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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q
審判 査定不服 特174条1項 取り消して特許、登録 G06Q
管理番号 1373540
審判番号 不服2019-5762  
総通号数 258 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-04-26 
確定日 2021-05-11 
事件の表示 特願2018- 6745「情報提供装置、情報提供方法、および情報提供プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 7月25日出願公開、特開2019-125265、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成30年1月18日を出願日とする出願であって、同年4月13日付けで拒絶理由通知がされ、同年6月14日に意見書の提出とともに手続補正がされ、同年9月13日付けで拒絶理由通知がされ、同年11月15日に意見書の提出とともに手続補正がされ、平成31年1月22日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年4月26日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、令和2年7月30日付けで当審の拒絶理由通知がされ、同年10月5日に意見書の提出とともに手続補正がされ、同年10月29日付けで当審の拒絶理由通知がされ、令和3年1月4日に意見書の提出とともに手続補正(以下、「本件補正」という。)がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成31年1月22日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-11に係る発明は、以下の引用文献A-Eに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献A:特開2016-177649号公報
引用文献B:特開2014-075006号公報
引用文献C:特開2012-088847号公報
引用文献D:特開2014-186513号公報
引用文献E:特開2016-208289号公報

第3 当審拒絶理由の概要
1 令和2年7月30日付けの当審拒絶理由の概要
(1)特許法第29条第2項の拒絶理由について
本願請求項1-11に係る発明は、以下の引用文献1-10に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
引用文献1:特開2018-005426号公報
引用文献2:特許第6215425号公報
引用文献3:実用新案登録第3209161号
引用文献4:特開2014-075006号公報(上記引用文献B)
引用文献5:国際公開第2013/047436号
引用文献6:特開2014-139837号公報
引用文献7:特開2017-091054号公報
引用文献8:特開2016-53776号公報
引用文献9:特開2017-076167号公報
引用文献10:特開2014-137776号公報

(2)特許法第36条第6項第2号の拒絶理由について
・請求項:6,8-9
請求項6の「前記配信部は、前記店舗による提供時期が新しい順に前記コンテンツを配信する」という記載について、具体的に何に関する提供時期かが明記されておらず、発明の技術的範囲が明確でない。
よって、請求項6に係る発明は明確でない。請求項6に従属する請求項8-9についても同様。

・請求項:9
請求項9の「前記配信部は、ユーザによる評価が最高の前記コンテンツを複数の店舗が出店されるショッピングコンテンツの冒頭に表示されるコンテンツとして配信する」という記載について、評価を行う主体であるユーザの範囲が明記されておらず、発明の技術的範囲が明確でない。
よって、請求項9に係る発明は明確でない。

2 令和2年10月29日付けの当審拒絶理由の概要
配信部が「当該ユーザに利用された前記店舗により提供されるコンテンツであって当該ユーザのタイムラインに表示される前記店舗の名称を含むコンテンツ」を「選択および決定」するタイミングが、「前記取得部によって前記利用情報が取得された直後」であることを限定することを含む補正事項は、当業者が当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであると認められる。
よって、令和2年10月5日付け手続補正書でした補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

第4 本件補正について
1 本件補正は、補正前の請求項4、5を削除し、それに伴う補正前の請求項6?11の項番の繰り上げと被引用請求項の整理を行うとともに、請求項1について、補正前の請求項1の「取得部」により取得された「当該ユーザ」の「前記店舗の利用情報」に基づいてコンテンツをユーザに配信する「配信部」を、補正後の請求項1の「前記店舗の利用情報」に基づく「前記ユーザが購入意欲を示した商品」の「推定」する「推定部」、配信されたコンテンツを「推定」された「前記商品」に「関連する」ものから「選択」する「選択部」及び選択されたコンテンツを配信する「配信部」へと整理した上で、補正後の「推定部」、「選択部」及び「配信部」についてさらに限定的限縮を行うとともに、補正前の請求項10及び11(補正後の請求項8及び9)についても、請求項1と同様の内容の補正を行うものであるから、実質的に、請求項の削除と特許請求の範囲の限定的限縮を目的とする補正に該当するといえる。
また、補正後の発明特定事項は、当初明細書の段落【0050】-【0052】、【0081】、【0096】において実質的に記載されているから、本件補正は、新規事項を追加するものではない。

2 よって、本件補正は、請求項の削除及び限定的減縮を目的とする補正であって、新規事項を追加するものではなく、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
そして、「第5 本願発明」から「第7 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1-9に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

