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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F24F |
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管理番号 | 1374459 |
審判番号 | 不服2020-4308 |
総通号数 | 259 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-07-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-04-01 |
確定日 | 2021-05-27 |
事件の表示 | 特願2015-194914「換気システム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 4月 6日出願公開、特開2017- 67389〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成27年9月30日の出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。 令和元年6月24日付けで拒絶の理由の通知 令和元年8月30日に意見書及び手続補正書の提出 令和2年1月10日付けで拒絶査定 令和2年4月1日に拒絶査定不服審判の請求及び同時に手続補正書の提出 令和2年10月29日付けで当審における拒絶の理由の通知 令和2年12月14日に意見書及び手続補正書の提出 第2 本願発明 本願の請求項1?4に係る発明は、令和2年12月14日に提出された手続補正書により補正された明細書、特許請求の範囲及び願書に最初に添付された図面の記載によれば、特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 室内に配置されている調理器と、 前記室内に配置されており、前記室内の空気を換気する換気手段と、 前記室内に配置されており、前記調理器から離れた位置で前記室内の空気質を検知する検知手段と、 制御手段を備えており、 前記換気手段は、前記調理器の火力に応じた3段階以上の風量及び前記検知手段が検知した空気質に応じた3段階以上の風量で前記室内の空気を換気可能に構成されており、 前記制御手段は、前記調理器と通信可能に構成されており、前記調理器の火力に応じた3段階以上の風量のうち前記調理器から受信した現在の火力に応じて特定される1つの風量と、前記検知手段が検知した空気質に応じた3段階以上の風量のうち現在の空気質に応じて特定される1つの風量とを比較して、2つの風量のうち強い方の風量で前記室内の空気が換気されるように前記換気手段の運転を制御する、換気システム。」 第3 令和2年10月29日付けで通知した拒絶の理由 当審において、令和2年10月29日付けで通知した拒絶の理由のうち、理由1の一部は、概略以下のとおりである。 <理由1(進歩性)について> 本願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明に基いて、本願の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 記 (引用文献については引用文献一覧を参照) ・請求項1 ・引用文献1、2 ・備考 本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献2?4に例証される周知技術1及び引用文献3及び4に例証される周知技術2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 <引用文献一覧> 引用文献1:特開平2-166332号公報 引用文献2:実願昭60-159415号(実開昭62-67134号)のマイクロフィルム(周知技術を示す文献) 引用文献3:特開2014-228217号公報(周知技術を示す文献) 引用文献4:特開平11-141935号公報(周知技術を示す文献) 第4 引用文献 1 引用文献1について (1)引用文献1の記載 当審において通知した拒絶の理由に引用された引用文献であって、本願の出願前に頒布された引用文献1には、「電子蒸気供給装置」に関し、次の記載がある。 なお、「・・・」は記載の省略を示し、下線は当審において付したものである(以下同様。)。また、拗音及び促音は小文字とし、英数字は全角とした。 ア 「本発明は、換気扇の自動制御方法及び装置に関するものである。 〔従来の技術〕 調理場に設けられた換気扇には、温度変化を検出して換気扇を制御する自動換気扇が用いられるようになった。・・・ 〔発明が解決しようとする課題〕 上述の従来技術は、調理時に発生する煙,臭い,ガスなどを排出するという点については配慮がなされておらず、家屋内のより良い生活環境を維持するには問題があった。 本発明の目的は、例えば、調理時に発生する熱気はもちろんのこと、煙,臭い,ガスなどを検出して、それらを自動的に排出し、家屋内のより良い生活環境を維持することにある。 さらに、使用される環境条件によらず感度調整等をする必要のない使い勝手の良い換気扇制御装置を提供することにある。」(2頁右上欄14行?同頁左下欄17行) イ 「〔課題を解決するための手段〕 上記の課題を解決するためにとられた本発明の主なる構成は、・・・換気扇の自動制御装置においては、空気汚染検出手段,温度検出手段,前記空気汚染検出手段により検出された空気汚染発生前の空気の清浄レベルを記憶する清浄レベル記憶手段,前記温度検出手段の出力により温度の基準を記憶する温度基準記憶手段,前記空気汚染検出手段の任意の時点における出力と前記清浄レベル記憶手段に記憶されている空気の清浄レベルとの比を演算する出力比演算手段,前記温度検出手段の前記任意の時点における出力と前記温度基準記憶手段に記憶されている温度基準との差を演算する温度差演算手段,前記空気汚染検出手段の前記任意の時点における出力と前記空気の清浄レベルとの比の基準値を予め記憶させておく出力比基準記憶手段,前記任意の時点における前記温度検出手段の出力と前記温度基準との温度差の基準を予め記憶させておく温度差基準記憶手段,前記出力比演算手段の出力と前記出力比基準記憶手段に記憶されている値とを比較する出力比比較手段,前記温度差演算手段の出力と前記温度差基準記憶手段に記憶されている値とを比較する温度差比較手段,前記出力比演算手段,前記温度差演算手段,前記出力比比較手段及び前記温度差比較手段の出力より換気扇の制御量を演算する制御量演算手段、該制御量演算手段の出力により換気扇を制御する制御手段、及び、該制御手段の出力により前記換気扇を駆動する駆動手段からなることを一つの特徴とするものであり、さらに、前記清浄レベル記憶手段と前記温度基準記憶手段とを、前記換気扇の駆動停止期間中において、予め定めた所定時間経過毎に動作させ、前記空気の清浄レベル及び前記温度基準を更進する更新手段を有することを他の特徴とするものである。」