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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  E04H
管理番号 1372712
異議申立番号 異議2020-700078  
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2021-05-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-02-13 
確定日 2021-03-08 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6560426号発明「機械式駐車装置およびその安全確認方法並びに安全確認プログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6560426号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項9、11、13について訂正することを認める。 特許第6560426号の請求項1ないし13に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6560426号の請求項1ないし13に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、平成30年11月27日に出願され、令和1年7月26日にその特許権の設定登録がされ、令和1年8月14日に特許掲載公報が発行された。これに対する特許異議の申立て(以下「本件特許異議の申立て」という。)の経緯は、次のとおりである。

令和2年 2月13日 :特許異議申立人 大倉 明良(以下「申立人
」という。)による請求項1ないし13に係
る特許に対する特許異議の申立て
4月24日付け:取消理由通知書
6月25日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
8月 5日 :申立人による意見書の提出
9月24日付け:取消理由通知書(決定の予告)
11月27日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和3年 1月 5日 :申立人による意見書の提出

なお、令和2年11月27日に訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)がされたので、同年6月25日にされた先の訂正の請求は、特許法120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。

第2 訂正の適否
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲における請求項9を、
「駐車車両の幅方向に一列に並んで設けられた複数の乗降室からなる乗降室群と、
乗降室内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置されるとともに、前記乗降室群の前記幅方向における両端部のそれぞれに設けられた入力部と、
制御装置と、
前記乗降室の出入口に設けられた出入口扉と
を備え、
前記制御装置は、入庫時または出庫時において、前記出入口扉が閉じた状態で搬送装置の最初の起動前に、前記両端部のそれぞれに設けられた前記入力部を有効化する入力制御部と、
有効化した全ての前記入力部が無効化された状態で、前記搬送装置の起動を許可する運転許可部と
を具備する機械式駐車装置。」
と訂正する。
(2)訂正事項2(当審注:訂正請求書6頁で「訂正事項1」とあるのは「訂正事項2」の誤記と認める。)
特許請求の範囲における請求項11を、
「駐車車両の幅方向に一列に並んで設けられた複数の乗降室からなる乗降室群と、乗降室内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置されるとともに、前記乗降室群の前記幅方向における両端部のそれぞれに設けられた入力部と、前記乗降室の出入口に設けられた出入口扉とを備える機械式駐車装置の安全確認方法であって、
入庫時または出庫時において、前記出入口扉が閉じた状態で搬送装置の最初の起動前に、前記両端部のそれぞれに設けられた前記入力部を有効化する工程と、
有効化した全ての前記入力部が無効化された状態で、前記搬送装置の起動を許可する工程と
を有する機械式駐車装置の安全確認方法。」
と訂正する。
(3)訂正事項3(当審注:訂正請求書9頁で「訂正事項1」とあるのは「訂正事項3」の誤記と認める。)
特許請求の範囲における請求項13を、
「駐車車両の幅方向に一列に並んで設けられた複数の乗降室からなる乗降室群と、乗降室内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置されるとともに、前記乗降室群の前記幅方向における両端部のそれぞれに設けられた入力部と、前記乗降室の出入口に設けられた出入口扉とを備える機械式駐車装置の安全確認プログラムであって、
入庫時または出庫時において、前記出入口扉が閉じた状態で搬送装置の最初の起動前に、前記両端部のそれぞれに設けられた前記入力部を有効化する処理と、
有効化した全ての前記入力部が無効化された状態で、前記搬送装置の起動を許可する処理と
をコンピュータに実行させるための機械式駐車装置の安全確認プログラム。」
と訂正する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的について
訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項9における「乗降室」について、「駐車車両の幅方向に一列に並んで設けられた複数の乗降室からなる乗降室群」におけるものに限定するとともに、訂正前の請求項9における「入力部」について、「前記乗降室群の前記幅方向における両端部のそれぞれに設けられた」ものに限定し、訂正前の請求項9における「入庫時または出庫時において、前記出入口扉が閉じた状態で搬送装置の最初の起動前」に「有効化する処理」をする「入力部」について、「前記両端部のそれぞれに設けられた」ものに限定するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
新規事項の追加について
訂正事項1に係る訂正のうち、「駐車車両の幅方向に一列に並んで設けられた複数の乗降室からなる乗降室群と、」については、本件特許明細書の段落【0034】に「乗降室Cは、駐車車両の幅方向に一列に並んで配置されている。」として記載されている。
訂正事項1に係る訂正のうち、「乗降室内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置されるとともに、前記乗降室群の前記幅方向における両端部のそれぞれに設けられた入力部」については、本件特許明細書の段落【0043】に「無人確認入力器Mは、各監視区域における物体の有無を人が視認によって確認できる位置に配置されている。本実施形態では、図2、図3に示すように、無人確認入力器Mは、出入口扉Dの両端に設けられた4本の支柱にそれぞれ設けられている。換言すると、複数の無人確認入力器M1?M4は、隣り合う乗降室C1、C2及びC2、C3の境界部および端部に位置する乗降室C1、C3の外側端部であって、出入口近傍にそれぞれ設けられている。」として、また段落【0075】にも「操作盤50が図2において無人確認入力器M2またはM3の位置、すなわち、全ての乗降室C1?C3の端部ではない位置に設置されている場合には、両端部に位置する無人確認入力器M1及びM4を有効化させることとしてもよい。」として記載されている。
訂正事項1に係る訂正のうち、「入庫時または出庫時において、前記出入口扉が閉じた状態で搬送装置の最初の起動前に、前記両端部のそれぞれに設けられた前記入力部を有効化する」については、本件特許明細書の段落【0072】に「本実施形態に係る機械式駐車装置1及びその安全確認方法並びに安全確認プログラムによれば、入庫時または出庫時において・・・人による無人確認を行わせることができる。これにより、前回の出入口扉の閉動作以降において人や動物などの物体が乗降室C内に侵入していた場合には、その存在に気付くことができ、機械式駐車装置の安全性をより高めることが可能となる。」との記載、段落【0075】の「センサの検知結果にかかわらず、搬送装置の最初の起動前に必ず人の無人確認を行わせることにより、安全性をより高めることが可能となる。・・・また、操作盤50が図2において無人確認入力器M2またはM3の位置、すなわち、全ての乗降室C1?C3の端部ではない位置に設置されている場合には、両端部に位置する無人確認入力器M1及びM4を有効化させることとしてもよい。このようにすることで、必然的に利用者を機械式駐車装置1の出入口扉Dの一端から他端まで移動させることができる。これにより、機械式駐車装置内の無人を隈なく確認させることが可能となる。」との記載があるので、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面に記載されていたということができる。
よって、訂正事項1に係る訂正は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
上記アのとおり、訂正事項1に係る訂正は、訂正前の請求項9における「乗降室」が「駐車車両の幅方向に一列に並んで設けられた複数の乗降室からなる乗降室群」におけるものであること、訂正前の請求項9における「入力部」が「前記乗降室群の前記幅方向における両端部のそれぞれに設けられた」ものであること、訂正前の請求項9における「入庫時または出庫時において、前記出入口扉が閉じた状態で搬送装置の最初の起動前」に「有効化する処理」をする「入力部」が「前記両端部のそれぞれに設けられた」ものであることに限定するものであり、特許請求の範囲の減縮をするものであることからみて、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2)訂正事項2
ア 訂正の目的について
訂正事項2に係る訂正は、その内容からみて、訂正前の請求項11に対して、訂正事項1に係る訂正と同様の訂正を行うものであるから、上記(1)アで検討した訂正事項1に係る訂正と同様に、特許法120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
新規事項の追加について
訂正事項2に係る訂正は、その内容からみて、訂正前の請求項11に対して、訂正事項1に係る訂正と同様の訂正を行うものであるから、上記(1)イで検討した訂正事項1に係る訂正と同様に、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項2に係る訂正は、その内容からみて、訂正前の請求項11に対して、訂正事項1に係る訂正と同様の訂正を行うものであるから、上記(1)ウで検討した訂正事項1に係る訂正と同様に、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)訂正事項3
ア 訂正の目的について
訂正事項3に係る訂正は、その内容からみて、訂正前の請求項13に対して、訂正事項1に係る訂正と同様の訂正を行うものであるから、上記(1)アで検討した訂正事項1に係る訂正と同様に、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
新規事項の追加について
訂正事項3に係る訂正は、その内容からみて、訂正前の請求項13に対して、訂正事項1に係る訂正と同様の訂正を行うものであるから、上記(1)イで検討した訂正事項1に係る訂正と同様に、願書に添付した明細書、特許請求の範囲または図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項3に係る訂正は、その内容からみて、訂正前の請求項13に対して、訂正事項1に係る訂正と同様の訂正を行うものであるから、上記(1)ウで検討した訂正事項1に係る訂正と同様に、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(4)申立人の主張について
ア 申立人は、意見書において、訂正後の請求項9には、センサの検知結果にかかわらず、搬送装置の最初の起動前に必ず入力部を有効化することが記載されていないから、センサの検知結果によっては最初の起動前に必ずしも入力部を有効化しないものまで含まれているかのように記載されており、そうであれば、「必然的に利用者を機械式駐車装置1の出入口扉Dの一端から他端まで移動させることができる。これにより、機械式駐車装置内の無人を隈なく確認させることが可能となる」(段落【0075】)との効果は得られないと主張する。
しかし、センサの検知結果に依るか、予め決めておくかにかかわらず、「前記乗降室群の前記幅方向における両端部のそれぞれに設けられた入力部」「を有効化する」ことで、「必然的に利用者を機械式駐車装置1の出入口扉Dの一端から他端まで移動させることができる」から、申立人の当該主張には理由がない。
イ また、申立人は、両端部に位置する入力部を有効化させることは、本件特許明細書の【0075】に「操作盤50が全ての乗降室C1?C3の端部ではない位置に設置されている場合に、両端部に位置する無人確認入力器M1を有効化すること」として記載されているが、操作盤が乗降室の端部ではない位置に設置されていること」と「両端部に位置する入力部を有効化させること」とは一体不可分の関係にあるから、後者のみを取り出して請求項9に追加する訂正は願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではないと主張する。
しかし、「操作盤」が乗降室の端部に位置しているか否かにかかわらず、「入力部」が乗降室群の幅方向における両端部のそれぞれに設けられていれば、「必然的に利用者を機械式駐車装置1の出入口扉Dの一端から他端まで移動させることができる」から、申立人の当該主張にも理由がない。

