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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G02B
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G02B
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G02B
管理番号 1374648
審判番号 不服2020-9858  
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-07-14 
確定日 2021-06-29 
事件の表示 特願2016- 42781「微細凹凸構造体および接合体」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 3月30日出願公開、特開2017- 62456、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続等の経緯
特願2016-42781号(以下「本件出願」という。)は、平成28年3月4日(先の出願に基づく優先権主張 平成27年9月24日)の出願であって、その手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。
令和元年12月 5日付け:拒絶理由通知書
令和2年 2月 6日提出:意見書
令和2年 2月 6日提出:手続補正書
令和2年 4月 7日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和2年 7月14日提出:審判請求書
令和2年 7月14日提出:手続補正書
令和3年 1月28日付け:拒絶理由通知書
令和3年 4月 1日提出:意見書
令和3年 4月 1日提出:手続補正書


第2 本件発明
本件出願の請求項1?12に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」?「本件発明12」という。)は、令和3年4月1日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?12に記載された事項により特定されるところ、本件発明1及び本件発明6は、それぞれ、以下のとおりのものである。

「 【請求項1】
平均高さが400nm以下であり、隣接する凸部間の平均間隔が400nm以下である複数の凸部と、前記複数の凸部間に形成される凹部とからなる微細凹凸構造を、少なくとも1つの表面に有する、画像表示装置用の微細凹凸構造体であって、
前記表面に、前記凸部よりも高さが高く、前記表面を複数の領域に分割する堰部をさらに有し、前記堰部によって分割される領域の一方が、汚染許容領域であり、
前記汚染許容領域の境界である前記堰部が、前記画像表示装置の画像表示部の周縁の遮光部によって覆われる、微細凹凸構造体。」

「 【請求項6】
平均高さが400nm以下であり、隣接する凸部間の平均間隔が400nm以下である複数の凸部と、前記複数の凸部間に形成される凹部とからなる微細凹凸構造を、少なくとも1つの表面に有する、画像表示装置用の微細凹凸構造体であって、
前記表面に、前記表面を複数の領域に分割する幅が0.1mm以上10mm以下の溝部が形成されており、前記溝部によって分割される領域の一方が、汚染許容領域であり、
前記汚染許容領域の境界である前記溝部が、前記画像表示装置の画像表示部の周縁の遮光部によって覆われる、微細凹凸構造体。」

なお、本件発明2?5は、本件発明1の「微細凹凸構造体」に対してさらに他の発明特定事項を付加したものである。また、本件発明7?8は、本件発明6の「微細凹凸構造体」に対してさらに他の発明特定事項を付加したものである。さらに、本件発明9?12は、本件発明1又は本件発明6の「微細凹凸構造体」にさらに他の発明特定事項を付加した「接合体」の発明である。


第3 引用文献の記載事項及び引用文献に記載された発明
1 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、先の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である特開2014-89308号公報(以下、同じく「引用文献1」という。)には、以下の記載事項がある。なお、当合議体が発明の認定等に用いた箇所に下線を付した。

(1)「【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材の少なくとも一方の面に、微小突起が密接して配置された微小突起構造体と、導電性金属酸化物、導電性有機高分子、導電性金属ナノ粒子及び導電性金属ナノワイヤよりなる群から選択される少なくとも一種を含有する透明導電層とをこの順で有し、
前記微小突起は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、当該微小突起の隣接突起間隔dの最大値をdmaxとしたときに、
dmax≦Λmin
なる関係を有し、且つ、前記微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有し、
前記透明導電層の膜厚を、前記微小突起間の谷底を連ねた包絡面に対して法線方向の、前記透明導電層の前記微小突起構造体側界面から前記透明導電層表面までの距離とし、
前記微小突起の頂部における前記透明導電層の平均膜厚をFT1、前記微小突起の高さの1/2における前記透明導電層の平均膜厚をFT2、前記微小突起間の谷部における前記透明導電層の平均膜厚をFT3としたときに、
FT1<FT2<FT3
なる関係を満たし、
前記透明導電層表面の平均高低差ΔDが、反射防止を図る光の波長帯域の最長波長をΛmaxとしたときに、
ΔD<Λmax×0.2
なる関係を満たす、反射防止性透明導電フィルム。
・・・省略・・・
【請求項3】
前記透明導電層が、パターニングされてなり、透明導電層形成領域と透明導電層非形成領域を有する、請求項1又は2に記載の反射防止性透明導電フィルム。
・・・省略・・・
【請求項7】
2つの電極フィルムそれぞれの電極面を一定間隔で対向させてなるタッチパネルであって、少なくとも1つの電極フィルムが、
透明基材の少なくとも一方の面に、微小突起が密接して配置された微小突起構造体と、導電性金属酸化物、導電性有機高分子、導電性金属ナノ粒子及び導電性金属ナノワイヤよりなる群から選択される少なくとも一種を含有する透明導電層とをこの順で有し、
前記微小突起は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、当該微小突起の隣接突起間隔dの最大値をdmaxとしたときに、
dmax≦Λmin
なる関係を有し、且つ、前記微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有し、
前記透明導電層の膜厚を、前記微小突起間の谷底を連ねた包絡面に対して法線方向の、前記透明導電層の前記微小突起構造体側界面から前記透明導電層表面までの距離とし、
前記微小突起の頂部における前記透明導電層の平均膜厚をFT1、前記微小突起の高さの1/2における前記透明導電層の平均膜厚をFT2、前記微小突起間の谷部における前記透明導電層の平均膜厚をFT3としたときに、
FT1<FT2<FT3
なる関係を満たし、
前記透明導電層表面の平均高低差ΔDが、反射防止を図る光の波長帯域の最長波長をΛmaxとしたときに、
ΔD<Λmax×0.2
なる関係を満たす、反射防止性透明導電フィルムであるタッチパネルを、画像表示面に備えた、画像表示装置。」

(2)「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射防止性透明導電フィルムと、これを用いたタッチパネル及び画像表示装置に関するものである。
・・・省略・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、反射防止性能を有しながら、透明導電層の密着性に優れ、且つ安定量産性に優れた透明導電フィルムと、これを用いたタッチパネル及び画像表示装置を提供することを目的とする。
・・・省略・・・
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、反射防止性能を有しながら、透明導電層の密着性に優れ、且つ安定量産性に優れた透明導電フィルムと、これを用いたタッチパネル及び画像表示装置を提供することができる。」

