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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61B
管理番号 1374319
審判番号 不服2020-15183  
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-11-02 
確定日 2021-06-08 
事件の表示 特願2019-502861「計測支援装置、内視鏡システム、及び内視鏡システムのプロセッサ」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 9月 7日国際公開、WO2018/159292、請求項の数(20)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)2月14日(優先権主張 平成29年3月3日)を国際出願日とする出願であって、令和2年3月17日付けで拒絶理由通知がされ、同2年4月24日付けで手続補正がされ、同2年8月11日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同2年11月2日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(令和2年8月11日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-7に係る発明は以下の引用文献1-4に基づいて、本願請求項8-13、20に係る発明は以下の引用文献1-5に基づいて、それぞれ、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開平3-231622号公報
2.特開2012-39255号公報
3.特開2011-15721号公報
4.特開平2-216404号公報
5.特開2002-336188号公報

第3 本願発明
本願請求項1-20に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明20」という。)は、令和2年4月24日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-20に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1、本願発明20は、それぞれ、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
レーザ光を出射するレーザ光源モジュールであって、計測時に被検体に挿入されない部分に設けられているレーザ光源モジュールと、
前記出射されたレーザ光を導光する光ファイバーと、
前記導光されたレーザ光を平行な光束にして、計測補助光として出射するコリメータを含むヘッドと、
前記計測補助光によりスポットが形成された被写体の画像を撮像光学系及び撮像素子を介して撮像する撮像部と、
前記画像における前記スポットの座標を計測する計測部と、
前記スポットの座標と、前記被写体における計測対象の実寸サイズを示し前記撮像光学系の歪曲収差に応じて歪曲した円形マーカを示す点の座標と、を関連づけて記憶する記憶部であって、前記画像の撮像距離を変化させた場合に前記スポットが前記画像を移動する軌跡における複数の点に対して前記円形マーカを示す点の座標を記憶する前記記憶部と、
前記計測した前記スポットの座標に基づいて前記記憶部を参照して、前記スポットの座標に対応する前記円形マーカを示す点の座標を取得する座標取得部と、
前記取得した座標に基づいて前記画像における前記スポットの近傍に、前記スポットの座標に応じたサイズの前記円形マーカを表示させる表示制御部と、
を備え、
前記ヘッドは、前記計測補助光の光軸を前記撮像光学系の光軸を含む平面に射影した場合に前記撮像光学系の光軸に対し0度でない傾き角を有し前記撮像光学系の画角を横切る前記計測補助光を出射する、計測支援装置。」

「【請求項20】
請求項12から19のいずれか1項に記載の内視鏡システムのプロセッサであって、前記計測部と、前記記憶部と、前記座標取得部と、前記表示制御部と、を備えるプロセッサ。」

なお、本願発明2-11は、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明12-19は、本願発明1の「計測支援装置」を備える「内視鏡システム」の発明である。

第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

「次に、第4図ないし第7図を参照して、本実施例の測距の原理を説明する。
第5図に示すように、対物光学系の入射瞳位置をOとし、対物光学系の光軸20に直交しビーム光線19の軸と交わる軸をX軸とする。また、対物光学系の光軸20をZ軸とし、第4図に示すように、前記X軸及びZ軸に直交する軸をY軸とする。
第4図に示すように、Y方向についての対物光学系の光軸20とビーム光線19のなす角度をγとする。また、第5図に示すように、ビーム光線19が被検査体に作る指標としてのスポット21の位置をPとする。また、ビーム光線19とX軸のなす角度をαとし、直線O-PとX軸のなす角度をβとする。」(第3頁左下欄第3行-同欄第17行)

「第6図は、第4図及び第5図を3次元的に示したものである。ここで、点PをX-Y平面に投影した点をRとする。直線O-RとX軸のなす角度をθ_(2)とし、直線〇-Rと直線O-Pのなす角度をθ_(1)とすると、入射瞳位置からスポット光位置までの距離O-Pは、以下の式で求められる。
γ=tan^(-1)(sinθ_(2)/tanθ_(1))・・・(1)
β=sin^(-1)(sinθ_(1)/cosγ)・・・(2)
O-P=Hsinα/sin(β-α)・・・(3)
上記(1)、(2)、(3)式に示すように、距離O-Pは、θ_(1)、θ_(2)、α、Hの関数で示される。」(第3頁左下欄第19行-同頁右下欄第10行)

「よって、θ_(1)及びθ_(2)は内視鏡画像から求められる。すなわら、第7図に示すように、点Pに対する視野角2(90-θ_(1))は、例えば内視鏡画像中の点Pの位置と内視鏡画像の中心との距離から求められ、これによりθ_(1)も求められる。また、内視鏡画像中の点Pの位置と内視鏡画像の中心とを結ぶ直線とX軸のなす角度がθ_(2)となる。このθ_(2)も、内視鏡画像中の点Pの位置と内視鏡画像の中心の位置とから求められる。」(第3頁右下欄第15行-第4頁左上欄第3行)

