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審決分類 審判 査定不服 特174条1項 取り消して特許、登録 A63F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A63F
管理番号 1373178
審判番号 不服2019-16392  
総通号数 258 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-12-04 
確定日 2021-04-27 
事件の表示 特願2016- 51485「サーバ装置の制御方法、サーバ装置及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 1月 5日出願公開、特開2017- 721、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年6月8日に出願した特願2015-115903号(以下、「原出願」という。)の一部を平成28年3月15日に新たな特許出願としたものであって、平成30年6月6日付けで手続補正がされ、平成31年3月18日付けで拒絶理由通知がされ、令和1年5月29日付けで手続補正がされ、同年9月5日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年12月4日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、令和2年10月26日付けで拒絶理由(以下、「第1の当審拒絶理由」という。)が通知され、同年12月8日付けで手続補正がされ、令和3年1月26日付けで拒絶理由(以下、「第2の当審拒絶理由」という。)が通知され、同年2月9日付けで手続補正がされたものである。

第2 本願発明
1.本願発明の内容
本願請求項1ないし8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明8」という。)は、令和3年2月9日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
端末装置にゲームを提供するサーバ装置の制御方法であって、
第1端末装置の第1ユーザが前記ゲームに関して支払った対価に基づいて、前記第1ユーザと有効期間を示す有効期間情報を含むゲーム用電子データとを対応付けるステップと、
前記有効期間より短い所定期間内に前記第1端末装置から前記ゲームの開始要求を受信する場合に、前記第1ユーザと前記有効期間内の前記ゲーム用電子データとが対応付けられているか否か判定するステップと、
前記判定により前記第1ユーザと前記有効期間内の前記ゲーム用電子データとが対応付けられていると判定される場合に、前記所定期間内に一回、前記第1ユーザと第1の価値の報酬ゲーム媒体とを対応付け、前記判定により前記第1ユーザと前記有効期間内の前記ゲーム用電子データとが対応付けられていないと判定される場合に、前記所定期間内に一回、前記第1ユーザと前記第1の価値よりも低い第2の価値の報酬ゲーム媒体とを対応付けるステップと
を有し、
前記第1の価値は、前記有効期間の終了が近づくにつれて高くなる、サーバ装置の制御方法。
【請求項2】
前記第1ユーザが支払った対価の額が所定の額以上である場合に、前記第1ユーザと前記ゲーム用電子データとを対応付ける際に前記第1ユーザと所定価値の報酬ゲーム媒体とを対応付ける請求項1に記載のサーバ装置の制御方法。
【請求項3】
前記第1の価値の報酬ゲーム媒体は、前記所定期間内に一回、第1所定数で前記第1ユーザに対応付けられ、前記第2の価値の報酬ゲーム媒体は、前記所定期間内に一回、第2所定数で前記第1ユーザに対応付けられ、
前記第1所定数は、前記第2所定数よりも多い請求項1又は請求項2に記載のサーバ装置の制御方法。
【請求項4】
前記第1ユーザと第2端末装置の第2ユーザとを含む複数のユーザが一のグループに対応付けられており、
前記所定期間内に前記第2端末装置から前記ゲームの開始要求を受信する場合に、前記第1ユーザ及び前記第2ユーザと前記有効期間内の前記ゲーム用電子データとが対応付けられているか否か判定するステップと、
前記判定により前記第1ユーザと前記有効期間内の前記ゲーム用電子データとが対応付けられており、前記第2ユーザと前記有効期間内の前記ゲーム用電子データとが対応付けられていないと判定される場合に、前記所定期間内に一回、前記第2ユーザと、前記第2ユーザ及び前記第1ユーザのそれぞれが支払った対価に基づいて定められる第3の価値の報酬ゲーム媒体とを対応付け、前記判定により前記第1ユーザ及び前記第2ユーザと前記有効期間内の前記ゲーム用電子データとが対応付けられていないと判定される場合に、前記所定期間内に一回、前記第2ユーザと前記第3の価値よりも低い第4の価値の報酬ゲーム媒体とを対応付けるステップと
を更に有する請求項1、請求項2又は請求項3に記載のサーバ装置の制御方法。
【請求項5】
前記報酬ゲーム媒体の価値が相対的に高いことは、前記報酬ゲーム媒体のゲーム内パラメータが相対的に有利であることを含む請求項1から4のいずれか1項に記載のサーバ装置の制御方法。
【請求項6】
前記報酬ゲーム媒体のゲーム内パラメータは、スタミナに係るパラメータを含み、
前記報酬ゲーム媒体のゲーム内パラメータが相対的に有利であることは、前記スタミナに係るパラメータが低減してから元の値に回復するまでの時間が相対的に短いことを含む請求項5に記載のサーバ装置の制御方法。
【請求項7】
端末装置にゲームを提供するサーバ装置であって、
第1端末装置の第1ユーザが前記ゲームに関して支払った対価に基づいて、前記第1ユーザと有効期間を示す有効期間情報を含むゲーム用電子データとを対応付ける機能と、
前記有効期間より短い所定期間内に前記第1端末装置から前記ゲームの開始要求を受信する場合に、前記第1ユーザと前記有効期間内の前記ゲーム用電子データとが対応付けられているか否か判定する機能と、
前記判定により前記第1ユーザと前記有効期間内の前記ゲーム用電子データとが対応付けられていると判定される場合に、前記所定期間内に一回、前記第1ユーザと第1の価値の報酬ゲーム媒体とを対応付け、前記判定により前記第1ユーザと前記有効期間内の前記ゲーム用電子データとが対応付けられていないと判定される場合に、前記所定期間内に一回、前記第1ユーザと前記第1の価値よりも低い第2の価値の報酬ゲーム媒体とを対応付ける機能と
を実現するサーバ制御部を有し、
前記第1の価値は、前記有効期間の終了が近づくにつれて高くなる、サーバ装置。
【請求項8】
端末装置にゲームを提供するサーバ装置のコンピュータに、
第1端末装置の第1ユーザが前記ゲームに関して支払った対価に基づいて、前記第1ユーザと有効期間を示す有効期間情報を含むゲーム用電子データとを対応付ける機能と、
前記有効期間より短い所定期間内に前記第1端末装置から前記ゲームの開始要求を受信する場合に、前記第1ユーザと前記有効期間内の前記ゲーム用電子データとが対応付けられているか否か判定する機能と、
前記判定により前記第1ユーザと前記有効期間内の前記ゲーム用電子データとが対応付けられていると判定される場合に、前記所定期間内に一回、前記第1ユーザと第1の価値の報酬ゲーム媒体とを対応付け、前記判定により前記第1ユーザと前記有効期間内の前記ゲーム用電子データとが対応付けられていないと判定される場合に、前記所定期間内に一回、前記第1ユーザと前記第1の価値よりも低い第2の価値の報酬ゲーム媒体とを対応付ける機能と
を実現させ、
前記第1の価値は、前記有効期間の終了が近づくにつれて高くなる、プログラム。」