第5 本願発明
本願請求項1-9に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明9」という。)は、本件補正による補正後の特許請求の範囲の請求項1-9に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
電子商取引によって商品またはサービスを販売する店舗が一のユーザによって利用され
た場合に、当該ユーザに関する前記店舗の利用情報を取得する取得部と、
前記取得部によって前記利用情報が取得された場合に、前記ユーザが購入意欲を示した
商品を前記利用情報に基づいて推定する推定部と、
前記推定部によって前記商品が推定された場合に、当該推定された前記商品に関連する
複数のコンテンツから、当該ユーザに利用された前記店舗により提供されるコンテンツで
あって当該ユーザのタイムラインに表示される前記店舗の名称を含むコンテンツを、前記
コンテンツに含まれる商品の販売実績および前記コンテンツの閲覧状況の少なくともいず
れか一方に基づいて選択する選択部と、
前記選択部によって前記コンテンツが選択された場合に、当該選択された前記コンテン
ツを当該ユーザの前記利用情報に基づいて当該ユーザへ配信する配信部と
を備えることを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
前記配信部は、
前記店舗から商品またはサービスを購入した前記ユーザへ前記コンテンツを配信する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記配信部は、
前記店舗をフォローする前記ユーザへ前記コンテンツを配信する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記配信部は、
前記店舗による前記コンテンツの提供時期が新しい順に前記コンテンツを配信する
ことを特徴とする請求項1?3のいずれか一つに記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記配信部は、
前記コンテンツを閲覧したユーザによる前記コンテンツの評価に応じた優先順位で前記
コンテンツを配信する
ことを特徴とする請求項1?3のいずれか一つに記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記配信部は、
前記コンテンツに有効期間が設定されている場合、前記有効期間に応じた優先順位で前
記コンテンツを配信する
ことを特徴とする請求項1?5のいずれか一つに記載の情報提供装置。
【請求項7】
前記配信部は、
前記コンテンツを閲覧したユーザによる評価が最高の前記コンテンツを複数の店舗が出
店されるショッピングコンテンツの冒頭に表示されるコンテンツとして配信する
ことを特徴とする請求項1?6のいずれか一つに記載の情報提供装置。
【請求項8】
コンピュータが実行する情報提供方法であって、
電子商取引によって商品またはサービスを販売する店舗が一のユーザによって利用され
た場合に、当該ユーザに関する前記店舗の利用情報を取得する取得工程と、
前記取得工程によって前記利用情報が取得された場合に、前記ユーザが購入意欲を示し
た商品を前記利用情報に基づいて推定する推定工程と、
前記推定工程によって前記商品が推定された場合に、当該推定された前記商品に関連す
る複数のコンテンツから、当該ユーザに利用された前記店舗により提供されるコンテンツ
であって当該ユーザのタイムラインに表示される前記店舗の名称を含むコンテンツを、前
記コンテンツに含まれる商品の販売実績および前記コンテンツの閲覧状況の少なくともい
ずれか一方に基づいて選択する選択工程と、
前記選択工程によって前記コンテンツが選択された場合に、当該選択された前記コンテ
ンツを当該ユーザの前記利用情報に基づいて当該ユーザへ配信する配信工程と
を含むことを特徴とする情報提供方法。
【請求項9】
電子商取引によって商品またはサービスを販売する店舗が一のユーザによって利用され
た場合に、当該ユーザに関する前記店舗の利用情報を取得する取得手順と、
前記取得手順によって前記利用情報が取得された場合に、前記ユーザが購入意欲を示し
た商品を前記利用情報に基づいて推定する推定手順と、
前記推定手順によって前記商品が推定された場合に、当該推定された前記商品に関連す
る複数のコンテンツから、当該ユーザに利用された前記店舗により提供されるコンテンツ
であって当該ユーザのタイムラインに表示される前記店舗の名称を含むコンテンツを、前
記コンテンツに含まれる商品の販売実績および前記コンテンツの閲覧状況の少なくともい
ずれか一方に基づいて選択する選択手順と、
前記選択手順によって前記コンテンツが選択された場合に、当該選択された前記コンテ
ンツを当該ユーザの前記利用情報に基づいて当該ユーザへ配信する配信手順と
をコンピュータに実行させることを特徴とする情報提供プログラム。」

第6 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
令和2年7月30日付けの当審の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。後述する引用文献についても同様。)。
「【0008】
上述したような広告を、例えばSNS(Social Network Service)でメッセージ等のコンテンツの送受信を行うメッセンジングサービスを利用してPUSH型で配信する場合について考える。なお、PUSH型の配信とは、ユーザの端末に対し、任意のタイミングで配信することをいう。
【0009】
SNSのメッセンジングサービスのユーザは、友人からのメッセージを受信するとすぐに読み、当該友人にメッセージを返信する場合がある。そのため、広告のメッセージをPUSH型で配信すると、ユーザは、例えば深夜に配信された場合であっても、SNSの友人からのメッセージであると誤解し、当該メッセージを受信するとすぐに読む場合がある。この場合、ユーザは、例えば広告のメッセージをブロックしたり、当該メッセンジングサービスの利用を止めてしまったりする場合があるという問題がある。
【0010】
そこで、所定のサービスを利用したユーザに、メッセンジングサービスを利用して、当該所定のサービスに関連する広告を適切に配信することを目的とする。

【0016】
<システム構成> 図1は、実施形態に係る情報処理システム1のシステム構成の一例を示す図である。情報処理システム1は、情報処理装置10と、複数の情報処理端末20-1、20-2、・・・(以下、それぞれを区別しない場合、単に、「情報処理端末20」という。)を有する。情報処理装置10と情報処理端末20とはネットワーク2を介して接続される。
【0017】
ネットワーク2のうちの1つ又は複数の部分は、アドホック・ネットワーク(Ad Hoc Network)、イントラネット、インターネット、仮想プライベート・ネットワーク(Virtual Private Network,VPN)、ローカルエリアネットワーク(Local Area Network,LAN)、無線LAN(Wireless LAN)、広域ネットワーク(Wide Area Network,WAN)、ワイヤレスWAN(Wireless WAN,WWAN)、大都市圏ネットワーク(Metropolitan Area Network,MAN)、公衆電話網(Public Switched Telephone Network,PSTN)、携帯電話網(Public Land Mobile Network,PLMN)、衛星通信を用いたネットワーク、デジタル加入者線(Digital Subscriber Line, DSL)、光ファイバ又はこれらの2つ以上の組み合わせを含むことができる。
【0018】
情報処理装置10は、例えばサーバにより実現され、情報処理端末20のユーザにSNSを提供する。情報処理装置10は、SNSで提供するサービスとしてメッセージングサービスを提供する。情報処理装置10は、情報処理端末20間で送受信されるメッセージ、スタンプ、画像及び各種ファイルのデータ等のコンテンツの送受信制御を行う。
【0019】
情報処理端末20は、携帯電話(例えばスマートフォン、フィーチャーフォンなど)、コンピュータ(例えば、デスクトップ、ラップトップ、タブレットなど)、メディアコンピュータプラットホーム(例えば、ケーブル、衛星セットトップボックス、デジタルビデオレコーダ)、ハンドヘルドコンピュータデバイス(例えば、PDA(personal digital assistant)、電子メールクライアントなど)、ウェアラブル端末(メガネ型デバイス、時計型デバイスなど)あるいは他種のコンピュータ、またはコミュニケーションプラットホームを含むが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0020】
情報処理端末20は、アプリケーション(アプリ)、又はインターネットブラウザ等を動作させて、各種サービスを実行する。

