• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) D21H
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) D21H
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) D21H
管理番号 1373396
審判番号 不服2019-15534  
総通号数 258 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-11-20 
確定日 2021-04-22 
事件の表示 特願2017- 28903「微細繊維含有シートの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 5月18日出願公開、特開2017- 82387〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)5月21日(優先権主張 平成25年6月3日 日本国、平成25年8月27日 日本国)を国際出願日とする特願2015-521376号の一部を平成29年2月20日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年2月19日付け :拒絶理由通知
平成30年6月28日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年11月19日付け:拒絶理由通知
平成31年3月26日 :意見書の提出
令和元年8月15日付け :拒絶査定
令和元年11月20日 :審判請求書の提出、同時に手続補正書の提出
令和2年6月16日付け :当審による拒絶理由通知
令和2年8月21日 :意見書、手続補正書(以下、この手続補正書による手続補正を「本件補正」という。)の提出

第2 本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1?3に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?3にそれぞれ記載された事項により特定されるものであるところ、そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】
2nm以上10nm未満の平均繊維幅の微細繊維状セルロースと親水性高分子とを含む層のみからなるシートであって、前記親水性高分子が、ポリエチレングリコールおよびポリエチレンオキサイドのうちの少なくとも一方を含み、前記親水性高分子の分子量が1.0×10^(3)?1.0×10^(7)であり、親水性高分子の添加量が、微細繊維状セルロースの固形分100質量部に対して5?100質量部であり、シートの固形分濃度が88?99質量%である、前記シート。」

第3 拒絶の理由
令和2年6月16日の当審が通知した拒絶理由のうちの理由2及び理由4は、概略、次のとおりのものである。
[理由2]
以下(1)?(3)で指摘した理由により、出願時の技術常識に照らしても、請求項1?5に係る発明は、課題を解決するとはいえず、また、請求項1?5に係る発明は、課題との関係において、請求項1?5に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明において開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえないから、本願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
(1)発明の詳細な説明には、「塗工工程」や「乾燥工程」が特定の条件で製造されたシートが記載されているに過ぎない。「シワ」の発生有無は乾燥条件の影響を受けることが技術常識であるから、特定の乾燥条件で「微細繊維含有シートを、シワを生じることなく製造できる微細繊維含有シートの製造方法を提供すること」(【0009】)という課題を解決したことを根拠に、それ以外の乾燥条件でも課題を解決できるとはただちにはいえない。
(2)「乾燥工程後のシートの固形分濃度」と「シワ」との関係が検証されているのは、「2nm以上10nm未満の平均繊維幅の微細繊維と親水性高分子とを含む層」を含まない実施例1のシートのみであり、かつ、前記「微細繊維含有シートを、シワを生じることなく製造でき」たものは、2段階の乾燥工程後のシートの固形分濃度92.7%(実験番号6、10、26)?93.5%(実験番号7)であり、それらのシワの評価も必ずしも「○:シワが認められない」もののみならず、「△:若干シワが認められる」ものも含んでいる。
(3)実施例2?9及び比較例1について、最終的な「固形分濃度」は記載されず、これらは、「親水性高分子」を含まない実施例1の組成及び製造方法と異なるため、「シワ」の発生の前提条件が異なるから、実施例1において、「乾燥工程後のシートの固形分濃度」と「シワ」との関係が検証されているとしても、実施例2?9及び比較例1に関する記載をみて、実施例2?9及び比較例1の「固形分濃度」を知ることは不可能である。

[理由4]
本願の請求項1?5に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:国際公開第2009/069641号