第3 原査定の概要
原査定(令和1年9月5日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

1.本願請求項1、3、5-9に係る発明は、以下の引用文献1-3に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

2.本願請求項2に係る発明は、以下の引用文献1-5に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

3.本願請求項4に係る発明は、以下の引用文献1-6に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:ファンタシースターオンライン2 エピソード2 スタートガイドブック,株式会社エンターブレイン,2013年 7月31日,p.10,20-21,25-26,40,174
引用文献2:『ファンタシースターオンライン2』プレイヤーズサイト,[online],2014年 2月24日,2019年3月14日検索,URL,https://web.archive.org/web/20140224062903/http://pso2.jp:80/players/manual/preparations/info/loginstamp/
引用文献3:[アイギス]スタンプが使用結晶数でランクアップするように! デラックスならもらえる結晶の数が倍に!?,千年戦争アイギス攻略ブログ,[online],2015年 3月11日,2019年3月14日検索,URL,https://web.archive.org/web/20150311045558/http://sennenaigis.blog.fc2.com/blog-entry-1162.html
引用文献4:スマホ用カードバトルRPG『MONSTER CRY(モンスタークライ)』本日iOS版サービス開始! iOS専用を含め9本のイベントを実施,PR TIMES,[online],2013年 8月 8日,2019年3月14日検索,(「「アイテムまとめ買い割引」キャンペーン、iOS版サービスに合わせて期間延長」の項等),URL,https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000007736.html (周知技術を示す文献)
引用文献5:Androidゲーム「とある魔術と科学の謎解目録(パズデックス)」の水着イベントがスタート!,AndroidPLUS,[online],2014年 7月 3日,2019年3月14日検索,(「「100日突破記念ゲコ太メダルおまけサービス」実施中!」の項等),URL,http://android.ascii.jp/2014/07/03/puzzdex-dev4/ (周知技術を示す文献)
引用文献6:特開2013-198541号公報

第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
(1)引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願の原出願の出願前である平成25年7月31日に頒布された刊行物である「ファンタシースターオンライン2 エピソード2 スタートガイドブック,株式会社エンターブレイン,2013年 7月31日,p.10,20-21,25-26,40,174」(以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。

ア 「『PSO2』をインストールしよう」(p.10のタイトル)
イ 「PC版、PS Vita版共通」、「まずは“SEGA ID”を取得しよう」、「『PSO2』をダウンロードする前に、まずは“SEGA ID”を取得しよう。これはセガのオンラインゲームを遊ぶ際に必要になるもので、『PSO2』も含まれている。」(p.10の左上部分)
ウ 「コミュニケーションを楽しもう」(p.20のタイトル)
エ 「まずは4種類あるチャットの意味を覚えよう」、「ほかのプレイヤーとの交流は、オンラインゲームならではの楽しさ!初めてプレイする人も積極的に発言しよう。」(p.20、上記ウの下のサブタイトル)
オ 「アークスキャッシュ(AC)」、「ACとは、現実の通貨を使って購入するポイントのこと。ゲーム中、またはisao.netの専用サイトで現金をチャージすることで購入できる。ACで購入できるコンテンツは必須ではないが、どれもゲームの利便性を高める便利なものばかりだ。下にACで購入できるコンテンツをまとめたので、『PSO2』をより深く楽しみたい人は、購入を検討してみてはいかがだろうか。」(p.25の中央左側)
カ 「

