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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G02B
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G02B
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G02B
管理番号 1372281
審判番号 不服2020-2169  
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-02-18 
確定日 2021-04-06 
事件の表示 特願2018-220022「偏光板および表示装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年10月24日出願公開、特開2019-185007、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 事案の概要
1 手続等の経緯
特願2018-220022号(以下「本件出願」という。)は,平成30年11月26日(先の出願に基づく優先権主張 平成30年4月11日)に出願された特許出願であるところ,その手続等の経緯の概要は,以下のとおりである。
平成31年 3月27日付け:拒絶理由通知書
令和 元年 5月30日付け:意見書
令和 元年 5月30日付け:手続補正書
令和 元年 7月22日付け:拒絶理由通知書
令和 元年 9月 6日付け:意見書
令和 元年 9月 6日付け:手続補正書
令和 元年11月13日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和 2年 2月18日付け:審判請求書
令和 2年 2月18日付け:手続補正書
令和 2年11月27日付け:拒絶理由通知書
令和 2年12月22日付け:意見書
令和 2年12月22日付け:手続補正書

2 本願発明
本件出願の請求項1?請求項6に係る発明は,令和2年12月22日にした手続補正後の特許請求の範囲の請求項1?請求項6に記載された事項によって特定されるとおりの,以下のものである。
「【請求項1】
偏光板と位相差フィルムとが接着層を介して積層された円偏光板であって,
前記円偏光板は,その表面に粘着剤層を有し,
前記偏光板は,偏光子を有し,
前記位相差フィルムは,前記偏光板と前記粘着剤層との間に配置され,
前記位相差フィルムは位相差層を1層のみ含み,
前記位相差層は,重合性液晶化合物が硬化した層を含み,
前記位相差フィルムは,突刺し弾性率が15gf/mm以上90gf/mm以下であり,前記円偏光板の形状は実質的に矩形であり,
前記偏光板において,前記偏光子の位相差フィルム側とは反対側の面に保護フィルムが積層されており,
前記保護フィルムは,延伸フィルムであり,
前記保護フィルムの延伸方向と円偏光板の短辺方向とが実質的に平行であり,
前記突刺し弾性率は,先端径が1mmφ,0.5Rであるニードルを用いて,突刺し速度が0.33cm/秒である試験で測定される弾性率であり,当該試験は,直径11mmの円形の穴が開いた2枚の板の間に位相差フィルムを固定した状態で行われる円偏光板。

【請求項2】
前記偏光子は厚みが15μm以下である請求項1に記載の円偏光板。

【請求項3】
前記位相差フィルムの厚みが25μm以下である請求項1?請求項2のいずれかに記載の円偏光板。

【請求項4】
前記偏光子は,液晶化合物が硬化した層から形成される請求項1?請求項3のいずれかに記載の円偏光板。

【請求項5】
請求項1?請求項4のいずれかに記載の円偏光板と前面板とが接着層を介して積層された前面板付き円偏光板。

【請求項6】
請求項1?請求項5いずれかに記載の円偏光板が,前記粘着剤層を介して,表示素子に積層されている表示装置。」

3 原査定の拒絶の理由
本件出願の請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)は,原査定時の請求項6に係る発明に対応するものであるところ,この発明に対する原査定の拒絶の理由は,概略,本願発明1は,先の出願前に日本国内又は外国において,頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて,先の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。
引用文献2:特開2016-224128号公報
引用文献3:特開2015-163935号公報
引用文献4:特開2005-320317号公報
引用文献6:特開2017-194717号公報
引用文献7:特開2003-177243号公報
引用文献8:特開2011-13435号公報
引用文献9:特開2010-49146号公報
引用文献10:特開2018-54887号公報
(主引用例は,引用文献2?引用文献4及び引用文献7であり,その他は周知技術を例示する文献である。)

4 当合議体が通知した拒絶の理由
当合議体が通知した拒絶の理由は,概略,本件出願の特許請求の範囲の記載は,特許を受けようとする発明が,明確であるということができないから,特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない,というものである。