第4 当審の判断
1.理由2について
(1)本願明細書の発明の詳細な説明の記載
「【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、微細繊維含有シートを、シワを生じることなく製造できる微細繊維含有シートの製造方法を提供することを解決すべき課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、繊維径が1000nm以下の微細繊維を含有する分散液を基材上に塗工する塗工工程と、前記基材上に塗工した微細繊維を含有する分散液を乾燥することによって微細繊維含有シートを形成する乾燥工程によって、微細繊維含有シートを、シワを生じることなく製造できることを見出した。本発明の一の態様は、この知見に基づいて完成したものである。」
「【実施例】
【0080】
〔実施例1〕
(微細セルロース繊維分散液A)
リン酸二水素ナトリウム二水和物265g、及びリン酸水素二ナトリウム197gを538gの水に溶解させ、リン酸系化合物の水溶液(以下、「リン酸化試薬」という。)を得た。
【0081】
針葉樹晒クラフトパルプ(王子製紙社製、水分50質量%、JIS P8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)700ml)を含水率80質量%になるようイオン交換水で希釈し、パルプスラリーを得た。このパルプスラリー500gに前記リン酸化試薬210gを加え、105℃の送風乾燥機(ヤマト科学株式会社DKM400)で時折混練しながら質量が恒量となるまで乾燥させた。ついで150℃の送風乾燥機で時折混練しながら1時間加熱処理して、セルロースにリン酸基を導入した。
【0082】
次いで、リン酸基を導入したセルロースに5000mlのイオン交換水を加え、攪拌洗浄後、脱水した。脱水後のパルプを5000mlのイオン交換水で希釈し、攪拌しながら、1Nの水酸化ナトリウム水溶液をpHが12?13になるまで少しずつ添加して、パルプスラリーを得た。その後、このパルプスラリーを脱水し、5000mlのイオン交換水を加えて洗浄を行った。この脱水洗浄をさらに1回繰り返した。
【0083】
洗浄脱水後に得られたパルプにイオン交換水を添加して、1.0質量%のパルプスラリーにした。このパルプスラリーを、高圧ホモジナイザー(NiroSoavi社「Panda Plus 2000」)に、操作圧力1200barで10回パスさせ、微細セルロース繊維分散液Aを得た。微細セルロース繊維の平均繊維幅(繊維径)は、4.2nmであった。
【0084】
(抄紙用ワイヤA)
叩解処理して得た、JIS P8121にしたがって測定されたカナダ標準濾水度(以下、CSF)が350mlの広葉樹晒クラフトパルプを100質量部、サイズ剤(商品名:ファイブラン81K、日本エヌエスシー社製)0.05質量部、硫酸バンド0.45質量部、カチオン化澱粉0.5質量部、ポリアミド・エピクロルヒドリン樹脂(紙力増強剤)0.4質量部、歩留向上剤少量よりなる紙料を長網で抄紙した。これにより得た湿紙を乾燥した後、カレンダー処理(線圧:100kg/cm)して、艶面の表面平滑度575秒、更面の表面平滑度7秒、透気度130秒、紙水分5.5%、坪量100g/m^(2)の片艶紙を得た。このようにして得た片艶紙の艶面に、シリコーン系疎水化剤KS3600(信越化学工業社製)100部と、硬化剤PL50T(信越化学工業社製)1部を、トルエン/酢酸エチルが3/1の混合溶媒に3質量%濃度になるように添加し攪拌したものをバーコーターで塗工量が2g/m^(2)になるように塗工し、100℃で乾燥させて艶面が疎水化処理された抄紙用ワイヤAを得た。抄紙用ワイヤAの艶面の表面平滑度は、650秒であった。
【0085】
(実験例1)
図1に示す製造装置を用いて微細セルロース繊維含有連続シートを製造した。なお、抄紙用ワイヤ11として抄紙用ワイヤAを用いた。
すなわち、上記微細セルロース繊維分散液Aを供給タンク13に収容し、攪拌機13aにより攪拌しながらダイヘッド18bに供給した。次いでダイコーター18の開口部18aから微細セルロース繊維分散液Aを走行する抄紙用ワイヤ11の上面に供給し、赤外線装置34により微細セルロース繊維分散液中の水を蒸発させて含水ウェブBを得た。
【0086】
次いで、含水ウェブBを乾燥セクション20に送り、第1ドライヤー21(設定温度80℃)により乾燥して微細セルロース繊維含有シートCを得た。
【0087】
次いで、分離ローラ31a、31bによって抄紙用ワイヤ11と微細セルロース繊維含有シートCとを剥離(分離)し、微細セルロース繊維含有シートCを巻取リール32により巻き取り、抄紙用ワイヤ11を回収リール33により巻き取った。得られた微細セルロース繊維含有シートCのシワの評価、シート作製の評価、を下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0088】
なお、本実施例において、非接触の第1乾燥工程前のシートの固形分濃度(ρ_(1))は、図1の赤外線装置34からの赤外線を受ける直前のシートの固形分濃度であり、非接触の第1乾燥工程後のシートの固形分濃度(ρ_(2))は図1の赤外線装置34からの赤外線を受けた直後のシートの固形分濃度である。また、第2乾燥工程前のシートの固形分濃度(ρ_(3))は、図1の第1ドライヤー21の直前のシートの固形分濃度であり、第2乾燥工程後のシートの固形分濃度(ρ_(4))は、図1の第1ドライヤー21の直後のシートの固形分濃度である
【0089】
<シワの評価>
微細セルロース繊維含有シートのシワの程度を下記の判断基準で評価した。
○:シワが認められない
△:若干シワが認められる
×:明らかにシワが認められる
【0090】
【表1】

