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審決分類 |
審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 H02K 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H02K 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H02K |
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管理番号 | 1374233 |
審判番号 | 不服2019-17798 |
総通号数 | 259 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-07-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-12-27 |
確定日 | 2021-05-12 |
事件の表示 | 特願2017-558558「高速ホールレス3相掃除機モータ」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 1月19日国際公開、WO2017/008439、平成30年 8月 2日国内公表、特表2018-521614〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2015年(平成27年)12月16日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2015年(平成27年) 7月16日 中国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。 平成29年12月28日 翻訳文提出、手続補正書の提出 平成31年 2月27日付け 拒絶理由の通知 令和 元年 5月 9日 意見書、手続補正書の提出 令和 元年10月24日付け 拒絶査定 令和 元年12月27日 審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和元年12月27日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和元年12月27日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1.本件補正について (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の記載は、次のとおり補正された。(下線部は補正箇所である。) 「 【請求項1】 中心円を有する鉄心と、 前記中心円を通り抜けるロータと、 前記鉄心の一端を固定するための第1端部キャップと、 前記第1端部キャップと嵌合し、前記鉄心の他端を固定する第2端部キャップと、 前記第2端部キャップの一方の側に配置され、前記ロータにより駆動される可動インペラと、 前記可動インペラを受け入れ、前記第2端部キャップに固定されたインペラカバーと、 前記インペラカバーの内側且つ前記可動インペラの外側にスリーブされた固定インペラであり、前記固定インペラには、前記可動インペラからの冷却空気を前記固定インペラの周方向に流れるようにガイドするように構成された複数のガイドブレードが設けられている、固定インペラと、 前記第1端部キャップの外側に配置された回路基板であって、前記回路基板には、モータにより出力される風によって冷却されるホールセンサレス回路が提供され、前記ホールセンサレス回路によって制御される前記モータの回転速度が毎分80000回転よりも大きい、回路基板と、 を備える、高速ホールセンサレス3相掃除機モータ。 【請求項2】 前記第1端部キャップは、冷却用の前記モータの空気吹き出し口に配置され、 前記モータの逆起電力を検出するために、アナログ電子回路が前記ホールセンサレス回路に採用され、前記逆起電力は、ロータ磁極位置に対するフィードバック信号として機能する、請求項1に記載の高速ホールセンサレス3相掃除機モータ。 【請求項3】 前記鉄心は、円形の鉄心外縁と、前記鉄心外縁の内壁により形成され、中心へと半径方向に延伸する複数の突出部とを有し、それぞれの突出部の前記中心に近接した一端に磁極片が提供され、それぞれの磁極片の磁極片角度aは90-100度の範囲内であり、2つの隣接する突出部の間に円弧形状のギャップが形成される、請求項1に記載の高速ホールセンサレス3相掃除機モータ。 【請求項4】 複数の前記磁極片の円弧が同一の中心円上にあり、前記中心円の直径は10から15ミリメートルの範囲であり、それぞれの磁極片と前記ロータとの間の片側だけのエアギャップが0.5ミリメートルである、請求項3に記載の高速ホールセンサレス3相掃除機モータ。 【請求項5】 前記鉄心外縁の外壁が外側に突出して複数のフランジを形成し、前記複数のフランジはそれぞれの突出部に対応し、前記複数のフランジのそれぞれには、位置決め穴および前記位置決め穴に隣接するねじ穴が提供され、前記位置決め穴の中心と前記ねじ穴の中心は同一の円上にある、請求項3または請求項4に記載の高速ホールセンサレス3相掃除機モータ。 