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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09F
管理番号 1373616
審判番号 不服2020-6382  
総通号数 258 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-05-12 
確定日 2021-04-26 
事件の表示 特願2019-28563号「光学表示パネルの製造方法および光学表示パネルの製造システム」拒絶査定不服審判事件〔令和1年7月4日出願公開、特開2019-109532号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年12月18日にした特許出願(特願2014-256327号)の一部を平成31年2月20日に新たな特許出願(特願2019-28563号)としたものであって、令和元年11月27日付けの拒絶理由通知に対し、同年12月16日に意見書が提出されたところ、令和2年2月27日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ(原査定の謄本の送達日:同年3月10日)、これに対して、同年5月12日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。


第2 本願発明
本願の請求項1?16に係る発明は、願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項1?16に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次に特定されるとおりである。

「【請求項1】
粘着剤を有する第1光学フィルムと、当該粘着剤を介して当該第1光学フィルムが積層されている帯状の第1キャリアフィルムとを有する第1光学フィルム積層体のロールから、帯状の第1光学フィルム積層体を繰り出し、前記帯状の第1光学フィルム積層体のうち少なくとも第1光学フィルムを、幅方向に切断することで得られた第1光学フィルム片を、光学セルを搬送しながら、前記光学セルの第1面に貼り合わせる第1貼合工程と、
前記光学セルを搬送しながら、前記光学セルの第1面に貼り合された第1光学フィルム片の貼り位置を、搬送方向に対し直交する方向でかつ光学セルの幅方向端部に合わせて配置した第1、第2エリアセンサカメラで撮像する第1撮像工程と、
前記第1撮像工程で、第1、第2エリアセンサカメラで撮像して得られた画像から、搬送方向(y)および搬送方向と直交する方向(x)における、前記光学セルの端部と前記第1光学フィルム片の端部との距離(Dx1?Dx4、Dy1?Dy4)を画像処理して算出する第1画像検査工程と、
前記第1画像検査工程で算出された距離(Dx1?Dx4、Dy1?Dy4)に基づいて、貼りズレを判定する第1判定工程と、を含む光学表示パネルの製造方法。」


第3 原査定の概要
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての理由は、次のとおりである。

本願発明は、下記の引用文献1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。



引用文献1:特開2011-197281号公報
引用文献2:特開2005-61955号公報(周知技術を示す文献)


第4 当審の判断
1 引用文献等
(1)引用文献1
原査定の拒絶の理由において引用する特開2011-197281号公報(上記引用文献1)には、図面とともに次の事項が記載されている。下線は当審が付した。

「【0029】
〔1.偏光板の貼合精度検査方法〕
本発明に係る偏光板の貼合精度検査方法(以下、「本発明の検査方法」と称する)は、長尺の偏光板原反を切断しながら液晶パネルに貼合した偏光板の貼合精度を検査する方法であって、上記液晶パネルに貼合した上記偏光板の四隅の全てを観察する観察工程と、上記観察工程で得られた観察データを用いて、上記偏光板の貼合ズレ量、寸法および直角度を算出する演算工程とを含む構成である。
【0030】
本明細書において、上記「偏光板の貼合精度を検査する」とは、偏光板の貼合ズレ量、寸法および直角度を検査することを意味している。
【0031】
また、本発明の検査方法の検査対象となる偏光板は、長尺の偏光板原反を巻き出しながら、偏光板の巻き出し方向(搬送方向)について所定の長さ(寸法)になるように、偏光板原反をチップ状に切断しながら、連続する工程において得られたチップ状偏光板を液晶パネルに貼合した偏光板、すなわち、RTP貼合方式によって貼合した偏光板である。」

