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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1374448
審判番号 不服2020-7753  
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-06-05 
確定日 2021-05-25 
事件の表示 特願2018-541419「受信機モジュール」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 8月17日国際公開、WO2017/137151、平成31年 4月 4日国内公表、特表2019-509630〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2017年(平成29年)2月2日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2016年2月9日、独国)を国際出願日とする出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。

令和元年7月11日付け:拒絶理由通知書
令和元年11月11日 :意見書、手続補正書の提出
令和2年2月4日付け :拒絶査定
令和2年6月5日 :審判請求書の提出

第2 本願発明
本願の請求項に係る発明は、令和元年11月11日に提出された手続補正書に記載された請求項1?18に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。

「受信機モジュール(EM)であって、
相互に直列に接続された半導体ダイオードとして構成されたN個の部分電圧源を有し、それによって、N個の部分電圧源がソース電圧を生成し、
前記部分電圧源の各々は、p-n接合部を有する半導体ダイオード(D1,D2,D3,D4,D5)を有し、
前記半導体ダイオード(D1,D2,D3,D4,D5)は、p型ドープされた吸収層を有し、前記p型吸収層は、前記p型吸収層のバンドギャップよりも大きなバンドギャップを有するp型ドープされたパッシベーション層によって不動態化されており、
前記半導体ダイオード(D1,D2,D3,D4,D5)は、n型吸収層を有し、前記n型吸収層は、前記n型吸収層のバンドギャップよりも大きなバンドギャップを有するn型ドープされたパッシベーション層によって不動態化されており、それぞれ順次連続する2つの前記部分電圧源の間に、トンネルダイオード(T1,T2;T3,T4)が形成されており、
前記部分電圧源と前記トンネルダイオード(T1,T2,T3,T4)とが共にモノリシックに集積化され、上面と下面とを有する共通の第1のスタック(ST1)を形成しており、
前記部分電圧源の数Nは、2以上であり、
前記第1のスタック(ST1)における上面において、光(L)が、前記第1のスタック(ST1)の表面(OB)に入射し、前記第1のスタック(ST1)は、前記表面(OB)上に第1の電気的コンタクトを有し、さらに前記下面に第2の電気的コンタクトを有しており、
前記第1のスタック(ST1)は、12μm未満の総厚さを有し、
前記第1のスタック(ST1)は、半導体基板上に配置され、前記半導体ダイオードの半導体材料は、III-V族材料からなる、受信機モジュール(EM)において、
前記受信機モジュール(EM)の基板は、ゲルマニウムまたはガリウムヒ素を含み、
前記受信機モジュール(EM)の前記第1のスタック(ST1)の下面近傍において、囲繞する段状の縁部が形成されており、
前記半導体ダイオード(D1,D2,D3,D4,D5)間の前記トンネルダイオード(T1,T2,T3,T4)は、前記半導体ダイオード(D1,D2,D3,D4,D5)のp型/n型吸収層のバンドギャップよりも大きなバンドギャップを有する複数の半導体層を有し、
個々の前記部分電圧源の部分ソース電圧は、相互に20%未満の偏差を有し、
前記半導体基板は、前記第1のスタック(ST1)とトランジスタとにモノリシックに接続され、前記トランジスタの制御入力側は、2つの電気的コンタクトのうちの1つに相互接続されており、
前記受信機モジュール(EM)は、量子井戸構造を有さないことを特徴とする、受信機モジュール(EM)。」

第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。


<引用文献>
1.米国特許出願公開第2015/0162478号明細書(引用文献1)
5.特開昭62-36857号公報(引用文献5)
<備考>
「あるいは、文献4又は5に記載された発明に、文献1に記載された発明を適用することで、請求項1に係る発明の構成とすることも、当業者が容易に想到しえたことである。」(令和元年7月11日付け拒絶理由通知書)

第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献5
(1)引用文献5に記載された事項
引用文献5には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

「本発明はフォトダイオードと電界効果型トランジスタとをモノリシックに作製した光集積素子に係り、特にフォトダイオードの作製に好適な光集積素子およびその製造法に関する。」(第1頁左下欄第18行?右下欄第1行)
「第1図に本発明に光集積素子の断面図を示す。これによると、フォトダイオード部はn側電極用のn^(+)GaAs層2とアンドープのGaAs層3との二層からなっている。」(第2頁左上欄第17行?第20行)
「第1図



「〔発明の実施例〕
以下、本発明の一実施例を第1図により説明する。
まずpinフォトダイオードと電界効果型トランジスタとを結合した受信OETC(Optoelectric Integrated Circuit)の作製について説明する。
受信OETC(Opto-electronic IC)はpinフォトダイオード部と電界効果型トランジスタ部(FET)とから構成されている。」(第2頁右上欄第16行?左下欄第1行)
「【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による光集積素子の断面図である。第2図は実施例説明のための光集積素子のプロセスフローである。
1…半絶縁性GaAs基板、2…n^(+)GaAs層、3…アンドープGaAs層(i層)、4…p^(+)イオン打ち込み層、5…n側電極、6…p側電極、7…配線メタル、8,9…ソースおよびドレイン電極、10…ゲート電極、11…n打ち込み層、12…n^(+)打ち込み層」(第3頁左上欄第16行?右上欄第5行)

(2)引用文献5に記載された技術的な事項
ア 第1図より、pinフォトダイオードが備える構成として、「n^(+)GaAs層2上にn側電極5」、「アンドープのGaAs層3にp^(+)イオン打ち込み層4」及び「p^(+)イオン打ち込み層上にp側電極6」が形成された構成がみてとれる。
イ 第1図より、「ソースおよびドレイン電極8,9、ゲート電極10、n打ち込み層11、n+打ち込み層12」よりなる「電界効果型トランジスタ部」がみてとれる。
ウ 第1図より、「p側電極6」と「ゲート電極10」とが「配線メタル7」で連結された構成がみてとれる。
エ 第1図より、半絶縁性GaAs基板1に、フォトダイオードと電界効果型トランジスタとをモノリシックに作製した構成がみてとれる。
オ 第1図より、受信OETCのフォトダイオード部の下面近傍において、段状の縁部が形成された構成がみてとれる。