【請求項6】 前記第1端部キャップは、端部キャップ外縁と、前記端部キャップ外縁に接続された支持部分と、前記端部キャップ外縁と前記支持部分との間の複数の冷却ギャップとを有し、 前記支持部分は、軸穴を有する中心部と、前記中心部に接続された一端および前記端部キャップ外縁に接続された他端をそれぞれが有する複数の支持アームとを有し、前記複数の冷却ギャップは、軸方向において円弧形状のギャップと少なくとも部分的に位置合わせされる、請求項3に記載の高速ホールセンサレス3相掃除機モータ。 【請求項7】 前記回路基板は、前記複数の冷却ギャップに配置された複数のMOSFETを有する、請求項6に記載の高速ホールセンサレス3相掃除機モータ。 【請求項8】 前記ホールセンサレス回路は、コントローラと、前記コントローラへ電力を供給する電源部と、前記コントローラの出力端に接続されたプリドライブ部と、前記プリドライブ部の出力端および前記モータに接続された3相ブリッジ電力回路部と、前記コントローラと前記3相ブリッジ電力回路部との間に配置された電流サンプリング部とを有する、請求項1から請求項4、6、及び7のいずれか1項に記載の高速ホールセンサレス3相掃除機モータ。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の、令和元年5月9日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の記載は、次のとおりである。 「 【請求項1】 モータにより出力される風によって冷却されるホールセンサレス回路を備え、前記ホールセンサレス回路によって制御される前記モータの回転速度が毎分80000回転よりも大きく、回路基板は、第1端部キャップの外側に配置され且つ前記ホールセンサレス回路が提供され、前記第1端部キャップは、冷却用の前記モータの空気吹き出し口に配置される、高速ホールセンサレス3相掃除機モータ。 【請求項2】 前記モータの逆起電力を検出するために、アナログ電子回路が前記ホールセンサレス回路に採用され、前記逆起電力は、ロータ磁極位置に対するフィードバック信号として機能する、請求項1に記載の高速ホールセンサレス3相掃除機モータ。 【請求項3】 前記モータは、 中心円を有する鉄心と、 前記中心円を通り抜けるロータと、 前記鉄心の一端を固定するための前記第1端部キャップと、 前記第1端部キャップと嵌合し、前記鉄心の他端を固定する第2端部キャップと、 前記第2端部キャップの一方の側に配置され、前記ロータにより駆動される可動インペラと、 前記可動インペラを受け入れ、前記第2端部キャップに固定されたインペラカバーと、 前記第2端部キャップと前記可動インペラとの間に配置された固定インペラと、 前記回路基板と、 をさらに備える、請求項2に記載の高速ホールセンサレス3相掃除機モータ。 【請求項4】 中心円を有する鉄心と、 前記中心円を通り抜けるロータと、 前記鉄心の一端を固定するための第1端部キャップと、 前記第1端部キャップと嵌合し、前記鉄心の他端を固定する第2端部キャップと、 前記第2端部キャップの一方の側に配置され、前記ロータにより駆動される可動インペラと、 前記可動インペラを受け入れ、前記第2端部キャップに固定されたインペラカバーと、 前記第2端部キャップと前記可動インペラとの間に配置された固定インペラと、 前記第1端部キャップの外側に配置された回路基板であって、前記回路基板には、モータにより出力される風によって冷却されるホールセンサレス回路が提供され、前記ホールセンサレス回路によって制御される前記モータの回転速度が毎分80000回転よりも大きい、回路基板と、 を備える、高速ホールセンサレス3相掃除機モータ。 【請求項5】 前記鉄心は、円形の鉄心外縁と、前記鉄心外縁の内壁により形成され、中心へと半径方向に延伸する複数の突出部とを有し、それぞれの突出部の前記中心に近接した一端に磁極片が提供され、それぞれの磁極片の磁極片角度aは90-100度の範囲内であり、2つの隣接する突出部の間に円弧形状のギャップが形成される、請求項4に記載の高速ホールセンサレス3相掃除機モータ。 【請求項6】 複数の前記磁極片の円弧が同一の中心円上にあり、前記中心円の直径は10から15ミリメートルの範囲であり、それぞれの磁極片と前記ロータとの間の片側だけのエアギャップが0.5ミリメートルである、請求項5に記載の高速ホールセンサレス3相掃除機モータ。 【請求項7】 前記鉄心外縁の外壁が外側に突出して複数のフランジを形成し、前記複数のフランジはそれぞれの突出部に対応し、前記複数のフランジのそれぞれには、位置決め穴および前記位置決め穴に隣接するねじ穴が提供され、前記位置決め穴の中心と前記ねじ穴の中心は同一の円上にある、請求項5または請求項6に記載の高速ホールセンサレス3相掃除機モータ。 【請求項8】 前記第1端部キャップは、端部キャップ外縁と、前記端部キャップ外縁に接続された支持部分と、前記端部キャップ外縁と前記支持部分との間の複数の冷却ギャップとを有し、 前記支持部分は、軸穴を有する中心部と、前記中心部に接続された一端および前記端部キャップ外縁に接続された他端をそれぞれが有する複数の支持アームとを有し、前記複数の冷却ギャップは、軸方向において円弧形状のギャップと少なくとも部分的に位置合わせされる、請求項5に記載の高速ホールセンサレス3相掃除機モータ。 