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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G08B 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G08B |
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管理番号 | 1374567 |
審判番号 | 不服2020-8564 |
総通号数 | 259 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2021-07-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2020-06-19 |
確定日 | 2021-06-22 |
事件の表示 | 特願2017-555155「周辺環境の評価結果に関するオノマトペ提示装置,オノマトペ提示プログラム及びオノマトペ提示方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 6月15日国際公開,WO2017/099213,請求項の数(10)〕について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,2016年12月9日(優先権主張 平成27年12月11日)を国際出願日とする出願であって,平成30年6月20日に手続補正がされ,令和元年7月12日付けで拒絶理由が通知され,令和元年9月24日に手続補正がなされ,平成元年12月13日付けで最後の拒絶理由が通知され,令和2年3月30日付けで拒絶査定(以下,「原査定」という。)がされ,令和2年6月19日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がされ,令和3年1月28日付けで拒絶理由(以下,「当審拒絶理由」という。)が通知され,令和3年2月22日に手続補正がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定の概要は次のとおりである。 ・理由1(特許法第29条第2項)について ・請求項 1,6,9 ・引用文献等 1-3 ・請求項 2,7,10 ・引用文献等 1-3 ・請求項 3,8 ・引用文献等 1-3 <引用文献等一覧> 1.国際公開第2013/190637号 2.特開2001-224013号公報 3.特開2007-334149号公報 第3 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由の概要は次のとおりである。 ●理由1(明確性) ・請求項1,4-5 請求項1,4-5の「前記報知装置に,前記周辺環境の評価に対応したオノマトペを前記ユーザが前記周辺環境において周辺環境の評価において動作をしている間に前記ユーザに音声または文字により提示させるオノマトペ出力部」の「周辺環境の評価において」と「前記周辺環境において」との関係が明確でない。 ・請求項2-3 請求項1を引用して記載しているから同様である。 第4 本願発明 本願請求項1-10に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明10」という。)は,令和3年2月22日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-10に記載された事項により特定される発明であり,以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 計測装置によって計測されたユーザの周辺環境における状態についての計測結果が入力される計測結果入力部と, 前記計測結果入力部に入力された前記計測結果に基づいて行われた,前記周辺環境の状態の評価に対応し,且つ,擬声語および擬態語の総称であるオノマトペを示すオノマトペデータを取得するオノマトペデータ取得部と, 前記オノマトペデータ取得部が取得した前記オノマトペデータを,前記ユーザに音声または文字により報知可能な報知装置に出力して,前記報知装置に,前記周辺環境の評価に対応したオノマトペを前記ユーザが前記周辺環境において動作をしている間に前記ユーザに音声または文字により提示させるオノマトペ出力部と, を備え, 前記オノマトペ取得部は,前記計測結果の中の画像データに対して画像解析処理を行って画像解析結果を取得し,取得した画像解析結果に基づいて,1つの評価項目に対する評価を多段階の評価を行うことによって得られた,前記1つの評価項目に関する評価を多段階で表したオノマトペを示すオノマトペデータを取得する, 周辺環境の評価結果に関するオノマトペ提示装置。 【請求項2】 請求項1に記載の周辺環境の評価結果に関するオノマトペ提示装置であって, 前記オノマトペデータ取得部は,さらに,複数の評価項目に対して1つの評価を行うことによって得られた,前記複数の評価項目に対する1つのオノマトペを示すオノマトペデータを取得する,周辺環境の評価結果に関するオノマトペ提示装置。 【請求項3】 請求項1または請求項2のいずれかに記載の周辺環境の評価結果に関するオノマトペ提示装置であって, 前記オノマトペデータ取得部が取得するオノマトペデータは,前記計測結果あるいは前記計測結果に基づき算出された値を所定の閾値と比較することにより得られた前記周辺環境の評価に対応するオノマトペを示すデータである,周辺環境の評価結果に関するオノマトペ提示装置。 