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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01G
管理番号 1372506
審判番号 不服2020-11747  
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-08-24 
確定日 2021-04-21 
事件の表示 特願2016- 20097「電子部品の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 8月10日出願公開、特開2017-139384、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年2月4日の出願であって、その手続きの経緯は以下のとおりである。
令和 1年 8月 7日付け:拒絶理由通知
令和 1年 9月25日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年 1月21日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知
令和 2年 3月 9日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年 5月21日付け:令和2年3月9日の手続補正についての補正の却下の決定、拒絶査定
令和 2年 8月24日 :審判請求書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和2年5月21日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願の請求項1及び2に係る発明は、引用文献5に記載された発明及び引用文献1に記載された技術に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2000-228340号公報
5.特開2014-130987号公報

第3 本願発明
本願の請求項1及び2に係る発明(以下、「本願発明1」及び「本願発明2」という。)は、令和1年9月25日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
容器内に複数の電子部品を用意する工程と、
前記容器内に配された前記各電子部品の上方から前記各電子部品が舞い上がって回転するように粗化処理剤を吹き付ける吹付工程と、
を備える、電子部品の製造方法であって、
前記電子部品は、コンデンサ本体と、前記コンデンサ本体上に設けられる第1及び第2の外部電極を有し、前記第1及び第2の外部電極の最外層には、Cuめっき層又はCu合金めっき層を有する基板内蔵用電子部品である、
電子部品の製造方法。
【請求項2】
前記電子部品の長さ寸法が1.1mm以下である、
請求項1に記載の電子部品の製造方法。」

第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献5について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。以下同様。)
「【0042】
図1?図5を参照すると、本発明の一実施形態による基板内蔵用積層セラミック電子部品は、誘電体層11を含み、互いに対向する第1、第2主面S1、S2、互いに対向する第1、第2側面S5、S6、及び互いに対向する第1、第2端面S3、S4を有し、厚さが250μm以下のセラミック本体10と、誘電体層11を介して互いに対向するように配置され、第1側面S5又は第2側面S6に交互に露出する第1内部電極21及び第2内部電極22と、セラミック本体10の第1側面S5に形成されて第1内部電極21と電気的に接続される第1外部電極31a及びセラミック本体10の第2側面S6に形成されて第2内部電極22と電気的に接続される第2外部電極32aと、第1外部電極31a及び第2外部電極32a上に形成された金属層31b、32bとを含んでもよい。
【0043】
以下、本発明の一実施形態による基板内蔵用積層セラミック電子部品を説明するにあたって、特に積層セラミックキャパシタを例に挙げて説明するが、これに限定されるものではない。」

「【0108】
以下、本発明の一実施形態による基板内蔵用積層セラミック電子部品の製造方法を説明するが、これに限定されるものではない。
【0109】
本発明の一実施形態による基板内蔵用積層セラミック電子部品の製造方法は、誘電体層を含むセラミックグリーンシートを用意する段階と、導電性金属粉末及びセラミック粉末を含む内部電極用導電性ペーストを用いて、前記セラミックグリーンシート上に内部電極パターンを形成する段階と、前記内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを積層して、内部に互いに対向するように配置される第1内部電極及び第2内部電極を含むアクティブ層を形成し、前記アクティブ層の上面又は下面にセラミックグリーンシートを積層してカバー層を形成することにより、互いに対向する第1、第2主面、互いに対向する第1、第2側面、及び互いに対向する第1、第2端面を有するセラミック本体を用意する段階と、前記セラミック本体の上面及び下面にサンドペーパーを挿入して積層、圧着する段階と、前記セラミック本体から前記サンドペーパーを除去した後に焼成する段階と、前記セラミック本体の第1側面及び第2側面に第1外部電極及び第2外部電極を形成する段階と、前記第1外部電極及び第2外部電極上に銅(Cu)を含む金属層を形成する段階と、前記セラミック本体及び金属層にサンドブラスト工法を適用して表面粗度を調整する段階とを含み、前記金属層の厚さをtpとするとき、tp≧5μmを満たすようにしてもよい。
【0110】
本発明の一実施形態による基板内蔵用積層セラミック電子部品の製造方法においては、まず、チタン酸バリウム(BaTiO3)粉末などを含むスラリーをキャリアフィルム上に塗布及び乾燥して複数のセラミックグリーンシートを用意する。これにより、誘電体層を形成することができる。」