【請求項9】 前記回路基板は、前記複数の冷却ギャップに配置された複数のMOSFETを有する、請求項8に記載の高速ホールセンサレス3相掃除機モータ。 【請求項10】 前記ホールセンサレス回路は、コントローラと、前記コントローラへ電力を供給する電源部と、前記コントローラの出力端に接続されたプリドライブ部と、前記プリドライブ部の出力端および前記モータに接続された3相ブリッジ電力回路部と、前記コントローラと前記3相ブリッジ電力回路部との間に配置された電流サンプリング部とを有する、請求項4から請求項9のいずれか1項に記載の高速ホールセンサレス3相掃除機モータ。」 2.補正の適否 (1)本件補正の目的について 本件補正後の請求項1に係る発明は、「前記第1端部キャップの外側に配置された回路基板であって、前記回路基板には、モータにより出力される風によって冷却されるホールセンサレス回路が提供され、前記ホールセンサレス回路によって制御される前記モータの回転速度が毎分80000回転よりも大きい、回路基板」を備えた発明であるから、同様の発明特定事項を備えた本件補正前の請求項4に係る発明に対応していると認められる。そして、本件補正は、固定インペラに関し、本件補正前の請求項4における「前記第2端部キャップと前記可動インペラとの間に配置された固定インペラ」という発明特定事項を、本件補正後の請求項1において「前記インペラカバーの内側且つ前記可動インペラの外側にスリーブされた固定インペラ」に変更する補正事項を含むものであるところ、当該補正事項により、本件補正前に特定されていた第2端部キャップと固定インペラとの位置関係が削除されているから、当該補正事項は、補正前の請求項4に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものではない。 そうすると、当該補正事項は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものではなく、また、同項第1号、第3号、第4号のいずれを目的とするものでないことも明らかである。 また、本件補正における本件補正後の請求項2についての補正は、本件補正前の他の請求項の記載を引用しない請求項である請求項1に記載した発明特定事項の一部と、当該請求項1の記載を引用する請求項2に記載した発明特定事項とを、本件補正前の他の請求項の記載を引用しない請求項である請求項4(本件補正後の請求項1)の記載を引用する、新たな請求項とするものであり、本件補正前の請求項4を引用する請求項の数を増加させるものであるから、当該補正事項は、特許法第17条の2第5項各号のいずれを目的とするものでもない。 (2)独立特許要件について 上記(1)のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項各号のいずれを目的するものでないことは明らかであるが、仮に、本件補正における請求項1及び2に係る補正が特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものとして、本件補正後の請求項1及び2に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。 本件補正後の請求項1には「前記インペラカバーの内側且つ前記可動インペラの外側にスリーブされた固定インペラであり」と記載されているが、「スリーブされた」という用語は本願の明細書に記載されておらず、また、一般的な技術用語ともいえないため、その意味が不明であり、請求項1に係る発明は明確でない。 また、本件補正後の請求項2には「前記第1端部キャップは、冷却用の前記モータの空気吹き出し口に配置され」と記載されている。しかし、本願の明細書の段落[0036]には、「図4を参照すると、第1端部キャップ3は・・・端部キャップ外縁30と支持部分32との間に配置された複数の冷却ギャップ34を含む。」、「冷却ギャップ34はモータの空気吹き出し口であり」と記載されており、当該記載を参酌すると、冷却ギャップは空気吹き出し口であり、当該冷却ギャップ(空気吹き出し口)は第1端部キャップの一部であると解されることから、請求項2における「前記第1端部キャップは・・・空気吹き出し口に配置され」との記載と矛盾しており、第1端部キャップと空気吹き出し口との関係が不明瞭であるから、請求項2に係る発明は明確でない。 したがって、この出願は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。 3.本件補正についてのむすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件に違反するものであり、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 また、仮に、本件補正が、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとしても、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1.