(5)小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正事項1ないし3に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合する。

3 独立特許要件について
本件においては、訂正前の全請求項について特許異議の申立てがされているから、訂正事項1ないし3は、いずれも特許異議の申立てがされている請求項に係る訂正であり、訂正事項1ないし3により特許請求の範囲の減縮が行われていても、訂正後の請求項1ないし13に係る発明について、特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項の独立特許要件は課されない。

4 まとめ
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項9、11及び13について訂正することを認める。

第3 訂正後の本件発明
本件訂正請求により訂正された本件特許の請求項1ないし13に係る発明(以下、「本件発明1」などといい、まとめて「本件発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

【請求項1】
乗降室内における物体を検知する複数のセンサと、
各前記センサに対応付けられ、各前記センサによる監視区域内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置された少なくとも一つの入力部と、
前記乗降室の出入口に設けられた出入口扉と、
制御装置と
を備え、
前記制御装置は、
各前記センサの検知情報を蓄積する記憶部と、
入庫時または出庫時において、前記出入口扉が閉じた状態で搬送装置の最初の起動に関する所定のトリガイベントが発生した場合に、前記出入口扉の前回の閉操作完了以降において物体を検知した前記センサがあるか否かを前記記憶部に蓄積されている前記センサの検知情報に基づいて判定し、物体を検知した前記センサがある場合に少なくとも一つの前記入力部を有効化させる入力制御部と、
全ての前記入力部が無効化された状態で、前記搬送装置の起動を許可する運転許可部とを具備する機械式駐車装置。
【請求項2】
駐車車両の幅方向に一列に並んで設けられた複数の前記乗降室を備え、
前記入力部は、隣接する前記乗降室の境界付近であって該乗降室の出入口付近に設けられている請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記所定のトリガイベントが発生した場合であって、前記物体を検知した前記センサがある場合に、前記センサに対応する前記入力部を有効化させる請求項1または2に記載の機械式駐車装置。
【請求項4】
複数の前記センサは、隣接する前記乗降室の境界に設けられた監視区域を監視するための区画センサ、前記乗降室の出入口付近に設けられた監視区域を監視するための出入口センサ、前記出入口扉の乗り越えを検出するための乗越えセンサ、及び前記乗降室の出入口からみて奥側に設けられた監視区域を監視するための後方センサのいずれか一つを備える請求項1から3のいずれかに記載の機械式駐車装置。
【請求項5】
複数の前記センサは、前記乗降室の出入口からみて奥側に設けられた監視区域を監視するための後方センサを含み、
前記後方センサによる監視区域における無人を前記入力部の近傍から視認により確認するためのミラーを備える請求項1から3のいずれかに記載の機械式駐車装置。
【請求項6】
駐車車両は前記乗降室に配置されたパレット上に載置可能とされ、
前記トリガイベントは、前記パレットの呼び出し操作の受け付けである請求項1から5のいずれかに記載の機械式駐車装置。
【請求項7】
前記乗降室の出入口付近に設けられた操作盤を備え、
少なくとも一つの前記入力部が操作盤に設けられている請求項1から6のいずれかに記載の機械式駐車装置。
【請求項8】
前記トリガイベントは、前記操作盤の電源操作の受け付けである請求項7に記載の機械式駐車装置。
【請求項9】
駐車車両の幅方向に一列に並んで設けられた複数の乗降室からなる乗降室群と、
乗降室内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置されるとともに、前記乗降室群の前記幅方向における両端部のそれぞれに設けられた入力部と、
制御装置と、
前記乗降室の出入口に設けられた出入口扉と
を備え、
前記制御装置は、入庫時または出庫時において、前記出入口扉が閉じた状態で搬送装置の最初の起動前に、前記両端部のそれぞれに設けられた前記入力部を有効化する入力制御部と、
有効化した全ての前記入力部が無効化された状態で、前記搬送装置の起動を許可する運転許可部と
を具備する機械式駐車装置。
【請求項10】
乗降室内における物体を検知する複数のセンサと、各前記センサに対応付けられ、各前記センサによる監視区域内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置された少なくとも一つの入力部と、前記乗降室の出入口に設けられた出入口扉とを備える機械式駐車装置の安全確認方法であって、
各前記センサの検知情報を蓄積する工程と、
入庫時または出庫時において、前記出入口扉が閉じた状態で搬送装置の最初の起動に関する所定のトリガイベントが発生した場合に、前記出入口扉の前回の閉操作完了以降において物体を検知した前記センサがあるか否かを蓄積していた前記検知情報に基づいて判定し、物体を検知した前記センサがある場合に少なくとも一つの前記入力部を有効化させる工程と、
全ての前記入力部が無効化された状態で、前記搬送装置の起動を許可する工程とを有する機械式駐車装置の安全確認方法。
【請求項11】
駐車車両の幅方向に一列に並んで設けられた複数の乗降室からなる乗降室群と、乗降室内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置されるとともに、前記乗降室群の前記幅方向における両端部のそれぞれに設けられた入力部と、前記乗降室の出入口に設けられた出入口扉とを備える機械式駐車装置の安全確認方法であって、
入庫時または出庫時において、前記出入口扉が閉じた状態で搬送装置の最初の起動前に、前記両端部のそれぞれに設けられた前記入力部を有効化する工程と、
有効化した全ての前記入力部が無効化された状態で、前記搬送装置の起動を許可する工程と
を有する機械式駐車装置の安全確認方法。
【請求項12】
乗降室内における物体を検知する複数のセンサと、各前記センサに対応付けられ、各前記センサによる監視区域内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置された少なくとも一つの入力部と、前記乗降室の出入口に設けられた出入口扉とを備える機械式駐車装置の安全確認プログラムであって、
各前記センサの検知情報を蓄積する処理と、
入庫時または出庫時において、前記出入口扉が閉じた状態で搬送装置の最初の起動に関する所定のトリガイベントが発生した場合に、前記出入口扉の前回の閉操作完了以降において物体を検知した前記センサがあるか否かを蓄積していた前記検知情報に基づいて判定し、物体を検知した前記センサがある場合に少なくとも一つの前記入力部を有効化させる処理と、
全ての前記入力部が無効化された状態で、前記搬送装置の起動を許可する処理とをコンピュータに実行させるための機械式駐車装置の安全確認プログラム。
【請求項13】
駐車車両の幅方向に一列に並んで設けられた複数の乗降室からなる乗降室群と、乗降室内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置されるとともに、前記乗降室群の前記幅方向における両端部のそれぞれに設けられた入力部と、前記乗降室の出入口に設けられた出入口扉とを備える機械式駐車装置の安全確認プログラムであって、
入庫時または出庫時において、前記出入口扉が閉じた状態で搬送装置の最初の起動前に、前記両端部のそれぞれに設けられた前記入力部を有効化する処理と、
有効化した全ての前記入力部が無効化された状態で、前記搬送装置の起動を許可する処理と
をコンピュータに実行させるための機械式駐車装置の安全確認プログラム。

