• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G08B
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G08B
管理番号 1372579
審判番号 不服2020-8278  
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-06-15 
確定日 2021-04-21 
事件の表示 特願2017-113718「非常警報設備」拒絶査定不服審判事件〔平成30年12月27日出願公開,特開2018-206259,請求項の数(7)〕について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 
理由
第1 手続の経緯

本願は,平成29年6月8日の出願であって,令和元年12月23日付けで拒絶理由通知がされ,令和2年2月13日に手続補正がされ,令和2年3月16日付けで拒絶査定(原査定)がされ,これに対し,令和2年6月15日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ,令和2年12月22日付けで拒絶理由通知(以下,「当審拒絶理由通知」という。)がされ,令和3年2月15日に手続補正がされたものである。


第2 原査定の概要

原査定(令和2年3月16日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

●理由1(特許法第29条第2項)について
・請求項 1-7
・引用文献等 1-7

複数の内線電話機を接続可能な装置に,1台の電話機としての機能を組み込むことは,例えば,引用文献5(特に段落0007-0012,図1-2),引用文献6(特に段落0009-0010,0021,図1-2),引用文献7(特に段落0002-0004,0007,0011,0020,図1,7-8)などに記載のように周知技術であるから,引用文献1記載の,複数の子機を接続するローカル装置(本願の「中継器」)に当該周知技術を適用し,上記構成とすることは,当業者が容易になし得たことである。

1.特開2004-064709号公報
5.特開平05-030227号公報(周知技術を示す文献;新たに引用された文献)
6.特開平05-030566号公報(周知技術を示す文献;新たに引用された文献)
7.特開平05-207538号公報(周知技術を示す文献;新たに引用された文献)


第3 当審拒絶理由の概要

当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

●理由1(進歩性)

・請求項 :1
・引用文献:1,3

・請求項 :1
・引用文献:2,3

●理由2(明確性)

・請求項1

平成21年9月30日消防庁告示第22号は,非常警報設備の基準(昭和48年消防庁告示第6号)の一部を改正する告示であって,その内容は,下記のとおり,「第4 放送設備の構造及び性能」の第1号(4)を変更するとともに,(6)を(7)に,(5)を(6)に変更して,(5)として新たな基準を加えるものである。
したがって,平成21年9月30日消防庁告示第22号には,「非常電話子機」の記載はないから,どのような非常電話子機であるのか明確でない。

引 用 文 献 等 一 覧

特開2010-34731号公報
特開2012-85078号公報
3.特許第3287925号公報


第4 本願発明

本願請求項1-7に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明7」という。)は,令和3年2月15日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-7に記載された事項により特定される発明であり,本願発明1-7は以下のとおりの発明である。(下線部は,請求人が付与。)

「【請求項1】
受話器を取り上げることによって非常発報を行うことができるとともに音声による通話も行うことができる多数の非常電話子機と該多数の非常電話子機との間で選択的な通話を行うことができる親機とを含んで構成される非常警報設備において,
それぞれ1乃至複数の非常電話子機を接続することができる複数の中継器を備え,
前記中継器は,
接続された非常電話子機と前記親機との間でやり取りされるアナログ信号をデジタル信号に変換する信号変換手段と,
前記デジタル信号をパケット信号に変換し前記中継器と前記親機との間を接続する信号線を介して伝送する信号伝送手段と
を有するとともに,
前記複数の中継器のうちの少なくとも一つに前記非常電話子機の一つが組み込まれていること,
さらに,前記信号線は前記複数の中継器ごとに独立して設けられている,
ことを特徴とする非常警報設備。
【請求項2】
前記非常電話子機を用いて行われる非常通報のデータを記録する記録手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の非常警報設備。
【請求項3】
前記中継器は,さらに各種の防災用センサ,防火シャッタまたはその他の消防設備を接続することができることを特徴とする請求項1または2に記載の非常警報設備。
【請求項4】
前記中継器は,前記中継器に接続された機器の動作状態を点検する点検手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の非常警報設備。
【請求項5】
前記中継器は,前記中継器に接続された機器に対して電源を供給する電源供給手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の非常警報設備。
【請求項6】
前記信号伝送手段はVLANを使用して前記パケット信号を伝送することを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の非常警報設備。
【請求項7】
前記中継器に接続された機器の動作状況を監視する監視手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の非常警報設備。」


第5 引用文献,引用発明等

1.引用文献1について

当審拒絶理由に引用された特開2010-34731号公報(以下,「引用文献1」という。下線は当審が付与。)には,

「【0001】
本発明は,警報を発信する発生元の 通報装置がIP電話網にターミナルアダプタを経由して監視先の警報受信装置とアナログ信号を送受信する場合に,警報情報を正確に伝達できる通報システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の通報システムは,例えば,特開2002-111889号公報(特許文献1)または特開2003-152901号公報(特許文献2)に開示されている。ここでは,通報装置となる通報元端末または非常通報装置が,他の電話機を含む少なくとも一つの通信端末とターミナルアダプタを介して通報先に接続されている。
【0003】
図1を参照して説明すれば,通報装置200は,通信端末11と共に,ターミナルアダプタ(以後,TAと略称する)12を介してIP電話網13に接続し,警報受信装置300はIP電話網13とターミナルアダプタ(TA)14を介して接続する。TA12,TA14それぞれは同一の装置である。この構成で,通報装置200,警報受信装置300および通信端末11,15とTA12,14との間はアナログ回線で接続される。TA12,14との間はIP電話網13を介してデジタル回線で接続される。」
【図1】


