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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1372354
審判番号 不服2020-1809  
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-02-10 
確定日 2021-03-24 
事件の表示 特願2017-518389号「汚れ検出方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年12月23日国際公開、WO2015/192579号、平成29年7月 6日国内公表、特表2017-518544号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)10月24日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2014年(平成26年)6月20日 中国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成28年12月20日 :国内書面、手続補正書の提出
平成29年12月 6日付け:拒絶理由通知書
平成30年 6月12日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年11月16日付け:拒絶理由通知書
令和元年 5月 7日 :意見書、手続補正書の提出
令和元年 9月26日付け:拒絶査定(謄本送達 同年10月8日)
令和2年 2月10日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 令和2年2月10日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年2月10日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の(請求項1を引用する)請求項2の記載は、次の請求項1のとおりに補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「【請求項1】
端末における汚れ検出装置に実行される汚れ検出方法であって、
撮影モードによって、撮影モードにおける前記端末の撮影モジュールの合焦指標FVを周期的に読み取ることと、
判定モジュールによって、読み取ったFV数値に基づき、カメラレンズに汚れが存在しているか否かを判定することと、
送信モジュールによって、判定結果がYESであると、プロンプトメッセージを送信することと、を含み、
前記読み取った前記FV数値に基づき、前記カメラレンズに汚れが存在しているか否かを判定することは、
前記判定モジュールにおける比較ユニットよって、読み取った前記FV数値を比較し、前記FV数値間の差が第1の所定閾値未満であるか否かを判断することと、
前記判定モジュールにおける確定ユニットによって、前記比較ユニットによる判断結果に基づき、前記カメラレンズに汚れが存在しているか否かを確定することと、を含み、
前記判断結果に基づき、前記カメラレンズに汚れが存在しているか否かを確定することは、
前記判断結果として読み取った前記FV数値間の差が所定閾値未満であると、前記確定ユニットにおける確定サブユニットによって前記カメラレンズに汚れが存在していることを確定することを含み、
前記合焦指標FVは前記撮影モジュールの固有の動的合焦パラメータであり、
前記撮影モジュールにより前記合焦指標FVを周期的に読み取ることの前に、
受信モジュールによって、前記汚れ検出装置による汚れ検出動作をトリガーするための所定の動作指令を受信することをさらに含み、
前記所定の動作指令を受信することは、
前記受信モジュールにおける受信ユニットによって、前記端末の揺動の速度及び/又は加速度が第2の所定閾値を超えるとトリガーされる揺動検出動作を受信することを含む汚れ検出方法。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和元年5月7日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の(請求項1を引用する)請求項2の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
端末における汚れ検出装置に実行される汚れ検出方法であって、
撮影モードによって、撮影モードにおける端末の撮影モジュールの合焦指標FVを周期的に読み取ることと、
判定モジュールによって、読み取ったFV数値に基づき、カメラレンズに汚れが存在しているか否かを判定することと、
送信モジュールによって、判定結果がYESであると、プロンプトメッセージを送信することと、を含み、
前記読み取った前記FV数値に基づき、カメラレンズに汚れが存在しているか否かを判定することは、
前記判定モジュールにおける比較ユニットよって、読み取った前記FV数値を比較し、前記FV数値間の差が第1の所定閾値未満であるか否かを判断することと、
前記判定モジュールにおける確定ユニットによって、前記比較ユニットによる判断結果に基づき、前記カメラレンズに汚れが存在しているか否かを確定することと、を含み、
前記判断結果に基づき、前記カメラレンズに汚れが存在しているか否かを確定することは、
前記判断結果として読み取った前記FV数値間の差が所定閾値未満であると、前記確定ユニットにおける確定サブユニットによって前記カメラレンズに汚れが存在していることを確定することを含み、
前記合焦指標FVは撮影モジュールの固有の動的合焦パラメータである検出方法。
【請求項2】
端末の撮影モジュールの合焦指標FVを周期的に読み取ることの前に、
受信モジュールによって、前記汚れ検出装置による汚れ検出動作をトリガーするための所定の動作指令を受信することをさらに含む請求項1に記載の汚れ検出方法。」

