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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1372209
審判番号 不服2020-3857  
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-03-23 
確定日 2021-04-08 
事件の表示 特願2016-184639「搬送ユニット」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 4月13日出願公開,特開2017- 73543,請求項の数(3)〕について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,本願は,平成28年2月26日に出願された特願2016-36054(優先権主張:平成27年2月27日,以下「原出願」という。)の一部を平成28年7月1日に新たな特許出願(特願2016-131378号)とし,さらに,その一部を平成28年9月21日に新たな特許出願(特願2016-184639号)としたものであり,その後の手続の概要は,以下のとおりである。
平成31年 2月21日 :上申書の提出
令和 元年10月 9日付け:拒絶理由通知書
令和 元年12月11日 :意見書,手続補正書の提出
令和 元年12月20日付け:拒絶査定
令和 2年 3月23日 :審判請求書,手続補正書の提出
令和 2年 5月29日 :上申書の提出
令和 2年10月20日付け:拒絶理由通知書(最後)
令和 2年12月15日 :意見書,手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和元年12月20日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1ないし4に係る発明は,以下の引用文献Aに記載された発明と引用文献B,Cに記載された周知技術に基づいて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
A.特開2008-251678号公報
B.特開平5-343486号公報
C.特開2014-29917号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
本願請求項1ないし4に係る発明は,以下の引用文献1ないし3に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2009-32801号公報
2.特開2014-77671号公報
3.特開2008-251678号公報(拒絶査定時の引用文献A)

第4 本願発明
本願請求項1ないし3に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明3」という。)は,令和2年12月15日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される発明であり,本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
搬送物収納部と複数の測定部との間で搬送物を搬送する搬送ユニットであって,
前記搬送物収納部及び前記測定部のいずれか一方から他方に前記搬送物であるプローブカードを搬送する場合,前記搬送物の搬送環境が前記他方の環境に近づくように前記搬送物の搬送環境を制御する環境制御手段を備え,
前記搬送物を収納する筐体を有し,
前記筐体には前記搬送物が出入りする開口が形成され,前記開口はエアカーテンにより閉塞され,
前記環境制御手段は,前記搬送物の搬送環境として前記筺体内の環境を制御する,
搬送ユニット。」

なお,本願発明2,3は,それぞれ,本願発明1を減縮した発明である。

第5 引用文献,引用発明等
1 引用文献1について
令和2年10月20日付けの拒絶の理由に引用された引用文献1には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は,当審で付した。以下同じ。)。
「【請求項1】
高温検査または低温検査を行う検査装置に用いられるプローブカードを搬送する台車において,上記プローブカードが着脱自在に装着される台座と,この台座に装着される上記プローブカードを,上記被検査体の検査で要求される所定の温度まで加熱または冷却する温度調節機構と,を備えたことを特徴とするプローブカード用台車。」

「【請求項5】
高温検査または低温検査を行う検査装置にプローブカードを着脱する際のプローブカードの取り扱い方法であって,上記プローブカードを台車の台座に装着する工程と,上記台座に装着された上記プローブカードを,上記台車内の温度調節機構を介して上記高温検査または低温検査で要求される所定の温度まで加熱または冷却する工程と,上記所定の温度に調整された上記プローブカードを上記検査装置に装着する工程と,を備えたことを特徴とするプローブカードの取り扱い方法。」

「【0001】
本発明は,高温検査または低温検査を行う検査装置にプローブカードを着脱する際に用いられるプローブカード用台車に関し,更に詳しくは,台車で搬送したプローブカードを検査装置に装着した直後からウエハ等の被検査体の高温検査または低温検査を行うことができ,延いては被検査体の検査時間を短縮することができるプローブカード用台車及びこの台車を用いるプローブカードの取り扱い方法に関するものである。」

「【0007】
高温検査または低温検査を行う場合には,それぞれの検査に応じてプローブカード6を交換する必要がある。プローブカード6は,ウエハWの大口径化及びデバイスの微細化に伴って重量化しており,オペレータによる持ち運びができない。そこで,プローブカード6を保管場所と検査装置の間で搬送する場合には台車を用いる。」