」(p.25下部の「■AC購入コンテンツ一覧」の表の左上の一部分)
キ 「アークスロード」「エピソード2の始まりと同時に、新たにアークスとなるプレイヤーも多いだろう。そんな新人アークスを迷わせず一人前に導くアークスロードが実装された。ここでは、その仕組みについてを解説。」(p.26上部のタイトルとその説明)
ク 「ほかにもあります! アークスをサポートする機能」(上記キのタイトルに対応したp.26下部のサブタイトル)
ケ 「ログイン時に押されたスタンプ数で報酬がもらえるログインスタンプも。」(p.26右下部分、上記クに関する説明文)
コ 「ログインスタンプは、プレミアムセットが有効な状態だとふだんの倍の数を押してもらえる。」(p.26右下部分、上記クに関する説明に用いられているp.26右下の画像に対する説明文)
サ 「チーム機能解説」、「気の合う仲間ができたらチームを作ってさらに絆を強めよう。ここでは、チームに関する機能や、参加するとできるようになることを解説。チームのことを理解して、さらにコミュニケーションの輪を広げよう。」(p.174上部のタイトルとその説明)
シ 「チーム倉庫」、「チームメンバーどうしで共有できる倉庫がチーム倉庫だ。これは、役職がコモンメンバー以上、プレミアムセットが有効なメンバーのみが利用できる機能だ。」(p.174の中央左側)

(2)引用文献1の記載から認定できる事項
ア 上記(1)ア及びイの記載から、「PSO2」は、PCまたはPS Vitaにインストールされるオンラインゲームであり、かつ、上記(1)イの「PC版、PS Vita版共通」及び上記(1)キの「プレイヤー」の記載から、当該オンラインゲームが、プレイヤーがPCまたはPS Vitaを使用することにより実現されるものであることは明らかであること。

イ 引用文献1に記載の「PSO2」は、オンラインゲームの機能として、上記(1)エの記載よりチャット機能、上記(1)オ及びカの記載よりゲームの利便性を高めるコンテンツの購入機能、上記(1)キないしコの記載よりログインスタンプを含むアークスとなるプレイヤーをサポートする機能、上記(1)サ及びシの記載よりチームメンバーどうしで共有できる倉庫であるチーム倉庫を含むチーム機能、が少なくとも実装されているものであって、これらの機能をオンラインゲームでプレイヤーが利用できるということは、これらの機能が実装されたオンラインゲームを制御することに他ならないから、引用文献1には、「オンラインゲームの制御方法」が記載されているといえること。

ウ 上記(1)オ及びカの記載より、ACを1300使えば30日間有効のプレミアムセットを、ACを2500使えば60日間有効のプレミアムセットを、ACを3600使えば90日間有効のプレミアムセットを、それぞれコンテンツとしてプレイヤーが購入できること、及び、プレイヤーが各コンテンツの購入に必要なACを支払うことで、購入したコンテンツをプレイヤーが利用可能なコンテンツとしてプレイヤーに対応付けられることは技術常識といえることであるから、引用文献1に記載のオンラインゲームの制御方法は、ACを1300使えば30日間有効のプレミアムセットを、ACを2500使えば60日間有効のプレミアムセットを、ACを3600使えば90日間有効のプレミアムセットを、それぞれコンテンツとしてプレイヤーが購入でき、プレイヤーが、購入するプレミアムセットに対応するACを支払うことで、購入したプレミアムセットをプレイヤーに対応付けるステップを有しているものといえること。

エ 上記(1)コに記載の事項を実現するには、プレイヤーに対応づけられたプレミアムセットが有効な状態であるか否かを判定する必要があることは明らかであること、及び、上記(1)ケ及びコの記載から、プレミアムセットが有効な状態である場合は「ふだんの倍の数」のスタンプを、そうでない場合は「ふだんの数」のスタンプを、プレイヤーに付与することは明らかであるから、引用文献1に記載のオンラインゲームの制御方法は、PCまたはPS Vitaからのログインを行う際に、プレイヤーに対応づけられたプレミアムセットが有効な状態であるか否かを判定するステップと、前記判定により前記プレイヤーに対応づけられたプレミアムセットが有効な状態であると判定される場合に、ふだんの倍の数のスタンプをプレイヤーに付与し、前記判定により前記プレイヤーに対応づけられたプレミアムセットが有効な状態でないと判定される場合に、ふだんの数のスタンプをプレイヤーに付与するステップを有しているものと認められること。

オ 上記(1)ケの記載は、ログイン時に押されたスタンプ数に応じて報酬がもらえる「ログインスタンプ」の機能であることを示していること、及び、上記エで説示したとおり、上記(1)ケ及びコの記載から、プレミアムセットが有効な状態である場合は「ふだんの倍の数」のスタンプを、そうでない場合は「ふだんの数」のスタンプを、プレイヤーに付与することは明らかであることを踏まえれば、引用文献1に記載のスタンプは、付与された数に応じて報酬をプレイヤーに付与するためのものであると認められること。

