• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B32B
管理番号 1374141
審判番号 不服2018-14256  
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-10-26 
確定日 2021-06-01 
事件の表示 特願2014-252662「保温シート」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 6月20日出願公開、特開2016-107604、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本件は、平成26年12月15日(優先権主張平成26年12月4日)の出願(以下「本願」という。)であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年 5月18日付け:拒絶理由通知書
平成29年 7月21日 :意見書、手続補正書の提出
平成29年10月30日付け:拒絶理由(最後の拒絶理由)通知書
平成30年 1月 9日 :指定期間の延長の請求
平成30年 3月 7日 :意見書及び手続補正書の提出
平成30年 3月8日付け :却下理由通知
平成30年 3月13日 :弁明書の提出
平成30年 5月16日付け:平成30年3月7日提出の手続補正書に係る手続の却下
平成30年 7月25日付け:拒絶査定
平成30年10月26日 :審判請求書の提出、同時に手続補正書の提出
令和 元年 6月27日付け:当審より拒絶理由通知
令和 元年 8月29日 :意見書及び手続補正書の提出
令和 元年10月23日付け:審決
令和 元年12月 5日 :審決取消訴訟の提起(令和元年(行ケ)第10165号)
令和 2年11月 5日 :判決言渡
令和 3年 1月 5日付け:当審より拒絶理由通知
令和 3年 3月10日 :意見書の提出

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和元年8月29日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
人又はその他の動物である生体の表面の保温を行う保温シートであって、
フレキシブルに変更可能なシート状の基材と、
通気性及び通水性が確保され且つ透光性を有する不織布又は織布からなるカバー体とを備え、
前記基材における生体側の面に断熱材を含浸又は塗布することにより断熱面を形成し、
前記断熱材は、中空ビーズ構造であって且つ10?50μmの粒径を有するアルミノ珪酸ソーダガラスと、顔料としての二酸化チタンとを含み、
前記アルミノ珪酸ソーダガラスの含有量は、前記断熱材の全重量の10?20重量%であり、
前記カバー体によって基材の断熱面をカバーし、
前記カバー体は、上記断熱面に面状に密着された状態で接着され、
前記カバー体は、生体側からの輻射熱を通すことによって、前記アルミノ珪酸ソーダガラスが遠赤外線を放射する温度まで該アルミノ珪酸ソーダガラスを温めるとともに、該アルミノ珪酸ソーダガラスから放射された遠赤外線が生体側に達するように構成された
ことを特徴とする保温シート。」

第3 当審における拒絶の理由
令和3年1月5日付け当審が通知した拒絶理由の要旨は、次のとおりのものである。

本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された引用文献2に記載された発明及び引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:特開2001-299409号公報
引用文献2:特開2005-323786号公報