【0091】
〔実施例2?9〕
(微細繊維状セルロース懸濁液A)
リン酸二水素ナトリウム二水和物265g、及びリン酸水素二ナトリウム197gを538gの水に溶解させ、リン酸系化合物の水溶液(以下、「リン酸化試薬」という。)を得た。
【0092】
針葉樹晒クラフトパルプ(王子製紙株式会社製、水分50質量%、JIS P8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)700ml)を含水率80質量%になるようイオン交換水で希釈し、パルプ懸濁液を得た。このパルプ懸濁液500gに前記リン酸化試薬210gを加え、105℃の送風乾燥機(ヤマト科学株式会社 DKM400)で時折混練しながら質量が恒量となるまで乾燥させた。ついで150℃の送風乾燥機で時折混練しながら1時間加熱処理して、セルロースにリン酸基を導入した。
【0093】
次いで、リン酸基を導入したセルロースに5000mlのイオン交換水を加え、攪拌洗浄後、脱水した。脱水後のパルプを5000mlのイオン交換水で希釈し、攪拌しながら、1Nの水酸化ナトリウム水溶液をpHが12?13になるまで少しずつ添加して、パルプ懸濁液を得た。その後、このパルプ懸濁液を脱水し、5000mlのイオン交換水を加えて洗浄を行った。この脱水洗浄をさらに1回繰り返した。
【0094】
洗浄脱水後に得られたパルプにイオン交換水を添加して、1.0質量%のパルプ懸濁液にした。このパルプ懸濁液を、高圧ホモジナイザー(NiroSoavi社「Panda Plus 2000」)で、操作圧力1200barにて5回パスさせ、微細繊維状セルロース懸濁液Aを得た。さらに、湿式微粒化装置(スギノマシン社製「アルティマイザー」)で245MPaの圧力にて5回パスさせ微細繊維状セルロース懸濁液Bを得た。微細繊維状セルロースの平均繊維幅は、4.2nmであった。
【0095】
(実施例2)
微細繊維状セルロース懸濁液Bに親水性高分子であるポリエチレングリコール(和光純薬社製:分子量20000)を微細繊維状セルロース100質量部に対し、50質量部になるように添加した。なお、固形分濃度が0.5%となるよう濃度調製を行った。シート坪量が35g/m2になるように懸濁液を計量して、市販のアクリル板に展開し50℃のオーブンにて乾燥し微細繊維状セルロース含有シートを得た。なお、所定の坪量となるようアクリル板上には堰止用の板を配置し、得られるシートが四角形になるようにした。得られたシートはシワが入らず平らであった。
【0096】
(実施例3)
ポリエチレングリコールの添加量を30質量部とした以外は、実施例2と同様にして微細繊維状セルロース含有シートを得た。得られたシートは端部にシワが多少見られたものの概ね平らなシートであった。
【0097】
(実施例4)
ポリエチレングリコールの添加量を100質量部とした以外は、実施例2と同様にして微細繊維状セルロース含有シートを得た。得られたシートはシワが入らず平らであった。
【0098】
(実施例5)
親水性高分子であるポリエチレングリコール(和光純薬社製:分子量500000)を用いた以外は実施例2と同様にして微細繊維状セルロース含有シートを得た。得られたシートはシワが入らず平らであった。
【0099】
(実施例6)
親水性高分子であるポリエチレングリコール(和光純薬社製:分子量2000000)を用い、添加量を10質量部とした以外は実施例2と同様にして微細繊維状セルロース含有シートを得た。得られたシートはシワが入らず平らであった。
【0100】
(実施例7)
親水性高分子であるポリエチレングリコール(和光純薬社製:分子量4000000)を用い、添加量を5質量部とした以外は実施例2と同様にして微細繊維状セルロース含有シートを得た。得られたシートはシワが入らず平らであった。
【0101】
(実施例8)
親水性高分子であるポリエチレングリコール(和光純薬社製:分子量4000000)を用い、添加量を10質量部とした以外は実施例2と同様にして微細繊維状セルロース含有シートを得た。得られたシートはシワが入らず平らであった。
【0102】
(実施例9)
親水性高分子であるポリエチレングリコール(和光純薬社製:分子量4000000)を用い、添加量を20質量部とした以外は実施例2と同様にして微細繊維状セルロース含有シートを得た。得られたシートはシワが入らず平らであった。
【0103】
(比較例1)
実施例2にて親水性高分子を全く添加しないでシート作製を行った。得られたシートはシワが多く大きくうねっていた。
【0104】
また、上記の実施例2?9及び比較例1について、乾燥工程前のシートの固形分濃度(ρ_(1))、乾燥工程後のシートの固形分濃度(ρ_(2))、及び固形分濃度ρ_(1)からρ_(2)になるまでに要した時間t_(21)(分)から算出される下記式(1)で示されるα_(21)を求めた。
式(1) α_(21)=(ρ_(2)-ρ_(1))/t_(21)
実施例2?9及び比較例1についての結果を以下の表2に示す。
【0105】
【表2】

