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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1373619
審判番号 不服2019-17710  
総通号数 258 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-12-27 
確定日 2021-05-18 
事件の表示 特願2016-566208「基板をエッチングする方法、デバイス構造をエッチングする方法及び処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年11月12日国際公開、WO2015/172130、平成29年 7月27日国内公表、特表2017-520909、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年5月11日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年5月9日、米国)を国際出願日とする出願であって、令和1年10月17日付けで拒絶査定がなされた。その後の手続きは、概略、以下のとおりである。

令和 1年10月17日(起案日):拒絶査定
令和 1年12月27日 :審判請求
令和 2年 8月 5日(起案日):拒絶理由通知
令和 2年11月 9日 :意見書・手続補正書
令和 3年 1月 6日(起案日):最後の拒絶理由通知
令和 3年 2月 9日 :意見書・手続補正書

第2 本願発明
本願請求項1-12に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明12」という。)は、令和3年2月9日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-12に記載された事項により特定される発明であり、そのうちの本願発明1、8、11は以下のとおりの発明である(審決注:補正箇所に下線を付加した。)。

「【請求項1】
基板をエッチングする方法であって、
処理装置の第1セットの制御設定を用いて第1のイオンビームを前記処理装置の抽出プレートを通して前記基板に向けるステップと、
前記第1のイオンビームによってエッチングされる材料の第1の材料から第2の材料への変化を示す、前記基板からの信号を検出するステップと、
前記処理装置の制御設定を前記第2の材料に基づいて前記第1セットの制御設定と異なる第2セットの制御設定に調整するステップと、
前記第2セットの制御設定を用いて第2のイオンビームを前記抽出プレートを通して前記基板に向けるステップと、
前記基板を、第1の方向に沿って走査するように構成された基板ホルダを備えるステップと、
を備え、
イオンビームはパルスイオンビームより成り、モニタリング装置は、前記第1の方向に沿って前記基板に対して複数の異なる位置に配置され、前記基板ホルダと連動する複数の発光分光分析(OES)検出器を備え、第1の信号は前記複数の異なる位置の第1の位置で検出される第1のOES信号であり、少なくとも一つのコンピュータ可読記憶媒体は、実行時に、前記処理装置に、
前記第1のOES信号と異なる、前記複数の異なる位置の第2の位置からの第2のOES信号を前記基板から受信させ、
前記第1のOES信号及び前記第2のOES信号の受信に応答して前記第1の方向に沿う前記基板の走査中に前記パルスイオンビームのイオンビームデューティサイクルを調整させる、
命令を備え、
前記制御設定を第2セットの制御設定に調整するステップは、
前記第1セットの制御設定を前記第2の材料と関連する所定のセットの制御設定に調整するステップと、
前記所定のセットの制御設定を用いて前記抽出プレートを通して向けられるイオンビームのイオンエネルギー、イオンビーム電流及びイオン角度分布の各パラメータを含むイオンビームプロファイルを少なくとも一つ測定するために計測器を使用するステップと、
前記測定された前記イオンビームプロファイルの各パラメータに基づいて、前記所定のセットの制御設定を前記第2セットの制御設定に調整するステップと、
を備える方法。」

「【請求項8】
デバイス構造をエッチングする方法であって、
基板基部上に配置された、少なくとも一つの金属層を含む多数の層を有する積層と、前記積層上に配置された複数のマスク特徴部を有するマスクとを備える基板を設けるステップと、
処理装置の第1セットの制御設定を用いて第1のイオンビームを前記処理装置の抽出プレートを通して前記積層に向けるステップと、
前記積層内のエッチングされている材料の第1の材料から第2の材料への変化を示す発光分光分析(OES)信号を前記積層から検出するステップと、
前記処理装置の制御設定を前記第2の材料に基づいて前記第1セットの制御設定と異なる第2セットの制御設定に調整するステップと、
前記第2セットの制御設定を用いて第2のイオンビームを前記抽出プレートを通して前記積層に向けるステップと、
前記基板を、第1の方向に沿って走査するように構成された基板ホルダを備えるステップと、
を備え、
イオンビームはパルスイオンビームより成り、モニタリング装置は、前記第1の方向に沿って前記基板に対して複数の異なる位置に配置され、前記基板ホルダと連動する複数の発光分光分析(OES)検出器を備え、第1の信号は前記複数の異なる位置の第1の位置で検出される第1のOES信号であり、少なくとも一つのコンピュータ可読記憶媒体は、実行時に、前記処理装置に、
前記第1のOES信号と異なる、前記複数の異なる位置の第2の位置からの第2のOES信号を前記基板から受信させ、
前記第1のOES信号及び前記第2のOES信号の受信に応答して前記第1の方向に沿う前記基板の走査中に前記パルスイオンビームのイオンビームデューティサイクルを調整させる、
命令を備え、
前記制御設定を第2セットの制御設定に調整するステップは、
前記第1セットの制御設定を前記第2の材料と関連する所定のセットの制御設定に調整するステップと、
前記所定のセットの制御設定を用いて前記抽出プレートを通して向けられるイオンビームのイオンエネルギー、イオンビーム電流及びイオン角度分布の各パラメータを含むイオンビームプロファイルを少なくとも一つ測定するために計測器を使用するステップと、
前記測定された前記イオンビームプロファイルの各パラメータに基づいて、前記所定のセットの制御設定を前記第2セットの制御設定に調整するステップと、
を備える、方法。」

「【請求項11】
プラズマチャンバ内でプラズマを発生するプラズマ源と、
前記プラズマチャンバの一側に沿って配置され、前記プラズマチャンバと基板との間にバイアスが供給されたときイオンビームを前記基板に向けるように構成された開口を有する抽出プレートと、
前記基板からの少なくとも一つの信号を測定するモニタリング装置と、
少なくとも一つのコンピュータ可読記憶媒体であって、実行時に、処理装置に、
第1セットの制御設定を用いて第1のイオンビームが前記基板に向けられているとき、第1の材料から第2の材料への材料の変化を示す前記基板からの第1の信号を識別させ、
前記第2の材料に基づいて前記処理装置の制御設定を前記第1セットの制御設定と異なる第2セットの制御設定に調整させ、
前記第2セットの制御設定を用いて第2のイオンビームを前記抽出プレートを通して前記基板に向けさせる、
命令を備えるコンピュータ可読記憶媒体と、
前記基板を、第1の方向に沿って走査するように構成された基板ホルダと、
を備え、
前記イオンビームはパルスイオンビームより成り、前記モニタリング装置は、前記第1の方向に沿って前記基板に対して複数の異なる位置に配置され、前記基板ホルダと連動する複数の発光分光分析(OES)検出器を備え、前記第1の信号は前記複数の異なる位置の第1の位置で検出される第1のOES信号であり、前記少なくとも一つのコンピュータ可読記憶媒体は、実行時に、前記処理装置に、
前記第1のOES信号と異なる、前記複数の異なる位置の第2の位置からの第2のOES信号を前記基板から受信させ、
前記第1のOES信号及び前記第2のOES信号の受信に応答して前記第1の方向に沿う前記基板の走査中に前記パルスイオンビームのイオンビームデューティサイクルを調整させる、
命令を備え、
前記少なくとも一つのコンピュータ可読記憶媒体は、さらに、実行時に、前記処理装置に、
前記第1セットの制御設定を前記第2の材料と関連する所定のセットの制御設定に調整させ、
前記所定のセットの制御設定を用いて前記抽出プレートを通して向けられるイオンビームのイオンエネルギー、イオンビーム電流及びイオン角度分布の各パラメータを含むイオンビームプロファイルを少なくとも一つ測定するために計測器を使用させ、
前記測定された前記イオンビームプロファイルの各パラメータに基づいて前記所定のセットの制御設定を前記第2セットの制御設定に調整させる、
命令を備える、処理装置。」

なお、本願発明2-7、9-10、12の概要は以下のとおりである。

本願発明2-7は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明9-10は、本願発明8を減縮した発明である。
本願発明12は、本願発明11を減縮した発明である。

第3 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開平10-317172号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【特許請求の範囲】
【請求項1】 真空容器内のガスをアーク電源でプラズマ化して引出電極を通過させ、プラズマからイオンビームを引き出し、基板ホルダに配置された試料にイオンビームを照射し、エッチング加工を行なうイオンビーム加工装置において、上記試料にビームパワーでエッチング加工を行い、エッチング加工の深さが試料の残り部分より進行した時点で、最初のエッチング加工時のビームパワーより小さいビームパワーに切替えて残り部分をエッチング加工する出力電源制御装置を引出電極に接続することを特徴とするイオンビーム加工装置。
【請求項2】 真空容器内のガスをアーク電源でプラズマ化して引出電極を通過させ、プラズマからイオンビームを引き出し、基板ホルダに配置された試料にイオンビームを照射しエッチング加工を行なうイオンビーム加工装置において、上記試料の厚み全長を1とすれば、厚みが4分3になるまでをビームパワーでエッチング加工を行い、試料の深さが4分3から4分4との間で最初のビームパワーより小さいビームパワーに切替えて試料にエッチング加工を行う出力電源制御装置を引出電極に接続することを特徴とするイオンビーム加工装置。
【請求項3】 上記試料に形成した多層膜をビームパワーでエッチング加工を行う途中で膜の種類が変わった時点で、最初のビームパワーを他のビームパワーに出力電源制御装置で切替えることを特徴とする請求項1又2記載のイオンビーム加工装置。
【請求項4】 上記試料に形成した種類の異なる多層膜をビームパワーでエッチング加工を行う途中で膜に膜種検出装置からの光をに照射し、膜からの反射してきた発光スペクトルにより膜の種類を判断してビームパワーに出力電源制御手段で変えることを特徴とする請求項1又2記載のイオンビーム加工装置。」

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はイオンビームを試料に照射し、微細加工を行わせるイオンビーム加工装置に係わり、特に試料に形成した多層膜中に膜に応じてビームパワーを変るように制御する装置に関する。」

