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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  E04H
審判 全部申し立て 特29条の2  E04H
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  E04H
管理番号 1372696
異議申立番号 異議2020-700393  
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-05-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-06-08 
確定日 2021-02-19 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6620055号発明「機械式立体駐車設備の制御方法及び機械式立体駐車設備」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6620055号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6及び8〕、7について訂正することを認める。 特許第6620055号の請求項1ないし8に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6620055号の請求項1ないし7に係る特許についての出願は、平成28年3月30日に出願され、令和1年11月22日にその特許権の設定登録がされ、令和1年12月11日に特許掲載公報が発行された。その後、令和2年6月8日に特許異議申立人 小松 珠美(以下、「申立人」という。)より、特許異議申立書(以下、「申立書」という。)が提出され、請求項1ないし7に係る特許に対して特許異議の申立てがされた。

その後の経緯は、以下のとおりである。
令和2年 9月 3日(発送日):取消理由通知
令和2年10月28日: 特許権者による意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)
令和2年12月 8日: 申立人による意見書の提出


第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す)。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「前記第1認証情報は契約車両に応じて付与され、前記第2認証情報は契約者に応じて付与されることを特徴とする機械式立体駐車設備の制御方法。」
と記載されているのを、
「前記第1認証情報は契約車両に応じて付与され、前記第2認証情報は契約者に応じて付与され、
前記第1認証情報は所定桁数の第1認証用暗証番号であり、
前記第2認証情報は所定桁数の前記第1認証用暗証番号の桁数よりも少ない所定桁数の第2認証用暗証番号であることを特徴とする機械式立体駐車設備の制御方法。」
に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項4-6も同様に訂正する)。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に
「複数台の利用契約を結んだ契約者に対し、
複数台の利用契約に応じた複数の第1認証情報と、
当該複数の第1認証情報に対して単一の第2認証情報が付与され、
当該付与された第2認証情報は、他の契約者に付与された第2認証情報とは重複しない、請求項1に記載の機械式立体駐車設備の制御方法。」
と記載されているのを独立形式に改め、
「車両を搬送する車両搬送手段を有する車庫装置と、前記車庫装置に設けられた認証手段と、前記認証手段からの認証情報の取得に基づいて前記車庫装置の入出庫扉の開閉を制御する制御装置とを備える機械式立体駐車設備の制御方法であって、
予め、駐車場の利用契約に応じて契約者毎に付与された第1認証情報及び第2認証情報を第1記憶手段に記憶しておく第1記憶ステップと、
前記車庫装置の入出庫扉を開く前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第1取得ステップと、
前記第1取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致するか否かを判定する第1認証ステップと、
前記第1認証ステップにおいて前記認証情報と一致すると判定された前記第1認証情報を第2記憶手段に記憶しておく第2記憶ステップと、
前記第1認証ステップにおいて前記認証情報が前記第1記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致すると判定された後に前記車両搬送手段を呼び出す搬送呼出ステップと、
前記車両搬送手段の到着後に前記入出庫扉を開く開扉ステップと、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第2取得ステップと、
前記第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証ステップで一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた第2認証情報と一致するか否かを判定する第2認証ステップと、
前記第2認証ステップにおいて前記第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証ステップで一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた前記第2認証情報と一致すると判定された後に前記入出庫扉を閉じる閉扉ステップと、を含み、
前記第1認証情報は契約車両に応じて付与され、前記第2認証情報は契約者に応じて付与され、
複数台の利用契約を結んだ契約者に対し、
複数台の利用契約に応じた複数の第1認証情報と、
当該複数の第1認証情報に対して単一の第2認証情報が付与され、
当該付与された第2認証情報は、他の契約者に付与された第2認証情報とは重複しない、機械式立体駐車設備の制御方法。」
に訂正する(請求項2の記載を引用する請求項4-6も同様に訂正する)。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に
「前記第1認証情報は所定桁数の第1認証用暗証番号であり、
前記第2認証情報は所定桁数の前記第1認証用暗証番号の桁数よりも少ない所定桁数の第2認証用暗証番号であり、
前記第2認証用暗証番号は、前記第1認証用暗証番号の一部の所定桁の番号によって構成される、請求項1又は2に記載の機械式立体駐車設備の制御方法。」
と記載されているのを、請求項1を引用するものについて独立形式に改め、
「車両を搬送する車両搬送手段を有する車庫装置と、前記車庫装置に設けられた認証手段と、前記認証手段からの認証情報の取得に基づいて前記車庫装置の入出庫扉の開閉を制御する制御装置とを備える機械式立体駐車設備の制御方法であって、
予め、駐車場の利用契約に応じて契約者毎に付与された第1認証情報及び第2認証情報を第1記憶手段に記憶しておく第1記憶ステップと、
前記車庫装置の入出庫扉を開く前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第1取得ステップと、
前記第1取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致するか否かを判定する第1認証ステップと、
前記第1認証ステップにおいて前記認証情報と一致すると判定された前記第1認証情報を第2記憶手段に記憶しておく第2記憶ステップと、
前記第1認証ステップにおいて前記認証情報が前記第1記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致すると判定された後に前記車両搬送手段を呼び出す搬送呼出ステップと、
前記車両搬送手段の到着後に前記入出庫扉を開く開扉ステップと、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第2取得ステップと、
前記第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証ステップで一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた第2認証情報と一致するか否かを判定する第2認証ステップと、
前記第2認証ステップにおいて前記第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証ステップで一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた前記第2認証情報と一致すると判定された後に前記入出庫扉を閉じる閉扉ステップと、を含み、
前記第1認証情報は契約車両に応じて付与され、前記第2認証情報は契約者に応じて付与され、
前記第1認証情報は所定桁数の第1認証用暗証番号であり、
前記第2認証情報は所定桁数の前記第1認証用暗証番号の桁数よりも少ない所定桁数の第2認証用暗証番号であり、
前記第2認証用暗証番号は、前記第1認証用暗証番号の一部の所定桁の番号によって構成される、機械式立体駐車設備の制御方法。」
に訂正する(請求項3の記載を引用する請求項4-6も同様に訂正する)。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項7に
「前記第1認証情報は契約車両に応じて付与され、前記第2認証情報は契約者に応じて付与されることを特徴とする機械式立体駐車設備。」
と記載されているのを、
「前記第1認証情報は契約車両に応じて付与され、前記第2認証情報は契約者に応じて付与され、
複数台の利用契約を結んだ契約者に対し、
複数台の利用契約に応じた複数の第1認証情報と、
当該複数の第1認証情報に対して単一の第2認証情報が付与され、
当該付与された第2認証情報は、他の契約者に付与された第2認証情報とは重複しないことを特徴とする機械式立体駐車設備。」
に訂正する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項3に
「前記第1認証情報は所定桁数の第1認証用暗証番号であり、
前記第2認証情報は所定桁数の前記第1認証用暗証番号の桁数よりも少ない所定桁数の第2認証用暗証番号であり、
前記第2認証用暗証番号は、前記第1認証用暗証番号の一部の所定桁の番号によって構成される、請求項1又は2に記載の機械式立体駐車設備の制御方法。」
と記載されているのを、請求項2を引用するものについて独立形式に改め、
「車両を搬送する車両搬送手段を有する車庫装置と、前記車庫装置に設けられた認証手段と、前記認証手段からの認証情報の取得に基づいて前記車庫装置の入出庫扉の開閉を制御する制御装置とを備える機械式立体駐車設備の制御方法であって、
予め、駐車場の利用契約に応じて契約者毎に付与された第1認証情報及び第2認証情報を第1記憶手段に記憶しておく第1記憶ステップと、
前記車庫装置の入出庫扉を開く前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第1取得ステップと、
前記第1取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致するか否かを判定する第1認証ステップと、
前記第1認証ステップにおいて前記認証情報と一致すると判定された前記第1認証情報を第2記憶手段に記憶しておく第2記憶ステップと、
前記第1認証ステップにおいて前記認証情報が前記第1記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致すると判定された後に前記車両搬送手段を呼び出す搬送呼出ステップと、
前記車両搬送手段の到着後に前記入出庫扉を開く開扉ステップと、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第2取得ステップと、
前記第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証ステップで一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた第2認証情報と一致するか否かを判定する第2認証ステップと、
前記第2認証ステップにおいて前記第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証ステップで一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた前記第2認証情報と一致すると判定された後に前記入出庫扉を閉じる閉扉ステップと、を含み、
前記第1認証情報は契約車両に応じて付与され、前記第2認証情報は契約者に応じて付与され、
複数台の利用契約を結んだ契約者に対し、
複数台の利用契約に応じた複数の第1認証情報と、
当該複数の第1認証情報に対して単一の第2認証情報が付与され、
当該付与された第2認証情報は、他の契約者に付与された第2認証情報とは重複せず、
前記第1認証情報は所定桁数の第1認証用暗証番号であり、
前記第2認証情報は所定桁数の前記第1認証用暗証番号の桁数よりも少ない所定桁数の第2認証用暗証番号であり、
前記第2認証用暗証番号は、前記第1認証用暗証番号の一部の所定桁の番号によって構成される、機械式立体駐車設備の制御方法。」
と記載し、請求項8とする。

2 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無、及び一群の請求項について
(1)訂正事項1
ア 訂正目的、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、訂正前の請求項1における「第1認証情報」について、「所定桁数の第1認証用暗証番号」であることを限定し、また訂正前の請求項1における「第2認証情報」について、「所定桁数の前記第1認証用暗証番号の桁数よりも少ない所定桁数の第2認証用暗証番号」であることを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、同法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定にも適合するものである。

イ 新規事項の有無
訂正事項1による限定事項は、訂正前の請求項3に記載されていた事項であるから、願書に添付した特許請求の範囲、明細書及び図面に記載された事項の範囲内で行う訂正事項であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。

(2)訂正事項2
ア 訂正目的、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2は、訂正前の請求項2が請求項1を引用していたところ、独立請求項へと改めるものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる事項を目的とするものであり、また、同法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定にも適合するものである。

イ 新規事項の有無
訂正事項2は、訂正前の請求項2を独立請求項とするものであるから、願書に添付した特許請求の範囲、明細書及び図面に記載された事項の範囲内で行う訂正事項であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。

(3)訂正事項3
ア 訂正目的、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項3は、訂正前の請求項3が請求項1又は2を引用していたところ、請求項1を引用するものについて独立請求項へと改めるものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる事項を目的とするものであり、また、同法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定にも適合するものである。

イ 新規事項の有無
訂正事項3は、訂正前の請求項3のうち請求項1を引用するものを独立請求項とするものであるから、願書に添付した特許請求の範囲、明細書及び図面に記載された事項の範囲内で行う訂正事項であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。

(4)訂正事項4
ア 訂正目的、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項4は、訂正前の請求項7における「第1認証情報」及び「第2認証情報」について、「複数台の利用契約を結んだ契約者に対し、複数台の利用契約に応じた複数の第1認証情報と、当該複数の第1認証情報に対して単一の第2認証情報が付与され、当該付与された第2認証情報は、他の契約者に付与された第2認証情報とは重複しない」ことを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、同法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定にも適合するものである。

イ 新規事項の有無
訂正事項4による限定事項は、訂正前の請求項2に記載されていた事項であるから、願書に添付した特許請求の範囲、明細書及び図面に記載された事項の範囲内で行う訂正事項であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。

(5)訂正事項5
ア 訂正目的、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項5は、訂正前の請求項3が請求項1又は2を引用していたところ、請求項2を引用するものについて独立請求項へと改めるものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる事項を目的とするものであり、また、同法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定にも適合するものである。

イ 新規事項の有無
訂正事項5は、訂正前の請求項3のうち請求項2を引用するものを独立請求項とするものであるから、願書に添付した特許請求の範囲、明細書及び図面に記載された事項の範囲内で行う訂正事項であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。

(6)一群の請求項、及び独立特許要件について
訂正前の請求項1ないし6について、請求項2ないし6はそれぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用しているから、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正がされるものである。そのため、請求項1ないし6は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に該当する。
訂正事項1ないし3及び5は、一群の請求項である訂正前の請求項1ないし6について、特許請求の範囲を減縮し、また他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとして、訂正後の請求項1ないし6及び8とするものであるから、訂正事項1ないし3及び5は、一群の請求項[1-6及び8]に対して請求されたものである。
訂正事項4は、訂正前の請求項7を限定するものであるから、請求項7に対して請求されたものである。
そして、本件においては、訂正前の請求項1ないし7について特許異議の申立てがされているから、訂正事項1及び4により、訂正後の請求項1及び4ないし7について特許請求の範囲の減縮が行われていても、訂正後の請求項1及び4ないし7に係る発明について、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

3 まとめ
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5ただし書第2項第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、本件訂正は認められるべきものである。


第3 本件訂正発明
本件訂正により訂正された請求項1ないし8に係る発明(以下、各々を「本件訂正発明1」等といい、請求項1ないし8に係る発明をまとめて「本件訂正発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
車両を搬送する車両搬送手段を有する車庫装置と、前記車庫装置に設けられた認証手段と、前記認証手段からの認証情報の取得に基づいて前記車庫装置の入出庫扉の開閉を制御する制御装置とを備える機械式立体駐車設備の制御方法であって、
予め、駐車場の利用契約に応じて契約者毎に付与された第1認証情報及び第2認証情報を第1記憶手段に記憶しておく第1記憶ステップと、
前記車庫装置の入出庫扉を開く前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第1取得ステップと、
前記第1取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致するか否かを判定する第1認証ステップと、
前記第1認証ステップにおいて前記認証情報と一致すると判定された前記第1認証情報を第2記憶手段に記憶しておく第2記憶ステップと、
前記第1認証ステップにおいて前記認証情報が前記第1記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致すると判定された後に前記車両搬送手段を呼び出す搬送呼出ステップと、
前記車両搬送手段の到着後に前記入出庫扉を開く開扉ステップと、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第2取得ステップと、
前記第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証ステップで一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた第2認証情報と一致するか否かを判定する第2認証ステップと、
前記第2認証ステップにおいて前記第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証ステップで一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた前記第2認証情報と一致すると判定された後に前記入出庫扉を閉じる閉扉ステップと、を含み、
前記第1認証情報は契約車両に応じて付与され、前記第2認証情報は契約者に応じて付与され、
前記第1認証情報は所定桁数の第1認証用暗証番号であり、
前記第2認証情報は所定桁数の前記第1認証用暗証番号の桁数よりも少ない所定桁数の第2認証用暗証番号であることを特徴とする機械式立体駐車設備の制御方法。」

「【請求項2】
車両を搬送する車両搬送手段を有する車庫装置と、前記車庫装置に設けられた認証手段と、前記認証手段からの認証情報の取得に基づいて前記車庫装置の入出庫扉の開閉を制御する制御装置とを備える機械式立体駐車設備の制御方法であって、
予め、駐車場の利用契約に応じて契約者毎に付与された第1認証情報及び第2認証情報を第1記憶手段に記憶しておく第1記憶ステップと、
前記車庫装置の入出庫扉を開く前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第1取得ステップと、
前記第1取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致するか否かを判定する第1認証ステップと、
前記第1認証ステップにおいて前記認証情報と一致すると判定された前記第1認証情報を第2記憶手段に記憶しておく第2記憶ステップと、
前記第1認証ステップにおいて前記認証情報が前記第1記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致すると判定された後に前記車両搬送手段を呼び出す搬送呼出ステップと、
前記車両搬送手段の到着後に前記入出庫扉を開く開扉ステップと、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第2取得ステップと、
前記第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証ステップで一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた第2認証情報と一致するか否かを判定する第2認証ステップと、
前記第2認証ステップにおいて前記第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証ステップで一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた前記第2認証情報と一致すると判定された後に前記入出庫扉を閉じる閉扉ステップと、を含み、
前記第1認証情報は契約車両に応じて付与され、前記第2認証情報は契約者に応じて付与され、
複数台の利用契約を結んだ契約者に対し、
複数台の利用契約に応じた複数の第1認証情報と、
当該複数の第1認証情報に対して単一の第2認証情報が付与され、
当該付与された第2認証情報は、他の契約者に付与された第2認証情報とは重複しない、機械式立体駐車設備の制御方法。」

「【請求項3】
車両を搬送する車両搬送手段を有する車庫装置と、前記車庫装置に設けられた認証手段と、前記認証手段からの認証情報の取得に基づいて前記車庫装置の入出庫扉の開閉を制御する制御装置とを備える機械式立体駐車設備の制御方法であって、
予め、駐車場の利用契約に応じて契約者毎に付与された第1認証情報及び第2認証情報を第1記憶手段に記憶しておく第1記憶ステップと、
前記車庫装置の入出庫扉を開く前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第1取得ステップと、
前記第1取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致するか否かを判定する第1認証ステップと、
前記第1認証ステップにおいて前記認証情報と一致すると判定された前記第1認証情報を第2記憶手段に記憶しておく第2記憶ステップと、
前記第1認証ステップにおいて前記認証情報が前記第1記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致すると判定された後に前記車両搬送手段を呼び出す搬送呼出ステップと、
前記車両搬送手段の到着後に前記入出庫扉を開く開扉ステップと、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第2取得ステップと、
前記第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証ステップで一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた第2認証情報と一致するか否かを判定する第2認証ステップと、
前記第2認証ステップにおいて前記第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証ステップで一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた前記第2認証情報と一致すると判定された後に前記入出庫扉を閉じる閉扉ステップと、を含み、
前記第1認証情報は契約車両に応じて付与され、前記第2認証情報は契約者に応じて付与され、
前記第1認証情報は所定桁数の第1認証用暗証番号であり、
前記第2認証情報は所定桁数の前記第1認証用暗証番号の桁数よりも少ない所定桁数の第2認証用暗証番号であり、
前記第2認証用暗証番号は、前記第1認証用暗証番号の一部の所定桁の番号によって構成される、機械式立体駐車設備の制御方法。」

「【請求項4】
前記認証手段は、テンキー操作部、ICカードリーダー、リモコン装置、バーコードリーダー及びパターン認証機能部のうち少なくとも一の装置を備え、
前記第1取得ステップ及び前記第2取得ステップでは、前記テンキー操作部、前記ICカードリーダー、前記リモコン装置、前記バーコードリーダー及び前記パターン認証機能部のうち、互いに異なる装置を介して、ユーザの認証情報を取得する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の機械式立体駐車設備の制御方法。」