第4 引用文献の記載及び引用発明
1.引用文献1
引用文献1には、以下の事項が記載されている。なお、下線は、理解の便宜のため、当審が付した。以下同様。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 中空粒子または/および気泡を内包する樹脂組成物からなる断熱性シート
が、靴内部の底形状に合わせて切り抜かれていることを特徴とする靴の中敷き。
・・・
【請求項3】 前記断熱性シートは、前記樹脂組成物が含浸性基材の少なくとも厚みの一部に含浸したものであることを特徴とする請求項1または2記載の靴の中敷き。
【請求項4】 断熱性シートの上面に、メッシュ状シートが積層されていることを特徴とする請求項1?3いずれか記載の靴の中敷き。
・・・」
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、短靴、長靴等の靴の底に敷いて、保温性、もしくはクッション性に加え、好ましくは、防臭性、抗菌性、防黴性を持たせた靴の中敷きに関するものである。
【0002】
【従来の技術】・・・
・・・
【0004】そこで、一般的な靴に不足する点を補う目的で、布、フェルト、もしくは発泡シート等のシート状物を素材として、靴の内形に合せて形作られたものを靴内部の底に置く、いわゆる靴の中敷きがよく用いられている。しかしながら、布やフェルトは、吸湿しやすいので、歩行の際の靴の内部の湿度を高めるため、足がむれたり、白癬菌等の増殖につながりやすい。また、発泡シートは、潰れやすいため、本来の断熱性が得られ難い。また、いずれのシート状物も、これらに、防臭性、抗菌性、もしくは防黴性を与えようとすると、薬剤を含む塗液を含浸するか、もしくは塗布する必要があるが、含浸、もしくは塗付により、断熱性が低下しやすい欠点をも有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明においては、従来の靴の中敷きが、断熱性を有しながらも、吸湿性が高かったり、潰れやすく断熱性が得られ難い等の不足点を有していた点を改善することを課題としており、より好ましくは、防臭性、抗菌性、もしくは防黴性を付与しても、断熱性等の本来的な性能が低下し難い靴の中敷きを提供することをも課題とするものである。」
「【0039】ところで、靴の中敷きに足、もしくは靴下を履いた足が接触すると、足から水分である汗(大半は水もしくは水蒸気)が放出されるが、
この水分を靴の中敷き1に吸収させず、できるだけ放出するような構造が望まれる。図3は、水分の放出に備えた構成を示すもので、図1(a)に示すような、裏打層2が下面に積層された断熱性シート2の上面に、メッシュ(=網)状シート6が積層された構造からなる靴の中敷き1を示している。
【0040】このように、メッシュ状シート6が上面に積層された靴の中敷き1が使用されるときは、足、もしくは靴下を履いた足と、靴の中敷き1との接触面積が減少し、従って、足、もしくは靴下を履いた足と、靴の中敷き1との間に、空気が充分移動できる空間が生じるので、足から発生し、気化した水分を、充分逃がすことができる。
【0041】メッシュ状シート6としては、ポリプロピレン、ポリエステル、もしくはポリ塩化ビニリデン等の吸湿性が低く、比較的太い繊維をメッシュ状に織ったものが好ましい。」
「【0047】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、中空粒子または/および気泡を内包する樹脂組成物からなる断熱性シートで靴の中敷きを構成しているので、吸湿性が低く、また、内部の中空粒子もしくは気泡が潰れ難く、使用による断熱性の低下が少ない靴の中敷きを提供できる。請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、裏打層が積層されることにより、補強等の機能を加味した靴の中敷きを提供できる。請求項3の発明によれば、請求項1または2記載の発明の効果に加え、断熱性シートが断熱性をもたらす樹脂組成物が含浸性基材の少なくとも厚みの一部に含浸したもであるので、断熱性シートが一段と強化された靴の中敷きを提供できる。請求項4の発明によれば、請求項1?3いずれかの発明の効果に加え、断熱性シートの上面にメッシュシートが積層されているので、空気の流通がよく、水分を逃がすことができる靴の中敷きを提供できる。・・・」
以上の記載からみて、引用文献1には、次の事項(以下「引用文献1記載事項」という。)が記載されている。
「中空粒子または/および気泡を内包する樹脂組成物からなる断熱性シートが、靴内部の底形状に合わせて切り抜かれている靴の中敷きであり、前記断熱性シートは、前記樹脂組成物が含浸性基材の少なくとも厚みの一部に含浸したものであり、断熱性シートの上面に、メッシュ状シートが積層されている、保温性、もしくはクッション性に加え、好ましくは、防臭性、抗菌性、防黴性を持たせた靴の中敷き。」

