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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1374359 |
審判番号 | 不服2020-2588 |
総通号数 | 259 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-07-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-02-26 |
確定日 | 2021-05-20 |
事件の表示 | 特願2018-134694「ゲームプログラム及びゲームシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年10月11日出願公開、特開2018-158217〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成28年11月7日に出願された特願2016-216866号(以下「原出願」という。)の一部を新たな特許出願としたものと意図して,平成30年7月18日に出願された特願2018-134694号(以下,「本件出願」という。)であって,令和1年5月13日付けで拒絶理由が通知され,同年7月17日に意見書及び手続補正書が提出されたが,同年11月21日付けで拒絶査定(以下,「原査定」という。)がされ,同査定の謄本は同月26日に出願人に送達された。 これに対して,令和2年2月26日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1ないし3に係る発明((以下,「本願発明1」ないし「本願発明3」という。)は,令和1年7月17日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるつぎのとおりのものである。 「【請求項1】 操作部を介してユーザに操作されるプレイヤオブジェクトと,敵オブジェクトとが対戦するビデオゲームの進行を制御する機能をコンピュータに実現させるためのゲームプログラムであって, 前記操作部の操作情報に応じて,攻撃を含む動作を前記プレイヤオブジェクトに実行させるオブジェクト制御機能, 対戦相手から受ける攻撃に応じて,前記プレイヤオブジェクト及び敵オブジェクトの第一パラメータの現在値を減少させる第一パラメータ制御機能, 前記操作部の操作情報に応じて,前記対戦において特殊効果を発生させる効果制御機能, 前記プレイヤオブジェクトの動作に基づいて該プレイヤオブジェクトの第二パラメータの現在値を上限値の範囲内で増加させ,前記特殊効果の発生に基づいて該第二パラメータの現在値を減少させる第二パラメータ制御機能, 前記第一パラメータの現在値に基づいて前記対戦の勝敗を決定する勝敗決定機能, を実現させ, 前記第二パラメータ制御機能では,前記操作部の操作情報に応じて,前記プレイヤオブジェクトの第一パラメータの現在値に基づく値に前記第二パラメータの現在値を変更する機能であって,前記第一パラメータの現在値に基づいて,前記第二パラメータの現在値を増加させる変更として,前記第一パラメータの現在値が所定値以下の場合,前記第二パラメータの現在値の変更における増加量を,前記第一パラメータの現在値が低いほど多くする機能, を実現させるゲームプログラム。 【請求項2】 操作部を介してユーザに操作されるプレイヤオブジェクトと,敵オブジェクトとが対戦するビデオゲームを実行するゲーム端末装置と通信ネットワークにより接続されるサーバ装置に,該ビデオゲームの進行を制御させるためのゲームプログラムであって, 前記操作部の操作情報に応じて,攻撃を含む動作を前記プレイヤオブジェクトに実行させるオブジェクト制御機能, 対戦相手から受ける攻撃に応じて,前記プレイヤオブジェクト及び敵オブジェクトの第一パラメータの現在値を減少させる第一パラメータ制御機能, 前記操作部の操作情報に応じて,前記対戦において特殊効果を発生させる効果制御機能, 前記プレイヤオブジェクトの動作に基づいて該プレイヤオブジェクトの第二パラメータの現在値を上限値の範囲内でなお増加させ,前記特殊効果の発生に基づいて該第二パラメータの現在値を減少させる第二パラメータ制御機能, 前記第一パラメータの現在値に基づいて前記対戦の勝敗を決定する勝敗決定機能, を実現させ, 前記第二パラメータ制御機能では,前記操作部の操作情報に応じて,前記プレイヤオブジェクトの第一パラメータの現在値に基づいて前記第二パラメータの現在値を変更する機能であって,前記第一パラメータの現在値に基づいて,前記第二パラメータの現在値を増加させる変更として,前記第一パラメータの現在値が所定値以下の場合,前記第二パラメータの現在値の変更における増加量を,前記第一パラメータの現在値が低いほど多くする機能, を実現させるゲームプログラム。 【請求項3】 操作部を介してユーザに操作されるプレイヤオブジェクトと,敵オブジェクトとが対戦するビデオゲームを実行するゲーム端末装置と,該ゲーム端末装置と通信ネットワークにより接続されるサーバ装置とを備えたゲームシステムであって, 前記操作部の操作情報に応じて,攻撃を含む動作を前記プレイヤオブジェクトに実行させるオブジェクト制御手段, 対戦相手から受ける攻撃に応じて,前記プレイヤオブジェクト及び敵オブジェクトの第一パラメータの現在値を減少させる第一パラメータ制御手段, 前記操作部の操作情報に応じて,前記対戦において特殊効果を発生させる効果制御手段, 前記プレイヤオブジェクトの動作に基づいて該プレイヤオブジェクトの第二パラメータの現在値を上限値の範囲内で増加させ,前記特殊効果の発生に基づいて該第二パラメーの現在値を減少させる第二パラメータ制御手段, 前記第一パラメータの現在値に基づいて前記対戦の勝敗を決定する勝敗決定手段, を含み, 前記第二パラメータ制御手段は,前記操作部の操作情報に応じて,前記プレイヤオブジェクトの第一パラメータの現在値に基づいて前記第二パラメータの現在値を変更するにあたり,前記第一パラメータの現在値に基づいて,前記第二パラメータの現在値を増加させる変更として,前記第一パラメータの現在値が所定値以下の場合,前記第二パラメータの現在値の変更における増加量を,前記第一パラメータの現在値が低いほど多くする, ゲームシステム。」 第3 原査定の拒絶理由の概要 審査における原査定の拒絶理由は,つぎの理由を含むものであり,その概要はつぎのとおりである。 本件出願は,分割要件を満たさないものであって出願日の遡及は認められず,現実の出願日である平成30年7月18日に出願したものとして取り扱うことから,本願出願日前に頒布された原出願の公開特許公報である特開2018-0705050号公報に記載された発明であって特許法第29条第1項第3号に該当するから,特許を受けることができない。 第4 当審の判断 1 分割要件の判断 本件出願の願書によれば,本件出願は,特許法第44条第1項の規定による特許出願として出願しようとするものであるから本件出願が適法に分割されたものであるか否かを検討する。 (1)同項の規定によれば,特許出願の分割は,二以上の発明を包含する特許出願の一部を新たな特許出願とするものであるから,同項の規定による特許出願(以下,「分割出願」という。)に該当するためには,以下の【要件1】及び【要件3】を満たすものであり,分割出願が原出願の時にしたものとみなされる(同条2項)という特許出願の分割の効果に照らせば,さらに以下の【要件2】も満たされる必要がある。 (特許・実用新案審査基準 第VI部第1章第1節「2.2.特許出願の分割の実体的要件」参照) 【要件1】原出願の分割直前の明細書等に記載された発明の全部が分割出願の請求項に係る発明とされたものでないこと。 【要件2】分割出願の明細書等に記載された事項が,原出願の出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内であること。 【要件3】分割出願の明細書等に記載された事項が,原出願の分割直前の明細書等に記載された事項の範囲内であること。 (2)原査定の理由において,本件出願が分割要件を満たさないものであると判断した理由は,本件出願に係る本願発明1ないし3が,原出願の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面(以下,「原出願の当初明細書等」という。)に記載されたものではないことであるから,まず,【要件2】が満たされているか否かについて検討する。 ア 原出願(特願2016-216866号)の当初明細書等に記載された事項 原出願の当初明細書等の内容を出願公開した特開2018-75050号公報によれば,原出願の当初明細書等には,つぎの事項が記載されている(下線は強調のため,当審で付加した。)。 (ア)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 操作部を介してユーザに操作されるプレイヤオブジェクトと,敵オブジェクトとが対戦するビデオゲームの進行を制御する機能をコンピュータに実現させるためのゲームプログラムであって, 前記操作部の操作情報に応じて,攻撃を含む動作を前記プレイヤオブジェクトに実行させるオブジェクト制御機能, 対戦相手から受ける攻撃に応じて,前記プレイヤオブジェクト及び敵オブジェクトの第一パラメータの現在値を減少させる第一パラメータ制御機能, 前記操作部の操作情報に応じて,前記対戦において特殊効果を発生させる効果制御機能, 前記プレイヤオブジェクトの動作に基づいて該プレイヤオブジェクトの第二パラメータの現在値を上限値の範囲内で増加させ,前記特殊効果の発生に基づいて該第二パラメータの現在値を減少させる第二パラメータ制御機能, 前記第一パラメータの現在値に基づいて前記対戦の勝敗を決定する勝敗決定機能を実現させ, 前記第二パラメータ制御機能では,前記操作部の操作情報に応じて,前記第二パラメータの上限値を変更し,且つ,前記プレイヤオブジェクトの第一パラメータの現在値に基づいて前記第二パラメータの現在値を変更する機能, を実現させるゲームプログラム。 【請求項2】 前記第二パラメータ制御機能では,前記第一パラメータの現在値に基づいて,第二パラメータの現在値を増加させる変更を行う機能, を実現させる請求項1に記載のゲームプログラム。 【請求項3】 前記第二パラメータ制御機能では,前記第二パラメータの現在値の変更における増加量を,前記第一パラメータの現在値が低いほど多くする機能, を実現させる請求項2に記載のゲームプログラム。 【請求項4】 前記第二パラメータ制御機能では, 前記対戦の開始時に前記第二パラメータの上限値として基準値を設定する機能, 前記対戦の開始から前記第一パラメータに基づく勝敗決定までの1遊戯の間において,前記第二パラメータの上限値及び現在値の変更を行う機能, を実現させる請求項1?3のいずれかに記載のゲームプログラム。 【請求項5】 前記第二パラメータ制御機能では,前記1遊戯の間,前記第二パラメータの上限値及び現在値の変更を,前記操作部の操作情報に応じて1回のみ実行する機能, を実現させる請求項4に記載のゲームプログラム。 【請求項6】 前記第二パラメータ制御機能では,第二パラメータの上限値を増加させる変更を行う機能, を実現させる請求項1?5のいずれかに記載のゲームプログラム。 【請求項7】 操作部を介してユーザに操作されるプレイヤオブジェクトと,敵オブジェクトとが対戦するビデオゲームを実行するゲーム端末装置と通信ネットワークにより接続されるサーバ装置に,該ビデオゲームの進行を制御させるためのゲームプログラムであって, 前記操作部の操作情報に応じて,攻撃を含む動作を前記プレイヤオブジェクトに実行させるオブジェクト制御機能, 対戦相手から受ける攻撃に応じて,前記プレイヤオブジェクト及び敵オブジェクトの第一パラメータの現在値を減少させる第一パラメータ制御機能, 前記操作部の操作情報に応じて,前記対戦において特殊効果を発生させる効果制御機能, 前記プレイヤオブジェクトの動作に基づいて該プレイヤオブジェクトの第二パラメータの現在値を上限値の範囲内でなお増加させ,前記特殊効果の発生に基づいて該第二パラメータの現在値を減少させる第二パラメータ制御機能, 前記第一パラメータの現在値に基づいて前記対戦の勝敗を決定する勝敗決定機能, を実現させ, 前記第二パラメータ制御機能では,前記操作部の操作情報に応じて,前記第二パラメータの上限値を変更し,且つ,前記プレイヤオブジェクトの第一パラメータの現在値に基づいて前記第二パラメータの現在値を変更する機能, を実現させるゲームプログラム。 【請求項8】 操作部を介してユーザに操作されるプレイヤオブジェクトと,敵オブジェクトとが対戦するビデオゲームを実行するゲーム端末装置と,該ゲーム端末装置と通信ネットワークにより接続されるサーバ装置とを備えたゲームシステムであって, 前記操作部の操作情報に応じて,攻撃を含む動作を前記プレイヤオブジェクトに実行させるオブジェクト制御手段, 対戦相手から受ける攻撃に応じて,前記プレイヤオブジェクト及び敵オブジェクトの第一パラメータの現在値を減少させる第一パラメータ制御手段, 前記操作部の操作情報に応じて,前記対戦において特殊効果を発生させる効果制御手段, 前記プレイヤオブジェクトの動作に基づいて該プレイヤオブジェクトの第二パラメータの現在値を上限値の範囲内で増加させ,前記特殊効果の発生に基づいて該第二パラメータの現在値を減少させる第二パラメータ制御手段, 前記第一パラメータの現在値に基づいて前記対戦の勝敗を決定する勝敗決定手段, を含み, 前記第二パラメータ制御手段は,前記操作部の操作情報に応じて,前記第二パラメータの上限値を変更し,且つ,前記プレイヤオブジェクトの第一パラメータの現在値に基づいて前記第二パラメータの現在値を変更する, ゲームシステム。」 (イ)「【0001】 本発明の実施形態の少なくとも1つは,操作部を介してユーザに操作されるプレイヤオブジェクトと,敵オブジェクトとが対戦するビデオゲームの進行を制御するゲームプログラム等に関する。 【背景技術】 【0002】 格闘ゲームのような対戦ゲームでは,ユーザの操作入力に応じてプレイヤオブジェクト(プレイヤキャラクタ)がキック,パンチなどの攻撃の動作を行う。また,対戦ゲームでは,プレイヤオブジェクト(ユーザ)に設定された対戦用パラメータの値(現在値)を減少させる(消費する)ことで,特殊攻撃をプレイヤオブジェクトに実行させるものもある(例えば,特許文献1参照)。対戦用パラメータの現在値は,例えば,上限値の範囲内で,プレイヤオブジェクトの所定動作の実行に応じて増加する。 【0003】 さらに,対戦ゲームでは,引用文献1で例示されるように,所定条件の成立によって,対戦用パラメータの上限値が増加するように変更されるものもある。上限値が増加することで,対戦用パラメータは,より多くの値をストックできるようになるので,対戦ゲームにおけるユーザの戦略も変化することとなる。」 (ウ)「【発明が解決しようとする課題】 【0005】 上述した対戦ゲームにおいて,対戦用パラメータの現在値は,上限値の変更に伴って変化しない。したがって,上限値が変更されても,特殊攻撃を実行する場合には対戦用パラメータの現在値が実行に必要な値に達している必要がある。そのため,上限値の変更の機能がユーザに有効に活用されていない可能性もあり,上記機能の向上を図ることが課題となっている。 【0006】 本発明の少なくとも1つの実施形態の目的は,上記課題を解決し,対戦ゲームにおけるユーザの戦略性を向上させる機能を提供することにある。 【0007】 非限定的な観点によると,本発明の一実施形態に係るゲームプログラムは,操作部を介してユーザに操作されるプレイヤオブジェクトと,敵オブジェクトとが対戦するビデオゲームの進行を制御する機能をコンピュータに実現させるためのゲームプログラムであって,操作部の操作情報に応じて,攻撃を含む動作をプレイヤオブジェクトに実行させるオブジェクト制御機能,対戦相手から受ける攻撃に応じて,プレイヤオブジェクト及び敵オブジェクトの第一パラメータの現在値を減少させる第一パラメータ制御機能,操作部の操作情報に応じて,対戦において特殊効果を発生させる効果制御機能,プレイヤオブジェクトの動作に基づいてプレイヤオブジェクトの第二パラメータの現在値を上限値の範囲内で増加させ,特殊効果の発生に基づいて第二パラメータの現在値を減少させる第二パラメータ制御機能,第一パラメータの現在値に基づいて対戦の勝敗を決定する勝敗決定機能,を実現させ,第二パラメータ制御機能では,操作部の操作情報に応じて,第二パラメータの上限値を変更し,且つ,プレイヤオブジェクトの第一パラメータの現在値に基づいて第二パラメータの現在値を変更する機能,を実現させるためのものである。 