2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の(請求項1を引用する)請求項2に記載された発明を特定するために必要な事項である「所定の動作指令を受信すること」について、上記のとおり、本件補正前の請求項3に記載されていた構成の一部である、「前記受信モジュールにおける受信ユニットによって、前記端末の揺動の速度及び/又は加速度が第2の所定閾値を超えるとトリガーされる揺動検出動作を受信することを含む」との限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記「1」「(1)」に記載したとおりの次のものである(なお、A?Kは、本件補正発明を分説するために当審で付したものである。)。
「【請求項1】
A 端末における汚れ検出装置に実行される汚れ検出方法であって、
B 撮影モードによって、撮影モードにおける前記端末の撮影モジュールの合焦指標FVを周期的に読み取ることと、
C 判定モジュールによって、読み取ったFV数値に基づき、カメラレンズに汚れが存在しているか否かを判定することと、
D 送信モジュールによって、判定結果がYESであると、プロンプトメッセージを送信することと、を含み、
C 前記読み取った前記FV数値に基づき、前記カメラレンズに汚れが存在しているか否かを判定することは、
E 前記判定モジュールにおける比較ユニットよって、読み取った前記FV数値を比較し、前記FV数値間の差が第1の所定閾値未満であるか否かを判断することと、
F 前記判定モジュールにおける確定ユニットによって、前記比較ユニットによる判断結果に基づき、前記カメラレンズに汚れが存在しているか否かを確定することと、を含み、
F 前記判断結果に基づき、前記カメラレンズに汚れが存在しているか否かを確定することは、
G 前記判断結果として読み取った前記FV数値間の差が所定閾値未満であると、前記確定ユニットにおける確定サブユニットによって前記カメラレンズに汚れが存在していることを確定することを含み、
H 前記合焦指標FVは前記撮影モジュールの固有の動的合焦パラメータであり、
I 前記撮影モジュールにより前記合焦指標FVを周期的に読み取ることの前に、
受信モジュールによって、前記汚れ検出装置による汚れ検出動作をトリガーするための所定の動作指令を受信することをさらに含み、
J 前記所定の動作指令を受信することは、
前記受信モジュールにおける受信ユニットによって、前記端末の揺動の速度及び/又は加速度が第2の所定閾値を超えるとトリガーされる揺動検出動作を受信することを含む
K 汚れ検出方法。」

(2)引用文献の記載事項及び引用発明
ア 引用文献1
原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開平4-20945号公報(平成4年1月24日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
(ア)「1)撮影光学系と、
複数の受光素子からなり、この受光素子上の被写体像の光強度分布に対応する電気信号を発生する光電変換手段と、
前記撮影光学系を通過する光束により被写体像を前記光電変換手段の受光素子上に形成する焦点検出光学系と、
前記光電変換手段が発生する被写体像に対応した電気信号に基づいて前記撮影光学系の焦点調節状態を検出する焦点検出演算手段とを有する焦点検出装置において、
前記光電変換手段から得られる電気信号に基づいて、前記撮影光学系から前記光電変換手段までの光路中に存在して前記焦点検出演算手段の焦点検出結果に影響を与えるゴミ、ホコリなどの異物を検出する異物検出手段を備えることを特徴とする焦点検出装置。・・・
4)請求項1または3に記載の焦点検出装置において、
前記異物検出手段は、前記焦点検出演算手段の焦点検出結果に基づいて前記撮影光学系の焦点調節が行なわれた後の前記焦点検出演算手段の焦点検出結果が焦点調節前の結果とほぼ同一値であるときに、それらの焦点検出演算に用いられた前記光電変換手段からの電気信号が同一と判別して異物を検出することを特徴とする焦点検出装置。」(特許請求の範囲)

(イ)「通常、第4図に示す赤外カットフィルタ301からイメージセンサ2まではそれらの支持部材によってほぼ密閉されているので異物が入り込む可能性は少なく、異物除去部11は外部と接しており異物が付着する可能性の高い赤外カットフィルタ301の光入射面の異物を除去するように構成するのがよい。しかし、一対の再結像レンズ303A、303B、イメージセンサ2上にも異物が付着する可能性があるときは、異物除去部11をそれらの付近に設置するようにしてもよい。」(6頁右下欄3?12行)