第4 証拠一覧、取消理由の概要、及び証拠の記載
1 証拠一覧
(1)令和2年9月24日付け取消理由(決定の予告)で引用した証拠は、以下のとおりである。
・甲第1号証:特開2017-8526号公報(以下「甲1」という)
・甲第4号証:特許第6330095号公報(以下「甲4」という)
・甲第7号証:特許第6263667号公報(以下「甲7」という)
・甲第8号証:月刊「自転車・バイク・自動者駐車場パーキングプレス
No.80、Vol.660、2016年11月1日発行、
第23?24頁(以下「甲8」という)
(2)令和3年1月5日付け意見書において、申立人は、周知例として次の証拠について述べている。
・甲第3号証:特開2016-102343号公報(以下「甲3」という)

2 令和2年9月24日付け取消理由(決定の予告)の概要は、以下のとおりである。
(1)訂正前の請求項9、11及び13に係る発明は、甲1に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明することができたものであるから、これらの発明に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
(2)訂正前の請求項9、11及び13に係る発明は、甲4に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明することができたものであるから、これらの発明に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。

3 証拠の記載
(1)甲1の記載
甲1には次の記載がある(下線は当審で付した。他の引用例も同じ。)。
ア 「【0001】
本発明は自動車などの車両を駐車するための駐車装置に関する。本発明は、特に、装置内の無人状態を確認させることのできる駐車装置の構造に関する。」
イ 「【0026】
[第1実施形態]
[駐車装置100の構成]
図1に本発明の一態様に係る駐車装置100の主たる構成を示す。図1は駐車装置を側面(入出庫口がある面を正面とする場合)から見た概略図である。
【0028】
駐車装置100は駐車装置操作盤108によって操作される。駐車装置操作盤108は駐車装置100の外側に設けられている。たとえば、駐車装置100の入出庫口(図右側下部)の近くの支柱102に駐車装置操作盤108及びインターロック操作盤110が取り付けられている。駐車装置操作盤108とインターロック操作盤110とが一体の筐体に収められ、一つの操作盤として構成されていてもよい。
【0029】
利用者は駐車装置100の外側から駐車装置操作盤108を操作して、目的のパレット104を入出庫口まで移動させる。また、利用者はインターロック操作盤110を操作して後述するインターロックを作動させたり解除したりすることができる。
【0030】
駐車装置100の入出庫口に設けられる安全ゲート112(以下、単にゲートと称す)は駐車装置操作盤108により開閉を行うことができる。ゲート112は車両Vを入出庫するために開けた場合以外は閉じた状態となっている。したがって、パレット104が移動するときもゲート112は閉じた状態になっている。ゲート112が閉じていることにより、通常は駐車装置100の装置内に人が入れないようになっている。駐車装置操作盤108から出力される信号は制御部114に送られ、制御部114はパレット104の移動やゲート112の開閉を行う駆動装置に制御信号を出力する。駆動装置には、パレット104を移動させるための昇降機106等の装置、及びゲート112を開閉するための装置が含まれる。
【0033】
図2は、駐車装置の駐車空間P1、P5、P9を上面から見た平面図である。図2は、車両Vが各パレット104上に1台ずつ駐車されている状況を示している。・・・
【0034】
[検知部118]
検知部118は、センシング箇所150を障害物によって遮断された場合を、赤外線センサが反応して検知する。センシング箇所150を物体が通過すると、赤外線センサが物体の通過を検知する。・・・」
ウ 「【0035】
[駐車装置操作盤108]
図3は、駐車装置操作盤108の一例である。
駐車装置操作盤108は、ゲート112の開閉を指示するためのゲート開閉指示部及びパレット104を移動する指示をするためのパレット指示部を備え、駐車装置操作盤108を用いて駐車装置100の基本的な操作を行うことができる。駐車装置操作盤108には操作電源スイッチ120、操作部122、パレット番号入力部126、パレット番号表示部124、非常停止ボタン128が設けられている。
【0036】
操作部122の「安全確認ボタン」は、駐車装置内に人がいないかどうかを利用者が確認してから利用者によって押されるボタンである。ゲート112が閉鎖中であれば、このボタンを押すことによりパレット呼び出しを可能な状態に移行させるボタンとなる。ゲート112が開放されている状態では、パレットの移動はされないようになっている。
【0038】
[インターロック操作盤110]
図4は、インターロック操作盤110の一例である。無人確認前に利用者が操作キーを操作してゲート112を開門若しくは閉鎖又はパレット移動操作をしてしまわないように、本実施の形態に係る駐車装置100にはインターロック機能が付加されている。インターロック機能は、検知部118が障害物を検知した場合において、駐車装置100のゲート112を開門若しくは閉鎖又はパレット移動操作といった操作を無効化する機能、すなわち制御部114による駆動装置の制御を無効化する機能を有している。
【0039】
[インターロック操作盤110]
図4にインターロック操作盤110の一例を示す。インターロック操作盤110には、利用者からの解除コードの入力を受け付ける入力部130が設けられている。
・・・
【0051】
また、発光部182A、受光部184Aの間で障害物を検知した場合に、表示部116Aに所定の情報を表示させるようにしてもよい。さらに、発光部182A、受光部184Aの間で障害物を検知した場合に、表示部116Aに所定の情報を表示させ、解除コードは110Aから入力させるようにしてもよい。このように、発光部182A、受光部184A、表示部116A、インターロック操作盤110Aのように図2で同一のアルファベットが符合に付されているもの同士を対応させることによって、利用者が障害物が検知された箇所を実際に視認しなければならないという強制力が高まるため、さらに安全な駐車装置とすることができる。
【0058】
このように、本実施形態に係る駐車装置では、利用者に所定の情報を視認させ、これに基づいた解除コードの入力がなければゲートが閉鎖されず、ゲートを閉鎖しなければ駐車装置を操作することができない駐車装置となっている。したがって、本実施形態において、利用者が無人確認をしたことを確認することで、該無人確認を形骸化させない駐車装置を提供することができる。
【0059】
[第2実施形態]
第2実施形態は、第1実施形態とはインターロックの作動時期が異なるものの、駐車装置100の物理的な構成は第1実施形態で述べたことと同一であるから記載を省略する。システムブロックの説明は、解除コードが所定の条件を満たす場合に、ゲート112を閉鎖させるのではなく、パレット104の移動を再開する点が異なる以外は同一であるから記載を省略する。」
エ 図1



オ 図2



カ 上記イ、ウに摘記した事項、及び、図1、図2から、左側のゲート112の右側の端部の近傍と、中央のゲート112の右側の端部の近傍にインターロック操作盤110A、110Bが取り付けられている様子が看て取れる。

上記アないしカからみて、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。
【甲1発明】
「駐車空間P1、P5、P9において車両Vを各パレット104上に1台ずつ駐車することができ、駐車装置操作盤108によって操作される駐車装置100であって、
前記駐車装置操作盤108は、駐車装置100の入出庫口の近くの支柱102に取り付けられており、
駐車装置操作盤108から出力される信号は制御部114に送られ、制御部114はパレット104の移動やゲート112の開閉を行う駆動装置に制御信号を出力し、
駐車装置100の入出庫口に設けられる安全ゲート112は駐車装置操作盤108により開閉を行うことができ、
前記駐車装置操作盤108には操作電源スイッチ120、操作部122、パレット番号入力部126、パレット番号表示部124、非常停止ボタン128が設けられており、
前記操作部122の「安全確認ボタン」は、駐車装置内に人がいないかどうかを利用者が確認してから利用者によって押されるボタンであり、ゲート112が閉鎖中であれば、このボタンを押すことによりパレット呼び出しを可能な状態に移行させるボタンとなるものであり、
検知部118の赤外線センサが障害物を検知した場合に駐車装置100のゲート112を開門若しくは閉鎖又はパレット移動操作といった操作を無効化するインターロック機能を有しており、左側及び中央のパレット104間、中央及び右側のパレット104間の障害物を検知する箇所を視認可能な左側のゲート112の右側の端部の近傍、及び、中央のゲート112の右側の端部の近傍に取り付けられたインターロック操作盤110A、110Bに設けられている入力部130により利用者からの解除コードの入力を受け付ける、
駐車装置100。」