「【0021】
本発明の実施例1について図3から図7までを参照して説明する。
【0022】
図3は,本発明による通報システムの通報装置20を,一つの通信端末としてみなし,通信端末11同様,ターミナルアダプタ(以後,TAと略称する)12を介してIP電話網13に接続する一実施例をブロックで示す説明図である。通報装置20は,一つの通信端末ではあるが,TA12の二つの端末ポートを占有する。ここでの通信端末11は,例えばIP電話機である。TA12は端末ポート16-1,-2,?-NおよびDSU(Digital Service Unit:加入者回線終端装置)18を有する。IP電話網13は,インターネットを含むネットワークを利用した電話網である。
【0023】
TA12の端末ポート16-のそれぞれは周知のように,2/4変換部(2線/4線変換回路)およびコーデック(アナログ/デジタル変換回路)を有し,2/4変換部の4線部分では,アナログ信号による送信路と受信路とが形成される。DSU18は,ここではIP電話回線終端部であり,一方で端末ポート16-1,-2,?-Nとアナログから変換されたデジタル信号を授受し,他方でIP電話網13と接続してデジタル信号を授受する。したがって,TA12は周知の単純なターミナルアダプタでよい。
【0024】
図示されるように,通報装置20はアナログ端末であり,音声信号に対して,自己の送信路および受信路それぞれを二つのアナログ回線に接続する。二つの回線は,それぞれが通信回線であり,一方を送信路回線,他方を受信路回線としてのみに使用し,TA12の端末ポート16-1,-2それぞれに接続される。従って,音声信号は,端末ポート16-1を介して送信され,端末ポート16-2を介して受信される。同様に,接続相手先装置である警報受信装置も,後述するように送信路および受信路それぞれを二つのアナログ回線に接続しており,通報装置20がこの接続相手先装置と正常に接続されているものであれば,アナログの警報を発信中において端末ポート16-1の回線では受信路からの音声信号は伝送されない。
【0025】
従って,受信側端末ポートで送信信号の漏話または回り込みがあったとしても,送信側端末ポートに戻ってきた際には低雑音として受信するのみである。それ故,通報装置20から送信するアナログ信号に悪影響はない。一方,端末ポート16-2は接続相手先装置から受信路回線を介して受ける例えば応答信号,確認信号などの返信による受信信号のみを通報装置20へ伝送する。本実施例での接続相手先装置は警報受信装置であり,詳細は後に説明する。
【0026】
次に,図4に図3を併せ参照して本発明に係る通報装置20について説明する。
【0027】
図4に示される通報装置20は,一方に警報センサ1,非常ボタン2,非常用電話機3などを,他方に上記TA12と接続する二つの電話回線を,それぞれ接続し,警報検知部21,発信制御部22,送受信回線自動発信部23,S回線ポート24,R回線ポート25,電話機ポート26および2/4変換部27を有する。
【0028】
警報センサ1は,例えば火災警報などの自動センサ,非常ボタン2も例えば火災警報などの押しボタンであって,それぞれ複数個および複数種類であってもよい。非常用電話機3も,警報センサ1および非常ボタン2を搭載されてもよいが,警報受信先と接続の際に警報情報の送信および対話を可能とするものである。
【0029】
警報検知部21は,警報センサ1,非常ボタン2などと接続し,所定の信号を受けて警報を検知した際,警報種別,警報位置などのデータ情報をアナログ信号に形成して発信制御部22に通知する。このアナログ信号は,例えば押しボタン(PB)ダイヤルで使用される音声周波数の組合せによる。発信制御部22は,警報検知部21または電話機ポート26から警報情報を受付けした場合,および電話機ポート26から通常の発呼を受付けした場合,何れの場合も,送受信回線自動発信部23に予め記憶された二つの宛先アドレスを取り出し,それぞれ対応するS回線ポート24およびR回線ポート25から電話回線に発呼し,自動ダイヤル発信する。この宛先アドレスは,例えば,アドレス「A」が送信路回線に,アドレス「B」が受信路回線にそれぞれ送信されるものとする。
【0030】
従って,発信制御部22は,通報装置20が警報検知部21から発呼の際,S回線ポート24を介してアドレス「A」で送信路回線に,R回線ポート25を介してアドレス「B」で受信路回線にそれぞれ自動的にダイヤル発信する。その結果,各回線で呼出音を,次いで応答信号をそれぞれ受付けする。この状態では,二つの電話回線が,送信路回線および受信路回線としてS回線ポート24およびR回線ポート25それぞれに接続されている。発信制御部22による発呼機能およびその動作手順は周知のものでよく,これらの接続制御のための信号授受はそのシステムを限定するものではない。ここで,接続相手先との送受話路確立を確認する送受信確認機能が機能するものとする。その具体的構成は,周知の何れの技術でもよい。
【0031】
例えば,送受信路回線が接続済み状態にあるので,発信制御部22は,その接続確認のため,確認信号をS回線ポート24の送信路回線から送信し,S回線ポート24およびR回線ポート25の信号受信を監視する。相手先では,その確認信号を折り返しこの送信路回線ではなく受信路回線に返信することにより,R回線ポート25の受信路回線のみで受付けすることにより,正常の送受信路回線接続を確認することができる。
【0032】
送受信回線自動発信部23には,S回線ポート24およびR回線ポート25それぞれに対応する二つの宛先アドレス,本実施例ではアドレス「A」およびアドレス「B」が予め記憶されている。このアドレスは,電話網を介して接続される相手先の警報受信装置が有する二つの電話回線用ポートそれぞれに付与されているものである。また,上記警報種別に警報データが含まれることにより,警報受信装置で識別され,受信側で異なった警報を発生することができる。警報種別に対応する複数の警報受信装置が設けられる場合,警報受信装置それぞれの電話回線用ポートに付与される二つの宛先アドレスが更に追加されて予め記憶されることになる。本実施例では一つの警報受信装置に接続されるものとする。
【0033】
S回線ポート24およびR回線ポート25それぞれは,通常の2線式電話回線と接続するものであり,一方では発信制御部22,他方ではTA12の二つの端末ポートそれぞれに対して接続される。従って,上述の接続制御が終了して接続相手先と電話回線の接続が完了した時点では,S回線ポート24は警報信号等の送信路,R回線ポート25は接続先からの信号受信路,それぞれに限定して用いられる。その結果,図3で示されるように,S回線ポート24から警報信号等の送出がある場合,端末ポート16-1における2/4変換部では受信信号がないので漏話および回り込みによる警報信号の歪は発生しない。
【0034】
電話機ポート26は非常用電話機3を接続して,非常用電話機3との間の制御信号は発信制御部22と授受し,音声信号は2/4変換部27と授受する。すなわち,非常用電話機3からの所定のボタンによる警報は発信制御部22に直接伝達され,上記非常ボタン同様に接続処理される。非常用電話機3からの発呼の場合も同様の手順で所定の警報受信装置宛てに自動接続されるが,警報種別には電話機呼出し情報が含まれる。」
【図3】

【図4】


の記載があるから,

「警報を発信する発生元の通報装置がIP電話網にターミナルアダプタを経由して監視先の警報受信装置とアナログ信号を送受信する通報システムであって,
通報装置20を,一つの通信端末としてみなし,通信端末11同様,ターミナルアダプタ12を介してIP電話網13に接続し,
TA12は端末ポート16-1,-2,?-NおよびDSU18を有し,
TA12の端末ポート16-のそれぞれは,2線/4線変換回路およびコーデック(アナログ/デジタル変換回路)を有し,DSU18は,ここではIP電話回線終端部であり,一方で端末ポート16-1,-2,?-Nとアナログから変換されたデジタル信号を授受し,他方でIP電話網13と接続してデジタル信号を授受し,
通報装置20はアナログ端末であり,一方に警報センサ1,非常ボタン2,非常用電話機3などを,他方に上記TA12と接続する二つの電話回線を,それぞれ接続し,警報検知部21,発信制御部22,送受信回線自動発信部23,S回線ポート24,R回線ポート25,電話機ポート26および2/4変換部27を有し,
警報センサ1は,例えば火災警報などの自動センサ,非常ボタン2も例えば火災警報などの押しボタンであって,非常用電話機3も,警報センサ1および非常ボタン2を搭載されてもよいが,警報受信先と接続の際に警報情報の送信および対話を可能とするものであり,
警報検知部21は,警報センサ1,非常ボタン2などと接続し,所定の信号を受けて警報を検知した際,警報種別,警報位置などのデータ情報をアナログ信号に形成して発信制御部22に通知し,
発信制御部22は,警報検知部21または電話機ポート26から警報情報を受付けした場合,および電話機ポート26から通常の発呼を受付けした場合,何れの場合も,送受信回線自動発信部23に予め記憶された二つの宛先アドレスを取り出し,それぞれ対応するS回線ポート24およびR回線ポート25から電話回線に発呼し,自動ダイヤル発信し,
発信制御部22は,通報装置20が警報検知部21から発呼の際,S回線ポート24を介してアドレス「A」で送信路回線に,R回線ポート25を介してアドレス「B」で受信路回線にそれぞれ自動的にダイヤル発信し,各回線で呼出音を,次いで応答信号をそれぞれ受付けして,二つの電話回線が,送信路回線および受信路回線としてS回線ポート24およびR回線ポート25それぞれに接続され,
送受信路回線が接続済み状態にあるので,発信制御部22は,その接続確認のため,確認信号をS回線ポート24の送信路回線から送信し,S回線ポート24およびR回線ポート25の信号受信を監視し,相手先では,その確認信号を折り返しこの送信路回線ではなく受信路回線に返信することにより,R回線ポート25の受信路回線のみで受付けすることにより,正常の送受信路回線接続を確認することができ,
送受信回線自動発信部23には,S回線ポート24およびR回線ポート25それぞれに対応する二つの宛先アドレス,アドレス「A」およびアドレス「B」は,電話網を介して接続される相手先の警報受信装置が有する二つの電話回線用ポートそれぞれに付与されているものであり,
上述の接続制御が終了して接続相手先と電話回線の接続が完了した時点では,S回線ポート24は警報信号等の送信路,R回線ポート25は接続先からの信号受信路,それぞれに限定して用いられ,
電話機ポート26は非常用電話機3を接続して,非常用電話機3からの所定のボタンによる警報は発信制御部22に直接伝達され,非常ボタン同様に接続処理され,非常用電話機3からの発呼の場合も同様の手順で所定の警報受信装置宛てに自動接続されるが,警報種別には電話機呼出し情報が含まれる,
通報システム。」(以下,「引用発明1」という。)