(3)「【発明を実施するための形態】
・・・省略・・・
【0020】
図1は、本発明に係る反射防止性透明導電フィルムの一例を模式的に示す断面図である。図1に示す反射防止性透明導電フィルム10は、透明基材1の一方の面に、当該透明基材1側から順に、微小突起が密接して配置された微小突起構造体2と、透明導電層3とを有する。図2は、本発明に係る反射防止性透明導電フィルムの他の一例を模式的に示す断面図である。図2に示す反射防止性透明導電フィルム10は、透明基材1の一方の表面に、微小突起が密接して配置された微小突起構造体2を有し、当該微小突起構造体2の表面上に、透明導電層3を有する。
以下、本発明に係る反射防止性透明導電フィルムに含まれる透明基材、微小突起構造体、透明導電層について、順に説明する。
【0021】
<透明基材>
前記透明基材としては、透明導電フィルムに用いられる公知の透明基材を適宜選択して用いることができ、特に限定されない。前記透明基材に用いられる材料としては、例えば、透明樹脂が挙げられる。透明樹脂としては、例えば、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、アクロニトリル、メタクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等を挙げることができる。
また、前記透明基材に用いられる材料としては、前記透明樹脂の他に、例えばソーダ硝子、カリ硝子、鉛ガラス等の硝子、PLZT等のセラミックス、石英、蛍石等の各種透明無機材料等も挙げられる。
・・・省略・・・
【0026】
<微小突起構造体>
透明基材の少なくとも一方の面に、微小突起が密接して配置された微小突起構造体を有する。
当該微小突起構造体は、図1に示したように、前記透明基材とは別の材料からなる別層として積層されていても良いし、図2に示したように、透明基材と一体となって形成されていても良い。
また、層間の密着性、塗工適性、表面平滑性等の基材表面性能を向上させる点から、透明基材の少なくとも一方の面に、1層以上の中間層を介して、微小突起構造体が積層されている積層体となっていてもよい。
また、透明基材の両面に、直接又は他の層を介して、微小突起が密接して配置された微小突起構造体を有していても良い。
【0027】
微小突起構造体における微小突起は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、当該微小突起の隣接突起間隔dの最大値をdmaxとしたときに、
dmax≦Λmin
なる関係を有し、且つ、前記微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有するものである。
【0028】
前記微小突起は、隣接する突起間隔d(図1参照)が、反射防止を図る波長帯域の最短波長Λmin以下(d≦Λmin)となるよう密接して配置される。本発明に係る反射防止性透明導電フィルムを、タッチパネルに配置して視認性を向上せしめることを主目的として使用する場合は、この最短波長Λminは、個人差、視聴条件を加味した可視光領域の最短波長(通常380nm)に設定され、間隔dは、ばらつきを考慮して通常100?300nmとされる。
またこの間隔dに係る隣接する微小突起は、いわゆる隣り合う微小突起であり、基材側の付け根部分である微小突起の裾の部分が接している突起である。本発明に係る透明導電フィルムでは、微小突起が密接して配置されることにより、微小突起間の谷の部位を順次辿るようにして線分を作成すると、平面視において各微小突起を囲む多角形状領域を多数連結してなる網目状の模様が作製されることになる。間隔dに係る隣接する微小突起は、この網目状の模様を構成する一部の線分を共有する突起である。
【0029】
前記微小突起は、前記微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有することから反射防止効果を発揮する。前記微小突起構造体と、外界(通常は空気。但し、本態様においては、透明導電層。)との間の急激で不連続な屈折率変化を、連続的で漸次変化する屈折率変化に変えることが可能となるからである。光の反射は、物質界面の不連続な急激な屈折率変化によって生じる現象であるから、基材と透明導電層との界面に於ける屈折率変化を、空間的に連続的に変化する様にすることによって、該基材と透明導電層との界面に於ける光反射が減るのである。
尚、前記微小突起構造体は、通常は透明で光は透過する物となるが、不透明の物であっても、その表面反射を低下する反射防止効果は得られる。
前記微小突起構造体を構成する各微小突起は、基材に植立するように、さらに基材より先端側に向かうに従って徐々に断面積が小さくなるように(先細りとなるように)作製され、具体的な形状としては、例えば、半球、回転楕円体の半裁形状及び円錐形や四角錐形等の錐形体等が挙げられる。
【0030】
前記微小突起は、頂部を複数有するもの(以下、「多峰性の微小突起」と称する場合がある。)であることが好ましい。前記微小突起として多峰性の微小突起を含むことにより、本発明の反射防止性透明導電フィルムは反射防止性及び密着性がより向上する。なお、多峰性の微小突起との対比により、頂部が1つのみの微小突起を「単峰性の微小突起」と称する場合がある。また多峰性の微小突起、単峰性の微小突起に係る各頂部を形成する各凸部を、適宜、「峰」と称する。
【0031】
図3は、この頂点を複数有する多峰性の微小突起の説明に供する断面図(図3(a))、斜視図(図3(b))、平面図(図3(c))である。なおこの図3は、理解を容易にするために模式的に示す図であり、図3(a)は、連続する微小突起の頂点を結ぶ折れ線により断面を取って示す図である。この図3(b)及び(c)において、xy方向は、基材1の面内方向であり、z方向は微小突起の高さ方向である。反射防止性透明導電フィルム10において、多くの微小突起5は、基材1より離れて頂点に向かうに従って徐々に断面積(高さ方向に直交する面(図3においてXY平面と平行な面)で切断した場合の断面積)が小さくなって、頂点が1つにより作製される。しかしながら中には、複数の微小突起が結合したかのように、先端部分に溝gが形成され、頂点が2つになったもの(5A)、頂点が3つになったもの(5B)、さらには頂点が4つ以上のもの(図示略)が存在した。なお単峰性の微小突起5の形状は、概略、回転放物面の様な頂部の丸い形状、或いは円錐の様な頂点の尖った形状で近似することができる。一方、多峰性の微小突起5A、5Bの形状は、概略、単峰性の微小突起5の頂部近傍に溝状の凹部を切り込んで、頂部を複数の峰に分割したような形状で近似される。多峰性の微小突起5A、5Bの形状は、或いは、複数の峰を含み高さ方向(図3ではZ軸方向)を含む仮想的切断面で切断した場合の縦断面形状が、極大点を複数個含み各極大点近傍が上に凸の曲線になる代数曲線Z=a_(2)X^(2)+a_(4)X^(4)+・・+a_(2n)X^(2n)+・・で近似されるような形状である。
【0032】
各微小突起の高さに高低差の有る微小突起群は、反射防止性能が広帯域化され、白色光のような多波長の混在する光、あるいは広帯域スペクトルを持つ光に対して、全スペクトル帯域で低反射率を実現するのに有利である。これは、かかる微小突起群によって良好な反射防止性能を発現し得る波長帯域が、隣接突起間距離dの他に、突起高さにも依存する為である。
【0033】
また、多峰性の微小突起が混在する場合には、単峰性の微小突起のみによる場合に比して反射防止の性能を向上することができるのは、図3に示すような多峰性の微小突起5A、5B等は、隣接突起間距離が同じ場合であっても、また突起高さが同じ場合であっても、単峰性の微小突起と比べて、より光の反射率が低減するからであり、多峰性の微小突起5A、5B等は、頂部より下(中腹及び麓)の形状が同じ単峰性の微小突起よりも、頂部近傍における有効屈折率の高さ方向の変化率が小さくなる為である。
【0034】
また、多峰性の微小突起が混在する場合には、単峰性の微小突起のみによる場合に比して、頂部より下(中腹及び麓)の形状が同じ単峰性の微小突起よりも、頂部近傍における表面積が大きくなるため、密着性が向上する。
【0035】
なお多峰性の微小突起は、反射防止性及び密着性を向上する効果を発揮する点からは、表面に存在する全微小突起中における多峰性の微小突起の個数の比率は10%以上であることが好ましい。特に多峰性の微小突起による反射防止性及び密着性を向上する効果を十分に奏する為には、該多峰性の微小突起の個数の比率は30%以上、好ましくは50%以上とすることが好ましい。
【0036】
前記微小突起群において、高さHが同じ微小突起が一定周期で規則正しく配置されている場合、前記反射防止効果を得るためには、例えば特開昭50-70040号公報、特許第4632589号公報、特許第4270806号公報等に開示のように、隣接突起間隔dは、突起配列の周期p(d=p)となる。これにより可視光線帯域の最長波長をλmax、最短波長をλminとした場合に、最低限、可視光線帯域の最長波長において反射防止効果を奏し得る必要最小限の条件は、Λmin=λmaxである為、p≦λmaxとなり、可視光線帯域の全波長に対して反射防止効果を奏し得る必要十分の条件は、Λmin=λminであるため、p≦λminとなる。
