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審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  G01N
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G01N
管理番号 1372657
異議申立番号 異議2020-700195  
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-05-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-03-23 
確定日 2021-01-25 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6603664号発明「基板検査のための基準データ生成方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6603664号の明細書を訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり、訂正後の請求項〔1-7〕について訂正することを認める。 特許第6603664号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第6603664号の請求項1ないし7に係る特許についての出願は、2014年(平成26年)9月11日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2013年9月12日 大韓民国)を国際出願日とする出願であって、令和元年10月18日にその特許権の設定登録がされ、同年11月6日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。

令和2年 3月23日 :特許異議申立人 平賀 博(以下、「申立人」
という。)による請求項1ないし7に係る特許
に対する特許異議の申立て
同年 6月22日付け:取消理由通知
同年 9月24日 :特許権者による意見書の提出及び訂正の請求
同年12月 8日 :申立人による意見書の提出


第2 訂正の適否

1 訂正の内容

(1)特許権者が令和2年9月24日にした訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)は、請求項1ないし7を一群の請求項として訂正することを求めるものであり、その具体的内容は、以下の訂正事項1ないし4-3のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。

(訂正事項1)
明細書段落【0006】に記載の
「前記技術的課題を解決するために、本発明はベーア基板に対する画像情報上のパッド座標情報と予め貯蔵された設計情報上のパッド座標情報を用いて補償マトリックスを生成し、前記補償マトリックスを前記ベーア基板に対する画像情報に適用して特徴客体の座標情報を含む基準データを生成することでキャド情報の生成なしに基板検査のための基準データ生成方法を提供することをその目的とする。」
を、
「前記技術的課題を解決するために、本発明はベーア基板に対する画像情報上のパッド座標情報と予め貯蔵された設計情報上のパッド座標情報を用いて補償マトリックスを生成し、前記補償マトリックスを前記ベーア基板に対する画像情報に適用して特徴客体の座標情報を含む基準データを生成することでパッドばかりでなく、回路、パターン、ホールパターン等に関する配置情報を含むキャド情報から基準データを生成することなしに基板検査のための基準データを生成する基準データ生成方法を提供することをその目的とする。」
と訂正する。

(訂正事項2)
明細書段落【0014】に記載の
「本発明の実施形態による基板検査のための基準データ生成方法及びそれを用いた基板検査方法によると、基板検査のために印刷回路基板に対するキャドデータを生成する必要なしに、前記キャドデータを代替することのできる基準データを生成することができるのでキャドデータ生成のための時間を節約することができて作業効率性を顕著に高めることができる。」
を、
「本発明の実施形態による基板検査のための基準データ生成方法及びそれを用いた基板検査方法によると、基板検査のために印刷回路基板に対するパッドばかりでなく、回路、パターン、ホールパターン等に関する配置情報を含むキャドデータから基準データを生成する必要なしに、前記キャドデータを代替することのできる基準データを生成することができるので基準データを生成するための時間を節約することができて作業効率性を顕著に高めることができる。」
と訂正する。

(訂正事項3)
明細書段落【0033】に記載の
「キャド情報を生成する代わりに、前記において説明した本発明の一実施形態による特徴客体の座標情報を含む基準データを生成することで基板検査際の作業効率性を極大化させることができる。」
を、
「パッドばかりでなく、回路、パターン、ホールパターン等に関する配置情報を含むキャド情報から基準データを生成する代わりに、前記において説明した本発明の一実施形態による特徴客体の座標情報を含む基準データを生成することで基板検査際の作業効率性を極大化させることができる。」
と訂正する。

(訂正事項4-1)
明細書段落【0034】を削除する。

(訂正事項4-2)
明細書段落【0036】を削除する。

(訂正事項4-3)
明細書段落【0037】を削除する。

(2)訂正の単位について

ア 訂正事項1ないし4-3による明細書の段落【0006】、【0014】、【0033】、【0034】、【0036】及び【0037】の訂正は、特許請求の範囲に記載された全ての請求項である請求項1ないし7に関係するものである。
そして、訂正前の請求項1ないし7について、請求項2ないし7はそれぞれ請求項1を直接又は間接的に引用しているものである。

イ したがって、訂正事項1ないし4-3は、訂正前に引用関係を有する請求項1ないし7に対して請求されたものである。

ウ よって、本件訂正は、一群の請求項〔1-7〕に対して請求されている。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否

(1)訂正事項1について

ア 訂正の目的の適否

訂正事項1は、基板検査のための基準データの生成について、訂正前においては、「キャド情報の生成なしに基板検査のための基準データ生成方法を提供すること」が、キャド情報に含まれると解される「設計情報上のパッド座標情報」を用いて補償マトリックスを生成することと整合していなかったところ、「キャド情報の生成なしに基板検査のための基準データ生成方法を提供すること」を「パッドばかりでなく、回路、パターン、ホールパターン等に関する配置情報を含むキャド情報から基準データを生成することなしに基板検査のための基準データを生成する基準データ生成方法を提供すること」と訂正することで、「設計情報上のパッド座標情報」を用いることと整合させるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 新規事項の有無