【0034】
[第1の実施形態] <機能構成> 次に、図4を参照し、第1の実施形態に係る情報処理システム1の機能構成について説明する。図4は、第1の実施形態に係る情報処理システム1の各装置の機能構成図である。
【0035】
(1)情報処理装置の機能構成 情報処理装置10は、候補抽出部12、指標算出部13、広告選択部14、及び配信部15を備える。これらの各機能部は、ROM302等に記憶されている1以上のプログラムをCPU301が実行することにより実現される。
【0036】
候補抽出部12は、情報処理端末20のユーザが利用した複数のサービスの各々に応じて、情報処理端末20に配信する複数の広告の候補を抽出する。
【0037】
指標算出部13は、候補抽出部12により抽出された複数の広告の各々に対する、広告配信による収益性を示す指標の値を算出する。なお、広告配信による収益性を示す指標の値は、外部のサーバ等から取得されてもよい。この場合、情報処理装置10は、複数の場所に配置された複数のコンピュータにより実現されてもよい。また、情報処理装置10は、クラウドシステム上に実現されてもよい。
【0038】
広告選択部14は、指標算出部13により算出された指標の値に応じて、所定期間において情報処理端末20に配信する所定数の広告を選択する。
【0039】
配信部15は、広告選択部14により選択された広告を、メッセージングサービスを介して情報処理端末20に配信する。
【0040】
また、情報処理装置10は、記憶部11を有する。記憶部11は、フォロー管理データ111、サービス利用履歴データ112、入札データ113、ランキングデータ114を記憶する。記憶部11は、例えば、記憶装置304により実現される。

【0045】
<処理> 次に、図5を参照し、実施形態に係る情報処理装置10の処理について説明する。図5は、実施形態に係る情報処理システム1の処理の一例を示すフローチャートである。
【0046】
ステップS11において、候補抽出部12は、情報処理端末20のユーザが所定のサービスを利用したことを検知する(ステップS11)。
【0047】
続いて、候補抽出部12は、当該所定のサービスを提供している企業のアカウントを特定する(ステップS12)。
【0048】
続いて、候補抽出部12は、情報処理端末20のユーザが、メッセージングサービスにおいて、当該企業のアカウントをフォローしているか判定する(ステップS13)。なお、アカウントをフォローするとは、例えば、情報処理端末20のユーザが、情報処理装置10に、当該アカウントからのメッセージの受信を許可する設定を行っていることをいう。例えば、情報処理装置10に「公式アカウント」として登録されている企業等のアカウントの一覧から、情報処理端末20のユーザがアカウントを選択し、「追加」操作を行うことにより、当該アカウントをフォローすることが設定される。
【0049】
図6は、フォロー管理データ111の一例を示す図である。情報処理装置10は、予め、フォロー管理データ111を記憶部11に格納しておく。フォロー管理データ111には、ユーザID毎に、各ユーザがフォローしている企業アカウントが登録されている。ユーザIDは、メッセージングサービスにおけるユーザのアカウントの識別情報である。企業アカウントは、メッセージングサービスにおける企業等のアカウントの識別情報である。図6の例では、「ユーザ1」は、A社、B社、C社、・・・のアカウントをフォローしている。
【0050】
情報処理端末20のユーザが、当該企業のアカウントをフォローしていない場合(ステップS13でNO)、処理を終了する。なお、情報処理端末20のユーザが、当該企業のアカウントをフォローしていない場合であっても、以下の処理により、広告を配信してもよい。
【0051】
情報処理端末20のユーザが、当該企業のアカウントをフォローしている場合(ステップS13でYES)、指標算出部13は、情報処理端末20のユーザに対する当該企業の広告のランキングを算出する(ステップS14)。なお、ランキングの算出は、例えば1時間毎等の所定のタイミングで、バッチ処理により実行してもよい。
【0052】
続いて、広告選択部14は、情報処理端末20のユーザに対し、所定期間内に配信する数の上限値を算出する(ステップS15)。
【0053】
続いて、広告選択部14は、情報処理端末20のユーザに対する当該企業の広告のランキング(配信の優先順位)が、上位から当該上限値以内であるか否かを判定する(ステップS16)。
【0054】
上位から当該上限値以内でなければ(ステップS16でNO)、処理を終了する。
【0055】
上位から当該上限値以内であれば(ステップS16でYES)、配信部15は、メッセージングサービスを用いて、配信対象の広告を含むメッセージを、所定のタイミングで情報処理端末20に配信する(ステップS17)。
【0056】
≪サービス利用検知、アカウント検出≫ 次に、ステップS12のサービスの利用を検知する処理、及びステップS13の企業(広告主)及びユーザのアカウントを検出する処理について説明する。
【0057】
以下では、所定のサービスが、Webサイトである場合、アプリである場合、実店舗等への訪問である場合について、それぞれ説明する。
【0058】
(Webサイト) まず、情報処理端末20が、サービスの利用として、広告主である企業等のWebサイトを閲覧したことを検知する場合について説明する。
【0059】
この場合、例えば、WebサイトのHTMLに、情報処理装置10から発行されたリターゲティング用のタグコードが張り付けられているものとする。
【0060】
情報処理端末20が、Webブラウザを介して当該Webサイトにアクセスすると、情報処理端末20に、リターゲティング用のCookieが発行され、情報処理装置10に、情報処理端末20のIDと、リターゲティング用のCookieがログに記録される。情報処理端末20のIDとして、例えば、情報処理端末20のOSが提供するIDFA(Identification For Advertisers)、やAdID(Advertising ID)を用いてもよい。または、当該Webサイトにアクセスした際に、例えば情報処理端末20から情報処理装置10に、情報処理端末20のユーザのアカウントIDを通知してもよい。
【0061】
これにより、情報処理端末20のユーザが所定のサービスを利用したことを検知することができる。
【0062】
また、情報処理装置10は、例えばリターゲティング用のCookieを用いて、WebサイトのURLを判定し、当該URLに基づき、SNSのメッセージングサービスにおける、企業(広告主)のアカウントIDを検出する。
【0063】
(アプリ) 次に、情報処理端末20が、サービスの利用として、企業等のアプリを使用またはインストールしたことを検知する場合について説明する。
【0064】
情報処理端末20が、アプリを使用またはアプリをインストールすると、例えば企業等のサーバを介して、情報処理装置10に、情報処理端末20のIDと、当該アプリの識別情報がログに記録される。
【0065】
これにより、情報処理端末20が所定のサービスを利用したことを検知することができる。
【0066】
また、情報処理装置10は、例えば当該アプリの識別情報に基づき、SNSのメッセージングサービスにおける、企業のアカウントIDを検出する。
【0067】
(タグ) 情報処理端末20は、広告主である企業等の実店舗に設置されたタグ(ビーコン、Beacon)から、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)等の近距離無線通信により、広告主である企業等のIDを示す情報を受信すると、情報処理装置10に、受信したIDと、情報処理端末20のIDを通知する。それにより、情報処理装置10に、情報処理端末20のIDと、広告主である企業等のIDがログに記録される。
【0068】
なお、これらの各サービスのログを記録する処理は、公知技術を用いて実行してもよい。
【0069】
また、情報処理装置10は、情報処理端末20のIDに基づき、SNSのメッセージングサービスにおける、情報処理端末20のユーザのアカウントIDを検出する。なお、情報処理装置10には、予め、情報処理端末20のIDと、情報処理端末20のユーザのアカウントIDとが対応付けて管理されている。