の発明が記載されている。

2.引用文献2について

当審拒絶理由に引用された特開2012-85078号公報(以下,「引用文献2」という。下線は当審が付与。)には,

「【0026】
図1は,本発明にかかる非常電話システムの一実施の形態を示し,この非常電話システム1では,複数の非常電話機2a?2n(nは2以上の整数),3a?3n,4?6と,第1の交通管制室10と,第2の交通管制室11とがIP網8を介して接続される。尚,図1においては,2つの交通管制室のみを図示しているが,IP網8に接続する交通管制室の数は,3以上であってもよい。
【0027】
IP網8は,IP(Internet Protocol)を利用したネットワークであり,例えば,リング型やメッシュ型のネットワークで構成される。IP網8は,その全てを非常電話システム1のために新設するものではなく,一部又は全部を既存のIPネットワークを利用して構築される。尚,リング型のネットワークの場合,ネットワークの構築が容易な反面,障害耐性が必ずしも高くはないため,経路断が発生した場合のバックアップ経路の設定を行い,迂回経路による接続を可能にしておく。
【0028】
非常電話機2a?2n,3a?3n,4?6は,何れも高速道路の沿道に所定の間隔で設置される固定電話機である。非常電話機2a?2nとIP網8の間,及び,非常電話機3a?3nとIP網8の間には,IP線路監視装置(IP-LSV(IP-line supervisor))13,14が設置され,また,非常電話機4?6の各々とIP網8の間には,非常電話用ゲートウェイ(GW)15?17が設置される。
【0029】
IP線路監視装置13,14及び非常電話用GW15?17は,何れも非常電話機2a?2n,3a?3n,4?6をIP網8に接続するための中継器であり,SIP(Session Initiation Protocol)プロトコルに従って非常電話機2a?2n,3a?3n,4?6の通話接続制御を行う。IP線路監視装置13,14及び非常電話用GW15?17と非常電話機2a?2n,3a?3n,4?6は,アナログ回線によって接続され,IP線路監視装置13,14及び非常電話用GW15?17とIP網8は,デジタル回線によって接続される。
【0030】
尚,IP線路監視装置13,14と非常電話用GW15?17の違いは,本発明に関連する機能の上では,IP線路監視装置13,14が複数の非常電話機2a?2n,3a?3nを収容するのに対して,非常電話用GW15?17が1対1の関係で非常電話機4?6を収容する点である。
【0031】
第1の交通管制室10は,高速道路の安全を管理する管理センターであり,非常電話機2a?2n,3a?3n,4?6からの非常通報を受け付ける受付舎として機能する。第1の交通管制室10には,非常電話機2a?2n,3a?3n,4?6からの非常通報を受け付ける複数の受付台21a?21cと,これら受付台21a?21cをIP網8に接続する管制室用サーバ22とが設置される。」
【図1】

「【0036】
次に,図1の非常電話システム1の動作について,図1?図7を参照しながら説明する。ここでは,図1の非常電話機2aをオフフックした場合を例にとって説明する。尚,図2は,非常電話システム1の全体動作を示すタイムチャートであり,図3は,IP線路監視装置13の動作手順を示すフローチャートであり,図4は,緊急受付台用サーバ23a?23c,28a?28cの動作手順を示すフローチャートである。
【0037】
非常電話機2aをオフフックすると(図3のステップS1),IP線路監視装置13でこれを検知し,図5に示すように,IP線路監視装置13から第1の交通管制室10の緊急受付台用サーバ23a?23c及び第2の交通管制室11の緊急受付台用サーバ28a?28cにINVITEリクエスト(非常通報の発信信号)を送信する(図3のステップS2,図2参照)。
【0038】
緊急受付台用サーバ23a?23c,28a?28cは,IP線路監視装置13からのINVITEリクエストを受信すると(図4のステップS11),受付台21a?21c,26a?26cを呼び出し,100(Trying)レスポンス及び180(Ringing)レスポンスをIP線路監視装置13に送信する(図2参照)。
【0039】
そして,受付台21a?21c,26a?26cの各々において,担当者が電話に出て非常電話機2aからの非常通報を受け付けると(図2の「受付操作」),その受付操作に応答して,緊急受付台用サーバ23a?23c,28a?28cは,着信受付応答としての応答信号(200(OK))をIP線路監視装置13に送信する(図4のステップS12,図2参照)。
【0040】
上記の際,例えば,図2及び図6の太矢印Aに示すように,受付台26cを収容する緊急受付台用サーバ28cからの応答信号(200(OK))が最も早く,他の緊急受付台用サーバ23a?23c,28a,28bからの応答信号(200(OK))よりも先にIP線路監視装置13に届いたとすると,IP線路監視装置13は,最初に応答回答(200(OK))を返信してきた緊急受付台用サーバ28cに対し,回線の開放を要請する接続要請信号としてのACKレスポンスを送信する(図3のステップS3:Y,ステップS4:Y,図2参照)。
【0041】
緊急受付台用サーバ28cでは,IP線路監視装置13からのACKレスポンスを受信するのに応答し,受付台26cまでの回線を開いて通話可能な状態に移行する(図4のステップS13:Y,ステップS14:Y,ステップS15,図2参照)。以後,図7に示すように,非常電話機2aと受付台26cの間で音声データを授受し,通話が終わるまで,その状態を維持する。」
【図2】

