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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1373003
審判番号 不服2019-16354  
総通号数 258 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-12-03 
確定日 2021-05-07 
事件の表示 特願2018- 80122「1つのデバイスの使用から別のデバイスの使用への移行」拒絶査定不服審判事件〔平成30年10月 4日出願公開、特開2018-156665、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)3月6日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年5月30日 米国、2014年8月8日 米国)を国際出願日とする特願2016-569669号の一部を平成30年4月18日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成31年 1月23日付け:拒絶理由通知書
令和 元年 7月26日 :意見書、手続補正書の提出
令和 元年 8月 2日付け:拒絶査定
令和 元年12月 3日 :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提

令和 2年11月25日付け:拒絶理由通知書
令和 3年 2月25日 :意見書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和元年8月2日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
この出願の請求項1?13に係る発明は、以下の引用文献A?Dに記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
A 特開2010-245940号公報
B 特開2002-342356号公報
C 特表2013-506225号公報
D 特開2011-209786号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審が令和2年11月25日付けで通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。
1 理由1(サポート要件)
この出願は、特許請求の範囲の記載が次の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
請求項2,4,5に記載されている各発明特定事項について、発明の詳細な説明における対応する記載箇所が見当たらない。

2 理由2(明確性)
この出願は、特許請求の範囲の記載が以下の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
各請求項の記載において、以下の点が不明である。
請求項2の記載の修飾関係が不明である。
請求項3に「聴覚的/視覚的能力」と記載されているが、この記載が、「聴覚的及び視覚的能力」の意味であるのか、「聴覚的又は視覚的能力」の意味であるのか、あるいは、更に別の意味であるのか、いずれか不明であり、別の意味であるとすればどのような意味か不明である。請求項4,5にも同様の記載がある。
請求項4,5に記載されている事項の意味が、いずれも極めて理解困難である。

3 理由3(進歩性)
この出願の請求項1?3,6,8,9に係る発明は、以下の引用文献1?5に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項7,10?13に係る発明は、以下の引用文献1?6に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1 特開2000-122957号公報
2 特表2013-506225号公報(拒絶査定時の引用文献C)
3 特表2013-530458号公報
4 特開2002-342356号公報(拒絶査定時の引用文献B)
5 特開2011-209786号公報(拒絶査定時の引用文献D)
6 特開2002-351768号公報

第4 本願発明
本願請求項1?12に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明12」という。)は、令和3年2月25日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲(以下、単に「補正された特許請求の範囲」という。)の請求項1?12に記載された事項により特定される、以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
方法であって、
タッチ感知ディスプレイとマイクロフォンとを備える電子デバイスにおいて、
前記マイクロフォンからの音声入力を検出することであって、前記音声入力は情報の口頭での要求を含むことと、
無線通信を介して外部デバイスを検出することと、
前記音声入力を検出すること及び前記外部デバイスを検出することに少なくとも部分的に応じて、
前記電子デバイスの前記タッチ感知ディスプレイ上に、前記音声入力に基づく第1の情報のセットを表示することであって、前記第1の情報のセットは前記音声入力に基づいて取得されることと、
無線通信を介して前記外部デバイスに命令を送信するための処理を開始することであって、前記命令は、前記外部デバイスに前記音声入力に基づく第2の情報のセットを表示するためのアフォーダンスを表示させ、前記第2の情報のセットは前記音声入力を用いて取得され、前記第2の情報のセットは前記第1の情報のセットの少なくとも一部を含むことと、
前記音声入力に基づく第2の情報のセットを表示するための前記アフォーダンスを表示した後に、前記外部デバイスにおいて、
前記音声入力に基づく第2の情報のセットを表示するための前記アフォーダンスがまだ所定の時間にわたって表示されていないという判定に従って、前記音声入力に基づく第2の情報のセットを表示するための前記アフォーダンスの表示を維持することと、
前記音声入力に基づく第2の情報のセットを表示するための前記アフォーダンスが所定の時間にわたって表示されたという判定に従って、前記音声入力に基づく第2の情報のセットを表示するための前記アフォーダンスを表示することを停止することと、
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記電子デバイスは第1の聴覚的及び/又は視覚的な能力を有し、前記外部デバイスは、異なる第2の聴覚的及び/又は視覚的な能力を有し、前記方法が、
前記電子デバイスにおいて、前記第1の情報のセットを表示することを更に含み、前記第1の情報のセットは、前記電子デバイスの前記第1の聴覚的及び/又は視覚的な能力内での表示に適合されており、
前記外部デバイスが、前記第2の情報のセットを表示する際、前記外部デバイスの前記第2の聴覚的及び/又は視覚的な能力を利用して、前記第2の情報のセットを表示し、前記第2の情報のセットが、視覚的及び/又は聴覚的に前記第1の情報のセットとは異なる、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記第1の聴覚的及び/又は視覚的な能力と前記第2の聴覚的及び/又は視覚的な能力との間の差異が、前記第2の情報のセットを、前記電子デバイスではなく前記外部デバイスに表示するためのアプリケーションに関連する、方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、
前記第1の聴覚的及び/又は視覚的な能力と前記第2の聴覚的及び/又は視覚的な能力との差異が、前記第1の情報のセットまたは前記第2の情報のセットを、前記外部デバイス及び前記電子デバイスのうちの一方のみで再生するためのスピーカの可用性に関連する、方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法であって、
前記電子デバイスがウェアラブル電子デバイスである、方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法であって、
前記外部デバイスに前記命令を送信するための処理を開始することが、
前記外部デバイスに対して、前記音声入力を特定することを含む、方法。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法であって、
前記外部デバイスに前記命令を送信するための処理を開始することが、
前記外部デバイスに対して、前記第1の情報のセットを提供するウェブサービスを特定することを含む、方法。
【請求項8】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法であって、
前記外部デバイスに前記命令を送信するための処理を開始することが、
前記電子デバイスによって、ウェブサービスから、前記第1の情報のセットを取得することと、
前記外部デバイスに、前記第1の情報のセットの少なくとも一部分を送信することと
を含む方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法であって、
表示された前記第2の情報のセットは、表示された前記第1の情報のセットには含まれていない情報を含む、方法。
【請求項10】
電子デバイスと外部デバイスとを備えるシステムであって、
前記電子デバイスは、
タッチ感知ディスプレイと、
マイクロフォンと、
第1の方法を実行するための命令を含む一つ以上のコンピュータプログラムを格納する第1のメモリと、
前記第1のメモリに格納された命令を実行できる一つ以上のプロセッサと、
を含み、
前記外部デバイスは、
第2の方法を実行するための命令を含む一つ以上のコンピュータプログラムを格納する第2のメモリと、
前記第2のメモリに格納された命令を実行できる一つ以上のプロセッサと、
を含み、
前記第1の方法は、前記電子デバイスにおいて、
前記マイクロフォンからの音声入力を検出することであって、前記音声入力は情報の口頭での要求を含むことと、
無線通信を介して外部デバイスを検出することと、
前記音声入力を検出すること及び前記外部デバイスを検出することに少なくとも部分的に応じて、
前記電子デバイスの前記タッチ感知ディスプレイ上に、前記音声入力に基づく第1の情報のセットを表示することであって、前記第1の情報のセットは前記音声入力に基づいて取得されることと、
無線通信を介して前記外部デバイスに命令を送信するための処理を開始することであって、前記命令は、前記外部デバイスに前記音声入力に基づく第2の情報のセットを表示するためのアフォーダンスを表示させ、前記第2の情報のセットは前記音声入力を用いて取得され、前記第2の情報のセットは前記第1の情報のセットの少なくとも一部を含むことと、
を含み、
前記第2の方法は、前記音声入力に基づく第2の情報のセットを表示するための前記アフォーダンスを表示した後に、前記外部デバイスにおいて、
前記音声入力に基づく第2の情報のセットを表示するための前記アフォーダンスがまだ所定の時間にわたって表示されていないという判定に従って、前記音声入力に基づく第2の情報のセットを表示するための前記アフォーダンスの表示を維持することと、
前記音声入力に基づく第2の情報のセットを表示するための前記アフォーダンスが所定の時間にわたって表示されたという判定に従って、前記音声入力に基づく第2の情報のセットを表示するための前記アフォーダンスを表示することを停止することと、
を含む、
システム。
【請求項11】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法を実行するための命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項12】
電子デバイスと外部デバイスとを備えるシステムであって、
前記電子デバイスは、
タッチ感知ディスプレイと、
マイクロフォンと、
第1の方法を実行するための手段と、
を含み、
前記外部デバイスは、
第2の方法を実行するための手段
を含み、
前記第1の方法は、前記電子デバイスにおいて、
前記マイクロフォンからの音声入力を検出することであって、前記音声入力は情報の口頭での要求を含むことと、
無線通信を介して外部デバイスを検出することと、
前記音声入力を検出すること及び前記外部デバイスを検出することに少なくとも部分的に応じて、
前記電子デバイスの前記タッチ感知ディスプレイ上に、前記音声入力に基づく第1の情報のセットを表示することであって、前記第1の情報のセットは前記音声入力に基づいて取得されることと、
無線通信を介して前記外部デバイスに命令を送信するための処理を開始することであって、前記命令は、前記外部デバイスに前記音声入力に基づく第2の情報のセットを表示するためのアフォーダンスを表示させ、前記第2の情報のセットは前記音声入力を用いて取得され、前記第2の情報のセットは前記第1の情報のセットの少なくとも一部を含むことと、
を含み、
前記第2の方法は、前記音声入力に基づく第2の情報のセットを表示するための前記アフォーダンスを表示した後に、前記外部デバイスにおいて、
前記音声入力に基づく第2の情報のセットを表示するための前記アフォーダンスがまだ所定の時間にわたって表示されていないという判定に従って、前記音声入力に基づく第2の情報のセットを表示するための前記アフォーダンスの表示を維持することと、
前記音声入力に基づく第2の情報のセットを表示するための前記アフォーダンスが所定の時間にわたって表示されたという判定に従って、前記音声入力に基づく第2の情報のセットを表示するための前記アフォーダンスを表示することを停止することと、
を含む、
システム。」