「【0008】
【発明の実施の形態】本発明の一実施例を図1を用いて説明する。図1はイオンビーム加工装置を示している。真空容器1は配管2を通して図示しない真空排気系により、内部を真空にしている。真空容器1はそれぞれイオン源室1a、処理室1bとより成り立っている。イオン源室1aの内部は、フィラメント3がイオン源室1aと電気的絶縁を保って設けられる。フィラメント3はフィラメント電源4に接続され、イオン源室1aの壁とフィラメント3間にアーク電源5が接続される。イオン源室1aには、更にガス配管6が接続され、ガスボンベ7からのガスの供給を受ける。ガスは、不活性ガスであるAr(アルゴン)が一般的に使用されるが、このガスに限定するものでなく他のガスを用いても良い。
【0009】イオン源室1aと処理室1bとの間には、加速電極8、減速電極10がイオン源室1aと処理室1bとに電気的に絶縁して配置されている。加速電極8、減速電極10を合わせて引出電極と呼ぶ。加速電極8、減速電極10には、加速電源9、減速電源11がそれぞれ接続されている。フィラメント電源4、アーク電源5、加速電源9、減速電源11はそれぞれ制御ケーブル4a、5a、9a、11aで電源出力制御手段12と接続され、ビームパワーが制御できる。
【0010】処理室1bの内部に基板ホルダ13が配置され、基板ホルダ13には基板100が固定保持される。基板ホルダ13は、イオンビームに対して任意の角度がとれると共に、基板ホルダの軸を中心に回転可能である。又加速電極8、減速電極10と基板100との間の処理室内には昇降可能なシャッターを設けている。
【0011】次に、イオン源室1aの動作を説明する。真空容器1を10-4Pa程度の高真空に排気後、ボンベ7からArガスを供給し、10-2Pa程度の真空中で、フィラメント3にフィラメント電源4を供給し、フィラメントを加熱し、該フィラメントと真空容器1aとの壁の間にアーク電源5により電圧を印加することで、放電を生じせしめ、Arのプラズマを発生させる。このことで真空容器1a内は中性のArガスの外にArのイオンと電子とが混在して存在する。
【0012】加速電極8、減速電極10に引出電源9、11より電位を与えると、これらの電極を通してプラズマの中からArのプラスイオンがイオンビーム20として引き出される。イオンビームの加速電圧と電流は出力電源制御手段12によって設定した値に保持される。イオンは加速電源9で与えられる電位の運動エネルギーを持って基板100を照射し、図2で示すように、マスク103で覆われていない部分を鎖線104のように削り取り、エッチング加工105を行う。図1では図示してないが、引出電極の近く処理室1bの内部にイオンビームを中性化するためのニュートラライザを配置する。
【0013】多層膜の内で厚膜層a(101)と厚膜層aより薄い薄膜層b(102)のビームパワー(加速電圧×イオンビーム電流)に対する加工速度があらかじめ分かっている場合は、ビームパワーPaで厚膜層aをエッチング加工する加工時間taと、ビームパワーPbで薄膜層bをエッチング加工する加工時間tbを求めておき、ビームパワーPaで加工時間taにより厚膜層aを加工した後、ビームパワーをPbに変化させつまりビームパワーPaより小さくしたビームパワーPbで薄膜層bを加工時間tbだけエッチング加工するように出力電源制御手段12に指令を与えておく。つまり出力電源制御手段12により引出電源9、11を制御して、加速電圧×イオンビーム電流を変えて、ビームパワーPaを変える。
【0014】こうすることで、図4に示すように、薄膜層bを加工する加工時間tは図3に示す薄膜層bの加工時間tbよりも大きくできる。図3の加工時間tbが例えば30秒という短い時間であっても、図4の加工時間tbはビームパワーの取り方で2分にも3分にも長くすることが可能で、加工速度が遅くなることで、制御性の良い高精度のエッチング加工105が出来ることになる。又厚膜層aから薄厚層bに切替わる時に、ビームパワーPaより小さいビームパワーPbにすることにより、薄厚層bをエッチング加工104する際に薄厚層bを突き抜けて他の層をエッチング加工することを防止出来る。」

「【0019】更に他の実施例を図6に示す。本実施例では図1で示す構成に膜種検出装置200を設けたもので、膜種検出装置200は例えば材料固有の発光スペクトルを発する。例えば膜101に光を照射し反射してきた発光スペクトルと、膜102に光を照射し反射してきた発光スペクトルが違うので、これらの発光スペクトルに応じた信号を出力電源制御手段12にフィードバックさせて、膜101から102に変化したところで、ビームパワーをPaからPbに低下させて加工を行い、膜102が削れた時点で電源停止指令、あるいはイオンビーム20を遮るシャッター手段(図示せず)をイオンビーム20と基板100との間に挿入することで、加工を停止させる。本実施例では、膜種検出装置200を用いることにより、膜厚が予想と異なっていてもビームパワーの変化点を正確に示せるので、精度の良いエッチング加工を行うことができる。
【0020】以上の実施例は、多層膜の加工について説明したが、基板の上に1種類の膜がある単層膜の微細加工つまりエッチング加工にも適用でき、単層膜の膜厚の全厚の厚さ2分1まではビームパワーPaでエッチング加工を行い。単層膜の厚み4分の3との間でビームパワーPaをビームパワーPbに変え、エッチング加工を行うことが出来る。この場合、全体の加工時間は大きく変わることなく、基板表面は小さなビームパワーの照射となるため基板表面の粗れを小さくすることが出来るという効果がある。
【0021】更に単層膜にビームパワーでエッチング加工を行い、エッチング加工の深さが単層膜の残り部分より進行した時点で、最初のエッチング加工時のビームパワーより小さいビームパワーに切替えて残り部分をエッチング加工するように出力電源制御装置を制御しても良い。この場合、出力電源制御装置には単層膜のエッチング加工の深さ及び時間とビームパワーとの関係を予め格納したマイクロコンピュータにより、単層膜のエッチング加工の進行に応じてビームパワーを制御する。」

「【0022】
【発明の効果】本発明によれば、ビームパワーの大きなところで、膜の大部分をエッチング加工し、残りの膜及び基板をビームパワーを小さくしてエッチング加工するので、基板表面の粗らさが小さいエッチング加工が行えるという効果がある。また多層膜のイオンビーム加工において、膜の種類、厚さに応じてビームパワーを制御することで、精度の良い加工が出来るという効果がある。」

図1、2、6は、以下のとおりのものである。


(2)ア 段落【0009】、【0012】、【0013】、【0019】の記載及び図2から、引用文献1には、「出力電源制御装置12によって設定したビームパワーPaで膜101をエッチング加工するステップ」を備えることが記載されていると認められる。

イ 段落【0009】、【0012】、【0013】、【0019】の記載及び図2から、引用文献1には、「膜101、102に光を照射し反射してきた発光スペクトルに応じた信号を出力電源制御手段12にフィードバックさせて、膜101から102に変化したところで、ビームパワーをPaからPbに低下させて、ビームパワーPbで膜102のエッチング加工を行い、膜102が削れた時点で、加工を停止させるステップ」を備えることが記載されていると認められる。

ウ 段落【0021】の記載から、引用文献1には、「出力電源制御装置によるビームパワーの制御はマイクロコンピュータにより行われる」ことが記載されていると認められる。

エ したがって、上記引用文献1には、図6に示された他の実施例として、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「多層膜を形成した基板にイオンビームを照射して行なうエッチング加工方法であって、
上記基板にビームパワーでエッチング加工を行い、エッチング加工の深さが基板の残り部分より進行した時点で、最初のエッチング加工時のビームパワーより小さいビームパワーに切替えて残り部分をエッチング加工する出力電源制御装置12が引出電極8、10に接続されており、
処理室1bの内部に基板100が固定保持される基板ホルダ13が配置され、基板ホルダ13は、イオンビームに対して任意の角度がとれると共に、基板ホルダの軸を中心に回転可能であり、
材料固有の発光スペクトルを発する膜種検出装置200が設けられた、イオンビーム加工装置を用いて行う方法であり、
引出電極8、10を通してイオンビームを引き出し、イオンビームの加速電圧とイオンビーム電流を出力電源制御手段12によって設定した値に保持して、イオンを基板100に向けて照射し、マスク103で覆われていない部分を削り取り、エッチング加工を行う方法であり、
出力電源制御装置12によって設定したビームパワーPaで膜101をエッチング加工するステップと、
膜101、102に光を照射し反射してきた発光スペクトルに応じた信号を出力電源制御手段12にフィードバックさせて、膜101から102に変化したところで、ビームパワーをPaからPbに低下させて、ビームパワーPbで膜102のエッチング加工を行い、膜102が削れた時点で、加工を停止させるステップと、
を備える方法。」

2 引用文献2について
また、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開平2-91940号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「(発明が解決しようとする課題点)
反応性ガスを用いないスパッタエッチング法は、RIEのようにエッチング材料間で高い選択性は有しないが、逆にいかなる材料でもエッチング可能である利点をもっている。スパッタエッチングは通常2?5×10^(-4)Torrのアルゴン(Ar)雰囲気において高周波放電によりアルゴンイオン(Ar^(+))を発生し600V程度に加速して被エッチング材料に入射させ、アルゴンイオンによるスパッタリーング効果によってエッチングを行う。比較的抵抗中でアルゴンイオンが加速され被エッチング材料に入射するためエッチング形状はイオン入射角度に保存した異方性の強い形状となる筈であるが、前記のような再付着膜の発生によってエッチング形状の制御は現実には困難である。特に銅を主成分とする配線の場合には、エッチングマスク材としてのみでなく、下地の層間絶縁酸化膜と銅との密着性を向上させることを目的とした下敷接着層あるいは、配線形成後のプロセスにおける銅の酸化を防止することを目的とした表面酸化防止膜を有する積層構造配線となる。しかもこのような性質を有する材料の構成元素はすべて銅と比べて数分の1という小さいスパッタ収率を示し、厚い再付着膜が形成される。
そこで本発明は、スパッタ収率の異なる材料かになる積層構造配線のスパッタエッチングに際し、再付着膜によってエッチング形状を悪化させる事なく、微細配線パターンを形成するための半導体装置の製造方法を提出する事を目的とする。
[発明の構成]
(課題を解決するための手段)
本発明の骨子はスパッタ収率の異なる材料からなる積層構造配線の各層へのスパッタリングイオンの主面法線となす角度で定義する入射角度を変化させてスパッタエッチングを行う事にある。すなわち、スパッタ収率の小さい材料からなる層へのイオン入射角度を、スパッタ収率の大きい材料からなる層へのイオン入射角度よりも大きく、つまり基板主面法線に対してより大きな傾斜角度とし、更に配線層の全厚が丁度エッチングされた後に、より大きなイオン入射角度および基板主面にほぼ垂直の2方向の入射角度で交互にエッチングを行い再付着膜を除去する事とした半導体装置の製造方法である。
(作用)
従来のスパッタエッチングによる配線バターニングでは、レジストマスクの後退を抑えるためにSiO_(2)あるいはTiNのようなマスク材料を用いた場合、スパッタリングウオンの入射角度が基板主面に垂直で一定であったため、厚い再付着膜が形成され、配線形状は大きなテーパーを有しており、配線幅1μm以下の微細配線パターンの形成はできなかった。ところが、本発明のエッチング方法によれば、スパッタ収率のイオン入射角度依存性が金をのぞいて垂直入射から45°傾斜入射まで次第に増加し、更に大きな傾斜角度では急激に減少する傾向を示すことを利用して、スパッタ収率の小さい材料からなる層のエッチングに際しては、イオン入射角度を基板主面法線に対して大きな傾斜角度(θ)とする事により、スパッタ収率を増加させエッチング速度を増加させると共に側壁へのイオン入射角度は側壁法線に対し微小角度(≒(審決注:原文は表示不能な外字「?」と「_」を併せた記号である。以下同じ。)0°)から90°-θに増加するので側壁再付着膜の成長が抑制される。次いでスパッタ収率の大きい材料からなる層のエッチングに再しては、イオン入射角度が小さくても充分なエッチング速度が得られると共に、スパッタ収率の小さいマスク材のエッチング速度が小さいためマスクの後退が防止され、パターン寸法は維持される。また、配線層の全厚が丁度エッチングされた後に、より大きな傾斜角度θ′(θ′>θ)で側壁再付着膜いわゆるdog earの除去と基板主面に垂直に近い(≒0°)角度でいわゆるすそ引き残渣の除去とを交互に行う事により相隣る配線間でのショート不良がなくかっテーパーのないエッチング形状を有する配線パターンを形成する事が可能である。
(実施例)
以下、本発明の詳細を図示の実施例によって説明する。第1図(a)に示すように、層間絶縁膜102が形成された基板101上に窒化チタン103/銅104/窒化チタン105なる積層膜をDCマグネトロンスパッタ法で成膜する。この時窒化チタン103,105の膜厚はいずれも500Å、銅104の膜厚は4000Åであった。次に第1図(b)に示すように、リソグラフィ法によりレジストパターン106を形成する。この時レジストパターン106の膜厚は1.2μm、配線幅は0.5μm配線間隔は0.8μmであった。次に第1図(c)に示すように、アルゴン圧力2.0×10^(-4)Torrで13.56MHz高周波放電により発生させたアルゴンプラズマ中のアルゴンイオンを500Vで加速し電流密度0.7mA/?の強度のアルゴンイオンシャワー107として、基板に照射し、窒化チタン103をスパッタエッチングする。この時、イオンシャワー107の入射角度は基板101主面法線に対し30°傾斜させた。また、基板は主面平面内で回転させていた。この条件で窒化チタン103は約5分でエッチングされたことをTiからの発光スペクトル変化で確認した。次に第1図(d)に示すように、イオンシャワー107の入射角度を15°まで戻して銅104をスパッタエッチングした。このとき銅104は約8分でエッチングされた。次いで第1図(e)に示すように、イオンシャワー107の入射角度を再度30°まで増加させ窒化チタン105をスパッタエッチングした。この時窒化チタン105は約5分でエッチングされた。以上のエッチングが終了した時点で形成された窒化チタン/銅/窒化チタン積層配線108の側壁および配線間隙にはdog ear 109およびすそ引き残渣110が残渣として残った。dog ear 109の厚みは約1000Å高さは約4000Å、すそ引き残漬110は厚みは約500Å、広がりは約3000Åであった。次いで第1図(f)に示すように、イオンシャワー107の入射角度を45°として3分間スパッタエッチングした。この時点でdog ear 109はエッチングされて消滅した。次いで第1図(g)に示すように、イオンシャワー107の入射角度を0°として3分間スパッタエッチングした。この時点ですそ引き残渣110はエッチングされて消滅した。以上のエッチング工程によりテーパーのない断面形状を有する配線幅0.5μm配線間隔0.8μmの積層配線108が形成された。
尚、積層構造は窒化チタン/銅/窒化チタンに限定される事なく、窒化チタンの変わりにクロム(Cr),ニオブ(Nb),タンタル(Ta)あるいはそれらの窒化物やホウ化物あるいは二酸化シリコン(SiO_(2 ))、窒化シリコン(Si_(3)N4)でもよい。また銅に限定される事なく、銅を主成分とする合金でもよい。」(第2頁右下欄第9行-第4頁右上欄第19行)