添加量は、微細繊維状セルロース固形分100質量部に対する質量部
○:得られたシートはシワが入らず平らであった。
×:得られたシートはシワが多く大きくうねっていた。」

上記記載をまとめると、次のとおりである。
ア.本願の発明が解決しようとする課題(以下、「本願課題」という)は、「シワを生じることなく製造でき」た「微細繊維含有シート」(【0009】)である。
イ.実施例1は、
「親水性高分子」を含まないシート(【0085】)であり、
「微細セルロース繊維の平均繊維幅(繊維径)は、4.2nmであ」り(【0083】)、
「第2乾燥工程後のシートの固形分濃度(ρ_(4))」すなわち「シートの固形分濃度」は92.7?93.5質量%である(【0090】の【表1】)。
ウ.実施例1において、
「シート」の原料及び「原料の固形分濃度」が同一であり、「第2乾燥工程後のシートの固形分濃度(ρ_(4))」すなわち「シートの固形分濃度」は92.7?93.5質量%の範囲内のシートであっても、「非接触の第1乾燥工程の方式」や「乾燥速度」の違いにより、「○:シワが認められない」もの(実験番号2?5、8?11、13?16、18?21)と「△:若干シワが認められる」もの(実験番号1、6、7、12、17、22?27)が存在する(【0090】の【表1】)。
エ.実施例2?9は、
「親水性高分子」を含むシートであり(【0095】)、
「微細セルロース繊維の平均繊維幅(繊維径)は、4.2nmであ」り(【0094】)、
「親水性高分子」が「ポリエチレングリコール」であり、その分子量が2.0×10^(4)?4.0×10^(6)であり、その添加量が、「微細繊維状セルロース」の固形分100質量部に対して5?100質量部であるシート(【0095】?【0102】、【0105】の【表2】)は、「○:得られたシートはシワが入らず平らであ」るが、「乾燥工程後のシートの固形分濃度(ρ_(2))」すなわち「シートの固形分濃度」は不明である(【0104】)。
オ.比較例1は、「親水性高分子」を含まないシートであり、
「微細セルロース繊維の平均繊維幅(繊維径)は、4.2nmであ」り(【0094】)、「×:得られたシートはシワが多く大きくうねって」おり、「乾燥工程後のシートの固形分濃度(ρ_(2))」すなわち、「シートの固形分濃度」は不明である(【0104】)。
カ.乾燥工程について、
実施例1は、「次いでダイコーター18の開口部18aから微細セルロース繊維分散液Aを走行する抄紙用ワイヤ11の上面に供給し、赤外線装置34により微細セルロース繊維分散液中の水を蒸発させて含水ウェブBを得」て、「次いで、含水ウェブBを乾燥セクション20に送り、第1ドライヤー21(設定温度80℃)により乾燥して微細セルロース繊維含有シートCを得た」もの(【0085】?【0086】)であるのに対し、
実施例2?9及び比較例1は、「シート坪量が35g/m2になるように懸濁液を計量して、市販のアクリル板に展開し50℃のオーブンにて乾燥し微細繊維状セルロース含有シートを得た」もの(【0095】)である。