(ウ)「上記説明では異物検出動作をミラーアップ・露光中または操作部9の操作中に行っているが、これら以外のときでもよい。例えば焦点検出動作の所定回数毎に異物検出動作を1回行うよにしてもよいし、異物検出動作を行うのに必要な時間以上レンズ駆動を行うとき、レンズ駆動中に異物検出動作を行うようにしてもよい。さらに、合焦点到達後のレンズ駆動禁止中(AFロック中)、または合焦点到達後の焦点検出動作の合間に異物検出動作を行うようにしてもよい。また焦点検出動作をレリーズボタンの半押し中のみ行うようにしたカメラでは、レリーズボタン半押し解除中でカメラ電源がONの時に異物検出動作を行うようにしてもよい。」(8頁左上欄6?19行)

(エ)「-第2の実施例-
次に、レンズ駆動前後の被写体像信号を比較して異物検出を行う第2の実施例を説明する。
第10図は、第2の実施例を示す構成図で、第1の実施例を示す第2図と同様の要素に対しては同一の符号を付して相違点を中心に説明する。
この第2の実施例では、第16図(a)、(b)に示す焦点検出光学系3の第1次結像面306から数mm(Z0)離れた位置に、第11図(a)に示すように赤外カットフィルタまたは透過性光学部材からなる保護カバー310を設け、前後2回の焦点検出演算結果を比較して、両者がほぼ一致していれば異物有りと判定するものである。・・・
このような現象を利用して第2の実施例では、第11図(a)に示すように焦点検出光学系3に新たに挿入する保護カバー310を第1次結像面306から所定距離Z0離間させ、異物検出部51で以下のようにして異物検出を行う。・・・
次に、被写体像信号の相関度に基づいて異物を検出する方法を説明する。
例えば、前回の被写体像信号をa′P、今回の被写体像信号をap(p=l?n)とすれば(8)式のように相関度G(a′p、ap)を求めることができる。




相関度G(a’p、ap)が所定値G1以上の場合は、前回と今回との被写体像信号は類似しておらず、すなわち異物の付着はないと判定し、所定値G1以下の場合は、前回と今回との被写体像信号が類似しており異物が付着していると判定する。
第15図は、第2の実施例による焦点検出部4、異物検出部51、制御部7の各機能をマイクロコンピュータで実現する場合のプログラムを示すフローチャートであり、この図により第2の実施例の動作を説明する。
ステップS31において、イメージセンサ2を制御して被写体像信号を読み出し、ステップs32で、読み出した被写体像信号を用いて上述した焦点検出演算を行い、ステップS33に進む。このステップS33では、焦点検出結果のデフォーカス量DEFが所定範囲Z0±ΔZ内の値であるかを判定し、所定範囲内であればステップS34へ進み、そうでなければステップS40へ進む。
ステップS34では、被写体像信号が異物パターンであるかを判定し、異物パターンであればステップS35へ進み、そうでなければステップS40へ進む。
ステップS35に進むと、被写体像信号を記憶し、続くステップS36で、前回の焦点検出時に被写体像信号が記憶されたかどうかを判定する。
前回の被写体像信号が記憶されている場合はステップS37へ進み、記憶されていない場合はステップS40へ進む。ステップS37において、前回の焦点検出演算実行後から今回の焦点検出演算までの間に撮影光学系1のレンズ駆動を行ったかどうかを判定し、行った場合はステップS38へ進み1行わなかった場合はステップS40へ進む。
ステップS38では、前回の被写体像信号と今回の被写体像信号との相関が高いかを判定し、高ければステップS39へ進み、そうでなければステップS40へ進む。
ここで、異物が付着していると判定する条件をまとめると、今回と前回のデフォーカス量が所定範囲内の値であり、前回と今回の被写体像信号が異物パターンであり、前回の焦点検出実行後から今回の焦点検出までの間にレンズ駆動が行われており、しかも前回と今回の被写体像信号が類似している場合である。
このように異物が付着していると判定された場合はステップS39で、異物警告部10によって撮影者に異物の付着を認知させしかるべき処置を要求するとともに、異物除去部11を起動して異物除去を行う。・・・
このように第2の実施例では、撮影光学系1の焦点調節前後の被写体像信号を比較して異物検出を行なうので、特別な部材を用いずに従来の焦点検出装置だけで異物を検出できる。」(9頁左下欄9行?11頁左下欄14行)

