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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04L
管理番号 1374512
審判番号 不服2020-6867  
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-05-20 
確定日 2021-06-21 
事件の表示 特願2018-510989「IPv6ネットワークにおけるデータパケット送信方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 3月 9日国際公開、WO2017/035763、平成30年 9月 6日国内公表、特表2018-525949、請求項の数(11)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)8月31日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 4月10日 :手続補正書の提出
令和 元年 5月24日付け:拒絶理由通知書
令和 元年 9月 3日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年 1月 8日付け:拒絶査定
令和 2年 5月20日 :拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提


第2 原査定の概要
原査定(令和2年1月8日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1?11に係る発明は、以下の引用文献1に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2013-110689号公報

第3 本願発明
本願請求項1?11に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明11」という。)は、令和2年5月20日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?11に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は、以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
インターネットプロトコルバージョン6(IPv6)ネットワークにおけるデータパケット送信方法であって、
送信すべきデータパケットによって使用されるパスのものであるパス最大伝送単位(PMTU)が未知であると判定するステップと、
前記パスの前記PMTUを調べる前に、IPv6プロトコルで規定された最小最大伝送単位(MTU)に従って、前記パス上でデータパケットを送信するステップと、
前記パス上でPMTU調査を行うステップと、
前記パスの前記PMTUが前記PMTU調査によって成功裏に取得された後に、前記パスの前記調べたPMTUに従って、前記パス上で後続のデータパケットを送信するステップと、を含み、
前記パス上でPMTU調査を行う、前記ステップは、
前記送信すべきデータパケットの送信元IPアドレスおよび宛先IPアドレスを用いてプローブパケットを構築し、前記パス上で前記プローブパケットを送信するステップであって、前記プローブパケットに使用されるプロトコルタイプは、前記データパケットに使用されるプロトコルタイプと異なる、ステップと、
前記送信されたプローブパケットが前記送信すべきデータパケットの宛先受信側によって受信されたかどうかを判定するステップと、
前記プローブパケットが前記宛先受信側で受信されたと判定された場合、前記宛先受信側によって受信された前記プローブパケットで使用された最大MTUを、前記パスの前記調べたPMTUとして使用するステップと、を含む、方法。」

また、本願発明2?6は本願発明1を減縮した発明であり、本願発明7?10は、本願発明1?6のいずれかに対応する「データパケット送信装置」又は「ホスト」の発明であり、本願発明11は本願発明1?6のいずれかに対応する「コンピュータ可読記憶媒体」の発明である。

第4 引用文献の記載、引用発明
1 原査定の拒絶の理由にて引用された引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。
「【0007】
インターネットプロトコルでは、所定の宛先ノードへの経路MTU値を発見するための手順が経路MTU探索(Path MTU Discovery)として標準的に定められている。インターネットプロトコル・バージョン4(IPv4)における経路MTU探索はRFC(Request for Comments)1191に定義されており、インターネットプロトコル・バージョン6(IPv6)の経路MTU探索はRFC1981に定義されている。なお、RFC1981は、RFC1191から派生したものである。
【0008】
経路MTU探索における手順の概略を説明すると、IPパケットの送信元ノードは、かかるノード自身が接続しているネットワーク媒体(リンク)のMTU値を初期の経路MTU値と仮定してIPパケットを送信する。このIPパケットは、宛先ノードに届くまでに経路上のルータとリンクを経由する。このとき、経路の途中のあるリンクのMTU値がIPパケットのサイズよりも小さい場合、すなわちIPパケットのデータサイズがリンクのMTU値を超過した場合には、かかるリンクに接続するルータは、IPパケットを破棄し、送信元ノードに対してパケット過大メッセージ(Packet Too Big messages)を返送する。このようなパケット過大メッセージのフォーマットと通信手順については、RFC4443に定義されている。
【0009】
パケット過大メッセージには、IPパケットのサイズが超過したMTU値であって、メッセージを送出するルータが接続しているリンクのMTU値が含まれる。パケット過大メッセージが送信元ノードまで転送されることにより、かかる送信元ノードは、宛先ノードまでの経路の途中に初期に仮定した経路MTU値よりも小さいMTU値が定められているリンクが存在することを識別できる。さらに、送信元ノードは、パケット過大メッセージに含まれるMTU値にIPパケットのサイズを変更して再送信することにより、少なくともパケット過大メッセージを返送したルータがかかるリンクを介して接続する次のノードまでIPパケットを到達させることができる。送信元ノードは、このような処理を繰り返すことにより、最終的には宛先ノードにIPパケットを到達させることができる。
【0010】
RFC1981には、IPv6を使用するノードは経路MTU探索を実装すべきであると記載されているが、必須要件ではない。また、RFC1981には、経路MTU探索を実装しないノードはIPv6の最小MTU値を経路MTU値として用いると記載されている。一方、RFC2460のIPv6仕様では、IPv6を使用するノードは最小のMTU値を1280オクテット(Octets)とするように定められている。そのため、経路MTU探索を実装しないノードは常に経路MTU値を1280オクテットとしてIPパケットを送信することになる。」