したがって,上記引用文献1には,次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「プローブカードを保管場所と,高温検査または低温検査を行う検査装置の間で搬送する場合に用いるプローブカード用台車であって,
前記プローブカードが着脱自在に装着される台座と,
前記プローブカードを,前記高温検査または低温検査で要求される所定の温度まで加熱または冷却することができる台車内の温度調節機構とを備え,
台車で搬送したプローブカードを前記検査装置に装着した直後からウエハ等の被検査体の高温検査または低温検査を行うことができ,延いては被検査体の検査時間を短縮することができるプローブカード用台車。」

2 引用文献2について
令和2年10月20日付けの拒絶の理由に引用された引用文献2には,図面とともに次の事項が記載されている。
「【0023】
図1は,本実施の形態に係るプローブカード取り付け方法が適用されるウエハ検査装置の構成を概略的に示す水平断面図であり,図2は,図1における線II-IIに沿う断面図である。
【0024】
図1及び図2において,ウエハ検査装置10は検査室11を備え,該検査室11は,ウエハの半導体デバイスの電気的特性検査を行う検査領域12と,検査室11に対するウエハや後述するプローブカード20の搬出入を行う搬出入領域13と,検査領域12及び搬出入領域13の間に設けられた搬送領域14とを有する。
【0025】
検査領域12には複数のウエハ検査用インターフェースとしてのテスター15が配置される。具体的には,水平に配列された複数のテスターからなるテスター列の3層構造を有し,テスター列の各々に対応して1つのテスター側カメラ16(第2のカメラ)が配置される。各テスター側カメラ16は対応するテスター列に沿って水平に移動し,テスター列を構成する各テスター15の前に位置して後述する搬送ステージ18が搬送するプローブカード20等の位置を確認する。
【0026】
搬出入領域13は複数の収容空間17に区画され,各収容空間17には複数のウエハを収容する容器,例えば,FOUPを受け入れるポート17a,ウエハの位置合わせを行うアライナー17b,プローブカード20が搬入され且つ搬出されるローダ17cやウエハ検査装置10の各構成要素の動作を制御するコントローラ17dが配置される。
【0027】
搬送領域14には該搬送領域14だけでなく検査領域12や搬出入領域13へも移動自在な搬送ステージ18が配置される。搬送ステージ18は,搬出入領域13のポート17aからウエハを受け取って各テスター15へ搬送し,また,半導体デバイスの電気的特性の検査が終了したウエハを各テスター15からポート17aへ搬送する。さらには,搬送ステージ18は各テスター15からメンテナンスを必要とするプローブカード20を搬出入領域13のローダ17cへ搬送し,また,新規やメンテナンス済みのプローブカード20をローダ17cから各テスター15へ搬送する。」

「【0038】
搬送ステージ18は移動自在であるため,ポゴフレーム19の下方へ移動して装着されたプローブカード20をポゴフレーム19へ対向させることができるとともに,ポゴフレーム19へ向けて移動して装着されたプローブカード20をポゴフレーム19へ当接させることができる。ウエハ検査装置10では,搬送ステージ18の移動はコントローラ17dによって制御され,該コントローラ17dは搬送ステージ18の位置や移動量を把握する。」

「【0079】
また,上述した実施の形態におけるプローブカード取り付け方法や本プローブカード取り外し方法は複数のテスター15を備えるウエハ検査装置10に適用されたが,テスターを1つのみ備える従来のプローバにも適用することができる。」





したがって,上記引用文献2には次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「複数のテスター15を備えるウエハ検査装置10において使用される,プローブカード20の取り付けや取り外しに用いられる搬送ステージ18であって,
前記ウエハ検査装置10は検査室11を備え,該検査室11は,ウエハの半導体デバイスの電気的特性検査を行う検査領域12と,検査室11に対するウエハやプローブカード20の搬出入を行う搬出入領域13と,検査領域12及び搬出入領域13の間に設けられた搬送領域14とを有し,
前記検査領域12には複数のウエハ検査用インターフェースとしてのテスター15が配置され,
前記搬出入領域13は複数の収容空間17に区画され,各収容空間17には,プローブカード20が搬入され且つ搬出されるローダ17cが配置され,
搬送領域14には該搬送領域14だけでなく検査領域12や搬出入領域13へも移動自在な前記搬送ステージ18が配置され,該搬送ステージ18は各テスター15からメンテナンスを必要とするプローブカード20を搬出入領域13のローダ17cへ搬送し,また,新規やメンテナンス済みのプローブカード20をローダ17cから各テスター15へ搬送する
搬送ステージ18。」

