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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G01R
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01R
管理番号 1374546
審判番号 不服2019-15675  
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-11-22 
確定日 2021-06-21 
事件の表示 特願2018- 89279「磁場補償装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年11月29日出願公開、特開2018-189653、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成30年5月7日(パリ条約による優先権主張 2017年5月8日 ドイツ)の外国語書面出願であって、平成31年3月25日付けで拒絶理由が通知され、令和元年7月29日に意見書及び手続補正書が提出され、同年9月3日付けで拒絶査定されたところ、同年11月22日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。その後当審において令和2年11月30日付けで拒絶理由が通知され、令和3年3月5日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定(令和元年9月3日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

(進歩性)本願請求項1?19に係る発明は、以下の引用文献A(主引用例)及び引用文献B?Fに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
A.特開2001-264360号公報
B.特開2009-180608号公報
C.特開2012-21787号公報
D.特開2013-117543号公報
E.特開平4-155266号公報
F.特開2010-71960号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

理由1
(進歩性)本願請求項1?18に係る発明は、以下の引用文献1(主引用例)及び引用文献2に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.国際公開第2010/143666号
2.特開2010-101635号公報

理由2
(明確性)本願は、特許請求の範囲の記載が以下の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

1 請求項1の「前記磁場センサ(50)と、前記第1の磁束ガイド部材(20)と、前記第2の磁束ガイド部材(30)と、前記補償コイル(40)と、前記制御ユニットと、は、それぞれ主に半導体基板に集積されており、」との記載では、「前記磁場センサ(50)と、前記第1の磁束ガイド部材(20)と、前記第2の磁束ガイド部材(30)と、前記補償コイル(40)と、前記制御ユニット」のうち、どれがどの半導体基板に集積され、どれが集積されないのか、発明の詳細な説明を踏まえても不明である。

2 請求項1が「前記第1の磁束ガイド部材(20)の周囲に形成された前記補償コイル(40)の部分は、前記第2の磁束ガイド部材(30)の周囲に形成された前記補償コイル(40)の部分と比較して逆向きの巻回方向を有」するところ、請求項15では、さらに何を特定しようとしているのか、不明である。

3 請求項17において、「2つの異なる種類の磁場センサが形成されている」ことの具体的な態様が不明である。

以上のことから、請求項1、15、17及び前記請求項を引用する請求項2?14、16、18に係る発明は、明確とはいえない。

第4 本願発明
本願請求項1?7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明7」という。)は、令和3年3月5日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1?7は以下のとおりの発明である(下線は補正箇所である。)。

「 【請求項1】
磁束ガイド部材であって、直線状かつロッド状の第1の磁束ガイド部材(20)および直線状かつロッド状の第2の磁束ガイド部材(30)のみからなる磁束ガイド部材と、
磁場センサ(50)と、
補償コイル(40)と、
制御ユニットと、
を有する磁場補償装置(10)であって、
・前記第1の磁束ガイド部材(20)は、X方向に形成された長手方向軸線と、第1の頭頂部側の端部(22)と、を有しており、
・前記第2の磁束ガイド部材(30)は、X方向に形成された長手方向軸線を有しており、前記第1の磁束ガイド部材(20)および前記第2の磁束ガイド部材(30)は、相互にY方向において間隔を空けて設けられており、前記第1の磁束ガイド部材(20)の前記長手方向軸線および前記第2の磁束ガイド部材(30)の前記長手方向軸線は、相互に実質的に平行に配置されており、
・前記補償コイル(40)は、前記第1の磁束ガイド部材(20)の周囲および前記第2の磁束ガイド部材(30)の周囲に形成されており、
・前記制御ユニットは、前記磁場センサ(50)および前記補償コイル(40)と電気的に相互作用関係にあり、前記制御ユニットは、前記磁場センサ(50)の測定信号に基づいて、前記補償コイル(40)を流れる補償電流(IFB)を閉ループ制御して、前記磁場センサ(50)の場所においてX方向に形成された外部磁場に対して磁場を実質的に補償するように構成されており、
前記第2の磁束ガイド部材(30)においては、X軸の方向に磁場が形成されており、
前記磁場センサ(50)は、前記第1の磁束ガイド部材(20)の前記頭頂部側の端部に配置されており、
前記磁場センサ(50)と、前記第1の磁束ガイド部材(20)と、前記第2の磁束ガイド部材(30)と、前記補償コイル(40)と、前記制御ユニットと、は、同一の半導体基板に集積されており、
前記第1の磁束ガイド部材(20)の周囲に形成された前記補償コイル(40)の部分は、前記第2の磁束ガイド部材(30)の周囲に形成された前記補償コイル(40)の部分と比較して逆向きの巻回方向を有し、
前記X方向において、前記第2の磁束ガイド部材(30)の長さは、前記第1の磁束ガイド部材(20)の長さよりも長い、または、
前記X方向において、前記第2の磁束ガイド部材(30)の長さは、前記第1の磁束ガイド部材(20)の長さよりも短い、
ことを特徴とする磁場補償装置(10)。
【請求項2】
前記第1の磁束ガイド部材および/または前記第2の磁束ガイド部材(30)は、前記補償コイル(40)を完全に貫通している、
請求項1記載の磁場補償装置(10)。
【請求項3】
前記補償コイル(40)は、前記磁場センサ(50)の周囲の少なくとも一部に、または、周囲全体に形成されている、
請求項1または2記載の磁場補償装置(10)。
【請求項4】
前記第1、第2の磁束ガイド部材(20,30)同士の間の間隙は、前記第1の磁束ガイド部材(20)の直径の4倍よりも小さく形成されている、
請求項1から3までのいずれか1項記載の磁場補償装置(10)。
【請求項5】
前記補償コイル(40)の延びに沿って巻線の横断面積が変化する、
請求項1から4までのいずれか1項記載の磁場補償装置(10)。
【請求項6】
前記磁場センサ(50)は、ホールセンサとして、または、GMRセンサとして、または、TMRセンサとして形成されている、
請求項1から5までのいずれか1項記載の磁場補償装置(10)。
【請求項7】
前記磁場センサ(50)は、前記半導体基板に形成されたホールセンサとして形成されている、
請求項1から6までのいずれか1項記載の磁場補償装置(10)。」

第5 引用文献、引用発明等

1 引用文献1について
(1)引用文献1の記載
令和2年11月30日付けの拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

