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審決分類 |
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 取り消して特許、登録 H01L 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 取り消して特許、登録 H01L 審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 H01L 審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 取り消して特許、登録 H01L 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L |
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管理番号 | 1372605 |
審判番号 | 不服2020-11268 |
総通号数 | 257 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-05-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-08-13 |
確定日 | 2021-04-20 |
事件の表示 | 特願2016-518761「発光ダイオードを含む光電デバイス」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 4月 2日国際公開、WO2015/044619、平成28年12月15日国内公表、特表2016-539493、請求項の数(19)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2014年(平成26年)9月30日(パリ条約による優先権主張2013年9月30日、仏国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成30年11月28日付け 拒絶理由通知書 令和 元年 6月 4日 意見書、手続補正書の提出 令和 元年11月29日付け 拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書 令和 2年 2月28日 意見書、手続補正書の提出 令和 2年 4月 2日付け 令和2年2月28日の手続補正について の補正却下の決定、拒絶査定 令和 2年 8月13日 審判請求書、手続補正書の提出 令和 3年 2月22日 上申書の提出 第2 原査定の概要 原査定(令和2年4月2日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 この出願の請求項1ないし15及び17ないし19に係る発明は、その優先権主張日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先権主張日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.特開2009-105182号公報 2.特表2009-542560号公報 3.特開2002-359402号公報 4.特表2008-505478号公報 5.中国特許出願公開第101051634号明細書 6.特開2005-019512号公報 第3 審判請求時の補正について 審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。 審判請求時の補正によって、請求項1に「前記第2半導体領域は、前記第1電極層に接触しているか、又は、該第1電極層を前記複数の第1発光ダイオードの周囲にて覆う第1導電層に接触している」という事項を追加する補正は、補正前の「前記複数の第1発光ダイオードを覆う第1電極層に一部が電気的に接続されている第2半導体領域」について、その「第1電極層」と「第2半導体領域」の電気的接続を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する(下線は、補正箇所である。以下同じ。)。 また、補正前の請求項1の「前記第1半導体領域の前記一面に載置されるように物理的に接している導電性部分と、 前記基板に電気的に接続されており、前記第1半導体領域からは隔離され、前記第1半導体領域と同一の導電型によって前記基板よりも高濃度にドープされ、前記複数の第1発光ダイオードを覆う第1電極層に一部が電気的に接続されている第2半導体領域」を「前記複数の第1発光ダイオード夫々を覆う第1電極層と、 前記第1半導体領域の前記一面に載置されるように物理的に接している導電性部分と、 前記基板に電気的に接続されており、前記第1半導体領域からは隔離され、前記第1半導体領域と同一の導電型によって前記基板よりも高濃度にドープされ、前記第1電極層に一部が電気的に接続されている第2半導体領域」(なお、補正後の請求項1の「前第1電極層」の記載は「前記第1電極層」の誤記であると認定した。)とする補正は、補正前の「前記複数の第1発光ダイオードを覆う第1電極層」について、「前記複数の第1発光ダイオード夫々を覆う」との限定を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 加えて、補正前の請求項5の「少なくとも部分的に透明であり、前記第1発光ダイオード夫々を覆う第1電極層と、」を「前記第1電極層は少なくとも部分的に透明であり、」とする補正は、前記請求項1の「前記複数の第1発光ダイオード夫々を覆う第1電極層」とする補正により、この補正による記載と、補正前の請求項5の「前記複数の第1発光ダイオード夫々を覆う第1電極層」の記載が重複し、「第1電極層」の構成が不明りょうとなるのを避けるものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。 また、上記各補正に係る事項は、当初明細書等に記載された事項であり、新規事項を追加するものではないといえる。 そして、第4から第6までに示すように、補正後の請求項1ないし19に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。 第4 本願発明 本願請求項1ないし19に係る発明(以下、それそれ「本願発明1」ないし「本願発明19」という。)は、令和2年8月13日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし19に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。なお、請求項1の「前複数の記シードパッド」の記載は「前記複数のシードパッド」の誤記と、また、上記第3で検討したように、請求項1の「前第1電極層」の記載は「前記第1電極層」の誤記であると認定した。 「【請求項1】 非ドープ又は第1導電型にドープされた半導体ケイ素の基板と、 該基板に電気的に接続されており、前記基板内部又は該基板の上面に拡がって接しており、第1導電型に、又は、該第1導電型とは逆の第2導電型に、前記基板よりも高濃度にドープされ、一面を有するケイ素の第1半導体領域と、 該第1半導体領域に、前記一面に載置されるように接続している複数のシードパッド又はシード層と、 前記第1半導体領域に支持されており、III-V族化合物製であって、線状、円錐状、又は円錐台形状である半導体素子と、該半導体素子の側部を覆う活性層とを備え、前記複数のシードパッド又はシード層と夫々接続されている複数の第1発光ダイオードのアセンブリと、 前記複数の第1発光ダイオード夫々を覆う第1電極層と、 前記第1半導体領域の前記一面に載置されるように物理的に接している導電性部分と、 前記基板に電気的に接続されており、前記第1半導体領域からは隔離され、前記第1半導体領域と同一の導電型によって前記基板よりも高濃度にドープされ、前記第1電極層に一部が電気的に接続されている第2半導体領域と を備え、 前記第2半導体領域は、前記第1電極層に接触しているか、又は、該第1電極層を前記複数の第1発光ダイオードの周囲にて覆う第1導電層に接触している ことを特徴とする光電デバイス。 【請求項2】 前記第2半導体領域がツェナーダイオードのカソードに対応し、前記基板がツェナーダイオードのアノードに対応する請求項1に記載の光電デバイス。 【請求項3】 前記第1半導体領域は、1又は複数のイオンが注入された領域である ことを特徴とする請求項1に記載の光電デバイス。 【請求項4】 前記第1半導体領域は、ホモエピタキシャル領域である ことを特徴とする請求項1に記載の光電デバイス。 【請求項5】 前記第1電極層は少なくとも部分的に透明であり、 該第1電極層を前記複数の第1発光ダイオードの周囲にて覆う第1導電層 を更に備えることを特徴とする請求項1?4のいずれか1つに記載の光電デバイス。 【請求項6】 前記第1半導体領域の少なくとも一縁辺に沿って拡がる少なくとも1つの絶縁部 を更に備えることを特徴とする請求項1?5のいずれか1つに記載の光電デバイス。 【請求項7】 第1半導体領域とは逆の導電型にドープされており、第1半導体領域の少なくとも一縁辺に沿って拡がる少なくとも1つの第3半導体領域 を更に備えることを特徴とする請求項1?4のいずれか1つに記載の光電デバイス。 【請求項8】 前記基板はモノリシックである ことを特徴とする請求項1?7のいずれか1つに記載の光電デバイス。 【請求項9】 前記基板は、第1半導体領域を含む半導体層に分割されており、絶縁層によって他の部分と分離されている ことを特徴とする請求項1?7のいずれか1つに記載の光電デバイス。 【請求項10】 前記基板のドーパント濃度は、10^(15)atoms/cm^(3) 以下であり、前記第1半導体領域のドーパント濃度は、5×10^(16)atoms/cm^(3) ?2×10^(20)atoms/cm^(3) の範囲内である ことを特徴とする請求項1?9のいずれか1つに記載の光電デバイス。 【請求項11】 前記基板上の少なくとも一部分に形成されている少なくとも1つの電子部品 を更に備えることを特徴とする請求項1?10のいずれか1つに記載の光電デバイス。 【請求項12】 前記電子部品は、ダイオード、ツェナーダイオード、アバランシェダイオード、バイポーラトランジスタ、金属酸化物型電界効果トランジスタ、レジスタ、金属酸化物型静電容量、金属-絶縁体-金属型静電容量、サイリスタ、バラクタ、揮発性メモリ、及び不揮発性メモリを含む群に属する ことを特徴とする請求項11に記載の光電デバイス。 【請求項13】 前記基板に電気的に接続されており、前記第1導電型に、又は該第1導電型とは逆の第2導電型に、前記基板よりも高濃度にドープされた第4半導体領域と、 該第4半導体領域に支持されており、線状、円錐状、又は円錐台形状の半導体素子を含む複数の第2発光ダイオードの第2アセンブリと、 前記第2発光ダイオード夫々を覆う第2電極層、及び該第2電極層を前記第1発光ダイオード周辺にて覆う第2導電層と を備え、 前記第2電極層又は第2導電層は、前記第1半導体領域に接している ことを特徴とする請求項12に記載の光電デバイス。 【請求項14】 前記第2半導体領域を含む第5半導体領域 を備え、前記第5半導体領域は前記ツェナーダイオードのアノードに対応することを特徴とする請求項2に記載の光電デバイス。 【請求項15】 前記第5半導体領域は更に、前記第1半導体領域を含む ことを特徴とする請求項14に記載の光電デバイス。 【請求項16】 前記基板に電気的に接続され、前記第1半導体領域と同一の導電型の第6半導体領域と、 前記基板に電気的に接続され、前記第1半導体領域と逆の導電型の第7半導体領域と、 前記基板に接しており、前記第6半導体領域と同一の導電型であって、前記第1半導体領域又は前記第6半導体領域に接続されている第8半導体領域と、 前記第7半導体領域と同一の導電型の第9半導体領域と を備え、 前記第9半導体領域は、前記第6及び第8半導体領域間に拡がっており、前記第7半導体領域に接続されているか、又は、第1及び第8半導体領域間に拡がっており、前記第7半導体領域に接続されており、 前記第6半導体領域がバイポーラトランジスタのエミッタ若しくはコレクタに対応し、前記第7半導体領域が前記バイポーラトランジスタのベースに対応し、前記第8半導体領域又は第1半導体領域が前記バイポーラトランジスタのコレクタ又はエミッタに対応する ことを特徴とする請求項1?15のいずれか1つに記載の光電デバイス。 