3 引用文献3について
令和2年10月20日付けの拒絶の理由に引用された引用文献3には,図面とともに次の事項が記載されている。
「【請求項1】
低温検査を行う検査室へ被検査体を搬送する搬送アームを備えた搬送装置であって,上記搬送装置は,上記搬送アームが出入する出入口を有するアーム収納室を備え,上記アーム収納室に低露点ガスを異なる位置から供給する第1,第2の供給部を有するガス供給手段を設け,第1の供給部から上記搬送アームによって上記アーム収納室内に搬入される上記被検査体に向けて低露点ガスを供給することを特徴とする被検査体の搬送装置。」

「【技術分野】
【0001】
本発明は,被検査体の搬送装置及び検査装置に関し,更に詳しくは,半導体ウエハ等の被検査体の低温検査に用いられる被検査体の搬送装置及び検査装置に関するものである。」

「【0003】
プローバ室では低温で検査を行うため,例えば特許文献1に記載されている半導体ウエハで結露,氷結しないように低温検査に見合った低露点の乾燥空気をプローバ室内に供給し,プローバ室内の検査環境を低露点に維持している。プローバ室内で低温検査を終了すると,搬送アームを介してプローバ室内のウエハチャックからローダ室へ検査済みの半導体ウエハを搬出し,カセット内へ戻している。この際,特許文献1の検査装置の場合にはプローバ室の低露点環境からそのような対策が採られていないローダ室のカセットへ検査済みの半導体ウエハを搬送するため,半導体ウエハがカセットへ搬入されるまでの間に結露,氷結する。このローダ室内及びカセット内は通常クリーンルームに準じた環境,例えば温度25℃,湿度50%(露点:13℃)の環境に維持されている。
【0004】
カセット内での半導体ウエハにおける結露,氷結を防止するために,プローバ室内でスリーピンを用いて半導体ウエハをウエハチャックから浮かせ,ローダ室内で半導体ウエハに結露しない温度(露点)に戻るまで半導体ウエハを所定時間待機させ,ウエハ温度が露点に達した時点で,搬送アームによってウエハチャック上の半導体ウエハをローダ室のカセット内へ戻している。これでは,ウエハ温度が露点に達するまで相当の待機時間が必要である。
【0005】
そこで,ウエハ搬送装置に低露点環境を持った空間を設け,ウエハチャックでの待機時間をなくし,ウエハ搬送装置の低露点環境に検査済みの半導体ウエハをそのまま搬入してウエハ温度をカセット内で結露しない温度まで復帰させるようにしている。」

「【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら,ウエハ搬送装置に低露点環境を設けたとしても,カセット内の環境はクリーンルーム内の環境に近いため,低温検査済みの半導体ウエハをカセット内に戻すためには,ウエハ温度がカセット内の露点に復帰するまで低露点環境で所定時間だけ待機させなくてはならない。最近では低温検査時間が短縮する傾向にあるため,低露点環境でウエハ温度がカセット内の露点まで復帰する時間を待機させていては次の半導体ウエハの供給が間に合わなくなることがある。また,低露点環境で待機させる時間をその都度設定する必要がある。
【0008】
本発明は,上記課題を解決するためになされたもので,低温検査済みの被検査体を,通常の搬送時間内の短時間で結露しない温度まで復帰させることができ,低温検査時間が短縮されても検査済みの被検査体を待機させることなくそのままもとの場所へ戻し,次の被検査体を供給して低温検査を円滑に実行することができる被検査体の搬送装置及び検査装置を提供することを目的としている。」

「【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下,図1?図3に示す実施形態に基づいて本発明を説明する。尚,各図中,図1は本発明の検査装置の一実施形態の構成を示す平面図,図2は図1に示す検査装置の搬送室内部の側面を示す構成図,図3の(a),(b)はそれぞれ検査直後の半導体ウエハ各部位の温度を測定する状態を示す図で,(a)はその平面図,(b)はその側面図である。
【0020】
本実施形態の検査装置10は,例えば図1に示すように,-数10℃(例えば,-30℃)の低温で被処理体(例えば,半導体ウエハ)の電気的特性検査を行う検査室(プローバ室)11と,プローバ室11に隣接し半導体ウエハを搬送する搬送室(ローダ室)12と,を備えている。尚,図1では左が検査装置10の正面である。」

