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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04W
管理番号 1374257
審判番号 不服2020-10431  
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-07-27 
確定日 2021-06-01 
事件の表示 特願2018- 89378「異なるサービングサイトへの物理レイヤリソースの提供」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 7月26日出願公開、特開2018-117392、請求項の数(20)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2013年(平成25年)8月23日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2012年8月23日 米国(US)、2012年11月14日 米国(US)、2013年4月3日 米国(US)、2013年5月8日 米国(US))を国際出願日とする特願2015-528699号の一部を、平成30年5月7日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成30年 5月 7日 :上申書の提出
平成31年 3月28日付け:拒絶理由通知書
令和 元年10月 8日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年 3月18日付け:拒絶査定
令和 2年 7月27日 :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提出
令和 3年 1月 8日 :上申書の提出

第2 原査定の概要
原査定(令和2年3月18日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
理由2(進歩性):この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


・請求項1ないし20に対して、引用文献1ないし3

引用文献等一覧
1.Alcatel-Lucent, Alcatel-Lucent Shanghai Bell,Simultaneous transmissions of multiple UL channels with multiple TA groups,3GPP TSG RAN WG1 Meeting #69 R1-122473,2012年 5月12日(以下、「引用文献1」という。)
2.Texas Instruments,Physical layer aspects of multiple timing advancecommands,3GPP TSG RAN WG1 #68 R1-120462,2012年 1月31日(以下、「引用文献2」という。)
3.国際公開第2010/121708号(以下、「引用文献3」という。)

第3 本願発明
本願請求項1ないし20に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明20」という。)は、令和2年7月27日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし20に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。(下線は,補正箇所である。)