【0008】 非限定的な観点によると,本発明の一実施形態に係るゲームプログラムは,操作部を介してユーザに操作されるプレイヤオブジェクトと,敵オブジェクトとが対戦するビデオゲームを実行するゲーム端末装置と通信ネットワークにより接続されるサーバ装置に,ビデオゲームの進行を制御させるためのゲームプログラムであって,操作部の操作情報に応じて,攻撃を含む動作をプレイヤオブジェクトに実行させるオブジェクト制御機能,対戦相手から受ける攻撃に応じて,プレイヤオブジェクト及び敵オブジェクトの第一パラメータの現在値を減少させる第一パラメータ制御機能,操作部の操作情報に応じて,対戦において特殊効果を発生させる効果制御機能,プレイヤオブジェクトの動作に基づいてプレイヤオブジェクトの第二パラメータの現在値を上限値の範囲内でなお増加させ,特殊効果の発生に基づいて第二パラメータの現在値を減少させる第二パラメータ制御機能,第一パラメータの現在値に基づいて対戦の勝敗を決定する勝敗決定機能,を実現させ,第二パラメータ制御機能では,操作部の操作情報に応じて,第二パラメータの上限値を変更し,且つ,プレイヤオブジェクトの第一パラメータの現在値に基づいて第二パラメータの現在値を変更する機能,を実現させるためのものである。 【0009】 非限定的な観点によると,本発明の一実施形態に係るゲームシステムは,操作部を介してユーザに操作されるプレイヤオブジェクトと,敵オブジェクトとが対戦するビデオゲームを実行するゲーム端末装置と,ゲーム端末装置と通信ネットワークにより接続されるサーバ装置とを備えたゲームシステムであって,操作部の操作情報に応じて,攻撃を含む動作をプレイヤオブジェクトに実行させるオブジェクト制御手段,対戦相手から受ける攻撃に応じて,プレイヤオブジェクト及び敵オブジェクトの第一パラメータの現在値を減少させる第一パラメータ制御手段,操作部の操作情報に応じて,対戦において特殊効果を発生させる効果制御手段,プレイヤオブジェクトの動作に基づいてプレイヤオブジェクトの第二パラメータの現在値を上限値の範囲内で増加させ,特殊効果の発生に基づいて第二パラメータの現在値を減少させる第二パラメータ制御手段,第一パラメータの現在値に基づいて対戦の勝敗を決定する勝敗決定手段,を含み,第二パラメータ制御手段は,操作部の操作情報に応じて,第二パラメータの上限値を変更し,且つ,プレイヤオブジェクトの第一パラメータの現在値に基づいて第二パラメータの現在値を変更する,ことを特徴とする。」 (エ)「【0013】 [第1の実施形態] ・・・ 【0015】 また,プレイヤオブジェクトには,第二パラメータが対応付けられている。第二パラメータは,対戦ゲームにおいて特殊効果を発生させるためのパラメータである。特殊効果は,ユーザによる特殊効果の操作入力があった場合に発生する。そして,発生に伴って,第二パラメータの現在の値(現在値)が,所定量だけ減少する(消費される)。すなわち,特殊効果は,第二パラメータを使用しなければ発生させることのできない効果を意味する。第二パラメータの現在値は,プレイヤオブジェクトの動作に基づいて上限値の範囲内で増加する。 【0016】 さらに,ユーザによる変更要求の操作入力があった場合に,第二パラメータの上限値及び現在値が変更される。第二パラメータの現在値は,変更要求の操作入力があった時点での,プレイヤオブジェクトの第一パラメータの現在値に基づいて変更される。例えば,敵オブジェクトの攻撃によって多くのダメージを受けた状態での変更要求と,あまりダメージを受けていない状態での変更要求とでは,第一パラメータの現在値が異なるため,第二パラメータの現在値の変化量も異なってくる。 【0017】 したがって,ユーザは,変更要求を行うタイミングとして,例えば,対戦の状況(敵オブジェクトの強さ,プレイヤオブジェクトの第一パラメータ及び第二パラメータの現在値など)を考慮することとなる。 ・・・ 【0023】 第二パラメータ制御部33は,プレイヤオブジェクトの動作に基づいて,プレイヤオブジェクトの第二パラメータの現在値を上限値の範囲内で増加させる。また,第二パラメータ制御部33は,特殊効果の発生に基づいて第二パラメータの現在値を減少させる。さらに,第二パラメータ制御部33は,操作部の操作情報に応じて,第二パラメータの上限値及び現在値を変更する。上述したように,第二パラメータの現在値は,プレイヤオブジェクトの第一パラメータの現在値に基づいて変更される。 ・・・ 【0030】 次に,端末装置20Aは,第二パラメータの上限値及び現在値の変更操作(変更要求)の情報を受信したか否かを判断する(ステップS13)。具体的には,端末装置20Aは,受信した操作部の操作情報が,変更操作の情報であるか否かを判断する。受信していないと判断した場合(ステップS13:NO),端末装置20Aは,ステップS15の処理に移行する。 【0031】 一方,受信したと判断した場合(ステップS13:YES),端末装置20Aは,第二パラメータの上限値及び現在値の変更を行う(ステップS14)。上限値は,例えば,現在設定されている値よりも大きい値に変更される。変更する値は,ゲームデータに含めておけばよい。第二パラメータの現在値は,プレイヤオブジェクトの第一パラメータの現在値に基づいて変更される。例えば,プレイヤオブジェクトの第一パラメータの現在値に基づいて加算値を決定する。そして,第二パラメータの現在値に加算値を加えた値を,第二パラメータの新たな現在値とする。また,例えば,第一パラメータの現在値が低いほど,加算値が大きくなるようにしてもよい。 ・・・ 【0035】 以上のように,第1の実施形態の一側面として,端末装置20Aが,オブジェクト制御部31,第一パラメータ制御部32,第二パラメータ制御部33,効果制御部34及び勝敗決定部35を備える構成としているので,ユーザの操作入力によって,プレイヤオブジェクトの第二パラメータの上限値の変更とともに現在値も変更される。また,第二パラメータの現在値の変更は,第一パラメータの現在値に基づいて決定される。第二パラメータの上限値が増加する方向に変化する場合には,第二パラメータの値をより多く蓄積でき,対戦が有利となる。また,第二パラメータの現在値が増加するように変更されれば,すぐに特殊効果を発生させることが可能な場合もあるので,対戦がより有利となる。そのため,ユーザは,少なくとも第一パラメータの現在値の状況を考慮して,第二パラメータの上限値及び現在値を変更することとなる。したがって,上限値の変更の機能の向上が図られ,対戦ゲームにおけるユーザの戦略性が向上する。 ・・・ 【0041】 次に,サーバ装置は,第二パラメータの上限値及び現在値の変更操作(変更要求)の情報を受信したか否かを判断する(ステップS33)。具体的には,サーバ装置は,端末装置から受信した操作部の操作情報が,変更操作の情報であるか否かを判断する。受信していないと判断した場合(ステップS33:NO),サーバ装置は,ステップS35の処理に移行する。 【0042】 一方,受信したと判断した場合(ステップS33:YES),サーバ装置は,第二パラメータの上限値及び現在値の変更を行う(ステップS34)。 【0043】 また,サーバ装置は,ステップS34の処理が実行された場合には,第二パラメータの上限値及び現在値の変更が反映されたゲーム画像を生成するための画像情報を端末装置に送信する。端末装置は,受信した画像情報に基づくゲーム画像を出力(表示部に表示)する(ステップS40)。 ・・・ 【0047】 上述の第1の実施形態の例の変更要求において,第二パラメータの現在値を常に増加させる変更を行わなくてもよい。