(3)引用発明
上記(1)?(2)から、引用文献5には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「pinフォトダイオード部と電界効果型トランジスタ部(FET)とから構成されている、受信OETC(Opto-electronic IC)であって、
半絶縁性GaAs基板1に、フォトダイオードと電界効果型トランジスタとをモノリシックに作製し、
pinフォトダイオード部は、n側電極用のn+GaAs層2とアンドープのGaAs層3、n^(+)GaAs層2上にn側電極5、アンドープのGaAs層3にp^(+)イオン打ち込み層4及びp+イオン打ち込み層上にp側電極6を備え、
電界効果型トランジスタ部は、ソースおよびドレイン電極8,9、ゲート電極10、n打ち込み層11、n^(+)打ち込み層12よりなり、
受信OETCのフォトダイオード部の下面近傍において、段状の縁部が形成され、
p側電極6とゲート電極10とが配線メタル7で連結される、受信OETC。」

2 引用文献1
(1)引用文献1に記載された事項
引用文献1には、図面とともに、以下の事項が記載されている。

「[0040] An embodiment a transducer of the present disclosure is shown in FIG. 2. Similarly to a state-of-the-art single junction PV device of the prior art shown in FIG. 1, the photo-transducer device of the present disclosure in FIG. 2 includes a base 18, and an emitter 16 made of semiconductors doped with dopants of opposite polarity (p or n). The base and the emitter form a p-n junction 104, and together have a thickness (t) 120 of semiconductor material absorbing the optical input signal 100 which is impinging the front surface 102 of the transducer. The present embodiment includes a passivating window 14, doped with the same doping type as the emitter and disposed between the front surface 102 and the emitter 16. A contact layer 12 and/or a metal layer 10 can be used to extract the current and voltage generated by the transducer device. The contact layer and/or the metal layers can be patterned using standard photolithography techniques or deposited such that only a fraction of the front surface 102 is covered in order to efficiently let the optical input reach the absorbing thickness 120 of the semiconductor emitter 16 and base 18. Optically transparent but electrically conducting layers can also be used in conjunction with or in substitution to the contact or metal layers 12, 10. The layers such as the base 18 and the emitter 16 are typically grown on a substrate 24 which serves as a mechanical support and which defines the lattice constant of the semiconductor crystal. A buffer layer 22 can be disposed between the substrate 24 and the base 18 to adjust the crystal quality and or for other fabrication, optical, electrical, or crystal growth purposes. For example the buffer 22 is preferably used to provide electrical conductivity (lateral sheet conductivity or vertical conductivity to extract the current) or to change the optical properties of the PV device. A back surface field (BSF) layer 20 is preferably used, doped with the same doping type as the base 18 and disposed between the substrate 24 and the base 18. The BSF and window layers are preferably used to reflect the minority carriers back toward the p/n junction. For example if the base is p-type, the minority carriers in the base are the photo-electrons, then the emitter would be n-type and the minority carriers in the emitter would be the photo-holes. In that case the window would preferably have a band discontinuity in the valence band to reflect the minority holes in the emitter back toward the p/n junction 104, and the BSF would preferably have a band discontinuity in the conduction band to reflect the minority electrons in the base back toward the p/n junction 104. The optical input 100 is absorbed within the thickness 120 of the emitter and base, and the minority photo-carriers in the base and in the emitter are swept across the p/n junction 104 developing a photo-current and photo-voltage across an external circuit which can be connected to the top metal 10 and the substrate 24.
(当審日本語仮訳:本開示の実施形態のトランスデューサは、図2に示されている。図1に示された先行技術の最先端の単接合PVデバイスと同様に、図2の本開示の光トランスデューサデバイスは、ベース18と、反対極性(pまたはn)のドーパントがドープされた半導体からなるエミッタ16とを含む。ベースとエミッタは、p-n接合104を形成し、一緒に、トランスデューサの前面102に衝突する光入力信号100を吸収する半導体材料の厚さ(t)120を有する。本実施形態では、エミッタと同じドーピングタイプでドーピングされ、前面102とエミッタ16との間に配置されたパッシベーション窓14を含む。コンタクト層12および/または金属層10は、トランスデューサ装置によって生成された電流および電圧を取り出すために使用することができる。コンタクト層および/または金属層は、標準的なフォトリソグラフィ技術を用いてパターニングするか、または、光入力を半導体エミッタ16およびベース18の吸収厚さ120に効率的に到達させるために、前面102の一部のみを覆うように堆積させることができる。光学的に透明であるが電気的に伝導性のある層もまた、コンタクト層または金属層12,10と組み合わせて、またはそれに代えて使用することができる。ベース18およびエミッタ16のような層は、典型的には、機械的支持体として機能し、半導体結晶の格子定数を規定する基板24上に成長する。バッファ層22は、結晶の品質を調整するため、または他の製造、光学的、電気的、または結晶成長の目的のために、基板24とベース18との間に配置することができる。例えば、バッファ層22は、好ましくは、電気伝導度(電流を取り出すための横方向のシート伝導度または縦方向の伝導度)を提供するため、またはPVデバイスの光学特性を変化させるために使用される。好ましくは、裏面電界(BSF)層20が使用され、ベース18と同じドーピングタイプでドーピングされ、基板24とベース18との間に配置される。BSF層および窓層は、好ましくは、少数キャリアをp/n接合に向かって反射させるために使用される。例えば、ベースがp型であり、ベース内の少数キャリアが光電子である場合、エミッタはn型であり、エミッタ内の少数キャリアが光穴である。その場合、窓は、好ましくは、エミッタ内の少数正孔をp/n接合104に向かって反射させるために価電子帯のバンド不連続性を有し、BSFは、好ましくは、ベース内の少数電子をp/n接合104に向かって反射させるために伝導帯のバンド不連続性を有するであろう。光入力100は、エミッタおよびベースの厚さ120内で吸収され、ベースおよびエミッタ内の少数フォトキャリアは、p/n接合104を横切って掃引され、トップメタル10および基板24に接続可能な外部回路を横切って光電流および光電圧を発生する。)」
「[0041] Furthermore, the embodiment of the present disclosure incorporates connecting elements 106 (c1), 108 (c2), 110 (c3), and 112 (c4). The connecting elements are positioned at a specific distances away from the surface of the emitter 104 closest to the front surface 102. For example as illustrated in FIG. 2, connecting element c1 106 is positioned at a distance d1 from the emitter and window interface, similarly connecting element c2 108 is positioned at a distance d2 from the emitter and window interface, connecting element c3 110 is positioned at a distance d3 from the emitter and window interface, connecting element c4 112 is positioned at a distance d4 from the emitter and window interface. FIG. 2 exemplifies an embodiment with 4 connecting elements; other embodiments can include more than 4 connecting elements or less than 4 connecting elements without departing from the scope of the present disclosure.