【請求項4】 計測装置によって計測されたユーザの周辺環境における状態についての計測結果が入力される計測結果入力部と, 前記計測結果入力部に入力された前記計測結果に基づいて行われた,前記周辺環境の状態の評価に対応し,且つ,擬声語および擬態語の総称であるオノマトペを示すオノマトペデータを取得するオノマトペデータ取得部と, 前記オノマトペデータ取得部が取得した前記オノマトペデータを,前記ユーザに音声または文字により報知可能な報知装置に出力して,前記報知装置に,前記周辺環境の評価に対応したオノマトペを前記ユーザが前記周辺環境において動作をしている間に前記ユーザに音声または文字により提示させるオノマトペ出力部と, を備え, 前記ユーザは,車両の運転者を含み, 前記報知装置は,前記運転者の視線の先に配置される透明あるいは半透明の部材上に設けられる画像表示部を含み, 前記周辺環境の状態は,前記車両の周辺に存在する対象物の状態を含み, 前記周辺環境の評価結果に関するオノマトペ提示装置は,前記対象物の位置を特定する位置特定部を含み, 前記画像表示部は,前記運転者の視点と前記位置特定部において特定された前記対象物の位置とを結ぶ直線が前記部材と交わる領域の近傍にオノマトペを文字で表示する,周辺環境の評価結果に関するオノマトペ提示装置。 【請求項5】 計測装置によって計測されたユーザの周辺環境における状態についての計測結果が入力される計測結果入力部と, 前記計測結果入力部に入力された前記計測結果に基づいて行われた,前記周辺環境の状態の評価に対応し,且つ,擬声語および擬態語の総称であるオノマトペを示すオノマトペデータを取得するオノマトペデータ取得部と, 前記オノマトペデータ取得部が取得した前記オノマトペデータを,前記ユーザに音声または文字により報知可能な報知装置に出力して,前記報知装置に,前記周辺環境の評価に対応したオノマトペを前記ユーザが前記周辺環境において動作をしている間に前記ユーザに音声または文字により提示させるオノマトペ出力部と, を備え, 前記ユーザは,車両の運転者を含み, 前記報知装置は,前記運転者が装着するヘルメットに設けられた音声出力部を含み, 前記周辺環境の状態は,前記車両の周辺に存在する対象物の状態を含み, 前記周辺環境の評価結果に関するオノマトペ提示装置は,前記対象物の位置を特定する位置特定部を含み, 前記音声出力部は,指向性を有する指向性音声出力部,を含み, 前記指向性音声出力部は,前記位置特定部において特定された前記対象物の位置が音源となるようにオノマトペを音声で出力する,周辺環境の評価結果に関するオノマトペ提示装置。 【請求項6】 計測装置によって計測されたユーザの周辺環境における状態についての計測結果を入力する計測結果入力処理, 前記計測結果入力処理で入力された前記計測結果に基づいて行われた,前記周辺環境の状態の評価に対応し,且つ,擬声語および擬態語の総称であるオノマトペを示すオノマトペデータを取得するオノマトペデータ取得処理,および, 前記オノマトペデータ取得部が取得した前記オノマトペデータを,前記ユーザに音声または文字により報知可能な報知装置に出力して,前記報知装置に,前記周辺環境の評価に対応したオノマトペを前記ユーザが前記周辺環境において動作をしている間に前記ユーザに音声または文字により提示させるオノマトペ出力処理, を有し, 前記オノマトペ取得処理は,前記計測結果の中の画像データに対して画像解析処理を行って画像解析結果を取得し,取得した画像解析結果に基づいて,1つの評価項目に対する評価を多段階の評価を行うことによって得られた,前記1つの評価項目に関する評価を多段階で表したオノマトペを示すオノマトペデータを取得する, コンピュータに実行させる周辺環境の評価結果に関するオノマトペ提示プログラム。 【請求項7】 請求項6に記載の周辺環境の評価結果に関するオノマトペ提示プログラムであって, 前記オノマトペデータ取得処理は,さらに,複数の評価項目に対して1つの評価を行うことによって得られた,前記複数の評価項目に対する1つのオノマトペを示すオノマトペデータを取得する,周辺環境の評価結果に関するオノマトペ提示プログラム。 【請求項8】 請求項6または請求項7に記載の周辺環境の評価結果に関するオノマトペ提示プログラムであって, 前記オノマトペデータ取得処理が取得するオノマトペデータは,前記計測結果あるいは前記計測結果に基づき算出された値を所定の閾値と比較することにより得られた前記周辺環境の評価に対応するオノマトペを示すデータである,周辺環境の評価結果に関するオノマトペ提示プログラム。 【請求項9】 計測装置によって計測されたユーザの周辺環境における状態についての計測結果を入力する計測結果入力工程と, 前記計測結果入力工程で入力された前記計測結果に基づいて行われた,前記周辺環境の状態の評価に対応し,且つ,擬声語および擬態語の総称であるオノマトペを示すオノマトペデータを取得するオノマトペデータ取得工程と, 前記オノマトペデータ取得工程が取得した前記オノマトペデータを,前記ユーザに音声または文字により報知可能な報知装置に出力して,前記報知装置に,前記周辺環境の評価に対応したオノマトペを前記ユーザが前記周辺環境において動作をしている間に前記ユーザに音声または文字により提示させるオノマトペ出力工程と, を備え, 前記オノマトペデータ取得工程は,前記計測結果の中の画像データに対して画像解析処理を行って画像解析結果を取得し,取得した画像解析結果に基づいて,1つの評価項目に対する評価を多段階の評価を行うことによって得られた,前記1つの評価項目に関する評価を多段階で表したオノマトペを示すオノマトペデータを取得する,周辺環境の評価結果に関するオノマトペ提示方法。 