「【請求項5】
前記開扉ステップと閉扉ステップとの間において、ユーザに前記車庫装置内の安全確認を促す安全確認報知ステップを更に含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の機械式立体駐車設備の制御方法。」

「【請求項6】
前記第2記憶ステップでは、前記第1認証ステップにおいて一致すると判定された前記第1認証情報に対応する契約者の第2認証情報を、当該第1認証情報とともに又は当該第1認証情報に代えて、前記第2記憶手段に記憶しておく、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の機械式立体駐車設備の制御方法。」

「【請求項7】
車両を搬送する車両搬送手段を有する車庫装置と、前記車庫装置に設けられた認証手段と、前記認証手段からの認証情報の取得に基づいて前記車庫装置の入出庫扉の開閉を制御する制御装置とを備える機械式立体駐車設備であって、
前記制御装置は、予め、駐車場の利用契約に応じて契約者毎に付与された第1認証情報及び第2認証情報を記憶手段に記憶しておく第1記憶処理と、
前記車庫装置の入出庫扉を開く前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第1取得処理と、
前記第1取得処理においてユーザから取得した認証情報が、前記記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致するか否かを判定する第1認証処理と、
前記第1認証処理において前記認証情報と一致すると判定された前記第1認証情報を前記記憶手段に記憶しておく第2記憶処理と、
前記第1認証処理において前記認証情報が前記記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致すると判定された後に前記車両搬送手段を呼び出す搬送呼出処理と、
前記車両搬送手段の到着後に前記入出庫扉を開く開扉処理と、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第2取得処理と、
前記第2取得処理においてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証処理で一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた第2認証情報と一致するか否かを判定する第2認証処理と、
前記第2認証処理において前記第2取得処理においてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証処理で一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた前記第2認証情報と一致すると判定された後に前記入出庫扉を閉じる閉扉処理と、を実行し、
前記第1認証情報は契約車両に応じて付与され、前記第2認証情報は契約者に応じて付与され、
複数台の利用契約を結んだ契約者に対し、
複数台の利用契約に応じた複数の第1認証情報と、
当該複数の第1認証情報に対して単一の第2認証情報が付与され、
当該付与された第2認証情報は、他の契約者に付与された第2認証情報とは重複しないことを特徴とする機械式立体駐車設備。」

「【請求項8】
車両を搬送する車両搬送手段を有する車庫装置と、前記車庫装置に設けられた認証手段と、前記認証手段からの認証情報の取得に基づいて前記車庫装置の入出庫扉の開閉を制御する制御装置とを備える機械式立体駐車設備の制御方法であって、
予め、駐車場の利用契約に応じて契約者毎に付与された第1認証情報及び第2認証情報を第1記憶手段に記憶しておく第1記憶ステップと、
前記車庫装置の入出庫扉を開く前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第1取得ステップと、
前記第1取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致するか否かを判定する第1認証ステップと、
前記第1認証ステップにおいて前記認証情報と一致すると判定された前記第1認証情報を第2記憶手段に記憶しておく第2記憶ステップと、
前記第1認証ステップにおいて前記認証情報が前記第1記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致すると判定された後に前記車両搬送手段を呼び出す搬送呼出ステップと、
前記車両搬送手段の到着後に前記入出庫扉を開く開扉ステップと、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第2取得ステップと、
前記第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証ステップで一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた第2認証情報と一致するか否かを判定する第2認証ステップと、
前記第2認証ステップにおいて前記第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証ステップで一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた前記第2認証情報と一致すると判定された後に前記入出庫扉を閉じる閉扉ステップと、を含み、
前記第1認証情報は契約車両に応じて付与され、前記第2認証情報は契約者に応じて付与され、
複数台の利用契約を結んだ契約者に対し、
複数台の利用契約に応じた複数の第1認証情報と、
当該複数の第1認証情報に対して単一の第2認証情報が付与され、
当該付与された第2認証情報は、他の契約者に付与された第2認証情報とは重複せず、
前記第1認証情報は所定桁数の第1認証用暗証番号であり、
前記第2認証情報は所定桁数の前記第1認証用暗証番号の桁数よりも少ない所定桁数の第2認証用暗証番号であり、
前記第2認証用暗証番号は、前記第1認証用暗証番号の一部の所定桁の番号によって構成される、機械式立体駐車設備の制御方法。」


第4 証拠一覧、異議申立理由及び取消理由の概要、並びに証拠の記載
1 証拠一覧
申立人が提出した証拠は、以下のとおりである。
甲第1号証: 特開2017-2538号公報
(特願2015-116426号(以下、「先願1」 という。平成27年6月9日出願)の公開公報、 平成29年1月5日公開、申立書に添えて提出)
甲第2号証: 特開2006-118216号公報
(平成18年5月11日公開、申立書に添えて提出)
甲第3号証: 特許第4750818号公報
(平成23年8月17日発行、申立書に添えて提出)
甲第4号証: 特開2012-26121号公報
(平成24年2月9日公開、申立書に添えて提出)

2 異議申立理由、及び取消理由の要旨
(1)申立人による異議申立理由
申立人による異議申立理由の要旨は、次のとおりである。

ア(甲第1号証を主たる引用例とした拡大先願)
本件特許の請求項1ないし7に係る発明は、本件特許の出願の日前の特許出願であって、その出願後に甲第1号証により出願公開がされた先願1の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許出願の発明者が先願1に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許出願の時において、その出願人が先願1の出願人と同一でもない。
したがって、本件特許の請求項1ないし7に係る発明は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである(申立書第10頁下から6行-第16頁第1行、第21頁第6行-第25頁下から5行)。

イ(甲第2号証を主たる引用例とした新規性)
本件特許の請求項1ないし3及び5ないし7に係る発明は、甲第3号証及び甲第4号証に記載される周知技術を考慮すると、本件特許の出願前に頒布された甲第2号証に記載された発明と、同一である(申立書第16頁第2行-第21頁第4行、第25頁下から3行-第29頁下から7行、第30頁第17行-第31頁下から6行)。
したがって、本件特許の請求項1ないし3及び5ないし7に係る発明は、特許法第29条第1項第3号の規定に該当するから、その発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

ウ(甲第2号証を主たる引用例とした進歩性)
本件特許の請求項1ないし7に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された甲第2号証に記載された発明及び甲第3号証並びに甲第4号証に記載される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである(申立書第16頁第2行-第21頁第4行、第25頁下から3行-第31頁下から6行)。
したがって、本件特許の請求項1ないし7に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。

(2)令和2年9月3日発送の取消理由
当審が令和2年9月3日発送で特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

(甲第1号証を主たる引用例とした拡大先願)
本件特許の請求項1ないし7に係る発明は、本件特許の出願の日前の特許出願であって、その出願後に甲第1号証により出願公開がされた先願1の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許出願の発明者が先願1に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許出願の時において、その出願人が先願1の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。


3 証拠の記載
(1)甲第1号証
ア 記載事項
甲第1号証によれば、先願1の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「先願1の当初明細書等」という。)には、次の事項が記載されており、当該事項はその後出願公開されている(下線は、当審で付加した。以下、同様。)。

(ア)技術分野、背景技術、及び発明が解決しようとする課題
「【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の車両を駐車させる駐車装置とその制御方法に係る。
【背景技術】
【0002】
駐車装置を操作する際は、操作者が安全を確認して操作する。
操作者が車両の運転手である場合がある。
例えば、車両を駐車装置に入れるときに、駐車装置の入出庫空間に車両を入れる運転手が操作盤を操作する。
例えば、車両を駐車装置から出すときに、駐車装置の入出庫空間から車両を出す運転手が操作盤を操作する。
【0003】
入出庫空間扉が入出庫空間に設けられる。
入出庫する時を除いて入出庫空間扉が閉じられ、人が安易に入出庫空間に入れない。
【0004】
例えば、車両を駐車装置に入れるときは、入出庫空間扉を開き、その後運転手が車両を入出庫空間に入れ、運転手が入出庫空間から退避した後で、入出庫空間扉を閉じる。
例えば、車両を駐車装置から出すときは、入出庫空間扉を開き、運転手が入出庫空間に入り、その他運転手が車両を入出庫空間から出した後、運転手が一旦車両から降りて、入出庫空間扉を閉じる。
【0005】
ところで、入出庫作業の後で運転手が入出庫空間扉を閉じずに、その場から立ち去る場合がある。
その様な場合に、他の者が入出庫作業のために入出庫空間の近くに来てとまどう。
先に入出庫作業をおこなった運転手が、立ち去ったのか入出庫空間にいるのかが判然としない。
この様な場合、後から来た運転手は入出庫空間に先の運転手がいなことを確認した後で、入出庫空間扉を閉じ、その後あらたに来た運転手があらためて入出庫作業をしている。
【0006】
より安全を確保するために、通常操作では入出庫作業をした操作者のみが入出庫空間扉を閉めることがでるのが望ましい。さらに、入出庫空間扉が開いたままの状態では、他の者が次の入出庫作業をするときに十分な安全確認作業をおこなった後で入出庫作業をするのが望ましい。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上に述べた問題点に鑑み案出されたもので、入出庫作業をおこなった者が入出庫空間扉を閉じる様になった駐車装置と駐車装置の制御方法を提供する。」

(イ)第一の実施形態の説明
「【0029】
本発明の第一の実施形態にかかる駐車装置とその制御方法とを、図を基に、説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る駐車装置の処理フロー図その1である。図2は、本発明の実施形態に係る駐車装置の処理フロー図その2である。図3は、本発明の実施形態に係る駐車装置の処理フロー図その3である。図4は、本発明の実施形態に係る駐車装置の処理フロー図その4である。図4は、本発明の実施形態にかかる駐車装置の概念図である。
【0030】
本発明の実施形態にかかる駐車装置は、複数の操作者に各々に対応する複数の車両を各々に駐車させる装置である。
本発明の実施形態にかかる駐車装置の制御方法は、複数の操作者に各々に対応する複数の車両を入出庫空間扉を設けられる入出庫空間に入出庫させて各々に駐車させる方法である。
【0031】
本発明の実施形態にかかる駐車装置は、駐車機構100と制御機構200とで構成される。
駐車機構100は、車両を駐車空間と入出庫空間扉130を設けられる入出庫空間120との間で移動できる機構である。
駐車機構100は、車両をパレットに乗せて駐車空間と入出庫空間扉を設けられる入出庫空間との間で移動できてもよい。
入出庫空間120は、入庫時にドライバーが車両を入れて、乗り捨てる空間である。
入出庫空間120は、出庫時にドライバーが車両に乗り込む空間である。運転手は、車両に沿って、入出庫空間120から外へでる。
入出庫空間扉130は、入出庫空間120と外部空間との境をしきる開閉可能な扉である。
通常操作では、入出庫空間扉130が閉じているときにのみ、 駐車機構100は、車両を駐車空間と入出庫空間120との間で移動できる様になっている。
【0032】
制御機構200は、駐車機構100を制御する機器である。
制御機構200の操作盤は、入出庫空間120の近傍の入出庫空間扉130で仕切られる外部に設けられる。
ドライバーが制御機構200の操作盤を操作するときに、ドライバーは開いた入出庫空間扉130から入出庫空間120の内部を見張ることができる。
制御機構200は、入出庫処理S100と車両搬送処理S200とを実施する。
入出庫処理S100は、車両を入出庫空間で入出庫するのに必要な処理である。
車両搬送処理S200は、車両を入出庫空間と駐車空間とのあいだで搬送し、車両を駐車空間で駐車させる処理である。
以下では、操作盤を操作するドライバーを操作者と呼称する。
以下では、説明の便宜上、駐車機構が車両をパレットに乗せて取り扱う形式であるとして、説明する。
以下では、制御機構200の実施する入出庫処理S100を説明する。
【0033】
制御機構200は、第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40と第二認証処理S70と操作者判定処理S80と扉閉処理S90とを実施できる。
制御機構200は、第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40と扉閉指令受取処理S60と第二認証処理S70と操作者判定処理S80と扉閉処理S90とを実施できてもよい。
制御機構200は、開始処理S10と第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40とドライバー入出庫待ちS50と扉閉指令受取処理S60と第二認証処理S70と操作者判定処理S80と扉閉処理S90とを実施できてもよい。
【0034】
第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40と第二認証処理S70と操作者判定処理S80とを、この順に実施する。
第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40と扉閉指令受取処理S60と第二認証処理S70と操作者判定処理S80とを、この順に実施してもよい。
開始処理S10と第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40とドライバー入出庫待ちS50と扉閉指令受取処理S60と第二認証処理S70と操作者判定処理S80とを、この順に実施してもよい。
図1、図2は、開始処理S10と第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40とドライバー入出庫待ちS50と扉閉指令受取処理S60と第二認証処理S70と操作者判定処理S80とを、この順に実施する様子を示す。
図3、図4は、開始処理S10と第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40とドライバー入出庫待ちS50と第二認証処理S70と操作者判定処理S80とを、この順に実施する様子を示す。
【0035】
開始処理S10は、開始指令を受ける処理である。
開始処理S10は、操作者が安全確認釦が押すのを待ってもよい。
操作者が、操作盤に設けられた安全確認釦を押す。
開始処理S10を完了すると、次ぎに第一認証処理S20を実施する。
開始処理S10を省略し、第一認証処理S20の開始をもって開始指令としてもよい。
開始処理S10において、操作者は入庫要求か出庫要求の何方の処理かを選択しても良い。
【0036】
第一認証処理S20は、操作者の行った第一の操作である第一認証操作により操作者に対応するコードである第一コードを獲得して獲得した第一コードに基づいて第一認証操作をおこなった操作者を認証する処理である。
第一認証処理S20が、第一認証操作をおこなった操作者に対応するコードである第一コードを記録してもよい。
第一認証処理S20が、獲得した第一コードに紐付けされる第一紐付コードを記録してももよい。
第一認証処理S20が、第一紐付コードを生成し、第一紐付コードを獲得した第一コードに紐付けしてを記録してもよい。
第一認証処理S20が、第一紐付コードを自動生成し、第一紐付コードを獲得した第一コードに紐付けしてを記録してもよい。
【0037】
第一認証処理S20は、操作者認証S21と操作者適任?S22と操作者情報記録S23とで構成されてもよい。
例えば、操作者認証S21は、カード読み取り機器でICカード、磁気カードのコードを読み取り、入力する。
例えば、操作者認証S21は、操作者がキー入力するコードを入力する。
操作者適任?S22は、入力したコードから操作者が適任であるか否かを判定する。
例えば、操作者適任?S22は、入力したコードが予め記録された適任コードテーブルに記載されたものであるかを判断する。
操作者適任?S22は、入力したコードが適任コードテーブルに記載されたものであるとき操作者を適任と判断する。
操作者適任?S22は、入力したコードが適任コードテーブルに記載されたものでないとき操作者を適任と判断しない。
操作者を適任と判断したとき、次の操作者情報記録S23を実施する。
操作者を適任と判断しないとき、再度、操作者認証S21へ戻る。
操作者情報記録S23は、入力したコードを第一コードとして記録してもよい。
操作者情報記録S23は、入力したコードに紐付けされる紐付コードを第一紐付コードとして記録してもよい。
【0038】
呼出処理S30は、入出庫空間120の状態を車両を入出庫できる状態である入出庫可能状態にする処理である。
呼出処理S30は、スタート釦を押されるのをまち、入出庫空間の状態を車両を入出庫できる状態である入出庫可能状態にしてもよい。
操作者は、操作盤に設けられるスタート釦を押す。
入庫要求であるとき、空パレットを入出庫空間120に移動させる。
パレットに普通車用パレットと大型車用パレットの形式があるとき、入力コードに応じて、普通車用パレットと大型車用パレットのどちらか一方の形式のパレットを入出庫空間120に移動させる。
出庫要求であるとき、入力コードに応じたパレット、または入力コードに応じた車両を載せたパレットを入出庫空間120に移動させる。
ここで、駐車機構がパレットを用いない形式である場合、入力コードに応じた車両を入出庫空間120に移動させる。
呼出処理S30を完了すると、次ぎに、扉開処理S40を実施する。
【0039】
扉開処理S40は、入出庫空間扉130の状態を閉状態から開状態に変化させる処理である。
扉開処理S40は、呼出処理S30を完了すると、操作者の追加の操作を待たずに入出庫空間扉130の状態を閉状態から開状態に変化させてもよい。
扉開処理S40は、操作者から扉開指令を待ち、扉開指令があったときに入出庫空間扉130の状態を閉状態から開状態に変化させてもよい。
例えば、操作者は、操作盤に設けられる扉開釦を押す。
扉開処理S40を完了すると、次ぎにドライバー入出庫待ちS50を実施する。
【0040】
ドライバー入出庫待ちS50は、操作者であるドライバーが入出庫作業をするのを待つ。
入庫要求であれば、ドライバーは、車両を入出庫空間120に入れて、車両を降り、入出庫空間120から出る。
出庫要求であれば、ドライバーは、入出庫空間120に入り、入出庫空間120にある車両に乗り込み、車両を入出庫空間120から出す。
必要があれば、制御機器は、車両の誘導等を音声等により行う。
場合によっては、制御機器は、ドライバー入出庫待ちS50において特に何の処理もせず、次の扉閉指令受取処理S60を実施する。
【0041】
扉閉指令受取処理S60は、操作者のする入出庫空間扉130の状態を開状態から閉状態に変化させる旨の指令である扉閉指令を受け付ける処理である。
例えば、扉閉指令受取処理S60は、操作者が操作盤の扉閉釦を押すのを待つ。
扉閉指令受取処理S60を完了すると、次の第二認証処理S70を実施する。
【0042】
第二認証処理S70は、操作者の行った第二の操作である第二認証操作により操作者に対応するコードである第二コードを獲得して獲得した第二コードに基づいて第二認証操作をおこなった操作者を認証する処理である。
第二認証処理S70が、第二認証操作をおこなった操作者に対応するコードである第二コードを記録してもよい。
【0043】
第二認証処理S70は、操作者認証S71で構成されてもよい。
第二認証処理S70は、操作者認証S71と操作者情報記録S73とで構成されてもよい。
例えば、操作者認証S71は、カード読み取り機器でICカード、磁気カードのコードを読み取り、入力する。
例えば、操作者認証S71は、操作者がキー入力するコードを入力する。
操作者情報記録S73は、入力したコードを第二コードとして記録する。
第二認証処理S70を完了すると、次ぎに操作者判定処理S80を実施する。
【0044】
操作者判定処理S80は、第一認証処理S20で認証した操作者である第一操作者と第二認証処理S70で認証した操作者である第二操作者とが一致するかを判定する処理である。
操作者判定処理S80が、操作者一致?S81で構成されてもよい。
操作者一致?S81が、第一紐付コードと第二コードとが対応するときに第一操作者と第二操作者とが一致すると判定してもよい。
操作者一致?S81が、第一紐付コードと第二コードとが一致するときに第一操作者と第二操作者とが一致すると判定してもよい。
操作者一致?S81が、第一紐付コードと第二コードとが部分一致するときに第一操作者と第二操作者とが一致すると判定してもよい。
操作者一致?S81が、第一紐付コードと第二コードとが所定の部分で一致するときに第一操作者と第二操作者とが一致すると判定してもよい。
【0045】
操作者一致?S81が、第一紐付コードと第二コードとが対応すると判断しないときに、第二操作者に第一コードに相当するコードの入力を求めて、第一コードと第二操作者により入力されたコードとが対応するときに第一操作者と第二操作者とが一致すると判定してもよい。
【0046】
第一紐付コードは、第一コードに紐付けされ第一コードとは異なる紐付コードである。
第一紐付コードが第一コードに紐付けされる様に予め設定されるコードであってもよい。
第一紐付コードが操作者に紐付けされる様に予め設定されるコードであってもよい。
第一紐付コードが、自動生成され、第一コードに紐付けされるコードであってもよい。
第一紐付コードが、自動生成され、操作者に紐付けされ、結果として第一コードに紐付けされるコードであってもよい。
【0047】
操作者判定処理S80を実施した後で、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定すると扉閉処理S90を実施し、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定しないと扉閉処理S90を実施しない。
【0048】
操作者判定処理S80を実施した後で、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定すると操作者による追加の操作を必要とせずに扉閉処理をS90実施し、操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定しないと扉閉処理S90を実施しなくてもよい。」