(ア)本件特許に係る出願の願書に添付した本件訂正前の明細書及び図面には、以下の記載がある(下線は当審で付加した。)。

「【背景技術】
【0002】
一般的に、電子装置内には少なくとも一つの印刷回路基板(printed circuit board;PCB)が具備され、このような印刷回路基板上には回路パターン、連結パッド部、前記連結パッド部と電気的に連結された駆動チップなど多様な回路素子が実装されている。
・・・
【0004】
一般的に基板検査を遂行するために基準データを獲得する。前記基準データは基板に対する理論的な平面イメージであってもよい。前記基準データは前記基板に対する形状を記録したキャド(CAD)情報から獲得できる。前記キャド情報は前記基板の設計基準情報を含み、一般的にパッド、回路、パターン、ホールパターンなどに関する配置情報を含む。
・・・
【発明を実施するための形態】
・・・
【0021】
図1は本発明の一実施形態による基板検査のための基準データ生成方法を遂行するための基板検査装置の構成図であり、図2は本発明の一実施形態による基板検査のための基準データ生成方法の順序図であり、図4は本発明の一実施形態による基板検査のための基準データ生成方法を説明するためのベーア基板の平面図である。
【0022】
前記図1を参照すると、基板検査装置100は基板検査装置100の作動を制御し各種機能を遂行するための演算を処理する制御部110、検査対象である基板を移送及び搭載して固定するステージ部120、前記ステージ部120に搭載された基板に対して検査を遂行するための測定部130、基板検査装置100を駆動するためのプログラム及びデータを貯蔵するメモリー部140、基板検査装置100の作動状態及び検査結果などを出力するためのディスプレイ部150及び使用者の命令の入力を受けるための使用者インタフェース部160などを含んでいても良い。
【0023】
図2及び図3を参照すると、まず、測定部130を通じてベーア基板200をスキャンして前記ベーア基板に対する画像情報を獲得する(S100)。
【0024】
ベーア基板200は図3に示されたように、鉛の塗布される前の基板で実際に鉛が塗布されるパッド領域210と鉛の塗布されていないホール220及びシルクのような特徴客体が形成された基板を意味する。
【0025】
前記特徴客体はベーア基板上に形成されたホールパターン、サークルパターンまたは曲がったパターンのコーナー部分のうち少なくとも一つであってもよい。
【0026】
この際、前記画像情報は前記ベーア基板200に対する2次元画像情報であってもよい。
【0027】
それから、制御部110は前記画像情報から抽出したパッド210の座標情報と予め貯蔵されている設計情報上のパッド座標情報を用いて補償マトリックスを生成する(S110)。
【0028】
この際、前記補償マトリックスはアフィン変換(affine transformation)行列または射影変換(projective transformation)行列 のうち一つであっても良い。
【0029】
続いて、前記制御部110は前記補償マトリックスを前記画像情報に適用して特徴客体の座標情報を含む基準データを生成する(S120)。
【0030】
この際、基準データは特徴客体の座標情報で生成されるか特徴客体の座標情報を含むイメージ情報で生成されてもよい。
【0031】
例えば、前記画像情報から特徴客体の座標情報を抽出してから、前記補償マトリックスを前記抽出された特徴客体の座標に適用して基準データを生成することができる。この際は、特徴客体の座標情報が基準データとして生成される。
【0032】
一方、前記生成された補償マトリックスを前記ベーア基板に対する画像情報に適用して前記画像情報を補償して生成されたイメージが基準データとして生成されてもよい。
【0033】
キャド情報を生成する代わりに、前記において説明した本発明の一実施形態による特徴客体の座標情報を含む基準データを生成することで基板検査際の作業効率性を極大化させることができる。」

【図2】




【図3】




(イ)「パッドばかりでなく、回路、パターン、ホールパターン等に関する配置情報を含むキャドデータ」について

訂正事項1のうち、キャドデータが、パッドばかりでなく、回路、パターン、ホールパターン等に関する配置情報を含むものであることは、段落【0004】の「前記キャド情報は前記基板の設計基準情報を含み、一般的にパッド、回路、パターン、ホールパターンなどに関する配置情報を含む。」との記載に基づくものである。

(ウ)「キャド情報から基準データを生成することなしに基板検査のための基準データを生成する基準データ生成方法を提供することをその目的とする」について

a 背景技術に関する段落【0004】には、「前記基準データは前記基板に対する形状を記録したキャド(CAD)情報から獲得できる。」と記載されている。

b 明細書及び図面には、発明を実施するための形態として、鉛の塗布される前の基板で実際に鉛が塗布されるパッド領域210と鉛の塗布されていないホール220及びシルクのような特徴客体が形成された基板であるベーア基板200(段落【0024】)を、S100でスキャンして前記ベーア基板に対する画像情報を獲得し(段落【0023】)、S110で前記画像情報から抽出したパッド210の座標情報と予め貯蔵されている設計情報上のパッド座標情報を用いて補償マトリックスを生成し(段落【0027】)、S120で前記補償マトリックスを前記画像情報に適用して特徴客体の座標情報を含む基準データを生成する(段落【0029】)基板検査のための基準データ生成方法(段落【0021】)が記載されている。

c S120の「前記補償マトリックスを前記画像情報に適用して特徴客体の座標情報を含む基準データを生成する」ことは、段落【0031】の記載から、ベーア基板をスキャンして獲得した画像情報から各特徴客体の座標情報を抽出し、抽出された各特徴客体の座標に対して補償マトリックスを適用することにより、各特徴客体の設計情報上の位置情報に対応する座標情報を取得し、当該取得した座標情報により基準データを生成することを含むものである。

d そして、S100?S120による基板検査のための基準データ生成方法は、キャドデータに含まれるパッド以外の各特徴客体の配置情報を用いることなく、各特徴客体の配置情報を有する基板検査のための基準データ生成するものであるから、キャド情報から基準データを生成するものではないといえる。

e ここで、本件特許に係る発明は、基板検査のための基準データ生成方法に係るものであるところ、従来の方法とは異なる方法により基準データを生成しようとするものであるといえるから、従来技術に係る基板に対する形状を記録したキャド(CAD)情報から基準データを獲得する方法とは異なる基準データ生成方法を提供しようとするものであるといえる。

f そうすると、「キャド情報から基準データを生成することなしに基板検査のための基準データを生成する基準データ生成方法を提供することをその目的とする」ことは、明細書及び図面の記載から把握できることである。

(エ)したがって、訂正事項1は、本件特許に係る出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「本件明細書等」という。)のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。

(オ)よって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否

訂正事項1は、上記アで検討したとおり明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、発明の目的を実質的に拡張し、又は変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

(2)訂正事項2について

ア 訂正の目的の適否

訂正事項2は、作業効率性を顕著に高めることができることについて、訂正前においては、「基板検査のために印刷回路基板に対するキャドデータを生成する必要なしに、前記キャドデータを代替することのできる基準データを生成することができるのでキャドデータ生成のための時間を節約することができ」が、段落【0006】等に記載のキャドデータに含まれると解される「設計情報上のパッド座標情報」を用いて補償マトリックスを生成することと整合していなかったところ、「基板検査のために印刷回路基板に対するキャドデータを生成する必要なしに」を「基板検査のために印刷回路基板に対するパッドばかりでなく、回路、パターン、ホールパターン等に関する配置情報を含むキャドデータから基準データを生成する必要なしに」と、「キャドデータ生成のための時間を節約することができ」を「基準データを生成するための時間を節約することができ」とそれぞれ訂正することで、「設計情報上のパッド座標情報」を用いることと整合させるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 新規事項の有無

(ア)「キャドデータ」は「キャド情報」と同義であると認められるから、上記(1)イ(イ)で検討したとおり、「パッドばかりでなく、回路、パターン、ホールパターン等に関する配置情報を含むキャドデータ」は、段落【0004】の記載に基づくものである。

(イ)上記(1)イ(ウ)で検討したように、明細書及び図面に記載された発明を実施するための形態は、キャド情報から基準データを生成するものではないといえるから、「キャドデータから基準データを生成する必要なしに」は、明細書及び図面の記載から把握できることである。

(ウ)また、段落【0033】の「前記において説明した本発明の一実施形態による特徴客体の座標情報を含む基準データを生成することで基板検査際の作業効率性を極大化させることができる」との記載から、「時間を節約することができ」は、「キャドデータ生成のための時間」ではなく、「基準データを生成するための時間」に係るものであると解される。
そのため、「基準データを生成するための時間を節約することができ」は、明細書及び図面の記載から把握できることである。