(2頁右下欄1行?3頁右上欄2行) ウ 「〔作用〕 本発明は、煙,臭い,ガスなどによる空気汚染を検出する検出素子の清浄空気中における出力を基準値として記憶させておき、任意の時点における検出素子の出力をこの基準値と比較することにより、例えば、調理時に発生する煙,臭い,ガスなどの発生を検知し、この検出素子の出力の変化により換気扇の制御量を算出するようになっている。 また、例えば、調理時に発生する熱気に対しては、調理が行われていないときの温度検出素子の出力を温度の基準値として記憶させておき、任意の時点における温度検出素子の出力のこの温度の基準値に対する温度差で、調理時に発生する熱気を検知し、この温度差によって換気扇の制御量を算出するようになっている。 そして、算出したこれらの制御量を比較して換気扇の制御量を決定し、この値により換気扇を運転する。なお、煙,臭い,ガスなどを検出する検出素子及び温度検出素子の出力の基準値は、例えば、換気扇停止時において、予め定めた所定時間経過毎に更新するようにすることによって、どのような環境で使用しても、誤動作を生じにくく、使い勝手の面でも大きな利点を有するようにすることができる。 すなわち、本発明では、換気扇の制御は、基準値に対する変化(煙,臭い,ガスなどの空気汚染は出力比、温度は温度差)を、予め設定してある値とそれぞれ比較し、その結果より換気扇を駆動するか否かを判定しており、また、換気扇の制御量は、出力比及び温度差よりそれぞれ算出し、空気の状態に応じた値に設定しているので、熱気,煙,臭い,ガスの状態に応じた換気扇の自動運転が可能となる。」(3頁右上欄3行?同頁左下欄16行) エ 「〔実施例〕 以下、実施例について説明する。 第1図は、本発明の一実施例の構成を示すブロック図である。第1図において、1は調理時に発生する煙,臭い,ガスなどを検出する空気汚染検出部、2は空気温度を検出する温度検出部、3は調理が行われない時の清浄空気中における空気汚染検出部1の出力を記憶する清浄レベル記憶部、4は調理が行われないときの温度検出部2の出力を記憶する温度基準記憶部、5は空気汚染検出部1の出力と清浄レベル記憶部3に記憶されている出力との比を演算する出力比演算部、6は温度検出部2の出力と温度基準記憶部4に記憶されている出力とより温度差を演算する温度差演算部、7は換気扇駆動に関して出力比の基準となる値を予め記憶しである出力比基準記憶部、8は換気扇駆動に関して温度差の基準となる値を予め記憶しである温度差基準記憶部、9は出力比演算部5の出力と出力比基準記憶部7の出力とを比較する出力比比較部、10は温度差演算部6の出力と温度差基準記憶部8の出力とを比較する温度差比較部、11は出力比演算部5の出力と出力比比較部9の出力とより換気扇を駆動するための制御量を演算する制御量演算部、12は温度差演算部6の出力と温度差比較部10の出力とより換気扇を駆動するための制御量を演算する制御量演算部、13は制御量演算部11,12の出力により換気扇を駆動するための制御量を決定する制御部、14は制御部13の出力により換気扇を駆動する駆動部、15は出力比比較部9の出力と温度差比較部10の出力より清浄レベル及び温度基準の記憶のタイミングを制御するタイマ部である。」(3頁左下欄17行?4頁左上欄8行) オ 「第2図は、第1図の空気汚染検出部1に、半導体式のガスセンサを用いたときの接続回路図である。16は半導体式のガスセンサ、17はガスセンサ16を加熱するヒータ、18はヒータ17に電流を流すトランス、19,20はガスセンサ16の抵抗変化を検出する検出用の抵抗、21は整流用のダイオード、22は平滑用のコンデンサ、23,24は放電用の抵抗、25はトランス18及びガスセンサ16を駆動する商用の電源である。 第3図は、調理の一例として焼き魚の調理を行ったときの第2図に示した空気汚染検出部1のガスセンサの出力特性図であり、横軸,縦軸には、それぞれ経過時間、出力電圧Vo(V)がとってあり、taはガスコンロの点火時、tbはガスコンロ使用時を示している。第3図に示すように、時間ta時にガスコンロが点火されると、ガスセンサ16は、点火時の生ガスに反応して、抵抗値が減少するので、出力電圧Voは増加する。出力電圧Voは、その後は少し低下するが、焼き魚の煙及び臭いの発生状態に応じて増加・変動する。従って、ガスセンサ16の出力電圧Voの変化度合により、調理によって生じる空気の汚染度合の検出を行うことができる。」(4頁左上欄9行?同頁右上欄11行) カ 「次に、本実施例の動作を、第4図のブロック回路図、第5図?第8図のフローチャート、第9図及び第10図の動作例の説明図を用いて説明する。 第4図において、26は空気の汚染検出用の、例えば、半導体式のガスセンサ、27は温度検出用の、例えば、サーミスタよりなる温度センサ、28はガスセンサ26の出力と温度センサ27の出力を切り換えて出力するマルチプレクサ、29はマルチプレクサ28のアナログ出力をデジタル値に変換すA/Dコンバータ、30はマイクロコンピュータ、31はガスセンサ26の出力比基準,温度差基準などの定数データを予め記憶させておくROM、32は空気の清浄レベル、温度基準などを記憶させておくRAM、33はマイクロコンピュータ30の出力により、換気扇モータ34を位相制御する位相制御回路である。 本実施例の換気扇の自動制御装置は、第5図の概略動作を示すフローチャートに示すように、換気扇の制御装置の電源投入と同時にマイクロコンピュータ30が動作を開始する。マイクロコンピュータ30は、マルチプレクサ28を制御してガスセンサ26の出力及び温度センサ27の出力をそれぞれA/D変換器29によりデジタルデータとして測定する(ステップ(1))。測定したガスセンサ26の出力は、ガスセンサ出力基準値SEN0としてRAM32に記憶させる。温度センサ27の出力は、温度に変換して温度基準値TH0としてRAM32に記憶させる(ステップ(2))、ステップ(1)と同様にしてガスセンサ26の出力及び温度センサ27の出力を測定し、ガスセンサ26の出力はSEN1としてRAM32に記憶させ、温度センサ27の出力は温度に変換しTH1としてRAM32に記憶させる(ステップ(3))、ついで、ガスセンサ出力基準値SEN0とガスセンサ26の出力SEN1の出力比を算出し、SCとしてRAM32に記憶させ、温度TH1と温度基準値TH0との温度差を算出し、TCとしてRAM32へ記憶させる(ステップ(4))。この段階で、現在換気扇が停止しているかどうかを判定し、停止しているときは、ステップ(6)へ行き、停止していないときはステップ(8)へ行く(ステップ(5))。 次に、ステップ(6)以下の動作について説明する。ステップ(6)では、調理による熱気,煙,臭い,ガスなどが発生しているか否かを判断する。すなわち、ステップ(4)で算出した出力比SCと予めROM31に記憶させである出力比基準SCDを比較する。また、温度差TCと予めROM31に記憶させである温度基準(1)とを比較する。ここで、SC<SCDかつTC≦THD1であるならば、煙,臭い,ガスなどの発生もなく、熱気の発生もないと判断し、ステップ(7)で基準値更新(後述参照)を行い、上述の条件を満足しないときは、調理によって煙,臭い,ガスまたは、熱気が発生したと判断し、ステップ(8)以下を行う、ステップ(8)では、出力比SCと出力比基準SCDを比較し、温度差TCと温度差基準(2)THD2を比較する。