第1図(a)?(g)は、以下のとおりである。


したがって、上記引用文献2には、「スパッタ収率の異なる金属材料を含む積層を、エッチング形状を悪化させることなくエッチングするために、イオンビームによりエッチングされる材料が変わったことを発光スペクトル変化で確認したら、イオンの入射角を変える」という技術的事項が記載されていると認められる。

3 引用文献3について
また、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(国際公開第2013/025816号)には、図面とともに次の事項が記載されている。(摘記箇所の翻訳文として、引用文献3のファミリ文献:特表2014-529166号公報の対応箇所を、段落番号とともに付記した。、)

「FIG. 2 depicts a processing system 200 consistent with embodiments of this disclosure. Processing system 200 includes a plasma source 201 to generate a plasma 32 in a process chamber 16. Plasma source 201 may be an RF plasma source, inductively-coupled plasma (ICP) source, indirectly heated cathode (IHC), helicon, glow discharge source, or other plasma sources known to those skilled in the art. An extraction plate 14 may be arranged along an edge of plasma 32 with one or more apertures 34 through which an ion beam 204 may be extracted. A bias voltage may be applied between workpiece holder 28 and plasma 32 using bias voltage supply 212 to define an ion energy and dose of ions extracted through aperture 34 and impinging on workpiece 40, which may be a semiconductor substrates in some embodiments. The workpiece holder 28 may receive a voltage potential that biases the workpiece holder 28 with respect to the plasma 32 in different ways. In one embodiment, the workpiece holder 28 may receive a ground potential and a positive voltage may be applied to the plasma (source), while in another embodiment, the workpiece may receive a negative voltage and the plasma (source) may be set at ground potential or at a more positive voltage than the workpiece holder. Processing system 200 also includes a controller 202, which may control plasma power and bias applied to workpiece holder 28, as described below.
Processing system 200 also includes a workpiece chamber 206 that contains the workpiece holder 28 for supporting the workpiece 40. Processing system 200 may also include a scanning device 208 that provides for workpiece holder 28 to be moved along a direction 210 with respect to extraction plate 14. In some embodiments, extraction plate 14 may be stationary, while workpiece holder 28 is movable (for example, using a scanning device 208), while in other embodiments, extraction plate 14 may be movable while workpiece holder 28 is stationary, while in still other embodiments, both workpiece holder 28 and extraction plate 14 may be movable.
FIG. 3 depicts details of ion beam geometry for ion beams produced by processing system 200 using extraction plate 14 according to various embodiments. The extraction plate 14 is configured to modify an electric field within the plasma sheath 302 to control a shape of a plasma sheath boundary 304 proximate aperture 34 between plasma 32 and the plasma sheath 302. In this example, the plasma sheath boundary 304 has a convex shape with respect to the plane of workpiece 40. Ions in ion beam 204 that are attracted from the plasma 32 across the plasma sheath 302 may strike the workpiece 40 at a large range of incident angles. Several different trajectories of ions accelerated from plasma sheath boundary 304 are illustrated. Ions in ion beam 204 may be attracted from the plasma 32 across the plasma sheath 302 by different mechanisms. In one instance, the workpiece 40 is biased to attract ions of ion beam 204 from the plasma 32 across the plasma sheath 302. The ions of ion beam 30 may be a p-type dopant, an n- type dopant, hydrogen, a noble gas, or other species known to those skilled in the art.
When the workpiece 40 is biased, the ions 20 are attracted across the plasma sheath 302 through aperture 34. For instance, ions following trajectory path 306 may strike the workpiece 40 at an angle of +θ° relative to the plane 320c. Ions following trajectory path 308 may strike the workpiece 40 at about an angle of 0° relative to the same plane 320c. Ions following trajectory path 310 may strike the workpiece 40 at an angle of -θ° relative to the plane 320c. Accordingly, the range of incident angles may vary over a wide range and may be between +60 θ° and -60 θ° centered about 0° in some embodiments. In addition, some ion trajectories such as paths 306 and 310 may cross each other. Depending on a number of factors including, but not limited to, the horizontal dimension W of aperture 34, the vertical spacing (Z) of extraction plate 14 above workpiece 40, the dielectric constant of the extraction plate 14, or other process parameters of the plasma 32, the range of incident angles (θ) may vary.
As further depicted in FIG. 3, in different embodiments extraction plate 14 may be positioned at different vertical spacings (Z) between the workpiece 40 and extraction plate 14 along direction 312, which is normal to a plane 320c defined by the front (top) surface of the workpiece 40. Depending on the separation Z, the shape and width of ion beam 204 may vary. For example, at a separation Z3 corresponding to plane 320c, ion beam 204 may first form a focus at point P and diverge to form a spread-out beam having a width G when it impacts substrate 100. On the other hand, if the separation is arranged to be at plane 320b, corresponding to focal plane P, the ion beam 124 may form a narrow beam width when impacting substrate 100. At a separation Zt corresponding to plane 320a, a convergent ion beam 204 may impact substrate 100 in a wider area than at point P, as illustrated.
In addition to variations in Z, in further embodiments other parameters may be varied to alter the beam shape and size of ion beam 204. These parameters include, among others, the aperture width (or aperture diameter in the case of circular apertures) W and the plasma density of plasma 32.
The distribution of ions in ion beam 204 at the top surface of workpiece 40 may be characterized in different ways. In one example the ion current density may be measured as a function of position to produce an ion beam current profile. Another manner of characterizing the ion beam 204 is by determining the ion angular profile, which is a curve that plots the relative number of ions as a function of angle of incidence of ions. 」(第4頁第6行-第5頁第34行)
(「【0015】
図2は、本開示の実施形態に関する処理システム200を示す。処理システム200は、処理チャンバ16内でプラズマ32を生成するプラズマ源201を備える。プラズマ源201は、RFプラズマ源、誘電結合プラズマ(ICP)源、間接加熱陰極(IHC)、ヘリコン、グロー荷電源、又は当業者に周知の他のプラズマ源とすることができる。抽出プレート14には、プラズマ32の周縁に沿って、イオンビーム204が抽出される一以上の開口部34が配置されうる。バイアス電圧源212を使用して、ワークピースホルダ28とプラズマ32との間にバイアス電圧が印加され、開口部34を介して抽出されてワークピース40に作用するイオンのイオンエネルギー及び投射量を決定する。いくつかの実施形態において、ワークピース40は半導体基板である。ワークピースホルダ28は、ワークピースホルダ28をプラズマ32に対して異なる方法でバイアスする電位を受信する。一実施形態において、ワークピースホルダ28は接地電位を受信し、正の電位がプラズマ(源)に印加される。他の一実施形態において、ワークピースは負の電位を受信し、プラズマ(源)が、接地電位又はワークピースホルダよりも高い電圧に設定される。処理システム200は、制御部202も備え、プラズマ出力と、ワークピースホルダ28に印加されるバイアスとを、後述するように制御する。
【0016】
処理システム200は、ワークピース40を支持するワークピースホルダ28を含むワークピースチャンバ206も備える。処理システム200は、ワークピースホルダ28を抽出プレート14に対して方向210に沿って移動させる走査デバイス208も備える。いくつかの実施形態において、抽出プレート14が固定され、ワークピースホルダ28が(例えば走査デバイス208を使用して)可動であってもよい。また、他の実施形態において、ワークピースホルダ28が固定され、抽出プレート14が可動であってもよい。さらに他の実施形態において、ワークピースホルダ28と抽出プレート14の双方が可動であってもよい。
【0017】
図3は、様々な実施形態において、抽出プレート14を使用して処理システム200により生成されたイオンビームのイオンビーム配置の詳細を示す。抽出プレート14は、プラズマシース302内の電場を修正し、プラズマ32とプラズマシース302との間の開口部34に近接するプラズマシース境界304の形状を制御するように構成される。この例においては、プラズマシース境界304は、ワークピース40の面に対して凸形状を有する。プラズマシース302を越えてプラズマ32から引き込まれるイオンビーム204のイオンは、広範囲にわたる入射角でワークピース40に衝突する。図では、プラズマシース境界304から加速されたイオンのいくつかの異なる軌道が示される。イオンビーム204のイオンは、種々の方法で、プラズマシース302を越えてプラズマ32から引き込まれる。一例において、ワークピース40がバイアスされ、プラズマシース302を越えてプラズマ32からイオンビーム204を引き込む。イオンビーム30のイオンは、P型のドーパント、N型のドーパント、水素、希ガス、又は当業者に知られた他の種とすることができる。
【0018】
ワークピース40がバイアスされたとき、開口部34を介して、プラズマシースを越えてイオン20が引き込まれる。例えば、軌道経路306に沿ったイオンは、平面320cに対して+θ°の角度でワークピース40に衝突する。軌道経路308に沿ったイオンは、同じ平面320cに対して約0°の角度でワークピース40に衝突する。軌道経路310に沿ったイオンは、平面320cに対して-θ°の角度でワークピース40に衝突する。従って、入射角の範囲は、広範囲にわたって変化し、いくつかの実施形態において、役0°を中心にして+60θ°と-60θ°との間の範囲で変化する。加えて、経路306及び310のようないくつかのイオン軌道は、互いに交差する。開口部34の横寸法W、ワークピース40上の抽出プレート14の垂直方向の空間(Z)、抽出プレート14の誘電率、又はプラズマ32の他の処理パラメータを含む要素の数によって、入射角の範囲(θ)は変化するが、要素は上述の例に限られない。
【0019】
図3にさらに記載されているように、種々の実施形態において、抽出プレート14は、ワークピース40及び抽出プレート14の間において、ワークピース40の前面(上面)により規定される平面320cに垂直な方向312に沿った異なる垂直方向の空間(Z)に配置される。間隔Zにより、イオンビーム204の形状及び幅が変化する。例えば、平面320cに対応する間隔Z3の場合、イオンビーム204は、まず点Pにおいて焦点を形成し、その後発散して、基板に衝突したときに幅Gを有する発散ビームを形成する。一方、間隔が平面320bすなわち焦点Pの平面において構成される場合、イオンビーム124は、基板100に衝突したときに狭いビーム幅を形成する。平面320aに対応する間隔Z1においては、図示するように、収束イオンビーム204は、点Pよりも広い領域で基板100に衝突する。
【0020】
Zの変化に加え、さらなる実施形態において、他のパラメータが変化し、イオンビーム204のビーム形状及び大きさが変化する。これらのパラメータは、特に、開口幅(又は円形開口の場合には開口径)W及びプラズマ32のプラズマ密度を含む。
【0021】
ワークピース40の上面におけるイオンビーム204のイオン分布は、種々の観点により特徴付けられる。一例において、イオン電流密度は、イオンビーム電流のプロファイルを生成する位置関数として算出される。他の方法において、イオンビーム204は、イオンの入射角の関数としてイオンの相対数をプロットした曲線で示されるイオン角度プロファイルを決定することにより特徴付けられる。」)