第5 当審拒絶理由の理由1について
補正された特許請求の範囲では、補正前の請求項2が削除されるとともに、補正前の請求項4,5の記載が改められて、それぞれ新たな請求項3,4とされている。
そして、当該新たな請求項3,4に記載されている事項については、いずれも発明の詳細な説明の段落【0258】に記載されていることが認められる。
以上のことから、当審拒絶理由の理由1は解消した。

第6 当審拒絶理由の理由2について
補正された特許請求の範囲では、補正前の請求項2が削除されるとともに、補正前の請求項3?5の記載が改められて、それぞれ新たな請求項2?4とされている。
そして、当該新たな請求項2?4には、それぞれ「聴覚的及び/又は視覚的な能力」と記載されており、「聴覚的/視覚的能力」との記載は存在しないものとなった。

一方、新たな請求項3に記載されている
「前記第1の聴覚的及び/又は視覚的な能力と前記第2の聴覚的及び/又は視覚的な能力との間の差異が、前記第2の情報のセットを、前記電子デバイスではなく前記外部デバイスに表示するためのアプリケーションに関連する」
とは、請求項3が引用する請求項1に「前記外部デバイスに前記音声入力に基づく第2の情報のセットを表示する」と記載されていること、及び段落【0258】の「ポータブル性の高いデバイス・・・ユーザにとって特に有益である。」との記載を参酌すると、「電子デバイス」と「外部デバイス」との間に「能力」の「差異」があることに起因して「第2の情報のセット」を「電子デバイス」ではなく「外部デバイス」に表示することに関して、上記「能力」の「差異」が、「表示するためのアプリケーションに関連する」ことを特定しているものと理解できる。

また、新たな請求項4に記載されている
「前記第1の聴覚的及び/又は視覚的な能力と前記第2の聴覚的及び/又は視覚的な能力との差異が、前記第1の情報のセットまたは前記第2の情報のセットを、前記外部デバイス及び前記電子デバイスのうちの一方のみで再生するためのスピーカの可用性に関連する」
とは、段落【0258】の上記記載を参酌すると、「電子デバイス」と「外部デバイス」との間に「能力」の「差異」があることに起因して「前記第1の情報のセットまたは前記第2の情報のセット」の音声を「前記外部デバイス及び前記電子デバイスのうちの一方のみで再生する」ことに関して、上記「能力」の「差異」が、「前記外部デバイス及び前記電子デバイスのうちの一方のみで再生する」ための「スピーカの可用性」(スピーカが利用できるか否か)に「関連する」ことを特定しているものと理解できる。

