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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61B
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A61B
管理番号 1373457
審判番号 不服2020-11238  
総通号数 258 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-08-13 
確定日 2021-05-11 
事件の表示 特願2017-521214「ビーム・シェーパー及び減衰方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 4月28日国際公開、WO2016/062504、平成30年 1月11日国内公表、特表2018-500056、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)9月30日(パリ条約による優先権主張 2014年10月21日 欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、令和元年7月4日付けで拒絶理由が通知され、令和2年1月7日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年4月1日付けで拒絶査定(原査定)されたところ、同年8月13日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、それと同時に誤訳訂正書が提出されたものである。その後、当審において同年11月25日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、令和3年2月26日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。

本願の請求項1-13に係る発明は、その優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献Aに記載された発明、及び、引用文献B-Eに記載された事項に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
A.特開昭61-142495号公報
B.実願昭63-113551号(実開平2-35100号)のマイクロフィルム
C.独国特許出願公開第102012223748号明細書
D.米国特許出願公開第2014/0294139号明細書
E.特開2014-69039号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
1 本願発明は、ビーム・シェーパーが放射線源とともに対象の周りを回転する3Dイメージング・システムにおいて「液体の漏洩が装置又はパーツの電子回路又は機構に深刻なダメージを及ぼす」という課題を解決するために、ビーム・シェーパーとしてそのハウジングに放射線吸収ガスが充填されるものを用いるものであるところ、請求項1-11,13に係る発明には、その前提となる「ビーム・シェーパーが回転する」という構成を示す記載が認められないことから、請求項1-11,13に係る発明については、本願発明の上記課題を解決できると認識できる範囲のものとはいえない。
よって、請求項1-11,13に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。
そのため、本願の請求項1-11,13の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

2 本願の請求項1-2,4-11,13に係る発明は、その優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明、及び、引用文献2-5に記載された事項に基づいて、その優先日前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.実願昭63-113551号(実開平2-035100号)のマイクロフィルム(拒絶査定における引用文献B)
2.特開平10-192267号公報
3.特開2005-000297号公報
4.米国特許出願公開第2014/0294139号明細書(拒絶査定における引用文献D)
5.特開2014-69039号公報(拒絶査定における引用文献E)

第4 本願発明
本願請求項1?12に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明12」という。)は、令和3年2月26日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?12に記載された事項により特定される発明であり、そのうち独立項のみを記載すると、以下のとおりの発明である(下線は補正箇所を示す。)。
「 【請求項1】
3Dイメージング・システムのための動的なビーム・シェーパーであって:
可撓性のハウジングを有する中空のビーム・シェーパー・ボディであって、前記可撓性のハウジングが中空を有し、放射線ビームの放射を減衰させる放射線吸収ガスが該可撓性のハウジング内に充填される、中空のビーム・シェーパー・ボディ;
前記中空のビーム・シェーパー・ボディに圧力を誘発するように構成される圧力誘発手段;
を有し、前記ビーム・シェーパー・ボディの減衰プロファイルは、3Dイメージング中、誘発される前記圧力に応じて動的に適応可能であり、前記減衰プロファイルは前記ビーム・シェーパー・ボディの中で前記ビーム・シェーパー・ボディの長さ方向において局所的に変化し、
前記中空のビーム・シェーパー・ボディに誘発される圧力は、検査領域に対する放射線源の位置に基づいて決定される、ビーム・シェーパー。
【請求項7】
3Dイメージング・システムのための動的なビーム・シェーパーにより放射線ビームを減衰させる方法であって、前記動的なビーム・シェーパーは、可撓性のハウジングを有する中空のビーム・シェーパー・ボディを有し、前記可撓性のハウジングが中空を有し、前記放射線ビームの放射を減衰させる放射線吸収ガスが該可撓性のハウジング内に充填され、当該方法は、
前記中空のビーム・シェーパー・ボディに圧力を誘発するステップを有し、
前記ビーム・シェーパー・ボディの減衰プロファイルは、3Dイメージング中、誘発される前記圧力に応じて動的に適応可能であり、前記減衰プロファイルは前記ビーム・シェーパー・ボディの中で前記ビーム・シェーパー・ボディの長さ方向において局所的に変化し、
前記中空のビーム・シェーパー・ボディに誘発される圧力は、検査領域に対する放射線源の位置に基づいて決定される、方法。

本願発明2?6及び12は、本願発明1を直接又は間接的に引用し、本願発明1をさらに減縮した発明であり、本願発明8?11は、本願発明7を直接又は間接的に引用し、本願発明7をさらに減縮した発明である。