「第1図に示すように、本実施例の電子内視鏡装置1にて例えばパイプ39内を検査して、このパイプ39内の傷等の任意の点までの距離を測定する場合、ビーム光線照射部14から出側されるビーム光線19を測距しようとする点に合わせ、その位置にスポット21を形成する。このスポット21の像を含む被検査体の像は、対物光学部9によって固体撮像素子10上に結像され、この固体撮像素子10によって撮像される。この固体撮像素子10からの信号は、信号線11を経由してCCU4に伝達され、このCCU4にて映像信号処理される。このCCU4からの映像出力は、コンピュータ5に入力され、このコンピュータ5にて画像処理を施すことにより、前記θ_(1)、θ_(2)が求められる。また、コンピュータ5には、予め前記α、Hが記憶され、プログラムとして前記(1)、(2)、(3)式が入力されてあり、これらθ_(1)、θ_(2)、α、H及び(1)?(3)式により、入射瞳位置から被検査体の傷等の任意の位置までの距離O-Pが簡単に求められる。
また、距離O-Pが分かると、撮像倍率を求めることができるため、傷等の大きさを測定することも容易にできる。更に、第8図に示すように、距離O-Pに応じたスケール22を、被検査体の像と共にCRT6上に表示し、傷等と比較できるようにしても良い。また、第8図中符号68、69で示すように、距離O-P及び撮像倍率をCRT6上に表示しても良い。」(第4頁左上欄第9行-同頁右上欄第16行)

「本実施例は、第1実施例で示した測距の原理を側視型の電子内視鏡に応用した例である。
第11図に示すように、本実施例の内視鏡装置71は、側視型の電子内視鏡40と、この電子内視鏡40が接続される光源装置3、CCU4及びビーム光線用光源33と、前記CCU4に接続されるコンピュータ5と、前記コンピュータ5から出力される画像信号を入力して画像を表示するCRT6とを備えている。
前記電子内視鏡40の挿入部28の先端部41は、第9図及び第10図に示すように構成されている。すなわち、先端部41は、硬性の先端部本体45を備え、この先端部本体45には、結像光学系72、ライトガイドファイバ7及びビーム光線用ライトガイドファイバ30が設けられている。前記結像光学系72の結像位置には、固体撮像素子10が配設されている。」(第4頁右下欄第3行-同欄第19行)

「前記観察窓の内側には、対物光学系37及びプリズム42が設けられ、これらと先端部本体45内の結像光学系72とにより側視像が得られるようになっている。」(第5頁左上欄第8行-同欄第12行)

「また、前記ビーム光線照射窓の内側には、内視鏡視野内の被検査体へ向けてビーム光線19が照射されるように、ビーム光線照射部44が設けられている。このビーム光線照射部44は、前記先端部本体45内のビーム光線用ライトガイドファイバ30からの光をビーム光線照射窓側へ導くビーム光線用ライトガイドファイバ73と、このライトガイドファイバ73から出射された光を平行光にしてビーム光線19を得るためのコリメータレンズ36により構成されている。」(第5頁左上欄第16行-同頁右上欄第5行)

「第11図に示すように、前記先端部本体45内のビーム光線用ライトガイドファイバ30は、挿入部28、操作部29、ユニバーサルコード24、光源コネクタ31、ビーム光線用ライトガイドケーブル32を経由して、ビーム光線用光源33に接続されるようになっている。このビーム光線用光源33には、レーザ、キセノンランプ、ハロゲンランプ等を用いる。」(第5頁右上欄第12行-同欄第19行)

(2)上記引用文献1には次の図面が記載されている。
ア 第4図


イ 第5図


ウ 第6図


エ 第7図


オ 第8図


カ 第9図


キ 第11図


(3)したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「レーザが用いられるビーム光線用光源33であって、電子内視鏡40の挿入部28の先端部本体45内のビーム光線用ライトガイドファイバ30が挿入部28、操作部29、ビーム光線用ライトガイドケーブル32等を経由して接続されるビーム光線用光源33と、
ビーム光線用ライトガイドケーブル32を経由してビーム光線用光源33に接続されるビーム光線用ライトガイドファイバ30及びビーム光線用ライトガイドファイバ73と、
ライトガイドファイバ73から出射された光を平行光にしてビーム光線19を得るためのコリメータレンズ36を含み、内視鏡視野内の被検査体へ向けてビーム光線19を照射するビーム光線照射部44と、
観察窓の内側に設けられる対物光学系37及びプリズム42、先端部本体45内の結像光学系72、並びに、結像光学系72の結像位置に配設される固体撮像素子10と、
固体撮像素子10からの信号を映像信号処理するCCU4と、
CCU4からの映像出力が入力されるコンピュータ5と、
を備え、
対物光学系の光軸20に直交しビーム光線19の軸と交わる軸をX軸、対物光学系の光軸20をZ軸、X軸及びZ軸に直交する軸をY軸としたとき、ビーム光線照射部44が照射するビーム光線19はY方向についての対物光学系の光軸20と角度γをなし、ビーム光線19とX軸は角度αをなし、
パイプ39内の傷までの距離を測定する場合、ビーム光線19は測距しようとする点に合わせられてその位置にスポット21が形成され、
コンピュータ5は、画像処理を施すことにより内視鏡画像中のスポット21の点Pの位置と内視鏡画像の中心との距離からθ_(1)を求めると共に内視鏡画像中の点Pの位置と内視鏡画像の中心の位置とからθ_(2)を求め、予めα、Hが記憶され、プログラムとしてγ=tan^(-1)(sinθ_(2)/tanθ_(1))・・・(1)、β=sin^(-1)(sinθ_(1)/cosγ)・・・(2)、O-P=Hsinα/sin(β-α)・・・(3)が入力されてあり、これらθ_(1)、θ_(2)、α、H及び(1)?(3)式により入射瞳位置から被検査体の傷までの距離O-Pを求め、距離O-Pに応じたスケール22を被検査体の像と共にCRT6上に表示して傷と比較できるようにした、
内視鏡装置。」