【0037】
なお波長λmax、λminは、観察条件、光の強度(輝度)、個人差等にも依存して多少幅を持ち得るが、標準的には、λmax=780nm及びλmin=380nmとされる。これらにより可視光線帯域の全波長に対する反射防止効果をより確実に奏し得る好ましい条件は、d≦300nmであり、より好ましい条件は、d≦200nmとなる。なお反射防止効果の発現及び反射率の等方性(低角度依存性)の確保等の理由から、隣接突起間隔dの下限値は、通常、d≧50nm、好ましくは、d≧100nmとされる。これに対して突起の高さH(図1参照)は、十分な反射防止効果を発現させる観点より、H≧0.2×λmax=156nm(λmax=780nmとして)とされる。また、突起の高さHは、反射防止効果の点から、通常、350nm以下とされる。
【0038】
一方、上記多峰性の微小突起が混在する場合のように、前記微小突起構造体の微小突起が不規則に配置されている場合には、隣接突起間隔dはばらつきを有することになる。そこでこのような場合、間隔dは以下のように算定される。
【0039】
(1)先ず、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)又は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて突起の面内配列(突起配列の平面視形状)を検出する。
【0040】
(2)続いてこの求められた面内配列から各突起の高さの極大点(以下、単に極大点と称する。)を検出する。なお極大点を求める方法としては、平面視形状と対応する断面形状の拡大写真とを逐次対比して極大点を求める方法、平面視拡大写真の画像処理によって極大点を求める方法等、種々の手法を適用することができる。
【0041】
(3)次に検出した極大点を母点とするドロネー図(Delaunary Diagram)を作成する。ここでドロネー図とは、各極大点を母点としてボロノイ分割を行った場合に、ボロノイ領域が隣接する母点同士を隣接母点と定義し、各隣接母点同士を線分で結んで得られる3角形の集合体からなる網状図形である。各3角形は、ドロネー3角形と呼ばれ、各3角形の辺(隣接母点同士を結ぶ線分)は、ドロネー線と呼ばれる。図4は、ドロネー図(白色の線分により表される図である)を原画像と重ね合わせた図である。
【0042】
(4)次に、各ドロネー線の線分長の度数分布、すなわち隣接する極大点間の距離(以下、隣接突起間距離と言う)の度数分布を求める。図5は、図4のドロネー図から作成した度数分布のヒストグラムである。なお、図3に示すように、突起の頂部に溝状等の凹部が存在したり、あるいは頂部が複数の峰に分裂している場合は、求めた度数分布から、このような突起の頂部に凹部が存在する微細構造、頂部が複数の峰に分裂している微細構造に起因するデータを除去し、突起本体自体のデータのみを選別して度数分布を作成する。
【0043】
具体的には、突起の頂部に凹部が存在する微細構造、頂部が複数の峰に分裂している微小突起(多峰性の微小突起)に係る微細構造においては、このような微細構造を備えていない微小突起(単峰性の微小突起)の場合の数値範囲から、隣接極大点間距離が明らかに大きく異なることになる。これによりこの特徴を利用して対応するデータを除去することにより突起本体自体のデータのみを選別して度数分布を検出する。より具体的には、例えば微小突起(群)の平面視の拡大写真から、5?20個程度の互いに隣接する単峰性の微小突起を選んで、その隣接極大点間距離の値を標本抽出し、この標本抽出して求められる数値範囲から明らかに外れる値(通常、標本抽出して求められる隣接極大点間距離平均値に対して、値が1/2以下のデータ)を除外して度数分布を検出する。図5の例では、隣接極大点間距離が56nm以下のデータ(矢印Aにより示す左端の小山)を除外する。なお図5は、このような除外する処理を行う前の度数分布を示すものである。
【0044】
(5)このようにして求めた隣接突起間隔dの度数分布から平均値d_(AVG)及び標準偏差σを求める。ここでこのようにして得られる度数分布を正規分布とみなして平均値d_(AVG)及び標準偏差σを求めると、図5の例では、平均値d_(AVG)=158nm、標準偏差σ=38nmとなった。これにより隣接突起間隔dの最大値を、dmax=d_(AVG)+2σとし、この例ではdmax=234nmとなる。
【0045】
なお同様の手法を適用して突起の高さを定義する。この場合、上述の(2)により求められる極大点から、特定の基準位置からの各極大点位置の相対的な高さの差を取得してヒストグラム化する。図6は、このようにして求められる突起付け根位置を基準(高さ0)とした突起高さHの度数分布のヒストグラムを示す図である。このヒストグラムによる度数分布から突起高さの平均値H_(AVG)、標準偏差σを求める。ここでこの図5の例では、平均値H_(AVG)=178nm、標準偏差σ=30nmである。これによりこの例では、突起の高さは、平均値H_(AVG)=178nmとなる。なお図6に示す突起高さHのヒストグラムにおいて、多峰性の微小突起の場合は、頂部を複数有していることにより、1つの突起に対してこれら複数のデータが混在することになる。そこでこの場合は麓部が同一の微小突起に属するそれぞれ複数の頂部の中から高さの最も高い頂部を、当該微小突起の突起高さとして採用して度数分布を求める。
【0046】
突起が不規則に配置されている場合には、このようにして求められる隣接突起間距離の最大値dmax=d_(AVG)+2σ、突起の高さの平均値H_(AVG)が、規則正しく配置されている場合の上述の条件を満足することが必要である。具体的には、反射防止効果を発現する微小突起間距離の条件は、dmax≦Λminとなる。最低限、可視光線帯域の最長波長において反射防止効果を奏し得る必要最小限の条件は、Λmin=λmaxである為、dmax≦λmaxとなり、可視光線帯域の全波長に対して反射防止効果を奏し得る必要十分の条件は、Λmin=λminである為、dmax≦λminとなる。そして、可視光線帯域の全波長に対する反射防止効果をより確実に奏し得る好ましい条件は、dmax≦300nmであり、更に好ましい条件は、dmax≦200nmである。また反射防止効果の発現及び反射率の等方性(低角度依存性)の確保等の理由から、通常、dmax≧50nmであり、好ましくは、dmax≧100nmとされる。また突起高さについては、十分な反射防止効果を発現する為には、H_(AVG)≧0.2×λmax=156nm(λmax=780nmとして)とされる。また、H_(AVG)は、反射防止効果の点から、好ましくは350nm以下とされる。突起高さの分布は、通常、50?350nmである。
【0047】 上述した図4?図6に係る測定結果は、図3に示すような頂点を複数有する、多峰性の微小突起の実施形態における測定結果であり、図5に示す度数分布においては、隣接突起間隔d(横軸の値)について、20nm及び40nmの短距離の極大値と120nm及び164nmの長距離の極大値との2種類の極大値が存在する。これらの極大値のうちの長距離の極大値は、微小突起本体(頂部よりも下の中腹から麓にかけての部分)の配列に対応し、一方、短距離の極大値は頂部近傍に存在する複数の頂点(峰)に対応する。これにより極大点間距離の度数分布によっても、多峰性の微小突起の存在を見て取ることができる。
・・・省略・・・
【0056】
<透明導電層>
本発明の反射防止性透明導電フィルムにおいては、前記微小突起構造体上に、導電性金属酸化物、導電性有機高分子、導電性金属ナノ粒子及び導電性金属ナノワイヤよりなる群から選択される少なくとも一種を含有する透明導電層を有する。
そして、図8に、本発明の透明導電層の膜厚を説明する図を示す。本発明における透明導電層3は、前記透明導電層の膜厚を、前記微小突起間の谷底を連ねた包絡面6に対して法線方向7の、前記透明導電層の前記微小突起構造体側界面8から前記透明導電層表面9までの距離とし、
前記微小突起の頂部における前記透明導電層の平均膜厚をFT1、前記微小突起の高さ(H)の1/2(H/2)における前記透明導電層の平均膜厚をFT2、前記微小突起間の谷部における前記透明導電層の平均膜厚をFT3としたときに、
FT1<FT2<FT3
なる関係を満たす。
更に、本発明における透明導電層3は、図2に示すように、前記透明導電層表面の平均高低差ΔDが、反射防止を図る光の波長帯域の最長波長をΛmaxとしたときに、
ΔD<Λmax×0.2
なる関係を満たすことを特徴とする。
・・・省略・・・
【0073】
本発明に係る反射防止性透明導電フィルムにおいては、前記透明導電層が、パターニングされてなり、透明導電層形成領域と透明導電層非形成領域を有する態様が、透明導電層が例えば座標認識用の配線として機能する点から好適に用いられる。
透明導電層をパターニングする方法は、特に限定されず、例えば、フォトレジストを用いてドライエッチングを行う方法等が挙げられる。」