(当審日本語仮訳:さらに、本開示の実施形態では、接続要素106(c1)、108(c2)、110(c3)、および112(c4)が組み込まれている。接続要素は、前面102に最も近いエミッタ104の表面から離れた特定の距離に配置される。例えば、図2に例示されるように、接続要素c1 106は、エミッタおよびウィンドウインターフェースからの距離d1に位置決めされ、同様に、接続要素c2 108は、エミッタおよびウィンドウインターフェースからの距離d2に位置決めされ、接続要素c3 110は、エミッタおよびウィンドウインターフェースからの距離d3に位置決めされ、接続要素c4 112は、エミッタおよびウィンドウインターフェースからの距離d4に位置決めされている。図2は、4つの接続要素を有する実施形態を例示しているが、他の実施形態は、本開示の範囲から逸脱することなく、4つ以上の接続要素または4つ未満の接続要素を含むことができる。)」
「[0042] FIGS. 3, 4, 5, and 6 make use of semiconductor band diagrams to illustrate how the electrical output voltage of the transducer can be made higher than the input light photo voltage (hν/e) by using connecting elements in accordance with the present disclosure.
(当審日本語仮訳:図3、図4、図5および図6は、本開示に従って接続要素を使用することにより、トランスデューサの電気出力電圧を入力光フォト電圧(hν/e)よりも高くする方法を説明するために、半導体バンド図を使用している。)」
「[0046] FIG. 5 shows the four segments 1012, 1014, 1016, and 1018 electrically connected to each other with connecting elements 1020, 1022, and 1024. Each connecting element adjoins (i.e., is in contact with) two of the four segments. Each connecting element is configured to introduce an electric potential between the segments to which each connecting element is connected (electrically connected). The successive built-in electric potentials V_(bi), V′_(bi), V″_(bi), and V′″_(bi) add up to introduce a total built-in electric potential equal to V_(total)=V_(bi)+V′_(bi)+V″_(bi)+V′″_(bi). When all the built-in electric potentials are equal to V_(bi), V_(total)=4*V_(bi).
(当審日本語仮訳:図5は、接続要素1020、1022、1024で互いに電気的に接続された4つのセグメント1012、1014、1016、1018を示している。各接続要素は、4つのセグメントのうちの2つに隣接している(すなわち、接触している)。各接続要素は、各接続要素が接続されている(電気的に接続されている)セグメント間に電位を導入するように構成されている。連続する内蔵電位V_(bi)、V′_(bi)、V″_(bi)、およびV′″_(bi)は、V_(totatal)=V_(bi)+V′_(bi)+V″_(bi)+V′″_(bi)に等しい総内蔵電位を導入するために加算される。すべての内蔵電位がV_(bi)に等しいとき、V_(total)=4*V_(bi)となります。)」
「[0050] FIG. 7 shows an example of a connecting element 300 that can be used as the connecting element c1 106, c2 108, c3 110, and/or c4 112 shown in FIG. 2; the connecting element 300 of FIG. 7 can also be used as the connecting element 1020, 1022, and/or 1024 shown at FIG. 5. The following describes the connecting element 300 in relation to base segments 1014, 1016, and 1018 of FIG. 5. The connecting element 300 comprises a first layer 302 closest to the front surface of the photo-transducer (closest to the n-doped region 1001 shown at FIG. 3) and is p-doped, as are the base elements 1014, 1016, and 1018 of FIG. 4. The bandgap Eg1 of layer 302 is greater than the bandgap energy of the base elements 1014, 1016, and 1018, and, as such, the layer 302 is transparent to the optical input signal, which has a photon energy value close to that of the bandgap energy 1004 (see FIG. 3).
(当審日本語仮訳:図7は、図2の接続要素c1 006、c2 008、c3 110、および/またはc4 112として使用することができる接続要素300の例を示しており、図7の接続要素300は、図5の接続要素1020、1022、および/または1024としても使用することができる。以下、図5のベースセグメント1014、1016、および1018に関連して、接続要素300を説明する。接続要素300は、光トランスデューサの前面に最も近い(図3に示すn-ドープ領域1001に最も近い)第1の層302からなり、図4のベース要素1014、1016、および1018と同様にp-ドープされている。層302のバンドギャップEg1は、ベース要素1014、1016、1018のバンドギャップエネルギーよりも大きく、そのように、層302は、バンドギャップエネルギー1004(FIG3を参照)に近い光子エネルギー値を有する光入力信号に対して透明である。)」
「[0051] The connecting element 300 further comprises a second layer 304 that is electrically connected to first layer 302. The second layer 304 is also p-doped; however, the concentration of dopants in the second layer 304 is higher than in the first layer 302. The bandgap Eg2 of second layer 304 is greater than the bandgap energy of the base elements 1014, 1016, and 1018 and, as such, the second layer 304 is transparent to the optical input signal.
(当審日本語仮訳:接続要素300はさらに、第1の層302に電気的に接続された第2の層304を構成する。第2の層3004はまた、pドープされているが、第2の層3004におけるドーパントの濃度は、第1の層3002におけるドーパントの濃度よりも高い。第2の層3004のバンドギャップEg2は、ベース要素1014、1016、1018のバンドギャップエネルギーよりも大きく、そのように、第2の層3004は、光入力信号に対して透明である。)」
「[0052] The connecting element 300 further comprises a third layer 306 that is electrically connected to the second layer 304. The third layer 306 is n-doped with a high concentration of dopants, the concentration of dopants in the third layer 306 is similar to that of the second layer 304. The bandgap Eg3 of layer 306 is greater than the bandgap energy of the base elements 1014, 1016, and 1018 and, as such, the second layer 304 is transparent to the optical input signal.
(当審日本語仮訳:接続要素300は、第2の層304に電気的に接続された第3の層306をさらに構成する。第3の層306は、高濃度のドーパントがn-ドープされており、第3の層306のドーパントの濃度は、第2の層304と同様である。第3の層306のバンドギャップEg3は、ベース要素1014、1016、1018のバンドギャップエネルギーよりも大きく、このように、第2の層304は光入力信号に対して透明である。)」
「[0053] The connecting element 300 further comprises a fourths layer 308 electrically connected to the third layer 306 and is n-doped but preferably but at a dopant concentration that is lower than that of the third layer 306. The bandgap Eg4 of layer 308 is greater than the bandgap energy of the base elements 1014, 1016, and 1018 and, as such, the second layer 304 is transparent to the optical input signal.