(エ)したがって、訂正事項2は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。

(オ)よって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否

訂正事項2は、上記アで検討したとおり明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、発明の効果を実質的に拡張し、又は変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項2に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

(3)訂正事項3について

ア 訂正の目的の適否

訂正事項3は、訂正前においては、「キャド情報を生成する代わりに」が、段落【0006】等に記載のキャド情報に含まれると解される「設計情報上のパッド座標情報」を用いて補償マトリックスを生成することと整合していなかったところ、「キャド情報を生成する代わりに」を「パッドばかりでなく、回路、パターン、ホールパターン等に関する配置情報を含むキャド情報から基準データを生成する代わりに」と訂正することで、「設計情報上のパッド座標情報」を用いることと整合させるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 新規事項の有無

(ア)上記(1)イ(イ)で検討したとおり、「パッドばかりでなく、回路、パターン、ホールパターン等に関する配置情報を含むキャド情報」は、段落【0004】の記載に基づくものである。

(イ)上記(1)イ(ウ)で検討したように、明細書及び図面に記載された発明を実施するための形態は、キャド情報から基準データを生成するものではないといえるから、「キャド情報から基準データを生成する代わりに」は、明細書及び図面の記載から把握できることである。

(ウ)したがって、訂正事項3は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。

(エ)よって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否

訂正事項3は、上記アで検討したとおり明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、発明の実施形態を実質的に拡張し、又は変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項3に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

(4)訂正事項4-1ないし4-3について

ア 訂正の目的の適否

(ア)訂正前の段落【0034】には、「一方、前記において説明した本発明の一実施形態による基板検査のための基準データ生成方法によって生成された基準データを基板検査際に使用することができる。検査対象基板を検査の際、基板上で特徴客体を抽出して該当特徴客体の座標情報と前記基準データ上の特徴客体の座標情報を用いて補償マトリックスを生成することができる。続いて、生成された補償マトリックスを予め貯蔵された設計情報上のパッドの座標情報に適用して前記基板上での検査するパッドの座標情報を生成することができる。前記パッドの座標情報上の位置で基板検査を遂行することができる。」とあり、本発明の一実施形態による基板検査のための基準データ生成方法によって生成された基準データを使用して基板検査をする際、検査対象基板上で特徴客体を抽出して該当特徴客体の座標情報と基準データ上の特徴客体の座標情報を用いて補償マトリックスを生成することが記載されている。
また、訂正前の段落【0036】及び【0037】にも、基板検査の際に補償マトリックスを生成することが記載されている。

(イ)一方、段落【0020】ないし【0033】に記載された「本発明の一実施形態」においては、ベーア基板上のパッド座標情報と設計情報上のパッド座標情報とから生成した補償マトリックスを用いて基準データを生成している。

(ウ)そのため、段落【0034】、【0036】及び【0037】の記載と段落【0020】ないし【0033】の記載とでは、「補償マトリックス」を生成する段階が整合していない。

(エ)訂正事項4-1ないし4-3は、段落【0034】、【0036】及び【0037】を削除することにより、「補償マトリックス」を生成する段階に係る不整合を解消しようとするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 新規事項の有無

(ア)訂正事項4-1ないし4-3は、基準データを使用した基板検査に係る段落【0034】、【0036】及び【0037】を削除するものであり、これらの段落の削除が他の段落等の記載の解釈に影響するものでもない。

(イ)したがって、訂正事項4-1ないし4-3は、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものである。

(ウ)よって、訂正事項4-1ないし4-3に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否

訂正事項4-1ないし4-3は、上記アで検討したとおり明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、基準データを使用した基板検査に係る段落【0034】、【0036】及び【0037】を削除するものであって、基準データの生成方法に係る発明の実施形態を実質的に拡張し、又は変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
よって、訂正事項4-1ないし4-3に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

3 小括

上記のとおり、訂正事項1ないし4-3に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、明細書を、訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり、訂正後の請求項〔1-7〕について訂正することを認める。


第3 本件発明

本件特許の請求項1ないし7に係る発明(以下、それぞれ請求項の番号に従って「本件発明1」などといい、総称して「本件発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。

(本件発明1)
「【請求項1】
ベーア基板をスキャンして前記ベーア基板に対する画像情報を獲得する段階と、
前記画像情報から抽出したパッド座標情報と予め貯蔵されている設計情報上のパッド座標情報を用いて補償マトリックスを生成する段階と、
前記補償マトリックスを前記画像情報に適用して特徴客体の座標情報を含む基準データを生成する段階と、を含み、
前記基準データが、キャドデータを代替することのできるデータであることを特徴とする基板検査のための基準データ生成方法。」

(本件発明2)
「【請求項2】
前記基準データを生成する段階は、
前記画像情報から特徴客体の座標情報を抽出する段階と、
前記補償マトリックスを前記抽出された特徴客体の座標に適用して基準データを生成する段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の基板検査のための基準データ生成方法。」

(本件発明3)
「【請求項3】
前記特徴客体は前記ベーア基板上のホールパターン、サークルパターンまたは曲がったパターンのコーナー部分のうち少なくとも一つであることを特徴とする請求項2に記載の基板検査のための基準データ生成方法。」

(本件発明4)
「【請求項4】
前記基準データは、
前記生成された補償マトリックスを実測画像情報に適用して生成したイメージ情報であることを特徴とする請求項1に記載の基板検査のための基準データ生成方法。」

(本件発明5)
「【請求項5】
前記画像情報は、前記ベーア基板に対する2次元画像情報であることを特徴とする請求項1に記載の基板検査のための基準データ生成方法。

(本件発明6)
「【請求項6】
前記補償マトリックスが、アフィン変換行列又は射影変換行列である、請求項1?請求項5のいずれか一項に記載の基板検査のための基準データ生成方法。

(本件発明7)
「【請求項7】
第1項乃至第6項のうちいずれか一つの項の方法を遂行するためのコンピュータで駆動可能であるプログラムが貯蔵された記録媒体。」


第4 取消理由通知に記載した取消理由について

1 取消理由の概要

請求項1ないし7に係る特許に対して、当審が令和2年6月22日付け取消理由通知で特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。

(取消理由1)(実施可能要件)

(1)「前記基準データが、キャドデータを代替することのできるデータであること」について

ア 段落【0006】、【0008】及び【0014】の記載から、
「ベーア基板の画像情報と予め貯蔵された設計情報上のパッド座標情報を用いて基準データを生成することで、キャド情報(キャドデータ)を生成する必要をなくし、キャド情報(キャドデータ)を生成するための時間を節約することができること。」
という技術的思想が記載されているといえる。