2.引用文献2
引用文献2には、以下の事項が記載されている。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴の中に入れて靴底上に敷く靴中敷きにおいて、
前記靴底の形状に合わせて形成された中敷き本体を有し、前記中敷き本体は、中敷きベースシート材と、前記中敷きベースシート材上に積層された塗布式仕上げ一体型断熱塗材コート層とからなり、前記中敷きベースシート材の表面に熱エネルギー反射型塗布式断熱塗材を塗布して前記塗布式仕上げ一体型断熱塗材コート層を一体に形成したことを特徴とする靴中敷き。
【請求項2】
上記中敷きベースシート材は、ポリエステル,フェルト,SBRなどの合成ゴム,ポリプロピレン,PVDC樹脂,EVA樹脂などの中から選択されている請求項1に記載の靴中敷き。
【請求項3】
上記塗布式仕上げ一体型断熱塗材コート層の層厚は、0.4?0.8mmである請求項1に記載の靴中敷き。
【請求項4】
上記塗布式仕上げ一体型断熱塗材コート層は、人体から発せられた熱エネルギーを反射することにより、前記塗布式仕上げ一体型断熱塗材コート層の外部に逃げようとする熱エネルギーを封じ込める機能を持つ塗料により形成された層である請求項1または3に記載の靴中敷き。
【請求項5】
上記熱エネルギー反射型塗布式断熱塗材は、水分子と共に浸入する熱エネルギーを塗膜内に反射させる熱エネルギー反射セラミックと、水分を吸水する吸水性セラミックとを含有している請求項1に記載の靴中敷き。
【請求項6】
上記熱エネルギー反射型塗布式断熱塗材は、さらに、上記熱エネルギー反射セラミックであるアルミノケイ酸ソーダガラスと、顔料と、樹脂エマルジョンと、分散剤と、粘着剤とを含有し、前記アルミノケイ酸ソーダガラスは、中空ビーズ構造であり、前記アルミノケイ酸ソーダガラスの粒径は、10?50μmであり、且つ前記アルミノケイ酸ソーダガラスの含有量は、断熱塗材の全重量の10?20重量%である請求項1または5に記載の靴中敷き。
【請求項7】
上記熱エネルギー反射型塗布式断熱塗材の顔料は、二酸化チタンである請求項6に記載の靴中敷き。
【請求項8】
上記熱エネルギー反射型塗布式断熱塗材の樹脂エマルジョンは、アクリルエマルジョン,ウレタンエマルジョンあるいはエポキシエマルジョンの内のいずれか1つあるいはこれらを混合したものである請求項6または7に記載の靴中敷き。」
「【技術分野】
【0001】
本発明は、靴の中に入れて靴底上に敷く靴中敷きに関し、特に、保温(断熱)性,消臭性,防湿性,抗菌性,耐久性を備えた靴中敷きに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、中空粒子,気泡を内包する樹脂組成物からなる断熱性シートが、靴内部の底形状に合わせて切り抜かれている靴の中敷きが特許文献1に開示されている。
【0003】
また、ベースシートと、このベースシートの上面に設けた上シートと、ベースシートと上シートとの間の足の荷重が直接かからない先端部分に配設したクッション材とで構成している靴中敷きが特許文献2に開示されている。
【0004】
さらに、紙材からなるベースシートと、透湿性、通気性、保温性、耐水性を備え、繊維状に形成した長繊維不織布の吸水シートとからなり、ベースシートの上面に吸水シートをエンボス加工により熱圧着して中敷き本体を形成した靴中敷きが特許文献3に開示されている。
【特許文献1】特開2001-299409号公報
【特許文献2】特開2001-258610号公報
【特許文献3】特開2001-54405号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来の特許文献1に開示された靴の中敷きは、断熱性シートの下面に裏打層が積層され、断熱性シートが樹脂組成物を含浸性基材の少なくとも厚みの一部に含浸したものであるので、靴の中敷き本体の製造を容易に行えず、靴の中敷き本体の製造コストが高くなった。
・・・
【0008】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑み、熱エネルギー反射型塗布式断熱塗材を中敷き本体の中敷きベースシート材の表面に塗布して乾燥させるのみで、塗布式仕上げ一体型断熱塗材コート層を中敷き本体の中敷きベースシート材上に積層した状態に形成することができ、塗布式仕上げ一体型断熱塗材コート層が人体の足から発せられた熱エネルギーを反射し、塗布式仕上げ一体型断熱塗材コート層の外部に逃げようとする熱エネルギーを内部に封じ込めるので、塗布式仕上げ一体型断熱塗材コート層の外部への放熱を抑えることができ、塗布式仕上げ一体型断熱塗材コート層が吸水した水分を迅速に発散させるので、塗布式仕上げ一体型断熱塗材コート層を乾燥させることができ、塗布式仕上げ一体型断熱塗材コート層が保温(断熱)性,消臭性,防湿性,抗菌性,耐久性に優れ、塗布式仕上げ一体型断熱塗材コート層の美観も良く、靴中敷き本体の製造を容易に行え、靴中敷き本体の製造コストの低減化を図れ、安価な靴中敷きを提供することを目的とする。
・・・
【0010】
上記に記載の本発明によれば、熱エネルギー反射型塗布式断熱塗材を中敷き本体の中敷きベースシート材の表面に塗布して乾燥させるのみで、塗布式仕上げ一体型断熱塗材コート層を中敷きベースシート材上に積層した状態に形成することができ、塗布式仕上げ一体型断熱塗材コート層の仕上がり品質も高く、塗布式仕上げ一体型断熱塗材コート層が保温(断熱)性,消臭性,防湿性,抗菌性,耐久性に優れ、塗布式仕上げ一体型断熱塗材コート層の美観も良い。」
「【0018】
上記に記載の本発明によれば、熱エネルギー反射型塗布式断熱塗材が熱エネルギー反射セラミックを含有しているので、人体の足から発せられる熱エネルギーを熱エネルギー反射セラミックにより効率良く塗膜内に反射させることができ、しかも、熱エネルギー反射型塗布式断熱塗材が吸水性セラミックを含有しているので、人体の足から出る汗などの水分を吸水セラミックにより吸収することができ、熱エネルギー反射セラミックが吸水セラミックの温度を上昇させるので、吸水セラミックの吸水した水分を速やかに発散させることができ、塗布式仕上げ一体型断熱塗材コート層を迅速に乾燥させ、塗布式仕上げ一体型断熱塗材コート層の防湿性,抗菌性を確保でき、しかも、吸水性セラミックが靴内に発生する臭いを吸着して分解して消臭するので、靴内の臭いをその消臭効果により低減させることができる。
【0019】
本発明の靴中敷きは、上記熱エネルギー反射型塗布式断熱塗材が、上記熱エネルギー反射セラミックであるアルミノケイ酸ソーダガラスと、顔料と、樹脂エマルジョンと、分散剤と、粘着剤とを含有し、前記アルミノケイ酸ソーダガラスが、中空ビーズ構造であり、前記アルミノケイ酸ソーダガラスの粒径が、10?50μmであり、且つ前記アルミノケイ酸ソーダガラスの含有量が、断熱塗材の全重量の10?20重量%である。
【0020】
上記に記載の本発明によれば、中空ビーズ構造で、粒径が10?50μmのアルミノケイ酸ソーダガラスを熱エネルギー反射セラミックとして用いることにより、アルミノケイ酸ソーダガラスが人体の足から発せられる熱エネルギー(体温)を反射するが、さらにアルミノケイ酸ソーダガラスが中空ビーズ構造であることにより、塗布式仕上げ一体型断熱塗材コート層の外部に逃げようとする熱エネルギーを中空ビーズ部分で封じ込めることができるので、塗布式仕上げ一体型断熱塗材コート層の外部への放熱をアルミノケイ酸ソーダガラスにより抑えることができる。
そのため、この熱エネルギー反射型塗布式断熱塗材の熱伝導率を従来の断熱材に対して0.03?0.05程度の範囲の非常に低い値にすることができる。
【0021】
本発明の靴中敷きは、上記熱エネルギー反射型塗布式断熱塗材の顔料が、二酸化チタンである。
【0022】
上記に記載の本発明によれば、熱エネルギー反射型塗布式断熱塗材の顔料が二酸化チタンであるので、二酸化チタンは顔料として優れた純白の色をもたらし、靴中敷きの美観が良くなる」
「【0037】
靴中敷き1の製造は、中敷き本体10の中敷きベースシート材11の表面11aに熱エネルギー反射型塗布式断熱塗材13をスプレー,刷毛,ローラ,コテ等によって塗布した後、熱エネルギー反射型塗布式断熱塗材13を所定時間乾燥させることにより、中敷き本体10の中敷きベースシート材11上に積層した塗布式仕上げ一体型断熱塗材コート層12が一体に形成され、靴中敷き1が製造される。
【0038】
熱エネルギー反射型塗布式断熱塗材13の乾燥後、塗布式仕上げ一体型断熱塗材コート層12の表面には、図3に示すように、アルミノケイ酸ソーダガラス15よりも軽量の吸水性セラミック14が集められ、塗布式仕上げ一体型断熱塗材コート層12の吸水性セラミック14の下側には軽量のアルミノケイ酸ソーダガラス15が集められている。
【0039】
上記実施例の熱エネルギー反射型塗布式断熱塗材13としては、シスタコート(商標名 式会社日進産業製)を使用する。」
以上の記載からみて、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されている。
「保温(断熱)性,消臭性,防湿性,抗菌性,耐久性を備えた靴の中に入れて靴底上に敷く靴中敷きであり、
前記靴底の形状に合わせて形成された中敷き本体を有し、前記中敷き本体は、中敷きベースシート材と、前記中敷きベースシート材上に積層された塗布式仕上げ一体型断熱塗材コート層とからなり、前記中敷きベースシート材の表面に熱エネルギー反射型塗布式断熱塗材を塗布して前記塗布式仕上げ一体型断熱塗材コート層を一体に形成し、
上記中敷きベースシート材は、ポリエステル,フェルト,SBRなどの合成ゴム,ポリプロピレン,PVDC樹脂,EVA樹脂などの中から選択されており、
上記塗布式仕上げ一体型断熱塗材コート層は、人体から発せられた熱エネルギーを反射することにより、前記塗布式仕上げ一体型断熱塗材コート層の外部に逃げようとする熱エネルギーを封じ込める機能を持つ塗料により形成された層であり、
上記熱エネルギー反射型塗布式断熱塗材は、水分子と共に浸入する熱エネルギーを塗膜内に反射させる熱エネルギー反射セラミックと、水分を吸水する吸水性セラミックと、顔料と、樹脂エマルジョンと、分散剤と、粘着剤とを含有し、
上記熱エネルギー反射セラミックがアルミノケイ酸ソーダガラスであり、アルミノケイ酸ソーダガラスは、中空ビーズ構造であり、前記アルミノケイ酸ソーダガラスの粒径は、10?50μmであり、且つ前記アルミノケイ酸ソーダガラスの含有量は、断熱塗材の全重量の10?20重量%であり、
上記顔料は、二酸化チタンである、
靴中敷き。」