(当審日本語仮訳:接続要素300はさらに、第3の層306に電気的に接続された第4の層308を構成し、nドープされているが、好ましくは、第3の層306よりも低いドーパント濃度である。層308のバンドギャップEg4は、ベース要素1014、1016、および1018のバンドギャップエネルギーよりも大きく、そのように、第2の層304は、光入力信号に対して透明である。)」
「[0054] The connecting element 300 further comprises a fifth layer 310 electrically connected to the fourth layer 308. The fifth layer 310 is n-doped at a similar or lower dopant concentration than the fourth layer 308. The bandgap Eg5 of layer 310 is the same or greater than the bandgap of the base elements 1014, 1016, and 1018.
(当審日本語仮訳:接続要素300はさらに、第4の層308に電気的に接続された第5の層310を構成する。第5の層310は、第4の層308と同等またはそれよりも低いドーパント濃度でn-ドープされている。第5層3100のバンドギャップEg5は、ベース要素1014、1016、1018のバンドギャップと同じかそれ以上である。)」
「[0058] With reference to FIGS. 1 and 2, to achieve the desired optoelectronic properties of the photo-transducer of the present disclosure, the connecting elements in the embodiment of FIG. 2 divide the thickness t of the base 18 of the transducer into multiple base segments. For example the base segment s1 130, the base segment s2 132, the base segment s3 134, the base segment s4 136, and the base segment s5 138, as illustrated in FIG. 2. The thicknesses of the various base segments (s1, s2, s3, s4, s5) can be the same or they can be different by adjusting the position of the connecting elements. That is the position d1 of c1, the position d2 of c2, the position d3 of c3, and the position d4 of c4 can be adjusted to change the thicknesses of the various base segments. The values of d1, d2, d3, d4 can be chosen such that the thickness of s5 138 is greater than the thickness of s4 136, and the thickness of s4 136 is greater than the thickness of s3 134, and the thickness of s3 134 is greater than the thickness of s2 132, the thickness of s2 132 is greater than the thickness of s1 130.
(当審日本語仮訳:図1および図2を参照して、本開示の光トランスデューサの所望の光電子特性を達成するために、図2の実施形態の接続要素は、トランスデューサのベース18の厚さtを複数のベースセグメントに分割する。例えば、図2に示されるように、ベースセグメントs130、ベースセグメントs2132、ベースセグメントs3134、ベースセグメントs4136、およびベースセグメントs5138がある。各種ベースセグメント(s1、s2、s3、s4、s5)の厚みは同じであってもよいし、連結部材の位置を調整することで異なっていてもよい。すなわち、c1の位置d1、c2の位置d2、c3の位置d3、c4の位置d4を調整することにより、各種ベースセグメントの厚みを変化させることができる。d1、d2、d3、d4の値は、s5の厚さ138がs4の厚さ136よりも大きく、s4の厚さ136がs3の厚さ134よりも大きく、s3の厚さ134がs2の厚さ132よりも大きく、s2の厚さ132がs1の厚さ130よりも大きくなるように選択することができる。)」
「[0059] The value of d1, d2, d3, d4 can be chosen such that each base segment (s1, s2, s3, s4, s5) absorb substantially the same fraction of the photons from the optical input 100. For example S1 absorbs 20% of the photons from the optical input, s2 absorbs 20% of the photons from the optical input, s3 absorbs 20% of the photons from the optical input, s4 absorbs 20% of the photons from the optical input, and s5 absorbs 20% of the photons from the optical input. To obtain an ideal photo-transducer, all the base segments taken together absorb substantially all the photons from the optical input 100. But for manufacturing or cost considerations, and depending on the application for the photo-transducer, it may be desirable that all the base segments together absorb less than all the photons from the optical input 100. For example, the various base segments 51, s2, s3, s4, and s5 can absorb each 19.8% of the optical input 100. It will also be clear for one skilled in the art that the thickness t of the base 18 and the absorption coefficient of the semiconductor material used to construct the base will be important factors in determining the fraction of the optical input signal absorbed by each base segment and in total by the group of base segments all together.
(当審日本語仮訳:d1、d2、d3、d4の値は、各ベースセグメント(s1、s2、s3、s4、s5)が光入力100からの光子の実質的に同じ割合を吸収するように選択することができる。例えば、s1は光入力からの光子の20%を吸収し、s2は光入力からの光子の20%を吸収し、s3は光入力からの光子の20%を吸収し、s4は光入力からの光子の20%を吸収し、s5は光入力からの光子の20%を吸収する。理想的な光トランスデューサを得るためには、一緒に取られたすべてのベースセグメントは、光入力100からの実質的にすべての光子を吸収する。しかし、製造上またはコスト上の考慮のために、および光トランスデューサの用途に応じて、すべてのベースセグメントを一緒に取ると、光入力100からのすべての光子よりも少ない光子を吸収することが望ましい場合がある。例えば、様々なベースセグメントs1、s2、s3、s4、およびs5は、それぞれ光入力100の19.ベース18の厚さtおよびベースを構成するのに使用される半導体材料の吸収係数が、各ベースセグメントによって吸収される光入力信号の割合、およびベースセグメントのグループによってすべて一緒に吸収される光入力信号の割合を決定する上で重要な要因となることは、当技術分野に熟練した者にとっても明らかであろう。)」
「[0062] Examples of lattice-matched or pseudomorphic semiconductors that can be used for the base layer 18 or the base segments 130, 132, 134, 136, and 138 for embodiments comprising a Ge substrate 24 include: latticed-matched Ge, In_(x)Ga_((1-x))As, InAlGaAs, In_(x)Ga_((1-x))P, Al_(x)Ga_((1-x))P; or binary GaAs, AlAs, or ZnSe; or ternary Al_(x)Ga_((1-x))As; or quaternary InGaAsP, GaInNAs. As will be understood by a worker skilled in the art, other alloys can also be used such as: group IV semiconductors: Ge, SiGe; other III-V alloys of AlGaInNPAsSb; other II-VI alloys of ZnCdMnMgOSSeTe. Other embodiments can incorporate nanostructures to enhance the optical properties, electronic properties, and/or material properties. For example the base 18 could comprise layers of semiconductor quantum wells, quantum wires, or quantum dots.