【請求項17】 相互に接続されており、相互に逆の導電型であって、いずれも第1半導体領域から、該第1半導体領域の少なくとも一縁辺に沿って拡がる少なくとも1つの絶縁体又は半導体部分により隔離されている第10及び第11半導体領域 を備え、 前記第10及び第11半導体領域は、温度検出ダイオードとなるP-N接合を構成することを特徴とする請求項1?16のいずれか1つに記載の光電デバイス。 【請求項18】 前記シードパッド又はシード層は、窒化アルミウム(AlN)、ホウ素(B)、窒化ホウ素(BN)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、ハフニウム(Hf)、窒化ハフニウム(HfN)、ニオブ(Nb)、窒化ニオブ(NbN)、ジルコニウム(Zr)、ホウ化ジルコニウム(ZrB_(2) )、窒化ジルコニウム(ZrN)、炭化ケイ素(SiC)、炭窒化タンタル(TaCN)、Mg_(x) N_(y) で表される窒化マグネシウム、ここで例えばxは約3であってyは約2であって例えばMg_(3) N_(2) で表される窒化マグネシウム、又は窒化ガリウムマグネシム(MgGaN)、タングステン(W)、窒化タングステン(WN)、又はこれらの組み合わせを材料とする ことを特徴とする請求項1?17のいずれか1つに記載の光電デバイス。 【請求項19】 前記シードパッド又はシード層は、元素周期表のIV、V、又はVI列からの遷移金属の窒化物、炭化物、ホウ化物、又はこれらの化合物の組み合わせを材料とする ことを特徴とする請求項1?17のいずれか1つに記載の光電デバイス。」 第5 引用文献、引用発明等 1 引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面ともに次の事項が記載されている。(下線は、当審で付与した。以下同じ。) 「【技術分野】 【0001】 本発明は、光集積化素子および光集積化素子の製造方法に関する。詳しくは、本発明は、発光素子が形成された発光素子部と発光素子を駆動する駆動素子が形成された駆動素子部とを同一基板上に集積化させた光集積化素子において、発光素子からの出射光に基づく駆動素子の誤動作(光クロストーク)を抑制できる技術に関する。 【背景技術】 【0002】 発光ダイオードなどの発光素子、および、この発光素子を駆動するドライバ回路やスイッチングトランジスタ(以下、これらを「駆動素子」と略す)を個別部品として別個に構成してもよいが、素子の小型化および低価格化を図る観点から、これらを同一基板上に集積化できると好都合である。」 「【0051】 図1は、本発明の実施形態による光集積化素子の構成例を示した図である。図1(a)は、光集積化素子200におけるA-A線に沿った部分の断面が示されている。図1(b)は、光集積化素子200におけるB-B線に沿った部分の断面が示されている。 【0052】 但し、図1(b)(後述の図2、図3、図4、図5、図6、図7、図8、図10、図11、図12、図13、図14、図15、および、図16でも同じ)では、図1(b)の図示を簡略化する観点から、極薄膜のサイドウォール12の図示は、省略されている。 【0053】 図1に示すように、光集積化素子200は、多数の発光素子30が形成された発光素子部9と、この発光素子30を駆動するトランジスタ8A(駆動素子)が形成されたトランジスタ部8(駆動素子部)と、を備える。 【0054】 つまり、この光集積化素子200では、発光素子部9とトランジスタ部8とが、同一のシリコン基板1上に集積化されている。 【0055】 発光素子30は、電気エネルギーを光エネルギーに変換できる光電変換機能素子であり、発光素子30の例としては、上方(シリコン基板1の厚み方向)に光を取り出せる発光ダイオード(LED)がある。なお、この発光素子30の具体的な構成は後述する。 【0056】 また、トランジスタ8Aは、発光素子30に電流を供給して、発光素子30を駆動(光放出)できるように構成されている。 【0057】 図1に示すように、シリコン基板1に素子分離領域5(例えば、シャロートレンチ)が形成され、この素子分離領域5によって、トランジスタ部8と発光素子部9に分離されている。素子分離領域5の材料としては酸化シリコン(SiO_(2))を用いればよく、素子分離領域5の深さは、200nm?500nmに設定するとよい。 【0058】 光集積化素子200のトランジスタ部8には、素子分離領域5に囲まれたシリコン基板1の表面(主面)付近にp型ウェル2が形成され、p型ウェル2の上部に、ゲート絶縁膜10およびゲート電極11が形成されている。ゲート絶縁膜10の材料としては、SiO_(2)や酸化窒化シリコン(SiON)を用いればよく、ゲート絶縁膜10の膜厚は2nm?10nm程度に設定するとよい。ゲート電極11の材料としてはポリシリコンを用いればよく、ゲート電極11の膜厚は100nm?200nm程度に設定するとよい。 【0059】 また、ゲート絶縁膜10およびゲート電極11を挟み込むように、サイドウォール12が形成されている。サイドウォール12の材料としては、SiO_(2)や窒化シリコン(SiN)を用いればよい。 【0060】 また、上述のサイドウォール12のさらに外側を挟み込むように、n型ソース /ドレイン領域3が、シリコン基板1のpウェル2に形成されている。n型ソース/ドレイン領域3のキャリア濃度は、1×10^(19)?1×10^(20)cm^(-3)程度に設定するとよい。 【0061】 なお、図1(a)に示すように、上述のトランジスタ8Aは、ゲート電極11と、ゲート絶縁膜10と、p型ウェル2と、n型ソース/ドレイン領域3と、により構成されているが、このようなMIS構造の電界効果トランジスタは周知であり、この詳細な説明は省略する。 【0062】 また、光集積化素子200のトランジスタ部8には、図1に示すように、層間絶縁膜21(後述)の適所に形成されたコンタクトホールに、コンタクト26a、26b、26c(接続部)が埋め込まれている。コンタクト26aおよびコンタクト26bはそれぞれ、トランジスタ8Aのn型ソース/ドレイン領域3に接続されている。コンタクト26cは、トランジスタ8Aのゲート電極11に接続されている。これらのコンタクト26a、26b、26cの材料としては、アルミニウム、タングステン、または、銅などを用いればよい。更に、コンタクト26aと電気的に接続する金属配線27aと、コンタクト26bと電気的に接続する金属配線27bと、が、層間絶縁膜21上に配されている。金属配線27a、27bの材料としては、アルミニウムや銅などを用いればよい。なお、金属配線27aは、適宜の接続配線(図示せず)を介して発光素子部9の透明電極25(後述)に接続されている。 【0063】 光集積化素子200の発光素子部9には、素子分離領域5に囲まれたシリコン基板1の表面(主面)付近にn型発光素子形成領域4が形成されている。 【0064】 この発光素子部9では、図1(a)に示すように、シリコン基板1のn型発光素子形成領域4から立設するようにして、n型GaN領域31(n型窒化物半導体領域)、InGaN多重量子井戸32(窒化物半導体発光領域)、および、p型GaN領域33(p型窒化物半導体領域)をこの順に有している柱状(例えば円柱状)の窒化物半導体柱状構造体30(柱状結晶構造体)が多数配置されている。つまり、発光素子部9の発光素子30は、ここでは、柱状構造体構造を有しており、発光素子部9は、窒化物半導体柱状構造体30の集合体として構成されている。なお、n型GaN領域31、InGaN多重量子井戸32、および、p型GaN領域33はダブルへテロ構造を成している。このような窒化物半導体柱状構造体30においては、貫通転移などの欠陥が極めて少ないという特徴の他、以下の理由により光取り出し効率を向上できるという特徴がある。 【0065】 発光素子部9は、窒化物半導体柱状構造体30の集合体として構成されているので、一つの窒化物半導体柱状構造体30中のInGaN多重量子井戸32から出射された光が、その周辺の他の窒化物半導体柱状構造体30により散乱される。これにより、当該散乱光を窒化物半導体柱状構造体30の上方に取り出せるので、窒化物半導体柱状構造体30の光取り出し効率が高まる。窒化物半導体柱状構造体30自身からの光取り出し効率を高めるには、窒化物半導体柱状構造体30の直径を発光波長よりも小さくするとよい。また、発光波長を「λ」、窒化物半導体柱状構造体30の屈折率を「n1」とすると、窒化物半導体柱状構造体30の直径は「λ/n1」よりも小さくするとよい。具体的には、窒化物半導体柱状構造体30の屈折率を、n1=2.5とすると、窒化物半導体柱状構造体30の直径を、発光波長が青色の波長(例えば、λ=436nm)においては、174nmよりも小さく、発光波長が緑色の波長(例えば、λ=546nm)においては、218nmよりも小さく、発光波長が赤色の波長(例えば、λ=700nm)においては、280nmよりも小さく設定するとよい。 【0066】 また、発光素子部9では、図1に示すように、窒化物半導体柱状構造体30を取り囲み、窒化物半導体柱状構造体30間の隙間を埋めるように、発光素子保護膜22が、シリコン基板1上に配されている。発光素子保護膜22の材料としては、SiO_(2)、SiON、SiN、窒化アルミニウム(AlN)、アルミオキサイド(Al_(2)O_(3))などを用いることができる。このような発光素子保護膜22を形成することにより、窒化物半導体柱状構造体30とシリコン基板1との間の密着性を向上でき、窒化物半導体柱状構造体30の機械的強度を向上できる。 【0067】 また、本実施形態の光集積化素子200では、図1を示すように、トランジスタ部8のトランジスタ8A全体を上部から覆い、かつ、発光素子部9の側面から囲うように、層間絶縁膜21が、シリコン基板1上に配されている。層間絶縁膜21の材料としては、SiO_(2)を用いることができる。このような層間絶縁膜21を形成することにより、トランジスタ部8、発光素子部9、および、上述の金属配線27a、27bにおける相互の電気的絶縁性が適切に確保される。 【0068】 また、図1に示すように、発光素子保護膜22の厚みと層間絶縁膜21の厚みとを略同一にした場合において、窒化物半導体柱状構造体30のそれぞれの長さが、層間絶縁膜21の厚みよりも20nm?100nm程度長くなるように設定してもよい。このように両者間の寸法を設定することにより、窒化物半導体柱状構造体30のp型GaN領域33が層間絶縁膜21の上面(発光素子保護膜22の上面と同じ水平位置)から突出できる。これにより、p型GaN領域33の側面部分にも透明電極25との間のコンタクトを形成でき、両者間の接触抵抗を下げることができる。また、p型GaN領域33と透明電極25との間の接触面積を増やすこともできる。 【0069】 一方、ここでは、図示を省略するが、発光素子保護膜22の厚みと層間絶縁膜21の厚みと、を略同一にした場合において、窒化物半導体柱状構造体30のそれぞれの長さを、層間絶縁膜21の厚さと同程度に設定してもよい。これにより、光集積化素子200の層間絶縁膜21の表面において段差が小さくなる。この部分の段差を小さくできると、層間絶縁膜21を形成した後の製造プロセス(フォトリソグラフィ工程やドライエッチング工程)での異常を防止し易くなる。 【0070】 なお、以上に述べた層間絶縁膜21の厚みは、事実上、トランジスタ部8に用いる微細化技術の世代に相関しているので、層間絶縁膜21の厚みを基準にして、窒化物半導体柱状構造体30の長さを設計すると、トランジスタ部8の設計と発光素子部9の設計との間の整合性を適切に取れて都合がよい。つまり、トランジスタ部8における微細化が進むほど、層間絶縁膜21の厚みは薄くなるという事実があり、窒化物半導体柱状構造体30のそれぞれの長さを、これに合わせる必要がある。例えば、層間絶縁膜21の厚みは、トランジスタ8Aのゲート長が250nmの世代では、1μm程度に設定され、ゲート長が180nmの世代では、900nm程度に設定され、ゲート長が130nmの世代では、800nm程度に設定されている。 【0071】 また、発光素子部9では、図1に示すように、p型GaN領域33の上面および側面、並びに、発光素子保護膜22の上面(表面)に接するように、上述の透明電極25が配されている。