2.引用文献2について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0057】
次に、内視鏡診断において、図8(A)に示すような病変部の画像が表示部400に表示された場合に、この病変部の大きさを計測するための2番目の手法について説明する。ここで本処理が実行されるモードを、第2の病変部計測モードと呼ぶ。」

「【0058】
第2の病変部計測モードにおいて病変部が発見された場合、ドクターは病変部の代表的な位置を画像上で指定する。ここでは図8(D)に示すR’点が病変部の代表的な位置として指定されたと仮定する。」

「【0059】
第2の病変部計測モードにおいて基準点設定部351は、制御部360からのモード情報に従って、指定されたR’点の画像上での座標(Xr’,Yr’)を取得し、これを基準点の座標情報として距離推定部352に出力する。距離推定部352は前述した手法で、前側焦点位置からR’点に対応する被写体上の位置R点までの実空間での距離情報Zrを算出し、この距離情報と基準点の座標情報を付加情報生成部356に出力する。」

「【0060】
付加情報生成部356は制御部360からのモード情報に従って、距離推定部352から出力された距離情報と基準点の座標情報から、画像上のR’点における対物レンズの局所倍率βを算出する。」

「【0061】
また、内視鏡では一般的に対物レンズの歪曲収差が大きいため、画像上の位置によって局所倍率βは異なった値となる。画像上の位置と局所倍率βの関係は対物レンズの性能から既知であるため、このような場合は例えば画像上の位置と局所倍率βの関係をルックアップテーブルとして保持しておき、前述の(6)式と組み合わせて局所倍率βを算出すればよい。また、画像上の位置と前側焦点位置から被写体までの距離に対してそれぞれ局所倍率を対応付けるような三次元ルックアップテーブルを保持しておき、これを用いて局所倍率βを算出してもよい。」

「【0062】
次に付加情報生成部356は、局所倍率βからスケール情報を生成する。具体的には、実空間で長さLのスケールを画像に表示したい場合、例えば以下の(7)式から画像上でのスケールの長さを算出する。ここでPは本実施形態における撮像素子の画素ピッチ(画素と画素との間の距離、つまり1ピクセルあたりの大きさ)である。」

「【0063】
画像上でのスケールの長さ=L・β/P[pixels] ・・・・・(7)」

「【0065】
加工部357は制御部360からのモード情報に従って、付加情報生成部356から出力されたスケール情報を後処理部355から出力される画像に付加する。具体的には、例えば図8(E)に示すように画像上にスケール画像を表示する。スケール情報は必ずしも長方形である必要はなく、線分や円形その他の任意の形状で表示することが可能なことは言うまでもない。」

(2)したがって、上記引用文献2には、次の技術的事項が記載されていると認められる。

「内視鏡診断において、対物レンズの歪曲収差が大きく画像上の位置によって局所倍率βは異なった値となることから、画像上の位置と前側焦点位置から被写体までの距離に対してそれぞれ局所倍率を対応付けるような三次元ルックアップテーブルを保持しておき、ドクターが画像上でR’点を病変部の代表的な位置として指定すると、基準点設定部351はR’点の画像上での座標(Xr’,Yr’)を取得し、距離推定部352は前側焦点位置からR’点に対応する被写体上の位置R点までの実空間での距離情報Zrを算出し、付加情報生成部356は三次元ルックアップテーブルを用いて局所倍率βを算出すると共に実空間で長さLのスケールの画像上でのスケールの長さを『画像上でのスケールの長さ=L・β/P[pixels] ・・・・・(7)』から算出し、加工部357は付加情報生成部356から出力されたスケール情報を画像に付加する技術。」

3.引用文献3について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0019】
図1は、本発明の1つの実施形態に係る立体スケール像形成装置を用いた立体映像表示装置の構成図である。」