(当審日本語仮訳:Ge基板24を構成する実施形態では、ベース層18またはベースセグメント130、132、134、136、138に使用することができる格子整合された半導体または擬態半導体の例には、以下のものが含まれる。格子整合されたGe、In_(x)Ga_((1-x))As、InAlGaAs、In_(x)Ga_((1-x))P、Al_(x)Ga_((1-x))P;または2元のGaAs、AlAs、またはZnSe;または3元のAl_(x)Ga_((1-x))As;または4元のInGaAsP、GaInNAsが挙げられる。当技術に熟練した当業者であれば理解されるであろうが、他の合金もまた、以下のようなものを使用することができる:IV族半導体。Ge、SiGe;AlGaInNNPAsSbの他のIIII-V族合金;ZnCdMnMgOsSeTeの他のIII-VI族合金。他の実施形態では、光学特性、電子特性、および/または材料特性を強化するために、ナノ構造を組み込むことができる。例えば、基体18は、半導体量子井戸、量子ワイヤ、または量子ドットの層を構成することができる。)」
「[0078] The connecting elements 300 as illustrated in FIG. 7 are disposed within the base 18 as illustrated in FIG. 2 at specific distances from the emitter. As mentioned above, these distances depend on the wavelength of the optical input 100 and on the absorption coefficient of the base material 18. A worker skilled in the art will recognize that there are many possible combinations of optical wavelengths and base materials which can be used to satisfy different applications. To exemplify an embodiment of the disclosure, the description below details example positions of the connecting elements for a photo-transducer of the present disclosure using an optical input 100 with a wavelength of 830 nm. The semiconductor material for the base layer is chosen to have a bandgap energy smaller than the energy of the photons of the optical input 100. The bandgap energy can be between 500 meV and 0 meV smaller than the energy of the photons of the optical input 100. In other embodiments, the bandgap energy can be between 200 meV and 10 meV smaller than the energy of the photons of the optical input 100. Yet in other embodiments, it might be desirable to design the photo-transducer with the bandgap energy to be slightly larger than the energy of the photons of the optical input 100 in the case for which the semiconductor material has residual absorption below the bandgap energy. For a wavelength of 830 nm, the photon energy is 1.494 eV, therefore the base semiconductor material can be chosen to be preferably GaAs, or Al_(x)Ga_((1-x))As with x comprised between 0% and 5%. If a p-type GaAs base is chosen as illustrated in FIG. 2 with a thickness 120 of t=4 microns, then the absorption coefficient α for GaAs at the optical input wavelength of 830 nm is approximately 1.2×10^(4) cm^(-1). Therefore based on the formula for the absorption I(z)=I_(o)exp(-az) it is straightforward to calculate that the value for the position of the connecting elements of d1=192 nm, d2=438 nm, d3=784 nm, and d4=1365 nm will divide the base into 5 segments, s1, s2, s3, s4, and s5, each absorbing 19.8% of the optical input light.
(当審日本語仮訳:図7に図示されているような接続要素300は、図2に図示されているような基材18内に、エミッタからの特定の距離で配置されている。上述したように、これらの距離は、光入力100の波長および基材18の吸収係数に依存する。当技術に熟練した当業者であれば、異なる用途を満足させるために使用され得る光学波長および基材の多くの可能な組み合わせがあることを認識するであろう。本開示の一実施形態を例示するために、以下の説明は、830nmの波長を有する光入力100を用いた本開示の光トランスデューサのための接続要素の例示的な位置を詳述する。ベース層用の半導体材料は、光入力100の光子のエネルギーよりも小さいバンドギャップエネルギーを有するように選択される。バンドギャップエネルギーは、光入力100の光子のエネルギーよりも小さい500meVから0meVの間であり得る。他の実施形態では、バンドギャップエネルギーは、光入力100の光子のエネルギーよりも200meVから10meVの間で小さくすることができる。まだ他の実施形態では、半導体材料がバンドギャップエネルギー以下の残留吸収を有する場合には、バンドギャップエネルギーが光入力100の光子のエネルギーよりもわずかに大きくなるように光トランスデューサを設計することが望ましいかもしれない。波長 830 nm の場合、光子エネルギーは 1.494 eV であるため、ベースとなる半導体材料は、好ましくは GaAs、または x が 0%から 5%の間で構成される Al_(x)Ga_((1-x))As を選択することができる。図2に示すように、厚さ120がt=4ミクロンのp型GaAsベースが選択された場合、光入力波長830nmでのGaAsの吸収係数αは約1.2×10^(4)cm^(-1)である。したがって、吸収I(z)=I_(o)exp(-az)の式から、d1=192nm、d2=438nm、d3=784nm、d4=1365nmの接続素子の位置の値は、ベースをs1、s2、s3、s4、s5の5つのセグメントに分割し、それぞれが光入力光の19.8%を吸収することが容易に計算できます。)」
「[0099] The transducer of the present disclosure has a well-defined and wide dynamic range response in voltage and current with respect to the optical input power. The current and I_(sc) have a linear dependence on the input optical power and, V_(oc) has a logarithmic response. The transducer of the present disclosure can therefore be used in applications where monitoring the intensity of a highly focused beam of monochromatic light is needed. Examples of applications may include continuous wave (CVV) and pulsed laser beams and focused light from LED's or other monochromatic sources of light. The use of a design with no grid lines is particularly useful when accurate power monitoring and measurements is required. This is because focused light beams may have beam diameters or spot sizes comparable to the widths and spacing of the grid lines, thereby introducing considerable errors from shadowing if the beam falls on or in between grid lines. Furthermore, high power density light beams can be problematic for prior art technologies using photo-diodes with limited power ratings. These will often require the use of additional bulky beam splitters and attenuators also sensitive to high power densities, to quench and attenuate the incident power of the beam to monitor.
(当審日本語仮訳:本開示のトランスデューサは、光入力パワーに関して、電圧および電流において、十分に定義された広いダイナミックレンジ応答を有する。電流およびIscは、入力光パワーに対する線形依存性を有し、Vocは対数応答を有する。したがって、本開示のトランスデューサは、単色光の高度に集束されたビームの強度を監視する必要があるアプリケーションで使用することができる。アプリケーションの例としては、連続波(CVV)およびパルスレーザビーム、ならびにLEDまたは他の単色光源からの集光光が挙げられる。グリッド線のない設計の使用は、正確なパワーモニタリングおよび測定が必要な場合に特に有用である。これは、集光された光ビームがグリッド線の幅や間隔に匹敵するビーム径やスポットサイズを持つ場合があるため、ビームがグリッド線上やグリッド線の間に落ちた場合、シャドウイングによる大きな誤差が発生するからです。さらに、高出力密度の光ビームは、限られた出力定格を有するフォトダイオードを使用する先行技術にとって問題となり得る。これらの技術では、モニターするビームの入射パワーを消光したり減衰させたりするために、高出力密度に敏感な大型のビームスプリッタやアッテネータを追加で使用する必要があります。)」
「図2


