現在、審決メルマガは配信を一時停止させていただいております。再開まで今暫くお待ち下さい。

  • ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G16H
管理番号 1374375
審判番号 不服2020-17400  
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-12-21 
確定日 2021-06-18 
事件の表示 特願2020-101962「野菜摂取量改善システム、野菜摂取食データベース、及び野菜摂取量改善プログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 9月 3日出願公開、特開2020-140741、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成30年11月14日に出願された特願2018-213458号の一部を令和2年6月12日に新たな特許出願としたものであって、同年9月1日付けで拒絶理由が通知され、同年9月18日に意見書が提出されたが、同年12月9日付けで拒絶査定(原査定)され、これに対し、同年12月21日に拒絶査定不服審判が請求され、令和3年2月10日付けで当審より拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年3月9日に意見書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定(令和2年12月9日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-10に係る発明は、以下の引用文献Aに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
A.特表2015-526734号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

本願請求項1-10に係る発明は、以下の引用文献1-5に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.Igor V. Ermakov, et al., “Optical assessment of skin carotenoid status as a biomarker of vegetable and fruit intake”, Archives of Biochemistry and Biophysics, volume 646, 15 May 2018, Pages 46-54, doi:10.1016/j.abb.2018.03.033
2.Lee M. Ashton, et al., “Is Skin Coloration Measured by Reflectance Spectroscopy Related to Intake of Nutrient-Dense Foods? A Cross-Sectional Evaluation in Australian Young Adults”, Nutrients, Published online 2017 Dec 23, doi:10.3390/nu10010011
3.特開2010-49332号公報
4.特開昭59-148973号公報
5.国際公開第2013/024567号

第4 本願発明
本願請求項1-10に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明10」という。)は、特許請求の範囲の請求項1-10に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】
野菜摂取量改善システムであって、それを構成するのは、少なくとも、以下である:
出力部、及び、
処理部:これで制御されることで、当該出力部が表示するのは、個人の野菜不足量であり、その際に参照されるのは、個人の皮膚状態値である。
【請求項2】
請求項1のシステムであって、それを構成するのは、更に、以下である:
検出部:これに接続されるのは、当該処理部であり、かつ、
これで検出されるのは、当該皮膚状態値である。
【請求項3】
請求項1又は2のシステムであって、
当該皮膚状態値に含まれるのは、皮膚カロテノイド値である。
【請求項4】
野菜摂取量改善プログラムであって、それによってコンピュータが実行するのは、少なくとも、以下の処理である:
表示制御:ここで制御されて出力部が表示するのは、個人の野菜不足量であり、その際に参照されるのは、個人の皮膚状態値である。
【請求項5】
請求項4のプログラムであって、
当該皮膚状態値に含まれるのは、皮膚カロテノイド値である。
【請求項6】
野菜摂取量改善システムであって、それを構成するのは、少なくとも、以下である:
出力部、及び、
処理部:これで制御されることで、当該出力部が表示するのは、推奨野菜摂取量及び個人の野菜摂取量の差分であり、その際に参照されるのは、個人の皮膚状態値である。
【請求項7】
請求項6のシステムであって、それを構成するのは、更に、以下である:
検出部:これに接続されるのは、当該処理部であり、かつ、
これで検出されるのは、当該皮膚状態値である。
【請求項8】
請求項6又は7のシステムであって、
当該皮膚状態値に含まれるのは、皮膚カロテノイド値である。
【請求項9】
野菜摂取量改善プログラムであって、それによってコンピュータが実行するのは、少なくとも、以下の処理である:
表示制御:ここで制御されて出力部が表示するのは、推奨野菜摂取量及び個人の野菜摂取量の差分であり、その際に参照されるのは、個人の皮膚状態値である。
【請求項10】
請求項9のプログラムであって、
当該皮膚状態値に含まれるのは、皮膚カロテノイド値である。」

第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
(1)引用文献1の記載事項
引用文献1には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。引用文献2-5、Aについても同様。)
ア 「Abstract
Resonance Raman spectroscopy (RRS) and reflection spectroscopy (RS) are optical methods applicable to the non-invasive detection of carotenoids in human skin. RRS is the older, more thoroughly validated method, whereas RS is newer and has several advantages. Since collective skin carotenoid levels serve as a biomarker for vegetable and fruit intake, both methods hold promise as convenient screening tools for assessment of dietary interventions and correlations between skin carotenoids and health and disease outcomes. In this manuscript, we describe the most recent optimized device configurations and compare their use in various clinical and field settings. Both RRS and RS devices yield a wide range of skin carotenoid levels between subjects, which is a critical feature for a biomarker. Repeatability of the methods is 3-15% depending on the subject's skin carotenoid level and the uniformity of its local distribution. For 54 subjects recruited from an ophthalmology clinic, we first checked the validity of the relatively novel RS methodology via biochemical serum carotenoid measurements, the latter carried out with high performance liquid chromatography (HPLC). A high correlation between RS skin and serum HPLC carotenoid levels was established (R = 0.81; p < 0.001). Also, a high correlation was found between RS and RRS skin levels (R = 0.94 p < 0.001). Subsequent comparisons of skin carotenoid measurements in diverse age groups and ethnicities included 569 Japanese adults, 947 children with ages 2-5 screened in 24 day care centers in San Francisco, and 49 predominantly Hispanic adults screened at an outdoor health fair event. Depending on the particular subject group, correlation coefficients between the RRS and RS methods ranged between R ? 0.80 and R ? 0.96.
(仮訳:概要
共鳴ラマン分光法(RRS)と反射分光法(RS)は、人間の皮膚のカロテノイドの非侵襲的検出に適用できる光学的方法である。RRSは古く、より徹底的に検証された方法である一方、RSは新しく、いくつかの利点がある。集団の(collective)皮膚カロテノイドレベルは野菜と果物の摂取(intake)のバイオマーカーとして機能するため、どちらの方法も、食事療法の評価、および皮膚カロテノイドと健康および疾患の転帰との相関関係を評価するための便利なスクリーニングツールとして有望である。本稿では、最新の最適化されたデバイス構成について説明し、さまざまな臨床および現場設定での使用を比較する。RRSデバイスとRSデバイスは、いずれも被験者間で広範囲の皮膚カロテノイドレベルを生成する。これは、バイオマーカーの重要な機能である。方法の再現性は、被験者の皮膚のカロテノイドレベルとその局所分布の均一性に応じて3-15%である。眼科クリニックから募集された54名の被験者について、最初に、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた生化学的血清カロテノイド測定を介して、比較的新しいRS方法論の妥当性を確認した。また、RS皮膚カロテノイドレベルと血清HPLCカロテノイドレベルの間に高い相関関係が確立された(R = 0.81; p <0.001)。また、RSとRRSの皮膚レベルの間に高い相関が見られた(R = 0.94 p <0.001)。その後のさまざまな年齢層と民族における皮膚カロテノイド測定値の比較には、569人の日本人成人、サンフランシスコの24のデイケアセンターでスクリーニングされた2-5歳の947人の子供、および屋外健康フェアイベントでスクリーニングされた49人の主にヒスパニック系の成人が含まれている。特定のサブジェクトグループに応じて、RRS方法とRS方法間の相関係数はR?0.80及びR?0.96の範囲であった。)」(Abstractの項の第1段落)