「 【請求項1】
無線送受信ユニット(WTRU)により実施される方法であって、
前記WTRUが、第1の無線アクセスノードのセルの第1のグループに関連付けられた第1の媒体アクセス制御(MAC)インスタンスに関連付けられた送信のために第1の物理レイヤ構成を利用することであって、前記セルの第1のグループは、主セルおよび0以上の副セルを含み、および第1の無線アクセス技術を使用し、前記第1の物理レイヤ構成は、前記セルの第1のグループの少なくとも前記主セルと交換される前記送信の周波数分割複信(FDD)のために構成されている、ことと、
前記WTRUが、第2の無線アクセスノードのセルの第2のグループに関連付けられた第2のMACインスタンスに関連付けられた送信のために第2の物理レイヤ構成を利用することであって、前記セルの第2のグループは、主セルおよび0以上の副セルを含み、および第2の無線アクセス技術を使用し、前記第2の物理レイヤ構成は、前記主セルおよび前記0以上の副セルの少なくとも1つと交換される前記送信の時分割複信(TDD)のために構成されている、ことと、
前記WTRUが、前記第1のMACインスタンスを介して送信される第1の送信のための第1の送信電力を前記セルの第1のグループの前記主セルにおよび前記第2のMACインスタンスを介して送信される第2の送信のための第2の送信電力を前記主セルおよび前記0以上の副セルの前記少なくとも1つに割り当てることであり、
前記第1の送信と前記第2の送信とは時間的に少なくとも部分的に重なり、
前記第1の送信電力および前記第2の送信電力のうちの1つ以上の少なくとも一部分は、(i)前記第1の送信および前記第2の送信が同一の周波数範囲内のキャリアで送信されるまたは前記第1の送信および前記第2の送信が異なる周波数範囲内のキャリアで送信されるかどうかと、(ii)前記第1の送信電力および前記第2の送信電力をそれぞれ制約するための第1の独立の最大送信電力および第2の独立の最大送信電力と、(iii)前記第1のMACインスタンスを介して送信される前記第1の送信および前記第2のMACインスタンスを介して送信される前記第2の送信に関連する1つ以上の優先度規則とに基づいて割り当てられる、ことと、
前記WTRUが、それぞれのUuインターフェースを利用して前記第1の送信および前記第2の送信を行うことと
を含む、方法。
【請求項2】
前記1つ以上の優先度規則は、第1の優先度規則を含み、前記第1の優先度規則は、アップリンク制御情報(UCI)を含む送信を、UCIを含まない送信よりも優先することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上の優先度規則は、第2の優先度規則を含み、前記第2の優先度規則は、第1のタイプのUCIを含む送信を、第2のタイプのUCIを含む送信よりも優先することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上の優先度規則は、第3の優先度規則を含み、前記第3の優先度規則は、主MACインスタンスに関連付けられた送信を、副MACインスタンスに関連付けられた送信よりも優先することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上の優先度規則は、第1の優先度規則、第2の優先度規則、および第3の優先度規則を含み、前記第1の優先度規則は、アップリンク制御情報(UCI)を含む送信を、UCIを含まない送信よりも優先することを含み、前記第2の優先度規則は、第1のタイプのUCIを含む送信を、第2のタイプのUCIを含む送信よりも優先することを含み、前記第3の優先度規則は、主MACインスタンスに関連付けられた送信を、副MACインスタンスに関連付けられた送信よりも優先することを含み、優先の順序は、前記第1の優先度規則、前記第2の優先度規則、および前記第3の優先度規則の間で定義されている、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の送信電力および前記第2の送信電力のうちの1つ以上の前記少なくとも一部分の割り当ては、前記第1の送信電力および前記第2の送信電力の合計を制約するための総最大送信電力にさらに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の送信は前記第1の無線アクセスノードから受信される第1のアップリンクグラントを介してスケジュールされ、前記第2の送信は前記第2の無線アクセスノードから受信される第2のアップリンクグラントを介してスケジュールされる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
総最大送信電力、前記第1の独立の最大送信電力、および前記第2の独立の最大送信電力を構成するためのシグナリングを受信することと、
前記WTRUを、前記総最大送信電力、前記第1の独立の最大送信電力、および前記第2の独立の最大送信電力を用いて構成することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の独立の最大送信電力および前記第2の独立の最大送信電力は、第1の帯域の部分および第2の帯域の部分にそれぞれ固有である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の送信電力および前記第2の送信電力のうちの1つ以上の前記少なくとも一部分の割り当ては、前記第1の送信電力および前記第2の送信電力の合計を制約するための総最大送信電力にさらに基づき、前記1つ以上の優先度規則は、前記第1の送信電力および前記第2の送信電力の合計が前記総最大送信電力を超過する場合に、前記第2の送信電力を増減させる規則を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
無線送受信ユニット(WTRU)であって、
第1の無線アクセスノードのセルの第1のグループに関連付けられた第1の媒体アクセス制御(MAC)インスタンスに関連付けられた送信のために第1の物理レイヤ構成を利用し、前記セルの第1のグループは、主セルおよび0以上の副セルを含み、および第1の無線アクセス技術を使用し、前記第1の物理レイヤ構成は、前記セルの第1のグループの少なくとも前記主セルと交換される前記送信の周波数分割複信(FDD)のために構成されており、
第2の無線アクセスノードのセルの第2のグループに関連付けられた第2のMACインスタンスに関連付けられた送信のために第2の物理レイヤ構成を利用し、前記セルの第2のグループは、主セルおよび0以上の副セルを含み、および第2の無線アクセス技術を使用し、前記第2の物理レイヤ構成は、前記主セルおよび前記0以上の副セルの少なくとも1つと交換される前記送信の時分割複信(TDD)のために構成されており、
前記第1のMACインスタンスを介して送信される第1の送信のための第1の送信電力を前記セルの第1のグループの前記主セルにおよび前記第2のMACインスタンスを介して送信される第2の送信のための第2の送信電力を前記主セルおよび前記0以上の副セルの前記少なくとも1つに割り当て、
前記第1の送信と前記第2の送信とは時間的に少なくとも部分的に重なり、
前記第1の送信電力および前記第2の送信電力のうちの1つ以上の少なくとも一部分は、(i)前記第1の送信および前記第2の送信が同一の周波数範囲内のキャリアで送信されるまたは前記第1の送信および前記第2の送信が異なる周波数範囲内のキャリアで送信されるかどうかと、(ii)前記第1の送信電力および前記第2の送信電力をそれぞれ制約するための第1の独立の最大送信電力および第2の独立の最大送信電力と、(iii)前記第1のMACインスタンスを介して送信される前記第1の送信および前記第2のMACインスタンスを介して送信される前記第2の送信に関連する1つ以上の優先度規則とに基づいて割り当てられる、
ように構成されたプロセッサと、
それぞれのUuインターフェースを利用して前記第1の送信および前記第2の送信を行うように構成された送信機と
を備えた、WTRU。
【請求項12】
前記1つ以上の優先度規則は、第1の優先度規則を含み、前記第1の優先度規則は、アップリンク制御情報(UCI)を含む送信を、UCIを含まない送信よりも優先することを含む、請求項11に記載のWTRU。
【請求項13】
前記1つ以上の優先度規則は、第2の優先度規則を含み、前記第2の優先度規則は、第1のタイプのUCIを含む送信を、第2のタイプのUCIを含む送信よりも優先することを含む、請求項12に記載のWTRU。
【請求項14】
前記1つ以上の優先度規則は、第3の優先度規則を含み、前記第3の優先度規則は、主MACインスタンスに関連付けられた送信を、副MACインスタンスに関連付けられた送信よりも優先することを含む、請求項13に記載のWTRU。
【請求項15】
前記1つ以上の優先度規則は、第1の優先度規則、第2の優先度規則、および第3の優先度規則を含み、前記第1の優先度規則は、アップリンク制御情報(UCI)を含む送信を、UCIを含まない送信よりも優先することを含み、前記第2の優先度規則は、第1のタイプのUCIを含む送信を、第2のタイプのUCIを含む送信よりも優先することを含み、前記第3の優先度規則は、主MACインスタンスに関連付けられた送信を、副MACインスタンスに関連付けられた送信よりも優先することを含み、優先の順序は、前記第1の優先度規則、前記第2の優先度規則、および前記第3の優先度規則の間で定義されている、請求項11に記載のWTRU。
【請求項16】
前記第1の送信電力および前記第2の送信電力のうちの1つ以上の前記少なくとも一部分の割り当ては、前記第1の送信電力および前記第2の送信電力の合計を制約するための総最大送信電力にさらに基づく、請求項11に記載のWTRU。
【請求項17】
前記第1の送信は前記第1の無線アクセスノードから受信される第1のアップリンクグラントを介してスケジュールされ、前記第2の送信は前記第2の無線アクセスノードから受信される第2のアップリンクグラントを介してスケジュールされる、請求項11に記載のWTRU。
【請求項18】
前記WTRUは、受信機を備え、前記受信機は、総最大送信電力、前記第1の独立の最大送信電力、および前記第2の独立の最大送信電力を構成するためのシグナリングを受信するように構成され、
前記プロセッサは、前記WTRUを、前記総最大送信電力、前記第1の独立の最大送信電力、および前記第2の独立の最大送信電力を用いて構成するように構成されている、請求項11に記載のWTRU。
【請求項19】
前記第1の独立の最大送信電力および前記第2の独立の最大送信電力は、第1の帯域の部分および第2の帯域の部分にそれぞれ固有である、請求項11に記載のWTRU。
【請求項20】
前記第1の送信電力および前記第2の送信電力のうちの1つ以上の前記少なくとも一部分の割り当ては、前記第1の送信電力および前記第2の送信電力の合計を制約するための総最大送信電力にさらに基づき、前記1つ以上の優先度規則は、前記第1の送信電力および前記第2の送信電力の合計が前記総最大送信電力を超過する場合に、前記第2の送信電力を増減させる規則を含む、請求項11に記載のWTRU。」