第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1
(1)当審拒絶理由に引用された引用文献1(原査定に引用された引用文献B)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。)。

(引1a)
(明細書第1頁第4-10行)
「2、実用新案登録請求の範囲
対向壁の少なくとも一方が弾性膜で形成された密閉容器と、
この密閉容器内に充填されるX線吸収媒体と、
このX線吸収媒体の前記密閉容器内圧力を制御する手段とを備えたことを特徴とするX線用補償フィルタ。」

(引1b)
(明細書第1頁第12-16行)
「〔産業上の利用分野〕
本考案は、X線により被写体を撮像する場合、被写体像に生じるハレーションを防止するX線用補償フィルタに関し、特に人体をX線撮像する場合に好適に実施される。」

(引1c)
(明細書第2頁第10行-第3頁第8行)
「一般に被写体(人体)の断面形状は円または楕円であるので、被写体の周辺部に至る程、X線の通過する実効厚さが小さく、且つ周辺部での直接X線の入射が避けられないことから、X線検出手段55で検出されたX線画像にハレーションが発生する。このハレーションが生じると、X線画像が不鮮明となる、特に被写体周辺部の正確な画像情報が得られないことになる。
そこで、このようなハレーションを防止するために、従来からコリメータ52と被写体である頭部54との間にX線透過性を有する基板56を設けこの基板56上に粘土を盛りつけしたり、あるいは種々の厚さのアクリル板を設置して頭部54の周辺近傍の直接X線のレベルを低下させている。
〔考案が解決しようとする課題〕
しかしながら、被写体周辺近傍の直接X線のレベルを低下させるためのアクリル板の設置あるいは粘土の盛りつけは人手によって行わなければならず、多くの時間と手間を要する。」
・・・
(明細書第3頁第20行-第4頁第5行)
「そこで本考案の目的は、上述の課題を解決するためになされたもので、遠隔操作によりX線の透過量の調整が短時間に行え、また作業者ならびに被写体の被曝の危険性がなく、さらにX線の透過量の微調整を容易に行うことのできるX線用補償フィルタを提供することにある。」

(引1d)
(明細書第4頁第14行-第7頁第5行)
「〔作用〕
密閉容器はX線発生源と被写体との間に配設される。制御手段はX線吸収媒体の密閉容器内圧力を制御する。このX線吸収媒体の充填量に応じて弾性膜が変形し、密閉容器のX線の照射方向の厚みを可変する。この際、弾性膜の作用で変形量が中心部と外周で異なる。その結果、密閉容器の中央部と周辺部のX線透過率が変化し、X線透過率はX線吸収媒体の密閉容器内圧力で調整できるので、ハレーションを有効に防止できる。
〔実施例〕
以下実施例について説明する。第1図は本考案の一実施例であるX線用補償フィルタの構成図である。被写体の周辺部のハレーションを防止するX線の強度分布調整手段1は剛性の断面凹形の有底収納体2とその上部開口部を閉塞する弾性膜3と上記2者で形成された密閉容器内部に収納されるX線吸収媒体3を含む。X線の強度分布調整手段1の平面図が第3図に示されている。収納体2の周壁は本実施例においては、人体の頭部をX線撮像するために円状に形成されているが、たとえば撮影部位が胸部の場合には四角状に形成してもよい。
第1図において、収納体2はX線透過性材料で構成され周壁2aと周壁2aの下端部を塞ぐ底部2bを有しており周壁上部には弾性を有する材料、たとえばゴムなどからなる薄い弾性膜4の外周部が気密に固定される。収納体2および弾性膜4はX線を良好に透過する材料である。周壁上部には周壁2aには接続孔5が形成されており、その接続孔5は周壁2aと底部2bと弾性膜4とによって形成される密閉空間に連通する管6に接続され、管6は取付具7によって周壁2aに固定される。
収納体2と弾性膜4によって形成される密閉空間に充填されるX線吸収媒体3は、たとえばキセノン(Xe)ガスあるいは水、造影剤などのX線を吸収する流動性を有する物質で、X線吸収媒体3の充填量、すなわちX線吸収媒体3の密閉容器内圧力は制御手段8によって制御される。
制御手段8によってX線吸収媒体3が吸引されると、弾性膜4は底部2b側に図中点線で示す弾性膜4’のように弯曲し、収納体2の外周部における弾性膜4’と底部2bとの距離d1は中心部における弾性膜4’と底部2bとの距離d2より厚くなり、X線が第1図の上部から下部に向かって照射されるとすると、収納体2の外周部を通過するX線は収納体2の中心部を通過するX線より多くX線吸収媒体3によって吸収されることになる。したがって、弾性膜4’と底部2bとの距離d1,d2を制御手段8により調整することにより、被写体像の周辺部に生じるハレーションを防止することができる。」