「図5?6」


「図7


第5 対比、判断
1 本願発明と引用発明とを、以下に対比する。
(1)対比
ア 引用発明の「受信OETC(Opto-electronic IC)」は、本願発明の「受信機モジュール(EM)」に相当する。
イ 引用発明の「pinフォトダイオード部」は、光を電気に変換するものであるところ、本願発明の「第1のスタック(ST1)」は、「光(L)が、前記第1のスタック(ST1)の表面(OB)に入射し」、「ソース電圧を生成」するものである。
したがって、引用発明の「pinフォトダイオード部」と、本願発明の「第1のスタック(ST1)」とは、光を電気に変換する「光電変換部」である点で一致するといえる。
ウ 引用発明の「電界効果型トランジスタ部」は、本願発明の「トランジスタ」に相当する。
エ 引用発明の「半絶縁性GaAs基板1」は、本願発明の「半導体基板(受信機モジュール(EM)の基板)」に相当し、本願発明の「ガリウムヒ素を含み」との構成を有している。
オ 引用発明の「pinフォトダイオード部」及び「電界効果型トランジスタ部」は、「半絶縁性GaAs基板1に」「モノリシックに作製」されていることから、引用発明と本願発明とは、「半導体基板は、光電変換部とトランジスタとにモノリシックに接続され」ている点で、一致するといえる。
カ 引用発明の「pinフォトダイオード部」は、「n側電極5」と「p側電極6」を備えており、「p側電極6とゲート電極10とが配線メタル7で連結される」構成であるから、引用発明と本願発明とは、「前記トランジスタの制御入力側は、2つの電気的コンタクトのうちの1つに相互接続されて」いる点で、一致するといえる。
キ 以上より、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。

<一致点>
「受信機モジュール(EM)であって、
光電変換部は半導体基板上に配置される、受信機モジュール(EM)において、
受信機モジュール(EM)の基板は、ガリウムヒ素を含み、
受信機モジュール(EM)の光電変換部の下面近傍において、段状の縁部が形成されており、
半導体基板は、光電変換部とトランジスタとにモノリシックに接続され、トランジスタの制御入力側は、2つの電気的コンタクトのうちの1つに相互接続されている、受信機モジュール(EM)。」

<相違点>
・相違点1
「光電変換部」について、本願発明の光電変換部は、「相互に直列に接続された半導体ダイオードとして構成されたN個の部分電圧源を有し、それによって、N個の部分電圧源がソース電圧を生成し、
前記部分電圧源の各々は、p-n接合部を有する半導体ダイオード(D1,D2,D3,D4,D5)を有し、
前記半導体ダイオード(D1,D2,D3,D4,D5)は、p型ドープされた吸収層を有し、前記p型吸収層は、前記p型吸収層のバンドギャップよりも大きなバンドギャップを有するp型ドープされたパッシベーション層によって不動態化されており、
前記半導体ダイオード(D1,D2,D3,D4,D5)は、n型吸収層を有し、前記n型吸収層は、前記n型吸収層のバンドギャップよりも大きなバンドギャップを有するn型ドープされたパッシベーション層によって不動態化されており、それぞれ順次連続する2つの前記部分電圧源の間に、トンネルダイオード(T1,T2;T3,T4)が形成されており、
前記部分電圧源と前記トンネルダイオード(T1,T2,T3,T4)とが共にモノリシックに集積化され、上面と下面とを有する共通の第1のスタック(ST1)を形成しており、
前記部分電圧源の数Nは、2以上であり、
前記第1のスタック(ST1)における上面において、光(L)が、前記第1のスタック(ST1)の表面(OB)に入射し、前記第1のスタック(ST1)は、前記表面(OB)上に第1の電気的コンタクトを有し、さらに前記下面に第2の電気的コンタクトを有しており、
前記第1のスタック(ST1)は、12μm未満の総厚さを有し、
前記半導体ダイオードの半導体材料は、III-V族材料からなり、
前記半導体ダイオード(D1,D2,D3,D4,D5)間の前記トンネルダイオード(T1,T2,T3,T4)は、前記半導体ダイオード(D1,D2,D3,D4,D5)のp型/n型吸収層のバンドギャップよりも大きなバンドギャップを有する複数の半導体層を有し、
個々の前記部分電圧源の部分ソース電圧は、相互に20%未満の偏差を有し」ているのに対して、引用発明の光電変換部は、そのようなものではない点。

・相違点2
「段状の縁部」について、本願発明では、第1のスタック(ST1)を「囲繞」するのに対して、引用発明では、「囲繞」しているか否か不明である点。

・相違点3
本願発明では、「受信機モジュール(EM)は、量子井戸構造を有さない」のに対して、引用発明は、量子井戸構造を有するか否か不明である点。

(2)判断
ア 相違点1について
(ア)引用文献1に記載された「光トランスデューサデバイス」について
引用文献1の図2に記載された「光トランスデューサデバイス」(以下「文献1図2デバイス」という。)は、相違点1に係る構成を備える「光電変換部」に相当するといえる。
先ず、相違点1に係る構成と「文献1図2デバイス」の構成とを、以下に対比する。また、以下の段落番号及び図番は、上記第4の2(1)によるものである。