(2)判断
上記(1)ウ.によれば、「非接触の第1乾燥工程の方式」や「乾燥速度」の違いが、シワの有無に影響し、「親水性高分子」を含まなくてもシワを生じないものもあるから、上記(1)オ.における、シワの有無が、「親水性高分子」のみに依存するとは理解できない。
さらに、上記(1)エ.のとおり、「○:得られたシートはシワが入らず平らであ」る場合の「シートの固形分濃度」は不明であり、上記(1)カ.のとおり、実施例1と、実施例2?9及び比較例1とは、その乾燥条件が異なり、かつ、実施例1と実施例2?9とは、「親水性高分子」の有無という点で組成も相違するため、実施例1の「シートの固形分濃度」の値から、実施例2?9及び比較例1における「シートの固形分濃度」を特定することもできず、上記(1)オ.における、シワの有無が、「シートの固形分濃度」に依存するのか否かも不明である。
そうすると、当業者が本願明細書の発明の詳細な説明の記載を見ても、「2nm以上10nm未満の平均繊維幅の微細繊維状セルロースと親水性高分子とを含む層のみからなるシート」が、「前記親水性高分子が、ポリエチレングリコールおよびポリエチレンオキサイドのうちの少なくとも一方を含み、前記親水性高分子の分子量が1.0×10^(3)?1.0×10^(7)であり、親水性高分子の添加量が、微細繊維状セルロースの固形分100質量部に対して5?100質量部であり、シートの固形分濃度が88?99質量%である」すべての場合において、「シワを生じること」がないと当業者は理解することはできない。

(3)令和2年8月21日提出の意見書における審判請求人の主張について
審判請求人は、令和2年8月21日提出の意見書の「(3)理由2(特許法第36条第6項第1号)について」において、次のように主張する。
「・・・乾燥方法(一段階の乾燥工程か、二段階の乾燥工程か)については、シワの有無を変化させるものではなく、生産性を変化させることを意図するものです。シワの有無は、乾燥方法(一段階の乾燥工程か、二段階の乾燥工程か)には依存せずに、シートの固形分濃度、並びに親水性高分子の使用の有無により影響を受けるものです。
本願明細書の実施例1(表1)においては、シートの固形分濃度が88?99質量%である場合に、シワが良好(〇又は△)(△であっても実用上は問題ないレベルです)であることが示されています。また、本願明細書の表2(実施例2?9と比較例1)の記載からは、親水性高分子を添加することによりシワが良好になることが理解できます。
本願の請求項1は、実施例1(表1)の知見と、表2(実施例2?9)の知見とを組み合わせた発明を規定したものです。表2の知見から、親水性高分子を添加することによりシワが良好になることが明確に理解できます。よって、本願の実施例1において親水性高分子を添加した場合には、シワをさらに改善できることは当業者であれば容易に理解することができます。」
当該主張について検討する。
上記(1)ア.のとおり、本願課題は、「シワを生じることなく製造でき」た「微細繊維含有シート」であるから、「シワ」が生じているのであれば、本願課題を解決しているとはいえない。したがって、本願明細書の発明の詳細な説明の「若干シワが認められる」「△」について、本願課題を解決していると当業者は理解することはできない。
そして、(1)ウ.のとおり、「シートの固形分濃度」が92.7?93.5質量%の範囲内であっても、「△:若干シワが認められる」ものが存在する、すなわち、現にシワが生じているのであるから、シワの有無が、「非接触の第1乾燥工程の方式」や「乾燥速度」に依存していないとはいえないし、「シートの固形分濃度」が92.7?93.5質量%の範囲内でシワが生じている以上、その範囲を拡張した「88?99質量%」の全範囲において、「非接触の第1乾燥工程の方式」や「乾燥速度」に依存せずに「シワが生じることがない」ことを、当業者が本願明細書の記載から理解するとはいえない。
「親水性高分子」の添加によって、シワを改善できるとの上記主張について予備的に検討する。
上記(1)エ.及びオ.のとおり、実施例2は、実施例1とは乾燥条件が異なり、「シートの固形分濃度」の不明なのであるから、乾燥条件や「シートの固形分濃度」に依存することなく、「親水性高分子」を添加すれば、ただちに「シワが生じることがない」ことを、当業者が本願明細書の記載から理解するとはいえない。

(4)理由2についてのまとめ
以上のとおり、出願時の技術常識に照らしても、本願発明は、課題を解決するとはいえず、また、本願発明は、課題との関係において、本願発明の範囲まで、発明の詳細な説明において開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえないから、本願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