(2)甲4の記載
甲4には次の記載がある。
ア 「【0001】
本発明は、駐車装置、及び、駐車装置の制御方法に関する。」
イ 「【0030】
図1及び図2に示すとおり、駐車装置10は、複数の駐車室11と、ユーザが車両から乗り降りするために地上面に配置された乗降領域13と、該乗降領域13から垂直上方に連設された昇降空間14とを備える機械式立体駐車場である。複数の駐車室11は、昇降空間14の左右に複数階に亘って連設されている。また、駐車装置10は、該乗降領域13の外部空間15に配置された操作盤16、及び、外部空間15と乗降領域13とを開閉可能に仕切る出入口扉17を備える。さらに、駐車装置10には、乗降領域13の車両Vを所定の駐車室11に搬送し、且つ、所定の駐車室11の車両Vを乗降領域13へと搬送する搬送機構20、及び、駐車装置100の動作を制御する制御部を備える。外部空間15は、乗降領域13の外側の空間を意味し、車両Vが待機する待機領域及びユーザが操作版16を操作する操作領域等を含んでいる。これら待機・操作領域は、「前庭」とも称される。
【0031】
乗降領域13は、ユーザが車両Vから乗り降りするための建造物内の領域であり、車両Vが乗り入れ又は出庫可能に地上階に配置されている。また、乗降領域13は、乗込台13aと該乗込台13aの下方の凹設部13bとを備える。乗込台13aは、中央フレームから左右外方に櫛歯が延びる櫛歯形状を有している。凹設部13bには、原位置において昇降リフト21が収容されている。また、乗降領域13には、内部を照らす照明13cが設置されている。そして、乗降領域13の外部には、外部空間15が形成されている。外部空間15には、ユーザが車両Vで乗降領域13に乗り入れるための車路及び、乗降領域13に近接して操作盤16が配置されている。具体的には、図3の正面視において、操作盤16は、出入口扉17の右側に位置し、建物外壁に固定されている。なお、操作盤(又は操作領域)の設置位置は、本実施形態に限定されないことはいうまでもなく、例えば、操作盤は、出入口扉の左側や、出入口扉から若干離れた位置に設置されてもよい。」
ウ 図3



エ 「【0049】
図8は、車両Vの出庫時の駐車装置10の制御の流れを説明するフローチャートである。まず、駐車中の車両Vを駐車装置10から出庫するためにユーザが駐車装置10に近づくと、センサ18がユーザを検知する。このとき、出入口扉17は閉鎖されている。そして、センサ18による検知に応じて、照明13cが点 灯する点灯処理S21が実行される。この点灯処理S21によって、乗降領域13が照らされることにより、外部空間15から出入口扉17を介して乗降領域13内部を目視することが容易となる。そして、内外の照度を計測する照度計を設置し、外部空間15の照度に比例するように乗降領域13の照度を制御することが好ましい。
【0050】
次いで、ユーザが操作盤16の前に移動すると、第1の無人確認処理(閉扉時・無人確認処理)S22において、制御部(駐車装置10)は、操作盤16の前のユーザに対して、出入口扉17が閉じた状態でユーザに乗降領域13内の無人確認を要求する。この要求は、操作盤16の画面に視覚的に表示されるか、あるいは、操作盤16のスピーカから音声によってなされる。
ユーザは、操作盤16の位置から透明な出入口扉17を介して乗降領域13を目視することによって、乗降領域13が無人であることを確認し、確認後、操作盤16上の無人確認入力器に入力する。そして、制御部は、ユーザによる操作盤16への入力に応じて乗降領域13の無人確認の有無を判定する。つまり、ユーザの無人確認の後、ユーザが操作盤16の無人確認入力器に入力(例えば、ボタンを押す)することにより、制御部が乗降領域13の無人確認がなされたと判定し、次のステップに進む。
【0051】
無人確認処理S22において乗降領域13の無人確認がユーザによってされたと判定された後、ユーザに第1の操作認証を要求し、ユーザの第1の入力情報に基づいてユーザを認証する第1認証処理S23に進む。すなわち、ユーザがIDカード、暗証番号入力等の任意の認証手段で操作認証を行うことにより、制御部が、データベースの情報と認証情報とを照合し、ユーザが契約利用者であるか否かを判定する。ユーザが契約利用者でないと判定された場合、再び、無人確認処理S22の前段階まで戻る。ユーザが契約利用者であると判定された場合、当該ユーザが認証され、第1認証処理S23が完了する。
【0052】
第1認証処理S23の後、出庫する車両Vの駐車室11の車室番号を設定する車室番号設定処理S24が実行される。車室番号設定処理S24において、第1認証処理S23時にユーザに入力された第1の入力情報に紐付けられた車室番号が設定される。しかしながら、車室番号がユーザによって入力されてもよい。
【0053】
次に、安全確認処理S25において、制御部は、ユーザに安全確認を要求し、ユーザによる操作盤16上の安全確認入力器への入力に応じて安全確認がなされたと判定する。ユーザが安全確認入力器へ入力して(例えば、ボタンを押して)安全確認有りと判定された後、出庫搬送処理S26へと進む。
出庫搬送処理S26では、制御部は、駐車室11の車両Vを乗降領域13へと搬送するように搬送機構20を駆動させる。出庫搬送処理S26の間、ユーザは透明性の出入口扉17を介して乗降領域13を常に目視可能である。そして、車両Vの搬送開始後、ユーザが何らかの異常を乗降領域13内に発見した場合、ユーザが非常停止入力器に入力することにより、駐車装置10の機械的動作を停止させる非常停止処理S36へと進む。非常停止入力器への入力がない場合、車両Vの乗降領域13への搬送が完了する。それと同時に、昇降リフト21が原位置に復帰する。」
オ 「【0060】
[変形例]
本発明の別実施例として、図9及び図10のフローチャートは、駐車装置10の制御方法をより簡易にしたものを例示する。本実施例の各処理は、上記実施例の各処理に対応しているので、その説明を省略する。すなわち、本発明の技術的範囲から逸脱することがなければ、必要に応じて、各処理が省略又は追加され、又は、各処理の順番が自由に入れ替えられてもよい。」
カ 上記エによれば、「図10のフローチャートは、駐車装置10の制御方法をより簡易にしたもの」であるところ、図10と図8とのフローチャートを対照すると、図10のフローチャートにおいては、図8のフローチャートにおける安全確認処理S25が省略されていることが看て取れる。
そうすると、甲4には、上記ウのものにおいて、車室番号設定処理S24が実行されると、安全確認処理S25を行わずに、出庫搬送処理S26へと進むことが記載されているといえる。

上記アないしオからみて、甲4には、次の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されているといえる。
【甲4発明】
「乗降領域13の外部空間15に配置された操作盤16、外部空間15と乗降領域13とを開閉可能に仕切る出入口扉17、乗降領域13の車両Vを所定の駐車室11に搬送し、且つ、所定の駐車室11の車両Vを乗降領域13へと搬送する搬送機構20、及び、駐車装置100の動作を制御する制御部を備える駐車装置10であって、
前記操作盤16は、出入口扉17の右側又は出入口扉の左側に設置され、
ユーザが、操作盤16の位置から透明な出入口扉17を介して乗降領域13を目視することによって、乗降領域13が無人であることを確認し、確認後に入力する操作盤16上の無人確認入力器を備え、
前記制御部は、出庫時に、操作盤16の前のユーザに対して、出入口扉17が閉じた状態でユーザに乗降領域13内の無人確認を要求し、
制御部は、ユーザが操作盤16の無人確認入力器に入力(例えば、ボタンを押す)することにより、乗降領域13の無人確認がなされたと判定し、次のステップに進み、
ユーザを認証する第1認証処理S23、及び、出庫する車両Vの駐車室11の 車室番号を設定する車室番号設定処理S24が実行されると、出庫搬送処理S26へと進む、
駐車装置10。」