イ 「Just like with the RRS method, preferred skin tissue sites for the RS methodology are sites with minimal melanin content across all ethnicities, such as the heel of the palm, the tip of a finger, or the heel of the foot. In its current implementation, the RS method quantifies all chromophores in the skin and takes them into account in the calculation of a composite score for all carotenoid species absorbing in the 480 nm range. The carotenoids contributing to the skin absorption in this range include α- and β carotenes, β-cryptoxanthin, lycopene, lutein and zeaxanthin.
(仮訳:RRS法と同様に、RS法で推奨される皮膚組織部位は、掌の付け根の部分、指先、足のかかとなど、すべての民族でメラニン含有量が最小限の部位である。現在の実装では、RS法は、皮膚のすべての発色団を定量化し、480nmの範囲で吸収するすべてのカロテノイド種の複合スコアの計算でそれらを考慮に入れる。この範囲の皮膚吸収に寄与するカロテノイドには、α-およびβカロテン、β-クリプトキサンチン、リコピン、ルテイン、およびゼアキサンチンが含まれる。)」(Introductionの項の第8段落)

ウ 「Optical Devices and HPLC Serum Analysis
All skin measuring devices used in these studies are shown in Fig. 2. The pressure mediated RS device, shown in Fig. 2(a) along with a representative skin spectrum, uses a single white light LED source which is projected as a small light disk onto the skin area of interest, typically the tip of the index finger or the inner palm of the hand. The measured tissue area is in direct contact with a convex lens surface, which temporarily pushes the blood away from the measured tissue volume. When measuring the skin of a fingertip, the finger is gently pressed against the convex lens surface with the help of a spring-loaded cover. When measuring the inner palm, the hand is simply rested on the lens surface during the measurement, ensuring reduced blood perfusion by the weight of the hand. Light that is diffusively reflected from the skin surface is detected by a spectrograph/CCD detector array configuration. A laptop computer is used for light exposure control, acquisition, processing and display of the reflection spectra. Furthermore, a skin carotenoid score (“reflection score”) is displayed on a scale from 0-800, an index for the residual tissue blood is displayed on a scale from 0-3, and an index for skin melanin is displayed on a scale from 0.5-2.0. All scores are directly proportional to the absorption strength/optical density of the respective skin chromophore. A single reflection measurement takes 10 seconds.
(仮訳:光学デバイスとHPLC血清分析
これらの研究で使用されたすべての皮膚測定装置を図2に示す。図2(a)に代表的な皮膚スペクトルとともに示されている圧力媒介RSデバイスは、関心のある皮膚領域、通常は人差し指の先端か手のひらの内側に小さな光ディスクとして投影される単一の白色光LED光源を使用する。測定された組織領域は、凸レンズ表面と直接接触しており、測定された組織体積から血液を一時的に押しのける。指先の皮膚を測定するときは、バネ仕掛けのカバーを使用して、凸レンズの表面に指をそっと押し付ける。手のひらの内側を測定するときは、測定中に手をレンズの表面に置くだけで、手の重さによる血液の灌流を減らすことができる。皮膚表面から拡散反射された光は、分光器/CCD検出器アレイ構成によって検出される。ラップトップコンピュータは、反射スペクトルの露光制御、取得、処理、および表示に使用される。さらに、皮膚カロテノイドスコア(「反射スコア」)は0-800のスケールで表示され、残留組織血液のインデックスは0-3のスケールで表示され、皮膚メラニンのインデックスは0.5?2.0のスケールで表示される。すべてのスコアは、それぞれの皮膚発色団の吸収強度/光学密度に正比例する。1回の反射測定には10秒かかる。)」(Optical Devices and HPLC Serum Analysisの項の第1段落)

エ 「Fig.2 Portable optical devices used for skin chromophore measurements. (a) reflection spectroscopy device and typical reflection spectrum in 400-750 nm wavelength range (VeggieMeter, Longevity Link Corp.); (b) resonance Raman spectroscopy device and typical Raman spectrum in 900-1750 cm^(-1) range; (c) device based on diffuse reflection with integrating sphere(Model CM2500d, Konica Minolta, Inc.) with display of melanin and Hb indices.
(仮訳:図2 皮膚発色団の測定に使用される携帯型光学デバイス。(a)反射分光装置と400-750nmの波長範囲の典型的な反射スペクトル(VeggieMeter, Longevity Link社)。(b)共鳴ラマン分光装置と900-1750cm^(-1)の範囲の典型的なラマンスペクトル。(c)メラニンおよびHbの指標の表示を備えた積分球を備えた拡散反射に基づくデバイス(モデルCM2500d、コニカミノルタ社))」(Fig.2(図2)の説明)

オ 「

」(Fig.2(図2))

カ 「Skin carotenoid scores by RS (“reflection scores”) versus serum carotenoid concentrations by HPLC for 54 volunteer subjects. Tissue site: palm.
(仮訳:54人のボランティア被験者のRSによる皮膚カロテノイドスコア(反射スコア)対HPLCによる血清カロテノイド濃度)。組織部位:掌」(Fig.3(図3)の説明)

キ 「

」(Fig.3(図3))

ク 「Fig. 8 (a)Histogram of skin carotenoid scores via RS for 111 children scanned at one of the participating child care centers in which children scored relatively high. Average score is 380, with strong skew of distribution to higher levels. (b)Screening results for a total of 947 children, measured in 24 participating child care centers, and ranked in order of percentages of children with scores below 300. In the first 6 centers, less than 25% of the children had scores below 300; in the last 7 centers, over 50% of the children had scores below 300. The results are used to promote higher V/F consumption in the child care centers.
(仮訳:図8 (a)参加しているチャイルドケアセンターの中の1つでスキャンされた比較的高得点を示した111人の子供に対するRSを介した皮膚カロテノイドスコアのヒストグラム。平均スコアは380であり、より高いレベルへの分布の大きな偏りがある。(b)参加している24のチャイルドケアセンターで測定され、スコアが300未満の子供の割合の順にランク付けされた、合計947人の子供のスクリーニング結果。最初の6つのセンターでは、25%未満の子供が300未満のスコアを持っていた。最後の7つのセンターでは、子供たちの50%以上が300未満のスコアを持っていた。その結果は、チャイルドケアセンターでのV/F消費量の増加を促進するために使用される。)」(Fig.8(図8)の説明)

