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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W
管理番号 1373142
審判番号 不服2020-11917  
総通号数 258 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-08-26 
確定日 2021-05-10 
事件の表示 特願2017-541634「オンデマンドシステム情報」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 8月18日国際公開、WO2016/130353、平成30年 4月26日国内公表、特表2018-511961、請求項の数(14)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2016年(平成28年)2月1日(パリ優先権主張外国庁受理 2015年2月10日 米国、2015年2月26日 米国、2015年7月20日 米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成29年 8月15日 :手続補正書の提出
平成31年 1月18日 :手続補正書の提出
令和 1年 9月18日付け :拒絶理由通知書
令和 1年12月23日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年 4月14日付け :拒絶査定
令和 2年 8月26日 :拒絶査定不服審判の請求
令和 2年10月 7日 :手続補正書(方式)の提出(理由補充)

第2 原査定の概要
原査定(令和2年4月14日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
理由2(進歩性):この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

理由2:
・請求項1、3-4、6、8、10、12、14に対して、引用文献1、4
・請求項2、7、9、13に対して、引用文献1-2
・請求項5、11に対して、引用文献1、3

引用文献等一覧
1.NEC,Further clarification of on-demand S-BCH,3GPP TSG-RAN WG2#56 R2-063090,2006年11月10日(以下、「引用文献1」という。)
2.米国特許出願公開第2014/0128109号明細書(以下、「引用文献2」という。)
3.NEC,LTE BCH-on-demand,3GPP TSG-RAN WG2#55 R2-062930,2006年10月13日(以下、「引用文献3」という。)
4.Nortel,System Information broadcast gating,3GPP TSG-RAN WG2#56 R2-063137,2006年11月10日(以下、「引用文献4」という。)