以上のことから、当審拒絶理由の理由2は解消した。

第7 引用文献の記載、引用発明等
1 引用文献1(特開2000-122957号公報)
(1)当審拒絶理由にて引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。他の引用文献についても同様。)。
ア 「【0038】図1では、このシステムを構成する各機器の内部機能をブロック図で示している。
【0039】通信網を介してインターネット上のデータを取得するインターネット接続端末1(図2の端末C2001)は、インターネット上のデータを表示または再生するデータ表示/再生部10と、有線/無線のネットワークで接続された他の端末2002、2003の端末情報を管理する接続端末管理部20とから成り、データ表示/再生部10は、インターネット上のデータを取得するデータ取得部101と、取得したデータの表示または再生制御を行なう表示/再生制御部102と、表示または再生する際の表示位置を管理する表示位置管理部103とを具備し、また、接続端末管理部20は、表示/再生端末を選択する際の選択基準を設定する選択基準設定部204と、現在接続している端末の能力情報を管理する接続端末能力管理部202と、選択基準情報及び接続端末能力情報を元に表示/再生端末を選択する端末選択部201と、選択された端末に対し表示または再生を行なうアプリケーションを起動制御する遠隔表示/再生制御部203と、端末選択部201で過去に選択された端末を時系列に管理する表示端末履歴情報格納部205とを具備している。
【0040】また、インターネット接続端末1に有線または無線で接続する遠隔端末3(図2の端末A2003及び端末B2002)は、インターネット上のデータを表示または再生するデータ表示/再生部30を有し、このデータ表示/再生部30には、インターネット接続端末1から転送されるインターネット上のデータを取得するデータ取得部301と、取得したデータの表示または再生制御を行なう表示/再生制御部302と、表示または再生する際の表示位置を管理する表示位置管理部303とを具備している。
【0041】また、インターネット上のデータを提供するデータ提供サーバ50(図2のデータ提供サーバ2004)は、インターネット上のデータを他のWWWサーバ等から取得して提供するデータ提供部501と、端末1、3の能力に応じてデータを変換するデータ変換部504と、データ変換方法を決定するデータ決定部502と、データ形式変換を行なう際の変換の優先順位が記述されたデータ形式変換対応表503と、変換前及び変換後のデータ並びに変換による対応情報を保存するローカルキャッシュ505とを具備している。
【0042】このように構成されたシステムの動作について説明する。インターネット接続端末1のデータ表示/再生部10におけるデータ取得部101は、ネットワーク4を介して、データ提供サーバ50のデータ提供部501に対してインターネット上のデータの取得要求を行ない、データを入手する。データ取得部101が入手したデータは、表示/再生制御部102が表示し、その表示位置を表示位置管理部103が管理する。
【0043】インターネットのデータには、テキスト、静止画、動画など、各種のデータが含まれる。表示/再生制御部102で表示または再生できないデータが現れた場合には、そのデータと表示位置とを接続端末管理部20へ渡す。
【0044】接続端末管理部20の端末選択部201は、接続端末能力管理部202で管理されている端末の中から、そのデータを表示することが可能な遠隔端末を選択し、遠隔表示/再生制御部203から、選択した遠隔端末3のデータ表示/再生部30を起動し、そのデータと表示位置とをデータ表示/再生部30へ送信する。
【0045】選択された遠隔端末3のデータ表示/再生部30では、データ取得部301がインターネット接続端末1からのデータを受信して表示/再生制御部302に送り、表示/再生制御部302は、このデータを、伝えられた表示位置を先頭位置として表示する。」

イ 「【0050】このように、クライアントを複数の端末で構成したこのシステムでは、表示ページの途中で、表示データに適した端末を自動的に選択し、端末を切替えて、その端末でデータの続きを表示させることが可能になる。
【0051】このようなシステムの利用例として、例えば、デジタルスチルカメラのデータをインターネットからダウンロードする場合に、HTMLデータを表示できるブラウザ機能を備えた端末によって、データを選択するまでのナビゲーション操作を行ない、実際にデジタルスチルカメラ用のデータが送られて来た時に、端末をデジタルスチルカメラに自動的に切り替えて、それにデータをダウンロードするような用途が考えられる。
【0052】このシステムでのクライアント側の端末は、この例で示すように、同じユーザが所有する複数の端末であってもよいし、また、連携する複数のユーザが所有する端末の組み合わせであってもよい。
【0053】後者の場合、複数のユーザが、各自の端末で同じWWWページを表示することができ、会議やコミュニケーションのツールとしての利用が可能になる。例えば、WWW上の地図を見ながら複数の人が同一目的地へ向かう場合に、代表者が、まず、自分の携帯端末にインターネットで取得した地図ページを表示し、次いで、表示端末変更操作で、順次、他の人の端末にそれを転送することにより、複数の人の携帯端末に同一地図を表示させることができる。」

(2)上記(1)の記載について、「入手したデータ」の「表示」(段落【0042】)等の「インターネット接続端末1」の動作として記載されている内容、及び、「データを受信して表示」する(段落【0045】)等の「遠隔端末3」の動作として記載されている内容は、「インターネット接続端末1」及び「遠隔端末3」を含むシステムにおいて実行される「方法」を構成しているといえる。

(3)上記(1)、(2)から、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「方法であって、
インターネット上のデータを表示するデータ表示/再生部10と接続端末管理部20とから成り、通信網を介してインターネット上のデータを取得するインターネット接続端末1において、
インターネット接続端末1に遠隔端末3を無線で接続し、
インターネット接続端末1のデータ表示/再生部10は、データ提供サーバ50に対してインターネット上のデータの取得要求を行ない、データを入手し、入手したデータを表示し、
接続端末管理部20は、そのデータを表示することが可能な遠隔端末を選択し、選択した遠隔端末3のデータ表示/再生部30を起動し、そのデータをデータ表示/再生部30へ送信し、
選択された遠隔端末3では、インターネット接続端末1からのデータを受信して表示し、
自分の携帯端末にインターネットで取得した地図ページを表示し、次いで、表示端末変更操作で、順次、他の人の端末にそれを転送することにより、複数の人の携帯端末に同一地図を表示させる、
方法。」