(4)図1


(5)図2


(6)図3


(7)図4


(8)図5


(9)図6


(10)図8


2 引用発明
引用文献1の上記1の記載に基づけば、引用文献1には、請求項1に記載の反射防止性透明導電フィルムを引用する請求項3に記載の反射防止性透明導電フィルムとして、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「 透明基材の少なくとも一方の面に、微小突起が密接して配置された微小突起構造体と、導電性金属酸化物、導電性有機高分子、導電性金属ナノ粒子及び導電性金属ナノワイヤよりなる群から選択される少なくとも一種を含有する透明導電層とをこの順で有し、
前記微小突起は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、当該微小突起の隣接突起間隔dの最大値をdmaxとしたときに、
dmax≦Λmin
なる関係を有し、且つ、前記微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有し、
前記透明導電層の膜厚を、前記微小突起間の谷底を連ねた包絡面に対して法線方向の、前記透明導電層の前記微小突起構造体側界面から前記透明導電層表面までの距離とし、
前記微小突起の頂部における前記透明導電層の平均膜厚をFT1、前記微小突起の高さの1/2における前記透明導電層の平均膜厚をFT2、前記微小突起間の谷部における前記透明導電層の平均膜厚をFT3としたときに、
FT1<FT2<FT3
なる関係を満たし、
前記透明導電層表面の平均高低差ΔDが、反射防止を図る光の波長帯域の最長波長をΛmaxとしたときに、
ΔD<Λmax×0.2
なる関係を満たす、反射防止性透明導電フィルムであって、
前記透明導電層が、パターニングされてなり、透明導電層形成領域と透明導電層非形成領域を有する、反射防止性透明導電フィルム。」

3 引用文献4の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用文献4として引用され、先の出願前に日本国内又は外国において、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明が記載されている国際公開第2009/110139号(以下、同じく「引用文献4」という。)には、以下の記載事項がある。なお、当合議体が発明の認定等に用いた箇所に下線を付した。

(1)「技術分野
[0001]本発明は、光学素子、ローラー型ナノインプリント装置及び金型ロールの製造方法に関する。より詳しくは、低反射率が得られる表面処理がなされたロール状光学素子に好適な光学素子、ローラー型ナノインプリント装置及び金型ロールの製造方法に関するものである。
・・・省略・・・
[0010]本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、ラミネーションフイルムとの密着性に優れた光学素子、ローラー型ナノインプリント装置及び金型ロールの製造方法を提供することを目的とするものである。」