この透明電極25の材料として、酸化インジウムスズ(ITO)を用いることができる。また、ニッケル(Ni)/金(Au)などの極薄膜金属を用いてもよい。 【0072】 次に、本実施形態の特徴部である金属製の柱状の光散乱体23(柱状体)の構成について図面を参照しながら詳しく説明する。 【0073】 本実施形態の光集積化素子200では、図1に示すように、層間絶縁膜21の内部に、四角柱(ここでは断面が正方形の四角柱)構造の複数の光散乱体23が埋め込まれている。これらの光散乱体23は、図1(a)に示すように、シリコン基板1の主面から層間絶縁膜21の表面まで、上述の窒化物半導体柱状構造体30と平行に立設している。つまり、この光散乱体23は、シリコン基板1と交差(ここでは直交)する方向に延びている。 【0074】 また、シリコン基板1の主面を平面視した場合、図1(b)に示すように、これらの光散乱体23の島状の断面が、発光素子部9の周囲を取り囲むようにして、この周囲において環状に並んでいる。 【0075】 このような光散乱体23は、窒化物半導体柱状構造体30のInGaN多重量子井戸32から横方向(シリコン基板1に平行な方向)に伝播する出射光を様々な方向に散乱できる。これにより、トランジスタ部8へ進行する出射光の強度は、光散乱体23において減衰される。つまり、この出射光のトランジスタ部8への伝播を光散乱体23により適切に低減でき、ひいては、当該出射光によるトランジスタ8Aの誤動作(光クロストーク)を抑制できる。また、光散乱体23において散乱された散乱光を窒化物半導体柱状構造体30の上方に取り出せるので、窒化物半導体柱状構造体30の光取り出し効率が高まる。 【0076】 光散乱体23の形状は、上述のとおり、四角柱であることが好ましい場合がある。これにより、四角柱の角部において高い散乱効果が得られると考えられる。また、図示は省略するが、光散乱体の形状は、円柱であることが好ましい場合もある。光散乱体の形状を円柱にすることにより、様々な方向から光散乱体に入射した光に対して、高い対称性を有する光散乱がなされ、光の入射方向に寄らず安定した光散乱効果が得られると考えられる。 【0077】 ここで、光散乱体23の設計スペックは、InGaN多重量子井戸32の発光波長(出射光の波長)との関係で、光散乱体23による出射光の散乱が、適切な後方散乱率が確保できるレイリー(Rayleigh)散乱となるように、決定されている。これにより、光散乱体23における出射光の前方散乱(つまり、トランジスタ部8側への散乱)を低減でき、ひいては、光散乱体23において出射光を効率良く散乱できる。例えば、本実施形態の光集積化素子200では、上述の出射光のレイリー散乱現象を利用することにより、窒化物半導体柱状構造体30から横方向に伝播する出射光を、光散乱体23において窒化物半導体柱状構造体30側に充分に後方散乱させ、発光素子部9での光取り出し効率向上に有効に利用できる。また、リフレクタ(反射鏡)などを用いて、窒化物半導体柱状構造体30から横方向に伝播する出射光を窒化物半導体柱状構造体30側に反射させると、リフレクタに反射された反射光は、窒化物半導体柱状構造体30のInGaN多重量子井戸32に吸収される場合があるが、上述の出射光のレイリー散乱現象を利用することにより、このようなInGaN多重量子井戸32での光吸収の確率を低減できる。 【0078】 なお、レイリー散乱の理論自体は公知なので、ここでは、この理論の詳細な説明は省略して、光散乱体23の設計例を説明する。 【0079】 InGaN多重量子井戸32からの出射光を光散乱体23においてレイリー散乱させるには、光散乱体23の断面の大きさ「D」を、以下の如く設定するとよい。なお、断面の大きさ「D」とは、光散乱体23の断面形状が正四角形の場合には、光散乱体23の断面の一辺の長さを指し、光散乱体23の断面形状が円形の場合には、光散乱体23の断面の直径を指すものとする。 【0080】 InGaN多重量子井戸32の発光波長(出射光の波長)を「λ」とし、層間絶縁膜21の屈折率を「n2」とし、上述の如く定義された光散乱体23の大きさを「D」とする。この場合、以下の式(1)の関係を満足すれば、レイリー散乱の領域にあることが知られている。 【0081】 n2×π×D/λ < 0.4・・・・・(1) ここで、層間絶縁膜21の材料がSiO_(2)とすると、この層間絶縁膜21の屈折率(n2=1.46)および式(1)を用いて、発光波長「λ」との関係で光散乱体23の断面の大きさ「D」を導ける。具体的には、光散乱体23の断面の大きさ「D」を、発光波長が青色の波長(例えば、λ=436nm)においては、38nmよりも小さく、発光波長が緑色の波長(例えば、λ=546nm)においては、47nmよりも小さく、発光波長が赤色の波長(例えば、λ=700nm)においては、61nmよりも小さく設定するとよい。 【0082】 このように、本実施形態の光集積化素子200では、可視域の光をレイリー散乱できる光散乱体23の大きさ「D」は、38nm?61nm程度に小さく設定できるので、光散乱体23は、素子サイズのコンパクト化の観点において、特許文献1記載の厚膜(上述のとおり、光吸収層の厚みは0.7μm?2.3μm程度と推定される)の光吸収層と比較した有利な特徴を備える。 【0083】 光散乱体23に用いる材料としては、アルミニウム、銅、タングステン、チタン、コバルト、ニッケル、金、および、白金のうちのいずれかを含む金属であることが好ましい。光散乱体23の材料に、このような金属を用いることにより、発光素子部9(特にInGaN多重量子井戸32)における発熱を外部(例えば、シリコン基板1側)に逃がすことができる。これにより、本実施形態の光集積化素子200では、光集積化素子200の様々な熱問題に適切に対処でき、光集積化素子200の高出力化が容易になる。 【0084】 なお、層間絶縁膜21において光散乱体23の敷詰め度(面積占有率)を向上させると、その分、光散乱体23の放熱性が高まる。例えば、光散乱体23の断面積を大きくしてもよく、光散乱体23同士の間隔を狭くしてもよい。但し、上述のレイリー散乱の領域を逸脱しないように、光散乱体23の敷詰め度を設定する方が好ましい。また、光散乱体23の材料に金属を用いることにより、光散乱体23に配線と窒化物半導体柱状構造体30との間の接続をなすコンタクト機能を持たせることもできる。」 「【0094】 また、適宜のイオン注入技術を用いて、n型発光素子形成領域4が、発光素子部9のシリコン基板1の表面近傍に形成される。n型発光素子形成領域4の不純物濃度は、上述のn型ソース/ドレイン領域3の不純物濃度と同様に、1×10^(19)?1×10^(20)cm^(-3)程度に設定すればよく、この不純物として、上述のn型ソース/ドレイン領域3と同様に、砒素(As)や燐(P)を用いることができる。よって、図11に示すように、n型ソース/ドレイン領域3およびn型発光素子形成領域4は、同時形成可能であり、これらを同時に形成することにより、光集積化素子200の製造工程を簡略化できる(工程数の増加を防止できる)。」 「【0120】 光反射体24の作製は、本実施形態で述べた光散乱体23の製造方法(図15およびこれの関連記載参照)に倣えばよい。よって、コンタクト26a、26b、26cおよび光反射体24は、同時形成可能であり、これらを同時に形成することにより、光集積化素子210の製造工程を簡略化できる(工程数の増加を防止できる)。 (変形例2) 図3は、本発明の変形例2による光集積化素子の構成例を示した図である。図3(a)は、光集積化素子220におけるA-A線に沿った部分の断面が示されている。図3(b)は、光集積化素子220におけるB-B線に沿った部分の断面が示されている。 【0121】 本変形例の光集積化素子220では、図3に示すように、層間絶縁膜21の内部に、四角柱(ここでは断面が正方形の四角柱)構造の複数の光散乱体23A(柱状体)が埋め込まれている。これらの光散乱体23Aは、図3(a)に示すように、シリコン基板1の主面から層間絶縁膜21の表面まで、上述の窒化物半導体柱状構造体30と平行に立設している。つまり、光散乱体23Aは、シリコン基板1と交差(ここでは直交)する方向に延びている。 【0122】 また、シリコン基板1の主面を平面視した場合、図3(b)に示すように、これらの光散乱体23Aの島状の断面が、発光素子部9における透明電極25を引く出すための電極引き出し部300以外の発光素子部9の周囲を取り囲むように並んでいる。つまり、シリコン基板1の主面を平面視した場合、各光散乱体23Aの中心を直線状に結んだ仮想の略U字状のラインは、発光素子部9を形作る四角形の外縁ラインに沿うように、外縁ラインの外側においてこの外縁ラインと平行に延びている。そして、この略U字状のラインの切れた部分(上述の四角形の外縁ラインの上辺に対向する部分)が、電極引き出し部300となっている。 【0123】 これにより、図3(b)に示すように、電極引き出し部300を介して透明電極25を発光素子部9から容易に引き出せるので、窒化物半導体柱状構造体30とトランジスタ8Aとの間の接続が容易になる。 【0124】 なお、本変形例の光集積化素子220では、図3(b)に示すように、上述の配線27bをL字状に延在させた配線127bとコンタクト26bとを介して、透明電極25がトランジスタ8Aに接続されているが、これは飽くまで一例に過ぎない。窒化物半導体柱状構造体30とトランジスタ8Aとの間の接続は、窒化物半導体柱状構造体30の動作方法に応じて適宜設計される。 【0125】 光散乱体23Aの作製は、本実施形態で述べた光散乱体23の製造方法(図15およびこれの関連記載参照)に倣えばよい。よって、コンタクト26a、26b、26cおよび光散乱体23Aは、同時形成可能であり、これらを同時に形成することにより、光集積化素子220の製造工程を簡略化できる(工程数の増加を防止できる)。 (変形例3) 図4は、本発明の変形例3による光集積化素子の構成例を示した図である。図4(a)は、光集積化素子230におけるA-A線に沿った部分の断面が示されている。図4(b)は、光集積化素子230におけるB-B線に沿った部分の断面が示されている。」 「【0144】 光散乱体23Dおよび光反射体24Dの作製は、本実施形態で述べた光散乱体23の製造方法(図15およびこれの関連記載参照)に倣えばよい。よって、コンタクト26a、26b、26cおよび光散乱体23D並びに光反射体24Dは、同時形成可能であり、これらを同時に形成することにより、光集積化素子250の製造工程を簡略化できる(工程数の増加を防止できる)。 (変形例6) 図7は、本発明の変形例6による光集積化素子の構成例を示した図である。図7(a)は、光集積化素子260におけるA-A線に沿った部分の断面が示されている。図7(b)は、光集積化素子260におけるB-B線に沿った部分の断面が示されている。 【0145】 窒化物半導体柱状構造体30からシリコン基板1の方向に伝播した光は、シリコン基板1のn型発光素子形成領域4において吸収されると、n型発光素子形成領域4では、多数のキャリアが発生する。 【0146】 そこで、本変形例の光集積化素子260では、図7に示すように、光散乱体23のそれぞれが、環状の金属配線27cにより接続されている。つまり、金属配線27cは、n型発光素子形成領域4から立設している金属製の光散乱体23のそれぞれの上面に接触しており、この光散乱体23を介してシリコン基板1のn型発光素子形成領域4に電気的に接続されている。 【0147】 以上の構成により、シリコン基板1のn型発光素子形成領域4においてキャリアが発生した場合に、金属配線27cを用いて不要なキャリアを引き抜けるので、シリコン基板1のn型発光素子形成領域4での電位上昇などの問題を防止できる。 【0148】 金属配線27cの作製は、本実施形態で述べた金属配線27a、27bの製造方法(図16およびこれの関連記載参照)に倣えばよい。よって、これらの金属配線27a、27b、27cは、同時形成可能であり、これらを同時に形成することにより、光集積化素子260の製造工程を簡略化できる(工程数の増加を防止できる)。 (変形例7) 図8は、本発明の変形例7による光集積化素子の構成例を示した図である。図8(a)は、光集積化素子270におけるA-A線に沿った部分の断面が示されている。