(ウ)第一の実施形態の詳述
「【0054】
以下に本発明の幾つかのタイプの実施形態にかかる駐車装置とその制御方法を、詳述する。
最初に、本発明の第一の実施形態にかかる駐車装置とその制御方法を、詳述する。
以下では、前述で説明した点と同一の点は説明を省略し、異なる点のみを、説明する。
【0055】
第一認証操作は操作者が認証用カードをカード読込機器に読み込ませる操作である。
第一コードはカード読み込機器により認証用カードを読み込んで獲得したコードである。
第二認証操作は操作者が文字コードをキー入力機器に入力する操作である。
第二コードはキー入力機器により入力されて獲得した文字コードである。
紐付コードが操作者の持つ認証用カードに予め記録されカード読込機器により読み込み可能なコードに紐付けされる様に予め設定される文字コードである。
第一紐付コードが、第一操作者の持つ認証用カードに予め記録されカード読込機器により読み込み可能なコードに紐付けされる様に予め設定される文字コードである。
例えば、文字コードが認証カードの裏面に印刷される。
【0056】
操作者認証S21は、操作者が認証用カードをカード読込機器に読み込ませる認証操作をまち、その認証操作によりカード読み込機器により認証用カードを読み込んでコードを獲得し、獲得したコードである第一コードに基づいて操作者を認証する。
【0057】
操作者認証S71は、操作者が文字コードをキー入力機器に入力する認証操作をまち、その認証操作によりキー入力機器により入力されて文字コードを獲得し、獲得した文字コードに基づいて操作者を認証する。
第二コードは第二操作者の持つ認証用カードに予め記録されカード読込機器により読み込み可能なコードに紐付けされる様に予め設定される文字コードである。
例えば、文字コードが認証カードの裏面に印刷される。
【0058】
操作者一致?S81は、第一紐付コードと第二コードとが対応するときに、第一操作者と第二操作者が一致すると判断する。
【0059】
以下に、発明の第一の実施形態にかかる駐車装置とその制御方法の作用を説明する。
以下では、ドライバー甲が出庫処理をした後で、ドライバー乙が入庫処理をする場合を例に、説明する。
ドライバー甲が、入出庫空間120の前に移動する。
このとき、入出庫空間扉130の状態は閉状態である。
ドライバー甲が、操作盤の前に立つ。
ドライバー甲が、安全を確認し安全確認釦を押す。
操作盤が、ドライバーにカードをカード読み込機器に読み込ませることを求める。
ドライバー甲は、自分のカードをカード読取機器に読み込ませる
操作盤は、ドライバー甲が契約者であることを確認し、ドライバー甲に次ぎの操作を促す。
ドライバー甲が、スタート釦を押す。
ドライバー甲が待っていると、ドライバー甲の車両が駐車空間から入出庫空間に移動され、車両が入出庫空間に止まると、入出庫空間扉130が開く。
ドライバー甲が、入出庫空間120に入り、車両に乗り込み、車両を入出庫空間120から出す。
ドライバー甲が、車から降り、操作盤の前に行く。
ドライバー甲が、扉閉釦を押す。
操作盤が、ドライバーに文字コードの入力を求める。
ドライバー甲が、予め設定された文字コードをキー入力機器に入力する。
入出庫空間扉が閉状態になる。
ドライバー甲が、車両に乗り込み、去る。
ドライバー乙が、次ぎの入庫を行う。
【0060】
万が一、入出庫空間扉の状態を開状態のままにして、ドライバー甲が立ち去ると以下の通りになる。
ドライバー乙が、入出庫空間扉130が開状態にあるのを発見する。
ドライバー乙が、扉閉釦を押す。
操作盤が、ドライバーに文字コードの入力を求める。
ドライバー乙が、予め設定された文字コードをキー入力機器に入力する。
入出庫空間扉130が閉状態にならない。
所定の時間を経過して、警告信号がでる。
管理人によって、安全を確認した後で、復旧処理を行う。
ドライバー乙が次ぎの入庫を行う。」

(エ)実施形態についての補足
「【0083】
本発明は以上に述べた実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。
車両をパレットに載せて搬送する形式の駐車装置を例に説明したがこれに限定されない。例えば、車両を直接に支持して搬送する形式の駐車装置であってもよいし、車両をコンベヤに乗せて搬送する形式の駐車装置であってもよい。
入出庫空間は、入庫専用空間であってもよい。
入出庫空間は、出庫専用空間であってもよい。
図では、駐車機構はエレベータ方式であるとして説明したが、これに限定されない。例えば、他の形式の駐車機構であってもよい。
地上3段式のばあい、駐車機構は複数の入出庫空間扉をもつ。
駐車空間と入出庫空間とが判然と区別されていない形式の駐車機構であってもよい。」

イ 先願1の当初明細書等に記載された発明
上記ア(ウ)の「第一の実施形態の詳述」に着目すると、「操作者の持つ認証用カード」に、「カード読込機器により読み込み可能なコード」を「予め記録」するとともに、「カード読込機器により読み込み可能なコード」に「紐付けされる様に予め設定される文字コード」である「紐付けコード」を「裏面に印刷」しておき、「操作者認証S21」を「操作者が認証用カードをカード読込機器に読み込ませる」「第一認証操作」とし、「操作者認証S71」を「操作者が文字コードをキー入力機器に入力する」「第二認証操作」とするとともに、カードを読み込ませた際に「契約者であること」が確認される態様を読み取ることができる。
当該態様について、上記ア(イ)における説明も踏まえると、「第一認証処理S20」において、「操作者認証S21」として、「操作者が認証用カードをカード読込機器に読み込ませる」「第一認証操作」により、「認証用カード」に「予め記録」され「カード読込機器により読み込み可能なコード」が「読み取り、入力」された後に、「操作者適任?S22」の判断が行われ、「操作者適任?S22」で「適任」と判断する際に「契約者であることを確認」することが理解できる。また、「操作者が操作盤の扉閉釦を押す」と実施される「第二認証処理S70」におけるコードの入力として、「操作者が文字コードをキー入力機器に入力する」「第二認証操作」によるコードの入力である「操作者認証S71」が実施され、その後「操作者情報記録S73」、「操作者判定処理S80」が実施されることが、理解できる。
そのため、上記ア(ウ)の「第一の実施形態の詳述」に記載される態様に着目して、上記アの記載を総合すると、先願1の当初明細書等には、次の発明(以下、それぞれ「先願1方法発明」及び「先願1装置発明」という。)が記載されていると認められる。

(ア)先願1方法発明
「車両をパレットに乗せて、駐車空間と入出庫扉130を設けられる入出庫空間120との間で移動できる機構である、エレベータ方式の駐車機構100と、
駐車機構100を制御して、車両搬送処理S200と、車両を入出庫空間120で入出庫するのに必要な処理である入出庫処理S100とを実施する、制御機構200とで構成され、
複数の操作者に複数の車両を各々に駐車させる、駐車装置の制御方法であり、
操作者の持つ認証用カードには、カード読込機器により読み込み可能なコードが予め記録されるとともに、カード読込機器により読み込み可能なコードに紐付けされる様に予め設定される文字コードである紐付けコードが裏面に印刷されており、
制御機構200は、入出庫処理S100として、第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40と扉閉指令受取処理S60と第二認証処理S70と操作者判定処理S80と扉閉処理S90とを実施し、
第一認証処理S20は、操作者認証S21として、操作者が認証用カードをカード読込機器に読み込ませる第一認証操作により、認証用カードに予め記録されカード読込機器により読み込み可能なコードを読み取り、入力し、
操作者適任?S22として、入力したコードが予め記録された適任コードテーブルに記載されたものであるとき操作者を適任と判断して契約者であることを確認し、
操作者を適任と判断したとき、操作者情報記録S23として、入力したコードを第一コードとして記録し、入力したコードに紐付けされる紐付けコードを第一紐付けコードとして記録し、
呼出処理S30は、出庫要求であるとき、入力コードに応じたパレット、または入力コードに応じた車両を載せたパレットを入出庫空間120に移動させ、
呼出処理S30を完了すると、入出庫空間扉130の状態を閉状態から開状態に変化させる扉開処理S40を実施し、
扉開処理S40を完了すると、扉閉指令受取処理S60において、操作者が操作盤の扉閉釦を押すと、第二認証処理S70を実施し、
第二認証処理S70として、操作者が文字コードをキー入力機器に入力する第二認証操作により、コードを入力する操作者認証S71、及び、入力したコードを第二コードとして記録する操作者情報記録S73を実施し、
第二認証処理S70を完了すると、操作者判定処理S80において、第一紐付コードと第二コードとが一致するときに第一操作者と第二操作者とが一致すると判定し、
操作者判定処理S80において、第一操作者と第二操作者とが一致すると判定すると、扉閉処理S90を実施する、
駐車装置の制御方法。」

(イ)先願1装置発明
「車両をパレットに乗せて、駐車空間と入出庫扉130を設けられる入出庫空間120との間で移動できる機構である、エレベータ方式の駐車機構100と、
駐車機構100を制御して、車両搬送処理S200と、車両を入出庫空間120で入出庫するのに必要な処理である入出庫処理S100とを実施する、制御機構200とで構成され、
複数の操作者に複数の車両を各々に駐車させる、駐車装置であり、
操作者の持つ認証用カードには、カード読込機器により読み込み可能なコードが予め記録されるとともに、カード読込機器により読み込み可能なコードに紐付けされる様に予め設定される文字コードである紐付けコードが裏面に印刷されており、
制御機構200は、入出庫処理S100として、第一認証処理S20と呼出処理S30と扉開処理S40と扉閉指令受取処理S60と第二認証処理S70と操作者判定処理S80と扉閉処理S90とを実施し、
第一認証処理S20は、操作者認証S21として、操作者が認証用カードをカード読込機器に読み込ませる第一認証操作により、認証用カードに予め記録されカード読込機器により読み込み可能なコードを読み取り、入力し、
操作者適任?S22として、入力したコードが予め記録された適任コードテーブルに記載されたものであるとき操作者を適任と判断して契約者であることを確認し、
操作者を適任と判断したとき、操作者情報記録S23として、入力したコードを第一コードとして記録し、入力したコードに紐付けされる紐付けコードを第一紐付けコードとして記録し、
呼出処理S30は、出庫要求であるとき、入力コードに応じたパレット、または入力コードに応じた車両を載せたパレットを入出庫空間120に移動させ、
呼出処理S30を完了すると、入出庫空間扉130の状態を閉状態から開状態に変化させる扉開処理S40を実施し、
扉開処理S40を完了すると、扉閉指令受取処理S60において、操作者が操作盤の扉閉釦を押すと、第二認証処理S70を実施し、
第二認証処理S70として、操作者が文字コードをキー入力機器に入力する第二認証操作により、コードを入力する操作者認証S71、及び、入力したコードを第二コードとして記録する操作者情報記録S73を実施し、
第二認証処理S70を完了すると、操作者判定処理S80において、第一紐付コードと第二コードとが一致するときに第一操作者と第二操作者とが一致すると判定し、
操作者判定処理S80において、第一操作者と第二操作者とが一致すると判定すると、扉閉処理S90を実施する、
駐車装置。」

(2)甲第2号証
ア 記載事項
甲第2号証には、次の事項が記載されている。

(ア)背景技術、解決しようとする課題及び課題解決手段
「【背景技術】
【0002】
従来、車両を搭載する複数のパレットを有し、所望のパレットを所定の入出庫位置へ移動させて車両の入出庫を行う機械式駐車装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この種の駐車装置における、利用者及び駐車装置の動作は一般的に以下のようなものである。利用者は、駐車装置の操作盤の電源キースイッチに鍵を挿入し、操作して電源を入れ、操作盤に設けられたテンキーで自己が車両の入出庫を行うパレットの番号をキー入力する。次に、入力した情報を確定する旨の設定ボタンを操作し、更にパレットの移動開始を指示する運転ボタンを操作する。そして、駐車装置はパレットの操作を開始し、入力された情報に基づいて当該利用者の入出庫に係るパレットを車両の入出庫が可能な入出庫位置へ移動させる。利用者は入出庫位置に移動したパレットに車両を入庫し、或いはパレットから車両を出庫する。
【特許文献1】特開平11-303438号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の駐車装置では車両の入出庫の際に、電源キースイッチへの鍵の挿入・操作、テンキーへの番号入力、及び各種ボタンの操作といったように利用者に煩雑な操作が要求されるという問題点があった。
【0004】
そこで、本発明は、上記問題点を解決し、利用者の煩雑な操作を要求することなく車両の入出庫作業を行うことが可能な機械式駐車装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の機械式駐車装置は、車両を搭載する複数のパレットと、車両を入出庫させる入出庫口を開閉するゲートとを備え、当該複数のパレットのうち所望のパレットを所定の入出庫位置へ移動させる機械式駐車装置であって、複数のパレットを移動させるパレット駆動手段と、入出庫口を閉じる閉位置と入出庫口を開く開位置との間でゲートを移動させるゲート駆動手段と、所望のパレットに関する情報が予め記憶された外部記憶媒体から当該情報を読み取る情報読取手段と、情報読取手段にて読み取られた所望のパレットに関する情報に基づいて、当該情報に対応するパレットを所望のパレットとして入出庫位置へ移動させるようにパレット駆動手段を制御し、所望のパレットの移動後にゲートを閉位置から開位置に移動させるようにゲート駆動手段を制御し、ゲートの開位置への移動が完了した場合に、複数のパレット及びゲートの移動を禁止するようにパレット駆動手段及びゲート駆動手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
この機械式駐車装置は、情報読取手段によって外部記憶媒体に記憶された情報を読み取り、読み取った情報に基づいて、所望のパレットを入出庫位置へ移動する。このように、この機械式駐車装置は、所望のパレットに関する情報のキー入力を利用者に要求することなく、移動すべきパレットを認識することができる。従って、上記機械式駐車装置によれば、所望のパレットを入出庫位置へ移動させ、ゲートを開け、その後パレット及びゲートの移動を禁止するという一連の動作が、利用者のキー入力等を必要とせず自動的に行われる。」