イ しかしながら、ベーア基板を作製するためには、基板設計が終了している必要があり、本件特許に係る出願の優先日当時の技術常識からみて、基板設計はキャドを用いて行っていると認められることから、ベーア基板を作製する段階において、キャド情報は作成済みであるといえる。
そして、キャド情報は、回路、パターン、ホールパターンなどの配置情報といった基板の設計基準情報を含むものであるところ、「予め貯蔵された設計情報上のパッド座標情報」は、キャド情報の一部であると認められる。
してみると、キャド情報(キャドデータ)を生成することなく、キャド情報(キャドデータ)に含まれるパッド座標情報を用いて基準データを生成することは、技術的に矛盾する。

ウ 「基板検査の作業効率を低下させる」(段落【0005】)ことがなく、「作業効率性を顕著に高めることができる」(段落【0014】)ためには、「キャド情報の生成なしに」(段落【0006】)基準データを生成するのではなく、相当な処理時間を要する工程である「キャド情報から基準データを生成する」工程を行わないことが必要であり、生成した基準データが、キャド情報から生成される基準データ(当該基準データが「キャドデータ」と定義される。)を代替することができるものである必要があると認められる。
しかしながら、発明の詳細な説明の記載(特に、段落【0005】、【0006】、【0014】及び【0033】)は、上記の認定と整合しない。

エ したがって、本件特許の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1に記載された発明の特定事項である「キャドデータを代替することのできるデータである」「基準データ」を生成することができるように明確かつ十分に記載したものでない。

(2)「補償マトリックス」について

段落【0034】に「検査対象基板を検査の際、基板上で特徴客体を抽出して該当特徴客体の座標情報と前記基準データ上の特徴客体の座標情報を用いて補償マトリックスを生成することができる。続いて、生成された補償マトリックスを予め貯蔵された設計情報上のパッドの座標情報に適用して前記基板上での検査するパッドの座標情報を生成することができる。」と「基準データ上の特徴客体の座標情報を用いて補償マトリックスを生成する」ことが記載されているが、請求項1の「前記画像情報から抽出したパッド座標情報と予め貯蔵されている設計情報上のパッド座標情報を用いて補償マトリックスを生成する段階」及び「前記補償マトリックスを前記画像情報に適用して特徴客体の座標情報を含む基準データを生成する段階」との記載からは、基準データを生成する前に補償マトリックスを生成するものと認められることから、両者の記載が整合しない(請求項1に記載された「補償マトリックス」と、段落【0034】、【0036】及び【0037】に記載された「補償マトリックス」との関係(異同)が不明瞭である。)。

(3)以上のとおりであるから、本件特許の発明の詳細な説明の記載は、当業者が請求項1に記載された発明及び請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定される請求項2ないし7に記載された発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものでない。
よって、請求項1ないし7に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。

2 発明の詳細な説明の記載

本件訂正後の発明の詳細な説明の段落【0004】ないし【0014】及び【0033】の記載は、以下のとおりである(下線は当審で付加した。)。

【0004】
一般的に基板検査を遂行するために基準データを獲得する。前記基準データは基板に対する理論的な平面イメージであってもよい。前記基準データは前記基板に対する形状を記録したキャド(CAD)情報から獲得できる。前記キャド情報は前記基板の設計基準情報を含み、一般的にパッド、回路、パターン、ホールパターンなどに関する配置情報を含む。
【0005】
しかし、基板に対するキャド情報を生成するためには相当の処理時間が所要され、キャド情報生成の際エラーが発生する場合キャド情報生成作業を再度しなければならないのでキャド情報生成は基板検査の作業効率を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記技術的課題を解決するために、本発明はベーア基板に対する画像情報上のパッド座標情報と予め貯蔵された設計情報上のパッド座標情報を用いて補償マトリックスを生成し、前記補償マトリックスを前記ベーア基板に対する画像情報に適用して特徴客体の座標情報を含む基準データを生成することでパッドばかりでなく、回路、パターン、ホールパターン等に関する配置情報を含むキャド情報から基準データを生成することなしに基板検査のための基準データを生成する基準データ生成方法を提供することをその目的とする。
【0007】
本発明の目的は以上で言及したものに限られず、言及されていない他の目的は下記の記載から本発明が属する技術分野の通常の知識を有した者に明確に理解されるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための本発明の一特徴による基板検査のための基準データ生成方法はベーア基板をスキャンして前記ベーア基板に対する画像情報を獲得する段階と、前記画像情報から抽出したパッド座標情報と予め貯蔵されている設計情報上のパッド座標情報を用いて補償マトリックスを生成する段階と、前記補償マトリックスを前記画像情報に適用して特徴客体の座標情報を含む基準データを生成する段階と、を含む。
【0009】
前記基準データを生成する段階は、前記画像情報から特徴客体の座標情報を抽出する段階と、前記補償マトリックスを前記抽出された特徴客体の座標に適用して基準データを生成する段階を含んでいても良い。
【0010】
前記特徴客体は前記ベーア基板上のホールパターン、サークルパターンまたは曲がったパターンのコーナー部分のうち少なくとも一つであってもよい。
【0011】
前記基準データは、前記生成された補償マトリックスを前記実測画像情報に適用して生成したイメージ情報であってもよい。
【0012】
前記画像情報は、前記ベーア基板に対する2次元画像情報であってもよい。
【0013】
前記方法を遂行するためのコンピュータで駆動可能であるプログラムが貯蔵されてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の実施形態による基板検査のための基準データ生成方法及びそれを用いた基板検査方法によると、基板検査のために印刷回路基板に対するパッドばかりでなく、回路、パターン、ホールパターン等に関する配置情報を含むキャドデータから基準データを生成する必要なしに、前記キャドデータを代替することのできる基準データを生成することができるので基準データを生成するための時間を節約することができて作業効率性を顕著に高めることができる。
【0033】
パッドばかりでなく、回路、パターン、ホールパターン等に関する配置情報を含むキャド情報から基準データを生成する代わりに、前記において説明した本発明の一実施形態による特徴客体の座標情報を含む基準データを生成することで基板検査際の作業効率性を極大化させることができる。

3 当審の判断

(1)「前記基準データが、キャドデータを代替することのできるデータであること」について

ア 本件訂正により、段落【0006】の「キャド情報を生成することなしに」、段落【0014】の「キャドデータを生成する必要なしに」及び段落【0033】の「キャド情報を生成する代わりに」が、それぞれ「キャド情報から基準データを生成することなしに」、「キャドデータから基準データを生成する必要なしに」及び「キャド情報から基準データを生成する代わりに」と訂正されたことにより、キャド情報(キャドデータ)を生成することなく、キャド情報(キャドデータ)に含まれるパッド座標情報を用いて基準データを生成するという技術的矛盾は解消された。