(引1ア)
「[0020] 以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態においては、フィードバックコイルがトロイダル型であり、磁気コアがフィードバックコイルの内側に設けられている場合について説明する。
[0021] 図1は、本発明の実施の形態1に係る磁気平衡式電流センサを示す図である。図1に示す磁気平衡式電流センサは、被測定電流Iが流れる導体11の近傍に配設される。被測定電流Iの流れる方向に直交する方向が軸心方向Xとなるようにフィードバックコイル12が配設されている。このフィードバックコイル12は、被測定電流Iが流れることにより発生する誘導磁界を相殺するキャンセル磁界を発生する。
[0022] また、フィードバックコイル12の軸心方向と直交する方向Y(フィードバックコイル12の電流方向と一致する方向)が磁化容易軸となるように磁気コア13が配設されている。被測定電流Iから発生した誘導磁界とキャンセル磁界とがフィードバックコイル12内部で釣り合っている(平衡状態である)とき、磁気抵抗効果素子141に印加される磁界が零になるように、磁気コア13の磁化容易軸方向をフィードバックコイル12の軸心方向と直交させることにより、残留磁化による磁界が磁気抵抗効果素子141に加わらないようにすることができる。また、これにより、フィードバックコイル12からのキャンセル磁界が飽和し難くなるように、磁気コア13の反転磁界(Hk)を大きくし、飽和磁界を適度に大きくすることができる。
[0023] また、2つの磁気コア13の間に磁気抵抗効果素子141が配置されている。この磁気抵抗効果素子141は、被測定電流Iからの誘導磁界の印加により抵抗値が変化する。この磁気抵抗効果素子141は、3つの固定抵抗素子142a,142b,142cと共に磁界検出ブリッジ回路14を構成している。このように磁気抵抗効果素子141を有する磁界検出ブリッジ回路14を用いることにより、高感度の磁気平衡式電流センサを実現することができる。また、このような構成によれば、磁気抵抗効果素子と固定抵抗素子のTCR(Temperature Coefficient Resistivity)を一致させつつ、抵抗変化率の温度変化が小さいGMR素子やTMR素子を用いることで出力の温度依存を小さくできるので、温度特性を向上させることができる。
[0024] この磁界検出ブリッジ回路14は、被測定電流Iにより生じた誘導磁界に応じた電圧差を生じる2つの出力を備える。図1に示す磁界検出ブリッジ回路においては、固定抵抗素子142a,142b間の接続点に電源Vddが接続されており、磁気抵抗効果素子141と固定抵抗素子142cとの間の接続点にグランド(GND)が接続されている。さらに、この磁界検出ブリッジ回路においては、磁気抵抗効果素子141と固定抵抗素子142bとの間の接続点から一つの出力を取り出し、固定抵抗素子142aと固定抵抗素子142cとの間の接続点からもう一つの出力を取り出している。これらの2つの出力は増幅器143で増幅され、フィードバックコイル12に電流(フィードバック電流)として与えられる。このフィードバック電流は、誘導磁界に応じた電圧差に対応する。このとき、フィードバックコイル12には、誘導磁界を相殺するキャンセル磁界が発生する。そして、誘導磁界とキャンセル磁界とが相殺される平衡状態となったときのフィードバックコイル12に流れる電流に基づいて検出部(検出抵抗R)で被測定電流を測定する。」

(引1イ)
「[0025] 図2(a)は、図1に示す磁気平衡式電流センサを示す断面図であり、図2(b)は、磁気抵抗効果素子であるGMR素子の拡大図である。図2(a)に示すように、本実施の形態に係る磁気平衡式電流センサにおいては、フィードバックコイル12、磁気コア13及び磁界検出ブリッジ回路14が同一基板21上に形成されている。図2(a)に示す構成においては、磁気コア13及びフィードバックコイル12が磁気抵抗効果素子141の近傍に配置されている。ここでは、フィードバックコイル12の間に磁気コア13が配設された2つの構造の間に磁気抵抗効果素子141が配置された構成を採っている。さらに、磁気抵抗効果素子141が2つの磁気コア13の間に配置され、磁気抵抗効果素子141と磁気コア13とが同一平面に形成されている。磁気抵抗効果素子141が2つの磁気コア13の間に配置されることにより、被測定電流Iから発生する誘導磁界を磁気抵抗効果素子141に効率良く印加することができる。また、フィードバックコイル12の内部に磁気コア13が配設され、磁気抵抗効果素子141が2つの磁気コア13の間に配置されているので、2つの磁界(誘導磁界及びキャンセル磁界)を共に、地磁気などの不要磁場に対して相対的に大きくでき、電流センサ自体をより高精度化することができる。
[0026] この場合においては、フィードバックコイル12の軸心方向が被測定電流Iの流れる方向に直交する方向がとなるようにフィードバックコイル12が配設されており、フィードバックコイル12の軸心方向と直交する方向(フィードバックコイル12の電流方向と一致する方向)が磁化容易軸となるように磁気コア13が配設されている。
[0027] 図2(a)に示す層構成について詳細に説明する。図2(a)に示す磁気平衡式電流センサにおいては、基板21上に絶縁層であるシリコン酸化膜22が形成されている。シリコン酸化膜22には、熱酸化によるシリコン酸化膜やCVD成膜されたシリコン酸化膜が用いられる。また、基板21としては、シリコン基板などが用いられる。
[0028] シリコン酸化膜22上には、下部コイル層12aが形成されている。下部コイル層12aは、コイル材料を成膜した後に、フォトリソグラフィ及びエッチングにより形成することができる。あるいは、下部コイル層12aは、下地材料を成膜した後に、フォトリソグラフィ及びめっきにより形成することができる。
[0029] 下部コイル層12aを設けたシリコン酸化膜22上には、絶縁層としてポリイミド層23が形成されている。ポリイミド層23は、ポリイミド材料を塗布し、硬化することにより形成することができる。ポリイミド層23上には、シリコン酸化膜24が形成されている。シリコン酸化膜24は、例えば、スパッタリングなどの方法により成膜することができる。
[0030] シリコン酸化膜24上には、磁気コア13が形成されている。磁気コア13は、コア材料を成膜した後に、フォトリソグラフィ及びエッチングにより形成することができる。あるいは、磁気コア13は、下地材料を成膜した後に、フォトリソグラフィ及びめっきにより形成することができる。磁気コア13を構成する材料としては、アモルファス磁性材料、パーマロイ系磁性材料、又は鉄系微結晶材料等の高透磁率材料を用いることができる。
[0031] また、シリコン酸化膜24上には、磁気抵抗効果素子141が形成されている。このとき、磁気抵抗効果素子141と共に固定抵抗素子も設けられ、磁界検出ブリッジ回路が作り込まれる。磁気抵抗効果素子141としては、TMR素子(トンネル型磁気抵抗効果素子)、GMR素子(巨大磁気抵抗効果素子)などを用いることができる。例えば、GMR素子として、反強磁性層、固定磁性層、非磁性層、フリー磁性層を有する多層膜で構成されるスピンバルブ型GMR素子や反強磁性層、固定磁性層、非磁性層、フリー磁性層を有する多層膜で構成されるスピンバルブ型TMR素子を用いることができる。
[0032] スピンバルブ型GMR素子としては、図2(b)に示すようなミアンダ形状を有するGMR素子であることが好ましい。このミアンダ形状においては、リニアリティを考慮すると、ピン方向の幅Dが1μm?10μmであり、長手方向の長さ(L)が幅(D)の2倍以上であることが好ましい。この場合において、リニアリティを考慮すると、長手方向が誘導磁界の方向及びキャンセル磁界の方向に対して共に垂直になることが望ましい。このようなミアンダ形状にすることにより、ホール素子よりも少ない端子数(2端子)で磁気抵抗効果素子の出力を採ることができる。
[0033] また、スピンバルブ型TMR素子としては、リニアリティを考慮すると、ピン方向の幅が1μm?10μmの長方形であり、長手方向の長さが幅の2倍以上であることが好ましい。この場合において、リニアリティを考慮すると、長手方向が誘導磁界の方向及びキャンセル磁界の方向に対して共に垂直になることが望ましい。
[0034] 磁気コア13及び磁気抵抗効果素子141を設けたシリコン酸化膜24上には、絶縁層としてポリイミド層25が形成されている。ポリイミド層25は、ポリイミド材料を塗布し、硬化することにより形成することができる。ポリイミド層25上には、シリコン酸化膜26が形成されている。シリコン酸化膜26は、例えば、スパッタリングなどの方法により成膜することができる。
[0035] シリコン酸化膜26上には、上部コイル層12bが形成されている。上部コイル層12bは、コイル材料を成膜した後に、フォトリソグラフィ及びエッチングにより形成することができる。あるいは、上部コイル層12bは、下地材料を成膜した後に、フォトリソグラフィ及びめっきにより形成することができる。
[0036] 上部コイル層12bを設けたシリコン酸化膜26上には、絶縁層としてポリイミド層27が形成されている。ポリイミド層27は、ポリイミド材料を塗布し、硬化することにより形成することができる。ポリイミド層27上には、保護層としてシリコン酸化膜28が形成されている。シリコン酸化膜28は、例えば、スパッタリングなどの方法により成膜することができる。」