の記載があるから,

「何れも高速道路の沿道に所定の間隔で設置される固定電話機である複数の非常電話機2a?2n,3a?3n,4?6と,第1の交通管制室10と,第2の交通管制室11とがIP網8を介して接続される非常電話システムにおいて,
非常電話機2a?2nとIP網8の間,及び,非常電話機3a?3nとIP網8の間には,IP線路監視装置13,14が設置され,また,非常電話機4?6の各々とIP網8の間には,非常電話用ゲートウェイ(GW)15?17が設置され,
IP線路監視装置13,14及び非常電話用GW15?17は,何れも非常電話機2a?2n,3a?3n,4?6をIP網8に接続するための中継器であり,SIPプロトコルに従って非常電話機2a?2n,3a?3n,4?6の通話接続制御を行い,IP線路監視装置13,14及び非常電話用GW15?17と非常電話機2a?2n,3a?3n,4?6は,アナログ回線によって接続され,IP線路監視装置13,14及び非常電話用GW15?17とIP網8は,デジタル回線によって接続され,
第1の交通管制室10は,高速道路の安全を管理する管理センターであり,非常電話機2a?2n,3a?3n,4?6からの非常通報を受け付ける受付舎として機能し,第1の交通管制室10には,非常電話機2a?2n,3a?3n,4?6からの非常通報を受け付ける複数の受付台21a?21cと,これら受付台21a?21cをIP網8に接続する管制室用サーバ22とが設置され,
非常電話機2aをオフフックすると,IP線路監視装置13でこれを検知し,IP線路監視装置13から第1の交通管制室10の緊急受付台用サーバ23a?23c及び第2の交通管制室11の緊急受付台用サーバ28a?28cにINVITEリクエストを送信し,
緊急受付台用サーバ23a?23c,28a?28cは,IP線路監視装置13からのINVITEリクエストを受信すると,受付台21a?21c,26a?26cを呼び出し,Tryingレスポンス及びRingingレスポンスをIP線路監視装置13に送信し,
受付台21a?21c,26a?26cの各々において,担当者が電話に出て非常電話機2aからの非常通報を受け付けると,その受付操作に応答して,緊急受付台用サーバ23a?23c,28a?28cは,着信受付応答としての応答信号をIP線路監視装置13に送信し,
受付台26cを収容する緊急受付台用サーバ28cからの応答信号が最も早く,IP線路監視装置13に届いたとすると,IP線路監視装置13は,最初に応答回答を返信してきた緊急受付台用サーバ28cに対し,回線の開放を要請する接続要請信号としてのACKレスポンスを送信し,
緊急受付台用サーバ28cでは,IP線路監視装置13からのACKレスポンスを受信するのに応答し,受付台26cまでの回線を開いて通話可能な状態に移行し,非常電話機2aと受付台26cの間で音声データを授受し,通話が終わるまで,その状態を維持する
非常電話システム。」(以下,「引用発明2」という。)

の発明が記載されている。

3.引用文献3について

当審拒絶理由に引用された特許第3287925号公報(以下,「引用文献3」という。下線は当審が付与。)には,

「【0010】第1の検出部11は,煙,熱,炎,ガスあるいは臭い等の火災現象の物理量を検出するものであり,第1の判別回路12は,たとえば複数の異なる火災判別レベルを有し,第1の検出部11の出力信号に応じていずれのレベルに相当する火災であるかを判別し,この判別の結果を出力する回路である。
【0011】また,第1の伝送回路13は,第1の信号線SL1を介して,自己アドレスを付加する等して判別回路12の判別結果を図示しない火災受信機に送出する回路であり,受信回路14は,第2の信号線SL2を介して,一般型火災感知器21の動作を示す信号を受信する回路である。換言すれば,受信回路14は,第2の信号線SL2を介して,他の火災感知器の動作を示す信号を受信する回路である。第1の伝送回路13は,判別回路12の判別結果に応じて火災信号を送出するとともに,受信回路14の出力信号に応じて火災信号を送出するものである。なお,第1の伝送回路13には,自己アドレスを設定するとともに一般型火災感知器を設定するための図示しないディップスイッチやEEPROM等が設けられている。」

「【0016】図2は,本発明の第2実施例を示すブロック図である。
【0017】この第2実施例は,基本的には図1に示す実施例と同じであるが,中継器機能付火災感知器10には,一般型火災感知器21の他に,一般型火災感知器22,23,24が接続され,一般型火災感知器21?24のそれぞれと受信回路14とが第2の信号線SL3で接続され,第2の信号線SL3の途中に抵抗R1,R2,R3,R4が接続されている点が異なる。抵抗R1,R2,R3,R4の値は互いに異なる。また,一般型火災感知器22,23,24の各構成は,一般型火災感知器21の構成と同様である。なお,図2では,中継器機能付火災感知器10,一般型火災感知器21?24において,本体10s,21sとベース10b,21bとの区切を示す表示を省略してある。
【0018】次に,上記第2実施例の動作について説明する。
【0019】一般型火災感知器22?24のいずれかにおける第2の検出部DEが火災現象を検出したときに,その第2の検出部DEに接続されているスイッチング回路SWが動作することによって火災信号が発生し,この火災信号が第2の信号線SL3を介して,受信回路14に送られる。
【0020】一般型火災感知器21?24自体が互いに同じものであっても,抵抗R1?R4の値が互いに異なるので,一般型火災感知器21?24のいずれかが動作したときには,受信回路14の入力端子の電圧が異なり,したがって,一般型火災感知器21?24のうちのどの火災感知器が動作したかを受信回路14が認識できる。そして,受信回路14は,一般型火災感知器21?24のどれが火災信号を送出したかを示す信号を第1の伝送回路13に送り,動作した一般型火災感知器21?24のアドレスと火災信号とを,図示しない火災受信機へ第1の伝送回路13が送出する。すなわち,火災受信機に単に火災信号を送るだけでなく,状態情報の1つとして,中継器機能付火災感知器10に接続されている一般型火災感知器21?24のどれが火災現象を検出したかを示す信号を送出する。なお,図2において共通線CLに設けた抵抗Rを省略してもよく,この場合は,抵抗R1?R4が電流制限用の抵抗としても機能する。」

の記載がある。

従って,引用文献3によれば,

煙,熱,炎,ガスあるいは臭い等の火災現象の物理量を検出する一般型火災感知器を複数収容し,収容する複数の一般型火災感知器のいずれかが動作したときには,動作した火災感知器のアドレスと火災信号とを火災受信機へ送出する「中継器機能付火災感知器」,すなわち「収容する火災感知器のうち動作した火災感知器のアドレスと火災信号とを火災受信機へ送出する中継器に火災感知器の一つを組み込まれるようにすること」は周知である。

引用文献4について

原査定に引用された特開2004-64709号公報(以下,「引用文献4」という。下線は当審が付与。)には,

「【0005】
そこで本発明は,非常通話とそれ以外の通話を行う非常電話装置において,通話の種別を明確に識別できるようにする。
また本発明では接続されている子機の状態を確認できるようにする。」