「【0113】
前記セラミックグリーンシート上に前記内部電極用導電性ペーストをスクリーン印刷法で塗布して内部電極を形成した後に400?500層積層してアクティブ層を形成し、前記アクティブ層の上面又は下面にセラミックグリーンシートを積層してカバー層を形成することにより、互いに対向する第1、第2主面、互いに対向する第1、第2側面、及び互いに対向する第1、第2端面を有するセラミック本体10を製造する。
【0114】
セラミック本体10の上面及び下面にサンドペーパーを挿入して積層、圧着、及び焼成する段階は、セラミック本体10の表面粗さを形成するためのものであって、P100?P3000のサンドペーパーを適用することで人為的に粗さを形成することができ、セラミック本体10の表面の一部の粗度のみを高めることができ、積層セラミック電子部品の信頼性に影響を与えることなく、セラミック本体10の表面粗さを形成することができる。
【0115】
セラミック本体10の圧着工程時に表面にサンドペーパーを挿入してサンドペーパーの表面粗度をセラミック本体10の表面に転写してもよいが、これはセラミック本体10の表面に粗さを形成するためのものであり、前記サンドペーパーとしてはP100?P3000のものを使用してもよい。」

「【0117】
次に、セラミック本体10の第1側面及び第2側面に第1外部電極31a及び第2外部電極32aを形成し、その後、第1外部電極31a及び第2外部電極32a上に銅(Cu)を含む金属層31b、32bを形成してもよい。
【0118】
前記銅(Cu)を含む金属層31b、32bを形成する段階は、特に限定されるものではないが、例えばめっきにより行ってもよい。
【0119】
第1外部電極31a及び第2外部電極32a上に銅(Cu)を含む金属層31b、32bを形成する段階においては、セラミック本体10の焼成が完了した後に人為的に銅(Cu)を含む金属層31b、32bの表面粗さを形成、調整するために、サンドブラスト工法を適用してもよい。」

(2)以上によれば、引用文献5には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(括弧内は、認定に用いた引用文献5の記載箇所を示す。以下同様。)。
「誘電体層11を含み、互いに対向する第1、第2主面S1、S2、互いに対向する第1、第2側面S5、S6、及び互いに対向する第1、第2端面S3、S4を有するセラミック本体10と、
誘電体層11を介して互いに対向するように配置され、第1側面S5又は第2側面S6に交互に露出する第1内部電極21及び第2内部電極22と、
セラミック本体10の第1側面S5に形成されて第1内部電極21と電気的に接続される第1外部電極31a及びセラミック本体10の第2側面S6に形成されて第2内部電極22と電気的に接続される第2外部電極32aと、
第1外部電極31a及び第2外部電極32a上に形成された金属層31b、32bとを含む(【0042】)、
基板内蔵用積層セラミックキャパシタの製造方法であって(【0043】、【0108】)、
まず、複数のセラミックグリーンシートを用意し(【0110】)、
セラミックグリーンシート上に内部電極用導電性ペーストを塗布して内部電極を形成した後に積層し、さらに、上面又は下面にセラミックグリーンシートを積層してセラミック本体10を製造し(【0113】)、
セラミック本体10の上面及び下面にサンドペーパーを挿入して圧着し、セラミック本体10からサンドペーパーを除去した後にセラミック本体10を焼成し、そのことによりセラミック本体10の表面の一部の粗度のみを高め(【0109】、【0114】、【0115】)、
セラミック本体10の第1側面及び第2側面に第1外部電極31a及び第2外部電極32aを形成し、第1外部電極31a及び第2外部電極32a上に、めっきにより銅(Cu)を含む金属層31b、32bを形成し(【0117】、【0118】)、
サンドブラスト工法を適用して、金属層31b、32bの表面粗さを形成、調整する(【0119】)
基板内蔵用積層セラミックキャパシタの製造方法。」

