• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  B41J
審判 全部申し立て 判示事項別分類コード:857  B41J
審判 全部申し立て 2項進歩性  B41J
審判 全部申し立て 特許請求の範囲の実質的変更  B41J
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B41J
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  B41J
審判 全部申し立て ただし書き3号明りょうでない記載の釈明  B41J
管理番号 1372663
異議申立番号 異議2019-700676  
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-05-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-08-27 
確定日 2021-01-29 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6474684号発明「液体払拭装置及び液体払拭方法」の特許異議申立事件について,次のとおり決定する。 
結論 特許第6474684号の明細書,特許請求の範囲及び図面を訂正請求書に添付された訂正明細書,訂正特許請求の範囲(令和2年12月21日提出の手続補正書により補正されたもの)及び訂正図面のとおり,訂正後の請求項〔1ないし11〕について訂正することを認める。 特許第6474684号の請求項6及び7に係る特許を維持する。 特許第6474684号の請求項1ないし5,及び8ないし11に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6474684号の請求項1ないし11に係る特許(以下,「本件特許」という。)についての特許出願は,平成27年5月15日に出願されたものであって,平成31年2月8日に,その特許権について設定の登録がなされ,同年2月27日に特許掲載公報が発行された。
その後,特許異議申立人小林 勝(以下,「異議申立人」という。)により令和1年8月27日に,その請求項1ないし11に係る特許について,特許異議の申立てがされたものである。
そして,当審において,同年11月5日付けで取消理由通知がなされ,その指定期間内である令和2年1月6日に特許権者から訂正の請求及び意見書の提出がなされ,同月31日に上申書の提出がなされたが,同年3月13日付けで訂正拒絶理由が通知され,その指定期間内である同年4月15日に特許権者より意見書が提出され,その後さらに同年5月15日付けで取消理由通知(決定の予告)がされ,その指定期間内である同年7月20日付けで特許権者から訂正の請求(以下,「本件訂正請求」という。)及び意見書が提出され,同年9月14日付けで異議申立人より意見書の提出がされ,同年11月17日付けで訂正拒絶理由が通知され,その指定期内である同年12月21日付けで意見書及び訂正請求書についての手続補正書が提出されたものである。

第2 訂正の適否について
1 本件訂正請求の内容について
本件訂正請求は,令和2年7月20日付けで提出された訂正請求書及び同年12月21日付けで提出された手続補正書の記載からみて,その請求の趣旨を「特許第6474684号の明細書,特許請求の範囲,図面を,本件訂正請求書に添付した訂正明細書,特許請求の範囲, 図面のとおり,訂正後の請求項1?11について訂正することを求める。」とするものであり,その内容はつぎのとおりのである。
なお,本件訂正請求により,令和2年1月6日付けでされた訂正の請求は取り下げられたものとみなされる。また,本件特許の願書に添付された明細書,特許請求の範囲及び図面(特許掲載公報に記載されたものであって,本件訂正請求による訂正前のもの)について言及する際には,以下において,それぞれ,「本件特許明細書」,「本件特許請求の範囲」,「本件特許図面」という。

(1)訂正事項1
本件特許請求の範囲の請求項1を削除する。

(2)訂正事項2(訂正事項について付加した下線は,訂正箇所を示す。)
本件特許請求の範囲の請求項2を削除する。

(3)訂正事項3
本件特許請求の範囲の請求項5を削除する。

(4)訂正事項4
本件特許請求の範囲の請求項6の訂正前の請求項2ないし5を引用するものを,請求項2を引用するものについて,独立形式に改め,「液体吐出装置において液体を吐出する吐出部が設けられた吐出面に当接可能な面である吐出面払拭面を備え,弾性体からなる第1払拭部材と,前記第1払拭部材の吐出面払拭面に当接可能な面である第1払拭部材払拭面を備える第2払拭部材と,前記第1払拭部材と前記第2払拭部材とを相対移動可能にする移動手段と,前記第2払拭部材を保持する保持手段とを備え,前記移動手段は,前記第1払拭部材を移動して前記吐出面払拭面が前記吐出面上を摺動可能にすると共に,前記第1払拭部材及び前記第2払拭部材の少なくとも一方を移動して前記第1払拭部材払拭面と前記吐出面払拭面とが互いに摺動することを可能にし,前記保持手段は,前記第1払拭部材の前記吐出面払拭面を含む部分と前記第2払拭部材の前記第1払拭部材払拭面を含む部分とが少なくとも部分的にオーバーラップした状態で,前記第1払拭部材払拭面と前記吐出面払拭面とが互いに摺動する際に,前記第1払拭部材払拭面と水平面との間の角度が0度より大きく90度より小さい所定の角度となるように前記第2払拭部材を保持し,前記保持手段は,前記第2払拭部材を前記第1払拭部材払拭面が面する払拭方向及び該払拭方向の反対方向に回動可能に保持しており,前記保持手段は,前記所定の角度に保持された前記第2払拭部材を,前記第1払拭部材払拭面が前記払拭方向側において回動可能になるように保持し,かつ,前記第1払拭部材払拭面が前記反対方向側に回転不能になるように保持しており,弾性を有する供給管を有し,該供給管を介して前記第2払拭部材に洗浄液を供給可能な洗浄液供給手段を備え,前記供給管は,前記保持手段を前記反対方向に付勢していることを特徴とする液体払拭装置」に訂正する。
請求項6の記載を引用する請求項7も同様に訂正する。

(5)訂正事項5
本件特許請求の範囲の請求項8を削除する。

(6)訂正事項6
本件特許請求の範囲の請求項10を削除する。

(7)訂正事項7
本件特許明細書の段落【0032】において「【図10】本発明の実施の形態に係る液体払拭装置におけるワイパの変形例を示すためのワイパ機構の側面図である。【図11】本発明の実施の形態に係る液体払拭装置におけるワイパクリーナの変形例を示すためのワイパクリーニング機構の側面図である。【図12】本発明の実施の形態に係る液体払拭装置におけるワイパクリーナの他の変形例を示すためのワイパクリーニング機構の正面図である。」とあるのを「【図10】本発明の実施の形態に係る液体払拭装置におけるワイパの変形例を示すためのワイパ機構の側面図である。【図12】本発明の実施の形態に係る液体払拭装置におけるワイパクリーナの他の変形例を示すためのワイパクリーニング機構の正面図である。」に訂正する。

(8)訂正事項8
本件特許明細書の段落【0115】を削除する。

(9)訂正事項9
本件特許明細書の段落【0116】を削除する。

(10)訂正事項10
本件特許明細書の段落【0117】を削除する。

(11)訂正事項11
本件特許明細書の段落【0122】を削除する。

(12)訂正事項12
本件特許図面の【図11】を削除する。

なお,本件訂正請求における,訂正事項7ないし12の訂正に係る請求項が請求項1ないし11である旨明らかにしている。(令和2年12月21日付け手続補正書により補正された訂正請求書(3)ウ)

(13)訂正事項13
本件特許請求の範囲の請求項3を削除する。

(14)訂正事項14
本件特許請求の範囲の請求項4を削除する。

(15)訂正事項15
本件特許請求の範囲の請求項9を削除する。

(16)訂正事項16
本件特許請求の範囲の請求項11を削除する。

2 訂正の適否についての当審の判断
(1)訂正事項1ないし3,5,6及び13ないし16について
訂正事項1ないし3,5,6及び13ないし16は,上記1の(1)ないし(3),(5),(6)及び(13)ないし(16)のとおりであり,いずれも特許請求の範囲の請求項の記載を削除する訂正であるから,特許法第120条の5第2項ただし書第1号(以下,「第2」において,特許法については,法律名を略して表記する。)に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し,同条第9項で準用する第126条第5項及び第6項に規定に適合するものであることは明らかである。

(2)訂正事項4について
訂正事項4は,上記1の(4)のとおり,本件特許請求の範囲の請求項6の訂正前の請求項2ないし5を引用するものを,請求項2を引用するものについて,独立形式に改める訂正であるから,第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするもの,及び,同項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものに該当し,同条第9項で準用する第126条第5項及び第6項に規定に適合するものであることは明らかである。
なお,訂正事項4により請求項6を訂正することにより,当該請求項6を引用する請求項7も同様に訂正されるが,当該訂正が,第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し,同条第9項で準用する第126条第5項及び第6項に規定に適合するものであることは明らかである。
なお,請求項6及び7は,いずれも本件特許異議の申し立ての対象であるから,同条第9項で準用する第126条第7項に規定するいわゆる独立特許要件は課されない。

(3)訂正事項7ないし12について
ア 訂正事項7ないし11は,上記1の(7)ないし(11)のとおり,本件特許明細書の記載を訂正するものであるところ,図11に関連する記載を削除するものであり,訂正事項12は,図11を削除するものである。
これらの訂正は,図11の記載が特許請求の範囲の各請求項において特定されている事項との関係で不整合が生じている不備を,図11及び図11に関連する本件特許明細書の記載を削除することにより是正することを目的とするものであるから,訂正事項7ないし12は,第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当し,同条第9項で準用する第126条第5項及び第6項に規定に適合するものであることは明らかである。

イ 異議申立人の主張について
(ア)異議申立人は,訂正事項7ないし12は,図11に記載されていた変形例及び当該変形例を説明する記載を削除するものであるところ,係る訂正は特許請求の範囲の記載の「所定の角度」の解釈に影響を与え,その結果特許請求の範囲を拡張又は変更するものである旨主張する。
(イ)これについて検討するに,本件特許明細書の段落【0074】において「また,保持基体20は,図4(b)に示すように,ワイパクリーナ面18とワイパ面15とが対向して,ワイパクリーナ保持状態におけるワイパクリーナ面18と水平面pとの間のワイパクリーナ面角度αが初期角度α1(0°<α1<90°)となるように,液体払拭装置1において固定されている。」,同段落【0108】において,「上述のように,液体払拭装置1によれば,ワイパクリーナ16によるワイパ13の払拭の際に(ステップS3),ワイパクリーナ16はワイパクリーナ保持状態に保持され,ワイパクリーナ面18と水平面pとの間のワイパクリーナ面角度αが0度よりも大きく90度よりも小さい初期角度α1に保持されている(図8(b)参照)。つまり,ワイパクリーナ面18は上下方向において下方に面している。このため,ワイパクリーナ16によるワイパ13の払拭が終了して,ワイパ13とワイパクリーナ16との当接が解除される際に,当接解除の反動によってワイパクリーナ16から飛び散るインクの方向を下方に制限することができる。このため,従来のように,ワイパクリーナ16から側方若しくは上方に向かってインクが飛び散ることの防止を図ることができ,インクが飛び散る範囲を従来よりも小さくすることができる。」と記載されているように,請求項6において特定される「前記第1払拭部材払拭面と前記吐出面払拭面とが互いに摺動する際に,前記第1払拭部材払拭面と水平面との間の角度が0度より大きく90度より小さい所定の角度」が図6に記載のαのことであると解することができたものであるところ,訂正事項7ないし12に係る記載において,請求項において特定されている「前記第1払拭部材払拭面と水平面との間の角度」である「ワイパクリーナ面18と水平面pとの間の角度」である「所定の角度」が通常解される意味とは異なるものと解する余地のある記載を,当該記載を削除することにより,通常解される意味となるよう整合させたものというべきであるから,訂正事項7ないし12により特許請求の範囲を実質的に変更ないし拡張するものということはできない。

3 小括
上記のとおりであるから,本件訂正は,第120条の5第2項但し書き第1号,第3号及び第4号を目的とするものであり,同条第9項で準用する第126条第5項及び第6項の規定に適合するので,本件特許の明細書,特許請求の範囲及び図面を,本件訂正請求書に添付した訂正明細書,訂正特許請求の範囲(令和2年12月21日提出の手続補正書により補正されたもの), 訂正図面のとおり,訂正後の請求項[1?11]について訂正することを認める。