(イ)実施形態
「【0010】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る機械式駐車装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、同一要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る機械式駐車装置(以下「駐車装置」)1を示す正面図であり、図2は、駐車装置1の側面図である。
【0012】
駐車装置1は、車両を搭載するパレットを12体備え、最大12台の車両を駐車することができる装置である。駐車装置1は後述する利用者の操作に従って、当該利用者の利用に係るパレットを地上面Gの位置へ移動させ、ゲート21を開いて、当該パレットから地上面Gへ矢印A1方向に車両を出庫させ、或いは地上面Gから当該パレットへ矢印A2方向に車両を入庫させることが可能である。駐車装置1は、ゲート21が閉ざされた状態で利用者を待機するようになっており、安全上の観点からこのゲート21が閉ざされた状態が駐車装置1の待機状態として定められている。
【0013】
駐車装置1は、地下1階地上4階の構造を有しており、地上面Gに設けられた下段駐車領域T1と、最上位置に設けられた上段駐車領域T4と、下段駐車領域T1と上段駐車領域T4との間に2段にわたって設けられた中段駐車領域T2,T3と、地上部に位置する下段駐車領域T1の下方に地下駐車領域T0とに、それぞれ複数(この場合、下段駐車領域T1及び中段駐車領域T2,T3にそれぞれ2台、上段駐車領域T4及び地下駐車領域T0にそれぞれ3台)の車両Cを横並びにして駐車させることができるものである。この駐車装置1は、所定の設置箇所(地下駐車領域T0の下面)に立設された複数の支柱5と、それぞれの支柱5の間に架設された複数の横梁部材9とからなる枠体を含む。
【0014】
上段駐車領域T4には、それぞれ車両Cを搭載可能な昇降パレット11,12,13が等間隔に複数(3体)並設されている。また、各昇降パレット11,12,13に対しては、昇降パレット11,12,13に昇降移動動作を与えるための昇降機構(図示せず)がそれぞれに備えられている。各昇降パレット11,12,13の昇降機構はそれ自体公知のものであり、例えば、駆動モータ、ローラチェーン、及び、チェーンスプロケット機構等で構成されている。これにより、昇降機構を作動させれば、各昇降パレット11,12,13は、下段駐車領域T1と上段駐車領域T4との間で昇降する。そして、上段停止位置P4で各昇降パレット11,12,13を停止させることにより上段駐車領域T4が画成される。なお、枠体には、上段駐車領域T4に各昇降パレット11,12,13を確実に係止するための図示しない安全機構が配設されている。
【0015】
中段駐車領域T2,T3には、それぞれ車両Cを搭載可能であり、車両Cの横並び方向にスライド移動(横行)自在であると共に、中段駐車領域T2,T3と下段駐車領域T1との間で昇降させられる中段パレット15が複数並設されている。各中段パレット15に対しては、中段パレット15に横行移動動作を与えるための横行機構(図示せず)及び昇降移動動作を与えるための昇降機構(図示せず)がそれぞれに備えられている。これらの駆動機構及び昇降機構は、それ自体公知のものであり、例えば、駆動モータ等を含んでいる。
【0016】
各中段パレット15は、それぞれ横梁部材9等に対して設けられた図示しないガイドレール等に沿ってスライド移動(横行)自在である。また、各中段駐車領域T2,T3における中段パレット15の数は、昇降パレット11,12,13の個数よりも1体少ない数(2体)に設定されている。従って、上段駐車領域T4に位置する何れか1体の昇降パレット11,12,13を昇降させる際には、各中段パレット15を適宜横行させ、当該昇降パレット11,12,13の真下に通過領域を確保すればよい。
【0017】
各中段パレット15の中段駐車領域T2(T3)における停止位置は、例えば、昇降パレット11,12,13の上段駐車領域T4における上段停止位置P4の真下に定められている。また、各中段パレット15の下段駐車領域T1における着床位置は、例えば、昇降パレット11,12,13の下段駐車領域T1における着床位置P1と同一に定められている。下段駐車領域T1における着床位置P1は、地上面Gと上下方向で略同じ位置とされている。そのため、車両Cは、地上面Gから下段駐車領域T1へ着床したパレットへ入庫、または下段駐車領域T1へ着床したパレットから地上面Gへ出庫することが可能である。このように、下段駐車領域T1の着床位置P1は、入出庫位置として設定される。
【0018】
すなわち、中段駐車領域T2(T3)と下段駐車領域T1との間で中段パレット15を昇降させる際には、図1に示すように、中段駐車領域T2(T3)において対象となる中段パレット15を適宜横行させ、昇降機構を作動させる。これにより、各中段パレット15は、中段駐車領域T2(T3)と下段駐車領域T1に定められた着床位置との間を鉛直に上下動する。
【0019】
下段駐車領域T1は、各支柱5の内側、かつ、上段駐車領域T4の下方に画成される。この下段駐車領域T1には、車両Cを搭載可能な下段パレット17が複数、すなわち、昇降パレット11,12,13の個数よりも1体少ない数(2体)だけ並設されている。各下段パレット17には、その正面と背面とに2個ずつ図示しない車輪が設けられており、各車輪は、枠体等に対して設けられた図示しないガイドレール上を転動する。ガイドレールは、横梁部材9と平行に延在する。
【0020】
また、各下段パレット17に対しては、下段パレット17に横行移動動作を与えるための駆動機構(図示せず)がそれぞれに備えられている。各下段パレット17の駆動機構はそれ自体公知のものであり、例えば、駆動モータ等を含んでいる。これにより、駆動機構を作動させれば、各下段パレット17を、各昇降パレット11,12,13の並設方向、すなわち、車両Cの横並び方向にスライド移動(横行)させることができる。そして、各下段パレット17を適宜横行させることにより、上段駐車領域T4に位置する何れか1体の昇降パレット11,12,13あるいは、中段駐車領域T2(5)に位置する何れか1体の中段パレット15に対して、下段駐車領域T1における着床位置P1を確保することができる。
【0021】
地下駐車領域T0には、下段駐車領域T1に定められた地上停止位置と、地下駐車領域T0に定められた地下着床位置との間を昇降自在な地下パレット19が複数(この場合、3体)設けられている。各地下パレット19に対しては、地下パレット19に昇降移動動作を与えるための昇降機構(図示せず)がそれぞれに備えられている。この昇降機構は、それ自体公知のものであり、例えば、駆動モータ等を含んでいる。なお、各地下パレット19の地上停止位置は、例えば、昇降パレット11,12,13の下段駐車領域T1における着床位置P1と同一に定められる。
【0022】
上記のように、駐車装置1には、3体の昇降パレット11、12、13、4体の中段パレット15、2体の下段パレット17、及び3体の地下パレット19の合計12体のパレットが存在するが、各パレットにはそれぞれ固有のパレット番号(例えば1番?12番)が採番され区別されている。
【0023】
また、この駐車装置1には、駐車装置1の稼働時における安全性を向上させるために、駐車装置1内への人の進入を防止し、また、地下への人などの転落を防止するために、車両入出庫口Q1にゲート21が設けられている。このゲート21は、車両入出庫口Q1を閉じる閉位置22aと、車両入出庫口Q1を開く開位置22bとの間を移動(昇降)可能に設けられている。ゲート21を移動させる昇降機構は、それ自体公知のものであり、チェーン、駆動モータ等を含んでいる。ゲート21の開位置22bの高さには、支柱5に固定されたリミットスイッチ24が設けられている。リミットスイッチ24は、ゲート21に接触することでゲート21が開位置22bへの移動したことを検知する検知手段として機能する。
【0024】
正面の支柱5には、利用者が操作を行う操作盤23が配設されている。操作盤23は、図3に示すように、カード読取部25、警告灯27、表示部29、指示入力部31、非常停止ボタン33、ロック解除ボタン34等を含んでいる。カード読取部(情報読取手段)25は、例えば、外部情報記憶媒体としてのICカード91(後述する)が近づくことにより、ICカード91を検出し、ICカード91との間で電波の授受によってICカード91に記憶された情報を読み込む、いわゆる非接触型のICカード読取装置が用いられる。カード読取部25は、ICカード91が通信可能な所定の距離範囲内に存在する場合にはICカード91を検出した旨の電気信号を統括制御部37(後述する)へ送信する。表示部29は、表示制御部49に制御され、ICカード91から読み込んだ情報の中のパレット番号や駐車装置1の動作状態等を表示する。警告灯27は、所定の場合に点灯又は点滅することによって動作状態を周囲に表示する。非常停止ボタン33は、例えば非常の際に利用者に操作されることによって駐車装置1の動作を停止させる。指示入力部31はテンキーを含む入力装置であり、利用者の指示が必要な所定の場合に、利用者による入力を受け付ける。ロック解除ボタン34は、駐車装置1が操作ロック状態にある際に、利用者に操作されることによって、当該操作ロック状態を解除する。操作ロック状態とは、利用者が車両を入出庫させる間に各パレット11等及びゲート21が誤って動くことがないように、操作盤23による利用者の操作が受け付けられなくなる状態である。操作ロック状態においては、操作盤23からの入力に関わらず各パレット11等の移動及びゲート21の移動が禁止される。
【0025】
駐車装置1の背面には、各パレットを駆動するためのパレット駆動モータ、ゲート21を駆動するゲート駆動モータ、及び操作盤23の動作等を制御するための制御盤35が、地上面G上に臨んだ状態で配設されている。
【0026】
図4は、駐車装置1の制御構成を示すブロック図である。制御盤35は、たとえばROM及びRAMを含む制御用CPU(図示せず)等を有している。制御用CPUは、ROMに記憶された制御プログラムを読み出して制御を行うことにより、図4に示されるように、統括制御部37、諸元データ記憶部41、通信制御部43、入力制御部47、表示制御部49、モータ制御部50等を含むように構成されることになる。
【0027】
モータ制御部50は、制御系信号線(図示せず)を介して、各昇降パレット11,12,13に対する昇降機構のパレット駆動モータ61、各中段パレット15に対する横行機構のパレット駆動モータ61又は昇降機構のパレット駆動モータ61、各下段パレット17に対する駆動機構のパレット駆動モータ61、各地下パレット19に対する昇降機構のパレット駆動モータ61、あるいは、ゲート21に対する昇降機構のゲート駆動モータ63に接続されており、各駆動モータの駆動状態を制御するための駆動制御信号がそれぞれのパレット駆動モータ61、ゲート駆動モータ63に供給される。モータ制御部50及びパレット駆動モータ61はパレット駆動手段として機能する。また、モータ制御部50及びゲート駆動モータ63はゲート駆動手段として機能する。また、モータ制御部50、パレット駆動モータ61及びゲート駆動モータ63は統括制御部37によって制御され動作しており、統括制御部37はパレット駆動手段及びゲート駆動手段を制御する制御手段として機能する。
【0028】
カード読取部25は、通信制御部43を介して統括制御部37に接続されている。カード読取部25は、通信制御部43に制御され、ICカード91とのデータ授受を行う。表示部29及び警告灯27は表示制御部49を介して統括制御部37に接続されている。表示部29は、表示制御部49に制御され、所定の情報を表示する。警告灯27は表示制御部49に制御され、所定の場合に点灯又は点滅の表示を行う。リミットスイッチ24、非常停止ボタン33、ロック解除ボタン34及び指示入力部31は、入力制御部47を介して統括制御部37に接続されている。リミットスイッチ24は、ゲート21が接触することによって制御信号を統括制御部37へ送信する。非常停止ボタン33は、利用者に操作されることによって制御信号を統括制御部37へ送信する。この制御信号を受信した統括制御部37は、モータ制御部50へ制御信号を送信し、パレット駆動モータ61、ゲート駆動モータ63を停止させる。ロック解除ボタン34は、利用者に操作されることによって制御信号を統括制御部37へ送信する。この制御信号を受信した統括制御部37は、操作ロック状態を解除する。指示入力部31は、利用者に操作されることによって当該操作に応じた制御信号を統括制御部37へ送信する。利用者の操作に応じた制御信号を受信した統括制御部37は、モータ制御部50へ制御信号を送信し、利用者の操作に応じてパレット駆動モータ61、ゲート駆動モータ63を駆動する。
【0029】
ICカード91としては、例えば、いわゆる非接触型ICカードが用いられる。ICカード91はデータ記憶部93及び通信部95を有している。ICカード91は通常、駐車装置1の利用者に保持されており、データ記憶部93には所望のパレットに関する情報としてパレット番号が記憶されている。本実施形態では、データ記憶部93にはパレット番号の他、利用者IDも記憶されている。利用者IDとは、駐車装置1を利用する利用者を識別するためのIDデータであり、利用者毎に固有の情報である。パレット番号とは、当該ICカード91を保持する利用者が利用するパレットに関する情報であって、当該利用者が何れのパレットを利用するか(例えば、1番?12番)を示すデータである。このパレット番号は、駐車装置1の各パレットに採番されたパレット番号に対応して記憶されている。通信部95はカード読取部25との間での情報の通信を行う。データ記憶部93に記憶された情報は通信部95を介して駐車装置1側へと伝達される。
【0030】
利用されるパレット1体に対しては複数のICカードを対応させることが可能である。すなわち、これらの複数のICカードの組においては、記憶された利用者IDは互いに異なるが、パレット番号が同一である。例えば、複数の利用者でパレット1体を共用する場合、各利用者が上記のようなICカードの組の1枚ずつを保持するといった運用がなされる。一方、利用者IDは上述のとおり利用者毎に固有の番号であるので、利用者IDが同一であるカードの組が存在しないように運用される。このため、例えば、パレットを移動させるステップ(後述する)で読み取られたICカードと、ゲート21を閉じるステップ(後述する)で読み取られたICカードについて、読み取られた利用者IDが同一である場合には、両者のICカード自体が同一であると判断することができる。
【0031】
また、たとえば、利用者の自宅の鍵をICカード型の鍵とし、ICカード91の通信プロトコル、データ体系等に整合させて自宅の鍵の設定をすることとすれば、ICカード91に自宅の鍵及び駐車装置1の鍵の機能を兼用させる運用が可能である。また、データ記憶部93には他の情報、例えば利用者の個人情報等が記憶されてもよい。
【0032】
図5は、駐車装置1における車両の入出庫処理のフロー図である。本図を参照しながら、駐車装置1の入出庫処理及び利用者の動作について説明する。
【0033】
まず、車両を入出庫しようとする利用者は、駐車装置1のカード読取部25にICカード91を接触させる。待機状態(S202)にあった駐車装置1では、カード読取部25でICカード91が検出されて(S204)、電源が入り、カード読取部25からデータ記憶部93に記憶された利用者ID及びパレット番号が読み込まれる(S206)。そして、諸元データ記憶部41に記憶されたデータと読み込まれた利用者ID及びパレット番号との比較が行われ、ICカード91の正当性がチェックされる(S208)。この正当性チェックでは、例えば、利用者IDが正しいデータであるか否か、利用者に駐車装置1の操作の権限があるか否か、パレット番号が駐車装置1に存在するパレットか否かが確認される。このとき、読み込まれた利用者ID又はパレット番号が不当であると判断された場合は、ICカード91が正当なカードではなく、カードの保持者に駐車装置1の操作の権限がないものとみなして、処理はS202の待機状態へ戻る。
【0034】
S208において、ICカード91が正当なカードであると判断された場合には、パレット駆動モータ61が駆動され、パレットの移動が開始される(S216)。このパレットの移動は、ICカード91から読み込まれたパレット番号に対応するパレット(所望のパレット)を下段駐車領域T1の着床位置P1(入出庫位置)へ移動させるべく、あらかじめ定められた順序で行われる。このとき、着床位置P1に移動させるべきパレットは複数ある下段駐車領域T1のうち、何れの着床位置P1へ移動されてもよい。なお、このパレット移動中には、ICカード91から読み込まれた利用者ID、パレット番号、及び所定のメッセージ等が表示部29に表示されてもよい。上記パレットの着床位置P1への移動が完了した後、ゲート21を開くべく、ゲート駆動モータ63が駆動される(S218)。そして、リミットスイッチ24によってゲート21が完全に開いたことが検知された後(S222)、駐車装置1は操作ロック状態とされ(S224)、ロック解除ボタン34が操作されるまで待機される(S226)。
【0035】
このように、駐車装置1は、ICカード91に記憶されたパレット番号をカード読取部25で読み取ることができ、統括制御部37はパレット番号のキー入力等を利用者へ要求することなく、着床位置P1へ移動させるべきパレット番号を直接認識することができる。よって、車両を入出庫しようとする利用者は、ICカード91をカード読取部25に接触させる動作のみで、所望のパレットを着床位置P1へ移動し、ゲート21を開き、操作ロックを行うという一連の入出庫の準備を自動的に行わせることができる。
【0036】
その後、駐車装置1が操作ロック状態にある間に、利用者は、着床位置P1のパレットに車両Cを入庫、或いは着床位置P1のパレットから車両Cを出庫する。車両Cを入庫する場合にあっては、利用者は、着床位置P1に移動したパレットへ車両Cごと進入し、その後車両Cを降りて駐車装置1から離れる。また、車両Cを出庫する場合にあっては、利用者は、駐車装置1内へ進入し、着床位置P1に移動したパレット上にある車両Cに搭乗し、車両Cごと駐車装置1から出る。
【0037】
このような入出庫が行われている最中に、パレット11等やゲート21が誤って動いてしまうと危険であるので、上記のように自動的に駐車装置1を操作ロック状態にすることとしている。この操作ロックによって、車両の入出庫時にパレット11等やゲート21の移動が禁止されるように制御されるので、利用者が安全に車両の入出庫を行うことができる。なお、操作ロック状態にある間は、その旨を利用者に確認させるため、表示部29に操作ロック状態である旨が表示されてもよく、警告灯27を点灯させる等の動作がされてもよい。
【0038】
続いて、車両の入出庫を終えた利用者は、操作盤23のロック解除ボタン34の操作(例えば、ボタンの押下)を行う。駐車装置1ではロック解除ボタン34の操作が検出され(S226)、操作ロック状態が解除される(S228)。このように、操作ロック状態を解除する際にロック解除ボタン34を操作させることで、駐車装置1が次の動作に移行することを利用者に意識させ、安全確認を促すことができる。
【0039】
操作ロック状態の解除の後、利用者は、再びICカード91をカード読み取り部25へ接触させる。駐車装置1では、検出されたICカードが、先のS204に用いられたカードと同じであることが確認され(S232)、ゲート21を閉じるべくゲート駆動モータ63が駆動される(S234)。そして、ゲート21が閉じ切った後(S236)には、入出庫が終了した旨のメッセージが表示部29に表示され(S238)、電源が切られて待機状態(S202)へ戻る。なお、ゲート21が閉じきった後(S236の後)に、ICカード91を再びカード読取部25に接触させることを要求する処理を加えてもよい。このようにすれば、ゲート21が閉じきる前に利用者が立ち去ることを抑制することができるので、安全性を高めることができる。また、このとき、ICカード91が接触されなかった場合には、利用者が安全確認を怠ったことへのペナルティとして、当該利用者のICカード91を次回から使用不可能とする処理をしてもよい。」
(当審注;段落【0039】の「カード読み取り部25」は、「カード読取部25」の誤記と認める。)

(ウ)図5
図5には、駐車装置1における車両の入出庫処理のフローとして、次の図が示されている。



上記(イ)の段落【0025】の記載を踏まえると、図5の処理フローは、各パレットを駆動するためのパレット駆動モータ、ゲート21を駆動するゲート駆動モータ、及び操作盤23の動作を制御する制御盤35の制御の下で実施されると言えるから、甲第2号証には、駐車装置1における車両の入出庫処理の制御方法が記載されていると言うことができる。