(3)引用発明1
上記(1)及び(2)より、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「プレイヤーがPCまたはPS Vitaを使用することにより実現されるオンラインゲームの制御方法であって、
ACを1300使えば30日間有効のプレミアムセットを、ACを2500使えば60日間有効のプレミアムセットを、ACを3600使えば90日間有効のプレミアムセットを、それぞれコンテンツとしてプレイヤーが購入でき、プレイヤーが、購入するプレミアムセットに対応するACを支払うことで、購入したプレミアムセットをプレイヤーに対応付けるステップと、
前記PCまたはPS Vitaから前記ゲームへのログインが行われる場合に、前記プレイヤーに対応づけられたプレミアムセットが有効な状態であるか否かを判定するステップと、
前記判定により前記プレイヤーに対応づけられたプレミアムセットが有効な状態であると判定される場合に、ふだんの倍の数のスタンプを前記プレイヤーに付与し、前記判定により前記プレイヤーに対応づけられたプレミアムセットが有効な状態でないと判定される場合に、ふだんの数のスタンプをプレイヤーに付与するステップと
を有し、
前記スタンプは、付与された数に応じて報酬をプレイヤーに付与するためのものである、オンラインゲームの制御方法。」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用され、本願の原出願の出願前である2014年2月24日時点で電気通信回線を通じて公衆に利用可能であった「『ファンタシースターオンライン2』プレイヤーズサイト,[online],2014年 2月24日,2019年3月14日検索,URL,https://web.archive.org/web/20140224062903/http://pso2.jp:80/players/manual/preparations/info/loginstamp/」(以下、「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。

(1)「PHANTASY STAR ONLINE2」(表題)
(2)「19-4.ログインスタンプ」(項目名)
(3)「一日につき一回、ログインすると「ログインスタンプ」にスタンプが1個付与されます。
スタンプが5個集まる度にアイテムが手に入り、50個集まると次のシートに移行します。
報酬につきましては「報酬を確認する」を選択することで確認することができます。」(ゲーム画面の下の記載)
(4)「※プレミアムセットが有効な場合は、ログインスタンプの付与時に追加で1個付与します。」(上記(3)の下の記載)

したがって、上記(1)?(4)より、上記引用文献2には、一日につき一回、ログインするとスタンプが1個付与されるとともに、プレミアムセットが有効な場合は、スタンプの付与時に追加で1個スタンプを付与するという技術的事項が記載されていると認められる。

3.引用文献3について
(1)引用文献3の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用文献3として引用され、本願の原出願の出願前である2015年3月11日時点で電気通信回線を通じて公衆に利用可能であった「[アイギス]スタンプが使用結晶数でランクアップするように! デラックスならもらえる結晶の数が倍に!?,千年戦争アイギス攻略ブログ,[online],2015年 3月11日,2019年3月14日検索,URL,https://web.archive.org/web/20150311045558/http://sennenaigis.blog.fc2.com/blog-entry-1162.html」(以下、「引用文献3」という。)には、次の事項が記載されている。

ア 「2015年4月1日(水)から実装される新しいスタンプカードについてお知らせいたします。」
イ 「1か月間に使用した神聖結晶の個数に応じて翌月のスタンプカードがグレードアップする仕組みとなります。」
ウ 「スタンプカードの種類に応じて、ログインボーナスでもらえるアイテムが変更されます。」
エ 「※集計は2015年3月1日(日) 4:00から開始しております。 」
オ 「▼ノーマルスタンプカード 神聖結晶の使用数:0個?49個」
カ 「▼スペシャルスタンプカード 神聖結晶の使用数:50個?99個」
キ 「▼デラックススタンプカード 神聖結晶の使用数:100個?」
ク 「翌月のスタンプカード及びログインボーナスの内容は、ホーム画面右下の「その他」から、「スタンプカード」を選択するとご確認いただけます。」
ケ 「※神聖結晶の使用個数の計測は毎月1日の午前4:00から翌月1日の午前3:59までです。
※スタンプカードのグレードの切り替えは毎月1日の午前4:00にのみ行われます。
月中にスタンプカードのグレードが切り替わる事はありません。
※神聖結晶の使用個数とスタンプカードのグレードは毎月1日の切り替えと同時にリセットされ、翌月には引き継がれません。
※ログインボーナスを受け取る際の仕様に変更はございません。」
コ 「4月よりスタンプカード変更:ノーマル(0?49)


サ 「スペシャル(50?99)


シ 「デラックス(100以上)



(2)引用文献3の記載から認定できる事項
ア 上記(1)オ、カ及びキの各スタンプカードについての画像は、上記(1)コ、サ及びシであるといえること。
イ 上記(1)コ、サ及びシの画像からすれば、各スタンプカードが1?30までのマスを有していることが看取できること。
ウ 上記(1)ウの「スタンプカードの種類に応じて、ログインボーナスでもらえるアイテムが変更されます。」及び上記(1)クの「翌月のスタンプカード及びログインボーナスの内容は、ホーム画面右下の「その他」から、「スタンプカード」を選択するとご確認いただけます。」との記載から、「スタンプカード」には、ログインボーナスでもらえるアイテムの内容が月単位で示されているといえ、上記(1)コ、サ及びシの画像からすれば、1?30までのマスのそれぞれにログインボーナスでもらえるアイテムが示されているとともに、各スタンプカードの「3」「8」「13」「18」のマスに着目すると、マスの数字が大きいほどログインボーナスでもらえるアイテムの価値が大きくなっていることが看取できること。

(3)引用発明3
上記(1)及び(2)より、上記引用文献3には、以下の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。

「1?30までのマスを有し、ログインボーナスでもらえるアイテムの内容が月単位で示されているスタンプカードであって、1?30までのマスのそれぞれにログインボーナスでもらえるアイテムが示され、マスの数字が大きいほどログインボーナスでもらえるアイテムの価値が大きくなっている、スタンプカード。」