第2 当合議体の判断
1 引用文献2を主引用例とした場合について
(1) 引用文献2の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2016-224128号公報)は,先の出願前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明が記載された文献であるところ,そこには以下の記載がある。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は,光学積層体の製造方法,当該製造方法により製造してなる光学積層体,光学異方性積層体,円偏光板,及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
位相差板等の光学異方性を有するフィルムは,液晶表示装置及び有機エレクトロルミネッセンス(以下において「有機EL」と呼ぶことがある)表示装置等の表示装置の構成要素として,広く用いられている。特に,λ/4,λ/2等の所望の位相差を有する複数層の光学異方性層を備える光学積層体は,有機EL表示装置の反射防止フィルムとして用いられている(例えば特許文献1)。
…省略…
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上に述べた従来技術により複数層の光学異方性層を有する光学積層体を製造する方法は,複数枚の基材の上にそれぞれの光学異方性層を形成しそれらを貼合する方法と,1層の基材の上に光学異方性層を順次形成する方法とに大別される。前者は,工程が煩雑であるという問題点がある。一方後者は,基材の直上に形成する1層目の光学異方性層には良好な品質を付与することが可能だが,2層目以上の光学異方層の形成においては,表面にスジが入る等の不具合が起きやすいという問題点がある。
【0006】
従って,本発明の目的は,高品質な複数層の光学異方性層を有する光学積層体を簡便且つ効率的に製造することができる,光学積層体の製造方法,並びに,高品質で簡便且つ効率的に製造できる光学積層体,光学異方性積層体,円偏光板,及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は前記の課題を解決するべく検討した結果,特定の基材の上に光学異方性層を順次形成する方法において,第2の光学異方性層を形成する際に光配向層により配向規制力を付与し,さらに,各層を形成する操作の条件を特定のものとすることにより,上記課題を解決しうることを見出し,本発明を完成した。
…省略…
【発明の効果】
【0009】
本発明の光学積層体の製造方法によれば,高品質な複数層の光学異方性層を有する光学積層体を簡便且つ効率的に製造することができる。また,本発明の光学積層体,光学異方性積層体,円偏光板,及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置は,高品質で簡便且つ効率的に製造できる。」

イ 「【発明を実施するための形態】
【0011】
…省略…
【0013】
〔2.工程(I):基材〕
本発明において用いる基材は,長尺状の基材である。
…省略…
【0031】
長尺状の基材は,好ましくは,ロール状の形状として調製し,これを使用時に繰り出すことにより,本発明の製造方法に供しうる。
【0032】
好ましい態様において,基材は,配向規制力を有する。配向規制力は,この上に形成される液晶組成物の層における液晶化合物の配向を規制する能力である。基材への配向規制力の付与は,延伸前の基材を延伸し,延伸基材とすることにより,好ましく行いうる。
…省略…
【0036】
〔3.工程(I)〕
本発明の光学積層体の製造方法の工程(I)では,基材上に,直接,第1の液晶組成物を塗布し,第1の液晶組成物の層を得る。
…省略…
【0041】
〔3.1.第1の液晶組成物〕
第1の液晶組成物は,第1の液晶化合物を含有する組成物である。