第3 本願発明
本願請求項1ないし14に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明14」という。)は、令和1年12月23日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
ユーザ機器(UE)におけるワイヤレス通信のための方法であって、
前記UEにおいて第1の信号を受信するステップであって、前記第1の信号が、システム情報が前記UEによって要求されるべきかどうかの第1の指示と、前記UEによって前記システム情報に対する要求を送信するための、チャネル、頻度、およびタイミングの情報のうちの少なくとも1つの第2の指示とを含む、ステップと、
システム情報が取得されるべき1つまたは複数のサービスを特定するステップと、
前記UEによって、前記第1の指示に従ってシステム情報に対する前記要求を送信するステップと、
前記UEにおいて、前記第1の指示および前記要求に従って前記システム情報を受信するステップであって、受信されたシステム情報が、特定された1つまたは複数のサービスのためのシステム情報を含む、ステップと、
前記受信されたシステム情報に従って、前記UEと基地局との間の接続を確立するステップとを備える、
方法。
【請求項2】
前記第1の信号を受信するステップが、
マッシブ多入力/多出力(MIMO)ネットワークにおけるブロードビーム動作の一部として前記第1の信号を受信するステップ、または、
非マッシブ多入力/多出力(MIMO)ネットワークにおけるブロードキャスト動作の一部として前記第1の信号を受信するステップを備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記システム情報を受信するステップが、前記要求に従って、前記特定された1つまたは複数のサービスのための前記システム情報を受信するステップを備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ワイヤレス通信のための方法であって、
基地局から第1の信号を送信するステップであって、前記第1の信号が、システム情報がユーザ機器(UE)によって要求されるべきかどうかの第1の指示と、前記UEによって前記システム情報に対する要求を送信するための、チャネル、頻度、およびタイミングの情報のうちの少なくとも1つの第2の指示とを含む、ステップと、
前記基地局において、前記第1の指示に従って前記システム情報に対する前記要求を受信するステップと、
前記基地局から、前記第1の指示および前記要求に従って前記システム情報を送信するステップであって、前記システム情報が、前記UEに対して利用可能なサービスと関連付けられ、異なるサービスおよびサービスの異なる構成のためのシステム情報を送信するために、別々の送信が使用される、ステップと、
前記システム情報に従って、前記基地局と前記UEとの間の接続を確立するステップとを備える、
方法。
【請求項5】
システム情報がブロードキャストまたはブロードビーム動作を介してその上で送信されるべき、所定のチャネルを示す情報を、前記第1の信号に含めるステップをさらに備える、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
システム情報を送信するステップが、
前記第1の指示および送信モードに従ってシステム情報を送信するステップを備える、
請求項4に記載の方法。
【請求項7】
ブロードビーム動作を使用して、マッシブ多入力/多出力(MIMO)ネットワークにおいて前記第1の信号を送信するステップ、または、
ブロードキャスト動作を使用して、非マッシブ多入力/多出力(MIMO)ネットワークにおいて前記第1の信号を送信するステップをさらに備える、
請求項4に記載の方法。
【請求項8】
ワイヤレス通信のためのユーザ機器(UE)であって、
第1の信号を受信する手段であって、前記第1の信号が、システム情報が前記UEによって要求されるべきかどうかの第1の指示と、前記UEによって前記システム情報に対する要求を送信するための、チャネル、頻度、およびタイミングの情報のうちの少なくとも1つの第2の指示とを含む、手段と、
システム情報が取得されるべき1つまたは複数のサービスを特定する手段と、
前記第1の指示に従って前記システム情報に対する前記要求を受信する手段と、
前記第1の指示および前記要求に従って前記システム情報を受信する手段であって、受信されたシステム情報が、特定された1つまたは複数のサービスのためのシステム情報を含む、手段と、
前記受信されたシステム情報に従って、前記UEと基地局との間の接続を確立する手段とを備える、
UE。
【請求項9】
前記第1の信号を受信する手段が、
マッシブ多入力/多出力(MIMO)ネットワークにおけるブロードビーム動作の一部として前記第1の信号を受信する手段、または、
非マッシブ多入力/多出力(MIMO)ネットワークにおけるブロードキャスト動作の一部として前記第1の信号を受信する手段を備える、
請求項8に記載のUE。
【請求項10】
ワイヤレス通信のための基地局であって、
第1の信号を送信する手段であって、前記第1の信号が、システム情報がユーザ機器(UE)によって要求されるべきかどうかの第1の指示と、前記UEによって前記システム情報に対する要求を送信するための、チャネル、頻度、およびタイミングの情報のうちの少なくとも1つの第2の指示とを含む、手段と、
前記基地局において、前記UEからの前記システム情報に対する前記要求を受信する手段と、
前記第1の指示および前記要求に従って前記システム情報を送信する手段であって、前記システム情報が、前記UEに対して利用可能なサービスと関連付けられ、異なるサービスおよびサービスの異なる構成のためのシステム情報を送信するために、別々の送信が使用される、手段と、
受信されたシステム情報に従って、前記UEと前記基地局との間の接続を確立する手段とを備える、
基地局。
【請求項11】
システム情報がブロードキャストまたはブロードビーム動作を介してその上で送信されるべき、所定のチャネルを示す情報を、前記第1の信号に含める手段をさらに備える、
請求項10に記載の基地局。
【請求項12】
システム情報を送信するための前記手段が、
前記第1の指示および送信モードに従ってシステム情報を送信する手段を備える、
請求項10に記載の基地局。
【請求項13】
ブロードビーム動作を使用して、マッシブ多入力/多出力(MIMO)ネットワークにおいて前記第1の信号を送信する手段、または、
ブロードキャスト動作を使用して、非マッシブ多入力/多出力(MIMO)ネットワークにおいて前記第1の信号を送信する手段をさらに備える、
請求項10に記載の基地局。
【請求項14】
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法を実行する命令を備える、
コンピュータプログラム。」

第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用発明等
原査定の拒絶の理由に引用された、NEC,Further clarification of on-demand S-BCH([当審訳]:オンデマンドS-BCHのさらなる明確化),3GPP TSG-RAN WG2#56 R2-063090,2006年11月10日(引用文献1)には、図面と共に以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)