(引1e)
(明細書第7頁第6-19行)
「第2図は本考案の一実施例であるX線用補償フィルタを用いるX線撮像装置の構成図である。X線発生源11で発生したX線はコリメータ12によってX線を目的とする照射領域に制限する。X線を良好に通過するベッド13上に横たわる人体の頭部14にX線の強度分布調整手段1を透過したX線が照射される。頭部14を透過したX線はイメージ増強管15の変換面16a上に結像し、その輝度はイメージ増強管15によって増強された後、けい光面16bにおいて可視像に変換される。けい光面16bに結像した可視像はカメラ17によって撮像され、その影像信号はCRTなどの表示装置18に送出され、頭部14のX線透過像が表示される。」

(引1f)
(明細書第9頁第12-15行)
「また実施例では、密閉容器を構成する壁の一方を弾性膜で形成したが、X線吸収媒体としてのガス体を使用する場合は、X線照射方向の対向壁双方を弾性膜で形成してもよい。」

(引1g)
第1図

第2図


(2)引用発明1
ア 上記(引1g)の第2図について、(引1e)の「ベッド13上に横たわる人体」という記載から、第2図の図面上側及び下側が、それぞれ鉛直方向という意味での上側及び下側に対応するといえる。そうすると、(引1e)に記載の「X線撮像装置」は、「人体」の上方に「X線発生源11」を、下方に「イメージ増強管15」及び「カメラ17」を有するといえる。

イ 上記(1)及び「ア」を踏まえると、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「X線撮像装置に用いるX線用補償フィルタであって、
X線撮像装置は、人体の上方にX線発生源11を、人体の下方にイメージ増強管15及びカメラ17を有し、X線発生源11で発生したX線は人体を透過してイメージ増強管15のけい光面16bにおいて可視像に変換され、カメラ17が可視像を撮像し、
X線用補償フィルタは、
X線照射方向の対向壁双方が弾性膜で形成された密閉容器と、
この密閉容器内に充填されるキセノンガスであるX線吸収媒体と、
このX線吸収媒体の前記密閉容器内圧力を制御する制御手段とを備え、
制御手段がX線吸収媒体の密閉容器内圧力を制御して、密閉容器のX線照射方向の厚みを可変とし、密閉容器の中央部と外周とで厚みを異ならせることで中央部と周辺部のX線透過率を変化させ、X線透過率を調整する、X線用補償フィルタ。」


2 引用文献2
当審拒絶理由に引用された引用文献2には、以下の事項が記載されている(下線は当審にて付した。)。
「【0003】また、前述するX線回転撮影装置を計測系として有し、画像処理系として3次元画像再構成手段を有するコーンビームCT装置があった。この装置は、撮影した一連の2次元X線透過像から被検体内部のX線吸収係数の3次元分布を画像化することが可能である。
【0004】このほかには、1次元X線検出器または複数台の1次元検出器からなる検出器配列を有し、一度に1枚または複数枚のX線断層像を計測するX線CT装置があった。しかしながら、このX線CT装置では、X線吸収係数の3次元分布を画像化するためには繰り返し計測が必要であった。これに対して、コーンビームCT装置は、多数枚のX線断層像を再構成するための2次元X線透過像を一度に収集できるので、より短時間で3次元画像を撮影することができるという特徴がある。
・・・
【0233】本発明が関わるX線回転撮影は、X線管とX線画像計測系が対になって被検体の周囲を回転する撮影装置だけでなく、被検体が回転テーブルの上に配置され、X線管とX線画像計測系は回転テーブルをはさんで対向し、計測時には、X線管とX線画像計測系は静止状態のまま、被検体を載せた回転テーブルが回転しながら、あるいは、ステップ状に回転と静止を繰り返しながら計測する系にも適用可能である。このような回転テーブル方式の装置は、回転部が小さいため制作が容易で安価に実現できる利点がある。また、計測時には静止状態とすることができるので、時間とともに移動や変形がない被検体に対して、撮影系または被検体の動きの影響が全くない高解像度の撮影が行えるという利点がある。」