(オ)第15図は次のものである。


イ 引用発明
(ア)上記「ア」「(ア)」によれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「撮影光学系と、
複数の受光素子からなり、この受光素子上の被写体像の光強度分布に対応する電気信号を発生する光電変換手段と、
前記撮影光学系を通過する光束により被写体像を前記光電変換手段の受光素子上に形成する焦点検出光学系と、
前記光電変換手段が発生する被写体像に対応した電気信号に基づいて前記撮影光学系の焦点調節状態を検出する焦点検出演算手段とを有する焦点検出装置において、
前記光電変換手段から得られる電気信号に基づいて、前記撮影光学系から前記光電変換手段までの光路中に存在して前記焦点検出演算手段の焦点検出結果に影響を与えるゴミ、ホコリなどの異物を検出する異物検出手段を備え、
前記異物検出手段は、前記焦点検出演算手段の焦点検出結果に基づいて前記撮影光学系の焦点調節が行なわれた後の前記焦点検出演算手段の焦点検出結果が焦点調節前の結果とほぼ同一値であるときに、それらの焦点検出演算に用いられた前記光電変換手段からの電気信号が同一と判別して異物を検出する焦点検出装置」

(イ)上記「ア」「(イ)」ないし「(エ)」の記載、及び、上記「ア」「(オ)」の第15図を踏まえると、引用文献1には、引用発明1の下位概念として、次の発明(以下「引用発明2」という。)も開示されていると認められる(なお、aないしfは当審が付した)。
「a 撮影光学系と、
複数の受光素子からなり、この受光素子上の被写体像の光強度分布に対応する電気信号を発生する光電変換手段と、
前記撮影光学系を通過する光束により被写体像を前記光電変換手段の受光素子上に形成する焦点検出光学系と、
前記光電変換手段が発生する被写体像に対応した電気信号に基づいて前記撮影光学系の焦点調節状態を検出する焦点検出演算手段とを有する焦点検出装置を備えたカメラ(上記「ア」「(ア)」)であって、前記カメラの再結像レンズ上に異物が付着する可能性がある(上記「ア」「(イ)」)前記焦点検出装置において、
b 前記光電変換手段から得られる電気信号に基づいて、前記撮影光学系から前記光電変換手段までの光路中に存在して前記焦点検出演算手段の焦点検出結果のデフォーカス量(上記「ア」「(エ)」)に影響を与えるゴミ、ホコリなどの異物を検出する異物検出手段を備え、
c 前記異物検出手段は、前記焦点検出演算手段の焦点検出結果のデフォーカス量(上記「ア」「(エ)」)に基づいて前記撮影光学系の焦点調節が行なわれた後の前記焦点検出演算手段の焦点検出結果のデフォーカス量(上記「ア」「(エ)」)と焦点調節前の結果の相関度が所定値G1以上の場合は、前回と今回との被写体像信号は類似しておらず、すなわち異物の付着はないと判定し、所定値G1以下の場合は、前回と今回との被写体像信号が類似しており異物が付着していると判定(上記「ア」「(エ)」)して異物を検出するものであって、
d 異物が付着していると判定された場合は、異物警告部によって撮影者に異物の付着を認知させ(上記「ア」「(エ)」)、
e 前記異物検出動作をミラーアップ・露光中または操作部の操作中以外のときに、焦点検出動作の所定回数毎に異物検出動作を1回行う(上記「ア」「(ウ)」)、
f 焦点検出装置による被写体像信号の相関度に基づいて異物を検出する方法(上記「ア」「(エ)」)。」

(3)引用発明との対比
ア 本件補正発明と引用発明2とを対比する。
(ア)引用発明2の「焦点検出装置による被写体像信号の相関度に基づいて異物を検出する方法」(構成f)は、本件補正発明の「汚れ検出方法」(構成K)に相当するとともに、「端末における汚れ検出装置に実行される汚れ検出方法」(構成A)と、「装置における汚れ検出装置に実行される汚れ検出方法」(構成A´)である点で一致する。