「Referring again to FIG. 2, in various embodiments, parameters of processing system 200 are varied to establish a desired ion angular profile for processing a workpiece. In some embodiments, a target ion angular profile for an ion beam process, such as ion implantation may be set and periodically reset to ensure uniform processing of wafers according to the desired process. In particular, the ion beam 204 may be measured and the operating parameters of processing system 200 adjusted until one or more target ion angular profiles are established for ion beam 204, as described below with respect to FIGs. 5 and 6. This adjustment may take place before an implantation process is to commence and may be performed at desired intervals to account for possible drift in system parameters or changes in the system that may otherwise alter the ion beam 204. 」
(「【0024】
再び図2を参照すると、様々な実施形態において、処理システム200のパラメータが変化し、ワークピースを処理するための所望のイオン角度プロファイルが確立される。いくつかの実施形態において、イオン注入のようなイオンビーム処理での目標イオン角度プロファイルが設定される。この目標イオン角度プロファイルは、所望の処理でウエハーに確実に均一な処理を行うために、定期的に再設定される。特に、図5及び6に関して下記に説明されるように、イオンビーム204が算出され、処理システム200の動作パラメータが、イオンビーム204における一以上の目標イオン角度プロファイルが確立されるまで調整される。この調整を注入プロセスの開始前に実行し、所望の間隔で実行して、注入プロセス開始後であればイオンビーム204を変化させるような想定されうるシステムのパラメータに変動又はシステム内における変化を把握する。」)