第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された、Alcatel-Lucent, Alcatel-Lucent Shanghai Bell,Simultaneous transmissions of multiple UL channels with multiple TA groups(当審訳:複数のTAグループを持つ複数のULチャネルの同時送信),3GPP TSG RAN WG1 Meeting #69 R1-122473,2012年 5月12日,には、図面と共に以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)

「1 Introduction
(中略)
2. Discussion
(中略)
2.1 Simultaneous transmission of PRACH on SCell and PUCCH/PUSCH/SRS
In RAN1#68, it was agreed that parallel transmission of PRACH on SCell and PUSCH/PUCCH/SRS in different TAGs should be supported at least in the non-power-limited case. It was further agreed that PRACH should have the highest priority when there is full overlap between PRACH on SCell and PUCCH/PUSCH. There is no reason that the partial overlap scenario should be handled differently.
Proposal 2: when the maximum UE transmit power is reached, PRACH on SCell should always have the highest priority. This applies to both full overlap and partial overlap scenarios.
2.2 Simultaneous transmission of PUCCH/PUSCH on PCell and PUSCH on SCell(s)


Figure 1 illustrates the overlapping period of consecutive subframes on two CCs, where the transmit power during the overlap exceeds the maximum transmit power. We discussed a few options for handling the simultaneous transmission on PUCCH/PUSCH and PUSCH for the power limited case in [3]. There are basically three options:
1. Define the maximum power per carrier so that the sum does not exceed the total power
(中略)
2. Scale down to the maximum transmit power while keeping the power the same for PUCCH/PUSCH through the subframe
(中略)
3. Separately scale down the power of the overlapping OFDM symbol
(後略)」(1ページ7行目ないし2ページ30行目)

(当審訳:
1 序論
(中略)
2 討論
(中略)
2.1 SCellのPRACHとPUCCH/PUSCH/SRSの同時送信
RAN1#68では、少なくとも電力制限のないケースでは、SCell上のPRACHと異なるTAGのPUSCH/PUCCH/SRSの並行送信をサポートすることが合意された。さらに、SCell上のPRACHとPUCCH/PUSCHが完全にオーバーラップしている場合、PRACHが最優先されるべきであることが合意された。部分的なオーバーラップのシナリオを別の方法で処理すべき理由はない。
提案2:最大UE送信電力に達した場合、SCellのPRACHが常に最高の優先順位を持つ必要がある。これは、完全なオーバーラップと部分的なオーバーラップの両方のシナリオに適用される。
2.2 PCell上のPUCCH/PUSCHとSCell(s)上のPUSCHの同時送信
(図1略)
図1 オーバーラップ期間のUE送信電力図
図1は、2つのCC上の連続したサブフレームのオーバーラップ期間で、オーバーラップ中の送信電力が最大送信電力を超える場合を示している。電力制限がある場合のPUCCH/PUSCHとPUSCHの同時送信を処理するためのいくつかのオプションについては[3]で説明した。基本的には3つのオプションがある。
1.合計が総電力を超えないように、キャリアごとの最大電力を定義する。
(中略)
2.サブフレームを通してPUCCH/PUSCHの電力を同じにしながら、最大送信電力までスケールダウンする
(中略)
3.オーバーラップするOFDMシンボルのパワーを個別に縮小する
(後略))