(イ)光学系におけるデフォーカス量が、当該光学系に固有のパラメータであるとともに動的なパラメータであることは、本願優先日に当業者にとって技術常識であるから、引用発明2の「焦点検出結果のデフォーカス量」(構成b)は、本件補正発明の「前記撮影モジュールの固有の動的合焦パラメータであ」る「合焦指標FV」(構成H)に相当する。

(ウ)引用発明2の「前記異物検出動作をミラーアップ・露光中または操作部の操作中以外のときに、焦点検出動作の所定回数毎に異物検出動作を1回行う」(構成e)ことは、適宜のモードの時に、周期的に異物検出動作を行うことであるといえる。
また、引用発明2の「前記焦点検出演算手段の焦点検出結果のデフォーカス量に基づいて前記撮影光学系の焦点調節が行なわれた後の前記焦点検出演算手段の焦点検出結果のデフォーカス量と焦点調節前の結果の相関度」(構成c)を算出することは、所定のモジュールの焦点検出結果のデフォーカス量を読み取ることであるといえる。
そして、引用発明2のカメラが撮影を行う以上、撮影を行うモードとして撮影モードを備えることは当然のことであり、また、撮影のための機能としての撮影モジュールを備えることも当然のことにすぎない。
したがって、上記(イ)を踏まえると、引用発明2の「異物検出手段」は、「前記焦点検出演算手段の焦点検出結果のデフォーカス量に基づいて前記撮影光学系の焦点調節が行なわれた後の前記焦点検出演算手段の焦点検出結果のデフォーカス量と焦点調節前の結果の相関度」(構成c)を求めるものであって、「前記異物検出動作をミラーアップ・露光中または操作部の操作中以外のときに、焦点検出動作の所定回数毎に異物検出動作を1回行う」(構成e)ものであることは、本件補正発明の「撮影モードによって、撮影モードにおける前記端末の撮影モジュールの合焦指標FVを周期的に読み取ること」(構成B)と、「撮影モードによって、撮影モードにおける前記装置の撮影モジュールの合焦指標FVを周期的に読み取ること」(構成B´)の点で一致する。

(エ)引用発明2の「カメラの再結像レンズ上に異物が付着する可能性がある前記焦点検出装置において」(構成a)、「異物検出手段」が、「前記焦点検出演算手段の焦点検出結果のデフォーカス量に基づいて前記撮影光学系の焦点調節が行なわれた後の前記焦点検出演算手段の焦点検出結果のデフォーカス量と焦点調節前の結果の相関度」を「判定」(構成c)することは、判定するモジュールによって、読み取った焦点検出結果のデフォーカス量に基づきカメラレンズに異物が付着しているかを判定することであると認められるから、上記(イ)を踏まえると、本件補正発明の「判定モジュールによって、読み取ったFV数値に基づき、カメラレンズに汚れが存在しているか否かを判定すること」(構成C)に相当する。

(オ)引用発明2の「判定して異物を検出する」ことは、異物の検出を確定することであるといえるとともに、当該処理を行う機能をユニット(サブユニットを含む)として備えることは当然のことであって、引用発明2の撮影を行うカメラにおける、「相関度」を「判定して異物を検出する」機能を行うために、比較ユニット、確定ユニットあるいは当該確定ユニットにおけるサブユニットを備えることも当然のことにすぎない。
また、「以下」とするか、「未満」とするかは設計的事項の差異にすぎないから、上記(イ)を踏まえると、引用発明2の「相関度が」「所定値G1以下の場合」であることは、本件補正発明の「FV数値間の差が第1の所定閾値未満である」ことに相当する。
したがって、引用発明2の「カメラの再結像レンズ上に異物が付着する可能性がある前記焦点検出装置において」(構成a)、「異物検出手段」が、「前記焦点検出演算手段の焦点検出結果のデフォーカス量に基づいて前記撮影光学系の焦点調節が行なわれた後の前記焦点検出演算手段の焦点検出結果のデフォーカス量と焦点調節前の結果の相関度が」「所定値G1以下の場合は、前回と今回との被写体像信号が類似しており異物が付着していると判定して異物を検出する」(構成c)ことは、比較ユニット、確定ユニットあるいは当該確定ユニットにおけるサブユニットによって、カメラレンズに異物が付着していると確定することであると認められるから、上記(イ)を踏まえると、本件補正発明の「前記判定モジュールにおける比較ユニットよって、読み取った前記FV数値を比較し、前記FV数値間の差が第1の所定閾値未満であるか否かを判断すること」(構成E)、「前記判定モジュールにおける確定ユニットによって、前記比較ユニットによる判断結果に基づき、前記カメラレンズに汚れが存在しているか否かを確定すること」(構成F)及び「前記判断結果として読み取った前記FV数値間の差が所定閾値未満であると、前記確定ユニットにおける確定サブユニットによって前記カメラレンズに汚れが存在していることを確定すること」(構成G)に相当する。