本願発明 令和元年12月27日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和元年5月9日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものであると認める。 「モータにより出力される風によって冷却されるホールセンサレス回路を備え、前記ホールセンサレス回路によって制御される前記モータの回転速度が毎分80000回転よりも大きく、回路基板は、第1端部キャップの外側に配置され且つ前記ホールセンサレス回路が提供され、前記第1端部キャップは、冷却用の前記モータの空気吹き出し口に配置される、高速ホールセンサレス3相掃除機モータ。」 2.原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由の一部は、この出願の請求項1に係る発明は、その出願(優先日)前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1(特表2010-539884号公報、平成22年12月16日出願公表)に記載された発明並びに引用文献2(特開2008-160950号公報、平成20年7月10日出願公開)及び引用文献3(特表平8-505298号公報、平成8年6月11日出願公表)に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 3.引用文献及び引用発明 (1)引用文献1 ア 引用文献1には、図面とともに、次の記載がある。(下線は注目箇所を示すために当審で付したものである。) 「【0001】 本発明はIPMモータ及びこれを用いた真空吸込装置に係るもので、より詳しくは、IPM(Interior Permanent Magnet)モータを採用してローター内部の電流による発熱がほとんどなく、導入空気の通過経路をステータ内部と回路素子を空冷させる経路で設定することによって別途の放熱手段なしで冷却させることができる高速、高効率のIPMモータ及びこれを用いたスリム型真空吸込装置に関するものである。」 「【0025】 前記目的を達成するための本発明は、シリンダ形状のボディーの内周壁に多数のスロットを形成するように突出された多数のティースと前記スロットに部分的に巻かれたステータコイルを具備するステータと、前記ステータの内部に一定間隙に離隔されて回転可能に配置されて中央側に回転軸が装着されるローターコアと前記ローターコアの円周上に形成された多数の永久磁石挿入孔に挿嵌される多数の永久磁石を具備して、前記ステータによって回転がなされるIPM方式ローターで構成されるIPMモータと、前記IPMモータの上部及び外周面を保護して導入空気が通過する多数の第1貫通孔が形成された円筒形の上部ハウジングと、外周部が前記上部ハウジングの下端と結合されて、前記IPMモータを支持して前記導入空気が通過する多数の第2貫通孔が形成された中間ハウジングと、前記ローターの中央に固定結合されて両端部が上部及び中間ハウジングに回転可能に支持される回転軸と、前記上部ハウジングの上側に配置されて、前記回転軸の上端に下部板が固定結合され前記回転軸が回転することによって多数の螺旋形のガイドベーンによって上部板中央に位置した第1円形吸込口を通じて吸込力を発生させるインペラと、上端部に前記インペラの円形吸込口に対応する第2円形吸込口を具備して前記インペラを囲みながら下端部が上部ハウジングに固定結合されて前記導入空気を中心方向に案内するカバーと、前記インペラと前記上部ハウジングの間に配置されて前記中心方向に案内される導入空気を上部ハウジングの第1貫通孔に案内するエアガイドを含んで、前記上部ハウジングの第1貫通孔に案内された導入空気が前記ステータコイルが巻線されないスロットの中央空間を通じて中間ハウジングの第2貫通孔に排出されることを特徴とする真空吸込装置を提供する。」 「【0044】 本発明ではスロットの数を3相駆動に必要な最小限の数に減らして吸込空気の通過経路をステータの内部に設計することによってIPMモータの直径を最小化して、その結果、真空吸込装置もまたコンパクトな構造を有するようにして掃除機の小型化を図ることができる。 【0045】 また、本発明では前記のようなIPMモータをコンパクトな構造で具現しながらもBLDC方式で高速、大出力を実現できるようになって真空掃除機、電気自動車などに有用に応用することができる。」 「【0047】 以下、実施例を通じて本発明を詳細に説明する。各図面に提示された同一の参照符号は同一の部材を示す。 図1は本発明の一実施例によるIPMモータを用いた真空掃除機の真空吸込装置を示した断面図である。 