図8(b)は、光集積化素子270におけるB-B線に沿った部分の断面が示されている。」 【図1】 【図3】 【図7】 上記記載によると、図3で示された(変形例2)の構成について、図1で示された光集積化素子200において同じ数字が付された構成は、同じ構成であると認められる。 したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「素子分離領域5によって、トランジスタ部8と発光素子部9に分離されており、 光集積化素子200の発光素子部9には、素子分離領域5に囲まれたシリコン基板1の表面(主面)付近にn型発光素子形成領域4が形成され、 シリコン基板1のn型発光素子形成領域4から立設するようにして、n型GaN領域31(n型窒化物半導体領域)、InGaN多重量子井戸32(窒化物半導体発光領域)、および、p型GaN領域33(p型窒化物半導体領域)をこの順に有している柱状(例えば円柱状)の窒化物半導体柱状構造体30(柱状結晶構造体)が多数配置され、 発光素子部9の側面から囲うように、層間絶縁膜21が、シリコン基板1上に配され、 p型GaN領域33の上面に接するように、透明電極25が配され、 光集積化素子200のトランジスタ部8には、素子分離領域5に囲まれたシリコン基板1の表面(主面)付近にp型ウェル2が形成され、p型ウェル2の上部に、ゲート絶縁膜10およびゲート電極11が形成され、 ゲート絶縁膜10およびゲート電極11を挟み込むように、サイドウォール12が形成され、 サイドウォール12のさらに外側を挟み込むように、n型ソース/ドレイン領域3が、シリコン基板1のpウェル2に形成され、 トランジスタ部8のトランジスタ8A全体を上部から覆うように、前記層間絶縁膜21が、シリコン基板1上に配され、 層間絶縁膜21の適所に形成されたコンタクトホールに、コンタクト26a、26b、26c(接続部)が埋め込まれ、コンタクト26aおよびコンタクト26bはそれぞれ、トランジスタ8Aのn型ソース/ドレイン領域3に接続され、 L字状に延在させた配線127bとコンタクト26bとを介して、透明電極25がn型ソース/ドレイン領域3に接続されている、 光集積化素子220。」 2 引用文献2について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面ともに次の事項が記載されている。 「【技術分野】 【0003】 本発明は、半導体材料、デバイス、及びこれらの製造方法に関し、より特別には半導体ナノワイヤー及び半導体ナノワイヤー能動デバイスに概ね関する。」 「【0034】 基板110は、その上にIII族窒化物材料を成長させることができる適宜の基板とすることができ。種々の実施例において、基板110は、限定するものではないが、サファイア、炭化ケイ素、シリコン、シリコン・オン・インシュレター(SOI)、GaN又はGaAsのようなIII-V族半導体化合物、金属、セラミック又はガラスを含むことができる。」 「【0037】 種々の実施例において、ナノワイヤー及び/又はナノワイヤーアレイの成長に先立ち、図1Aに示されたデバイス100に種々の洗浄手順を行うことができる。例えば、洗浄手順は、予備洗浄(即ち、成長反応装置外で行われる洗浄)とこれに続く本洗浄(即ち、成長反応装置内で行われる洗浄)とを含むことができる。選択成長マスク135に使用される材料に応じて種々の洗浄方法を使うことができる。例示の実施例においては、窒化ケイ素の選択成長マスクは、標準の予備洗浄に続いて例示のMOCVD反応装置内にデバイス100を装填し、そして流れている水素の下でデバイス100を約3分間、約950℃に加熱することにより洗浄することができる。この水素-減圧により、デバイス100の表面の望ましくない自然酸化物を除去できる。本技術の通常の熟練者は、基板110と選択成長マスク135との材料の組合せに応じて、別の洗浄手順を使用できることを理解するであろう。 【0038】 図1Bにおいて、選択成長マスク135により定められたパターン化された多数の開口138の各を満たすように、多数のナノ構造の核140を、基板110の多数の露出された表面部分139から選択的に成長させることができる。選択成長マスク135は、そのナノパターンを、パターン化された多数の開口138から多数のナノ構造の核140にネガティブに複写するための選択成長の型として作用する。この方法で、パターン化された多数の開口138のパターン化された開口の各の位置、及び形状と寸法のような断面の特徴により、多数のナノ構造の核140の各の位置、及び形状と寸法のような断面の特徴を決めることができる。例えば、パターン化された多数の開口138は、寸法が約250nmの六角のアレイを含むことができる。このとき、この六角のアレイは、約250nm以下の同様又はより小さい寸法を有する多数のナノ構造の核140の成長に写し替えられる。別の例において、パターン化された多数の開口138の1個以上が例示直径約100nmのほぼ円形であるならば、多数のナノ構造の核140の1個以上の核が、円形開口内で約100nm又はそれ以下のよ小さい直径を有して成長することができる。そこで、多数のナノ構造の核140は、よく定められた位置に置かれかつ選択成長マスク135により定められたパターン化された多数の開口138に相当する形状にされる。種々の実施例において、多数のナノ構造の核140は、例えば、標準のMOCVD工程により形成することができる。 【0039】 この方法において、図1Bに示されたデバイス100は、ナノワイヤー及び/又はナノワイヤーアレイ用の支持体として使用でき、多数の選定された表面領域(即ち、多数のナノ構造の核140の各表面)を持つ。次いで、選定された多数の表面領域から多数のナノワイヤー及び/又はナノワイヤーアレイを成長させることができる。種々の実施例において、選択成長マスク135は、多数のナノワイヤーの形成後に多数のナノ構造の核140を露出させるために、適切なエッチング処理により除去することができる。」 「【0067】 図8-12は、ナノワイヤーLED及びナノワイヤーレーザーを含んだナノワイヤー能動デバイスの例示の実施例、及び規模を変換し得るこれらの製造工程を示す。種々の実施例において、GaNナノワイヤー及び/又はナノワイヤーアレイのような開示されたIII-V族ナノワイヤー及びナノワイヤーアレイは、特有の特性を有するこれらの能動デバイスを提供する。これは、各パルス状成長GaNナノワイヤーが{1100}族の側壁を有し、かつこれら側壁への垂線がIII族窒素材料のための非極性の方向とすることができるためである。従って、各GaNナノワイヤーのこれら側面に、InGaN/GaN量子井戸、AlGaN/GaN量子井戸又はその他のIII族窒化物量子井戸のような高品質のIII族窒化物量子井戸を形成することができる。 【0068】 例えば、ナノワイヤー成長の挙動は、パルス状成長モード中に、例示のMOCVDガス相にトリメチルアルミニウム(Al)又はトリメチルインジウム(In)のような別の前駆物質ガスを加えたとき、大きく変えることができる。この場合、GaNナノワイヤー及び/又はナノワイヤーアレイに少量(例えば、約1%)であってもAl又はInの分子が加えられると、各GaNナノワイヤーはその断面寸法(例えば、幅又は直径)が時間とともに横方向に成長することができる。この横方向成長の挙動がコアシェルヘテロ構造の生成を許し、即ち、InGaN及びAlGaN合金が各GaNナノワイヤーのコア上で成長しこれを囲むことができる。その結果、コアシェル成長は、発光デバイス用のコアシェルナノワイヤー/MQW能動構造を作ることができる。 【0069】 種々の実施例において、開示された2相成長モードを使用してGaNナノワイヤーを成長させた後で、例示のInGaN及びAlGaN合金のコアシェルを成長させるための追加の第3の成長条件を確立することができる。この第3の成長モードは、例えば、図3に310で示されたような選択成長モードに使用されたものと同様な連続的成長とすることができる。種々の別の実施例においては、第3の成長条件のためにパルス状成長モードを使用することができる。 【0070】 種々の実施例においては、例えば、ナノワイヤーLED及び/又はナノワイヤーレーザーのような高効率のナノスケールの光電子デバイスを提供するためにコアシェルナノワイヤー/MQW能動構造を使うことができる。例えば、得られたコアシェルナノワイヤー/MQW能動構造(即ち、各ナノワイヤーコアの側壁上にMQW能動シェルを有する構造)は、各ナノワイヤーコアが非極性側壁を有するため、圧電フィールドから影響を受けず、また組み合わせられた量子閉じ込めシュタルク効果(QCSE)からも影響を受けない。QCSEを無くすことにより、LED及びレーザーの性能を改善するために能動領域における放射再結合効率を増加させることができる。加えて、QCSEの欠如により、より広い量子井戸を使うことができ、これによりナノワイヤーベースのレーザーの重なり積分及び共振器利得を改善することができる。特有のコアシェル構造のため、コアシェルナノワイヤー/MQW能動構造を使った更なる例示の効率の利益を明らかに増加させることができる。 【0071】 図8は、本発明の教示による例示のコアシェルナノワイヤー/MQW能動構造デバイス800の断面方向で層にされた構造を示す。本技術の通常の熟練者は、図8に示されたデバイス800が一般化された略図を表すこと、及びその他の材料/層/シェルを加え得ること或いは存在している材料/層/シェルを除去し又は変更し得ることが容易に分かるであろう。 【0072】 示されるように、デバイス800は、基板810、ドープされた緩衝層820、選択成長マスク825、ドープされたナノワイヤーコア830、及び第1のドープされたシェル840、MQWシェル構造850、第2のドープされたシェル860、及び第3のドープされたシェル870を有するシェル構造835を含むことができる。 【0073】 選択成長マスク825は、基板810上のドープされた緩衝層820の上に形成することができる。ドープされたナノワイヤーコア830は、選択成長マスク825を経てドープされた緩衝層820に伸びこれと連結される。この場合、ドープされたナノワイヤーコア830は、選択成長マスク825により絶縁することができる。シェル構造835は、コアシェル能動構造を有するドープされたナノワイヤーコア830を殻で覆う(シェルする)ように形成することができ、そしてシェル構造835も選択成長マスク825上に設けることができる。加えて、シェル構造835は、第1の第1のドープされたシェル840上のMQWシェル構造850に上に形成し得る第2のドープされたシェル860の上に第3のドープされたシェル870を蒸着させることにより形成することができる。 【0074】 基板810は、基板110及び410(図1-2及び図4-5を参照)と同様な基板とすることができ、そして、限定するものではないが、サファイア、炭化ケイ素、シリコン又はGaAs又はGaNのようなIII-V族の基板を含んでいる。 【0075】 ドープされた緩衝層820は、基板810上に形成することができる。ドープされた緩衝層820は、緩衝層220及び/又は520(図2及び図5を参照)と同様なものとすることができる。ドープされた緩衝層820は、本技術の通常の熟練者に知られる種々の結晶成長方法により、例えば、GaN、AlN、InN、AlGaN又はAlInGaNより形成することができる。種々の実施例において、ドープされた緩衝層820は、ドープされたナノワイヤーコア830と同様な導電型でドープすることができる。ある実施例においては、ドープされた緩衝層820は、デバイス800から取り去ることができる。 【0076】 選択成長マスク825は、緩衝層820上に形成された選択成長マスク135及び/又は435(図1-2及び図4-5を参照)と同様な選択成長マスクとすることができる。種々の実施例において、選択成長マスク825は、基板810上に直接形成することができる。選択成長マスク825は、多数のナノワイヤー及び/又はナノワイヤーアレイの選択的な成長を定める。選択成長マスク825は、適宜の絶縁材料、又は本技術の通常の熟練者に知られたその他のマスク材料より形成することができる。 【0077】 ドープされたナノワイヤーコア830は、2相成長モードを使用して形成された図1-2及び図4-7に示された多数のナノワイヤーの適宜のナノワイヤーを使用することができる。