2 上記1の記載から、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「インターネットプロトコル・バージョン6(IPv6)の経路MTU探索方法であって、
IPパケットの送信元ノードは、ノード自身が接続しているネットワーク媒体(リンク)のMTU値を初期の経路MTU値と仮定してIPパケットを送信し、
経路の途中のあるリンクのMTU値がIPパケットのサイズよりも小さい場合、
リンクに接続するルータは、IPパケットを破棄し、送信元ノードに対してパケット過大メッセージを返送し、
パケット過大メッセージには、IPパケットのサイズが超過したMTU値であって、メッセージを送出するルータが接続しているリンクのMTU値が含まれ、
送信元ノードは、パケット過大メッセージに含まれるMTU値にIPパケットのサイズを変更して再送信することにより、少なくともパケット過大メッセージを返送したルータがかかるリンクを介して接続する次のノードまでIPパケットを到達させることができ、送信元ノードは、このような処理を繰り返すことにより、最終的には宛先ノードにIPパケットを到達させることができ、
経路MTU探索を実装しないノードはIPv6の最小MTU値を経路MTU値として用いる、
経路MTU探索方法。」

3 なお、上記1に摘記した引用文献1の記載は、段落【0002】?【0015】に記載されている「背景技術」についての記載の一部であって、上記2の引用発明は当該「背景技術」に対応しており、「経路MTU探索」を行うことに関するものである。
一方、引用文献1には、「実施例1」に関して、例えば、段落【0039】には「ルータ101?104は、宛先IPアドレスと経路MTU値との組合せを経路MTUオプションに設定する場合に、かかる経路MTU値と、ルータ広告メッセージの送出先となるリンクのMTU値とを比較する」こと、及び、「ルータ101?104は、送出先となるリンクのMTU値が経路MTU値よりも小さい場合には、宛先キャッシュに記憶されている宛先IPアドレスと経路MTU値との組合せの代わりに、かかる宛先IPアドレスと送出先となるリンクのMTU値との組合せを経路MTUオプションに設定する」ことが記載されている。
しかしながら、「実施例1」は、段落【0112】の「各ノードが、経路MTU探索を行うことなく、宛先ノードまでの経路に含まれるリンクの中で最小のMTU値を用いて、宛先ノードとの間で通信を行うことができる」との記載から明らかなように、引用発明とは逆に「経路MTU探索」を行わないようにしたものである。
そうすると、「背景技術」に対応する引用発明について、「実施例1」の特徴的な構成を更に含むものとして認定することはできない。

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
ア 本願発明1と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「IPパケット」は、「最終的には宛先ノードに」「到達させ」るべきものであって、「宛先ノード」に送信すべきデータを含んでいることが明らかであり、本願発明1の「データパケット」に相当する。
そして、引用発明の「インターネットプロトコル・バージョン6(IPv6)の経路MTU探索方法」は、後述する相違点は別として、本願発明1の「インターネットプロトコルバージョン6(IPv6)ネットワークにおけるデータパケット送信方法」に相当する。

(イ)引用発明の「経路MTU探索方法」は、「パケット過大メッセージ」を用いて、「IPパケットのサイズ」が「メッセージを送出するルータが接続しているリンクのMTU値」を超えない、最大の「MTU値」の「探索」を行うものであって、当然、当該「MTU値」が「未知であると判定」して行われるものといえる。
また、当該最大の「MTU値」は、送信すべき「IPパケット」によって「使用されるパス」のものであるといえ、本願発明1の「パス最大伝送単位(PMTU)」に相当する。
以上の点について上記(ア)を踏まえると、引用発明は、本願発明1の「送信すべきデータパケットによって使用されるパスのものであるパス最大伝送単位(PMTU)が未知であると判定するステップ」に相当する構成を有している。