2.理由4について
(1)引用文献1の記載及び引用文献1に記載された発明
引用文献1には、以下の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同じ。)。
「[0026] 次に、本発明のセルロースナノファイバーは、最大繊維径が1000nm以下かつ数平均繊維径が2nm以上150nm以下であり、セルロースのミクロフィブリル表面に位置する水酸基の少なくとも一部が、カルボキシル基のみで酸化されていることを特徴とする。
また本発明のセルロースナノファイバーは、最大繊維径が1000nm以下かつ数平均繊維径が2nm以上150nm以下であり、アルデヒド基の含有量が、0.05mmol/g未満であることを特徴とする。
・・・」
「[0049] また、セルロースナノファイバー分散液に、バインダーとして水溶性高分子や糖類のような沸点が高くセルロースに対して親和性を有する化合物を混入させ、これを乾燥処理に供することもできる。このようにして得られるセルロースナノファイバーは、再度分散媒に分散させることができるものとなるので、分散液として流通させるよりも取り扱いが容易になる。
[0050] なお、分散媒に添加するバインダーの量は、セルロースに対して10重量%?80重量%の範囲とすることが好ましい。
また、水溶性高分子としては、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、デンプン、天然ガム類などを例示することができる。糖類としては、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、トレハロースなどを例示することができる。
[0051] 次に、以上に説明した本発明の製造方法により得られるセルロースナノファイバーは、最大繊維径が1000nm以下かつ数平均繊維径が2nm以上150nm以下であり、セルロースのミクロフィブリル表面に位置する水酸基の少なくとも一部が、カルボキシル基のみで酸化されているセルロースナノファイバーとして特定することができる。
あるいは、最大繊維径が1000nm以下かつ数平均繊維径が2nm以上150nm以下であり、アルデヒド基の含有量が、0.05mmol/g未満であるセルロースナノファイバーとして特定することができる。」
「[0053] また、セルロースナノファイバーの最大繊維径及び数平均繊維径は、以下の方法で解析することができる。
まず、固形分率で0.05?0.1重量%のセルロースナノファイバー分散液を調製する。この分散液を親液化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストしてTEM観察用試料とする。その後、この試料を、5000倍、10000倍、あるいは50000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡観察を行う。この際に、得られた画像内に縦横任意の画像幅の軸を想定したときに、この軸が20本以上の繊維と交差するような試料(濃度等)及び観察条件(倍率等)とする。
そして、この条件を満足する観察画像に対して、1枚の画像当たり縦横2本ずつの無作為な軸を引き、軸に交錯する繊維の繊維径を目視で読み取っていく。こうして少なくとも3枚の重複しない領域の画像について繊維径の値を読み取る。これにより、最低20本×2(軸)×3(枚)=120本の繊維径の情報が得られる。
以上により得られた繊維径のデータから、最大繊維径(最大値)及び数平均繊維径を算出することができる。
なお、上記ではTEM観察を行うこととしたが、繊維径の大きな繊維を含む場合には、SEM観察により行ってもよい。
[0054] 本発明において、最大繊維径が1000nmより大きく、又は数平均繊維径が150nmより大きい場合には、セルロースナノファイバーとしての所望の特性が得にくくなる。そして、セルロースナノファイバーとしての特性を良好に発現するものとしては、最大繊維径が500nm以下かつ数平均繊維径が2nm以上100nm以下であり、さらに好ましくは、最大繊維径が30nm以下かつ数平均繊維径が2nm以上10nm以下である。
[0055] 特に最大繊維径が30nm以下かつ数平均繊維径が2nm以上10nm以下であるセルロースナノファイバーであれば、その分散液は透明なものとなり、またこの分散液を乾燥させて得られるフィルム等の構造体も優れた透明性を有するものとなる。
より具体的には、本発明の製造方法により得られるセルロースナノファイバーは、幅が3nm?10nm(木材セルロースを用いれば3?4nm、綿セルロースであれば10nm程度)と極めて細く、長さも500nm以上(通常1μm以上)と、従来の酸加水分解で得られる「セルロースナノウィスカー(長さは500nm以下)」に比べて長いため、高強度を発現する。
[0056] また、本発明のセルロースナノファイバーは、C6位のアルデヒド基を含まないものであるから、セルロースナノファイバー分散液を加熱、乾燥処理しても、アルデヒド基由来の着色成分は生成しない。したがって、本発明のセルロースナノファイバーによれば、無色で高い透明性を有するフィルムや複合材料を調製することができる。
このように、本発明のセルロースナノファイバーは、その優れた強度と透明性によって、高機能ガスバリア性包装材料(フィルム、複合材料)、ディスプレイ装置の基板、電子機器用基板材料等の用途に好適なものとなっている。」
以上の記載によれば、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「最大繊維径が30nm以下かつ数平均繊維径が2nm以上10nm以下であり、セルロースのミクロフィブリル表面に位置する水酸基の少なくとも一部が、カルボキシル基のみで酸化されているセルロースナノファイバーであり、このセルロースナノファイバーの分散液に、バインダーとして水溶性高分子であるポリエチレンオキサイドをセルロースに対して10重量%?80重量%の範囲で混入させ、これを乾燥処理に供して得られるセルロースナノファイバーを、再度分散媒に分散させ、調整したフィルム。」