ドープされたナノワイヤーコア830は、シリコン、ゲリマニウム、セレン、硫黄及びテルルのような種々の不純物によるドーピングによりn型にすることがきで、例えば、GaN、AlN、InN、AlGaN又はAlInGaNより形成することができる。種々の実施例において、ドープされたナノワイヤーコア830は、ベリリウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、又はマグネシウムを入れることによりp型とすることができる。本技術の通常の熟練者に知られるその他のドープ剤を使用することができる。種々の実施例において、ドープされたナノワイヤーコア830の高さは、能動構造デバイス800の高さをほぼ定めることができる。例えば、ドープされたナノワイヤーコア830は、約1μmから約1000μmの高さを持つことができる。 【0078】 材料GaNがドープされたナノワイヤーコア830用として使用されたとき、ドープされたナノワイヤーコア830は、非極性側壁面{1100}(即ち、m面)を持つことができる。これらの面におけるコアシェルの成長により、MQWシェル構造850を含んだシェル構造835を成長させることができ、そしてこのデバイス800は圧電フィールドから影響されず、かつ組み合わせられた量子閉じ込めシュタルク効果(QCSE)から影響を受けない。 【0079】 第1のドープされたシェル840は、パルス状成長が使用されたとき、例示のコアシェル成長によるドープされたナノワイヤーコア830の非極性側壁面から形成しこれを覆うことができる。例えば、第1のドープされたシェル840は、コアシェルヘテロ構造を形成しているドープされたナノワイヤーコア830のパルス状成長中に、少量のAlを添加することにより形成することができる。導電型の第1のドープされたシェル840及びドープされたナノワイヤーコア830は、例えば、n型と同様に作ることができる。種々の実施例において、第1のドープされたシェル840は、Al_(x)Ga_(1-x)Nを含むことができ、この場合xは、0.05又は0.10のような1.00より小さい任意の数とすることができる。 【0080】 MQWシェル構造850は、パルス状成長モードが使用されたとき、例示のコアシェル成長により第1のドープされたシェル840の上に形成することができる。特に、MQWシェル構造850は、コアシェルヘテロ構造の形成を継続するために第1のドープされたシェル840のパルス状成長中に少量のAl及び/又はInを添加することにより形成することができる。種々の実施例において、MQWシェル構造850は、例えば、Al_(x)Ga_(1-x)NとGaNとの交互の層を含むことができ、この場合、xは、例えば、0.05又は1.00より小さい任意の別の数とすることができる。また、MQWシェル構造850は、例えばIn_(x)GaN_(1-x)とGaNとの交互の層を含むことができ、この場合、xは、例えば、約0.20から約0.45の範囲の任意の数とすることができる。 【0081】 第2のドープされたシェル860は、MQWシェル構造850上に形成することができる。第2のドープされたシェル860は、十分な厚さ、例えば約500nmから約2000nmを有しMQWシェル構造850用の緩衝層として使用することができる。第2のドープされたシェル860は、例えばAl_(x)Ga_(1-x)Nより形成でき、この場合、xは、0.20又は0.30のような1.00より小さい任意の数とすることができる。第2のドープされたシェル860は、第3のドープされたシェル870と同様に導電型でドープすることができる。 【0082】 第3のドープされたシェル870は、能動構造デバイス800の上を覆うように第2のドープされたシェル960からコアシェルの成長を続けることにより形成することができる。第3のドープされたシェル870は、例えば、GaNより形成され、そしてn型又はp型になるようにドープされる。種々の実施例において、第1のドープされたシェル830がn型のシェルであるとすると、第2のドープされたシェル860及び/又は第3のドープされたシェル870をp型シェルとすることができる。この関係は逆にすることができる。種々の実施例において、第3のドープされたシェル870は、約50から約500nmの厚さを持つことができる。 【0083】 種々の実施例において、図8に示されたコアシェル能動構造デバイス800は、ウエーハのような大きい面積内に多数のデバイス800が含まれるとき、これらを互いに電気的に絶縁することができる。図9は、本発明の教示に従って図8に示された各コアシェルナノワイヤー/MQW能動構造を絶縁するように蒸着された絶縁材料910を含んでいる能動構造デバイス900を示す。 【0084】 図9に示されるように、絶縁材料910は選択成長マスク825上に成長させ、そしてシェル構造835の側壁、より特別には第3のドープされたシェル870の側壁と横方向に連結させることができる。種々の実施例において、絶縁材料910は、例えば、酸化ケイ素(SiO_(2))、窒化ケイ素(Si_(3)N_(4))、シリコンオキシナイトライド(SiON)、又はその他の絶縁材料のような適宜の電気絶縁材料とすることができる。幾つかの実施例においては、絶縁材料910を固化可能な絶縁材とすることができる。絶縁材料910は、例えば、化学蒸着(CVD)又はスピンオン技術により希望の高さ又は厚さに成型することができる。種々の実施例において、絶縁材料910の高さ/厚さは、本技術の通常の熟練者に知られるエッチング又はリフトオフ法を使用して、蒸着された絶縁材料の頂部から絶縁材料の一部分を取り去ることにより、更に調節することができる。絶縁座料910の厚さは、コアシェルナノワイヤー/MQW能動デバイスが使用される特別な応用に応じて調節することができる。 【0085】 種々の実施例において、MQW能動シェル構造は、これをパルス状成長ナノワイヤーの非極性側壁上に作ることができるので、図8-9に示されたコアシェル成長により種々のナノワイヤーLED及びナノワイヤーレーザーを形成することができる。例示のLED又はレーザーの放射波長をλとしたとき、例えば、ナノワイヤーがλ/2に等しいピッチを有する六角形アレイに配列されるならば、ナノワイヤーのアレイは発光作用を刺激するように光学的フィードバックを提供することができる。図10-12は、本発明の教示に従って図8-9に示された構造に基づいて形成された例示のナノスケールの能動デバイスを示す。 【0086】 図10A-10Cは、本発明の教示に従って図8-9に示されたコアシリコンナノワイヤー/MQW能動構造を使用している例示のナノワイヤーLEDデバイス1000を示す。 【0087】 種々の実施例において、ナノワイヤーLEDデバイス1000は、例えば、デバイス900上に形成された電気コンタクトを含んで作ることができる。電気コンタクトは、本技術の通常の熟練者に知られる技術を用いて、Al/Ti/Pt/Au、Ni/Au、Ti/Al、Ti/Au、Ti/Al/Ti/Au、Ti/Al/Au、Al又はAuのような多くの多層組合せにおけるチタン(Ti)、アルミニウム(Al)、プラチナ(Pt)、ニッケル(Ni)、又は金(Au)のような金属から形成された導電構造を含むことができる。 【0088】 図10Aにおいて、デバイス1000は、デバイス900の表面、即ち、絶縁材料910及びシリコン構造835の第3のドープされたシリコン870の各面に、デバイス900の表面上に形成された導電構造1040を含むことができる。導電構造1040は、続いて作られるLEDデバイス構造1000のp電極に使用される透明層とすることができる。例示の実施例においては、導電構造1040(又はp電極)は、例えば、Ti/Auの層状化された金属組合せとすることができる。 【0089】 種々の実施例において、デバイス1000は、調節された厚さ(又は高さ)を有する絶縁層1010を含むことができる。絶縁層1010の厚さを調整することにより、シェル構造835の側壁上に形成された導電構造1040(又はp電極)の大きさ(厚さ又は高さ)を、ナノワイヤー能動デバイスの希望の用途に従って調整することができる。例えば、厚い絶縁層1010は、導電構造1040(又はp電極)を、例えば、ナノワイヤーLED及び/又はナノワイヤーレーザー用のコアシェル構造の能動デバイスの頂部に閉じ込めることができる。或いは、調整された薄い絶縁層1010のため、導電構造1040(又はp電極)は、より大きい厚さ又は高さ(即ち大きくされた大きさ)を持つことができ、これにより能動デバイスの抵抗を減らすことができる。しかし、種々の実施例において、導電構造1040(又はp電極)の厚さが大きくなるとレーザー共振器のような能動デバイスへの寄与が小さくなることが予想される。本技術の通常の熟練者に知られるように、導電構造1040(又はp電極)の最適の性能は、期待される共振器の損失と能動デバイスの抵抗の減少とのバランスにより達成することができる。 【0090】 種々の実施例において、例示のLEDデバイス1000のシェル構造835の側壁に沿った導電構造1040(又はp電極)の厚さは、高効率性能のために約1μmから約9μmの範囲とすることができる。種々の実施例において、LEDデバイス1000は、例えば、約10μmの全高を持つことができる。 【0091】 図10Bにおいて、デバイス1000は、p電極1045、絶縁部1015、及び選択成長マスク825内にエッチングされたトレンチ1035を有する選択接触マスク1025を更に含むことができる(図10Aを参照)。 【0092】 p電極1045及び下にある絶縁部1015は、導電構造1040と絶縁層1010とを、パターンを描きエッチングすることより形成することができる(図10Aを参照)。その結果、選択成長マスク835の表面の諸部分(図示せず)が露出され、そして各コアシェル構造の両側において絶縁部1015により分離される。パターンの描画及びエッチング工程の後、選択成長マスク825の表面の露出部分を通ってトレンチ1035を形成することにより選択接触マスク1025が形成される。この場合、コアシェル構造の各面が少なくも1個のトレンチ1035を含むことができる。その結果として、下にある緩衝層820の表面部分をトレンチ1035の底面として使うことができる。 【0093】 種々の実施例において、選択接触マスク1025の厚さは、LEDデバイス1000の性能に対して決定的である。例えば、30nmの厚さを有する窒化ケイ素の選択成長マスクは、LEDデバイス1000の破壊前、約20ボルト又はそれ以上の電圧を支持するに十分な厚さである。種々の実施例において、選択接触マスク1025は、約30nm又はこれ以下の厚さを持つことができる。しかし、本技術の通常の熟練者は、より厚い選択成長マスクを、ナノワイヤー及びナノワイヤー能動デバイスの工程に容易に適応させ得ることを理解するであろう。 【0094】 図10Cにおいて、デバイス1000は、ドープされた緩衝層820とナノワイヤーコア830とを含んだ中央導電領域とn側のコンタクトとの間の導電を確保するために形成されたn電極1080を含むことができる。中央導電領域は、例えば、多量にドープされたn+GaN領域とすることができる。種々の実施例において、n電極1080は、選択接触マスク1025の各面の上及びトレンチ1035の底部に導電材料を蒸着させることにより形成された導電構造を持つことができる。例示の実施例においては、n電極1080は、例えば、Al/Ti/Pt/Auのような層状化された金属の組合せで形成することができる。 【0095】 図10CのナノワイヤーLEDデバイス1000の得られた光は、1099において青及び緑の波長に対して透明な基板820を通して引き出すことができる。種々の実施例において、ナノワイヤーLEDデバイス1000は十分な回折に対して十分に小さいため、デバイス1000の頂部において、より拡散した光出力が生じ得る。この拡散光出力は、ある種の固体発光の応用に有利である。 【0096】 この方法で、開示されたナノワイヤーLEDデバイス1000は、伝統的なLEDデバイスと比較して特有の性質を提供することができる。第1、通常の平らなLED構造と比較して、コアシェル成長能動領域の面積(即ち、MQW能動シェル面積)を、例えば約10倍に増加させ得るため、より高い明るさを有することができる。第2、LEDの出力効率を増加させるように光の取出しを改善することができる。