「【0036】
尚、本明細書において、上記「偏光板原反」とは、チップ状に切断される前の偏光板が意図される。上記偏光板の構成としては特に限定されるものではなく、RTP貼合方式によって貼合される従来公知の偏光板が意図される。例えば、偏光フィルムの少なくとも一方の面に接着剤層を介して保護フィルムが貼合されてなる偏光板、偏光フィルムの保護フィルムが貼合されていない側の面に剥離可能な剥離フィルムが粘着層を介してさらに貼合されてなる偏光板等を挙げることができる。
【0037】
(1-1.観察工程)
観察工程は、液晶パネルに貼合した偏光板の四隅の全てを観察する工程である。尚、上記「偏光板の四隅」は「偏光板の4つの角部」を意図している。観察工程において、偏光板の四隅の全てを観察する方法は、偏光板の4つの角部全てを観察することができ、全ての角部についての情報を取得することができる限り特に限定されない。従って、偏光板の4つの角部を4段階で1つずつ観察してもよいし、偏光板の4つの角部を1段階で同時に観察してもよい。また、偏光板の4つの角部を観察する順序についても特に限定されない。偏光板における4つの角部のうち、2つ以上の角部を同時に観察することによって、偏光板の四隅を効率よく観察することができる。
【0038】
(第1の実施形態)
本発明に係る検査方法の第1の実施形態について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る検査方法の第1の実施形態を説明するものであり、観察手段の概略の構成を示す図である。
【0039】
図1に示すように、本発明に係る検査方法の第1の実施形態では、観察工程において、液晶パネル2に貼合された偏光板3の四隅の全てを観察するための手段(観察手段)として、偏光板3の4つの角部をそれぞれ観察するための4台のカメラ1・・・を用いる。4台のカメラ1・・・は、液晶パネル2と偏光板3との貼合面に対して垂直方向から、偏光板3のそれぞれの角部を撮影可能な位置に配置されている。このような観察手段を用いれば、観察工程において、偏光板3の4つの角部を同時に観察(撮影)することができるので、偏光板3の四隅の全てを効率よく観察することができる。
【0040】
上記「カメラ」としては、目的に応じて、例えば、ラインカメラ、エリアカメラ等を用いることができる。ラインカメラは、撮影の精度が偏光板の搬送速度の影響を受けるため、得られた画像データ(観察データ)が不鮮明となる可能性があるものの、偏光板が動いている状態であっても偏光板の四隅を撮影することができる。一方、エリアカメラは、偏光板の四隅を撮影するために偏光板を停止させる必要があるものの、撮影の精度が高いので、より鮮明な画像データ(観察データ)を得ることができる。このため、撮影の精度を考慮すると、上記「カメラ」としてエリアカメラを用いることがより好ましい。尚、ラインカメラを用いて偏光板の四隅を観察する場合は、偏光板を固定し、偏光板に対してラインカメラを移動させながら偏光板の四隅を観察してもよいし、ラインカメラを固定し、ラインカメラに対して偏光板を移動させながら偏光板の四隅を観察してもよいし、偏光板の移動方向に対して180°の方向にラインカメラを移動させながら偏光板の四隅を観察してもよい。
【0041】
(第2の実施形態)
本発明に係る検査方法の第2の実施形態について説明する。本発明に係る検査方法の第2の実施形態では、観察工程において、観察手段として2台のカメラを用いて、2段階で、液晶パネルに貼合された偏光板の四隅の全てを観察する以外は、上述した第1の実施形態と同様である。
【0042】
本発明に係る検査方法の第2の実施形態では、2台のカメラは、液晶パネルと偏光板との貼合面に対して垂直方向から、偏光板における4つの角部のうち、2つの角部をそれぞれ撮影可能な位置に配置されている。本発明に係る検査方法の第2の実施形態では、まず、観察工程の第1段階において、偏光板における4つの角部のうち、2つの角部を、2台のカメラを用いてそれぞれ観察する。そして、第2段階において、上記第1段階で観察しなかった残り2つの角部をそれぞれ撮影可能なように、2台のカメラの位置および/または偏光板の位置を移動させて、残り2つの角部を観察する。このように、偏光板の4つの角部を2段階で観察することによって、観察手段としてのカメラを4台用いることなく偏光板の四隅の全てを観察することができる。尚、観察工程では、最終的に偏光板の四隅の全てを観察することができればよいので、偏光板における4つの角部のうち、どの角部を第1段階で観察するかについては特に限定されない。しかし、観察工程の第2段階において、第1段階で観察しなかった残り2つの角部をそれぞれ撮影可能なように、2台のカメラの位置および/または偏光板の位置を移動させることを考慮すると、例えば、カメラを固定し、カメラに対して偏光板を移動させながら偏光板の四隅を観察する場合や、偏光板の移動方向に対して180°の方向にラインカメラを移動させながら偏光板の四隅を観察する場合は、偏光板における4つの角部のうち、偏光板の移動方向に向かって前方の2つの角部を第1段階で観察し、偏光板の移動方向に向かって後方の2つの角部を第2段階で観察することによって、偏光板の四隅の全てを効率よく観察することができる。
【0043】
(1-2.演算工程)
演算工程は、観察工程で得られた観察データを用いて、偏光板の貼合ズレ量、寸法および直角度を算出する工程である。ここで、観察工程で得られた観察データを用いて、偏光板の「貼合ズレ量」、「寸法」および「直角度」を算出する方法について、図2?4を参照しながら以下に具体的に説明する。
【0044】
図2は、偏光板の「貼合ズレ量」の算出方法の一例を説明する図である。偏光板の「貼合ズレ量」は、例えば、液晶パネル2において、偏光板3の4つの角部(図2に示す角部A’、B’、C’およびD’)が貼合されるべき位置に基準点(図2に示す基準点A、B、CおよびD)が存在すると仮定して、かかる基準点間を結ぶ基準線(例えば、図2に示す基準線ABおよびAD)と、偏光板3の辺(例えば、図2に示す辺A’B’およびA’D’)との距離から算出することができる。
【0045】
例えば、液晶パネル2の基準点Aに対する偏光板3の角部A’の「貼合ズレ量」を算出する場合は、液晶パネル2の基準線ADと偏光板3の辺A’D’との距離を、偏光板3の短手方向の貼合ズレ量aとして算出することができる。同様に、液晶パネル2の基準線ABと偏光板3の辺A’B’との距離を、偏光板3の長手方向の貼合ズレ量bとして算出することができる。」

「【0059】
(1-3.その他工程)
本発明の検査方法は、上記観察工程および上記演算工程の他に、当該演算工程において得られた結果を用いて、偏光板の貼合精度の合否を判定する判定工程をさらに含んでいてもよい。
【0060】
判定工程では、上記演算工程において算出された結果を用いて、偏光板の貼合ズレ量、寸法および直角度が所定範囲内であれば、偏光板の貼合精度が規定内にある合格品であると判定する。例えば、上記「貼合ズレ量」が、±300μmであり、上記「寸法」が、所定の寸法±300μm以内であり、且つ上記「直角度」が、90°±0.05°以内である場合を、偏光板の貼合精度が規定内にある合格品であると判定する。一方、偏光板の貼合ズレ量、寸法および直角度のうちのいずれか1つでも上述した所定範囲外であれば、偏光板の貼合精度が規定外にある不合格品と判定する。」

「【0064】
本発明の検査方法は、液晶表示装置の製造方法と組み合わせてもよい。具体的には、液晶表示装置の製造方法において、長尺の偏光板原反を巻き出しながら、所定の長さになるように偏光板原反を切断しながら液晶パネルに偏光板を貼合する貼合工程の後に、本発明の検査方法を組み合わせてもよい。液晶表示装置の製造方法に本発明の検査方法を組み合わせることによって、偏光板の貼合精度を検査しつつ液晶表示装置を製造するので、偏光板の貼合不良に起因する液晶表示装置の不良率を減少させることができる。この結果、最終製品の生産性や歩留りを増加させることができる。」

「【0069】
尚、本発明の検査装置は、液晶表示装置の製造装置に組み込んでもよい。具体的には、液晶表示装置の製造装置において、長尺の偏光板原反を所定の長さになるように切断しながら液晶パネルに偏光板を貼合した後に偏光板の貼合精度を検査することができるように、本発明の検査装置を組み込んでもよい。液晶表示装置の製造装置に本発明の検査装置を組み込むことによって、偏光板の貼合精度を検査しつつ液晶表示装置を製造することができる。この場合、上記観察手段としてラインカメラを用いれば、液晶表示装置の製造装置において、偏光板が貼合された液晶パネルを搬送しながら、偏光板の四隅を観察(撮影)することができる。」