4.引用文献4及び5について
原査定の拒絶の理由に引用文献4として引用され、本願の原出願の出願前である2013年8月8日時点で電気通信回線を通じて公衆に利用可能であった「スマホ用カードバトルRPG『MONSTER CRY(モンスタークライ)』本日iOS版サービス開始! iOS専用を含め9本のイベントを実施,PR TIMES,[online],2013年 8月 8日,2019年3月14日検索,(「「アイテムまとめ買い割引」キャンペーン、iOS版サービスに合わせて期間延長」の項等),URL,https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000007736.html」(以下、「引用文献4」という。)には、次の事項が記載されている。

(1)「『MONSTER CRY』は、カードゲームの快適な操作体系でデザインされた本格派MMORPGです。」(「■『MONSTER CRY』iOS版、本日正式サービス開始!」の部分の記載)
(2)「■「アイテムまとめ買い割引」キャンペーン、iOS版サービスに合わせて期間延長」、「2013年7月29日(月)より好評実施中の「アイテムまとめ買い割引」キャンペーンの実施期間を、iOS版サービス開始に合わせて、2013年8月29日(木)まで延長します。アイテムをまとめ買いしたときに、価格の割引や、アイテムの増量、おまけアイテムの追加が適用されますので、ぜひご活用ください。」

また、原査定の拒絶の理由に引用文献5として引用され、本願の原出願の出願前である2014年7月3日時点で電気通信回線を通じて公衆に利用可能であった「Androidゲーム「とある魔術と科学の謎解目録(パズデックス)」の水着イベントがスタート!,AndroidPLUS,[online],2014年 7月 3日,2019年3月14日検索,(「「100日突破記念ゲコ太メダルおまけサービス」実施中!」の項等),URL,http://android.ascii.jp/2014/07/03/puzzdex-dev4/」(以下、「引用文献5」という。)には、次の事項が記載されている。

(3)「ということで、Android向けに配信中の『とある魔術と科学の謎解目録(パズデックス)』に関する最新情報をお届けいたします。ちなみに、『パズデックス』とは、累計発行2,000万部の『とある魔術の禁書目録(インデックス)』(電撃文庫)と『とある科学の超電磁砲(レールガン)』(電撃コミックス)の「とある」シリーズから生まれた、簡単な操作で気持ち良いパズルアクションが楽しめるゲームアプリのことです。」
(4)「■「100日突破記念ゲコ太メダルおまけサービス」実施中!」、「【実施期間】2014年6月30日?2014年7月3日15:00」、「100日突破記念はログボだけでは終わらない! 上記の期間中に「ゲコ太メダル」をまとめ買いしてくださった方には、特別におまけの「ゲコ太メダル」をプレゼントしちゃいます! この機会をお見逃しなく!」

上記(1)?(4)より、引用文献4及び5のいずれにも、所定の額以上を支払ってゲーム内のあるアイテムを購入した場合に、購入したアイテムに加えておまけのアイテムを付与することで、全体として当該購入したアイテムの価値以上のアイテムを付与するという技術的事項が記載されていると認められる。

5.引用文献6について
原査定の拒絶の理由に引用文献6として引用され、本願の原出願の出願前である2013年10月3日に頒布された刊行物である特開2013-198541号公報(以下、「引用文献6という。」には、次の事項が記載されている。

(1)「【0047】また、本実施形態のマルチプレイ型オンラインゲームは、公知のオンラインゲームと同様にプレイ中にゲームフィールドやロビーなどで出会った他ユーザとのチャット機能をサポートしており、プレーヤ間での会話が可能である。そして、ゲームサーバ1100は、各プレーヤが会話を通じて気の合った他プレーヤを所定の登録手続きによって「フレンド」として登録/登録抹消する機能を提供する。」、「以下、フレンド登録されているプレーヤを「フレンドプレーヤ」と呼称する。フレンドプレーヤのユーザアカウントの情報はフレンドリスト517として、ユーザ登録データ510に含まれて(或いは紐付けされて)ストレージ1140に記憶される(図1参照)。」
(2)「【0048】また、本実施形態のゲームサーバ1100は、プレーヤ毎のログインに関する履歴をログイン履歴データ530として管理する。ログイン履歴データ530には、少なくともログインした日時が含まれる。ログイン履歴データ530は、ユーザ登録データ510に含まれて(或いは紐付けされて)ストレージ1140に記憶される(図1参照)。」
(3)「【0049】そして、本実施形態では、あるプレーヤがログイン処理した時点で、その日に既にログインした履歴のある当該プレーヤのフレンドプレーヤのログインに関する履歴情報に基づいて、当該プレーヤ(以下「認証プレーヤ)と呼称する。)に特典(ボーナス)が付与される。これを「フレンドログインボーナス」と呼ぶ。」
(4)「【0061】また、フレンドプレーヤのプレイ内容が反映される構成も可能である。例えば、フレンドプレーヤの課金額や、行動パラメータ(プレーヤキャラクタの行動に応じて消費されるパラメータ;行動ポイントなどとも呼ばれる)、プレイ時間(例えば、所定期間内での累積プレイ時間)、などを変数とする関数でポイントを新たに追加する。そして、当該関数では、変数が高いほど高いポイントが算出されるようにすることができる。」