これは、LEDデバイスの形状を、能動領域の面積の大部分をウエーハ面、即ち基板の面に直角に指向させるように作り得るためである。MQW能動領域のどの側の閉じ込め領域もLED光を垂直方向に案内する傾向を持つことができる。第3、多数のナノワイヤー及びナノワイヤーアレイの各の位置及び直径が極めて正確であるため、得られるLEDデバイス100のアレイもフォトニック結晶として構成することができ、これが、更に光出力結合効率を改良する。第4、電気接触面積、例えば、p電極1045の接触面積の増加のため、ナノワイヤーLEDの抵抗を非常に小さくすることができる。最後に、LEDデバイス1000が高度の明るさを有する特定化された光出力を提供するので、与えられたウエーハについてより多数のデバイスを加工することができる。これが製造費用を低下させかつ製造効率を高くする。例えば、金属接触を許すように、LEDデバイス1000は、例えば、約100μmのピッチ間隔(即ち、2個の隣接するナノワイヤーデバイス間の中心間間隔)を持つことができる。101.6mm(4インチ)ウエーハは、同時に製造し得る多数の、例えば約78万個又はそれ以上のナノワイヤーLEDデバイス1000を含むことができる。種々の実施例において、1個の101.6mm(4インチ)ウエーハが100万個以上のLEDデバイス1000を収容し得るようにピッチ間隔を更に小さくすることができる。 【0097】 図11-12は、本発明の教示により図8-10に示されたコアシェル成長ナノワイヤー/MQW能動構造を使用した例示のナノワイヤーレーザーデバイスを示す。ナノワイヤー及び/又はナノワイヤーアレイの側面は単原子層の尺度の平面度を有する正確な{1100}面であるため、これら超平面の「側壁構造」上にレーザーデバイス用の高品質MQW能動領域を形成することができる。加えて、側壁面の垂直な指向方向及びナノワイヤーの均一な周期性と長さが、光共振器を形成するための面の高生産量のエッチング又はへき開方法を提供することができる。均一な周期性のため、フォトニック結晶の光共振器素直に確立することができる。 【0098】 図11に示されるように、ナノワイヤーレーザーデバイス1100は、レーザー能動構造としてコアシェル成長ナノワイヤー/MQW能動構造を使用している図8-10で説明された工程で作ることができる。ナノワイヤーレーザーデバイス1100は、研磨されたシェル構造1135、研磨されたp電極1145、及びレーザー能動構造を覆うように研磨されたシェル構造1135及び研磨されたp電極1145の各表面上に形成されたパッシベーション層1195を含むことができる。 【0099】 研磨されたシェル構造1135及び研磨されたp電極1145は、図10Cに示されるようにコアシェルナノワイヤー/MQW能動構造(即ち、レーザーデバイス構造)の(底の端部としての基板810に関して)上の端部における研磨(即ち、除去)により形成することができる。機械的な支持体としてエッチされた絶縁部1015を使用して種々の研磨方法、例えば、化学的、機械的な研磨)を使用することができる。 【0100】 研磨段階は、ナノワイヤーレーザーデバイス1100の製造を減少させることなく同時に多数のレーザー面を研磨するために使用される。高製造効率のために、例えば、約78万又はそれ以上のような多数のナノワイヤーレーザーデバイス1100を101.6mm(4インチ)ウエーハ上に形成することができる。種々の実施例において、1個の101.6mm(4インチ)ウエーハが、例えば、100万以上のレーザーデバイス1100を収容できるように、ピッチ間隔を更に小さくすることができる。 【0101】 種々の実施例において、研磨されたシェル構造1135の側壁に沿って形成された研磨されたP電極1145の大きさ(例えば、厚さ又は高さ)は、レーザーデバイス1100の最適性能のために、下にあるエッチされた絶縁部1015の厚さを調整することにより調整することができる。種々の実施例において、図11に示された研磨されたシェル構造1135の側壁に沿って研磨されたP電極1145の厚さは、全高が約10μmのとき、約1μmから約5μmの範囲とすることができる。 【0102】 パッシベーション層1195は、各レーザー能動構造の研磨された頂端部に、即ち、研磨されたp電極1145及び研磨されたシェル構造1135の各面に形成することができる。パッシベーション層1195は、ナノワイヤーレーザーデバイス1100の不当な非放射性再結合又は接続漏洩を避けるように構成することができる。種々の実施例において、パッシベーション層1195は、例えば、本技術の通常の技術者に知られる適宜の絶縁材料から、約10から100nmの厚さで形成することができる。 【0103】 幾つかの実施例において、ナノワイヤーの共振器(即ち、ナノワイヤーコア830)を囲んでいる研磨されたシェル構造1135に使用される材料の構成及び屈折率は、1199における光レイジング工程に影響を与える。例えば、ナノワイヤーが約200nmの例示の直径を有するときは、光レイジングモードの内の幾つかを共振器の外に置くことができる。従って、レーザーは、共振器を囲んでいる材料の構成及び屈折率に対して、即ち、研磨されたシェル構造1135の各層に使用された材料に対して、より敏感にすることができる。 【0104】 別の実施例において、レーザー光共振器(即ち、ナノワイヤーコア830)には物理的な下方の面はないので、選択成長マスク1025の近傍における有効屈折率の変化があり得る。この屈折率の変化は、光レイジングモードの幾つかが共振器の外側に存在し得ることにより支援される(即ち、より大きくされる)。例示の一実施例においては、ナノワイヤーレーザーデバイス1100(図11を参照)は、反射を最大にするように選択接触マスク1025の厚さを調整することにより光で調節することができる。例えば、レーザーデバイス1100用の選択接触マスク1025の光学的厚さは、デバイスが450nmの青い光を出しているとき、約220nmから約230nmの範囲とすることができる。 【0105】 図12は別の例示のレーザーデバイス1200を示し、これにおいては、ドープされた緩衝層820が図11に示されるレーザーデバイス1100の2層の間に配置されるのとは逆に、分布ブラッグ反射器(DBR)ミラースタック1220を基板810の層と選択成長マスク1025との間に配置することができる。 【0106】 DBRミラースタック1220は、エピタキシャルDBRミラースタックとすることができる。DBRミラースタック1220は、例えば、GaN及びAlGaNの1/4波長交互層を含むことができる。種々の実施例において、DBRミラースタック1220は、反射性を改良しかつレーザー1299の共振器のQを増加させるように同調させることができる。 【0107】 種々の実施例において、図10-12に示された全てのナノワイヤー能動デバイスは、ヘテロ構造のおり抵抗の大きいp電極(例えば、p電極1045及び/又は1145)を、各コアシェルナノワイヤー/MQW能動構造の外周である大きい面積に置くことができるので、低いデバイス抵抗を提供することができる。例えば、(図10に示された)LEDデバイス1000については、p電極1045は、デバイス抵抗を更に減らすようにデバイス1000の頂部を完全に覆うようなパターンとすることができる。 【0108】 1個のナノワイヤーが説明の目的で図8-12に示されたが、本技術の通常の熟練者は、ナノスケールの能動デバイス用の(例えば、図1-6に示された)多数のナノワイヤー及び/又はナノワイヤーアレイは、これらを同時に大きい面積(例えばウエーハ全体)に導くことができる。」 3 引用文献3について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面ともに次の事項が記載されている。 「【0001】 【従来の技術】GaAsのような従来の発光ダイオード(LED)材料は、モノリシックで製作された際、単一接合(single junction)または多重並列接合(multiple parallel junction)を有する構造をもたらしてきた。図1Aは、典型的な多重並列接合LEDアレイ10を示す。共通のn型領域の上に数個のp型領域13を成長させる。n型コンタクトはn型領域18に接続し、数個のp型コンタクト14はp型領域13に接続する。このデバイスは、n型領域18を基層12の上に形成した後このn型領域の上に連続的なp型層を形成することにより、製作される。この後、p型領域13間にトレンチ15を機械的に切削することによりまたは化学的にエッチングすることにより、p型層は、別個の領域に分割される。図1Bは、別の多重並列接合LEDアレイ16を示す。機械的に切削(sawing)することまたは化学的にエッチングすることに代えて、p型領域13は、拡散(diffusion)により電気的に互いに分離される。 【0002】 【発明が解決しようとする課題】デバイスの両面にコンタクトを用いる場合には1つの共通した伝導層、すなわち、n型層またはp型層が必要となるので、図1Aおよび図1Bに示したモノリシック(monolithic)アレイは、図2に示す並列構成に限定される。 【0003】 【課題を解決するための手段】本発明によれば、直列または並列LEDアレイは、このアレイのためのp型コンタクトおよびn型コンタクトがともに、このアレイにおける同一面に存在するように、絶縁基層または高抵抗性基層に形成される。個別のLED(個別LED)は、トレンチによりまたはイオン注入(ion implantation)により、互いに電気的に分離される。アレイ上に堆積させた内部コネクト(interconnect)は、アレイにおける個別LEDのコンタクトと接続する。いくつかの実施形態では、LEDはサファイア基層の上に形成されるIII族窒化物デバイスである。一実施形態では、III族窒化物デバイスは、高抵抗性のSiCまたはIII族窒化物の基層の上に形成される。一実施形態では、単一基層の上に形成された2つのLEDは、逆並列で接続されて、モノリシック静電放電保護回路を形成する。一実施形態では、単一基層の上に形成された多数のLEDは直列に接続される。直列アレイは、同一エリアを占める単一LEDに比べて、より高い電圧で動作しうるので、電源デザインを簡素化することができる。一実施形態では、単一の基層に形成した多数のLEDは、並列に接続される。この実施形態では、n型領域が、p型領域のそれぞれを囲みかつこれらp型領域を間に挟むように、多数のp型領域が単一のn型領域に形成される。いくつかの実施形態では、蛍光体層が、1つ以上の個別LEDが形成される基層の一部を覆う。」 「【0008】図7Aおよび図7Bは、完成した直列LEDアレイの2つの例を示す。図7Aは、アレイにおけるLEDがトレンチにより分離されているデバイスを示す。図7Bは、アレイにおけるLEDがイオン注入領域301により分離されているデバイスを示す。電極材料を堆積しパターン化して、p型およびn型コンタクト32が形成される。n型コンタクトのための典型的なコンタクト材料はAlまたはTi-Alであり、p型コンタクトのための典型的なコンタクト材料はAg、Au、Ni、Ptまたはこれらの合金である。コンタクト32については、光がエピタキシャル層の表面を介して抽出されるデバイスにおけるもののように、透明性なものとすることができ、または、光が基層を介して抽出されるフリップチップデバイスにおけるもののように、反射性なものとすることができる。コンタクトを堆積およびパターン化させた後、接続されていない発光ダイオードのアレイが単一の基層上に形成される。同一の最終的構造を作りあげるためにその他の処理フローを用いることができる。この後、多くの様々な配列がなされたLEDが接続される。 【0009】この後、デバイス上における個別LEDを接続するための内部コネクト(interconnect)34を堆積させる。内部コネクト34については、例えば、Al、Cu、Au、Ag、または、AlSiCuのような合金とすることができる。p型およびn型コンタクト32は、半導体層に対するオーミックコンタクトを形成するように最適化された材料であるが、内部コネクト34は、厚い材料であり、かつ、電流を伝えるように最適化された高伝導性の材料である。透明なコンタクトを介してデバイスから光が抽出されるのであれば、内部コネクトに吸収される光の量を最小化すべくできるだけコンタクトの障害とならないように、内部コネクトを堆積させる。