3 引用文献3
当審拒絶理由に引用された引用文献3には、以下の事項が記載されている(下線は当審にて付した。)。
「【0002】
【従来の技術】
従来、被検体に対してX線を曝射し、該被検体を透過或いは被検体で散乱したX線をX線検出器で検出し、このX線検出器の出力(X線の光子数)に基づいて被検体の透視画像、断層画像或いは三次元画像を撮像するX線CT装置が知られている。
・・・
【0009】
他方、レトロフィットCTというアイデアがある。これは、従来の一般撮影用X線装置に、FPDと回転テーブルを取り付け、回転テーブル上に被検体を設置し、回転テーブルにより被検体を回転させながら撮影を行うことで、立位撮影のX線幾何学系でCT撮影を行うものである。この方式では、従来のCTより小さな設置面積で安価にCTを実現できることがメリットである(例えば、特許文献2参照)。」

4 引用文献2-3の記載事項
上記引用文献2-3の記載から、「被検体の3次元撮影を行うX線CT装置において、被検体を回転させながら撮影を行う」ことは、本願の優先日前に周知の技術であったと認められる。

5 引用文献4
当審拒絶理由に引用された引用文献4(原査定に引用された引用文献D)には、以下の事項が記載されている(記載事項の認定に関係する部分の当審訳に下線を付した。)。
「[0002] The present invention is in the field of X-ray imaging. The present invention is also in the field of X-ray filters for computed tomography X-ray imaging.
・・・
[0034] In one embodiment of the present invention, an adaptive X-ray filter can comprise a rotating element positioned in the X-ray beam path, wherein rotation of the element around an internal axis can alter the amount and spatial pattern of attenuation of the X-ray beam.・・・
・・・
[0039] Filter 50 can be rotated in sync with gantry rotation, e.g., with rotation of X-ray source 100 and X-ray detector 102 around the imaging subject.」
(当審訳)「[0002] 本発明は、X線イメージングの分野である。本発明は、コンピュータトモグラフィX線撮像法のためのX線フィルタの分野でもある。
・・・
[0034] 本発明の1つの実施形態において、適応型X線フィルタは、X線ビーム経路に配置された回転要素を含むことができ、回転要素の内部の軸周りの回転は、X線ビームの減衰の量および空間的パターンを変化させることができる。・・・
・・・
[0039] フィルタ50は、ガントリーの回転、例えば、撮像対象の周囲のX線源100及びX線検出器102の回転、と同期して回転することができる。」

6 引用文献5
当審拒絶理由に引用された引用文献5(原査定に引用された引用文献E)には、以下の事項が記載されている(下線は当審にて付した。)。
「【0039】
CT撮像においてCT用架台制御部16は、回転駆動部15を制御して回転フレーム11を回転し、高電圧発生部17を制御してX線管12からX線を発生し、CT用データ収集部19を制御してCT用生データをビュー毎に収集する。CT用生データは、コンソール7に供給され記憶部58に記憶される。前処理部52は、ビュー毎のCT用生データに前処理を施してビュー毎のCT用投影データを生成し、画像再構成部53は、複数のビューに関するCT用投影データに基づいてCT画像のデータを発生する。CT用生データは、固定ウェッジフィルタ18及び被検体P透過後の入射線量分布を示している。CT用投影データは、固定ウェッジフィルタ18及び被検体P透過後のX線線量の対数変換の空間分布を示している。空間分布とは、チャンネル方向に関する分布を意味する。ビュー毎のCT用投影データとCT画像のデータとは、記憶部58に記憶される。
・・・
【0043】
ステップSA3が行われるとシステム制御部51は、フィルタ形状計算部54にフィルタ形状の計算処理を実行させる(ステップSA4)。ステップSA4においてフィルタ形状計算部54は、ビュー毎の吸収線量分布から、PCCT撮像で使用するフレキシブルウェッジフィルタ38の材質を利用してビュー毎のフレキシブルウェッジフィルタ形状を計算する。より詳細には、まず、フィルタ形状計算部54は、吸収線量分布からフレキシブルウェッジフィルタ38の材質を利用して、フレキシブルウェッジフィルタ38の各フィルタモジュール39について、入射線量値を目標線量値にするためのX線透過経路長をビュー毎に計算する。次に、フィルタ形状計算部54は、X線透過経路長に基づいて楔フィルタ391の配置をビュー毎に計算する。上述のように、X線透過経路長と2つの楔フィルタ391の配置とには対応関係が存在している。フィルタ形状計算部54は、この対応関係に従ってX線透過経路長から、各フィルタモジュール39における楔フィルタ391の配置をフレキシブルウェッジフィルタ形状データとして計算する。フレキシブルウェッジフィルタ形状データはビュー毎に記憶部58に記憶される。
・・・
【0047】
PCCT撮像の開始指示が入力されたことを契機としてシステム制御部51は、PCCT架台5内のPCCT用架台制御部36を制御して被検体Pに対してPCCT撮像を行う(ステップSA6)。ステップSA6においてPCCT用架台制御部36は、回転駆動部35を制御して回転フレーム31を回転させ、高電圧発生部37を制御してX線管32からX線を発生し、PCCT用データ収集部42を制御して複数のエネルギー・ビンに関するカウントデータをビュー毎に収集する。この際、PCCT用架台制御部36は、フレキシブルウェッジフィルタ形状データに従って複数のフィルタモジュール39が配置されるように、ビュー毎にモジュール駆動部41を制御する。モジュール駆動部41は、PCCT用架台制御部36からの制御に従って、複数のフィルタモジュール39の各々について2つの楔フィルタ391をスライドし、フレキシブルウェッジフィルタ形状に応じた配置まで複数の楔フィルタ391を移動する。これにより、X線検出器33への入射線量がチャンネル方向に略均一に分布される。」