「1 Introduction
In RAN2#55, we introduced the concept of S-BCH that is transmitted on-demand when requested by UEs in [1].
(中略)
2 Summary of on-demand S-BCH proposal
Here is a short summary of the main points of the proposal in [1]:
・UE may request S-BCH to be transmitted by sending a RACH sequence
・It is possible for UEs that want to remain in idle and UEs that want to connect to the network to request S-BCH
(中略)
4 Secondary BCH system information breakdown
(中略)
SIB group 1: RACH parameters to allow UEs to request S-BCH. This system information may be sent on either P-BCH or S-BCH.
(中略)
8 References
[1] R2-062930, LTE BCH-on-demand, NEC
[2] R2-063137, System Information Broadcast Gating, Nortel
」(1ページ8行目?5ページ14行目)

(当審訳:
1 序論
RAN2#55では、[1]でUEからの要求に応じてオンデマンドで送信されるS-BCHの概念を導入した。
(中略)
2 オンデマンドS-BCH提案の要約
[1]の提案の要点の簡単な要約は次のとおりである。
・UEは、RACHシーケンスを送信することにより、S-BCHの送信を要求できる。
・アイドル状態を維持したいUEとネットワークに接続したいUEがS-BCHを要求する可能性があります
(中略)
4 セカンダリBCHシステム情報の内訳
(中略)
SIBグループ1:UEがS-BCHを要求できるようにするRACHパラメータ。このシステム情報は、P-BCHまたはS-BCHのいずれかで送信できる。
(中略)
8 参考文献
[1] R2-062930、LTE BCHオンデマンド、NEC
[2] R2-063137、システム情報ブロードキャストゲーティング、Nortel)

上記記載及び当業者の技術常識を考慮すると、次のことがいえる。

(1)上記「4」には、「UEがS-BCHを要求できるようにするRACHパラメータ。このシステム情報は、P-BCH・・・で送信できる。」と記載されているから、RACHパラメータはシステム情報であり、P-BCHでUEに送信されるものであるといえる。
そうすると、引用文献1には、「システム情報であるRACHパラメータは、P-BCHでUEに送信される」ことが記載されている。
(2)上記「1」には、「UEからの要求に応じてオンデマンドで送信されるS-BCHの概念を導入した。」と、上記「2」には、「UEは、RACHシーケンスを送信することにより、S-BCHの送信を要求できる」と記載されている。また、上記「4」には「セカンダリBCHシステム情報の内訳」と記載されているから、セカンダリBCHであるS-BCHはシステム情報を受信するブロードキャストチャネルであるといえるから、UEは、RACHシーケンスを送信することにより、システム情報の送信を要求できるものであるといえる。
そうすると、引用文献1には、「UEは、RACHシーケンスを送信することにより、システム情報の送信を要求でき」ることが記載されている。
(3)上記「2」には、「ネットワークに接続したいUEがS-BCHを要求する」と記載されている。すなわち、ネットワークに接続したいUEはシステム情報を要求することが記載されているといえる。そして、RACHシーケンスを送信することはネットワークに接続するための処理の一部であることは技術常識であるから、S-BCHを要求したUEはシステム情報を取得することによってネットワークに接続するものであることは自明である。
そうすると、引用文献1には、「UEがシステム情報を要求することによって、ネットワークに接続する」ことが記載されている。
(4)引用文献1は、3GPPで検討されている内容であるから、ワイヤレス通信を前提としているといえる。よって、引用文献1には、「UEにおけるワイヤレス通信のための方法」が記載されている。

したがって、UEに着目して以上を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明1-1」という。)が記載されていると認められる。

「UEにおけるワイヤレス通信のための方法であって、
システム情報であるRACHパラメータは、P-BCHでUEに送信されるものであって、
UEは、RACHシーケンスを送信することにより、システム情報の送信を要求でき、
UEがシステム情報を要求することによって、ネットワークに接続する、
方法。」