(カ)引用発明2の「異物が付着していると判定された場合は、異物警告部によって撮影者に異物の付着を認知させ」(構成d)ることは、適宜のモジュール(送信モジュール)によって、撮影者に異物の付着を認知させる所定のメッセージを異物警告部に送信することであるから、本件補正発明の「送信モジュールによって、判定結果がYESであると、プロンプトメッセージを送信すること」(構成D)に相当する。

(キ)引用発明2のカメラにおいて、異物検出動作を行う前に異物検出動作をトリガーするための所定の動作指令を適宜のモジュール(受信モジュール)で受信することは、本願優先日に当業者にとって技術常識である。
したがって、引用発明2の「前記異物検出動作をミラーアップ・露光中または操作部の操作中以外のときに、焦点検出動作の所定回数毎に異物検出動作を1回行う」(構成e)ことは、本件補正発明の「前記撮影モジュールにより前記合焦指標FVを周期的に読み取ることの前に、受信モジュールによって、前記汚れ検出装置による汚れ検出動作をトリガーするための所定の動作指令を受信すること」(構成I)に相当する。

イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明2との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「A´ 装置における汚れ検出装置に実行される汚れ検出方法であって、
B´ 撮影モードによって、撮影モードにおける前記装置の撮影モジュールの合焦指標FVを周期的に読み取ることと、
C 判定モジュールによって、読み取ったFV数値に基づき、カメラレンズに汚れが存在しているか否かを判定することと、
D 送信モジュールによって、判定結果がYESであると、プロンプトメッセージを送信することと、を含み、
C 前記読み取った前記FV数値に基づき、前記カメラレンズに汚れが存在しているか否かを判定することは、
E 前記判定モジュールにおける比較ユニットよって、読み取った前記FV数値を比較し、前記FV数値間の差が第1の所定閾値未満であるか否かを判断することと、
F 前記判定モジュールにおける確定ユニットによって、前記比較ユニットによる判断結果に基づき、前記カメラレンズに汚れが存在しているか否かを確定することと、を含み、
F 前記判断結果に基づき、前記カメラレンズに汚れが存在しているか否かを確定することは、
G 前記判断結果として読み取った前記FV数値間の差が所定閾値未満であると、前記確定ユニットにおける確定サブユニットによって前記カメラレンズに汚れが存在していることを確定することを含み、
H 前記合焦指標FVは前記撮影モジュールの固有の動的合焦パラメータであり、
I 前記撮影モジュールにより前記合焦指標FVを周期的に読み取ることの前に、
受信モジュールによって、前記汚れ検出装置による汚れ検出動作をトリガーするための所定の動作指令を受信することをさらに含む、
K 汚れ検出方法。」

【相違点1】
「装置」が、本件補正発明は「端末」に係る方法であるのに対し、引用発明2は「カメラ」に係る方法である点。

【相違点2】
「所定の動作指令を受信すること」が、本件補正発明は、「前記受信モジュールにおける受信ユニットによって、前記端末の揺動の速度及び/又は加速度が第2の所定閾値を超えるとトリガーされる揺動検出動作を受信すること」であると特定されるのに対し、引用発明2は、「前記異物検出動作をミラーアップ・露光中または操作部の操作中以外のとき」(構成e)であると特定されるにとどまる点。