ケ 「

」(Fig.8(図8))

(2)引用発明
上記(1)の記載事項について、「反射分光法(RS)は、人間の皮膚のカロテノイドの非侵襲的検出に適用できる光学的方法」(上記ア)であるところ、反射分光法を用いる皮膚測定装置が上記オの図2(a)左に示されている。上記オの図2(a)より、皮膚測定装置は、「反射分光装置」(上記エ)と「ラップトップコンピュータ」(上記ウ)を備える。
「反射分光装置」は、「関心のある皮膚領域、通常は人差し指の先端か手のひらの内側に小さな光ディスクとして投影される単一の白色光LED光源を使用」し、「皮膚表面から拡散反射された光は、分光器/CCD検出器アレイ構成によって検出され」る(上記ウ)。
「ラップトップコンピュータ」は、「反射スペクトルの露光制御、取得、処理、および表示に使用され」、さらに、「皮膚カロテノイドスコア(「反射スコア」)は0-800のスケールで表示され」る(上記ウ)ものであるから、「反射スペクトルの露光制御、取得、処理、および表示」を制御するための「制御部」及び表示を行う「表示部」を備えることは明らかである。そして、上記キの図3には、「54人のボランティア被験者のRSによる皮膚カロテノイドスコア(反射スコア)」(上記カ)が個別にプロットされているから、皮膚カロテノイドスコアは、被験者ごとに測定されるものであるところ、上記オの図2(a)より、「表示部」は測定中の被験者の前記皮膚カロテノイドスコアを表示することが看取できる。

以上より、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

(引用発明)
「単一の白色光LED光源を使用し、皮膚表面から拡散反射された光を検出する分光器/CCD検出器アレイ構成を有する反射分光装置と、
表示部と、前記拡散反射された光の反射スペクトルを取得、処理して得た被験者の皮膚カロテノイドスコアを、0-800のスケールで前記表示部に表示するよう制御する制御部とを備えるラップトップコンピュータと、を備える
皮膚測定装置。」

2.引用文献2の記載事項
引用文献2には、以下の事項が記載されている。
「Dietary sources of carotenoids are absorbed via the intestinal epithelial cells and enter the blood stream to be delivered to target tissues and organs, including all layers of human skin in particular the stratum corneum [3,4]. Carotenoids can be assayed using biochemical methods in blood samples or by non-invasive optical methods in human skin, such as reflectance spectroscopy or resonance raman spectroscopy to quantify the carotenoids present [5]. Both of these methods have been validated against plasma carotenoid concentrations [4,6,7]. Resonance raman spectroscopy detects skin carotenoids using a laser spectroscopy which probes the vibrational energy levels of a molecule [5]. Several studies have found positive correlations between diet (in particular fruit and vegetables) and skin carotenoids using this method [6,8,9]. Reflectance spectroscopy measures skin color using Commission Internationale de l’Eclairage (CIE) L^(*)a^(*)b^(*) color space (where L^(*) represents skin lightness and positive values of a^(*) and b^(*) represent degrees of redness and yellowness, respectively) [3]. The accumulation of dietary carotenoids in the skin contributes to the appearance of skin yellowness (b^(*)) specifically [3]. Several studies have shown positive associations between skin yellowness (b^(*)) and fruit and vegetable intake using reflectance spectroscopy [10,11,12]. A recent Randomized Controlled Trial(RCT) reported significant correlations between skin yellowness (b^(*)), plasma carotenoid concentrations and the reported intake of high-carotenoid fruit and vegetables over a four-week period [13]. The findings from this study suggested that reflectance spectroscopy can be utilized as a quick non-invasive method for measuring dietary carotenoid intake and/or identifying low fruit and vegetable intake [13].
(仮訳:カロテノイドの食物源は、腸上皮細胞を介して吸収され、血流に入り、ヒトの皮膚の全ての層、特に角質層を含む標的組織及び器官に送達される。カロテノイドは、血液サンプルの生化学的方法を使用して、または存在するカロテノイドを定量化するための反射分光法や共鳴ラマン分光法などの人間の皮膚の非侵襲的光学的方法によって分析できる。これらの方法は両方とも、血漿カロテノイド濃度に対して検証されている。共鳴ラマン分光法は、分子の振動エネルギーレベルを調べるレーザー分光法を使用して皮膚のカロテノイドを検出する。いくつかの研究では、この方法を使用して、食事(特に果物と野菜)と皮膚のカロテノイドとの間に正の相関関係があることを見いだした。反射分光法は、国際照明委員会(CIE)のL^(*)a^(*)b^(*)色空間を使用して肌の色を測定する(L^(*)は肌の明るさを表し、正の値であるa^(*)とb^(*)は、それぞれ赤色と黄色の程度を表す)。食事によるカロテノイドの皮膚への蓄積は、特に皮膚の黄色さ(b^(*))の出現に寄与する。いくつかの研究は、反射分光法を使用して、皮膚の黄色度(b^(*))と果物及び野菜の摂取との間に正の関連性があることを示す。最近のランダム化比較試験(RCT)は、皮膚の黄色度(b^(*))、血漿カロテノイド濃度、および4週間にわたる高カロテノイドの果物と野菜の摂取量の間に有意な相関関係があることを報告した。この研究の結果は、反射分光法が、食事中のカロテノイド摂取量を測定したり、果物や野菜の摂取量が少ないことを特定したりするための迅速な非侵襲的方法として利用できることを示唆している。)」(1.Introductionの項の第2段落)

3.引用文献3の記載事項
引用文献3には、以下の記載がある。
ア 「【0050】
利用者が昼ごはんを摂取していないか、摂取した昼ごはんの入力が終了すれば、不足栄養素量算出部33にCPU30によって、個人栄養摂取量検索部31で検索した当該利用者が一日に摂取すべき栄養素量と、食事栄養素量算出部32で算出した当該利用者が摂取した栄養素量が送られる。そして、不足栄養素量算出部33で、一日に摂取すべき栄養素量から当該利用者が摂取した栄養素量を引き、一日に摂取すべき栄養素量が足りているか否かを算出する(ステップS12)。一日に摂取すべき栄養素量が足りていればCPU30によって不足栄養素量算出部33に格納されているプログラムが実行され、ネットワークNを介して表示部26に画面P12が表示される(ステップS13)。一日に摂取すべき栄養素量が足りていなければ、CPU30によって不足栄養素量算出部33に格納されているプログラムが実行され、ネットワークNを介して表示部26に画面P11が表示される(ステップS14)。」