イ 甲第2号証に記載された発明
上記アより、甲第2号証には、次の発明(以下、それぞれ「甲2方法発明」及び「甲2装置発明」という。)が記載されていると認められる。

(ア)甲2方法発明
「地下1階地上4階の構造を有し、車両を搭載するパレットを備え、利用者の利用に係るパレットを値上面Gの位置に移動させる、機械式駐車装置である駐車装置1であって、
駐車装置1のカード読取部25、
各パレットを駆動するためのパレット駆動モータ、ゲート21を駆動するゲート駆動モータ、及び操作盤23の動作を制御する制御盤35、
を有する駐車装置1において、
車両を入出庫しようとする利用者が、ICカード91をカード読取部25に接触させる動作のみで、所望のパレットを着床位置P1へ移動し、ゲート21を開き、操作ロックを行うという一連の入出庫の準備を自動的に行わせ、所望のパレットに関する情報のキー入力を利用者に要求することなく、移動すべきパレットを認識する、利用者の煩雑な操作を要求することなく車両の入出庫作業を行うことが可能な、駐車装置1における車両の入出庫処理の制御方法であり、
ICカード91のデータ記憶部93には、当該ICカード91を保持する利用者が利用する駐車装置1のパレットに採番されたパレット番号、及び駐車装置1を利用する利用者を識別するためのIDデータである利用者IDが記憶されており、
待機状態(S202)の駐車装置1において、カード読取部25でICカード91が検出されると(S204)、カード読取部25からデータ記憶部93に記憶された利用者ID及びパレット番号が読み込まれ(S206)、
制御盤35の諸元データ記憶部41に記憶されたデータと読み込まれた利用者ID及びパレット番号との比較が行われ、ICカード91の正当性がチェックされ(S208)、
ICカード91が正当なカードであると判断された場合には、パレット駆動モータ61が駆動され、ICカード91から読み込まれたパレット番号に対応するパレットの着床位置P1への移動が完了した後、ゲート21を開くべく、ゲート駆動モータ63が駆動され、
ゲート21が完全に開いたことが検知された後(S222)、駐車装置1は操作ロック状態とされ(S224)、ロック解除ボタン34が操作されるまで待機され(S226)、
操作ロック状態の解除の後、利用者が、再びICカード91をカード読取部25へ接触させると、駐車装置1では、検出されたICカードが、先のS204に用いられたカードと同じであることが確認され(S232)、ゲート21を閉じるべくゲート駆動モータ63が駆動され、
利用されるパレット1体に対しては複数のICカードを対応させることが可能であり、複数の利用者でパレット1体を共用する場合、各利用者が、記憶された利用者IDは互いに異なるが、パレット番号が同一である、複数のICカードの組の1枚ずつを保持する一方、利用者IDが同一であるカードの組が存在しないように運用され、パレットを移動させるステップで読み取られたICカードと、ゲート21を閉じるステップで読み取られたICカードについて、読み取られた利用者IDが同一である場合には、両者のICカード自体が同一であると判断する、
駐車装置1における車両の入出庫処理の制御方法。」

(イ)甲2装置発明
「地下1階地上4階の構造を有し、車両を搭載するパレットを備え、利用者の利用に係るパレットを値上面Gの位置に移動させる、機械式駐車装置である駐車装置1、
駐車装置1のカード読取部25、
各パレットを駆動するためのパレット駆動モータ、ゲート21を駆動するゲート駆動モータ、及び操作盤23の動作を制御する制御盤35、
を有し、
車両を入出庫しようとする利用者が、ICカード91をカード読取部25に接触させる動作のみで、所望のパレットを着床位置P1へ移動し、ゲート21を開き、操作ロックを行うという一連の入出庫の準備を自動的に行わせ、所望のパレットに関する情報のキー入力を利用者に要求することなく、移動すべきパレットを認識する、利用者の煩雑な操作を要求することなく車両の入出庫作業を行うことが可能な、駐車装置1であり、
ICカード91のデータ記憶部93には、当該ICカード91を保持する利用者が利用する駐車装置1のパレットに採番されたパレット番号、及び駐車装置1を利用する利用者を識別するためのIDデータである利用者IDが記憶されており、
待機状態(S202)の駐車装置1において、カード読取部25でICカード91が検出されると(S204)、カード読取部25からデータ記憶部93に記憶された利用者ID及びパレット番号が読み込まれ(S206)、
制御盤35の諸元データ記憶部41に記憶されたデータと読み込まれた利用者ID及びパレット番号との比較が行われ、ICカード91の正当性がチェックされ(S208)、
ICカード91が正当なカードであると判断された場合には、パレット駆動モータ61が駆動され、ICカード91から読み込まれたパレット番号に対応するパレットの着床位置P1への移動が完了した後、ゲート21を開くべく、ゲート駆動モータ63が駆動され、
ゲート21が完全に開いたことが検知された後(S222)、駐車装置1は操作ロック状態とされ(S224)、ロック解除ボタン34が操作されるまで待機され(S226)、
操作ロック状態の解除の後、利用者が、再びICカード91をカード読取部25へ接触させると、駐車装置1では、検出されたICカードが、先のS204に用いられたカードと同じであることが確認され(S232)、ゲート21を閉じるべくゲート駆動モータ63が駆動され、
利用されるパレット1体に対しては複数のICカードを対応させることが可能であり、複数の利用者でパレット1体を共用する場合、各利用者が、記憶された利用者IDは互いに異なるが、パレット番号が同一である、複数のICカードの組の1枚ずつを保持する一方、利用者IDが同一であるカードの組が存在しないように運用され、パレットを移動させるステップで読み取られたICカードと、ゲート21を閉じるステップで読み取られたICカードについて、読み取られた利用者IDが同一である場合には、両者のICカード自体が同一であると判断する、
駐車装置1。」

(3)甲第3号証
甲第3号証には、図面とともに以下の記載がある。

「【0044】
図8を参照しながら、駐車設備1への入庫操作、および、それに対応した案内放送等を伴う駐車装置の動きを説明する。
【0045】
(1)まず、入庫しようとする利用者(ドライバー等)が入出庫口の手前で車両を停止する。(2)利用者は運転操作盤による操作の開始作業として暗証番号を入力する。(3)ついでスタート釦を押す。(4)この操作に伴い、図7に示す手順に沿って前述した案内放送の音量モードが通常モードか抑制モードかに設定される。一方、(5)駐車装置においては最適の空パレットが呼び出され、(6)当該空パレットが入出庫室に着床する。(7)その後、入出庫口の扉が開かれる。
【0046】
(8)利用者は車両を入出庫室内へ進入させ、着床している空パレットに乗り入れる。(9)この動作と並行するように、前記各センサPH1?PH6による検知結果に応じて入庫案内灯が「前進」、「停車」、「後退」等の表示をする。(10)放送装置からも、センサPH1?PH6による検知結果に応じて、図5に例示したような入庫時の注意案内メッセージや誘導案内メッセージが放送される。センサによって車両がパレット上の適正位置に至ったことが確認されると、(11)入庫案内灯が「停車」の表示を所定時間継続して表示し、(12)放送装置は図5に例示したような停車案内メッセージを放送する。(13)停車が完了すると車両搭乗者は降車して入出庫口から退室する。
【0047】
(14)センサが利用者の退室を検知すると、放送装置から図5に例示する操作案内メッセージ「・・・安全確認釦を押した後、扉閉釦を押してください。」が放送される。この放送は扉が開いている間は間欠的に反復放送される。(15)入出庫室から退場した利用者は、前記操作案内メッセージに応じて入出庫室内の安全を確認したうえで、(16)運転操作盤上の安全確認釦を押す。(17)そうすると安全確認釦のランプが消灯し、扉を終日が可能な状態となる。(18)利用者が終了扉閉釦を押すと、(19)入出庫口の扉が閉まり、(20)前記操作案内メッセージが終了する。(21)当該車両を搭載した入庫パレットは所定の駐車棚に搬送されて格納され、入庫動作が完了する。」

(4)甲第4号証
甲第4号証には、図面とともに以下の記載がある。

「【0046】
図13は、本実施形態に係る制御プログラムをフローチャートで示している。この制御プログラムは主制御部17に記憶されている。また、この制御プログラムは、車両の入庫時と出庫時とで概ね同一である。
【0047】
この制御の流れを順に説明すると、制御開始後、まずステップS1でユーザーによる第1の認証操作が実行されたか否かが判定される。このステップS1の判定結果がNOの場合は元に戻り、このステップS1の判定結果がYESであれば次のステップS2に移行して第1の認証操作を行ったユーザーが機械式立体駐車場1の正式な契約者であるか否かが判定される。このステップS2の判定結果がNOの場合にはステップS3に移行してエラー表示処理がなされ、表示画面31と音声スピーカ32によりエラー表示がなされる。
【0048】
ステップS2の判定結果がYESの場合はステップS4に移行し、ユーザーによる第1の認証操作に基づいて該ユーザーの認証を行う第1の認証処理が実行される。この第1の認証処理では、ユーザーの暗証番号またはICカードの情報が記憶されるとともに、入庫か出庫かの判定が下される。同時に、表示画面31と音声スピーカ32によってユーザーに起動ボタン35を押すように指示がなされるため、ユーザーが起動ボタン35を押す。これを受けて主制御部17ではステップS5に移行して搬送呼出処理が実行され、入庫時には空のパレット5が、出庫時には当該車両が積載されたパレット5が、それぞれパレット駆動機構25によって入出庫口3の位置に搬送される。このパレット5の到着とともにステップS6に移行して開扉処理が実行され、入出庫扉開閉機構22により入出庫扉11が開扉される。このためユーザーは、入庫の際には車両をパレット5上の規定位置に停車させ、出庫の際にはパレット5に積載された車両を入出庫口3の外に出庫させる。
【0049】
次に、制御はステップS7に移行し、ユーザーによる第2の認証操作が実行されたか否かが判定される。このステップS7の判定結果がYESの場合、即ちユーザーにより第2の認証操作がなされている場合はステップS8に移行し、ユーザーの第2の認証操作に基づいて該ユーザーの認証を再度行う第2の認証処理が実行される。この第2の認証処理では、ユーザーの暗証番号やICカードの情報が再度記憶される。続いてステップS9に移行し、第1の認証処理における認証情報と第2の認証処理における認証情報とが一致しているか否かを照合する照合処理が認証照合部21において実行される。この照合処理では、第1の認証操作と第2の認証操作とで、ユーザーの暗証番号またはICカードの情報が一致しているか否かが判定される。
【0050】
ステップS9の判定結果がYESの場合、即ち第1の認証操作を行ったユーザーの認証情報と第2の認証操作を行ったユーザーの認証情報とが一致した場合には、ステップS11に移行して安全確認報知処理が実行され、表示画面31と音声スピーカ32によってユーザーに車庫装置4内の安全確認を行うよう報知がなされ、さらに閉扉ボタン36を押して入出庫扉11を閉じるように指示がなされる。ユーザーは安全確認を行って閉扉ボタン36を押すため、ステップS12に移行して閉扉処理が実行され、入出庫扉開閉機構22によって入出庫扉11が閉じられ、制御は最初に戻る。」


第5 判断
上記第3のとおり、本件訂正請求による訂正は全て認められたので、本件訂正発明1ないし8について、取り消されるべきか否かを判断する。

1 取消理由通知に記載した取消理由について
(1)本件訂正発明1について
ア 先願1方法発明との対比
本件訂正発明1と先願1方法発明とを対比する。
先願1方法発明における「パレット」は、「車両をパレットに乗せて、駐車空間と入出庫扉130を設けられる入出庫空間120との間で移動できる」ものであるから、本件訂正発明1における「車両を搬送する車両搬送手段」に相当する。
先願1方法発明における「エレベータ方式の駐車機構100」は、本件訂正発明1における「車庫装置」に相当する。
先願1方法発明における「カード読込機器」及び「キー入力機器」は、「駐車機構100」に備えられていることが明らかであるとともに、「操作者認証S21」及び「操作者認証S71」で用いられる、認証のための手段と言うことができるから、本件訂正発明1における「前記車庫装置に設けられた認証手段」に相当する。
先願1方法発明における「制御機構200」は、「第一認証処理S20」及び「第二認証処理S70」で入力された「コード」に基づいて、「操作者判定処理S80」において、「第一操作者と第二操作者とが一致すると判定すると扉閉処理S90を実施」するから、本件訂正発明1における「前記認証手段からの認証情報の取得に基づいて前記車庫装置の入出庫扉の開閉を制御する制御装置」に相当する。
先願1方法発明において、「エレベータ方式の駐車機構100」と「制御機構200」とで構成される、「複数の操作者に複数の車両を各々に駐車させる、駐車装置」は、「駐車機構100」に「カード読込機器」及び「キー入力機器」が備えられていることが明らかであることを勘案すると、本件訂正発明1における、「車庫装置」と「車庫装置に設けられた認証手段」及び「制御装置」を備える「機械式立体駐車設備」に相当する。そして、先願1方法発明が「駐車装置」の「制御方法」であることは、本件訂正発明1が「機械式立体駐車設備の制御方法」であることに相当する。
先願1方法発明においては、「操作者の持つ認証用カードには、カード読込機器により読み込み可能なコードが予め記録されるとともに、カード読込機器により読み込み可能なコードに紐付けされる様に予め設定される文字コードである紐付けコードが裏面に印刷されて」おり、「カード読込機器により読み込み可能なコード」が「予め記録された適任コードテーブルに記載されたものであるとき」には「契約者であること」が「確認」されるところ、「契約者」であると確認される「操作者の持つ認証用カード」に「予め記録」される「カード読込機器により読み込み可能なコード」、及び、当該「認証用カード」の「裏面に印刷」される「カード読込機器により読み込み可能なコードに紐付けされる様に予め設定される文字コードである紐付けコード」は、本件訂正発明1において、「予め、駐車場の利用契約に応じて契約者毎に付与」された「第1認証情報」及び「第2認証情報」に相当する。
先願1方法発明において、「契約者であること」が「確認」される「操作者」について、「認証用カードに予め記録されカード読込機器により読み込み可能なコード」と「カード読込機器により読み込み可能なコードに紐付けされる様に予め設定される文字コードである紐付けコード」のうち、「認証用カードに予め記録されカード読込機器により読み込み可能なコード」を「適任コードテーブル」に「予め記録」しておくことと、本件訂正発明1において、「第1認証情報及び第2認証情報」を「第1記憶ステップ」で「予め」「第1記憶手段に記憶しておく」こととは、「第1記憶ステップ」において、「第1認証情報及び第2認証情報」のうち、「第1認証情報」を「第1記憶手段に記憶しておく」点で、共通する。
先願1方法発明において、「第一認証処理S20」の「操作者認証S21」として、「操作者が認証用カードをカード読込機器に読み込ませる第一認証操作により、認証用カードに予め記録されカード読込機器により読み込み可能なコードを読み取り、入力」する構成は、「第一認証処理S20」が「呼出処理S30」及び「扉開処理S40」より前に実施されることを勘案すると、本件訂正発明1において、「前記車庫装置の入出庫扉を開く前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第1取得ステップ」に相当する。
先願1方法発明において、「第一認証処理S20」の「操作者認証S21」で「入力」された「コード」は、本件訂正発明1における、「前記第1取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報」に相当する。そのため、先願1方法発明において、「第一認証処理S20」の「操作者適任?S22」として、「入力したコードが予め記録された適任コードテーブルに記載されたものであるとき操作者を適任と判断して契約者であることを確認」することは、本件訂正発明1において、「前記第1取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致するか否かを判定する第1認証ステップ」に相当する。
先願1方法発明において、「第一認証処理S20」の「操作者適任?S22として、入力したコードが予め記録された適任コードテーブルに記載されたものであるとき操作者を適任と判断」した際に、「操作者情報記録S23として、入力したコードを第一コードとして記録」する構成と、本件訂正発明1において、「前記第1認証ステップにおいて前記認証情報と一致すると判定された前記第1認証情報を第2記憶手段に記憶しておく第2記憶ステップ」とは、「前記第1認証ステップにおいて前記認証情報と一致すると判定された前記第1認証情報を記憶手段に記憶しておく第2記憶ステップ」という点で共通する。
先願1方法発明において、「第一認証処理S20」の後の「呼出処理S30」において、「出庫要求であるとき、入力コードに応じたパレット、または入力コードに応じた車両を載せたパレットを入出庫空間120に移動させ」る構成は、本件訂正発明1において、「前記第1認証ステップにおいて前記認証情報が前記第1記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致すると判定された後に前記車両搬送手段を呼び出す搬送呼出ステップ」に相当する。
先願1方法発明において、「呼出処理S30を完了すると、入出庫空間扉130の状態を閉状態から開状態に変化させる扉開処理S40を実施」する構成は、本件訂正発明1において、「前記車両搬送手段の到着後に前記入出庫扉を開く開扉ステップ」に相当する。
先願1方法発明において、「扉閉指令受取処理S60において、操作者が操作盤の扉閉釦を押すと、第二認証処理S70を実施し、第二認証処理S70として、操作者が文字コードをキー入力機器に入力する第二認証操作により、コードを入力する操作者認証S71、及び、入力したコードを第二コードとして記録する操作者情報記録S73を実施」する構成は、「扉閉処理S90」より前に実施されることを勘案すると、本件訂正発明1において、「前記入出庫扉を閉じる前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第2取得ステップ」に相当する。
先願1方法発明における「第一紐付けコード」は、「第一認証処理S20」において、「操作者適任?S22として、入力したコードが予め記録された適任コードテーブルに記載されたものであるとき操作者を適任と判断して契約者であることを確認」された「紐付けコード」であり、「契約者であることを確認」された操作者の持つ「認証用カード」の「カード読込機器により読み込み可能なコードに紐付けされる様に予め設定される文字コード」であるから、本件訂正発明1における「前記第1認証ステップで一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた前記第2認証情報」に相当する。そのため、先願1方法発明において、「第二認証処理S70を完了すると、操作者判定処理S80において、第一紐付コードと第二コードとが一致するときに第一操作者と第二操作者とが一致すると判定」する構成は、本件訂正発明1において、「前記第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証ステップで一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた第2認証情報と一致するか否かを判定する第2認証ステップ」に相当し、先願1方法発明における「操作者判定処理S80」は本件訂正発明1における「第2認証ステップ」に相当する。
先願1方法発明において、「操作者判定処理S80が第一操作者と第二操作者とが一致すると判定すると扉閉処理S90を実施」する構成は、上述した「操作者判定処理S80」と本件訂正発明1における「第2認証ステップ」との相当関係を踏まえると、本件訂正発明1における「前記第2認証ステップにおいて前記第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証ステップで一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた前記第2認証情報と一致すると判定された後に前記入出庫扉を閉じる閉扉ステップ」に相当する。