(ウ)引用発明の「経路MTU探索方法」において、「最終的には宛先ノードにIPパケットを到達させ」るまでに行われる、「IPパケットの送信元ノードは、ノード自身が接続しているネットワーク媒体(リンク)のMTU値を初期の経路MTU値と仮定してIPパケットを送信」する等の手順は、上記(イ)の最大の「MTU値」の調査を行うことであるといえ、その具体的な内容についての後述する相違点は別として、本願発明1の「前記パス上でPMTU調査を行うステップ」に相当する。

(エ)引用発明の「最終的には宛先ノードにIPパケットを到達させ」ることは、上記(イ)の最大の「MTU値」が、「成功裏に取得された後に」、前記「パス」の「調べた」最大の「MTU値」に従って、前記「パス」上で「IPパケット」を送信することであるといえる。
この点について上記(ア)、(ウ)を踏まえると、本願発明1の
「前記パスの前記PMTUが前記PMTU調査によって成功裏に取得された後に、前記パスの前記調べたPMTUに従って、前記パス上で後続のデータパケットを送信するステップ」
との構成に関して、引用発明と本願発明1とは、
「前記パスの前記PMTUが前記PMTU調査によって成功裏に取得された後に、前記パスの前記調べたPMTUに従って、前記パス上でデータパケットを送信するステップ」
を有する点で共通している。

イ 上記アから、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「インターネットプロトコルバージョン6(IPv6)ネットワークにおけるデータパケット送信方法であって、
送信すべきデータパケットによって使用されるパスのものであるパス最大伝送単位(PMTU)が未知であると判定するステップと、
前記パス上でPMTU調査を行うステップと、
前記パスの前記PMTUが前記PMTU調査によって成功裏に取得された後に、前記パスの前記調べたPMTUに従って、前記パス上でデータパケットを送信するステップと、を含む、方法。」

(相違点1)
本願発明1は、「前記パスの前記PMTUを調べる前に、IPv6プロトコルで規定された最小最大伝送単位(MTU)に従って、前記パス上でデータパケットを送信するステップ」を含むのに対し、引用発明は当該ステップを含むものではない点。また、それに伴い、本願発明1では、「前記パスの前記調べたPMTUに従って、前記パス上で」「送信する」「データパケット」が、「後続の」ものであるのに対し、引用発明では、「宛先ノード」に「到達させ」る「IPパケット」は、「後続の」ものではない点。

(相違点2)
本願発明1では、「前記パス上でPMTU調査を行う、前記ステップ」が、
「前記送信すべきデータパケットの送信元IPアドレスおよび宛先IPアドレスを用いてプローブパケットを構築し、前記パス上で前記プローブパケットを送信するステップであって、前記プローブパケットに使用されるプロトコルタイプは、前記データパケットに使用されるプロトコルタイプと異なる、ステップと、
前記送信されたプローブパケットが前記送信すべきデータパケットの宛先受信側によって受信されたかどうかを判定するステップと、
前記プローブパケットが前記宛先受信側で受信されたと判定された場合、前記宛先受信側によって受信された前記プローブパケットで使用された最大MTUを、前記パスの前記調べたPMTUとして使用するステップと、を含む」
のに対し、引用発明では、「経路MTU探索方法」による「MTU値」の探索過程の具体的な内容について、「プローブパケットを送信する」等を行うものとして特定されるものではない点。

(2)判断
そこで、まず相違点1について検討する。
IPv6ネットワークにおける適切なMTUの値を調べ、その値を用いてデータパケットの送信を行うことにおいて、適切なMTUの値を調べる前に、IPv6プロトコルで規定された最小最大伝送単位(MTU)に従ってデータパケットを送信することは、引用文献1には記載されておらず、本願の出願日前において周知技術であったとも認められない。
引用発明は、「経路MTU探索を実装しないノードはIPv6の最小MTU値を経路MTU値として用いる」との構成を有しているものの、当該構成から相違点1に係る構成が示唆されるということはできない。
よって、相違点2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用文献1に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2 本願発明2?11について
本願発明2?11は、本願発明1を減縮した発明等であって、いずれも、本願発明1に対応する発明特定事項を含む。
そうすると、本願発明2?11も本願発明1と同様の理由により、当業者であっても引用文献1に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1?11は、当業者が引用文献1に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-06-01 
出願番号 特願2018-510989(P2018-510989)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H04L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 大石 博見  
特許庁審判長 角田 慎治
特許庁審判官 野崎 大進
富澤 哲生
発明の名称 IPv6ネットワークにおけるデータパケット送信方法および装置  
代理人 木内 敬二  
代理人 実広 信哉  
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