「FIG. 6 depicts exemplary steps in a method 600 of tuning an ion angular profile consistent with further embodiments. In this method, two or more parameters may be adjusted in an iterative process until a desired ratio of ion currents at different angles is achieved. This may be useful in cases where it is desirable to implant a certain fraction of ions at a first angle, such as a higher incidence angle and another fraction of ions at a lower incidence angle, such as zero degrees. Referring also to FIG. 4a, the ion angular profile 402 may be a target curve that represents the desired relative ion current as a function of angle Θ. In one aspect, the ion angular profile may be partially defined by the ratio of ion current at two different angles 410 and 411. The angle 410 may correspond to zero degree incidence, that is, normal incidence, at which angle the relative ion current is to be low. In other words, the ion angular profile 402 may be employed in ion implantation processes in which implantation into a workpiece at normal incidence is to be minimized. The angle 411 may correspond to a desired angle for peak ion current, which may represent the preferred angle for ion implantation. As previously noted, the ion angular profile 402 is a bimodal distribution in which two peaks 404 and 406 are present, which may represent trajectories forming angles having the same absolute value with respect to normal incidence.
At block 602, the target current at a first angle and a second angle, as well as the target total ion beam current are input. These values may represent the target ion current at angles 411 and 410. At block 604, the current is measured at a first angle. The method then moves to block 606. If the current at the first angle does not represent the maximum current? in other words, if the angle 411 does not coincide with peak 406? the method moves to block 608, where a first parameter of a processing system is adjusted. The first parameter may be, for example, the plasma power. The method then moves to block 604 where the current at the first angle is measured again. If the first angle matches the peak 406, then the method moves to block 610.
When the current at the first angle corresponds to a maximum, at block 610, the current is measured at a second angle, which may be angle 410. The method then moves to block 612, where, based upon the measured current at the second angle, a ratio of the first and second current is determined. If this ratio corresponds to a target ratio, the method moves to block 614. For example, it may be desirable to have ten times as much ion current at the angle 411 as at the angle 410. If the ratio of measured current at angle 1 and angle 2 does not equal the target value, the method moves to block 616, where a second parameter of the ion implantation system is adjusted. The second parameter may be, for example, the separation Z between workpiece 40 and extraction plate 14. By adjusting the separation Z, the exact distribution of ions at the surface of a workpiece may be changed, as illustrated above with respect to FIG. 3. The method then moves back to block 610, where the current at the second angle is re-measured.
If the ratio of ion currents at the first and second angles meet the target value, the method moves to block 614. At block 614, if any adjustments have been made, a new determination is made as to whether the current at the first angle corresponds to a peak in ion current. If it does not, the method proceeds to block 602. If the current at the first angle constitutes a peak position, the method proceeds to block 618.
At block 618, the total ion current in the ion beam is determined. The total ion beam current may be determined by positioning a current detector to detect all ions over their total range of incidence on a workpiece for a fixed period of time. The method then proceeds to block 620 where, if the measured current does not match the target total ion beam current, the method proceeds to block 622. At block 622, a duty cycle of ions provided to the workpiece is adjusted. This may be accomplished by changing the pulse width of a bias voltage pulse applied to a workpiece holder. During "on" periods in which a bias voltage is applied to the workpiece holder so as to attract ions from the plasma, the ion beam is accelerated through an aperture of an extraction plate and impinges upon the workpiece. During the "off periods in which no bias voltage is applied to the workpiece, the ions in a plasma chamber may not be accelerated towards the workpiece. Accordingly, the relative duration of "on" periods, and therefore the relative amount of ion flux averaged over a period of time, may be adjusted by changing the width of a bias voltage pulse while keeping the pulse cycle period (the total of "on" and "off periods) constant.
After the block 622, the method proceeds back to block 618 where the total ion beam current is remeasured. If, at block 620 the total measured ion current matches a target value, the method proceeds to block 624 where a wafer (workpiece) is processed according to the currently established parameters of the processing system. The parameters cause the processing system to direct to the workpiece an ion beam having the target ion angular profile and total beam current. In some embodiments, the method 600 may be repeated for additional angles until an entire ion angular profile is produced.
In accordance with the method 600, both the ion angular profile and the ion dose directed to a workpiece may be periodically checked and adjusted to ensure consistency of both ion dose and ion angular profile. In various embodiments, the adjustments in operating parameters for the methods 500 and 600 may take place over the scale of milliseconds or seconds. Accordingly, in some embodiments the adjustments may be applied at the beginning of an ion implantation process or between implantation of successive wafers or between batches of wafers.
In some embodiments, multiple ion angular profiles may be combined to form a composite ion angular profile of ions that are directed to a workpiece. For example, in some embodiments, a first and a second ion angular profile may be combined to form a third ion angular profile. In other embodiments, a first, second, and third ion angular profile may be combined to form a fourth ion angular profile, as illustrated in FIGs. 7a and 7b. Fig. 7a illustrates three ion angular profiles, in which each individual ion angular profile 702, 712, and 722 may represent a profile obtained at a different plasma density for processing system 200. For example, as with ion angular profiles 402, 412, and 422, the three ion angular profiles 702, 712, and 722 may correspond to those obtained at three different plasma power levels of the processing system 200.
However, if a flat ion angular profile such as ion angular profile 740 is desired, it will be apparent that none of the plasma power levels corresponding to ion angular profiles 702, 712, and 722 is close to the desired ion angular profile 740. However, referring now to FIG. 7b, the composite ion angular profile 730, which represents a sum of the three individual ion ion angular profiles 702, 712, and 722, does approximate the desired ion angular profile 740. In particular embodiments, the composite ion angular profile 730 may be provided to a workpiece by switching operating conditions of the processing system 200 between a first, second, and third plasma power level.
It will be apparent that the composite ion angular profile 730 is not provided to a workpiece at any given instant in time. In other words, composite ion angular profile 730 represents three different exposures to ions having three different ion angular profiles that occur over three respective separate time periods. However, by rapidly adjusting a select parameter that controls the ion angular profile, the three different ion angular profiles may be provided in rapid succession to a workpiece. The workpiece may be effectively exposed to the composite ion angular profile 730 in a manner that has the same effect on the workpiece as if a single ion angular profile having the shape of composite ion angular profile 730 were instantaneously provided to the substrate.
An advantage of providing multiple ion angular profiles to produce a composite ion angular profile is that the composite ion angular profile may present a profile that is not achievable in a single ion angular profile. In particular, the type of ion angular profiles achievable as a single ion angular profile may be constrained to certain shapes given the ion beam optics of a system. In contrast, the present embodiments provide a means to construct a desired ion angular profile based on rapidly exposing a workpiece to different individual ion angular profiles. For example, the shape of the individual ion angular profiles 702, 712, and 722 show that at low plasma power very little ion flux is directed at normal incidence (zero degrees), while at high power the ion flux is peaked at normal incidence, but forms a very narrow distribution. In no case does a flat profile occur that extends over a wide angular range. However, by adding together the individual ion angular profiles 702, 712, and 722, the composite ion angular profile 730 provides a reasonable approximation of the wide, flat angular distribution of ion angular profile 740.
More generally, embodiments of the present invention provide for combining any desired number of individual ion angular profiles to form a composite ion angular profile of a desired shape. For example, in different embodiments, 5, 10 or 20 individual ion angular profiles may be combined by rapidly varying the plasma power between plasma power setpoints corresponding to each profile, for example varying the plasma power setpoint on a the timescale of microseconds to about one hundred milliseconds.
FIGs. 8a-8c illustrate an embodiment of a method of exposing a workpiece to multiple ion angular profiles. As noted with respect to FIGs. 7a, 7b, the ion angular profiles 702, 712, and 722 may be combined in such a manner as to provide a composite ion angular profile. FIG. 8a illustrates the sequence for providing ion angular profiles. In the sequence illustrated, each ion angular profile 702, 712, and 722 is provided in succession in a series of two exposure cycles 802a, 802b. Each single exposure cycle 802a, 802b comprises one exposure each to ions distributed over ion angular profiles 702, 712, and 722. In accordance with various embodiments, the exposure cycles 802a, 802b may be repeated multiple times during processing of a workpiece. Thus, each exposure cycle comprises an exposure of a workpiece to composite ion angular profile 730. In the embodiment of FIGs. 8a-8c, each exposure cycle 802a, 802b may take place for the same amount of time.
FIGS. 8b and 8c depict the respective plasma power curve of a plasma and workpiece bias curve that are interoperable to produce the exposure cycles 802a, 802b. In particular, FIG. 8b depicts a plasma power curve 810 that comprises different RF power levels. The different plasma power levels may be established by an RF generator, which may vary amplitude of an RF signal sent to an antenna (see antenna 23 of FIG. 2) to alter the plasma power, thereby changing the plasma density. As shown in FIG. 8a., each ion angular profile 702, 712, 722 corresponds to a different RF power level of a plasma from which the ions are extracted. Thus, in portion 812a of plasma power curve 810, RF power is set at an intermediate power level, which produces the ion angular profile 712a, characterized by a relatively narrow bimodal distribution of angles of incidence about zero degrees. The portion 814a corresponds to a high RF power level that produces the single mode ion angular profile 722a. The portion 816a corresponds to a low RF power level that produces the ion angular profile 702a, which is a relatively wider bimodal distribution of angles of incidence. The sequence of intermediate-high-low power levels is repeated in portions 812b, 814b, and 816b. As further illustrated in FIG. 8b, the duration of exposure to ions may vary between different power levels. By varying the relative exposure time at different power levels, the shape of the composite ion angular profile may be further tuned. In other words, the composite ion angular profile 730 may be considered a weighted time average of individual ion angular profiles 702, 712, and 722. By varying the relative duration of exposure of the different ion angular profiles, the composite profile becomes more weighted to the one or more individual profiles having the greater duration.
FIG. 8c depicts an exemplary bias voltage pulse train 820 applied between a workpiece and plasma during the exposure to a plasma whose power is defined by plasma power curve 810. During "on" periods 824, a negative voltage pulse (-V) is applied and ions from the plasma are extracted from a plasma through an extraction plate and attracted to a workpiece at an energy defined by the bias voltage. During "off periods 822, the pulse voltage is zero and the ions are not attracted to the workpiece and may not impinge on the workpiece. As a consequence, the ion angular profiles 702, 712, and 722 are produced during "on" periods 822 and are not produced during the "off periods.
In accordance with some embodiments, the transition between different plasma power levels may be synchronized with the application of workpiece bias pulses such that the transition occurs during pulse "off periods 822. For example, at time t corresponding to the middle of an "off period 822, a transition takes place between intermediate power level (portion 812a) and a high power level (portion 814b). Similarly, the times t2, t3, and t4 correspond to transitions between different RF power levels, as shown. In some embodiments, the duration of "on" and "off periods 824 and 822, respectively, may be on the order of 10 μ8 to about one ms. When the RF power level is varied from one level to another level the transition between different plasma densities in a plasma may take place over an interval on the order of 10 μ8 or so. Accordingly, by proper synchronization of plasma power curve 810 and bias voltage pulse train 820 the transition between different plasma densities (and therefore different ion angular profiles) may take place completely within the "off period. In this manner, the proper power level to create each ion angular profile 702, 712, and 722 is completely established before an "on" period 824 of bias voltage pulse train 820 begins, thereby facilitating better control of the resultant composite ion angular profile.
In various embodiments, the duration of an exposure at a given RF power level may be on the order of a few μ8 to to a few ms. Thus, for example, portions 812a, 814a, and 816a may correspond to time intervals of 300, 100, and 200 μ8, such that a single exposure cycle such as 802a lasts 600 μ8. As noted above, in various embodiments, the exposure cycles 802a, 802b may be repeated multiple times. For example, referring again to FIG. 2, during exposure cycles 802a, 802b a workpiece 40 may be scanned with respect to aperture 34 so that the entire workpiece or large portions of the workpiece may be exposed to composite ion angular profile 730. While the workpiece 40 is scanned, a controller 202 may send signals to RF power supply 20 to periodically vary the power setpoint (level), and further control signals may be sent to bias voltage supply 212, thereby producing the plasma power curve 810 and bias voltage pulse train 820, which together produce the exposure cycles 802a, 802b.
Because each exposure cycle 802a, 802b may be of duration of microseconds or up to about one hundred milliseconds, many hundreds or thousands of exposure cycles may be performed while a workpiece 40 is scanned under aperture 34, which scanning may take up to many seconds. This may result in the workpiece "seeing" an effective ion angular profile represented by the composite ion angular profile, such as composite ion angular profile 730. For example, assuming a workpiece scan rate of 1 mm/s and an ion beam width at workpiece 40 of 5 mm, any point R on the workpiece 40 scans under the entire ion beam 204 in 5 seconds. Using the example of 600 μ8 duration for exposure cycle 802a, 802b, a total of about 8300 exposure cycles 802a, 802b are provided to workpiece 40 during the time that any point R traverses under ion beam 204. Thus, since the workpiece 40 may travel only a minute fraction of the ion beam width within the duration of an exposure cycle 802a, 802b (1/8300 in the present example) the composite ion angular profile 730 may be effectively provided to each region of workpiece 40 during scanning. The same goes for static exposures of workpieces in which the workpiece is stationary during exposure to exposure cycles 802a, 802b.
In addition to providing methods and systems for manipulating ion angular profiles for ion implantation, embodiments of the present disclosure encompass methods and systems for providing, adjusting, and maintaining ion angular profiles for ion beams that are used to treat workpieces for other purposes. In some embodiments, the ion angular profiles may be provided to a workpiece to treat three dimensional surface features. For example, a composite ion angular profile may be provided to treat a photoresist relief feature on a substrate surface or to amorphize portions of a three dimensional relief feature, among other embodiments.
The methods described herein may be automated by, for example, tangibly embodying a program of instructions upon a computer readable storage media capable of being read by machine capable of executing the instructions. A general purpose computer is one example of such a machine. A non- limiting exemplary list of appropriate storage media well known in the art includes such devices as a readable or writeable CD, flash memory chips (e.g., thumb drives), various magnetic storage media, and the like.
In particular, steps for varying the DC extraction voltage and/or workpiece scan rate may be performed at least partially by a combination of an electronic processor, computer readable memory, and/or computer readable program. The computer memory may be further configured to receive, display and store process history information associated with operation of a plasma system and as exemplified by the stored voltage values.」(第7頁第29行-第13頁第22行)
(「【0027】
図6は、さらなる実施形態におけるイオン角度プロファイルを調整する方法600のステップの例を示す。この方法では、異なる角度におけるイオン電流の所望の比率が得られるまで、2以上のパラメータが、反復処理により調整される。これは、高い入射角である第1の角度においてイオンの所定比率を注入し、ゼロ度のような低い入射角においてイオンの別の所定比率を注入することが好ましい場合に有用である。図4Aも参照すると、イオン角度プロファイル402は目標曲線であり、角度θの関数として所望の相対イオン電流を示す。一態様において、イオン角度プロファイルは、部分的には、2つの異なる角度410及び411におけるイオン電流の比率によって規定されうる。角度410は、ゼロ度の入射、すなわち垂直入射に対応し、この角度において、相対イオン電流は低い。換言すれば、イオン角度プロファイル402は、垂直入射におけるワークピースへの注入が最小化されるイオン注入処理において使用される。角度411は、最大イオン電流における所望の角度に対応し、これは、イオン注入に好ましい角度を示す。前述のように、イオン角度プロファイル402は、ピーク404及び406が存在する二峰性の分布であり、垂直入射に対して同一の絶対値の角度を形成するような軌道を示す。
【0028】
ブロック602において、第1の角度及び第2の角度における目標電流が、目標全体イオンビーム電流とともに入力される。これらの値は、角度411及び410における目標イオン電流を示す。ブロック604において、電流が第1の角度で測定される。この方法は、続いてブロック606に進む。第1の角度における電流が最大の電流を示さない場合、つまり角度411がピーク406と一致しない場合、この方法は、ブロック608に進み、処理システムの第1のパラメータが調整される。第1のパラメータは、例えば、プラズマ出力である。この方法は、次にブロック604に進み、第1の角度における電流が再び測定される。第1の角度がピーク406と一致すると、この方法はブロック610に進む。
【0029】
第1の角度における電流が最大値に対応するとき、ブロック610において、電流が、角度410である第2の角度において測定される。この方法は次にブロック612に進み、第2の角度において電流が測定されると、第1及び第2の電流の比率が決定される。この比率が目標比率に対応すると、この方法は次にブロック614に進む。例えば、角度410よりも角度411におけるイオン電流は10倍であることが好ましい。角度1及び角度2において測定された電流の比率が目標値と一致しない場合、この方法はブロック616に進み、イオン注入システムの第2のパラメータが調整される。第2のパラメータは、例えば、ワークピース40と抽出プレート14との間隔Zである。間隔Zを調整することにより、図3に関連して上述の通り説明したように、ワークピースの表面における厳密なイオン分布が変化する。この方法は続いてブロック610に戻り、第2の角度における電流が再測定される。
【0030】
第1及び第2の角度におけるイオン電流の比率が目標値に一致したとき、この方法は、ブロック614に進む。ブロック614において、何らかの調整が行われた場合、第1の角度における電流がイオン電流のピークに対応するか否かが新たに決定される。第1の角度における電流がイオン電流のピークに対応しない場合、この方法はブロック602に進む。第1の角度における電流がピークの位置を構成する場合、この方法は、ブロック618に進む。
【0031】
ブロック618において、イオンビームにおける全体イオン電流が決定される。全体イオンビーム電流は、検流器を設け、所定の期間においてワークピースに入射した全範囲にわたるイオンを検出することにより決定される。この方法は、次にブロック620に進み、測定された電流が目標全体イオンビーム電流と一致しないとき、この方法はブロック622に進む。ブロック622において、ワークピースに供給されるイオンのデューティサイクルが調整される。これは、ワークピースホルダに印加されるバイアス電圧パルスのパルス幅を変えることにより実現される。イオンをプラズマから引き込むためにワークピースホルダにバイアス電圧が印加される「オン」期間には、イオンビームは、抽出プレートの開口部を通して加速され、ワークピースに作用する。ワークピースにバイアス電圧が印加されない「オフ」期間には、プラズマチャンバ内のイオンは、ワークピースに向かって加速されない。従って、「オン」期間の相対的な継続時間と、全期間にわたる平均のイオン束の相対的な量は、パルスサイクルの期間(「オン」及び「オフ」期間の合計)を一定に保つ一方でバイアス電圧パルスを変更することにより調整される。
【0032】
ブロック622の後、この方法はブロック18に戻り、全体イオンビーム電流が再度測定される。ブロック620において、測定されたイオン電流の合計が目標値に一致する場合、この方法は、ブロック624に進み、この時点までに処理システムにおいて確立されたパラメータに従って、ウエハー(ワークピース)が処理される。パラメータにより、処理システムは、目標イオン角度プロファイル及び合計ビーム電流を有するイオンビームをワークピースに方向づける。いくつかの実施形態において、方法600は、全体イオン角度プロファイルが生成されるまで、角度の追加が繰り返される。
【0033】
方法600において、イオン角度プロファイルとワークピースに方向づけられるイオン線量との双方は、イオン線量及びイオン角度プロファイルの一貫性を維持するために、定期的に確認及び調整される。様々な実施形態において、方法500及び600における動作パラメータの調整は、数ミリ秒又は数秒にわたって実行される。従って、いくつかの実施形態において、調整は、イオン注入処理の開始時又は連続するウエハーの注入の間又はウエハーのバッチ間に実行される。
【0034】
いくつかの実施形態において、複数のイオン角度プロファイルが組み合され、ワークピースに方向づけられるイオンの複合イオン角度プロファイルが形成される。例えば、いくつかの実施形態において、第1及び第2のイオン角度プロファイルが組み合わされ、第3のイオン角度プロファイルが形成される。他の実施形態において、図7A及び7Bに示すように、第1、第2及び第3のイオン角度プロファイルが組み合され、第4のイオン角度プロファイルが形成される。図7Aは、3つのイオン角度プロファイルを示し、それぞれ個別イオン角度プロファイル702、712及び722は、処理システム200において異なるプラズマ密度で得られた分布を示す。例えば、イオン角度プロファイル402、412及び422と同様に、3つのイオン角度プロファイル702、712及び722は、処理システム200における3つの異なるプラズマ出力レベルで得られた分布に対応する。
【0035】
しかしながら、イオン角度プロファイル740のような平坦なイオン角度プロファイルが好ましい場合、イオン角度プロファイル702、712及び722に対応するプラズマ出力レベルのいずれも所望のイオン角度プロファイル740に近くないことが明らかである。
【0036】
しかしながら、図7Bを参照すると、3つの個別のイオンのイオン角度プロファイル702、712及び722の総和を示す複合イオン角度プロファイル730は、所望のイオン角度プロファイル740に近い。特定の実施形態において、複合イオン角度プロファイル730は、処理システム200の運転条件を、第1、第2及び第3のプラズマ出力間で切り替えることにより、ワークピースに供給される。
【0037】
複合イオン角度プロファイル730が、如何なる瞬間においてもワークピースに供給されないことは明確である。換言すれば、複合イオン角度プロファイル730は、3つの異なるイオン角度プロファイルを有するイオンに対して、それぞれ3つの分離した期間に行われる、3つの異なる暴露を示す。しかしながら、イオン角度プロファイルを制御する選択パラメータを急速に調整することにより、3つの異なるイオン角度プロファイルは、高速に連続してワークピースに供給される。ワークピースは、複合イオン角度プロファイル730の形状を有する単一イオン角度プロファイルが瞬時に基板に供給されるのと同様の効果を有するように、実質的に複合イオン角度プロファイル730に暴露される。
【0038】
複数のイオン角度プロファイルを供給して複合イオン角度プロファイルを生成することの利点は、複合イオン角度プロファイルが、単一イオン角度プロファイルでは得られない分布を示すことである。特に、単一イオン角度プロファイルとして得られるイオン角度プロファイルの種類は、システムのイオンビーム光学により提供される所定の形状に限定される。一方、本実施形態は、ワークピースを異なる個別イオン角度プロファイルに急速に暴露することによって、所望のイオン角度プロファイルを生成する手段を供給する。例えば、個別イオン角度プロファイル702、712及び722の形状は、低プラズマ出力では垂直入射(ゼロ度)でイオン束がほとんど照射されず、一方で、高プラズマ出力ではイオン束が垂直入射で最大となるものの極めて狭い分布を形成することを示す。広範な角度範囲に広がる平坦なプロファイルは、いずれの場合にも生じない。しかし、個別イオン角度プロファイル702、712及び722を互いに加えることにより、複合イオン角度プロファイル730は、イオン角度プロファイル740の幅広で平坦なプロファイルに適度に近似する。
【0039】
より一般化すれば、本発明の実施形態は、任意の所望の個数の個別イオン角度プロファイルを組み合わせて所望の形状の複合イオン角度プロファイルの形成を行うことができる。例えば、異なる実施形態5、10又は20の個別イオン角度プロファイルは、それぞれの分布に対応するプラズマ出力の設定値の間で、プラズマ出力を急速に変化させることにより、例えば、プラズマ出力の設定値を数マイクロ秒から約数百ミリ秒の時間スケールで変化させることにより、組み合される。
【0040】
図8A-8Cは、ワークピースを複数のイオン角度プロファイルに暴露する方法に係る実施形態を示す。図7A及び7Bにおいて説明したように、イオン角度プロファイル702、712及び722は、複合イオン角度プロファイルを供給するように組み合される。図8Aは、イオン角度プロファイルを供給するシーケンスを示す。図示されるシーケンスにおいて、それぞれのイオン角度プロファイル702、712及び722が、一連の2つの暴露サイクル802a及び802bとして、連続して供給される。単一暴露サイクル802a及び802bのそれぞれは、イオン角度プロファイル702、712及び722として分布するイオンそれぞれへの1回の暴露を含む。様々な実施形態において、暴露サイクル802a及び802bは、ワークピースを処理する間に複数回繰り返される。従って、各暴露サイクルは、複合イオン角度プロファイル730へのワークピースの暴露を含む。図8A-8Cの実施形態において、暴露サイクル802a及び802bは、それぞれ同じ期間実行される。
【0041】
図8B及び8Cは、それぞれ、プラズマのプラズマ出力曲線と、暴露サイクル802a及び802bの生成に相互に利用可能なワークピースのバイアス曲線を示す。特に、図8Bは、異なるRF出力レベルを含むプラズマ出力曲線810を示す。異なるプラズマ出力レベルは、RF発生器により確立される。RF発生器は、アンテナ(図2のアンテナ23を参照)に送信されるRF信号の振幅を変化させてプラズマ出力を変化させ、それによってプラズマ密度を変化させる。図8Aに示されるように、各イオン角度プロファイル702、712及び722は、イオンが抽出されるプラズマの異なるRF出力レベルに対応する。従って、プラズマ出力曲線810の部分812aにおいて、RF出力は中間出力レベルに設定され、これは、ゼロ度周辺の入射角において比較的狭い二峰性の分布により特徴付けられるイオン角度プロファイル712aを生成する。部分814aは、単一モードのイオン角度プロファイル722aを生成する高RF出力レベルに対応する。部分816aは、二峰性の分布の入射角が比較的幅広いイオン角度プロファイル702aを生成する、低RF出力レベルに対応する。部分812b、814b及び816bにおいて、一連の中間-高-低出力レベルが繰り返される。図8Bにさらに図示されるように、イオン暴露の継続時間は、異なる出力レベルによって変化しうる。異なる出力レベルにおいて、相対的な暴露時間を変化させることにより、複合イオン角度プロファイルの形状がさらに調整される。換言すれば、複合イオン分布730は、個別イオン角度プロファイル702、712及び722において重み付けされた時間平均と考えることができる。異なるイオン角度プロファイルの相対的な暴露の継続時間を変化することにより、複合分布は、より長い継続時間を有する、1以上の個別の分布に重みづけられたものとなる。
【0042】
図8Cは、プラズマ出力曲線810により出力が規定されるプラズマへの暴露中に、ワークピースとプラズマとの間に印加される例示的なバイアス電圧のパルス列820を示す。「オン」期間824において、負の電圧パルス(-V)が印加され、プラズマからのイオンは、抽出プレートを通ってプラズマから抽出され、バイアス電圧により規定されるエネルギーでワークピースに引き込まれる。「オフ」期間822において、パルス電圧はゼロであり、イオンは、ワークピースに引き込まれず、ワークピースに作用しない。その結果、イオン角度プロファイル702、712及び722は、「オン」期間822で生成され、「オフ」期間では生成されない。
【0043】
いくつかの実施形態において、異なるプラズマ出力レベル間の変位は、ワークピースへのバイアスパルスの印加と同期され、変位はパルス「オフ」期間822に生じる。例えば、「オフ」期間822の中間に対応する時間t1において、中間出力レベル(部分812a)と高出力レベル(部分814b)との間で、変位が発生する。同様に、異なるRF出力レベル間の変位に対応する時間t2、t3及びt4が示される。いくつかの実施形態において、「オン」及び「オフ」の継続期間824及び822は、それぞれ約10μsから1msである。RF出力レベルが1つのレベルから他のレベルに変化したとき、約10μs程度の間で、プラズマにおける異なるプラズマ密度間の変位が実行される。従って、プラズマ出力曲線810とバイアス電圧パルス列820とを適切に同期することにより、異なるプラズマ密度(すなわち異なるイオン角度プロファイル)間の変位が、「オフ」期間の間に完全に実行される。この方法により、バイアス電圧パルス列820の「オン」期間824が開始される前に、各イオン角度プロファイル702、712及び722を生成する適切な出力レベルが、完全に確立され、そのため、結果として得られる複合イオン角度プロファイルの制御が容易になる。
【0044】
様々な実施形態において、所定のRF出力レベルにおける暴露の継続期間は、約数μsから数msである。従って、例えば、部分812a、814a及び816aは、それぞれ時間間隔300、100及び200μsに対応し、802aのような単一暴露サイクルが600μs継続する。上述したように、様々な実施形態において、暴露サイクル802a及び802bは複数回繰り返されうる。例えば、再び図2を参照すると、暴露サイクル802a及び802bの間にワークピース40は、開口部34を介して走査され、ワークピース全体又はワークピースの大部分が、複合イオン角度プロファイル730に暴露される。ワークピース40が走査されている間、制御部202はRF電源20に信号を送信し、出力のセットポイント(レベル)を定期的に変化させ、さらに、制御信号がバイアス電圧源212に送信されて、暴露サイクル802a及び802bを生成するプラズマ出力曲線810とバイアス電圧パルス列820とが生成される。
【0045】
各暴露サイクル802a及び802bは、数マイクロ秒又は最大約100ミリ秒の継続時間であるため、ワークピース40が開口部34の下で、何秒もかかる走査が行われる間に、何百又は何千回もの暴露サイクルが実行される。これにより、複合イオン角度プロファイル730のような複合イオン角度プロファイルに代表される効果的なイオン角度プロファイルを、ワークピースが「調査する」結果となる。例えば、ワークピースの走査速度が1mm/sであり、ワークピース40におけるイオンビームの幅が5mmであると仮定すると、ワークピース上の任意の点Rは、5秒以内にイオンビーム204により走査される。暴露サイクル802a及び802bにおける600μsの継続時間の例を用いると、任意の点Rがイオンビーム204の下を横切る間に、全体で約8300回の暴露サイクル802a及び802bが、ワークピース40に供給される。従って、ワークピース40は、イオンビームの幅で、暴露サイクル802a及び802bの継続時間内(この例では1/8300)というわずかな時間で進行するため、複合イオン角度プロファイル730は、走査中にワークピース40の各部分に効率的に供給される。これは、暴露サイクル802a及び802bの暴露中にワークピースが固定される、ワークピースの固定暴露についても同様である。
【0046】
イオン注入におけるイオン角度プロファイルを処理する方法及びシステムの提供に加え、本開示の実施形態は、他の目的でワークピースを処理するために使用されるイオンビームのイオン角度プロファイルの供給、調整及び維持を行う方法及びシステムを包含する。いくつかの実施形態において、イオン角度プロファイルは、三次元表面形状を処理するように、ワークピースに供給されうる。例えば、複合イオン角度プロファイルは、他の実施形態において、基板表面上のフォトレジストレリーフ形状を処理、又は三次元レリーフ形状を部分的にアモルファス化するように供給されうる。
【0047】
本明細書に記載の方法は、例えば、命令を実行可能な機械によって読取り可能であるコンピュータ読取可能記憶媒体に、命令のプログラムとして具体化することにより自動化できることは明らかである。かかる機械の一例は、汎用コンピュータである。本技術分野において周知の適切な記憶媒体には、読取可能又は書込可能なCD、フラッシュメモリチップ(例えばサムドライブ)、様々な磁気記憶媒体等が含まれるが、これらに限定されない。
【0048】
特に、DC抽出電圧及び/又はワークピース走査速度を変化させるステップは、電子プロセッサ、コンピュータ可読メモリ、及び/又はコンピュータ可読プログラムの組合せにより、少なくとも部分的に実行されうる。コンピュータのメモリは、さらに、例えば記憶された電圧値のように、処理の履歴情報をプラズマシステムの動作と関連付けて受信し、表示し、記憶するように構成される。」)