2 引用文献2(引用文献C、特表2013-506225号公報)
(1)当審拒絶理由にて引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【0038】
図2Aの通信ネットワーク図に示されるように、通信ネットワーク200は、Bluetooth(登録商標)無線通信リンクなどの近距離無線通信リンク11を使用して互いに通信するように構成されているコンピューティングデバイス10a?10cを含み得る。コンピューティングデバイス10a?10cはまた、デバイスとセルラー基地局13の間の無線通信リンク12を介して、セルラー通信ネットワーク14と通信することもできる。そのようなセルラー通信ネットワーク14は、セルラー電話ネットワーク、またはインターネット16に結合されたWiFiホットスポットネットワークであってもよい。ファイルの種類、利用可能な近距離無線通信リンク11、および提供されるアクセスデータに応じて、コンピューティングデバイス10a?10cは、一方のデバイスから他方のデバイスへ、デバイス間の無線リンク(例えば、Bluetooth(登録商標)またはNFC通信リンク)を介して直接的に、かつ/あるいはセルラーシステム(SMSまたはMMS)またはインターネットへの無線リンクなど(例えば、ウェブページまたはEメールサーバ18を介して)を介して間接的にファイルを共有することができる。例えば、互いにBluetooth(登録商標)リンクを確立することができるコンピューティングデバイス10a?10cは、アクセスデータおよびファイルを、Bluetooth(登録商標)通信リンクを使用して直接的に交換することができる。別の例として、コンピューティングデバイス10a?10cは、Bluetooth(登録商標)リンクを介してアクセスデータを交換することができ、またアクセスデータが、ファイルを送信するために電話番号を指定するとき、コンピューティングデバイス10a?10cは、セルラー電話アクセスポイント12を介してセルラーネットワーク14へ送信されるSMSまたはMMSメッセージとして、選択されたファイルを送信することができる。セルラーネットワークは、セルラーアクセスポイント12を介して、SMS/MMSメッセージを受信者のデバイスへ中継する。コンピューティングデバイス10a?10c間で交換されたアクセスデータが、Eメールアドレスを含むとき、送信側コンピューティングデバイス10aは、セルラーアクセスポイント12からセルラーネットワーク14を介して、EメールをEメールサーバ18に送信することによって、選択されたファイルをEメールによって送信することができ、セルラーネットワーク14は、インターネット16を介してEメールメッセージを中継するものである。Eメールサーバ18は、Eメールを受信し、意図された受信者を識別し、インターネット16からセルラーネットワーク14を介して、意図されたコンピューティングデバイス10bまたは10cにEメールを送達することができ、セルラーネットワーク14は、セルラーアクセスポイント12を介してEメールを送信するものである。」

イ 「【0041】
図2Aを参照しながら上で説明した通信ネットワークの異なるコンポーネント間で生じる代表的な通信を、図2Bに示してある。起動されたファイル転送機能を有するコンピューティングデバイス10aは、デバイス発見信号であるメッセージ20を送ることによって、近くのコンピューティングデバイス10aを発見することができる。他方のコンピューティングデバイス10bは、デバイス発見信号を受け取ると、応答メッセージ22を送信することができる。デバイス発見信号および応答信号は、メッセージ23でデバイスに通信リンクの取決めを可能にさせるための、コンピューティングデバイス10a、10bに関するデバイス識別情報を含み得る。デバイスの発見、応答、およびハンドシェークメッセージのフォーマットは、デバイス間の通信に使用される特定の通信プロトコル(例えば、Bluetooth(登録商標))によって定義される。応答メッセージ22またはハンドシェークメッセージ23の一部として、応答側コンピューティングデバイス10bは、そのアクセスデータ、その位置(例えば、GPS座標の形で)などのデバイスに関する情報を提供することができ、また任意選択で、所有者の名前または写真などの、その所有者に関する情報を提供することができる。検出されたジェスチャに基づいて、送信側コンピューティングデバイス10aは、ユーザが特定のファイルをターゲットコンピューティングデバイス10bとの間で共有することを望んでいると判定することができる。ファイル送信を達成するために、送信側コンピューティングデバイス10aは、メッセージ24で、問い合わせをターゲットコンピューティングデバイス10bに送って、ファイルおよびファイルの送信に使用するアクセスデータを送信する許可を要求することができる。その所有者の好みに基づいて、また、送信側コンピューティングデバイス10aから受け取った問い合わせメッセージ24に応答して、ターゲットコンピューティングデバイス10bは、要求されたアクセスデータをメッセージ26で送信することによって、応答することができる。
【0042】
送信側コンピューティングデバイス10aに送られたアクセスデータが、確立されたデバイス間の通信リンク(例えば、Bluetooth(登録商標)リンク)を介してファイルが送信されるべきであると指定した場合、送信側コンピューティングデバイス10aは、メッセージ28において、ファイルをターゲットコンピューティングデバイス10bに直接送信することができる。」

(2)上記(1)から、引用文献2には次の事項(以下、「引用文献2記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「近距離無線通信リンク11を使用して互いに通信するように構成されているコンピューティングデバイス10a?10cを含む通信ネットワーク200において、
コンピューティングデバイス10a?10cは、アクセスデータおよびファイルを通信リンクを使用して直接的に交換することができ、
ファイル送信を達成するために、送信側コンピューティングデバイス10aは、ファイルおよびファイルの送信に使用するアクセスデータを送信する許可を要求し、
送信側コンピューティングデバイス10aから受け取った問い合わせメッセージ24に応答して、ターゲットコンピューティングデバイス10bは、要求されたアクセスデータをメッセージ26で送信することによって、応答し、
送信側コンピューティングデバイス10aに送られたアクセスデータが、確立されたデバイス間の通信リンクを介してファイルが送信されるべきであると指定した場合、送信側コンピューティングデバイス10aは、メッセージ28において、ファイルをターゲットコンピューティングデバイス10bに直接送信すること。」