第5 対比
本願発明と引用発明2とを対比すると、次のことがいえる。
引用発明2の「保温(断熱)性,消臭性,防湿性,抗菌性,耐久性を備えた靴の中に入れて靴底上に敷く靴中敷き」は、その機能・構成からみて、本願発明の「人又はその他の動物である生体の表面の保温を行う保温シート」に相当する。
引用発明2の「ポリエステル,フェルト,SBRなどの合成ゴム,ポリプロピレン,PVDC樹脂,EVA樹脂などの中から選択されて」いる「中敷きベースシート材」は、「シート状の基材」の限りで、本願発明の「フレキシブルに変更可能なシート状の基材」と一致する。
引用発明2の「水分子と共に浸入する熱エネルギーを塗膜内に反射させる熱エネルギー反射セラミックと、水分を吸水する吸水性セラミックと、顔料と、樹脂エマルジョンと、分散剤と、粘着剤とを含有し、上記熱エネルギー反射セラミックがアルミノケイ酸ソーダガラスであり、アルミノケイ酸ソーダガラスは、中空ビーズ構造であり、前記アルミノケイ酸ソーダガラスの粒径は、10?50μmであり、且つ前記アルミノケイ酸ソーダガラスの含有量は、断熱塗材の全重量の10?20重量%であり、上記顔料は、二酸化チタンである、」「熱エネルギー反射型塗布式断熱塗材」は、本願発明の「中空ビーズ構造であって且つ10?50μmの粒径を有するアルミノ珪酸ソーダガラスと、顔料としての二酸化チタンとを含み、前記アルミノ珪酸ソーダガラスの含有量は、前記断熱材の全重量の10?20重量%であ」る「断熱材」に相当するから、引用発明2の「中敷きベースシート材の表面に熱エネルギー反射型塗布式断熱塗材を塗布して」、「人体から発せられた熱エネルギーを反射する」「塗布式仕上げ一体型断熱塗材コート層を一体に形成し」たことは、本願発明の「前記基材における生体側の面に断熱材を含浸又は塗布することにより断熱面を形成し」たことに相当する。