7 引用文献4-5の記載事項
(1)引用文献4には「フィルタ50は、ガントリーの回転、例えば、撮像対象の周囲のX線源100及びX線検出器102の回転、と同期して回転することができる。」と記載されているところ、X線源100の回転によりX線の照射方向と被検体の向きのなす角度が変化するのであるから、引用文献4は、「フィルタ50」がX線の照射方向と被検体の向きのなす角度に応じて「回転することができる」ことが記載されているといえる。
(2)引用文献5には「ビュー毎に」「複数のフィルタモジュール39の各々について・・・フレキシブルウェッジフィルタ形状に応じた配置まで複数の楔フィルタ391を移動する」と記載されているところ、ビューが異なるということはX線の照射方向と被検体の向きのなす角度が変化するのであるから、引用文献5は、「フィルタモジュール39」がX線の照射方向と被検体の向きのなす角度に応じて変化することが記載されているといえる。
(3)上記(1)、(2)を踏まえると、上記引用文献4-5の記載から、「X線CT装置のX線フィルタにおいて、X線の照射方向と被検体の向きのなす角度に応じてX線フィルタを変化させる」ことは、本願の優先日前に周知の技術であったと認められる。

8 引用文献A
(1)原査定に引用された引用文献Aには、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。)。

(引Aa)
(第1頁左下欄第14-18行)
「(産業上の利用分野)
本発明はX線CT装置のX線吸収フィルターに関し、更に詳しくは、患者透過X線強度のダイナミックレンジを軽減するX線吸収フィルターに関する。」

(引Ab)
(第2頁左上欄第9-19行)
「(考案が解決しようとする問題点)
しかしながら、患者の撮影領域の撮影サイズは患者によって興なり、専用化された2種類のX線吸収フィルターでは透過X線強度のダイナミックレンジを充分に軽減できず、更にはX線吸収フィルターの切換えのためのモータを含む機械的に複雑な駆動機構を要する等の問題があった。
本発明はこのような点に鑑みてなされたもので、その目的は、1種類の形状で、アナログ的に透過X線強度のダイナミックレンジが変化し得るX線吸収フィルターを提供することにある。」

(引Ac)
(第2頁右上欄第9行-右下欄第13行)
「(実施例)
以下、図面を用いて本発明の実施例を詳細に説明する。
第1図(イ)は本発明のX線吸収フィルターの一実施例を示す要部構成図、第1図(ロ)は(イ)のフィルターのA-A’断面図である。この図において、10は患者を円筒状の水とみなした時のファンビームアングル方向奥行の逆投影に近い、従来のフィルターと相似形のX線吸収フィルターである。このX線吸収フィルター10は、その上下部13,14がX線透過率の良いアルミニウム合金、ベリリウム材等で作られ、その側板11,12はX線を透過しない鏡板で形成された中空耐圧容器である。又、X線を透過する面13及び14は薄くなっている。特にX線吸収を極力小さくする必要がある中心部は薄くなっている。20はX線吸収フィルターに入れるX線透過率の良いXeガスが入ったタンクで、このXeガスはパイプ30及びポンプ40を経由してX線吸収フィルター10内に封入される。
X線吸収フィルター10の下面は、患者標準体形の腹部に合せたゆるやかなカーブになっている。このようなX線吸収フィルター10内にガス圧約4kg/cm^(2)となるようにポンプ40でXeガスを封入する。ガス圧はポンプ40で任意に変えることができる。
この時のX線吸収率は次式で表わせる。
I/I_(0)=e^(-μρlP)
ここで、I_(0)はX線入射強度、IはX線透過強度、μはX線吸収係数、ρはガスの比重、lはガス中の奥行の長さ、Pはガス圧を示し、μ及びρは封入ガスによる固有の定数である。
あるファンビームアングルθにおける患者腹部用と頭部用では、前者に比べ後者のX線吸収量を大きくする必要がある。従来のフィルターでは頭部用及び腹部用を両方用意し、それらを機械的に切換えることにより2段階で、X線吸収量を変化させていたが、本発明では、ガス圧Pを変えることでX線吸収量を変化させる。又、本発明ではガス圧を任意に調整できるため、患者体形に合せて細かい設定が可能である。
今、X線吸収フィルター10の腹部用ガス圧Pを約4kg/cm^(2)とすれば、頭部用は約9kg/cm^(2)で達成できることになり、適切なX線吸収量を得るX線吸収フィルターが可能となる。」

