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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H04W
管理番号 1373117
審判番号 不服2020-9678  
総通号数 258 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-07-09 
確定日 2021-05-10 
事件の表示 特願2018- 274「通信システムにおいて干渉制御のためのサブフレーム運用及びチャネル情報伝送方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 5月17日出願公開,特開2018- 78635,請求項の数(16)〕について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,2012年(平成24年)4月12日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2011年4月12日 大韓民国(KR))を国際出願日とする特願2014-505078号の一部を,平成30年1月4日に新たな特許出願としたものであって,その手続の経緯は以下のとおりである。

平成31年 4月10日付け 拒絶理由通知書
令和 元年 9月24日 意見書及び手続補正書の提出
令和 2年 2月28日付け 拒絶査定
令和 2年 7月 9日 審判請求書及び手続補正書の提出
令和 2年 9月29日 上申書の提出
令和 2年12月28日 上申書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和2年2月28日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

理由1.(進歩性)この出願の請求項1ないし16に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1.国際公開第2010/049587号
引用文献2.国際公開第2010/140298号

理由2.(サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の請求項1,2,4,5,8,9,10,12,13,14,16の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。


請求項1に係る発明は、FDDにおいて、DLに設定されているサブフレームをULに、逆に、ULをDLに指示する場合を含むものである。
ところで、発明の詳細な説明には、TDDにおいて、動的サブフレームをDLの指示をするか、ULの指示をするかは記載されているが、FDD場合は発明の詳細な説明に記載されていない。
したがって、請求項1,2,4,5,8,9,10,12,13,14,16に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されていない。