第3 本件特許発明について
上記第2のとおり,本件訂正請求による訂正は認められるので,本件特許異議の申立ての対象である本件特許の請求項1ないし11に係る発明は,つぎのとおりのものである。

「【請求項1】(削除)
【請求項2】(削除)
【請求項3】(削除)
【請求項4】(削除)
【請求項5】(削除)
【請求項6】
液体吐出装置において液体を吐出する吐出部が設けられた吐出面に当接可能な面である吐出面払拭面を備え,弾性体からなる第1払拭部材と,
前記第1払拭部材の吐出面払拭面に当接可能な面である第1払拭部材払拭面を備える第2払拭部材と,
前記第1払拭部材と前記第2払拭部材とを相対移動可能にする移動手段と,
前記第2払拭部材を保持する保持手段とを備え,
前記移動手段は,前記第1払拭部材を移動して前記吐出面払拭面が前記吐出面上を摺動可能にすると共に,前記第1払拭部材及び前記第2払拭部材の少なくとも一方を移動して前記第1払拭部材払拭面と前記吐出面払拭面とが互いに摺動することを可能にし,
前記保持手段は,前記第1払拭部材の前記吐出面払拭面を含む部分と前記第2払拭部材の前記第1払拭部材払拭面を含む部分とが少なくとも部分的にオーバーラップした状態で,前記第1払拭部材払拭面と前記吐出面払拭面とが互いに摺動する際に,前記第1払拭部材払拭面と水平面との間の角度が0度より大きく90度より小さい所定の角度となるように前記第2払拭部材を保持し,
前記保持手段は,前記第2払拭部材を前記第1払拭部材払拭面が面する払拭方向及び該払拭方向の反対方向に回動可能に保持しており,
前記保持手段は,前記所定の角度に保持された前記第2払拭部材を,前記第1払拭部材払拭面が前記払拭方向側において回動可能になるように保持し,かつ,前記第1払拭部材払拭面が前記反対方向側に回転不能になるように保持しており,
弾性を有する供給管を有し,該供給管を介して前記第2払拭部材に洗浄液を供給可能な洗浄液供給手段を備え,
前記供給管は,前記保持手段を前記反対方向に付勢していることを特徴とする液体払拭装置。
【請求項7】
前記第2払拭部材において,前記第1払拭部材払拭面は,前記第1払拭部材の前記吐出面払拭面に当接可能な一端から他端に延びる端部を備え,該端部は水平面に対して傾斜して延びていて,前記一端側が前記他端側よりも鉛直方向において高い位置となるように形成されており,
前記洗浄液供給手段は,鉛直方向上方から前記第2払拭部材の前記一端側に前記洗浄液を供給可能であることを特徴とする請求項6記載の液体払拭装置。
【請求項8】(削除)
【請求項9】(削除)
【請求項10】(削除)
【請求項11】(削除)


第4 特許異議申立理由及び取消理由(決定の予告)
1 特許異議申立て理由について
異議申立人は,本件特許異議の申立てにおいて,次の理由を主張している。
(第4における異議申立理由及び取消理由についての各請求項に係る発明は,いずれも訂正前の請求項に係る発明についてのものである。)
(1)本件特許の請求項1ないし4,及び8ないし10に係る発明は,甲1号証に記載された発明であるので特許法第29条第1項第3号に該当し,又は同号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるので同条第2項の規定により特許を受けることができないものであり,本件特許の請求項5に係る発明は,甲1号証に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって同2項の規定により特許を受けることができないものであるから,本件特許の請求項1ないし5,及び8ないし10に係る特許は,同条の規定に違反してされたものであって,同法第113条第1号該当するから,取り消されるべきものである。
(2)本件特許の請求項1ないし4,及び8ないし10に係る発明は,甲2号証に記載された発明であるので特許法第29条第1項第3号に該当し,又は同号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるので同条第2項の規定により特許を受けることができないものであり,本件特許の請求項5に係る発明は,甲2号証に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので同項の規定により特許を受けることができないものであるから,本件特許の請求項1ないし5,及び8ないし10に係る特許は,同条の規定に違反してされたものであって,同法第113条第1号該当するから,取り消されるべきものである。
(3)本件特許の請求項1及び8に係る発明は,甲3号証に記載された発明であるので,特許法第29条第1項第3号に該当し,又は同号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるので同条第2項の規定により特許を受けることができないものであり,本件特許の請求項2ないし5並びに9及び10に係る発明は,甲3号証に記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので同項の規定により特許を受けることができないものであるから,本件特許の請求項1ないし5,及び8ないし10に係る特許は,同条の規定に違反してされたものであって,同法第113条第1号該当するから,取り消されるべきものである。
(4)本件特許の請求項1及び8に係る発明は,甲4号証に記載された発明であるので,特許法第29条第1項第3号に該当し,又は同号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるので同条第2項の規定により特許を受けることができないものであり,本件特許の請求項2ないし5並びに9及び10に係る発明は,甲4号証に記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので同項の規定により特許を受けることができないものであるから,本件特許の請求項1ないし5,及び8ないし10に係る特許は,同条の規定に違反してされたものであって,同法第113条第1号該当するから,取り消されるべきものである。

(4)本件特許請求の範囲の請求項1ないし11の記載は,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから,本件特許の請求項1ないし11に係る特許は,同法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであって,同法第113条第4号に該当するから,取り消されるべきものである。

(5)証拠方法
甲1号証:特開平10-291324号公報
甲2号証:特開2005-138317号公報
甲3号証:特開2013-237207号公報
甲4号証:特開2013-188965号公報
甲5号証:特開2010-208268号公報
甲6号証:特開2011-56889号公報
甲7号証:特開2009-241366号公報

2 取消理由(決定の予告)の取消理由の概要
(1)取消理由1
本件特許の請求項1及び8に係る発明は,甲1号証,甲2号証,甲3号証又は甲4号証に記載された発明であり,本件特許の請求項2,9及び10に係る発明は,甲1号証又は甲2号証に記載された発明であり,本件特許の請求項3及び4に係る発明は,甲1号証に記載された発明であるので特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるから,本件特許の請求項1ないし4,及び8ないし10に係る特許は同条の規定に違反してされたものであって,同法第113条第1号に該当するから取り消されるべきものである。
(2)取消理由2
本件特許の請求項5に係る発明は,甲1号証に記載された発明及び周知技術に基づいて,又は甲2号証に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法第29条の規定により特許を受けることができないものであるから,本件特許の請求項5に係る特許は,同条の規定に違反してされたものであって,同法第113条第1号に該当するから取り消されるべきものである。
(3)取消理由3
本件特許請求の範囲の請求項1ないし11の記載は,特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから,本件特許の請求項1ないし11に係る特許は,同法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであって,同法第113条第4号に該当するから,取り消されるべきものである。
なお,取消理由3は,異議申立人の理由3と同じ理由である。

第5 当審の判断
異議申立人の理由1及び2並びに取消理由(決定の予告)の取消理由1及び2は,いずれも,本件特許の請求項1ないし5及び8ないし10に係る発明についてのものであるところ,本件訂正請求による訂正によって,本件特許の請求項1ないし5及び8ないし10に係る発明は,いずれも削除されたことから,当該請求項に係る特許異議の申立てはその対象が消滅したものである。
そして,異議申立人の理由3及び取消理由(決定の予告)の取消理由3は,本件特許の請求項1ないし11についてのものであるところ,本件訂正請求による訂正によって,本件特許の請求項1ないし5及び8ないし11に係る発明はいずれも削除されたことから,当該請求項に係る特許異議の申立てはその対象が消滅したものである。
そうすると,本件特許異議の申立てにおいて判断すべきものは,請求項6及び7についての異議申立理由3,すなわち,取消理由(決定の予告)の取消理由3であるので,以下検討する。

1 請求項6について
(1)請求項6には,「第1払拭部材払拭面」と「水平面との間の角度」が「0度より大きく90度より小さい所定の角度」となるように「第2払拭部材」を保持することが特定されている。
そして,本件訂正請求による訂正によって,ここでの,「第1払拭部材払拭面」と「水平面」との間の角度(以下,「角度α」という。)について,図11には,当該角度αが直線dであらわされる面が「第1払拭部材払拭面」となることを理解することができないにもかかわらず,それが角度αとして特定されており,段落【0117】にも「ワイパークリーナ面18と水平面pとの間のワイパークリーナ面角度αは,湾曲する縁部18aの先端における接平面である平面dと水平面pとの間の角度であり」と記載されていたものがいずれも削除されることとなった。
その結果,請求項6において特定されている「第1払拭部材払拭面」と「水平面との間の角度」は,本件図面の図6(b)や図8(b)においてαで示されている角度,段落段落【0074】において「また,保持基体20は,図4(b)に示すように,ワイパクリーナ面18とワイパ面15とが対向して,ワイパクリーナ保持状態におけるワイパクリーナ面18と水平面pとの間のワイパクリーナ面角度αが初期角度α1(0°<α1<90°)となるように,液体払拭装置1において固定されている。」,同段落【【0108】において,「上述のように,液体払拭装置1によれば,ワイパクリーナ16によるワイパ13の払拭の際に(ステップS3),ワイパクリーナ16はワイパクリーナ保持状態に保持され,ワイパクリーナ面18と水平面pとの間のワイパクリーナ面角度αが0度よりも大きく90度よりも小さい初期角度α1に保持されている(図8(b)参照)。つまり,ワイパクリーナ面18は上下方向において下方に面している。このため,ワイパクリーナ16によるワイパ13の払拭が終了して,ワイパ13とワイパクリーナ16との当接が解除される際に,当接解除の反動によってワイパクリーナ16から飛び散るインクの方向を下方に制限することができる。このため,従来のように,ワイパクリーナ16から側方若しくは上方に向かってインクが飛び散ることの防止を図ることができ,インクが飛び散る範囲を従来よりも小さくすることができる。」との記載と整合するものであり,そのように特定されるものであると解されるものであるから,明細書の記載を参酌することで,「第1払拭部材払拭面」と「水平面」との角度がどの角度を特定するものであるかは明確となったものというべきである。
(2)以上のとおりであるから,異議申立理由3すなわち取消理由3によっては,請求項6に係る発明が明確でないということはできない。
2 請求項7について
請求項6を引用する請求項7に係る発明についても同様に,明確でないということはできない。

3 小括
上記のとおりであるから,本件特許請求の範囲の請求項6及び7の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないということはできないから,本件特許の請求項6及び7に係る特許が,同法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであって,同法第113条第4号に該当し取り消されるべきものということはできない。

第5 むすび
以上検討したとおり,本件特許の請求項6及び7に係る特許については,異議申立人の主張する異議理由及び取消理由で通知した理由によっては取り消すことはできない。
また,他に本件特許の請求項6及び7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
本件特許の請求項1ないし5,及び8ないし11は,本件訂正の請求により削除され,これにより,請求項1ないし5,及び8ないし11に係る特許に対する異議申立人による特許異議の申立は,申立の対象が存在しないものとなったため,不適法な申立てであってその補正をすることができないものとなったから,特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下すべきものである。
よって,上記結論のとおり決定する。