上記記載及び当業者の技術常識を考慮すると、次のことがいえる。

(1)上記「2.2 PCell上のPUCCH/PUSCHとSCell(s)上のPUSCHの同時送信」との記載、「図1 オーバーラップ期間のUE送信電力の図」との記載及び図1から、UEはPCellと複数のSCellのCCを用いて同時送信を行うものであり、そして、「電力制限がある場合のPUCCH/PUSCHとPUSCHの同時送信を処理するため・・・合計が総電力を超えないように、キャリアごとの最大電力を定義する。」と記載されているから、同時送信のためのキャリアごとの最大電力が定義されるものである。
そうすると、引用文献1には、「UEはPCellと複数のSCellのCCを用いて同時送信を行うものであり、送信のためのキャリアごとの最大電力が定義される」ことが記載されている。
(2)上記「2.1 SCellのPRACHとPUCCH/PUSCH/SRSの同時送信」には、「SCell上のPRACHと異なるTAGのPUSCH/PUCCH/SRSの並行送信をサポートする」と記載されており、異なるTAGを有するのだから、PUSCH/PUCCH/SRSは少なくとも異なるセルに対して送信されるものであり、「SCell上のPRACHとPUCCH/PUSCHが完全にオーバーラップしている場合、PRACHが最優先される」、「最大UE送信電力に達した場合、SCellのPRACHが常に最高の優先順位を持つ必要がある。これは、完全なオーバーラップと部分的なオーバーラップ・・・に適用される。」と記載されているから、UEはSCellにおいてもPRACHを送信するものであり、最大UE送信電力に達しSCellのPRACHと異なるセルに対するPUSCH/PUCCH/SRSのオーバーラップがある場合、PRACHの送信が優先されるものである。
そうすると、引用文献1には、「UEはSCellにおいてもPRACHを送信するものであり、最大UE送信電力に達しSCellのPRACHと異なるセルに対するPUSCH/PUCCH/SRSのオーバーラップがある場合、PRACHの送信が優先される」ことが記載されている。
(3)そして、上記(1)(2)は、いずれもUEによるアップリンク送信に関するものが記載されているから、引用文献1には、「UEにより実施される方法」が記載されている。

以上を総合すると、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「UEにより実施される方法であって、
UEはPCellと複数のSCellのCCを用いて同時送信を行うものであり、送信のためのキャリアごとの最大電力が定義されるものであり、
UEはSCellにおいてもPRACHを送信するものであり、最大UE送信電力に達しSCellのPRACHと異なるセルに対するPUSCH/PUCCH/SRSのオーバーラップがある場合、PRACHの送信が優先される、
方法。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された、Texas Instruments,Physical layer aspects of multiple timing advance commands(当審訳:複数のタイミングアドバンスコマンドの物理層の側面),3GPP TSG RAN WG1 #68 R1-120462,2012年 1月31日には、以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)

「1. Introduction
Carrier aggregation scenarios in LTE Rel-10 assume identical UL timing across the aggregated serving cells. There are, however, other scenarios where the same UL timing cannot be assumed due to differing propagation delays. As one example, two configured serving cells may reside in different RF bands. Another example is when the PCell and a SCell are not collocated, e.g. in RRH deployment. Consequently, it was agreed in RAN2 that a Rel-11 UE may be configured to support multiple timing advance commands, one for each configured timing advance group (TAG). Although a TAG may contain one or more serving cells only one serving cell in the TAG is configured for random access (RA) and receives a timing advance (TA) command, which in turn, is applicable to all serving cells in the TAG. The PCell performs RA for its TAG, while a SCell is configured for RA in a TAG consisting only of SCells, which we hereafter denote as a SCell-TAG.
(後略)
」(1ページ7行目ないし1ページ16行目)

(当審仮訳:
1.序論
LTE Rel-10におけるキャリアアグリゲーションのシナリオでは、アグリゲーションされたサービングセル間で同一のULタイミングを想定している。しかし、伝搬遅延が異なるために、同じULタイミングを想定できないシナリオもある。例えば、設定された2つのサービングセルが、異なるRFバンドに存在する場合がある。また、RRHのように、PCellとSCellが同居していない場合もある。そのため、RAN2では、Rel-11 UEが、設定されたタイミング・アドバンス・グループ(TAG)ごとに1つずつ、複数のタイミング・アドバンス・コマンドをサポートするように設定できることが合意された。TAGには1つまたは複数のサービング・セルが含まれるが、ランダム・アクセス(RA)用に設定され、タイミング・アドバンス(TA)コマンドを受信するのは、TAG内のすべてのサービング・セルに適用される1つのサービング・セルのみである。PCellはそのTAGに対してRAを実行しますが、SCellはSCellのみで構成されるTAGにおいてRAを実行するように設定されます。これを以降SCell-TAGと呼ぶ。
(後略))

上記、「設定された2つのサービングセルが、異なるRFバンドに存在する場合がある。また、RRHのように、PCellとSCellが同居していない場合もある。そのため、RAN2では、Rel-11 UEが、設定されたタイミング・アドバンス・グループ(TAG)ごとに1つずつ、複数のタイミング・アドバンス・コマンドをサポートするように設定できることが合意された。」という記載によれば、「2つのサービングセルが異なるRFバンドに存在する場合や、PCellとSCellが同居していない場合、複数のタイミング・アドバンス・コマンドをサポートするように設定できる。」という技術事項が引用文献2に記載されていると認められる。