「【0018】
本発明の第2実施例の非常電話装置を図4に示す。
第2実施例は複数のセンター装置,ローカル装置がネットワーク接続されたシステムとして構成されている。
非常電話装置30は主センター装置31,副センター装置32,ローカル装置51?54,子機71?74から構成されている。
【0019】
主センター装置31および副センター装置32には表示灯,表示器,操作ボタン等が設けられた操作表示パネル33,子機71?74との通話を行う送受話器34,転送処理を行う転送スイッチ35が設けられている。
ローカル装置51?54には複数個の子機71?74(71-1?71?n,72-1?72?n,73-1?73?n,74-1?74-n)が回線lで接続されている。
主センター装置31,副センター装置32,ローカル装置51?54は伝送線Lで接続されている。
【0020】
本発明の非常電話装置のブロック図を図5に示す。
主センター装置31ではCPUからなる制御部41が,ROM,RAMからなる記憶部42に記憶された処理プログラムやデータに基づき制御を行う。
また主センター装置31には操作表示パネル33に設けられた表示灯や表示器からなり,各種情報や警報の表示を行う表示部43,操作表示パネル33に設けられた操作ボタンやスイッチからなる操作部44,送受話器34からなる通話部45,通話接続部46,通話音声のA/D変換,D/A変換を行う音声変換部47,通信I/F48が設けられている。
なお副センター装置32の構成は主センター装置31と同一であるので説明を省略する。
【0021】
ローカル装置51ではCPUからなる制御部61が,ROM,RAMからなる記憶部62に記憶された処理プログラムやデータに基づき制御を行う。
またローカル装置51には回線lを介して子機71-1?71-nが接続される子機接続部63,通話接続部64,通話音声のA/D変換,D/A変換を行う音声変換部65,通信I/F66が設けられている。
なおローカル装置52?54の構成はローカル装置51と同一であるので説明を省略する。
【0022】
記憶部62には図6に示すような情報テーブルが記憶されている。情報テーブルにはデータを送信するセンター番号や,子機番号に対応する内線番号と回線種別が記憶されている。回線種別としては火災発生などの非常時に使用される火災回線と業務で使用される業務回線との2種類が記憶されている。また内線番号とは主センター装置31の操作表示パネル33を操作して直接子機を呼び出すときに使用する番号である。
【0023】
本発明の非常電話装置30の動作を説明する。なお主センター装置31とローカル装置51に接続された子機71-1または71-2との間の通話に関して説明を行う。
火災発生などの通報により子機71-1?71-nのいずれかがオフフック状態になったことをローカル装置51の子機接続部63が検出すると,オフフックとなった子機番号を制御部61に送信する。子機番号を受信した制御部61は記憶部62に記憶された情報テーブルを検索し,当該子機が火災回線が業務回線かを判断する。
【0024】
例えば子機71-1から呼出があると,制御部61は記憶部62の情報テーブルを参照し子機71-1を火災回線と判断し,火災呼出信号を通信I/F66を介して主センター装置31に送信する。
【0025】
通信I/F48を介して火災呼出信号を受信した主センター装置31の制御部41は表示部43に内線番号を表示し,火災発生の警報を行うとともに,通話接続部46との接続を許可し,通話部45を呼び出す。通話部45の送受信器34がオフフックとなると,呼出を開始した子機71-1との間で通話が可能となる。
【0026】
通話部45からの音声は通話接続部46を介して音声変換部47でA/D変換されデジタル音声信号としてローカル装置51に送信される。信号を受信したローカル装置51の制御部61は信号が自己に接続されている子機71-1に対するものであることを検出すると,信号を音声変換部65に送り,D/A変換し通話接続部64,子機接続部63を介して子機71-1に送る。子機71-1からの音声は逆に音声変換部65でA/D変換,音声変換部47でD/A変換することにより通話部45へ送られる。
このようにして送受信器34と子機71-1間の通話が行われる。
【0027】
また子機71-2から呼出があると,制御部61は記憶部62の情報テーブルを参照し子機71-2を業務回線と判断し,業務呼出信号を通信I/F66を介して主センター装置31に送信する。
【0028】
通信I/F48を介して業務呼出信号を受信した主センター装置31の制御部41は通話接続部46との接続を許可し,通話部45を呼び出す。通話部45の送受信器34がオフフックとなると,呼出を開始した子機71-2との間で通話が可能となる。ただしこの場合は表示部43には内線番号のみを表示し,警報表示等は行わない。」

【図4】

【図5】

「【0037】
本発明の非常電話装置30におけるグループ設定および転送動作を説明する。
図7は主センター装置31および副センター装置32のデータテーブルである。Table31は主センター装置31のデータテーブル,Table32は副センター装置32のデータテーブルであり,
それぞれのデータテーブルにはグループに属するローカル装置,転送送信先のセンター,転送受信を許可するセンターが記憶されている。
【0038】
Table31にはグループに属するローカル装置としてローカル装置51,52が記憶されている。すなわち主センター装置31,ローカル装置51,52とでグループが形成されている。
Table32にはグループに属するローカル装置としてローカル装置53,54が記憶されている。すなわち副センター装置32,ローカル装置53,54とでグループが形成されている。
【0039】
すなわち主センター装置31ではローカル装置51または52に接続された子機からの呼出のみに応答し,ローカル装置53または54に接続された子機からの呼出のみには応答しない。副主センター装置32も同様にローカル装置53または54に接続された子機からの呼出のみに応答し,ローカル装置51または52に接続された子機からの呼出のみには応答しない。
【0040】
このようにグループ設定することにより,非常電話装置の規模が大きくなった場合,分散して各種処理を行うことが可能であり,システム全体の負荷が軽減される。特に複数棟に分かれたシステムの場合,棟毎にセンター装置を設ける構成とすることができ,防災管理上有益である。
【0041】
さらにグループ設定されたセンター装置とローカル装置間で異常状態を監視するように構成しても良い。異常状態としては例えば装置間を接続する伝送線の状態,停電や電源異常,各装置の設定情報などがあげられる。またセンター装置がグループ内のローカル装置に対する予備電源試験などを一括して制御を行うようにしても良い。
【0042】
本発明の非常電話装置30における転送動作を説明する。
管理者が一時的に不在になる場合などの理由で,主センター装置31側で呼出信号等の受信処理ができなくなる場合,信号を他のセンター装置(副センター装置32)に転送するための転送制御を行うため,操作表示パネル33に設けられた転送スイッチ35をオンにする。
【0043】
制御部41は操作部44からの信号に基づき記憶部42のデータテーブルを参照して転送先として副センター装置32を設定する。この状態で呼出信号等を受信しても受信した信号を全て副センター装置32に転送し,副センター装置32において信号処理を行う。
転送スイッチ35をオフにすることにより転送処理は中止され,通常の通話処理に戻る。
【0044】
また管理者の不在等により,ローカル装置51?54からの呼出信号を受信したにもかかわらず送受話器34のオンフックが検出されないことがある。この場合に,所定時間送受話器34のオンフックが検出されないことを条件として他のセンター装置に呼出信号を転送するように構成することも可能である。さらに前述したグループ間で転送処理を行うようにすれば,転送設定が容易となる。」

の記載があるから,引用文献4には,

「非常通話とそれ以外の通話を行う非常電話装置において,通話の種別を明確に識別できるように,複数のセンター装置,ローカル装置がネットワーク接続されたシステムであって,非常電話装置30は主センター装置31,副センター装置32,ローカル装置51?54,子機71?74から構成され,
ローカル装置51?54には複数個の子機71?74(71-1?71?n,72-1?72?n,73-1?73?n,74-1?74-n)が回線lで接続され,主センター装置31,副センター装置32,ローカル装置51?54は伝送線Lで接続され,
主センター装置31ではCPUからなる制御部41が,ROM,RAMからなる記憶部42に記憶された処理プログラムやデータに基づき制御を行い,操作表示パネル33に設けられた表示灯や表示器からなり,各種情報や警報の表示を行う表示部43,操作表示パネル33に設けられた操作ボタンやスイッチからなる操作部44,送受話器34からなる通話部45,通話接続部46,通話音声のA/D変換,D/A変換を行う音声変換部47,通信I/F48が設けられ,
副センター装置32の構成は主センター装置31と同一であり,
ローカル装置51ではCPUからなる制御部61が,ROM,RAMからなる記憶部62に記憶された処理プログラムやデータに基づき制御を行い,回線lを介して子機71-1?71-nが接続される子機接続部63,通話接続部64,通話音声のA/D変換,D/A変換を行う音声変換部65,通信I/F66が設けられ,
火災発生などの通報により子機71-1?71-nのいずれかがオフフック状態になったことをローカル装置51の子機接続部63が検出すると,オフフックとなった子機番号を制御部61に送信し,
子機71-1から呼出があると,制御部61は記憶部62の情報テーブルを参照し子機71-1を火災回線と判断し,火災呼出信号を通信I/F66を介して主センター装置31に送信し,
通信I/F48を介して火災呼出信号を受信した主センター装置31の制御部41は表示部43に内線番号を表示し,火災発生の警報を行うとともに,通話接続部46との接続を許可し,通話部45を呼び出し,通話部45の送受信器34がオフフックとなると,呼出を開始した子機71-1との間で通話が可能となり,
子機71-2から呼出があると,制御部61は記憶部62の情報テーブルを参照し子機71-2を業務回線と判断し,業務呼出信号を通信I/F66を介して主センター装置31に送信し,
通信I/F48を介して業務呼出信号を受信した主センター装置31の制御部41は通話接続部46との接続を許可し,通話部45を呼び出し,通話部45の送受信器34がオフフックとなると,呼出を開始した子機71-2との間で通話が可能となるが表示部43には内線番号のみを表示し,警報表示等は行わず,
通話部45からの音声は通話接続部46を介して音声変換部47でA/D変換されデジタル音声信号としてローカル装置51に送信され,信号を受信したローカル装置51の制御部61は信号が自己に接続されている子機71-1に対するものであることを検出すると,信号を音声変換部65に送り,D/A変換し通話接続部64,子機接続部63を介して子機71-1に送り,子機71-1からの音声は逆に音声変換部65でA/D変換,音声変換部47でD/A変換することにより通話部45へ送られて送受信器34と子機71-1間の通話が行われ,
主センター装置31,ローカル装置51,52とでグループが形成され,副センター装置32,ローカル装置53,54とでグループが形成され,
すなわち主センター装置31ではローカル装置51または52に接続された子機からの呼出のみに応答し,ローカル装置53または54に接続された子機からの呼出のみには応答せず,副主センター装置32も同様にローカル装置53または54に接続された子機からの呼出のみに応答し,ローカル装置51または52に接続された子機からの呼出のみには応答せず,
管理者が一時的に不在になる場合などの理由で,主センター装置31側で呼出信号等の受信処理ができなくなる場合,信号を他のセンター装置(副センター装置32)に転送するための転送制御を行うため,操作表示パネル33に設けられた転送スイッチ35をオンにし,
管理者の不在等により,ローカル装置51?54からの呼出信号を受信したにもかかわらず送受話器34のオンフックが検出されない場合に,所定時間送受話器34のオンフックが検出されないことを条件として他のセンター装置に呼出信号を転送するように構成することも可能である,
非常電話装置。」(以下,「引用発明4」という。)