イ 発明の詳細な説明の記載に、キャド情報(キャドデータ)を生成することなく基準データを生成する旨の記載が存在しないものとなったことから、請求項1に記載の「前記基準データが、キャドデータを代替することのできるデータであること」を、「前記基準データが、キャドデータの生成を不要とするデータであること」と解する余地は消滅した。

ウ そして、上記第2の2(1)イ(ウ)で検討したように、段落【0020】ないし【0032】に記載された発明の実施形態は、ベーア基板をスキャンして獲得した画像情報から各特徴客体の座標情報を抽出し、抽出された各特徴客体の座標に対して補償マトリックスを適用することにより、各特徴客体の設計情報上の位置情報に対応する座標情報を取得し、当該取得した座標情報により基準データを生成することを含むものであるから、「前記基準データが、キャドデータを代替することのできるデータであること」は、「前記基準データが、キャドデータに含まれる各特徴客体の位置情報と同等の座標情報を含むデータであること」と解するのが相当である。

エ してみると、本件特許の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明1ないし7の特定事項である「キャドデータを代替することのできるデータである」「基準データ」を生成することができるように明確かつ十分に記載したものでないとはいえない。

(2)「補償マトリックス」について

本件訂正により段落【0034】、【0036】及び【0037】が削除されたため、補償マトリックスを生成する段階に係る不整合は解消した。

(3)したがって、取消理由通知に記載した取消理由1(実施可能要件)によっては、本件請求項1ないし7に係る特許を取り消すことはできない。


第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について

1 申立人は、本件特許の特許請求の範囲及び明細書の発明の詳細な説明の記載には不備があり、本件特許の請求項1ないし7に係る特許は、特許法第36条第6項第1号及び第2号並びに同条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4項に該当し取り消されるべきものである旨主張する。

そして、申立人が主張する記載不備の理由は、以下のとおりである。

「(a)本件発明1においては、「D;前記基準データが、キャドデータを代替することのできるデータである」と規定されている。
ここで、キャド(=CAD)とは、「コンピュータを利用して機械・電気製品などの設計を行うこと。コンピュータとの会話形式で設計を行う。計算機支援設計。」(大辞林第613頁)とあるが、ここでは「キャドデータ」とあることから、いわゆるCADソフトを利用して作成した設計図のデータであると理解される。
一方、本件発明1では、「代替することのできるデータ」とあることから、その意図するところは、内容的にも形式的にも「キャドデータ」の代わりになるデータと理解することができる。そして、内容的にも形式的にも「キャドデータ」の代わりになるデータということであれば、「基準データ」は「キャドデータ」そのもの(つまり、「キャドデータ」=「基準データ」)と考えることができる筈であるが、発明の詳細な説明の、『前記基準データは前記基板に対する形状を記録したキャド(CAD)情報から獲得できる。』(【0004】)(つまり、「キャド(CAD)情報」≠「基準データ」)という記載と矛盾する。
そもそも、「キャドデータ」は、プリント基板を作成するために必要な設計データであることは周知の事実であるところ、ベーア基板が出来上がっている段階、つまり設計が完了し生産可能に至った状況下において、如何にして『キャドデータ生成のための時間を節約することができて作業効率性を顕著に高めることができる。』(【0014】)という効果が得られるのかが不明である。
また、仮に『キャドデータを代替することのできるデータ』が、内容的にも形式的にも「キャドデータ」の代わりになるデータ、つまり「キャドデータ」=「基準データ」というものではないとしたならば、いかなるデータを意味するのかが不明である。
本願は、『「基板検査のための基準データ」が、発明の詳細な説明に記載された「キャドデータを代替することのできる基準データ」のみを意味するのか、検査基板との比較対象となる、基板の変形分を含んだいわゆる参照データを含むのかが判然としない』という拒絶理由通知に対し、「D;前記基準データが、キャドデータを代替することのできるデータである」旨を限定することにより特許審決となっている。かかる経緯を勘案すると、当然当該構成要件が、発明の要部と考えることができるが、この要部の要件が不明確であるため、本件発明1が不明確となっている。
また、上述の指摘より、いわゆるサポート要件に違反しており、かつ、発明の詳細な説明が、当業者が請求項に係る発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるとはいえず、いわゆる実施可能要件にも違反している。
(b)「D;前記基準データが、キャドデータを代替することのできるデータである」に関し、「キャドデータ」=「キャド情報」と解することができる。
また、明細書には、「前記キャド情報は前記基板の設計基準情報を含む」【0004】、
「一般的にパッド、回路、パターン、ホールパターンなどに関する配置情報を含む。」【0004】
と記載されていることから、当然「パッド」座標情報も「キャドデータ」に含まれると解される。
一方、本件発明によれば、「基板検査のために印刷回路基板に対するキャドデータを生成する必要なしに、前記キャドデータを代替することのできる基準データを生成することができるのでキャドデータ生成のための時間を節約することができて作業効率性を顕著に高めることができる。」【0015】(当審注:「【0015】」は「【0014】」の誤記と認める。)とあるように、「キャドデータ」を用いずとも済む旨が明記されている。
しかしながら、【0027】を参照すると、「それから、制御部110は前記画像情報から抽出したパッド210の座標情報と予め貯蔵されている設計情報上のパッド座標情報を用いて補償マトリックスを生成する(S110)。」とある。
この点、「予め貯蔵されている設計情報上のパッド座標情報」は、上記【0004】の定義によれば、キャドデータ(=キャド情報)に含まれる筈であって両者は矛盾する。
このように、「キャドデータ」なる文言、および、「D;前記基準データが、キャドデータを代替することのできるデータである」という発明特定事項が不明確であり、結果として発明が不明確である。
また、この点に関し、サポート要件および実施可能要件を満たしているとは到底言えない。
(C)「基準データ」を生成する技術的意義について、明細書の【0034】を参照すると、「一方、前記において説明した本発明の一実施形態による基板検査のための基準データ生成方法によって生成された基準データを基板検査際に使用することができる。」と記載されている。かかる記載からは、本件発明1の「基準データ生成方法」によって生成された「基準データ」は、「基板検査」の際に用いられることが伺い知れる。
しかしながら、【0034】では、
i)「検査対象基板を検査の際、基板上で特徴客体を抽出して該当特徴客体の座標情報と前記基準データ上の特徴客体の座標情報を用いて補償マトリックスを生成することができる。」
ii)「続いて、生成された補償マトリックスを予め貯蔵された設計情報上のパッドの座標情報に適用して前記基板上での検査するパッドの座標情報を生成することができる。」
iii)「前記パッドの座標情報上の位置で基板検査を遂行することができる。」
とある。少なくとも「補償マトリックス」は、「基準データ」を生成する段階で既に生成されている筈であって、i)で再度生成する技術的意味が理解できない。そもそも、基板検査に際して実行されるi)?iii)の行為(処理)が理解できない。結果として、「基準データ」を生成する技術的意義が理解できず、本件発明1は甚だ不明確である。」