3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された、国際公開第2010/121708号には、以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)

(1)「In power limited situations, the mobile terminal reduces the transmit power for the transmission of each of the transport blocks according to the priority of the respective transport block given by the priority order, such that the total transmit power spent for the transmissions of the transport blocks becomes smaller or equal to a maximum transmit power available to the mobile terminal for transmitting the transport blocks in the uplink within a given TTI.」(42ページ26行目ないし42ページ31行目)

(当審仮訳:
電力制限のある状況では、移動端末は、優先順位によって与えられたそれぞれのトランスポートブロックの優先順位に従って、トランスポートブロックのそれぞれの送信のための送信電力を低減し、トランスポートブロックの送信に費やされる送信電力の合計が、特定のTTI内のアップリンクでトランスポートブロックを送信するために移動端末が利用可能な最大送信電力よりも小さくなるか、または等しくなるようにする。)

(2)「Moreover, in a more advanced implementation, the power control mechanism in the mobile terminal ensures that the control information to be signaled on a physical uplink control channel, such as the PUCCH in LTE-A, do not undergo power scaling, but only transmissions on the physical uplink shared channel, i.e. transport blocks, transmitted concurrently to the control information, such as the PUCCH in LTE-A, within the same TTI is subject to power scaling. In other words, the power control mechanism is designed to assign the remainder of the difference between the transmit power available to the mobile terminal for uplink transmissions within a TTI and the transmit power required for the signaling of control information on the physical uplink control channel is distributed on a per-transport block basis to the transport blocks on the physical uplink shared channel taking into account the priority order of the transport blocks.
」(43ページ14行目ないし43ページ24行目)

(当審仮訳:
さらに、より高度な実施例では、移動端末における電力制御メカニズムにおいて、物理上りリンク制御チャネル(例えばLTE-AにおけるPUCCH)でシグナリングされる制御情報は電力スケーリングの対象とはならず、同じTTI内に制御情報(例えばLTE-AにおけるPUCCH)と同時に送信される、物理上りリンク共有チャネル(すなわちトランスポートブロック)での送信のみが、電力スケーリングを受ける。言い換えれば、電力制御メカニズムは、TTI内での上りリンク送信用に移動端末が利用できる送信電力から、物理上りリンク制御チャネルで制御情報をシグナリングするために要求される送信電力を差し引いた残りを、トランスポートブロックの優先順位の順序を考慮しながら、物理上りリンク共有チャネル上のトランスポートブロックに、トランスポートブロック単位で分配するように、設計されている。)

(3)「Fig. 19 shows a flow chart of distributing a maximum available transmit power P_(MAX) to the transport blocks to be transmitted within a TTI according to an exemplary embodiment of the invention. In this exemplary embodiment and the following examples below a LTE-A based communication system using carrier aggregation in the uplink, and assuming a per-component carrier power control will be assumed. Furthermore, it is also assumed that the transmission power of the PUCCH (i.e. the control information) is prioritized over PUSCH transmissions (i.e. the transport blocks generated according to the uplink resource assignments), i.e. PUSCH transmit power is first scaled down in a power limited situation.」(69ページ18行目ないし69ページ26行目)

(当審仮訳:
図19は、本発明の例示的な実施形態による、利用可能な最大送信電力PMAXを、TTI内に送信するトランスポートブロックに分配する方法の流れ図を示している。この例示的な実施形態および以下の例では、上りリンクにおいてキャリアアグリゲーションを使用するLTE-Aベースの通信システムにおいて、コンポーネントキャリアごとに電力制御を行うものと想定する。さらには、PUCCH(すなわち制御情報)の送信電力がPUSCHの送信(すなわち、上りリンクリソース割当てに従って生成されるトランスポートブロック)よりも優先されるものと想定し、すなわち、電力が制限された状況においてはPUSCHの送信電力を最初に減少させる。)

上記(1)には、「電力制限のある状況では、移動端末は、優先順位によって与えられたそれぞれのトランスポートブロックの優先順位に従って、トランスポートブロックのそれぞれの送信のための送信電力を低減し、トランスポートブロックの送信に費やされる送信電力の合計が、特定のTTI内のアップリンクでトランスポートブロックを送信するために移動端末が利用可能な最大送信電力よりも小さくなるか、または等しくなるようにする。」ことが記載されているから、移動端末は、特定のTTI内で、トランスポートブロックを送信する際、送信電力の合計が移動端末で利用可能な最大送信電力より小さくなるようにするものである。また、上記(2)には、「電力制御メカニズムは、TTI内での上りリンク送信用に移動端末が利用できる送信電力から、物理上りリンク制御チャネルで制御情報をシグナリングするために要求される送信電力を差し引いた残りを、トランスポートブロックの優先順位の順序を考慮しながら、物理上りリンク共有チャネル上のトランスポートブロックに、トランスポートブロック単位で分配する」ことが記載されており、上記(3)には、「上りリンクにおいてキャリアアグリゲーションを使用するLTE-Aベースの通信システムにおいて、コンポーネントキャリアごとに電力制御を行う・・・PUCCH(すなわち制御情報)の送信電力がPUSCHの送信・・・)よりも優先される・・・、すなわち、電力が制限された状況においてはPUSCHの送信電力を最初に減少させる。」と記載されているから、上記(2)、(3)からは、送信電力は、制御情報であるPUCCH、物理上りリンク共有チャネルであるPUSCHという優先順位で分配され、キャリアアグリゲーションを使用する際は、コンポーネントキャリアごとに電力制御を行うものであるといえる。
そして、上記(1)?(3)に記載されていることを総合すると、移動端末は、特定のTTI内で、トランスポートブロックを送信する際、送信電力の合計が移動端末で利用可能な最大送信電力より小さくなるようにするものであり、PUCCH、PUSCHという優先順位で電力を分配し、キャリアアグリゲーションを使用する際は、コンポーネントキャリアごとに電力制御を行うものである。