第3 本願発明
本願の請求項1ないし16に係る発明(以下,「本願発明1」ないし「本願発明16」という。)は,令和2年7月9日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし16に記載された事項により特定される発明であり,以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
時分割複信(time division duplex、TDD)通信システムの端末における情報伝送方法において、
基地局からチャネル状態情報(channel status information、CSI)の測定に関連したサブフレームを指示する情報を含むCSI要請を含む下向きリンク制御情報を第1サブフレーム上で受信する段階と、
前記CSIの測定に関連したサブフレームを指示する情報に基づいて決定されたサブフレームに対するCSIを前記第1サブフレームに対応する上向きリンクサブフレームにおいて、前記基地局に伝送する段階と、を含み、
前記決定されたサブフレームと前記上向きリンクサブフレームとの間隔は、4と等しいか又は4よりも大きい値である情報伝送方法。
【請求項2】
前記決定されたサブフレームは、有効な下向きリンクサブフレームであることを特徴とする請求項1に記載の情報伝送方法。
【請求項3】
前記下向きリンク制御情報が受信される前記第1サブフレームは、前記端末に設定されたTDD(time division duplex)UL/DL(upkink/downlink)設定に応じ、指示された下向きリンクサブフレーム、又はスペシャルサブフレームであることを特徴とする請求項1に記載の情報伝送方法。
【請求項4】
前記下向きリンク制御情報は、上向きリンクグラント(grant)を含むことを特徴とする請求項1に記載の情報伝送方法。
【請求項5】
時分割複信(time division duplex、TDD)通信システムの基地局における情報受信方法において、
チャネル状態情報(channel status information、CSI)の測定に関連したサブフレームを指示する情報を含むCSI要請を含む下向きリンク制御情報を第1サブフレーム上で端末に伝送する段階と、
前記CSIの測定に関連したサブフレームを指示する情報に基づいて決定されたサブフレームに対するCSIを前記第1サブフレームに対応する上向きリンクサブフレームにおいて、前記端末から受信する段階と、を含み、
前記決定されたサブフレームと前記上向きリンクサブフレームとの間隔は、4と等しいか又は4よりも大きい値である情報受信方法。
【請求項6】
前記決定されたサブフレームは、有効な下向きリンクサブフレームであることを特徴とする請求項5に記載の情報受信方法。
【請求項7】
前記下向きリンク制御情報が受信される前記第1サブフレームは、前記端末に設定されたTDD(time division duplex)UL/DL(upkink/downlink)設定に応じ、指示された下向きリンクサブフレーム、又はスペシャルサブフレームであることを特徴とする請求項5に記載の情報受信方法。
【請求項8】
前記下向きリンク制御情報は、上向きリンクグラント(grant)を含むことを特徴とする請求項5に記載の情報受信方法。
【請求項9】
時分割複信(time division duplex、TDD)通信システムの端末において、
信号を送受信する送受信部と、
基地局からチャネル状態情報(channel status information、CSI)の測定に関連したサブフレームを指示する情報を含むCSI要請を含む下向きリンク制御情報を第1サブフレーム上で受信し、前記CSIの測定に関連したサブフレームを指示する情報に基づいて決定されたサブフレームに対するCSIを前記第1サブフレームに対応する上向きリンクサブフレームにおいて、上記基地局に伝送するように前記送受信部を制御する制御部と、を含み、
前記決定されたサブフレームと前記上向きリンクサブフレームとの間隔は、4と等しいか又は4よりも大きい値である端末。
【請求項10】
前記決定されたサブフレームは、有効な下向きリンクサブフレームであることを特徴とする請求項9に記載の端末。
【請求項11】
前記下向きリンク制御情報が受信される前記第1サブフレームは、前記端末に設定されたTDD(time division duplex)UL/DL(upkink/downlink)設定に応じ、指示された下向きリンクサブフレーム、又はスペシャルサブフレームであることを特徴とする請求項9に記載の端末。
【請求項12】
前記下向きリンク制御情報は、上向きリンクグラント(grant)を含むことを特徴とする請求項9に記載の端末。
【請求項13】
時分割複信(time division duplex、TDD)通信システムの基地局において、
信号を送受信する送受信部と、
チャネル状態情報(channel status information、CSI)の測定に関連したサブフレームを指示する情報を含むCSI要請を含む下向きリンク制御情報を第1サブフレーム上で端末に伝送し、前記CSIの測定に関連したサブフレームを指示する情報に基づいて決定されたサブフレームに対するCSIを前記第1サブフレームに対応する上向きリンクサブフレームにおいて、前記端末から受信するように前記送受信部を制御する制御部と、を含み、
前記決定されたサブフレームと前記上向きリンクサブフレームとの間隔は、4と等しいか又は4よりも大きい値である基地局。
【請求項14】
前記決定されたサブフレームは、有効な下向きリンクサブフレームであることを特徴とする請求項13に記載の基地局。
【請求項15】
前記下向きリンク制御情報が受信される前記第1サブフレームは、前記端末に設定されたTDD(time division duplex)UL/DL(upkink/downlink)設定に応じ、指示された下向きリンクサブフレーム、又はスペシャルサブフレームであることを特徴とする請求項13に記載の基地局。
【請求項16】
前記下向きリンク制御情報は、上向きリンクグラント(grant)を含むことを特徴とする請求項13に記載の基地局。」

第4 引用文献,引用発明及び技術的事項
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由で引用され、本願優先日前に公開された引用文献1(国際公開第2010/049587号)には,図面とともに以下の記載がある。(なお,下線は当審で付与した。)

(1)「 These and other problems are generally solved or circumvented, and technical advantages are generally achieved, by advantageous embodiments of the present invention which include an apparatus and methods according to an embodiment for providing a UE supporting the dynamic allocation of subframes within a TDD communication systems to provide efficient use of downlink (DL) and uplink (UL) resources.」(第4頁第12行ないし第16行)
(当審仮訳:
ダウンリンク(DL)及びアップリンク(UL)リソースの効率的な使用を提供するために、TDD通信システム内のサブフレームの動的割振りをサポートするUEを提供するための一実施形態による装置および方法を含む本発明の有利な実施形態によって、これらの問題および他の問題が一般に解決または回避され、技術的利点が一般に達成される。)