例えば,第一パラメータの現在値が所定値以上の高い場合には,第二パラメータの現在値を減少させる変更を行う。一方,第一パラメータの現在値が所定値未満の低い場合には,第二パラメータの現在値を増加させる変更を行ってもよい。さらに,第二パラメータの現在値の変更は,第一パラメータの現在値に基づいて変更される構成であれば,いずれの構成を採用してもよい。例えば,第一パラメータの現在値と第二パラメータの加算値とを関係付けたテーブル(加算値決定テーブル)をゲームデータに含めておく。そして,第一パラメータの現在値に対応する加算値を,上記テーブルを参照することで決定して第二パラメータの現在値に加算すればよい。」 (オ)「【0054】 [第2の実施形態] ・・・ 【0056】 さらに,第二パラメータ制御部33Bは,操作部の操作情報に応じて,第二パラメータの上限値及び現在値を変更する。第二パラメータの現在値は,プレイヤオブジェクトの第一パラメータの現在値に基づいて変更される。本実施形態の例では,第二パラメータ制御部33Bは,第一パラメータの現在値に基づいて,第二パラメータの現在値を増加させる変更を行う。 ・・・ 【0063】 次に,端末装置20Bは,第二パラメータの上限値及び現在値の変更操作(変更要求)の情報を受信したか否かを判断する(ステップS13)。受信していないと判断した場合(ステップS13:NO),端末装置20Bは,ステップS15の処理に移行する。 【0064】 一方,受信したと判断した場合(ステップS13:YES),端末装置20Bは,第二パラメータの上限値及び現在値の変更を行う(ステップS14-B)。上限値は,例えば,現在設定されている値よりも大きい値に変更される。また,第二パラメータの現在値は,第一パラメータの現在値に基づいて増加するように変更される。例えば,プレイヤオブジェクトの第一パラメータの現在値に基づいて加算値を決定する。そして,第二パラメータの現在値に加算値を加えた値を,第二パラメータの新たな現在値とする。例えば,第一パラメータの現在値が低いほど,加算値が大きくなるようにすればよい。 ・・・ 【0067】 以上のように,第2の実施形態の一側面として,端末装置20Bが,オブジェクト制御部31,第一パラメータ制御部32,第二パラメータ制御部33B,効果制御部34及び勝敗決定部35を備える構成としているので,ユーザの操作入力によって,プレイヤオブジェクトの第二パラメータの上限値の変更とともに現在値も変更される。また,第二パラメータの現在値の変更は,第一パラメータの現在値に基づいて決定される。第二パラメータの上限値が増加する方向に変化する場合には,第二パラメータの値をより多く蓄積できて,対戦が有利となる。また,第二パラメータの現在値が増加する変更が行われるので,すぐに特殊効果を発生させることが可能な場合もあることから,対戦がより有利となる。 そのため,ユーザは,少なくとも第一パラメータの現在値の状況を考慮して,第二パラメータの上限値及び現在値を変更することとなる。したがって,上限値の変更の機能の向上が図られ,対戦ゲームにおけるユーザの戦略性が向上する。 【0068】 上述の第2実施形態の例の第二パラメータの現在値の変更は,第一パラメータの現在値に基づいて増加する変更であれば,いずれの構成を採用してもよい。例えば,第一パラメータの現在値に基づいて増加率を決定する。そして,増加率を用いて第二パラメータの現在値を増加させた値を,第二パラメータの新たな現在値とする。この場合,例えば,第一パラメータの現在値が低いほど,増加率が大きくなるようにしてもよい。例えば,増加率の上限値と下限値とを第一パラメータの現在値の下限値と上限値とに対応付け,線形補完によって増加率を算出すればよい。なお,増加率の上限値及び下限値は,ゲームデータに含めておけばよい。また,第一パラメータの現在値によっては,第二パラメータの現在値が増加しない構成としてもよい。」 (カ)「【0069】 [第3の実施形態] ・・・ 【0071】 さらに,第二パラメータ制御部33Cは,操作部の操作情報に応じて,第二パラメータの上限値及び現在値を変更する。上述したように,第二パラメータの現在値は,プレイヤオブジェクトの第一パラメータの現在値に基づいて変更される。本実施形態の例では,第二パラメータ制御部33Cは,第一パラメータの現在値に基づいて,第二パラメータの現在値を増加させる変更を行う。より詳細には,第二パラメータ33Cは,第二パラメータの現在値の変更における増加量(増加率)が,第一パラメータの現在値が低いほど多くなるように変更を行う。 ・・・ 【0078】 次に,端末装置20Cは,第二パラメータの上限値及び現在値の変更操作の情報を受信したか否かを判断する(ステップS13)。受信していないと判断した場合(ステップS13:NO),端末装置20Cは,ステップS15の処理に移行する。 【0079】 一方,受信したと判断した場合(ステップS13:YES),端末装置20Cは,第二パラメータの上限値及び現在値の変更を行う(ステップS14-C)。上限値は,例えば,現在設定されている値よりも大きい値に変更される。また,第二パラメータの現在値は,第一パラメータの現在値に基づいて,第二パラメータの現在値が増加するように変更される。例えば,プレイヤオブジェクトの第一パラメータの現在値に基づいて加算値を決定する。そして,第二パラメータの現在値に加算値を加えた値を,第二パラメータの新たな現在値とする。例えば,第一パラメータの現在値が低いほど,加算値が大きくなるように決定する。 ・・・ 【0082】 以上のように,第3の実施形態の一側面として,端末装置20Cが,オブジェクト制御部31,第一パラメータ制御部32,第二パラメータ制御部33C,効果制御部34及び勝敗決定部35を備える構成としているので,ユーザの操作入力によって,プレイヤオブジェクトの第二パラメータの上限値の変更とともに現在値も変更される。また,第二パラメータの現在値の変更は,第一パラメータの現在値に基づいて決定される。第二パラメータの上限値が増加する方向に変化する場合には,第二パラメータの値をより多く蓄積できて,対戦が有利となる。また,第二パラメータの現在値が増加する変更が行われるので,すぐに特殊効果を発生させることが可能な場合もあることから,対戦がより有利となる。 そのため,ユーザは,少なくとも対戦の勝敗に関係する第一パラメータの現在値の状況を考慮して,第二パラメータの上限値及び現在値を変更することとなる。したがって,上限値の変更の機能の向上が図られ,対戦ゲームにおけるユーザの戦略性が向上する。 【0083】 また,第二パラメータの現在値の変更における増加量(増加率)が,第一パラメータの現在値が低くなるほど多くなる。そのため,ユーザは,変更するタイミングによって,第二パラメータの現在値の増加量が変わってくるので,変更するタイミングがより重要となる。したがって,対戦ゲームにおけるユーザの戦略性がより向上する。 【0084】 上述の第3実施形態の例の第二パラメータの現在値の変更は,第一パラメータの現在値が低くなるほど,増加量が多くなる変更であれば,いずれの構成を採用してもよい。例えば,第一パラメータの現在値に基づいて増加率を決定する。そして,増加率を用いて第二パラメータの現在値を増加させた値を,第二パラメータの新たな現在値とする。この場合,例えば,第一パラメータの現在値が低くなるほど,増加率を大きくする。例えば,増加率の上限値と下限値とを第一パラメータの現在値の下限値と上限値とに対応付け,線形補完によって増加率を算出すればよい。なお,増加率の上限値及び下限値は,ゲームデータに含めておけばよい。また,第一パラメータの現在値によっては,第二パラメータの現在値を変更しない構成としてもよい。」 (キ)「【0085】 [第4の実施形態] ・・・ 【0095】 また,本実施形態の例では,ユーザは,対戦の開始から勝敗決定までの1遊戯の間,一度だけSPパラメータの上限値及び現在値の変更要求(限界突破)を行うことができる。 上限値は,例えば,基準値(200)から加算値(100)を加えた300に増加する。 また,現在値は,体力パラメータの現在値に基づいて増加する。