そうすると、「移動端末は、特定のTTI内で、トランスポートブロックを送信する際、送信電力の合計が移動端末で利用可能な最大送信電力より小さくなるようにするものであり、PUCCH、PUSCHという優先順位で電力を分配し、キャリアアグリゲーションを使用する際は、コンポーネントキャリアごとに電力制御を行う」という技術事項が引用文献3に記載されていると認められる。

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。

ア 引用発明の「UE」は、本願発明1の「無線送受信ユニット(WTRU)」に含まれる。そうすると、本願発明1と引用発明は「無線送受信ユニット(WTRU)により実施される方法」という点で一致する。

イ 引用発明の「PCell」、「SCell」がセルを表していることは明らかであり、セルは基地局のような無線アクセスノードが構成するものであることが技術常識である。してみれば、引用発明の「PCell」、「SCell」は、それぞれ本願発明1の「第1の無線アクセスノードのセル」、「第2の無線アクセスノードのセル」に相当する。
また、無線通信の分野において、無線アクセスノードのセルは,媒体アクセス制御(MAC)インスタンスに関連付けられ、MACインスタンスに関連付けられた送信のために物理レイヤ構成を利用することが技術常識であることを考慮すれば、本願発明1の「第1の無線アクセスノードのセル」と引用発明の「PCell」は、「第1の無線アクセスノードのセルに関連付けられた媒体アクセス制御(MAC)インスタンスに関連付けられた送信のために物理レイヤ構成を利用する」点で共通する。同様に、本願発明1の「第2の無線アクセスノードのセル」と引用発明の「SCell」は,「第2の無線アクセスノードのセルに関連付けられた媒体アクセス制御(MAC)インスタンスに関連付けられた送信のために物理レイヤ構成を利用する」点で共通する。
さらに、引用発明のUEは「PCellと複数のSCellのCCを用いて同時送信を行うもの」であり、「UEはSCellにおいてもPRACHを送信する」ものであるから、引用発明は、PCell、SCellそれぞれに制御情報を送信するプライマリセル、すなわち主セルを有するものであるといえる。してみれば、本願発明1の「第1の無線アクセスノードのセル」、「第2の無線アクセスノードのセル」と引用発明の「PCell」,「SCell」は,それぞれ「主セル」を含む点で共通する。
加えて、無線通信の分野において,無線アクセスノードのセルにおいて、無線アクセスを行うために無線アクセス技術が使用されることは、技術常識であるから,本願発明1の「第1の無線アクセスノードのセル」,「第2の無線アクセスノードのセル」と引用発明の「PCell」,「SCell」は,それぞれ「無線アクセス技術を使用」する点で共通する。
そうすると、本願発明1の「前記WTRUが、第1の無線アクセスノードのセルの第1のグループに関連付けられた第1の媒体アクセス制御(MAC)インスタンスに関連付けられた送信のために第1の物理レイヤ構成を利用することであって、前記セルの第1のグループは、主セルおよび0以上の副セルを含み、および第1の無線アクセス技術を使用し、前記第1の物理レイヤ構成は、前記セルの第1のグループの少なくとも前記主セルと交換される前記送信の周波数分割複信(FDD)のために構成されている、ことと」と引用発明の「UEはPCellと複数のSCellのCCを用いて同時送信を行うもの」であり、「UEはSCellにおいてもPRACHを送信する」ことは,「WTRUが、第1の無線アクセスノードのセルに関連付けられた媒体アクセス制御(MAC)インスタンスに関連付けられた送信のために物理レイヤ構成を利用することであって、主セルを含み、および無線アクセス技術を使用する、ことと、WTRUが、第2の無線アクセスノードのセルに関連付けられたMACインスタンスに関連付けられた送信のために物理レイヤ構成を利用することであって、主セルを含み、および無線アクセス技術を使用する」点で共通する。