イ 「

」(図9)

4.引用文献4の記載事項
引用文献4には、以下の記載がある。
ア 「本発明は上述の点に鑑みて為されたもので、その目的とするところは単位換算や、カロリー計算や、摂取量の換算、記憶がキー入力で簡単に行なえ、しかも予め入力してある医師等からの指示摂取量を各食品分類別に実摂取量と比較して過不足を表示することができる栄養摂取量計を提供するにある。」(3頁左上欄13-19行)

イ 「

」(2頁左下欄)

5.引用文献5の記載事項
引用文献5には、以下の記載がある。
「[0061] すべてのパラメータが有効であれば、処理はステップS1606からステップS1607へ進み、制御部201は、計算結果表示1032に、ステップS1605で取得した水分不足量を表示する。そして、ステップS1608において、制御部201は、ステップS1605で取得したナトリウム不足量を計算結果表示1051に表示する。さらに、制御部201は、ステップS1609において、ナトリウム不足量から塩の必要量を算出し、ステップS1610において、塩の必要量を所定の食料品の摂取量に換算して、計算結果表示1052,1053にこれらを表示する。図9に示した表示部103では、測定結果表示1031に水分量、計算結果表示1032,1051?1053には水分不足量、ナトリウム不足量、塩必要量、食料品摂取量が表示された状態の例が示されている。本例では、枠表示1034により、計算結果表示1032が水分不足量の表示を行なっていることを明示し、枠表示1035によりその単位がリットル(L)であることを明示している。このように、すべてのパラメータが有効期限内か否かを判定しているので、表示される水分不足量、ナトリウム不足量、塩必要量の信頼性が向上する。
[0062] なお、ステップS1610では、例えば、食料品の数量として「梅干しの個数」が用いられている。梅干しは一つ当たり約3gの塩を含むので、塩必要量(g)を3で割った値が、摂取すべき梅干しの個数ということになる。計算結果表示部1036では、梅干しのイラストがハイライトされる個数で摂取量を示し、ユーザが直観的に認識できるようにしている。もちろん、梅干し以外の食料品を用いて塩の必要量を指示するようにしてもよい。」

6.引用文献Aについて
(1)引用文献Aの記載事項
「【発明の詳細な説明】
【0007】
[0026]生物化合物を測定し、定量化するための方法が記述される。サンプルの第1の側を光源で照らす。サンプルの第2の側から透過された光を検出する。サンプルの第2の側は、サンプルの第1の側の反対側である。検出された光に基づいて、結果が取得される。
【0008】
[0027]透過光を検出することは、光学検出器を使用することを含んでもよい。サンプルは、皮膚、線維組識、脂肪、骨、血液、軟骨、またはこれらの組み合わせであってもよい。サンプルは、指、手、腕の組織ひだ、胸部の組織ひだ、手の組織ひだ、母指球組織ひだ、または、耳たぶであってもよい。
【0009】
[0028]光源は、サンプルの生物化合物レベルを実質的に変更しない強度を有しうる。光源は、発光ダイオード、発光ダイオードアレイ、タングステンハロゲン電球、または、何らかの他の適合する広域帯の光源であってもよい。
【0010】
[0029]結果は、サンプルにおけるカロテノイドのレベルに基づいてもよい。光源は、カロテノイドの吸収帯と一部が一致し、隣接するスペクトル領域に拡張する波長で光を生成してもよい。結果は、おおよそ480nmに集中するスペクトル領域で検出された透過光に基づいてもよく、隣接するスペクトル領域における透過光に対し参照されてもよい。結果を取得することは、結果を取得するために検出された光を分析することを含んでもよい。結果は、表示されてもよい。結果は、サンプルの抗酸化状態を取得するために使用されてもよい。結果におけるカロテノイドの濃度レベルは、悪性疾患または他の疾患の危険性または存在を評価するために、通常の生物組織におけるカロテノイドの濃度レベルと比較されてもよい。」

「【0016】
[0035]このような生物化合物の1つの例が、カロテノイドおよび関連する化合物である。カロテノイドは、人体の抗酸化防御システムにとって重要な成分である。数多くの疫学および実験的な研究は、カロテノイドのより高い食事摂取が、癌、加齢黄斑変性、早期皮膚の老化、および、酸化の細胞損傷に関連付けられた他の病理学から保護し得ることを示している。カロテノイドは、大抵のフルーツや野菜で見つかり、人体では自然に生じない。依って、人体におけるカロテノイドの発見は、フルーツや野菜の消費を示している。フルーツや野菜の消費のレベルが増えると、体のカロテノイドのレベルが増える。」

「【0031】
吸収分光法
[0050]上述されたRRSおよび反射方法論は、わずかなミリメータの比較的浅い組織深さに至るまで、表面の組織層においてのみ、生体の皮膚のような生物組織においてカロテノイドレベルを測定する。励起光、ラマン散乱光、または反射光を含む可視の波長領域において何らかの光の高い光学損失を引き起こす、主に角質層で散乱する強い光によって制限が生じる。本システムおよび方法において、この欠点を克服する新しい光学方法について記述する。吸収分光法に基づいて、新しい方法は、生体の体の末端または数cmまでの付属器官(appendage)の全組織厚さを通して、組織カロテノイド、および、関連する生物化合物とのレベル測定することが可能である。初めに、手、指、耳たぶ、皮膚ひだまたは類似物のような重要な生体のヒト体部分におけるカロテノイドレベルを測定し、このように、表面濃度だけというよりむしろ組織内部化合物レベルを含む、定量測定を取得することが可能である。組織化合物濃度の定量測定として、我々は、関心の波長領域における透過光強度I_(out)と参照光強度I_(ref)との対数比を選択し、他のスペクトル的に一部分が一致する組織発色団のために、散乱/吸収バックグラウンドの減算の後で、関心のカロテノイド吸収を決定する。特に、我々は、これらの測定から、光学密度
O.D.=lg T^(-1)
を決定する。Tは、サンプルを通した入力光のパーセンテージ透過である、すなわち、T=I_(out)/I_(ref)。時間とともに、カロテノイドの吸収を測定し、食事変化によって引き起こされる濃度における変化を追跡することが可能である。
【0032】
[0051]透過導出された生物カロテノイドレベルを、異なる構成物を持つ組織において-例えば、それぞれ内部骨を含むまたは含まない組織において-開示された方法と比較すると、特定の内部組織のコンポーネントにおけるカロテノイド濃度の選択的情報を取得することが可能であってもよい。例えば、開示された方法で、内部脂肪層、軟骨、または、骨において選択的にカロテノイドレベルを決定することが可能であり得る。」