また、UEにおけるワイヤレス通信のための方法において、システム情報であるRACHパラメータは、P-BCHでUEに送信されるものであって、UEは、RACHシーケンスを送信することにより、システム情報の送信を要求でき、UEがシステム情報を要求することによって、ネットワークに接続するものであるから、P-BCHの送信や、システム情報の送信を要求する先、ネットワークの接続先は、基地局であることは自明である。
よって、基地局に着目して以上を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明1-2」という。)が記載されていると認められる。

「基地局におけるワイヤレス通信のための方法であって、
システム情報であるRACHパラメータは、P-BCHでUEに送信されるものであって、
基地局は、RACHシーケンスを受信することにより、システム情報の送信を要求され、
基地局がシステム情報を要求されることによって、UEをネットワークに接続する、
方法。」

2 引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された、Nortel,System Information broadcast gating([当審訳]:システム情報ブロードキャストゲーティング),3GPP TSG-RAN WG2#56 R2-063137,2006年11月10日(引用文献4)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)

「4 System Information gating triggers
The triggers for switching on the transmission of SIB or group of SIBs are either Netwotrk initiated or UE initiated
Network initiated triggerd
Network decides to change a parameter. The broadcast of the modified System Information blocks can start for a cycle that allows all UEs to get the information. Value Tag is updated, if some UEs miss the transmission they can ask for a new switch on. This means that value tags for SIBs in S-BCH would have to be broadcast all the time, but anyway it seems the current assumption that value tags are transmitted in the P-BCH.」(3ページ12行目?3ページ20行目)

(当審仮訳:
4 システム情報ゲーティングトリガー
SIBまたはSIBのグループの送信をオンにするためのトリガーは、Netwotrkによって開始されるかUEによって開始される。
ネットワーク開始トリガー
ネットワークはパラメータを変更することを決定した。変更されたシステム情報ブロックのブロードキャストは、すべてのUEが情報を取得できるサイクルで開始できる。バリュータグが更新され、一部のUEが送信を見逃した場合、新しいスイッチをオンにするように要求できる。これは、S-BCHのSIBのバリュータグを常にブロードキャストする必要があることを意味するが、とにかく、バリュータグはP-BCHで送信されるという現在の仮定のようである。)

引用文献4は、引用文献1の「8 参考文献」において[2]として記載されていることから、引用文献1の前提となる参考文献であり、引用文献4には、「バリュータグはP-BCHで送信される」と記載されている。
そうすると、「バリュータグはP-BCHで送信される。」という技術事項が引用文献4に記載されている。

3 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された、米国特許出願公開第2014/0128109号明細書(引用文献2)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)

「[0073]In a sector or a cell, one or multiple arrays with one or multiple RF chains can generate beams in different shape for different purposes. In FIG. 5, the vertical dimension can represent elevation, and the horizontal dimension can represent azimuth. As shown in FIG. 5, wide beams BB1, BB2 (also called broadcast beams, or “BB”) may be configured for synchronization, physical broadcast channel, or a physical configuration indication channel that indicates where the physical data control channel is located, etc. The wide beams BB1, BB2 can carry the same information for the cell.」

(当審仮訳:
[0073]セクターまたはセルにおいて、1つまたは複数のRFチェーンを有する1つまたは複数のアレイは、異なる目的のために異なる形状のビームを生成することができる。図5では、垂直方向の寸法は仰角を表すことができ、水平方向の寸法は方位を表すことができる。図5に示すように、ワイドビームBB1,BB2(ブロードキャストビームとも呼ばれ、「BB」とも呼ばれる)は、同期、物理ブロードキャストチャネル、または物理データ制御チャネルがどこにあるかを示す物理構成指示チャネルなどのために構成されていてもよい。ワイドビームBB1,BB2は、セルに対して同じ情報を伝えることができる。)

引用文献2には、「ワイドビームBB1,BB2(ブロードキャストビームとも呼ばれ、「BB」とも呼ばれる)は、・・・、物理ブロードキャストチャネル、・・・などのために構成されていてもよい。」と記載されている。
そうすると、「ブロードキャストの伝送手法として、ブロード(キャスト)ビームを用いる。」という技術事項が引用文献2に記載されている。