【請求項10】 請求項9に記載の周辺環境の評価結果に関するオノマトペ提示方法であって, 前記オノマトペデータ取得工程は,さらに,複数の評価項目に対して1つの評価を行うことによって得られた,前記複数の評価項目に対する1つのオノマトペを示すオノマトペデータを取得する,周辺環境の評価結果に関するオノマトペ提示方法。」 第5 引用文献,引用発明等 1.引用文献1について 原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第2013/190637号(以下,「引用文献1」という。下線は当審が付与。)には, 「[0011] <実施の形態1> 図1は,実施の形態1に係る擬音発生システムの構成を示す図である。ここではその具体的な構成例として,本発明に係る擬音発生システムを組み込んだカーナビゲーション装置を示す。 [0012] 図1のように,ナビゲーション装置100は,以下に説明する地図データ記憶装置10,経路探索部11,自車両情報取得部12,走行道路判定部13,操作入力部14,車両周辺情報取得部15,無線通信部16,擬音合成部17,擬音発生部18および制御部19を備えている。」 「[0014] 自車両情報取得部12は,自車の走行状態に関する情報(自車両情報)を取得する手段である。当該自車両情報取得部12は,自車に搭載された車速センサ36,傾斜角センサ37,GPS受信機38から,それぞれ自車の車速,路面の傾斜角,自車の現在位置を取得する。つまり,自車両情報取得部12は,GPS受信機38が受信した情報に基づいて,現在位置を取得する現在位置取得部としての機能を有している。」 「[0016] 車両周辺情報取得部15は,自車が有するセンサを用いて外部環境に関する情報(外部環境情報)を取得する手段である。車両周辺情報取得部15は,自車の赤外線センサ31,マイク32および騒音センサ33(音センサ),カメラ34(画像センサ),雨量センサ35(雨センサ)から,自車周囲の障害物や人の存在や,車外の音,降雨状況などの情報を取得する。 [0017] 無線通信部16は,例えばVICS(Vehicle Information and Communication System)(登録商標)受信機,またはDSRC(Dedicated Short Range Communication),無線LAN(Local Area Network)端末,携帯電話等である。この無線通信部16は,各種のインフラストラクチャ(略称「インフラ」)から配信される外部環境情報を受信するインフラ情報取得部16aと,擬音配信サービスにより配信される配信擬音情報44を受信する配信擬音情報取得部16bとを含んでいる。 [0018] インフラ情報取得部16aは,各種のインフラが提供する情報配信サービスから,交通情報41,気象情報42,災害情報43などを取得する。上記の車両周辺情報取得部15が取得する外部環境情報は各車両固有の情報(車両周辺情報)であるが,インフラ情報取得部16aが受信する外部環境情報は一定範囲に存在する車両に共通して配信される情報(インフラ配信情報)である。 [0019] 配信擬音情報取得部16bが受信する配信擬音情報44には,特定の道路に関連づけされた新たな擬音データを含んでおり,例えば地図データ記憶装置10に格納されている擬音データの更新などに用いることができる。つまり,配信擬音情報取得部16bは,擬音データを通信により新たに取得する擬音データ取得部としての機能を有している。 [0020] 制御部19は,ナビゲーション装置100内の各要素の動作を制御するものであるが,自車の車内スピーカ21および車外スピーカ22から出力する擬音を選定する擬音判定部としての機能も備えている。すなわち,制御部19は,走行道路判定部13が判定した現在位置(走行中の道路)と,自車両情報取得部12,車両周辺情報取得部15,無線通信部16が取得した各種の情報に基づいて,車内スピーカ21および車外スピーカ22からどの擬音を出力させるか判定する処理を行う。 [0021] 擬音合成部17は,制御部19が選定した1以上の擬音データを合成し,合成後の擬音データに対応する音声信号を擬音発生部18に入力する。擬音発生部18は,アンプ(増幅器)を内蔵しており,車内スピーカ21および車外スピーカ22を駆動して,擬音合成部17から受けた音声信号に従い擬音を発生させる。」 「[0023] 図2は,地図データ記憶装置10に格納される地図データベース200のデータ構成を示す図である。図2のように,地図データベース200は,道路網を表す道路網データ210と,各道路に対応付けされる複数の擬音データを示す情報である車内用擬音データリスト221および車外用擬音データリスト222とを有している。 [0024] 道路網データ210において,道路網の情報は,図3に示すように,道路上の特定の地点(交差点など)に対応する「ノード」と,ノード間の道路に対応する「リンク」とを用いて表現される。ノードおよびリンクにはそれぞれ固有の番号が付されている。 [0025] 道路網データ210は,各ノードに接続するリンクを示すノードデータ211と,各リンクに接続するノードを示すリンクデータ212を含んでいる。一般に,ノードデータ211は,ノード毎に接続するリンクの番号(リンク番号)が記述された複数の「ノードレコード」を含んでおり,リンクデータ212は,リンク毎に接続するノードの番号(ノード番号)が記述された複数の「リンクレコード」を含んでいる。」 「[0028] 本実施の形態では,リンクレコードに,上記の情報に加えて,当該リンクが対応する道路の路面の材質を示す識別子である路面素材コード,当該道路に設置されている標識を示す識別子である標識コード,当該リンクに対応付けされた車内用の擬音データを示す識別子である車内用擬音データコード,並びに,当該リンクに対応付けされた車外用の擬音データを示す識別子である車外用擬音データコードが含まれている。」 