【0042】
本願において,第1の液晶組成物の成分としての第1の液晶化合物とは,第1の液晶組成物に配合し配向させた際に,液晶相を呈しうる化合物である。重合性液晶化合物とは,かかる液晶相を呈した状態で第1の液晶組成物中で重合し,液晶相における分子の配向を維持したまま重合体となりうる液晶化合物である。
…省略…
【0050】
〔3.1.2.第1の液晶組成物のその他の成分〕
…省略…
【0051】
第1の液晶組成物は,重合開始剤を含みうる。
…省略…
【0057】
第1の液晶組成物は,表面張力を調整するための,界面活性剤を含みうる。
…省略…
【0058】
第1の液晶組成物は,有機溶媒等の溶媒を含みうる。
…省略…
【0061】
〔4.工程(II)〕
本発明の光学積層体の製造方法の工程(II)では,第1の液晶組成物の層中の第1の液晶化合物を配向させ,第1の液晶組成物の層に不活性ガス雰囲気下で活性エネルギー線を照射し第1の液晶組成物を硬化させ,第1光学異方性層を形成する。
…省略…
【0068】
〔5.工程(III)〕
本発明の光学積層体の製造方法の工程(III)では,第1光学異方性層上に,直接,光配向材料を含む液(以下において「光配向材料液」ということがある。)を塗布して光配向材料液の層を得て,不活性ガス雰囲気下,基材の幅手方向と異なる方向の照射偏光方向を有する偏光紫外線を光配向材料の層に照射し,光配向層を形成する。
…省略…
【0082】
〔6.工程(IV)〕
本発明の光学積層体の製造方法の工程(IV)では,光配向層上に,直接,第2の液晶化合物を含有する第2の液晶組成物を塗布して第2の液晶組成物の層を得て,第2の液晶組成物の層中の第2の液晶化合物を配向させ,第2の液晶組成物の層に活性エネルギー線を照射し第2の液晶組成物を硬化させ,第2光学異方性層を形成する。
…省略…
【0085】
〔7.光学異方性層の光学的特性等〕
好ましい態様において,第1光学異方性層及び前記第2光学異方性層の一方はλ/4波長板であり,他方がλ/2波長板である。
…省略…
【0086】
第1光学異方性層の遅相軸方向は,基材の配向軸と平行となりうる。また,第2光学異方性層の遅相軸方向は,偏光紫外線の照射偏光方向と平行となりうる。
より具体的には,第1光学異方性層の遅相軸と基材の幅手方向とがなす角度を,略75°又は略15°といった特定の範囲としうる。また,第2光学異方性層の遅相軸と基材の幅手方向とがなす角度を,略15°又は略75°といった特定の範囲としうる。また,第1光学異方性層の遅相軸と第2光学異方性層の遅相軸とがなす角は,好ましくは55°?65°,より好ましくは56°?64°,さらにより好ましくは57°?63°としうる。遅相軸をこのような特定の範囲とすることにより,広帯域反射防止フィルムの材料として有用に用いうる光学積層体を,効率的に製造することができる。
…省略…
【0090】
〔8.光学異方性積層体〕
本発明の光学異方性積層体は,第1光学異方性層,光配向膜,及び第2光学異方性層をこの順に備える光学異方性積層体であって,前記本発明の光学積層体より基材を剥離してなる。本願においては,光学積層体より得られたこのような構成を有する積層体を,光学積層体と文言上区別するため「光学異方性積層体」と称する。
…省略…
【0092】
〔9.円偏光板〕
本発明の円偏光板は,前記本発明の光学異方性積層体と,長尺状の直線偏光子とをロールツーロールで貼合してなる。ロールツーロールでの貼合とは,長尺状のフィルムのロールからフィルムを繰り出し,これを搬送し,搬送ライン上で他のフィルムとの貼合の工程を行い,さらに得られた貼合物を巻き取りロールとする態様の貼合をいう。
…省略…
【0110】
〔10.有機エレクトロルミネッセンス表示装置〕
本発明の有機エレクトロルミネッセンス表示装置は,前記本発明の円偏光板を備える。本発明の有機エレクトロルミネッセンス表示装置において,円偏光板は,反射防止フィルムとして機能しうる。」

