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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1374562
審判番号 不服2020-2430  
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-02-25 
確定日 2021-06-22 
事件の表示 特願2015-184049「電子機器及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 3月23日出願公開、特開2017- 59027、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、特許法第30条第2項(発明の新規性の喪失の例外)の規定の適用を受けようとする旨を願書に記載して平成27年9月17日にされた出願であって、平成31年4月10日付けで拒絶理由が通知され、令和元年6月18日付けで手続補正がされるとともに意見書が提出され、令和元年11月22日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、令和2年2月25日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、その後、令和3年2月16日付けで当審より拒絶理由が通知され(以下、「当審拒絶理由」という。)、令和3年4月23日に手続補正がされるとともに意見書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定(令和元年11月22日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-10に係る発明は、以下の引用文献A-Fに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
A.特開2005-275363号公報
B.“デザイナーなら挑戦したい! シンプルデザインのつくりかた”,MdN,日本,(株)エムディエヌコーポレーション,2005年3月1日,Vol.131,p.51-55
C.特開2007-013724号公報
D.特開2012-126285号公報
E.国際公開第2012/025956号
F.特開2015-071369号公報

第3 当審拒絶理由の概要
1 当審拒絶理由の概要
(1) 引用文献1、3に基づく進歩性の拒絶理由
本願請求項1-10に係る発明は、引用文献1、3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(2) 引用文献2、3に基づく進歩性の拒絶理由
本願請求項1-10に係る発明は、引用文献2、3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.キャンバスマップル株式会社、「ユピテル製 ポータブルカーナビゲーションに 2015年最新版「マップルナビPro2」を提供 サイファイナビモードに対応! ?近未来感・クールさを演出する新しい地図表示を実現?」、[online]、2015年(平成27年)6月18日12:00、atpress、[2021年2月1日検索]、インターネット、<URL:https://www.atpress.ne.jp/news/64071>
2.特表2009?536719号公報
3.特開2015-071369号公報(拒絶査定時の引用文献F)

第4 本願発明
本願請求項1-5に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明5」という。)は、令和3年4月23日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-5に記載された事項により特定される発明であって、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
表示部に画像を表示させる制御手段を備え、車内に居る人が前記表示部を視認できるように車両に設置可能で、ナビゲーション機能とナビゲーション機能以外の機能とを有する電子機器であって、
前記ナビゲーション機能とナビゲーション機能以外の機能とをユーザからの指示を入力して切り替えるためのメニュー画面を前記表示部に表示するメニュー表示機能を備え
前記制御手段は、前記ナビゲーション機能の画面における前記画像を2つの有彩色の濃淡及び明暗に加えて無彩色の濃淡及び明暗で表現された第一の表示で前記表示部に表示させる第一のナビゲーション機能と、前記ナビゲーション機能の画面における前記画像を前記第一の表示よりも多い色の種類を用いたカラー表現の第二の表示で前記表示部に表示させる第二のナビゲーション機能とを備え、
前記メニュー画面には、さらに前記第一のナビゲーション機能を実行するか、前記第二のナビゲーション機能を実行するかをユーザからの指示を入力して切り替える機能を有することを特徴とする電子機器。」

なお、本願発明2-5の概要は以下のとおりである。
本願発明2-4は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明5は、本願発明1-4に対応するプログラムの発明であり、本願発明1-4と実質的にカテゴリ表現が異なるだけの発明である。

第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1及び引用発明1
(1) 新規性喪失の例外規定の適用について
本願発明は、特許法第30条第2項の適用を申請しているため、先に、「引用文献1」についての特許法第30条第2項の適用について検討する。