「【図1】



「【図2】



上記記載内容及び図示内容を総合すれば、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

[引用発明]
「長尺の偏光板原反を切断しながら液晶パネルに貼合した偏光板の貼合精度を検査する方法であって(【0029】)
検査対象となる偏光板は、長尺の偏光板原反を巻き出しながら、偏光板の巻き出し方向(搬送方向)について所定の長さ(寸法)になるように、偏光板原反をチップ状に切断し、連続する工程において得られたチップ状偏光板を液晶パネルに貼合した偏光板、すなわち、RTP貼合方式によって貼合した偏光板であり、上記偏光板原反は、偏光フィルムの少なくとも一方の面に接着剤を介して保護フィルムが貼合されてなり、偏光フィルムの保護フィルムが貼合されていない側の面に剥離可能な剥離フィルムが粘着層を介してさらに貼合されてなるものであり、(【0031】、【0036】)
観察工程では、観察手段として2台のカメラを用いて、2段階で、液晶パネルに貼合された偏光板の四隅の全てを観察し、2台のカメラは、液晶パネルと偏光板との貼合面に対して垂直方向から、偏光板における4つの角部のうち、2つの角部をそれぞれ撮影可能な位置に配置され、
観察工程の第1段階において、偏光板における4つの角部のうち、2つの角部を、2台のカメラを用いてそれぞれ観察し、第2段階において、上記第1段階で観察しなかった残り2つの角部をそれぞれ撮影可能なように、2台のカメラの位置及び/又は偏光板の位置を移動させて、残り2つの角部を観察するものであり、例えば、カメラを固定し、カメラに対して偏光板を移動させながら偏光板の四隅を観察する場合には、偏光板における4つの角部のうち、偏光板の移動方向に向かって前方の2つの角部を第1段階で観察し、偏光板の移動方向に向かって後方の2つの角部を第2段階で観察するものであり、(【0037】、【0041】、【0042】)
演算工程では、観察工程で得られた観察データを用いて、偏光板の貼合ズレ量、寸法及び直角度が算出され、偏光板の貼合ズレ量は、例えば、液晶パネル2において、偏光板3の4つの角部(図2に示す角部A’、B’、C’及びD’)が貼合されるべき位置に基準点(図2に示す基準点A、B、C及びD)が存在すると仮定して、かかる基準点間を結ぶ基準線(例えば、図2に示す基準線AB及びAD)と、偏光板3の辺(例えば、図2に示す辺A’B’及びA’D’)との距離から算出するものであり、液晶パネル2の基準点Aに対する偏光板3の角部A’の貼合ズレ量を算出する場合は、液晶パネル2の基準線ADと偏光板3の辺A’D’との距離を、偏光板3の短手方向の貼合ズレ量aとして算出することができ、液晶パネル2の基準線ABと偏光板3の辺A’B’との距離を、偏光板3の長手方向の貼合ズレ量bとして算出することができ、
(【0043】?【0045】、【図2】)
偏光板の貼合精度の合否を判定する判定工程では、上記演算工程において算出された結果を用いて、偏光板の貼合ズレ量、寸法及び直角度が所定範囲内であれば、偏光板の貼合精度が規定内にある合格品であると判定し、偏光板の貼合ズレ量、寸法及び直角度のうちのいずれか1つでも所定範囲外であれば、偏光板の貼合精度が規定外にある不合格品と判定するものであり、(【0059】?【0060】)
液晶表示装置の製造方法と組み合わせて、長尺の偏光板原反を切断しながら液晶パネルに貼合した偏光板の貼合精度を検査する方法。
(【0064】)」

(2)引用文献2(周知技術を示す文献)
原査定の拒絶の理由において引用する特開2005-61955号公報(上記引用文献2)には、図面とともに次の事項が記載されている。下線は当審が付した。
「【0017】
この発明は,搬送装置により検査対象物を搬送しながら検査(撮像)する検査装置に特に有効であるが,検査対象物が静止している場合や,撮像装置が移動する場合にも適用することができる。
【0018】
まず,搬送装置により検査対象物を搬送しながら検査する(撮像装置および照明装置は固定されている)この発明による検査装置について説明する。」

「【0021】
撮像装置は,搬送路の上記幅方向を走査方向とするラインセンサを含み,搬送路から離れた位置に,搬送路の幅方向を走査して撮像するように配置されている。撮像装置は,搬送路上の検査位置の幅方向の検査範囲の全体を撮像可能な程度に,搬送路から離れていればよい。」

「【0030】
この発明による検査方法は,検査対象物の検査すべき表面を照明装置により照明し,検査対象物の検査すべき表面からの透過光または反射光による像を撮像装置により撮像し,撮像により得られた画像データに基づいて検査対象物を検査する方法において,検査対象物の表面の位置の近傍から撮像装置に近づく方向に撮像装置の近くまで延びた少なくとも1対の遮光板を,検査対象物の表面またはその延長上に沿って移動自在に配置し,上記各遮光板を上遮光板移動機構により移動させるものである。
【0031】
2つの態様がある。その一は撮像装置がラインセンサを含み,検査対象物に対して相対的に移動するものであり,この場合には1対の遮光板も撮像装置とともに移動する。その二は撮像装置が検査対象物の検査対象領域を一遍に撮像する2次元センサを含むものである。この場合には,遮光板は2対またはそれ以上設けることもできる。いずれにしても非検査領域からの光が遮光板によって撮像装置に入射するのが防止される。場合によっては,撮像装置がライセンサを含み,かつ静止しているものも含む。」

(3)引用文献3(周知技術及び技術常識を示す文献)
当審が新たに引用する特開2002-48723号公報(以下「引用文献3」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。下線は当審が付した。
「【0013】
【発明の実施の形態】次に、本発明について実施の形態を説明する。本発明の検査方法および装置におけるデータ処理の過程について一例を図1に示す。また、本発明の検査方法および装置におけるエッジ近傍に存在する欠陥を検出する過程について説明図を図2に示す。図1、図2に基づいて説明する。まず、図1のステップS1において、検査対象である物品、一例としてプラスチックカードの撮像を行い撮像画像を得る(撮像過程)。
【0014】撮像方法の一例を説明しておく。プラスチックカードは積み重ねられて供給部に置かれており、供給部はその状態のプラスチックカードを一枚づつ分離して撮像部へと供給する。このとき、撮像部において所定の位置となるように位置決めが行なわれる。撮像済みのプラスチックカードは積み重ねられて排出部に置かれる。
【0015】撮像手段としては、一次元の撮像領域を有するラインセンサカメラ、2次元の撮像領域を有するエリアセンサカメラのいずれを使用することもできる。ラインセンサカメラではプラスチックカードを搬送しながら撮像が行なわれる。エリアセンサカメラではプラスチックカードを静止させるか、または、電子シャッター、ストロボ発光、等により実質的に静止させて撮像が行なわれる。
【0016】撮像画像10には、図2に示すように、プラスチックカード11と背景12とが含まれるように撮像が行なわれる。また、プラスチックカードの外観や表面状態における欠陥である、傷、凹(ヘコ)、凸(トツ)、等が撮像画像10に写し込まれるように、照明手段、撮像手段、等を配置し撮像が行なわれる。また、撮像画像10における画素の配列方向とプラスチックカード11のエッジ方向とが一致するように撮像が行なわれる。」