4 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された、NEC,LTE BCH-on-demand([当審訳]:LTE BCHオンデマンド),3GPP TSG-RAN WG2#55 R2-062930,2006年10月13日(引用文献3)には、以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)

「2 BCH-on-demand Mechanism
(中略)
2.2 Case 2: UE dose not have S-BCH and needs S-BCH to connect to network
(中略)
1. When an idle UE arrives in a cell, it reads the fixed pre-defined P-BCH that gives it information necessary to camp on the cell. The P-BCH may also provide scheduling information for the variable S-BCH. Within this scheduling information, there will be an indication of when the next periodic S-BCH will be available. UE can decide, based on this information and also on the procedure UE wants to perform, whether to wait for periodic S-BCH or request on-demand S-BCH to be sent.
(後略)」(2ページ20行目?3ページ5行目)

(当審仮訳:
2 BCHオンデマンドの仕組み
(中略)
2.2 ケース2: UEがS-BCHを持たず、ネットワークに接続するためにS-BCHが必要な場合
(中略)
1.アイドルUEがセルに到着すると、セル上にキャンプするために必要な情報を与える固定された事前定義されたP-BCHを読み出す。また、P-BCHは、変数S-BCHのスケジューリング情報を提供してもよい。このスケジューリング情報の中には、次の周期的なS-BCHがいつ利用可能になるかの指示がある。UEは、この情報に基づいて、また、UEが実行したい手順に基づいて、周期的S-BCHを待つか、オンデマンドS-BCHの送信を要求するかを決定することができる。
(後略))

引用文献3には、「P-BCHは、変数S-BCHのスケジューリング情報を提供してもよい。」と記載されている。
そうすると、「変数S-BCHのスケジューリング情報はP-BCHによって提供される。」という技術事項が引用文献3に記載されている。

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1-1とを対比すると、以下のことがいえる。

引用発明1-1の「UE」は、本願発明1の「ユーザ機器(UE)」に相当する。そうすると、本願発明1と引用発明1-1は「ユーザ機器(UE)におけるワイヤレス通信のための方法」という点で一致する。

そして、引用発明1-1の「RACHパラメータ」はP-BCHでUEに送信されるものであるから、RACHパラメータはUEにおいて受信するものであるといえる。
また、引用発明1-1の「RACHシーケンス」は、UEがRACHパラメータを用いて基地局からシステム情報の送信を要求するものである。そして、引用発明1-1の「RACHパラメータ」は、引用発明1-1の「UE」が「RACHシーケンス」を送信するために必要となる情報であって、RACHパラメータの中にはRACHシーケンスを送信するシステムフレーム及びサブフレームを決定するためのタイミングの情報が含まれることは技術常識であるから、引用発明1-1の「RACHパラメータ」は、RACHシーケンスの送信のためのタイミングの情報を指示するものが含まれているといえる。
そうすると、引用発明1-1の「RACHシーケンス」は、RACHパラメータを用いてUEによってシステム情報に対する要求を送信するものであることは明らかであるから、引用発明1-1の「RACHパラメータ」は、UEによってシステム情報に対する要求を送信するためのタイミングの情報の指示を含んでいるといえる。
一方、本願発明1の「第1の信号」は、「UEによってシステム情報に対す要求を送信するためのタイミングの情報の指示を含む」ものである。
そうすると、引用発明1-1の「RACHパラメータ」は、本願発明1の「第1の信号」に含まれるといえるから、本願発明1と引用発明1-1は「UEにおいて第1の信号を受信するステップであって、前記第1の信号が、前記UEによってシステム情報に対する要求を送信するためのタイミングの情報の指示を含む、ステップ」を有する点で共通する。

引用発明1-1の「RACHシーケンス」は、RACHパラメータを用いてシステム情報の送信を要求するものであるから、本願発明1と引用発明1-1は「UEによって、システム情報に対する要求を送信するステップ」を有する点で共通する。