2 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0011】本発明の目的は、水を用いない乾式バレル研磨によりセラミック焼結体の端面に内部電極を確実に露出させることができ、従ってデラミネーションや電気的特性の劣化が生じ難く、かつ上記セラミック焼結体の端面の研磨を効率良く行い得る、生産性に優れたセラミック電子部品の製造方法を提供することにある。」

「【0040】上記バレル式ブラスト装置21のバレルポット22内に、開口22a側からセラミック焼結体11を多数投入し、バレルポット22を5rpmの速度で回転しつつ、ブラストノズル25から研磨剤として#100メッシュ,ジルコニアパウダーを0.1MPaの条件で投射し、15分間研磨剤の投射及びバレルポット22の回転を持続し、ブラスト式バレル研磨を施した。この場合、バレルポット22がメッシュにより構成されているので、研磨剤及び研磨屑が、バレルポット22の回転によりバレルポット22外に排出されていた。」

上記記載より、引用文献1には、次の技術が記載されている。
「セラミック焼結体の端面に内部電極を確実に露出させるために、メッシュにより構成されているバレルポット22内に、セラミック焼結体11を多数投入し、バレルポット22を回転しつつ、ブラストノズル25から研磨剤を投射し、ブラスト式バレル研磨を施す技術。」

第5 対比、判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 本願の「電子部品」は、本願明細書の段落【0017】を参酌すると、積層セラミックコンデンサであるから、引用発明の「基板内蔵用積層セラミックキャパシタ」は、本願発明1の「電子部品」に相当する。
よって、引用発明の「セラミック本体10を焼成し、」「セラミック本体10の第1側面及び第2側面に第1外部電極31a及び第2外部電極32aを形成し、第1外部電極31a及び第2外部電極32a上に、めっきにより銅(Cu)を含む金属層31b、32bを形成」することは、「基板内蔵用積層セラミックキャパシタ」を用意することといえるから、本願発明1の「複数の電子部品を用意する工程」に相当する。
但し、複数の電子部品を用意する工程が、本願発明1は「容器内に複数の電子部品を用意する」のに対して、引用発明はそのような特定がない点で相違する。

イ 引用発明は「サンドブラスト工法を適用して、金属層31b、32bの表面粗さを形成、調整」しているので、研磨剤を吹き付けて表面粗さを形成している。そうすると、引用発明の「金属層31b、32bの表面粗さを形成、調整する」「サンドブラスト工法」における研磨剤は、粗化処理剤であるといえる。
よって、引用発明の「金属層31b、32bを形成し」た「セラミック本体10」に「サンドブラスト工法を適用して、金属層31b、32bの表面粗さを形成、調整する」ことと本願発明1は、「各電子部品」に「粗化処理剤を吹き付ける吹付工程」である点で共通する。
但し、各電子部品に粗化処理剤を吹き付ける吹付工程が、本願発明1は「前記容器内に配された前記各電子部品の上方から前記各電子部品が舞い上がって回転するように粗化処理剤を吹き付ける吹付工程」であるのに対して、引用発明はそのような特定がない点で相違する。

ウ 引用発明の「セラミック本体10」は、本願発明1の「コンデンサ本体」に相当する。
そして、引用発明の「第1外部電極31a及び第2外部電極32a」及び「金属層31b、32b」は、「セラミック本体10」に「形成され」たものであるから、本願発明1の「前記コンデンサ本体上に設けられる第1及び第2の外部電極」に相当する。
そうすると、引用発明の「めっきにより」「形成」された「銅(Cu)を含む金属層31b、32b」は、「第1外部電極31a及び第2外部電極32a上に形成された」ものであるから、本願発明1の「前記第1及び第2の外部電極の最外層」の「Cuめっき層又はCu合金めっき層」に相当する。
よって、引用発明の「セラミック本体10と、」「セラミック本体10」「に形成され」た「第1外部電極31a及び」「第2外部電極32aと、」「第1外部電極31a及び第2外部電極32a上に形成された金属層31b、32bとを含む、基板内蔵用積層セラミックキャパシタ」は、本願発明1の「コンデンサ本体と、前記コンデンサ本体上に設けられる第1及び第2の外部電極を有し、前記第1及び第2の外部電極の最外層には、Cuめっき層又はCu合金めっき層を有する基板内蔵用電子部品」に相当する。