(2)「 All UL/DL grants, for the flexible subframes e.g. #3, 4 and #8, 9 in the example configuration will be scheduled in DL subframes that are fixed subframes, e.g. #0, 1 and #5, 6.
ACK/NACK physical resources required to acknowledge UL traffic sent in flexible subframes #3, 4 or #8, 9 are to be sent in fixed DL subframes #0, 1 and #5, 6 in this example.
ACK/NACK physical resources required to acknowledge DL traffic sent in flexible subframes #3-4, #8-9 are sent in fixed UL subframes #2 and #7.
Asynchronous HARQ is enabled in uplink to optimize TDD flexibility,
Thus, to implement the TDD adaptation requires several changes to the system specifications and operations of the UE and the eNB.」(第18頁第19行ないし同第29行)
(当審仮訳:
例えば,この例の構成におけるフレキシブルサブフレーム,例えば,#3,4及び#8,9のためのフレキシブルサブフレームに対する全てのUL/DL許可は,固定されたサブフレーム,例えば,#0,1及び#5,6であるDLサブフレームにスケジュールされる。
この例では,フレキシブルサブフレーム#3,4又は#8,9で送信されたULトラフィックの受信を確認するために必要とされるACK/NACK物理リソースは,固定されたDLサブフレーム#0,1及び#5,6で送信されるためにある。
フレキシブルサブフレーム#3-4,#8-9で送信されたDLトラフィックの受信を確認するために必要とされるACK/NACK物理リソースは,固定されたULサブフレーム#2及び#7で送信される。
非同期HARQは,TDDの柔軟性を最適化するために,アップリンクで有効とされる。
したがって,TDD適応を実装するには,UE及びeNBのシステム仕様と操作にいくつかの変更を加える必要がある。)

(3)図8として以下の図が記載されている。




引用文献1の上記記載,及びこの分野における技術常識を考慮すると,次のことがいえる。

ア 上記(1)の「TDD通信システム内のサブフレームの動的割振りをサポートするUEを提供する」との記載によれば,引用文献1は,TDD通信システム内のUEについて記載されているといえる。

イ 上記(2)の「フレキシブルサブフレーム#3,4又は#8,9で送信されたULトラフィックの受信を確認するために必要とされるACK/NACK物理リソースは,固定されたDLサブフレーム#0,1及び#5,6で送信されるためにある。」との記載,及びULトラフィックとは,UEからeNBに送信されるトラフィックであることが無線通信の分野における技術常識であることを考慮すれば,引用文献1のUEは,ULトラフィックを送信するものといえる。

ウ 上記(2)の「フレキシブルサブフレーム#3-4,#8-9で送信されたDLトラフィックの受信を確認するために必要とされるACK/NACK物理リソースは,固定されたULサブフレーム#2及び#7で送信される。」との記載,並びにULサブフレームはUEからeNBに送信されるためのリソースであること,物理リソースはそれ自体が送信されるものではなく,物理リソースを利用して情報が送信されるものであることが無線通信の分野における技術常識であることを考慮すれば,引用文献1のUEは,ULサブフレームで,ACK/NACK物理リソースを用いて,DLトラフィックの受信を確認するために要求されるACK/NACKを送信するものであることは明らかである。

したがって,上記「ア」ないし「ウ」を総合すると,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「TDD通信システム内のUEが,ULトラフィックやDLトラフィックの受信を確認するために要求されるACK/NACKを送信する方法。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由で引用され,本願優先日前に公開された引用文献2(国際公開第2010/140298号)には,図面とともに以下の事項が記載されている。(なお,下線は当審で付与した。)

(1)「【0057】 次に、第1の実施形態における送信装置及び受信装置の動作を詳しく説明する。図3は第1の実施形態におけるCSI要求及びCSI報告に関する動作を示す図である。ここでは、送信装置である基地局(eNB)から受信装置である2つの端末(UE1、UE2)に対してCSI要求を送信し、各端末から基地局にCSI報告を返信する場合を例示する。」