本実施形態の例では,体力パラメータの残り体力(現在値)が少ないほど増加量が多くなるように,SPパラメータの現在値が変更される。すなわち,体力パラメータの現在値が低いほど増加率が大きくなる。なお,上限値の加算値(100)は,ゲームデータに含めておけばよい。 【0096】 限界突破によるSPパラメータの現在値の変更を,図10(A)?図10(F)及び図11を参照しつつ説明する。図10(A)?図10(F)は,限界突破の実行によるSPパラメータの上限値及び現在値の変化の一例を説明する図である。図11は,加算値決定テーブルの一例を示す図である。 【0097】 SPパラメータの現在値は,加算値を加算することで変更される。加算値は,体力パラメータの現在値及び加算値決定テーブルを用いて決定される。加算値決定テーブルは,体力区分のフィールドと加算値のフィールドとが対応付けて構成され,ゲームデータに含まれる。体力区分のフィールドは,体力パラメータの現在値を3段階に区分するための区分情報が設定されている。加算値のフィールドは,体力区分に応じた加算値が設定されている。例えば,体力パラメータの現在値が50以下の場合は加算値が200となり,体力パラメータの現在値が450以上の場合は加算値が0となる。また,体力パラメータが50?450の間は,線形補完によって200?0の間の数値が加算値として算出される。 【0098】 なお,線形補完によらず,区分ごとに固定値を設定してもよい。また,加算値の算出は,体力パラメータの現在値に基づいて決定されれば,いずれの構成を適用してもよい。 【0099】 例えば,図10(A)及び図10(B)に示す体力ステータス50及びSPステータス60の状態で限界突破を実行した場合は,図10(C)に示すようにSPステータス60の表示状態が変化する。図10(A)に示す体力パラメータ(体力ステータス50)の現在値は上限値と同じ500である。また,図10(B)に示すSPパラメータ(SPステータス60)の現在値は,上限値(200)の半分の100である。体力パラメータの現在値(500)の区分に対応する加算値は0となる。したがって,SPパラメータは,上限値が200から300に変更されるが,現在値は100から変更されない。また,限界突破の実行によって,図10(C)に示すような「限界突破」のテキスト画像が表示される。これにより,ユーザは,既に限界突破が実行されたことを視認できる。 【0100】 また,例えば,図10(D)及び図10(E)に示す体力ステータス50及びSPステータス60の状態で限界突破を実行した場合は,図10(F)に示すようにSPステータス60の表示状態が変化する。図10(D)に示す体力パラメータ(体力ステータス50)の現在値は30である。また,図10(E)に示すSPパラメータ(SPステータス60)の現在値は,図10(B)と同じ100である。体力パラメータの現在値(30)の区分に対応する加算値は200となる。したがって,SPパラメータは,上限値が200から300に変更され,また現在値は100から200が加算された300に変更される。 【0101】 なお,本実施形態の例では,限界突破によるSPパラメータの上限値等の変更は,一度の対戦(1遊戯)において有効であり,次の対戦には引き継がれない。上述したように,対戦の開始時は,SPパラメータの上限値は基準値が設定され,現在値は下限値が設定される。 【0102】 したがって,ユーザは,対戦の開始から勝敗決定までの1遊戯の間で,対戦を有利にするべく,少なくともプレイヤオブジェクトPOの体力パラメータの現在値の状況を考慮しつつ,限界突破を実行するタイミングを検討することとなる。 【0103】 さらに,本実施形態の例では,限界突破において,SPパラメータの上限値及び現在値の変更とともに,例えば攻撃力パラメータ(第三パラメータ)の現在値も変更される。攻撃力パラメータは,プレイヤオブジェクト(敵オブジェクト)の攻撃によって相手に与えるダメージ量を算出するために参照される。なお,ダメージ量の算出は,一般的な構成であるので,詳細な説明は省略する。例えば,限界突破によって攻撃力パラメータの現在値が1.5倍される。なお,攻撃力パラメータ以外のプレイヤオブジェクトに対応付けられているパラメータを限界突破の対象としてもよい。また,複数のパラメータを限界の対象としてもよい。 ・・・ 【0108】 さらに,第二パラメータ制御部33Dは,操作部の操作情報に応じて,SPパラメータの上限値及び現在値を変更する。SPパラメータの現在値は,プレイヤオブジェクトPOの体力パラメータの現在値に基づいて変更される。第二パラメータ制御部33Dは,上述したように,SPパラメータの現在値の変更における増加量(増加率)が,体力パラメータの現在値が低いほど多くなるように変更を行う。なお,敵オブジェクトEOのSPパラメータにおいても同様に処理すればよい。この場合,敵オブジェクトEOがNPCの場合には,操作情報に代えて限界突破の実行の決定が行われた場合に敵オブジェクトEOのSPパラメータの上限値等を変更すればよい。 【0109】 また,第二パラメータ制御部33Dは,対戦の開始時に,上述したように各オブジェクトPO,EOのSPパラメータの上限値及び下限値,現在値を基準値に設定する。なお,各基準値は,ゲームデータに含めておけばよい。 ・・・ 【0112】 第三パラメータ制御部36Dは,SPパラメータの上限値及び現在値の変更の際,攻撃力パラメータの現在値を変更する(現在値を1.5倍する)。 ・・・ 【0121】 そして,端末装置20Dは,SPパラメータの上限値及び現在値の変更操作の情報(限界突破の操作情報)を受信したか否かを判断する(ステップS13)。受信していないと判断した場合(ステップS13:NO),端末装置20Dは,ステップS15-Dの処理に移行する。 【0122】 一方,受信したと判断した場合(ステップS13:YES),端末装置20Dは,変更操作が1回目であるか否かを判断する(ステップS13-10D)。例えば,実行フラグの数値を参照して判断する。実行フラグは,変更操作が実行された場合には実行済を示す値(1)が設定され,実行されていない場合には未実行を示す値(0)が設定される。1回目ではないと判断した場合(ステップS13-10D:NO),端末装置20Dは,ステップS15の処理に移行する。 【0123】 一方,1回目であると判断した場合(ステップS13-10D:YES),端末装置20Dは,プレイヤオブジェクトPOのSPパラメータの上限値及び現在値の変更を行う(ステップS14-5D)。上述したように,SPパラメータの上限値は,上述したように200から300に変更される。また,現在値は,SPパラメータの現在値に加算値を加えた値が,SPパラメータの新たな現在値となる。 ・・・ 【0129】 以上のように,第4の実施形態の一側面として,端末装置20Dが,オブジェクト制御部31D,第一パラメータ制御部32D,第二パラメータ制御部33D,効果制御部34D,勝敗決定部35D,第三パラメータ制御部36D及び表示制御部37Dを備える構成としているので,ユーザの操作入力によって,プレイヤオブジェクトPOの第二パラメータ(SPパラメータ)の上限値の変更とともに現在値も変更される。また,第二パラメータの現在値の変更は,第一パラメータ(体力パラメータ)の現在値に基づいて決定される。第二パラメータの上限値は増加するので,第二パラメータの値をより多く蓄積できて,対戦が有利となる。また,第二パラメータの現在値が増加する変更が行われるので,すぐに特殊効果を発生(特殊技を実行)させることが可能な場合もあることから,対戦がより有利となる。そのため,ユーザは,少なくとも対戦の勝敗に関係する第一パラメータの現在値の状況を考慮して,第二パラメータの上限値及び現在値を変更することとなる。したがって,上限値の変更の機能の向上が図られ,対戦ゲームにおけるユーザの戦略性が向上する。 【0130】 また,第二パラメータの現在値の変更における増加量(増加率)が,第一パラメータの現在値が低くなるほど多くなる。そのため,ユーザは,変更するタイミングによって,第二パラメータの現在値の増加量が変わってくるので,変更するタイミングがより重要となる。