「【図1】



「【図2】



(4)引用文献4(周知技術及び技術常識を示す文献)
当審が新たに引用する特開2001-169313号公報(以下「引用文献4」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。下線は当審が付した。
「【0009】図1は、ディスプレイ装置の表示面コーティング欠陥例の断面図を示す。ディスプレイ装置表示面にコーティングした低反射膜1に発生するコーティング欠陥2は、図示のように、コーティングが?がれパネルガラス3がむき出しなっている。低反射膜1をパネルガラス3の全面にコーティングすることにより、ディスプレイ装置の使用環境下において外光の映り込みを低減し、ディスプレイ表示の視認性を向上する。パネルガラス3のコーティング面の反対側に、ブラックマトリクス黒鉛4と蛍光体5により蛍光表示面が形成されている。」

「【0011】図3は、本発明による欠陥検出方法の1実施例を示す図である。被検査対象18に対して、検出系12をコーティング面に近接して配置する。検出系12は照明系、撮像系、ハーフミラー10から構成される。
照明系は拡散面照明であり、蛍光灯6の背面(上面)に照明効率向上のためにアルミ箔などの反射板7を設け、前面(下面)には照明強度むらを低減するための拡散板8と欠陥部反射光成分を強調するためのフィルタ11を設置する。拡散板8とフィルタ11の上下の位置関係は図と逆であっても構わない。蛍光灯6の分光発光特性をL(λ)、フィルタ11の分光透過率特性をF(λ)とする。照明系からの拡散面照明光はハーフミラー10を介して被検査コーティング面に照射され、コーティング面からの反射光はハーフミラー10により90度方向を変えて撮像系であるエリアセンサ9に捉えられる。エリアセンサ9の分光感度特性をC(λ)とする。
【0012】照明系の駆動は高周波駆動回路16から供給される駆動信号13による。高周波駆動を用いるのは、エリアセンサ9で撮像した検査画像の明るさが撮像タイミングにより変動することを防ぐことを目的としている。例えば、照明系の駆動周期をエリアセンサ9の露光時間の1/10以下にする。エリアセンサ9からの映像信号15は検出・制御装置17に入力される。後述する検出アルゴリズムを内蔵する検出・制御装置17は、欠陥部からの反射光が強い性質に基づき欠陥検出を行う。
【0013】図3においては、コーティング面全面を一括検査できないため、被検査対象18を図示の方向に移動させ分割検査する。コーティング面が平面ではない場合、検出系回転軸13を中心に検出系12全体をコーティング面の法線方向に合わせて回転させるとともに、検出系12全体を図示の方向に上下させることにより、分割検査位置ごとにコーティング面に対する検出系12の相対的な位置・姿勢を一定範囲内に保つようにする。」

「【0016】図5も、本発明による欠陥検出方法の1実施例を示す図である。図3との相違は照明系と撮像系である。スリット光源23からフィルタ11越しにミラー24にスリット照明光が供給される。ミラー24はスリット照明光の方向を90度変えて、ハーフミラー10越しにコーティング面にスリット照明光を照射する。スリット光源23の分光発光特性をL(λ)、フィルタ11の分光透過率特性をF(λ)とする。撮像系には分光感度特性C(λ)のラインセンサ22を用いる。ラインセンサ22の撮像視野はスリット照明光が照射されている部分と一致するように、照明系、撮像系、ハーフミラー10の相互の位置関係を設定する。
【0017】図5においても図3と同様に、コーティング面全面を一括検査できないため、被検査対象18を図示の方向に移動させ分割検査する。コーティング面が平面ではない場合、検出系回転軸13を中心に検出系12全体をコーティング面の法線方向に合わせて回転させるとともに、検出系12全体を図示の方向に上下させることにより、分割検査位置ごとにコーティング面に対する検出系12の相対的な位置・姿勢を一定範囲内に保つようにする。
【0018】図6は、ディスプレイ表示面全面を一括検査する方式を表した図、図7はディスプレイ表示面全面を分割検査する方式を表した図である。図6においては、被検査領域25がディスプレイ表示面全面であるため、検出系12、被検査対象18を移動させる必要はないが、コーティング面が平面ではない場合、被検査領域25全域で撮像系の光学系焦点を合わせるために照明系の高輝度化と光学系絞りの絞り込みが必要である。また、図6に示したデイスプレイ表示面全面を一括検査する場合は、図5を除くエリアセンサ9を使用する場合に限られる。
【0019】図7に示したデイスプレイ表示面全面を分割して検査する場合においては、被検査領域25はディスプレイ表示面の一部であるため、図3?図5にあるように検出系12、被検査対象18を適宜移動させる必要がある。被検査対象18の移動方法と撮像系の撮像タイミングは、定速移動しながら撮像する方法と、加速、減速、停止後に撮像する方法がある。前者の場合、エリアセンサ9では電子シャッタなどによる露光時間の制御を適切に行い、撮像画像にブレが生じないようにする必要がある。またラインセンサ22の場合、センサ光学系の撮像倍率、センサのスキャンレートに合わせて被検査対象18の移動速度を決定し、ディスプレイ表示面全面を漏れなく撮像できるようにする必要がある。」

「【図1】



「【図3】



「【図5】



「【図6】



「【図7】



(5)引用文献5(周知技術を示す文献)
当審が新たに引用する特許4307510号公報(以下「引用文献5」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。下線は当審が付した。
「【0038】
(1)第1ロール原反準備工程(図1、S1)。長尺の第1シート製品を第1ロール原反として準備する。第1ロール原反の幅は、光学表示ユニットの貼り合わせサイズに依存している。具体的には、光学表示ユニットの長辺又は短辺の一方に対応させて、第1ロール原反の幅が決定され、他方に対応させて、第2ロール原反の幅が決定される。このため、第1ロール原反と第2ロール原反とは、異なる幅を有しており、スリット前ロール原反からスリット加工により、予め所定の幅にスリットされたものが使用される。」