「【0023】
立体スケール像演算装置5には、人が操作する操作盤6が付属して、画像中の立体スケール11の位置と姿勢を指定することができる。立体スケール像形成装置20は、立体スケール像演算装置5と操作盤6により、構成される。操作盤6を用いて、対象物7の立体映像10の位置に立体スケール11の像が重なるように調整すれば、立体スケール11の目盛を読み取ることにより、対象物7の寸法を測定することができる。」

「【0037】
立体スケールは、看者がたとえば操作盤を通じて指示する表示位置にしたがって、立体スケールの形状と大きさ、および表示位置を決め、これに適合する立体スケールの左目用画像と右目用画像を生成し、立体画像表示装置4に表示させる。」

「【0054】
図9は、本実施形態におけるレンズ系の幾何学歪みの補正方法を説明する概念図である。光学系が理想的な薄レンズで構成されている場合は、立体スケールの目盛は正方形の格子で形成すれば済む。しかし、立体内視鏡などでは、視野範囲を広くする目的で広角レンズを使用するため、図9に示すように、広角レンズ36の中心を通る光路と広角レンズ36の周辺を通る光路の間に、光路差が生じる。この光路差が画像歪みを引き起こす。」

「【0055】
・・・
本実施形態における立体スケールは、特に立体内視鏡装置に適用するため、歪んだスクリーンを使わずに、歪みのある立体映像の中に、歪みに適合する立体スケールを形成することで対処することができる。」

「【0056】
図10は、本実施形態におけるレンズ系の幾何学歪みの補正に使用する校正データマトリクスを示す概念図で、光学系歪みがある場合に形成する校正データマトリクスの概念を説明する。
校正データマトリクスは、Y座標上の平面における目盛の大きさについての数値情報によりマトリクスを構成したもので、このマトリクス上に立体スケールの各軸目盛の情報が存在する。したがって、任意の座標位置における立体スケールが、校正データマトリクスに集積された情報を用いることで形成することができる。」

(2)したがって、上記引用文献3には、次の技術的事項が記載されていると認められる。

「立体スケール像形成装置を用いた立体映像表示装置において、操作盤6を用いて対象物7の立体映像10の位置に立体スケール11の像が重なるように調整されて立体スケール11の位置と姿勢が指定され、指示された表示位置にしたがって立体スケールの形状と大きさが決められて立体画像表示装置4に表示され、立体内視鏡では広角レンズを使用するために画像歪みが引き起こされることから、立体スケールはレンズ系の幾何学歪みの補正に使用する校正データマトリクスに集積された情報を用いることで形成され、歪みのある立体映像の中に歪みに適合する立体スケールが形成される、技術。」

4.引用文献4について
(1)原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。

「本発明は、被検体を視差を有する複数の画像で表示可能な計測用内視鏡装置に関し、特に、目視で対象物の大きさを知ることができるようにした計測用内視鏡装置に関する。」(第1頁右下欄第1行-同欄第4行)

「前記S3-4で円付き点の指定であると判定された場合(YES)は、S3-13で、pointm()というサブルーチンを行い、S3-2へ戻る。このpointmは、円付き点を左右画像で指定し、point1で行う計測と同様の計測を行い、円付き点の3次元座標を得ると共に、その3次元座標を基に、距離によって大きさの変化する指標(円)を右画面に表示するルーチンである。」(第6頁左上欄第8行-同欄第16行)

「次に、第16図を用いて前記pointm()を説明する。
このルーチンが開始すると、まず、S6-01で、円の半径rrを入力(imput)する。」(第7頁右上欄第20行-同頁左下欄第3行)

「次に、S6-10で、左右各画面での指定点のx、y座標(S_Rxm、S_Rym、S-Lxm、S-Lym)を引数として、3dpoint()というサブルーチンを行い、円付き点の3次元座標を計算し、結果は、(S_Xm、S_Ym、S_Zm)に帰される。
次に、S6-11で、前記3次元座標(S_Xm、S_Ym、S_Zm)を用いて、円付き点までの距離を計算する。
次に、S6-12で、Rgcircle()というサブルーチンを行った後、終了する。このRgcircleは、円付き点の3次元座標(S_Xm、S_Ym、S_Zm)と半径rrを基に、対象点(円付き点)のまわりに、指標となる円を書くものである。このRgcircleは、第20図に示している。」(第7頁右下欄第9行-第8頁左上欄第4行)

「また、本実施例では、右画面に、計測の結果を用いて、対象物までの距離に応じた大きさの2次元的な指標である指標円を表示することができる。従って、前記指標円と比較することにより、対象物の大きさが目視で判る。また、この2次元的な指標と比較することにより、対象物の縦の大きさと横の大きさの関係が判る。」(第13頁左下欄第4行-同欄第10行)

「今までの例は、内視鏡の対物レンズ系の持つ歪曲収差を無視したものであるが、本変形例は、案内線の表示、指標円の表示、対象点の3次元座標を求めるのに、歪曲収差の影響を考慮して、その補正を加えるものである。」(第15頁左上欄第10行-同欄第14行)