「【0034】
[0053]図3は、組織における生物化合物を測定し、定量化するための吸収分光法に基づく装置の1つの例を例示するブロック図である。生物化合物は、カロテノイド、血液、水分などを含んでもよい。生物化合物は、生体の組織サンプルおよび/または切除された組織サンプルから測定され、定量化されてもよい。装置は、光源312、光学検出器336、および、データ獲得、処理、定量化、ディスプレイモジュール346を含んでもよい。装置は、サンプル322で見つかった生物化合物を定量化してもよい。
【0035】
[0054]光源312は、サンプル322に光316を照らしてもよい。光316は、発光ダイオード(LED)光源、LEDアレイ、従来の光源、および/または、何らかの他の適合する広帯域の光源から発してもよい。例えば、安価なLED光源が、使用されてもよい。1つの光源312または複数の高原が、使用されてもよい。いくつかのコンフィギュレーションでは、光ファイバが、光源312によって生成された光316を向けるのに使用されてもよい。
【0036】
[0055]光源312は、例えば400nmから600nmの、480nmを含む波長で生成された光316のスペクトルを放ってもよい。言い換えると、光は、カロテノイドの吸収帯と実質的に一部分が一致する波長で生成されてもよい。加えて、または、代替的に、光源312は、例えば800nmから1050nmの、970nmを含む波長で生成された光316を放ってもよい。一般的に、光源312は、様々なスペクトルにわたる白光316のフルスペクトルを放ってもよい。
【0037】
[0056]サンプル322は、指、皮膚のひだ、耳たぶなどのようなヒトからの生体組織サンプルであってもよい。サンプル322は、別の生体の有機体からの生体組織サンプルであってもよい。代替的に、サンプル322は、皮膚組織または骨サンプルの切除された断片のようなヒトから切除された組織サンプル、または、前の生体の非‐ヒト有機体からの切除されたサンプルであってもよい。サンプルは、組織カロテノイドの吸収に基づいた測定にとって予め可能だと思われているよりはるかに厚くあり得る。例えば、サンプル322は、3cmまでの厚さの範囲で変動し得る。しかしながら、サンプル322は、多少厚くてもよい。例えば、サンプル322は、切除された皮膚組織の薄い断片、ほんの数mmの厚さであってもよい、または、親指と人差し指との間のひだまたは耳たぶのような組織ひだであってもよい。反対に、サンプル322は、数cmの厚さである動物の骨であってもよい。サンプル422は、吸収レベルの素早い処理と計算のために、十分に高い透過光レベルで、光源312からの光316をサンプル322を通り抜けさせるのに十分な厚さであるべきである。いくつかのコンフィギュレーションでは、より強い光源312が、より厚いサンプル322から生物化合物を定量化し測定するのに使用されてもよい。
【0038】
[0057]光学検出器336は、スペクトル的に分解された検出コンフィギュレーションにおいて、または、戦略的に選ばれた離散波長で、サンプル322から透過光330を検出してもよい。例えば、光学検出器336は、サンプル322からの発光の強度を測定してもよい。光学検出器336は、分光器/電荷結合素子(CCD)またはCMOS検出器コンフィギュレーション、光電子増倍チューブ、フォトダイオード検出器、および/または他の光学検出器を含んでもよい。いくつかのコンフィギュレーションでは、光学検出器336は、空間積分光学検出器を含んでもよい。
【0039】
[0058]サンプル322が、ヒト指である場合、光源312は、指に光316を照らしてもよい。光316は、指の1つの側に入ってもよい。光316は、指を通り抜けてもよい。透過光330は、指と反対から出ていってもよい。透過光330は、光学検出器336
で検出されてもよい。
【0040】
[0059]光学検出器336は、検出された光を電子信号に変換する。光学検出器は、獲得、定量化、ディスプレイモジュール346に電子信号344を送信してもよい。
【0041】
[0060]獲得、定量化、ディスプレイモジュール346は、電子信号344を分析し、定量化してもよく、適合するデータ獲得および処理ルーティンを使用して、結果を表示してもよい。結果は、生物化合物濃度レベルを含んでもよい。
【0042】
[0061]サンプル322における生物化合物のレベルを決定することは、光学検出器336からの電子信号344を処理することを含んでもよい。電子信号344を処理することは、信号を分析すること、および/または、モニタ(図示されず)および/または他のディスプレイ上で信号を視覚的に表示することを含んでもよい。光学検出器336からの電子信号を処理することは、光信号を他のデジタルおよび/または値の形式に変換することをさらに含んでもよい。データ獲得ソフトウェアは、サンプル322における生物化合物のレベルを決定するために、定量化およびディスプレイモジュール346によって使用されてもよい。
【0043】
[0062]例えば、定量化およびディスプレイモジュール346は、サンプル322において、カロテノイド、ヘモグロビン、および/または水分のレベルを分析、定量化、表示してもよい。加えて、定量化およびディスプレイモジュール346は、悪性疾患もしくは他の疾患のリスクまたは存在を評価し、または、食事補給に応じたレベルの変化を追跡するために、結果のカロテノイドの濃度レベルを通常の生物組織におけるカロテノイドの濃度レベルと比較してもよい。
【0044】
[0063]加えて、定量化およびディスプレイモジュール346は、生体組織またはサンプル322の結合されたカロテノイドおよびフラボノイド抗酸化ステータスを評価し得る。このようにして、サンプル322の関連する抗酸化ステータスは、サンプル322が取られたか、または、生体組織が測定されたユーザによって消費されたフルーツまたは野菜のレベルのいくつかのインジケーションを提供し得る。1つの例として、ユーザが、フルーツおよび野菜の自身の消費を増やすと、ユーザの関連する抗酸化ステータスが、時間とともに肯定的に変化し得る。」

「【0068】
[0087]定量化およびディスプレイモジュール446は、悪性疾患もしくは他の疾患のリスクまたは存在を評価するために、結果のカロテノイドおよび他の生物化合物の濃度レベルを、通常の生物組織におけるカロテノイドおよび他の化合物の濃度レベルと比較してもよい。定量化およびディスプレイモジュール446は、サンプル422の結合されたカロテノイドおよびフラボノイド抗酸化ステータスを評価してもよい。このようにして、サンプル422の関連する抗酸化ステータスは、サンプル422が取られたユーザによって消費されたフルーツまたは野菜のレベルのインジケーションを提供してもよい。1つの例として、ユーザが、フルーツおよび野菜の自身の消費を増やすと、ユーザの抗酸化ステータスが、時間とともに肯定的に変化し得る。」