【0073】
図8は、ランキング算出処理の一例を示すフローチャートである。
【0074】
ステップS101において、指標算出部13は、情報処理端末20のユーザに対し、メッセンジングサービスを利用したPUSH型配信による広告の配信を希望する広告主が複数存在するか否かを判定する。具体的には、例えば、フォロー管理データ111、サービス利用履歴データ112、入札データ113を参照し、ユーザがフォローしている企業アカウントにおける、ユーザが利用したサービスに応じた広告の依頼が複数存在するか否かを判定する。
【0075】
図9は、入札データ113の一例を示す図である。入札データ113には、企業アカウント(広告主)、サービス、配信広告、入札CPC(Cost Per Click)、CTR(Click Through Ratio、クリック率)、収益性を示す指標の項目が格納される。配信広告は、メッセージで配信する広告の内容を示す情報である。入札CPC、CTR、及び収益性を示す指標については後述する。
【0076】
広告主が複数存在しない場合(ステップS101でNO)、処理を終了する。
【0077】
広告主が複数存在する場合(ステップS101でYES)、指標算出部13は、入札データ113を参照し、当該ユーザに対して配信を希望する各広告に対する収益性を示す指標を算出する(ステップS102)。
【0078】
収益性を示す指標として、例えばeCPM(effective Cost Per Mille)を用いる。eCPMは、広告の配信を1000回実行した場合に、広告主から広告配信会社に支払われる料金である。
【0079】
eCPMは、例えば、各広告内のリンクに対するクリック率の実績値または予測値と、広告主から入札された入札CPC(1クリック当たりの広告単価、クリック単価)に基づいて算出する。なお、クリック率は、広告を配信した数に対する、当該広告内のリンクをクリックされた回数の割合である。この場合、所定回数以上配信されている広告についてはCTRの実績値を用い、新規の広告については、業種毎や広告主毎の平均CTRをCTRの予測値としてもよい。なお、クリック率及びクリック単価の代わりに、コンバージョン率及びコンバージョン単価等を用いて、eCPMを算出してもよい。
【0080】
eCPMを用いることにより、広告主の入札方法が、配信回数に応じた課金(インプレッション課金)であるか、例えば広告に含まれるWebサイトへのリンクがユーザにクリックされた回数に応じた課金(CPC課金)であるか等によらず、広告の配信数に対する広告配信会社の収益性を判定できる。
【0081】
なお、収益性を示す指標として、例えばCPM等を用いてもよい。
【0082】
続いて、指標算出部13は、算出した指標の値が高い順に、各広告を当該ユーザに対応付けてランキングデータ114に記憶し(ステップS103)、処理を終了する。