ここで、SC≧SCDまたはTC≧TCD2であるならば、ステップ(9)の換気扇駆動(後述参照)を行い、そうでなければ、ステップ(10)の換気扇指定時間駆動(後述参照)を行う、基準値更新(ステップ(7)、換気扇駆動(ステップ(9)または換気扇指定時間駆動(ステップ(10))の動作を終了したならば、ステップ(3)以下の各ステップを繰り返す。 第6図は第5図のステップ(7)の基準値更新の詳細を示すフローチャートである。・・・ 第7図は、第5図のステップ(9)の換気扇駆動の詳細を示すフローチャートである。換気扇駆動は、ガスセンサ出力の基準値に対する出力比SCに応じて換気扇の制御量を算出し(ステップ(13))、温度差TCより換気扇の制御量を算出する(ステップ(14))、算出されたガスセンサの出力比SCによる換気扇の制御量と温度差TCによる制御量を比較して(ステップ(15))、値の大きい方で位相制御回路33を動作させる。こうすることにより、煙,臭い,ガスまたは熱気のどちらについても換気扇を最適に運転することができる。 第8図は、第5図のステップ(10)の換気扇指定時間駆動の詳細を示すフローチャートである。 これは、予め定めた時間TMの間、換気扇を駆動するものであり、ステップ(19)からステップ(23)の動作は、前述した換気扇駆動の動作と同様である。時間TM2を経過すると位相制御回路33を制御して、換気扇を停止させる(ステップ(24))。そして、基準値を更新する(ステップ(25))。」(4頁右上欄12行?5頁左下欄10行) キ 「以上説明した本実施例の換気扇の自動制御装置を実際に動作させた場合の動作例について第9図,第10図を用いて説明する。これらの図で、横軸には時間、縦軸にはガスセンサ出力(V)及び温度(℃)(温度センサ出力)がとってあり、実線はガスセンサ出力の時間的変化を示し、一点鎖線は温度の時間的変化を示している。 第9図は、ガスコンロによって焼き魚調理を行ったときの動作を示したもので、この動作例では、t10で基準値更新を行い、その後t11でガスコンロを点火した。ガスコンロの点火時の生ガスにガスセンサは反応し、出力が上昇していき、t12で、第5図ステップ(6)に示した条件のSC<SCDを外れ、またステップ(8)に示した条件のSC≧SCDを満足したため、ステップ(9)の換気扇駆動を行い、換気扇が運転された調理が続けられている間は、焼き魚の煙,臭い,ガスなどによって、第9図に示すようにガスセンサの出力は増加した状態で変化した。この時、換気扇はガスセンサの出力比:SCにより自動的に風量制御が行われる。また、時間経過とともに温度も上昇し、t13においてステップ(8)に示した条件のTC≧THD(2)となりTCに応じた制御量、前述のガスセンサの出力比:SCに応じた制御量の内、大きい方の制御量で換気扇の風量制御が行われる。 t14でコンロを消火して調理を終了すると、ガスセンサ出力は、調理を終了したため下がりはじめ、t15でステップ(8)に示した条件のSC≧SCDを外れる。しかしながら、温度(温度センサ出力)もガスセンサ出力と同様に下がりはじめるが、ステップ(8)に示した条件のTC≧THD(2)を満足するため、t16までは、TCに応じた制御量でステップ(9)の換気扇駆動の動作を行っている。 t16をすぎると、ステップ(8)に示した条件を外れるためステップ(10)の換気扇指定時間駆動を行う、t17でTM(2)(例えば数分間?数十分間)が経過したため、換気扇を停止し、基準値の更新が行われる。t17からは、換気扇が停止しているため、ステップ(6)の判定を行い、出力比SC,温度差TCともに条件を満足しているため、ステップ(7)の基準値更新の動作が予め定めた時間毎に行われる。 第10図は、ガスコンロによって湯わかしを行ったときの動作である。この動作例においては、t20で基準値更新を行っている。その後t21でガスコンロを点火すると、ガスコンロ点火時の生ガスによりガスセンサ出力が上昇していき、t22で第5図ステップ(6)に示した条件のSC<SCDを外れ、また、ステップ(8)に示した条件のSC≧SCDを満足したため、ステップ(9)の換気扇駆動を行い、換気扇が運転された。湯わかしの場合、煙,臭い,ガスなどは発生しないため、ガスセンサ出力は下がり、t23でステップ(8)に示した条件のSC≧SCDを外れる。したがって、ステップ(10)の換気扇指定時間駆動の動作を行う。しかしながら、ガスコンロの熱により温度が上昇し、指定時間TM(2)が経過する前に、ステップ(8)に示した条件のTC≧THD(2)を満足したため、ステップ(9)の換気扇駆動の動作が行なわれる。 t25でお湯が沸き、ガスコンロを消火すると、そのため温度は下がり、t26でステップ(8)に示した条件のTC≧THD(2)から外れ、ステップ(10)の換気扇指定時間駆動の動作が行われる。t27でTM (2)が経過すると、換気扇を停止し基準値を更新動作に入る。t27以後は、換気扇が停止しているためステップ(6)の判定を行い、ガスセンサ出力比SC,温度センサの温度差TCが、ともに条件を満足しているため、ステップ(7)の基準値更新の動作を予め定めた時間毎に行われる。」(5頁左下欄11行?6頁左下欄2行) ク 「以上の実施例によれば、調理時に発生する熱気はもちろんのこと、煙,臭い,ガスなどを検出して換気扇を自動制御し、それらを自動的に排出することができるので、家屋内のより良い生活環境を維持するのに効果がある。さらに、使用される地域の環境条件に応じて自動的に基準値更新を行い得るため、換気扇の使用される環境により使用者が初期設定したり、感度調整をする必要がないため、誤動作も生じにくく、使い勝手の面でも大きな利点を有している。 〔発明の効果〕 本発明は、例えば、調理時に発生する熱気はもちろんのこと、埋、臭い、ガスなどを検出して、それらを自動的に検出し、家屋内のより良い生活環境を維持することを可能とし、さらに、使用される環境条件によらず感度調整等をする必要のない、使い勝手の良い換気扇制御装置を提供可能とするもので、産業上の効果の大なるものである。」(6頁左下欄3行?同欄末行) 「 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 」 (2)上記(1)記載から認められること ア 上記(1)ア?ク及び第1図?第10図の記載によれば、引用文献1には、装置として「ガスコンロ」、「換気扇」及び「換気扇の自動制御装置」が記載されている。 イ 上記(1)ア?エ及びク並びに第1図の記載によれば、換気扇の自動制御装置は、「家屋内に配置されており、ガスコンロから離れた位置で前記家屋内の煙,臭い,ガスなどを検出する空気汚染検出部1」と、「調理時に発生する熱気を検知するため、空気温度を検出する温度検出部2」とを備えている。 なお、第1図の実施例の具体的構成(以下「具体例」という。)についての上記(1)カ及び第4図の記載においては、「ガスセンサ26」及び「温度センサ27」として示されている。 