 
発明の名称 (54)【発明の名称】
液体払拭装置及び液体払拭方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体払拭装置及び液体払拭方法に関し、特に、インクジェット記録装置において液体吐出装置に付着したインクを払拭する液体払拭装置及び液体払拭方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置においては、液体吐出装置の吐出面に形成された吐出口からインクが液滴として記録媒体に吐出され、記録媒体に画像が形成される。この画像形成の際に、吐出したインクの一部が液体吐出装置の吐出面に付着し、付着したインクが乾燥して増粘していき、ゲル状のインクとなってしまう場合がある。このため、液体吐出装置の吐出面にインクが付着したままであると、吐出口が詰まり、インクの吐出ができなくなったり、インクの吐出方向が変更されてしまうことがある。また、付着したインクが記録媒体上に滴下してしまうことがある。このように、液体吐出装置の吐出面にインクが付着すると、所望の画像形成がなされなくなってしまう場合がある。このため、インクジェット記録装置には、従来から、液体吐出装置の吐出面に付着したインクを払拭するための液体払拭装置が設けられている。
【0003】
従来の液体払拭装置は、ゴム等の弾性体から形成されたブレード状の第1払拭部材としてのワイパと第2払拭部材としてのワイパクリーナとを備え、ワイパは液体吐出装置の吐出面に付着したインクを払拭し、ワイパクリーナは、ワイパに付着したインクを払拭する。具体的には、ワイパは、その先端を液体吐出装置の吐出面に当接させながら吐出面全体に亘って移動し、吐出面に付着したインクをかき取って払拭する。ワイパクリーナは、その先端をワイパの先端に当接させながら移動し、ワイパと先端において互いに当接して、ワイパに付着したインクをかき取って払拭する。
【0004】
例えば、特許文献1には、ワイパの払拭の際、ワイパが直線状に移動し、ワイパクリーナが回転し、ワイパ及びワイパクリーナが互いに移動しながら接近して先端同士が当接して摺動し、ワイパに付着したインクがかき取られる技術が開示されている。このワイパクリーナは、ワイパに接触した後も回転し続け、スポンジ又は多孔質体で形成された吸収体に当接して停止する。吸収体はワイパクリーナに付着したインクを吸収し、ワイパクリーナからインクを取り除く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-241366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の従来の液体払拭装置においては、液体吐出装置の吐出面に付着したインクをワイパクリーナにより払拭して除去することはできるが、ワイパクリーナによるワイパの払拭は、ワイパが直線状に移動し、ワイパクリーナが上方に向かって回転移動し、互いに移動しながら接触することにより行われている。このとき、弾性体のワイパは、ワイパクリーナとの接触の際にワイパクリーナの移動方向と反対方向に移動しているため、ワイパの移動方向と反対方向に力を受ける。このため、ワイパとワイパクリーナが接触してから、その接触が解除されるまでに、ワイパは大きく変形する必要がある。つまり、従来の液体払拭装置においては、ワイパの変形量が大きくなる分、ワイパに残留したインクが飛び散りやすくなる場合があった。
【0007】
このように、従来の液体払拭装置においては、ワイパクリーナによる弾性体で形成されたワイパの払拭の際のインクの飛散の抑制が求められていた。
【0008】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、第2払拭部材による第1払拭部材の払拭の際に液体が飛散することを抑制することができる液体払拭装置及び液体払拭方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る液体払拭装置は、液体吐出装置において液体を吐出する吐出部が設けられた吐出面に当接可能な面である吐出面払拭面を備え、弾性体からなる第1払拭部材と、前記第1払拭部材の吐出面払拭面に当接可能な面である第1払拭部材払拭面を備える第2払拭部材と、前記第1払拭部材と前記第2払拭部材とを相対移動可能にする移動手段と、前記第2払拭部材を保持する保持手段とを備え、前記移動手段は、前記第1払拭部材を移動して前記吐出面払拭面が前記吐出面上を摺動可能にすると共に、前記第1払拭部材及び前記第2払拭部材の少なくとも一方を移動して前記第1払拭部材払拭面と前記吐出面払拭面とが互いに摺動することを可能にし、前記保持手段は、前記第1払拭部材の前記吐出面払拭面を含む部分と前記第2払拭部材の前記第1払拭部材払拭面を含む部分とが少なくとも部分的にオーバーラップした状態で、前記第1払拭部材払拭面と前記吐出面払拭面とが互いに摺動する際に、前記第1払拭部材払拭面と水平面との間の角度が0度より大きく90度より小さい所定の角度となるように前記第2払拭部材を保持することを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、第1払拭部材払拭面と吐出面払拭面が互いに摺動する際に、第1払拭部材払拭面と水平面との間の角度が0度より大きく90度より小さい所定の角度となるように第2払拭部材を保持することで、第1払拭部材と第2払拭部材との摺動時の移動の際に発生する抗力を低減することができる。このため、第1払拭部材払拭面と吐出面払拭面とが摺動する際に、第1払拭部材が大きく変形することを抑制でき、もって、液滴(液体)が飛散することを抑制することができる。
【0011】
本発明の一態様に係る液体払拭装置において、前記保持手段は、前記第2払拭部材を前記第1払拭部材払拭面が面する払拭方向及び該払拭方向の反対方向に回動可能に保持しており、前記保持手段は、前記所定の角度に保持された前記第2払拭部材を、前記第1払拭部材払拭面が前記払拭方向側において回動可能になるように保持し、かつ、前記第1払拭部材払拭面が前記反対方向側に回転不能になるように保持している。
【0012】
この構成によれば、吐出面払拭面と第1払拭部材払拭面とが互いに摺動する際は、保持部材によって第2払拭部材が所定の角度に保持され続けるので、吐出面払拭面と第1払拭部材払拭面とが互いに緊密に摺動することができる。また、第1払拭部材が吐出面払拭面の反対側に向かって第2払拭部材の第1払拭部材払拭面の反対側と当接する際は、第2払拭部材が回動するので、第2払拭部材が第1払拭部材のこの移動を妨げることを抑制することができる。
【0013】
本発明の一態様に係る液体払拭装置において、前記保持手段は、前記第2払拭部材を保持する第2払拭部材保持部材と、該第2払拭部材保持部材を前記払拭方向及び前記反対方向に回転軸線を中心に回動可能に保持する保持基体とを備え、前記第2払拭部材保持部材は前記反対方向に向かって前記保持基体に当接可能になっており、前記第2払拭部材保持部材と前記保持基体とが互いに当接することにより、前記第2払拭部材が前記所定の角度に保持される
【0014】
この構成によれば、機械的に第2払拭部材を所定の角度に保持することができるため、第2払拭部材に対する制御を必要とせず、簡単な構成で上記効果を奏することができる。
【0015】
本発明の一態様に係る液体払拭装置において、前記第2払拭部材が前記所定の角度に保持されている際の前記第2払拭部材と前記第2払拭部材保持部材との全体の重心は、前記回転軸線よりも鉛直方向において下方側に位置する。
【0016】
この構成によれば、第2払拭部材と第2払拭部材保持部材とにはこれらの自重により前記保持基体と当接する方向に回転力がかかるため、より簡単な構成で第2払拭部材を前記所定の角度に保持することができる。
【0017】
本発明の一態様に係る液体払拭装置において、前記第2払拭部材は弾性体からなる。
【0018】
この構成によれば、第1払拭部材と第2払拭部材とが共に弾性体となるため、オーバーラップ量を増やしたとしても、互いに摺動の際に変形可能なため、クリーニングする領域を十分に確保することが可能となる。また、第2払拭部材が弾性体となった場合、第1払拭部材からかき取った液滴が飛散しやすくなるが、1払拭部材払拭面と水平面との間の角度が0度より大きく90度より小さい所定の角度となるように保持されているため、摺動の際に変形した第2払拭部材が元の形状に戻ろうとして、形状変形の際に飛び散る液滴が下方に向かって飛び出すことになるため、液滴が上方や側方に飛散することを効果的に抑制することができる。
【0019】
本発明の一態様に係る液体払拭装置は、弾性を有する供給管を有し、該供給管を介して前記第2払拭部材に洗浄液を供給可能な洗浄液供給手段を備え、前記供給管は、前記保持手段を前記反対方向に付勢している。
【0020】
この構成によれば、洗浄液供給手段から洗浄液を供給することにより第2払拭部材を洗浄することができ、また、供給管の付勢により、回動した第2払拭部材を所定の角度の状態に戻すことができる。
【0021】
本発明の一態様に係る液体払拭装置においては、前記第2払拭部材において、前記第1払拭部材払拭面は、前記第1払拭部材の前記吐出面払拭面に当接可能な一端から他端に延びる端部を備え、該端部は水平面に対して傾斜して延びていて、前記一端側が前記他端側よりも鉛直方向において高い位置となるように形成されており、前記洗浄液供給手段は、鉛直方向上方から前記第2払拭部材の前記一端側に前記洗浄液を供給可能である。
【0022】
この構成によれば、効率よく洗浄液を第1払拭部材払拭面の端部の延び方向全体に供給することができる。
【0023】
上記目的を達成するために、本発明に係る液体払拭方法は、液体吐出装置において液体を吐出する吐出部が設けられた吐出面に当接可能な面である吐出面払拭面を備え、弾性体からなる第1払拭部材と、前記第1払拭部材の吐出面払拭面に当接可能な面である第1払拭部材払拭面を備える第2払拭部材とを備える液体払拭装置の液体払拭方法であって、前記第1払拭部材を移動して前記吐出面払拭面に前記吐出面上を摺動させて前記吐出面から液体を払拭する吐出面払拭ステップと、前記第1払拭部材及び前記第2払拭部材の少なくとも一方を移動して前記第1払拭部材払拭面と前記吐出面払拭面とを互いに摺動させて前記第1払拭部材から液体を払拭する第1払拭部材払拭ステップとを備え、前記第1払拭部材払拭ステップにおいて、前記第1払拭部材の前記吐出面払拭面を含む部分と前記第2払拭部材の前記第1払拭部材払拭面を含む部分とが少なくとも部分的にオーバーラップした状態で、前記第1払拭部材払拭面と前記吐出面払拭面とが互いに摺動する際に、前記第1払拭部材払拭面と水平面との間の角度が0度より大きく90度より小さい所定の角度となるように前記第2払拭部材を保持することを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、第1払拭部材払拭面と吐出面払拭面が互いに摺動する際に、第1払拭部材払拭面と水平面との間の角度が0度より大きく90度より小さい所定の角度となるように第2払拭部材を保持することで、第1払拭部材と第2払拭部材との摺動時の移動の際に発生する抗力を低減することができる。このため、第1払拭部材払拭面と吐出面払拭面とが摺動する際に、第1払拭部材が大きく変形することを抑制でき、もって、液滴(液体)が飛散することを抑制することができる。
【0025】
本発明の一態様に係る液体払拭方法においては、前記第1払拭部材払拭ステップにおいて前記第2払拭部材によって払拭された前記第1払拭部材を移動する第1払拭部材戻しステップを備え、前記第1払拭部材払拭ステップにおいて、前記第1払拭部材を開始位置から終了位置まで移動し、前記開始位置と前記終了位置との間において、前記第2払拭部材の前記第1払拭部材払拭面に前記第1払拭部材の前記吐出面払拭面上を摺動させ、前記第1払拭部材戻しステップにおいて、前記第1払拭部材を前記終了位置から前記開始位置へ移動し、前記第1払拭部材が前記第2払拭部材に接触している際に、前記第2払拭部材が前記第1払拭部材の移動方向に回動する。
【0026】
この構成によれば、第1払拭部材払拭ステップにおいては、吐出面払拭面と第1払拭部材払拭面とが互いに緊密に摺動するようにできる。また、第1払拭部材戻しステップにおいては、第2払拭部材が第1払拭部材の移動方向に回動するので、第2払拭部材が第1払拭部材の移動を妨げることを抑制することができる。
【0027】
本発明の一態様に係る液体払拭方法においては、前記第1払拭部材戻しステップにおいて、接触している前記第1払拭部材と前記第2払拭部材とが解離すると、前記第2払拭部材が前記第1払拭部材の移動方向とは反対方向に回動して、前記第1払拭部材払拭ステップにおける前記保持位置に戻り該保持位置に保持される。