(4)判断
以下、相違点について検討する。
ア 相違点1について
カメラをカメラの機能を有する端末とすることは本願優先日当時周知のことであり、引用発明2に係る方法を、カメラの機能を有する端末において用いることは当業者が適宜なし得る設計変更にすぎない。

イ 相違点2について
引用発明2は、「ミラーアップ・露光中または操作部の操作中以外のとき」(構成e)に「異物検出動作」を行うところ、「操作部の操作中以外」に「異物検出動作」をトリガーするために、「操作部の操作」以外の何らかのトリガーが必要であることは明らかであるところ、「異物」に関する動作のトリガーを、カメラの揺動の速度が所定の閾値以上、あるいは、カメラの加速度が所定の閾値以上のものとすることは後記周知文献1?3に記載されているように周知の技術事項にすぎない。そして、引用発明2においても「異物検出動作」のための何らかのトリガーが必要であると認められるところ、引用発明2において、「異物検出動作」のトリガーとして、カメラの揺動の速度が所定の閾値以上、あるいは、カメラの加速度が所定の閾値以上であることを適用して、上記相違点2に係る本件補正発明の構成となすことは当業者が容易に想到し得たことである。

ウ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明2及び周知の技術事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

エ したがって、本件補正発明は、引用発明2及び周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

オ 周知文献
(ア)周知文献1(特開2011-124830号公報)
a 「【請求項1】
レンズを経た被写界の光学像が照射される撮像面を有し、光電変換により被写界の光学像に対応する画像信号を生成する撮像手段と、
一定の撮影条件で連続して撮影したときに前記撮像手段により生成される画像信号を、画像フレーム毎にメモリに蓄積する記憶手段と、
前記記憶手段により蓄積された複数の画像フレームの各々について、隣り合う画像フレームとの輝度差分を算出するとともに、その算出した輝度差分の絶対値を積算することにより積算画像を生成する積算画像生成手段と、
前記積算画像生成手段から得られた積算画像に基づいて、前記レンズに付着した異物を検出するための異物検出手段とを備える、撮像装置。
【請求項2】
前記撮像装置におけるパンニング状態またはチルティング状態を検出する検出手段をさらに備え、
前記積算画像生成手段は、前記検出手段がパンニング状態またはチルティング状態を検出しているときに前記記憶手段により蓄積される複数の画像フレームに基づいて、前記積算画像を生成する、請求項1に記載の撮像装置。」
b 「【技術分野】
【0001】
この発明は、撮像装置および異物検出方法に関し、より特定的には、光学系に付着した異物を検出する異物検出機能を備えた撮像装置および異物検出方法に関する。」
c 「【0025】
(異物検出処理)
CPU20は、光学レンズ1に付着した異物を検出するための異物検出処理を実行する。詳しくは、CPU20は、図2に示すフローチャートに従う処理を実行する。なお、このフローチャートに対応する制御プログラムは、図示しないメモリに記憶されている。
【0026】
図2を参照して、最初に、CPU20は、撮像装置におけるパンニング状態の開始を検出する(ステップS01)。具体的には、撮像装置は、撮像装置に加わる振動を検出するための振動検出素子を備えている。振動検出素子には、たとえばジャイロセンサが採用される。ジャイロセンサは、撮像装置のヨー方向およびピッチ方向に加わる振動を加速度としてそれぞれ検出する。CPU20は、撮像装置におけるパンニング状態の開始を検出するための閾値を有しており、ジャイロセンサから出力される移動量信号(加速度信号を積分したもの)の振幅値が閾値より大きい場合に、パンニング状態と判定する。
【0027】
なお、本実施の形態では、CPU20が撮像装置におけるパンニング状態の開始を検出する構成としたが、チルティング状態の開始を検出するようにしてもよい。あるいは、パンニング状態およびチルティング状態の少なくとも一方の開始を検出するようにしてもよい。すなわち、CPU20は、ユーザーが意図して撮像装置に振動を加えたことを検出するように構成される。」
d 「【0031】
撮影動作の実行中において、CPU20は、パンニング状態のときにSDRAM7に書込まれた複数の画像フレームについて、隣り合う前後2つの画像フレームの輝度差分を計算する(ステップS04)。以下では、隣り合う2つの画像フレームのうち、時間的に古い画像フレームを前フレームといい、時間的に新しい画像フレームを後フレームという。」