ウ 「【実施例】
【0111】
…省略…
【0117】
〔製造例1:延伸前基材A〕
熱可塑性ノルボルネン樹脂のペレット(日本ゼオン株式会社製,商品名「ZEONOR1420R」,Tg137℃)を100℃で5時間乾燥させた。乾燥させたペレットを押し出し機に供給し,押し出し機内で溶融させ,ポリマーパイプおよびポリマーフィルターを通し,Tダイからキャスティングドラム上にシート状に押し出し,冷却し,マスキングフィルム(トレテガー社製,FF1025)で保護しながら巻取り,厚み80μm,幅1490mmの延伸前基材のロール(A)を得た。
…省略…
【0120】
〔製造例4:液晶組成物A〕
重合性液晶化合物(商品名「LC242」BASF社製,式(A1)で示される化合物)24.15部,界面活性剤(商品名「フタージェントFTX-209F」,ネオス社製)0.12部,重合開始剤(商品名「IRGACURE379」,BASF社製)0.73部,及び溶媒(メチルエチルケトン)75.00部を混合し,液晶組成物を調製した。
【0121】
【化1】

【0122】
〔実施例1〕
(1-1.延伸基材)
製造例1で得た長尺の延伸前基材Aを,ロール(A)から引き出し,連続的にマスキングフィルムを剥離してテンター延伸機に供給し,基材の配向角が幅手方向に対して15°となるように斜め延伸を行った。新たなマスキングフィルム(トレテガー社製,FF1025)で保護しながら延伸された基材を巻き取り,延伸基材のロールを得た。得られた延伸基材の遅相軸は幅手方向に対して15°,Reは265nm,膜厚は40μmであった。また,液晶組成物を塗布する面の表面粗さ(Ra)は,0.005μmであった。
【0123】
(1-2.工程(I))
(1-1)で得た延伸基材のロールから,延伸基材を繰り出し,連続的にマスキングフィルムを剥離して搬送した。搬送される延伸基材の,マスキングフィルムが貼合されていた側の面上に直接,製造例4で得た液晶組成物Aを,ダイコーターを使用して室温25℃にて塗布し,液晶組成物の層を形成した。
【0124】
(1-3.工程(II))
(1-2)で延伸基材上に形成した液晶組成物の層を,110℃で2.5分間配向処理した。その後,窒素雰囲気下(酸素濃度0.1%以下),積算光量1000mJ/cm^(2)の紫外線を基材裏面側(液晶組成物の層が形成されている側とは反対側)に照射して,液晶組成物の層を硬化させた。これにより,延伸基材上に,Re240nm,乾燥膜厚2.2μmの,ホモジニアス配向した第1光学異方性層を形成し,(第1光学異方性層)/(延伸基材)の層構成を有する複層物を得た。第1光学異方性層の遅相軸方向と,基材の配向軸方向とのズレは1°であり,第1光学異方性層の表面硬度はFであった。
【0125】
(1-4.工程(III))
(1-3)で得た複層物の第1光学異方性層側の面上に,光配向材料液(DIC社製:LIA-02,固形分1重量%,溶媒2-ブトキシエタノール99重量%)を#2バーにより塗布し,80℃にて2分間乾燥させて,光配向材料液の層を形成した。その後,光配向材料液の層の塗布面側(光配向材料液の層の,光学異方性層側と反対側)に,313nm付近の波長の直線偏光紫外線を照射し,光配向材料液の層を硬化させた。照射の方向の極角は0°(照射面に対して垂直)とし,直線偏光紫外線の偏光方向の方位角は,基材の幅手方向に対して75°とした。照射の環境は,窒素雰囲気下(酸素濃度0.1%以下),室温25℃とした。照射の積算光量は500mJ/cm^(2)とした。これにより,厚み0.05μmの光配向層を形成し,(光配向層)/(第1光学異方性層)/(延伸基材)の層構成を有する複層物を得た。光配向層の表面硬度はBであった。光配向層の表面を偏光顕微鏡で観察し,表面傷の状態を評価したところ,「良」(スジ状の傷が無し)と判定された。
【0126】
(1-5.工程(IV))
(1-4)で得た複層物の光配向層側の面上に,製造例4で得た液晶組成物Aを,ダイコーターを使用して室温25℃で塗布し,液晶組成物の層を形成した。この液晶組成物の層を110℃で2.5分間配向処理した。その後,窒素雰囲気下(酸素濃度0.1%以下),2000mJ/cm^(2)以上の紫外線を塗布面側(液晶組成物の層の,光配向層と反対側)に照射して,液晶組成物の層を硬化させた。これにより,光配向層上に,Re145nm,乾燥膜厚1.1μmの,ホモジニアス配向した第2光学異方性層を形成し,(第2光学異方性層)/(光配向層)/(第1光学異方性層)/(延伸基材)の層構成を有する光学積層体を得た。第2光学異方性層の遅相軸方向と,光配向層方向とのズレは1°であり,第2光学異方性層の表面硬度はHBであった。第2光学異方性層の表面を偏光顕微鏡で観察し,塗布ムラ及び表面傷の状態を評価したところ,塗布ムラは「良」(ムラなし),表面傷は「可」(スジ状の傷が少しある)と判定された。
…省略…
【0135】
【表1】

【0136】
【表2】

【0137】
【表3】

【0138】
【表4】

【0139】
実施例及び比較例の結果から,本発明によれば,基材上に第1光学異方性層,光配向層,及び第2光学異方性層を順次形成する製造方法で,各層の表面傷及び塗布ムラの少ない光学積層体を容易に製造することができ,従って,そのような光学異方性層を備えた円偏光板等の製造を効率的に行いうることが分かる。」

(2) 引用発明2
ア 光学積層体
引用文献2の【0120】及び【0122】?【0126】には,実施例1として,次の「光学積層体」が記載されている。なお,「第1光学異方性層」及び「第2光学異方性層」の光学特性は,【0136】【表2】及び【0138】【表4】に記載のものである。また,工程の一部を省略して記載するとともに,「Re」は「面内方向の位相差」に書き改めた。
「〔光学積層体〕
次の式(A1)で示される重合性液晶化合物24.15部,界面活性剤0.12部,重合開始剤0.73部,及び溶媒75.00部を混合し,液晶組成物を調製し,

長尺の延伸前基材を,配向角が幅手方向に対して15°となるように斜め延伸を行い,延伸基材のロールを得,
延伸基材のロールから延伸基材を繰り出し,搬送される延伸基材の面上に液晶組成物を塗布し,液晶組成物の層を形成し,
液晶組成物の層を,110℃で配向処理し,紫外線を照射して液晶組成物の層を硬化させ,乾燥膜厚2.2μmのホモジニアス配向した第1光学異方性層を形成し,
第1光学異方性層側の面上に,厚み0.05μmの光配向層を形成し,
光配向層の面上に液晶組成物を塗布し,液晶組成物の層を形成し,液晶組成物の層を110℃で配向処理し,紫外線を照射して液晶組成物の層を硬化させ,乾燥膜厚1.1μmのホモジニアス配向した第2光学異方性層を形成してなり,
第1光学異方性層の遅相軸方向は15°,面内方向の位相差は240nm,
第2光学異方性層の遅相軸方向は75°,面内方向の位相差は145°である。」