「【0041】
図8に示すように、例えば、第1シート製品F1の積層構造は、第1光学フィルムF11と、第1離型フィルムF12と、表面保護フィルムF13とを有する。第1光学フィルムF11は、第1偏光子F11aと、その一方面に接着剤層(不図示)を介した第1フィルムF11bと、その他方面に接着剤層(不図示)を介した第2フィルムF11cとで構成されている。
【0042】
第1、第2フィルムF11b、F11cは、例えば、偏光子保護フィルム(例えばトリアセチルセルロースフィルム、PETフィルム等)である。第2フィルムF11cは、第1粘着剤F14を介して光学表示ユニット面側に貼り合わされる。第1フィルムF11bには、表面処理を施すことができる。表面処理としては、例えば、ハードコート処理や反射防止処理、スティッキングの防止や拡散ないしアンチグレア等を目的とした処理等が挙げられる。第1離型フィルムF12は、第2フィルムF11cと第1粘着剤層F14を介して設けられている。また、表面保護フィルムF13は、第1フィルムF11bと粘着剤層F15を介して設けられている。第1、第2フィルムF11b、F11cの具体的構成は後述する。以下において、偏光子と偏光子保護フィルムとの積層構造を偏光板と称することがある。」

「【0044】
(2)搬送工程(図1、S2)。準備され設置された第1ロール原反から第1シート製品F1を繰り出し、下流側に搬送する。第1シート製品F1を搬送する第1搬送装置12は、例えば、ニップローラ対、テンションローラ、回転駆動装置、アキュムレート装置A、センサー装置、制御装置等で構成されている。」

「【0048】
(4)第1切断工程(図1、S4)。第1切断装置16は、第1離型フィルムF12を切断せずに、表面保護フィルムF13、粘着剤層F15、第1光学フィルムF11および第1粘着剤層F14を所定サイズに切断する。その結果、第1離型フィルムF12を第1光学フィルムF11の搬送媒体として使用することができる。つまり、本発明では、光学フィルムに粘着剤層を介して形成された離型フィルムを搬送媒体として、第1切断貼合工程および第2切断貼合工程に第1光学フィルムF11および第2光学フィルムF21を各々搬送して供給することが好ましい。」

「【0051】
(5)第1光学フィルム貼合工程(図1、S5)。第1剥離装置17を用いて第1離型フィルムF12を除去しながら、第1貼合装置18を用いて当該第1離型フィルムF12が除去された第1光学フィルムF11を第1粘着剤層F14を介して光学表示ユニットWに貼り合せる。貼り合せに際し、後述するように、第1光学フィルムF11と光学表示ユニットWをロール対(181、182)で挟んで圧着する。」

「【0091】
第1貼合装置18は、上記切断処理後に、第1剥離装置17によって離型フィルムH12が剥離された第1シート製品F1(第1 光学フィルムF11)を、第1粘着剤層F14を介して光学表示ユニットWに貼り合せる。第1シート製品F1の搬送経路は、光学表示ユニットWの搬送経路の上方である。
【0092】
図5に示すように、貼り合せる場合に、押さえローラ181、案内ローラ182によって、第1光学フィルムF11を光学表示ユニットW面に圧接しながら貼り合わせる。押さえローラ181、案内ローラ182の押さえ圧力、駆動動作は、制御装置1によって制御される。」

「【0094】
つまり、本発明における第1光学フィルムの供給装置M2は、光学フィルムに粘着剤層を介して形成された離型フィルムを搬送媒体として、第1貼合装置M3に第1光学フィルムF11を供給する搬送機構を有する。
【0095】
貼合せ機構としては、押さえロ一ラ181とそれに対向して配置される案内ローラ182とから構成されている。案内ローラ182は、モータにより回転駆動するゴムローラで構成され、昇降可能に配備されている。また、その直上方にはモータにより回転駆動する金属ローラからなる押さえローラ181が昇降可能に配備されている。光学表示ユニットWを貼合せ位置に送り込む際には押さえローラ181はその上面より高い位置まで上昇されてローラ間隔を開けるようになっている。なお、案内ローラ182および押さえローラ181は、いずれもゴムローラであってもよいし金属ローラであってもよい。光学表示ユニットWは、上述したように各種洗浄装置によって洗浄され、搬送機構Rによって搬送される構成である。搬送機構Rの搬送制御も制御装置1の制御による。」

「【図1】



「【図5】



「【図8】



(6)周知技術、技術常識の認定
ア 引用文献2の記載事項(【0017】?【0018】、【0021】、【0030】?【0031】)から、引用文献2には次の技術事項が開示されているといえる。
「照明装置により照明された検査対象物からの透過光又は反射光による像を撮像装置により撮像し、撮像により得られた画像データに基づいて検査対象物を検査する際に(【0030】)、
撮像装置及び照明装置を固定し(【0018】)搬送装置により検査対象物を搬送しながら検査(撮像)する態様では(【0017】)、撮像装置は搬送路の幅方向を走査方向とするラインセンサを含み(【0021】)、
撮像装置が検査対象物の検査対象領域を一遍に撮像する態様では、撮像装置は2次元センサを含むこと(【0031】)。」

イ 引用文献3の記載事項(【0013】、【0015】?【0016】)から、引用文献3には次の技術事項が開示されているといえる。
「検査対象物品であるプラスチックカードの外観や表面状態における欠陥が撮像画像に写し込まれるように照明手段や撮像手段等を配置して撮像を行う撮像過程において(【0013】、【0016】)、
撮像手段として、一次元の撮像領域を有するラインセンサカメラを使用する場合には、プラスチックカードを搬送しながら撮像が行なわれ、
撮像手段として、2次元の撮像領域を有するエリアセンサカメラを使用する場合には、プラスチックカードを静止させるか、または、電子シャッター、ストロボ発光等により実質的に静止させて撮像が行なわれること(【0015】)。」