(引1ウ)
「[0037] このような構成を有する磁気平衡式電流センサにおいては、図3(a)に示すように、被測定電流Iから発生した誘導磁界Aを、磁気コア13を通して磁気抵抗効果素子141で受け、図3(b)に示すように、その誘導磁界をフィードバックしてフィードバックコイル12からキャンセル磁界Bを発生し、図3(c)に示すように、2つの磁界(誘導磁界A、キャンセル磁界B)を相殺して磁気抵抗効果素子141に印加する磁場が零になるように適宜調整する。
[0038] 上記構成を有する磁気平衡式電流センサは、フィードバックコイル12、磁気コア13及び磁界検出ブリッジ回路14が同一基板上に形成されてなるので、磁気コア13を有する構造であっても小型化を図ることができる。これにより、キャンセル磁界の大きさを大きくすることができ、被測定電流が大電流であっても測定することが可能となる。また、磁気検出素子として磁気抵抗効果素子、特にGMR素子やTMR素子を用いるので、電流センサの感度を高くすることができる。」

(引1エ)図1


(引1オ)図2

(引1カ)図3


(2)引用文献1に記載された発明
ア (引1ア)の記載及び図1?3によれば、「磁気コア13」は、フィードバックコイル12の軸心方向Xの中心線上に沿って分かれた「2つの磁気コア13」のみからなっていることが分かる。

イ (引1イ)の記載及び図2(a)及び(b)によれば、「2つの磁気コア13」は、それぞれ、フィードバックコイル12の軸心方向Xが長手方向、フィードバックコイル12の軸心方向と直交する方向Yが短手方向となる矩形膜状物であることが分かる。

ウ 図3(b)及び(c)によれば、「フィードバックコイル12」は、「2つの磁気コア13」の長手方向の周囲に同じ巻回方向で配設されていることが分かる。

エ 図3(b)及び(c)によれば、「2つの磁気コア13」の長手方向に「誘導磁界A」が発生し、「誘導磁界A」とは逆方向に「キャンセル磁界B」が発生していることが分かる。

オ (引1イ)の記載及び図2によれば、磁気平衡式電流センサにおいては、フィードバックコイル12、磁気コア13及び磁界検出ブリッジ回路14が同一半導体基板21上に形成されていることが分かる。

カ したがって、上記ア?オを含め上記(1)の記載及び図面を総合すると、上記引用文献1には次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「 被測定電流Iが流れる導体11の近傍に配設される磁気平衡式電流センサであって、
被測定電流Iの流れる方向に直交する方向が軸心方向Xとなるようにフィードバックコイル12が配設され、
磁気コア13は、フィードバックコイル12の軸心方向Xの中心線上に沿って分かれた2つの磁気コア13のみからなり、
2つの磁気コア13は、それぞれ、フィードバックコイル12の軸心方向Xが長手方向、フィードバックコイル12の軸心方向と直交する方向Yが短手方向となる矩形膜状物であり、
フィードバックコイル12は、2つの磁気コア13の長手方向の周囲に同じ巻回方向で配設されており、
2つの磁気コア13の間に磁気抵抗効果素子141が配置され、この磁気抵抗効果素子141は、3つの固定抵抗素子142a,142b,142cと共に磁界検出ブリッジ回路14を構成し、
この磁界検出ブリッジ回路14は、被測定電流Iにより生じた誘導磁界に応じた電圧差を生じる2つの出力を備え、これらの2つの出力は増幅器143で増幅され、フィードバックコイル12に電流(フィードバック電流)として与えられ、このとき、フィードバックコイル12には、誘導磁界を相殺するキャンセル磁界が発生し、そして、誘導磁界とキャンセル磁界とが相殺される平衡状態となったときのフィードバックコイル12に流れる電流に基づいて検出部(検出抵抗R)で被測定電流を測定するものであり、
当該磁気平衡式電流センサにおいては、フィードバックコイル12、磁気コア13及び磁界検出ブリッジ回路14が同一半導体基板21上に形成されており、
このような構成を有する磁気平衡式電流センサにおいては、2つの磁気コア13の長手方向に誘導磁界Aが発生し、誘導磁界Aとは逆方向にキャンセル磁界Bが発生し、
被測定電流Iから発生した誘導磁界Aを、磁気コア13を通して磁気抵抗効果素子141で受け、その誘導磁界をフィードバックしてフィードバックコイル12からキャンセル磁界Bを発生し、2つの磁界(誘導磁界A、キャンセル磁界B)を相殺して磁気抵抗効果素子141に印加する磁場が零になるように適宜調整する、
磁気平衡式電流センサ。」

2 引用文献2について
(1)引用文献2の記載
令和2年11月30日付けの拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

(引2ア)
「(57)【要約】
【課題】リング状磁気コアに線材を巻回する場合よりも生産性が良く小型化も容易な負帰還用コイルを用いた磁気平衡式電流センサを提供する。
【解決手段】第1及び第2のプリント基板31,32は、リング状磁気コア15を厚さ方向の両側から挟み込んで対向する。第1及び第2のプリント基板31,32には第1及び第2の導電パターン41,42がそれぞれ形成され、第1及び第2の導電パターン41,42は導通手段としての導通ピンによって相互に接続されている。第1及び第2の導電パターン41,42と前記導通ピンとによってリング状磁気コア15の周りにコイル導体を構成したものが負帰還用コイルLである。
【選択図】図1」

(引2イ)

(2)引用文献2に記載された技術事項
上記(1)の記載及び図面を総合すると、上記引用文献2には次の技術事項が記載されていると認められる。

「 リング状磁気コア15の周りに負帰還用コイルLを備えた磁気平衡式電流センサ。」

3 引用文献Aについて
(1)引用文献Aの記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献Aには、図面とともに次の事項が記載されている。

(引Aア)
「【0002】
【従来の技術】従来の一般的な直流クランプメータとしては、ホール素子が多用されているが、検出感度が低いという難点があり、大電流用としては測定範囲が狭く、加えて温度特性が悪いため十分な精度が得られない。このため従来にあっては検出コアに設けるホール素子にて構成された磁気センサ又はフラックスゲート型磁気センサ出力を検出コアに巻いたフィードバックコイルに帰還させ、検出コアに印加される磁束が零となるよう調節して直流の検出を行う零磁束補償型のものが広く知られている。
【0003】図9は従来の直流クランプメータの説明図であり、図中30はクランプメータの検出器本体、31は検出器本体を構成する検出コアであり、全体として矩形環状をなすよう構成され、上,下の中間部より上端寄りの位置で横向きに分割されて小さい下向きのコ字形をなすコア部材32と上向きのコ字形をなすコア部材33とからなる。
【0004】コア部材33は、その一方の腕部にフィードバックコイル35が巻回され、また両腕を結ぶ連結部の略中央部で左,右に2分され、この分割部分にホール素子からなる磁気センサ36を介在させ、該磁気センサ36の出力端は増幅器37等を介在させてフィードバックコイル35の一端に接続され、帰還電流iをフィードバックコイル35に流すようにしてある。フィードバックコイル35の他端は出力端子となっている。
【0005】このような直流クランプメータにあっては検出コア31の内側の空間内に電流Iが通流する被検出導体34を貫通させた状態で測定を行う。被検出導体34を流れる電流をI、フィードバックコイル35の巻数をNとすると、I-Ni=0となるように帰還電流iを調節し、測定電流Iに正確に対応した出力を得るようにしてある。」