「[0031] 図2に戻って,車内用擬音データリスト221は,リンクレコードに記述される車内用擬音データコードと擬音データとの対応関係を示すリストである。車外用擬音データリスト222は,リンクレコードに記述される車外用擬音データコードと擬音データとの対応関係を示すリストである。図1に示す,擬音判定部としての制御部19は,リンクデータ212内のリンクレコードに記述された車内用擬音データコードおよび車外用擬音データコードと,車内用擬音データリスト221および車外用擬音データリスト222とを参照することにより,各リンクに対応付けされている擬音データを特定することができる。 [0032] 本実施の形態では,車内用擬音データリスト221にはカテゴリ別に複数のリストが格納されている。図7?図9はそれらの例を示す図である。これらの表の「項目」の欄には,説明の便宜上,擬音の名称を記載しているが,実際には,その擬音データの格納位置(例えば地図データ記憶装置10内のアドレス)など,擬音データを読み出すための情報が記述されている。 [0033] 図7に示す車内用擬音データリストAは,自動車の走行音の擬音データと車内用擬音データコードとの対応を示している。走行音は路面素材によって変化するため,各種の路面素材に対応する擬音データが用意されている。例えば,アスファルトの道路に対応するリンク(図5の路面素材コードが0001のリンク)のリンクレコードには,車内用擬音データコードとしてアスファルト道の走行音を示す「A0001」または「A0002」が記述される。このように同様の内容の擬音データが複数ある場合,そのうちのどのコードをリンクレコードに記述するかは,ユーザが好みに応じて選択できるようにしてもよい。 [0034] 図8に示す車内用擬音データリストBは,周囲の環境を表す音(環境音)の擬音データと車内用擬音データコードとの対応を示している。例えば,「スリップ注意」の標識がある道路に対応するリンク(図6の標識コードが0001のリンク)のリンクレコードには,車内用擬音データコードとして自動車がスリップした音(スリップ音)を示す「B0003」または「B0004」が記述される。 [0035] また,インフラ情報取得部16aが取得した交通情報41で示された工事区間に含まれる道路に対応するリンクのリンクレコードには,工事音を示す「B0001」または「B0002」が記述される。特に,自車が複数の車内スピーカ21を有しており,工事の実施場所(自車からの方向)が特定できる場合は,ユーザが擬音から工事場所を認識できるように,その工事場所に近い側の車内スピーカ21から工事音を発生させるとよい。 [0036] 図9に示す車内用擬音データリストCは,天候などの自然現象を表す音(自然音)の擬音データと車内用擬音データコードとの対応を示している。例えば,気象情報42により暴風警報が発せられた地域の道路に対応するリンクのリンクレコードには,車内用擬音データコードとして暴風音を示す「C0001」が記述され,強風注意報が発せられた地域の道路に対応するリンクのリンクレコードには,車内用擬音データコードとして強風音を表す「C0002」が記述される。 「[0038] 本実施の形態において,地図データ記憶装置10は,リンクレコードに登録されることが馴染まない擬音データも格納している。図11はその一例である。図11に示す車内用擬音データリストDは,運転者に注意を促すための音(警告音)の擬音データと車内用擬音データコードとの対応を示している。これらは,自車の周囲に障害物(人を含む),他の車両などが検知された場合(これらは赤外線センサ31,マイク32,騒音センサ33,カメラ34等で検知される)に,そのタイミングで鳴らす擬音である。 [0039] 車内用擬音データリストDの擬音データの用途としては,例えば,車両の進行方向に障害物が検知されたときに,制御部19が車内用擬音データコード「D0001」あるいは「D0002」を指定して,車内の車内スピーカ21から衝突音を鳴らす,といった用途が考えられる。また,例えば車両の側方や下方に障害物が検知されたときには,制御部19が車内用擬音データコード「D0003」あるいは「D0004」を指定して,車内スピーカ21から摩擦音を鳴らすことも考えられる。このように,警告音は,ユーザに注意を促すべき事象が発生したタイミングで鳴らすことが想定されるので,リンクに対応付けさせる用途には馴染まないが,ユーザが好みに応じてリンクレコードに記述し,リンクに対応付けさせてもよい。」 「[0054] また,制御部19は,リンクレコードの車内用擬音データコードを,車両周辺情報取得部15が取得する自車固有の外部環境情報や,自車両情報取得部12が取得する自車両情報に応じて書き換えることもできる。例えば,雨量センサ35が検出している雨量に応じて,走行中の道路に対応するリンクのリンクレコードの車内用擬音データコード(自然音)を,大雨音のコードと小雨音のコードとの間で切り替えるとよい。また例えば,車速センサ36が検出した自車の車速や,傾斜角センサ37が検出した路面の角度に応じて,走行中の道路に対応するリンクレコードの車内用擬音データコード(走行音)を切り替えてもよい。これにより,自車両情報や外部環境情報を,ユーザが擬音を通してリアルタイムに知ることができる。」 