ア 「証明する書面」について
本願の特許出願の日から30日以内である、平成27年10月5日に提出された、「発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書」には、以下の記載がある。
(1)ウエブサイトの掲載日: 平成27年6月18日
(2)ウェブサイトのアドレス: http://www.yupiteru.co.jp/products/navi/
(3)公開者: 株式会社ユピテル
(4)公開された発明の内容: 株式会社ユピテルが、上記アドレス下のウェブサイトで公開されている株式会社ユピテルのウェブサイトにて、高橋圭三及び島津江幹雄が発明した電子機器及びプログラムについて公開した。

イ 「引用文献1」の「マップルナビPro2」のプレスリリースについて
「引用文献1」として、「キャンパスマップル株式会社」が、「2015年(平成27年)6月18日12:00」に、下記(2)の内容を、プレスリリースとして公開している。

新規性喪失の例外の規定の適用についての検討
上記アの「証明する書面」に記載された公開者は、「株式会社ユピテル」である。
一方、上記イの引用文献1のプレスリリースの公開者は、「キャンパスマップル株式会社」である。
よって、引用文献1は、上記「証明する書面」に記載された公開者とは異なる、第3者により公開されたものであるから、上記「証明する書面」に基づいて、特許法第30条第2項の規定を適用することはできない。

また、特許・実用新案審査基準第III部第2章第5節「発明の新規性喪失の例外」によれば、「権利者の行為に起因して公開された発明が複数存在する場合」には、「原則として、それぞれの「公開された発明」について「証明する書面」が提出されていなければならない」ところ、「4.2 権利者の行為に起因して公開された発明が複数存在する場合に、「証明する書面」が提出されていなくても第2項の規定の適用を受けることができる発明について」に、以下のような例示がある。

「例えば、先に公開された「第2項の規定の適用が認められた発明」と、その発明の公開以降に権利者の行為に起因して公開された発明とが、以下のような関係にある場合は、先に公開されたその発明の公開以降に公開された発明について「証明する書面」が提出されていなくても、第2項の規定の適用を認める。

・・・(略)・・・

例6:権利者が商品を販売したことによって公開された発明と、その商品を入手した第三者がウェブサイトにその商品を掲載したことによって公開された発明
例7:権利者が記者会見したことによって公開された発明と、その記者会見内容が新聞に掲載されたことによって公開された発明」

しかしながら、引用文献1は、審査基準に例示された上記の例1?例7の例示のいずれにも該当しない。
よって、「引用文献1」は、特許・実用新案審査基準に例示された、「証明する書面」が提出されなくても、特許法第30条第2項の規定が適用可能な場合にも該当しない。

よって、「引用文献1」について、特許法第30条第2項の規定を適用することはできない。

(2) 引用文献1
当審拒絶理由において引用した引用文献1には、図面とともに、以下の記載がある(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。)。

ア 「ユピテル製 ポータブルカーナビゲーションに 2015年最新版「マップルナビPro2」を提供
サイファイナビモードに対応! ?近未来感・クールさを演出する新しい地図表示を実現?」

・キャンバスマップル株式会社(所在地:東京都千代田区、代表取締役社長:山本 幸裕)は、当社が開発するカーナビゲーション用ソフトウエア2015年春最新版『マップルナビPro2』を、株式会社ユピテル(所在地:東京都港区、代表取締役社長:安楽 憲彦)が6月22日より順次発売予定のポータブルカーナビゲーション、【YERA】シリーズ2機種、【MOGGY】シリーズ4機種、合計6機種に提供することをお知らせいたします。
https://www.atpress.ne.jp/releases/64071/img_64071_1.png


[代表画像]

・『マップルナビPro2』はキャンバスマップル株式会社がポータブルカーナビゲーション向けに開発する、豊富な観光情報と、本格的なカーナビゲーション機能を提供するカーナビゲーション用ソフトウエアです。

・・・(中略)・・・

-「マップルナビPro2」主要特長-
◆【多彩な地図表示】
1.近未来感・クールさを表現した地図描画
『マップルナビPro2』は、通常の昼・夜の地図色展開以外、高級感と先進性のある地図表示をコンセプトに、ユピテル社監修の元「サイファイナビ」を実装。シンプルでモダンな地図デザイン色調をダークブルーとブラックのモノトーンで統一した地図色調表現は、車内空間をサイバーチックに演出できる新しい地図表示を実現しました。
https://www.atpress.ne.jp/releases/64071/img_64071_2.png