(2)引用発明A
上記(1)より、引用文献Aには、次の発明(以下「引用発明A」という。)が記載されていると認められる。

(引用発明A)
組織におけるカロテノイドを測定し、定量化するための吸収分光法に基づく装置(【0034】)において、
装置は、光源312、光学検出器336、および、データ獲得、処理、定量化、ディスプレイモジュール346を含み(【0034】)、
前記光源312は、カロテノイドの吸収帯と実質的に一部分が一致する波長で生成された光をサンプル322に照らし(【0035】、【0036】)、ここで、サンプル322は、指、皮膚のひだ、耳たぶなどのようなヒトからの生体組織サンプル、又は、皮膚組織または骨サンプルの切除された断片のようなヒトから切除された組織サンプルであり(【0037】)
前記光検出器336は、サンプル322の透過光330を検出し(【0038】)、検出された光を電子信号に変換し、獲得、定量化、ディスプレイモジュール346に電子信号344を送信し(【0040】)、
前記獲得、定量化、ディスプレイモジュール346は、電子信号344を分析し、サンプル322において、カロテノイドのレベルを分析、定量化、表示する(【0041】、【0043】)
装置。

第6 当審拒絶理由についての判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明を対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の「ラップトップコンピュータ」の「表示部」は、表示出力するものであるから、本願発明1と同様の「出力部」であるといえ、引用発明の「ラップトップコンピュータ」の「制御部」は、表示部に表示するように制御するものであるから、本願発明1と同様の「処理部」であるといえる。
イ 引用発明の「皮膚カロテノイドスコア」は、「単一の白色光LED光源を使用し、皮膚表面から拡散反射された光を検出」し、「前記拡散反射された光の反射スペクトルを取得、処理して得た」値であって、引用発明で用いる「RS法は、皮膚のすべての発色団を定量化し、480nmの範囲で吸収するすべてのカロテノイド種の複合スコアの計算でそれらを考慮に入れ」(上記第5の1.(1)イ)たものであるから、本願発明1の「皮膚状態値」に相当する。
また、引用発明の「被験者」は「個人」といえるから、引用発明の「被験者の皮膚カロテノイドスコア」は、本願発明1の「個人の皮膚状態値」に相当する。
ウ 引用発明の「制御部」の、「前記拡散反射された光の反射スペクトルを取得、処理して得た被験者の皮膚カロテノイドスコアを、0-800のスケールで前記表示部に表示するよう制御する」機能と、本願発明1の「処理部」の「これで制御されることで、当該出力部が表示するのは、個人の野菜不足量であり、その際に参照されるのは、個人の皮膚状態値である」という機能とを対比すると、引用発明が「得た被験者の皮膚カロテノイドスコア」をそのまま表示するものであるから、両機能は、「これで制御されることで、当該出力部が表示するのは、所定量であり、その際に参照されるのは、個人の皮膚状態値である」という機能である点で共通するものの、「所定量」が本願発明1では「個人の野菜不足量」であるのに対し、引用発明では「被験者の皮膚カロテノイドスコア」である点で相違する。
エ 引用発明の反射分光装置とラップトップコンピュータを備える「皮膚測定装置」と本願発明1の「野菜摂取量改善システム」とは、「システム」である点で共通する。

したがって、本願発明1と引用発明とは、以下の点で一致し、また相違する。

<一致点>
システムであって、それを構成するのは、少なくとも、以下である:
出力部、及び、
処理部:これで制御されることで、当該出力部が表示するのは、所定量であり、その際に参照されるのは個人の皮膚状態値である。

<相違点1>
出力部が表示する「所定量」について、本願発明1では「個人の皮膚状態値」を参照した「個人の野菜不足量」であるのに対し、引用発明では「被験者の皮膚状態値(皮膚カロテノイドスコア)」である点。

<相違点2>
本願発明1は「野菜摂取量改善システム」であるのに対し、引用発明は「皮膚測定装置」である点。

(2)判断
ア 相違点1について
引用文献1には、「集団の(collective)皮膚カロテノイドレベルは野菜と果物の摂取のバイオマーカーとして機能する」(上記第5の1.(1)ア)ことが示唆されている。また、引用発明のような反射分光法(RS)を用いたチャイルドケアセンターでの測定例に関し、同ケの図8(a)で示される「チャイルドケアセンターの中で比較的高得点を示した1つでスキャンされた111人の子供に対するRSを介した皮膚カロテノイドスコアのヒストグラム」(同ク)及び同ケの図8(b)で示される「参加している24のチャイルドケアセンターで測定され、スコアが300未満の子供の割合の順にランク付けされた、合計947人の子供のスクリーニング結果」(同ク)とともに、「最初の6つのセンターでは、25%未満の子供が300未満のスコアを持っていた。最後の7つのセンターでは、子供たちの50%以上が300未満のスコアを持っていた。その結果は、チャイルドケアセンターでのV/F消費量の増加を促進するために使用される。」(同ク)と記載され、引用文献1には、チャイルドケアセンター(集団)毎の測定結果のヒストグラムが、チャイルドケアセンター(集団)でのV/F消費の増加を促進するために使用されることが記載されているといえる。
また、引用文献2には、「いくつかの研究は、反射分光法を使用して、皮膚の黄色度(b^(*))と果物及び野菜の摂取との間に正の関連性があることを示す。最近のランダム化比較試験(RCT)は、皮膚の黄色度(b^(*))、血漿カロテノイド濃度、および4週間にわたる高カロテノイドの果物と野菜の摂取の間に有意な相関関係があることを報告した。この研究の結果は、反射分光法が、食事中のカロテノイド摂取を測定したり、果物や野菜の摂取が少ないことを特定したりするための迅速な非侵襲的方法として利用できることを示唆している」(上記第5の2.)と記載されている。
また、引用文献3には、一日に摂取すべき栄養素量から利用者が摂取した栄養素量を引き、一日に摂取すべき栄養素量が足りているか否かを算出(上記第5の3.ア)して、各栄養素量の不足量を表示する(同ア、イ)ことが記載されている。
また、引用文献4には、医師等からの指示摂取量を各食品分類別に実摂取量と比較して過不足を表示すること(上記第5の4.ア)、及び、第1表(同イ)には「食品の種類」として食品分類別に表1?6が示され、そのうち表6は「野菜」であることが記載されている。
また、引用文献5(上記第5の5.)には、被験者の体内のナトリウム不足量を特定の食品の数量に換算した表示を行うことが記載されている。
上記引用文献1、2の記載によれば、野菜や果物の摂取と反射分光法(RS)により皮膚カロテノイドの測定結果との間には相関があること、集団毎の反射スコアの測定結果に基づいて、集団での野菜や果物の消費の増加を促進するために使用されることまではいえるものの、反射分光法を用いて皮膚カロテノイドを測定して得られる皮膚カロテノイドスコア(皮膚状態値)を参照して個人の野菜不足量を表示することまでは、導出できない。
また、皮膚状態値と野菜不足量との関係が示されていない引用文献3ないし5を参照しても、被験者の皮膚カロテノイドスコア(皮膚状態値)を参照して個人の野菜不足量を表示することは、導出できない。
したがって、相違点1に係る本願発明1の構成は、引用発明と引用文献2-5の記載事項から、当業者が容易に想到できたものとはいえない。
イ 相違点2について
相違点1に係る本願発明1の構成が、引用発明と引用文献2-5の記載事項から、当業者が容易に想到できたものとはいえない以上、個人の野菜不足量の表示に基づく、相違点2に係る本願発明1の構成である「野菜摂取量改善システム」は、引用発明と引用文献2-5の記載事項から、当業者が容易に想到できたものとはいえない。