【図1】 ![]() の記載があるから,上記引用文献1には, 「擬音発生システムを組み込んだカーナビゲーション装置であって, 地図データ記憶装置10,経路探索部11,自車両情報取得部12,走行道路判定部13,操作入力部14,車両周辺情報取得部15,無線通信部16,擬音合成部17,擬音発生部18および制御部19を備え, 自車両情報取得部12は,自車の走行状態に関する情報(自車両情報)を取得する手段であって,自車に搭載された車速センサ36,傾斜角センサ37,GPS受信機38から,それぞれ自車の車速,路面の傾斜角,自車の現在位置を取得し, 車両周辺情報取得部15は,自車が有するセンサを用いて外部環境に関する情報(外部環境情報)を取得する手段であって,車両周辺情報取得部15は,自車の赤外線センサ31,マイク32および騒音センサ33(音センサ),カメラ34(画像センサ),雨量センサ35(雨センサ)から,自車周囲の障害物や人の存在や,車外の音,降雨状況などの情報を取得し, 無線通信部16は,各種のインフラストラクチャ(略称「インフラ」)から配信される外部環境情報を受信するインフラ情報取得部16aと,擬音配信サービスにより配信される配信擬音情報44を受信する配信擬音情報取得部16bとを含んでおり, インフラ情報取得部16aは,各種のインフラが提供する情報配信サービスから,交通情報41,気象情報42,災害情報43などを取得し, 制御部19は,走行道路判定部13が判定した現在位置(走行中の道路)と,自車両情報取得部12,車両周辺情報取得部15,無線通信部16が取得した各種の情報に基づいて,車内スピーカ21および車外スピーカ22からどの擬音を出力させるか判定する処理を行い, 擬音合成部17は,制御部19が選定した1以上の擬音データを合成し,合成後の擬音データに対応する音声信号を擬音発生部18に入力し,擬音発生部18は,車内スピーカ21および車外スピーカ22を駆動して,擬音合成部17から受けた音声信号に従い擬音を発生させ, 地図データ記憶装置10に格納される地図データベース200は,道路網を表す道路網データ210と,各道路に対応付けされる複数の擬音データを示す情報である車内用擬音データリスト221および車外用擬音データリスト222とを有し, 道路網データ210は,各ノードに接続するリンクを示すノードデータ211と,各リンクに接続するノードを示すリンクデータ212を含んでおり,リンクデータ212は,リンク毎に接続するノードの番号(ノード番号)が記述された複数の「リンクレコード」を含んでおり, リンクレコードに,当該リンクが対応する道路の路面の材質を示す識別子である路面素材コード,当該道路に設置されている標識を示す識別子である標識コード,当該リンクに対応付けされた車内用の擬音データを示す識別子である車内用擬音データコード,並びに,当該リンクに対応付けされた車外用の擬音データを示す識別子である車外用擬音データコードが含まれており, 車内用擬音データリスト221にはカテゴリ別に複数のリストが格納されており, インフラ情報取得部16aが取得した交通情報41で示された工事区間に含まれる道路に対応するリンクのリンクレコードには,工事音を示す「B0001」または「B0002」が記述され,自車が複数の車内スピーカ21を有しており,工事の実施場所(自車からの方向)が特定できる場合は,ユーザが擬音から工事場所を認識できるように,その工事場所に近い側の車内スピーカ21から工事音を発生させ, 地図データ記憶装置10は,リンクレコードに登録されることが馴染まない擬音データも格納し,車内用擬音データリストDは,運転者に注意を促すための音(警告音)の擬音データと車内用擬音データコードとの対応を示し,これらは,自車の周囲に障害物(人を含む),他の車両などが検知された場合(これらは赤外線センサ31,マイク32,騒音センサ33,カメラ34等で検知される)に,そのタイミングで鳴らす擬音であり, 制御部19は,リンクレコードの車内用擬音データコードを,車両周辺情報取得部15が取得する自車固有の外部環境情報や,自車両情報取得部12が取得する自車両情報に応じて書き換え,雨量センサ35が検出している雨量に応じて,走行中の道路に対応するリンクのリンクレコードの車内用擬音データコード(自然音)を,大雨音のコードと小雨音のコードとの間で切り替えてもよく,車速センサ36が検出した自車の車速や,傾斜角センサ37が検出した路面の角度に応じて,走行中の道路に対応するリンクレコードの車内用擬音データコード(走行音)を切り替えてもよく,これにより,自車両情報や外部環境情報を,ユーザが擬音を通してリアルタイムに知ることができる 装置。」(以下,「引用発明」という。)が記載されている。 2.引用文献2について 原査定の拒絶の理由に引用された特開2001-224013号公報(以下,「引用文献2」という。下線は当審が付与。)には, 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は,自動車の運転者の運転作業をサポートする運転支援技術に係り,特に,運転席からは死角となって見えづらい場所の障害物を検出して自動車と障害物の衝突を回避することを支援する運転支援技術に関する。 【0002】更に詳しくは,本発明は,障害物に関する映像情報や障害物までの距離距離情報を運転者に伝達して障害物との衝突回避を支援する運転支援技術に係り,特に,運転者に対して障害物に関する映像フィードバックと障害物までの距離データの数値フィードバックを同時に行う運転支援技術に関する。」 「【0006】運転支援技術の一例は,いわゆる「カー・ナビゲーション」と呼ばれる案内システムである。GPS(Global Positioning System)などを利用した各種のカー・ナビゲーション技術が既に商用化が実現され,市販される多くの自動車にカー・ナビゲーション装置が搭載されている。」 「【0051】参照番号20は,対象物(すなわち障害物)の距離及び映像情報の双方を取り込むためのセンサ組み込み型モジュールである。