【0117】
第2の実施形態に係る情報処理装置10の配信部15は、配信依頼を受信すると、第1の実施形態と同様に、ランキング順に配信数の上限値までの広告を抽出して、当該情報処理端末20に通知する。
【0118】
<処理>
次に、図14を参照し、第2の実施形態に係る情報処理システム1の処理について説明する。図14は、第2の実施形態に係る情報処理システム1の処理の一例を示すシーケンス図である。
【0119】
まず、ステップS401において、情報処理端末20の配信依頼部24は、情報処理端末20のユーザが所定のサービスを利用したことを検知する。
【0120】
続いて、情報処理端末20の配信依頼部24は、当該サービスの種別に応じて、広告の配信を受けるまでの所定期間を決定する(ステップS402)。配信依頼部24は、例えば、Webサイト訪問、アプリ使用、タグ読み取り等のサービスの種別に応じて予め設定されている期間を、広告の配信を受けるまでの所定期間とする。
【0121】
続いて、情報処理端末20の配信依頼部24は、ユーザが当該サービスを利用した後、当該所定期間が経過したことを検知する(ステップS403)。
【0122】
続いて、情報処理端末20の配信依頼部24は、情報処理装置10の配信部15に配信依頼を通知する(ステップS404)。なお、この配信依頼に、情報処理端末20のユーザのアカウントIDまたは情報処理端末20のIDや、ユーザが利用した当該サービスのIDを含めて通知してもよい。
【0123】
続いて、情報処理装置10の配信部15は、第1の実施形態の図5のステップS12乃至ステップS17の処理を行い、ランキング順に配信数の上限値までの広告を抽出して(ステップS405)、抽出した広告を、メッセージングサービスを介して当該情報処理端末20に配信する(ステップS406)。
【0124】
これにより、例えば、Webサイト訪問直後に広告を配信すると、ユーザに迷惑がられ、ブロック操作等をされる可能性が想定される場合に、Webサイト訪問から例えば1時間以上経過した後に、広告を配信することができる。また、ユーザが広告主の実店舗に行き、当該実店舗に設置されたタグを読み取った場合、タグを読み取ってから例えば3時間以上経過した後に、ユーザが当該実店舗における買い物から帰宅した頃を見計らって、例えばシークレットセールの広告を配信することができる。
【0125】
<まとめ> SNS等のメッセージングサービスを利用した広告配信におけるリンクのクリック率は、メールマガジン等のメールサービスを利用した広告配信におけるリンクのクリック率と比較して、10倍程度高い場合がある。一方、メッセージングサービスを利用した広告配信の頻度が高すぎると、ユーザが広告配信をブロックしてしまう場合がある。
【0126】
上述したように、本実施形態によれば、端末のユーザが利用した複数のサービスの各々に応じて、端末に配信する複数の広告を抽出する。そして、抽出した複数の広告の各々に対する、広告配信による収益性を示す指標の値に応じて、所定期間において端末に配信する所定数の広告を選択する。そして、選択した広告を、メッセージングサービスを介して前記端末に配信する。
【0127】
これにより、ユーザは、配信される広告の頻度が適正に保たれつつ、自身が利用したサービスに関する広告の情報を取得することができる。また、広告主は、配信数の制限以内のランキングとなるような額で入札することによって、ユーザによりリンクのクリック率が高い、メッセージングサービスを利用した広告配信を利用することができる。また、広告配信会社は、ユーザによるブロックやSNSサービスの利用停止を防ぎながら、収益を向上させることができる。」


図7



図9


ここで、図7及び図9からは、広告主であるA社に関して、「A社Webサイト1を訪問」、「A社Webサイト2を訪問」、「A社アプリを使用」及び「A社実店舗を訪問」というサービスをユーザ1が利用したことが見て取れる。


したがって、引用文献1には、図7及び図9に例示された広告主であるA社に係る記載において、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「情報処理装置であって、情報処理端末がWebサイトを訪問するサービス、情報処理端末がアプリを使用するサービス、及び、実店舗を訪問するユーザに当該実店舗に設置されたタグから広告主である企業のIDを通知するサービスが一のユーザによって利用された場合に、当該ユーザに関する前記企業のサービスの利用を検知し配信する複数の広告の候補を抽出する候補抽出部と(【0035】、【0036】、【0046】、【0056】-【0068】、図7、図9)、抽出された複数の広告の各々に対する、広告配信による収益性を示す指標の値を算出する指標算出部と(【0037】)、算出された指標の値に応じて、所定期間において情報処理端末に配信する所定数の広告を選択する広告選択部と(【0038】)、SNSのメッセージングサービスによって、当該ユーザに利用された前記企業により提供される配信対象の選択された広告を含むメッセージを当該ユーザの情報処理端末に配信する配信部(【0008】-【0010】、【0035】、【0039】、【0047】-【0055】、【0124】)を備え、
前記候補抽出部は、情報処理端末が、Webブラウザを介して当該Webサイトにアクセスする場合に、前記情報処理端末に、リターゲティング用のCookieが発行され、前記情報処理装置に、情報処理端末のIDと、リターゲティング用のCookieがログに記録され、情報処理端末のユーザが所定のサービスを利用したことを検知し(【0058】-【0061】)、
前記候補抽出部は、情報処理端末が、アプリを使用またはアプリをインストールする場合に、例えば企業等のサーバを介して、情報処理装置に、情報処理端末のIDと、当該アプリの識別情報がログに記録され、情報処理端末が所定のサービスを利用したことを検知し(【0063】-【0066】)、
前記候補抽出部は、情報処理端末は、広告主である企業等の実店舗に設置されたタグ(ビーコン、Beacon)から、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)等の近距離無線通信により、広告主である企業等のIDを示す情報を受信する場合に、情報処理装置に、受信したIDと、情報処理端末のIDを通知し、それにより、情報処理装置に、情報処理端末のIDと、広告主である企業等のIDがログに記録され、情報処理端末が所定のサービスを利用したことを検知するとともに(【0067】、【0068】)、当該所定のサービスを提供している企業のアカウントを特定し(【0047】)、情報処理端末のユーザが、メッセージングサービスにおいて、当該企業のアカウントをフォローしているか判定し(【0048】)、
前記指標算出部は、当該企業のアカウントをフォローしている場合、情報処理端末のユーザに対する当該企業の広告のランキングを算出し(【0051】)、当該広告のランキングは広告を配信した数に対する、当該広告内のリンクをクリックされた回数の割合であるクリック率の実績値に基づく指標が高い順にランキング付けされるものであって(【0078】【0079】【0082】)、
前記広告選択部は、情報処理端末のユーザに対し所定期間内に配信する数の上限値を算出し(【0052】)、広告選択部は、情報処理端末のユーザに対する当該企業の広告のランキング(配信の優先順位)が、上位から当該上限値以内であるか否かを判定し(【0053】)、
前記情報処理装置は、情報処理端末のIDに基づき、SNSのメッセージングサービスにおける、情報処理端末のユーザのアカウントIDを検出し(【0069】)、
前記配信部は、判定結果が上位から当該上限値以内であれば、ランキング順に配信数の上限値までの広告を抽出し、抽出した広告を、メッセージングサービスを介して情報処理端末に配信するものであって(【0055】、【0123】)、例えば、Webサイト訪問から1時間以上経過した後に広告を配信したり、ユーザが行った広告主の実店舗に設置されたタグを読み取ってから3時間以上経過した後に、例えばシークレットセールの広告を配信したりすることができるものである(【0124】)、情報処理装置。」