【0048】 図1を参照すると、本発明の真空吸込装置(100)はステータ(10)及びローター(20)で構成されて、回転力を発生させるIPMモータ(1)と、前記IPMモータ(1)の上部及び外周面を保護する上部ハウジング(2)と、周縁部が前記上部ハウジング(2)の下端と固定結合されて、前記IPMモータ(1)を支持する中間ハウジング(3)と、前記ローター(20)の中央に固定結合されて回転する回転軸(5)と、前記ローター(20)の上部に位置されて、前記回転軸(5)の上端に結合固定されて前記回転軸(5)が回転することで上部板(40c)の中央に位置した円形吸込口(40d)を通じて吸込力を発生させるインペラ(40)と、前記インペラ(40)と前記IPMモータ(1)との間に配置されてインペラ(40)によって発生される吸込力によって吸い込まれる空気の流れを前記IPMモータ(1)の内部にガイドするエアガイド(50)と、中央部に位置した吸込口(71)が前記インペラの円形吸込口(40d)に延長形成されて外周部が前記インペラ(40)とエアガイド(50)を囲むと共に空気通過経路を形成するように延びて前記エアガイドの外周部に結合されるカバー(70)を含んでいる。 【0049】 又、前記真空吸込装置(100)はトランジスタ等の回路素子(61)を実装して、前記IPMモータ(1)に対する駆動電圧を印加するコントロールPCB(60)と、先端部が前記中間ハウジング(3)と結合されて、前記コントロールPCB(60)を保護するように底面にコントロールPCB(60)が装着されて、前記モータの内部に引き込まれた導入空気を側面に形成された排出口(4c)を通じて排出するPCBカバー(4)を含んでいる。」 「【0055】 前記長孔(3b-3d)は前記PCBカバー(4)から上部ハウジング(2)の円筒部に形成された小さい孔(2e)に締結される固定ボルト又はリベットが通過する孔として、中間ハウジング(3)は長孔(3b-3d)の範囲内で設定位置の変更がなされ得る構造を有する。 【0056】 ベアリング収容溝(3e)の外側上部面には後述する補助PCB(31)を固定させるための固定ホール(3j)が形成されており、これに固定される補助PCB(31)にはローター(20)の回転位置を検出するための3個の磁気センサ、例えば、ホールセンサ(Hall sensor)が配置されており、前記補助PCB(31)と対向したローター(20)の下側にはセンシングマグネットブラケット(33)が回転軸に支持されており、センシングマグネットブラケット(33)の外周部にはローター(20)に含まれたマグネットの磁極と同一の磁極を有するように着磁された環状のセンシングマグネット(32)が設置されている。 【0057】 従って、ローター(20)が回転する際センシングマグネットブラケット(33)とセンシングマグネット(32)も回転するので補助PCB(31)に設置された3個のホールセンサはローター(20)の回転位置を検出することができるようになる。前記ホールセンサのローター回転位置信号はステータコイルに対する駆動信号を印加するタイミングを決定することになる。 【0058】 前記ホールセンサはステータに電流が最も少なく流れるタイミングにステータコイルに対する駆動信号を印加するように位置設定されることが高効率を図れるので、前記中間ハウジング(3)の長孔(3b-3d)は前記のタイミングにホールセンサがローター(20)の回転位置を検出することができるように中間ハウジング(3)を微細調整するのに用いられる。」 「【0061】 前記PCBカバー(4)の底板(4a)には図1のようにステータ(10)に対する駆動電圧を印加するための駆動回路の回路素子(61)が装着されたコントロールPCB(60)が図示されない固定手段を使って底板(4a)と間隔を置いて設置されて、PCBカバー(4)の底板(4a)とコントロールPCB(60)との間の空間には図示されないモータ駆動用パワー駆動素子が配置され得る。」 「【0079】 前記のように、本発明ではステータ(10)のスロット(14)を用いて吸込空気の通過経路をIPMモータ(1)の内部を貫通してコントロールPCB(60)の上部空間に排出されるように形成することによって図1及び図7に示されたようにIPMモータ(1)の直径を最小化することが可能になって、その結果真空吸込装置(100)全体的にもコンパクトな構造を有することになって掃除機に占める空間を最小化することになる。 【0080】 また、真空吸込装置(100)では吸込空気の通過経路をステータ内部とコントロールPCB(60)に装着された回路素子(61)を空冷させる経路で設定することによって別途の放熱手段なしで冷却させることができるようになる。」 「【0090】 前記のように構成された掃除機の真空吸込装置(100)ではIPMモータ(1)にコントロールPCB(60)からステータコイル(11)に駆動電圧が印加されると、ローター(20)の回転によりインペラ(40)が高速で回転することになる。インペラ(40)が高速回転すると、インペラ(40)の内部に螺旋形に配置された多数のガイドベーン(40a)の作用によってインペラ(40)の内部にあった空気がカバー(70)の内周部で反射されて螺旋形のエアガイド(50)に沿って中央部に導入された後、上部ハウジング(2)の環状突起部(2a)に反射されてIPMモータ(1)のステータ(10)内部に速く排出されながらインペラ(40)の吸込口(40d)に強い負圧が発生する。 【0091】 このような強い負圧が発生するとカバー(70)の円形の吸込口(71)を通じて外部空気が吸い込まれた後、インペラ(40)によってエアガイド(50)に強く排出されて、エアガイド(50)に排出された加圧空気は上部ハウジング(2)の貫通孔(2c)を通じてモータ(1)の内部に進入される。