ウ 引用文献4の記載事項(【0009】、【0012】、【0019】、【図3】、【図5】)から、引用文献4には次の技術事項が開示されているといえる。
「ディスプレイ装置の表示面コーティング欠陥を検出する際に(【0009】)、被検査対象18を分割検査する場合には、検出系12、被検査対象18を適宜移動させる必要があり、被検査対象18の移動方法と撮像系の撮像タイミングは、定速移動しながら撮像する方法と、加速、減速、停止後に撮像する方法があり(【0019】)、
定速移動しながら撮像する方法をエリアセンサ9で行う場合には、電子シャッタなどによる露光時間の制御を適切に行い、撮像画像にブレが生じないようにする必要があり(【0019】、【図3】)、エリアセンサ9で撮像した検査画像の明るさが撮像タイミングにより変動することを防ぐために、照明系の駆動は高周波駆動回路16から供給される駆動信号13により行い、例えば、照明系の駆動周期をエリアセンサ9の露光時間の1/10以下にし、(【0012】、【図3】)
定速移動しながら撮像する方法をラインセンサ22で行う場合には、センサ光学系の撮像倍率、センサのスキャンレートに合わせて被検査対象18の移動速度を決定し、ディスプレイ表示面全面を漏れなく撮像できるようにする必要があること(【0019】、【図5】)。」

エ 上記ア?ウの各技術事項を踏まえると、次の技術事項は、周知技術であると認められる(以下「周知技術1」という。)。
[周知技術1]
「照明装置により照明された検査対象物からの光学像を撮像する撮像装置として、ラインセンサカメラとエリアセンサカメラがあり、ラインセンサカメラの場合は、検査対象物を搬送しながら撮像が行なわれ、エリアセンサカメラの場合は、検査対象物を静止させて撮像が行われること。」

オ 上記イ及びウの各技術事項を踏まえると、次の技術事項は、技術常識であると認められる。
[技術常識]
「照明装置により照明された検査対象物からの光学像を撮像する撮像装置がエリアセンサカメラである場合には、電子シャッター、ストロボ発光を用いれば、露光時間の制御や照明系の駆動周期の設定を適切に行うことにより、検査対象物が定速移動していても、実質的に静止させて撮像することが可能であること。」

カ 引用文献5の記載事項(【0038】、【0041】?【0042】、【0044】、【0048】)から、次の技術事項は、周知技術であると認められる(以下「周知技術2」という。)。
[周知技術2]
「粘着剤層を有する光学フィルムと、当該粘着剤層を介して当該光学フィルムが積層されている離型フィルムを有する積層構造のシート製品が、ロール原反として準備設置されており、ロール原反からシート製品を繰り出して下流側に搬送し、離型フィルムが光学フィルムの搬送媒体として使用されるように離型フィルムは切断せずに光学フィルムを切断すること。」

キ 引用文献5の記載事項(【0051】、【0091】、【0092】、【0094】、【0095】)から、次の技術事項は、周知技術であると認められる(以下「周知技術3」という。)。
[周知技術3]
「離型フィルムを搬送媒体とする光学フィルムと、光学表示ユニットを搬送しながら、離型フィルムが除去された光学フィルムを粘着剤層を介して光学表示ユニットの一方の面に貼り合わせること。」

2 対比・判断
(1)対比
本願発明と引用発明を対比する。

ア 引用発明の「偏光フィルム」は、本願発明の「第1光学フィルム」に相当し、引用発明の「剥離フィルムが粘着層を介して」「貼合されてなる」「偏光フィルム」は、本願発明の「粘着剤を有する第1光学フィルム」に相当する。
また、引用発明の「偏光フィルム」は、「少なくとも一方の面に接着剤を介して保護フィルムが貼合されてなり、偏光フィルムの保護フィルムが貼合されていない側の面に剥離可能な剥離フィルムが粘着層を介してさらに貼合されてなるもの」であるから、引用発明の「偏光板原反」は、「剥離フィルム」、「偏光フィルム」及び「保護フィルム」がこの順で積層されているといえる。
そうすると、本願発明の「粘着剤を有する第1光学フィルムと、当該粘着剤を介して当該第1光学フィルムが積層されている帯状の第1キャリアフィルムとを有する第1光学フィルム積層体」と、引用発明の「剥離フィルム」、「偏光フィルム」及び「保護フィルム」がこの順で積層された「偏光板原反」は、「粘着剤を有する第1光学フィルムを有する第1光学フィルム積層体」という点で共通する。

イ 引用発明の「偏光板原反をチップ状に切断」して「得られたチップ状偏光板」は、本願発明の「帯状の第1光学フィルム積層体のうち少なくとも第1光学フィルムを、幅方向に切断することで得られた第1光学フィルム片」に相当し、引用発明の「チップ状偏光板」が「貼合」される「液晶パネル」は、本願発明の「第1光学フィルム片」が「貼り合わ」される「光学セル」に相当する。
そして、本願発明の「第1光学フィルム片を、光学セルを搬送しながら、前記光学セルの第1面に貼り合わせる」ことと、引用発明の「チップ状偏光板を液晶パネルに貼合」することは、「第1光学フィルム片」を「光学セルの第1面に貼り合わせる」ことで共通する。

ウ 上記ア及びイの検討内容を踏まえると、本願発明の「第1貼合工程」と、引用発明の「RTP貼合方式」による「貼合」は、「粘着剤を有する第1光学フィルムを有する第1光学フィルム積層体のうち、少なくとも前記第1光学フィルムを幅方向に切断することで得られた第1光学フィルム片を、光学セルの第1面に貼り合わせる貼合工程」である点で共通する。

エ 引用発明の「カメラを固定し、カメラに対して偏光板を移動させながら偏光板の四隅を観察する」ことは、本願発明の「前記光学セルを搬送しながら、前記光学セルの第1面に貼り合された第1光学フィルム片の貼り位置を」「カメラで撮像する」ことに相当する。
また、引用発明の「2台のカメラ」は、「液晶パネルと偏光板との貼合面に対して垂直方向から、偏光板における4つの角部のうち、2つの角部をそれぞれ撮影可能な位置に配置され」ており、「偏光板における4つの角部のうち、偏光板の移動方向に向かって前方の2つの角部を第1段階で観察」するものであるから、本願発明の「搬送方向に対し直交する方向でかつ光学セルの幅方向端部に合わせて配置した」「第1、第2」「カメラ」に相当する。
そうすると、本願発明の「第1撮像工程」と引用発明の「観察工程」は、「前記光学セルを搬送しながら、前記光学セルの第1面に貼り合された第1光学フィルム片の貼り位置を、搬送方向に対し直交する方向でかつ光学セルの幅方向端部に合わせて配置した第1、第2カメラで撮像する撮像工程」である点で共通する。