「次に、第29図を用いて、Rgcircle()について説明する。
このルーチンでは、親ルーチン(pointm)から引き渡された3次元座標(X3、Y3、Z3)及び円の半径rrを引数とする。
このルーチンが開始すると、まず、S16-1で、Z3/Fを媒介変数tとする。
次に、S16-2で、-1.0×rrをlx3とし、0をlUy3とする。すなわち、指標円の左端の点の、円付き点を中心したx、y座標を求める。
次に、S16-3で、X3+lx3をgx3とし、Y3+lUy3をgUy3とする。すなわち、前記左端の点の座標をスコープ中心座標に変換する。
次に、S16-4で、(gx3-D/2)/tをdiRxとし、gUy3/tをdiRUyとする。すなわち、前記左端の点を右撮像素子での歪曲収差の影響を受けない場合でのxy座標に変換する。
次に、S16-5で、(diRx、diRUy)を引数としてinvdistを行い、右撮像素子上での歪曲収差の影響を受けた場合のxy座標(cRX、cRUy)を得る。」(第16頁右上欄第10行-同頁左下欄第11行)

「次に、S16-9で、lx3+SIZEX/RSXをlx3とし、指標円上の点のx座標を右に移動する。
次に、S16-10で(rr^(2)-lx3^(2) )^(1/2)を、前記lx3に対応する指標円上の上側の点のy座標lUy3とし、-(rr^(2)-lx3^(2) )^(1/2)を、前記lx3に対応する指標円上の下側の点のy座標lDy3とする。
次に、S16-11で、X3+lx3をgx3とし、Y3+lUy3をgUy3とし、Y3+lDy3をdDy3とする。すなわち、前記指標円上の2点の座標をスコープ中心座標に変換する。
次に、S16-12で、(gx3-D/2)/tをdiRxとし、gUy3/tをdiRUyとし、gDy3/tをdiRDyとする。すなわち、前記指標円上の2点を右撮像素子での歪曲収差の影費を受けない場合でのxy座標に変換する。
次に、S16-13で、(diRx、diRUy)、(diRx、diRDy)を引数として、それぞれinvdistを行い、右撮像素子上での歪曲収差の影響を受けた場合のxy座標(cRUx、cRUy)、(cRDx、cRDy)を得る。」(第16頁右下欄第5行-第17頁左上欄第7行)

「このようにして歪曲収差補正を行った指標円が表示される。この指標内が表示された右画面の例を第27図に示す。」(第17頁左下欄第9行-同欄第11行)

「次に、第32図を用いて、前記invdist()について説明する。
このルーチンでは、親ルーチン(LguideやRgcircle)から引き渡された撮像素子上での歪曲収差の影響を受けない場合の位置(dix、diy)を引数とする。
まず、S19-1で(dix^(2)+diy^(2))^(1/2)をrhとする。次に、S19-2でtan^(-1)(rh/F)をradとする。次に、S19-3でF×radをvhとする。次に、S19-4でvh/rhをsとする。次に、S19-5でdix×sをcxとし、diy×sをcyとする。そして、逆歪曲収差補正後の位置(cx、cy)を親ルーチンへの戻り値として終了する。前記各ステップは、第25図を用いて説明した変換式を実行している。」(第18頁左上欄第16行-同頁右上欄第11行)

(2)したがって、上記引用文献4には、次の技術的事項が記載されていると認められる。

「被検体を視差を有する複数の画像で表示可能な計測用内視鏡装置において、
pointm()ルーチンにおいて、円の半径rrが入力され、左右各画面での指定点のx、y座標を引数として円付き点の3次元座標が計算され、計算された円付き点の3次元座標と入力された半径rrを基に対象点(円付き点)のまわりに指標円を書くRgcircle()サブルーチンが行われることで、右画面に対象物までの距離に応じた大きさの2次元的な指標である指標円が表示され、対象物をこの指標円と比較することにより対象物の大きさが目視で判るようになり、
前記Rgcircle()では、3次元座標(X3、Y3、Z3)及び円の半径rrを引数として指標円の点のx、y座標が求められ、指標円の点のx、y座標はスコープ中心座標に変換され更に右撮像素子での歪曲収差の影響を受けない場合でのxy座標に変換され、これを引数として、撮像素子上での歪曲収差の影響を受けない場合の位置を引数とし逆歪曲収差補正後の位置を親ルーチンへの戻り値とするルーチンであるinvdistを行うことで、右撮像素子上での歪曲収差の影響を受けた場合のxy座標が得られ、
指標円の表示において内視鏡の対物レンズ系の持つ歪曲収差の影響を考慮してその補正を加える、技術。」

第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
ア 本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
(ア) 引用発明における「ビーム光線用光源33」は、電子内視鏡40の挿入部28の先端部本体45内のビーム光線用ライトガイドファイバ30が挿入部28、操作部29、ビーム光線用ライトガイドケーブル32等を経由して接続されるものであり、挿入部28の外部に設けられているものであるから、本願発明1における「レーザ光を出射するレーザ光源モジュールであって、計測時に被検体に挿入されない部分に設けられているレーザ光源モジュール」に相当する。