(2)「【0060】 送信装置は、CSI要求設定部137において、各受信装置において重複しないタイミングでCSI要求の送信タイミングを設定し、スケジューリング部136において参照信号CSI-RSとCSI要求を送信するリソースのスケジューリングを行う。そして、端末用送信信号処理部131mにより、それぞれの受信装置UE1、UE2に対し、参照信号CSI-RSと同時かこれよりも早いタイミングのサブフレームで、受信装置毎に分散してCSI要求の指示を出力する。CSI要求は、該当タイミングの下り制御チャネルPDCCHを用いて受信装置へ通知する。このとき、各受信装置に対してCSI-RSに先立って送信するCSI要求の送信タイミングは、CSI要求送信からCSI-RS送信までの時間間隔が上記CSI報告間隔設定値n_(CSI-RS)+aのオフセット値a以下となるように設定する。これにより、各受信装置において、CSI-RS受信からCSI報告送信までに必要最低限のサブフレーム数n_(CSI-RS)を確保できる。
【0061】 CSI要求に該当する受信装置UEは、事前に通知されたCSI報告間隔情報と、CSI要求を含むPDCCHを検出したサブフレームと、CSI-RSの送信タイミングとから、自装置のCSI報告サブフレームを特定する。ここで、自装置宛のCSI要求を検出したサブフレームからCSI報告間隔設定値n_(CSI-RS)+aを経過したときのサブフレームが、CSI報告サブフレームとなる。受信装置は、CSI報告動作として、CSI要求検出部216において送信装置からのCSI要求を検出し、CSI算出部214においてCSI要求検出後に受信したCSI-RSのチャネル推定値からCSIを算出する。そして、フィードバック情報生成部219において、上記特定したCSI報告サブフレームのタイミングでCSI報告値を含むフィードバック信号を生成して出力する。CSI報告値を含むフィードバック信号は、該当タイミングの上りデータチャネルPUSCHを用いて送信装置へ報告する。」

(3)「【0064】 (第2の実施形態)
第2の実施形態では、第1の実施形態における一定のCSI報告間隔設定値を、無線通信システムにおける送信装置と受信装置との通信時の再送間隔と一致させて設定する。送信装置は、CSIを測定するための参照信号CSI-RSの送信タイミングと同時またはそれよりも早いタイミングで、それぞれの受信装置に対してCSI要求を時間的に分散して送信する。各受信装置は、参照信号CSI-RSからCSIを算出し、CSI要求の受信タイミングから上記のCSI報告間隔設定値を経過したタイミング、すなわちCSI要求の受信時から再送間隔が経過した時点で、送信装置にCSI報告を送信する。これにより、CSI要求を送信するタイミングと、CSI報告を送信するタイミングのそれぞれを分散化する。
(中略)
【0068】 送信装置eNBは、CSI報告間隔設定部440において、予め自装置に所属する複数の受信装置に共通の値として、CSI報告間隔設定値を設定しておく。ここで、CSI報告間隔設定値は、無線通信システムにおける送信装置と受信装置との通信時の再送間隔と一致させた値(図示例では8サブフレーム)とする。すなわち、このCSI報告間隔設定値を適用することにより得られるCSI要求とCSI報告との間隔が、上りデータ信号の再送間隔と一致するよう値を設定する。なお、間欠的に送信される参照信号CSI-RSの送信間隔は、例えば10サブフレーム間隔(10msec間隔)とする。上記CSI報告間隔設定値以外は第1の実施形態と同様である。上記の動作により、送信装置eNBの視点では、CSI要求に用いる下り制御チャネルPDCCHを時間方向に分散できると同時に、CSI報告として割り当てられる上りデータチャネルPUSCHのリソースも分散することができる。」