ここで、空気汚染検出部1が、「ガスコンロ」及び「換気扇」とともに、家屋内に配置されていることは、上記(1)ア及びクの記載から認めることができる。 また、空気汚染検出部1が、ガスコンロから離れた位置にあることは、煙,臭い,ガスなど複数のものの検出を行っているので、明らかである。 さらに、温度検出部2が、熱気を検知するためのものであることは、上記(1)ウの記載及び上記(1)カのステップ(6)についての記載から認めることができる。 ウ 上記(1)イ?エ及び第1図の記載によれば、換気扇の自動制御装置は、温度検出部2の出力から、調理が行われない時の温度検出部2の出力である、温度基準に対する変化である温度差を温度差演算部6で演算し、演算された温度差と換気扇駆動に関して温度差の基準となる値とを温度差比較部10で比較し、温度差演算部6の出力である演算された温度差と温度差比較部10の出力とにより換気扇を駆動するための制御量を制御量演算部12で演算している。 なお、具体例についての上記(1)カ及び第4図?第8図の記載によれば、温度センサ27の出力である温度TH1と温度基準値TH0との温度差TCを算出し(ステップ(4))、温度差TCと温度差基準THD1とを比較して、温度差TC≦温度差基準THD1を満足しない場合、熱気が発生したと判断し(ステップ(6))、次に、温度差TCと温度差基準THD2とを比較して、温度差TC≧温度差基準THD2である場合(ステップ(8))、温度差TCより換気扇の制御量FS2を算出している(ステップ(9)、ステップ(14))。 そして、温度差は調理時に発生する熱気に対応しており(上記(1)ウ及びカ)、検出した空気温度から直ちに制御量を算出しているから、換気扇の自動制御装置は、温度検出部2が検出した空気温度から演算した調理時に発生する現在の熱気に対応した温度差に応じて特定される1つの制御量を演算する手段を有しているといえる。 エ 上記(1)イ?エ及び第1図の記載によれば、換気扇の自動制御装置は、空気汚染検出部1の出力から、調理が行われない時の清浄空気中における空気汚染検出部1の出力である、空気汚染発生前の空気の清浄レベルに対する変化である出力比を出力演算部5で演算し、演算された出力比と換気扇駆動に関して出力比の基準となる値とを出力比比較部9で比較し、出力比演算部5の出力である演算された出力比と出力比比較部9の出力とにより換気扇を駆動するための制御量を制御量演算部11で演算している。 なお、具体例についての上記(1)カ及び第4図?第8図の記載によれば、空気の汚染検出用のガスセンサ26の出力SEN1から、ガスセンサ出力基準値SEN0とガスセンサ26の出力SEN1の出力比SCを算出し(ステップ(4))、算出した出力比SCと出力比基準SCDとを比較し、SC<SCDを満足しない場合、煙、臭い、ガスが発生したと判断し(ステップ(6))、次に、出力比SCと出力比基準SCDを比較し、SC≧SCDである場合(ステップ(8))、出力比SCに応じて換気扇の制御量FS1を算出している(ステップ(9)、ステップ(13))。 そして、検出した煙,臭い,ガスなどから直ちに制御量を演算しているから、換気扇の自動制御装置は、空気汚染検出部1が検出した現在の煙,臭い,ガスなどに応じて特定される1つの制御量を演算する手段を有しているといえる。 オ 上記(1)イ?エ及び第1図の記載を、上記ウ及びエと合わせてみると、換気扇の自動制御装置は、温度検出部2が検出した空気温度から演算した調理時に発生する現在の熱気に対応した温度差に応じて特定される1つの制御量と、空気汚染検出部1が検出した現在の煙,臭い,ガスなどに応じて特定される1つの制御量とを比較して、2つの制御量のうち強い方の制御量で家屋内の空気が換気されるように換気扇の運転を制御する手段を有しているといえる。 なお、具体例についての上記(1)カ及び第4図?第8図の記載(特に、上記(1)カ及び第7図の記載)においては、算出されたガスセンサの出力比SCによる換気扇の制御量FS1と温度差TCによる制御量FS2を比較して、値の大きい方で位相制御回路33を動作させている(ステップ(15)?ステップ(17))。 カ 上記イ?オによれば、換気扇の自動制御装置は、「家屋内に配置されており、ガスコンロから離れた位置で前記家屋内の煙,臭い,ガスなどを検出する空気汚染検出部1」と、「調理時に発生する熱気を検知するため、空気温度を検出する温度検出部2」と、「制御部」を備えており、「前記制御部は、前記温度検出部2が検出した空気温度から演算した調理時に発生する現在の熱気に対応した温度差に応じて特定される1つの制御量と、前記空気汚染検出部1が検出した現在の煙,臭い,ガスなどに応じて特定される1つの制御量とを比較して、2つの制御量のうち強い方の制御量で前記家屋内の空気が換気されるように前記換気扇の運転を制御する」ものということができる。 キ 上記アの換気扇は、上記オの換気扇の自動制御装置により運転を制御されるものであるから、温度検出部2が検出した空気温度から演算した調理時に発生する熱気に対応した温度差に応じた制御量及び空気汚染検出部1が検出した煙,臭い,ガスなどに応じた制御量で家屋内の空気を換気可能に構成されているといえる。 ク 上記ウ?キの「制御量」は、上記(1)キに記載されているように、「制御量で換気扇の風量制御が行われる」(引用文献1の5頁右下欄15行)のであるから、「風量」といえる。 ケ 上記ア、オ及びキによれば、換気扇の自動制御装置は、ガスコンロの使用状況に応じて換気扇の運転を制御しており、ガスコンロ及び換気扇と影響を及ぼしあうものであるので、「ガスコンロ」と、「換気扇」と、「空気汚染検出部1」と、「温度検出部2」と、「制御部」を備えた、「換気システム」が構成されているといえる。 (3)引用発明 上記(1)及び(2)を総合すると、引用文献1には、次の事項からなる発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認める。 「家屋内に配置されているガスコンロと、 前記家屋内に配置されており、前記家屋内の空気を換気する換気扇と、 前記家屋内に配置されており、前記ガスコンロから離れた位置で前記家屋内の煙,臭い,ガスなどを検出する空気汚染検出部1と、 調理時に発生する熱気を検知するため、空気温度を検出する温度検出部2と、 制御部を備えており、 前記換気扇は、前記温度検出部2が検出した空気温度から演算した調理時に発生する熱気に対応した温度差に応じた風量及び前記空気汚染検出部1が検出した煙,臭い,ガスなどに応じた風量で前記家屋内の空気を換気可能に構成されており、 前記制御部は、前記温度検出部2が検出した空気温度から演算した調理時に発生する現在の熱気に対応した温度差に応じて特定される1つの風量と、前記空気汚染検出部1が検出した現在の煙,臭い,ガスなどに応じて特定される1つの風量とを比較して、2つの風量のうち強い方の風量で前記家屋内の空気が換気されるように前記換気扇の運転を制御する、換気システム。」 2 引用文献2 当審において通知した拒絶の理由に引用された引用文献であって、本願の出願前に頒布された刊行物である引用文献2には、「自動換気装置」に関し、次の記載がある。 