該センサ組み込み型モジュール20は,被検領域に向けて1基ずつ設置すればよい。センサ組み込み型モジュール20の構成及びその動作特性については後に詳解する。」 「【0055】レベル表示部42は,各センサ組み込み型モジュール20の出力に基づいて検出された障害物情報の解析・判断結果を,ドライバに対して視覚的にフィードバックするための装置である。例えば,LED(Light Emitting Device)によるインジケータを用いて,「安全」,「要注意」,「危険」などのように多段階のレベルに分けて表示する構成でよい。あるいは,カラー液晶を用いたり,映像表示部41の画面の一部をレベル表示のために割り当ててもよい。また,視覚的なフィードバックには限定されず,例えばスピーカを用いて,警告音や音声メッセージによりドライバに安全レベル若しくは危険レベルをフィードバックするようにしてもよい。」 「【0060】図4には,このアクティブ型のセンサ組み込み型モジュール20aの機能ブロック図を示している。図示の通り,センサ組み込み型モジュール20aは,受光部21と,投光部22と,モジュール制御部23と,映像信号処理部24と,距離情報処理部25と,投光制御部26と,レンズ27と,映像合成部28とで構成される。」 「【0073】図5に示すアクティブ型距離計測システムにおいて,カメラは受光部21に,半導体レーザ及び回転ミラーは投光部22に,それぞれ相当する。また,図示の例では,被写体すなわち障害物50は,該計測システムに対向する平面と,この平面の前方から突設された略半円柱で構成される。」 「【0076】カメラは,微細画素のような所定の受光単位が2次元マトリックス状に配列され,且つ,各画素毎に受光強度を検出することができるタイプの撮像素子で構成され,被写体からの反射光をレンズで集光して撮像するとともに,その受光位置を特定することができるものとする。」 「【0082】言い換えれば,画素Pが受光したときのレーザ光の各照射方向ΘI及びΘIIによって,被写体までの距離LI及びLIIを一意に求めることができる。」 「【0152】図19は,映像信号処理部24又は33から得られる映像信号である。また,図20は,距離情報処理部25又は34から得られる距離データを可視化したものである。距離データの可視化処理については後述する。 【0153】映像合成部28では,障害物50の映像信号と,障害物50までの距離データという2種類の情報を上記の方法で合成処理する。例えば,図21に示すように,上方から眺めたように見えるように座標変換を行ってから映像表示部41に出力することができる。」 「【0160】また,障害物までの距離データを数値として,合成画像上に重ね合わせて表示することにより,ドライバはさらに距離感を把握しやすくなる。例えば,図15や図20において,自動車から最も近い地点までの距離を数値として表示する距離インジケータを同時表示することによって(図23及び図24を参照のこと),ドライバは車両間隔を正確に知ることが可能となる。」 の記載があるから, 「センサ組み込み型モジュール20の出力に基づいて検出された判断結果を,多段階のレベルに分けて表示する構成であって, センサ組み込み型モジュール20aは,受光部21と,投光部22と,モジュール制御部23と,映像信号処理部24と,距離情報処理部25と,投光制御部26と,レンズ27と,映像合成部28とで構成され, カメラは受光部21に,半導体レーザ及び回転ミラーは投光部22に,それぞれ相当し, カメラは,微細画素のような所定の受光単位が2次元マトリックス状に配列され,且つ,各画素毎に受光強度を検出することができるタイプの撮像素子で構成されており,画素Pが受光したときのレーザ光の各照射方向ΘI及びΘIIによって,被写体までの距離LI及びLIIを一意に求めることができ, 障害物50の映像信号と,障害物50までの距離データという2種類の情報を上記の方法で合成処理し, 障害物までの距離データを数値として,合成画像上に重ね合わせて表示する, 運転者に対して障害物に関する映像フィードバックと障害物までの距離データの数値フィードバックを同時に行う運転支援技術。」(以下,「引用発明2」という。) が記載されている。 3.引用文献3について 原査定の拒絶の理由に引用された特開2007-334149号公報(以下,「引用文献3」という。下線は当審が付与。)には, 「【0018】 次に図2は,本実施形態の聴覚障害者用ヘッドマウントディスプレイ装置の回路構成を示すブロック図である。図2においては,制御ユニット12に含まれる制御部21,電源22,認識処理部23,画像処理部24,メモリ25と,ディスプレイユニット14に含まれる液晶駆動部31および液晶パネル32と,4個のマイクM1?M4が示される。本実施形態の聴覚障害者用ヘッドマウントディスプレイ装置全体は,制御部21により動作が制御される。制御部21は,例えば,メモリ25に格納される制御プログラムを実行するCPUであり,所定のタイミングで各部に制御信号を送出する。」 「【0020】 認識処理部23には,4個のマイクM1?M4から,それぞれのマイク信号S1,S2,S3,S4が入力される。認識処理部23では,4つのマイク信号S1?S4をディジタル信号に変換し,レベル検知処理を行うとともに,音声認識処理あるいは環境音の自動認識処理を実行する。それぞれの処理について詳しくは後述する。」 「【0023】 認識処理部23における音声認識処理は,人間の発声する音声を解析し,所定の言葉を文字情報として取り出す処理である。そのため,メモリ25に多様な音声パターンが記録されており,マイク信号S1?S4との比較を行うことにより特徴の一致する音声パターンが認識結果として選択される。