引用文献2の上記記載,及びこの分野における技術常識を考慮すると,次のことがいえる。

ア 上記(1)の「送信装置である基地局(eNB)から受信装置である2つの端末(UE1、UE2)に対してCSI要求を送信し、各端末から基地局にCSI報告を返信する」との記載によれば,基地局から端末に対してCSI要求を送信するものであるから,UE1,UE2である端末からみれば,基地局からCSI要求を受信するものといえる。
また,上記(2)の段落【0060】の「それぞれの受信装置UE1、UE2に対し、参照信号CSI-RSと同時かこれよりも早いタイミングのサブフレームで、受信装置毎に分散してCSI要求の指示を出力する。CSI要求は、該当タイミングの下り制御チャネルPDCCHを用いて受信装置へ通知する。」との記載によれば,CSI要求は、参照信号CSI-RSと同時かこれよりも早いタイミングのサブフレームの下り制御チャネルPDCCHを用いて受信装置へ通知するものであるから,受信装置UE1,UE2である端末からみれば,基地局からのCSI要求を,参照信号CSI-RSと同時かこれよりも早いタイミングのサブフレームの下り制御チャネルPDCCHを用いて受信するものといえる。
以上のことから,引用文献2の端末は「基地局からCSI要求を,参照信号CSI-RSと同時かこれよりも早いタイミングのサブフレームの下り制御チャネルPDCCHを用いて受信」するものといえる。

イ 上記(2)の段落【0061】の「CSI要求に該当する受信装置UEは、事前に通知されたCSI報告間隔情報と、CSI要求を含むPDCCHを検出したサブフレームと、CSI-RSの送信タイミングとから、自装置のCSI報告サブフレームを特定する。ここで、自装置宛のCSI要求を検出したサブフレームからCSI報告間隔設定値n_(CSI-RS)+aを経過したときのサブフレームが、CSI報告サブフレームとなる。」との記載,及び同「上記特定したCSI報告サブフレームのタイミングでCSI報告値を含むフィードバック信号を生成して出力する。CSI報告値を含むフィードバック信号は、該当タイミングの上りデータチャネルPUSCHを用いて送信装置へ報告する。」との記載,及び上記(1)の「送信装置である基地局(eNB)」との記載によれば,受信装置UEである端末は「CSI要求を含むPDCCHを検出したサブフレームからCSI報告間隔設定値を経過したときのサブフレームとして特定したCSI報告サブフレームのタイミングでCSI報告値を含むフィードバック信号を上りデータチャネルPUSCHを用いて基地局へ報告」するものといえる。

ウ 上記(3)の「送信装置は、CSIを測定するための参照信号CSI-RSの送信タイミングと同時またはそれよりも早いタイミングで、それぞれの受信装置に対してCSI要求を時間的に分散して送信する。各受信装置は、参照信号CSI-RSからCSIを算出し、CSI要求の受信タイミングから上記のCSI報告間隔設定値を経過したタイミング、すなわちCSI要求の受信時から再送間隔が経過した時点で、送信装置にCSI報告を送信する。」との記載,及び「CSI報告間隔設定値は、無線通信システムにおける送信装置と受信装置との通信時の再送間隔と一致させた値(図示例では8サブフレーム)とする。すなわち、このCSI報告間隔設定値を適用することにより得られるCSI要求とCSI報告との間隔が、上りデータ信号の再送間隔と一致するよう値を設定する。」との記載によれば,CSI報告間隔設定値を8サブフレームとすることで,CSI要求とCSI報告との間隔を8サブフレームとすることが記載されているといえる。

したがって,上記「ア」ないし「ウ」を総合すると,引用文献2には,次の技術的事項が記載されていると認められる。

「端末は,基地局からCSI要求を,参照信号CSI-RSと同時かこれよりも早いタイミングのサブフレームの下り制御チャネルPDCCHを用いて受信し,CSI要求を含むPDCCHを検出したサブフレームからCSI報告間隔設定値を経過したときのサブフレームとして特定したCSI報告サブフレームのタイミングでCSI報告値を含むフィードバック信号を上りデータチャネルPUSCHを用いて基地局へ報告するものであって,CSI要求とCSI報告との間隔を8サブフレームとする。」