モータ(1)の内部に進入された導入空気はステータ(10)のスロット(14a-14c)と中間ハウジング(3)の貫通孔(3l-3n)を通過してコントロールPCB(60)の上部面に供給された後、PCBカバー(4)の3個の脚(4b)の間の排出口(4c)を通じて真空吸込装置(100)の外部に排出される。」 「【0099】 本発明ではスロットの数を3相駆動に必要な最小限の数に減らして吸込空気の通過経路をステータ(10)内部に設計することによってIPMモータ(1)の直径を最小化して、その結果、真空吸込装置(100)もまたコンパクトな構造を有するようにして掃除機の小型化を図ることができる。 【産業上の利用可能性】 【0100】 本発明ではIPMモータ(1)をコンパクトな構造で具現しながらもBLDC方式で40,000RPMの高速、2,400Wの大出力を実現できるようになって真空掃除機、電気自動車などに応用可能である。」 イ 引用発明 上記アから、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「IPMモータ(1)のローター(20)の回転軸(5)に結合固定されたインペラ(40)が回転することで吸い込まれた導入空気によって空冷される駆動回路の回路素子(61)が装着されたコントロールPCB(60)が設置され、前記駆動回路はホールセンサのローター回転位置信号により駆動電圧を印加するものであり、前記駆動回路によって前記駆動電圧が印加される前記IPMモータ(1)は40,000RPMで回転し、コントロールPCB(60)はPCBカバー(4)の底面に装着され、前記PCBカバー(4)の先端部が中間ハウジング(3)と結合され、且つ、前記コントロールPCB(60)には前記駆動回路の回路素子(61)が装着され、前記中間ハウジング(3)には、前記導入空気を前記コントロールPCB(60)の上部面に供給する貫通孔(3l-3n)が形成された、真空掃除機に用いる3相駆動で高速回転するIPMモータ(1)。」 (2)引用文献2 ア 引用文献2には、次の記載がある。(下線は注目箇所を示すために当審で付したものである。) 「【0070】 したがって固定子の位置検出にエンコーダやホールセンサといった位置センサを設けることは部品の信頼性に課題を有することになる。よって本実施の形態2では、モータ6の相電流を位置推定手段16に入力し、これによって位置推定手段16は電流を基に回転子の相対位置を推定して、波形生成部9に出力する。 【0071】 その結果、波形生成部9は、位置推定手段16によって推定した固定子位置をもとに60°以上180°未満の矩形波または正弦波あるいはそれに準じる波形を生成してインバータ5に出力することができ、センサレス駆動が可能となる。 【0072】 なお本実施の形態2では、回転子位置の推定にモータ6の相電流から推定するように構成しているが、電流センサによる電流値検出あるいは、インバータ5の下側スイッチング素子5b、5d、5fと直列に挿入したシャント抵抗を流れる電流値検出等、どのような電流検出方法でも構わない。 【0073】 さらに固定子の位置推定方法として、インバータ母線L1、L2に流れる電流をシャント抵抗から検出する方法や、インバータ6の出力端子に現れるモータ誘起電圧から検出する方法等、様々な方式が提唱されているが、固定子の位置が推定できる方式であれば、どのような方式を用いても構わない。」 「【0078】 以上のように本発明によるモータ駆動装置は、高効率なモータ駆動装置を提供できるので、空調機や洗濯機、掃除機をはじめとするモータを使用した家電機器や、DVDプレーヤー等のAV機器、さらには油圧ポンプ等の産業機器等、ブラシレスDCモータを使用した幅広い機器への適用が可能となるものである。」 イ 上記記載から、引用文献2には、次の技術が記載されているものと認められる。 「掃除機をはじめとするブラシレスDCモータを使用した家電機器において、ホールセンサといった位置センサを設けることは部品の信頼性に課題を有するため、位置推定手段16によって推定した固定子位置をもとに矩形波または正弦波あるいはそれに準じる波形を生成してインバータ5に出力してホールセンサレスで駆動する、モータ駆動装置。」 (3)引用文献3 引用文献3には、次の記載がある。(下線は注目箇所を示すために当審で付したものである。) 「本発明は、内燃機関モータのターボ過給に使用される技術を、真空掃除機の分野に変化させることにあると言え、より詳細には、ターボ技術分野から引用されたターボファンホイールを高速な電気モータで駆動することによって、従来の真空掃除機で得られる吸引力に匹敵する吸引力を達成し、同時に、ファンホイール及びモータを適度な寸法にすることを達成する。この技術は、全ての種類の真空掃除機に関して使用可能であり、手用真空掃除機又は棒状真空掃除機として引用される種類の真空掃除機の、寸法及びそれに伴う重量を減少させることが必要とされる場合に特に効果的である。」(6頁13行?20行) 「真空掃除機の使用では、排気ガスは存在せず、高速、すなわち50.000rpm以上の範囲でホイールを回転可能な電気モータによって、ターボホイールは回転されなければならない。