したがって、本願発明と引用発明2とは、次の一致点で一致し、相違点1及び相違点2で相違する。

[一致点]
「人又はその他の動物である生体の表面の保温を行う保温シートであって、
シート状の基材を備え、
前記基材における生体側の面に断熱材を含浸又は塗布することにより断熱面を形成し、
前記断熱材は、中空ビーズ構造であって且つ10?50μmの粒径を有するアルミノ珪酸ソーダガラスと、顔料としての二酸化チタンとを含み、
前記アルミノ珪酸ソーダガラスの含有量は、前記断熱材の全重量の10?20重量%である、
保温シート。」

[相違点1]
「シート状の基材」について、本願発明は「フレキシブルに変更可能なシート状の基材」であるのに対し、引用発明2は「ポリエステル,フェルト,SBRなどの合成ゴム,ポリプロピレン,PVDC樹脂,EVA樹脂などの中から選択されて」いる「中敷きベースシート材」である点。

[相違点2]
本願発明は、「通気性及び通水性が確保され且つ透光性を有する不織布又は織布からなるカバー体とを備え、」「前記カバー体によって基材の断熱面をカバーし、前記カバー体は、上記断熱面に面状に密着された状態で接着され、」「前記カバー体は、生体側からの輻射熱を通すことによって、前記アルミノ珪酸ソーダガラスが遠赤外線を放射する温度まで該アルミノ珪酸ソーダガラスを温めるとともに、該アルミノ珪酸ソーダガラスから放射された遠赤外線が生体側に達するように構成された」ものであるのに対し、引用発明2には、そのような構成を備えていない点。