オ 引用発明の「偏光板の貼合ズレ量」は、「演算工程」において、「観察工程で得られた観察データを用いて」、「液晶パネル2において、偏光板3の4つの角部が貼合されるべき位置」を「基準点」としたとき、「基準点間を結ぶ基準線」と「偏光板3の辺」の「距離から算出」されるものであるから、本願発明の「第1画像検査工程」と引用発明の「演算工程」は、「前記撮像工程で、第1、第2カメラで撮像して得られた画像から、所定箇所と前記第1光学フィルム片の端部との距離を画像処理して算出する画像検査工程」である点で共通する。

カ 引用発明の「偏光板の貼合精度の合否を判定する判定工程」は、「偏光板の貼合ズレ量」をその判定指標の一つに用いており、「偏光板の貼合ズレ量」は、「基準点間を結ぶ基準線」と「偏光板3の辺」の「距離から算出」されるから、本願発明の「第1判定工程」と引用発明の「判定工程」は、「前記画像検査工程で算出された距離に基づいて、貼りズレを判定する判定工程」である点で共通する。

キ 引用発明の「液晶表示装置の製造方法と組み合わせて、長尺の偏光板原反を切断しながら液晶パネルに貼合した偏光板の貼合精度を検査する方法」は、本願発明の「光学表示パネルの製造方法」に相当する。

上記ア?キを踏まえると、本願発明と引用発明は、以下の一致点で一致し、以下の相違点1?3で相違する。

[一致点]
「粘着剤を有する第1光学フィルムを有する第1光学フィルム積層体のうち、少なくとも第1光学フィルムを幅方向に切断することで得られた第1光学フィルム片を、光学セルの第1面に貼り合わせる貼合工程と、
前記光学セルを搬送しながら、前記光学セルの第1面に貼り合された第1光学フィルム片の貼り位置を、搬送方向に対し直交する方向でかつ光学セルの幅方向端部に合わせて配置した第1、第2カメラで撮像する撮像工程と、
前記撮像工程で、第1、第2カメラで撮像して得られた画像から、所定箇所と前記第1光学フィルム片の端部との距離を画像処理して算出する画像検査工程と、
前記画像検査工程で算出された距離に基づいて、貼りズレを判定する判定工程と、を含む光学表示パネルの製造方法。」

[相違点1]
本願発明では、「第1光学フィルム積層体」が「粘着剤を有する第1光学フィルムと、当該粘着剤を介して当該第1光学フィルムが積層されている帯状の第1キャリアフィルムとを有する」ものであり、「第1光学フィルム積層体のロールから、帯状の第1光学フィルム積層体を繰り出し」、「光学セルを搬送しながら」、「第1光学フィルム片を、前記光学セルの第1面に貼り合わせる」ものであるのに対して、引用発明では、「剥離可能な剥離フィルム」がキャリアフィルムであるか明らかではなく、「長尺の偏光板原反」がロール状であり、ロールから繰り出されるものであるかも明らかではなく、「RTP貼合方式」による「貼合」が、「液晶パネル」を搬送しながら行われるものであるかについても明らかではない点。

[相違点2]
「撮像工程」で用いられる「第1、第2カメラ」が、本願発明では「エリアセンサ」であるのに対して、引用発明では「エリアセンサ」であるとは明示されていない点。

[相違点3]
「画像検査工程」で「算出」される「所定箇所と前記第1光学フィルム片の端部との距離」が、本願発明では、「搬送方向(y)および搬送方向と直交する方向(x)における、前記光学セルの端部と前記第1光学フィルム片の端部との距離(Dx1?Dx4、Dy1?Dy4)」であるのに対して、引用発明では、「基準点間を結ぶ基準線」と「偏光板3の辺」の「距離」である点。

(2)判断
ア 相違点1について検討する。
(ア)粘着剤層を有する光学フィルムと、当該粘着剤層を介して当該光学フィルムが積層されている離型フィルムを有する積層構造のシート製品が、ロール原反として準備設置されており、ロール原反からシート製品を繰り出して下流側に搬送し、離型フィルムが光学フィルムの搬送媒体として使用されるように離型フィルムは切断せずに光学フィルムを切断することは、前記周知技術2に示すとおり周知技術である(前記1(6)カ参照)。
ここで、上記「積層構造のシート製品」は本願発明の「第1光学フィルム積層体」に対応し、上記「ロール原反」は本願発明の「第1光学フィルム積層体のロール」に対応し、上記「光学フィルムの搬送媒体として」の「離型フィルム」は、本願発明の「帯状の第1キャリアフィルム」に対応する。

(イ)また、離型フィルムを搬送媒体とする光学フィルムと、光学表示ユニットを搬送しながら、離型フィルムが除去された光学フィルムを粘着剤層を介して光学表示ユニットの一方の面に貼り合わせることは、前記周知技術3に示すとおり周知技術である(前記1(6)キ参照)。
ここで、上記「光学表示ユニット」は本願発明の「光学セル」に対応し、上記「離型フィルムが除去された光学フィルム」は本願発明の「第1光学フィルム片」に対応する。

(ウ)そして、引用発明では、「偏光フィルムの保護フィルムが貼合されていない側の面に剥離可能な剥離フィルムが粘着層を介してさらに貼合されてなる」「偏光板原反」を「チップ状偏光板」にして「液晶パネルに貼合」して「検査対象となる偏光板」とするから、前記周知技術2及び3を踏まえれば、「偏光板原反」をロール原反として準備し、ロール原反から繰り出して「剥離フィルム」を「偏光フィルム」の搬送媒体として、「RTP貼合方式」による「貼合」が、「液晶パネル」を搬送しながら行われるようにすることは、明示の特定がなくても、当業者が当然に認識できることである。したがって、前記相違点1は、実質的な相違点ではない。

イ 相違点2について検討する。
(ア)照明装置により照明された検査対象物からの光学像を撮像する撮像装置としては、ラインセンサカメラとエリアセンサカメラがあり、ラインセンサカメラの場合は、検査対象物を搬送しながら撮像が行なわれ、エリアセンサカメラの場合は、検査対象物を静止させて撮像が行われることは、前記周知技術1に示すとおり周知技術である(前記1(6)エ参照)。