3 引用文献3(特表2013-530458号公報)
(1)当審拒絶理由にて引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0040】
図4は、本発明の実施例に係る情報受信イベント処理部163の運用を基盤にするショートカット機能を説明するための画面例示図である。説明に先立ち、前記携帯端末機100は、タッチロック状態であり、少なくとも一つ以上の情報受信イベントが発生した状態を仮定することにする。
【0041】
前記図4を参照すれば、前述したように、携帯端末機100は、タッチロック状態であり、2つのメッセージ受信イベントと1つの未受信通話呼イベントが発生することにより、それに対応する第1メッセージアイコン41、第2メッセージアイコン43、及び未受信通話アイコン45を表示部141に表示することができる。ここで、前記タッチロック待機画面処理部165は、前記アイコンの累積量を直観的に示すために、待機画面イメージをそれに対応するように変化させることができる。すなわち、前記タッチロック待機画面処理部165は、第1メッセージアイコン41が表示されている隣接領域とその他の領域とを区分するための互いに異なるイメージを表示することができる。一方、前記情報受信イベント処理部163は、前記第1メッセージアイコン41、第2メッセージアイコン43、及び未受信通話アイコン45が表示されたタッチパネル143の領域を部分的に活性化するように制御することができる。
【0042】
このような状態においてユーザは、第1メッセージアイコン41が表示されたタッチパネル143上でタッチ入力を行うことができる。そうすれば、携帯端末機100の情報受信イベント処理部165は、タッチ入力によるタッチイベントの発生をユーザが認知できるように、第1メッセージアイコン41の形態を他のアイコンと異ならせて見えるように調整することができる。すなわち、前記情報受信イベント処理部165は、前記第1メッセージアイコン41が表示された領域を反転させるか、ハイライト表示するか、タッチされた領域にタッチ入力による特定イメージを表示することができる。
【0043】
次に、ユーザがタッチダウン状態を維持し、一定方向、例えば、右側方向にタッチドラッグを行う場合、前記情報受信イベント処理部165は、403画面のように該当タッチドラッグによるイメージ効果を出力することができる。例えば、前記情報受信イベント処理部165は、第1メッセージアイコン41が表示された領域上で401画面から表示されたタッチイメージがタッチドラッグに沿って移動する効果を提供することができる。
【0044】
一方、403画面のように特定タッチイベントが発生する場合、前記情報受信イベント処理部165は、発生したタッチイベントによるタッチロック解除及び情報受信イベントの特定ユーザ機能を活性化するように制御することができる。これをさらに詳細に説明すれば、前記情報受信イベント処理部165は、第1メッセージアイコン41が表示された位置で、一定方向へのタッチドラッグイベントが発生すれば、該当タッチイベントを第1メッセージアイコン41の詳細表示命令に判断することができる。これにより、前記情報受信イベント処理部165は、405画面のように、選択された第1メッセージアイコン41に対応するメッセージ内容の詳細表示画面を表示することができる。これと共に、前記情報受信イベント処理部165は、タッチロック状態を解除するように制御することができる。一方、前記タッチロック待機画面処理部165は、403画面から表示されたタッチロック待機画面イメージの表示を除去することができる。そして、前記制御部160は、タッチロック待機画面処理部165によるタッチロック待機画面表示が中止されれば、前記第1メッセージアイコン41に対応する詳細表示画面を表示するように制御することができる。
【0045】
以上で説明したように、本発明の実施例に係る携帯端末機100は、タッチロック状態で情報受信イベントによるアイコンを表示し、どの情報受信イベントが発生したかをユーザがすぐに認識できるように支援することができる。また、本発明の携帯端末機100は、示されたように、タッチパネル143のタッチロックが部分的に解除されたアイコン領域を選択及び活性化できるように支援し、該当領域で特定タッチイベントの発生時に該当アイコンの特定ユーザ機能を行うようにする一方で、タッチロックを特定タッチイベントによって解除するように制御することができる。」

(2)上記(1)から、引用文献3には次の事項(以下、「引用文献3記載事項」という。)が記載されていると認められる。
「携帯端末機100において、
メッセージ受信イベントとが発生することにより、それに対応する第1メッセージアイコン41を表示部141に表示し、
ユーザは、第1メッセージアイコン41が表示されたタッチパネル143上でタッチ入力を行い、
第1メッセージアイコン41が表示された位置で、一定方向へのタッチドラッグイベントが発生すれば、選択された第1メッセージアイコン41に対応するメッセージ内容の詳細表示画面を表示し、
タッチロック状態で情報受信イベントによるアイコンを表示し、どの情報受信イベントが発生したかをユーザがすぐに認識できるように支援し、アイコン領域を選択及び活性化できるように支援し、該当領域で特定タッチイベントの発生時に該当アイコンの特定ユーザ機能を行うようにすること。」

4 引用文献A(特開2010-245940号公報)
(1)原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献Aには、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【0048】
(連携動作中のクライアント端末における画面表示の遷移例)
次に図6?図8を参照して、クライアント端末連携の際のクライアント端末の画面遷移例を説明する。尚、図6?図8についても、図1の場合と同様に、クライアント端末A101は携帯電話機であり、クライアント端末B102はインターネットブラウジング機能を搭載したデジタルテレビである。また、クライアント端末に適合するデバイスがこのようなものに限られない点も、図1に関して言及したところと同様である。
【0049】
(稼動状況引渡し制御モードにおける画面表示の遷移例)
図6は、稼動状況引渡し制御モードにおける画面表示の遷移例を表す図である。
図6の610はクライアント端末A101の画面表示、620はクライアント端末B102の画面表示である。図のように、押下すると画面が遷移するリンク602を表示する。
クライアント端末A101の画面表示610について、ユーザがリンク611を押下すると、連携先クライアント端末リスト612を表示する。
【0050】
ユーザが連携先クライアント端末リストのうち1つを選択する(図5:ステップS505)と、選択した連携先クライアント端末の情報を連携サーバ装置に送信し(ステップS506)、これを受けた連携サーバ装置105(その、連携先クライアント端末制御部304)が連携先クライアント端末にそのアプリケーション機能の状態を更新させるように制御を実行し(ステップS507)、連携先クライアント端末102に遷移後の画面を表示させる。
【0051】
以上のように、稼動状況引渡し制御モードにおいては、連携サーバ装置105(その、連携先クライアント端末制御部304)によって、該当するクライアント端末(クライアント端末A101)で稼動中のアプリケーション機能に対して行った画面の遷移操作が当該連携先クライアント端末(クライアント端末B102)におけるアプリケーション機能の画面の遷移に反映されるように当該連携先クライアント端末を制御する。
【0052】
(同期表示制御モードにおける画面表示の遷移例)
図7は、同期表示制御モードにおける画面表示の遷移例を表す図である。
図7の720はクライアント端末B102の画面表示、710はクライアント端末A101の画面表示である。クライアント端末B102の画面上部に、図のように、アプリケーション機能の状態を同期させる処理を呼び出すボタン721を表示し、ユーザがそれを選択すると連携先クライアント端末リスト722を表示する。
【0053】
ユーザが連携先クライアント端末リストのうち1つを選択する(図5:ステップS505)と、選択した連携先クライアント端末の情報を連携サーバ装置105に送信する(図5:ステップS506)。これを受けて、連携サーバ装置105が連携先クライアント端末のアプリケーション機能の状態を更新し(図5:ステップS507)、連携先クライアント端末に同期した画面を表示する。
以上のように、同期表示制御モードにおいては、連携サーバ装置105(その、連携先クライアント端末制御部304)によって、該当する前記クライアント端末で稼動中のアプリケーション機能による表示状態と当該連携先クライアント端末における同一のアプリケーション機能による表示状態とが同期するように当該連携先クライアント端末を制御する。」

イ 「【図6】



(2)上記(1)の記載について、以下のことがいえる。
ア 「図6の610はクライアント端末A101の画面表示、620はクライアント端末B102の画面表示である」(段落【0049】)ところ、図6から、クライアント端末B102の画面表示の表示内容は、クライアント端末A101の画面表示の620の表示内容の少なくとも一部を含むことが見て取れる。

イ 「連携先クライアント端末(クライアント端末B102)」(段落【0051】)との記載によれば、「連携先クライアント端末」、「連携先クライアント端末102」は、それぞれ「クライアント端末B102」と読み替えることができる。