ウ 作用効果について
そして、本願発明1は、個人の野菜不足量を表示する構成とすることで、野菜摂取量を個別に改善することができるという、特有の効果を奏するものである。

(3)小括
よって、本願発明1は、引用発明と引用文献2-5の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2.本願発明2-5について
本願発明2、3は、本願発明1を減縮した発明であって、上記1.で検討した相違点1及び相違点2に係る構成を備えるから、上記1.(2)と同様の理由により、引用発明と引用文献2-5の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。
本願発明4は、本願発明1のカテゴリーを「野菜摂取量改善プログラム」に変更した発明であり、本願発明5は、本願発明4を減縮した発明であって、いずれも上記1.で検討した相違点1及び相違点2に係る構成と同様の構成を備えるから、上記1.(2)と同様の理由により、引用発明と引用文献2-5の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。

3.本願発明6について
本願発明1と本願発明6とは、出力部が表示するものが、本願発明1では「個人の野菜不足量」であるのに対し、本願発明6では「推奨野菜摂取量及び個人の野菜摂取量の差分」である点で相違するのみであるから、上記1.(1)と同様に、以下の点で相違し、その余の点で一致する。

<相違点3>
出力部が表示する「所定量」について、本願発明6では「個人の皮膚状態値」を参照した「推奨野菜摂取量及び個人の野菜摂取量の差分」であるのに対し、引用発明では「被験者の皮膚状態値(皮膚カロテノイドスコア)」である点。

<相違点4>
本願発明6は「野菜摂取量改善システム」であるのに対し、引用発明は「皮膚測定装置」である点。

相違点3について検討すると、相違点3に係る「推奨野菜摂取量及び個人の野菜摂取量の差分」は、本願発明1の「個人の野菜不足量」を減縮したものといえるところ、上記1.(2)のとおり引用発明と引用文献2-5の記載事項から、「個人の皮膚状態値」を参照した「推奨野菜摂取量及び個人の野菜摂取量の差分」を表示することは、導出できない。
また、相違点3に係る本願発明6の構成が、引用発明と引用文献2-5の記載事項から、当業者が容易に想到できたものとはいえない以上、個人の推奨野菜摂取量及び個人の野菜摂取量の差分の表示に基づく、相違点4に係る本願発明6の構成である「野菜摂取量改善システム」は、引用発明と引用文献2-5の記載事項から、当業者が容易に想到できたものとはいえない。
したがって、本願発明6は、引用発明と引用文献2-5の記載事項から、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

4.本願発明7-10について
本願発明7、8は、本願発明6を減縮した発明であって、上記3.で検討した相違点3及び相違点4に係る構成を備えるから、上記3.と同様の理由により、引用発明と引用文献2-5の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
本願発明9は、本願発明6のカテゴリーを「野菜摂取量改善プログラム」に変更した発明であり、本願発明10は、本願発明9を減縮した発明であって、いずれも上記3.で検討した相違点3及び相違点4に係る構成と同様の構成を備えるから、上記3.と同様の理由により、引用発明と引用文献2-5の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第7 原査定の拒絶理由についての判断
1.請求項1について
(1)対比
本願発明1と引用発明Aを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明Aの「データ獲得、定量化、ディスプレイモジュール346」は、「電子信号344を分析し、サンプル322において、カロテノイドのレベルを分析、定量化、表示する」ように制御するための手段と、「カロテノイドのレベルを」「表示する」手段を備えることが明らかであるところ、引用発明Aの「表示する手段」は、本願発明1の「出力部」に相当し、引用発明Aの「制御するための手段」は、表示部に表示するように制御するものであるから、本願発明1と同様の「処理部」であるといえる。
イ 引用発明Aは、「カロテノイドのレベル」と本願発明1の「皮膚状態値」とは、「所定の状態値」である点で共通する。
ウ 引用発明Aの「制御するための手段」は、定量化したカロテノイドのレベルをそのまま表示するように制御するものといえるから、本願発明1の「処理部」の「これで制御されることで、当該出力部が表示するのは、個人の野菜不足量であり、その際に参照されるのは、個人の皮膚状態値である」こととは、両者は、「これで制御されることで、当該出力部が表示するのは、所定量であり、その際に参照されるのは、所定の状態値である」点で共通する。
エ 引用発明Aの「吸収分光法に基づく装置」と本願発明1の「野菜摂取量改善システム」とは、「システム」である点で共通する。

したがって、本願発明1と引用発明Aとは、以下の点で一致し、また相違する。

<一致点>
システムであって、それを構成するのは、少なくとも、以下である:
出力部、及び、
処理部:これで制御されることで、当該出力部が表示するのは、所定量であり、その際に参照されるのは所定の状態値である。

<相違点5>
出力部が表示する「所定量」について、本願発明1では「個人の皮膚状態値」を参照した「個人の野菜不足量」であるのに対し、引用発明Aでは「サンプル(生体組織サンプル、組織サンプル)のカロテノイドのレベル」である点。