引用発明1-1は「UEがシステム情報を要求することによって、ネットワークに接続する」ものであり、該システム情報はRACHシーケンスを送信することによって、得られるもの、すなわち、システム情報はUEがシステム情報を基地局に要求することによって、基地局から受信されるものである。そして、RACHシーケンスによって得られる該システム情報はネットワークに接続するために必要な情報であることは技術常識であるから、引用発明1-1のUEは、基地局から受信されたシステム情報に従って、基地局との間の接続を確立するものであるといえる。
そうすると、本願発明1と引用発明1-1は、「受信されたシステム情報に従って、UEと基地局との間の接続を確立するステップ」を有するという点で一致する。

以上を総合すると、本願発明1と引用発明1-1とは、以下の点で一致し、また、相違している。

(一致点)
「 ユーザ機器(UE)におけるワイヤレス通信のための方法であって、
前記UEにおいて第1の信号を受信するステップであって、前記第1の信号が、前記UEによってシステム情報に対する要求を送信するためのタイミングの情報の指示を含む、ステップと、
前記UEによって、システム情報に対する要求を送信するステップと、
受信されたシステム情報に従って、UEと基地局との間の接続を確立するステップとを備える、
方法。」

(相違点1)
第1の信号について、本願発明1においては、「システム情報が前記UEによって要求されるべきかどうかの第1の指示を含む」のに対し、引用発明1-1においては、「システム情報が前記UEによって要求されるべきかどうかの第1の指示を含む」ことが特定されていない点。

(相違点2)
ユーザ機器(UE)におけるワイヤレス通信のための方法について、本願発明1においては「システム情報が取得されるべき1つまたは複数のサービスを特定するステップ」を有しているのに対し、引用発明1-1においては、その旨の特定がなされていない点。

(相違点3)
システム情報に対する要求を送信するステップについて、本願発明1においては、「第1の指示に従」うものであるのに対し、引用発明1-1においては、その旨の特定がなされていない点。

(相違点4)
システム情報を受信するステップについて、本願発明1においては、「第1の指示および要求に従」うものであって、「受信されたシステム情報が、特定された1つまたは複数のサービスのためのシステム情報を含む」のに対し、引用発明1-1においては、その旨の特定がなされていない点。

(2)進歩性(特許法第29条第2項)についての判断
事案に鑑み、まず、相違点2及び4について検討する。
相違点2に係る本願発明1のユーザ機器(UE)におけるワイヤレス通信のための方法について「システム情報が取得されるべき1つまたは複数のサービスを特定するステップ」を有すること、及び相違点4に係る本願発明1のシステム情報を受信するステップについて、システム情報を受信するステップは、「第1の指示および要求に従」うものであって、「受信されたシステム情報が、特定された1つまたは複数のサービスのためのシステム情報を含む」という発明特定事項は、引用文献1及び引用文献4には記載も示唆もされていない。また、原査定において他の請求項に係る発明に対して引用された引用文献2及び引用文献3にも記載も示唆もされておらず、さらに、当該技術分野において周知技術であるともいえない。
よって、当業者といえども、引用発明1-1において、上記相違点2に係る本願発明1のユーザ機器(UE)におけるワイヤレス通信のための方法について「システム情報が取得されるべき1つまたは複数のサービスを特定するステップ」を有すること、及び相違点4に係る本願発明1のシステム情報を受信するステップについて、システム情報を受信するステップは、「第1の指示および要求に従」うものであって、「受信されたシステム情報が特定された1つまたは複数のサービスのためのシステム情報を含む」ものとすることは、容易に想到し得たとはいえない。
したがって、上記相違点1及び相違点3について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明1-1、及び引用文献2ないし4に記載の技術事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2.本願発明2及び3について
本願発明2及び3は、本願発明1の発明特定事項を全て含むから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1-1、及び引用文献2ないし4に記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3.本願発明4について
(1)対比
本願発明4と引用発明1-2とを対比すると、以下のことがいえる。