【0028】
この構成によれば、第1払拭部材戻しステップの後に、吐出面払拭面と第1払拭部材払拭面とを互いに摺動可能な状態に戻すことができる。
【0029】
本発明の一態様に係る液体払拭方法は、前記第2払拭部材に洗浄液を供給する洗浄液供給ステップを備え、前記洗浄液供給ステップにおいて、前記第1払拭部材払拭面が備える前記第1払拭部材の前記吐出面払拭面に当接可能な一端から他端に延びる端部において、前記一端から前記他端に向かって前記洗浄液を供給する。
【0030】
この構成によれば、洗浄液によって洗浄された第2払拭部材によって第1払拭部材を払拭することができ、第1払拭部材からの液体の払拭性能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る液体払拭装置及び液体払拭方法によれば、第2払拭部材による第1払拭部材の払拭の際に液体が飛散することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の形態に係る液体払拭装置が取り付けられているインクジェット記録装置の概略構成を示すための図である。
【図2】図1に示すインクジェット記録装置における印刷部の概略構成を示すための図である。
【図3】図2に示す印刷部におけるキャリッジを下方から見たキャリッジの斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る液体払拭装置の概略構成を示すための図であり、図4(a)は、液体払拭装置の斜視図であり、図4(b)は、液体払拭装置の側面図である。
【図5】図4に示す液体払拭装置におけるワイパ機構の概略構成を示すための図である。
【図6】図4に示す液体払拭装置におけるワイパクリーニング機構の概略構成を示すための図であり、図6(a)はワイパクリーニング機構の斜視図であり、図6(b)はワイパクリーニング機構の側面図である。
【図7】図6に示すワイパクリーニング機構のより具体的な形態を示すための図であり、図7(a)は、背面から見たワイパクリーニング機構の斜視図であり、図7(b)は、正面から見たワイパクリーニング機構の斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る液体払拭装置の作動を説明するための図であり、図8(a)は、ワイパが記録ヘッドのノズル面を払拭している様子を示すための図であり、図8(b)は、ワイパクリーナがワイパを払拭している様子を示すための図であり、図8(c)は、ワイパが払拭方向とは反対方向側からワイパクリーナに当接している様子を示すための図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る液体払拭装置が実行する払拭処理のフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態に係る液体払拭装置におけるワイパの変形例を示すためのワイパ機構の側面図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る液体払拭装置におけるワイパクリーナの他の変形例を示すためのワイパクリーニング機構の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0034】
本発明の実施の形態に係る液体払拭装置1は、インクジェット記録装置2に取り付けられている。図1は、本発明の実施の形態に係る液体払拭装置1が取り付けられているインクジェット記録装置2の概略構成を示すための図である。以下、説明の便宜上、主走査方向と主走査方向に交差する副走査方向とに交差する方向を上下方向とし、図1における上側を上方、図1における下側を下方とする。また、図1における右側を右方向、左側を左方向とする。また、本実施の形態においては、主走査方向は左右方向と一致し、主走査方向と副走査方向と上下方向とは互いに直交している。
【0035】
インクジェット記録装置2は、図1に示すように、筐体3と、紙や布、塩化ビニルやポリエステル等からなる樹脂シート等の記録媒体Mへの画像形成を行うための印刷部30と、筐体3の下部に設けられている記録媒体Mを副走査方向(図1において紙面垂直方向)に搬送する搬送部40とを備えている。また、インクジェット記録装置2は、印刷部30に供給されるインクを貯留するインクタンク4を少なくとも1つ備え、インクタンク4内のインクは、図示しないインク供給装置によって印刷部30に供給可能になっている。また、インクジェット記録装置2は、インクジェット記録装置2の各作動部を制御する制御部50を備えている。なお、インクタンク4は、例えば、使用されるインクの種類に応じた数だけ設けられる。
【0036】
印刷部30は、筐体3内に配設されており、図2に示すように、インクタンク4から供給されるインクを記録媒体Mに向けて吐出する液体吐出装置としての記録ヘッド31と、記録ヘッド31を保持するキャリッジ34と、記録ヘッド31のメンテナンス機構としての吸引装置37とを備えている。なお、図2は、記録ヘッド31のメンテナンス(保守)を行うメンテナンスステーションにおける印刷部30を示している。
【0037】
記録ヘッド31は、図3に示すように、平面状の端面である吐出面としてのノズル面32が形成されている端部31aを有しており、端部31aには、インクを吐出するための図示しないノズルが一定の間隔で複数形成されており、ノズル面32にはノズルの吐出口33が開口している。
【0038】
キャリッジ34は、図2,3に示すように、平板状の部分である記録ヘッド保持部35を備え、記録ヘッド保持部35には、記録ヘッド31のノズル面32に対応した形状の開口35aが形成されている。キャリッジ34は、記録ヘッド31の端部31aが記録ヘッド保持部35の開口35aに挿入されて、ノズル面32が記録ヘッド保持部35の後述するように記録媒体Mに面する側の表面(下面35b)と面一になるように、若しくは表面から突出するように、記録ヘッド31を保持している。
【0039】
また、キャリッジ34は、図2に示すように、記録ヘッド保持部35から延びるガイドレール係合部36を備えており、ガイドレール係合部36は、筐体3に設けられた主走査方向(図1において左右方向)に延びるガイドレール5に沿って移動可能にガイドレール5に係合している。インクジェット記録装置2において、キャリッジ34は、下面35b、つまり記録ヘッド31のノズル面32が搬送部40によって搬送される記録媒体Mと対向するように、ガイドレール5に係合している。
【0040】
また、印刷部30は、図示しないキャリッジ移動装置を有しており、キャリッジ34は、キャリッジ移動装置が駆動されることにより、ガイドレール5に沿って主走査方向に往復移動可能になっている。キャリッジ移動装置は、例えば、無端ベルトが張架されたプーリをモータによって回動させることにより、キャリッジ34をガイドレール5に沿って往復移動可能にする。また、キャリッジ34は、画像を形成する際は、記録媒体Mに対向する領域において移動し、画像を形成しないときは、記録媒体Mに対向しない位置であるメンテナンスステーションにおける待機位置に位置する。待機位置は、例えば、筐体3において右側端部近傍である(図1参照)。
【0041】
印刷部30は、記録ヘッド31を少なくとも1つ有しており、例えば、インクタンク4の数、即ちインクの種類に対応した数の記録ヘッド31を有している。本実施の形態においては、例えば、ブラック、イエロー、マゼンダ、及びシアンのインクを夫々貯留する4つのインクタンク4が設けられており、各インクタンク4に夫々接続されて各色のインクを夫々吐出する4つの記録ヘッド31が設けられている。
【0042】
使用されるインクの色は、上述のブラック、イエロー、マゼンダ、シアン等の通常色や、これら通常色の淡色、オレンジ、グリーン、ホワイト、メタリック、又はクリア等の色等、様々な色である。また、インクとしては種々のインクを利用することができ、例えば、UV(紫外線)の照射によって硬化するUVインク、水性昇華転写インク等の水性インク、または、ソルベントインク等の溶剤系インクを用いることができる。
【0043】
吸引装置37は、図2に示すように、筐体3におけるキャリッジ34の待機位置において、ガイドレール5の下方に配設されており、キャップ本体部38と、記録ヘッド31と同数のキャップ39と、図示しないインク排出管と、図示しない吸引ポンプとを有している。キャップ39は、記録ヘッド31のノズル面32に対応した形状を呈しており、例えば、弾性変形可能な樹脂材料を用いて、ノズル面32に被覆可能な形状に形成されている。吸引装置37は、具体的には、記録ヘッド31に対応して4つのキャップ39を有している。各キャップ39は、キャップ本体部38に保持されており、具体的には、待機位置に位置するキャリッジ34の下方において、各記録ヘッド31のノズル面32に夫々対向する位置に保持されている。キャップ本体部38は、キャップ39を上下方向に移動可能になっており、キャップ39が上方に移動されると、キャップ39は対応する記録ヘッド31のノズル面32を収容して覆うことができる。
【0044】
図示しない吸引ポンプは、各キャップ39が上方に移動されて夫々対応する各ノズル面32を覆うことによりキャップ39とノズル面32との間に形成された空間に負圧を形成して、記録ヘッド31のノズル内のインクを吸引することができるようになっている。図示しないインク排出管は、吸引ポンプによって吸引されたインクを図示しない廃インクタンクに排出可能になっている。
【0045】
このように、吸引装置37は、キャリッジ34が待機位置に位置する状態において、キャップ39を介して記録ヘッド31のノズル内に残存するインクを吸引して排出するインク排出処理を実行することができる。また、吸気装置37は、キャリッジ34が待機位置に位置するときは、各キャップ39により各ノズル面32を夫々覆うようにしてもよい。
【0046】
制御部50は、筐体3に配設された操作パネル51と、制御装置52とを備え、制御装置52は、印刷部30や搬送部40、他のインクジェット記録装置2の各部と電気的に接続されており、操作パネル51からの入力信号に応じて、インクジェット記録装置2の各部の作動を制御し、記録媒体Mへの画像形成処理やインク排出処理、後述する印刷部30のメンテナンス処理等を実行する。制御装置52は、具体的にはマイクロコンピュータであり、CPU、RAM、ROM、入力ポート、及び出力ポートを備えている。
【0047】
なお、インクジェット記録装置2の上述の各構成要素は公知の構成を有しており、更なる詳細な説明は省略する。また、インクジェット記録装置2は、搬送部40を備えるものとしたが、インクジェット記録装置2は、搬送部40を備えないものであってもよい。この場合、インクジェット記録装置2は、記録ヘッド31のノズル面32に対向して記録媒体Mが載置可能な載置台を有しており、また、印刷部30の記録ヘッド31を保持するキャリッジ34が、主走査方向に加えて副走査方向に移動可能となっている。
【0048】
インクジェット記録装置2においては、操作者が操作パネル51を介して画像形成処理の実行を指示すると、搬送部40が副走査方向に(後方から前方に)記録媒体Mを適宜搬送し、印刷部30がキャリッジ34を主走査方向において往復移動させて、記録ヘッド31からインクを適宜吐出して、記録媒体M上に所望の画像を形成する。また、操作者が操作パネル51を介してインク排出処理の実行を指示すると、待機位置に位置するキャリッジ34に向かって吸引装置37のキャップ39が移動し、キャップ39が記録ヘッド31のノズル面32を覆って、図示しない吸引ポンプによってノズル内に残存するインクが吸引されて排出される。
【0049】
また、インクジェット記録装置2には、本発明の実施の形態に係る液体払拭装置1が設けられており、液体払拭装置1は、図2に示すように、筐体3内のメンテナンスステーションにおけるキャリッジ34の待機位置近傍において、ガイドレール5の下方に配設されている。液体払拭装置1は、メンテナンス処理を行い、具体的には、記録ヘッド31のノズル面32の払拭処理(クリーニング処理)を行う。
【0050】
次いで、本発明の実施の形態に係る液体払拭装置1について詳細に説明する。図4は、本発明の実施の形態に係る液体払拭装置1の概略構成を示すための図であり、図4(a)は、液体払拭装置1の斜視図であり、図4(b)は、液体払拭装置1の側面図である。
【0051】