「第1図において、(1)は温度検知手段で、室内の雰囲気温度を、第2図の曲線(2)のごとく、連続的に検知するものである。温度検知手段(1)の温度検知素子としては、感温抵抗体であるサーミスタや熱電対などが好適である。(3)は温度比較手段で、温度検知手段(1)がその入力側に電気的に接続されている。温度比較手段(3)は、高温、中温、低温の3つの設定温度を有している。(4)は煙検知手段で、室内の煙の量(濃度)を、第3図の曲線(5)のごとく、連続的に検知する従来公知のものを使用すればよい。(6)は煙濃度比較手段で、煙検知手段(4)がその入力側に電気的に接続され、温度比較手段(3)同様、3つの設定煙濃度を有している。(7)は電動機速度判定手段で、たとえばマイクロプロセッサにて構成される。電動機速度判定手段(7)には、ファン(図示しない)の設けられた電動機(8)(以下モータと記す)を駆動するための駆動手段(9)が電気的に接続されるとともに、室内温度の表示をする温度表示手段(10)およびモータ(8)の回転速度を示す速度表示(ノッチ表示)手段(11)とが接続されている。温度比較手段(3)と煙濃度比較手段(6)と電動機速度判定手段(7)とを制御手段(12)が具備している。 つぎに第2?4図をまじえてこの実施例の動作について説明する。 温度検知手段(1)は温度の変化によって、第2図の曲線(2)のごとく、温度信号を出力する。温度比 較手段(3)は、温度信号を設定温度高、中、低のそれぞれと比較し、第2図の階段状の折線(13)のごとく、階段状に温度比較信号を電動機速度判定手段(7)に出力する。この温度比較信号はモータ(8)の速度を切り替えるためのタイミングであり、速度のパターン(ノッチパターン)となるものである。すなわち折線(13)をモータ(8)の速度(換気量の大きさ、強、中、弱)に対応するものとしている。 同様にして、煙検知手段(4)は煙の濃度によって第3図の曲線(5)のごとく、煙濃度信号を出力し、煙濃度比較手段(6)によって設定煙濃度濃、中、淡のそれぞれと比較し、ノッチパターンとなる煙濃度比較信号を、第3図の折線(14)のごとくに、電動機速度判定手段(7)に出力する。 温度比較手段(3)および煙濃度比較手段(6)からの温度比較信号と煙濃度比較信号とのそれぞれのうち、モータ(8)を高速の回転にするのに相当する電動機速度設定信号が、電動機速度判定手段(7)から駆動手段(9)へ出力される。すなわち、第4図に示すように、一点鎖線(15)で示す温度比較信号より得られるノッチパターンの方が点線(16)で示す煙濃度比較信号より得られるノッチパターンより高速(強遅転)のノッチパターンである場合には、温度比較信号に対応する電動機速度設定信号を電動機速度判定手段(7)が駆動手段(9)へ出力する。同様にして一点鎖線(15)と点線(16)との高速となる側のパターンを結線していくと、その結果として実線(17)で示すノッチパターンが合成される。この実線(17)の合成ノッチパターンで、モータ(8)は、高速(強運転)、中速(中運転)、低速(弱運転)の3段階をそれぞれ自動的に切り替えられて、常に最適速度(ノッチ)にて運転される。」(明細書4頁14行?7頁11行) 「 ![]() ![]() ![]() ![]() 」 3 引用文献3 当審において通知した拒絶の理由に引用された引用文献であって、本願の出願前に頒布された刊行物である引用文献3には、「加熱調理システム」に関し、次の記載がある。 「【0009】 実施の形態1. 図1は実施の形態1に係る加熱調理システムの外観を示す斜視図、図2は図1の加熱調理器の天板を取り外して示す斜視図である。実施の形態1に係る加熱調理システムは、図1に示すように、システムキッチンに組み込まれた加熱調理器100と、加熱調理器100の上方に配置され、キッチンの壁に設置された換気扇装置200と、キッチンの壁に設置されたコントローラー300とで構成されている。なお、コントローラー300の設置をキッチンの壁としているが、コントローラー300の設置場所は限定されるものではない。 【0010】 加熱調理器100は、図2に示すように、本体ケース1の上部に設けられ、鍋の載置位置を示す左加熱部4a、右加熱部4b及び中央加熱部4cが表示された天板2と、本体ケース1内に、左加熱部4a、右加熱部4b及び中央加熱部4cにそれぞれ対向して配置された加熱コイル11a、11b、11cと、本体ケース1内に収納され、本体ケース1の前面にグリル扉8を有するグリル調理器とを備えている。なお、本実施の形態の加熱調理器100には、3つの加熱コイル11a、11b、11cが設けられているが、これは一例であって、加熱コイル11a、11b、11cの個数は限定されるものではない。また、中央加熱部4cに対向配置された加熱コイル11cに代えて、ラジエントヒーターでもよい。 【0011】 天板2は、耐熱強化ガラスより形成され、外周部に額縁状のフレーム3が装着された状態で本体ケース1の上部に取り付けられている。天板2の手前側のフレーム3には、火力設定手段を有する操作部5が設けられ、天板2の後部のフレーム3には、吸気口12を覆う吸気口カバー6及び排気口13を覆う排気口カバー7が取り外し自在に設けられている。 【0012】 操作部5は、各加熱コイル11a、11b、11cの火力を設定するキースイッチ、グリル調理器の加熱動作を指示するキースイッチ等を備えている。操作部5の下には、操作部5の回路基板14が配置されている。また、回路基板14の一方には、例えばマイコンで構成された制御部9が実装されている。この制御部9は、操作部5のキースイッチの操作に基づく信号を加熱コイル11a、11b、11cの各回路基板、グリル調理器の回路基板に出力する。 【0013】 本体ケース1のグリル扉8に隣接する前面には、加熱調理器100の電源スイッチ5aが設けられている。本体ケース1内の前部には、第1の送受信手段である第1の無線アダプタ10が設置されている。この第1の無線アダプタ10は、通信線(図示せず)を介して制御部9と接続されている。 【0014】 制御部9は、操作部5により火力が設定されると、設定された火力に応じて駆動信号を生成し、その駆動信号を第1の無線アダプタ10に出力する。また、制御部9は、加熱調理器100における加熱動作が終了したときには、停止信号を第1の無線アダプタ10に出力する。この第1の無線アダプタ10は、制御部9からの駆動信号が入力されたときには、その駆動信号を無線通信にてコントローラー300へ送信し、停止信号が入力されたときには、その停止信号を無線通信にてコントローラー300へ送信する。 【0015】 換気扇装置200は、天板2と対向する下部に開口を有する箱形状のフード20と、フード20の前面に設けられた操作部21と、フード20の前面の内側に設置された第2の無線アダプタ22(第2の送受信手段)と、フード20の内部に設置されたモーター24及びモーター24に連結された例えばシロッコファンと、フード20のシロッコファンの手前に設けられた取り外し自在の換気フィルタ23と、換気扇制御部(図示せず)とを備えている。 