(2)「課題を解決するための手段
[0011]本発明者らは、ラミネーションフイルムとの密着性に優れた光学素子、ローラー型ナノインプリント装置及び金型ロールの製造方法について種々検討したところ、ナノ構造を形成する領域に着目した。そして、従来のロール・ツー・ロール処理によりナノ構造(ナノメートルサイズの凹凸)が表面に連続的に形成されたナノ構造フイルムを作製する技術では、ナノ構造フイルム表面の全面にナノ構造(ナノメートルサイズの凹凸)が形成されるために、ラミネーションフイルムとの密着性が弱くなってしまうことを見いだすとともに、ナノ構造フイルムの長尺方向に沿う両端部に、ナノメートルサイズの凹凸が形成されていないナノ構造非形成領域を設けることにより、このナノ構造非形成領域にラミネーションフイルムを充分に密着させることができることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
[0012]すなわち、本発明は、ナノメートルサイズの凹凸が表面に連続的に形成されたナノ構造フイルムを有する光学素子であって、上記ナノ構造フイルムは、ナノ構造フイルムの長尺方向に沿う両端部に、上記ナノメートルサイズの凹凸が形成されていないナノ構造非形成領域を有する光学素子である。
[0013]これにより、ナノ構造非形成領域にラミネーションフイルムを充分に密着させることができる。また、ナノ構造非形成領域は、ナノ構造フイルムの長尺方向に沿う両端部に設けられることから、例え、ナノ構造フイルムをウエット工程に曝したとしても、ナノメートルサイズの凹凸が形成された領域(以下、「ナノ構造形成領域」ともいう。)に溶剤が侵入するのを効果的に抑制することができる。
[0014]このように、本発明は、ナノ構造フイルムと、それを保護するラミネーションフイルムとの密着性を改善し(好適には、ロール状態で改善し)、工程での汚れや傷からナノ構造フイルムを守ることを特徴としている。
[0015]なお、本明細書において、ナノメートルサイズの凹凸は、より具体的には、高さ及び/又は幅(より好適には高さ及び幅)が1nm以上、1μm(=1000nm)未満の凹凸であることが好ましい。
[0016]また、本明細書においては、ナノメートルサイズの凹凸をナノ構造又はナノ構造体ともいう。更に、ナノ構造フイルムの厚みは特に限定されず、シートと呼ばれるものであってもよい。
[0017]本発明の光学素子の構成としては、このような構成要素を必須として形成されるものである限り、その他の構成要素を含んでいても含んでいなくてもよく、特に限定されるものではないが、上述のように、本発明の光学素子は、ラミネーションフイルムとの密着性に優れることから、ラミネーションフイルムを更に有することが好ましい。すなわち、本発明の光学素子は、上記ナノ構造フイルムに積層されたラミネーションフイルムを更に有することが好ましく、上記ナノ構造フイルムとラミネーションフイルムとの積層体がロール状に巻き込まれた(巻かれた)ロール状光学素子であることがより好ましい。
[0018]上記ナノメートルサイズの凹凸のパターンとしては特に限定されず、モスアイ構造、ワイヤーグリッド構造等が挙げられるが、なかでも、モスアイ構造が好適である。すなわち、上記ナノ構造フイルムは、可視光の波長よりも小さな複数の円錐状(コーン状)の突起が形成されたモスアイ構造を有することが好ましい。これにより、本発明の光学素子(ロール状光学素子)を液晶表示装置等の偏光板に使用し、例え、ナノ構造フイルムを接着性付与工程や洗浄工程等のウエット工程に曝したとしても、モスアイ構造が形成された領域に溶剤が侵入し、モスアイ構造が溶剤に侵されるのを抑制することができる。その結果、液晶表示装置に表示ムラが発生するのを効果的に抑制しつつ、反射光を激減させることができる。
[0019]本発明はまた、本発明の光学素子を作製するためのローラー型ナノインプリント装置であって、上記ローラー型ナノインプリント装置は、上記ナノメートルサイズの凹凸を形成するための凹凸パターンを外周面に有する金型ロール(ローラー)を備え、上記金型ロールは、金型ロールの軸方向の長さAと、上記ナノ構造フイルムの幅Bと、上記凹凸パターンが形成された領域の幅CとがA>B>Cの関係を満たすローラー型ナノインプリント装置(以下、「本発明の第一のローラー型ナノインプリント装置」ともいう。)でもある。
[0020]これにより、ナノ構造フイルムの長尺方向に沿う両端部のナノ構造非形成領域と、ナノ構造形成領域とを同時に形成することができる。すなわち、本発明の光学素子を効率的に作製することができる。また、金型ロールの軸方向(より詳細には、回転軸方向)の長さがナノ構造フイルムの幅よりも大きいことから、ナノ構造フイルムの平坦性を損なうことなく、ナノ構造非形成領域及びナノ構造形成領域を形成することができる。なお、本明細書において、凹凸パターンが形成された領域の幅とは、金型ロールの軸方向(より詳細には、回転軸方向)における凹凸パターンが形成された領域の長さを意味する。
・・・省略・・・
[0025]本発明はそして、本発明の光学素子、なかでも好適には可視光の波長よりも小さな複数の円錐状(コーン状)の突起が形成されたモスアイ構造を有するナノ構造フイルムを備える光学素子を作製するためのローラー型ナノインプリント装置に用いられる金型ロールの製造方法であって、上記製造方法は、上記複数の円錐状の突起を形成するための窪みパターンとなる領域外のアルミニウム管をマスキング材料によりマスクした状態で、上記アルミニウム管を陽極酸化する工程と、上記アルミニウム管をエッチングする工程とを繰り返し行う金型ロールの製造方法である。
[0026]これにより、複数の円錐状の突起を形成するための窪みパターンがアルミニウム管の両端部に設けられない金型ロール、すなわち本発明の光学素子の作製に好適な金型ロールを容易に製造することができる。
[0027]本発明の金型ロールの製造方法は、上記工程を有するものである限り、その他の工程により特に限定されるものではない。
発明の効果
[0028]本発明の光学素子、ローラー型ナノインプリント装置及び金型ロールの製造方法によれば、ラミネーションフイルムとの密着性に優れたロール状光学素子を実現することができる。したがって、ナノ構造フイルムをラミネーションフイルムによりマスキングすることが可能となり、工程上の汚染や傷つき、薬液等からナノ構造フイルムを守ることができる。そのため、次工程、例えば、糊のコーティング工程や偏光板の貼り付け工程、裁断工程等における、ナノ構造を表面に有する光学素子を利用した加工品の歩留まりを著しく向上することができる。