液体払拭装置1は、図4(a),(b)に示すように、記録ヘッド31のノズル面32に付着したインクを払拭するためのワイパ機構10と、ワイパ機構10に付着したインクを払拭するためのワイパクリーニング機構11と、ワイパ機構10を移動可能にする移動手段としてのワイパ移動機構12とを備えている。
【0052】
図5は、図4(a),(b)に示す液体払拭装置1におけるワイパ機構10の概略構成を示すための図である。図5に示すように、ワイパ機構10は、第1払拭部材としてのワイパ13と、ワイパ13を保持しているワイパ保持部14とを備えている。
【0053】
ワイパ13は、図5に示すように、矩形又は略矩形の薄い平板状のブレード状の部材であり、記録ヘッド31のノズル面32に当接可能な面である吐出面払拭面としてのワイパ面15が形成されている。ワイパ13は、一つの端部側においてワイパ保持部14に保持されている。例えば、ワイパ13は、上記一つの端部側がワイパ保持部14に埋め込まれてワイパ保持部14に保持されている。ワイパ面15は、ワイパ13のワイパ保持部14に保持された端部に対向する自由端である先端13a側において、記録ヘッド31のノズル面32に当接するように形成された縁部15aを備えている。ワイパ面15は、後述するように、インクジェット記録装置2において、上下方向に延びて、副走査方向に面する面となっている。
【0054】
また、ワイパ13の先端13aの延び方向の幅w1(図5参照)は、記録ヘッド31のノズル面32の主走査方向の幅w2(図3参照)以上の大きさになっている。より具体的には、ワイパ13の幅w1は、ノズル面32の幅w2よりも所定の幅だけ大きくなっており、副走査方向に向かう姿勢でワイパ13を先端13aにおいてノズル面32に当接させた際に、1つのノズル面32のみを覆い(横切り)、隣接するノズル面32を覆わない大きさとなっている。なお、ワイパ13の幅w1は、複数のノズル面32を覆う大きさであってもよい。また、ワイパ13の幅w1は、ノズル面32のうち一部のみを覆う大きさであってもよいが、上述のようにワイパ13の幅w1を、ノズル面32の幅w2よりも所定の幅だけ大きくすることで、ノズル面32の全体を略均一に払拭することが可能であるため好ましい。
【0055】
また、図5に示すように、ワイパ保持部14は、ワイパ13のワイパ面15の面する方向に延びてワイパ保持部14を貫通する一対の貫通孔であるガイド孔14aを備えている。ガイド孔14aには、後述するワイパ移動機構12が備えるガイドシャフトが挿通される。なお、ワイパ保持部14は、ガイド孔14aの代わりに、ワイパ保持部14のワイパ13の先端13aの延び方向における両端に、ワイパ移動機構12が備えるガイドシャフトが挿通又は係合されてワイパ保持部14をにガイドシャフトにより移動可能に支持するための支持部14bを有していてもよい。
【0056】
ワイパ13は、弾性を有しており柔軟性があり、縁部15aが摺動することによりインクの除去が可能となる強度を有しており、記録ヘッド31のノズル面32に損傷を与えることがなく、酸性又はアルカリ性等の溶剤に対して耐性を有する等の特性を有する材料から形成されることが好ましい。ワイパ13の材料としては、例えば、プロピレン等の樹脂材料や、EPDM等のゴム材料を用いることができる。
【0057】
図6は、図4に示す液体払拭装置1におけるワイパクリーニング機構11の概略構成を示すための図であり、図6(a)は、ワイパクリーニング機構11の斜視図であり、図6(b)は、ワイパクリーニング機構11の側面図である。ワイパクリーニング機構11は、第2払拭部材としてのワイパクリーナ16と、ワイパクリーナ16を保持する保持手段としてのワイパクリーナ保持機構17とを備えている。
【0058】
ワイパクリーナ16は、図6(a),(b)に示すように、矩形又は略矩形の薄い平板状のブレード状の部材であり、ワイパ13のワイパ面15に当接可能な面である第1払拭部材払拭面としてのワイパクリーナ面18が形成されている。ワイパクリーナ16は、一つの端部側においてワイパクリーナ保持機構17に保持されている。ワイパクリーナ面18は、ワイパクリーナ16のワイパクリーナ保持機構17に保持された端部の反対側の自由端である先端16b側において、ワイパ13のワイパ面15に、特にワイパ面15の縁部15aに当接するように形成された縁部18aを備えている。
【0059】
ワイパクリーナ16は、上述のワイパ13と同様に、弾性を有しており柔軟性があり、縁部18aが摺動することによりインクの除去が可能となる強度を有しており、ワイパ13のワイパ面15に損傷を与えることがなく、酸性又はアルカリ性等の溶剤に対して耐性を有する等の特性を有する材料から形成されることが好ましい。ワイパクリーナ16の材料としては、例えば、プロピレン等の樹脂材料や、EPDM等のゴム材料を用いることができる。なお、ワイパクリーナ16は必ずしも弾性を有している必要はなく、ワイパ13に損傷を与えることがなく、ワイパ13のインクの除去が可能な材質であればよく、例えば、洗浄液を含浸可能な繊維を有する含浸部材が表面に形成されていてもよい。含浸部材としては、例えば、布や紙から構成されるウエスを用いてもよい。なお、弾性を有するワイパクリーナ16はワイパ13と同一として、ワイパ13と互換性を持たせてもよい。
【0060】
ワイパクリーナ保持機構17は、後述するように、ワイパクリーナ16がワイパ13上を摺動する際に、ワイパ13のワイパ面15と水平面との間の角度(ワイパクリーナ面角度α)が0度より大きく90度より小さい角度となるようにワイパクリーナ16を保持している。具体的には、ワイパクリーナ保持機構17は、図6(a),(b)に示すように、上記一つの端部側においてワイパクリーナ16を保持する第2払拭部材保持部材としてのワイパクリーナ保持部材19と、ワイパクリーナ保持部材19をワイパクリーナ16のワイパクリーナ面18が面する方向(以下、払拭方向ともいう。)及びこの払拭方向とは反対方向に回転軸線xを中心に回動可能に保持する保持基体20とを備えている。ワイパクリーナ保持機構17において、ワイパクリーナ保持部材19と保持基体20とは互いに対向している。
【0061】
保持基体20は、図6(a),(b)に示すように、例えば平板状の保持基体本体21と、回転軸線x方向に延びる回転軸22とを備えている。保持基体本体21は、ワイパクリーナ保持部材19に面する側から立設されたフランジであるフランジ21aを一対備えており、一対のフランジ21aは、回転軸22を保持している。また、保持基体本体21は、ワイパクリーナ保持部材19に面する側に、後述するワイパクリーナ保持部材19の突出部が当接する一対の当接面21bを有している。
【0062】
ワイパクリーナ保持部材19は、図6(a),(b)に示すように、回転軸22を介して回転軸線xを中心として回動可能に保持基体20に保持されており、例えば、保持基体20に面する側から立設されたフランジであるフランジ19aを一対備えており、フランジ19aが回転軸22に回動可能に支持されている。また、ワイパクリーナ保持部材19は、保持基体20に面する側から保持基体20に向かって突出する突出部19bをフランジ19aよりもワイパクリーナ16側に有している。突出部19bは、保持基体本体21側の端部である当接端19cが、保持基体20の保持基体本体21の当接面21bに当接可能となっており、本実施の形態においては、一対の当接面21bに対応して一対の突出部19bがワイパクリーナ保持部材19に形成されており、各突出部19bの当接端19cが、夫々対応する各当接面21bに当接可能になっている。なお、回転軸22は、ワイパクリーナ保持部材19のフランジ19aに固定され、保持基体本体21のフランジ21aが回転軸22に回動可能に支持されていてもよい。
【0063】
ワイパクリーナ保持機構17は、インクジェット記録装置2において、ワイパクリーナ16が下方に向かって鉛直方向から保持基体20側に傾斜した状態で、ワイパクリーナ保持部材19の突出部19bの当接端19cが保持基体20の当接面21bに当接するように、フランジ19a,21aや回転軸22、当接面21b、突出部19b等の構成の形状や大きさ、サイズ等が設定されている。
【0064】
具体的には、図6(b)に示すように、ワイパクリーナ保持部材19の突出部19bの当接端19cが保持基体20の当接面21bに当接した状態において、ワイパクリーナ16は、回転軸22の下方において、水平面pに対して、ワイパクリーナ面18が所定の角度だけ保持基体20側に傾斜した姿勢となるようになっている。ワイパクリーナ面18と水平面pとの間のワイパクリーナ面角度αは、0度より大きく90度よりも小さい所定の角度(以下、初期角度α1ともいう。)であり、例えばワイパクリーナ16が弾性変形していない状態において70度である。ここで、水平面pは、仮想の水平面であり、インクジェット記録装置2の使用状態における水平面である。この水平面pは、ワイパ13の軌跡が形成する移動平面と一致する。ワイパクリーナ面角度αは、使用状態におけるインクジェット装置2に対する水平面pを基準としている。
【0065】
また、ワイパクリーナ保持部材19の突出部19bが保持基体20の当接面21bに当接した際に、ワイパクリーナ面18と水平面pとの間のワイパクリーナ面角度αが0度より大きく90度よりも小さい所定の初期角度α1となる姿勢にワイパクリーニング機構11が保持された状態(以下、ワイパクリーニング機構取付姿勢ともいう。)において、ワイパクリーナ保持部材19の突出部19bが保持基体20の当接面21bに当接した状態(以下、ワイパクリーナ保持状態ともいう。)に保持されるようになっている。具体的には、後述する払拭処理においてワイパクリーナ16が回転軸線xを中心に回動(揺動)する範囲において、ワイパクリーナ16及びワイパクリーナ保持部材19の集合体に対して、ワイパクリーナ16を保持基体20に近づける回転方向(図6(b)の矢印R方向)に回転させる力が発生するようになっている。より具体的には、ワイパクリーング機構取付姿勢において、ワイパクリーナ16とワイパクリーナ保持部材19との全体の重心は、水平方向において回転軸22(回転軸線x)よりも保持基体20から離れる方向側に位置するようになっている。この構成により、上記ワイパクリーニング機構取付姿勢において、ワイパクリーナ16とワイパクリーナ保持部材19には、払拭方向とは反対方向に回転させる力(図6(b)の矢印R方向)が発生し、突出部19bが当接面21bに当接した状態(ワイパクリーナ保持状態)が維持され、ワイパクリーナ面18が水平面pに対して初期角度α1となる状態が維持される。なお、本実施の形態においては、ワイパクリーナ16とワイパクリーナ保持部材19との全体の重心は、回転軸22よりも鉛直方向において下方に位置している。また、ワイパクリーナ保持状態の維持は、上述の重心の設定に加えて、後述する洗浄液供給部23の供給管の弾性力によってなされる。なお、洗浄液供給部23の供給管の弾性力のみによって、ワイパクリーナ保持状態の維持がなされていてもよい。
【0066】
上述のように、ワイパクリーニング機構取付姿勢にあるワイパクリーニング機構11において、ワイパクリーナ16は、ワイパクリーナ面18と水平面pとの間のワイパクリーナ面角度αが初期角度α1よりも小さくなってワイパクリーナ保持状態から払拭方向とは反対方向に向かって回動することができず、一方、ワイパクリーナ保持状態から払拭方向に向かって回動可能になっている。
【0067】
また、ワイパクリーナ16は、図6(b)に示すように、ワイパクリーナ保持状態において、先端16a側が少なくとも部分的に保持基体本体21よりも下方に突出しており、後述するように、液体払拭装置1においてワイパ13がワイパクリーナ16よりも払拭方向とは反対方向側に移動可能になっている。
【0068】
ワイパ移動機構12は、図4(a),(b)に示すように、一対のガイドシャフト24と、一対のリンク機構25と、リンク機構25を駆動するためのリンク駆動部26とを備えている。
【0069】
液体払拭装置1において、一対のガイドシャフト24は、図4(a),(b)に示すように、ワイパ機構10のワイパ保持部14に形成された一対のガイド孔14aに夫々挿通されて、図示しない保持部材によって互いに平行に保持されている。ワイパ保持部14は、ガイド孔14aにおいて、ガイドシャフト24上を摺動可能になっており、ガイドシャフト24に沿って移動可能になっている。これにより、ワイパ13は、ワイパ面15が面する方向がガイドシャフト24の延び方向と平行な状態で、ガイドシャフト24に沿って移動可能になっている。なお、上述のように、ガイドシャフト24は、ワイパ保持部14の端部に形成された支持部14bを移動可能に保持するように設けられていてもよい。