(引Ad)
第1図

(2)引用発明A
上記(1)から、引用文献Aには、以下の発明(以下「引用発明A」という。)が記載されていると認められる。
「X線CT装置のX線吸収フィルター10であって、
その上下部13,14はX線透過率の良いアルミニウム合金、ベリリウム材等で作られ、その側板11,12はX線を透過しない鏡板で形成された中空耐圧容器であり、
X線吸収フィルター10の下面は、患者標準体形の腹部に合せたゆるやかなカーブになっており、
X線吸収フィルター10内のガス圧Pを変えることでX線吸収量を変化させ、ガス圧はポンプ40で任意に変えることができる、
X線吸収フィルター。」

9 引用文献C
(1)原査定に引用された引用文献Cには、図面とともに以下の事項が記載されている(なお、「a」、「o」、「u」のウムラウトはそれぞれ「ae」、「oe」、「ue」、エスツェットは「ss」と表記した。また、記載事項の認定に関係する部分の当審訳に下線を付した。)。

(引Ca)
「[0033] Fig.6 zeigt eine perspektivische Ansicht eines adaptiven Bow-Tie-Roentgenfilters mit einem flexiblen Kissen in symmetrischer Ausfuehrungsform. Ein Bow-Tie-Roentgenfilter 9 umfasst ein mit einer roentgenstrahlenabsorbierenden Fluessigkeit fuellbares Kissen 13, das in ein starres Gehaeuse 16 eingebettet ist, von dem in Fig. 6 nur die Seitenwaende dargestellt sind. Ueber einen feststehenden ersten 14 und einen feststehenden zweiten Mittelsteg 19 ist die Schichtdicke der Fluessigkeit und damit die Absorptionslaenge in der Mitte des Kissens 13 festgelegt. Durch Erhoehung des Druckes auf die Fluessigkeit im Kissen 13 vergroessert sich das im Roentgenstrahlengang befindliche Volumen der roentgenstrahlenabsorbierenden Fluessigkeit. Dieser Effekt wird noch weiter dadurch verstaerkt, dass sich das Kissen 13 bei zunehmendem Druck sowohl nach oben, als auch nach unten ausdehnt. Zur gezielten Definition der oberen und unteren Begrenzungsflaeche des Kissens 13 werden eine flexible erste 18 und eine flexible zweite Platte 20 eingesetzt.」
(当審訳)
「[0033] 図6は、対称的な実施形態の柔軟なパッドを有する適応性のあるボウタイX線フィルタの斜視図である。ボウタイX線フィルタ9は、X線吸収液体で充填可能なパッド13を含み、このパッドは、剛性ハウジング16内に埋め込まれ、図6には側壁のみが示されている。液体の層厚さ、したがって、パッド13の吸収長さは、固定された第1の中央ウェブ14および固定された第2の中央ウェブ19を介して決定される。パッド13内の液体に圧力を加えることによって、X線ビーム路内のX線吸収液体の体積が増加する。この効果は、クッション13が、圧力が上昇するにつれて上方にも下方にも膨張することによってさらに強化される。パッド13の上側及び下側制限面を規定するために、フレキシブルな第1のプレート18及びフレキシブルな第2のプレート20が挿入される。」

(引Cb)
図6

(2)上記(1)から、引用文献Cには「X線吸収液体で充填可能なパッド13を含み、パッド13内の液体に圧力を加えることによって、X線ビーム路内のX線吸収液体の体積が増加する、ボウタイX線フィルタ9」という技術的事項が記載されているといえる。