イ 引用発明2
前記アに記載の「光学積層体」は,引用文献2の【0090】及び【0092】の記載によると,「光学積層体より基材を剥離してなる光学異方性積層体と,長尺状の直線偏光子とをロールツーロールで貼合してなる円偏光板」とされることが予定されたものである。
そうしてみると,引用文献2には,次の「円偏光板」の発明が記載されている(以下「引用発明2」という。)
「 次の光学積層体より基材を剥離してなる光学異方性積層体と,
長尺状の直線偏光子とをロールツーロールで貼合してなる円偏光板。
〔光学積層体〕
次の式(A1)で示される重合性液晶化合物24.15部,界面活性剤0.12部,重合開始剤0.73部,及び溶媒75.00部を混合し,液晶組成物を調製し,

長尺の延伸前基材を,配向角が幅手方向に対して15°となるように斜め延伸を行い,延伸基材のロールを得,
延伸基材のロールから延伸基材を繰り出し,搬送される延伸基材の面上に液晶組成物を塗布し,液晶組成物の層を形成し,
液晶組成物の層を,110℃で配向処理し,紫外線を照射して液晶組成物の層を硬化させ,乾燥膜厚2.2μmのホモジニアス配向した第1光学異方性層を形成し,
第1光学異方性層側の面上に,厚み0.05μmの光配向層を形成し,
光配向層の面上に液晶組成物を塗布し,液晶組成物の層を形成し,液晶組成物の層を110℃で配向処理し,紫外線を照射して液晶組成物の層を硬化させ,乾燥膜厚1.1μmのホモジニアス配向した第2光学異方性層を形成してなり,
第1光学異方性層の遅相軸方向は15°,面内方向の位相差は240nm,
第2光学異方性層の遅相軸方向は75°,面内方向の位相差は145°である。」

(3) 対比
本願発明1と引用発明2を対比すると,以下のとおりである。
ア 円偏光板
引用発明2の「円偏光板」は,「光学積層体より基材を剥離してなる光学異方性積層体と」,「長尺状の直線偏光子とをロールツーロールで貼合してなる」。また,引用発明2の「光学積層体」は,前記(2)イに記載の製造工程によって製造されてなる。
ここで,引用発明2の「光学積層体より基材を剥離してなる」「光学異方性積層体」の厚みは「第1光学異方性層」の「2.2μm」,「光配向層」の「0.05μm」及び「第2光学異方性層」の「1.1μm」を合算した3.35μm程度であるから,フィルム状のものである。また,引用発明2の「光学異方性積層体」は,「第1光学異方性層」及び「第2光学異方性層」の光学特性からみて,λ/2波長板とλ/4波長板を60°の交差角で組み合わせてなる広帯域λ/4位相差板である。そして,引用発明2の「直線偏光子」は,その文言及び形状からみて,偏光子であるとともに偏光板といえる。加えて,引用発明2の「円偏光板」は,上記の製造工程からみて「偏光板」と「位相差フィルム」が積層されたものであるとともに,その文言どおり,円偏光板である。
そうしてみると,引用発明2の「長尺状の直線偏光子」,「光学異方性積層体」及び「円偏光板」は,それぞれ本願発明1の「偏光板」,「位相差フィルム」及び「円偏光板」に相当する。また,引用発明2の「円偏光板」と本願発明1の「円偏光板」は,「偏光板と位相差フィルムとが」「積層された円偏光板」である点で共通する。

イ 重合性液晶化合物が硬化した層
引用発明2の「光学積層体」は,前記(2)イに記載の製造工程によって製造されてなる。
ここで,引用発明2の「光学積層体より基材を剥離してなる」「光学異方性積層体」の「第1光学異方性層」及び「第2光学異方性層」は,その製造工程からみて,いずれも,「紫外線を照射して液晶組成物の層を硬化させ」たものであり,また,「液晶組成物」は,「式(A1)で示される重合性液晶化合物」を含む。
そうしてみると,引用発明2の「光学異方性積層体」は,本願発明1の「位相差層」における「重合性液晶化合物が硬化した層を含み」という要件を満たす。

(4) 一致点及び相違点
ア 一致点
本願発明1と引用発明2は,次の構成で一致する。
「偏光板と位相差フィルムとが積層された円偏光板であって,
前記偏光板は,偏光子を有し,
前記位相差層は,重合性液晶化合物が硬化した層を含む,
円偏光板。」

イ 相違点
本願発明1と引用発明2は,以下の点で相違する。
(相違点1)
「円偏光板」が,本願発明1は,「偏光板と位相差フィルムとが接着層を介して積層された円偏光板であ」るのに対して,引用発明2は,上記下線を付した点が,一応,判らない点。