2 当審の判断

(1)申立人が主張する記載不備の理由(a)について

ア 申立人の主張は、本件発明の「前記基準データが、キャドデータを代替することのできるデータである」について、「基準データ」は内容的にも形式的にも「キャドデータ」の代わりになるデータと理解することができ、「基準データ」は「キャドデータ」そのもの(つまり、「キャドデータ」=「基準データ」)と考えることができる筈であることを前提としているが、「代替」とは、「他のもので代えること(広辞苑第六版)、「それに見合う他のもので代えること(デジタル大辞泉)」を意味する言葉であり、「キャドデータ」=「基準データ」とする前提において誤りである。

イ そして、本件発明における「前記基準データが、キャドデータを代替することのできるデータである」と、背景技術に係る段落【0004】の「基準データは前記基板に対する形状を記録したキャド(CAD)情報から獲得できる」とは、何ら矛盾するものではない。

ウ また、申立人の効果に係る主張の根拠となる段落【0014】の「キャドデータ生成のための時間を節約することができて作業効率性を顕著に高めることができる」との記載は、本件訂正により「基準データを生成するための時間を節約することができて作業効率性を顕著に高めることができる」と訂正されたことにより、申立人の当該主張は根拠のないものとなった。

エ そして、上記第4の3(1)で検討したとおり、「前記基準データが、キャドデータを代替することのできるデータであること」は、「前記基準データが、キャドデータに含まれる各特徴客体の位置情報と同等の座標情報を含むデータであること」と解するのが相当である。

オ したがって、申立人が主張する記載不備の理由(a)は採用できない。

(2)申立人が主張する記載不備の理由(b)について

ア 申立人の主張は、段落【0014】の記載から把握される「キャドデータを用いずともすむこと」は、補償マトリックスを生成する段階においてキャドデータに含まれるはずである「設計情報上のパッド座標情報を用い」ることと矛盾するというものである。

イ 本件発明が補償マトリックスを生成する段階において用いる設計情報上のパッド座標情報が、キャドデータに含まれるものであることは申立人の主張するとおりであるといえる。

ウ しかしながら、本件訂正後の段落【0014】に記載された「キャドデータから基準データを生成する必要なしに」は、実施形態に係る段落【0020】ないし【0032】において設計情報上のパッド座標情報を用いているものの、その他の回路、パターン及びホールパターンといった特徴客体についての設計情報上のパッド座標情報は用いていないことから理解されるように、キャドデータを全く使用しないことを意味する記載ではなく、背景技術として段落【0004】に記載された基準データをキャド(CAD)情報から獲得する方法、すなわち、基準データに含まれる各特徴客体の位置情報をキャド情報から取得する方法との対比としての記載であると解される。

エ そうすると、段落【0014】の記載が、本件発明が設計情報上のパッド座標情報を用いて補償マトリックスを生成することと矛盾するということはできない。

オ したがって、申立人が主張する記載不備の理由(b)は採用できない。

(3)申立人が主張する記載不備の理由(c)について

ア 申立人の主張の根拠となる段落【0034】は、本件訂正により削除された。

イ したがって、申立人が主張する記載不備の理由(c)は採用できない。

(4)小括

したがって、申立人の主張する取消理由によっては、本件請求項1ないし7に係る特許を取り消すことはできない。


第6 申立人の意見書による主張について

1 「(2-1)訂正事項2,3について;」の主張について

(1)申立人は、「ベーア基板に対する画像情報」は、「パッドばかりでなく、回路、パターン、ホールパターン等に関する配置情報を含む」はずであるから、「(ベーア基板に対する)画像情報から抽出したパッド座標情報」を用いることが、「基準データを生成するための時間を節約すること」に寄与するとは到底いえず、効果についての訂正事項2及び3は、新規事項を追加するものであり、また、「実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するもの」に該当し、訂正要件を満たさない旨主張する。

(2)当審の判断

ア 申立人の主張する内容は明確とはいえないが、ベーア基板を作製する段階で長時間を要するキャドデータの作成は終了しているから、本件発明の方法により基板検査のための基準データを生成しても、時間の節約にはならないという主張であると解される。

イ そこで検討するに、段落【0033】に「前記において説明した本発明の一実施形態による特徴客体の座標情報を含む基準データを生成することで基板検査際の作業効率性を極大化させることができる。」と記載されているように、「作業効率性を極大化させることができる」こと及び段落【0014】に記載の「時間を節約することができて作業効率性を顕著に高めることができる」ことは、「基板検査」の際におけるものであって、キャドデータの作成に要する時間をも考慮したものとは解されない。

ウ そして、段落【0033】の「前記において説明した本発明の一実施形態による特徴客体の座標情報を含む基準データを生成することで」との記載から、「基板検査際の作業効率性を極大化させることができる」とは、本件発明の基準データ生成方法は、従来の基準データ生成方法、すなわち、段落【0004】に記載されるキャド情報から基準データを獲得する方法と比較して作業効率が優れている旨の記載であると解される。

エ したがって、申立人の上記主張は採用できない。

2 「(2-2)訂正事項1,2,3について;」の主張について

(1)申立人の主張の概要は、以下のとおりである。

ア 本件訂正前の段落【0005】、【0006】及び【0014】に記載された従来技術の問題点、課題及び効果は、形式的にはつじつまが合っていたが、訂正事項1ないし3の訂正により、段落【0005】に記載の「キャド情報生成は基板検査の作業効率を低下させる」という問題は一連の記載と整合しておらず、また、当該問題を解決することは依然としてできていないから、訂正事項1ないし3は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものとはいえず、また、「実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するもの」に該当し、訂正要件を満たさない。

イ 段落【0005】は訂正されていないから、取消理由通知書の「(2)オ」(上記第4の1(1)ウ参照。)で指摘される発明の詳細な説明の記載における不整合は解消していない。

ウ 特許権者は本件特許の権利化の過程において「キャド情報を生成する必要がない」旨の主張を繰り返してきたにもかかわらず、「キャド情報から基準データを生成することなしに基板検査のための基準データを生成する」旨の訂正をすることは、禁反言の原則により許容されるべきではない。
また、当該訂正は「実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するもの」に該当するから、許容されるべきではない。

(2)当審の判断

ア 段落【0005】の記載は、申立人が主張するように他の段落の記載と整合しないように見えるが、そのことをもって直ちに、段落【0006】、【0014】及び【0033】に係る訂正事項1ないし3が、明瞭でない記載の釈明を目的とするものではないとはいえない。