(3)「発明を実施するための最良の形態
[0029]以下に実施形態及び実施例を掲げ、本発明を図面を参照して更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態及び実施例のみに限定されるものではない。
[0030](実施形態1)
<基本構造>
図1は、モスアイ構造を説明する図(屈折率が表面から連続的になり、界面で反射が極端に減少する原理を説明する図)であり、(a)は、モスアイ構造の断面の模式図を示し、(b)は、モスアイ構造における屈折率の変化を示す。
モスアイ構造や、ワイヤーグリッド構造等のナノ構造を製造する場合、構造用の金型を製作し、この金型で、基板フイルム(基材フイルム)上に塗布した紫外線硬化樹脂等の電離放射線硬化型樹脂に加圧及び密着させ、金型及び電離放射線硬化型樹脂を密着した状態で、紫外線等のエネルギー線を照射し、電離放射線硬化型樹脂を硬化するナノインプリント方式が一般的に用いられる。この場合、できあがったナノ構造は、基板フイルムの表面にナノサイズの凹凸構造を有し、特に、モスアイ構造においては、図1(a)に示すように、電離放射線硬化型樹脂(樹脂膜31)の表面に円錐状のナノサイズの突起物32が無数に形成される。また、図1(b)に示すように、空気層から樹脂膜内部にかけて屈折率が連続的に変化する構造が採用されている。このため、従来のモスアイ構造を有するナノ構造フイルムとラミネーションフイルムとの密着力は弱く、モスアイ構造が形成された面を保護することが困難であった。それに対して、ラミネーションフイルムの密着力を増加させた場合には、密着力は高くなるが、モスアイ構造(ナノサイズの凹凸構造)の間に、溶剤や低分子量のオリゴマー、可塑剤等が入り込み、結果的にナノ構造フイルムの反射率を上昇させてしまい、このようにナノ構造フイルムを表示装置に配置した場合には表示ムラの原因となってしまう。
[0031]そこで、本発明者は、これらのナノ構造を基材フイルム上で、連続的に生産する場合(ロールで成型する場合)に、ラミネーションフイルムと基材フイルムとの密着性をキープしながら、基材フイルムへの溶剤や低分子量のオリゴマー、可塑剤等の物質の移動を効果的に抑制できる構造を考案した。
[0032]図2は、実施形態1のロール状光学素子を示す模式図であり、(a)は、全体を示し、(b)は、(a)中のX-Y線における断面の拡大図である。
本実施形態のロール状光学素子21は、帯状のナノ構造フイルム20と、ナノ構造フイルム20と同様の帯状のラミネーションフイルム(図示せず、マスキングフイルムとも呼ばれる)とを備え、ナノ構造フイルム20及びラミネーションフイルムの積層体がロール状に巻き込まれている。
[0033]ナノ構造フイルム20のラミネーションフイルム側の表面にはナノ構造として、図1で説明したものと同様のモスアイ構造が連続的に帯状に形成されている。このように、ナノ構造フイルム20は、ナノ構造を有する光学シートである。
[0034]ラミネーションフイルムは、ナノ構造フイルム20と略同一の幅を有する保護フイルムであり、ナノ構造フイルム20側の表面には糊等の粘着材料からなる粘着層が設けられており、ナノ構造フイルム20のモスアイ構造が形成された側の面に剥離自在に貼り合わされている。
[0035]そして、本実施形態のナノ構造フイルム20は、長尺方向に沿う両端部に、モスアイ構造が形成されていないナノ構造非形成領域23を有する。すなわち、ナノ構造フイルム20は、モスアイ構造が帯状に連続的に形成されたナノ構造形成領域22と、モスアイ構造が形成されていない帯状のナノ構造非形成領域23とを有する。
[0036]このように、モスアイ構造をナノ構造フイルム20に形成するときに、ナノ構造フイルム20の両端部に、凹凸がなく平坦なナノ構造非形成領域23を形成することによって、このナノ構造フイルム20の両端部とラミネーションフイルムとで充分に密着力を確保することができる。したがって、ロール状光学素子21の形成工程以降のナノ構造フイルム加工工程で、ナノ構造フイルム20にラミネーションフイルムを掛けおく(貼り付けておく)ことができるので、汚れや傷、工程での薬液等からモスアイ構造を保護することができる。また、従来のように、粘着力の強い粘着材料をラミネーションフイルムに用いる必要もなくなるので、ナノ構造フイルム20がラミネーションフイルムの粘着材料によって汚染されるのを効果的に抑制することができる。更に、ナノ構造非形成領域23はナノ構造フイルム20の両端部に設けられることから、ナノ構造フイルム20をウエット工程に曝したとしても、ナノ構造形成領域22に溶剤が侵入するのを効果的に抑制することができる。
・・・省略・・・
[0053]<金型ロールの製造方法>
金型ロールの製造方法について、ナノ構造として代表的なモスアイ構造を作製する場合について説明する。図4は、実施形態1の金型ロールの作製方法を説明する模式図であり、(a)?(d)は、両端部にナノ構造を作製するための凹凸パターンがない金型ロールの作製方法を示す。
モスアイ構造を作製するための金型は、一般的に、アルミ層を陽極酸化する工程と、エッチングする工程とを繰り返すことにより、アルミ層の表面にナノオーダーの円錐状の穴を開けることによって作製する。本実施形態のように、ナノ構造フイルム20の両端部にモスアイ構造が形成されない領域を設けるとともに、ナノ構造フイルム20の中央部分をモスアイ構造が連続的に形成された領域を設けるためには、図3に示す金型ロール15のように、金型ロール15自身の両端部に円錐状の窪み(穴)を開けない領域を形成することが好ましい。
[0054]このような金型ロール15を作製するためには、陽極酸化及びエッチングを行う際に、まず、図4(a)及び(b)に示すように、切削研磨等により外周面が研磨されたアルミニウム管33の両端部を使用薬液に侵されることのないマスキング材料34によりマスキングし、次に、図4(c)に示すように、アルミニウム管33の両端部をマスキング材料34でマスクした状態で、反応容器35中にて、アルミニウム管を陽極酸化する工程と、アルミニウム管をエッチングする工程とを繰り返し、例えば3回行い、最後に、図4(d)に示すように、マスキング材料34を除去すればよい。これにより、アルミニウム管33の両端部にナノ構造(モスアイ構造)を作製するための凹凸パターン(窪みパターン)がない金型ロール15を作製することができる。また、シームレスな(継ぎ目のない)モスアイ構造をナノ構造フイルム20に形成することができる。マスキング材料34としては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等に粘着材料をコーティングした粘着フィルムを用いることができる。
[0055]このようにして作製された金型ロールにより形成されたナノ構造フイルム20は、図1(a)に示すように、好適には高さ150?400nm(例えば、300nm)の略円錐状(コーン状)の突起32が、頂点間の距離80?300nm(例えば、200nm)で多数形成された表面構造を有している。このような表面構造は、一般に「モスアイ(蛾の目)構造」と呼ばれ、モスアイ構造を有するナノ構造フイルム20は、例えば可視光の反射率を0.15%程度にすることができる超低反射フイルムとして知られている。モスアイ構造を有するナノ構造フイルム20においては、可視光の波長の長さ(380?780nm)よりも小さな大きさの突起が存在することにより、図1(b)に示すように、界面の屈折率が、ナノ構造フイルム20の表面上の空気の屈折率である1.0から、ナノ構造フイルム20の構成材料の屈折率(樹脂膜31の場合、1.5)と同等になるまで連続的に徐々に大きくなっているとみなすことができる。その結果、実質的には屈折率界面が存在せず、ナノ構造フイルム20の界面での反射率が極端に減少する。
[0056]なお、金型ロール15としては、金型ロール15に直接凹凸パターンが形成されたものではなく、例えば、凹凸パターンが形成されたシート(薄膜)が円筒又は円柱の円筒面又は円柱面表面に貼り付けられたものであってもよいが、シームレスな(継ぎ目のない)ナノ構造を形成する観点からは、上述のように、金型ロール15には直接凹凸パターンが形成されることが好ましい。
[0057]また、アルミニウム管33の両端部以外にマスキング材料34によりマスキングして金型ロール15を作製することによって、金型ロール15の両端部に加えて、金型ロール15の両端部以外にも、例えば、図6に示すように、金型ロール15の中央部にもナノ構造を作製するための凹凸パターンがない領域を形成してもよい。これにより、両端部に加えて、両端部以外にナノ構造非形成領域23が形成されたナノ構造フイルムを作製することができる。このように、ナノ構造フイルム20は、例えば、図6に示すように、長尺方向に沿う両端部と幅方向における中央部とにナノ構造非形成領域23が形成されていてもよい。これにより、ナノ構造フイルム20とラミネーションフイルム19との密着性を更に改善することができる。また、取れ効率を落とさず小さな面積の光学素子を効率的に複数作製することができる。すなわち、比較的小型の光学素子を、取れ効率を落とすことなく効率よく生産することができる。なお、ナノ構造フイルム20の中央部に設けられるナノ構造非形成領域23の数は特に限定されず、ナノ構造フイルム20や金型ロール15、必要とされる光学素子のサイズに応じて適宜設定すればよい。」