「What is claimed is:
1. A method of treating a workpiece, comprising:
directing a first ion beam to a first region of a workpiece, the first ion beam having a first ion angular profile of first ions extracted through an aperture of an extraction plate; and
directing a second ion beam to the first region of the workpiece, the second ion beam having a second ion angular profile different than the first ion profile of second ions extracted through the aperture of the extraction plate.
・・・
6. The method of claim 1, further comprising:
optimizing the first ion angular profile before directing the first ion angular profile towards the workpiece, the optimizing comprising:
measuring a first experimental maximum angle of the first ion angular profile;
comparing the first experimental maximum angle to a first target maximum angle; and adjusting control parameters if the first experimental maximum angle differs from the first target maximum angle.
・・・
8. The method of claim 1, further comprising
optimizing the first ion angular profile before directing the first ion angular profile towards the workpiece, the optimizing comprising:
measuring a first current at a first target angle;
performing a first adjustment to control parameters of the ion implantation system if the first current does not represent a current peak;
measuring a second current at a second target angle; and
performing a second adjustment to the control parameters of the ion implantation system if a ratio of the first current to the second current does not match a target ratio.
9. The method of claim 8, further comprising: after the second adjustment,
measuring a total ion current of the first ion profile; and
adjusting a duty cycle of an extraction pulse sequence if the total ion current differs from a target total ion current.
10 The method of claim 1, wherein a sum of the first and second ion angular profiles comprises a third ion profile, the method further comprising scanning the workpiece with respect to the extraction plate while providing the third ion profile to the workpiece. 」
(「【特許請求の範囲】
【請求項1】
抽出プレートの開口部を介して抽出された第1のイオンの第1のイオン角度プロファイルを有する第1のイオンビームを、ワークピースの第1の領域に方向づけるステップと、
前記第1のイオン角度プロファイルとは異なる第2のイオン角度プロファイルを有する、前記抽出プレートの前記開口部を介して抽出された第2のイオンの第2のイオンビームを、前記ワークピースの前記第1の領域に方向づけるステップと
を含むワークピースの処理方法。
【請求項2】
前記第1及び第2のイオン角度プロファイルを、約100ミリ秒未満の継続時間を有するそれぞれ第1及び第2の期間でそれぞれ複数回供給するステップを含む、請求項1に記載の方法。
・・・
【請求項6】
前記第1のイオン角度プロファイルを前記ワークピースに方向づける前に、前記第1のイオン角度プロファイルを最大化するステップであって、
前記第1のイオン角度プロファイルの第1の試行最大角度を測定するステップと、
前記第1の試行最大角度を第1の目標最大角度と比較するステップと、
前記第1の試行最大角度が前記第1の目標最大角度と異なるとき、制御パラメータを調整するステップと
を含む最適化するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
・・・
【請求項8】
前記第1のイオン角度プロファイルを前記ワークピースに方向づける前に、前記第1のイオン角度プロファイルを最適化するステップであって、
第1の目標角度における第1の電流を測定するステップと、
前記第1の電流がピーク電流を示さないとき、前記イオン注入システムの制御パラメータに第1の調整を行うステップと、
第2の目標角度における第2の電流を測定するステップと、
前記第2の電流に対する前記第1の電流の比率が目標比率と一致しないとき、前記イオン注入システムの制御パラメータに第2の調整を行うステップと、
を含む最適化するステップとさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の調整の後、
前記第1のイオン分布の全体イオン電流を測定するステップと、
前記全体イオン電流が目標全体イオン電流と異なるとき、抽出パルスシーケンスのデューティサイクルを調整するステップと
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1及び第2のイオン角度プロファイルが第3のイオン角度プロファイルを含み、
前記第3のイオン分布をワークピースに供給する間に、前記抽出プレートに対してワークピースを走査するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法 。」)