2 引用文献2-10について
(1)令和2年7月30日付けの当審の拒絶の理由に引用された引用文献2には、段落【0010】、【0011】、【0098】-【0101】の記載からみて、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「ユーザが利用する買物アプリがインストールされた端末装置は、サービス提供装置が提供する電子商取引サービスにおいて販売される商品又はサービスに関する商品情報をユーザに提供し、端末装置からユーザが商品Xを購入する意思を示す情報を取得したサービス提供装置は、例えば、ユーザの口座情報等を用いて商品Xの決済処理や、商品Xをユーザが指定する住所に配送する手続などの商品Xの購入処理を行うこと」

(2)令和2年7月30日付けの当審の拒絶の理由に引用された引用文献3には、段落【0024】-【0027】、【0034】-【0040】、【0047】-【0055】及び第2図の記載からみて、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「ユーザーが保持するスマートフォン等のユーザー端末に対して自社の広告情報を配信する企業が、顧客獲得支援システム及び会員企業サーバーを用いて、ユーザー端末に会員登録フォームのウェブページを表示させ、ユーザーに会員登録を行わせることによりユーザーの個人情報を会員企業サーバーに登録し、ユーザーからの商品の申し込みの受付、申し込まれた商品のユーザーへの発送を含む電子商取引(EC)を行うこと」
及び、
「顧客獲得支援システム及び会員企業サーバーから、ユーザーが保持するスマートフォン等のユーザー端末に対して、自社名、自社の製品やサービスの広告を含む広告を配信し、ユーザー端末装置の表示画面上に当該広告をタイムライン表示すること」

(3)令和2年7月30日付けの当審の拒絶の理由に引用された引用文献4には、段落【0012】、【0013】、【0017】、【0049】及び第1、6-8図の記載からみて、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「広告配信装置及び投稿サービス提供装置から、ユーザが保持するスマートフォン等のユーザ端末に対して、販売対象物とそれを販売する店舗名を含む広告を配信し、端末装置の表示画面上に当該広告をタイムライン表示すること」

(4)令和2年7月30日付けの当審の拒絶の理由に引用された引用文献5には、段落【0020】、【0049】-【0051】、【0095】-【0097】及び第4B図の記載からみて、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「情報処理装置から、ユーザが保持する通信端末に対して、店舗名を含む案内/広告情報を送信し、通信端末の表示画面上に当該案内/広告情報をタイムライン中に挿入して表示すること」

(5)令和2年7月30日付けの当審の拒絶の理由に引用された引用文献6には、段落【0018】-【0026】、【0036】、【0041】、【0047】、【0053】、【0078】-【0084】の記載からみて、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「ユーザの店舗における購入行動から予測されるユーザ行動や歌やテレビ番組などのデジタルコンテンツのダウンロード行為に基づくユーザの関心等に基づいて、予測されるユーザ行動やユーザの関心に関連する販売促進情報などのコンテンツを提供することで、多種多様な情報を探索するユーザの時間や努力を削減すること」

(6)令和2年7月30日付けの当審の拒絶の理由に引用された引用文献7には、請求項1-4、第1-4図、段落【0014】-【0034】の記載からみて、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「ユーザの商品やサービスの購入または利用したこと、ウェブサイト等の閲覧・検索などの操作履歴であるアクティビティ等に基づいて、商品やサービスに興味があり需要が見込まれるユーザに効果的に広告配信をすること」

(7)令和2年7月30日付けの当審の拒絶の理由に引用された引用文献8には、段落【0093】の記載からみて、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「広告の表示開始時点が現地点に最も近い順番に画面上方から表示すること」

(8)令和2年7月30日付けの当審の拒絶の理由に引用された引用文献9には、段落【0038】の記載からみて、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「表示期限が早い広告を優先して表示すること」

(9)令和2年7月30日付けの当審の拒絶の理由に引用された引用文献10には、段落【0069】-【0071】の記載からみて、次の技術的事項が記載されていると認められる。
「商品またはサービスの情報をウェブサイトまたはアプリケーションの画面上に順番に掲載する際、ユーザが実際にその商品やサービスを利用した結果としての口コミ評価を掲載順位に反映させること」