(引Aイ)図9


(2)引用文献Aに記載された技術事項
上記(1)の記載及び図面を総合すると、上記引用文献Aには次の技術事項が記載されていると認められる。

「 全体として矩形環状をなすよう構成され、上,下の中間部より上端寄りの位置で横向きに分割されて小さい下向きのコ字形をなすコア部材32と上向きのコ字形をなすコア部材33とからなり、コア部材33は、その一方の腕部にフィードバックコイル35が巻回され、また両腕を結ぶ連結部の略中央部で左,右に2分される、直流クランプメータ。」

4 引用文献Bについて
(1)引用文献Bの記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献Bには、図面とともに次の事項が記載されている。

(引Bア)
「【0013】
以下本発明を実施するための最良の形態を図2乃至図7に基づき説明する。
図2に示すように、磁気センサー10は、強磁性体から成る磁気抵抗素子R1,R2,R3,R4をブリッジに組んだブリッジ回路7を形成する薄膜7′と、該ブリッジ回路7を磁化するセット/リセットコイル8を構成する薄膜8′と、該ブリッジ回路7の出力電圧調整用オフセットコイル9を構成する薄膜9′とを積層したICチップから成る。
【0014】
尚理解を助けるため、上記両コイル8,9は薄膜7′を巻装する線輪を以って図示したが、実際は絶縁膜の表面に渦巻き状にパターン形成した構造のものである。
【0015】
上記セット/リセットコイル8(薄膜8′)と出力電圧調整用オフセットコイル9(薄膜9′)とブリッジ回路7(薄膜7′)の積層体は基板11(シリコン等)上に互いに重畳して配置すると共に、両コイル8,9は互いに直交して配置し、両コイル8,9の両端とブリッジ回路7の入力端V1,V2と同出力端V3,V4の夫々を導電路12を介して基板11辺縁部に配置した電極13群に接続する。
【0016】
上記磁気センサ10を構成するICチップの大きさは、縦横約0.5ミリメートル程度である。従ってこれを使用するICチップ形電流センサ10′も、縦横0.5ミリメートル程度にすることができる。次にその動作について説明する。
【0017】
上記電極13と導電路12を介して上記セット/リセットコイル8に短時間電流を流すと、ブリッジ回路7を構成する磁気抵抗素子R1,R2,R3,R4が磁化され、測定磁界の磁気が印加されることによって、対向する一組の磁気抵抗素子R1,R2の抵抗値が減少し、他の対向する一組の磁気抵抗素子R3,R4の抵抗値が増大してブリッジ回路7に不平衡を生じ、この結果、出力端V3,V4、即ち電極13に測定磁界の磁気に比例した出力電圧が得られる。
【0018】
図4に示すように、実際には上記磁気センサ10を構成するICチップは、絶縁材14内に埋設してICパッケージ15、即ちICパッケージにした磁気センサを形成する。
【0019】
上記ICチップの電極13群はICパッケージ15の外部端子16群にボンディング等にて接続されており、上記ブリッジ回路7の入出力端V1,V2,V3,V4と、セット/リセットコイル8の両端と、出力電圧調整用オフセットコイル9の両端の夫々が電極13群を経由して外部端子16群に接続されている。」

(引Bイ)
「【0039】
上記ICチップ形電流センサ10′又はICパッケージ15は、配線回路基板23上に搭載し、上記器体20に保有せしめる。該器体20にはコンピュータやモニタ装置等に接続する端子を設け、ケーブル24を介してこれらと接続する。
【0040】
又上記配線基板23上には、ICチップ形電流センサ10′又はICパッケージ15と協働するアンプやADコンバータやCPU等の制御回路を搭載し、電流センサ10′を構成できる。又上記制御回路をICパッケージ15内に内蔵できる。」

(引Bウ)図2


(引Bエ)図3


(引Bオ)図4

(2)引用文献Bに記載された技術事項
上記(1)の記載及び図面を総合すると、上記引用文献Bには次の技術事項が記載されていると認められる。

「 強磁性体から成る磁気抵抗素子R1,R2,R3,R4をブリッジに組んだブリッジ回路7を形成する薄膜7′と、該ブリッジ回路7を磁化するセット/リセットコイル8を構成する薄膜8′と、該ブリッジ回路7の出力電圧調整用オフセットコイル9を構成する薄膜9′とを積層したICチップから成る磁気センサ10であって、
上記磁気センサ10を構成するICチップは、絶縁材14内に埋設してICパッケージ15を形成し、
ICパッケージ15は、配線回路基板23上に搭載し、上記配線基板23上には、ICパッケージ15と協働するアンプやADコンバータやCPU等の制御回路をICパッケージ15内に内蔵できる、磁気センサ10。」

5 引用文献Cについて
(1)引用文献Cの記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献Cには、図面とともに次の事項が記載されている。

(引Cア)
「(57)【要約】
【課題】小型、軽量で精度も良く、大電流測定時にも消費電力を抑えることができる磁気平衡式電流センサを提供すること。
【解決手段】本発明の磁気平衡式電流センサは、バスバー1に通流される被測定電流からの誘導磁界により特性が変化する磁気センサ4と、磁気センサ4の近傍に配置され、誘導磁界を相殺するキャンセル磁界を発生するフィードバックコイル5と、導体1と磁気センサ4及びフィードバックコイル5との間に配置されており、誘導磁界を減衰させる磁束減衰器2と、を具備し、磁束減衰器2は、中空容器内に磁性流体を封入してなることを特徴とする。
【選択図】図1」