図2、3、6は、以下のとおりのものである。


したがって、上記引用文献3には、「ウエハに確実に均一な処理を行うために、イオン角度プロファイルを測定するステップと、第1、第2のパラメータ(予備セットの制御設定)を調整するステップと、を含むサイクルを、測定された角度プロファイルが目標の角度プロファイルに一致するまで繰り返し実行する」という技術的事項が記載されていると認められる。

第4 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明1における「多層膜を形成した基板」、「イオンビーム加工装置」、「引出電極8、10」、「膜101」、「膜102」、「基板ホルダ」、「膜種検出装置200」は、それぞれ、本願発明1における「基板」、「処理装置」、「抽出プレート」、「第1の材料」、「第2の材料」、「基板ホルダ」、「モニタリング装置」に相当する。

イ 引用発明1は、「引出電極8、10を通してイオンビームを引き出し、イオンビームの加速電圧とイオンビーム電流を出力電源制御手段12によって設定した値に保持して、イオンを基板100に向けて照射し、マスク103で覆われていない部分を削り取り、エッチング加工を行う方法であり」、「出力電源制御装置12によって設定したビームパワーPaで膜101をエッチング加工するステップ」を備えるものであるところ、出力電源制御装置12によってイオンビームをビームパワーPaに設定する、イオンビーム加工装置の制御設定を用いるものであるといえるから、「イオンビーム加工装置の第1セットの制御設定を用いてイオンビームをイオンビーム加工装置の引出電極8、10を通して前記基板100に向けるステップ」を備えるものであるといえる。
したがって、本願発明1と引用発明1とは、「処理装置の第1セットの制御設定を用いて第1のイオンビームを前記処理装置の抽出プレートを通して前記基板に向けるステップ」を備える点で一致するといえる。

ウ 引用発明1は、更に、「膜101、102に光を照射し反射してきた発光スペクトルに応じた信号を出力電源制御手段12にフィードバックさせて、膜101から102に変化したところで、ビームパワーをPaからPbに低下させて、ビームパワーPbで膜102のエッチング加工を行い、膜102が削れた時点で、加工を停止させるステップ」を備えるものであるから、「前記イオンビームによってエッチングされる多層膜の膜101から膜102への変化を示す、膜101、102に光を照射し反射してきた発光スペクトルに応じた信号を検出するステップ」と、「前記イオンビーム加工装置のイオンビームの加速電圧とイオンビーム電流の出力電源制御手段12による設定を、膜102に基づいて、前記第1セットの制御設定(出力電源制御装置12によってイオンビームをビームパワーPaに設定する、イオンビーム加工装置の制御設定)と異なる、イオンビームをビームパワーPbに設定する、イオンビーム加工装置の制御設定に調整するステップ」と、「前記イオンビームをビームパワーPbに設定する、イオンビーム加工装置の制御設定を用いて、当該イオンビームを引出電極8、10を通して前記基板に向けるステップ」と、を備えることが開示されているといえる。

したがって、本願発明1と引用発明1とは、「前記第1のイオンビームによってエッチングされる材料の第1の材料から第2の材料への変化を示す、前記基板からの信号を検出するステップ」と、「前記処理装置の制御設定を前記第2の材料に基づいて前記第1セットの制御設定と異なる第2セットの制御設定に調整するステップ」と、「前記第2セットの制御設定を用いて第2のイオンビームを前記抽出プレートを通して前記基板に向けるステップと、を備える点で一致するといえる。

エ 引用発明1は、「処理室1bの内部に基板100が固定保持される基板ホルダ13が配置され、基板ホルダ13は、イオンビームに対して任意の角度がとれると共に、基板ホルダの軸を中心に回転可能であ」る、「イオンビーム加工装置を用いて行う方法」であるから、本願発明1と引用発明1とは、「基板ホルダを備えるステップ」を備える点で一致するといえる。

オ 本願発明1の
「イオンビームはパルスイオンビームより成り、モニタリング装置は、前記第1の方向に沿って前記基板に対して複数の異なる位置に配置され、前記基板ホルダと連動する複数の発光分光分析(OES)検出器を備え、第1の信号は前記複数の異なる位置の第1の位置で検出される第1のOES信号であり、少なくとも一つのコンピュータ可読記憶媒体は、実行時に、前記処理装置に、
前記第1のOES信号と異なる、前記複数の異なる位置の第2の位置からの第2のOES信号を前記基板から受信させ、
前記第1のOES信号及び前記第2のOES信号の受信に応答して前記第1の方向に沿う前記基板の走査中に前記パルスイオンビームのイオンビームデューティサイクルを調整させる、
命令を備え」と、
引用発明1の
「材料固有の発光スペクトルを発する膜種検出装置200が設けられた、イオンビーム加工装置を用いて行う方法であり」、
「引出電極8、10を通してイオンビームを引き出し、イオンビームの加速電圧とイオンビーム電流を出力電源制御手段12によって設定した値に保持して、イオンを基板100に向けて照射し、マスク103で覆われていない部分を削り取り、エッチング加工を行う方法であり」、「膜101、102に光を照射し反射してきた発光スペクトルに応じた信号を出力電源制御手段12にフィードバックさせて、膜101から102に変化したところで、ビームパワーをPaからPbに低下させて、ビームパワーPbで膜102のエッチング加工を行い」とを対比する。

引用発明1は、膜種検出装置200が配置され、発光検出器を備えるものであるといえるから、本願発明1と引用発明1とは、「モニタリング装置」が配置され、「発光検出器」を備える点で共通するといえる。