また、上記(4)の「フレンドプレーヤのプレイ内容が反映される構成」が採用された場合、上記(3)における特典(ボーナス)の付与は、その日に既にログインした履歴のある当該プレーヤのフレンドプレーヤのログインに関する履歴情報やフレンドプレーヤのプレイ内容に基づいて行われるものといえる。

以上より、上記引用文献6には、あるプレーヤがログイン処理した時点で、その日に既にログインした履歴のある当該プレーヤのフレンドプレーヤのログインに関する履歴情報やフレンドプレーヤのプレイ内容に基づいて、当該プレーヤに特典(ボーナス)を付与するという技術的事項が記載されていると認められる。

第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明1における「PCまたはPS Vita」は、プレイヤーが使用する端末であることから、本願発明1における「端末装置」ないし「第1端末装置」に相当する。

イ 引用発明1における「プレイヤー」は、本願発明1における「第1ユーザ」に相当する。

ウ 引用発明1における「プレミアムセット」は、それぞれ30日間有効、60日間有効、90日間有効のものがあり、いずれも有効期間を含むことは明らかであるから、本願発明1における「有効期間を示す有効期間情報を含むゲーム用電子データ」に相当する。

エ 引用発明1における「AC」は、コンテンツの購入に必要な「対価」としての性質を持つものであるから、引用発明1の「プレイヤーが、購入するプレミアムセットに対応するACを支払うこと」において、プレイヤーが支払った「購入するプレミアムセットに対応するAC」は、本願発明1における「前記ゲームに関して支払った対価」に相当する。

オ 引用発明1は、「ACを1300使えば30日間有効のプレミアムセットを、ACを2500使えば60日間有効のプレミアムセットを、ACを3600使えば90日間有効のプレミアムセットを、それぞれコンテンツとしてプレイヤーが購入でき」るものであるから、支払ったACに基づいて、有効期間の異なる「プレミアムセット」をプレイヤーに対応付けるものであるといえる。
してみると、上記ウ及びエも踏まえれば、引用発明1の「ACを1300使えば30日間有効のプレミアムセットを、ACを2500使えば60日間有効のプレミアムセットを、ACを3600使えば90日間有効のプレミアムセットを、それぞれコンテンツとしてプレイヤーが購入でき、プレイヤーが、購入するプレミアムセットに対応するACを支払うことで、購入したプレミアムセットをプレイヤーに対応づけるステップ」は、本願発明1における「第1端末装置の第1ユーザが前記ゲームに関して支払った対価に基づいて、前記第1ユーザと有効期間を示す有効期間情報を含むゲーム用電子データとを対応付けるステップ」に相当する。

カ 引用発明1における「プレイヤーに対応づけられたプレミアムセットが有効な状態であるか否かを判定する」は、上記ウを踏まえれば、本願発明1における「前記第1ユーザと前記有効期間内の前記ゲーム用電子データとが対応付けられているか否か判定する」に相当する。

キ 引用発明1における「ふだんの倍の数」、「ふだんの数」は、それぞれ本願発明1における「第1の価値」、「前記第1の価値よりも低い第2の価値」に相当する。

ク 引用発明1における「スタンプ」は、その数に応じて報酬がもらえるものであることから、本願発明1における「報酬ゲーム媒体」に相当する。

ケ 上記キ及びクにより、引用発明1の「ふだんの倍の数のスタンプを前記プレイヤーに付与し、」は、本願発明1の「前記第1ユーザと第1の価値の報酬ゲーム媒体とを対応付け、」に相当する。

コ 上記キ及びクにより、引用発明1の「ふだんの数のスタンプをプレイヤーに付与する」は、本願発明1における「前記第1ユーザと前記第1の価値よりも低い第2の価値の報酬ゲーム媒体とを対応付ける」に相当する。

したがって、本願発明1と引用発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

[一致点]
「ゲームの制御方法であって、
第1端末装置の第1ユーザが前記ゲームに関して支払った対価に基づいて、前記第1ユーザと有効期間を示す有効期間情報を含むゲーム用電子データとを対応付けるステップと、
前記第1ユーザと前記有効期間内の前記ゲーム用電子データとが対応付けられているか否か判定するステップと、
前記判定により前記第1ユーザと前記有効期間内の前記ゲーム用電子データとが対応付けられていると判定される場合に、前記第1ユーザと第1の価値の報酬ゲーム媒体とを対応付け、前記判定により前記第1ユーザと前記有効期間内の前記ゲーム用電子データとが対応付けられていないと判定される場合に、前記第1ユーザと前記第1の価値よりも低い第2の価値の報酬ゲーム媒体とを対応付けるステップと
を有する、制御方法。」

[相違点]
(相違点1)
本願発明1は、端末装置にゲームを提供するサーバ装置の制御方法であるのに対し、引用発明1はオンラインゲームの制御方法ではあるが、引用発明1のPCまたはPS Vitaがサーバ装置からゲームを提供されるのか否かが不明であり、引用発明1の各ステップを実行するのが、サーバ装置であるとは特定できない点。

(相違点2)
本願発明1は、「ゲームの開始要求を受信した場合」に、前記第1ユーザと前記有効期間内の前記ゲーム用電子データとが対応付けられているか否かを判定するのに対し、引用発明1は、「前記PCまたはPS Vitaから前記ゲームへのログインが行われる場合」に、前記プレイヤーに対応づけられたプレミアムセットが有効な状態であるか否かを判定する点。