(イ) 引用発明における「ビーム光線用ライトガイドファイバ30」及び「ビーム光線用ライトガイドファイバ73」は、本願発明1における「前記出射されたレーザ光を導光する光ファイバー」に相当する。

(ウ) 引用発明における「ライトガイドファイバ73から出射された光を平行光にしてビーム光線19を得るためのコリメータレンズ36を含」む「ビーム光線照射部44」は、本願発明1における「前記導光されたレーザ光を平行な光束にして、計測補助光として出射するコリメータを含むヘッド」に相当する。

(エ) 引用発明における「対物光学系37」、「プリズム42」、「結像光学系72」及び「固体撮像素子10」は、これらによりビーム光線19が被検査体に作る指標としてのスポット21の像を含む被検査体の像を得ると認められるから(第4頁左上欄第14行-同欄第16行より)、本願発明1における「前記計測補助光によりスポットが形成された被写体の画像を撮像光学系及び撮像素子を介して撮像する撮像部」に相当する。

(オ) 引用発明における「コンピュータ5」は、内視鏡画像中のスポット21である点Pの位置と内視鏡画像の中心との距離からθ_(1)を求めると共に内視鏡画像中の点Pの位置と内視鏡画像の中心の位置とからθ_(2)を求めるものであり、内視鏡画像中のスポット21である点Pの座標を計測しているのは明らかであるから、本願発明1における「前記画像における前記スポットの座標を計測する計測部」に相当する。

(カ) 引用発明における「コンピュータ5」は、予めα、Hが記憶され、プログラムとしてγ=tan^(-1)(sinθ_(2)/tanθ_(1))・・・(1)、β=sin^(-1)(sinθ_(1)/cosγ)・・・(2)、O-P=Hsinα/sin(β-α)・・・(3)が入力されているものであり、α、H、(1)-(3)式が入力されているプログラムを記憶する記憶部を備えるのは明らかであるから、引用発明は本願発明1と「記憶部」を備える点で一致する。

(キ) 引用発明における「コンピュータ5」は、内視鏡画像中のスポット21である点Pの位置と内視鏡画像の中心との距離からθ_(1)を求めると共に内視鏡画像中の点Pの位置と内視鏡画像の中心の位置とからθ_(2)を求め、θ_(1)、θ_(2)、α、H及び(1)?(3)式により入射瞳位置から被検査体の傷までの距離O-Pを求め、距離O-Pに応じたスケール22を被検査体の像と共にCRT6上に表示して傷と比較できるようにするものである。引用文献1の第7、8図より距離O-Pに応じたスケール22は円形であることが看取され、また、引用文献1には「距離O-Pが分かると、撮像倍率を求めることができるため、傷等の大きさを測定することも容易にできる。」(第4頁右上欄第9行-同欄第11行)とも記載されていることから、距離O-Pに応じたスケール22とは計測対象の実寸サイズを示すものであると認められる。更に、距離O-Pに応じたスケール22をCRT6上に表示する際にはその座標を決定しているのは明らかである。そして、引用発明における「コンピュータ5」は、本願発明1の「座標取得部」と、「『前記スポットの座標に対応する』『前記被写体における計測対象の実寸サイズを示』す『円形マーカを示す点の座標を取得する座標取得部』」で共通する。

(ク) 引用発明の「コンピュータ5」は、距離O-Pに応じたスケール22を被検査体の像と共にCRT6上に表示して傷と比較できるようにするものである。引用文献1の第7、8図より距離O-Pに応じたスケール22はスポット21の近傍に表示されることが看取される。また、上記(オ)、(カ)で検討したとおり、距離O-Pは点Pの座標から求められ、距離O-Pに応じたスケール22は計測対象の実寸サイズを示すものと認められるから、距離O-Pに応じたスケール22は点Pの座標に応じたサイズであるということができる。してみると、引用発明の「コンピュータ5」は、本願発明1の「表示制御部」と、「『前記取得した座標に基づいて前記画像における前記スポットの近傍に、前記スポットの座標に応じたサイズの』『前記被写体における計測対象の実寸サイズを示』す『円形マーカを表示させる表示制御部』」で共通する。

(ケ) 引用発明は、対物光学系の光軸20に直交しビーム光線19の軸と交わる軸をX軸、対物光学系の光軸20をZ軸、X軸及びZ軸に直交する軸をY軸としたとき、ビーム光線照射部44が照射するビーム光線19はY方向についての対物光学系の光軸20と角度γをなし、ビーム光線19とX軸は角度αをなすものであるところ、引用文献1の第4、5図より角度γ、角度αは、それぞれ、0ではない所定の角度、90度ではない所定の角度であること、及び、ビーム光線19は視野角を横切ることが看取されることから、「前記ヘッドは、前記計測補助光の光軸を前記撮像光学系の光軸を含む平面に射影した場合に前記撮像光学系の光軸に対し0度でない傾き角を有し前記撮像光学系の画角を横切る前記計測補助光を出射する」点で、本願発明1と一致する。