「【0027】
本実施形態のウエハ搬送装置17は,図2に示すように,半導体ウエハWを搬送するために基板12B上で前後方向に移動する搬送アーム17Aと,基板17Bの下側に設けられ且つ基板17Bを介して搬送アーム17Aを回転させる回転駆動機構(図示せず)を収納する収納部17Cと,収納部17Cと一緒に搬送アーム17Aを昇降させる昇降駆動機構17Dと,を有している。また,基板17B上面には搬送アーム17Aを収納するアーム収納室17Eが設けられている。このアーム収納室17Eの前面には搬送アーム17Aが出入する出入口17Fが形成され,搬送アーム17Aは半導体ウエハWを授受する時にこの出入口17Fから出入するようになっている。この搬送アーム17Aは,図2に示すように上下二段のアームによって構成されている。一方のアームは半導体ウエハWをプローバ室11へ引き渡す時に使用され,他方のアームは検査済みの半導体ウエハWをプローバ室11から引き取る時に使用される。
【0028】
また,ウエハ搬送装置17にはアーム収納室17E内に低露点のガス(例えば,乾燥空気)を供給するガス供給手段23が設けられている。このガス供給手段23は,アーム収納室17Eの上面で,その出入口17Fの近傍に設けられた第1の供給部(複数のガス噴出口)23Aと,こられのガス噴出口23Aに乾燥空気を分配する分配器23Bと,この分配器23Bに第1の配管23Cを介して接続されたソレノイドバルブ23Dと,ソレノイドバルブ23Dに第2の配管23Eを介して接続された乾燥空気源23Fと,ソレノイドバルブ23Dとアーム搬送室17Eを接続し且つアーム収納室17Eの奥側に第2の供給部として配置された第3の配管23Gと,を有している。
【0029】
低温検査時には,ソレノイドバルブ23Dによって第3の配管23Gを開放し,第3の配管23Gからアーム収納室17E内へ乾燥空気を供給し,アーム収納室17E内が乾燥空気によって常に低露点環境になっている。低温検査済みの半導体ウエハWを搬送アーム17Aでアーム収納室17E内に搬入する時には,制御装置でソレノイドバルブ23Dを制御することによってガス噴出口23A及び/または第3の配管23Gからアーム収納室17E内に乾燥空気を供給し,アーム収納室17Eの出入口17Fから外部へ乾燥空気を円滑に排出するようにしてある。ウエハ搬送装置17の設置空間は,第3の配管23Gから乾燥空気を供給するまでは,例えば温度25℃,湿度50%(露点:13℃)のクリーンルームに準じた環境になっているが,第3の配管23G等から乾燥空気を供給することによって露点が13℃より低く,後述のように例えば9℃程度まで低下する。」

「【0034】
従って,上述したいずれの場合でもプローバ室11からカセットC内へ半導体ウエハWを搬送する時間内でウエハ温度を半導体ウエハWにおいて結露しない温度まで上げることができ,特別にアーム収納室17E内で待機させる時間を設定する必要がない。」









したがって,上記引用文献3には次の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。
「ローダ室のカセットと,低温検査を行う検査室との間で,被検査体である半導体ウエハを搬送する搬送アームを備えた搬送装置であって,
上記搬送装置は,上記搬送アームが出入する出入口を有するアーム収納室を備え,
上記アーム収納室の前面には搬送アームが出入する出入口17Fが形成され,搬送アームが上記半導体ウエハを授受する時にこの出入口17Fから出入するようになっており,
上記アーム収納室に低露点ガスを異なる位置から供給する第1,第2の供給部を有するガス供給手段を設け,低温検査済みの半導体ウエハを搬送アーム17でアーム収納室内に搬入する時には,制御装置でソレノイドバルブを制御することによって上記第1の供給部であるガス噴出口23A及び/または上記第2の供給部である第3の配管23Gからアーム収納室内に乾燥空気を供給し,アーム収納室の出入口17Fから外部へ乾燥空気を円滑に排出するようにして,低温検査済みの半導体ウエハを,通常の搬送時間内の短時間で結露しない温度まで復帰させる
被検査体の搬送装置。」