整理すると、先願1方法発明と本件訂正発明1とは、
「車両を搬送する車両搬送手段を有する車庫装置と、前記車庫装置に設けられた認証手段と、前記認証手段からの認証情報の取得に基づいて前記車庫装置の入出庫扉の開閉を制御する制御装置とを備える機械式立体駐車設備の制御方法であって、
予め、駐車場の利用契約に応じて契約者毎に付与された第1認証情報と第2認証情報のうち、第1認証情報を第1記憶手段に記憶しておく第1記憶ステップと、
前記車庫装置の入出庫扉を開く前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第1取得ステップと、
前記第1取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致するか否かを判定する第1認証ステップと、
前記第1認証ステップにおいて前記認証情報と一致すると判定された前記第1認証情報を記憶手段に記憶しておく第2記憶ステップと、
前記第1認証ステップにおいて前記認証情報が前記第1記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致すると判定された後に前記車両搬送手段を呼び出す搬送呼出ステップと、
前記車両搬送手段の到着後に前記入出庫扉を開く開扉ステップと、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第2取得ステップと、
前記第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証ステップで一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた第2認証情報と一致するか否かを判定する第2認証ステップと、
前記第2認証ステップにおいて前記第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証ステップで一致すると判定された第1認証情報に対応する前記第2認証情報と一致すると判定された後に前記入出庫扉を閉じる閉扉ステップと、を含む、
機械式立体駐車設備の制御方法。」
の点で一致し、両者は次の点で相違する。

<相違点1>
「第1記憶ステップ」で「予め」記憶しておく情報に関し、
本件訂正発明1では、「第1認証情報及び第2認証情報」を「第1記憶手段に記憶しておく」と特定されているのに対し、
先願1方法発明では、「契約者であることを確認」する「操作者の持つ認証用カード」に与えられる、「予め記録されカード読込機器により読み込み可能なコード」と、「裏面に印刷」される「予め設定される文字コードである紐付けコード」のうち、「予め記録されカード読込機器により読み込み可能なコード」を「適任コードテーブル」に「予め記録」しておく際に、「裏面に印刷」される「予め設定される文字コードである紐付けコード」についても、同様に予め記録しておくことは特定されていない点。

<相違点2>
「第2記憶ステップ」での記憶に用いる「記憶手段」に関し、
本件訂正発明1では、「第2記憶手段」と特定して、「第1記憶ステップ」で用いる「第1記憶手段」と区別しているのに対し、
先願1方法発明では、「操作者情報記録S23」で「入力したコードを第一コードとして記録」する際の記憶手段と、「適任コードテーブル」を構成する記憶手段とが、区別されるのか否かが明らかでない点。

<相違点3>
「第1認証情報」及び「第2認証情報」に関し、
本件訂正発明1においては、「前記第1認証情報は契約車両に応じて付与され、前記第2認証情報は契約者に応じて付与され、前記第1認証情報は所定桁数の第1認証用暗証番号であり、前記第2認証情報は所定桁数の前記第1認証用暗証番号の桁数よりも少ない所定桁数の第2認証用暗証番号である」と特定されているのに対し、
先願1方法発明では、「認証用カード」に「予め記録」される「カード読込機器により読み込み可能なコード」と、「認証用カード」の「裏面に印刷」される、「カード読込機器により読み込み可能なコードに紐付けされる様に予め設定される文字コードである紐付けコード」について、「読み込み可能なコード」が「契約車両に応じて付与」される「所定桁数の第1認証用暗証番号」であり、「紐付けコード」が「契約者に応じて付与」される「所定桁数の前記第1認証用暗証番号の桁数よりも少ない所定桁数の第2認証用暗証番号である」とは、特定されていない点。

イ 相違点についての判断
事案に鑑み、上記相違点3について判断する。
先願1方法発明において、「第一認証処理S20」において「入力したコードが予め記録された適任コードテーブルに記載されたものであるとき操作者を適任と判断して契約者であることを確認」すると、「呼出処理S30」において「出庫要求であるとき、入力コードに応じたパレット、または入力コードに応じた車両を載せたパレットを入出庫空間120に移動させる」ことから、「契約者」である「操作者の持つ認証用カード」を読み取らせた際に「入力コード」となる「予め記録」された「カード読込機器により読み込み可能なコード」は、「契約者であることを確認」できるとともに、「車両を載せたパレット」まで区別できる情報である蓋然性が高い。
一方、先願1方法発明において、「認証用カード」の「裏面に印刷」される「文字コード」である「紐付けコード」については、「第一認証処理S20」と「第二認証処理S70」における操作者の一致を判定するために用いているとはいえ、「契約者であることを確認」できる「認証用カード」に「予め記録」された「カード読込機器により読み込み可能なコード」と比較した場合に、どのように異ったものとするかは、明らかでない。また、予め設定された情報を用いて、操作者の一致を判定するのであれば、「契約者であることを確認」できる「認証用カード」に「予め記録」された「カード読込機器により読み込み可能なコード」を用いることにより操作者の一致の判定は可能であるところ、なぜ先願1方法発明において、操作者の一致を判定するうえで、「認証用カード」に「予め記録」された「カード読込機器により読み込み可能なコード」ではなく、「認証用カード」の「裏面に印刷」される「文字コード」である「紐付けコード」を用いるのかは、甲第1号証において明確に説明されていない。そのため、先願1方法発明において、「認証用カード」の「裏面に印刷」される「文字コード」である「紐付けコード」を、「認証用カード」に「予め記録」された「カード読込機器により読み込み可能なコード」と比較してどのように異ならせたものとするかは、甲第1号証の記載の全体からも特定することができない。
これに対して、本件訂正発明1は、予め契約者毎に付与するとともに記憶手段に記憶しておく「第1認証情報」と「第2認証情報」とについて、上記相違点3に係る構成を備えており、「契約車両」に応じて付与する「第1認証情報」を「所定桁数の第1認証用暗証番号」とし、「契約者」に応じて付与する「第2認証情報」を「第1認証用暗証番号の桁数よりも少ない所定桁数の第2認証用暗証番号」として、それぞれの認証情報が具体的に異なる情報であることを特定しているから、上記相違点3は、単なる形式的な相違点と言うことはできず、実質的な相違点である。

ウ 小括
上記イのとおり、相違点3は実質的な相違点であるから、その余の相違点1及び2について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、先願1方法発明と同一ではない。

エ 申立人の主張について
上記相違点3に関し、申立人は令和2年12月8日付け意見書において、次のように主張し、相違点3は実質的な相違点ではないから、本件訂正発明1は先願1方法発明と同一である旨を主張している。
「まず、甲第1号証には、カード読み込み機器によって認証用カードが読み取られることにより第一コードが入力され、操作者によるキー入力によって第二コードが入力されることが記載されている(【0055】)。キー入力によるコードの入力の方が、認証用カードを読み取らせるよりも操作者の負担が大きいことは明白であるから、先願1方法発明においても利用者の負担を軽減させるとの課題は十分に示唆されている。
更に、甲第1号証には、第一紐付コードと第二コードとが部分一致するときに第一操作者と第二操作者とが一致すると判定してもよいこと、第一紐付コードと第二コードとが所定の部分で一致するときに第一操作者と第二操作者とが一致すると判定してもよいことが記載されている(【0044】)。したがって、ここに、コードの桁数を変更してもよいことが示唆されている。
上記から、甲第1号証には、認証用カードで第一コードを入力するのに対し、第二コードについては操作者自らがキー入力しなければならないから、操作者の負担軽減を考慮して第二コードの桁数を第一コードよりも少なくするという技術思想が示唆されている。
特許権者は、本件訂正発明1が「利便性の更なる向上」との新たな効果を生じさせるものであるから、本件訂正発明1と先願1方法発明とは相違すると主張する。しかしながら、特許権者が主張する「利便性の更なる向上」なる効果は、「操作者によるキー入力の負担を低減する」という周知の課題を、「入力するコードの桁数を少なくする」という周知の解決手段を用いて解決した結果得られる周知の効果に過ぎず、そのような効果は「新たな効果」とは到底言えない。また、「暗証番号の桁数を少なくする」との解決手段にしても、もはや一般常識のレベルであり、当業者が適宜取りうる設計事項程度のものである。
さらに言えば、「前記第1認証情報は所定桁数の第1認証用暗証番号であり、前記第2認証情報は所定桁数の前記第1認証用暗証番号の桁数よりも少ない所定桁数の第2認証用暗証番号であり、」との構成は、単なる取り決めに過ぎず、何ら技術的事項を提供するものではない。」(同意見書第2頁第15行-第3頁第9行)

しかしながら、甲第1号証においては、上記第4の3(1)イに示したとおり、「第一の実施形態の詳述」に着目すると、同(ア)に認定した先願1方法発明が記載されていると言えるものの、先願1方法発明における「認証用カード」に「予め記録」された「カード読取機器により読み込み可能なコード」と「認証用カード」の「裏面に印刷」される「文字コード」である「紐付けコード」とを、具体的にどう異ならせるのかは記載されていないとともに、予め設定したコードを用いて操作者の一致を判定するのであれば、「認証用カード」に「予め記録」された「カード読取機器により読み込み可能なコード」のみを用いれば足り、かつ操作者の入力負担も少なくて済むところ、なぜ「認証用カード」の「裏面に印刷」される「文字コード」である「紐付けコード」を用いるのかは、特段説明されていない。そのため、甲第1号証の記載の全体を考慮しても、先願1方法発明において、「認証用カード」に「予め記録」された「カード読取機器により読み込み可能なコード」と、「認証用カード」の「裏面に印刷」される「文字コード」である「紐付けコード」とについて、前者のコードを「契約車両」に応じて付与する「所定桁数の第1認証用暗証番号」とし、後者のコードを「契約者」に応じて付与する「第1認証用暗証番号の桁数よりも少ない所定桁数の第2認証用暗証番号」として使い分けることが示されていると言うことはできず、操作者の入力負担を低減するという一般的な観点から、先願1方法発明が相違点3に係る本件訂正発明1の構成を有していると言うこともできない。
したがって、申立人の主張について検討しても、上記イ及びウの判断を変更すべき事情を見いだすことはできない。

(2)本件訂正発明2について
ア 先願1方法発明との対比
本件訂正発明2と、先願1方法発明とを対比する。
本件訂正発明2は、本件訂正発明1における「前記第1認証情報は契約車両に応じて付与され、前記第2認証情報は契約者に応じて付与され、前記第1認証情報は所定桁数の第1認証用暗証番号であり、前記第2認証情報は所定桁数の前記第1認証用暗証番号の桁数よりも少ない所定桁数の第2認証用暗証番号である」との構成に代えて、「前記第1認証情報は契約車両に応じて付与され、前記第2認証情報は契約者に応じて付与され、複数台の利用契約を結んだ契約者に対し、複数台の利用契約に応じた複数の第1認証情報と、当該複数の第1認証情報に対して単一の第2認証情報が付与され、当該付与された第2認証情報は、他の契約者に付与された第2認証情報とは重複しない」との構成を採用したものである。
そのため、本件訂正発明2と先願1方法発明との対比は、本件訂正発明1と共通する構成については、上記(1)アにおける本件訂正発明1と先願1方法発明との対比と同様となり、本件訂正発明2と先願1方法発明との一致点、並びに相違点1及び2は、上記(1)アに認定した一致点、及び相違点1及び2と同様となる。
そして、本件訂正発明2と先願1方法発明とは、本件訂正発明1と先願1方法発明との相違点3に代えて、次の相違点4を有することとなる。

<相違点4>
「第1認証情報」及び「第2認証情報」に関し、
本件訂正発明2においては、「前記第1認証情報は契約車両に応じて付与され、前記第2認証情報は契約者に応じて付与され、複数台の利用契約を結んだ契約者に対し、複数台の利用契約に応じた複数の第1認証情報と、当該複数の第1認証情報に対して単一の第2認証情報が付与され、当該付与された第2認証情報は、他の契約者に付与された第2認証情報とは重複しない」と特定されているのに対し、
先願1方法発明では、「認証用カード」に「予め記録」される「カード読込機器により読み込み可能なコード」が、「契約車両に応じて付与」され、「複数台の利用契約を結んだ契約者」に対しては「複数台の利用契約に応じた複数の」ものとなる一方、「認証用カード」の「裏面に印刷」される「カード読込機器により読み込み可能なコードに紐付けされる様に予め設定される文字コードである紐付けコード」が、「契約者に応じて付与」され、「複数台の利用契約を結んだ契約者」に対しては「単一の」もの、かつ「他の契約者に付与された」ものとは「重複しない」ものとなるとは、特定されていない点。

イ 相違点についての判断
事案に鑑み、上記相違点4について判断する。
先願1方法発明において、「第一認証処理S20」において「入力したコードが予め記録された適任コードテーブルに記載されたものであるとき操作者を適任と判断して契約者であることを確認」すると、「呼出処理S30」において「出庫要求であるとき、入力コードに応じたパレット、または入力コードに応じた車両を載せたパレットを入出庫空間120に移動させる」ことから、「契約者」である「操作者の持つ認証用カード」を読み取らせた際に「入力コード」となる「予め記録」された「カード読込機器により読み込み可能なコード」は、「契約者であることを確認」できるとともに、「車両を載せたパレット」まで区別できる情報である蓋然性が高い。
一方、先願1方法発明において、「認証用カード」の「裏面に印刷」される「文字コード」である「紐付けコード」については、「第一認証処理S20」と「第二認証処理S70」における操作者の一致を判定するために用いているとはいえ、「認証用カード」に「予め記録」された「カード読込機器により読み込み可能なコード」と比較した場合に、どのように異ったものとするかは、明らかでない。また、予め設定された情報を用いて、操作者の一致を判定するのであれば、「契約者であることを確認」できる「認証用カード」に「予め記録」された「カード読込機器により読み込み可能なコード」を用いることにより判定は可能であるところ、なぜ先願1方法発明において、操作者の一致を判定するうえで、「認証用カード」に「予め記録」された「カード読込機器により読み込み可能なコード」ではなく、「認証用カード」の「裏面に印刷」される「文字コード」である「紐付けコード」を用いるのかは、甲第1号証において明確に説明されていない。そのため、先願1方法発明において、「認証用カード」の「裏面に印刷」される「文字コード」である「紐付けコード」を、「認証用カード」に「予め記録」された「カード読込機器により読み込み可能なコード」と比較してどのように異ならせたものとするかは、甲第1号証の記載の全体からも特定することができない。
これに対して、本件訂正発明2は、予め契約者毎に付与するとともに記憶手段に記憶しておく「第1認証情報」と「第2認証情報」とについて、上記相違点4に係る構成を備えており、「複数台の利用契約を結んだ契約者」に対応可能な態様で、「契約車両」に応じて付与する「第1認証情報」と「契約者」に応じて付与する「第2認証情報」とが、具体的に異なる情報であることを特定しているから、上記相違点4は、単なる形式的な相違点と言うことはできず、実質的な相違点である。

ウ 小括
上記イのとおり、相違点4は実質的な相違点であるから、その余の相違点1及び2について検討するまでもなく、本件訂正発明2は、先願1方法発明と同一ではない。

エ 申立人の主張について
上記相違点4に関し、申立人は令和2年12月8日付け意見書において、次のように主張し、相違点4は実質的な相違点ではないから、本件訂正発明2は先願1方法発明と同一である旨を主張している。。
「先願1方法発明において、「第一認証処理S20」で入力されるコードと比較される「適任コードテーブル」に記載されたコードは、契約車両に応じて付与されるものである。従って、複数台の利用契約を結んだ契約者に対しては複数台の利用契約に応じて複数付与されるコードであることは明白である。これに対し、先願1方法発明における「第一紐付けコード」は、駐車装置を利用する操作者の同一を区別できれば足りるから、複数台の利用契約を結んだ契約者に対して「第一紐付コード」を単一のものとすることは至極当然であるし、そのようにすることは設計事項程度に過ぎない。また、このような事態を考慮して、甲第1号証には、第一紐付コードと第二コードとが部分一致するときに第一操作者と第二操作者とが一致すると判定してもよいこと、第一紐付コードと第二コードとが所定の部分で一致するときに第一操作者と第二操作者とが一致すると判定してもよいことが記載されている(【0044】)。
以上の通り、本件訂正発明2と先願1方法発明とは同一である。」(同意見書第3頁第21行-第4頁第4行)

しかしながら、甲第1号証においては、上記第4の3(1)イに示したとおり、「第一の実施形態の詳述」に着目すると、同(ア)に認定した先願1方法発明が記載されていると言えるものの、先願1方法発明における「認証用カード」に「予め記録」された「カード読取機器により読み込み可能なコード」と「認証用カード」の「裏面に印刷」される「文字コード」である「紐付けコード」とを、具体的にどのように異ならせるのかは記載されていない。そのため、甲第1号証の記載の全体を考慮しても、先願1方法発明において、「認証用カード」に「予め記録」された「カード読取機器により読み込み可能なコード」と、「認証用カード」の「裏面に印刷」される「文字コード」である「紐付けコード」とについて、前者のコードを「契約車両」に応じて付与し「複数台の利用契約を結んだ契約者」については「複数台の利用契約に応じた複数の第1認証情報」を付与する一方、後者のコードについては「契約者に応じて付与」し「複数の第1認証情報に対して単一の第2認証貞応が付与され、当該付与された第2認証情報は、他の契約者に付与された第2認証情報とは重複しない」ものとして使い分けることが示されていると言うことはできず、コードの一致による判定を部分一致としてよいとの一般論から、先願1方法発明が相違点4に係る本件訂正発明2の構成を有していると言うこともできない。
したがって、申立人の主張について検討しても、上記イ及びウの判断を変更すべき事情を見いだすことはできない。

(3)本件訂正発明3について
本件訂正発明3は、本件訂正発明1に「前記第2認証用暗証番号は、前記第1認証用暗証番号の一部の所定桁の番号によって構成される」という構成を付加したうえで、他の請求項の記載を引用しないものとして請求項の記載を整理したものである。
そのため、本件訂正発明3と先願1方法発明とを対比すると、本件訂正発明3は、本件訂正発明1と共通する構成において、上記(1)アで本件訂正発明1と先願1方法発明とを対比した際と同様の相違点1ないし3を有する。
そして、上記(1)イで判断したとおり、相違点3は実質的な相違点であるから、その余の相違点1及び2、並びに本件訂正発明3における付加的構成について検討するまでもなく、本件訂正発明3は、先願1方法発明と同一ではない。