【0070】
リンク機構25は、リンク駆動部26により駆動されて、ワイパ機構10をガイドシャフト24に沿って往復移動可能にする構成を有しており、各リンク機構25は、例えば、図4(a),(b)に示すように、長尺の平板状の第1リンク27と第2リンク28とを備えている。第1リンク27は、その一端である端部27aにおいて、リンク駆動部26にリンク駆動部26からの動力が伝達可能に接続されており、また、その他端である端部27bにおいて、第2リンク28の一端である端部28aに互いに回動可能に接続されている。また、第2リンク28は、その他端である端部28bにおいて、ワイパ機構10に接続されている。第2リンク28は、例えば、端部28bにおいて、ワイパ保持部14の側部に回動可能に軸支されている。一対のリンク機構25は、夫々、一対のガイドシャフト24に沿って配設されている。各リンク機構25は、第1リンク27が揺動することにより、第2リンク28が第1リンク27と反対方向に揺動して、展開又は折畳み(伸び縮み)可能になっている。各リンク機構25が展開され、又は折畳まれることにより、ワイパ機構10がガイドシャフト24に沿って往復運動される。
【0071】
リンク駆動部26は、各リンク機構25を展開及び折畳み可能にする図示しない駆動部を有している。リンク駆動部26は、駆動部として、例えば、図示しないモータ、プーリやギヤ等を有しており、モータの駆動力をプーリやギヤ等を介して第1リンク27に伝達し、第1リンク27を端部27aを中心として揺動させる。
【0072】
このように、液体払拭装置1においては、リンク駆動部26に電気が供給され、図示しないモータが駆動されることにより、リンク機構25が展開又は折畳まれて、ワイパ機構10がガイドシャフト24に沿って往復運動される。この際、ワイパ13は、ワイパ面15がガイドシャフト24の延び方向に面するように保持されて、往復運動する。
【0073】
液体払拭装置1において、ワイパクリーニング機構11は、ワイパクリーナ16のワイパクリーナ面18が、ワイパ13のワイパ面15側に向くように、また、ワイパクリーナ16が回動可能に、つまりワイパクリーナ保持部材19がガイドシャフト24やリンク機構25等の他の構成と干渉しないように取り付けられている。具体的には、図4(a),(b)に示すように、ワイパクリーニング機構11は、ワイパ機構10とリンク駆動部26との間に配設されており、ワイパクリーナ保持機構17の保持基体20が液体払拭装置1において、図示しない保持部材によって保持されている。
【0074】
また、保持基体20は、図4(b)に示すように、ワイパクリーナ面18とワイパ面15とが対向して、ワイパクリーナ保持状態におけるワイパクリーナ面18と水平面pとの間のワイパクリーナ面角度αが初期角度α1(0°<α1<90°)となるように、液体払拭装置1において固定されている。また、各ガイドシャフト24の軸線を含む仮想平面である平面qからワイパ13の先端13aまでの距離(距離h1)は、平面qからワイパクリーナ保持状態におけるワイパクリーナ16の先端16aまでの距離(距離h2)よりも、所定の距離(距離△h)長くなっている(オーバーラップしている)。これにより、ワイパ13がガイドシャフト24に沿って移動された際に、ワイパ面15の縁部15aが、ワイパクリーナ面18の縁部18aに当接するようになっている。
【0075】
また、液体払拭装置1は、図4(b)に示すように、ワイパクリーナ16に洗浄液を供給する洗浄液供給手段としての洗浄液供給部23を備えている。洗浄液供給部23は、インクジェット記録装置2において、例えばワイパクリーナ16の上方に配設されており、弾性を有する供給管23aと、図示しない溶剤カートリッジとを有している。洗浄液供給部23は、溶剤カートリッジの開閉バルブ等の開閉部を開閉することにより溶剤カートリッジから供給管23aを介してワイパクリーナ面18へ溶剤を供給可能になっている。なお、洗浄液供給部23は、溶剤をワイパクリーナ16の全面に供給可能になっていてもよい。
【0076】
洗浄液供給部23の供給管23aの一端は図示しない溶剤カートリッジに接続しており、供給管23aの他端である供給端23bは、図6(a),(b)に示すように、ワイパクリーニング機構11のワイパクリーナ保持部材19に取り付けられている。供給管23aの供給端23bは、具体的には、ワイパクリーナ保持部材19のワイパクリーナ面18側に設けられたフランジ19dの開口19eに挿入されてワイパクリーナ保持部材19に取り付けられている。フランジ19dは、ワイパクリーナ16の先端16aの延び方向と平行に延びており、フランジ19dの延び方向に複数の開口19eが等間隔に設けられている。これにより、供給管23aのワイパクリーナ保持部材19への取り付け及び取り外しが容易になっており、また、取り付け位置、つまり溶剤のワイパクリーナ16への供給位置を容易に選択及び設定できるようになっている。
【0077】
また、洗浄液供給部23の供給管23aは、図6(b)に示すように、供給端23b側において、ワイパクリーナ16が払拭方向とは反対方向(矢印R方向)に回転する方向にワイパクリーナ保持部材19を弾性力によって付勢するように取り付けられている。このため、上述のように、供給管23aによっても、ワイパクリーナ16が払拭方向に回転した場合に、ワイパクリーナ16がワイパクリーナ保持状態に戻るようになっている。
【0078】
洗浄液供給部23からワイパクリーナ16へ溶剤が供給されることにより、ワイパクリーナ16を洗浄することができると共に湿潤状態に維持することができる。また、洗浄液供給部23は、ワイパクリーナ16の上方から溶剤を供給するので、供給された溶剤は、ワイパクリーナ面18を上から下へと伝わっていく。このため、後述するようにワイパ13の払拭によりワイパクリーナ面18に付着したインクを溶剤により洗い流すことができ、ワイパクリーナ16を清潔な状態に保つことができ、ワイパ13に付着したインクの払拭に最適な状態に保つことができる。溶剤としては、インクの種類に対応して種々の溶剤を用いることができる。
【0079】
図7は、ワイパクリーニング機構11のより具体的な形態を示すための図であり、図7(a)は、背面から見たワイパクリーニング機構11の斜視図であり、図7(b)は、正面から見たワイパクリーニング機構11の斜視図である。図7(a),(b)に示すように、ワイパクリーナ保持部材19は、ワイパクリーナ16が取り付けられた基体19Aと、この基体19Aを部分的に覆うように保持する枠体19Bから成るものであってもよい。枠体19Bには、フランジ19a,19d、突出部19b、当接端19c、開口19eが形成されており、基体19Aは、枠体19Bに取り外し可能に取り付けられている。枠体19Bにおいて、フランジ19aと突出部19bとは一体に形成されており、フランジ19aの端部が当接端19cとなっている。また、基体19Aには、フランジ19dの開口19eの近傍に、フランジ19d側からワイパクリーナ16側へ延びる、枠体19Bと対向する側から凹む溝であるガイド溝19fが形成されている。液体払拭装置1においては、洗浄液供給部23の供給管23aが枠体19Bのフランジ19dの開口19eに挿通され、供給管23aの供給端23bがガイド溝19fの近傍に位置決めされる(図7(a)参照)。このため、供給管23aを介して供給される溶剤は、供給端23bから基体19Aのガイド溝19fに供給され、ガイド溝19fを通ってワイパクリーナ面18に導かれる。
【0080】
また、図7(a),(b)に示すように、保持基体20は、フレーム状に形成されていてもよく、保持基体本体21には、液体払拭装置1においてワイパクリーニング機構11を固定するためのフランジ21cが形成されている。また、保持基体本体21は、図7(a)に示すように、回動軸22に面する部分が空間となっており、ワイパクリーナ保持部材19が回動してこの空間内に進入可能になっている。このため、ワイパクリーナ保持部材19を回転して、ワイパクリーナ16を払拭方向に回転させて、ワイパクリーナ16が上方に延びる姿勢にすることができる。これにより、ワイパクリーナ16が上方に延びる姿勢でワイパクリーナ16のメンテナンス作業を行うことができ、ワイパクリーナ16のメンテナンス作業を容易にすることができる。また、ワイパクリーナ16の交換を容易にすることができる。
【0081】
液体払拭装置1は、上述の構成を有しており、リンク駆動部26によりリンク機構25が駆動されることによりワイパ13がガイドシャフト24に沿って開始位置と終了位置との間を往復移動され、ワイパ面15の縁部15aがワイパクリーナ面18の縁部18aに当接及び摺動可能になっている。上記ワイパ13の開始位置は、ワイパ13が払拭方向側にワイパクリーナ16から最も離れた位置であり、また、ワイパ13の終了位置は、ワイパ13が払拭方向とは反対方向側にワイパクリーナ16から最も離れた位置である。ワイパ13は、ワイパ面15がワイパクリーナ面18に当接した状態から更に払拭方向とは反対方向側に移動されることにより、弾性変形して、ワイパクリーナ16を超えて更に払拭方向とは反対方向側に所定の距離移動した終了位置まで移動して停止する。ワイパクリーナ16は、払拭方向とは反対方向側に移動するワイパ13と当接する際には、ワイパクリーナ保持状態に保持されて、払拭方向とは反対方向に回動することはない。
【0082】
また、ワイパ13が終了位置から開始位置に向かって払拭方向側にリンク機構25を介してリンク駆動部26により移動されると、ワイパ13は、ワイパ面15とは反対側の面において、ワイパクリーナ16のワイパクリーナ面18とは反対側の面と当接する。ワイパクリーナ16はワイパクリーナ保持状態から払拭方向には回動可能であるので、ワイパ13がワイパ面15とは反対側の面においてワイパクリーナ16のワイパクリーナ面18とは反対側の面に当接すると、ワイパ13の払拭方向側への移動と共に、ワイパクリーナ16は払拭方向に回転する。ワイパ13が更に移動されるとワイパ13とワイパクリーナ16との当接が解除されて、ワイパクリーナ16は払拭方向とは反対方向側に回転してワイパクリーナ保持状態に戻る。ワイパ13が開始位置に達するとワイパ13は停止する。
【0083】
液体払拭装置1は、図2に示すように、インクジェット記録装置2の印刷ユニット30のメンテナンスステーションにおいて、ガイドシャフト24がガイドレール5の下方において副走査方向に延びるように配設されている。このため、インクジェット記録装置2において、ワイパ13のワイパ面15は、副走査方向に面している。インクジェット記録装置2において、ワイパ13の開始位置は、吸引装置37の近傍において、キャリッジ34の軌道よりも副走査方向において下流側(記憶媒体Mの送り方向側)となるようになっている。また、インクジェット記録装置2において、ワイパ13の終了位置は、副走査方向においてガイドレール5よりも上流側となるように、同様にワイパクリーニング機構11は、副走査方向においてガイドレール5よりも上流側となるようになっている。また、ワイパ13の先端13aが、ワイパ13の軌道上に記録ヘッド31が位置する状態において、この記録ヘッド31のノズル面32に当接可能となるように、インクジェット記録装置2において液体払拭装置1は上下方向において位置決めされている。また、ワイパ面15の延び方向d2が上下方向を向くようになっている。
【0084】
次いで、上述の構成を有する液体払拭装置1の作動について説明する。図8は、液体払拭装置1の作動を説明するための図であり、図8(a)は、ワイパ13が記録ヘッド31のノズル面32を払拭している様子を示すための図であり、図8(b)は、ワイパクリーナ16がワイパ13を払拭している様子を示すための図であり、図8(c)は、ワイパ13が払拭方向とは反対方向側からワイパクリーナ16に当接している様子を示すための図である。
【0085】
液体払拭装置1が作動していない状態(作動直前)においては、ワイパ機構10は、開始位置に位置している。リンク駆動部26が駆動されてリンク機構25の第1リンク27を下方に揺動することにより、第2リンク28の端部28aが下方に移動してリンク機構25は折畳まれていき、第2リンク28の端部28bに引っ張られて、ワイパ機構10はガイドシャフト24に沿って開始位置から終了位置に向かって払拭方向とは反対方向側に移動(以下、往動ともいう。)する。
【0086】