第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)引用文献1を主引例とした進歩性の検討
ア 対比
本願発明1と引用発明1とを対比すると,次のことがいえる。
(ア)引用発明1の「保管場所」,「検査装置」,及び,「前記プローブカードを,前記高温検査または低温検査で要求される所定の温度まで加熱または冷却することができる台車内の温度調節機構」は,それぞれ,本願発明1の「搬送物収納部」,「測定部」,及び,「前記搬送物の搬送環境が前記他方の環境に近づくように前記搬送物の搬送環境を制御する環境制御手段」に相当する。

(イ)引用発明1の「プローブカード用台車」と,本願発明1の「搬送ユニット」とは,「搬送ユニット」である点で一致する。

したがって,本願発明1と引用発明1との間には,次の一致点,相違点があるといえる。

(一致点)
「搬送物収納部と測定部との間で搬送物を搬送する搬送ユニットであって,
前記搬送物収納部及び前記測定部のいずれか一方から他方に前記搬送物であるプローブカードを搬送する場合,前記搬送物の搬送環境が前記他方の環境に近づくように前記搬送物の搬送環境を制御する環境制御手段を備えた
搬送ユニット。」

(相違点)
(相違点1)本願発明1の測定部は,「複数」であるのに対して,引用発明1は,そのような構成が特定されていない点。

(相違点2)本願発明1が,「前記搬送物を収納する筐体を有し,前記筐体には前記搬送物が出入りする開口が形成され,前記開口はエアカーテンにより閉塞され,前記環境制御手段は,前記搬送物の搬送環境として前記筺体内の環境を制御する」という構成を備えるのに対して,引用発明1は,そのような構成が特定されていない点。

イ 相違点についての判断
事案にかんがみて,上記相違点2について先に検討すると,引用文献2,3には,相違点2に係る構成は記載されておらず,また,引用発明1に係る「プローブカード用台車」に,「エアカーテンにより閉塞され」る開口を設ける動機を見いだすこともできない。
そうすると,引用発明1において,相違点2に係る本願発明1の構成を採用することは当業者が容易になし得たことではない。

したがって,他の相違点について判断するまでもなく,本願発明1は,当業者であっても引用発明1,引用文献2,3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

(2)引用文献2を主引例とした進歩性の検討
ア 対比
本願発明1と引用発明2とを対比すると,次のことがいえる。
(ア)引用発明2の「搬出入領域13のローダ17c」,「テスター15」,及び,「プローブカード20」は,それぞれ,本願発明1の「搬送物収納部」,「測定部」,及び,「搬送物であるプローブカード」に相当する。

(イ)引用発明2の「搬送ステージ18」と,本願発明1の「搬送ユニット」とは,「搬送ユニット」である点で一致する。

したがって,本願発明1と引用発明2との間には,次の一致点,相違点があるといえる。

(一致点)
「搬送物収納部と複数の測定部との間で搬送物を搬送する搬送ユニットであって,
前記搬送物収納部及び前記測定部のいずれか一方から他方に前記搬送物であるプローブカードを搬送する
搬送ユニット。」

(相違点)
(相違点3)本願発明1が,「前記搬送物の搬送環境が前記他方の環境に近づくように前記搬送物の搬送環境を制御する環境制御手段を備え,前記搬送物を収納する筐体を有し,前記筐体には前記搬送物が出入りする開口が形成され,前記開口はエアカーテンにより閉塞され,前記環境制御手段は,前記搬送物の搬送環境として前記筺体内の環境を制御する」という構成を備えるのに対し,引用発明2はそのような構成が特定されていない点。

イ 相違点についての判断
引用文献1,3には,「搬送物を収納する筐体を有し,前記筐体には前記搬送物が出入りする開口が形成され,前記開口はエアカーテンにより閉塞され」るという構成は記載されておらず,また,引用発明2に係る「搬送ステージ18」に,「エアカーテンにより閉塞され」る開口を設ける動機を見いだすこともできない。
そうすると,引用発明2において,相違点3に係る本願発明1の構成を採用することは当業者が容易になし得たことではない。

したがって,本願発明1は,当業者であっても引用発明2,引用文献1,3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2,3について
本願発明2,3も,本願発明1の「搬送物を収納する筐体を有し,前記筐体には前記搬送物が出入りする開口が形成され,前記開口はエアカーテンにより閉塞され」るという構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明1又は2と,引用文献1ないし3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第7 原査定についての判断
1 本願発明
本願発明1ないし3は,上記第4に記載したとおりである。