第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)引用発明1に基づく場合
ア 対比
(ア)引用発明1の「X線用補償フィルタ」は、「密閉容器」を透過するX線透過率を調整可能なものであるから、本願発明1の「ビーム・シェーパー」に相当する。
また、引用発明1の「X線用補償フィルタ」はX線撮像に用いるものであり、本願発明1の「3Dイメージング・システム」は、本願明細書の【0002】に「X線コンピュータ断層撮影又は3D介入x線イメージング等のような3D放射線イメージング」と記載されているように、X線コンピュータ断層撮影等のX線撮像を行うシステムであるから、引用発明1の「X線用補償フィルタ」と本願発明1の「3Dイメージング・システム」は、X線撮像のためのものであるという点で共通する。

(イ)引用発明1の「密閉容器」は、その「対向壁双方」が「弾性膜」で形成されているから、「可撓性のハウジングを有する」といえる。また、引用発明1の「密閉容器」は、その内にキセノンガスが充填されるものであるから、「中空」であるといえる。
そうすると、引用発明1の「密閉容器」は、本願発明1の「可撓性のハウジングを有する中空のビーム・シェーパー・ボディ」に相当する。

(ウ)引用発明1の「キセノンガスであるX線吸収媒体」は、それぞれ本願発明1の「放射線ビームの放射を減衰させる放射線吸収ガス」に相当する。

(エ)引用発明1の「制御手段」は、「X線吸収媒体」の「記密閉容器内圧力を制御する」ものであるから、本願発明1の「圧力誘発手段」に相当する。

(オ)引用発明1の「密閉容器」の「X線透過率」は、本願発明1の「減衰プロファイル」に相当する。また、引用発明1の「密閉容器」は「X線透過率」が調整できるものであるということが、本願発明1の「ビーム・シェーパー・ボディの減衰プロファイル」は、誘発される前記圧力に応じて」「適応可能」であることに相当する。さらに、引用発明1において「密閉容器」は「中央部」と「外周」とで「厚みを異ならせる」ことができ、それにより「中央部」と「周辺部」とで「X線透過率」を変化させることができるということが、本願発明1の「減衰プロファイル」は「ビーム・シェーパー・ボディの中で前記ビーム・シェーパー・ボディの長さ方向において局所的に変化」することに相当する。

(カ)以上のことから、本願発明1と引用発明1との一致点及び相違点は次のとおりである。
【一致点】
「X線撮像のためのビーム・シェーパーであって:
可撓性のハウジングを有する中空のビーム・シェーパー・ボディであって、前記可撓性のハウジングが中空を有し、放射線ビームの放射を減衰させる放射線吸収ガスが該可撓性のハウジング内に充填される、中空のビーム・シェーパー・ボディ;
前記中空のビーム・シェーパー・ボディに圧力を誘発するように構成される圧力誘発手段;
を有し、前記ビーム・シェーパー・ボディの減衰プロファイルは、誘発される前記圧力に応じて適応可能であり、前記減衰プロファイルは前記ビーム・シェーパー・ボディの中で前記ビーム・シェーパー・ボディの長さ方向において局所的に変化する、ビーム・シェーパー。」

【相違点1】
本願発明1は「3Dイメージング・システムのための動的なビーム・シェーパー」であり、「ビーム・シェーパー・ボディの減衰プロファイルは、3Dイメージング中、誘発される前記圧力に応じて動的に適応可能」であるのに対し、引用発明1の「X線用補償フィルタ」は「3Dイメージング・システム」のための「動的な」ものではなく、その「X線透過率」は3Dイメージング中に動的に適応可能でもない点。

【相違点2】
本願発明1は、「中空のビーム・シェーパー・ボディに誘発される圧力は、検査領域に対する放射線源の位置に基づいて決定される」ものであるのに対し、引用発明1の「密閉容器」の「密閉容器内圧力」は、「検査領域に対する放射線源の位置に基づいて決定される」ものではない点。

イ 判断
事案に鑑み相違点2について判断する。
引用発明1は、(引1e)及び(引1g)の第2図に記されているように、X線発生源11、コリメータ12、強度分布調整手段1、イメージ増強管15、カメラ17を備えるX線撮像装置の位置が被写体(人体)に対して固定されているものである。すなわち、引用発明1において被写体に対するX線発生源11の位置は不変である。
そうすると、「密閉容器」の「密閉容器内圧力」、すなわち「X線用補償フィルタ」の「X線透過率」の変化の程度を、被写体に対するX線発生源11の位置に基づいて決定することは、当該位置が不変である以上、そのような決定を行う必要がなく、引用文献2-5、引用文献A,Cに記載された技術的事項を考慮しても当業者が容易に想到しうることとはいえない。