カ 本願発明1の
「前記制御設定を第2セットの制御設定に調整するステップは、
前記第1セットの制御設定を前記第2の材料と関連する所定のセットの制御設定に調整するステップと、
前記所定のセットの制御設定を用いて前記抽出プレートを通して向けられるイオンビームのイオンエネルギー、イオンビーム電流及びイオン角度分布の各パラメータを含むイオンビームプロファイルを少なくとも一つ測定するために計測器を使用するステップと、
前記測定された前記イオンビームプロファイルの各パラメータに基づいて、前記所定のセットの制御設定を前記第2セットの制御設定に調整するステップと、
を備える」と、
引用発明1の「材料固有の発光スペクトルを発する膜種検出装置200が設けられた、イオンビーム加工装置を用いて行う方法であり」、「引出電極8、10を通してイオンビームを引き出し、イオンビームの加速電圧とイオンビーム電流を出力電源制御手段12によって設定した値に保持して、イオンを基板100に向けて照射し、マスク103で覆われていない部分を削り取り、エッチング加工を行う方法であり」、「膜101、102に光を照射し反射してきた発光スペクトルに応じた信号を出力電源制御手段12にフィードバックさせて、膜101から102に変化したところで、ビームパワーをPaからPbに低下させて、ビームパワーPbで膜102のエッチング加工を行い」とを対比する。

引用発明1において、「膜種検出装置200」(モニタリング装置)が発する「発光スペクトル」は「材料固有の発光スペクトル」であり、「発光スペクトル」は「膜101、102に光を照射し反射してきた発光スペクトル」であり、「膜種検出装置200」は、パラメータを計測するものであるといえる。
そうすると、引用発明1は、「前記イオンビーム加工装置のイオンビームの加速電圧とイオンビーム電流の出力電源制御手段12による設定」(前記制御設定)を、「前記イオンビームをビームパワーPbに設定する、イオンビーム加工装置の制御設定」(第2セットの制御設定)に調整するステップは、「前記イオンビーム加工装置のイオンビームの加速電圧とイオンビーム電流の出力電源制御手段12による設定」であって、「出力電源制御装置12によってイオンビームをビームパワーPaに設定する、イオンビーム加工装置の制御設定」(第1セットの制御設定)を、膜102と関連する所定セットの制御設定に調整するステップと、
パラメータを測定するために計測器を使用するステップと、
前記測定されたパラメータに基づいて、前記所定セットの制御設定を「前記イオンビームをビームパワーPbに設定する、イオンビーム加工装置の制御設定」に調整するステップを備えるものであるといえる。

したがって、本願発明1と引用発明1とは、「前記制御設定を第2セットの制御設定に調整するステップは、
前記第1セットの制御設定を前記第2の材料と関連する所定のセットの制御設定に調整するステップと、
パラメータを測定するために計測器を使用するステップと、
前記測定されたパラメータに基づいて、前記所定のセットの制御設定を前記第2セットの制御設定に調整するステップと、
を備える」点で共通するといえる。

キ したがって、本願発明1と引用発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

<一致点>
「基板をエッチングする方法であって、
処理装置の第1セットの制御設定を用いて第1のイオンビームを前記処理装置の抽出プレートを通して前記基板に向けるステップと、
前記第1のイオンビームによってエッチングされる材料の第1の材料から第2の材料への変化を示す、前記基板からの信号を検出するステップと、
前記処理装置の制御設定を前記第2の材料に基づいて前記第1セットの制御設定と異なる第2セットの制御設定に調整するステップと、
前記第2セットの制御設定を用いて第2のイオンビームを前記抽出プレートを通して前記基板に向けるステップと、
基板ホルダを備えるステップと、
を備え、
モニタリング装置が配置され、発光検出器を備え、
前記制御設定を第2セットの制御設定に調整するステップは、
前記第1セットの制御設定を前記第2の材料と関連する所定のセットの制御設定に調整するステップと、
パラメータを測定するために計測器を使用するステップと、
前記測定されたパラメータに基づいて、前記所定のセットの制御設定を前記第2セットの制御設定に調整するステップと、
を備える方法。」

<相違点>
<相違点1>
基板ホルダについて、本願発明1は「第1の方向に沿って走査するように構成された」という構成を備えるのに対し、引用発明1の基板ホルダはそのような構成を備えていない点。

<相違点2>
本願発明1は、「イオンビームはパルスイオンビームより成り、モニタリング装置は、前記第1の方向に沿って前記基板に対して複数の異なる位置に配置され、前記基板ホルダと連動する複数の発光分光分析(OES)検出器を備え、第1の信号は前記複数の異なる位置の第1の位置で検出される第1のOES信号であり、少なくとも一つのコンピュータ可読記憶媒体は、実行時に、前記処理装置に、
前記第1のOES信号と異なる、前記複数の異なる位置の第2の位置からの第2のOES信号を前記基板から受信させ、
前記第1のOES信号及び前記第2のOES信号の受信に応答して前記第1の方向に沿う前記基板の走査中に前記パルスイオンビームのイオンビームデューティサイクルを調整させる、
命令を備え」という構成を備えるのに対し、
引用発明1は、「イオンビームはパルスイオンビームより成」るものであるか不明であり(以下「相違点2A」という。)、「膜種検出装置200」について、上記のような構成を備えておらず(以下「相違点2B」という。)、実行時のイオン化ビーム加工装置に命令する、上記のような構成を備えていない点(以下「相違点2C」という。)。

<相違点3>
「前記制御設定を第2セットの制御設定に調整するステップ」について、
本願発明1は、
「前記第1セットの制御設定を前記第2の材料と関連する所定のセットの制御設定に調整するステップと、
前記所定のセットの制御設定を用いて前記抽出プレートを通して向けられるイオンビームのイオンエネルギー、イオンビーム電流及びイオン角度分布の各パラメータを含むイオンビームプロファイルを少なくとも一つ測定するために計測器を使用するステップと、
前記測定された前記イオンビームプロファイルの各パラメータに基づいて、前記所定のセットの制御設定を前記第2セットの制御設定に調整するステップ」を備えるのに対し、
引用発明1は、「イオンビームのイオンエネルギー、イオンビーム電流及びイオン角度分布の各パラメータを含むイオンビームプロファイルを少なくとも一つ測定するために計測器を使用するステップ」と、「前記測定された前記イオンビームプロファイルの各パラメータに基づいて、前記所定のセットの制御設定を前記第2セットの制御設定に調整するステップ」とを備えるとの特定はなされていない点。

(2)相違点についての判断
ア まず、上記相違点1について検討する。
相違点1に係る本願発明1の「第1の方向に沿って走査するように構成された基板ホルダ」という構成は、上記引用文献3に記載されているものの、引用発明1において、「基板ホルダ13」は、「処理室1bの内部」に「配置され」、「基板ホルダ13は、イオンビームに対して任意の角度がとれると共に、基板ホルダの軸を中心に回転可能」であるものであり、引用発明1において、「処理室1bの内部」に「配置され」、「イオンビームに対して任意の角度がとれると共に、基板ホルダの軸を中心に回転可能」である「基板ホルダ13」を、引用文献3の記載に基づき、「第1の方向に沿って走査させるように構成」させるものとする動機付けを見いだせない。
また、引用文献2には、相違点1に係る本願発明1の上記構成は記載も示唆もされていない。
したがって、引用発明1において、引用文献2、3に記載された技術的事項に基づき、相違点1に係る本願発明1の上記構成とすることは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。

イ 次に、上記相違点2について検討する。
上記相違点2Aに係る本願発明1の「イオンビームはパルスイオンビームより成り」という構成、上記相違点2Bに係る本願発明1の「モニタリング装置は、前記第1の方向に沿って前記基板に対して複数の異なる位置に配置され、前記基板ホルダと連動する複数の発光分光分析(OES)検出器を備え、第1の信号は前記複数の異なる位置の第1の位置で検出される第1のOES信号であり」という構成、及び上記相違点2Cに係る本願発明1の「少なくとも一つのコンピュータ可読記憶媒体は、実行時に、前記処理装置に、前記第1のOES信号と異なる、前記複数の異なる位置の第2の位置からの第2のOES信号を前記基板から受信させ、前記第1のOES信号及び前記第2のOES信号の受信に応答して前記第1の方向に沿う前記基板の走査中に前記パルスイオンビームのイオンビームデューティサイクルを調整させる、命令を備え」という構成は、上記引用文献2、3には記載も示唆もされていない。
したがって、引用発明1において、引用文献2、3に記載された技術的事項に基づき、相違点2に係る本願発明1の上記構成とすることは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。

ウ よって、上記相違点3について判断するまでもなく、本願発明1は、引用発明1、引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2-7について
本願発明2-7は、本願発明1の「第1の方向に沿って走査するように構成された基板ホルダ」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明1、引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。

3 本願発明8-10、11-12について
本願発明8、11は、上記第2に記載のとおりの発明であり、本願発明8-10、11-12は、いずれも、本願発明1の「第1の方向に沿って走査するように構成された基板ホルダ」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、引用発明1、引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。

第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は、請求項1-12について、上記引用文献1-3に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
しかしながら、令和3年2月9日付け手続補正により補正された請求項1-12は、いずれも、「第1の方向に沿って走査するように構成された基板ホルダ」という構成、「イオンビームはパルスイオンビームより成り、モニタリング装置は、前記第1の方向に沿って前記基板に対して複数の異なる位置に配置され、前記基板ホルダと連動する複数の発光分光分析(OES)検出器を備え、第1の信号は前記複数の異なる位置の第1の位置で検出される第1のOES信号であり、少なくとも一つのコンピュータ可読記憶媒体は、実行時に、前記処理装置に、
前記第1のOES信号と異なる、前記複数の異なる位置の第2の位置からの第2のOES信号を前記基板から受信させ、
前記第1のOES信号及び前記第2のOES信号の受信に応答して前記第1の方向に沿う前記基板の走査中に前記パルスイオンビームのイオンビームデューティサイクルを調整させる、
命令を備え」という構成を有するものとなっているところ、上記のとおり、本願発明1-12は、上記引用文献1に記載された発明及、上記引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第6 当審拒絶理由について
1 特許法第36条第6項第2号について
当審では、令和3年1月6日付けの最後の拒絶理由通知において、(1)請求項1について、ア 第5行には、「検出す」と記載されており、意味不明であり、イ 第13行には、「前記イオンビーム」と記載されているが、「イオンビーム」の用語は前記されていない。「前記」されていない他の複数の用語にも「前記」と記載されており、不明りょうな記載であり、(2)請求項8、11についても(1)イと同じ理由で不明りょうであるとの拒絶の理由を通知しているが、令和3年2月9日付けの手続補正書による補正において、上記第2に記載のとおり補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明1-12は、引用発明1、引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-04-28 
出願番号 特願2016-566208(P2016-566208)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 長谷川 直也  
特許庁審判長 辻本 泰隆
特許庁審判官 恩田 春香
井上 和俊
発明の名称 基板をエッチングする方法、デバイス構造をエッチングする方法及び処理装置  
代理人 石川 雅章  
代理人 杉村 憲司  
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