イ [代表画像]
引用文献1の上記[代表画像]から、地図デザイン色調をダークブルーとブラックのモノトーンで統一した地図色調表現は、地図中の、例えば、画面中央付近の青色系の「不忍池の図形表示及び文字表示」、緑色系の「自車の現在位置を示す三角錐」、画面左上付近の「時刻(10:00)」と「コンパスの磁針」部分に着目すると、さらに、青色と緑色の濃淡及び明暗、白色、赤色を含むことが読み取れる。
また、[代表画像]の画面の左下付近に、「MENU」の記載があることから、引用文献1のカーナビゲーション用ソフトウエアが、何らかの「メニュー画面を、表示するメニュー表示機能を備え」ることは、明らかであるといえる。

(3) 引用発明1
よって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が開示されているものと認められる。

「『マップルナビPro2』はキャンバスマップル株式会社がポータブルカーナビゲーション向けに開発する、カーナビゲーション用ソフトウエアであり、
通常の昼・夜の地図色展開以外、高級感と先進性のある地図表示をコンセプトに、ユピテル社監修の元「サイファイナビ」を実装し、シンプルでモダンな地図デザイン色調をダークブルーとブラックのモノトーンで統一した地図色調表現は、車内空間をサイバーチックに演出できる新しい地図表示を実現し、
地図デザイン色調をダークブルーとブラックのモノトーンで統一した地図色調表現は、さらに、青色と緑色の濃淡及び明暗、白色、赤色を含み、
メニュー画面を、表示するメニュー表示機能を備える、
カーナビゲーション用ソフトウエア『マップルナビPro2』、を備える、ポータブルカーナビゲーション。」

2 引用文献2及び引用発明2
(1) 引用文献2
当審拒絶理由において引用した引用文献2には、図面とともに、以下の記載がある。

ア 段落【0014】-【0019】
「【0014】
図1は、本発明に係るナビゲーションデバイスの種々の要素を示すブロック図である。ナビゲーションデバイスの主な構成要素は、携帯筺体1に含まれる。ナビゲーションデバイスはメモリ10を具備し、その種類は内部メモリ(ハードディスク、フラッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ又は読み出し専用メモリ等)又は取り外し可能なメモリ(メモリカード、メモリスティック、コンパクトディスク又はデジタル汎用ディスク等)であってもよい。また、ナビゲーションデバイスは、内部メモリ及び取り外し可能なメモリを同時に具備してもよい。
【0015】
ナビゲーションデバイスの場所は、GPS受信機12から取得される位置(例えば、GPS)データ9を使用して計算される。GPS受信機12は、内部受信機、あるいは有線又は無線でナビゲーションデバイスに接続される外部受信機であってもよい。
【0016】
ナビゲーションデバイスは、プログラムされた命令及びユーザ対話に従うタスクに関連するナビゲーションを実行するプロセッサ4を含む。プロセッサ4は、データバス6を介してナビゲーションデバイスの種々の要素と通信する。地図データ7、ユーザデータ8、GPSデータ9は、直接又は本発明の範囲外の他の要素を介して、データバスを介してプロセッサ4によりアクセスされる。
【0017】
ナビゲーションデバイスは、地図及びナビゲーション命令を示し且つグラフィカルメニューシステムを介してナビゲーションデバイスの種々の機能へのユーザアクセスを提供するディスプレイ2を具備する。画面に示されるコンテンツ及び色は、プログラムされた機能、計画されたルート及びナビゲーションデバイスの場所に従ってプロセッサ4により制御される。他の実現例において、別個の画像プロセッサがグラフィカルタスクに利用されてもよい。
【0018】
ディスプレイ2は、バックライトのための光源3を具備する。パルス幅変調を有する発光ダイオード等の光源3は、種々の出力レベルを提供可能となっている。バックライトレベルは、プロセッサ4又は別個の画像プロセッサにより制御される。
【0019】
配色11(color schemes)は、メモリ10又はナビゲーションデバイスの他の専用領域に格納される。配色は、プラグインファイルとして格納されてもよい。プラグインファイルは、特定のタスクを実行するために、この場合はナビゲーションデバイスのメインソフトウェアであるメインアプリケーションと対話する特別なソフトウェアである。プラグインファイルは、色の関連付け及び色の変換を実現(例えば、格納、検索、制御)してもよい。」