第6 判断
事案に鑑み、先に相違点2について検討する。
まず、引用発明2の「熱エネルギー反射型塗布式断熱塗材」に含有される「水分を吸水する吸水性セラミック」について、引用文献2には「【0018】・・・、しかも、熱エネルギー反射型塗布式断熱塗材が吸水性セラミックを含有しているので、人体の足から出る汗などの水分を吸水セラミックにより吸収することができ、熱エネルギー反射セラミックが吸水セラミックの温度を上昇させるので、吸水セラミックの吸水した水分を速やかに発散させることができ、塗布式仕上げ一体型断熱塗材コート層を迅速に乾燥させ、塗布式仕上げ一体型断熱塗材コート層の防湿性,抗菌性を確保でき、・・・」と記載されているから、引用発明2には、「塗布式仕上げ一体型断熱塗材コート層を迅速に乾燥させ、塗布式仕上げ一体型断熱塗材コート層の防湿性,抗菌性を確保する」ために、「吸水セラミックの吸水した水分を速やかに発散させる」という動機がある。
次に、引用文献1記載事項の「保温性、もしくはクッション性に加え、好ましくは、防臭性、抗菌性、防黴性を持たせた靴の中敷き」の「メッシュ状シート」について、引用文献1には「【0040】このように、メッシュ状シート6が上面に積層された靴の中敷き1が使用されるときは、足、もしくは靴下を履いた足と、靴の中敷き1との接触面積が減少し、従って、足、もしくは靴下を履いた足と、靴の中敷き1との間に、空気が充分移動できる空間が生じるので、足から発生し、気化した水分を、充分逃がすことができる。」と記載されているから、前記「メッシュ状シート」は、「足、もしくは靴下を履いた足と、靴の中敷き1との間に、空気が充分移動できる空間が生じ」、「気化した水分を、充分逃がす」という機能・作用を奏するものであり、メッシュという構造ゆえに、通水性や透光性があることも自明である。また、引用文献1記載事項は、保温性を備えた靴中敷きにおいて、人体の足から出る汗などの水分に着目している点で、引用発明2と共通するものである。
しかし、引用文献2の【発明が解決しようとする課題】の欄には、同文献の従来の技術である引用文献1に記載されたものは「靴の中敷き本体の製造を容易に行えず、靴の中敷き本体の製造コストが高くなった」ものであり、引用文献2の目的として、「靴中敷き本体の製造を容易に行え、靴中敷き本体の製造コストの低減化を図れ、安価な靴中敷きを提供する」ことが記載されている。
そして、引用発明2の「塗布式仕上げ一体型断熱塗材コート層」の表面に、引用文献1記載事項の「メッシュ状シート」を適用すると、引用発明2の部品点数及び製造工程を増やすことになり、「靴中敷き本体の製造を容易に行え、靴中敷き本体の製造コストの低減化を図れ、安価な靴中敷きを提供する」ことに反するから、当該適用には阻害要因がある。
また、引用文献2には、「人体の足から発せられる熱エネルギーを熱エネルギー反射セラミックにより効率良く塗膜内に反射させることができ、しかも、熱エネルギー反射型塗布式断熱塗材が吸水性セラミックを含有しているので、人体の足から出る汗などの水分を吸水セラミックにより吸収することができ、熱エネルギー反射セラミックが吸水セラミックの温度を上昇させるので、吸水セラミックの吸水した水分を速やかに発散させる」(【0018】)と記載されているところ、前記適用により、「人体の足」と「塗布式仕上げ一体型断熱塗材コート層」との間に「メッシュ状シート」が介在すると、足と熱エネルギー反射型塗布式断熱塗材との間に空気が十分に移動する空間が生じることとなり、引用発明2が備える、人体から発せられた熱エネルギーを利用するという機能が阻害される。
したがって、上記相違点1について判断するまでもなく、本願発明は、当業者であっても引用発明2及び引用文献1記載事項に基いて容易に発明できたものであるとはいえない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由および当審拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-05-11 
出願番号 特願2014-252662(P2014-252662)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B32B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 飛彈 浩一近野 光知平井 裕彰  
特許庁審判長 藤原 直欣
特許庁審判官 石井 孝明
村山 達也
発明の名称 保温シート  
代理人 河野 誠  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