この関係では、周知なこととして、引用されたターボファンホイールは、ホイールの速度が示された範囲に到達するまで、許容範囲の効率の必要な圧力あるいはまた吸引力を与えない。ファンホイールの大きさ、流動エアの通過量及び必要な吸引力のような様々なパラメータに関して、ファンホイールの速度は、60.000rpmを超過しなければならず、特に最適な結果は、約100.000rpmのファンホイールの速度で得られる。」(8頁11行?18行) 「モータの軸42では、更にねじ又は他の手段によって固定されるターボファンホイール34は、ホイールの高速にもかかわらず、不変の安全な接合部を保証する。ターボファンホイールは、漏斗のような形状のファンのハウジング49と協動し、エアを収集し、エアをホイールの中央のエアの吸気部の方に向ける。側方から見られると、ブレードはホイールの外周の方に湾曲し、湾曲した領域50で、ホイールは、ファンのハウジング49に抗して非常に精密に適合して回転する。つまり、二つの部品の間には非常に狭い隙間が存在する。ファンホイール34の円周方向外側に、エアは、半径方向から軸方向に向きを変えられる、湾曲した通路51に続いて到達し、その結果、モータの冷却のためにモータの外側を通過して吹きつけた後に、エアは真空掃除機から主に軸方向に排出される。 効果的に、モータの端部シールドの一方は、ファンのハウジングと共に湾曲された通路51を形成するように設計可能である。端部シールドの湾曲部分52は、ファンのハウジングの同様の湾曲部分53と協動する。 モータの選択として、整流子及びブラシがモータの必要とされる高速に対処できないために、通常のシリーズもののモータは除外される。従って、電気的に整流又は制御されたモータが選択される。適切なモータは、電気的に整流されたDCモータ、磁気抵抗モータ又は誘導モータであることが可能である。」(9頁12行?10頁1行) 4.対比・判断 (1)本願発明と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「IPMモータ(1)のローター(20)の回転軸(5)に結合固定されたインペラ(40)が回転することで吸い込まれた導入空気」は本願発明の「モータにより出力される風」に相当し、同様に「空冷」は「冷却」に相当する。 イ 引用発明の「駆動回路の回路素子(61)が装着されたコントロールPCB(60)が設置され、前記駆動回路はホールセンサのローター回転位置信号により駆動電圧を印加するものであり、前記駆動回路によって前記駆動電圧が印加される」るという事項と、本願発明の「ホールセンサレス回路を備え、前記ホールセンサレス回路によって制御され」るという事項は、「モータ駆動回路を備え、前記モータ駆動回路によって制御され」る点で共通する。 ウ 引用発明の「IPMモータ(1)は40,000RPMで回転し」という事項と本願発明の「モータの回転速度が毎分80000回転よりも大きく」という事項とは、「モータの回転速度が所定回転数であり」という点で共通する。 エ 引用発明の「コントロールPCB(60)」は本願発明の「回路基板」に相当し、同様に「中間ハウジング(3)」は「第1端部キャップ」に相当するから、「コントロールPCB(60)はPCBカバー(4)の底面に装着され、PCBカバー(4)の先端部が中間ハウジング(3)と結合され」るという事項は、本願発明の「回路基板は、第1端部キャップの外側に配置され」るという事項に相当する。 オ 引用発明の「コントロールPCB(60)には駆動回路の回路素子(61)が装着され」るという事項と、本願発明の「回路基板は・・・ホールセンサレス回路が提供され」るという事項とは、「回路基板は・・・モータ駆動回路が提供され」る点で共通する。 カ 本願発明における「前記第1端部キャップは、冷却用の前記モータの空気吹き出し口に配置される」とは、明細書及び図面をあわせみると必ずしも明確でないが、明細書の段落[0036]を参酌すれば「前記第1端部キャップには、冷却用の前記モータの空気吹き出し口が配置された」という意味であると解される。 そして、引用発明の「前記中間ハウジング(3)には、導入空気をコントロールPCB(60)の上部面に供給する貫通孔(3l-3n)が形成された」という事項は、上述した「前記第1端部キャップには、冷却用の前記モータの空気吹き出し口が配置された」という事項に相当するから、本願発明の「前記第1端部キャップは、冷却用の前記モータの空気吹き出し口に配置される」という事項に実質的に相当するといえる。 キ 引用発明の「真空掃除機に用いる3相駆動で高速回転するIPMモータ」と本願発明の「高速ホールセンサレス3相掃除機モータ」とは、「高速3相掃除機モータ」という点で共通する。 (2)一致点及び相違点 以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 <一致点> 「モータにより出力される風によって冷却されるモータ駆動回路を備え、前記モータ駆動回路によって制御される前記モータの回転速度が所定回転数であり、回路基板は、第1端部キャップの外側に配置され且つ前記モータ駆動回路が提供され、前記第1端部キャップは、冷却用の前記モータの空気吹き出し口に配置される、高速3相掃除機モータ。」 <相違点1> モータ駆動回路によって制御される前記モータの回転速度が所定回転数である点に関し、本願発明では「ホールセンサレス回路」によって制御されるモータの回転速度が「毎分80000回転よりも大きく」なっているのに対し、引用発明では「ホールセンサのローター回転位置信号により駆動電圧を印加する」駆動回路によって制御されるモータの回転速度が「40,000RPM」である点。 (3)判断 以下、相違点1について検討する。 掃除機において十分な吸引力を得つつ小型化を図るために、モータの回転速度を100,000rpm程度とすることは、本願の優先日前に周知技術であった(必要であれば、上記「3(3)引用文献3」を参照。)。 そして、引用発明のホールセンサを用いた駆動回路は、位置を特定するための部品であるホールセンサを微細調整により設けなければならない(引用文献1の段落[0057][0058])ため、ホールセンサの取り付け精度や部品点数の増加による信頼性低下が生じることは当業者であれば予測し得る事項である。また、モータの高速回転と小型化の両立を課題としている引用発明(引用文献1の段落[0044][0045])において、運転環境に応じて高速化を図ることは当業者であれば当然考慮する事項といえる。 すると、引用発明において、上述したホールセンサを用いることによる信頼性低下を防止すべく、モータ駆動回路として、引用文献2に記載されたホールセンサレスで駆動する技術を採用するとともに、モータの高速回転と小型化を両立するという課題に沿って、採用するモータの駆動回路等に応じた高速化を図ることは、当業者が容易に想到し得たものである。その際、本願発明における、モータの回転速度の下限値を毎分80000回転としたという数値に臨界的意義は認められず、また、掃除機に用いるモータの回転数として、100,000rpm程度のものが前記したように周知技術であることを考慮すると、モータの回転速度を「毎分80000回転よりも大きく」することに格別の困難性はない。、 よって、引用発明、引用文献2に記載された技術及び周知技術に基いて、相違点1に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易に想到し得たものというべきである。 また、引用発明のモータ駆動回路として、引用文献2に記載された技術を採用したモータでは、モータにより出力される風によって、モータ駆動回路であるホールセンサレス回路が冷却されるから、本願発明の奏する作用効果は、引用発明、引用文献2に記載された技術及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 したがって、本願発明は、引用発明、引用文献2に記載された技術及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 5 請求人は、平成31年5月9日の意見書において、引用文献1?3には「請求項1に係る本願発明のように、モータにより出力される風によって冷却されるホールセンサレス回路を備え、ホールセンサレス回路によって制御されるモータの回転速度が毎分80000回転よりも大きいこと、回路基板は、第1端部キャップの外側に配置され且つホールセンサレス回路が提供され、第1端部キャップは、冷却用のモータの空気吹き出し口に配置されること(以下、「構成A」という。当該括弧内は合議体が追記。)については何ら記載も示唆もされていない。」「したがって、本願発明のように、ホールセンサレス回路によって制御されるモータにおいて、ホールセンサレス回路が設けられた回路基板を第1端部キャップの外側に配置し、さらには第1端部キャップを冷却用のモータの空気吹き出し口に配置して、モータにより出力される風によってホールセンサレス回路を冷却することで、十分な吸引力を発生するのに必要な毎分80000回転よりも大きい回転速度に制御することにより発熱するホールセンサレス回路を簡便な構成で迅速且つ効率良く冷却することができない(段落0019)。」と主張している。 しかし、構成Aは、上記「4(3)判断」で検討したとおり当業者であれば容易に想到し得た構成であり、高速回転させることで発熱するモータ駆動回路を、本願発明と同等の構成により冷却することになるから、冷却効率についても本願発明と同等と考えられ、請求人の上記主張を採用することはできない。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
|
審理終結日 | 2020-11-30 |
結審通知日 | 2020-12-01 |
審決日 | 2020-12-16 |
出願番号 | 特願2017-558558(P2017-558558) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(H02K)
P 1 8・ 57- Z (H02K) P 1 8・ 121- Z (H02K) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 宮崎 賢司、安池 一貴、末續 礼子 |
特許庁審判長 |
柿崎 拓 |
特許庁審判官 |
小川 恭司 佐々木 芳枝 |
発明の名称 | 高速ホールレス3相掃除機モータ |
代理人 | 龍華国際特許業務法人 |