イ 段落【0038】-【0042】
「【0038】
夜間のビューは、星、街灯等の日中には不可視のオブジェクトを示すことが可能であり、日中に関係する可能性が高いオブジェクト又は機能を無効にし且つ夜間又は暗い環境においてナビゲーションデバイスのユーザに関係する可能性のある機能を有効にして夜間のビューを構成することも可能である。従って、画面のコンテンツを表示するために事前設定済みの色の集合を使用することに加え、日中のビューと夜間のビューとで異なる情報を表示するようにしてもよい。それら異なる情報としては、星図、地点情報、地図の項目又は計画ルートに関する情報及びメニュー項目のうち少なくとも1つを含み得る。更に日中又は夜間のビューでは、ナビゲーションデバイスのいくつかの機能を有効又は無効にしてもよい。そのような機能としては、制限速度の警告、運転中断の警告及び交通又は天候情報の更新のうちの少なくとも1つを含み得る。従って、日中又は夜間のビューに切り替える場合、ナビゲーションデバイスは、渋滞又は道路の温度等の道路の状態に関する情報を取得する。
【0039】
以下において、ナビゲーションデバイスのユーザに対する種々の構成のオプションを記述する図4、図5及び図6を参照する。
【0040】
図5は、ナビゲーションデバイスの基本設定メニューの一画面を示す。メニューは種々のアイコン及びテキストラベルに基づき、アイコンはそれぞれ異なる構成のオプションを表す。いくつかのナビゲーションデバイスにおいて、単にテキストに基づくメニューを介して構成オプションに到達できる。
【0041】
左下のアイコン51は、「地図の色の変更」とラベル付けされ、ナビゲーションデバイスのユーザは、そのアイコンを選択することにより、現在の動作環境に最適な地図の色、又はユーザの個人の好み等の他のパラメータを選択できる。ある配色は実際のビューのより現実的な表現を作成するように設計され、他の配色は色覚異常者に適応され、更に他の配色は国の代表サッカーチームの公式の色等の種々のテーマに沿って設計される。また、ある特定の配色は、紙の地図の色分け及び道路インフラストラクチャのオブジェクトの地域差に準拠する。
【0042】
画面上に表示されてもよい任意のオブジェクトが色との関連付けを有することは、本発明の配色に共通である。配色における色の関連付けは事前定義され且つ固定であってもよいし、あるいはナビゲーションデバイスのユーザが画面に表示される地図の個々のオブジェクト及び要素に対して色を選択できるようにしてもよい。」

ウ 図5



(2) 引用発明2
よって、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が開示されているものと認められる。