(3)甲7の記載
甲7には次の記載がある。
ア 「【0001】
本発明は、機械式駐車装置及び機械式駐車装置の制御方法に関する。」
イ 「【0021】
図1及び図2に示すように、機械式駐車装置1は、車両を搬送するための搬送部21が設懺され、該搬送部21に載置された車両に人が乗降するための乗降領域20が形成された乗降部2と、該乗降部2内が安全であるという安全情報が入力される入力手段3と、検知対象物の乗降部2内への侵入を検知する検知手段4と、搬送部21の搬送を制御する制御部10と、報知信号を受信した場合にエラー報知する報知手段9と、を備える。本実施形態の機械式駐車装置1は、制御を次のステップに進めるための情報を入力するための操作盤6と、乗降部2と該乗降部2の外側とを隔離するためのゲート部7と、搬送部21に載置された車両を格納するための地下ピット8とを備える。」
ウ 「【0027】
入力手段3は、複数設けられている。図1に示すように、本実施形態では、入力手段3は3つ設けられており、一台の車両の入出庫に対して2つの入力手段3が使用される。具体的には、入力手段3は、ゲート本体71の両側に設罹された支柱部72のうちの一方の支柱部72に1つ設けられ、他方の支柱部72に1つ設けられている。以下、一方の支柱部72に設けられた入力手段3を第1入力手段3aと称し、他方の支柱部72に設けられた入力手段3を第2入力手段3bと称する。」
エ 「【0051】
図1に示すように、本実施形態の操作盤6は、支柱部72に設置されている。操作盤6は、タッチパネル式で構成されている。操作盤6は、後述する支柱部72のうちの左右方向における最も端に設けられた支柱部72に設置されている。」
オ 図1



カ 上記ウ及びエに摘記した事項を踏まえると、図1からは、右端のゲート部7の右側部付近の支柱部72に操作盤6が設けられ、前記ゲート部7をはさんで、右端のゲート部7の左側部付近に入力手段3bが配置され、さらに真ん中のゲート部7をはさんで、真ん中のゲート部7の左側部付近に入力手段3aが配置されている様子が看て取れる。

上記アないしカからみて、甲7には、次の技術事項(以下「甲7技術事項」という。)が記載されているといえる。
【甲7技術事項】
「該乗降部2内が安全であるという安全情報が入力される入力手段3と、制御を次のステップに進めるための情報を入力するための操作盤6とを備える機械式駐車装置1において、右端のゲート部7の右側部付近の支柱部72に操作盤6が設けられ、前記ゲート部7をはさんで、右端のゲート部7の左側部付近に入力手段3bが配置され、さらに真ん中のゲート部7をはさんで、真ん中のゲート部7の左側部付近に入力手段3aが配置されている機械式駐車装置1。」

(4)甲8の記載
甲8には次の記載がある。

ア 「イラスト&写真でわかりやすく「機械式立体駐車場の安全対策の手引き」」(第22頁第2?3行)
イ 第23頁の図○1(当審注:○に数字は、○の中に数字。以下同様)



ウ 「操作盤から離れた場所で視認性を確保する、無人確認ボタン」(図○1の下の説明1行目)
エ 上記イに摘記した記載を参酌すると、図○1からは、「操作盤」がゲートの左側の柱に設けられ、「無人確認ボタン」がゲートの右側の柱に設けられている様子が看て取れる。

上記アないしエからみて、甲8には、以下の技術事項(以下「甲8技術事項」という。)が記載されているといえる。
【甲8技術事項】
「機械式立体駐車場の安全対策において、無人確認ボタンは操作盤から離れた場所で視認性を確保するもので、操作盤がゲートの左側の柱に設けられ、無人確認ボタンがゲートの右側の柱に設けられた機械式立体駐車場。」

(5)甲3の記載
甲3には次の記載がある。
ア 「【0028】
・・・開閉ゲート34は、所望の可動式パレット32が呼び出された後に開かれ、車両の入出庫が終わった後に、使用者の操作により閉じられるものである。図2の例では、開閉ゲート34は、車両を入出庫する高さにある3基の可動式パレット32に対する車両の入出庫を制限する3連ゲートであり、支柱レール46a、46bにより、上下方向に移動可能に案内支持されている。操作盤36は、立体駐車装置30の各操作を行うための入力が行われるものであり、例えばタッチパネル方式で、開閉ゲート34の開閉操作や、可動式パレット32の呼び出し操作等が入力される。又、装置制御部38は、立体駐車装置30全体の制御を担うものであり、例えば、操作盤36に入力された操作に応じて、駆動部40を介して、可動式パレット32の移動や開閉ゲート34の開閉動作を行わせるものである。駆動部40は、装置制御部38による制御に応じて、可動式パレット32の移動や開閉ゲート34の開閉動作を行うための動力を発生、伝達するものである。
【0032】
又、複数の入力操作部16の各々は、入力を促す表示が可能な表示部14を備えており、詳しくは後述するが、立体駐車装置30内の少なくとも一部についての無人確認済入力操作が行われるものである。又、後述するシステム制御部18の制御によって表示部14が表示状態にされ、無人確認済入力操作が行われると表示部14が非表示状態になる。図1及び図2の例では、複数の入力操作部16として、4つの入力操作部16a?16dを備えている。4つの入力操作部16a?16dは、図2の例では、側部センサ26?29の設置位置に対応した位置毎、すなわち、支柱レール46a、支柱42b、42c、支柱レール46bに設置された照光式の押ボタンであり、立体駐車装置30の前面側から操作される。又、複数の入力操作部16の各々には、立体駐車装置30の開閉ゲート34との間に、各入力操作部16と開閉ゲート34との設置位置の関係に基づいた第1の動作モードが設定されている。更に、複数のセンサ12との間に、各入力操作部16と複数のセンサ12との設置位置の関係に基づいた第2の動作モードが設定されている。これら第1及び第2の動作モードについて、詳しくは後述する。・・・
【0033】
一方、システム制御部18は、立体駐車装置の無人確認システム10の制御を行うものであり、図1の例では、立体駐車装置30の装置制御部38に組み込まれている。システム制御部18は、例えば、複数のセンサ12とゲート前面及び後面センサ20及び22との検知状態や、複数の入力操作部16の表示部14の表示・非表示状態を把握し、又、上述した第1及び第2の動作モードに基づいて、入力操作部16の表示部14を表示状態にさせる。又、表示状態にさせた入力操作部16の表示部14の全てが非表示になるまで、立体駐車装置30の開閉ゲート34が閉じないように、開閉ゲート34の閉動作を抑止するものである。」
イ 図2



ウ 「【0046】
S210(第1の動作モード判定):システム制御部18により、当該入力操作部16に対して第1の動作モードに基づいて関連付けられている開閉ゲート34が開いたか否かを判定する。ここで、第1の動作モードは、各入力操作部16と開閉ゲート34との設置位置の関係に基づいて設定されており、例えば、各入力操作部16に対して、該入力操作部16に最も近い側部センサによって側部が検知される可動式パレット32への、車両の入出庫を制限する開閉ゲート34を関連付けるものである。すなわち、第1の動作モードは、図6の例では、入力操作部16aに対して、この入力操作部16aに最も近い側部センサ50によって側部が検知される可動式パレット32Aへの、車両の入出庫を制限する開閉ゲート34aを関連付け、又、入力操作部16bに対して、この入力操作部16bに最も近い側部センサ51によって側部が検知される可動式パレット32A及び32Bへの、車両の入出庫を制限する開閉ゲート34a及び34bを関連付けている。・・・
【0048】
S220(第2の動作モード判定):システム制御部18により、当該入力操作部16に対して第2の動作モードに基づいて関連付けられているセンサ12が物体を検知したか否かを判定する。ここで、第2の動作モードは、各入力操作部16と複数のセンサ12との設置位置の関係に基づいて設定されており、例えば、各入力操作部16に対して、該入力操作部16に最も近い側部センサと、該側部センサに可動式パレット1基を挟んで隣接する側部センサとを含む、2つ又は3つの側部センサ、及び、該2つ又は3つの側部センサの間にある可動式パレット32の後方を検知する後部センサ24を関連付けるものである。」

上記アないしウからみて、甲3には、以下の技術事項(以下「甲3技術事項」という。)が記載されているといえる。
【甲3技術事項】
「3基の可動式パレット32を有する立体駐車装置30において、立体駐車装置30内の一部についての無人確認済入力操作を行う4つの入力操作部16a?16dを側部センサ26?29の設置位置に対応した両端部を含む位置毎、すなわち、支柱レール46a、支柱42b、42c、支柱レール46bに設置し、第1及び第2の動作モードに基づいて、入力操作部16の表示部14を表示状態にさせ、表示状態にさせた入力操作部16の表示部14の全てが非表示になるまで、立体駐車装置30の開閉ゲート34が閉じないように、開閉ゲート34の閉動作を抑止する技術。」