引用発明1-1の「UE」は、本願発明4の「ユーザ機器(UE)」に相当する。
引用発明1-2の「RACHパラメータ」はP-BCHでUEに送信されるものであるから、RACHパラメータは基地局から送信され、UEにおいて受信されるものであるといえる。また、引用発明1-2の「RACHシーケンス」は、UEがRACHパラメータを用いて基地局からシステム情報の送信を要求するものであることは明らかである。そして、引用発明1-2の「RACHパラメータ」は、引用発明1-2のUEが「RACHシーケンス」を基地局に送信するために必要となる情報であって、RACHパラメータの中にはUEがRACHシーケンスを送信するシステムフレーム及びサブフレームを決定するためのタイミングの情報が含まれることは技術常識であるから、引用発明1-2のRACHパラメータは、UEがRACHシーケンスの送信のためのタイミングの情報を指示するものが含まれているといえる。そうすると、引用発明1-2の「RACHシーケンス」はRACHパラメータを用いてUEによってシステム情報に対する要求を送信するものであることは明らかであるから、引用発明1-2の「RACHパラメータ」は、UEによってシステム情報に対する要求を送信するためのタイミングの情報の指示を含んでいるといえる。
一方、本願発明4の「第1の信号」は、「UEによってシステム情報に対す要求を送信するためのタイミングの情報の指示を含む」ものである。
そうすると、引用発明1-2の「RACHパラメータ」は、本願発明4の「第1の信号」に含まれるといえるから、本願発明4と引用発明1-2は「基地局から第1の信号を送信するステップであって、前記第1の信号が、UEによってシステム情報に対する要求を送信するためのタイミングの情報の指示を含む、ステップ」を有する点で共通する。

引用発明1-2の「RACHシーケンス」は、基地局がRACHシーケンスを受信することにより、システム情報の送信を要求されるものであるから、本願発明4と引用発明は「基地局において、システム情報に対する要求を受信するステップ」を有する点で共通する。

引用発明1-2は「基地局がシステム情報を要求されることによって、UEをネットワークに接続する」ものであり、該システム情報はUEが基地局にRACHシーケンスを送信することによって得られるものである。そして、RACHシーケンスによって得られる該システム情報はネットワークに接続するために必要な情報であることは技術常識であるから、引用発明1-2のUEは、システム情報に従って、基地局との間の接続を確立するものであるといえる。
そうすると、本願発明4と引用発明1-2は、「システム情報に従って、基地局とUEとの間の接続を確立するステップ」を有するという点で一致する。

そして、引用発明1-2は、「基地局におけるワイヤレス通信のための方法」であるから、本願発明4と同様に、「ワイヤレス通信のための方法」といえる。
そうすると、本願発明4と引用発明1-2は「ワイヤレス通信のための方法」という点で一致する。

以上を総合すると、本願発明4と引用発明1-2とは、以下の点で一致し、また、相違している。

(一致点)
「 ワイヤレス通信のための方法であって、
基地局から第1の信号を送信するステップであって、前記第1の信号が、UEによってシステム情報に対する要求を送信するためのタイミングの情報の指示を含む、ステップと、
基地局において、システム情報に対する要求を受信するステップと、
システム情報に従って、基地局とUEとの間の接続を確立するステップとを備える、
方法。」

(相違点1)
第1の信号について、本願発明4においては、「システム情報がユーザ機器(UE)によって要求されるべきかどうかの第1の指示を含む」のに対し、引用発明1-2においては、「システム情報がユーザ機器(UE)によって要求されるべきかどうかの第1の指示を含む」ことが特定されていない点。

(相違点2)
ワイヤレス通信のための方法について、本願発明4においては「基地局において、システム情報に対する要求を受信するステップ」が第1の指示に従うものであるのに対し、引用発明1-2においては、基地局において、システム情報に対する要求を受信するステップが、第1の指示に従うものであることの特定がなされていない点。