第7 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の「企業」は、実店舗を有し、「商品またはサービスの販売店舗を有する企業」であるところ、引用発明における商品またはサービスの販売店舗を有する企業が提供する「Webサイトを訪問するサービス、及びアプリを使用するサービス」は、本願発明1の「電子商取引によって商品またはサービスを販売する」ことと、「商品またはサービスの販売店舗を有する企業が提供するサービス」である点において共通する。
イ 引用発明の候補抽出部によって行われる(1)「情報処理端末が、Webブラウザを介して当該Webサイトにアクセスする場合に、情報処理端末に、リターゲティング用のCookieが発行され、前記情報処理装置に、情報処理端末のIDと、リターゲティング用のCookieがログに記録され、情報処理端末のユーザが所定のサービスを利用したことを検知」すること、(2)「情報処理端末が、アプリを使用またはアプリをインストールすると、例えば企業等のサーバを介して、情報処理装置に、情報処理端末のIDと、当該アプリの識別情報がログに記録され、情報処理端末が所定のサービスを利用したことを検知」すること、及び(3)「情報処理端末は、広告主である企業等の実店舗に設置されたタグ(ビーコン、Beacon)から、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)等の近距離無線通信により、広告主である企業等のIDを示す情報を受信すると、情報処理装置に、受信したIDと、情報処理端末のIDを通知する。それにより、情報処理装置に、情報処理端末のIDと、広告主である企業等のIDがログに記録され」ることは、いずれも本願発明1の「ユーザに関するサービスを提供する商品またはサービスの販売店舗を有する企業の利用情報を取得すること」に相当する。
ウ 上記ア、イから、引用発明の「情報処理端末がWebサイトを訪問するサービス、情報処理端末がアプリを使用するサービス、及び、実店舗を訪問するユーザに当該実店舗に設置されたタグから広告主である企業のIDを通知するサービスが一のユーザによって利用された場合に、当該ユーザに関する前記企業のサービスの利用を検知する候補抽出部」は、本願発明1の「電子商取引によって商品またはサービスを販売する店舗が一のユーザによって利用された場合に、当該ユーザに関する前記店舗の利用情報を取得する取得部」と、「インターネットによって所定のサービスを提供するとともに、商品またはサービスの販売店舗を有する企業が一のユーザによって利用された場合に、当該ユーザに関する商品またはサービスの販売店舗を有する企業の利用情報を取得する取得部」である点で共通する。
エ 引用発明の「配信対象の選択された広告を含むメッセージ」は、商品またはサービスの販売店舗を有する企業が広告主であるコンテンツであるといえるから、「ユーザのタイムラインに表示される」ものでなく「店舗の名称を含む」か否か不明である点を除けば、本願発明1の「当該ユーザに利用された前記店舗により提供されるコンテンツ」に対応するものといえる。
オ 引用発明の「広告を配信した数に対する、当該広告内のリンクをクリックされた回数の割合であるクリック率」は、本願発明1の「コンテンツの閲覧状況」に相当する。
カ 引用発明の「広告選択部」は、情報処理端末のユーザに対する当該企業の広告のランキングを算出し、ランキング順に配信数の上限値までの広告を選択するものであり、配信するコンテンツを選択する「選択部」といえる。そして、上記エ、オから、引用発明の選択部は、本願発明1の「前記推定部によって前記商品が推定された場合に、当該推定された前記商品に関連する複数のコンテンツから、当該ユーザに利用された前記店舗により提供されるコンテンツであって当該ユーザのタイムラインに表示される前記店舗の名称を含むコンテンツを、前記コンテンツに含まれる商品の販売実績および前記コンテンツの閲覧状況の少なくともいずれか一方に基づいて選択する選択部」と、「当該ユーザに利用された前記店舗により提供されるコンテンツであって当該ユーザ」「に表示されるコンテンツ」を「当該コンテンツの閲覧状況」「に基づいて選択する」点でも共通する。
キ 引用発明の「配信部」は、選択された広告をユーザの利用情報に基づいてユーザに配信するものといえる。してみると、引用発明の「配信部」は、本願発明1の「前記選択部によって前記コンテンツが選択された場合に、当該選択された前記コンテンツを当該ユーザの前記利用情報に基づいて当該ユーザへ配信する配信部」に相当する。
ク 引用発明の「情報処理装置」は、配信部によりユーザにコンテンツの情報を提供することから、「情報提供装置」といえ、「前記取得部によって前記利用情報が取得された場合」が、「選択部」及び「配信部」の処理が行われる前提条件の一つとなっている点で、本願発明1の「情報提供装置」と共通する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点がある。
(一致点)
「インターネットによって所定のサービスを提供するとともに、商品またはサービスの販売店舗を有する企業が一のユーザによって利用された場合に、当該ユーザに関する商品またはサービスの販売店舗を有する企業の利用情報を取得する取得部と、
当該取得部によって前記利用情報が取得された場合に、
当該ユーザに利用された前記店舗により提供されるコンテンツであって、当該ユーザに表示されるコンテンツを、当該コンテンツの閲覧状況に基づいて選択する選択部と、
前記選択部によって前記コンテンツが選択された場合に、当該選択された前記コンテンツを当該ユーザの前記利用情報に基づいて当該ユーザへ配信する配信部と
を備える情報提供装置。」

(相違点)
(相違点1)コンテンツの提供元である商品またはサービスの販売店舗を有する企業が、本願発明1では、「電子商取引によって商品またはサービスを販売する店舗」であるのに対し、引用発明では「Webサイトの閲覧サービス、アプリのサービス及び実店舗にて買い物をするユーザに当該実店舗に設置されたタグから当該企業のIDを通知するサービス」を提供する「広告主」である「企業」であって、「電子商取引によって商品またはサービスを販売する店舗」でない点。

(相違点2)配信部がユーザへ配信するコンテンツが、本願発明1では、「当該ユーザのタイムラインに表示される」ものであり、かつ、「前記店舗の名称を含む」ものであるのに対し、引用発明ではSNSのメッセージングサービスのメッセージであって「当該ユーザのタイムラインに表示される」ものでなく、また、「前記店舗の名称を含む」ものであるか否か明示されていない点。

(相違点3)本願発明1は「前記取得部によって前記利用情報が取得された場合に、前記ユーザが購入意欲を示した商品を前記利用情報に基づいて推定する推定部」を備えるとともに、「前記推定部によって前記商品が推定された場合に」「当該推定された前記商品に関連する複数のコンテンツから」コンテンツの選択処理が選択部において行われるのに対して、引用発明は、ユーザの企業アカウントのフォロー状況や広告配信による収益性を示す指標の値に基づいて企業単位で広告の選択を行うものであり、そのような特定がない点。