【0016】 操作部21には、シロッコファンの回転による風量の「強・中・弱」を選択するためのスイッチ、電源を「入り・切り」するためのスイッチが設けられている。第2の無線アダプタ22は、前述の換気扇制御部と通信線を介して接続されている。この第2の無線アダプタ22は、駆動信号がコントローラー300を介して受信されたときには、その駆動信号を換気扇制御部に出力し、停止信号がコントローラー300を介して受信されたときには、その停止信号を換気扇制御部に出力する。 【0017】 換気扇制御部は、駆動信号が入力されたときには、その駆動信号に基づいてモーター24の駆動を制御する。このモーター24の制御は、設定された火力に応じて生成された駆動信号(設定火力)によって異なる。例えば、火力が2.5kW以上のときには、風量が「強」となるようにモーター24の駆動を制御し、火力が750W以上2.5kW未満のときには、風量が「中」となるようにモーター24の駆動を制御し、火力が750W未満のときには、風量が「弱」となるようにモーター24の駆動を制御する。 【0018】 コントローラー300は、第1の無線アダプタ10からの駆動信号が受信されたときには、その駆動信号を無線通信にて第2の無線アダプタ22に転送し、第1の無線アダプタ10からの停止信号が受信されたときには、その停止信号を無線通信にて第2の無線アダプタ22に転送する。第1の無線アダプタ10とコントローラー300との間の無線通信、コントローラー300と第2の無線アダプタ22との間の無線通信は、無線LANあるいは特定小電力にて行われている。このコントローラー300は、例えば、制御対象の家電機器の使用電力量を監視しており、設定された電力量を超えそうな場合には、家電機器のスイッチを自動で切ったり、室温にあわせてエアコンを制御したり、部屋の明るさに応じて照明器具を制御する機能を備えている。前述の無線LANとは、無線通信によりデータの送受信を行うローカルエリアネットワークのことで、ワイヤレスLANとも呼ばれる。また、特定小電力とは、無線通信する際の空中線電力が1W以下(元は10mW以下であったが法改正された。)の電力のことで、この電力を使い電波法による無線局の免許を必要とせずに利用できるのが特定小電力無線である。 【0019】 前記のように構成された加熱調理システムの動作について、図1及び図3を参照しながら説明する。 図3は実施の形態1の加熱調理システムの動作を示す通信シーケンス図である。 【0020】 電源スイッチ5aのオンにより、加熱調理器100に電源が入ると、制御部9は、操作部5によって設定される火力が入力されるまで待機する。制御部9は、例えば左加熱部4aの火力が設定されたときには、その設定された火力に応じて駆動信号を生成し、その駆動信号を第1の無線アダプタ10に出力する。 【0021】 第1の無線アダプタ10は、駆動信号が入力されると、その駆動信号を無線通信にてコントローラー300に送信する。コントローラー300は、第1の無線アダプタ10からの駆動信号が受信されたときには、その駆動信号を無線通信にて第2の無線アダプタ22に転送する。 【0022】 第2の無線アダプタ22は、コントローラー300からの駆動信号が受信されると、その駆動信号を換気扇制御部に出力する。換気扇制御部は、駆動信号が入力されたときに、モーター24を駆動してシロッコファンを回転させ、駆動信号(設定火力)に応じた風量となるようにモーター24の駆動を制御する。」 「 ![]() ![]() 【図3】 ![]() 」 4 引用文献4 当審において通知した拒絶の理由に引用された引用文献であって、本願の出願前に頒布された刊行物である引用文献4には、「調理器具と換気装置との連動システム」に関し、次の記載がある。 「【0019】本実施形態は、図1に示すように、厨房に設置されたシステムキッチン1におけるガスコンロ(調理器具)2と、レンジフードファン(換気装置)3との連動システムである。 【0020】図1に示すように、前記ガスコンロ2はシステムキッチン1のカウンター4に埋め込み固定(ビルトイン)されており、その天板5に複数のコンロバーナ(熱源)6を備えている。ガスコンロ2の前面側のカウンター4下には、各コンロバーナ6の運転(点火及び火力調節)を行う操作つまみ7が配設されている。 【0021】また、前記レンジフードファン3は、換気口8が前記ガスコンロ2の天板5に対向するように前方に張り出して設置されたフード部9と、図1においては図示されないが、該フード部9の後壁に貫通して設けられたファン装置10(図2示参照)とを備えている。 【0022】更に、屋内壁面11には、該レンジフードファン3の運転を遠隔操作するリモコン(遠隔操作手段)12が設けられている。該リモコン12は、前記ガスコンロ2から延出されてカウンター4下の角隅に沿って目立たないように配線された信号線13に接続されている。 【0023】本実施形態の連動システムを更に詳細に説明すれば、図2に示すように、前記レンジフードファン3は、赤外線受光素子からなる受信部14と、該受信部14が受信した信号に応じて前記ファン装置10の運転を制御する換気運転制御手段15とを備えている。 【0024】前記リモコン12は、前記レンジフードファン3の受信部14に信号を送る赤外線発光素子からなる送信部16と、該送信部16からの送信を制御する送信制御手段17と、手動によって換気運転を操作する操作部18とを備えている。前記送信制御手段17は、操作部18の操作に応じて送信部16から信号を送信させる。また、該送信制御手段17は、前記ガスコンロ2から延出された信号線13に後述する接触端子19を介して接続されている。 【0025】信号線13は、前記ガスコンロ2の前記コンロバーナ6の運転を検出する熱源運転検出手段たる燃焼運転検出手段20から延出されているものである。該燃焼運転検出手段20は、前記コンロバーナ6の運転(燃焼)の開始、該コンロバーナ6の燃焼火力の強弱、及び、該コンロバーナ6の運転の停止の各状態に応じて検出信号を前記リモコン12の送信制御手段17に送る。該燃焼運転検出手段20の具体的な例としては、前記ガスコンロ2の操作つまみ7に連動して、点火、強火、中火、弱火、消火についての各信号を前記送信制御手段17に送るようにすることが挙げられる。また、他の例としては、図示しないが、燃焼運転検出手段20を前記ガスコンロ2に供給されるガス流を検出するガス流量センサにより構成し、ガス流の開始及び停止やガス流量に応じて各信号を前記送信制御手段17に送るようにしてもよい。また、それ以外には、燃焼運転検出手段20は、コンロバーナ6が燃焼時に発する熱、炎、赤外線等を感知することによりコンロバーナ6の燃焼を検出するものであってもよい。 【0026】前記送信制御手段17は、燃焼運転検出手段20の検出信号に応じて送信部16から受信部14に信号を送り、換気運転制御手段15は受信部14に送信された信号に応じてファン装置10の運転制御を行う。 【0027】即ち、先ず、燃焼運転検出手段20がガスコンロ2の運転開始(点火)及びコンロバーナ6の燃焼火力を検出し、例えば火力が強火であったときには、前記信号線13及び接触端子19を介して送信制御手段17に、コンロバーナ6が強火で運転されたことを示す信号を送る。