(相違点2)
「円偏光板」が,本願発明1は,「その表面に粘着剤層を有し」,「前記位相差フィルムは,前記偏光板と前記粘着剤層との間に配置され」,「形状は実質的に矩形であり」,「前記偏光板において,前記偏光子の位相差フィルム側とは反対側の面に保護フィルムが積層されており」,「前記保護フィルムは,延伸フィルムであり」,「前記保護フィルムの延伸方向と円偏光板の短辺方向とが実質的に平行であり」という要件を満たすものであるのに対して,引用発明2は,このように特定されたものではない点。

(相違点3)
「前記位相差フィルム」が,本願発明1は,「位相差層を1層のみ含み」,「突刺し弾性率が15gf/mm以上90gf/mm以下であり」,「前記突刺し弾性率は,先端径が1mmφ,0.5Rであるニードルを用いて,突刺し速度が0.33cm/秒である試験で測定される弾性率であり,当該試験は,直径11mmの円形の穴が開いた2枚の板の間に位相差フィルムを固定した状態で行われる」という要件を満たすものであるのに対して,引用発明2は,「第1光学異方性層」及び「第2光学異方性層」を具備し,「突刺し弾性率」は不明である点。

(5) 判断
事案に鑑みて,相違点3について判断する。
引用文献2の【0002】に記載の「背景技術」,【0005】?【0006】に記載の「発明が解決しようとする課題」,【0007】に記載の「課題を解決するための手段」及び【0009】に記載の「発明の効果」からみて,引用発明2の「光学異方性積層体」は,「第1光学異方性層」及び「第2光学異方性層」を具備することを前提としたものである。
そうしてみると,引用発明2の「光学異方性積層体」を,相違点3に係る本願発明1の「突刺し弾性率が15gf/mm以上90gf/mm以下であり」という要件を満たす「位相差層を1層のみ含み」という構成とすることには,阻害要因があるといえる。
したがって,本願発明1は,たとえ当業者といえども,引用文献2に記載された発明に基づいて,容易に発明をすることができたものであるということはできない。

(6) 請求項2?請求項6に係る発明について
本件出願の請求項2?請求項5に係る発明は,本願発明1の「円偏光板」に対して,さらに他の構成を付加してなる「円偏光板」である。
そうしてみると,これら発明も,前記(5)で述べたとの同じ理由により,たとえ当業者といえども,引用文献2に記載された発明に基づいて,容易に発明をすることができたものであるということはできない。
本件出願の請求項6に係る発明は,請求項1?請求項5に記載の円偏光板のいずれかを具備する,「表示装置」である。
そうしてみると,本件出願の請求項6に係る発明も,前記(5)で述べたとの同様の理由により,たとえ当業者といえども,引用文献2に記載された発明に基づいて,容易に発明をすることができたものであるということはできない。

2 他の引用文献について
(1) 引用文献3を主引用例とした場合
ア 引用文献3の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特開2015-163935号公報)は,先の出願前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明が記載された文献であるところ,そこには以下の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は,光学フィルムに関する。
…省略…
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら,従来の光学フィルムは,黒表示時の光漏れを抑制するという光学補償特性において十分ではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は以下の発明を含む。
[1] 第一の位相差層と第二の位相差層とを有する光学フィルムであって,
第二の位相差層が式(3)で表される光学特性を有し,
該光学フィルムが式(1)及び式(2)で表される光学特性を有する光学フィルム。
Re(450)/Re(550)≦1.00 (1)
1.00≦Re(650)/Re(550) (2)
nx≒ny<nz (3)
…省略…
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば,黒表示時の光漏れ抑制に優れる光学フィルムを提供することができる。」

イ 判断
前記アのとおり,引用文献3には,「第一の位相差層と第二の位相差層とを有する光学フィルム」の発明が記載されている。
そうしてみると,仮に当業者が,引用文献3に記載された発明に基づいて容易推考したとしても,本願発明1の「突刺し弾性率が15gf/mm以上90gf/mm以下であり」という要件を満たす「位相差層を1層のみ含」む「位相差フィルム」の構成に到るとはいえない。
したがって,本願発明1は,たとえ当業者といえども,引用文献3に記載された発明に基づいて,容易に発明をすることができたものであるということはできない。
請求項2?請求項6に係る発明についても同様である。