2 引用文献,引用発明等
原査定(令和元年12月20日付け拒絶査定)に引用された引用文献A(当審拒絶理由時の引用文献3)に記載された事項,及び,引用文献Aに記載された発明(引用発明3)は,上記第5の3に記載したとおりである。

3 対比・判断
(1)本願発明1について
ア 対比
本願発明1と引用発明3とを対比すると,次のことがいえる。
(ア)引用発明3の「ローダ室のカセット」,「低温検査を行う検査室」,及び,「上記アーム収納室に低露点ガスを異なる位置から供給する第1,第2の供給部を有するガス供給手段」は,それぞれ,本願発明1の「搬送物収納部」,「測定部」,及び,「前記搬送物の搬送環境が前記他方の環境に近づくように前記搬送物の搬送環境を制御する環境制御手段」に相当する。

(イ)引用発明3の「被検査体である半導体ウエハ」と,本願発明1の「搬送物であるプローブカード」とは,「搬送物」である点で一致する。

(ウ)引用発明3の「アーム収納室」,「搬送アームが出入する出入口17F」は,それぞれ,本願発明1の「搬送物を収納する筐体」,「前記搬送物が出入りする開口」に相当する。

(エ)引用発明3の「搬送装置」と,本願発明1の「搬送ユニット」とは,「搬送ユニット」である点で一致する。

したがって,本願発明1と引用発明3との間には,次の一致点,相違点があるといえる。

(一致点)
「搬送物収納部と測定部との間で搬送物を搬送する搬送ユニットであって,
前記搬送物収納部及び前記測定部のいずれか一方から他方に前記搬送物を搬送する場合,前記搬送物の搬送環境が前記他方の環境に近づくように前記搬送物の搬送環境を制御する環境制御手段を備え,
前記搬送物を収納する筐体を有し,
前記筐体には前記搬送物が出入りする開口が形成され,
前記環境制御手段は,前記搬送物の搬送環境として前記筺体内の環境を制御する,
搬送ユニット。」

(相違点)
(相違点4)本願発明1の測定部は,「複数」であるのに対して,引用発明3は,そのような構成が特定されていない点。

(相違点5)本願発明1の搬送物が,「プローブカード」であるのに対して,引用発明3では,「半導体ウエハ」である点。

(相違点6)本願発明1が,「前記開口はエアカーテンにより閉塞され」るという構成を備えるのに対して,引用発明3は,そのような構成が特定されていない点。

イ 相違点についての判断
(ア)相違点5について
引用発明3は,「低温検査済みの半導体ウエハを,通常の搬送時間内の短時間で結露しない温度まで復帰させる」ことを解決すべき課題とした発明であって,このような発明である「被検査体の搬送装置」を,プローブカードを搬送する搬送ユニットとして用いる動機を見いだすことはできない。
そうすると,引用発明3において,相違点5に係る本願発明1の構成を採用することは当業者が容易になし得たことではない。

(イ)相違点6について
引用発明3は,「低温検査済みの半導体ウエハを搬送アーム17でアーム収納室内に搬入する時には,制御装置でソレノイドバルブを制御することによって上記第1の供給部であるガス噴出口23A及び/または上記第2の供給部である第3の配管23Gからアーム収納室内に乾燥空気を供給し,アーム収納室の出入口17Fから外部へ乾燥空気を円滑に排出する」という構成を備えているから,引用発明3において,相違点6に係る本願発明1の構成を採用すること,すなわち,引用発明3において,外部へ乾燥空気を円滑に排出するアーム収納室の出入口17Fを,エアカーテンにより閉塞することには阻害事由が存在する。
そうすると,引用発明3において,相違点6に係る本願発明1の構成を採用することは当業者が容易になし得たことではない。

したがって,相違点4について判断するまでもなく,本願発明1は,当業者であっても引用発明3と,引用文献B,Cに記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2,3について
本願発明2,3も,本願発明1の搬送物が,「プローブカード」であるという構成,及び,「前記開口はエアカーテンにより閉塞され」るという構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明3と,引用文献B,Cに記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
したがって,原査定を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり,原査定の理由によって,本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。

 
審決日 2021-03-25 
出願番号 特願2016-184639(P2016-184639)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中田 剛史  
特許庁審判長 辻本 泰隆
特許庁審判官 井上 和俊
加藤 浩一
発明の名称 搬送ユニット  
代理人 松浦 憲三  
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