ウ また、引用発明のUEは、「UEはPCellと複数のSCellのCCを用いて同時送信を行うものであり、送信のためのキャリアごとに最大電力が定義されるものである」から、引用発明のUEは、MACインスタンスを介して送信する際、キャリアごとに最大電力を上限として送信電力をPCellの主セル、SCellの主セルにそれぞれに送信電力を割り当てるものであることは自明であり、引用発明のPCellの主セルへの送信を、「第1の送信」、引用発明のPCellの主セルへの送信に割り当てる送信電力を、「第1の送信電力」、引用発明のSCellの主セルへの送信を、「第2の送信」、引用発明のSCellの主セルへの送信に割り当てる送信電力を、「第2の送信電力」と称することは任意である。
そうすると、本願発明1と引用発明は「WTRUが、MACインスタンスを介して送信される第1の送信のための第1の送信電力を主セルにおよびMACインスタンスを介して送信される第2の送信のための第2の送信電力を主セルに割り当てる」点で共通する。

エ ここで、上記ウで述べたとおり、UEはPCellと複数のSCellのCCを用いて同時送信を行うものであるから、引用発明のPCellの主セルへの送信、SCellの主セルへの送信は、時間的に少なくとも部分的に重なるといえる。
そうすると、本願発明1と引用発明は、「第1の送信と第2の送信とは時間的に少なくとも部分的に重な」る点で一致する。

オ さらに、引用発明のUEは、「最大UE送信電力に達しSCellのPRACHと異なるセルに対するPUSCH/PUCCH/SRSのオーバーラップがある場合、PRACHの送信が優先される」ものであるから、UEの送信において送信電力に関する優先度規則を有するものであり、引用発明のUEは、「キャリアごとの最大電力が定義されるもの」であり、上記エに述べたとおり、第1の送信と第2の送信とは時間的に少なくとも部分的に重なるものであるから、引用発明のPCellの主セルに割り当てる送信電力、及びSCellの主セルに割り当てる送信電力、すなわち第1の送信電力及び第2の送信電力のうち1つ以上の少なくとも一部分は、MACインスタンスを介して送信される第1の送信及びMACインスタンスを介して送信される第2の送信に関連する1つ以上の優先度規則に基づいて割り当てられるものである。そして、引用発明は、「送信のためのキャリアごとの最大電力が定義されるものであ」るから、PCellの主セルに割り当てる送信電力を制約するための独立の最大送信電力及びSCellの主セルに割り当てる送信電力を制約するための独立の最大送信電力をそれぞれ有しているものであるといえ、PCellの主セルに割り当てる送信電力を制約するための独立の最大送信電力を「第1の独立の最大送信電力」、SCellの主セルに割り当てる送信電力を制約するための独立の最大送信電力を「第2の独立の最大送信電力」と称することは任意である。
そうすると、本願発明1と引用発明は、「第1の送信電力および第2の送信電力のうちの1つ以上の少なくとも一部分は、第1の送信電力および第2の送信電力をそれぞれ制約するための第1の独立の最大送信電力および第2の独立の最大送信電力と、MACインスタンスを介して送信される第1の送信およびMACインスタンスを介して送信される第2の送信に関連する1つ以上の優先度規則に基づいて割り当てられる」点で共通する。

カ 加えて、上記イにおいて述べたとおり、セルは基地局のような無線アクセスノードが構成するものであることが技術常識であり、UEはセルを用いて送信を行うものであるから、引用発明のUEが送信する相手先が基地局であることは自明であり、PCellとSCellはそれぞれ主セルを有するのであるから、引用発明のUEは少なくとも2つの基地局に対して送信するものであり、UEと基地局が送信に使用するインターフェースをUuインターフェースと称することは技術常識である。
そうすると、本願発明1と引用発明は、「WTRUが、それぞれのUuインターフェースを利用して第1の送信および第2の送信を行う」点で一致する。

以上を総合すると、本願発明1と引用発明とは、以下の点で一致し、また、相違している。

(一致点)
「 無線送受信ユニット(WTRU)により実施される方法であって、
WTRUが、第1の無線アクセスノードのセルに関連付けられた媒体アクセス制御(MAC)インスタンスに関連付けられた送信のために物理レイヤ構成を利用することであって、主セルを含み、および無線アクセス技術を使用する、ことと、
WTRUが、第2の無線アクセスノードのセルに関連付けられたMACインスタンスに関連付けられた送信のために物理レイヤ構成を利用することであって、主セルを含み、および無線アクセス技術を使用する、ことと、
WTRUが、MACインスタンスを介して送信される第1の送信のための第1の送信電力を主セルにおよびMACインスタンスを介して送信される第2の送信のための第2の送信電力を主セルに割り当てることであり、
第1の送信と第2の送信とは時間的に少なくとも部分的に重なり、
第1の送信電力および第2の送信電力のうちの1つ以上の少なくとも一部分は、第1の送信電力および第2の送信電力をそれぞれ制約するための第1の独立の最大送信電力および第2の独立の最大送信電力と、MACインスタンスを介して送信される第1の送信およびMACインスタンスを介して送信される第2の送信に関連する1つ以上の優先度規則に基づいて割り当てられる、ことと、
WTRUが、それぞれのUuインターフェースを利用して第1の送信および第2の送信を行うことと、
を含む、方法。」