イ したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「レーザ光を出射するレーザ光源モジュールであって、計測時に被検体に挿入されない部分に設けられているレーザ光源モジュールと、
前記出射されたレーザ光を導光する光ファイバーと、
前記導光されたレーザ光を平行な光束にして、計測補助光として出射するコリメータを含むヘッドと、
前記計測補助光によりスポットが形成された被写体の画像を撮像光学系及び撮像素子を介して撮像する撮像部と、
前記画像における前記スポットの座標を計測する計測部と、
記憶部と、
前記スポットの座標に対応する前記被写体における計測対象の実寸サイズを示す円形マーカを示す点の座標を取得する座標取得部と、
前記取得した座標に基づいて前記画像における前記スポットの近傍に、前記スポットの座標に応じたサイズの前記被写体における計測対象の実寸サイズを示す円形マーカを表示させる表示制御部と、
を備え、
前記ヘッドは、前記計測補助光の光軸を前記撮像光学系の光軸を含む平面に射影した場合に前記撮像光学系の光軸に対し0度でない傾き角を有し前記撮像光学系の画角を横切る前記計測補助光を出射する、計測支援装置。」

(相違点)
本願発明1は、
「記憶部」は、「前記スポットの座標と、前記被写体における計測対象の実寸サイズを示し前記撮像光学系の歪曲収差に応じて歪曲した円形マーカを示す点の座標と、を関連づけて記憶する」ものであって、「前記画像の撮像距離を変化させた場合に前記スポットが前記画像を移動する軌跡における複数の点に対して前記円形マーカを示す点の座標を記憶」し、
「座標取得部」は、「前記計測した前記スポットの座標に基づいて前記記憶部を参照して、前記スポットの座標に対応する前記円形マーカを示す点の座標を取得」し、
「表示制御部」は、「前記取得した座標に基づいて前記画像における前記スポットの近傍に、前記スポットの座標に応じたサイズの前記円形マーカを表示させる」
のに対し、
引用発明は、
「記憶部」は、α、H、(1)-(3)式が入力されているプログラムを記憶するが、「前記スポットの座標と、前記被写体における計測対象の実寸サイズを示し前記撮像光学系の歪曲収差に応じて歪曲した円形マーカを示す点の座標と、を関連づけて記憶する」ものではなく、また、「前記画像の撮像距離を変化させた場合に前記スポットが前記画像を移動する軌跡における複数の点に対して前記円形マーカを示す点の座標を記憶する」ものではなく、
「座標取得部」は、「前記スポットの座標に対応する前記被写体における計測対象の実寸サイズを示す円形マーカを示す点の座標を取得する」が、「前記計測した前記スポットの座標に基づいて前記記憶部を参照」するものではなく、また、「座標取得部」により「座標を取得する」「円形マーカ」は「前記撮像光学系の歪曲収差に応じて歪曲した」ものではなく、
「表示制御部」は、「前記取得した座標に基づいて前記画像における前記スポットの近傍に、前記スポットの座標に応じたサイズの前記被写体における計測対象の実寸サイズを示す円形マーカを表示させる」ものであるが、「表示制御部」により「表示させる」「円形マーカ」は「前記撮像光学系の歪曲収差に応じて歪曲した」ものではない点。