したがって,対戦ゲームにおけるユーザの戦略性がより向上する。 ・・・ 【0132】 上述の第4の実施形態の例では,限界突破の実行時,体力パラメータの現在値によっては,SPパラメータの現在値の加算値が0となる(増加しない)場合があるが,加算値を0にならないようにしてもよい。あるいは,体力パラメータの現在値によっては,SPパラメータの現在値が減少するようにしてもよい。 【0133】 上述の第4の実施形態の例では,SPパラメータの現在値が,加算値を用いて変更されているが,特にこれに限定されるものっではない。体力パラメータの現在値に基づいてSPパラメータの現在値が変更される構成であれば,いずれの構成を適用してもよい。例えば,体力パラメータの現在値に基づいて増加率を決定する。そして,増加率を用いてSPパラメータの現在値を増加させた値を,SPパラメータの新たな現在値としてもよい。」 イ 原出願の当初明細書等に記載された事項について (ア)上記ア(ア)によれば,原出願の特許請求の範囲の請求項1ないし6,請求項7及び請求項8に係る発明の「第二パラメータ制御手段(機能)」は,いずれも,「操作部の捜査情報に応じて」,第二パラメータの上限値を変更し,且つ,「プレイやオブジェクトの第一パラメータの現在地に基づいて」,「第二パラメータの現在値を変更する」ものである。 (イ)上記ア(イ)によれば,原出願の背景技術として記載している「所定条件の成立によって,対戦用パラメータの上限値が増加するように変更されるもの」を前提として,「対戦用パラメータの現在値は,上限値の変更に伴って変化しない」ことから,「上限値が変更されても,特殊攻撃を実行する場合には対戦用パラメータの現在値が実行に必要な値に達している必要があり,そのため,上限値の変更の機能がユーザに有効に活用されていない可能性もあり,上記機能の向上を図ること」をその課題としてあげるとともに,その課題を解決する手段として,上記ア(ウ)において,「第二パラメータ制御機能(手段)」「操作部の操作情報に応じて,第二パラメータの上限値を変更し,且つ,プレイヤオブジェクトの第一パラメータの現在値に基づいて第二パラメータの現在値を変更する」ものを記載していることから,原出願の当初明細書等には,「所定条件の成立」によって,「対戦用パラメータ」の「上限値」を変更させるものにおいて,上限値の変更に伴って「現在値」が変化しない上限値の変更機能の向上を目的として,「第二パラメータ制御部」に「操作部の操作情報」に応じて「第二パラメータの上限値及び現在値」を変更するようにしたものであることが記載されていると認めることが相当である。 (ウ)そして,上記ア(エ)の「第1の実施形態」(段落【0016】,【0023】,【0030】及び【0031】,【0035】,【0041】ないし【0043】),同(オ)の「第2の実施形態」(【0056】,【0063】及び【0064】),及び同(カ)の「第3の実施形態」(【0071】,【0078】及び【0079】,【0082】)のいずれについても,その「第二パラメータ制御部」は,「操作部の操作情報に応じて,第二パラメータの上限値及び現在値を変更する」もののみが記載されており,また,それによって「上限値の変更の機能の向上が図られる」こと(段落【0035】,【0067】,【0082】)が説明されている。 (エ)そして,上記ア(キ)によれば,「第4の実施形態」には,「ユーザ」が「対戦の開始から勝敗決定までの1遊戯の間,一度だけ」行うことができる「SPパラメータの上限値及び現在値の変更要求」である「限界突破」について記載されており,当該「限界突破」の操作をした場合についても,「SPパラメータ」の「上限値及び現在値が変更される」こと(段落【0096】ないし【0100】,【0101】,【0103】,【0108】,【0112】,【0121】ないし【0123】,【0129】)が記載されており,また,それによって,「上限値の変更の機能の向上が図られ,対戦ゲームにおけるユーザの戦略性が向上する」こと(段落【0129)が説明されている。(なお,ここでの「SPパラメータ」は,「第二パラメータ」に相当するものである。) なお,上記ア(キ)の「第4の実施形態」における限界突破の具体例として例示されている段落【0099】では,限界突破を実行した場合には,上限値のみが変更されることは記載されているが,段落【0100】の記載も含めて,現在値のみが変更されることについては記載されていない。 (オ)上記(ア)ないし(エ)のとおり,原出願の当初明細書等には,「所定条件の成立」によって,「対戦用パラメータ」の「上限値」を変更させるものにおいて,上限値の変更に伴って「現在値」が変化しない上限値の変更機能の向上を目的として,「第二パラメータ制御部」に「操作部の操作情報」に応じて「第二パラメータの上限値及び現在値」変更するようにしたものであることが記載されているものと認められ,その具体的態様として原出願の当初明細書等に開示されている第1ないし第4の実施形態においては,「第二パラメータ制御部」は,「操作部の操作情報に応じて,第二パラメータの上限値及び現在値を変更する」ものであって,それによって「上限値の変更の機能の向上が図られる」ものが記載されているものと認められる。 ウ 本件出願に係る発明について 本願発明1ないし3は,上記第2において適示したとおりのものであって,いずれも「第二パラメータ制御機能(手段)」が「操作部の操作情報」に応じて,「プレイヤオブジェクトの第一パラメータの現在値に基づく値に前記第二パラメータの現在値を変更する」ものであって,「第一パラメータの現在値」に基づいて,「第二パラメータの現在値を増加させる変更として,前記第一パラメータの現在値が所定値以下の場合,前記第二パラメータの現在値の変更における増加量を,前記第一パラメータの現在値が低いほど多くする」ものであることが特定されているところ,当該特定によれば,本願発明1ないし3の「第二パラメータ制御機能(手段)」が,「操作部の操作情報」に応じて「第二パラメータ」の「現在値」のみを変更する態様のものを包含するものであると認められる。 エ 判断 上記イ(オ)のとおり,原出願の当初明細書等には,「第二パラメータ制御機能(手段)」が,「操作部の操作情報」に応じて「第二パラメータ」の「上限値」及び「現在値」を変更するものであって,それによって「上限値の変更の機能の向上が図られる」ものが記載されているものと認められるものの,本願発明1ないし3において特定されている「第二パラメータ制御機能(手段)」についての発明特定事項が特定するものに包含される態様である「操作部の操作情報」に応じて「第二パラメータ」の「現在値」のみを変更するものは記載されていない。 また,上記イのとおり,原出願の当初明細書等においては,背景技術,解決しようとする課題,実施形態,および,その効果に関して,「操作部」の「操作情報」に応じて「第二パラメータ」の「上限値」を変更する機能の向上を図るために,「第二パラメータ制御部」が「操作部」の「操作情報」に応じて,「第二パラメータの上限値」に加えて,「現在値」を変更するものについて言及されていたことからすれば,原出願の当初明細書等に記載のものは,「第二パラメータ制御部」が「操作部」の「操作情報」に応じて「上限値を変更する」ものをその前提とするものであると理解するのであるから,そのような原出願の当初明細書等に記載された事項から,「操作部の操作情報」に応じて「第二パラメータ」の「現在値」のみを変更するものが自明の事項として記載されているに等しい事項であるということは相当でない。 そして,原出願当初明細書等に記載のものにおいて,「上限値」を変更しないものであるとした場合には,例えば,第4の実施の形態において説明されているような,第一パラメータがほとんど0である場合において「限界突破」をする意味がなくなり,第一パラメータが上限値である場合の初期に限界突破をすることが有利となり,限界突破の戦略性が乏しくなることは明らかであることからしても,そのような態様が原出願当初明細書等に記載されたものとはいえない。 なお,原出願の出願日時点における技術常識を参酌したとしても,そのことが自明であるとする根拠は見い出せない。 