該送信制御手段17はこのときの信号を送信部16を介してレンジフードファン3の受信部14に送信する。そして、レンジフードファン3の前記換気運転制御手段15は、該受信部14が受信したコンロバーナ6が強火で運転されたことを示す信号に基づいて、換気量を大(強排気)とするようにファン装置10を運転する。これと同じようにして、コンロバーナ6が中火の場合には換気量を中とする換気運転が行われ、コンロバーナ6が弱火の場合には換気量を小とする換気運転が行われ、更に、コンロバーナ6が消火したときには換気運転が停止される。このように、ガスコンロ2の運転に応じてレンジフードファン3の運転を連動させることができ、調理時の換気のし忘れや調理終了時の換気運転の停止し忘れ等を確実に防止することができる。」 「 ![]() ![]() ![]() 」 第5 対比 本願発明(以下「前者」ともいう。)と引用発明(以下「後者」という。)とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。 ・後者の「家屋内」は、「室内」に相当し、以下同様に、「ガスコンロ」は「調理器」に、「換気扇」は「換気手段」に、「煙,臭い,ガスなど」は「空気質」に、「検出」は「検知」に、「空気汚染検出部1」は「検知手段」に、「制御部」は「制御手段」に、「換気システム」は「換気システム」に、それぞれ相当する。 ・後者の「前記温度検出部2が検出した空気温度から演算した調理時に発生する熱気に対応した温度差」は、当該調理時に発生する熱気が、調理器(ガスコンロ)の火力と熱量という点で共通するものであり、調理器とは異なる箇所で調理器の火力が反映されたものであるから、前者の「前記調理器の火力」に、「前記調理器に関する所定箇所の熱量」という限りに於いて一致する。 そして、後者の「前記換気扇は、前記温度検出部2が検出した空気温度から演算した調理時に発生する熱気に対応した温度差に応じた風量及び前記空気汚染検出部1が検出した煙,臭い,ガスなどに応じた風量で前記家屋内の空気を換気可能に構成されており」という態様は、前者の「前記換気手段は、前記調理器の火力に応じた3段階以上の風量及び前記検知手段が検知した空気質に応じた3段階以上の風量で前記室内の空気を換気可能に構成されており」という態様に、「前記換気手段は、前記調理器に関する所定箇所の熱量に応じた風量及び前記検知手段が検知した空気質に応じた風量で前記室内の空気を換気可能に構成されており」という限りにおいて一致する。 ・後者の「前記温度検出部2が検出した空気温度から演算した調理時に発生する現在の熱気に対応した温度差に応じて特定される1つの風量」は、調理器に関する所定箇所の現在の熱量に応じた風量ということができるから、前者の「前記調理器と通信可能に構成されており、前記調理器の火力に応じた3段階以上の風量のうち前記調理器から受信した現在の火力に応じて特定される1つの風量」に、「前記調理器に関する所定箇所の現在の熱量に応じて特定される1つの風量」という限りにおいて一致する。 また、後者の「前記空気汚染検出部1が検出した現在の煙,臭い,ガスなどに応じて特定される1つの風量」は、前者の「前記検知手段が検知した空気質に応じた3段階以上の風量のうち現在の空気質に応じて特定される1つの風量」に、「前記検知手段が検知した現在の空気質に応じて特定される1つの風量」という限りにおいて一致する。 そして、後者の「前記制御手段は、前記温度検出部2が検出した空気温度から演算した調理時に発生する現在の熱気に対応した温度差に応じて特定される1つの風量と、前記空気汚染検出部1が検出した現在の煙,臭い,ガスなどに応じて特定される1つの風量とを比較して、2つ風量のうち強い方の風量で前記家屋内の空気が換気されるように前記換気扇の運転を制御する」態様は、前者の「前記制御手段は、前記調理器と通信可能に構成されており、前記調理器の火力に応じた3段階以上の風量のうち前記調理器から受信した現在の火力に応じて特定される1つの風量と、前記検知手段が検知した空気質に応じた3段階以上の風量のうち現在の空気質に応じて特定される1つの風量とを比較して、2つの風量のうち強い方の風量で前記室内の空気が換気されるように前記換気手段の運転を制御する」に、「前記制御手段は、前記調理器に関する所定箇所の現在の熱量に応じて特定される1つの風量と、前記検知手段が検知した現在の空気質に応じて特定される1つの風量とを比較して、2つの風量のうち強い方の風量で前記室内の空気が換気されるように前記換気手段の運転を制御する」という限りにおいて一致する。 したがって、両者の間に次の一致点、相違点が認められる。 [一致点] 「室内に配置されている調理器と、 前記室内に配置されており、前記室内の空気を換気する換気手段と、 前記室内に配置されており、前記調理器から離れた位置で前記室内の空気質を検知する検知手段と、 制御手段を備えており、 前記換気手段は、前記調理器に関する所定箇所の熱量に応じた風量及び前記検知手段が検知した空気質に応じた風量で前記室内の空気を換気可能に構成されており、 前記制御手段は、前記調理器に関する所定箇所の現在の熱量に応じて特定される1つの風量と、前記検知手段が検知した現在の空気質に応じて特定される1つの風量とを比較して、2つの風量のうち強い方の風量で前記室内の空気が換気されるように前記換気手段の運転を制御する、換気システム。」 [相違点] 「前記換気手段」の「前記調理器に関する所定箇所の熱量に応じた風量」及び「前記検知手段が検知した空気質に応じた風量」、並びに、「前記制御手段」により特定される「前記調理器に関する所定箇所の現在の熱量に応じて特定される1つの風量」及び「前記検知手段が検知した現在の空気質に応じて特定される1つの風量」に関し、 前者では、「前記換気手段」の各風量が、「前記調理器の火力に応じた3段階以上の風量」及び「前記検知手段が検知した空気質に応じた3段階以上の風量」であり、「前記制御手段」により特定される各風量が、「前記制御手段」を「前記調理器と通信可能に構成され」たものとし、「前記調理器の火力に応じた3段階以上の風量のうち前記調理器から受信した現在の火力に応じて特定される1つの風量」及び「前記検知手段が検知した空気質に応じた3段階以上の風量のうち現在の空気質に応じて特定される1つの風量」であるのに対して、 後者では、「換気手段(換気扇)」の各風量が、「3段階以上の風量」ではなく、また、「前記制御手段(制御部)」により特定される各風量が、「3段階以上の風量のうち」「特定される1つの風量」ではなく、さらに、「換気手段(換気扇)」の風量についての「前記調理器に関する所定箇所の熱量」及び「前記制御手段(制御部)」により特定される風量についての「前記調理器に関する所定箇所の現在の熱量」が、「調理時に発生する熱気を検知するため、空気温度を検出する温度検出部2」を備え、「前記温度検出部2が検出した空気温度から演算した調理時に発生する熱気に対応した温度差」及び「前記温度検出部2が検出した空気温度から演算した現在の調理時に発生する熱気に対応した温度差」であって、それぞれ「前記調理器の火力」及び「前記制御手段」が「前記調理器と通信可能に構成され」、「前記調理器から受信した現在の火力」とはいえない点。 