(相違点3)
ワイヤレス通信のための方法について、本願発明4においては、「前記基地局から、前記第1の指示および前記要求に従って前記システム情報を送信するステップであって、前記システム情報が、前記UEに対して利用可能なサービスと関連付けられ、異なるサービスおよびサービスの異なる構成のためのシステム情報を送信するために、別々の送信が使用される、ステップ」を有しているのに対し、引用発明1-2においては、「前記基地局から、前記第1の指示および前記要求に従って前記システム情報を送信するステップであって、前記システム情報が、前記UEに対して利用可能なサービスと関連付けられ、異なるサービスおよびサービスの異なる構成のためのシステム情報を送信するために、別々の送信が使用される、ステップ」を有することが特定されていない点。

(2)進歩性(特許法第29条第2項)についての判断
事案に鑑み、まず、相違点3について検討する。
相違点3に係る本願発明4のワイヤレス通信のための方法について「前記基地局から、前記第1の指示および前記要求に従って前記システム情報を送信するステップであって、前記システム情報が、前記UEに対して利用可能なサービスと関連付けられ、異なるサービスおよびサービスの異なる構成のためのシステム情報を送信するために、別々の送信が使用される、ステップ」を有するという発明特定事項は、引用文献1及び引用文献4には記載も示唆もされていない。また、原査定において他の請求項に係る発明に対して引用された引用文献2及び引用文献3にも記載も示唆もされておらず、さらに、当該技術分野において周知技術であるともいえない。
よって、当業者といえども、引用発明1-2において、上記相違点3に係る本願発明4のワイヤレス通信のための方法について「前記基地局から、前記第1の指示および前記要求に従って前記システム情報を送信するステップであって、前記システム情報が、前記UEに対して利用可能なサービスと関連付けられ、異なるサービスおよびサービスの異なる構成のためのシステム情報を送信するために、別々の送信が使用される、ステップ」を有するものとすることは、容易に想到し得たとはいえない。
したがって、上記相違点1及び相違点2について判断するまでもなく、本願発明4は、当業者であっても、引用発明1-2、及び引用文献2ないし4に記載の技術事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

4.本願発明5ないし7について
本願発明5ないし7は、本願発明4の発明特定事項を全て含むから、本願発明4と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1-2、及び、引用文献2ないし4に記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

5.本願発明8ないし13について
本願発明8-9は、本願発明1-2に記載の方法をユーザ機器(UE)として動作するように記載したものであって、本願発明8-9は、本願発明1-2におけるユーザ機器(UE)として動作するように構成されたユーザ機器(UE)の発明であり、上記1.で説示した相違点に係る本願発明1の発明特定事項を少なくとも備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明1-1及び引用文献2ないし4に記載の技術事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
本願発明10ないし13は、本願発明4ないし7に記載の方法を基地局として動作するように記載したものであって、本願発明10ないし13は、本願発明4ないし7における基地局として動作するように構成された基地局の発明であり、上記3.で説示した相違点に係る本願発明4の発明特定事項を少なくとも備えるものであるから、本願発明4と同じ理由により、引用発明1-2及び引用文献2ないし4に記載の技術事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

6.本願発明14について
本願発明14は、本願発明1-7に記載の方法をプログラムとして記載したものであって、上記1.で説示した相違点に係る本願発明1の発明特定事項、又は上記3.で説示した相違点に係る本願発明4の発明特定事項、を少なくとも備えるものであるから、本願発明1又は本願発明4と同じ理由により、引用発明1-1及び引用文献2ないし4に記載の技術事項、又は引用発明1-2及び引用文献2ないし4に記載の技術事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし3及び本願発明8-9並びに本願発明14は、当業者が引用発明1-1及び引用文献2ないし4に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。また、本願発明4ないし7及び本願発明10ないし14は、当業者が引用発明1-2及び引用文献2ないし4に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-04-14 
出願番号 特願2017-541634(P2017-541634)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04W)
最終処分 成立  
前審関与審査官 石田 紀之  
特許庁審判長 中木 努
特許庁審判官 本郷 彰
望月 章俊
発明の名称 オンデマンドシステム情報  
代理人 村山 靖彦  
代理人 黒田 晋平  
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