(2) 引用文献4を主引用例とした場合
ア 引用文献4の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4(特開2005-320317号公報)は,先の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物であるところ,そこには以下の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は,オキセタニルを重合性官能基として有する液晶性化合物,この化合物を含有する組成物,それら化合物や組成物を重合させて得られる重合体およびこれらの用途に関する。
…省略…
【背景技術】
【0003】
ネマチック状態で配向させた重合性液晶化合物を重合させると,配向状態が固定化されて光学異方性を有するフィルムが得られる。光学異方性を有するフィルムは,液晶表示素子の光学補償膜として活用される。中でもハイブリッドネマチック配向が固定化された成形体は,ツイステッドネマチック型液晶表示素子の視野角補償素子として使用することができる。また,偏光板と組み合すことにより楕円偏光板として使用することができる。
…省略…
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の第1の目的は,ラビング処理したTAC基板上においてネマチックハイブリッド配向を示す液晶化合物またはそれを含有する液晶組成物を提供することである。また,それらを光重合したフィルムはネマチックハイブリッド配向を保持していることである。本発明の第2の目的は,空気開放下で優れた重合性を有し,比較的少ない積算光量で容易に重合度の高い重合体を与える液晶化合物またはそれを含有する液晶組成物を提供することである。本発明の第3の目的は,TAC基板との密着性に優れている成形体を提供することである。
…省略…
【0147】
実施例4
((MIX4)の組成例)
化合物(No.12)50重量%および二官能のオキセタン(K1)50重量%の組成物(CL1)を調製した。この組成物は室温でネマチック液晶相を有し,NI点は108℃であった。化合物(No.12)は相分離することなく良好な相溶性を示した。また,組成物(CL1)は室温においても直ちに結晶化することはなく液晶状態を保持した。さらにラビングした鹸化処理TACフィルム上に塗膜して配向させた組成物(CL1)はハイブリッド配向を示した。
【0148】

…省略…
【0161】
実施例11(紫外線照射による配向フィルムの製造1)
組成物(CL1)100重量%,およびDTS-102(みどり化学(株)製)3重量%を混合溶媒(トルエン:シクロペンタノン=2:1)300重量%に溶解した溶液を,表面をレーヨン布によりラビングした鹸化処理TACに,バーコーターを用いて塗布した。塗布後,60℃に設定したオーブン中で5分間熱処理することにより,溶媒を除去して組成物(CL1)を配向させた。同温度を保ったまま,超高圧水銀灯(250W)を使って30mW/cm^(2)(365nm)の紫外線を25℃で30秒間照射した。
組成物(CL1)は配向状態(ハイブリッド配向)を保持したまま重合しており,その表面硬度は鉛筆硬度にして2Hであった。100℃,500時間での耐熱性試験後のリタデーション変化はなく,耐熱性の高い液晶配向フィルム(F1)が得られた。
…省略…
【産業上の利用可能性】
【0173】
本発明の組成物および重合体は,液晶表示素子の構成要素である位相差板,偏光素子,液晶配向膜,反射防止膜,選択反射膜および視野角補償膜に利用することができる。また,本発明の化合物は,高い熱伝導性を有する樹脂,接着剤,機械的異方性を有する合成高分子,化粧品,装飾品,非線型光学材料および情報記憶材料としても利用できる。」

イ 判断
前記アのとおり,引用文献4には,「実施例11(紫外線照射による配向フィルムの製造1)」として,「耐熱性の高い液晶配向フィルム(F1)」が記載されている。
しかしながら,その面内方向の位相差は不明であり,偏光板と組み合わせたときに円偏光板になるとはいえない。また,【0003】には,一応,「偏光板と組み合すことにより楕円偏光板として使用することができる」という記載はあるものの,「配向状態」が「ハイブリッド配向」であることを考慮すると,視野角補償の楕円偏光板と理解するのが自然である。さらに,化合物(K1)の構造から推察される波長分散からみて,先の出願前の当業者が円偏光板として具体化する際には,λ/2波長板と組み合わせて広帯域化を図ると考えられる。
そうしてみると,仮に当業者が,引用文献4に記載された発明に基づいて容易推考したとしても,本願発明1の「突刺し弾性率が15gf/mm以上90gf/mm以下であり」という要件を満たす「位相差層を1層のみ含」む「位相差フィルム」の構成に到るとはいえない。また,本願発明1の全ての構成を具備したものになるというためには,多数の仮定を組み合わせる必要があり,もはや容易とはいいがたい。
したがって,本願発明1は,たとえ当業者といえども,引用文献4に記載された発明に基づいて,容易に発明をすることができたものであるということはできない。
請求項2?請求項6に係る発明についても同様である。