第5 対比及び判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。

ア 引用発明における「TDD通信システム」は,本願発明1における「時分割複信(time division duplex、TDD)通信システム」に相当する。

イ 引用発明における「UE」は,無線通信システムにおける端末を意味することが無線通信の分野における技術常識であるから,本願発明1における「端末」に相当する。

ウ 引用発明における「ULトラフィックやDLトラフィックの受信を確認するために要求されるACK/NACK」は,本願発明1における「情報」に含まれる。

エ 引用発明における「送信」は,本願発明1における「伝送」に含まれる。

したがって,上記「ア」ないし「エ」を総合すれば,本願発明1と引用発明は,以下の点で一致し,また相違する。

<一致点>
「 時分割複信(time division duplex、TDD)通信システムの端末における情報伝送方法」

<相違点>
本願発明1が「基地局からチャネル状態情報(channel status information、CSI)の測定に関連したサブフレームを指示する情報を含むCSI要請を含む下向きリンク制御情報を第1サブフレーム上で受信する段階と、
前記CSIの測定に関連したサブフレームを指示する情報に基づいて決定されたサブフレームに対するCSIを前記第1サブフレームに対応する上向きリンクサブフレームにおいて、前記基地局に伝送する段階と、を含み、
前記決定されたサブフレームと前記上向きリンクサブフレームとの間隔は、4と等しいか又は4よりも大きい値である」のに対して,引用発明は,当該発明特定事項について特定されていない点。

(2)判断
上記「第4」の「2」で説示したとおり,引用文献2には「端末は,基地局からCSI要求を,参照信号CSI-RSと同時かこれよりも早いタイミングのサブフレームの下り制御チャネルPDCCHを用いて受信し,CSI要求を含むPDCCHを検出したサブフレームからCSI報告間隔設定値を経過したときのサブフレームとして特定したCSI報告サブフレームのタイミングでCSI報告値を含むフィードバック信号を上りデータチャネルPUSCHを用いて基地局へ報告するものであって,CSI要求とCSI報告との間隔を8サブフレームとする。」という技術的事項が記載されている。しかしながら,上記相違点のうち,少なくとも「CSI要請」が「基地局からチャネル状態情報(channel status information、CSI)の測定に関連したサブフレームを指示する情報を含む」こと,「CSI」が「前記CSIの測定に関連したサブフレームを指示する情報に基づいて決定されたサブフレームに対する」ものであること,及び「前記決定されたサブフレームと前記上向きリンクサブフレームとの間隔は、4と等しいか又は4よりも大きい値である」という発明特定事項は,引用文献2には記載も示唆もされておらず,また当該技術分野における周知技術であるともいえない。
よって,引用発明において,上記相違点に係る「基地局からチャネル状態情報(channel status information、CSI)の測定に関連したサブフレームを指示する情報を含むCSI要請を含む下向きリンク制御情報を第1サブフレーム上で受信する段階と、
前記CSIの測定に関連したサブフレームを指示する情報に基づいて決定されたサブフレームに対するCSIを前記第1サブフレームに対応する上向きリンクサブフレームにおいて、前記基地局に伝送する段階と、を含み、
前記決定されたサブフレームと前記上向きリンクサブフレームとの間隔は、4と等しいか又は4よりも大きい値である」ものとすることは,当業者といえども,容易に想到し得たとはいえない。
したがって,本願発明1は,当業者であっても,引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 本願発明2ないし4について
本願発明2ないし4は,本願発明1の発明特定事項を全て備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明及び引用文献2記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

3 本願発明5ないし8について
本願発明5は,本願発明1の「端末における情報伝送方法」に対する「基地局における情報受信方法」である。そして,本願発明1の上記相違点に対応する「チャネル状態情報(channel status information、CSI)の測定に関連したサブフレームを指示する情報を含むCSI要請を含む下向きリンク制御情報を第1サブフレーム上で端末に伝送する段階と、
前記CSIの測定に関連したサブフレームを指示する情報に基づいて決定されたサブフレームに対するCSIを前記第1サブフレームに対応する上向きリンクサブフレームにおいて、前記端末から受信する段階と、を含み、
前記決定されたサブフレームと前記上向きリンクサブフレームとの間隔は、4と等しいか又は4よりも大きい値である」との発明特定事項を備えるものである。してみれば,本願発明1と同様の理由により,当業者であっても,引用発明及び引用文献2記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。
また,本願発明6ないし8は,本願発明5の発明特定事項を全て備えるものであるから,本願発明5と同じ理由により,当業者であっても,引用発明及び引用文献2記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