ウ 「携先クライアント端末リスト612を表示する」(段落【0049】)等の「クライアント端末A101」の動作として記載されている内容、及び、「連携先クライアント端末102に遷移後の画面を表示させる」(段落【0050】)等の「連携サーバ装置105」の動作として記載されている内容は、「クライアント端末A101」及び「連携サーバ装置105」を含むシステムにおいて実行される「方法」を構成している。

(3)上記(1)、(2)から、引用文献Aには次の発明(以下、「引用発明A」という。)が記載されていると認められる。
「方法であって、
クライアント端末A101の画面表示610について、ユーザがリンク611を押下すると、連携先クライアント端末リスト612を表示し、
ユーザが連携先クライアント端末リストのうち1つを選択すると、クライアント端末B102の情報を連携サーバ装置に送信し、
これを受けた連携サーバ装置105がクライアント端末B102にそのアプリケーション機能の状態を更新させるように制御を実行し、クライアント端末B102に遷移後の画面を表示させ、クライアント端末B102の画面表示の表示内容は、クライアント端末A101の画面表示の620の表示内容の少なくとも一部を含む、
方法。」

第8 当審拒絶理由の理由3について(引用発明1との対比・判断)
1 本願発明1について
(1)対比
ア 本願発明1と引用発明1とを対比すると、以下のことがいえる。
(ア)引用発明1の「インターネット接続端末1」は、「データ表示/再生部10」を備えるものであり、ここで、引用発明1の「インターネット接続端末1」は、本願発明1の「電子デバイス」に相当し、引用発明1の「データ表示/再生部10」と本願発明1の「タッチ感知ディスプレイ」とは、「ディスプレイ」という点で共通している。
したがって、本願発明1の「タッチ感知ディスプレイとマイクロフォンとを備える電子デバイス」との構成に関して、引用発明1と本願発明1とは、「ディスプレイを備える電子デバイス」という点で共通している。

(イ)引用発明1の「インターネット接続端末1」において、「データ表示/再生部10」が「表示する」「データ」は、一まとまりの情報であって、本願発明1の「第1の情報のセット」に相当する。
この点について上記(ア)を踏まえると、本願発明1の「電子デバイスにおいて」、「前記電子デバイスの前記タッチ感知ディスプレイ上に、前記音声入力に基づく第1の情報のセットを表示することであって、前記第1の情報のセットは前記音声入力に基づいて取得されること」との構成に関して、引用発明1と本願発明1とは、「電子デバイスにおいて」、「前記電子デバイスの前記ディスプレイ上に、第1の情報のセットを表示すること」という点で共通している。

(ウ)引用発明1は、「インターネット接続端末1に遠隔端末3を無線で接続し」、「インターネット接続端末1の接続端末管理部20」が、「遠隔端末3のデータ表示/再生部30を起動し、そのデータをデータ表示/再生部30へ送信し」、「選択された遠隔端末3では、インターネット接続端末1からのデータを受信して表示」するものである。
ここで、「遠隔端末3」における「表示」は、「インターネット接続端末1」において、「無線通信を介して」、「表示」のための「命令」を「遠隔端末3」に「送信するための処理」を、「開始」する結果として行われることが明らかである。
また、引用発明1の「自分の携帯端末にインターネットで取得した地図ページを表示し、次いで、表示端末変更操作で、順次、他の人の端末にそれを転送することにより、複数の人の携帯端末に同一地図を表示させる」ことにおいて、「自分の携帯端末」は「インターネット接続端末1」であり、「地図ページを表示」することが「インターネット接続端末1」が「データを入手して表示」する結果として行われること、「他の人の端末」は「遠隔端末3」であって、「同一地図」の「表示」が、「インターネット接続端末1からのデータを受信して」、「選択された遠隔端末3」により行われること、それぞれ表示される「地図ページ」と「同一地図」とは、情報の内容として、後者が前者の「少なくとも一部を含む」関係にあることが、それぞれ明らかである。
そして、引用発明1の「遠隔端末3」は、本願発明1の「外部デバイス」に相当する。
以上の点について上記(ア)、(イ)も踏まえると、本願発明1の
「電子デバイスにおいて」、「無線通信を介して前記外部デバイスに命令を送信するための処理を開始することであって、前記命令は、前記外部デバイスに前記音声入力に基づく第2の情報のセットを表示するためのアフォーダンスを表示させ、前記第2の情報のセットは前記音声入力を用いて取得され、前記第2の情報のセットは前記第1の情報のセットの少なくとも一部を含むこと」
との構成に関して、引用発明1と本願発明1とは、
「電子デバイスにおいて」、「無線通信を介して外部デバイスに命令を送信するための処理を開始することであって、前記命令は、前記外部デバイスに第2の情報のセットを表示させ、前記第2の情報のセットは前記第1の情報のセットの少なくとも一部を含むこと」
という点で共通している。

イ したがって、本願発明1と引用発明1とは以下の点で一致する。
(一致点)
「方法であって、
ディスプレイを備える電子デバイスにおいて、
前記電子デバイスの前記ディスプレイ上に、第1の情報のセットを表示すること、
無線通信を介して外部デバイスに命令を送信するための処理を開始することであって、前記命令は、前記外部デバイスに第2の情報のセットを表示させ、前記第2の情報のセットは前記第1の情報のセットの少なくとも一部を含むことと、
を含む方法。」

ウ また、本願発明1と引用発明1とは以下の点で相違する。
(相違点1)
本願発明1では、「ディスプレイ」が「タッチ感知ディスプレイ」であって、「第1の情報のセットを表示すること」が「タッチ感知ディスプレイ」上で行われるのに対し、引用発明1では、「インターネット接続端末1のデータ表示/再生部10」がどのような種類のディスプレイであるかについての特定がない点。

(相違点2)
本願発明1では、「電子デバイス」が「マイクロフォン」を備えるとともに、「方法」が、「電子デバイス」において、「前記マイクロフォンからの音声入力を検出することであって、前記音声入力は情報の口頭での要求を含むこと」を含んでおり、「第1の情報のセットを表示する」こと及び「無線通信を介して前記外部デバイスに命令を送信するための処理を開始する」ことが、「前記音声入力を検出すること」に「少なくとも部分的に応じて」行われ、そして、「前記第1の情報のセット」が、「前記音声入力に基づく」ものであるとともに、「前記音声入力に基づいて取得され」るものであり、かつ、「前記外部デバイス」において「表示する」、「第2の情報のセット」が、「前記音声入力に基づく」ものであるとともに、「前記音声入力を用いて取得され」るものであるのに対し、
引用発明1では、「インターネット接続端末1」は「マイクロフォン」を備えると特定されるものではなく、「インターネット接続端末1」において「マイクロフォンからの音声入力を検出する」との動作が行われるものでもなく、更に、「インターネット接続端末1のデータ表示/再生部10」が「入手」する「データ」及び「選択された遠隔端末3」が「表示」する「データ」のいずれも、「音声入力に基づく」ものではない点。