(4)図1


(5)図2



(6)図4


(7)図6




第4 対比・判断
1 本件発明1
(1)対比
本件発明1と引用発明とを対比する。

ア 微細凹凸構造体
引用発明の「反射防止性透明導電フィルム」は、「透明基材の少なくとも一方の面に、微小突起が密接して配置された微小突起構造体」「を」「有し、前記微小突起は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、当該微小突起の隣接突起間隔dの最大値をdmaxとしたときに、dmax≦Λminなる関係を有し、且つ、前記微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有」する。
上記構成からみて、引用発明の「反射防止性透明導電フィルム」は、本件発明1の「微細凹凸構造体」に相当する。また、引用発明の「反射防止性透明導電フィルム」は、本件発明1の「微細凹凸構造体」の「微細凹凸構造を、少なくとも1つの表面に有する」との要件を満たす。
ここで、引用発明の「反射防止性透明導電フィルム」が、画像表示装置用であることは明らかである(当合議体注:このことは、引用文献1の請求項7、【0001】の記載からも確認できる。)。そうしてみると、引用発明の「反射防止性透明導電フィルム」は、本件発明1の「微細凹凸構造体」の「画像表示装置用」との要件を満たす。

イ 凸部、凹部、微細凹凸構造
上記アの構成からみて、引用発明の「微小突起」は、本件発明1の「凸部」に相当する。また、引用発明の「微小突起」は複数であるといえ、複数の「微小突起」間には凹部が形成される(当合議体注:このことは、引用文献1の図1、2からも確認できる。)。
ここで、引用発明の「反射防止性透明導電フィルム」は画像表示装置用であることから、引用発明の「Λmin」は、400nmよりも小さいものであるといえる(当合議体注:このことは、引用文献1の【0037】の記載からも確認できる。)。そして、反射防止の機能を有するためには、引用発明において、微小突起の平均高さ及び複数の微小突起間の平均間隔を反射防止を図る光の波長帯域の最短波長Λminよりも小さくすることは、技術常識である(当合議体注:このことは、引用文献1の【0044】、【0045】の記載からも確認できる。)。
そうしてみると、引用発明の「反射防止性透明導電フィルム」は、本件発明1の「微細凹凸構造体」の「平均高さが400nm以下であり、隣接する凸部間の平均間隔が400nm以下である複数の凸部と、前記複数の凸部間に形成される凹部とからなる微細凹凸構造」「を有する」との要件を満たす。

ウ 堰部
引用発明の「反射防止性透明導電フィルム」は、「透明基材の少なくとも一方の面に、微小突起が密接して配置された微小突起構造体と、導電性金属酸化物、導電性有機高分子、導電性金属ナノ粒子及び導電性金属ナノワイヤよりなる群から選択される少なくとも一種を含有する透明導電層とをこの順で有し」、「前記透明導電層が、パターニングされてなり、透明導電層形成領域と透明導電層非形成領域を有する」。
上記構成からみて、引用発明の「反射防止性透明導電フィルム」は、その表面に、「微小突起」よりも高さが高く、「反射防止性透明導電フィルム」の表面を複数の「透明導電層非形成領域」に分割する「透明導電層」を有するといえる。また、引用発明の「反射防止性透明導電フィルム」の「透明導電層」は、濡れ広がろうとする液状の物質の侵入を遮る堰部の機能を有するといえる。
そうしてみると、引用発明の「透明導電層」は、本件発明1の「堰部」に相当する。また、引用発明の「反射防止性フィルム」は、本件発明1の「微細凹凸構造体」の「前記表面に、前記凸部よりも高さが高く、前記表面を複数の領域に分割する堰部をさらに有し」との要件を満たす。

(2)一致点及び相違点
以上より、本件発明1と引用発明とは、
「 平均高さが400nm以下であり、隣接する凸部間の平均間隔が400nm以下である複数の凸部と、前記複数の凸部間に形成される凹部とからなる微細凹凸構造を、少なくとも1つの表面に有する、画像表示装置用の微細凹凸構造体であって、
前記表面に、前記凸部よりも高さが高く、前記表面を複数の領域に分割する堰部をさらに有する、微細凹凸構造体。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
本件発明1は、「前記堰部によって分割される領域の一方が、汚染許容領域であり、前記汚染許容領域の境界である前記堰部が、前記画像表示装置の画像表示部の周縁の遮光部によって覆われる」のに対して、引用発明は、そもそも汚染許容領域を有さず、そのように特定されていない点。