認識処理部23では,話者を特定する特定話者の音声認識処理と,話者を特性しない不特定話者の音声認識処理をいずれも採用することができる。 【0024】 認識処理部23における環境音の自動認識処理は,ドアのノック等の生活音や屋外での自動車の走行音やサイレンの音など,多様な状況下の環境音を解析し,文字情報として取り出す処理である。そのため,メモリ25に多様な環境音の特徴パターンが記録されており,マイク信号S1?S4と各特徴パターンとの比較により最も近い特徴パターンが選択される。 【0025】 環境音の自動認識処理では,特徴パターンに対応する文字情報として,環境音を一般的に表現した擬音語を用いることができる。例えば,犬の鳴き声であれば「ワンワン」,ドアのノック音であれば「トントン」との擬音語により表現することができる。このような擬音語を用いることにより,認識された環境音の対象物を特定することによる誤認識を避けながら,少なくとも近似する環境音であることを認知させることができる。 【0026】 認識処理部23の認識結果は制御部21を経由して,画像処理部24に送られる。画像処理部24では,認識処理部23の認識結果に対応する文字情報を含む画像信号が生成される。そして,画像処理部24で生成された画像信号は支持部材13内の配線を通ってディスプレイユニット14に送られ,液晶駆動部31によって駆動される液晶パネル32に所定の文字情報が表示される。」 の記載があるから, 「聴覚障害者用ヘッドマウントディスプレイ装置であって, 制御ユニット12に含まれる制御部21,電源22,認識処理部23,画像処理部24,メモリ25と,ディスプレイユニット14に含まれる液晶駆動部31および液晶パネル32と,4個のマイクM1?M4が含まれ, 認識処理部23には,4個のマイクM1?M4から,それぞれのマイク信号S1,S2,S3,S4が入力され,4つのマイク信号S1?S4をディジタル信号に変換し,レベル検知処理を行うとともに,音声認識処理あるいは環境音の自動認識処理を実行し, 環境音の自動認識処理では,特徴パターンに対応する文字情報として,環境音を一般的に表現した擬音語を用いることができ,例えば,犬の鳴き声であれば「ワンワン」,ドアのノック音であれば「トントン」との擬音語により表現することができ, 認識処理部23の認識結果は制御部21を経由して,画像処理部24に送られ,画像処理部24では,認識処理部23の認識結果に対応する文字情報を含む画像信号が生成され,画像処理部24で生成された画像信号は支持部材13内の配線を通ってディスプレイユニット14に送られ,液晶駆動部31によって駆動される液晶パネル32に所定の文字情報が表示される, 装置。」 が記載されている。 第6 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 引用発明の「車両周辺情報取得部15」は,「自車が有するセンサを用いて外部環境に関する情報(外部環境情報)を取得する手段」であって,ここで,センサを用いて取得することは「計測する」ことであり,計測によって取得した情報は「計測結果」であるから,「自車が有するセンサを用いて外部環境に関する情報(外部環境情報)を取得する手段」,つまり「車両周辺情報取得部15」は「計測装置」であるといえる。 そして,引用発明の「制御部19」は,車両周辺情報取得部15が取得した各種の情報に基づいてどの擬音を出力させるか判定する処理を行うから,「車両周辺情報取得部15」が取得した外部環境情報が入力されること,すなわち「計測装置によって計測されたユーザの周辺環境における状態についての計測結果が入力される計測結果入力部」を有していることは明らかである。 そして,「擬音合成部17は,制御部19が選定した1以上の擬音データを合成」するから,「制御部19」と「擬音合成部17」は,「前記計測結果入力部に入力された前記計測結果に基づいて行われた,前記周辺環境の状態の評価に対応したデータを取得するデータ取得部」であるといえる。 引用発明は,「擬音合成部17」が合成後の擬音データに対応する音声信号を擬音発生部18に入力して,「擬音発生部18」が「擬音合成部17から受けた音声信号に従い擬音を発生させ」るから,引用発明の「擬音発生部18」は,「前記擬音データ取得部が取得した前記擬音データに対応する音声信号に従う擬音を,前記ユーザに報知可能な報知装置」であって,「車内スピーカ21」を駆動するから,車内の「ユーザ」に対して音を発生する,すなわち音により提示する装置であるといえる。 ここで,引用発明は「カーナビゲーション装置」であるから,ユーザは,「車両周辺情報取得部15」が取得した外部環境の状況において,車両を運転していることが明らかである。 そうすると,引用発明の「擬音発生部18」は,「前記ユーザが前記周辺環境において動作をしている間に前記ユーザに音により提示させる出力部」であるといえる。 引用発明は,「雨量センサ35が検出している雨量に応じて,走行中の道路に対応するリンクのリンクレコードの車内用擬音データコード(自然音)を,大雨音のコードと小雨音のコードとの間で切り替え」ており,雨量は「評価項目」であるから,「計測結果」に基づいて,「1つの評価項目に対する評価を2段階の評価を行うことによって得られた,前記1つの評価項目に関する評価を多段階で表したデータを取得」しているといえる。 