<相違点6>
本願発明1は「野菜摂取量改善システム」であるのに対し、引用発明Aは「吸収分光法に基づく装置」である点。

(2)判断
ア 相違点5について
引用文献Aには、第5の6.(1)のとおり、以下の事項が記載されている。
「カロテノイドは、大抵のフルーツや野菜で見つかり、人体では自然に生じない。依って、人体におけるカロテノイドの発見は、フルーツや野菜の消費を示している。フルーツや野菜の消費のレベルが増えると、体のカロテノイドのレベルが増える。」(【0016】)
「定量化およびディスプレイモジュール346は、悪性疾患もしくは他の疾患のリスクまたは存在を評価し、または、食事補給に応じたレベルの変化を追跡するために、結果のカロテノイドの濃度レベルを通常の生物組織におけるカロテノイドの濃度レベルと比較してもよい。」(【0043】)
「定量化およびディスプレイモジュール346は、生体組織またはサンプル322の結合されたカロテノイドおよびフラボノイド抗酸化ステータスを評価し得る。このようにして、サンプル322の関連する抗酸化ステータスは、サンプル322が取られたか、または、生体組織が測定されたユーザによって消費されたフルーツまたは野菜のレベルのいくつかのインジケーションを提供し得る。1つの例として、ユーザが、フルーツおよび野菜の自身の消費を増やすと、ユーザの関連する抗酸化ステータスが、時間とともに肯定的に変化し得る。」(【0044】)
「定量化およびディスプレイモジュール446は、悪性疾患もしくは他の疾患のリスクまたは存在を評価するために、結果のカロテノイドおよび他の生物化合物の濃度レベルを、通常の生物組織におけるカロテノイドおよび他の化合物の濃度レベルと比較してもよい。定量化およびディスプレイモジュール446は、サンプル422の結合されたカロテノイドおよびフラボノイド抗酸化ステータスを評価してもよい。このようにして、サンプル422の関連する抗酸化ステータスは、サンプル422が取られたユーザによって消費されたフルーツまたは野菜のレベルのインジケーションを提供してもよい。1つの例として、ユーザが、フルーツおよび野菜の自身の消費を増やすと、ユーザの抗酸化ステータスが、時間とともに肯定的に変化し得る。」(【0068】)
上記記載からみて、引用文献Aには、フルーツや野菜の消費のレベルが増えると、体のカロテノイドのレベルが増えることは記載されているものの、引用発明Aで表示するカロテノイドのレベルは、抗酸化ステータスを評価するために用いられるものである。また、引用文献Aは、「食事補給に応じたレベルの変化を追跡するために、結果のカロテノイドの濃度レベルを通常の生物組織におけるカロテノイドの濃度レベルと比較してもよい」(【0043】)とするが、食事変化によって引き起こされる濃度における変化を追跡することを可能とする(【0031】)ものであって、個人の野菜不足量を算出するものではないから、当業者であっても、引用文献Aの記載事項から、引用発明Aにおいて「カロテノイドのレベル」に代えて「野菜不足量」を表示することまでは導出できない。
したがって、相違点5に係る本願発明1の構成は、引用発明Aと引用文献Aの記載事項から、当業者が容易に想到できたものではない。
イ 相違点6について
相違点5に係る本願発明1の構成が、引用発明Aと引用文献Aの記載事項から、当業者が容易に想到できたものとはいえない以上、個人の野菜不足量の表示に基づく、相違点6に係る本願発明1の構成である「野菜摂取量改善システム」は、引用発明Aと引用文献Aの記載事項から、当業者が容易に想到できたものとはいえない。
ウ 作用効果について
そして、本願発明1は、個人の野菜不足量を表示する構成とすることで、野菜摂取量を個別に改善することができるという、特有の効果を奏するものである。

(3)小括
よって、本願発明1は、引用発明Aと引用文献Aの記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

2.本願発明2-5について
本願発明2、3は、本願発明1を減縮した発明であって、上記1.で検討した相違点5及び相違点6に係る構成を備えるから、上記1.(2)と同様の理由により、引用発明Aと引用文献Aの記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
本願発明4は、本願発明1のカテゴリーを「野菜摂取量改善プログラム」に変更した発明であり、本願発明5は、本願発明4を減縮した発明であって、いずれも上記1.で検討した相違点5及び相違点6に係る構成と同様の構成を備えるから、上記1.(2)と同様の理由により、引用発明と引用文献2-5の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

3.本願発明6について
本願発明1と本願発明6とは、出力部が表示するものが、本願発明1では「個人の野菜不足量」であるのに対し、本願発明6では「推奨野菜摂取量及び個人の野菜摂取量の差分」である点で相違するのみであるから、上記1.(1)と同様に、以下の点で相違し、その余の点で一致する。

<相違点7>
出力部が表示する「所定量」について、本願発明6では「個人の皮膚状態値」を参照した「推奨野菜摂取量及び個人の野菜摂取量の差分」であるのに対し、引用発明Aでは「サンプル(生体組織サンプル、組織サンプル)のカロテノイドのレベル」である点。

<相違点8>
本願発明6は「野菜摂取量改善システム」であるのに対し、引用発明Aは「吸収分光法に基づく装置」である点。

相違点7について検討すると、相違点7に係る「推奨野菜摂取量及び個人の野菜摂取量の差分」は、本願発明1の「個人の野菜不足量」を減縮したものといえるところ、上記1.(2)のとおり引用発明Aと引用文献Aの記載事項から、「個人の皮膚状態値」を参照した「推奨野菜摂取量及び個人の野菜摂取量の差分」を表示することは、導出できない。
また、相違点7に係る本願発明6の構成が、引用発明Aと引用文献Aの記載事項から、当業者が容易に想到できたものとはいえない以上、個人の推奨野菜摂取量及び個人の野菜摂取量の差分の表示に基づく、相違点8に係る本願発明6の構成である「野菜摂取量改善システム」は、引用発明Aと引用文献Aの記載事項から、当業者が容易に想到できたものとはいえない。
したがって、本願発明6は、引用発明Aと引用文献Aの記載事項から、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

4.本願発明7-10について
本願発明7、8は、本願発明6を減縮した発明であって、上記3.で検討した相違点7及び相違点8に係る構成を備えるから、上記3.と同様の理由により、引用発明Aと引用文献Aの記載事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。
本願発明9は、本願発明6のカテゴリーを「野菜摂取量改善プログラム」に変更した発明であり、本願発明10は、本願発明9を減縮した発明であって、いずれも上記3.で検討した相違点7及び相違点8に係る構成と同様の構成を備えるから、上記3.と同様の理由により、引用発明Aと引用文献Aの記載事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の拒絶理由及び当審拒絶理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2021-06-03 
出願番号 特願2020-101962(P2020-101962)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G16H)
最終処分 成立  
前審関与審査官 関 博文  
特許庁審判長 高瀬 勤
特許庁審判官 中野 浩昌
松田 直也
発明の名称 野菜摂取量改善システム、野菜摂取食データベース、及び野菜摂取量改善プログラム  
代理人 宮下 洋明  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