エ 引用発明は、本願でいう、複数の電子部品を用意する工程と、各電子部品に粗化処理剤を吹き付ける吹付工程とを上記ア及びイのとおり、備えている。
よって、引用発明の「基板内蔵用積層セラミックキャパシタの製造方法」は、本願発明1の「電子部品の製造方法」に相当するといえる。

したがって、上記アないしエによれば、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点及び相違点があるといえる。
(一致点)
「複数の電子部品を用意する工程と、
各電子部品に粗化処理剤を吹き付ける吹付工程と、
を備える、電子部品の製造方法であって、
前記電子部品は、コンデンサ本体と、前記コンデンサ本体上に設けられる第1及び第2の外部電極を有し、前記第1及び第2の外部電極の最外層には、Cuめっき層又はCu合金めっき層を有する基板内蔵用電子部品である、
電子部品の製造方法」
(相違点1)
複数の電子部品を用意する工程が、本願発明1は「容器内に複数の電子部品を用意する」のに対して、引用発明はそのような特定がない点。
(相違点2)
各電子部品に粗化処理剤を吹き付ける吹付工程が、本願発明1は「前記容器内に配された前記各電子部品の上方から前記各電子部品が舞い上がって回転するように粗化処理剤を吹き付ける吹付工程」であるにに対して、引用発明はそのような特定がない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑み、まず、相違点2について検討する。
引用文献1には、セラミック焼結体の端面に内部電極を確実に露出させるために、メッシュにより構成されているバレルポット22内に、セラミック焼結体11を多数投入し、バレルポット22を回転しつつ、ブラストノズル25から研磨剤を投射し、ブラスト式バレル研磨を施す技術が記載されている(上記「第4 2」)。
ここで、「セラミック本体10」は、「誘電体層11を介して互いに対向するように配置され、第1側面S5又は第2側面S6に交互に露出する第1内部電極21及び第2内部電極22」を備えるものであるから、引用発明においても第1内部電極21及び第2内部電極22を確実に露出させる課題を内在していることは自明であり、引用文献1に記載の上記ブラスト式バレル研磨を施す技術の適用を試みることは、当業者が適宜なし得ることであるといえる。
しかしながら、たとえ引用発明に上記引用文献1に記載された技術を適用しても、第1外部電極31a及び第2外部電極32aを形成する前のセラミック焼成体に対して研磨を施すことになり、上記相違点2に係る、(第1及び第2の外部電極を有する)各電子部品の上方から粗化処理剤を吹き付ける吹付工程を導き出すことはできない。
さらに、上記引用文献1に記載された技術は、バレルポット22を回転させているので、そのことによりセラミック焼結体11が回転しているといえる。そうすると、引用発明に上記技術を適用しても、バレルポット22を回転させて、焼成済みセラミック本体10を回転させることになり、上記相違点2に係る各電子部品が舞い上がって回転するように粗化処理剤を吹き付ける吹付工程を導き出すことはできない。

したがって、上記相違点2に係る構成は、引用発明、引用文献1に記載された技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

よって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献1に記載された技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2について
本願発明2は、本願発明1の発明特定事項を全て含む発明であるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても引用発明、引用文献1に記載された技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1及び2は、当業者が引用文献5に記載された発明及び引用文献1に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-03-30 
出願番号 特願2016-20097(P2016-20097)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 多田 幸司  
特許庁審判長 酒井 朋広
特許庁審判官 畑中 博幸
須原 宏光
発明の名称 電子部品の製造方法  
代理人 小谷 昌崇  
代理人 櫻井 智  
代理人 小谷 悦司  
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