(2)相違点についての判断
ア 引用発明に引用文献4に記載の技術を適用する場合
まず、引用発明に引用文献4に記載の技術を適用する場合について検討する。
引用文献4に記載の技術は、対象物の大きさが目視で判るようにするための指標円の表示において、内視鏡の対物レンズ系の持つ歪曲収差の影響を考虞してその補正を加えるものであるところ、このように内視鏡の対物レンズ系の持つ歪曲収差の影響を考虞してその補正を指標円に加えることで、撮像した画像に内視鏡の対物レンズ系の持つ歪曲収差の影響がある場合でも対象物の大きさを正確に把握出来るようにしたものと認められる。
他方で、引用発明は内視鏡装置の発明であるから引用文献4に記載の技術と同様に内視鏡装置で得られる画像は内視鏡の対物レンズ系の持つ歪曲収差の影響を受けたものになり得ると認められ、また、計測対象の実寸サイズを示す円形マーカを表示させる際にその円形マーカが計測対象の実寸サイズを正確に反映したものとすることは当業者が当然に考慮する課題である。すなわち、引用発明には引用文献4に記載の技術と同様に撮像した画像に内視鏡の対物レンズ系の持つ歪曲収差の影響がある場合でも円形マーカが計測対象の実寸サイズを正確に反映したものにするという課題が内在していると認められる。
また、引用発明はθ_(1)、θ_(2)及び入射瞳位置から被検査体の傷までの距離O-Pを求めるものであるところ、引用文献1の第6図を参照すると、θ_(1)、θ_(2)及び入射瞳位置から被検査体の傷までの距離O-Pから、対物光学系の光軸20に直交しビーム光線19の軸と交わる軸をX軸、対物光学系の光軸20をZ軸、X軸及びZ軸に直交する軸をY軸としたときの、点Pの位置のX軸、Y軸、Z軸それぞれの値、すなわち、点Pの3次元座標を求めることが出来ると認められる。
してみると、引用発明に上記課題を解決すべく引用文献4に記載の技術を適用して、点Pの3次元座標を求めると共に円形マーカの半径を入力し、求めた点Pの3次元座標と入力された円形マーカの半径を引数として歪曲収差の影響を受けない場合の撮像素子での円形マーカの座標を求め、歪曲収差の影響を受けない場合の撮像素子での位置を引数として逆歪曲収差補正後の位置を戻り値とするサブルーチンを行うことで撮像素子での歪曲収差の影響を受けた場合の円形マーカの座標を求めて、円形マーカの表示において内視鏡の対物レンズ系の持つ歪曲収差の影響を考虞してその補正を加えることは、当業者が容易に想到できたことである。
そして、そうすると撮像光学系の歪曲収差に応じて歪曲した円形マーカを表示することとなり、「座標取得部」は「前記撮像光学系の歪曲収差に応じて歪曲した」「円形マーカを示す点の座標を取得する」もの、「表示制御部」は「前記撮像光学系の歪曲収差に応じて歪曲した」「円形マーカを表示させる」ものになると考えられる。
しかしながら、このとき撮像光学系の歪曲収差に応じて歪曲した円形マーカは点Pの位置に基づいて演算により求めることになるのだから、本願発明1のように「前記スポットの座標と、前記被写体における計測対象の実寸サイズを示し前記撮像光学系の歪曲収差に応じて歪曲した円形マーカを示す点の座標と、を関連づけて記憶する記憶部であって、前記画像の撮像距離を変化させた場合に前記スポットが前記画像を移動する軌跡における複数の点に対して前記円形マーカを示す点の座標を記憶する前記記憶部」を備えたり、「座標取得部」は「前記計測した前記スポットの座標に基づいて前記記憶部を参照」することにはならない。
また、仮に拒絶査定で指摘されているように複数のパラメータが相互に関係し合う場合に所定の2つのパラメータの間の関係を記憶しておいて一方のパラメータから他方のパラメータを求める処理を迅速化することが周知技術であったとしても、本願発明1の「前記スポットの座標と、前記被写体における計測対象の実寸サイズを示し前記撮像光学系の歪曲収差に応じて歪曲した円形マーカを示す点の座標と、を関連づけて記憶する記憶部であって、前記画像の撮像距離を変化させた場合に前記スポットが前記画像を移動する軌跡における複数の点に対して前記円形マーカを示す点の座標を記憶する前記記憶部」という構成に至るためには、少なくとも上記のとおり引用発明に引用文献4に記載の技術を適用した上で更に重ねて上記周知技術を採用する必要があり、そのようにすることが当業者にとって容易であったとまでは認められない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

イ 引用発明に引用文献2-3に記載の技術を適用する場合
引用文献2に記載の技術及び引用文献3に記載の技術は何れも内視鏡で撮像した画像はレンズ系の歪曲収差により画像歪みが引き起こされることから、計測対象の実寸サイズを示すマーカを画像歪みに適合するよう補正するものであると認められるが、引用文献2及び引用文献3の何れも少なくとも本願発明1の「前記スポットの座標と、前記被写体における計測対象の実寸サイズを示し前記撮像光学系の歪曲収差に応じて歪曲した円形マーカを示す点の座標と、を関連づけて記憶する記憶部であって、前記画像の撮像距離を変化させた場合に前記スポットが前記画像を移動する軌跡における複数の点に対して前記円形マーカを示す点の座標を記憶する前記記憶部」に相当する構成を開示していない。
よって、引用発明に引用文献2に記載の技術及び引用文献3に記載の技術を適用したとしても、上記アで検討したと同様に、少なくとも本願発明1のように「前記スポットの座標と、前記被写体における計測対象の実寸サイズを示し前記撮像光学系の歪曲収差に応じて歪曲した円形マーカを示す点の座標と、を関連づけて記憶する記憶部であって、前記画像の撮像距離を変化させた場合に前記スポットが前記画像を移動する軌跡における複数の点に対して前記円形マーカを示す点の座標を記憶する前記記憶部」を備えたり、「座標取得部」は「前記計測した前記スポットの座標に基づいて前記記憶部を参照」することにはならない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2.本願発明2-19について
本願発明2-19も、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3.本願発明20について
本願発明20は、本願発明1の「記憶部」、「座標取得部」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1-20は、当業者が引用発明及び引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2021-05-24 
出願番号 特願2019-502861(P2019-502861)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A61B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 佐藤 秀樹  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 蔵田 真彦
渡戸 正義
発明の名称 計測支援装置、内視鏡システム、及び内視鏡システムのプロセッサ  
代理人 松浦 憲三  
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