4 本願発明9ないし12について
本願発明9は,本願発明1の「端末における情報伝送方法」という方法発明に対する「端末」という装置発明であって,カテゴリーのみが相違する発明である。そして,本願発明1の上記相違点と同様の「基地局からチャネル状態情報(channel status information、CSI)の測定に関連したサブフレームを指示する情報を含むCSI要請を含む下向きリンク制御情報を第1サブフレーム上で受信し、前記CSIの測定に関連したサブフレームを指示する情報に基づいて決定されたサブフレームに対するCSIを前記第1サブフレームに対応する上向きリンクサブフレームにおいて、上記基地局に伝送するように前記送受信部を制御する制御部と、を含み、
前記決定されたサブフレームと前記上向きリンクサブフレームとの間隔は、4と等しいか又は4よりも大きい値である」との発明特定事項を備えるものである。してみれば,本願発明1と同様の理由により,当業者であっても,引用発明及び引用文献2記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。
また,本願発明10ないし12は,本願発明9の発明特定事項を全て備えるものであるから,本願発明9と同じ理由により,当業者であっても,引用発明及び引用文献2記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

5 本願発明13ないし16について
本願発明13は,本願発明5の「基地局における情報受信方法」という方法発明に対する「基地局」という装置発明であって,カテゴリーのみが相違する発明である。そして,本願発明5の上記相違点と同様の「チャネル状態情報(channel status information、CSI)の測定に関連したサブフレームを指示する情報を含むCSI要請を含む下向きリンク制御情報を第1サブフレーム上で端末に伝送し、前記CSIの測定に関連したサブフレームを指示する情報に基づいて決定されたサブフレームに対するCSIを前記第1サブフレームに対応する上向きリンクサブフレームにおいて、前記端末から受信するように前記送受信部を制御する制御部と、を含み、
前記決定されたサブフレームと前記上向きリンクサブフレームとの間隔は、4と等しいか又は4よりも大きい値である」との発明特定事項を備えるものである。してみれば,本願発明5と同様の理由により,当業者であっても引用発明及び引用文献2記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。
また,本願発明14ないし16は,本願発明13の発明特定事項を全て備えるものであるから,本願発明13と同じ理由により,当業者であっても,引用発明及び引用文献2記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 原査定について
1 理由1(特許法第29条第2項)について
本願発明1は「基地局からチャネル状態情報(channel status information、CSI)の測定に関連したサブフレームを指示する情報を含むCSI要請を含む下向きリンク制御情報を第1サブフレーム上で受信する段階と、
前記CSIの測定に関連したサブフレームを指示する情報に基づいて決定されたサブフレームに対するCSIを前記第1サブフレームに対応する上向きリンクサブフレームにおいて、前記基地局に伝送する段階と、を含み、
前記決定されたサブフレームと前記上向きリンクサブフレームとの間隔は、4と等しいか又は4よりも大きい値である」という発明特定事項を備えるものである。また,本願発明2ないし16も,本願発明1の上記発明特定事項と同様又は対応する発明特定事項を備えるものである。してみれば,上記「第5」の「1」ないし「5」で説示したとおり,本願発明1ないし16は,当業者であっても,拒絶査定で引用された引用文献1に記載された発明,及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。したがって,原査定の拒絶の理由1を維持することはできない。

2 理由2(特許法第36条第6項第1号)について
令和2年7月9日にされた手続補正により,本願発明1ないし16は,いずれも「時分割複信(time division duplex、TDD)通信システム」という発明特定事項を備えるものとなったため,発明の詳細な説明に記載したものとなった。したがって,原査定の拒絶の理由2を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-04-20 
出願番号 特願2018-274(P2018-274)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (H04W)
P 1 8・ 121- WY (H04W)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小林 正明  
特許庁審判長 國分 直樹
特許庁審判官 廣川 浩
望月 章俊
発明の名称 通信システムにおいて干渉制御のためのサブフレーム運用及びチャネル情報伝送方法及び装置  
代理人 実広 信哉  
代理人 崔 允辰  
代理人 阿部 達彦  
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