したがって,本願発明1と引用発明とは, 「計測装置によって計測されたユーザの周辺環境における状態についての計測結果が入力される計測結果入力部と, 前記計測結果入力部に入力された前記計測結果に基づいて行われた,前記周辺環境の状態の評価に対応したデータを取得するデータ取得部と, 前記データ取得部が取得した前記データを,前記ユーザに音により報知可能な報知装置に出力して,前記報知装置に,前記周辺環境の評価に対応した音を前記ユーザが前記周辺環境において動作をしている間に前記ユーザに音により提示させる出力部と, を備え, 前記データ取得部は,前記計測結果に基づいて,1つの評価項目に対する評価を多段階の評価を行うことによって得られた,前記1つの評価項目に関する評価を多段階で表したデータを取得する, 周辺環境の評価結果に関するデータ提示装置。」 で一致し,下記の点で相違する。 (相違点1) 本願発明1は,「オノマトペ提示装置」であって,周辺環境の状態の評価に対応して,「擬音語及び擬態語の総称であるオノマトペ」を「音声または文字により提示」するのに対し,引用発明は「擬音」を発生する点。 また,相違点1に伴い, (相違点2) 「データ取得部」が,本願発明1では,「前記計測結果の中の画像データに対して画像解析処理を行って画像解析結果を取得し,取得した画像解析結果に基づいて,1つの評価項目に対する評価を多段階の評価を行うことによって得られた,前記1つの評価項目に関する評価を多段階で表したオノマトペを示すオノマトペデータを取得する」のに対し,引用発明では,「雨量センサ35が検出している雨量に応じ」た「走行中の道路に対応するリンクのリンクレコードの車内用擬音データコード(自然音)」(「大雨音のコード」,「小雨音のコード」)に対応する「擬音データ」や,「カメラ34」により「自車の周囲に障害物(人を含む),他の車両などが検知された場合」に,「運転者に注意を促すための音(警告音)の擬音データ」を取得する点。 (2)判断 相違点1について 「音声」とは,「(1)人間が発声器官を通じて発する言語音。また,テレビなどの音。おんじょう。おんぞう。「中継の?が途切れる」(2)〔言〕言語学で,音韻と区別していう個々の具体的な発音。」[株式会社岩波書店広辞苑第六版]である。 「擬音」は擬音語でも擬態語でもなく,「人間が発声器官を通じて発する言語音」ではなく,「擬音」をディスプレイ等を用いて「文字」により提示することも不可能である。 したがって,引用発明において「擬音」を「音声または文字」により提示することはできない。 相違点2について 引用発明において2段階の検出は雨量だけであるが,雨量センサ35を用いているから,カメラ34の画像データに対して画像解析処理を行って画像解析結果を取得し,取得した画像解析結果に基づいて行う理由がない。 また,引用発明の「カメラ」は,人や他の車両を検知によって擬音(警告音)を鳴らしているものの,人や車両の検知は多段階ではなく,2段階で検出する理由もない。 引用発明2に,「検出された判断結果を,多段階のレベルに分けて表示する構成」として,「障害物50の映像信号と,障害物50までの距離データという2種類の情報を上記の方法で合成処理し, 障害物までの距離データを数値として,合成画像上に重ね合わせて表示する」ことが記載されているものの,引用発明に引用発明2を用いたとしても,カメラによる人の検知を多段階の画像で表示する装置が想定されるだけであって,多段階に評価した擬音を鳴らすことは想定されないし,擬音はオノマトペではない。 さらに,外部環境に対する多段階の評価に基づいて,ユーザに対してオノマトペを提示する文献もない。 したがって,引用発明において,カメラの画像データに対して画像解析処理を行って画像解析結果を取得し,取得した画像解析結果に基づいた外部環境の評価を多段階で行うようにする理由がないから,「前記計測結果の中の画像データに対して画像解析処理を行って画像解析結果を取得し,取得した画像解析結果に基づいて,1つの評価項目に対する評価を多段階の評価を行うことによって得られた,前記1つの評価項目に関する評価を多段階で表したオノマトペを示すオノマトペデータを取得する」ことは,当業者であっても容易に想到し得たものではない。 2.本願発明4-6,9について 本願発明1と同様の構成を有しているから,同様の理由である。 3.本願発明2-3,7-8,10について 本願発明1,6又は9の構成を有しているから,同様の理由である。 第7 原査定について 令和3年2月22日の手続補正により補正された請求項1-10は,それぞれ「前記計測結果入力部に入力された前記計測結果に基づいて行われた,前記周辺環境の状態の評価に対応し,且つ,擬声語および擬態語の総称であるオノマトペを示すオノマトペデータを取得する」という事項を有するものとなっており,上記「第6」で検討したとおり,本願発明1-10は,当業者であっても,拒絶査定において引用された引用文献1-3に基づいて,容易に発明できたものとはいえない。 したがって,原査定の理由を維持することはできない。 第8 当審拒絶理由について 本願発明1-5について,「周辺環境の評価において」と「前記周辺環境において」との関係は,令和3年2月22日の手続補正により明確となった。 第9 むすび 以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2021-06-03 |
出願番号 | 特願2017-555155(P2017-555155) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G08B)
P 1 8・ 537- WY (G08B) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 吉村 伊佐雄 |
特許庁審判長 |
北岡 浩 |
特許庁審判官 |
衣鳩 文彦 吉田 隆之 |
発明の名称 | 周辺環境の評価結果に関するオノマトペ提示装置、オノマトペ提示プログラム及びオノマトペ提示方法 |
代理人 | 鈴木 一晃 |
代理人 | 鳥居 洋 |