ワイパ機構10の軌道上に記録ヘッド31のノズル面32が位置するようにキャリッジ34が移動されていると、ワイパ機構10の往動により、ワイパ13が副走査方向において下流から上流にノズル面32に当接して摺動する。より具体的には、ワイパ面15が、縁部15aにおいてノズル面32に当接して摺動する。この摺動により、ワイパ13はノズル面32に付着したインクをノズル面32から払拭する。上述のように、ワイパ13の幅w1は1つのノズル面32を横切る大きさであるので、一回の往動においては1つの記録ヘッド31のノズル面32のみがワイパ13によって払拭可能である。
【0087】
また、この際、ワイパ13の弾性により、ワイパ13は往動方向とは反対方向に弾性変形し、この弾性変形による弾性力がワイパ面15の縁部15aをノズル面32に向かって付勢する。この弾性力による付勢により、ワイパ面15の縁部15aは、全体がノズル面32に当接し、また、付勢されて当接するので、ノズル面32に追従し、ノズル面32に付着したインクを効果的に払拭できる。
【0088】
ワイパ13が往動を続け、ワイパ13のノズル面32を副走査方向に摺動していきノズル面32との当接が解除されると、ノズル面32の払拭が終了する。ワイパ13が更に往動すると、図8(b)に示すように、ワイパ13はワイパクリーナ16に当接し、ワイパクリーナ16はワイパ13の払拭(クリーニング)を行う。ワイパクリーナ16は、ワイパクリーナ面18の縁部18aにおいて、ワイパ面15の縁部15aに当接して摺動し、ノズル面32の払拭によって付着したインクをワイパ面15から払拭する。
【0089】
上述のように、ワイパクリーナ16は、ワイパクリーナ保持状態に保持されており、上下方向に対するワイパクリーナ面18と水平面pと間のワイパクリーナ面角度αは初期角度α1に保持されている。従って、ワイパクリーナ16がワイパ13を摺動する際は、往動するワイパ13は、ワイパクリーナ面角度αが0度より大きく90度より小さい初期角度α1に保持されているワイパクリーナ16に当接していくことになる。また、ワイパクリーナ16がワイパ13を摺動している時は、ワイパクリーナ保持部材19の突出部19bは保持基体20の当接面21bに当接し続けるので、ワイパ面15とワイパクリーナ面18とが互いに摺動している際に、ワイパクリーナ面角度αが0度より大きく90度より小さい初期角度α1に保持されている。このため、この摺動時において、ワイパ面15とワイパクリーナ面18との間に発生する抗力が低減され、摺動時にワイパ13が大きく変形することを抑制することができる。ワイパ13とワイパクリーナ16との当接が解除された際も、ワイパクリーナ面角度αは、0度よりも大きく90度よりも小さい上記初期角度α1となっている。
【0090】
ワイパ13が更に往動して、ワイパ13とワイパクリーナ16との当接が解除されると、ワイパクリーナ16によるワイパ13の払拭が終了する。ワイパ13とワイパクリーナ16との当接が解除される際、当接により弾性変形していたワイパクリーナ16が元の形状に戻り、この反動により、ワイパ13から払拭されたインクがワイパクリーナ面18から飛び散る。上述のように、ワイパ13とワイパクリーナ16との当接が解除された際の、ワイパクリーナ面18と水平面pとの間のワイパクリーナ面角度αは、0度よりも大きく90度よりも小さい初期角度α1を維持しており、ワイパクリーナ面18は上下方向において下方に面しているので、当接解除の反動によって、ワイパクリーナ面18からインクは下方に向かって飛び散る。このため、従来のように、ワイパクリーナ面18から側方若しくは上方に向かってインクが飛び散ることはなく、インクの飛び散り範囲を従来よりも小さくすることができる。このように、ワイパクリーナ16によるワイパ13の払拭の際の液体の飛散範囲を抑制することができる。ワイパ13が更に往動され、終了位置に達すると、リンク駆動部26は停止される。
【0091】
また、リンク駆動部26が駆動されてリンク機構25の第1リンク27を上方に回転することにより、第2リンク28の端部28aが上方に移動してリンク機構25は展開されていき、第2リンク28の端部28bに引っ張られて、ワイパ機構10はガイドシャフト24に沿って終了位置から開始位置に向かって払拭方向側に移動(以下、復動ともいう。)する。
【0092】
ワイパ13が終了位置から復動していくと、ワイパ13は、ワイパ面15とは反対側の面において、ワイパクリーナ16のワイパクリーナ面18とは反対側の面と当接する。ワイパ13が更に復動していくと、図8(c)に示すように、ワイパ13に押されながらワイパクリーナ16はワイパクリーナ保持状態から払拭方向に回動していく。この際、上述のように、洗浄液供給部23の供給管23aは、ワイパクリーナ16を払拭方向の回転に抗するようにワイパクリーナ保持部材19を付勢しているので、ワイパ13に押されてワイパクリーナ16が勢いよく回転することが抑制されている。ワイパ13が更に復動されていくと、ワイパ13とワイパクリーナ16との当接が解除されて、ワイパクリーナ16は払拭方向とは反対方向に回動して、ワイパクリーナ保持部材19の突出部19bが保持基体20の当接面21bに当接し、ワイパクリーナ16の回動が停止され、ワイパクリーナ16は再びワイパクリーナ保持状態となる。
【0093】
更に、ワイパ13が復動すると、ワイパ13は開始位置に達し、リンク駆動部26の駆動が停止して、ワイパ13が開始位置に停止する。このワイパ13の復動の前に、キャリッジ34は待機位置に戻されて、ノズル面32がワイパ13の軌道から離間されている。これにより、ワイパ13の復動の際に、ワイパ13がワイパ面15の反対側の面でノズル面32上を摺動することがなく、ワイパ13のワイパ面15の反対側の面にインクが付着することの防止が図れる。
【0094】
次いで、液体払拭装置1の実行するノズル面32の払拭処理について説明する。液体払拭装置1は、操作パネル51を介してノズル面32の払拭処理の指示があると、または、定期的な払拭処理の設定に応じて、制御装置52により各部の作動が制御されて払拭処理を実行する。図8は、液体払拭装置1が実行する払拭処理のフローチャートである。
【0095】
払拭処理が開始されると、先ず、リンク駆動部26が起動され、リンク機構25が駆動されて、開始位置に位置しているワイパ機構10が往動を開始し、ワイパ13が往動を開始する(ステップS1)。ワイパ13の往動により、ワイパ面15はワイパクリーナ面18に面しながらワイパクリーナ面18に近づいていく。ワイパ機構10が往動し続け、ワイパ面15の縁部15aが記録ヘッド31のノズル面32に副走査線上において下流側から当接するとワイパ13によるノズル面32の払拭が開始する(ステップS2)。ステップS2において、ワイパ機構10が往動し続け、ワイパ面15の縁部15aがノズル面32上を摺動してノズル面32に付着したインクをノズル面32から払拭していき(図8(a)参照)、ワイパ面15の縁部15aがノズル面32を超えるとワイパ13によるノズル面32の払拭が終了する。なお、ステップS2において払拭されるノズル面32は、ワイパ13による払拭の開始の前に、キャリッジ34が駆動されて、ワイパ13の軌道上に移動されている任意の1つの記録ヘッド31のノズル面32である。ノズル面32は、ワイパ13によるノズル面32の払拭(ステップS2)の開始の前であればいずれのタイミングでワイパ13の軌道上に移動されてもよい。例えば、ノズル面32は、払拭処理の開始に応じてワイパ13の軌道上に移動されてもよく、また、払拭処理の開始前からワイパ13の軌道上に移動されてもよい。
【0096】
ワイパ13が往動し続け、ワイパ面15の縁部15aがワイパクリーナ面18の縁部18aに当接すると、ワイパクリーナ16によるワイパ13の払拭(クリーニング)が開始する(ステップS3)。このステップS3におけるワイパクリーナ16によるワイパ13の払拭の際は、上述のように、ワイパ13は、ワイパクリーナ保持状態に保持されているワイパクリーナ16に当接していく。つまり、ワイパ13が当接するワイパクリーナ16は、ワイパクリーナ保持部材19の突出部19bが保持基体20の当接面21bに当接しており、ワイパクリーナ面18が水平面pから初期角度α1だけ傾いた姿勢に保持されている(図8(b)参照)。
【0097】
ステップS3においてワイパ機構10が往動し続け、ワイパクリーナ面18の縁部18aがワイパ面15上を摺動してワイパ面15に付着したインクをワイパ面15から払拭していき、ワイパクリーナ面18の縁部18aがワイパ面15を超えるとワイパクリーナ16によるワイパ13の払拭が終了する。ワイパクリーナ16によるワイパ13の払拭が終了して、ワイパ13とワイパクリーナ16との当接が解除される際、当接によって弾性変形していたワイパクリーナ16の先端16a近傍が元の状態に戻り、この反動により、ワイパ13から払拭されたインクがワイパクリーナ面18から飛び散る。上述のように、ワイパ13とワイパクリーナ16との当接が解除された際、ワイパクリーナ面18と水平面pとの間のワイパクリーナ面角度αは、0度よりも大きく90度よりも小さい角度に維持されているので、当接解除の反動によって、インクはワイパクリーナ面18から下方に向かって飛び散る。このため、従来のように、ワイパクリーナ面18から側方若しくは上方に向かってインクが飛び散ることはなく、インクの飛び散り範囲を従来よりも小さくすることができる。このように、ワイパクリーナ16によるワイパ13の払拭の際の液体の飛散を抑制することができる。このため、インクジェット記録装置2においてインクが付着する範囲を抑制することができ、洗浄等の更なるメンテナンスを軽減できる。
【0098】
ワイパクリーナ16によるワイパ13の払拭が終了すると、ワイパ機構10は、ワイパクリーナ16から所定の距離往動方向に離れた終了位置まで往動を続け、ワイパ機構10は終了位置に停止し、ワイパ13は終了位置に停止する(ステップS4)。
【0099】
ワイパ13が終了位置に停止されると、洗浄液供給部23がワイパクリーナ洗浄処理を行う(ステップS5)。ワイパクリーナ洗浄処理においては、洗浄液供給部23が供給管23aを介してワイパクリーナ16へ溶剤を供給し、ワイパクリーナ16上を溶剤が伝わっていき、ワイパクリーナ16に付着したインクが溶剤によって溶解されワイパクリーナ16から除去されて、ワイパクリーナ16が洗浄される。また、ワイパクリーナ16に溶剤が付着し、ワイパクリーナ16が湿潤状態に維持される。
【0100】
ワイパクリーナ洗浄処理が終了すると、リンク駆動部26が起動され、リンク機構25が駆動されて、終了位置に位置しているワイパ機構10が復動を開始し、ワイパ13が復動を開始する(ステップS6)。
【0101】
ワイパ13が復動し続け、ワイパ13がワイパ面15とは反対側の面においてワイパクリーナ16のワイパクリーナ面18とは反対側の面に当接すると、ワイパクリーナ16はワイパ13との当接を維持しながら、払拭方向に回動していく(ステップS7)(図8(c)参照)。このように、ステップS7においては、ワイパクリーナ16はワイパ13との当接を維持しながら、払拭方向に回動していくので、ワイパ13の復動を容易にすることができる。 このとき、ワイパクリーナ面角度αは、0度よりも大きく90度よりも小さい角度に維持されているため、図8(c)のように、鉛直方向に延在したワイパ13のワイパ面15と反対側の面が、ワイパクリーナ面18と反対側の面に接触する際、ワイパ面15と反対側の面とワイパクリーナ面18と反対側の面とがなす角は鋭角になる。このため、ワイパクリーナ16が払拭方向に回動しない場合には、ワイパ13がワイパクリーナ16に引っかかった状態となり、ワイパ13の復動が困難となる。
【0102】
ワイパ13が更に復動していくと、ワイパ13とワイパクリーナ16との当接が解除されて、ワイパクリーナ16は払拭方向とは反対方向に回動して、ワイパクリーナ保持部材19の突出部19bが保持基体20の当接面21bに当接し、ワイパクリーナ16の回動が停止され、ワイパクリーナ16は再びワイパクリーナ保持状態となる(ステップS8)。
【0103】
更に、ワイパ13が復動していくと、ワイパ13は開始位置に達し、リンク駆動部26の駆動が停止して、ワイパ機構10が開始位置に停止し、ワイパ13が開始位置に停止し(ステップS9)、払拭処理が終了する。
【0104】
ワイパ13の復動の際に、ワイパ13がノズル面32の軌道上を通過する際は、例えばキャリッジ34は待機位置に戻されて、ノズル面32がワイパ13の軌道から離間されている。ノズル面32のワイパ13の軌道から離間は、ワイパ13がノズル面32の軌道上を通過する前になされていればいずれのタイミングでなされていてもよい。
【0105】