a [0042]によれば、図5は、「本開示に従って接続要素を使用することにより、トランスデューサの電気出力電圧を入力光フォト電圧(hν/e)よりも高くする方法を説明するため」の「半導体バンド図」である。
また、[0050]には、「図7は、図2の接続要素c1 006、c2、108、c3、110、および/またはc4 112として使用することができる接続要素300の例を示しており、図7の接続要素300は、図5の接続要素1020、1022、および/または1024としても使用することができる」と記載されている。
したがって、図5及び図5を説明する[0046]の記載を参酌しつつ図2をみれば、「文献1図2デバイス」は、「N個の部分電圧源を有し、それによって、N個の部分電圧源がソース電圧を生成し」との構成を備えているといえる。
また、[0046]の「各接続要素は、各接続要素が接続されている(電気的に接続されている)セグメント間に電位を導入するように構成されている」との記載及び図5(例えば、セグメント1016において、V″biを示す伝導体側の点線)から、「文献1図2デバイス」の各ベースセグメント(s1、s2、s3、s4、s5)が「半導体ダイオードとして構成され」ていることは明らかであり、各ベースセグメント(s1、s2、s3、s4、s5)は「相互に直列に接続され」ているといえる。
b 上記aのとおり、「文献1図2デバイス」の各ベースセグメント(s1、s2、s3、s4、s5)は、「半導体ダイオードとして構成され」ているから、「部分電圧源の各々は、p-n接合部を有する半導体ダイオード(D1,D2,D3,D4,D5)を有し」ているといえる。
c [0050]には、「図7は、図2の接続要素c1 006、c2、1008、c3、110、および/またはc4 112として使用することができる接続要素300の例を示しており、図7の接続要素300は、図5の接続要素1020、1022、および/または1024としても使用することができる」と記載されていることから、「文献1図2デバイス」の「接続要素(c1、c2、c3、c4)」は、図7の「接続要素300」に相当するものと理解できるところ、「接続要素300」の構成は、[0050]?[0054]及び図7の記載より、 次のとおりのものである。
なお、[0050]には、「以下、図5のベースセグメント1014、1016、および1018に関連して、接続要素300を説明する」と記載されているところ、「文献1図2デバイス」の「ベースセグメント(s1、s2、s3、s4、s5)」に置き換えて読めることは明らかである。
(a)接続要素300は、光トランスデューサの前面に最も近い(図3に示すn-ドープ領域1001に最も近い)第1の層302からなり、図4のベース要素1014、1016、および1018と同様にp-ドープされている。
層302のバンドギャップEg1は、ベース要素1014、1016、1018のバンドギャップエネルギーよりも大きく、そのように、層302は、バンドギャップエネルギー1004(FIG3を参照)に近い光子エネルギー値を有する光入力信号に対して透明である。([0050])
(b)接続要素300はさらに、第1の層302に電気的に接続された第2の層304を構成する。
第2の層3004はまた、pドープされているが、第2の層304におけるドーパントの濃度は、第1の層302におけるドーパントの濃度よりも高い。
第2の層304のバンドギャップEg2は、ベース要素1014、1016、1018のバンドギャップエネルギーよりも大きく、そのように、第2の層304は、光入力信号に対して透明である。([0051])
(c)接続要素300は、第2の層304に電気的に接続された第3の層306をさらに構成する。
第3の層306は、高濃度のドーパントがn-ドープされており、第3の層306のドーパントの濃度は、第2の層304と同様である。
第3の層306のバンドギャップEg3は、ベース要素1014、1016、1018のバンドギャップエネルギーよりも大きく、このように、第2の層304は光入力信号に対して透明である。([0052])
(d)接続要素300はさらに、第3の層306に電気的に接続された第4の層308を構成し、nドープされているが、好ましくは、第3の層306よりも低いドーパント濃度である。
層3008のバンドギャップEg4は、ベース要素1014、1016、および1018のバンドギャップエネルギーよりも大きく、そのように、第2の層3004は、光入力信号に対して透明である。([0053])
(e)接続要素300はさらに、第4の層308に電気的に接続された第5の層310を構成する。
第5の層310は、第4の層308と同等またはそれよりも低いドーパント濃度でn-ドープされている。
第5層3100のバンドギャップEg5は、ベース要素1014、1016、1018のバンドギャップと同じかそれ以上である。([0054])
d 図2及び図5より、各ベースセグメント(s1、s2、s3、s4、s5)は、「p型」であって、電圧を発生するものであるから、各ベースセグメント(s1、s2、s3、s4、s5)は、「p型ドープされた吸収層」といえる。そして、上記aのとおり、各ベースセグメントは、「半導体ダイオード」を構成するものである。
したがって、「文献1図2デバイス」は、「半導体ダイオード(D1,D2,D3,D4,D5)は、p型ドープされた吸収層を有し」との構成を備えるといえる。
e 上記c(a)より、「第1の層302」は、「p-ドープされ」、「層302のバンドギャップEg1は、ベース要素1014、1016、1018のバンドギャップエネルギーよりも大き」いものである。
そして、「第1の層302」は、「ベース要素1014、1016、および1018」に接触している([0046、図5])。
したがって、上記構成からみれば、「第1の層302」は、「p型吸収層のバンドギャップよりも大きなバンドギャップを有するp型ドープされたパッシベーション層」といえ、当該「p型吸収層」は、当該「パッシベーション層によって不動態化されて」いるといえる。
f 上記c(e)より、「第5の層310」は、「第4の層308と同等またはそれよりも低いドーパント濃度でn-ドープされ」ており、「第5層310のバンドギャップEg5は、ベース要素1014、1016、1018のバンドギャップと同じ」であり、「ベース要素1014、1016、および1018」に接触している([0046、図5])。
そして、「各接続要素は、各接続要素が接続されている(電気的に接続されている)セグメント間に電位を導入するように構成されている」([0048])との記載に鑑みれば、「第5の層310」は、「n型吸収層」に相当し、「文献1図2デバイス」は、「半導体ダイオード(D1,D2,D3,D4,D5)は、n型吸収層を有し」との構成を備えるといえる。
g 上記c(d)より、「第4の層308」は、「n-ドープされ」、「第3の層306よりも低いドーパント濃度」であり、「層308のバンドギャップEg4は、ベース要素1014、1016、および1018のバンドギャップエネルギーよりも大き」いものであるところ、「第5層310のバンドギャップEg5は、ベース要素1014、1016、1018のバンドギャップと同じ」である。
また、「第4の層308」は、「第3の層306に電気的に接続され」ており、図7より、「第5の層310」に接触した構成とみてとれる。
したがって、上記構成からみれば、「第4の層308」は、「n型吸収層のバンドギャップよりも大きなバンドギャップを有するn型ドープされたパッシベーション層」といえ、当該「n型吸収層」は、当該「パッシベーション層によって不動態化されて」いるといえる。
h [0047]には、「図6は、接続要素がトンネルダイオード1021、1023、1025を形成する高度にドープされた半導体からなる本開示のトランスデューサの一実施形態を示す」と記載され、図6より、当該トンネルダイオードが、ベースセグメント1014、1016、および1018の各セグメント間に形成されている構成がみてとれる。
一方、上記c(b)及びc(c)より、「第2の層304」は、「pドープされ」、ドーパントの濃度は、第1の層302におけるドーパントの濃度よりも高」く、「バンドギャップEg2は、ベース要素1014、1016、1018のバンドギャップエネルギーよりも大き」い、また、「第3の層306」は、「高濃度のドーパントがn-ドープされ」、「第3の層306のドーパントの濃度は、第2の層304と同様であ」り、「バンドギャップEg3は、ベース要素1014、1016、1018のバンドギャップエネルギーよりも大き」いものである。
してみると、「第2の層304」及び「第3の層306」が、「トンネルダイオード」を形成していることは明らかといえる。
したがって、「文献1図2デバイス」は、「それぞれ順次連続する2つの前記部分電圧源の間に、トンネルダイオード(T1,T2;T3,T4)が形成されており」との構成を備え、「前記半導体ダイオード(D1,D2,D3,D4,D5)間の前記トンネルダイオード(T1,T2,T3,T4)は、前記半導体ダイオード(D1,D2,D3,D4,D5)のp型/n型吸収層のバンドギャップよりも大きなバンドギャップを有する複数の半導体層を有し」ているといえる。
i 図2より、ベースセグメント(s1、s2、s3、s4、s5)と接続要素(c1、c2、c3、c4)とは、基板24上にモノリシックに積み重ねられた構成とみてとれ、接続要素は、トンネルダイオードを含むものである。
したがって、「文献1図2デバイス」は、「前記部分電圧源と前記トンネルダイオード(T1,T2,T3,T4)とが共にモノリシックに集積化され」る構成を備え、「上面と下面とを有する共通の第1のスタック(ST1)を形成して」いるといえる。
j 図2より、ベースセグメント(s1、s2、s3、s4、s5)の数は「5」とみてとれる。
したがって、「文献1図2デバイス」は、「前記部分電圧源の数Nは、2以上であり」との構成を備えるといえる。
k 図2より、「文献1図2デバイス」の上面より光が入射される構成がみてとれ、[0040]には、「コンタクト層12および/または金属層10は、トランスデューサ装置によって生成された電流および電圧を取り出すために使用することができる」、「バッファ層22は、好ましくは、電気伝導度(電流を取り出すための横方向のシート伝導度または縦方向の伝導度)を提供するため、またはPVデバイスの光学特性を変化させるために使用される」と記載されている。
したがって、「文献1図2デバイス」は、「前記第1のスタック(ST1)における上面において、光(L)が、前記第1のスタック(ST1)の表面(OB)に入射し、前記第1のスタック(ST1)は、前記表面(OB)上に第1の電気的コンタクトを有し、さらに前記下面に第2の電気的コンタクトを有しており」との構成を備えるといえる。
l [0078]には、「図2に示すように、厚さ120がt=4ミクロンのp型GaAsベースが選択された場合」と記載されている。
したがって、「文献1図2デバイス」は、「前記第1のスタック(ST1)は、12μm未満の総厚さを有し」、「前記半導体ダイオードの半導体材料は、III-V族材料からなり」との構成を備えているといえる。
m 上記aのとおり、「文献1図2デバイス」は、「N個の部分電圧源を有し、それによって、N個の部分電圧源がソース電圧を生成し」との構成を備えているところ、[0046]には、「…(前略)…。連続する内蔵電位V_(bi)、V′_(bi)、V″_(bi)、およびV′″_(bi)は、V_(totatal)=V_(bi)+V′_(bi)+V″_(bi)+V′″_(bi)に等しい総内蔵電位を導入するために加算される。すべての内蔵電位がV_(bi)に等しいとき、V_(total)=4*V_(bi)となります。」と記載されており、各セグメントの内蔵電位を等しくする態様が開示されている。
したがって、「文献1図2デバイス」は、「個々の前記部分電圧源の部分ソース電圧は、相互に20%未満の偏差を有している」との構成を備えるといえる。