(2)本願発明と引用発明との対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「セルロースのミクロフィブリル表面に位置する水酸基の少なくとも一部が、カルボキシル基のみで酸化されているセルロースナノファイバー」及び「水溶性高分子であるポリエチレンオキサイド」は、その構成からみて、それぞれ本願発明の「微細繊維状セルロース」及び「親水性高分子」に相当し、引用発明の「フィルム」は、本願発明の「シート」に相当する。
したがって、本願発明と引用発明とは、次の一致点で一致し、相違点1?3で相違する。
[一致点]
「微細繊維状セルロースと親水性高分子とを含む層のみからなるシートであって、前記親水性高分子が、ポリエチレンオキサイドを含み、親水性高分子の添加量が、微細繊維状セルロースの固形分100質量部に対して5?100質量部である、前記シート。」
[相違点1]
「微細繊維状セルロース」について、本願発明は「平均繊維幅」が「2nm以上10nm以下」であるのに対し、引用発明は「数平均繊維径が2nm以上10nm以下」である点。
[相違点2]
「親水性高分子」について、本願発明は「分子量が1.0×10^(3)?1.0×10^(7)であ」るのに対し、引用発明はその点不明である点。
[相違点3]
本願発明は「シートの固形分濃度が88?99質量%である」であるのに対し、引用発明はその点不明である点。

(3)判断
上記相違点について検討する。
[相違点1]について
本願明細書には、「微細セルロース繊維」の「平均繊維幅」について次の記載がある。
「【0023】
・・・また、微細セルロース繊維の電子顕微鏡観察による繊維幅の測定は以下のようにして行う。濃度0.05?0.1質量%の微細セルロース繊維の水系懸濁液を調製し、該懸濁液を親水化処理したカーボン膜被覆グリッド上にキャストしてTEM観察用試料とする。幅の広い繊維を含む場合には、ガラス上にキャストした表面のSEM像を観察してもよい。構成する繊維の幅に応じて1000倍、5000倍、10000倍あるいは50000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡画像による観察を行う。但し、試料、観察条件や倍率は下記の条件を満たすように調整する。
【0024】
(1)観察画像内の任意箇所に一本の直線Xを引き、該直線Xに対し、20本以上の繊維が交差する。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
【0025】
上記条件を満足する観察画像に対し、直線X、直線Yと交錯する繊維の幅を目視で読み取る。こうして少なくとも重なっていない表面部分の画像を3組以上観察し、各々の画像に対して、直線X、直線Yと交錯する繊維の幅を読み取る。このように少なくとも20本×2×3=120本の繊維幅を読み取る。微細セルロース繊維の平均繊維幅はこのように読み取った繊維幅の平均値である。」
一方、引用文献1には、「セルロースナノファイバーの最大繊維径及び数平均繊維径」について次の記載がある。
「[0053] また、セルロースナノファイバーの最大繊維径及び数平均繊維径は、以下の方法で解析することができる。
まず、固形分率で0.05?0.1重量%のセルロースナノファイバー分散液を調製する。この分散液を親液化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストしてTEM観察用試料とする。その後、この試料を、5000倍、10000倍、あるいは50000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡観察を行う。この際に、得られた画像内に縦横任意の画像幅の軸を想定したときに、この軸が20本以上の繊維と交差するような試料(濃度等)及び観察条件(倍率等)とする。
そして、この条件を満足する観察画像に対して、1枚の画像当たり縦横2本ずつの無作為な軸を引き、軸に交錯する繊維の繊維径を目視で読み取っていく。こうして少なくとも3枚の重複しない領域の画像について繊維径の値を読み取る。これにより、最低20本×2(軸)×3(枚)=120本の繊維径の情報が得られる。
以上により得られた繊維径のデータから、最大繊維径(最大値)及び数平均繊維径を算出することができる。
なお、上記ではTEM観察を行うこととしたが、繊維径の大きな繊維を含む場合には、SEM観察により行ってもよい。」
以上の記載事実から、本願発明における「微細セルロース繊維」の「平均繊維幅」と引用発明の「セルロースナノファイバー」の「数平均繊維径」は概ね重複していると思量される。
したがって、相違点1は実質的な相違点ではないか、仮に重複していない範囲があったにせよ、相違点1に係る本願発明の構成を備えたものにすることは、当業者が適宜になし得た程度のことである。
[相違点2]について
「ポリエチレンオキサイド」の分子量は、数万?数百万程度であることが技術常識であるから、相違点2は実質的な相違点ではない。
[相違点3]について
引用発明の「フィルム」は、「・・・分散液を乾燥させて得られるフィルム・・・」([0055])であり、「乾燥」とは、「湿気や水分がなくなること、また、なくすこと。かわくこと。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)という意味である一方、製造上、ごく僅かな水分の残留すら許容しないことまで要求されるとは考えられないから、引用発明の「フィルム」において、固形分濃度を100%ではないが、これに近い値とすることは、引用発明の「フィルム」を具体化する際、当業者が適宜になし得たことである。
また、相違点1?3を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明の作用効果以上のものであるとは認められず、格別顕著なものということはできない。