上述の払拭処理は、各記録ヘッド31のノズル面32に対して夫々順番に行われる。具体的には、1つの記録ヘッド31が選択されて、この記録ヘッド31のノズル面32が上述のようにワイパ13の軌道上に移動されて払拭され、払拭処理が終了すると、他の記録ヘッド31が選択される。この選択された他の記録ヘッド31のノズル面32も同様に、ワイパ13の軌道上に移動されて払拭され、払拭処理が終了すると、更に他の記録ヘッド31が同様に選択されて払拭処理が行われる。このように、全ての記録ヘッド31のノズル面32が払拭されるまで、払拭処理が繰り返される。払拭されるノズル面32の順番は任意であり、例えば、主走査方向の順番に基づいて行われる。なお、ワイパ13の幅w1を大きくして、または、ワイパ機構10に複数のワイパ13を配設して、1回の払拭処理で複数のノズル面32を払拭可能にしてもよい。この場合、ワイパクリーナ16も対応してその幅を大きくするか、複数配設する。
【0106】
上述の払拭処理においては、溶剤が付着したワイパクリーナ16によりワイパ13を払拭することが好ましい。溶剤によりワイパ13を洗浄しつつインクの払拭ができるからである。このため、図9の払拭処理のステップS3におけるワイパクリーナ16によるワイパ13の払拭に先立って、ステップS5と同様にして、ワイパクリーナ16の洗浄処理を行うようにしてもよい。
【0107】
また、ステップS5におけるワイパクリーナ16の洗浄処理は、1つのノズル面32の払拭処理毎に行われなくてもよい。例えば、全てのノズル面32の払拭が完了した後にワイパクリーナ16の洗浄処理が行われるようにしてもよい。
【0108】
上述のように、液体払拭装置1によれば、ワイパクリーナ16によるワイパ13の払拭の際に(ステップS3)、ワイパクリーナ16はワイパクリーナ保持状態に保持され、ワイパクリーナ面18と水平面pとの間のワイパクリーナ面角度αが0度よりも大きく90度よりも小さい初期角度α1に保持されている(図8(b)参照)。つまり、ワイパクリーナ面18は上下方向において下方に面している。このため、ワイパクリーナ16によるワイパ13の払拭が終了して、ワイパ13とワイパクリーナ16との当接が解除される際に、当接解除の反動によってワイパクリーナ16から飛び散るインクの方向を下方に制限することができる。このため、従来のように、ワイパクリーナ16から側方若しくは上方に向かってインクが飛び散ることの防止を図ることができ、インクが飛び散る範囲を従来よりも小さくすることができる。
【0109】
また、液体払拭装置1によれば、ワイパ13が復動して、ワイパ13がワイパ面15とは反対側の面においてワイパクリーナ16のワイパクリーナ面18とは反対側の面に当接する際、ワイパクリーナ16は払拭方向に回動していく。このため、ワイパ13の復動を容易にすることができる。
【0110】
このように、本発明の実施の形態に係る液体払拭装置1によれば、ワイパクリーナ16によるワイパ13の払拭の際のインクの飛散を抑制することができる。
【0111】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記本発明の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における、各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
【0112】
例えば、上述の液体払拭装置1において、ワイパ移動機構12は、ワイパ13(ワイパ機構10)のみを移動可能するものであるとしたが、ワイパ移動機構12は、ワイパ13とワイパクリーナ16とを相対移動可能にするものであってもよい。例えば、ワイパ移動機構12は、ワイパクリーナ16のみを移動可能にするものであってもよく、または、ワイパ13とワイパクリーナ16とを移動可能にするものであってもよい。
【0113】
また、例えば、ワイパ13やワイパクリーナ16の形状は、上述のような矩形又は略矩形の薄い平板状の形状に限るものではなく、他の形状であってもよい。図10は、ワイパ13の変形例を示すためのワイパ機構10の側面図である。図10に示すように、変形例に係るワイパ13において、ワイパ13は、先端13a側がワイパ面15の面する方向に向かって湾曲している形状を有している。この場合、ワイパ面15の縁部15aは、ワイパ面15が面する方向とは反対方向に凹む曲面を形成しており、記録ヘッド31のノズル面32上を摺動する際に、ノズル面32に付着したインクを縁部15aにより掻き出すことができ、ワイパ13によるノズル面32の払拭能力をより向上させることができる。
【0114】
また、図10に示すように、ワイパ13の先端13aは、ワイパ面15が面する方向に沿う断面の形状が楔形になっていてもよい。これにより、ワイパ面15の縁部15aのノズル面32への追従性を向上させることができる。
【0115】(削除)
【0116】(削除)
【0117】(削除)
【0118】
図12は、ワイパクリーナ16の他の変形例を示すためのワイパクリーニング機構11の正面図である。図12に示すように、他の変形例に係るワイパクリーナ16において、ワイパクリーナ16は、主走査方向(図12において左右方向)において、一方の端部である一端16bから他方の端部である他端16cに延びるワイパクリーナ16の先端16aが、水平面l対して角度θ傾斜して延びている。先端16aは、一端16b側が他端16c側よりも鉛直方向vにおいて高い位置となるように形成されている。ワイパクリーナ面18においても縁部18aは、先端16aに沿って水平面pに対して角度θ傾斜して延びている。
【0119】
先端16aの水平面lからの傾斜角度θは、ワイパクリーナ16の一端16bにおけるワイパクリーナ保持部材19からの延び量(延び量e)と、ワイパクリーナ16の主走査方向の幅(幅w3)を用いて、e≧w3×sinθとなる値となっている。
【0120】
ワイパクリーナ16が、上述のように、水平方向から角度θ傾斜して延びる先端16aを有していることにより、ワイパクリーナ16の洗浄処理において、供給された溶剤は重力の作用により先端16aを一端16bから他端16cに伝わっていく。このため、容易に溶剤をワイパクリーナ16の幅方向全体に供給することができ、溶剤による洗浄をより効率よく行える。
【0121】
また、本他の変形例に係るワイパクリーナ16を備える液体払拭装置1においては、洗浄処理において、図12に示すように、ワイパクリーナ16の一端16b側の上方に洗浄液供給部23の供給管23aの供給端23bを取り付けて、溶剤をワイパクリーナ16の一端16b側の上方に供給するようにしてもよい。上述のように、ワイパクリーナ16の先端16aは水平面lに対して角度θ傾斜して延びており、ワイパクリーナ面18の縁部18aも同様に水平面lに対して角度θ傾斜して延びている。このため、溶剤をワイパクリーナ16の一端16b側にのみ供給しても、重力の作用により、縁部18aにおいて一端16bから他端16cに溶剤が伝わり、ワイパクリーナ面18の縁部18a全体に溶剤を供給することができる。このため、ワイパクリーナ面18の縁部18a全体を洗浄することができる。
【0122】(削除)
【0123】
また、液体払拭装置1の実施する払拭処理の各工程の順序は上述の順序に限るものではなく、具体的な態様に応じて種々の順序とすることができる。例えば、先ずワイパクリーナ16によってワイパ13を払拭して、ワイパクリーナ16に保持されている溶剤をワイパ13に付着し、その後、上記の各工程(ステップS1?8)を行ってもよい。これにより、溶剤が付着したワイパ13によりノズル面32の払拭を行うことができ、増粘インク等を容易にノズル面32から払拭可能にできる。また、ワイパクリーナ16の洗浄処理(上記ステップS5)を行った後に、ワイパクリーナ16によってワイパ13を払拭し、次いで上記の各工程(ステップS1?8)を行ってもよい。これにより、増粘インク等をより容易にノズル面32から払拭可能にできる。
【符号の説明】
【0124】
1 液体払拭装置
2 インクジェット記録装置
10 ワイパ機構
11 ワイパクリーニング機構
12 ワイパ移動機構(移動手段)
13 ワイパ(第1払拭部材)
15 ワイパ面(吐出面払拭面)
16 ワイパクリーナ(第2払拭部材)
17 ワイパクリーナ保持機構(保持手段)
18 ワイパクリーナ面(第1払拭部材払拭面)
19 ワイパクリーナ保持部材(第2払拭部材保持部材)
19a,21a フランジ
19b 突出部
19c 当接端
20 保持基体
21b 当接面
22 回転軸
23 洗浄液供給部(洗浄液供給手段)
30 印刷部
31 記録ヘッド
32 ノズル面(吐出面)
33 吐出口
p 水平面
x 回転軸線
α ワイパクリーナ面角度
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】(削除)
【請求項2】(削除)
【請求項3】(削除)
【請求項4】(削除)
【請求項5】(削除)
【請求項6】
液体吐出装置において液体を吐出する吐出部が設けられた吐出面に当接可能な面である吐出面払拭面を備え、弾性体からなる第1払拭部材と、
前記第1払拭部材の吐出面払拭面に当接可能な面である第1払拭部材払拭面を備える第2払拭部材と、
前記第1払拭部材と前記第2払拭部材とを相対移動可能にする移動手段と、
前記第2払拭部材を保持する保持手段とを備え、
前記移動手段は、前記第1払拭部材を移動して前記吐出面払拭面が前記吐出面上を摺動可能にすると共に、前記第1払拭部材及び前記第2払拭部材の少なくとも一方を移動して前記第1払拭部材払拭面と前記吐出面払拭面とが互いに摺動することを可能にし、
前記保持手段は、前記第1払拭部材の前記吐出面払拭面を含む部分と前記第2払拭部材の前記第1払拭部材払拭面を含む部分とが少なくとも部分的にオーバーラップした状態で、前記第1払拭部材払拭面と前記吐出面払拭面とが互いに摺動する際に、前記第1払拭部材払拭面と水平面との間の角度が0度より大きく90度より小さい所定の角度となるように前記第2払拭部材を保持し、
前記保持手段は、前記第2払拭部材を前記第1払拭部材払拭面が面する払拭方向及び該払拭方向の反対方向に回動可能に保持しており、
前記保持手段は、前記所定の角度に保持された前記第2払拭部材を、前記第1払拭部材払拭面が前記払拭方向側において回動可能になるように保持し、かつ、前記第1払拭部材払拭面が前記反対方向側に回転不能になるように保持しており、
弾性を有する供給管を有し、該供給管を介して前記第2払拭部材に洗浄液を供給可能な洗浄液供給手段を備え、
前記供給管は、前記保持手段を前記反対方向に付勢していることを特徴とする液体払拭装置。
【請求項7】
前記第2払拭部材において、前記第1払拭部材払拭面は、前記第1払拭部材の前記吐出面払拭面に当接可能な一端から他端に延びる端部を備え、該端部は水平面に対して傾斜して延びていて、前記一端側が前記他端側よりも鉛直方向において高い位置となるように形成されており、
前記洗浄液供給手段は、鉛直方向上方から前記第2払拭部材の前記一端側に前記洗浄液を供給可能であることを特徴とする請求項6記載の液体払拭装置。
【請求項8】(削除)
【請求項9】(削除)
【請求項10】(削除)
【請求項11】(削除)
【図面】












 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-01-19 
出願番号 特願2015-100550(P2015-100550)
審決分類 P 1 651・ 853- YAA (B41J)
P 1 651・ 857- YAA (B41J)
P 1 651・ 851- YAA (B41J)
P 1 651・ 113- YAA (B41J)
P 1 651・ 121- YAA (B41J)
P 1 651・ 537- YAA (B41J)
P 1 651・ 855- YAA (B41J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 亀田 宏之  
特許庁審判長 藤田 年彦
特許庁審判官 藤本 義仁
尾崎 淳史
登録日 2019-02-08 
登録番号 特許第6474684号(P6474684)
権利者 株式会社ミマキエンジニアリング
発明の名称 液体払拭装置及び液体払拭方法  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 来間 清志  
代理人 二宮 浩康  
代理人 来間 清志  
代理人 上島 類  
代理人 上島 類  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 二宮 浩康  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