「ナビゲーションデバイスは、プログラムされた命令及びユーザ対話に従うタスクに関連するナビゲーションを実行するプロセッサ4を含み、
ナビゲーションデバイスは、地図及びナビゲーション命令を示し且つグラフィカルメニューシステムを介してナビゲーションデバイスの種々の機能へのユーザアクセスを提供するディスプレイ2を具備し、
配色11(color schemes)は、メモリ10又はナビゲーションデバイスの他の専用領域に格納され、
夜間のビューは、星、街灯等の日中には不可視のオブジェクトを示すことが可能であり、日中に関係する可能性が高いオブジェクト又は機能を無効にし且つ夜間又は暗い環境においてナビゲーションデバイスのユーザに関係する可能性のある機能を有効にして夜間のビューを構成することも可能であり、
ナビゲーションデバイスの基本設定メニューの一画面において、左下のアイコン51は、「地図の色の変更」とラベル付けされ、ナビゲーションデバイスのユーザは、そのアイコンを選択することにより、現在の動作環境に最適な地図の色、又はユーザの個人の好み等の他のパラメータを選択でき、ある配色は実際のビューのより現実的な表現を作成するように設計され、他の配色は色覚異常者に適応され、更に他の配色は国の代表サッカーチームの公式の色等の種々のテーマに沿って設計される、
ナビゲーションデバイス。」

3 引用文献3
(1) 当審拒絶理由において引用した引用文献3には、図3(A)及び図3(B)とともに、段落【0022】に、以下の記載がある。

「【0022】
図3(A)及び図3(B)それぞれは、速度に応じてアンビエント表示領域の表示内容が変化するグラフィック表示画面を示す図である。本実施形態では、液晶表示器150のグラフィック表示画面上に、速度計162及び回転計164を含むメータ画像166(計器画像) が定位置で略楕円形に表示される。また、グラフィック表示画面では、メータ画像166のアンビエント表示領域として、その背景には、幾何学的な格子172が遠近感を持って表示される。格子172は、図3(A) 、図3(B)に示すように、画面の奥から手前の方向に移動するようなアニメーションで表現され、車速が大きい程、格子172が密になり、かつその移動が早くなるように表示される。これにより、運転者は、格子の密度及び移動の速さから、感覚的に現在の速度を把握することができる。さらに、運転手は、格子の密度及び移動の速さから、画面中央に位置する速度計162及び回転計164へ注目するよう促される。」

(2) 周知技術
引用文献3の上記(1)の記載から、一般に、遠近法を用いて描画した背景を用いることは、周知技術であると認められる。

第5 対比・判断
1 本願発明1と「引用発明1」との対比について
本願発明1と「引用発明1」とを対比すると、次のことがいえる。

(1) 引用発明1の「カーナビゲーション用ソフトウエア『マップルナビPro2』、を備える、ポータブルカーナビゲーション」は、「車内空間をサイバーチックに演出できる新しい地図表示を実現し」ており、引用文献1の記載に接した当業者であれば、引用発明1が、「表示部」、及び、何らかの画像の表示に関する「制御手段」を備えていることは自明といえるから、本願発明1の「表示部に画像を表示させる制御手段を備え、車内に居る人が前記表示部を視認できるように車両に設置可能で、ナビゲーション機能とナビゲーション機能以外の機能とを有する電子機器」と、「表示部に画像を表示させる制御手段を備え、車内に居る人が前記表示部を視認できるように車両に設置可能で、ナビゲーション機能を有する電子機器」である点で共通するといえる。

(2) 引用発明1が「メニュー画面を、表示するメニュー表示機能を備える」ことは、本願発明1が、「前記ナビゲーション機能とナビゲーション機能以外の機能とをユーザからの指示を入力して切り替えるためのメニュー画面を前記表示部に表示するメニュー表示機能を備え」ることと、「メニュー画面を前記表示部に表示するメニュー表示機能を備える」点で共通するといえる。