(4)本件訂正発明4ないし6について
本件訂正発明4ないし6は、本件訂正発明1ないし3のいずれかに付加的構成を追加したものである。
そのため、本件訂正発明4ないし6と先願1方法発明とを対比すると、本件訂正発明4ないし6は、本件訂正発明1ないし3と共通する構成において、少なくとも上記(1)アで認定した相違点3、若しくは上記(2)アで認定した相違点4を有する。
そして、上記(1)イ及び上記(2)イで判断したとおり、相違点3及び4はいずれも実質的な相違点であるから、本件訂正発明4ないし6における付加的構成について検討するまでもなく、本件訂正発明4ないし6は、先願1方法発明と同一ではない。

(5)本件訂正発明7について
ア 先願1装置発明との対比
本件訂正発明7は、制御方法の発明である本件訂正発明2に対応する、機械式立体駐車設備の発明において、本件訂正発明2における各「ステップ」を「処理」と表記するとともに、本件訂正発明2における「第1記憶手段」及び「第2記憶手段」の区別を省略して単に「記憶手段」としたものである。
そのため、本件訂正発明7と、先願1方法発明に対応する駐車装置の発明である先願1装置発明とを対比すると、上記(2)アにおける本件訂正発明2と先願1方法発明との対比と概略同様のことが言え、両者の一致点及び相違点は次のとおりとなる。

<一致点>
「車両を搬送する車両搬送手段を有する車庫装置と、前記車庫装置に設けられた認証手段と、前記認証手段からの認証情報の取得に基づいて前記車庫装置の入出庫扉の開閉を制御する制御装置とを備える機械式立体駐車設備であって、
前記制御装置は、予め、駐車場の利用契約に応じて契約者毎に付与された第1認証情報及び第2認証情報のうち、第1認証情報を記憶手段に記憶しておく第1記憶処理と、
前記車庫装置の入出庫扉を開く前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第1取得処理と、
前記第1取得処理においてユーザから取得した認証情報が、前記記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致するか否かを判定する第1認証処理と、
前記第1認証処理において前記認証情報と一致すると判定された前記第1認証情報を記憶手段に記憶しておく第2記憶処理と、
前記第1認証処理において前記認証情報が前記記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致すると判定された後に前記車両搬送手段を呼び出す搬送呼出処理と、
前記車両搬送手段の到着後に前記入出庫扉を開く開扉処理と、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第2取得処理と、
前記第2取得処理においてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証処理で一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた第2認証情報と一致するか否かを判定する第2認証処理と、
前記第2認証処理において前記第2取得処理においてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証処理で一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた前記第2認証情報と一致すると判定された後に前記入出庫扉を閉じる閉扉処理と、を実行する、
機械式立体駐車設備。」

<相違点5>
「第1記憶処理」で「予め」記憶しておく情報に関し、
本件訂正発明7では、「第1認証情報及び第2認証情報」と特定されているのに対し、
先願1装置発明では、「契約者であることを確認」する「操作者の持つ認証用カード」に与えられる、「予め記録されカード読込機器により読み込み可能なコード」と、「裏面に印刷」される「予め設定される文字コードである紐付けコード」のうち、「予め記録されカード読込機器により読み込み可能なコード」を「適任コードテーブル」に「予め記録」しておく際に、「裏面に印刷」される「予め設定される文字コードである紐付けコード」についても、同様に予め記録しておくことは特定されていない点。

<相違点6>
「第2記憶処理」での「記憶」に用いる「記憶手段」に関し、
本件訂正発明7では、「前記記憶手段」として、「第1記憶処理」で用いる「記憶手段」と区別していないのに対し、
先願1装置発明では、「操作者情報記録S23」で「入力したコードを第一コードとして記録」する際の記憶手段と、「適任コードテーブル」を構成する記憶手段とが、区別されるのか否かが明らかでない点。

<相違点7>
「第1認証情報」及び「第2認証情報」に関し、
本件訂正発明7においては、「前記第1認証情報は契約車両に応じて付与され、前記第2認証情報は契約者に応じて付与され、複数台の利用契約を結んだ契約者に対し、複数台の利用契約に応じた複数の第1認証情報と、当該複数の第1認証情報に対して単一の第2認証情報が付与され、当該付与された第2認証情報は、他の契約者に付与された第2認証情報とは重複しない」と特定されているのに対し、
先願1装置発明では、「認証用カード」に「予め記録」される「カード読込機器により読み込み可能なコード」が、「契約車両に応じて付与」され、「複数台の利用契約を結んだ契約者」に対しては「複数台の利用契約に応じた複数の」ものとなる一方、「認証用カード」の「裏面に印刷」される「カード読込機器により読み込み可能なコードに紐付けされる様に予め設定される文字コードである紐付けコード」が、「契約者に応じて付与」され、「複数台の利用契約を結んだ契約者」に対しては「単一の」もの、かつ「他の契約者に付与された」ものとは「重複しない」ものとなるとは、特定されていない点。

イ 相違点についての判断
事案に鑑み、上記相違点7について判断する。
上記相違点7は、上記(2)アで認定した本件訂正発明2と先願1方法発明との相違点4と同じ内容であるから、相違点7についての判断も、上記(2)イで相違点4について判断したと同様となる。
したがって、上記相違点4は、単なる形式的な相違点と言うことはできず、実質的な相違点である。

ウ 小括
上記イのとおり、相違点7は実質的な相違点であるから、その余の相違点5及び6について検討するまでもなく、本件訂正発明7は、先願1装置発明と同一ではない。

(6)本件訂正発明8について
本件訂正発明8は、本件訂正発明1に、「複数台の利用契約を結んだ契約者に対し、複数台の利用契約に応じた複数の第1認証情報と、当該複数の第1認証情報に対して単一の第2認証情報が付与され、当該付与された第2認証情報は、他の契約者に付与された第2認証情報とは重複せず」という構成、及び「前記第2認証用暗証番号は、前記第1認証用暗証番号の一部の所定桁の番号によって構成される」という構成を付加したうえで、他の請求項の記載を引用しないものとして請求項の記載を整理したものである。
そのため、本件訂正発明8と先願1方法発明とを対比すると、本件訂正発明8は、本件訂正発明1と共通する構成において、上記(1)アで本件訂正発明1と先願1方法発明とを対比した際と同様の相違点1ないし3を有する。
そして、上記(1)イで判断したとおり、相違点3は実質的な相違点であるから、その余の相違点1及び2、並びに本件訂正発明8における付加的構成について検討するまでもなく、本件訂正発明8は、先願1方法発明と同一ではない。

2 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
申立人は、甲第2号証を主たる引用文献として、本件特許の請求項1ないし3及び5ないし7に係る発明は新規性を有しない旨、及び、本件特許の請求項1ないし7に係る発明は進歩性を有しない旨を申し立てているので、以下では本件訂正発明1ないし8について、甲第2号証を主たる引用文献とした、新規性及び進歩性を、判断する。

(1)本件訂正発明1について
ア 甲2方法発明との対比
本件訂正発明1と、甲2方法発明とを対比する。
甲2方法発明における、「地下1階地上4階の構造を有し、車両を搭載するパレットを備え、利用者の利用に係るパレットを値上面Gの位置に移動させる、機械式駐車装置である駐車装置1」は、本件訂正発明1における、「車両を搬送する車両搬送手段を有する車庫装置」に相当する。
甲2方法発明における「駐車装置1のカード読取部25」は、本件訂正発明1における「前記車庫装置に設けられた認証手段」に相当する。
甲2方法発明における、「各パレットを駆動するためのパレット駆動モータ、ゲート21を駆動するゲート駆動モータ、及び操作盤23の動作を制御する制御盤35」は、「車両を入出庫しようとする利用者が、ICカード91をカード読取部25に接触させる動作のみで、所望のパレットを着床位置P1へ移動し、ゲート21を開き、操作ロックを行うという一連の入出庫の準備を自動的に行わせ」るという動作、及び、「操作ロック状態の解除の後、利用者が、再びICカード91をカード読取部25へ接触させると、駐車装置1では、検出されたICカードが、先のS204に用いられたカードと同じであることが確認され(S232)、ゲート21を閉じるべくゲート駆動モータ63が駆動され」るという動作を制御するから、「カード読取部25」で読み取った情報に基づいて「ゲート21」の開閉を制御していると言うことができ、本件訂正発明1における「前記認証手段からの認証情報の取得に基づいて前記車庫装置の入出庫扉の開閉を制御する制御装置」に相当する。
甲2方法発明において、「カード読取部25」及び「制御盤35」を含めた、「地下1階地上4階の構造」を有する「機械式駐車装置である駐車装置1」の全体は、本件訂正発明1における「機械式立体駐車設備」に相当する。
甲2方法発明が、「駐車装置1における車両の入出庫処理の制御方法」であることは、本件訂正発明1が、「機械式立体駐車設備の制御方法」であることに相当する。
甲2方法発明において、「利用者」が「保持」する「ICカード91のデータ記憶部93」に記憶される、「利用者が利用する駐車装置1のパレットに採番されたパレット番号」、及び「駐車装置1を利用する利用者を識別するためのIDデータである利用者ID」は、駐車場の利用契約に応じて利用者に付与されることが技術常識であることを踏まえると、本件訂正発明1における「駐車場の利用契約に応じて契約者毎に付与」された「第1認証情報」及び「第2認証情報」に相当する。
甲2方法発明において、「ICカード91」の「データ記憶部93」に記憶された「利用者ID及びパレット番号」が、「制御盤35の諸元データ記憶部41に記憶されたデータ」と比較されて「ICカード91の正当性がチェック」されることから、「パレット番号」及び「利用者ID」を「制御盤35の諸元データ記憶部41」に記憶しておく処理が事前に行われている、「パレット番号」及び「利用者ID」を「制御盤35の諸元データ記憶部41」に記憶しておく処理は、本件訂正発明1における「予め、」「第1認証情報及び第2認証情報を第1記憶手段に記憶しておく第1記憶ステップ」に相当する。
甲2方法発明において、「ゲート21を開くべく、ゲート駆動モータ63が駆動され」る処理に先立って実施される、「待機状態(S202)の駐車装置1」の「カード読取部25からデータ記憶部93に記憶された利用者ID及びパレット番号が読み込まれ(S206)」る処理は、本件訂正発明1において、「前記車庫装置の入出庫扉を開く前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第1取得ステップ」に相当する。
甲2方法発明において、「制御盤35の諸元データ記憶部41に記憶されたデータと読み込まれた利用者ID及びパレット番号との比較が行われ、ICカード91の正当性がチェックされ(S208)」る処理のうち、「パレット番号」の比較による正当性のチェックは、本件訂正発明1における、「前記第1取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致するか否かを判定する第1認証ステップ」に相当する。
甲2方法発明において、「ICカード91が正当なカードであると判断された場合」には、「ICカード91から読み込まれたパレット番号に対応するパレットの着床位置P1への移動」が行われるから、「正当なカード」と判断された「ICカード91」の「パレット番号」を、「対応するパレット」を移動させるために一時的に記憶しておくことは技術常識から明らかであり、当該「パレット番号」の一時的な記憶処理と、本件訂正発明1における「前記第1認証ステップにおいて前記認証情報と一致すると判定された前記第1認証情報を第2記憶手段に記憶しておく第2記憶ステップ」とは、「前記第1認証ステップにおいて前記認証情報と一致すると判定された前記第1認証情報を記憶手段に記憶しておく第2記憶ステップ」という点で共通する。また、甲2方法発明において、「ICカード91が正当なカードであると判断された場合」に「ICカード91から読み込まれたパレット番号に対応するパレットの着床位置P1への移動」を行う処理は、本件訂正発明1において、「前記第1認証ステップにおいて前記認証情報が前記第1記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致すると判定された後に前記車両搬送手段を呼び出す搬送呼出ステップ」に相当する。
甲2方法発明において、「ICカード91から読み込まれたパレット番号に対応するパレットの着床位置P1への移動が完了した後、ゲート21を開くべく、ゲート駆動モータ63が駆動され」る処理は、本件訂正発明1においおて、「前記車両搬送手段の到着後に前記入出庫扉を開く開扉ステップ」に相当する。
甲2方法発明において、「ゲート21を閉じるべくゲート駆動モータ63が駆動され」るに先だって、「利用者が、再びICカード91をカード読取部25へ接触させる」ことにより、「ゲート21を閉じるステップ」でのICカードの読み取りが実施されることは、本件訂正発明1において、「前記入出庫扉を閉じる前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第2取得ステップ」に相当する。
甲2方法発明において、「ゲート21を閉じるステップで読み取られたICカード」について、「パレットを移動させるステップで読み取られたICカード」と、「読み取られた利用者IDが同一である場合には、両者のICカード自体が同一であると判断する」ことで、「検出されたICカードが、先のS204に用いられたカードと同じであることが確認され(S232)」る処理と、本件訂正発明1において、「前記第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証ステップで一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた第2認証情報と一致するか否かを判定する第2認証ステップ」とは、「前記第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報について、一致するか否を判定する第2認証ステップ」という点で共通する。
甲2方法発明において、「ゲート21を閉じるステップで読み取られたICカード」について、「パレットを移動させるステップで読み取られたICカード」である「先のS204に用いられたカード」と「同じであることが確認され(S232)」ると、「ゲート21を閉じるべくゲート駆動モータ63が駆動され」る処理と、本件訂正発明1において、「前記第2認証ステップにおいて前記第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証ステップで一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた前記第2認証情報と一致すると判定された後に前記入出庫扉を閉じる閉扉ステップ」とは、「前記第2認証ステップにおいて前記第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報について、一致すると判定された後に前記入出庫扉を閉じる閉扉ステップ」という点で共通する。
甲2方法発明において、「パレット番号」が「ICカード91を保持する利用者が利用する駐車装置1のパレットに採番された」番号であることは、駐車装置1のパレットが、利用契約に基づいて契約した車両を搭載するスペースとして、番号により区別されていると解されることを踏まえると、本件訂正発明1において、「前記第1認証情報は契約車両に応じて付与」される構成に相当する。また、甲2方法発明において、「利用者ID」が「駐車装置1を利用する利用者を識別するためのIDデータ」であることは、駐車装置1の利用者を識別するためのIDデータは利用契約に基づいて契約者に応じて付与されると解されることを踏まえると、本件訂正発明1において「前記第2認証情報は契約者に応じて付与され」る構成に相当する。

以上を整理すると、甲2方法発明と本件訂正発明1とは、
「車両を搬送する車両搬送手段を有する車庫装置と、前記車庫装置に設けられた認証手段と、前記認証手段からの認証情報の取得に基づいて前記車庫装置の入出庫扉の開閉を制御する制御装置とを備える機械式立体駐車設備の制御方法であって、
予め、駐車場の利用契約に応じて契約者毎に付与された第1認証情報及び第2認証情報を第1記憶手段に記憶しておく第1記憶ステップと、
前記車庫装置の入出庫扉を開く前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第1取得ステップと、
前記第1取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致するか否かを判定する第1認証ステップと、
前記第1認証ステップにおいて前記認証情報と一致すると判定された前記第1認証情報を記憶手段に記憶しておく第2記憶ステップと、
前記第1認証ステップにおいて前記認証情報が前記第1記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致すると判定された後に前記車両搬送手段を呼び出す搬送呼出ステップと、
前記車両搬送手段の到着後に前記入出庫扉を開く開扉ステップと、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第2取得ステップと、
前記第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報について、一致するか否かを判定する第2認証ステップと、
前記第2認証ステップにおいて前記第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報について、一致すると判定された後に前記入出庫扉を閉じる閉扉ステップと、を含み、
前記第1認証情報は契約車両に応じて付与され、前記第2認証情報は契約者に応じて付与される、
機械式立体駐車設備の制御方法。」
の点で一致し、両者は次の点で相違する。

<相違点A>
「第2記憶ステップ」での記憶に用いる「記憶手段」に関し、
本件訂正発明1では、「第2記憶手段」と特定して、「第1記憶ステップ」で用いる「第1記憶手段」と区別しているのに対し、
甲2方法発明では、、「正当なカード」と判断された「ICカード91」の「パレット番号」を、「対応するパレット」を移動させるために一時的に記憶しておく際の記憶に用いる手段と、「制御番35の諸元データ記憶部41」を構成する記憶手段とが、区別されるのか否かが明らかでない点。

<相違点B>
「第2認証ステップ」における「一致」の判定に関し、
本件訂正発明1においては、「第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報」が、「前記第1認証ステップで一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた第2認証情報と一致するか否か」を判定するのに対し、
甲2方法発明では、「パレットを移動させるステップで読み取られたICカード」の「利用者ID」が、「ゲート21を閉じるステップで読み取られたICカード」の「利用者ID」と同一であるかを判断しており、「パレットを移動させるステップで読み取られたICカード」の「パレット番号」に対応する利用者の利用者契約に応じた「利用者ID」と一致するか否かを判定してはいない点。

<相違点C>
「第1認証情報」及び「第2認証情報」に関し、
本件訂正発明1では、「前記第1認証情報は所定桁数の第1認証用暗証番号であり、前記第2認証情報は所定桁数の前記第1認証用暗証番号の桁数よりも少ない所定桁数の第2認証用暗証番号である」と特定されているのに対し、
甲2方法発明では、「パレット番号」が「所定桁数の第1認証用暗証番号」であり、「利用者ID」が「パレット番号」の桁数である「所定桁数の前記第1認証用暗証番号の桁数」よりも「少ない所定桁数の第2認証用暗証番号である」とは特定されていない点。