(相違点3)
本願発明1の「方法」は、「電子デバイス」において、「無線通信を介して外部デバイスを検出すること」を含み、「第1の情報のセットを表示する」こと及び「無線通信を介して前記外部デバイスに命令を送信するための処理を開始する」ことが、(相違点2の「前記音声入力を検出すること」に加えて)「前記外部デバイスを検出すること」にも「少なくとも部分的に応じて」行われるのに対し、
引用発明1は、「インターネット接続端末1に遠隔端末3を無線で接続」するものであるものの、「無線で接続」するに際して「外部デバイスを検出する」ことについては特定がない点。

(相違点4)
本願発明1では、「前記外部デバイス」に「送信する」「命令」が、「前記外部デバイスに」、「第2の情報のセットを表示するためのアフォーダンスを表示させ」るものであるのに対し、引用発明1では、単に、「インターネット接続端末1」が「選択した遠隔端末3のデータ表示/再生部30を起動」して、「選択された遠隔端末3」が「インターネット接続端末1からのデータを受信して表示」する、つまり、「インターネット接続端末1」から「選択された遠隔端末3」に送信される「表示」のための「命令」が、「アフォーダンスを表示させ」ることを介さずに、「受信」した「データ」を直接「表示」させるものである点。

(相違点5)
本願発明1は、
「前記音声入力に基づく第2の情報のセットを表示するための前記アフォーダンスを表示した後に、前記外部デバイスにおいて、
前記音声入力に基づく第2の情報のセットを表示するための前記アフォーダンスがまだ所定の時間にわたって表示されていないという判定に従って、前記音声入力に基づく第2の情報のセットを表示するための前記アフォーダンスの表示を維持することと、
前記音声入力に基づく第2の情報のセットを表示するための前記アフォーダンスが所定の時間にわたって表示されたという判定に従って、前記音声入力に基づく第2の情報のセットを表示するための前記アフォーダンスを表示することを停止すること」
を含むのに対し、
引用発明1はそのような構成を含むものではない点。

(2)判断
事案に鑑みて、相違点4以降について先に検討する。相違点4,5はいずれも「アフォーダンス」の表示に関するものであるから、両者についてまとめて検討する。
例えば引用文献3記載事項(上記第7の3(2))のように、電子デバイスにおいて、目的とする情報を表示するためのアフォーダンス(引用文献3の「メッセージアイコン」)を表示させて、当該情報が受信されたこと等の通知を行うことは周知技術であり、このことから、相違点4に係る構成については、当業者が容易に想到し得たといえる。
しかしながら、電子デバイスが、外部デバイスにアフォーダンスを表示させることに関して、外部デバイスがそれを表示した後に、前記アフォーダンスがまだ所定の時間にわたって表示されていないという判定に従って、前記アフォーダンスの表示を維持し、かつ、前記アフォーダンスが所定の時間にわたって表示されたという判定に従って、前記アフォーダンスを表示することを停止すること、については、引用文献1?6のいずれにも記載されておらず、本願の優先日前において周知技術であったとも認められない。
したがって、相違点5に係る構成については、当業者が容易に想到し得たということはできない。
よって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用文献1?6に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2?12について
本願発明2?9,11は、本願発明1を減縮した発明である。
また、本願発明10,12は、いずれも、相違点4,5に係る発明特定事項を含む。
そうすると、本願発明2?12も本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用文献1?6に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 小括
以上のとおりであるから、本願発明1?12について、当審拒絶理由の理由3は解消した。

第9 原査定について(引用発明Aとの対比・判断)
1 本願発明1について
(1)対比
ア 本願発明1と引用発明Aとを対比すると、以下のことがいえる。
(ア)引用発明Aの「クライアント端末A101」は、「画面表示610」を行い、「連携先クライアント端末リスト612を表示」するものであるから、表示手段を備えており、当該表示手段と本願発明1の「タッチ感知ディスプレイ」とは、「ディスプレイ」という点で共通している。
そして、引用発明Aの「クライアント端末A101」は、本願発明1の「電子デバイス」に相当する。
したがって、本願発明1の「タッチ感知ディスプレイとマイクロフォンとを備える電子デバイス」との構成に関して、引用発明Aと本願発明1とは、「ディスプレイを備える電子デバイス」という点で共通している。

(イ)引用発明Aの「クライアント端末A101」において、「画面表示610」の表示対象は、一まとまりの情報であって、本願発明1の「第1の情報のセット」に相当する。
この点について上記(ア)を踏まえると、本願発明1の「電子デバイスにおいて」、「前記電子デバイスの前記タッチ感知ディスプレイ上に、前記音声入力に基づく第1の情報のセットを表示することであって、前記第1の情報のセットは前記音声入力に基づいて取得されること」との構成に関して、引用発明Aと本願発明1とは、「電子デバイスにおいて」、「前記電子デバイスの前記ディスプレイ上に、第1の情報のセットを表示すること」という点で共通している。

(ウ)引用発明Aは、「ユーザが連携先クライアント端末リストのうち1つを選択すると、クライアント端末B102の情報を連携サーバ装置に送信し」、「これを受けた連携サーバ装置105が、クライアント端末B102に遷移後の画面を表示させ」、「クライアント端末B102の画面表示の表示内容は、クライアント端末A101の画面表示の620の表示内容の少なくとも一部を含む」ものである。
ここで、「クライアント端末B102」で行われる「表示」は、(「クライアント端末A101」においてではなく)「連携サーバ装置」において、「表示」のための「命令」を「クライアント端末B102」に「送信するための処理」を、「開始」する結果として行われることが明らかである。
そして、引用発明Aの「クライアント端末B102」は、本願発明1の「外部デバイス」に相当する。
以上の点について上記(ア)、(イ)も踏まえると、本願発明1の
「電子デバイスにおいて」、「無線通信を介して前記外部デバイスに命令を送信するための処理を開始することであって、前記命令は、前記外部デバイスに前記音声入力に基づく第2の情報のセットを表示するためのアフォーダンスを表示させ、前記第2の情報のセットは前記音声入力を用いて取得され、前記第2の情報のセットは前記第1の情報のセットの少なくとも一部を含むこと」
との構成に関して、引用発明Aと本願発明1とは、その実行主体が異なることを除き、
「外部デバイスに命令を送信するための処理を開始することであって、前記命令は、前記外部デバイスに第2の情報のセットを表示させ、前記第2の情報のセットは前記第1の情報のセットの少なくとも一部を含むこと、を含む」
という点で共通している。