(3) 引用発明1の「地図デザイン色調をダークブルーとブラックのモノトーンで統一した地図色調表現」と「通常の昼・夜の地図色展開」とは、それぞれ、本願発明1の「第一の表示」と「第二の表示」とに対応する。
よって、引用発明1の「通常の昼・夜の地図色展開以外、高級感と先進性のある地図表示をコンセプトに、ユピテル社監修の元「サイファイナビ」を実装し、シンプルでモダンな地図デザイン色調をダークブルーとブラックのモノトーンで統一した地図色調表現は、車内空間をサイバーチックに演出できる新しい地図表示を実現し、地図デザイン色調をダークブルーとブラックのモノトーンで統一した地図色調表現は、さらに、青色と緑色の濃淡及び明暗、白色、赤色を含む」ことは、本願発明1の「前記制御手段は、前記ナビゲーション機能の画面における前記画像を2つの有彩色の濃淡及び明暗に加えて無彩色の濃淡及び明暗で表現された第一の表示で前記表示部に表示させる第一のナビゲーション機能と、前記ナビゲーション機能の画面における前記画像を前記第一の表示よりも多い色の種類を用いたカラー表現の第二の表示で前記表示部に表示させる第二のナビゲーション機能とを備え」ることに相当するといえる。

よって、本願発明1と引用発明1との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。

[一致点]
「表示部に画像を表示させる制御手段を備え、車内に居る人が前記表示部を視認できるように車両に設置可能で、ナビゲーション機能を有する電子機器であって、
メニュー画面を前記表示部に表示するメニュー表示機能を備え
前記制御手段は、前記ナビゲーション機能の画面における前記画像を2つの有彩色の濃淡及び明暗に加えて無彩色の濃淡及び明暗で表現された第一の表示で前記表示部に表示させる第一のナビゲーション機能と、前記ナビゲーション機能の画面における前記画像を前記第一の表示よりも多い色の種類を用いたカラー表現の第二の表示で前記表示部に表示させる第二のナビゲーション機能とを備える、
ことを特徴とする電子機器。」

[相違点1]
電子機器について、本願発明1では、ナビゲーション機能「とナビゲーション機能以外の機能と」を有する電子機器であるのに対して、引用発明1では、「ナビゲーション機能以外の機能」を備えることが特定されていない点。

[相違点2]
メニュー画面について、本願発明1では、「前記ナビゲーション機能とナビゲーション機能以外の機能とをユーザからの指示を入力して切り替えるための」メニュー画面であるのに対して、引用発明1では、メニュー画面がナビゲーション機能とナビゲーション機能以外の機能を備えることが特定されていない点。

[相違点3]
メニュー画面について、さらに、本願発明1では、「前記メニュー画面には、さらに前記第一のナビゲーション機能を実行するか、前記第二のナビゲーション機能を実行するかをユーザからの指示を入力して切り替える機能を有する」のに対して、引用発明1では、メニュー画面が、さらに、第一のナビゲーション機能と第二のナビゲーション機能とを切り替えるための機能を備えることが特定されていない点。


2 本願発明1と「引用発明1」とについての当審の判断
事案に鑑みて、メニュー画面の構成に関する、上記[相違点2]及び[相違点3]について、先に検討すると、本願発明1の上記[相違点2]及び[相違点3]に係る、「前記ナビゲーション機能とナビゲーション機能以外の機能とをユーザからの指示を入力して切り替えるための」メニュー画面が、「前記メニュー画面には、さらに前記第一のナビゲーション機能を実行するか、前記第二のナビゲーション機能を実行するかをユーザからの指示を入力して切り替える機能を有する」ことについては、上記引用文献1-3には記載されておらず、本願出願前において周知技術であるともいえない。
よって、当業者といえども、引用発明1及び引用文献2-3に記載された技術的事項から、本願発明1の上記[相違点2]及び[相違点3]に係る構成を容易に想到することはできない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明1及び引用文献2-3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

(2) 請求項2-5について
本願発明2-5も、本願発明1の上記[相違点2]及び[相違点3]に係る、「前記ナビゲーション機能とナビゲーション機能以外の機能とをユーザからの指示を入力して切り替えるための」メニュー画面が、「前記メニュー画面には、さらに前記第一のナビゲーション機能を実行するか、前記第二のナビゲーション機能を実行するかをユーザからの指示を入力して切り替える機能を有する」ことと、同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明1、引用文献2-3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。