(引Cイ)
「【0013】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る磁気平衡式電流センサを示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は側面図である。
【0014】
図1において、参照符号1は電力供給ラインである導体(バスバー)1を示す。この導体1は、断面略矩形状の平板形状を有する。この導体1の主表面上に磁束減衰器2が配設されている。この磁束減衰器2も平板形状を持つ。磁束減衰器2上には、基板3が配設されている。この基板3には、磁気検出素子である磁気センサ4と、演算手段であるIC6とが実装されている。また、基板3には、フィードバックコイル5が形成されている。磁束減衰器2と、基板3上の磁気センサ4、フィードバックコイル5及びIC6とで磁気平衡式電流センサを構成しており、磁気平衡式電流センサが導体1の近傍、ここでは導体1上に配設されている構成となっている。
【0015】
導体1は、磁気平衡式電流センサの被測定電流を通流する電力供給ラインである。ここでは、導体1が断面略矩形状の平板形状を有する場合について図示しているが、導体1は、その上に磁気平衡式電流センサが配設できれば形状に特に制限はない。
【0016】
磁束減衰器2は、導体に通流した被測定電流により生じた誘導磁界を減衰させるものである。磁束減衰器2は、中空容器内に磁性流体を封入してなる。磁性流体とは、直径数nm?数十nmの磁性超微粒子と、主成分である水、有機溶剤又は油などの液体(分散媒)と、磁性超微粒子に吸着して磁性超微粒子を分散媒に安定に分散させるための界面活性剤とを含む3成分コロイド溶液である。磁性流体中の磁性超微粒子は、極めて小さいことと、その表面に界面活性剤層があるために磁性超微粒子同士で反発力が働くことなどにより、凝集や沈降が起こらず、安定な分散状態を保つ。
【0017】
磁束減衰器2においては、磁気センサ4の出力にヒステリシスが生じることを防止するために、その中空容器の材料を非磁性材料にすることが望ましい。特に、容量結合を介して導体(バスバー)1から磁気センサ4に飛び込む静電ノイズを低減するためには、誘電率の小さい絶縁体が好ましく、このことを考慮すると、中空容器の材料を樹脂材料にすることが好ましい。ここでは、磁束減衰器2が平板形状を有する場合について図示しているが、磁束減衰器2は、導体1に配設でき、その上に基板3が配設できれば形状に特に制限はない。
【0018】
磁気検出素子である磁気センサ4は、導体1に通流される被測定電流からの誘導磁界により特性が変化する。本実施の形態においては、磁気センサ4が磁気抵抗効果素子を含む場合について説明する。磁気抵抗効果素子としては、スピンバルブ型GMR素子やスピンバルブ型TMR素子などを用いることができる。磁気抵抗効果素子においては、被測定電流からの誘導磁界の印加により特性(抵抗値)が変化する。
【0019】
フィードバックコイル5は、磁気センサ4の近傍に配置され、導体1に流れる被測定電流による誘導磁界を相殺する磁界(キャンセル磁界)を発生する。フィードバックコイル5は平面コイルで構成されている。この構成においては、磁気コアを有しないので、磁気平衡式電流センサを小型、軽量で構成することができる。また、平面コイルは、トロイダルコイルの場合に比べて、フィードバックコイルから生じるキャンセル磁界が広範囲に拡がることを防止でき、周辺回路に影響を与えることを回避できる。さらに、トロイダルコイルの場合に比べて、被測定電流が交流の場合に、フィードバックコイル5によるキャンセル磁界の制御が容易であり、制御のために流す電流もそれほど大きくならない。これらの効果については、被測定電流が交流で高周波になるほど大きくなる。フィードバックコイル5を平面コイルで構成する場合においては、平面コイルの形成面と平行な面内で誘導磁界とキャンセル磁界の両方が生じるように平面コイルが設けられていることが好ましい。
【0020】
被測定電流により生じた誘導磁界に応じた電圧差としての出力がフィードバックコイル5に電流(フィードバック電流)として与えられる。すなわち、このフィードバック電流は、誘導磁界に応じた電圧差に対応する。このとき、フィードバックコイル5には、誘導磁界を相殺するキャンセル磁界が発生する。そして、誘導磁界とキャンセル磁界とが相殺される平衡状態となったときのフィードバックコイル5に流れる電流に基づいて被測定電流を測定する。このような制御は、基板3上の磁気センサ4、フィードバックコイル5及びIC6により行われる。
【0021】
上記構成の磁気平衡式電流センサにおいては、導体1と基板3との間に、すなわち、導体1と磁気センサ4及びフィードバックコイル5との間に、磁束減衰器2が配設されている。これにより、被測定電流から磁気センサ4に印加される誘導磁界を小さくすることができる。したがって、フィードバックコイル5からのキャンセル磁界を小さくすることができ、大電流測定時にも消費電力を抑えることができる。また、上記構成の磁気平衡式電流センサにおいては、磁束減衰器2に磁性流体が含まれている。磁性流体は、磁界が零の時は磁性の無い単なる液体であり、磁界を作用させることで磁化し、磁界を取り除くと磁化は再び消滅する、超常磁性を示す。このため、磁性流体は残留磁化及びヒステリシスを示さない。したがって、上記構成の磁気平衡式電流センサは、ヒステリシスのない高精度の出力(電流値)を示すことができる。」

(引Cウ)図1


(2)引用文献Cに記載された技術事項
上記(1)の記載及び図面を総合すると、上記引用文献Cには次の技術事項が記載されていると認められる。

「 バスバー1に通流される被測定電流からの誘導磁界により特性が変化する磁気センサ4と、磁気センサ4の近傍に配置され、誘導磁界を相殺するキャンセル磁界を発生するフィードバックコイル5と、導体1と磁気センサ4及びフィードバックコイル5との間に配置されており、誘導磁界を減衰させる磁束減衰器2と、を具備し、磁束減衰器2は、中空容器内に磁性流体を封入してなる、磁気平衡式電流センサであって、
磁束減衰器2上には、基板3が配設され、この基板3には、磁気検出素子である磁気センサ4と、演算手段であるIC6とが実装され、また、基板3には、フィードバックコイル5が形成されている、磁気平衡式電流センサ。」

6 引用文献Dについて
(1)引用文献Dの記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献Dには、図面とともに次の事項が記載されている。

(引Dア)
「【0027】
次に図5を参照すると、閉ループ電流センサ形式の電子回路150が示されている。電流センサ150は、第1の磁気抵抗効果素子152、第2の磁気抵抗効果素子155、第1の抵抗器168、および第2の抵抗器165を含む。抵抗器168、165は、図2の抵抗器50に従って材料スタックとして各々製作される。磁気抵抗効果素子152、155、抵抗器168、165は、シリコン基板154の表面154aの上に配設される。2次側導体164も、シリコン基板154の表面154aの上で磁気抵抗効果素子152、155の最も近くに配設される。さらなる1次側導体158は、図示のように、誘電体156によってシリコン基板154から絶縁される。
【0028】
作動中、1次側導体158を通って1次電流160が流れ、それによって、1次側磁界162を生成する。2次側導体164を通って2次電流166が流れ、それによって、導体部分164aに2次側磁界165を生成する。1次電流160が1次側導体158を通るのと反対方向に、2次電流166が2次側導体部分164aを通るので、2次側磁界165は1次側磁界162と反対方向である。
【0029】
ここではシリコン基板154に一体化された第1の電圧源174は、第1の抵抗器168および第1の磁気抵抗効果素子152を通る電流を供給し、したがって、第1の磁気抵抗効果素子152によって経験された磁界に関連する大きさを有する電圧をノード170に生成する。同様に、ここではシリコン基板154に一体化された第2の電圧源159も、第2の磁気抵抗効果素子155および第2の抵抗器165を通る電流を供給し、したがって、第2の磁気抵抗効果素子155によって経験された磁界に関連する大きさを有する電圧をノード171に生成する。特定の一実施形態では、第1の電圧源174および第2の電圧源159は同じ電圧を供給し、単一の電圧源によって与えられる。ノード170、171に結合された増幅器172は、ノード170と171の間の電圧差に応じて2次側導体164に2次電流166を供給する。
【0030】
第1の磁気抵抗効果素子152は応答軸153を有し、第2の磁気抵抗効果素子155は応答軸157を有する。磁気抵抗効果素子152、155は、同じ方向に分極される。2次電流166は、第1および第2の磁気抵抗効果素子152、155の側を同じ方向に通る。したがって、2次側磁界165にさらされたとき、ノード170の電圧とノード171の電圧は、磁界に応じて反対方向に動く。
【0031】
図示の特定の装置では、ノード170が増幅器172の反転入力に結合され、ノード171が増幅器172の非反転入力に結合される。増幅器172は、ノード170と171の間の電圧差に比例した2次電流166を生成する。ノード171の電圧は、1次側磁界162に応じて増加する傾向があり、ノード170の電圧は、減少する傾向がある。しかし、前述のように、2次側磁界165は、1次側磁界162に対抗する傾向がある。
【0032】
第1の磁気抵抗効果素子152によって経験される磁界は、2次側磁界165と1次側磁界162の、応答軸153に沿った和である。同様に、第2の磁気抵抗効果素子155によって経験される磁界は、2次側磁界165と1次側磁界162の、応答軸157に沿った和である。2次側磁界165が1次側磁界162と反対方向であるため、2次側磁界165が1次側磁界162を打ち消す傾向がある。
【0033】
増幅器172は、第1および第2の磁気抵抗効果素子152、155によって経験される合計の磁界が実質的にゼロガウスであるように、応答軸153、157に沿った1次側磁界162を打ち消すのに十分な2次側磁界165を生成するために必要なレベルで2次電流166を供給する。
【0034】
2次電流166は、抵抗器176を通り、それによって、出力端子178と180の間に2次電流166に比例した出力電圧Voutを生成する。この装置で、出力電圧Voutは、必要に応じて、2次側磁界165に比例し、したがって1次電流160に比例する。
【0035】
抵抗器176が温度係数を持った抵抗を有することが理解されよう。当技術の通常の熟練者は、この温度係数の影響を低減させるために使用され得る技術を理解するであろう。例えば、この影響を低減させるために、適切に適合されたフィードバック補償回路網を有するオペアンプ回路が使用され得る。
【0036】
2つの磁気抵抗効果素子152、155、および2つの抵抗器168、165は、例えば図4に示されたようなホイートストンブリッジ回路をもたらす。抵抗器168、165が図2の抵抗器50に従って材料スタックとして与えられ、磁気抵抗効果素子152、155の温度係数と実質的に同じ温度係数を有するので、ノード170と171の間の電圧差は、実質的に温度変化に影響されず、したがって、出力電圧Voutは、同様に影響されないはずであるということを理解されたい。
【0037】
閉ループ電流センサ150は、2つの磁気抵抗効果素子152、155および2つの抵抗器168、125を有するが、代替の閉ループ電流センサは、2つを上回るかまたは2つ未満の磁気抵抗効果素子および2つを上回るかまたは2つ未満の抵抗器を与えられ得ることが、当技術の通常の熟練者には理解されよう。
【0038】
シリコン基板154が示されているが、SiGe、GaAsまたはInGaAsを含むがこれらには限定されない他の基板材料が、本発明から逸脱することなく、シリコン基板154の代りに使用され得ることも明白であろう。また、代替実施形態では、シリコン基板154は、Al2O3を含むがこれには限定されないセラミック材料で構成された別の基板(図示せず)と取り替えられ得る。この特定の実施形態では、図2の抵抗器50に従って材料スタックとして形成された磁気抵抗効果素子および抵抗器が、セラミック基板上で製作され得る。増幅器171に類似の回路が、例えばシリコン基板上に、例えば個別の基板(図示せず)上に形成され得て、これはセラミック基板にワイヤボンディングなどで結合され得る。」