(相違点1)
第1の無線アクセスノードのセルに関連付けられた媒体アクセス制御インスタンスに関連付けられた送信のための物理レイヤ構成について、本願発明1においては、「前記セルの第1のグループの少なくとも前記主セルと交換される前記送信の周波数分割複信(FDD)のために構成されている」のに対し、引用発明においては、その旨が特定されていない点。

(相違点2)
第2の無線アクセスノードのセルに関連付けられた媒体アクセス制御インスタンスに関連付けられた送信のための物理レイヤ構成について、本願発明1においては、「前記主セルおよび前記0以上の副セルの少なくとも1つと交換される前記送信の時分割複信(TDD)のために構成されている」のに対し、引用発明においては、その旨が特定されていない点。

(相違点3)
第1の無線アクセスノードのセルに関連付けられたMACインスタンスについて、本願発明1においては、「セルの第1のグループに関連付けられた」ものであり、「セルの第1のグループは、主セルおよび0以上の副セルを含み、および第1の無線アクセス技術を使用」し、第2の無線アクセスノードのセルに関連付けられたMACインスタンスについて、本願発明1においては、「セルの第2のグループに関連付けられた」ものであり、「セルの第2のグループは、主セルおよび0以上の副セルを含み、および第2の無線アクセス技術を使用」するのに対し、引用発明においては、第1の無線アクセスノードのセルに関連付けられたMACインスタンス及び第2の無線アクセスノードのセルに関連付けられたMACインスタンスについて、セルとの関連付けや、使用する無線アクセス技術について特定されていない点。

(相違点4)
WTRUが、MACインスタンスを介して送信される送信について、本願発明1においては、「第1のMACインスタンスを介して送信される第1の送信のための第1送信電力」を「主セル」におよび「第2のMACインスタンスを介して送信される第2の送信のための第2の送信電力を主セルおよび0以上の副セルの少なくとも1つに割り当てる」のに対し、引用発明では、第1及び第2のMACインスタンスと記載されるようにMACインスタンスが複数存在するか否か、及び第2の送信電力を主セルおよび0以上の副セルの少なくとも1つに割り当てることが特定されていない点。

(相違点5)
第1の送信電力および第2の送信電力のうちの1以上の少なくとも一部分の割り当てについて、本願発明1においては、「第1の送信および第2の送信が同一の周波数範囲内のキャリアで送信されるまたは第1の送信および第2の送信が異なる周波数範囲内のキャリアで送信されるかどうか」に基づくのに対し、引用発明においては、その旨が特定されていない点。

(2)進歩性(特許法第29条第2項)についての判断
相違点1に係る本願発明1の第1の無線アクセスノードのセルに関連付けられた媒体アクセス制御インスタンスに関連付けられた送信のための物理レイヤ構成について、「前記セルの第1のグループの少なくとも前記主セルと交換される前記送信の周波数分割複信(FDD)のために構成されている」ものとすること、及び相違点2に係る本願発明1の第2の無線アクセスノードのセルに関連付けられた媒体アクセス制御インスタンスに関連付けられた送信のための物理レイヤ構成について、「前記主セルおよび前記0以上の副セルの少なくとも1つと交換される前記送信の時分割複信(TDD)のために構成されている」ものとする発明特定事項は、引用文献1ないし引用文献3には記載も示唆もされていない。また、当該技術分野において周知技術であるともいえない。
よって、当業者といえども、引用発明において、第1の無線アクセスノードのセルに関連付けられた媒体アクセス制御インスタンスに関連付けられた送信のための物理レイヤ構成を「前記セルの第1のグループの少なくとも前記主セルと交換される前記送信の周波数分割複信(FDD)のために構成されている」ものとすること、第2の無線アクセスノードのセルに関連付けられた媒体アクセス制御インスタンスに関連付けられた送信のための物理レイヤ構成を「前記主セルおよび前記0以上の副セルの少なくとも1つと交換される前記送信の時分割複信(TDD)のために構成されている」ものとすることは、容易に想到し得たとはいえない。
したがって、上記相違点3ないし相違点5について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明並びに引用文献2及び引用文献3に記載の技術事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2.本願発明2ないし10について
本願発明2ないし10は、本願発明1の発明特定事項を全て含むから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明並びに引用文献2及び引用文献3に記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

3.本願発明11ないし20について
本願発明11は、本願発明1に記載の方法を無線送受信ユニット(WTRU)として動作するように記載したものであって、上記1.で説示した相違点に係る本願発明1の発明特定事項を少なくとも備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明並びに引用文献2及び引用文献3に記載の技術事項に基いて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
本願発明12ないし20は、本願発明11の発明特定事項を全て含むから、本願発明11と同じ理由により、当業者であっても、引用発明並びに引用文献2及び引用文献3に記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし20は、当業者が引用発明並びに引用文献2及び引用文献3に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-05-12 
出願番号 特願2018-89378(P2018-89378)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04W)
最終処分 成立  
前審関与審査官 青木 健  
特許庁審判長 廣川 浩
特許庁審判官 本郷 彰
永田 義仁
発明の名称 異なるサービングサイトへの物理レイヤリソースの提供  
代理人 特許業務法人 谷・阿部特許事務所  
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