図7Aおよび図7Bに示した2つのLEDは、LED-Bのn型コンタクトをLED?Aのp型コンタクトに接続するように、直列に接続される。明らかであるように、金属性の内部コネクト34については、多くの様々な配置がなされたモノリシックアレイのLEDを接続するように堆積させることができる。」 4 引用文献4について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、図面ともに次の事項が記載されている。 「【技術分野】 【0001】 本発明は複数のセルが結合された発光素子及びその製造方法並びにこれを用いた発光装置に関し、さらに詳しくは、単一枚の基板の上に複数の発光用のセルが配設されている単一の発光素子とこの製造方法及びこれを用いた発光装置に関する。」 「【0051】 この実施形態においては、上述の構造を有する発光セルを基板の上に貼り付けてこれらをそれぞれ直列に接続してなる発光素子の種々の製造方法が提供可能である。 図5は、本発明の他の実施形態による発光セルが配設されている第1の変形例による発光素子の製造方法を説明するための断面図である。 【0052】 図5(a)及び図5(b)を参照すると、基板201の上に、N型半導体層220とP型半導体層240との間に活性層230が形成され、且つ、N型半導体層220とP型半導体層240上にそれぞれ電極パッド(210、250)が形成されている複数の垂直型の発光セル200を貼り付ける。 【0053】 基板201としては、Al_(2)O_(3)、SiC、ZnO、Si、GaAs、GaP、LiAl_(2)O_(3)、BN、AlN及びGaNの内の少なくともいずれか1種の基板を用いることができ、樹脂、プラスチックなどの絶縁性の基板を用いることができ、また、熱伝導性に優れた基板を用いることもできる。もし、導電性の基板を用いる場合には、絶縁のために、その上部の表面に絶縁層が形成された基板を用いる。 【0054】 この後、発光セル200を基板201の上に所定のペースト(図示せず)を用いて貼り付ける。このとき、発光セル200のP型パッド250が基板201の上に貼り付けられる。もちろん、これ以外のさまざまな方法を用いてこれらの両者を貼り合わせることができる。すなわち、この変形例においては、P型パッド250が基板201に貼り付けられているが、N型パッド210が基板201に貼り付けられていてもよい。 【0055】 次に、N型パッド210、N型半導体層220、活性層230及びP型半導体層240の一部に対して所定のエッチング工程を行うことで、下部のP型パッド250の一部を露出させる。これにより、図5に示すように、発光セル200の下部の一部にP型パッド250が露出される。所定の配線形成工程により、隣り合う発光セル200間の電極を接続する。すなわち、一方の発光セル200の露出されたP型パッド250と、これと隣り合う他方の発光セル200のN型パッド210とを配線260により接続する。このとき、ブリッジ工程またはステップカバーリッジなどの工程を通じてそれぞれ隣り合う発光セル200のN型パッド210とP型パッド250とを電気的に接続する導電性の配線260を形成する。 【0056】 配線260としては、金属に加えて、伝導性を有する物質であればいずれも用いることができる。上述の配線形成工程はこれに限定されるものではなく、種々の実施の形態が採用可能である。これについては後述する。 【0057】 本発明の発光素子において、一方の端部に位置する発光セル200のP型パッド250と他方の端部に位置する発光セル200のN型パッド210のそれぞれに外部端子電極(図示せず)を別途に形成して、外部から所定の電源が供給されるようにする。」 5 引用文献5について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5には、図面ともに次の事項が記載されている。 (第5頁2行ないし3行) (当審訳:技術分野 本が発明は、シリコン基板平面LED集積チップ及びその製造方法に関する。) (第11頁1行ないし23行) (当審訳:具体的実施方式 実施例1: 図1、図2、図13に示すように、本実施例のシリコン基板平面LED集積チップはLED集積チップを実装し、それは9個のLEDベアチップ1とシリコン基板2を含み、前記LEDベアチップ1はガリウムヒ素(GaAs)基板10とN型エピタキシャル層11、P型エピタキシャル層12を含んで、もちろん、前記基板10は同じく炭化ケイ素(SiC)基板とすることができ、すなわち前記LEDベアチップ1はシングル電極チップとし、前記シリコン基板2はN型シリコン基板とし、前記シリコン基板2の上面には前記各LEDベアチップ1の両部分に離れた蒸着金属層3があり、前記LEDベアチップ1の実装は前記各金属層3上に溶接して、すなわち前記基板10は直接前記金属層3上に溶接し、前記P型エピタキシャル層12は金属線41によって隣接した1個の前記金属層3上に溶接することに対応し、前記シリコン基板2は各前記のLEDベアチップ1に1個のP型ウェル領域7があり、各前記金属層3と前記シリコン基板2の結合部はリンあるいはヒ素などの材料によりドーピングされたN型剥離層5があり、前記剥離層5は前記ウェル領域7内に位置して、前記金属層3と前記シリコン基板2を隔離し、前記金属層3間の漏電あるいは短絡を防止し、同時に前記剥離層5は前記LEDベアチップ1から引き渡された前記金属層3の熱量は再び前記シリコン基板2に伝達し、良好な熱伝導や、放熱作用を果たし、他の場所の前記剥離層5は前記ウェル領域7との間に1個の静電保護ダイオードを構成し、封入プロセスに静電保護の作用を果たし、各前記LEDベアチップ1が対応する前記金属層3の間にバリア層6を設け、前記金属層3の間の漏電あるいは短絡を防止し、前記金属層3はアノード接点80とカソード接点81を引き出し、前記金属層3は金属アルミニウムとし、当然金属銅あるいはシリコンアルミニウム合金を用いることができ、前記金属層3は、上記の通り電極、導電体は、また放熱フィンであり、前記金属線41は金ワイヤーとし、当然アルミ線あるいは銅線とすることができ、各前記LEDベアチップ1の間で前記金属層3を互いに並列接続し且つアノード接点80とカソード接点81を引き出すことにより、前記アノード接点80は前記カソード接点81の間のすべてのLEDベアチップ1と互いに並列接続する。) (第13頁3行ないし8行) (当審訳:実施例2 図3、図4、図14に示すように、本実施例と実施例1は、各前記LEDベアチップ1の間で前記金属層3の接続方式に相違点がある。--本実施例は、各前記LEDベアチップ1間を互いに直列に接続し、すなわち前記アノード接点80と前記カソード接点81の間のすべてのLEDベアチップ1は互いに直列する。 本実施例の他の特徴は実施例1と同様である。) 6 引用文献6について 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献6には、図面ともに次の事項が記載されている。 「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、光送信機に関する。」 「【0016】 (第1の実施の形態) 第1の実施の形態の光送信機は、図1に示すように、発光素子1の温度変化に応じて変化する第2のダイオード12の順電圧V_(f)を測定し、この順電圧V_(f)の変化に応じて第1のダイオード11の駆動電流I_(f)を増減させる光送信機である。これにより、温度変化による第1のダイオード11の光出力の変動を抑制することができ、かつ、低コストの光送信機を提供することができる。 【0017】 図1は、本発明の第1の実施の形態の光送信機を示す図である。光送信機は、発光素子1と、送信回路2と、を備える。 【0018】 このうち、送信回路2は、第1の入力端子21と、出力端子22と、第2の入力端子23と、定電流回路50と、を有する。また、この送信回路2は、入力回路31と、駆動回路32と、パワー検出回路33と、を有する。この送信回路2では、第1の入力端子21からデジタルの電気信号が入力され、この電気信号に応じて、出力端子22から駆動電流I_(f)が出力される。また、第2の入力端子には、定電流回路50から、定電流としてのバイアス電流IBが供給される。 【0019】 また、発光素子1は、同一チップ上に形成された第1のダイオード11および第2のダイオード12と、第1の外部接続用端子13と、第2の外部接続用端子14と、第3の外部接続用端子(外部接続用電極)15と、を有する。上記第1のダイオード11の陽極は第1の外部接続用端子13に接続され、陰極15は第3の外部接続用端子15に接続される。また、第2のダイオード12の陽極は第2の外部接続用端子14に接続され、陰極は第3の外部接続用端子15に接続される。この第3の外部接続用端子15は、第1のダイオード11と第2のダイオード12との共通電極となる。この第3の外部接続用端子15は、グランドに接続されている。本実施形態の特徴の1つは、この第2のダイオード12と、第1のダイオード11と、が同一のチップ上に形成されている点である。上記の第1のダイオード11は、LEDやLDなどの発光を行うダイオードである。また、第2のダイオード12は、発光を行わないダイオードである。 【0020】 上記の第1のダイオード11の陽極は、出力端子22に接続されている。この出力端子22からの駆動電流I_(f)により、第1のダイオード11は、光を放射する。また、第2のダイオード12の陽極は、第2の入力端子23に接続されている。この第2のダイオード12の陽極には、定電流としてのバイアス電流IBが、第2の入力端子23を介して供給される。この定電流としてのバイアス電流IBにより、第2のダイオード12が駆動される。また、送信回路2は、第2の入力端子23で上記の第2のダイオード12の陽極の電位を測定して、第2のダイオード12の陽極と陰極との電位差(順電圧)V_(f)を測定する。 【0021】 図1の光送信機では、図2に示すように、発光素子1の温度(第1のダイオード11および第2のダイオード12の温度)T_(j)が上昇すると、第1のダイオード11の光出力P_(o)が低下する。そこで、図1の光送信機では、送信回路2が、第2の入力端子23で測定される第2のダイオード12の順電圧V_(f)から発光素子1の温度T_(j)を検出し、その温度検出値に応じて出力端子22からの駆動電流I_(f)を増減することで、第1の発光ダイオード11の光出力P_(o)の変動を抑制している。これを、図3、図4を用いて説明する。 【0022】 図3は、第2のダイオード12の順電圧V_(f)の温度特性を示す図である。横軸は、この第2のダイオード12および第1のダイオード11の温度T_(j)を、縦軸は第2のダイオード12の順電圧V_(f)を、それぞれ示している。この第2のダイオード12には、図1に示すように、定電流回路50から、定電流としてのバイアス電流IBが流されている。そして、このバイアス電流IBにより、順電圧V_(f)が生じている。このダイオード12は、定電流駆動において、図3に示すように、温度T_(j)が上昇すると、順電圧V_(f)が低下する。逆に、ダイオード12の温度T_(j)が低下すると、ダイオード12の順電圧V_(f)が上昇する。 【0023】 図4は、上記の第2のダイオード12の順電圧V_(f)と、第1のダイオード11の駆動電流I_(f)と、の関係を示す図である。図1の光送信機では、順電圧V_(f)は、送信回路2の第2の入力端子23に入力されている。この順電圧V_(f)が低下すると、送信回路2のパワー検出回路33からの出力電流が減少する。このパワー検出回路33からの出力電流は、駆動回路32の制御端子に入力されている。そして、パワー検出回路33からの出力電流が減少すると、駆動回路32からの出力電流が増加する。これにより、出力端子22からの駆動電流I_(f)が増加する。このようにして、図4に示すように、第2のダイオード12の順電圧V_(f)が低下すると、駆動電流I_(f)が増加する。逆に、第2のダイオード12の順電圧V_(f)が上昇すれば、駆動電流I_(f)が減少する。 【0024】 上記の図3、図4から分かるように、発光素子1の温度T_(j)が上昇すると、第2のダイオード12の順電圧V_(f)が低下し(図3)、その低下の割合に応じて駆動電流I_(f)が増加する(図4)。