(2)相違点についての判断
上記相違点1について検討する。
引用文献2及び3に記載されている技術的事項(第6 2(1)及び(2))に鑑みると、オンラインで広告情報を配信する広告主となる企業等において、企業等のウェブサイトや買い物アプリにより通信端末を保持するユーザ向けの商品やサービスを販売する電子商取引を行うことは、本願出願時、ユーザに広告配信を行う技術分野における周知技術(以下、「周知技術1」という。)である。
そして、引用発明のコンテンツの提供元である商品またはサービスの販売店舗を有する企業は、ユーザが買い物をし得る実店舗からのシークレットセールの広告を配信するものであり、オンラインで広告情報を配信する広告主となる企業等である。
してみると、引用発明において、オンラインで広告情報を配信する広告主となる企業等における周知技術である上記周知技術1を採用して、Webサイトの閲覧サービスを提供しセール広告の配信を行う広告主である企業を、電子商取引によって商品またはサービスを販売する店舗とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

上記相違点2について検討する。
広告コンテンツをプッシュ配信するにあたってユーザのタイムラインに配信すること、及び、広告コンテンツを配信するにあたって広告コンテンツに店舗名を含めることは、いずれも周知技術であって、広告コンテンツをプッシュ配信するにあたってユーザのタイムラインに配信し、その際、広告コンテンツに店舗名を含めることも、引用文献3-5に記載されている技術的事項(第6 2(2)乃至(4))に鑑みると、本願出願時、ユーザに広告配信を行う技術分野における周知技術(周知技術2)である。
そして、引用発明のSNSメッセージングサービスにおけるメッセージを用いた広告は、プッシュ配信を用いた広告である点において周知技術2と等価な代替手段であるから、引用発明において、SNSメッセージングサービスにおけるメッセージを用いた広告に換えて周知技術2を採用して、ユーザへ配信するコンテンツを「当該ユーザのタイムラインに表示される」ものであり、かつ、「前記店舗の名称を含む」ものとすることは、当業者が容易になし得たことである。

上記相違点3について検討する。
ア 引用発明は、情報処理端末のユーザが、メッセージングサービスにおいて、当該企業のアカウントをフォローしているか判定し、前記指標算出部は、当該企業のアカウントをフォローしている場合、情報処理端末のユーザに対する当該企業の広告のランキングを算出し、算出されたランキングに基づいて、広告の選択処理と配信処理を行うものであるから、ユーザが関心のある企業かどうかをユーザが企業のアカウントのフォローしているかどうかに基づいて判定するものといえる。
しかしながら、引用発明の当該判定処理は、判定の対象が「ユーザが関心のある企業」であり、本願発明1の推定処理のように、推定の対象を「ユーザが購入意欲を示した商品」とするものではない。また、引用発明の当該判定処理は「ユーザが関心のある企業かどうかをユーザが企業のアカウントのフォローしているかどうかに基づいて」判定を行うものであり、本願発明1の推定処理のように「前記利用情報に基づいて」推定を行うものではない。
いうなれば、引用発明は、ユーザに配信する広告を、ユーザの企業アカウントのフォロー状況や広告配信による収益性を示す指標の値に基づいて「企業単位で選択」するものであり、「商品単位で選択する」ものではないから、ユーザが購入意欲を示した商品を利用情報に基づいて推定する推定部を設ける動機付けがない。
イ 引用文献2-10においても、上記相違点3に係る構成が開示も示唆もされていない。
ウ 本願明細書の段落【0095】の記載によれば、本願発明1は、上記相違点3に係る構成を有することによって、「ユーザ13の購買意欲をそそる商品が含まれた閲覧される可能性の高いコンテンツをユーザ端末13aに配信することができる。」という効果を奏する。
エ 以上によれば、当業者といえども、引用発明及び引用文献2-10に記載された技術的事項から、上記相違点3に係る本願発明1の「前記取得部によって前記利用情報が取得された場合に、前記ユーザが購入意欲を示した商品を前記利用情報に基づいて推定する推定部」を備えるとともに、「前記推定部によって前記商品が推定された場合に」「当該推定された前記商品に関連する複数のコンテンツから」コンテンツの選択処理が行われる「選択部」を備える構成を容易に想到することはできない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-10に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 本願発明2-7について
本願発明2-7も、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-10に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

3 本願発明8について
本願発明8は、本願発明1に対応する情報提供方法の発明であり、実質的に本願発明1の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-10に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

4 本願発明9について
本願発明9は、本願発明1に対応する情報提供プログラムの発明であり、実質的に本願発明1の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-10に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第8 原査定についての判断
本件補正により、本願発明1は「前記取得部によって前記利用情報が取得された場合に、前記ユーザが購入意欲を示した商品を前記利用情報に基づいて推定する推定部と、前記推定部によって前記商品が推定された場合に、当該推定された前記商品に関連する複数のコンテンツから、当該ユーザに利用された前記店舗により提供されるコンテンツであって当該ユーザのタイムラインに表示される前記店舗の名称を含むコンテンツを、前記コンテンツに含まれる商品の販売実績および前記コンテンツの閲覧状況の少なくともいずれか一方に基づいて選択する選択部と、前記選択部によって前記コンテンツが選択された場合に、当該選択された前記コンテンツを当該ユーザの前記利用情報に基づいて当該ユーザへ配信する配信部」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献A乃至Eに基づいて、容易に発明できたものとはいえない。本願発明1と同一又は実質的に同一の構成を備える本願発明2-9についても同様の理由から、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献A乃至Eに基づいて、容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-04-14 
出願番号 特願2018-6745(P2018-6745)
審決分類 P 1 8・ 55- WY (G06Q)
P 1 8・ 121- WY (G06Q)
最終処分 成立  
前審関与審査官 緑川 隆上田 威  
特許庁審判長 佐藤 聡史
特許庁審判官 岡 裕之
相崎 裕恒
発明の名称 情報提供装置、情報提供方法、および情報提供プログラム  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  
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