第5 当審の判断
1 令和2年9月24日付け取消理由通知書(決定の予告)に記載した取消理由について
(1)甲1発明を主引用発明とした場合
ア 本件発明9について
(ア)対比
本件発明9と甲1発明とを対比する。
a 甲1発明の「駐車空間P1、P5、P9」の各空間は、「車両Vが各パレット104上に1台ずつ駐車」され、乗降の用に供されるから、本件発明9における「乗降室」に相当する。そうすると、甲1発明の「駐車空間P1、P5、P9」は、本件発明9における「駐車車両の幅方向に一列に並んで設けられた乗降室からなる乗降室群」に相当するといえる。
b 甲1発明の「制御部114」は、本件発明9における「制御装置」に相当する。
c 甲1発明の「駐車装置100の入出庫口に設けられる安全ゲート112」は、本件発明9における「乗降室の出入口に設けられた出入口扉」に相当する。
d 甲1発明の「駐車装置操作盤108」の操作部122に配置された「安全確認ボタン」は、駐車装置内における人の有無を利用者が確認してから利用者によって押されるものであり、駐車装置内において人がいる場所は乗降室であるといえるから、本件発明9における「乗降室内の物体の有無を人が視認可能な位置」に配置された「入力部」に相当する。
e 甲1発明において「パレット呼び出し」を行う時は、本件発明9における「入庫時または出庫時」に相当する。
f 甲1発明では、ゲート112が閉鎖中において、「安全確認ボタン」を押すことにより「パレット呼び出し」可能な状態に移行させることからみて、「安全確認ボタン」を押すことにより、「安全確認ボタン」が押される前には「パレット呼び出し」不可能な状態にあるのを「パレット呼び出し」可能な状態に移行できるように制御(有効化)しているといえる。
そうすると、甲1発明の「制御部114」は、本件発明9における「入庫時または出庫時において、前記出入口扉が閉じた状態で搬送装置の最初の起動前に」「前記入力部を有効化する入力制御部」を備えているといえる。
g 甲1発明においては、「安全確認ボタン」を押すことにより、「パレット呼び出し」不可能な状態から「パレット呼び出し」可能な状態に移行できるように制御(有効化)していたのを、「安全確認ボタン」が押されることで、「パレット呼び出し」可能な状態に移行し、上記制御(有効化)が無効化されるといえる。
そうすると、甲1発明の「制御部114」は、本件発明9における「有効化した全ての前記入力部が無効化された状態で、前記搬送装置の起動を許可する運転許可部」を備えているといえる。
h 甲1発明における「駐車装置100」は、本件発明9における「機械式駐車装置」に相当する。

以上のaないしhを踏まえると、本件発明9と甲1発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。
(一致点)
「駐車車両の幅方向に一列に並んで設けられた乗降室からなる乗降室群と、
乗降室内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置される入力部と、
制御装置と、
前記乗降室の出入口に設けられた出入口扉と
を備え、
前記制御装置は、入庫時または出庫時において、前記出入口扉が閉じた状態で搬送装置の最初の起動前に、前記入力部を有効化する入力制御部と、
有効化した全ての前記入力部が無効化された状態で、前記搬送装置の起動を許可する運転許可部と
を具備する機械式駐車装置。」
【相違点1】
本件発明9では、「前記乗降室群の前記幅方向における両端部のそれぞれ」に「入力部」が設けられ、「入庫時または出庫時において、前記出入口扉が閉じた状態で搬送装置の最初の起動前に有効化」されるのに対し、
甲1発明の「安全確認ボタン」は、そのようなものではない点。
(イ)判断
「入庫時または出庫時において、前記出入口扉が閉じた状態で搬送装置の最初の起動前に有効化」される「入力部」を設ける位置について、本件発明9のように「前記乗降室群の前記幅方向における両端部のそれぞれ」に設けることは、甲1には記載も示唆もされていない。すなわち、甲1発明の「インターロック操作盤110A、110B」は複数箇所に設けられるものではあるが、乗降室群の幅方向における両端部のそれぞれに設けられるものではないし、駐車装置のゲートを開門、閉鎖、パレット移動操作を無効化(インターロック)する機能に関するもので、本件発明9のように「出入口扉が閉じた状態で搬送装置の最初の起動前」に有効化され、無効化されることで搬送装置の起動を許可するものとは機能が全く異なる。
甲7技術事項や甲8技術事項は、「操作盤」から「安全確認ボタン」を分離して、それらを「出入口扉」を挟むようにして出入口扉の側部付近に配置する技術に関するもので、「安全確認ボタン」を乗降室群の幅方向における両端部のそれぞれに設けることを開示するものではないし、本件発明9のように「出入口扉が閉じた状態で搬送装置の最初の起動前」に有効化され、無効化されることで搬送装置の起動を許可するものでもない。
甲3技術事項は、無人確認済入力操作を行う入力操作部16aと16dとがそれぞれ側部センサ26と29の設置位置に対応した乗降室群の幅方向における両端部に設ける技術を開示しているといえるが、立体駐車装置の開閉ゲートの閉動作を抑止することに関するもので、本件発明9のように「出入口扉が閉じた状態で搬送装置の最初の起動前」に有効化され、無効化されることで搬送装置の起動を許可するものでもない。
したがって、上記相違点1に係る構成は、甲1、甲7技術事項、甲8技術事項、甲3技術事項のいずれにも開示されていない。そうである以上、仮に甲1発明に上記周知の技術事項を適用したとしても上記相違点1に係る構成を得ることができない。

申立人は、「駐車車両の幅方向に一列に並んで設けられた乗降室からなる乗降室群」と「操作盤」と「安全確認ボタン」等の入力部を備える駐車装置において、「前記乗降室群の前記幅方向における両端部のそれぞれ設けられた入力部」を備えることは、甲3等にみられるように周知であるから、甲1発明において、「前記乗降室群の前記幅方向における両端部のそれぞれ設けられた入力部」を備えるようにすることは容易であると主張するが、上述したとおり、甲3技術事項における入力操作部は、本件発明9にいう「入力部」とは機能が異なっており、甲1発明に申立人がいう周知技術を採用したとしても上記相違点1に係る構成を得ることができないから、申立人の当該主張を採用することはできない。

よって、本件発明9は、甲1発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

イ 本件発明11及び13に係る発明について
(ア)対比
本件発明11及び13は、それぞれ、本件発明9の機械式駐車装置に対応する機械式駐車装置の安全確認方法及び機械式駐車装置の安全確認プログラムの発明であって、本件発明9と実質的に同様の発明特定事項を有するものである。
そして、上記ア(ア)で示した点を踏まえると、本件発明11及び13と甲1発明とは、上記相違点1と同様の点で相違する。
(イ)判断
相違点1については、上記ア(イ)に示したとおりである。
よって、本件発明11及び13は、甲1に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

(2)甲4発明を主引用発明とした場合
ア 本件発明9について
(ア)対比
本件発明9と甲4発明とを対比する。
a 甲4発明における「制御部」、「外部空間15と乗降領域13とを開閉可能に仕切る出入口扉17」、「駐車装置10」は、それぞれ本件発明9における、「制御装置」、「乗降室の出入口に設けられた出入口扉」、「機械式駐車装置」に相当する。
b 甲4発明における「ユーザが、操作盤16の位置から透明な出入口扉17を介して乗降領域13を目視することによって、乗降領域13が無人であることを確認し、確認後に入力する操作盤16上の無人確認入力器」は、本件発明9における「乗降室内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置された」「入力部」である点で共通する。
c 甲4発明における「車室番号設定処理S24」は、搬送機構20によって車両Vを乗降領域13へと搬送するために行われる処理であるから、搬送機構20の起動前に行われるものである。また、甲4発明において「無人確認」が「無人確認入力器」への「入力」によって行われることは明らかである。
そうすると、甲4発明における「制御部」が、「車室番号設定処理S24」の前の「出庫時に、操作盤16の前のユーザに対して、出入口扉17が閉じた状態でユーザに乗降領域13内の無人確認を要求」することは、本件発明9における「前記制御装置は、入庫時または出庫時において、前記出入口扉が閉じた状態で搬送装置の最初の起動前に」「前記入力部を有効化する」ものである点で共通する。
d 甲4発明における「制御部」が「ユーザが操作盤16の無人確認入力器に入力することにより、制御部が乗降領域13の無人確認がなされたと判定し、次のステップに進み」、「出庫搬送処理S26へと進む」ことができるようにすることは、無人確認入力器に入力がされると、ユーザに乗降領域13内の無人確認を要求する機能は無効化されるから、本件発明9における「前記制御装置」は「有効化した全ての前記入力部が無効化された状態で、前記搬送装置の起動を許可する」ことに相当する。