(4)令和2年8月21日提出の意見書における審判請求人の主張について
審判請求人は、令和2年8月21日提出の意見書の「(5)理由4(特許法第29条第2項)について」において、次のように主張する。
「審判官殿は、「固形分濃度が88?99質量%」という範囲の上下限に臨界的意義は認められないとご指摘になりましたが、88?99質量%という数値範囲には臨海(合議体注:「臨界」の誤記と思われる。)的意義があります。すなわち、シートの固形分濃度が100質量%である場合には、シワが発生することは、平成29年7月20日付の上申書に記載した比較実験の参考例4において示した通りです。また、固形分濃度80質量%未満の場合にはシワが発生するのに対し、固形分濃度が88質量%の場合にはシワが発生しないことは、令和1年12月27日付提出の審判請求の理由に添付した実験結果に示されている通りです。即ち、シートの固形分濃度を88質量%以上かつ100質量%未満とすることにより、しわのないシートが得られることが理解でき、88?99質量%という数値範囲には臨海的意義があるものと思料致します。
引用文献1には、シートの固形分濃度という概念自体の記載がなく、ましてシートの固形分濃度を調節することによりシートのシワの発生を抑制できることにはついては記載も示唆もありません。」
当該主張について検討する。
当該主張で引用した平成29年7月20日付け上申書に記載のとおり、「微細繊維状セルロース懸濁液に親水性高分子であるポリエチレングリコール(和光純薬社製:分子量4000000)を微細繊維状セルロース100質量部に対し、20質量部になるように添加した」場合でも、乾燥条件が変化すれば、「シートの固形分濃度」は変化し、かつ、上記1.(1)ウ.のとおり、「シート」の原料及び「原料の固形分濃度」が同一であり、「第2乾燥工程後のシートの固形分濃度(ρ_(4))」すなわち「シートの固形分濃度」は92.7?93.5質量%の範囲内であっても、乾燥条件が変化すれば、シワの有無が変化しているのであるから、「シートの固形分濃度」のみを調節することにより「シワが生じることのない」シートになるとはいえず、本願発明の「2nm以上10nm未満の平均繊維幅の微細繊維状セルロースと親水性高分子とを含む層のみからなるシートであって、前記親水性高分子が、ポリエチレングリコールおよびポリエチレンオキサイドのうちの少なくとも一方を含み、前記親水性高分子の分子量が1.0×10^(3)?1.0×10^(7)であり、親水性高分子の添加量が、微細繊維状セルロースの固形分100質量部に対して5?100質量部であ」る場合における、「シートの固形分濃度が88?99質量%」という範囲に臨界的意義があることは認められない。

(5)理由4についてのまとめ
以上のとおり、本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

第5 むすび
以上のとおり、本願の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、また、本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2021-02-10 
結審通知日 2021-02-16 
審決日 2021-03-02 
出願番号 特願2017-28903(P2017-28903)
審決分類 P 1 8・ 55- WZ (D21H)
P 1 8・ 121- WZ (D21H)
P 1 8・ 537- WZ (D21H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩田 行剛佐藤 玲奈  
特許庁審判長 久保 克彦
特許庁審判官 石井 孝明
佐々木 正章
発明の名称 微細繊維含有シートの製造方法  
代理人 特許業務法人特許事務所サイクス  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