イ 段落【0005】の記載は、「しかし、基板に対するキャド情報を生成するためには相当の処理時間が所要され、キャド情報生成の際エラーが発生する場合キャド情報生成作業を再度しなければならないのでキャド情報生成は基板検査の作業効率を低下させる。」というものであるが、キャド情報は基板作成のために生成するものであって、基板を検査する段階においてキャド情報は生成済みであるという技術常識からみて、「キャド情報生成は基板検査の作業効率を低下させる」とはいえないから、段落【0005】に記載された「キャド情報」は、通常の「キャド情報」とは異なる意味であると解するのが相当である。
そして、段落【0004】の「基準データは前記基板に対する形状を記録したキャド(CAD)情報から獲得できる。」という従来技術の記載と併せると、段落【0005】に記載の「キャド情報生成」は、段落【0004】に記載された従来技術であるキャド情報から基準データを獲得することを意味するものと解される。
したがって、段落【0005】の記載をもって、発明が解決しようとする課題、その解決手段及び発明の奏する効果の関係が整合しないとはいえない。

ウ また、「キャド情報から基準データを生成することなしに基板検査のための基準データを生成する」ことは、本件明細書等の記載から把握できることであるから、特許権者がその旨主張することを制限する理由はない。

エ したがって、申立人の上記主張は採用できない。

3 「(2-3)取消理由通知書の認定について;」の主張について

(1)申立人の主張の概要は、以下のとおりである。

ア 取消理由通知書の「(2)オ」(上記第4の1(1)ウ参照。)における認定のように、「キャド情報から生成される基準データ」=「キャドデータ」であるとすると、「基準データが、キャドデータを代替することのできるデータであること」の意味が、文言から普通に読み取れる「基準データ」が「キャド情報」の代用になるという意味から変更されることとなり、訂正事項1ないし3は「実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するもの」に該当し、訂正要件を満たさない。

イ 「基準データ」が、「キャド情報を代替することのできるデータである」というものではなく、「キャド情報から生成した基準データを代替することのできるデータである」の意味に変更された場合は、本件発明は拒絶査定において引用された引用文献から進歩性を有しない。

ウ 「キャドデータ」=「キャド情報」であるならば、取消理由通知の取消理由は解消していない。
また、「キャド情報から生成される基準データ」=「キャドデータ」であるならば、段落【0014】の記載は矛盾する。

(2)当審の判断

ア 特許権者は、「キャド情報から生成される基準データ」=「キャドデータ」であるという主張はしていない。
そして、上記第4の3(1)で検討したとおり、「前記基準データが、キャドデータを代替することのできるデータであること」は、「前記基準データが、キャドデータに含まれる各特徴客体の位置情報と同等の座標情報を含むデータであること」と解するのが相当であり、「キャドデータ」が「キャド情報」と異なる意味であると解すべき理由があるとはいえない。
また、当該解釈は、申立人が主張する文言から普通に読み取れる「基準データ」が「キャド情報」の代用になるという意味から変更されるものではない。

イ 本件訂正により「前記基準データが、キャドデータを代替することのできるデータであること」の内容が変更されるものではないから、進歩性に係る取消理由は本件訂正によらない新たな取消理由であり採用されない。
なお、拒絶査定において引用された引用文献が、ベーア基板に対する画像情報から生成された基板検査のための基準データであって、キャドデータを代替することのできる基準データを開示するものとは認められない。