(イ)ここで、引用発明の「観察工程」は、「例えば、カメラを固定し、カメラに対して偏光板を移動させながら偏光板の四隅を観察する場合には、偏光板における4つの角部のうち、偏光板の移動方向に向かって前方の2つの角部を第1段階で観察し、偏光板の移動方向に向かって後方の2つの角部を第2段階で観察するもの」であるところ、引用文献1の段落【0040】の記載(「エリアカメラは、偏光板の四隅を撮影するために偏光板を停止させる必要がある」)も考慮すると、「偏光板を移動させながら」撮像を行う引用発明に前記周知技術1を適用して、「カメラ」を「エリアセンサカメラ」としても、撮像のときは偏光板を静止させる必要があるから、本願発明の「前記光学セルを搬送しながら」「エリアセンサカメラで撮像する」という構成を得ることが困難になってしまうとも考えられる。

(ウ)しかしながら、前記「1 引用文献等」の「(6)周知技術、技術常識の認定」のオにおいて示したとおり、照明装置により照明された検査対象物からの光学像を撮像する撮像装置がエリアセンサカメラである場合には、電子シャッター、ストロボ発光を用いれば、露光時間の制御や照明系の駆動周期の設定を適切に行うことにより、検査対象物が定速移動していても、実質的に静止させて撮像することが可能であることは、技術常識であるから、「偏光板を移動させながら」撮像を行う引用発明に前記周知技術1を適用して「カメラ」を「エリアセンサカメラ」としたとき、露光時間の制御や照明系の駆動周期の設定を適切に行うことにより、偏光板を静止させることなく撮像することは可能であるといえる。
(引用文献1の段落【0040】の「エリアカメラは、偏光板の四隅を撮影するために偏光板を停止させる必要がある」という記載の「停止」が、露光時間の制御や照明系の駆動周期の設定を適切に行うことにより実現される「実質的」な「停止」も含むと考えれば、引用文献1の上記記載と前記技術常識は矛盾することはない。)
したがって、上記相違点2に係る本願発明の「前記光学セルを搬送しながら」「エリアセンサカメラで撮像する」という構成は、当業者が容易に想到し得たことである。

ウ 相違点3について検討する。
引用発明では、「基準点間を結ぶ基準線」と「偏光板3の辺」の「距離」を算出しているところ、当該基準点をどこに設定するかは、当業者が適宜選択すべき設計事項にすぎない。したがって、引用文献1の図2に示す基準点A、B、C及びDに代えて、液晶パネル2の4つの角部を基準点として選択・設定し、「所定箇所と前記第1光学フィルム片の端部との距離」が、搬送方向及び搬送方向と直交する方向における、液晶パネル2の辺と偏光板3の辺の距離となるようにして、前記相違点3に係る本願発明の構成とすることは、格別なものではなく、実質的な相違点ではない。

エ そして、前記相違点1?3を総合的に勘案しても、本願発明の奏する効果は、引用発明、前記周知技術1?3及び技術常識から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

(3)請求人の主張について
ア 審判請求書において、請求人は次のとおり主張している。下線は当審が付した。

「引用文献2の全体の記載からすれば、引用文献2ではラインセンサカメラで検査対象を搬送しながら撮像することであり、一方、エリアセンサカメラでは静止させて検査対象を撮像するものと理解することが妥当であると考えます。すなわち、拒絶査定通知で指摘されている、引用文献2の段落0017、0031、0078では、静止して撮像する(2次元センサ)に対しても遮光板が有効であると記載しているに過ぎず、これは『2次元センサで搬送しながら』を示唆したものではありません。特に段落0031には、2次元センサで静止して撮像する場合、2対の遮光板が必要と記載されているとおり、面照明での撮像では搬送する対象物の幅方向だけでなく、流れ方向(搬送方向)にも遮光する必要があること示しています。これは、静止して撮像することを前提にした記載であると思料致します。
仮に、引用文献2の記載をもって、エリアセンサカメラの使用の可能性を考慮したとしても、引用文献1の段落0040には『ラインカメラは、撮影の精度が偏光板の搬送速度の影響を受けるため、得られた画像データ(観察データ)が不鮮明となる可能性があるものの、偏光板が動いている状態であっても偏光板の四隅を撮影することができる。一方、エリアカメラは、偏光板の四隅を撮影するために偏光板を停止させる必要があるものの、撮影の精度が高いので、より鮮明な画像データ(観察データ)を得ることができる。』と記載されています。つまり、動きながら撮影すると不鮮明になる、エリアカメラでは停止させることでより鮮明な画像が得られると説明しているのであって、この記載からも、わざわざ鮮明な画像が得られるエリアカメラの特長(メリット)をなくしてまで、搬送しながら撮像する技術を採用することには通常考えられず、阻害要因があると思料致します。」

イ しかしながら、上記「(2)判断」のイにおいて説示したとおり、撮像装置がエリアセンサカメラである場合には、電子シャッター、ストロボ発光を用いれば、露光時間の制御や照明系の駆動周期の設定を適切に行うことにより、検査対象物が定速移動していても、実質的に静止させて撮像することが可能であるから、引用文献1の「エリアカメラ」にしても、引用文献2の「エリアセンサ(2次元センサ)」にしても、検査対象物の搬送を止めて現実に静止させて撮像することを前提とするとはいえないから、請求人の上記主張アを採用することはできない。

ウ なお、請求人の上記主張によれば、「エリアカメラ」は「動きながら撮影すると不鮮明」になり「停止させることでより鮮明な画像が得られる」ものであって、「わざわざ鮮明な画像が得られるエリアカメラの特長(メリット)をなくしてまで、搬送しながら撮像する技術を採用することには通常考えられ」ないとしているところ、本願発明は、「動きながら撮影すると不鮮明になる」という不都合に対処する技術構成は何ら特定していないのであって、エリアセンサの性能や光学セルの移動速度にも依存するが、仮に請求人の主張する不都合が存在したとして、本願発明は、そのような請求人が不都合であるというものを包摂する概念として特許を請求するものである。結局のところ、本願発明は、当業者が容易に想到する技術課題そのものを特定したにすぎないというべきであり、その意味でも当業者が容易に想到し得た発明である。
したがって、請求人の上記主張に沿って検討しても、前記(2)の判断を覆すには至らない。


第5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明、周知技術1?3及び技術常識に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2021-02-25 
結審通知日 2021-02-26 
審決日 2021-03-10 
出願番号 特願2019-28563(P2019-28563)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G09F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中村 直行  
特許庁審判長 岡田 吉美
特許庁審判官 濱野 隆
岸 智史
発明の名称 光学表示パネルの製造方法および光学表示パネルの製造システム  
代理人 特許業務法人 ユニアス国際特許事務所  
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