(引Dイ)図5


(2)引用文献Dに記載された技術事項
上記(1)の記載及び図面を総合すると、上記引用文献Dには次の技術事項が記載されていると認められる。

「 閉ループ電流センサ形式の電子回路150であって、
電流センサ150は、第1の磁気抵抗効果素子152、第2の磁気抵抗効果素子155、第1の抵抗器168、および第2の抵抗器165を含み、磁気抵抗効果素子152、155、抵抗器168、165は、シリコン基板154の表面154aの上に配設され、2次側導体164も、シリコン基板154の表面154aの上で磁気抵抗効果素子152、155の最も近くに配設され、さらなる1次側導体158は、誘電体156によってシリコン基板154から絶縁される、磁気平衡式電流センサ。」

7 引用文献Eについて
(1)引用文献Eの記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献Eには、図面とともに次の事項が記載されている。

(引Eア)第2頁右下欄第8行?第3頁左上欄第14行
「 第1図は、この発明の一実施例を示す電流変換器の構成図である。同図において、2つのリングが結合された線心1の共通部(中央部)1aに検出線輪2が巻回され、一方のリング部1bに空隙3が設けられるとともに、被測定電流I_(i)を流す電線4が貫通されている。また、他方のリング部1cに帰還線輪5が巻回されている。検出線輪2に誘起された電圧E_(d)は、増幅器6で増幅され、増幅器6より出力抵抗器7を介して帰還電流I_(f)が流され、この出力抵抗器7より出力電圧E_(o)が導出される。
今、この電流変換器において、電線4に電流I_(i)を流すと、磁束φ_(i)が鉄心1のリング部1bに発生し、検出線輪2に起電力が生じる。一方、帰還線輪5に流れる帰還電流I_(f)によって鉄心1のリング部1cに磁束φ_(s)が発生し、この磁束φ_(f)によっても検出線輪2に起電力が発生する。電線4に流れる電流I_(i)の方向と、帰還線輪5の巻線が磁束φ_(i)とφ_(f)が逆方向となるように設定されるので、検出線輪2に誘起される電圧E_(d)はφ_(i)-φ_(f)に応じた電圧となる。この偏差電圧E_(d)は増幅器6で増幅され、帰還線輪5に流す電流I_(f)を発生する。このフィードバックループが平衡した状態では、増幅器6の増幅率が十分に大きいならば、増幅器6の入力電圧は0とみなしてよい。すなわち検出線輪2と鎖交する磁束(φ_(i)-φ_(f))は0となる。」

(引Eイ)第3頁左下欄第14行?右下欄第6行
「第3図は、この発明の他の実施例を示す位相補償付の電流変換器の構成図である。第3図において、第1図と同一番号を付したものは同一のものを示している。この電流変換器では鉄心1に検出線輪2、帰還線輪5の他に、リング部1bに位相検出線輪8_(-1)が、リング部1cに位相検出線輪8_(-2)が巻回されている。また、検出線輪2からの偏差電圧E_(d)を増幅する増幅器6は、プリアンプ6_(-1)、移相回路6_(-2)、及び出力アンプ6_(-3)から構成されている。位相検出線輪8_(-1)、8_(-2)は直列に接続され、位相制御ロジック回路9に入力され、位相制御ロジック回路9の出力が移相回路6_(-2)に加えられている。」

(引Eウ)第3図


(2)引用文献Eに記載された技術事項
第3図によれば、線心1の共通部(中央部)1a、一方のリング部1b、他方のリング部1cは、3本の平行な線心部分を含んでいることが見て取れるから、上記(1)の記載及び図面を総合すると、上記引用文献Eには次の技術事項が記載されていると認められる。

「 2つのリングが結合された線心1の共通部(中央部)1aに検出線輪2が巻回され、一方のリング部1bに空隙3が設けられるとともに、被測定電流I_(i)を流す電線4が貫通されており、また、他方のリング部1cに帰還線輪5が巻回されており、検出線輪2に誘起された電圧E_(d)は、増幅器6で増幅され、増幅器6より出力抵抗器7を介して帰還電流I_(f)が流され、この出力抵抗器7より出力電圧E_(o)が導出される、電流変換器であって、
線心1の共通部(中央部)1a、一方のリング部1b、及び他方のリング部1cは、3本の平行な線心部分を含んでいる、電流変換器。」

8 引用文献Fについて
(1)引用文献Fの記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献Fには、図面とともに次の事項が記載されている。

