが測定しきい値調整メッセージを受信するステップと、
前記測定しきい値調整メッセージに基づいてアイドルモードセル測定しきい値を調整するステップと
を含む、方法。」

(相違点)
1.ユーザ機器(UE)を識別するステップについて、本願発明1では「定常超長期バッテリーデバイス設定に従って動作していると識別する」のに対し、引用発明1では当該発明特定事項が特定されていない点。
2.アイドルモードセル測定しきい値を調整するための測定しきい値調整メッセージを受信するステップについて、本願発明1では「前記識別するステップにおいて識別された後、前記定常超長期バッテリーデバイス設定を有するとして前記UEを指定する信号を含む定常超長期バッテリーデバイス表示をネットワークエンティティに送信するステップと、
前記定常超長期バッテリーデバイス設定を有するとして前記UEを指定する前記信号を含む定常超長期バッテリーデバイス表示をネットワークエンティティに送信する前記ステップに応答して、前記ネットワークエンティティが前記定常超長期バッテリーデバイス表示に基づいて前記UEが前記定常超長期バッテリーデバイス設定に従って動作していると識別した後、
前記UEが測定しきい値調整メッセージを受信するステップ」であるのに対し、引用発明1では「ネットワークは閾値としてS_(intrasearch)及び移動度状態に応じて当該閾値に適用されうるスケーリングファクタを提供」すること、及び、「DRX期間、定期的な更新タイマなどのいくつかのパラメータであって、ネットワーク及びUEは同期される必要がある場合は、UEとネットワークとの間で調整が行われ、UEはネットワークに対してトリガが満たされたことを指示し、当該ネットワークによる明確なインジケーションを待って、UEは1つの状態へ移動する」ことが特定されているが、当該発明特定事項が特定されていない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点2について先に検討する。
引用発明1では、「DRX期間、定期的な更新タイマなどのいくつかのパラメータであって、ネットワーク及びUEは同期される必要がある場合は、UEとネットワークとの間で調整が行われ、UEはネットワークに対してトリガが満たされたことを指示し、当該ネットワークによる明確なインジケーションを待って、UEは1つの状態へ移動する」ものであるが、例えばアイドルモードセル測定しきい値であるS_(intrasearch)はネットワーク及びUEの間で同期される必要がない閾値であることから、引用発明1においてネットワークから調整される測定しきい値であるS_(intrasearch)をUEが受信する際に、「定常超長期バッテリーデバイス設定を有するとして前記UEを指定する信号を含む定常超長期バッテリーデバイス表示をネットワークエンティティに送信」を行う動機付けが見いだせない。
また、技術的事項2、5及び6においても、アイドルモードセル測定しきい値であるS_(intrasearch)をUEが受信する際に、UEからネットワークに対して「定常超長期バッテリーデバイス設定を有するとして前記UEを指定する信号を含む定常超長期バッテリーデバイス表示をネットワークエンティティに送信する」ことは行われておらず、本願優先日前において周知技術でもない。
したがって、上記相違点1について判断するまでもなく、本願発明1は、引用発明1と同一ではなく、また、当業者であっても引用発明1、技術的事項2、5及び6に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2.本願発明2ないし8について
本願発明2ないし8も、本願発明1の「前記識別するステップにおいて識別された後、前記定常超長期バッテリーデバイス設定を有するとして前記UEを指定する信号を含む定常超長期バッテリーデバイス表示をネットワークエンティティに送信するステップと、
前記定常超長期バッテリーデバイス設定を有するとして前記UEを指定する前記信号を含む定常超長期バッテリーデバイス表示をネットワークエンティティに送信する前記ステップに応答して、前記ネットワークエンティティが前記定常超長期バッテリーデバイス表示に基づいて前記UEが前記定常超長期バッテリーデバイス設定に従って動作していると識別した後、
前記UEが測定しきい値調整メッセージを受信するステップ」の発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明1と同一ではなく、また、当業者であっても、引用発明1、技術的事項2、5及び6に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第7 原査定についての判断
令和3年1月4日にされた手続補正により、補正後の請求項1ないし8に係る発明は、「前記識別するステップにおいて識別された後、前記定常超長期バッテリーデバイス設定を有するとして前記UEを指定する信号を含む定常超長期バッテリーデバイス表示をネットワークエンティティに送信するステップと、
前記定常超長期バッテリーデバイス設定を有するとして前記UEを指定する前記信号を含む定常超長期バッテリーデバイス表示をネットワークエンティティに送信する前記ステップに応答して、前記ネットワークエンティティが前記定常超長期バッテリーデバイス表示に基づいて前記UEが前記定常超長期バッテリーデバイス設定に従って動作していると識別した後、
前記UEが測定しきい値調整メッセージを受信するステップ」の発明特定事項を備えるものとなったが、当該構成は原査定における引用例1ないし6には記載されておらず、本願優先日前における周知技術でもないので、本願発明1ないし8は、引用発明1ではなく、また、当業者であっても、原査定における引用例1ないし6に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。


 
審決日 2021-03-23 
出願番号 特願2018-150120(P2018-150120)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04W)
P 1 8・ 536- WY (H04W)
P 1 8・ 537- WY (H04W)
P 1 8・ 113- WY (H04W)
最終処分 成立  
前審関与審査官 桑原 聡一  
特許庁審判長 廣川 浩
特許庁審判官 永田 義仁
中木 努
発明の名称 強化されたモバイル電力管理のための装置および方法  
代理人 黒田 晋平  
代理人 村山 靖彦  

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