の発明が記載されている。

引用文献5?7について

(1)原査定に引用された特開平5-30227号公報(以下,「引用文献5」という。下線は当審が付与。)には,

「【0007】
【実施例】図1乃至図3に発明の一実施例を示す。本実施例の家庭用電話交換システムは,図1に示すように,公衆電話回線である外線L_(1)に接続された電話交換機Aと,この電話交換機Aに通話線としての内線L_(2)及び信号伝送線としての制御線L_(3)で夫々接続され市販の電話機Cが着脱自在に接続される複数の電話コンセントBとで構成され,上記電話交換機Aで外線L_(1)と内線L_(2)あるいは内線L_(2)同士の通話路を切換形成して,電話コンセントBに接続された電話機Cで外線通話及び内線通話が行われる。
【0008】各電話コンセントBには,モジュラジャックMを設け,このモジュラジャックMによって一般の市販の電話機Cを着脱自在に接続可能としてある。また,この電話コンセントBは制御線L_(3)を介して送られてくる内線呼出音あるいはドアホン呼出音等の報知信号を再生するためのスピーカSPと,この制御線L_(3)を介して送られてくる電圧信号である表示信号を弁別して内線通話中あるいは外線通話中等の表示を行う発光表示部La,Lbを備えており,これらスピーカSP及び発光表示器La,Lbで報知及び表示動作を行う。なお,音量調節スイッチVSを用いて呼出音の音量調節を行えるようにしてある。
【0009】ところで,本実施例では図2に示すように電話交換機A内に電話機Cとしての機能部及び電話コンセントBとしての機能部とを一体に組み込んであり,1つの電話コンセントBに対応する内線L_(2)及び制御線L_(3)を上記電話交換機Aの電話機としての機能部及び電話コンセントBとしての機能部に夫々内部接続してある。
【0010】このようにすると,本来は電話交換機Aに接続される1台の電話機Cとしての機能を電話交換機Aに組み込むことができ,電話交換機Aで外線通話,内線通話及びドアホン通話を行える。また,この電話交換機Aに電話コンセントBとしての機能部を組み込んであるので,本来の家庭用電話交換システムとして用いられる電話機Cの場合と同様に上記電話交換機Aを用いることができる。
【0011】図2は上記電話交換機Aの外観を示す図であり,電話機機能として通話用のハンドセット30と,テンキー釦やその他の機能釦からなる操作部31と,電話コンセントBの通話状態を表示する発光表示素子La,Lbに相当する表示部32と,電話コンセントBの各種の呼出音などを報知するスピーカSPに相当する報知部33とを備えている。
【0012】さらに,本実施例では集合住宅管理システムの各住戸の通話装置と管理人室あるいは共同玄関の通話装置との間の通話及び各住戸からの電気錠の解錠操作を行わせることができるようにしてある。つまりは,本実施例の家庭用電話交換システムの電話機Cあるいは上記電話交換機Aの電話機能を用いて,管理人室あるいは共同玄関の通話が行え,また電話機Cから特定のダイヤル信号を入力することで共同玄関の電気錠の解錠することができるようになっている。なお,上記動作を可能とする回路構成の説明は,電話交換機Aの基本回路構成及び動作を説明した後に行う。」

の記載がある。

(2)原査定に引用された特開平5-30566号公報(以下,「引用文献6」という。下線は当審が付与。)には,

「【0009】また,本実施例の場合には,電話交換機Aに通話線L_(4)を介して2台のドアホンDを接続可能としてあり,電話交換機Aで通話線L_(4)と内線L_(2)との間に通話路を形成して,各ドアホンDと電話機Cでドアホン通話が行える。ところで,本実施例では図2に示すように電話交換機A内に電話機Cとしての機能部及び電話コンセントBとしての機能部とを一体に組み込んであり,1つの電話コンセントBに対応する内線L_(2)及び制御線L_(3)を上記電話交換機Aの電話機としての機能部及び電話コンセントBとしての機能部に夫々内部接続してある。
【0010】これにより,本実施例では本来は電話交換機Aに接続される1台の電話機Cとしての機能を電話交換機Aに組み込むことができ,電話交換機Aで外線通話,内線通話及びドアホン通話を行える。しかも,この電話交換機Aに電話コンセントBとしての機能部を組み込んであるので,本来の家庭用電話交換システムとして用いられる電話機Cの場合と同様に上記電話交換機Aを用いることができる。」

の記載がある。

(3)原査定に引用された特開平5-207538号公報(以下,「引用文献7」という。下線は当審が付与。)には,

「【0002】
【従来の技術】家庭用電話交換システムとしては,図7に示すように,公衆電話回線である外線L_(1)に接続される電話交換機Aと,この電話交換機Aに通話線としての内線L_(2)及び信号伝送線としての制御線L_(3)で夫々接続される複数の電話コンセントBと,これら電話コンセントBに着脱自在に接続される市販の電話機Cとで構成され,上記電話交換機Aで外線L_(1)と内線L_(2)あるいは内線L_(2)同士の通話路を切換形成して,電話機Cで外線通話及び内線通話を行えるようにしたものがある。また,この家庭用電話交換システムでは,電話交換機Aに通話線L_(4)を介してドアホンDを接続でき,電話交換機Aで通話線L_(4)と内線L_(2)との間に通話路を形成して,電話機Cでドアホン通話も行えるようにしてある。
【0003】各電話コンセントBには,モジュラジャックMを設け,このモジュラジャックMによって一般の市販の電話機Cを着脱自在に接続可能としてある。また,この電話コンセントBは制御線L_(3)を介して送られてくる内線呼出音あるいはドアホン呼出音等の報知信号を再生するためのスピーカSPと,この制御線L_(3)を介して送られてくる電圧信号である表示信号を弁別して内線通話中あるいは外線通話中等の表示を行う発光表示部La,Lbを備えており,これらスピーカSP及び発光表示器La,Lbで報知及び表示動作を行う。なお,音量調節スイッチVSを用いて呼出音の音量調節を行えるようにしてある。
【0004】さらに,この家庭用電話交換システムの場合には,電話交換機A内に内線L_(2)及び制御線L_(3)に内部接続された電話機Cとしての機能部及び電話コンセントBとしての機能部とを一体に組み込んで,本来は電話交換機Aに接続される1台の電話機Cとしての機能を電話交換機Aに持たせ,電話交換機A自体でも外線通話,内線通話及びドアホン通話が行えるようになっている。ここで,電話機Cとしての機能部は,図8に示すように,通話用のハンドセット30と,テンキー釦やその他の機能釦からなる操作部31からなり,電話コンセントBとしての機能部は,発光表示素子La,Lbに相当する表示部32と,スピーカSPに相当する報知部33とからなる。」