3 本願発明1と「引用発明2」との対比について
本願発明1と「引用発明2」とを対比すると、次のことがいえる。

(1) 引用発明2の「ナビゲーションデバイス」は、「プログラムされた命令及びユーザ対話に従うタスクに関連するナビゲーションを実行するプロセッサ4を含み、ナビゲーションデバイスは、地図及びナビゲーション命令を示し且つグラフィカルメニューシステムを介してナビゲーションデバイスの種々の機能へのユーザアクセスを提供するディスプレイ2を具備し」ているから、本願発明1の「表示部に画像を表示させる制御手段を備え、車内に居る人が前記表示部を視認できるように車両に設置可能で、ナビゲーション機能とナビゲーション機能以外の機能とを有する電子機器」と、「表示部に画像を表示させる制御手段を備え、車内に居る人が前記表示部を視認できるように車両に設置可能で、ナビゲーション機能を有する電子機器」である点で共通するといえる。

(2) 引用発明2が「ナビゲーションデバイスの基本設定メニューの一画面において、左下のアイコン51は、「地図の色の変更」とラベル付けされ、ナビゲーションデバイスのユーザは、そのアイコンを選択することにより、現在の動作環境に最適な地図の色、又はユーザの個人の好み等の他のパラメータを選択でき」ることは、本願発明1が、「前記ナビゲーション機能とナビゲーション機能以外の機能とをユーザからの指示を入力して切り替えるためのメニュー画面を前記表示部に表示するメニュー表示機能を備え」ることと、「メニュー画面を前記表示部に表示するメニュー表示機能を備える」点で共通するといえる。

(3) 引用発明2の「更に他の配色」と「ある配色」とは、それぞれ、本願発明1の「第一の表示」と「第二の表示」とに対応するといえる。
よって、引用発明2の「ナビゲーションデバイスの基本設定メニューの一画面において、左下のアイコン51は、「地図の色の変更」とラベル付けされ、ナビゲーションデバイスのユーザは、そのアイコンを選択することにより、現在の動作環境に最適な地図の色、又はユーザの個人の好み等の他のパラメータを選択でき、ある配色は実際のビューのより現実的な表現を作成するように設計され、他の配色は色覚異常者に適応され、更に他の配色は国の代表サッカーチームの公式の色等の種々のテーマに沿って設計される」ことは、本願発明1の「前記制御手段は、前記ナビゲーション機能の画面における前記画像を2つの有彩色の濃淡及び明暗に加えて無彩色の濃淡及び明暗で表現された第一の表示で前記表示部に表示させる第一のナビゲーション機能と、前記ナビゲーション機能の画面における前記画像を前記第一の表示よりも多い色の種類を用いたカラー表現の第二の表示で前記表示部に表示させる第二のナビゲーション機能とを備え」ることと、「前記制御手段は、前記ナビゲーション機能の画面における前記画像を所定の第一の表示で前記表示部に表示させる第一のナビゲーション機能と、前記ナビゲーション機能の画面における前記画像を前記第一の表示よりも多い色の種類を用いたカラー表現の第二の表示で前記表示部に表示させる第二のナビゲーション機能とを備え」る点で共通するといえる。

よって、本願発明1と引用発明2との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。

[一致点]
「表示部に画像を表示させる制御手段を備え、車内に居る人が前記表示部を視認できるように車両に設置可能で、ナビゲーション機能を有する電子機器であって、
メニュー画面を前記表示部に表示するメニュー表示機能を備え
前記制御手段は、前記ナビゲーション機能の画面における前記画像を所定の第一の表示で前記表示部に表示させる第一のナビゲーション機能と、前記ナビゲーション機能の画面における前記画像を前記第一の表示よりも多い色の種類を用いたカラー表現の第二の表示で前記表示部に表示させる第二のナビゲーション機能とを備える、
ことを特徴とする電子機器。」