(相違点3)
本願発明1は「前記有効期間より短い所定期間内に」ゲームの開始要求を受信する場合に、「所定期間内に一回」、第1ユーザと報酬ゲーム媒体とを対応付けるのに対し、引用発明1は、「スタンプ」がどのような条件で付与されるのかが明確でない点。

(相違点4)
本願発明1は、「前記第1の価値は、前記有効期間の終了が近づくにつれて高くなる」のに対し、引用発明1は、そのような構成を備えていない点。

(2)相違点についての判断
ア 相違点1及び相違点2について
上記相違点1及び上記相違点2について検討すると、オンラインゲームを実現する際に、サーバ装置を用いて、オンラインゲームの制御を行うことは、本願の原出願の出願時のオンラインゲームに係る技術常識であって、サーバ装置と端末とでオンラインゲームに係る各種処理をどう分担するかは、ゲームの内容やデータの特性、通信環境等に応じて当業者が適宜設計しうる程度のものであることからすれば、引用発明1において行われる、購入したプレミアムセットをプレイヤーに対応づける処理及びゲームへのログインが行われる場合の処理を、サーバ装置が行うように制御することで、本願発明1の「端末装置にゲームを提供するサーバ装置の制御方法」に相当する、PCまたはPS Vitaにゲームを提供するサーバ装置の制御方法を実現することは、当業者が容易になし得たことである。
また、購入したプレミアムセットをプレイヤーに対応づける処理及びゲームへのログインが行われる場合の処理を、サーバ装置が行うように制御した場合、引用発明1における「前記PCまたはPS Vitaから前記ゲームへのログインが行われる場合」は、サーバ装置がPCまたはPS Vitaからゲームの開始要求を受信した場合であるといえ、これは、本願発明1の上記相違点2に係る構成である「ゲームの開始要求を受信した場合」に相当するといえる。
よって、上記相違点1及び2に係る本願発明1の発明特定事項は、当業者が引用発明1に基づいて容易に想到し得たことである。

イ 相違点3について
上記相違点3について検討すると、引用文献2には、上記「第4 引用文献、引用発明1等」の2.のとおり、一日につき一回、ログインするとスタンプが1個付与されるとともに、プレミアムセットが有効な場合は、ログインスタンプの付与時に追加で1個スタンプを付与するという技術的事項が記載されていると認められ、当該「一日」は、本願発明1の「所定期間」に相当する。
引用発明1に係るゲームと、引用文献2に記載のゲームは、いずれも同一のゲームであり、プレミアムセットが有効な場合は、スタンプの付与時に、スタンプを通常よりも多く付与する点で共通の特徴を有するものであることからすれば、引用発明1において、スタンプの付与を一日につき一回行うよう構成することで、本願発明1の上記相違点3に係る構成を実現することは、当業者が容易に想到し得たことである。
よって、上記相違点3に係る本願発明1の発明特定事項は、当業者が引用発明1及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に想到し得たことである。

ウ 相違点4について
上記相違点4について検討する。
上記「第4 引用文献、引用発明等」の3.に記載のとおり、引用発明3は、「1?30までのマスを有し、ログインボーナスでもらえるアイテムの内容が月単位で示されているスタンプカードであって、1?30までのマスのそれぞれにログインボーナスでもらえるアイテムが示され、マスの数字が大きいほどログインボーナスでもらえるアイテムの価値が大きくなっている、スタンプカード。」である。
しかしながら、引用発明3の「スタンプカード」は、上記相違点4に係る本願発明1の構成を開示するものではない。
引用発明1において、本願発明1の「第1の価値」に相当するのは「スタンプ」であるところ、その前提で、引用発明1に引用発明3を適用した場合の構成について以下検討する。
引用発明1に引用発明3を適用した場合、引用発明1の「ログインスタンプ」において、引用発明3の「スタンプカード」を用いて、スタンプをスタンプカードの各マスに付与することで、スタンプが付与された各マスに表示されたログインボーナスが付与される構成となるが、このときの構成は、プレミアムセットが有効な状態では、仮に、スタンプカードに押されるスタンプの数がふだんは「1」とすると、スタンプカードに押されるスタンプの数がふだんの倍の数である「2」になり、2マス分のログインボーナスが、スタンプが付与されるたびに得られることとなるといえるものの、有効期間の終了が近づくにつれて、スタンプカードに押される「スタンプ」の数が増えるような構成とはならないから、引用発明1に引用発明3を適用しても、上記相違点4に係る本願発明1の構成には至らない。
また、本願発明1の「第1の価値」に相当するのが、引用発明1の「報酬」や引用発明3の「ログインボーナス」であると解した場合であっても、引用発明1のプレミアムセットの有効期間と、引用発明3におけるスタンプカードの単位となっている「月」とが一致するとはいえないことから、プレミアムセットの有効期間が月をまたぐ場合は、月が変わった段階でスタンプカードがリセットされるため、有効期間の終了が近づくにつれて価値の高いログインボーナスが付与されることとはならない。
さらに、引用発明1のプレミアムセットの有効期間と、引用発明3におけるスタンプカードの単位となっている「月」とを一致させたと仮定しても、そもそも、スタンプを小さい方から順に押していくというスタンプカード一般に係る技術常識を勘案すれば、引用発明1に引用発明3を適用した場合に、プレミアムセットの有効期間の終了が近づくにつれてログインボーナスの価値が高まるか否かは、ログインボーナスが付与される時点でのプレミアムセットの有効期間内におけるそれまでのログイン実績に依存することは明らかであって、たとえば、プレミアムセットの有効期間内における終盤にはじめてログインをした場合は、スタンプカードの最初のマスからスタンプが付与されることになり、スタンプカードの終盤のマスにスタンプが付与されることにはならないため、かかる仮定の下であっても、プレミアムセットの有効期間内であるからといって、有効期間の終了が近づくにつれて価値の高いログインボーナスが付与されることとはならない。
してみれば、本願発明1の「第1の価値」に相当するのが、引用発明1の「報酬」や引用発明3の「ログインボーナス」であると解して、引用発明1に引用発明3を適用した場合であっても、上記相違点4に係る本願発明1の「前記第1の価値は、前記有効期間の終了が近づくにつれて高くなる」構成には至らない。
そして、本願発明1が、本願明細書の段落【0081】に記載の効果を奏するものである以上、上記相違点4に係る本願発明1の構成が当業者の設計事項であるということもできない。
加えて、引用文献2、4-6には、上記相違点4に係る本願発明1の構成について何ら記載も示唆もされておらず、また、かかる構成が、本願の原出願の出願前に当業者に知られていたことを示す証拠も見当たらない。
よって、上記相違点4に係る本願発明1の発明特定事項は、当業者であっても引用発明1及び3、並びに、引用文献2及び4ないし6に記載された技術的事項に基づいて容易に想到し得たことであるとはいえない。