してみると,本願発明1ないし3において特定される「第二パラメータ制御」は,「操作部の操作情報」に応じて「第二パラメータ」の「現在値」のみを変更する態様を包含するものである点において,原出願の当初明細書等に記載した事項との関係において,新たな技術的事項が導入されているものというべきであるから,本件出願の明細書等に記載された事項が,原出願の当初明細書等に記載された事項の範囲内であるとはいえず,上記【要件2】を満たさない。 よって,上記【要件1】及び【要件3】について検討するまでもなく,本件出願は,特許法第44条第1項に規定する新たな特許出願ということはできない。 オ 請求人の主張について (ア)請求人は,「段落0016,0095等に記載される操作部の操作情報に応じて第二パラメータの上限値及び現在値を変更する処理は,各値を変更することが連動している処理ではなく,上限値及び現在値のそれぞれの変更を独立して実行可能です。例えば,段落0003では,上限値のみの変更の構成が記載されており,上限値及び現在値のそれぞれの変更を独立して実行可能であることは明らか」である旨主張している。 しかしながら,技術的に独立して実行が可能であるとしても,上記で判断したとおり,「第二パラメータ制御機能(手段)」が,「操作部の操作情報」に応じて「第二パラメータ」の「現在値」のみを変更するものが記載されているということができないのであるから,本願発明1ないし3において特定されている態様が,原出願当初明細書等において自明な事項であるということはできない。 (イ)請求人は,段落0047では,「さらに,第二パラメータの現在値の変更は,第一パラメータの現在値に基づいて変更される構成であれば,いずれの構成を採用してもよい。」と記載されていることを根拠として挙げ,段落0047では,「第二パラメータの上限値及び現在値の変更」処理における「現在値の変更」に関して記載したものであると明記されておらず,段落0043では,本願の第1の実施形態の例に関する図4に示す処理の説明が記載されており,段落0050では,第二パラメータの上限値の変更に関し,本願の第1の実施形態の例に記載の構成に限定されるものではない旨が記載されている一方,段落0047では,第二パラメータの現在値の変更に関し,本願の第1の実施形態の例に記載の構成に限定されるものではない旨が記載されていることから,第二パラメータの現在値の変更に関し,第一パラメータの現在値に基づいて変更される構成であれば,上限値の変更に関わらず,いずれの構成を採用してもよい旨が記載されている旨主張する。 しかしながら,上記【0047】には「上述の第1の実施形態の例の変更要求において,第二パラメータの現在値を常に増加させる変更を行わなくてもよい。例えば,第一パラメータの現在値が所定値以上の高い場合には,第二パラメータの現在値を減少させる変更を行う。一方,第一パラメータの現在値が所定値未満の低い場合には,第二パラメータの現在値を増加させる変更を行ってもよい。さらに,第二パラメータの現在値の変更は,第一パラメータの現在値に基づいて変更される構成であれば,いずれの構成を採用してもよい。例えば,第一パラメータの現在値と第二パラメータの加算値とを関係付けたテーブル(加算値決定テーブル)をゲームデータに含めておく。そして,第一パラメータの現在値に対応する加算値を,上記テーブルを参照することで決定して第二パラメータの現在値に加算すればよい。」と記載されており,当該記載が「上述の第1の実施形態の例の変更要求」における「第二パラメータの現在値」の変更について記載されていることは明らかであり,ここでの「上述の第1の実施形態の例の変更要求」とは,段落【0041】の「第二パラメータの上限値及び現在値の変更操作(変更要求)」のことであるから,段落【0047】の記載が,第二パラメータの現在値の変更に関し,第一パラメータの現在値に基づいて変更される構成であれば,上限値の変更に関わらず,いずれの構成を採用しても良い旨が記載されているものと理解することはできないから,請求人の主張は前提において誤りというほかない。 (ウ)請求人は,「さらに,上限値を変更しなくても,第二パラメータの現在値を変更する構成とすることで,段落0130等に記載のように「ユーザは,変更するタイミングによって,第二パラメータの現在値の増加量が変わってくるので,変更するタイミングがより重要となる。したがって,対戦ゲームにおけるユーザの戦略性がより向上する。」効果が生じる旨を主張するが,上記ア(キ)のとおり,「【0129】以上のように,第4の実施形態の一側面として,端末装置20Dが,オブジェクト制御部31D,第一パラメータ制御部32D,第二パラメータ制御部33D,効果制御部34D,勝敗決定部35D,第三パラメータ制御部36D及び表示制御部37Dを備える構成としているので,ユーザの操作入力によって,プレイヤオブジェクトPOの第二パラメータ(SPパラメータ)の上限値の変更とともに現在値も変更される。また,第二パラメータの現在値の変更は,第一パラメータ(体力パラメータ)の現在値に基づいて決定される。第二パラメータの上限値は増加するので,第二パラメータの値をより多く蓄積できて,対戦が有利となる。また,第二パラメータの現在値が増加する変更が行われるので,すぐに特殊効果を発生(特殊技を実行)させることが可能な場合もあることから,対戦がより有利となる。そのため,ユーザは,少なくとも対戦の勝敗に関係する第一パラメータの現在値の状況を考慮して,第二パラメータの上限値及び現在値を変更することとなる。したがって,上限値の変更の機能の向上が図られ,対戦ゲームにおけるユーザの戦略性が向上する。 【0130】 また,第二パラメータの現在値の変更における増加量(増加率)が,第一パラメータの現在値が低くなるほど多くなる。そのため,ユーザは,変更するタイミングによって,第二パラメータの現在値の増加量が変わってくるので,変更するタイミングがより重要となる。したがって,対戦ゲームにおけるユーザの戦略性がより向上する。」との記載から明らかなように,「ユーザの操作入力によって,プレイヤオブジェクトPOの第二パラメータ(SPパラメータ)の上限値の変更とともに現在値も変更される」ものであり,それによりに「上限値の変更の機能の向上が図られ,対戦ゲームにおけるユーザの戦略性が向上」すること,その際に,「第二パラメータの現在値の変更」が「第一パラメータ(体力パラメータ)の現在値に基づいて決定される」ことにより,第二パラメータの現在値の変更における増加量(増加率)が,第一パラメータの現在値が低くなるほど多くなる。そのため,ユーザは,変更するタイミングによって,第二パラメータの現在値の増加量が変わってくるので,変更するタイミングがより重要となることを説明しているのであって,第二パラメータの現在値のみを変更することについて説明しているものではないから,当該記載によっても,「第二パラメータ制御機能(手段)」が,「操作部の操作情報」に応じて「第二パラメータ」の「現在値」のみを変更する態様が記載されているものということはできない。 カ 分割要件の判断についての小括 以上のとおりであるから,本件出願は,適法に分割されたものではなく,特許法第44条第1項に規定する新たな特許出願であるとはいえないから,同条第2項の規定は適用されない。 よって,本件出願の出願日は,現実の出願日である平成30年7月18日である。 2 特許法第29条第1項第3号についての判断 (1)本願発明1 本願発明1は,令和1年7月17日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される,上記第2において摘示したとおりのものである。 (2)原査定で引用され,本件出願の現実の出願前である平成30年5月17日に出願公開がされた特開2018-75050号公報(以下,「引用文献」という,)について 引用文献には,上記1アにおいて摘示した事項が記載されており,上記1ア(ア)の請求項1ないし3及び同(キ)の段落0097の記載によれば,引用文献1には,つぎの発明が記載されているものと認められる。 