上記aないしdを踏まえると、本件発明9と甲4発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。
(一致点)
「乗降室内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置された入力部と、
制御装置と、
前記乗降室の出入口に設けられた出入口扉と
前記出入口扉の側部付近に設けられた操作盤と、
を備え、
前記制御装置は、入庫時または出庫時において、前記出入口扉が閉じた状態で搬送装置の最初の起動前に、前記入力部を有効化する入力制御部と、
有効化した全ての前記入力部が無効化された状態で、前記搬送装置の起動を許可する運転許可部と
を具備する機械式駐車装置。」
【相違点2】
「入庫時または出庫時において、前記出入口扉が閉じた状態で搬送装置の最初の起動前に有効化」される「入力部」について、
本件発明9では、「駐車車両の幅方向に一列に並んで設けられた複数の乗降室からなる乗降室群」の「幅方向における両端部のそれぞれ」に設けられるのに対し、甲4発明の「操作盤16上」に設けられる「無人確認入力器」は、このような位置に設けられるものではない点。
(イ)判断
上記相違点2について、甲4発明における「駐車装置10」は、そもそも「駐車車両の幅方向に一列に並んで設けられた複数の乗降室からなる乗降室群」を有するものではないから、本件発明9のように「入力部」を「駐車車両の幅方向に一列に並んで設けられた複数の乗降室からなる乗降室群」の「幅方向における両端部のそれぞれ」に設けることができないことは明らかである。
また、甲7技術事項や甲8技術事項、甲3技術事項は、「駐車車両の幅方向に一列に並んで設けられた複数の乗降室からなる乗降室群」を有するものであるが、甲7技術事項や甲8技術事項は、「入力部」を「乗降室群」の「幅方向における両端部のそれぞれ」に設けることを開示するものではないし、甲3技術事項における「入力操作部16aと16d」は、乗降室群の幅方向における両端部に設けられているといえるが、立体駐車装置の開閉ゲートの閉動作を抑止することに関するもので、本件発明9のように「出入口扉が閉じた状態で搬送装置の最初の起動前」に有効化され、無効化されることで搬送装置の起動を許可するものでもないから、甲4発明に甲7技術事項や甲8技術事項、甲3技術事項を適用したとしても上記相違点2に係る本件発明9の構成を得ることはできない

よって、本件発明9は、甲4に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

イ 本件発明11及び13に係る発明について
(ア)対比
本件発明11及び13は、それぞれ、本件発明9の機械式駐車装置に対応する機械式駐車装置の安全確認方法及び機械式駐車装置の安全確認プログラムの発明であって、本件発明9と実質的に同様の発明特定事項を有するものである。
そして、上記ア(ア)で示した点を踏まえると、本件発明11及び13と甲4発明とは、上記相違点2と同様の点で相違する。
(イ)判断
相違点2については、上記ア(イ)に示したとおりである。
したがって、本件発明11及び13は、甲4に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

2 取消理由通知において採用しなかった異議申立ての理由について
(1)本件発明1ないし3、6ないし8、10、12は、甲1から容易想到、又は甲1及び甲2から容易想到であり、本件発明4、5は、甲1及び甲3から容易想到、又は甲1ないし甲3から容易想到である旨をいう異議申立ての理由について、以下で検討する。
ア 本件発明1について
(ア)対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
a 甲1発明の「検知部118の赤外線センサ」は、左側及び中央のパレット104間、及び、中央及び右側のパレット104間の障害物を検知するから、本件発明1における「乗降室内における物体を検知する複数のセンサ」に相当する。
b 甲1発明の「制御部114」、「駐車装置100の入出庫口に設けられる安全ゲート112」、「駐車装置100」は、それぞれ本件発明1における「制御装置」、「乗降室の出入口に設けられた出入口扉」、「機械式駐車装置」に相当する。
c 甲1発明において「パレット呼び出し」を行う時は、本件発明1における「入庫時または出庫時」に相当する。
d 甲1発明では、ゲート112が閉鎖中において、「安全確認ボタン」を押すことにより「パレット呼び出し」可能な状態に移行させることからみて、「安全確認ボタン」を押すことにより、「安全確認ボタン」が押される前には「パレット呼び出し」不可能な状態にあるのを「パレット呼び出し」可能な状態に移行できるように制御(有効化)しているといえる。
そうすると、甲1発明の「制御部114」は、本件発明1における「入庫時または出庫時において、前記出入口扉が閉じた状態で搬送装置の最初の起動」に関して「少なくとも一つの前記入力部を有効化させる入力制御部」を備えているといえる。
e 甲1発明においては、「安全確認ボタン」を押すことにより、「パレット呼び出し」不可能な状態から「パレット呼び出し」可能な状態に移行できるように制御(有効化)していたのを、「安全確認ボタン」が押されることで、「パレット呼び出し」可能な状態に移行し、上記制御(有効化)が無効化されるといえる。
そうすると、甲1発明の「制御部114」は、本件発明1における「全ての前記入力部が無効化された状態で、前記搬送装置の起動を許可する運転許可部」を備えているといえる。
f そして、甲1発明の「駐車装置操作盤108」の操作部122に配置された「安全確認ボタン」は、駐車装置内における人の有無を利用者が確認してから利用者によって押されるものであり、駐車装置内において人がいる場所は乗降室であるといえるから、本件発明1における「各前記センサに対応付けられ、各前記センサによる監視区域内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置された少なくとも一つの入力部」における「物体の有無を人が視認可能な位置」に配置された「少なくとも一つの入力部」である点で共通する。

以上のaないしfを踏まえると、本件発明1と甲1発明とは、以下の一致点及び相違点を有する。
(一致点)
「乗降室内における物体を検知する複数のセンサと、
物体の有無を人が視認可能な位置に配置された少なくとも一つの入力部と、
前記乗降室の出入口に設けられた出入口扉と、
制御装置と
を備え、
前記制御装置は、
入庫時または出庫時において、前記出入口扉が閉じた状態で搬送装置の最初の起動に関して少なくとも一つの前記入力部を有効化させる入力制御部と、
全ての前記入力部が無効化された状態で、前記搬送装置の起動を許可する運転許可部とを具備する機械式駐車装置。」
【相違点3】
本件発明1は、「各前記センサに対応付けられ、各前記センサによる監視区域内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置された入力部」及び「各前記センサの検知情報を蓄積する記憶部」を有し、「制御部」は、「入庫時または出庫時において、前記出入口扉が閉じた状態で搬送装置の最初の起動に関する所定のトリガイベントが発生した場合に、前記出入口扉の前回の閉操作完了以降において物体を検知した前記センサがあるか否かを前記記憶部に蓄積されている前記センサの検知情報に基づいて判定し、物体を検知した前記センサがある場合に前記入力部を有効化させる入力制御部」を備えているのに対し、
甲1発明は、「入力部」が各センサに対応付けられているとの特定や「各前記センサの検知情報を蓄積する記憶部」を有しているとの特定はなく、「入力制御部」が本件発明1のような機能を有しているとの特定もない点。
(イ)判断
上記相違点3に係る構成は、上記「第4 3」に示した甲7技術事項、甲8技術事項、甲3技術事項のいずれにも開示されていない。そうである以上、仮に甲1発明に上記周知の技術事項を適用したとしても上記相違点3に係る構成を得ることができない。
本件発明2ないし8は、本件発明1の構成を含んでいるから、本件発明1について述べたのと同様の理由により、甲1発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
よって、本件発明1ないし8は、甲1発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

(2)本件発明9、11、13は、甲1発明又は甲4発明と同一である旨をいう異議申立ての理由について、上記「1」で示したとおり、本件発明9、11、13は、それぞれ甲1発明及び甲4発明と相違点1、相違点2を有しているから、成り立たないことは明らかである。