の記載がある。

(4)周知技術

したがって,引用文献5?7によれば,

「複数の電話機を接続する電話交換機に電話機としての機能を一体的に組み込むこと」

は,周知技術であるといえる。


第6 対比

1.引用発明1との対比

(1)本願発明1に対して

本願発明1と引用発明1を対比する。

引用発明1の「非常用電話機3」は,「警報受信先と接続の際に警報情報の送信および対話を可能とするもの」であり,「非常用電話機3からの発呼の場合も同様の手順で所定の警報受信装置宛てに自動接続される」のであるから,「受話器を取り上げることによって非常発報を行うことができるとともに音声による通話も行うことができる」「非常電話子機」であるといえる。

引用発明1の「所定の警報受信装置」は,非常用電話機3からの自動接続によって通話を行うことができるのだから,「非常電話子機との間で通話を行うことができる親機」であるといえる。

引用発明1の「TA12」は,接続されている非常用電話機3が所定の警報受信装置との間で対話を可能としているから,本願発明1の「中継器」と「非常用電話子機を接続することができる」点で一致する。

引用発明1の「TA12」が有する「コーデック(アナログ/デジタル変換回路)」は,「接続された非常用電話機3と前記所定の警報受信装置との間でやりとりされる」信号について処理を行うものであるから,本願発明1の「接続された非常用電話子機と親機との間でやり取りされるアナログ信号をデジタル信号に変換する信号変換手段」に相当する。

引用発明1の「TA12」が有する「DSU18」は,IP電話回線終端部であるから,IP網へIP信号,すなわちパケット信号を送信していることが明らかである一方,「端末ポート16」の「コーデック(アナログ/デジタル変換回路)」でアナログから変換されたデジタル信号を受信しているから,本願発明1の「前記デジタル信号をパケット信号に変換し前記中継器と前記親機との間を接続する信号線を介して伝送する信号伝送手段」に相当する。

引用発明1の「非常用電話機3」は,「警報センサ1および非常ボタン2を搭載されてもよいが,警報受信先と接続の際に警報情報の送信および対話を可能とするもの」であって,「非常用電話機3からの発呼」により,「所定の警報受信装置宛てに自動接続され」るものである。
さらに,引用発明1の「非常用電話機3」は,「所定の警報受信装置宛てに自動接続され」るから,「専ら非常時に用いられる」ものであることは明らかであり,該所定の警報受信装置宛ての「専用電話」であるといえる。
ここで,「所定の警報受信装置宛てに自動接続され」る場合の「発呼」は「オフフック」すなわち「受話器を取り上げること」であって,「警報受信先と接続の際に警報情報の送信および対話を可能とする」から,引用発明1の「非常用電話機3」は,「受話器を取り上げることによって非常発報を行うことができるとともに音声による通話も行うことができる」ものである。

したがって,本願発明1と引用発明1とは,

「受話器を取り上げることによって非常発報を行うことができるとともに音声による通話も行うことができる非常電話子機と該非常電話子機との間で通話を行うことができる親機とを含んで構成される非常警報設備において,
非常電話子機を接続することができる中継器を備え,
前記中継器は,
接続された非常電話子機と前記親機との間でやり取りされるアナログ信号をデジタル信号に変換する信号変換手段と,
前記デジタル信号をパケット信号に変換し前記中継器と前記親機との間を接続する信号線を介して伝送する信号伝送手段と
を有するとともに,
前記非常電話子機は専ら非常時に用いられる専用電話である,
ことを特徴とする非常警報設備。」

で一致し,以下の点で相違する。

相違点1

本願発明1は,「多数の非常電話子機」であって,中継器に「1乃至複数の非常電話子機」を接続することができ,親機が「該多数の非常電話子機との間で選択的な通話」を行うことができるのに対し,引用発明1では,非常用電話機3が「多数」であるかは特定がなく,TA12には,警報装置20を介して非常用電話機3が接続されるものの,「1乃至複数」の非常用電話機3を接続することができるかどうか特定がなく,「所定の警報受信装置」は「非常用電話機3」と通話できるものの「該多数の非常用電話機3との間で選択的な通話」を行うことができるかどうかも特定がない点。

相違点2

本願発明1は,「前記複数の中継器のうちの少なくとも一つに前記非常電話子機の一つが組み込まれている」のに対し,引用発明1のTA12は,非常用電話機3が組み込まれているか特定がない点。

相違点3

本願発明1は,「前記信号線は前記複数の中継器ごとに独立して設けられている」のに対し,引用発明1は,IP電話網により接続されている点。

事案に鑑み,まず相違点3について検討する。

引用発明1は,警報を発信する発生元の通報装置がIP電話網にターミナルアダプタを経由して監視先の警報受信装置とアナログ信号を送受信する通報システムであって,通報装置の発信制御部が電話回線に発呼し,自動ダイヤル発信するものであるから,監視先の警報受信装置は,ターミナルアダプタと離れた場所に存在することを前提としたシステムであって,警報受信装置に対して,多数のターミナルアダプタが存在することは明らかである。
一般にネットワークとして,親局と子局の間を独立した信号線で接続することは,スター型LANとして周知であるが,「LAN」すなわち親局と子局の間は近接していることが前提であって,複数のターミナルアダプタと警報受信装置が離れた場所に存在する場合に,スター型LANを採用する理由も必要性もないから,引用発明1において,「前記信号線は前記複数の中継器ごとに独立して設けられている」ようにすることは,容易に想到しうるものではない。

したがって,他の相違点について検討するまでもなく,本願発明1は引用発明1より容易に想到しうるものではない。

(2)本願発明2-7に対して

本願発明2-7は,本願発明1と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明1に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2.引用発明2との対比

(1)本願発明1に対して

本願発明1と引用発明2を対比する。

引用発明2では,非常電話機2aのオフフックをIP線路監視装置13で検知して,第1の交通管制室10の緊急受付台用サーバ23a?23c及び第2の交通管制室11の緊急受付台用サーバ28a?28cにINVITEリクエストを送信して,一番早く応答した受付台26cと非常電話機2aとの間で音声データを授受し,通話が終わるまで,その状態を維持するから,引用発明2の「非常電話機2a?2n,3a?3n,4?6」は,「受話器を取り上げることによって音声による通話を行うことができる多数の非常電話子機」であるといえる。

引用発明2では,第1の交通管制室10の受付台26cが非常電話機2aと受付台26cの間で音声データを授受するから,引用発明2の「受付台26c」は,「該多数の非常電話機との間で選択的な通話を行うことができる親機」であるといえる。