エ したがって、申立人の上記主張は採用できない。


第7 むすび

以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び取消理由通知に記載した取消理由によっては、請求項1ないし7に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
基板検査のための基準データ生成方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板検査のための基準データ生成方法に関わり、より詳細には、ベーア基板の画像情報上のパッド座標情報と設計情報上のパッド座標情報を用いて補償マトリックスを生成し、それを前記画像情報に適用して基板検査のための基準データを生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電子装置内には少なくとも一つの印刷回路基板(printed circuit board;PCB)が具備され、このような印刷回路基板上には回路パターン、連結パッド部、前記連結パッド部と電気的に連結された駆動チップなど多様な回路素子が実装されている。
【0003】
一般的に、前記のような多様な回路素子が前記印刷回路基板にまともに形成または配置されているか確認するために形状測定装置が使用される。
【0004】
一般的に基板検査を遂行するために基準データを獲得する。前記基準データは基板に対する理論的な平面イメージであってもよい。前記基準データは前記基板に対する形状を記録したキャド(CAD)情報から獲得できる。前記キャド情報は前記基板の設計基準情報を含み、一般的にパッド、回路、パターン、ホールパターンなどに関する配置情報を含む。
【0005】
しかし、基板に対するキャド情報を生成するためには相当の処理時間が所要され、キャド情報生成の際エラーが発生する場合キャド情報生成作業を再度しなければならないのでキャド情報生成は基板検査の作業効率を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記技術的課題を解決するために、本発明はベーア基板に対する画像情報上のパッド座標情報と予め貯蔵された設計情報上のパッド座標情報を用いて補償マトリックスを生成し、前記補償マトリックスを前記ベーア基板に対する画像情報に適用して特徴客体の座標情報を含む基準データを生成することでパッドばかりでなく、回路、パターン、ホールパターン等に関する配置情報を含むキャド情報から基準データを生成することなしに基板検査のための基準データを生成する基準データ生成方法を提供することをその目的とする。
【0007】
本発明の目的は以上で言及したものに限られず、言及されていない他の目的は下記の記載から本発明が属する技術分野の通常の知識を有した者に明確に理解されるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための本発明の一特徴による基板検査のための基準データ生成方法はベーア基板をスキャンして前記ベーア基板に対する画像情報を獲得する段階と、前記画像情報から抽出したパッド座標情報と予め貯蔵されている設計情報上のパッド座標情報を用いて補償マトリックスを生成する段階と、前記補償マトリックスを前記画像情報に適用して特徴客体の座標情報を含む基準データを生成する段階と、を含む。
【0009】
前記基準データを生成する段階は、前記画像情報から特徴客体の座標情報を抽出する段階と、前記補償マトリックスを前記抽出された特徴客体の座標に適用して基準データを生成する段階を含んでいても良い。
【0010】
前記特徴客体は前記ベーア基板上のホールパターン、サークルパターンまたは曲がったパターンのコーナー部分のうち少なくとも一つであってもよい。
【0011】
前記基準データは、前記生成された補償マトリックスを前記実測画像情報に適用して生成したイメージ情報であってもよい。
【0012】
前記画像情報は、前記ベーア基板に対する2次元画像情報であってもよい。
【0013】
前記方法を遂行するためのコンピュータで駆動可能であるプログラムが貯蔵されてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の実施形態による基板検査のための基準データ生成方法及びそれを用いた基板検査方法によると、基板検査のために印刷回路基板に対するパッドばかりでなく、回路、パターン、ホールパターン等に関する配置情報を含むキャドデータから基準データを生成する必要なしに、前記キャドデータを代替することのできる基準データを生成することができるので基準データを生成するための時間を節約することができて作業効率性を顕著に高めることができる。
【0015】
本発明の効果は以上で言及したのに制限されなく、言及されていないさらに他の効果は下記の記載から本発明が属する技術分野の通常の知識を有した者に明確に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態による基板検査際の測定領域補償方法を遂行するための基板検査装置の構成図である。
【図2】本発明の一実施形態による基板検査のための基準データ生成方法の順序図である。
【図3】本発明の一実施形態による基板検査のための基準データ生成方法を説明するためのベーア基板の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の目的及び効果、それからそれを達成するための技術的な構成は添付される図面と共に詳細に後で説明される実施形態を参照すると明確になる。本発明を説明するにおいて公知機能または構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を不必要に濁すと判断される場合にはその詳細な説明を省略する。また、後で説明される用語は本発明での構造、役割及び機能などを考慮して定義された用語としてこれは使用者、運用者の意図または慣例などによって異なっても良い。
【0018】
しかし、本発明は以下で開示される実施形態に限定されるものでなく互いに異なる多様な形態に具現されてもよい。ただ、本実施形態は本発明の開示が完全であるようにし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有した者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるのであり、本発明は特許請求範囲に記載された請求項の範疇によって定義されるだけである。よって、その定義は本明細書全般に渡る内容に基づくべきである。
【0019】
明細書全体において、ある部分がある構成要素を“含む”とする時は、それは特別に反対される記載がない限り他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含めることを意味する。
【0020】
以下、図面を参照して本発明の好適な一実施形態をより詳細に説明する。
【0021】
図1は本発明の一実施形態による基板検査のための基準データ生成方法を遂行するための基板検査装置の構成図であり、図2は本発明の一実施形態による基板検査のための基準データ生成方法の順序図であり、図4は本発明の一実施形態による基板検査のための基準データ生成方法を説明するためのベーア基板の平面図である。
【0022】
前記図1を参照すると、基板検査装置100は基板検査装置100の作動を制御し各種機能を遂行するための演算を処理する制御部110、検査対象である基板を移送及び搭載して固定するステージ部120、前記ステージ部120に搭載された基板に対して検査を遂行するための測定部130、基板検査装置100を駆動するためのプログラム及びデータを貯蔵するメモリー部140、基板検査装置100の作動状態及び検査結果などを出力するためのディスプレイ部150及び使用者の命令の入力を受けるための使用者インタフェース部160などを含んでいても良い。
【0023】
図2及び図3を参照すると、まず、測定部130を通じてベーア基板200をスキャンして前記ベーア基板に対する画像情報を獲得する(S100)。
【0024】
ベーア基板200は図3に示されたように、鉛の塗布される前の基板で実際に鉛が塗布されるパッド領域210と鉛の塗布されていないホール220及びシルクのような特徴客体が形成された基板を意味する。
【0025】
前記特徴客体はベーア基板上に形成されたホールパターン、サークルパターンまたは曲がったパターンのコーナー部分のうち少なくとも一つであってもよい。
【0026】
この際、前記画像情報は前記ベーア基板200に対する2次元画像情報であってもよい。
【0027】
それから、制御部110は前記画像情報から抽出したパッド210の座標情報と予め貯蔵されている設計情報上のパッド座標情報を用いて補償マトリックスを生成する(S110)。
【0028】
この際、前記補償マトリックスはアフィン変換(affine transformation)行列または射影変換(projective transformation)行列のうち一つであっても良い。
【0029】
続いて、前記制御部110は前記補償マトリックスを前記画像情報に適用して特徴客体の座標情報を含む基準データを生成する(S120)。
【0030】
この際、基準データは特徴客体の座標情報で生成されるか特徴客体の座標情報を含むイメージ情報で生成されてもよい。
【0031】
例えば、前記画像情報から特徴客体の座標情報を抽出してから、前記補償マトリックスを前記抽出された特徴客体の座標に適用して基準データを生成することができる。この際は、特徴客体の座標情報が基準データとして生成される。
【0032】
一方、前記生成された補償マトリックスを前記ベーア基板に対する画像情報に適用して前記画像情報を補償して生成されたイメージが基準データとして生成されてもよい。
【0033】
パッドばかりでなく、回路、パターン、ホールパターン等に関する配置情報を含むキャド情報から基準データを生成する代わりに、前記において説明した本発明の一実施形態による特徴客体の座標情報を含む基準データを生成することで基板検査際の作業効率性を極大化させることができる。
【0034】
(削除)
【0035】
前記において説明した本発明の実施形態による基板検査のための基準データ生成方法は多様なコンピュータ手段を通じて遂行できるプログラム命令形態で具現されコンピュータ判読可能媒体に記録されてもよい。前記コンピュータ前記コンピュータ判読可能媒体はプログラム命令、データファイル、データ構造などを単独または組合して含んでいても良い。前記媒体に記録されるプログラム命令は本発明のために特別に設計され構成されたのであるかコンピュータソフトウェア、当業者に公知されて使用可能であってもよい。コンピュータ判読可能記録媒体の例にはハードディスク、フロッピーディスク及び磁気テープのような磁気媒体(magnetic media)、CD-ROM、DVDのような光記録媒体(optical media)、フロプティカルディスクのような磁気-光媒体(magneto-optical media)、及びロム(ROM)、ラム(RAM)、フレッシュメモリーなどのようなプログラム命令を貯蔵し遂行するように特別に構成されたハードウェア装置が含まれる。プログラム命令の例としてはコンパイラーによって作られるようなマシンコードだけではなくインタープリターなどを使用してコンピュータによって実行できる高級言語コードを含む。
【0036】
(削除)
【0037】
(削除)
【0038】
以上、本発明の実施形態によって詳細に説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の思想と精神を離れることなく、構成要素の付加、変更、削除または追加などによって本発明を修正または変更でき、それも本発明の権利範囲内に含まれる理解されるだろう。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-01-08 
出願番号 特願2016-542637(P2016-542637)
審決分類 P 1 651・ 536- YAA (G01N)
P 1 651・ 537- YAA (G01N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 越柴 洋哉  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 渡戸 正義
伊藤 幸仙
登録日 2019-10-18 
登録番号 特許第6603664号(P6603664)
権利者 コー・ヤング・テクノロジー・インコーポレーテッド
発明の名称 基板検査のための基準データ生成方法  
代理人 中島 淳  
代理人 加藤 和詳  
代理人 加藤 和詳  
代理人 中島 淳  

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