「操作部を介してユーザに操作されるプレイヤオブジェクトと,敵オブジェクトとが対戦するビデオゲームの進行を制御する機能をコンピュータに実現させるためのゲームプログラムであって, 前記操作部の操作情報に応じて,攻撃を含む動作を前記プレイヤオブジェクトに実行させるオブジェクト制御機能, 対戦相手から受ける攻撃に応じて,前記プレイヤオブジェクト及び敵オブジェクトの第一パラメータの現在値を減少させる第一パラメータ制御機能, 前記操作部の操作情報に応じて,前記対戦において特殊効果を発生させる効果制御機能, 前記プレイヤオブジェクトの動作に基づいて該プレイヤオブジェクトの第二パラメータの現在値を上限値の範囲内で増加させ,前記特殊効果の発生に基づいて該第二パラメータの現在値を減少させる第二パラメータ制御機能, 前記第一パラメータの現在値に基づいて前記対戦の勝敗を決定する勝敗決定機能を実現させ, 前記第二パラメータ制御機能では,前記操作部の操作情報に応じて,前記第二パラメータの上限値を変更し,且つ,前記プレイヤオブジェクトの第一パラメータの現在値に基づいて前記第二パラメータの現在値を変更する機能であって,前記第一パラメータの現在値に基づいて,前記第二パラメータの現在値を増加させる変更を行い,前記第一パラメータの現在値が所定値以下の場合,前記第二パラメータの現在値の変更における増加量を,前記第一パラメータの現在値が低いほど多くする機能, を実現させるゲームプログラム。」(以下,「引用発明」という。) (3)本願発明1と引用発明との対比 本願発明1と引用発明とを対比するに,本願発明1と引用発明1とは,共に,「操作部を介してユーザに操作されるプレイヤオブジェクトと,敵オブジェクトとが対戦するビデオゲームの進行を制御する機能をコンピュータに実現させるためのゲームプログラム」であって「前記操作部の操作情報に応じて,攻撃を含む動作を前記プレイヤオブジェクトに実行させるオブジェクト制御機能」,「対戦相手から受ける攻撃に応じて,前記プレイヤオブジェクト及び敵オブジェクトの第一パラメータの現在値を減少させる第一パラメータ制御機能」,「前記操作部の操作情報に応じて,前記対戦において特殊効果を発生させる効果制御機能」,「前記プレイヤオブジェクトの動作に基づいて該プレイヤオブジェクトの第二パラメータの現在値を上限値の範囲内で増加させ,前記特殊効果の発生に基づいて該第二パラメータの現在値を減少させる第二パラメータ制御機能」,「前記第一パラメータの現在値に基づいて前記対戦の勝敗を決定する勝敗決定機能」,をそれぞれ実現させるものであることが特定されていることから,本願発明1と引用発明とは,つぎの一致点で一致し,つぎの相違点で一応相違する。 <一致点> 「操作部を介してユーザに操作されるプレイヤオブジェクトと,敵オブジェクトとが対戦するビデオゲームの進行を制御する機能をコンピュータに実現させるためのゲームプログラムであって, 前記操作部の操作情報に応じて,攻撃を含む動作を前記プレイヤオブジェクトに実行させるオブジェクト制御機能, 対戦相手から受ける攻撃に応じて,前記プレイヤオブジェクト及び敵オブジェクトの第一パラメータの現在値を減少させる第一パラメータ制御機能, 前記操作部の操作情報に応じて,前記対戦において特殊効果を発生させる効果制御機能, 前記プレイヤオブジェクトの動作に基づいて該プレイヤオブジェクトの第二パラメータの現在値を上限値の範囲内で増加させ,前記特殊効果の発生に基づいて該第二パラメータの現在値を減少させる第二パラメータ制御機能, 前記第一パラメータの現在値に基づいて前記対戦の勝敗を決定する勝敗決定機能, を実現させるゲームプログラム。」 <相違点> 「第二パラメータ制御機能」に関して,本願発明1の「前記第二パラメータ制御機能では,前記操作部の操作情報に応じて,前記プレイヤオブジェクトの第一パラメータの現在値に基づく値に前記第二パラメータの現在値を変更する機能であって,前記第一パラメータの現在値に基づいて,前記第二パラメータの現在値を増加させる変更として,前記第一パラメータの現在値が所定値以下の場合,前記第二パラメータの現在値の変更における増加量を,前記第一パラメータの現在値が低いほど多くする機能」を実現するものであるのに対して,引用発明は「前記第二パラメータ制御機能では,前記操作部の操作情報に応じて,前記第二パラメータの上限値を変更し,且つ,前記プレイヤオブジェクトの第一パラメータの現在値に基づいて前記第二パラメータの現在値を変更する機能であって,前記第一パラメータの現在値に基づいて,前記第二パラメータの現在値を増加させる変更を行い,前記第一パラメータの現在値が所定値以下の場合,前記第二パラメータの現在値の変更における増加量を,前記第一パラメータの現在値が低いほど多くする機能」を実現するものである点 (4)判断 上記相違点について検討する。 引用発明がコンピュータに実現させる「第二パラメータ制御機能」は,「前記操作部の操作情報」に応じて,「前記第二パラメータの上限値を変更」し,且つ,「前記プレイヤオブジェクトの第一パラメータの現在値に基づいて前記第二パラメータの現在値を変更する機能であって,前記第一パラメータの現在値に基づいて,前記第二パラメータの現在値を増加させる変更を行い,前記第一パラメータの現在値が所定値以下の場合,前記第二パラメータの現在値の変更における増加量を,前記第一パラメータの現在値が低いほど多くする機能」である。 これに対して,本願発明1において特定されているコンピュータに実現させる「第二パラメータ制御機能」は,「前記操作部の操作情報」に応じて,「前記プレイヤオブジェクトの第一パラメータの現在値に基づく値に前記第二パラメータの現在値を変更する機能であって,前記第一パラメータの現在値に基づいて,前記第二パラメータの現在値を増加させる変更として,前記第一パラメータの現在値が所定値以下の場合,前記第二パラメータの現在値の変更における増加量を,前記第一パラメータの現在値が低いほど多くする機能」である。 してみると,両者は,コンピュータに実現させる「第二パラメータ制御機能」が「前記プレイヤオブジェクトの第一パラメータの現在値に基づく値に前記第二パラメータの現在値を変更する機能であって,前記第一パラメータの現在値に基づいて,前記第二パラメータの現在値を増加させる変更として,前記第一パラメータの現在値が所定値以下の場合,前記第二パラメータの現在値の変更における増加量を,前記第一パラメータの現在値が低いほど多くする機能」である点で共通するものである。 なお,本願発明1においては,「第二パラメータ制御機能」として「上限値を変更する」ものを排除する特定はない。 以上のとおりであるから,上記相違点は,実質的な相違点ではない。 してみると,本願発明1と引用発明との間に相違するところはないから,本願発明1は,引用文献に記載された発明である。 (5)小括 以上検討したとおり,本願発明1は,本願出願の出願前に出願公開された引用文献に記載された発明であって,特許法第29条第1項第3号に該当する発明であるから,特許を受けることができない。 第5 むすび 上記第5のとおり,本願発明1は,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許受けることができないから,その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。 よって,上記の結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2021-03-09 |
結審通知日 | 2021-03-16 |
審決日 | 2021-03-30 |
出願番号 | 特願2018-134694(P2018-134694) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(A63F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 上田 泰 |
特許庁審判長 |
藤田 年彦 |
特許庁審判官 |
畑井 順一 尾崎 淳史 |
発明の名称 | ゲームプログラム及びゲームシステム |
代理人 | 田嶋 諭 |