(3)小括
したがって、上記(2)ウにより、本願発明1は、当業者であっても引用発明1及び3、並びに、引用文献2及び4ないし6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

2.本願発明2ないし6について
本願発明2ないし6は、本願発明1の「前記第1の価値は、前記有効期間の終了が近づくにつれて高くなる」という上記相違点4に係る本願発明1の発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、本願発明2ないし6は、当業者であっても、引用発明1及び3、並びに、引用文献2及び4ないし6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

3.本願発明7及び8について
本願発明7及び8は、それぞれ本願発明1に対応するサーバ装置、プログラムの発明であり、上記相違点4に係る本願発明1の発明特定事項である「前記第1の価値は、前記有効期間の終了が近づくにつれて高くなる」という構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、本願発明7及び8は、当業者であっても、引用発明1及び3、並びに、引用文献2及び4ないし6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 当審拒絶理由について
1.第1の当審拒絶理由(特許法第17条の2第3項)について
(1)当審では、令和1年12月4日付け手続補正書による補正は、補正後の請求項1に記載の「第1端末装置からの要求に応じて、前記第1端末装置の第1ユーザと前記第1ユーザが前記ゲームに関して支払った対価の額であるゲーム内仮想通貨の額を示す対価情報とを対応付けるステップと、前記対価情報に基づいて、前記第1ユーザと有効期間を示す有効期間情報を含むゲーム用電子データとを対応付けるステップと、」、及び、当該記載と同様の発明特定事項を特定する請求項7及び8の記載について、当初明細書等に記載した事項の範囲内でするものではないものを含んでいる点で、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていないとの拒絶の理由を通知している。

(2)上記(1)の理由に対して、令和3年2月9日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1において「第1端末装置からの要求に応じて、前記第1端末装置の第1ユーザと前記第1ユーザが前記ゲームに関して支払った対価の額であるゲーム内仮想通貨の額を示す対価情報とを対応付けるステップ」と、請求項7及び8において「第1端末装置からの要求に応じて、前記第1端末装置の第1ユーザと前記第1ユーザが前記ゲームに関して支払った対価の額であるゲーム内仮想通貨の額を示す対価情報とを対応付ける機能」と、それぞれ特定され、かつ、特定された事項は、当初明細書の【0046】?【0049】に裏付けられていることから、上記(1)の拒絶理由は解消した。

2.第2の当審拒絶理由(特許法第36条第6項第2号)について
(1)当審では、令和2年12月8日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1、7及び8の記載では、何と「第1の価値の報酬ゲーム媒体」とを対応付けているのかを明確に把握することができず、また、同手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項4の記載では、何と「第3の価値の報酬ゲーム媒体」とを対応付けているのかを明確に把握することができないことから、同手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとの拒絶の理由を通知している。

(2)上記(1)の理由に対して、令和3年2月9日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1、7及び8において、「前記第1ユーザ」と「第1の価値の報酬ゲーム媒体」とを対応付けていること、並びに、同手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項4において、「前記第2ユーザ」と「第3の価値の報酬ゲーム媒体」とを対応付けていることがいずれも明確に特定されたため、上記(1)の拒絶理由は解消した。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし8は、当業者が引用発明1及び3、並びに、引用文献2及び4ないし6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではないとともに、当初明細書等に記載した事項の範囲内でした補正によって特定されたものである。また、本願の請求項1ないし8の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしている。
したがって、原査定の理由及び当審拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-04-06 
出願番号 特願2016-51485(P2016-51485)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A63F)
P 1 8・ 55- WY (A63F)
P 1 8・ 537- WY (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 東 芳隆上田 泰  
特許庁審判長 藤本 義仁
特許庁審判官 古川 直樹
清水 康司
発明の名称 サーバ装置の制御方法、サーバ装置及びプログラム  
代理人 特許業務法人サカモト・アンド・パートナーズ  

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