[相違点4]
電子機器について、本願発明1では、ナビゲーション機能「とナビゲーション機能以外の機能と」を有する電子機器であるのに対して、引用発明2の電子機器は、「ナビゲーション機能以外の機能」を備えることが特定されていない点。

[相違点5]
メニュー画面について、本願発明1では、「前記ナビゲーション機能とナビゲーション機能以外の機能とをユーザからの指示を入力して切り替えるための」メニュー画面であるのに対して、引用発明2の「基本設定メニュー」はナビゲーション機能の「基本設定」のためメニュー画面であって、メニュー画面がナビゲーション機能とナビゲーション機能以外の機能を備えることが特定されていない点。

[相違点6]
本願発明1では、前記制御手段は、前記画像を「2つの有彩色の濃淡及び明暗に加えて無彩色の濃淡及び明暗で表現された」表示で前記表示部に表示させる機能を有するのに対して、引用発明2では、「2つの有彩色の濃淡及び明暗に加えて無彩色の濃淡及び明暗で表現された」表示をさせる機能を備えることが特定されていない点。

[相違点7]
メニュー画面について、さらに、本願発明1では、「前記メニュー画面には、さらに前記第一のナビゲーション機能を実行するか、前記第二のナビゲーション機能を実行するかをユーザからの指示を入力して切り替える機能を有する」のに対して、引用発明2では、メニュー画面が、さらに、第一のナビゲーション機能と第二のナビゲーション機能とを切り替えるための機能を備えることが特定されていない点。。


4 本願発明1と「引用発明2」とについての当審の判断
事案に鑑みて、メニュー画面の構成に関する、上記[相違点5]及び[相違点7]について、先に検討すると、これは、「引用発明1」についての上記「1」の[相違点2]及び[相違点3]と同じであって、上記「2」と同様に、「前記ナビゲーション機能とナビゲーション機能以外の機能とをユーザからの指示を入力して切り替えるための」メニュー画面が、「前記メニュー画面には、さらに前記第一のナビゲーション機能を実行するか、前記第二のナビゲーション機能を実行するかをユーザからの指示を入力して切り替える機能を有する」ことについては、上記引用文献1-3には記載されておらず、本願出願前において周知技術であるともいえない。
よって、当業者といえども、引用発明2及び引用文献1、3に記載された技術的事項から、本願発明1の上記[相違点5]及び[相違点7]に係る構成を容易に想到することはできない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明2及び引用文献2-3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

(2) 請求項2-5について
本願発明2-5も、本願発明1の上記[相違点5]及び[相違点7]に係る、「前記ナビゲーション機能とナビゲーション機能以外の機能とをユーザからの指示を入力して切り替えるための」メニュー画面が、「前記メニュー画面には、さらに前記第一のナビゲーション機能を実行するか、前記第二のナビゲーション機能を実行するかをユーザからの指示を入力して切り替える機能を有する」ことと、同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明2、引用文献1、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 原査定についての判断
令和3年4月23日付けの補正により、補正後の請求項1-5は、本願発明1の上記[相違点2]及び[相違点3](上記[相違点5]及び[相違点7])に係る、「前記ナビゲーション機能とナビゲーション機能以外の機能とをユーザからの指示を入力して切り替えるための」メニュー画面が、「前記メニュー画面には、さらに前記第一のナビゲーション機能を実行するか、前記第二のナビゲーション機能を実行するかをユーザからの指示を入力して切り替える機能を有する」という技術的事項を有するものとなった。当該技術的事項は、原査定における引用文献A-Fには記載されておらず、本願出願前における周知技術でもないので、本願発明1-5は、当業者であっても、原査定における引用文献A-Fに基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-06-01 
出願番号 特願2015-184049(P2015-184049)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 桜井 茂行  
特許庁審判長 ▲吉▼田 耕一
特許庁審判官 稲葉 和生
角田 慎治
発明の名称 電子機器及びプログラム  
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