c 小括
以上のとおりであるから、引用文献1の図2に記載された「光トランスデューサデバイス(文献1図2デバイス)」は、相違点1に係る構成を備える「光電変換部」といえる。

(イ)引用発明に、引用文献1に記載された「光トランスデューサデバイス」を適用することについて
引用発明は、「pinフォトダイオード部と電界効果型トランジスタ部(FET)とから構成されている、受信OETC」であるところ、光を受信する「pinフォトダイオード部」の光受信性能を向上させることが、常に求められる要請であることは、当業者には明らかである。
一方、引用文献1に記載された「光トランスデューサデバイス」は、広いダイナミックレンジ応答を有するものであって、光を検出するアプリケーションへの適用が示唆されている(上記第4の2(2)ウ)。
してみると、引用発明の「pinフォトダイオード部」の光受信性能を高めるために、引用文献1に記載された「光トランスデューサデバイス」を適用し、光の受信性能を高めることには、動機があるといえるから、引用発明に引用文献1に記載された「光トランスデューサデバイス」を適用し、相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者であれば容易になし得るものである。

イ 相違点2について
引用発明の「pinフォトダイオード部」は、「半絶縁性GaAs基板1」上に、再成長によって「モノリシックに作製」したものであって、既に「フォトダイオード部の下面近傍において、段状の縁部が形成され」た構成を備えていることから、当該「段状の縁部」を「囲繞」する形状として構成することは、当業者が適宜なし得る設計事項といえる。
よって、相違点2に係る構成は、当業者が容易になし得るものである。

ウ 相違点3について
上記第4の2(2)aのとおり、量子井戸構造を有するか否かは、当業者が所望により設計し得る事項であるから、相違点3に係る構成は、当業者が容易になし得るものである。

2 効果について
上記相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献1に記載された技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

3 審判請求人の主張
(1)審判請求書にて、「審査官は、引例4、5の構造を本願発明の構成に変更できるとしていますが、引例4、5は、本願発明の他の特徴に関しても技術的に何ら関係なく、当業者は、引例4、5から本願発明に想到することはありません。」(第5頁第6行?第8行)と主張している。
しかしながら、上記第5の(2)のとおり、本願発明は、引用発明(引用文献5)及び引用文献1に記載された事項から、容易になし得るものである。
(2)また、「(特徴2)個々の部分電圧源の部分ソース電圧は、相互に20%未満の偏差を有し」(第2頁第24行?第25行)、「特徴2に関しては、開示されている文献は提示されていません。」(第5頁第16行)とも主張している。
しかしながら、上記1の(2)ア(ア)mのとおり、引用文献1には、(特徴2)について開示されている。

上記のとおりであるから、請求人の主張は、上記判断を左右するものではない。

第6 むすび
以上のとおり、本件発明は、引用発明、引用文献1の記載事項及び周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。



 
別掲
 
審理終結日 2020-12-11 
結審通知日 2020-12-14 
審決日 2021-01-05 
出願番号 特願2018-541419(P2018-541419)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐竹 政彦  
特許庁審判長 瀬川 勝久
特許庁審判官 近藤 幸浩
吉野 三寛
発明の名称 受信機モジュール  
代理人 前川 純一  
代理人 二宮 浩康  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 上島 類  
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