引用発明2の「IP線路監視装置13,14及び非常電話用GW15?17は,何れも非常電話機2a?2n,3a?3n,4?6をIP網8に接続するための中継器であ」るから,いずれも「それぞれ1乃至複数の非常電話子機を接続することができる複数の中継器」であるといえる。

引用発明2の「IP線路監視装置13」は,受付台26cと非常電話機2aとの間の音声による通話を中継する装置であって,「非常電話機2a?2n,3a?3n,4?6」と「アナログ回線によって接続され」ている一方,「IP網8」と「デジタル回線によって接続され」ているから,「接続された非常電話子機と前記親機との間でやりとりされるアナログ信号をデジタル信号に変換する信号変換手段」を有していることは明らかである。
そして,IP線路監視装置13は,パケット網である「IP網8」を介して受付台26cへ送信しているから,「前記デジタル信号をパケット信号に変換し前記中継機と親機との間を接続する信号線を介して伝送する信号伝送手段」を有していることも明らかである。

したがって,本願発明1と引用発明2とは,

「受話器を取り上げることによって非常発報を行うことができるとともに音声による通話も行うことができる多数の非常電話子機と該多数の非常電話子機との間で選択的な通話を行うことができる親機とを含んで構成される非常警報設備において,
それぞれ1乃至複数の非常電話子機を接続することができる複数の中継器を備え,
前記中継器は,
接続された非常電話子機と前記親機との間でやり取りされるアナログ信号をデジタル信号に変換する信号変換手段と,
前記デジタル信号をパケット信号に変換し前記中継器と前記親機との間を接続する信号線を介して伝送する信号伝送手段と
を有する
ことを特徴とする非常警報設備。」

で一致し,下記の点で相違する。

相違点1

本願発明1は,「前記複数の中継器のうちの少なくとも一つに前記非常電話子機の一つが組み込まれている」のに対し,引用発明2のIP線路監視装置13は,非常電話機が組み込まれているかどうか不明である点。

相違点2

本願発明1は,「前記信号線は前記複数の中継器ごとに独立して設けられている」のに対し,引用発明2は,IP網により接続されている点。

事案に鑑み,まず相違点2について検討する。

引用発明2は,高速道路の沿道に所定の間隔で設置される非常電話機がIP線路監視装置を介してIP網によって高速道路の安全を管理する管理センターである第1の交通管制室10と接続されているシステムであって,高速道路の安全を管理する管理センターと,高速道路の沿道に設置される非常電話機が接続されるIP線路管理装置を接続する信号線を,IP線路管理装置ごとに独立して設けるようにすることは想定し難いから,引用発明2において,「前記信号線は前記複数の中継器ごとに独立して設けられている」ようにすることは,当業者が容易に想到しうるものではない。

したがって,他の相違点について検討するまでもなく,本願発明1は引用発明2より容易に想到しうるものではない。

(2)本願発明2-7に対して

本願発明2-7は,本願発明1と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明2に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

明確性について

令和3年2月15日の手続補正書により,解消された。

4.小括

したがって,当審拒絶理由によって本願を拒絶することはできない。


第7 原査定についての判断

(1)本願発明1に対して

本願発明1と引用発明4を対比する

引用発明4の子機は,非常電話設備の子機であるから,非常電話子機であるといえる。
引用発明4は,子機71-1?71-nのいずれかがオフフック状態になったことをローカル装置51が検出すると,火災呼出信号を主センター装置31に送信して,主センター装置31の通話部45の送受信器34がオフフックとなると,呼出を開始した子機71-1との間で通話が可能となるのであり,「火災呼出信号を主センター装置に送信する」ことは,「非常発報」であり,主センター装置31は,呼出を開始した子機71-1との間で通話が可能となるから,「多数の非常電話子機との間で選択的な通話を行うことができる親機」であるといえる。
したがって,引用発明4の「非常電話装置30」は,「受話器を取り上げることによって非常発報を行うことができるとともに音声による通話も行うことができる多数の非常電話子機と該多数の非常電話子機との間で選択的な通話を行うことができる親機とを含んで構成される非常警報設備」であるといえる。

引用発明4の「ローカル装置51?54」は,複数個の子機71?74が回線lで接続されているから,引用発明4の非常警報設備は,「それぞれ1乃至複数の非常電話子機を接続することができる複数の中継器」であるといえる。

ローカル装置51には,通話音声のA/D変換,D/A変換を行う音声変換部65が設けられ,子機71-1からの音声は音声変換部65でA/D変換,音声変換部47でD/A変換することにより通話部45へ送られて送受信器34と子機71-1間の通話が行われるから,引用発明4の「ローカル装置」すなわち「中継器」は,「接続された非常電話子機と前記親機との間でやり取りされるアナログ信号をデジタル信号に変換する信号変換手段」を有しているといえる。

引用発明4の伝送線Lは,主センター装置とローカル装置との間を接続する信号線であるから,引用発明4の「通信I/F66」は「前記デジタル信号を前記中継器と前記親機との間を接続する信号線を介して伝送する信号伝送手段」であるといえる。

したがって,本願発明1と引用発明4とは,

「受話器を取り上げることによって非常発報を行うことができるとともに音声による通話も行うことができる多数の非常電話子機と該多数の非常電話子機との間で選択的な通話を行うことができる親機とを含んで構成される非常警報設備において,
それぞれ1乃至複数の非常電話子機を接続することができる複数の中継器を備え,
前記中継器は,
接続された非常電話子機と前記親機との間でやり取りされるアナログ信号をデジタル信号に変換する信号変換手段と,
前記デジタル信号を前記中継器と前記親機との間を接続する信号線を介して伝送する信号伝送手段と
を有する,
ことを特徴とする非常警報設備。」

で一致し,下記の点で相違する。

相違点1

本願発明1は,「前記デジタル信号をパケット信号に変換し」て前記中継器と前記親機との間を接続する信号線を介して伝送するのに対し,引用発明4は,パケット信号に変換することの特定がない点。

相違点2

本願発明1は,「前記複数の中継器のうちの少なくとも一つに前記非常電話子機の一つが組み込まれている」のに対し,引用発明4では,ローカル装置51に子機は組み込まれていない点。

相違点3

本願発明1は,「前記信号線は前記複数の中継器ごとに独立して設けられている」のに対し,引用発明4では,主センター装置,副センター装置,ローカル装置は伝送線Lで接続されている点。

相違点について

事案に鑑み,まず相違点3について検討する。

本願発明1は詳細な説明【0021】に「各階の中継器2と親機4との間をそれぞれ1本の信号線で接続できるため,従来例に比べて信号線の数を減らすことができ,信号線の引き回しスペースを確保しやすくなるとともに,工事コストの削減を図ることができるという格別の効果が得られる。」と記載しているように,信号線の数を減らすことを発明の目的としているから,引用発明4において,信号線を中継器ごとに独立して設ける,という伝送路Lよりも信号線の数を増やすような接続方法を用いるように変更することには阻害要因がある。

したがって,他の相違点について検討するまでもなく,本願発明1は引用発明4より容易に想到しうるものではない。

(2)本願発明2-7に対して

本願発明2-7は,本願発明1と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明4に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

(3)小括

したがって,本願発明1は,当業者であっても,原査定における引用文献に基づいて容易に発明できたものではない。したがって,原査定を維持することはできない。


第8 むすび

以上のとおり,原査定の理由によって,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-04-06 
出願番号 特願2017-113718(P2017-113718)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G08B)
P 1 8・ 537- WY (G08B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 松原 徳久  
特許庁審判長 北岡 浩
特許庁審判官 吉田 隆之
衣鳩 文彦
発明の名称 非常警報設備  
代理人 鹿嶋 英實  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