イ したがって、本願発明1と引用発明Aとは以下の点で一致する。
(一致点)
「方法であって、
ディスプレイを備える電子デバイスにおいて、
前記電子デバイスの前記ディスプレイ上に、第1の情報のセットを表示すること、
を含み、
外部デバイスに命令を送信するための処理を開始することであって、前記命令は、前記外部デバイスに第2の情報のセットを表示させ、前記第2の情報のセットは前記第1の情報のセットの少なくとも一部を含むこと、
を含む方法。」

ウ また、本願発明1と引用発明Aとは以下の点で相違する。
(相違点6)
本願発明1では、「ディスプレイ」が「タッチ感知ディスプレイ」であって、「第1の情報のセットを表示すること」が「タッチ感知ディスプレイ」上で行われるのに対し、引用発明Aでは、「クライアント端末A101」の「画面表示610」がどのような表示手段により表示されるかについての特定がない点。

(相違点7)
本願発明1では、「電子デバイス」が「マイクロフォン」を備えるとともに、「方法」が、「電子デバイス」において、「前記マイクロフォンからの音声入力を検出することであって、前記音声入力は情報の口頭での要求を含むこと」を含んでおり、「第1の情報のセットを表示する」こと及び「無線通信を介して前記外部デバイスに命令を送信するための処理を開始する」ことが、「前記音声入力を検出すること」に「少なくとも部分的に応じて」行われ、そして、「前記第1の情報のセット」が、「前記音声入力に基づく」ものであるとともに、「前記音声入力に基づいて取得され」るものであり、かつ、「前記外部デバイス」において「表示する」、「第2の情報のセット」が、「前記音声入力に基づく」ものであるとともに、「前記音声入力を用いて取得され」るものであるのに対し、
引用発明Aでは、「クライアント端末A101」は「マイクロフォン」を備えるものではなく、「クライアント端末A101」において「マイクロフォンからの音声入力を検出する」との動作が行われるものでもなく、更に、「クライアント端末A101」の「画面表示610」及び「クライアント端末B102」の「遷移後の画面」のいずれも、「音声入力に基づく」ものではない点。

(相違点8)
本願発明1の「方法」は、「電子デバイス」において、「無線通信を介して外部デバイスを検出すること」を含み、「第1の情報のセットを表示する」こと及び「無線通信を介して前記外部デバイスに命令を送信するための処理を開始する」ことが、(相違点7の「前記音声入力を検出すること」に加えて)「前記外部デバイスを検出すること」にも「少なくとも部分的に応じて」行われるのに対し、
引用発明Aは、「クライアント端末A101」において、「クライアント端末B102」を「検出する」ことについて特定がない点。

(相違点9)
本願発明1では、「外部デバイスに命令を送信するための処理を開始すること」を、「電子デバイスにおいて」、「無線通信を介して」行い、また、「命令」が、「前記外部デバイスに」、「第2の情報のセットを表示するためのアフォーダンスを表示させ」るものであるのに対し、引用発明Aでは、「クライアント端末B102に遷移後の画面を表示させ」る主体が「クライアント端末A101」ではなく「連携サーバ装置105」であって、「遷移後の画面を表示させ」るための「命令」の送信主体が異なり、当該「命令」の送信を「無線通信を介して」行うとの特定もなく、また、当該「命令」が、「アフォーダンスを表示させ」ることを介さずに、直接「遷移後の画面を表示させ」るものである点。

(相違点10)
本願発明1は、
「前記音声入力に基づく第2の情報のセットを表示するための前記アフォーダンスを表示した後に、前記外部デバイスにおいて、
前記音声入力に基づく第2の情報のセットを表示するための前記アフォーダンスがまだ所定の時間にわたって表示されていないという判定に従って、前記音声入力に基づく第2の情報のセットを表示するための前記アフォーダンスの表示を維持することと、
前記音声入力に基づく第2の情報のセットを表示するための前記アフォーダンスが所定の時間にわたって表示されたという判定に従って、前記音声入力に基づく第2の情報のセットを表示するための前記アフォーダンスを表示することを停止すること」
を含むのに対し、
引用発明Aはそのような構成を含むものではない点。

(2)判断
事案に鑑みて、相違点9について先に検討する。
引用発明Aは、「クライアント端末A101」が、「クライアント端末B102の情報を連携サーバ装置に送信し」、「これを受けた連携サーバ装置105」が、「クライアント端末B102にそのアプリケーション機能の状態を更新させるように制御を実行し、クライアント端末B102に遷移後の画面を表示させ」るものである。
しかしながら、引用発明Aの「クライアント端末B102に遷移後の画面を表示させ」る、すなわち「表示」のための「命令を送信する」動作について、その実行主体(「連携サーバ装置105」)を変更する動機付けを見出すことはできない。
一方、引用文献2(引用文献C)には、引用文献2記載事項(上記第7の2(2))が記載されていることが認められるが、「コンピューティングデバイス10a?10cは、アクセスデータおよびファイルを通信リンクを使用して直接的に交換する」ものであって、「ターゲットコンピューティングデバイス10b」が「アクセスデータ」を「送信」し、「送信側コンピューティングデバイス10a」が「ファイル」を「ターゲットコンピューティングデバイス10b」に「直接送信する」するものであることから、送信対象は「命令」ではない。
したがって、仮に、引用発明Aに引用文献2記載事項を適用する動機付けがあり、適用することについて当業者が容易に想到し得たとしても、「クライアント端末A101」において「命令を送信する」という相違点9に係る構成には至らない。
よって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用文献A?Dに記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

2 本願発明2?12について
本願発明2?9,11は、本願発明1を減縮した発明である。
また、本願発明10,12は、いずれも、相違点9に係る発明特定事項を含む。
そうすると、本願発明2?12も本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用文献A?Dに記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3 小括
以上のとおりであるから、原査定を維持することはできない。

第10 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-04-13 
出願番号 特願2018-80122(P2018-80122)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
P 1 8・ 537- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 野村 和史萩島 豪梅本 章子  
特許庁審判長 角田 慎治
特許庁審判官 富澤 哲生
太田 龍一
発明の名称 1つのデバイスの使用から別のデバイスの使用への移行  
代理人 永川 行光  
代理人 特許業務法人大塚国際特許事務所  
代理人 木村 秀二  
代理人 大塚 康弘  
代理人 大塚 康徳  
代理人 下山 治  
代理人 高柳 司郎  
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