ウ 小括
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明1、及び引用文献2-5、引用文献A,Cに記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

(2)引用発明Aに基づく場合
本願発明1と引用発明Aとは、少なくとも、本願発明1の「中空のビーム・シェーパー・ボディ」の「ハウジング」が「可撓性」であるのに対し、引用発明Aの「中空耐圧容器」(本願発明1の「ハウジング」に相当する。)はその「上下部13,14」が「X線透過率の良いアルミニウム合金、ベリリウム材等」で作られ、その「側板11,12」が「X線を透過しない鏡板」で形成されており、可撓性を有しないという点で相違する。
ここで、本願発明1の「ハウジング」が「可撓性」であるのは、本願の発明の詳細な説明の【0014】に「減衰ガスで充填されたフレキシブルなハウジングは、異なる形状に操作され、ビーム・シェーパー・ボディを通り且つ放射線ビームの減衰に影響を及ぼす様々な経路長を可能にする。」と記載されているように、「ハウジング」を圧力に応じて異なる形状に操作することを可能とするためといえる。
そして、引用発明Aは上記(引Ab)に記載されているように、1種類の形状で透過X線強度のダイナミックレンジが変化し得るX線吸収フィルターを提供することを目的とするところ、「中空耐圧容器」を可撓性として異なる形状に操作できるようにすることは、引用発明Aの目的に鑑みれば当業者が容易に想到しうることとはいえない。
よって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明A及び引用文献1-5,Cに記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

(3)まとめ
本願発明1は、当業者であっても、引用発明1、及び引用文献2-5、引用文献A,Cに記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえず、また、引用発明A及び引用文献1-5,Cに記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものともいえない。

2 本願発明2-6,12について
上記第4で述べたとおり、本願発明2-6,12は、本願発明1を減縮した発明であるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1、及び引用文献2-5、引用文献A,Cに記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえず、引用発明A及び引用文献1-5,Cに記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものともいえない。

3 本願発明7について
本願発明7は、本願発明1に対応する方法の発明であるから、本願発明1の構成に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明1、及び引用文献2-5、引用文献A,Cに記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえず、引用発明A及び引用文献1-5,Cに記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものともいえない。

4 本願発明8-11について
上記第4で述べたとおり、本願発明8-11は、本願発明7を減縮した発明であるから、本願発明7と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1、及び引用文献2-5、引用文献A,Cに記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえず、引用発明A及び引用文献1-5,Cに記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものともいえない。

第7 原査定についての判断
上記「第6」「1」(2)、及び「第6」「2」?「4」にて述べたように、本願発明1-12は、当業者であっても、原査定における引用文献A、引用文献C、及び引用文献B,D,E(当審拒絶理由における引用文献1,4,5)に基づいて容易に発明できたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第8 当審拒絶理由についての判断
1 特許法第36条第6項第1号について
当審では、本願発明は、ビーム・シェーパーが放射線源とともに対象の周りを回転する3Dイメージング・システムにおいて「液体の漏洩が装置又はパーツの電子回路又は機構に深刻なダメージを及ぼす」という課題を解決するために、ビーム・シェーパーとしてそのハウジングに放射線吸収ガスが充填されるものを用いるものであるところ、請求項1-11,13に係る発明には、その前提となる「ビーム・シェーパーが回転する」という構成を示す記載が認められないことから、請求項1-11,13に係る発明については、本願発明の上記課題を解決できると認識できる範囲のものとはいえない、との拒絶の理由を通知しているが、令和3年2月26日付け手続補正書による手続補正により、当該拒絶の理由が通知されていない補正前の請求項12の「中空のビーム・シェーパー・ボディに誘発される圧力は、検査領域に対する放射線源の位置に基づいて決定される」という構成が、補正後の本願発明1-12において特定された結果、この拒絶の理由は解消した。

2 特許法第29条第2項について
上記「第6」「1」(1)「イ」、及び「第6」「2」?「4」にて述べたように、本願発明1-12は、当業者であっても、当審拒絶理由における引用文献1-5に基づいて容易に発明できたものではない。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由及び当審の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-04-23 
出願番号 特願2017-521214(P2017-521214)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A61B)
P 1 8・ 537- WY (A61B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山口 裕之  
特許庁審判長 三崎 仁
特許庁審判官 伊藤 幸仙
磯野 光司
発明の名称 ビーム・シェーパー及び減衰方法  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 伊東 忠重  
代理人 宮崎 修  

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