これにより、温度T_(j)の上昇による第1のダイオード11の光出力P_(o)の低下(図2)を抑制することができる。また、図3、図4から分かるように、発光素子1の温度T_(j)が低下すると、ダイオード12の順電圧V_(f)が上昇し(図3)、その上昇の割合に応じて駆動電流I_(f)が低下する(図4)。これにより、温度T_(j)の低下による発光素子11の光出力P_(o)の上昇(図2)を抑制することができる。このようにして、図1の光送信機では、発光素子1の温度T_(j)が変化しても、発光素子1の第1のダイオード11の光出力P_(o)の変動を抑制することができる。 【0025】 さらに、図1の光送信機では、発光素子1の温度T_(j)を直接検知している。これにより、温度補償の精度を高くすることができる。 【0026】 また、図1の光送信機では、従来の光送信機(図8)と異なり、フォトダイオード103を余分に配置していない。このため、部品が増えず、複雑なパッケージ構造とはならず、コストを低く抑えることができる。 【0027】 また、図1の光送信機では、送信回路2における出力端子22にとって順電圧V_(f)の読み取りが負荷とならないため、高速動作をすることができる。このため、図1の光送信機は、第1のダイオード11にLDを用いた高速動作可能な光送信機を提供することができる。 【0028】 以上のように、図1の光送信機では、高速動作可能で、光出力の温度補償の精度が高く、かつ、低コストの提供することができる。 【0029】 以上説明した図1の光送信機では、第1のダイオード11および第2のダイオード12の陽極と陰極を逆に接続することもできる。 【0030】 また、図1の光送信機では、第2のダイオード12は、温度を正確に検出するために、発光を行わないダイオードとすることが好ましい。ただし、必要に応じて、第1のダイオード11に比べて1/10以下の微弱な発光をするダイオードとすることができる。」 第6 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「シリコン基板1」と本願発明1の「非ドープ又は第1導電型にドープされた半導体ケイ素の基板」は、半導体ケイ素の基板である点で共通する。 イ 引用発明の「素子分離領域5に囲まれたシリコン基板1の表面(主面)付近に」形成された「n型発光素子形成領域4」と、本願発明1の「該基板に電気的に接続されており、前記基板内部又は該基板の上面に拡がって接しており、第1導電型に、又は、該第1導電型とは逆の第2導電型に、前記基板よりも高濃度にドープされ、一面を有するケイ素の第1半導体領域」とは、該基板に電気的に接続されており、前記基板内部又は該基板の上面に拡がって接しており、第1導電型に、又は、該第1導電型とは逆の第2導電型にドープされ、一面を有するケイ素の第1半導体領域である点で共通する。 ウ 引用発明の「シリコン基板1のn型発光素子形成領域4から立設するようにして、n型GaN領域31(n型窒化物半導体領域)、InGaN多重量子井戸32(窒化物半導体発光領域)、および、p型GaN領域33(p型窒化物半導体領域)をこの順に有している柱状(例えば円柱状)の」複数の「窒化物半導体柱状構造体30(柱状結晶構造体)」と、本願発明1の「前記第1半導体領域に支持されており、III-V族化合物製であって、線状、円錐状、又は円錐台形状である半導体素子と、該半導体素子の側部を覆う活性層とを備え、前記複数のシードパッド又はシード層と夫々接続されている複数の第1発光ダイオードのアセンブリ」とは、前記第1半導体領域に支持されており、III-V族化合物製であって、線状、円錐状、又は円錐台形状である半導体素子を備える複数の第1発光ダイオードのアセンブリである点で共通する。 エ 引用発明の「p型GaN領域33の上面に接するように、」配された「透明電極25」は、本願発明1の「前記複数の第1発光ダイオード夫々を覆う第1電極層」に相当する。 オ 引用発明の「素子分離領域5によって、トランジスタ部8と発光素子部9に分離され」た「トランジスタ部8」には、「素子分離領域5に囲まれたシリコン基板1の表面(主面)付近にp型ウェル2が形成され」、この「p型ウェル2」に「n型ソース/ドレイン領域3」が形成され、また、形成された「n型ソース/ドレイン領域3」は、「コンタクト26b」と「L字状に延在させた配線127b」を介して、「p型GaN領域33」の上面に接するように配された「透明電極25」に接続していることから、この「n型ソース/ドレイン領域3」と、本願発明1の「前記基板に電気的に接続されており、前記第1半導体領域からは隔離され、前記第1半導体領域と同一の導電型によって前記基板よりも高濃度にドープされ、前記第1電極層に一部が電気的に接続されている第2半導体領域」とは、前記基板に電気的に接続されており、前記第1半導体領域からは隔離され、前記第1半導体領域と同一の導電型にドープされ、前記第1電極層に一部が電気的に接続されている第2半導体領域である点で共通する。 カ そうすると、引用発明の「光集積化素子220」は、本願発明1の「光電デバイス」に対応する。 キ 上記のことから、本願発明1と引用発明とは以下の点で一致し、また相違する。 [一致点] 「半導体ケイ素の基板と、 該基板に電気的に接続されており、前記基板内部又は該基板の上面に拡がって接しており、第1導電型に、又は、該第1導電型とは逆の第2導電型にドープされ、一面を有するケイ素の第1半導体領域と、 前記第1半導体領域に支持されており、III-V族化合物製であって、線状、円錐状、又は円錐台形状である半導体素子を備える複数の第1発光ダイオードのアセンブリと、 前記複数の第1発光ダイオード夫々を覆う第1電極層と、 前記基板に電気的に接続されており、前記第1半導体領域からは隔離され、前記第1半導体領域と同一の導電型にドープされ、前記第1電極層に一部が電気的に接続されている第2半導体領域と を備えることを特徴とする光電デバイス。」 [相違点1] 「半導体ケイ素の基板」について、本願発明1は「非ドープ又は第1導電型にドープされた半導体ケイ素の基板」であるのに対して、引用発明の「シリコン基板1」は、その導電型等について記載されていないために、非ドープ又は第1導電型にドープであるのか不明である点。 [相違点2] 「該基板に電気的に接続されており、前記基板内部又は該基板の上面に拡がって接しており、第1導電型に、又は、該第1導電型とは逆の第2導電型にドープされ、一面を有するケイ素の第1半導体領域」について、本願発明1は「該基板に電気的に接続されており、前記基板内部又は該基板の上面に拡がって接しており、第1導電型に、又は、該第1導電型とは逆の第2導電型に、前記基板よりも高濃度にドープされ、一面を有するケイ素の第1半導体領域」であるのに対して、引用発明の「n型発光素子形成領域4」は、n型であることはわかるものの、「シリコン基板1」がどのような導電型であるのか、また、そのドープ量が不明であるために、「n型発光素子形成領域4」が「シリコン基板1」より高濃度にドープされているのか不明である点。 [相違点3] 本願発明1は「該第1半導体領域に、前記一面に載置されるように接続している複数のシードパッド又はシード層」を備えているのに対して、引用発明は対応する構成を備えていない点。 [相違点4] 「前記第1半導体領域に支持されており、III-V族化合物製であって、線状、円錐状、又は円錐台形状である半導体素子を備える複数の第1発光ダイオードのアセンブリ」について、本願発明1は「前記第1半導体領域に支持されており、III-V族化合物製であって、線状、円錐状、又は円錐台形状である半導体素子と、該半導体素子の側部を覆う活性層とを備え、前記複数のシードパッド又はシード層と夫々接続されている複数の第1発光ダイオードのアセンブリ」であるのに対して、引用発明の複数の「窒化物半導体柱状構造体30」は、III-V族化合物製であり、円柱状であるものの、該半導体素子の側部を覆う活性層を備えておらず、また、シードパッド又はシード層と接続されていない点。 [相違点5] 本願発明1は「前記第1半導体領域の前記一面に載置されるように物理的に接している導電性部分」を備えているのに対して、引用発明は対応する構成を備えていない点。 [相違点6] 「前記基板に電気的に接続されており、前記第1半導体領域からは隔離され、前記第1半導体領域と同一の導電型にドープされ、前記第1電極層に一部が電気的に接続されている第2半導体領域」について、本願発明1は「前記基板に電気的に接続されており、前記第1半導体領域からは隔離され、前記第1半導体領域と同一の導電型によって前記基板よりも高濃度にドープされ、前記第1電極層に一部が電気的に接続されている第2半導体領域」であるのに対して、引用発明は、「シリコン基板1」がどのような導電型であるのか、また、そのドープ量が不明であるために、「n型ソース/ドレイン領域3」が「シリコン基板1」より高濃度にドープされているのか不明である点。 [相違点7] 本願発明1は「前記第2半導体領域は、前記第1電極層に接触しているか、又は、該第1電極層を前記複数の第1発光ダイオードの周囲にて覆う第1導電層に接触している」のに対して、引用発明は、「L字状に延在させた配線127b」と「コンタクト26b」とを介して、「透明電極25」が「n型ソース/ドレイン領域3」に接続されているために、「n型ソース/ドレイン領域3」は「透明電極25」と接触しておらず、また、本願発明1の「該第1電極層を前記複数の第1発光ダイオードの周囲にて覆う第1導電層」に対応する構成を備えていない点。 (2)判断 事案に鑑み、相違点7について先に検討する。 引用文献2ないし6には、相違点7に係る「前記第2半導体領域は、前記第1電極層に接触しているか、又は、該第1電極層を前記複数の第1発光ダイオードの周囲にて覆う第1導電層に接触している」点について記載されておらず、また、この「前記第2半導体領域は、前記第1電極層に接触しているか、又は、該第1電極層を前記複数の第1発光ダイオードの周囲にて覆う第1導電層に接触している」点が周知の構成であるともいえない。 そうすると、本願発明1は、当業者であっても、引用発明、引用文献2ないし6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2 本願発明2ないし19について 本願発明2ないし19は、本願発明1の「前記第2半導体領域は、前記第1電極層に接触しているか、又は、該第1電極層を前記複数の第1発光ダイオードの周囲にて覆う第1導電層に接触している」という事項を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、拒絶査定において引用された引用文献2ないし6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第7 原査定について 審判請求時の補正により、本願発明1ないし15及び17ないし19は、「前記第2半導体領域は、前記第1電極層に接触しているか、又は、該第1電極層を前記複数の第1発光ダイオードの周囲にて覆う第1導電層に接触している」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1ないし6に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の拒絶の理由を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶するべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2021-03-30 |
出願番号 | 特願2016-518761(P2016-518761) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H01L)
P 1 8・ 561- WY (H01L) P 1 8・ 574- WY (H01L) P 1 8・ 575- WY (H01L) P 1 8・ 572- WY (H01L) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 柴山 将隆 |
特許庁審判長 |
加藤 浩一 |
特許庁審判官 |
井上 和俊 小田 浩 |
発明の名称 | 発光ダイオードを含む光電デバイス |
代理人 | 河野 英仁 |
代理人 | 河野 登夫 |