イ 相違点についての判断
事案に鑑み、上記相違点Bについて判断する。
甲2方法発明においては、「ICカード」の同一を、「利用者IDが同一であるカードの組が存在しないように運用」することを前提として、「ゲート21を閉じるステップ」で読み取られたICカードの「利用者ID」と、「パレットを移動させるステップ」で読み取られたICカードの「利用者ID」とが同一であるか否かにより、判断している。その一方、甲2方法発明では、「利用されるパレット1体に対しては複数のICカードを対応させることが可能であり、複数の利用者でパレット1体を共用する場合、各利用者が、記憶された利用者IDは互いに異なるが、パレット番号が同一である、複数のICカードの組の1枚ずつを保持する」前提であるから、同じ「パレット番号」のICカードは複数存在し得るものであり、また同じ「パレット番号」で契約を行っている利用者の「利用者ID」も複数存在し得るものである。
かような甲2方法発明において、ICカードの同一を判定するために、後に読み取ったICカードの「利用者ID」の比較対象を、先に読み取ったICカードの「利用者ID」ではなく、先に読み取ったICカードの「パレット番号」に対応するパレットの利用契約を行っている者の「利用者ID」とすることは、比較の対象、及び比較処理の内容を異ならせるとともに、一致の判定についても異なる結果を生じることとなるから、相違点Bは単なる形式的な相違点でなく、実質的な相違点である。
そして、甲2方法発明において、ICカードの同一を判定するうえで、後で読み取ったICカードの「利用者ID」の比較対象を、先に読み取ったICカードの「パレット番号」に対応するパレットの利用契約を行っている者の「利用者ID」とする変更を行うと、パレット1体に対応する複数のICカードの同一判定に支障を生じるから、甲2方法発明においてそのような変更を行う動機付けがあると言うことはできない。
なお、甲2方法発明において、ICカードの同一を判定するために、後に読み取ったICカードの「利用者ID」及び「パレット番号」の両者を、先に読み取ったICカードの「利用者ID」及び「パレット番号」の両者と比較するようこととすれば、複数のICカードの同一判定に支障は生じないと考えられるが、そうした場合にも、後に読み取ったICカードの情報と比較する情報としては、先に読み取ったICカードの同じ情報を直接使用するものであるから、相違点Bに係る本件訂正発明1の構成のように、「第1認証ステップで一致すると判定された第1認証情報」に「対応する契約者の利用契約に応じた第2認証情報」との一致を判定することとはならない。
甲第3号証、及び甲第4号証には、それぞれ上記第4の3(3)及び(4)に示した事項が記載されているが、いずれも駐車設備において利用者に安全確認を促すことを開示するものであって、甲2方法発明において相違点Bに係る本件訂正発明1の構成を採用することを示唆するものではない。
したがって、相違点Bは実質的な相違点であり、甲第3号証及び甲第4号証に記載される事項を考慮しても、当業者にとって容易に想到することができた事項とはいえない。

ウ 小括
上記イのとおり、相違点Bは実質的な相違点であり、また甲第3号証及び甲第4号証に記載される事項を考慮しても、相違点Bに係る構成は当業者にとって容易に想到することができた事項とはいえないから、その余の相違点A及びCについて検討するまでもなく、本件訂正発明1は甲2方法発明と同一ではなく、また甲2方法発明並びに甲第3号証及び甲第4号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

エ 申立人の主張について
上記相違点Bに関し、申立人は申立書において、次のように述べて、相違点Bは相違点ではないか、仮に相違点としても設計事項程度である旨を主張している。
「甲2発明において、ゲート21を閉めるために用いられたICカード91と、扉を開ける際に用いられたICカード91との同一性判定が、ゲート21を閉めるために用いられたICカード91に記憶された利用者ID及びパレット番号(これらの情報は、上記第2記憶ステップにおいて制御盤35内の所定の記憶領域に記憶されている)とを照合することによって行われることは自明の事項である。よって、甲2発明は、「1i 第2取得ステップにおいてICカードから読み取られた利用者ID(「認証情報」に相当)が、第1認証ステップで一致すると判定されたパレット番号(「第1認証情報」に相当)に対応する利用者ID(「第2認証情報」に相当)と一致するか否かを判定する第2認証ステップ」を有している。そして、この第2認証ステップは、本件特許発明1の「1I 前記第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証ステップで一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた第2認証情報と一致するか否かを判定する第2認証ステップ」に相当する。」(申立書第27頁第19行-第28頁第2行)

しかしながら、甲2方法発明においては、後に読み取ったICカードの「利用者ID」の比較対象は、先の時点で読み取って正当性を確認しているICカードの「利用者ID」としており、先の時点で読み取って正当性を確認しているICカードの「パレット番号」から、当該パレット番号に対応する契約者の利用契約に応じた「利用者ID」としているのではない。そして、甲2方法発明においては、利用者IDは異なるがパレット番号が同一である複数のICカードの組が存在する一方、利用者IDが同一であるICカードは存在しないようにして、読み取ったICカードの利用者ID同士を比較の対象とすることにより、ICカードの同一を適切に判定しているから、ICカードの同一を判断するうえで、複数のICカードで同一であり得るパレット暗号を介して、比較の対象とする情報を導出する処理とは、処理内容が異なる。また、この点について、甲2方法発明における、読み取ったICカードの利用者ID同士を比較する処理を、変更すべき動機付けがあるということもできない。そのため、上記イに判断したとおり、相違点Bは実質的な相違点であり、甲2方法発明において後に読み取ったICカードの「利用者ID」の比較対象を、先に読み取っているICカードの「利用者ID」ではなく、先に読み取っているICカードの「パレット番号」に対応した契約者の「利用者ID」とする動機付けもないから、相違点Bを設計事項あるいは想到容易と言うことはできない。
したがって、申立人の主張について検討しても、上記イ及びウの判断を変更すべき事情を見いだすことはできない。

(2)本件訂正発明2ないし6及び8について
本件訂正発明2ないし6及び8は、いずれも本件訂正発明1と同様の、「前記第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証ステップで一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた第2認証情報と一致するか否かを判定する第2認証ステップ」及び「前記第2認証ステップにおいて前記第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証ステップで一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた前記第2認証情報と一致すると判定された後に前記入出庫扉を閉じる閉扉ステップ」という構成を有する。
そのため、本件訂正発明2ないし6及び8を甲2方法発明と対比すると、いずれも本店訂正発明1と同様に、上記相違点Bを有することとなる。
そして、上記(1)イで判断したとおり、相違点Bは実質的な相違点であり、甲第3号証及び甲第4号証に記載される事項を考慮しても、当業者にとって容易に想到することができた事項とはいえない。
したがって、その余の相違点及び一致点について検討するまでもなく、本件訂正発明2ないし6及び8は甲2方法発明と同一ではなく、また甲2方法発明並びに甲第3号証及び甲第4号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(3)本件訂正発明7について
本件訂正発明7は、制御方法の発明である本件訂正発明2に対応する、機械式立体駐車設備の発明において、本件訂正発明2における各「ステップ」を「処理」と表記するとともに、本件訂正発明2における「第1記憶手段」及び「第2記憶手段」の区別を省略して単に「記憶手段」としたものである。
そのため、本件訂正発明7と、甲2方法発明に対応する駐車装置の発明である甲2装置発明とを対比すると、本件訂正発明7が有する「前記第2取得処理においてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証処理で一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた第2認証情報と一致するか否かを判定する第2認証処理」及び「前記第2認証処理において前記第2取得処理においてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証処理で一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた前記第2認証情報と一致すると判定された後に前記入出庫扉を閉じる閉扉処理」の構成について、両者は次の相違点B’を有することとなる。

<相違点B’>
「第2認証処理」における「一致」の判定に関し、
本件訂正発明7においては、「第2取得処理においてユーザから取得した認証情報」が、「前記第1認証処理で一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた第2認証情報と一致するか否か」を判定するのに対し、
甲2方法発明では、「パレットを移動させるステップで読み取られたICカード」の「利用者ID」が、「ゲート21を閉じるステップで読み取られたICカード」の「利用者ID」と同一であるかを判断しており、「パレットを移動させるステップで読み取られたICカード」の「パレット番号」に対応する利用者の利用者契約に応じた「利用者ID」と一致するか否かを判定してはいない点。

そして、上記相違点B’は、上記(1)イで判断した本件訂正発明1と甲2方法発明との相違点Bと同様に、実質的な相違点であり、甲第3号証及び甲第4号証に記載される事項を考慮しても、当業者にとって容易に想到することができた事項とはいえない。
したがって、その余の相違点及び一致点について検討するまでもなく、本件訂正発明7は甲2装置発明と同一ではなく、また甲2方装置発明並びに甲第3号証及び甲第4号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。


第6 むすび
以上のとおり、本件訂正発明1ないし8に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことができない。また、本件訂正発明1ないし8に係る特許について、他に取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。



 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を搬送する車両搬送手段を有する車庫装置と、前記車庫装置に設けられた認証手段と、前記認証手段からの認証情報の取得に基づいて前記車庫装置の入出庫扉の開閉を制御する制御装置とを備える機械式立体駐車設備の制御方法であって、
予め、駐車場の利用契約に応じて契約者毎に付与された第1認証情報及び第2認証情報を第1記憶手段に記憶しておく第1記憶ステップと、
前記車庫装置の入出庫扉を開く前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第1取得ステップと、
前記第1取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致するか否かを判定する第1認証ステップと、
前記第1認証ステップにおいて前記認証情報と一致すると判定された前記第1認証情報を第2記憶手段に記憶しておく第2記憶ステップと、
前記第1認証ステップにおいて前記認証情報が前記第1記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致すると判定された後に前記車両搬送手段を呼び出す搬送呼出ステップと、
前記車両搬送手段の到着後に前記入出庫扉を開く開扉ステップと、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第2取得ステップと、
前記第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証ステップで一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた第2認証情報と一致するか否かを判定する第2認証ステップと、
前記第2認証ステップにおいて前記第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証ステップで一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた前記第2認証情報と一致すると判定された後に前記入出庫扉を閉じる閉扉ステップと、を含み、
前記第1認証情報は契約車両に応じて付与され、前記第2認証情報は契約者に応じて付与され、
前記第1認証情報は所定桁数の第1認証用暗証番号であり、
前記第2認証情報は所定桁数の前記第1認証用暗証番号の桁数よりも少ない所定桁数の第2認証用暗証番号であることを特徴とする機械式立体駐車設備の制御方法。
【請求項2】
車両を搬送する車両搬送手段を有する車庫装置と、前記車庫装置に設けられた認証手段と、前記認証手段からの認証情報の取得に基づいて前記車庫装置の入出庫扉の開閉を制御する制御装置とを備える機械式立体駐車設備の制御方法であって、
予め、駐車場の利用契約に応じて契約者毎に付与された第1認証情報及び第2認証情報を第1記憶手段に記憶しておく第1記憶ステップと、
前記車庫装置の入出庫扉を開く前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第1取得ステップと、
前記第1取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致するか否かを判定する第1認証ステップと、
前記第1認証ステップにおいて前記認証情報と一致すると判定された前記第1認証情報を第2記憶手段に記憶しておく第2記憶ステップと、
前記第1認証ステップにおいて前記認証情報が前記第1記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致すると判定された後に前記車両搬送手段を呼び出す搬送呼出ステップと、
前記車両搬送手段の到着後に前記入出庫扉を開く開扉ステップと、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第2取得ステップと、
前記第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証ステップで一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた第2認証情報と一致するか否かを判定する第2認証ステップと、
前記第2認証ステップにおいて前記第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証ステップで一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた前記第2認証情報と一致すると判定された後に前記入出庫扉を閉じる閉扉ステップと、を含み、
前記第1認証情報は契約車両に応じて付与され、前記第2認証情報は契約者に応じて付与され、
複数台の利用契約を結んだ契約者に対し、
複数台の利用契約に応じた複数の第1認証情報と、
当該複数の第1認証情報に対して単一の第2認証情報が付与され、
当該付与された第2認証情報は、他の契約者に付与された第2認証情報とは重複しない、機械式立体駐車設備の制御方法。
【請求項3】
車両を搬送する車両搬送手段を有する車庫装置と、前記車庫装置に設けられた認証手段と、前記認証手段からの認証情報の取得に基づいて前記車庫装置の入出庫扉の開閉を制御する制御装置とを備える機械式立体駐車設備の制御方法であって、
予め、駐車場の利用契約に応じて契約者毎に付与された第1認証情報及び第2認証情報を第1記憶手段に記憶しておく第1記憶ステップと、
前記車庫装置の入出庫扉を開く前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第1取得ステップと、
前記第1取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致するか否かを判定する第1認証ステップと、
前記第1認証ステップにおいて前記認証情報と一致すると判定された前記第1認証情報を第2記憶手段に記憶しておく第2記憶ステップと、
前記第1認証ステップにおいて前記認証情報が前記第1記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致すると判定された後に前記車両搬送手段を呼び出す搬送呼出ステップと、
前記車両搬送手段の到着後に前記入出庫扉を開く開扉ステップと、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第2取得ステップと、
前記第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証ステップで一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた第2認証情報と一致するか否かを判定する第2認証ステップと、
前記第2認証ステップにおいて前記第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証ステップで一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた前記第2認証情報と一致すると判定された後に前記入出庫扉を閉じる閉扉ステップと、を含み、
前記第1認証情報は契約車両に応じて付与され、前記第2認証情報は契約者に応じて付与され、
前記第1認証情報は所定桁数の第1認証用暗証番号であり、
前記第2認証情報は所定桁数の前記第1認証用暗証番号の桁数よりも少ない所定桁数の第2認証用暗証番号であり、
前記第2認証用暗証番号は、前記第1認証用暗証番号の一部の所定桁の番号によって構成される、機械式立体駐車設備の制御方法。
【請求項4】
前記認証手段は、テンキー操作部、ICカードリーダー、リモコン装置、バーコードリーダー及びパターン認証機能部のうち少なくとも一の装置を備え、
前記第1取得ステップ及び前記第2取得ステップでは、前記テンキー操作部、前記ICカードリーダー、前記リモコン装置、前記バーコードリーダー及び前記パターン認証機能部のうち、互いに異なる装置を介して、ユーザの認証情報を取得する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の機械式立体駐車設備の制御方法。
【請求項5】
前記開扉ステップと閉扉ステップとの間において、ユーザに前記車庫装置内の安全確認を促す安全確認報知ステップを更に含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の機械式立体駐車設備の制御方法。
【請求項6】
前記第2記憶ステップでは、前記第1認証ステップにおいて一致すると判定された前記第1認証情報に対応する契約者の第2認証情報を、当該第1認証情報とともに又は当該第1認証情報に代えて、前記第2記憶手段に記憶しておく、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の機械式立体駐車設備の制御方法。
【請求項7】
車両を搬送する車両搬送手段を有する車庫装置と、前記車庫装置に設けられた認証手段と、前記認証手段からの認証情報の取得に基づいて前記車庫装置の入出庫扉の開閉を制御する制御装置とを備える機械式立体駐車設備であって、
前記制御装置は、予め、駐車場の利用契約に応じて契約者毎に付与された第1認証情報及び第2認証情報を記憶手段に記憶しておく第1記憶処理と、
前記車庫装置の入出庫扉を開く前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第1取得処理と、
前記第1取得処理においてユーザから取得した認証情報が、前記記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致するか否かを判定する第1認証処理と、
前記第1認証処理において前記認証情報と一致すると判定された前記第1認証情報を前記記憶手段に記憶しておく第2記憶処理と、
前記第1認証処理において前記認証情報が前記記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致すると判定された後に前記車両搬送手段を呼び出す搬送呼出処理と、
前記車両搬送手段の到着後に前記入出庫扉を開く開扉処理と、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第2取得処理と、
前記第2取得処理においてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証処理で一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた第2認証情報と一致するか否かを判定する第2認証処理と、
前記第2認証処理において前記第2取得処理においてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証処理で一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた前記第2認証情報と一致すると判定された後に前記入出庫扉を閉じる閉扉処理と、を実行し、
前記第1認証情報は契約車両に応じて付与され、前記第2認証情報は契約者に応じて付与され、
複数台の利用契約を結んだ契約者に対し、
複数台の利用契約に応じた複数の第1認証情報と、
当該複数の第1認証情報に対して単一の第2認証情報が付与され、
当該付与された第2認証情報は、他の契約者に付与された第2認証情報とは重複しないことを特徴とする機械式立体駐車設備。
【請求項8】
車両を搬送する車両搬送手段を有する車庫装置と、前記車庫装置に設けられた認証手段と、前記認証手段からの認証情報の取得に基づいて前記車庫装置の入出庫扉の開閉を制御する制御装置とを備える機械式立体駐車設備の制御方法であって、
予め、駐車場の利用契約に応じて契約者毎に付与された第1認証情報及び第2認証情報を第1記憶手段に記憶しておく第1記憶ステップと、
前記車庫装置の入出庫扉を開く前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第1取得ステップと、
前記第1取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致するか否かを判定する第1認証ステップと、
前記第1認証ステップにおいて前記認証情報と一致すると判定された前記第1認証情報を第2記憶手段に記憶しておく第2記憶ステップと、
前記第1認証ステップにおいて前記認証情報が前記第1記憶手段に記憶された前記第1認証情報と一致すると判定された後に前記車両搬送手段を呼び出す搬送呼出ステップと、
前記車両搬送手段の到着後に前記入出庫扉を開く開扉ステップと、
前記入出庫扉を閉じる前に、前記認証手段を介して、ユーザの認証情報を取得する第2取得ステップと、
前記第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証ステップで一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた第2認証情報と一致するか否かを判定する第2認証ステップと、
前記第2認証ステップにおいて前記第2取得ステップにおいてユーザから取得した認証情報が、前記第1認証ステップで一致すると判定された第1認証情報に対応する契約者の利用契約に応じた前記第2認証情報と一致すると判定された後に前記入出庫扉を閉じる閉扉ステップと、を含み、
前記第1認証情報は契約車両に応じて付与され、前記第2認証情報は契約者に応じて付与され、
複数台の利用契約を結んだ契約者に対し、
複数台の利用契約に応じた複数の第1認証情報と、
当該複数の第1認証情報に対して単一の第2認証情報が付与され、
当該付与された第2認証情報は、他の契約者に付与された第2認証情報とは重複せず、
前記第1認証情報は所定桁数の第1認証用暗証番号であり、
前記第2認証情報は所定桁数の前記第1認証用暗証番号の桁数よりも少ない所定桁数の第2認証用暗証番号であり、
前記第2認証用暗証番号は、前記第1認証用暗証番号の一部の所定桁の番号によって構成される、機械式立体駐車設備の制御方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-02-05 
出願番号 特願2016-69203(P2016-69203)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (E04H)
P 1 651・ 121- YAA (E04H)
P 1 651・ 16- YAA (E04H)
最終処分 維持  
前審関与審査官 土屋 保光  
特許庁審判長 森次 顕
特許庁審判官 住田 秀弘
有家 秀郎
登録日 2019-11-22 
登録番号 特許第6620055号(P6620055)
権利者 新明和工業株式会社
発明の名称 機械式立体駐車設備の制御方法及び機械式立体駐車設備  
代理人 特許業務法人有古特許事務所  
代理人 特許業務法人 有古特許事務所  

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