(引Fア)
「(57)【要約】
【課題】 被測定線路の電流値が高い場合でもコイルの巻数が少なくて済む、コンパクトな磁気平衡式電流センサを得る。
【解決手段】 この磁気平衡式電流センサは、被測定線路11に導通する電流Iにより磁束が形成される2つの閉磁路P1,P2と、2つの閉磁路P1,P2の一方に、その閉磁路P1内の磁束Φ1を打ち消すために配置されたコイル3と、コイル3の配置された閉磁路に配置され磁束を検出するホール素子2とを備える。
【選択図】 図2」
「【0015】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る磁気平衡式電流センサの構成を示す斜視図である。図2は、図1に示す磁気平衡式電流センサの正面図である。
【0016】
図1,2において、コア1は、少なくとも2つの閉磁路を形成可能な磁気コアである。コア1は、フェライトなどの磁性材料を焼結して製造される。コア1は、1つのコア部材で構成されていてもよいし、2つのコア部材(例えば2つのE型コア)を結合して構成されていてもよい。
【0017】
この実施の形態では、コア1は、2つの孔K1,K2の周りに2つの環状部分を有する略8の字形状を有し、各環状部分にギャップG1,G2を有する。2つの環状部分に、2つの閉磁路P1,P2が形成可能である。そして、一方の閉磁路P1上にのみ、ホール素子2およびコイル3が配置される。
【0018】
孔K1,K2には、1本の被測定線路11が1度ずつ挿通され、コア1の共通部1aの周りに1本の被測定線路11が配置される。
【0019】
共通部1aは、コア1において、2つの閉磁路P1,P2の両方が通過する部分である。ギャップG1,G2は、共通部1a以外の箇所に形成される。
【0020】
この実施の形態では、コア1の形状は、共通部1aを中心にして略対称な形状とされている。ただし、ギャップG1,G2のギャップ長d1,d2は、必要に応じて異なる。
【0021】
なお、この実施の形態では、閉磁路P1を含む面と閉磁路P2を含む面とが平行であるが、これらの面が0度以外の角度で交差するように、閉磁路P1,P2およびコア1を形成するようにしてもよい。
【0022】
ホール素子2は、閉磁路P1上において、磁束(または磁束密度)を検出し、検出した磁束(または磁束密度)に応じた電気信号を出力する検出素子である。
【0023】
コイル3は、閉磁路P1上において、被測定線路11に導通する電流に起因する磁束を打ち消すために配置されたコイルである。
【0024】
図示せぬ制御回路により、ホール素子2による検出値がゼロになるように、コイル3には電流が導通され、ホール素子2による検出値がゼロになったときのコイル3の導通電流の値から、被測定線路11の導通電流の値が導出される。」

(引Fイ)図1

(引Fウ)図2

(2)引用文献Fに記載された技術事項
上記(1)の記載及び図面を総合すると、上記引用文献Fには次の技術事項が記載されていると認められる。

「 被測定線路11に導通する電流Iにより磁束が形成される2つの閉磁路P1,P2と、2つの閉磁路P1,P2の一方に、その閉磁路P1内の磁束Φ1を打ち消すために配置されたコイル3と、コイル3の配置された閉磁路に配置され磁束を検出するホール素子2とを備える磁気平衡式電流センサであって、
2つの閉磁路P1,P2は、2つのE型コア)を結合して構成されている、磁気平衡式電流センサ。」

第6 当審拒絶理由の理由1(進歩性)についての判断

1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。

ア 引用発明1の「2つの磁気コア13」は、それぞれ、本願発明1の「第1の磁束ガイド部材(20)」と「第2の磁束ガイド部材(30)」に相当するところ、引用発明1の「磁気コア13は、フィードバックコイル12の軸心方向Xの中心線上に沿って分かれた2つの磁気コア13のみからなり、2つの磁気コア13は、それぞれ、フィードバックコイル12の軸心方向Xが長手方向、フィードバックコイル12の軸心方向と直交する方向Yが短手方向となる矩形膜状物であ」ることは、本願発明1の「磁束ガイド部材であって、直線状かつロッド状の第1の磁束ガイド部材(20)および直線状かつロッド状の第2の磁束ガイド部材(30)のみからなる磁束ガイド部材」に相当する。

イ 引用発明1の「磁気抵抗効果素子141」は、「被測定電流Iから発生した誘導磁界Aを、磁気コア13を通して」「受け」ることから、本願発明1の「磁場センサ(50)」に相当する。

ウ 引用発明1の「フィードバックコイル12」は、「2つの磁界(誘導磁界A、キャンセル磁界B)を相殺して磁気抵抗効果素子141に印加する磁場が零になるように適宜調整する」ものであるから、本願発明1の「補償コイル(40)」に相当する。

エ 引用発明1の「磁界検出ブリッジ回路14」は、「2つの磁界(誘導磁界A、キャンセル磁界B)を相殺して磁気抵抗効果素子141に印加する磁場が零になるように適宜調整する」ための回路であるから、本願発明1の「制御ユニット」に相当する。

オ 上記ア?エを踏まえると、引用発明1の「磁気平衡式電流センサ」は、本願発明1の「磁場補償装置(10)」に相当する。

カ 引用発明1の「2つの磁気コア13」の一方が、「フィードバックコイル12の軸心方向Xが長手方向、フィードバックコイル12の軸心方向と直交する方向Yが短手方向となる矩形膜状物であ」ることは、本願発明1の「・前記第1の磁束ガイド部材(20)は、X方向に形成された長手方向軸線と、第1の頭頂部側の端部(22)と、を有して」いることに相当する。

キ 引用発明1の「2つの磁気コア13」の他方が、「フィードバックコイル12の軸心方向Xが長手方向、フィードバックコイル12の軸心方向と直交する方向Yが短手方向となる矩形膜状物であ」ることは、本願発明1の「・前記第2の磁束ガイド部材(30)は、X方向に形成された長手方向軸線を有して」いることに相当する。

ク 引用発明1の「2つの磁気コア13」が、「フィードバックコイル12の軸心方向Xの中心線上に沿って分かれ」ていることと、本願発明1の「前記第1の磁束ガイド部材(20)および前記第2の磁束ガイド部材(30)は、相互にY方向において間隔を空けて設けられて」いることとは、「前記第1の磁束ガイド部材(20)および前記第2の磁束ガイド部材(30)は、相互に所定の方向において間隔を空けて設けられて」いる点で共通する。

ケ 本願発明1の「前記第1の磁束ガイド部材(20)の前記長手方向軸線および前記第2の磁束ガイド部材(30)の前記長手方向軸線は、相互に実質的に平行に配置されて」いることには、「前記第1の磁束ガイド部材(20)の前記長手方向軸線および前記第2の磁束ガイド部材(30)の前記長手方向軸線」が、「相互に実質的に」同一の長手方向軸線上(X方向)に「配置されて」場合を含む。
よって、引用発明1の「2つの磁気コア13」が、「フィードバックコイル12の軸心方向Xの中心線上に沿って分かれ」ていることは、本願発明1の「前記第1の磁束ガイド部材(20)の前記長手方向軸線および前記第2の磁束ガイド部材(30)の前記長手方向軸線は、相互に実質的に平行に配置されて」いることに相当する。

コ 引用発明1の「フィードバックコイル12は、2つの磁気コア13の長手方向の周囲に」「配設されて」いることは、本願発明1の「・前記補償コイル(40)は、前記第1の磁束ガイド部材(20)の周囲および前記第2の磁束ガイド部材(30)の周囲に形成されて」いることに相当する。