(3) 引用文献7を主引用例とした場合
ア 引用文献7の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献7(特開2003-177243号公報)は,先の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物であるところ,そこには以下の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,重合性液晶材料を重合させることにより得られる光学機能層を有する光学素子であって,上記光学機能層の弾性率の高い光学素子に関するものである。
…省略…
【0002】
【従来の技術】従来より,画像表示装置等に用いられる位相差フィルムや円偏光制御光学素子等の光学素子においては,例えば液晶表示装置等の画像表示装置に組み込まれて用いられる場合がある。このような画像表示装置の製造に際しては,上記光学素子上に積層して他の部材を構築する場合がある。例えば,光学素子が位相差フィルムであって,液晶表示装置に用いられる場合等においては,位相差フィルム上に液晶層のギャップを一定とするためのスペーサ(柱)を形成するといった場合である。
…省略…
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,上記問題点に鑑みてなされたものであり,画像表示装置等の光学機器に用いた場合でも,精度を保つことが可能であり,光学機器に組み込んだ際に荷重が加わった場合でも光学特性の変動が生じ難い光学素子を提供することを主目的とするものである。
…省略…
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために,本発明は,請求項1に記載するように,支持材と,上記支持材上に重合性液晶材料が所定の液晶規則性を有して硬化されてなる光学機能層とを有する光学素子であって,上記光学機能層の弾性率が20℃(常温)から200℃の温度範囲において,1.2MPa以上であることを特徴とする光学素子を提供する。
…省略…
【0011】上記請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載された発明においては,請求項4に記載するように,上記重合性液晶材料が,重合性液晶モノマーであり,上記所定の液晶規則性がネマチック規則性またはスメクチック規則性であり,上記光学機能層が位相差層であることが好ましい。このような位相差層を有する光学素子を用いる場合において,位相差層の弾性率は精度面等において重要であるからである。
【0012】また,上記請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載された発明においては,請求項5に記載するように,上記重合性液晶材料が,重合性液晶モノマーおよび重合性カイラル剤であり,所定の液晶規則性がコレステリック規則性であり,上記光学機能層がコレステリック層であることが好ましい。このようなコレステリック層,すなわちコレステリック規則性を有した状態で固定化された層は,円偏光制御層として機能するものであるので,この場合もその弾性率は精度上重要であるからである。
…省略…
【0143】
【発明の効果】本発明によれば,光学機能層の弾性率が,所定の範囲の高い弾性率であるので,例えば光学機器等に組み込んだ場合でも,その上に他の部材を構築した際に変形して精度が低下する等の不具合が生じることはない。また,本発明の光学素子上に例えば液晶表示装置の液晶層のギャップを一定に保つための柱状のスペーサが形成され,部分的に力が加わった場合でも,上述したような弾性率を有することから,膜厚が局部的な変化が少なく,本発明の光学素子が有する光学特性の変動が生じる可能性を低下させることができるという効果を奏する。」

イ 判断
引用文献7の【0007】には,「支持材と,上記支持材上に重合性液晶材料が所定の液晶規則性を有して硬化されてなる光学機能層とを有する光学素子であって,上記光学機能層の弾性率が20℃(常温)から200℃の温度範囲において,1.2MPa以上であることを特徴とする光学素子」が記載されている。
しかしながら,引用文献7には,例えば,【0011】に「光学機能層が位相差層である」態様までは記載があるものの,円偏光板に関する記載は全くなく,本願発明1の構成に到るためには,多数の仮定を組み合わせる必要がある。また,引用文献7の【0012】には,「円偏光制御層として機能する」との記載があるが,「光学機能層がコレステリック層である」ことを考慮すると,右円偏光又は左円偏光を反射する光学素子と理解され,円偏光板とは異なる。
したがって,本願発明1は,たとえ当業者といえども,引用文献7に記載された発明に基づいて,容易に発明をすることができたものであるということはできない。
請求項2?請求項6に係る発明についても同様である。

第3 原査定の拒絶の理由について
前記「第2」で述べたとおりであるから,本件出願の請求項1?請求項6に係る発明は,引用文献2?引用文献4又は引用文献7に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるということができない。そして,この点は,原査定の拒絶の理由で引用された他の引用文献に例示される周知技術を考慮しても変わらない。
したがって,原査定を維持することはできない。

第4 当合議体の拒絶の理由について
当合議体が通知した拒絶の理由は,令和2年12月22日にした手続補正により解消した。

第5 むすび
以上のとおり,本件出願の請求項1?請求項6に係る発明は,先の出願前に日本国内又は外国において,頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて,先の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるということができない。
したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-03-22 
出願番号 特願2018-220022(P2018-220022)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (G02B)
P 1 8・ 537- WY (G02B)
P 1 8・ 121- WY (G02B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 沖村 美由清水 督史吉川 陽吾  
特許庁審判長 里村 利光
特許庁審判官 樋口 信宏
神尾 寧
発明の名称 偏光板および表示装置  
代理人 中山 亨  
代理人 坂元 徹  
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