(イ)周知文献2(特開2007-124351号公報)
a 「【課題】複雑な操作や専用の操作部材を用いずに、撮像素子近傍の光学素子に付着するゴミの除去動作を実行させることが可能な撮像装置を提供する。
【解決手段】
撮像装置に加えられる揺れを検知する揺れ検知手段を具備し、この検出結果に応じてゴミ除去手段の動作を開始する。例えば、ユーザが撮像装置を振ったり、撮像装置の姿勢を変化させるといった、自然な動作をゴミ除去手段の動作開始のトリガーとする。」(【要約】)

b 「【技術分野】
「【0001】
本発明は、レンズ交換式デジタル一眼レフカメラ等の撮像装置に関し、特に撮像素子における撮像面のゴミを除去する技術に関するものである。」
c 「【0058】
また、カメラを振るような自然な動作によってゴミ除去を行うため、特別なスイッチを割り当てたり、スイッチを兼用したりする必要がなくなる。」

(ウ)周知文献3(国際公開第2010/038223号)
a「 "A method and a system for detecting the presence of an impediment on a lens of an image capture device to light passing through the lens of an image capture device"
The present invention relates to a method and a system for detecting the presence of an impediment on a lens of an image capture device to the passage of light through the lens of the image capture device, and in particular, though not limited to a method and a system for detecting the presence of dirt on a lens of an image capture device mounted on a mobile vehicle, for example, a motor vehicle.」(1頁1?8行)
(当審仮訳:「画像撮影装置のレンズを通過する光に画像捕捉装置のレンズ上の障害の存在を検出するための方法及びシステム」
本発明は、画像取込装置のレンズを通しての光の通過に画像捕捉装置のレンズ上の障害の存在を検出するためのシステムに関するものであって、特に限定されるものではないが、例えば、自動車のような、移動車両に搭載された撮像装置のレンズ上の汚れの存在を検出するための方法及びシステムである。)
b 「In a further embodiment of the invention the method is adapted for determining the presence of an impediment on the lens of an image capture device mounted on a mobile vehicle when the vehicle is moving.
Ideally, the method is adapted for detecting the presence of an impediment on a lens of the image capture device mounted on the vehicle when the vehicle is moving at a speed in the range of 5km per hour to 30km per hour.」(3頁24?30行)
(当審仮訳:本発明のさらなる実施態様として、車両が移動している場合に、移動車両に搭載された撮像装置のレンズ上の障害の存在を決定するように構成される方法に適用される。理想的には、車両が時速5kmから30km/hの範囲の速度で移動している場合に、車両に搭載された撮像装置のレンズ上の障害の存在を検出するのに適用される。)

3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
令和2年2月10日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし7に係る発明は、令和元年5月7日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるものであるところ、その(請求項1を引用する)請求項2に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その(請求項1を引用する)請求項2に記載された事項により特定される、前記「第2」[理由]「1」「(2)」に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由2は、この出願の請求項1?2、4?6に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開平4-20945号公報

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及びその記載事項は、前記「第2」の[理由]「2」「(2)」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記「第2」の[理由]「2」で検討した本件補正発明から、「前記所定の動作指令を受信することは、前記受信モジュールにおける受信ユニットによって、前記端末の揺動の速度及び/又は加速度が第2の所定閾値を超えるとトリガーされる揺動検出動作を受信することを含む」に係る限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記「第2」の[理由]「2」「(3)」及び「(4)」に記載したとおり、引用発明及び周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。


 
別掲
 
審理終結日 2020-10-14 
結審通知日 2020-10-20 
審決日 2020-11-04 
出願番号 特願2017-518389(P2017-518389)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小倉 宏之  
特許庁審判長 瀬川 勝久
特許庁審判官 近藤 幸浩
松川 直樹
発明の名称 汚れ検出方法及び装置  
代理人 梶並 順  
代理人 曾我 道治  
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