サ 引用発明1の「磁界検出ブリッジ回路14」が、「被測定電流Iから発生した誘導磁界Aを、磁気コア13を通して磁気抵抗効果素子141で受け、その誘導磁界をフィードバックしてフィードバックコイル12からキャンセル磁界Bを発生し、2つの磁界(誘導磁界A、キャンセル磁界B)を相殺して磁気抵抗効果素子141に印加する磁場が零になるように適宜調整する」ことは、本願発明1の「・前記制御ユニットは、前記磁場センサ(50)および前記補償コイル(40)と電気的に相互作用関係にあり、前記制御ユニットは、前記磁場センサ(50)の測定信号に基づいて、前記補償コイル(40)を流れる補償電流(IFB)を閉ループ制御して、前記磁場センサ(50)の場所においてX方向に形成された外部磁場に対して磁場を実質的に補償するように構成されて」いることに相当する。

シ 引用発明1の「2つの磁気コア13」の他方の「長手方向に誘導磁界Aが発生し、誘導磁界Aとは逆方向にキャンセル磁界Bが発生」することは、本願発明1の「前記第2の磁束ガイド部材(30)においては、X軸の方向に磁場が形成されて」いることに相当する。

ス 引用発明1の「磁気抵抗効果素子141」が、「2つの磁気コア13の間に」「配置され」ていることは、本願発明1の「前記磁場センサ(50)は、前記第1の磁束ガイド部材(20)の前記頭頂部側の端部に配置されて」いることに相当する。

セ 引用発明1の「フィードバックコイル12、磁気コア13及び磁界検出ブリッジ回路14が同一半導体基板21上に形成されて」いることは、本願発明1の「前記磁場センサ(50)と、前記第1の磁束ガイド部材(20)と、前記第2の磁束ガイド部材(30)と、前記補償コイル(40)と、前記制御ユニットと、は、同一の半導体基板に集積されて」いることに相当する。

したがって、本願発明1と引用発明1とは、次の点で一致し、次の各点で相違する。

(一致点)
「 磁束ガイド部材であって、直線状かつロッド状の第1の磁束ガイド部材(20)および直線状かつロッド状の第2の磁束ガイド部材(30)のみからなる磁束ガイド部材と、
磁場センサ(50)と、
補償コイル(40)と、
制御ユニットと、
を有する磁場補償装置(10)であって、
・前記第1の磁束ガイド部材(20)は、X方向に形成された長手方向軸線と、第1の頭頂部側の端部(22)と、を有しており、
・前記第2の磁束ガイド部材(30)は、X方向に形成された長手方向軸線を有しており、前記第1の磁束ガイド部材(20)および前記第2の磁束ガイド部材(30)は、相互に所定の方向において間隔を空けて設けられており、前記第1の磁束ガイド部材(20)の前記長手方向軸線および前記第2の磁束ガイド部材(30)の前記長手方向軸線は、相互に実質的に平行に配置されており、
・前記補償コイル(40)は、前記第1の磁束ガイド部材(20)の周囲および前記第2の磁束ガイド部材(30)の周囲に形成されており、
・前記制御ユニットは、前記磁場センサ(50)および前記補償コイル(40)と電気的に相互作用関係にあり、前記制御ユニットは、前記磁場センサ(50)の測定信号に基づいて、前記補償コイル(40)を流れる補償電流(IFB)を閉ループ制御して、前記磁場センサ(50)の場所においてX方向に形成された外部磁場に対して磁場を実質的に補償するように構成されており、
前記第2の磁束ガイド部材(30)においては、X軸の方向に磁場が形成されており、
前記磁場センサ(50)は、前記第1の磁束ガイド部材(20)の前記頭頂部側の端部に配置されており、
前記磁場センサ(50)と、前記第1の磁束ガイド部材(20)と、前記第2の磁束ガイド部材(30)と、前記補償コイル(40)と、前記制御ユニットと、は、同一の半導体基板に集積されている、
磁場補償装置(10)。」

(相違点1)
相互に間隔を空けて設けられている、前記第1の磁束ガイド部材(20)および前記第2の磁束ガイド部材(30)が、本願発明1では、「Y」方向、すなわち平行に配置されているのに対し、引用発明1では、「X」方向、すなわち一直線上に配置されている点。

(相違点2)
本願発明1は、「前記第1の磁束ガイド部材(20)の周囲に形成された前記補償コイル(40)の部分は、前記第2の磁束ガイド部材(30)の周囲に形成された前記補償コイル(40)の部分と比較して逆向きの巻回方向を有し」ているのに対し、引用発明1は、「フィードバックコイル12は、2つの磁気コア13の長手方向の周囲に同じ巻回方向で配設されて」いる点。

(相違点3)
本願発明1は、「前記X方向において、前記第2の磁束ガイド部材(30)の長さは、前記第1の磁束ガイド部材(20)の長さよりも長い、または、
前記X方向において、前記第2の磁束ガイド部材(30)の長さは、前記第1の磁束ガイド部材(20)の長さよりも短い」のに対し、引用発明1はこの点につき不明である点。

(2)相違点についての判断
上記相違点1について検討する。

上記相違点1に係る本願発明1の構成は、磁束ガイド部材として、直線状かつロッド状の第1の磁束ガイド部材(20)および直線状かつロッド状の第2の磁束ガイド部材(30)のみからなる、前記第1の磁束ガイド部材(20)と前記第2の磁束ガイド部材(30)とが平行に配置されている、というものである。
このような構成は、上記引用文献2及びA?F(上記第5の2?8を参照。)には記載されておらず、本願優先日前において周知技術であるともいえない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明1、引用文献2及びA?Fに記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2?7について
本願発明2も、上記相違点1に係る本願発明1の構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1、引用文献2及びA?Fに記載された技術事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第7 原査定(進歩性)についての判断
原査定では、本願請求項1?19に係る発明は、引用文献A(主引用例)及び引用文献B?Fに基づいて当業者が容易に発明できたものであると判断している。
しかし、令和3年3月5日になされた手続補正により、補正後の請求項1?7は、上記相違点1に係る本願発明1の構成を有するものとなり、当該相違点1に係る本願発明1の構成は、上記第6の1(2)のとおり、原査定における引用文献A?F、及び当審拒絶理由における引用文献1、2には記載されておらず、本願優先日前における周知技術でもない。
したがって、本願発明1?7は、原査定における引用文献A(主引用例)及び引用文献B?Fに基づいて当業者が容易に発明できたものではないから、原査定を維持することはできない。

第8 当審拒絶理由の理由2(明確性)についての判断

1 請求項1について
令和3年3月5日になされた手続補正において、請求項1の「前記磁場センサ(50)と、前記第1の磁束ガイド部材(20)と、前記第2の磁束ガイド部材(30)と、前記補償コイル(40)と、前記制御ユニットと、は、それぞれ主に半導体基板に集積されており、」との記載が、「前記磁場センサ(50)と、前記第1の磁束ガイド部材(20)と、前記第2の磁束ガイド部材(30)と、前記補償コイル(40)と、前記制御ユニットと、は、同一の半導体基板に集積されており、」との記載に補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

2 請求項15について
令和3年3月5日になされた手続補正において、請求項15が削除された結果、この拒絶の理由は解消した。

3 請求項17にちて
令和3年3月5日になされた手続補正において、請求項17の「2つの異なる種類の磁場センサが形成されている」との記載が削除され、新たに請求項6とする補正がされた結果、この拒絶の理由は解消した。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の拒絶理由及び当審で通知した拒絶理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

 
審決日 2021-05-31 
出願番号 特願2018-89279(P2018-89279)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G01R)
P 1 8・ 121- WY (G01R)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山崎 仁之名取 乾治  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 ▲高▼見 重雄
福島 浩司
発明の名称 磁場補償装置  
代理人 二宮 浩康  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 上島 類  
代理人 前川 純一  
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