(3)なお、上記「1」、「2(1)、(2)」に示した判断は、申立人が証拠として提出した甲2、甲5、甲6に示される技術内容に鑑みてもその結論は左右されない。
すなわち、甲2(特開2018-159242号公報)は、機械式駐車場において安全な動作を確保するために備えられる乗降室で人や物を検知するセンサ、車両のはみ出しなどを検知するセンサ、搬送機構の異常な動作を検知するセンサ異常値を検知した場合に、駐車場の場内映像を撮像して、センサが異常値を検知したとき、その検知時に撮像された場内映像を自動的に記録することで、異常値を検知した原因を特定する作業を容易にする技術に関するもので(【0014】・【0017】)、本件発明1が備える「前記センサの検知情報を蓄積する記憶部」とは蓄積する目的が全く異なる。
そして、甲5(特開2015-48595号公報)には、機械式駐車装置10において、乗降室20から人が退室し、最終確認ボタン40への押圧(操作)が行われた後に、パレット16の搬送が実行されること(【0062】)や制御装置50が、RAM、各種プログラム及び各種情報を記憶する記憶手段としてのHDDを備えること(【0052】)が記載され、甲6(特開2017-206836号公報)にも、機械式駐車設備1における操作盤4に、利用者が全ての反射鏡5及び後部反射鏡51で死角領域Bが無人であることを確認したときに操作する無人確認スイッチを設けること(【0080】)が記載されているが、上記相違点1ないし3に係る構成を開示するものではない。

第6 むすび
以上のとおり、本件発明1ないし13は、甲1に記載された発明及び周知技術に基いて、又は、甲4に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできず、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由、及び特許異議申立書に記載した理由及び証拠によっては取り消すことはできない。
さらに、他に本件発明1ないし13に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗降室内における物体を検知する複数のセンサと、
各前記センサに対応付けられ、各前記センサによる監視区域内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置された少なくとも一つの入力部と、
前記乗降室の出入口に設けられた出入口扉と、
制御装置と
を備え、
前記制御装置は、
各前記センサの検知情報を蓄積する記憶部と、
入庫時または出庫時において、前記出入口扉が閉じた状態で搬送装置の最初の起動に関する所定のトリガイベントが発生した場合に、前記出入口扉の前回の閉操作完了以降において物体を検知した前記センサがあるか否かを前記記憶部に蓄積されている前記センサの検知情報に基づいて判定し、物体を検知した前記センサがある場合に少なくとも一つの前記入力部を有効化させる入力制御部と、
全ての前記入力部が無効化された状態で、前記搬送装置の起動を許可する運転許可部と
を具備する機械式駐車装置。
【請求項2】
駐車車両の幅方向に一列に並んで設けられた複数の前記乗降室を備え、
前記入力部は、隣接する前記乗降室の境界付近であって該乗降室の出入口付近に設けられている請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記所定のトリガイベントが発生した場合であって、前記物体を検知した前記センサがある場合に、前記センサに対応する前記入力部を有効化させる請求項1または2に記載の機械式駐車装置。
【請求項4】
複数の前記センサは、隣接する前記乗降室の境界に設けられた監視区域を監視するための区画センサ、前記乗降室の出入口付近に設けられた監視区域を監視するための出入口センサ、前記出入口扉の乗り越えを検出するための乗越えセンサ、及び前記乗降室の出入口からみて奥側に設けられた監視区域を監視するための後方センサのいずれか一つを備える請求項1から3のいずれかに記載の機械式駐車装置。
【請求項5】
複数の前記センサは、前記乗降室の出入口からみて奥側に設けられた監視区域を監視するための後方センサを含み、
前記後方センサによる監視区域における無人を前記入力部の近傍から視認により確認するためのミラーを備える請求項1から3のいずれかに記載の機械式駐車装置。
【請求項6】
駐車車両は前記乗降室に配置されたパレット上に載置可能とされ、
前記トリガイベントは、前記パレットの呼び出し操作の受け付けである請求項1から5のいずれかに記載の機械式駐車装置。
【請求項7】
前記乗降室の出入口付近に設けられた操作盤を備え、
少なくとも一つの前記入力部が操作盤に設けられている請求項1から6のいずれかに記載の機械式駐車装置。
【請求項8】
前記トリガイベントは、前記操作盤の電源操作の受け付けである請求項7に記載の機械式駐車装置。
【請求項9】
駐車車両の幅方向に一列に並んで設けられた複数の乗降室からなる乗降室群と、
乗降室内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置されるとともに、前記乗降室群の前記幅方向における両端部のそれぞれに設けられた入力部と、
制御装置と、
前記乗降室の出入口に設けられた出入口扉と
を備え、
前記制御装置は、入庫時または出庫時において、前記出入口扉が閉じた状態で搬送装置の最初の起動前に、前記両端部のそれぞれに設けられた前記入力部を有効化する入力制御部と、
有効化した全ての前記入力部が無効化された状態で、前記搬送装置の起動を許可する運転許可部と
を具備する機械式駐車装置。
【請求項10】
乗降室内における物体を検知する複数のセンサと、各前記センサに対応付けられ、各前記センサによる監視区域内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置された少なくとも一つの入力部と、前記乗降室の出入口に設けられた出入口扉とを備える機械式駐車装置の安全確認方法であって、
各前記センサの検知情報を蓄積する工程と、
入庫時または出庫時において、前記出入口扉が閉じた状態で搬送装置の最初の起動に関する所定のトリガイベントが発生した場合に、前記出入口扉の前回の閉操作完了以降において物体を検知した前記センサがあるか否かを蓄積していた前記検知情報に基づいて判定し、物体を検知した前記センサがある場合に少なくとも一つの前記入力部を有効化させる工程と、
全ての前記入力部が無効化された状態で、前記搬送装置の起動を許可する工程と
を有する機械式駐車装置の安全確認方法。
【請求項11】
駐車車両の幅方向に一列に並んで設けられた複数の乗降室からなる乗降室群と、乗降室内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置されるとともに、前記乗降室群の前記幅方向における両端部のそれぞれに設けられた入力部と、前記乗降室の出入口に設けられた出入口扉とを備える機械式駐車装置の安全確認方法であって、
入庫時または出庫時において、前記出入口扉が閉じた状態で搬送装置の最初の起動前に、前記両端部のそれぞれに設けられた前記入力部を有効化する工程と、
有効化した全ての前記入力部が無効化された状態で、前記搬送装置の起動を許可する工程と
を有する機械式駐車装置の安全確認方法。
【請求項12】
乗降室内における物体を検知する複数のセンサと、各前記センサに対応付けられ、各前記センサによる監視区域内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置された少なくとも一つの入力部と、前記乗降室の出入口に設けられた出入口扉とを備える機械式駐車装置の安全確認プログラムであって、
各前記センサの検知情報を蓄積する処理と、
入庫時または出庫時において、前記出入口扉が閉じた状態で搬送装置の最初の起動に関する所定のトリガイベントが発生した場合に、前記出入口扉の前回の閉操作完了以降において物体を検知した前記センサがあるか否かを蓄積していた前記検知情報に基づいて判定し、物体を検知した前記センサがある場合に少なくとも一つの前記入力部を有効化させる処理と、
全ての前記入力部が無効化された状態で、前記搬送装置の起動を許可する処理と
をコンピュータに実行させるための機械式駐車装置の安全確認プログラム。
【請求項13】
駐車車両の幅方向に一列に並んで設けられた複数の乗降室からなる乗降室群と、乗降室内の物体の有無を人が視認可能な位置に配置されるとともに、前記乗降室群の前記幅方向における両端部のそれぞれに設けられた入力部と、前記乗降室の出入口に設けられた出入口扉とを備える機械式駐車装置の安全確認プログラムであって、
入庫時または出庫時において、前記出入口扉が閉じた状態で搬送装置の最初の起動前に、前記両端部のそれぞれに設けられた前記入力部を有効化する処理と、
有効化した全ての前記入力部が無効化された状態で、前記搬送装置の起動を許可する処理と
をコンピュータに実行させるための機械式駐車装置の安全確認プログラム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2021-02-22 
出願番号 特願2018-221246(P2018-221246)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (E04H)
最終処分 維持  
前審関与審査官 立澤 正樹  
特許庁審判長 森次顕
特許庁審判官 長井真一
袴田知弘
登録日 2019-07-26 
登録番号 特許第6560426号(P6560426)
権利者 三菱重工機械システム株式会社
発明の名称 機械式駐車装置およびその安全確認方法並びに安全確認プログラム  
代理人 三苫 貴織  
代理人 藤田 考晴  
代理人 川上 美紀  
代理人 藤田 考晴  
代理人 川上 美紀  
代理人 三苫 貴織  
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