第6 判断 1 相違点の検討 上記相違点について検討する。 換気扇等の換気手段の風量を3段階以上の風量のうち特定される1つの風量とすることは、上記第4の2?4で摘記した引用文献2、引用文献3(特に、段落0016及び0017)及び引用文献4(特に、段落0027)の記載にみられるように、本願の出願前に周知の技術(以下「周知技術1」という。)であり、引用発明においても、より細やかに換気扇の風量制御を行うべく、周知技術1を適用して、換気手段(換気扇)の調理器に関する所定箇所の熱量に応じた風量及び検知手段が検知した空気質に応じた風量を3段階以上の風量とし、制御手段(制御部)により、各風量について3段階以上の風量のうち特定される1つの風量とすることは、当業者が適宜なし得ることである。 また、調理器とともに用いられる換気手段において、制御手段を調理器と通信可能に構成し、調理器から受信した現在の火力に応じて風量を設定することは、上記第4の3及び4で摘記した引用文献3及び引用文献4(特に、段落0026及び0027)の記載にみられるように、本願の出願前に周知の技術(以下「周知技術2」という。)であり、引用発明に周知技術2を適用し、換気手段(換気扇)を、調理器(ガスコンロ)の火力に応じた風量で室内(家屋内)の空気を換気可能に構成し、制御手段(制御部)を調理器と通信可能に構成し、調理器から受信した現在の火力に応じて1つの風量を特定するように構成とすることは、当業者にとって格別困難ではない。 そうすると、引用発明に周知技術1及び周知技術2を適用することにより、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 なお、請求人は、令和2年12月14日提出の意見書の2頁4行?同頁下から6行において、次の主張をする(下線は、当審で付したものである。)。 「しかしながら、引用発明において、制御手段をガスコンロ(調理器)と通信可能に構成し、ガスコンロから受信した火力に応じて制御量(風量)を設定するようにすることは、当業者にとって容易ではないと思料いたします。 この点について、引用文献1には、「本発明の目的は、例えば、調理時に発生する熱気はもちろんのこと、煙、臭い、ガスなどを検出して、それらを自動的に排出し、家屋内のより良い生活環境を維持することにある。」と記載されています(第2頁左下欄第14行-17行参照)。また、引用文献1には、課題を解決するための手段として「上記の課題を解決するためにとられた本発明の主なる構成は、・・・昇温発生源の稼動状態における温度・・・を、空気汚染発生前の常温状態における温度・・・と比較し、該比較によって得られた比較値を予め設定されている前記温度・・・の基準の比較値と比較し、該比較結果に基づき換気扇を駆動することを特徴とし、・・・」と記載されています(第2頁右下欄1行-3頁右上欄2行参照)。また、引用文献1には、「本発明は、例えば、調理時に発生する熱気はもちろんのこと、・・・産業上の効果の大なるものである。」と記載されています(第6頁左下欄第14行-20行参照)。 これらの記載から、引用発明は、調理時に発生する熱気(温度)に応じて換気扇の制御量(風量)を演算することを前提としており、この特徴を備えることにより課題を解決しています。引用発明における調理時に発生する熱気(温度)は、ガスコンロの火力と明らかに相違します。この点について、引用文献1には、ガスコンロを点火したとしても熱気(温度)が直ぐには上昇せず、ガスコンロを消火したとしても熱気(温度)が直ぐには低下しないことが記載されています(第5頁左下欄第11行-第6頁左下欄第2行、第9図参照)。ガスコンロの火力と調理時に発生する熱気(温度)とは必ずしも一致しません。そのため、引用発明において、ガスコンロの火力に応じて制御量(風量)を設定しようとすると、ガスコンロの火力と調理時に発生する熱気とが一致しないので、調理時に発生する熱気に応じて制御量(風量)を設定することができなくなります。そうすると、「調理時に発生する熱気はもちろんのこと、・・・家屋内のより良い生活環境を維持することにある。」という引用発明の目的に反することになります。さらに、引用発明において、わざわざ制御手段をガスコンロと通信可能に構成してまでガスコンロの火力に応じて制御量(風量)を設定することは到底考えられません。そのため、調理器とともに用いられる換気手段において、制御手段を調理器と通信可能に構成し、調理器から受信した火力に応じて風量を設定することが、仮に引用文献3(特開2014-228217号公報)及び引用文献4(特開平11-141935号公報)に記載されているとしても、引用発明において、制御手段をガスコンロ(調理器)と通信可能に構成し、ガスコンロから受信した火力に応じて制御量(風量)を設定するようにすることは、当業者にとって容易ではないと思料いたします。引用発明から出発して本願発明に想到することは当業者にとって容易ではないと思料いたします。」 しかしながら、ガスコンロの換気扇は、不完全燃焼を防ぐために、ガスコンロの点火後速やかに(できれば同時に)運転開始する必要があることは、本願の出願前より技術常識である一方、上記第4の1(1)で摘記した引用文献1における上記オ及びキ並びに第3図、第9図及び第10図の記載によると、引用発明では、点火時から所定時間経過した熱気の検知によって、換気扇の運転開始がされることとなり、ガスコンロの点火に対し応答遅れが生じるから、この応答遅れを解消するために、引用発明に周知技術2を適用するという動機付けが存在しているといえ、周知技術2の適用が当業者にとって格別困難であるとはいえない。 そして、引用発明に周知技術2を適用しても、ガスコンロの火力は調理時に発生する熱気に反映されることは引用発明自体と同様であるから、引用発明の目的に反したものとはならない。 よって、請求人の上記主張は採用することができない。 2 効果について そして、本願発明を全体としてみても、その奏する効果は、引用発明、周知技術1及び周知技術2から、当業者が予測し得る範囲のものである。 3 まとめ したがって、本願発明は、引用発明、周知技術1及び周知技術2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2021-03-19 |
結審通知日 | 2021-03-23 |
審決日 | 2021-04-09 |
出願番号 | 特願2015-194914(P2015-194914) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(F24F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 町田 豊隆 |
特許庁審判長 |
林 茂樹 |
特許庁審判官 |
川上 佳 槙原 進 |
発明の名称 | 換気システム |
代理人 | 特許業務法人快友国際特許事務所 |
代理人 | 特許業務法人快友国際特許事務所 |
代理人 | 特許業務法人快友国際特許事務所 |
代理人 | 特許業務法人快友国際特許事務所 |