(3)判断
上記相違点1について検討する。
引用文献1の【0073】には、「本発明に係る反射防止性透明導電フィルムにおいては、前記透明導電層が、パターニングされてなり、透明導電層形成領域と透明導電層非形成領域を有する態様が、透明導電層が例えば座標認識用の配線として機能する点から好適に用いられる。」と記載されていて、引用発明の「透明導電層」は、座標認識用の配線として機能するものであって、液状の物質が漏れ広がりにくくするためのものではない。また、引用文献1の他の記載においても、「透明導電層」によって分割される領域の一方が、汚染許容領域であり、「透明導電層」が、画像表示装置の画像表示部の周縁の遮光部によって覆われることは、記載も示唆もない。さらに、原査定の拒絶の理由に引用された特開2009-28994号公報(以下「引用文献2」という。)、国際公開第2013/191091号(以下「引用文献3」という。)、引用文献4のいずれの文献にも、上記相違点1に係る本件発明1の構成は記載されておらず、また、引用発明の「透明導電層」を、相違点1に係る本件発明1の構成のものとして活用する動機付けとなるような記載もない。
そうしてみると、たとえ当業者といえども、引用発明において、上記相違点1に係る本件発明1の構成には到らない。
そして、本件発明1は、相違点1に係る本件発明1を採用することにより、本件明細書の【0009】に記載されているような、引用発明の構成からは予測することができない効果を奏するものと理解される。
したがって、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)であっても、引用発明及び引用文献1?4に記載された事項に基づいて上記相違点1に係る本件発明1の構成とすることが、容易になし得たということはできない。

(4)引用文献2を主引例とした場合
引用文献2に記載され発明を主引例とした場合も、上記(1)?(3)で述べた理由と同じ理由により、本件発明1と引用文献2に記載された発明とは、少なくとも上記相違点1において相違し、また、当業者であっても、引用文献2に記載された発明及び引用文献1?4に記載された事項に基づいて上記相違点1に係る本件発明1の構成とすることが、容易になし得たということはできない。

(5)小括
以上のとおりであるから、本件発明1は、引用文献1又は引用文献2に記載された発明であるということができず、また、当業者であっても、引用文献1又は引用文献2に記載された発明及び引用文献1?4に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたということができない。

2 本件発明2?5について
本件発明2?5は、本件発明1の構成を全て具備するものであるから、本件発明2?5も、本件発明1と同じ理由により、引用文献1又は引用文献2に記載された発明であるということができず、また、当業者であっても、引用文献1又は引用文献2に記載された発明及び引用文献1?4に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたということができない。

3 本件発明6について
(1)引用文献4を主引例とした場合
引用文献4には、[0057]、図6に記載された、中央部にもナノ構造を作製するための凹凸パターンがない領域を形成した金型ロールを用いて製造された光学素子の発明が記載されている。
そこで、本件発明6と引用文献4に記載された発明(特に、図1、2、4、6と、これらの図について説明した発明の詳細な説明の記載から把握される光学素子の発明)とを対比すると、本件発明6と引用文献4に記載された発明は、
「 平均高さが400nm以下であり、隣接する凸部間の平均間隔が400nm以下である複数の凸部と、前記複数の凸部間に形成される凹部とからなる微細凹凸構造を、少なくとも1つの表面に有する、画像表示装置用の微細凹凸構造体であって、
前記表面に、前記表面を複数の領域に分割する溝部が形成されている、微細凹凸構造体。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点2)
「溝部」が、本件発明6は、「前記表面を複数の領域に分割する幅が0.1mm以上10mm以下」であるのに対して、引用文献4に記載された発明の「凹凸パターンがない領域」の幅は、明らかでない点。

(相違点3)
本件発明6は、「前記溝部によって分割される領域の一方が、汚染許容領域であり、前記汚染許容領域の境界である前記溝部が、前記画像表示装置の画像表示部の周縁の遮光部によって覆われる」のに対して、引用文献4に記載された発明は、そもそも汚染許容領域を有さず、そのように特定されていない点。

事案に鑑み、上記相違点3について検討すると、上記1で述べた理由と同じ理由により、当業者であっても、引用文献4に記載された発明及び引用文献1?4に記載された事項に基づいて上記相違点3に係る本件発明6の構成とすることが、容易になし得たということはできない。

(2)引用文献3を主引例とした場合
引用文献3に記載され発明を主引例とした場合も、上記(1)で述べた理由と同じ理由により、本件発明6と引用文献3に記載された発明は、少なくとも上記相違点3において相違し、また、当業者であっても、引用文献3に記載された発明及び引用文献1?4に記載された事項に基づいて上記相違点3に係る本件発明6の構成とすることが、容易になし得たということはできない。

(3)小括
以上のとおりであるから、本件発明6は、引用文献3又は引用文献4に記載された発明であるということができず、また、上記相違点2について検討するまでもなく、当業者であっても、引用文献3又は引用文献4に記載された発明及び引用文献1?4に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたということができない。

4 本件発明7?8について
本件発明7?8は、本件発明6の構成を全て具備するものであるから、本件発明7?8も、本件発明6と同じ理由により、引用文献3又は引用文献4に記載された発明であるということができず、また、当業者であっても、引用文献3又は引用文献4に記載された発明及び引用文献1?4に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたということができない。

5 本件発明9?12について
本件発明9?12は、本件発明1又は本件発明6の構成を全て具備するものであるから、本件発明9?12も、本件発明1又は本件発明6と同じ理由により、引用文献1?4に記載された発明であるということができず、また、引用文献1?4に記載された発明及び引用文献1?4に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたということができない。

6 まとめ
本件発明1?12は、引用文献1?4に記載された発明であるということができず、また、引用文献1?4に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたということができない。


第5 原査定の概要及び原査定についての判断
1 原査定の拒絶の概要
原査定の拒絶の理由は、概略、理由1(新規性)本件出願の請求項1?3、6?9に係る発明は、先の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、理由2(進歩性)本件出願の請求項1?13に係る発明は、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、先の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開2014-89308号公報
引用文献2:特開2009-28994号公報
引用文献3:国際公開第2013/191091号
引用文献4:国際公開第2009/110139号
(当合議体注:引用文献1?4は、いずれも主引例である。)

2 原査定についての判断
上記第4で述べたように、本件発明1?12は、引用文献1?4に記載された発明であるということができない。また、上記第4で述べたように、本件発明1?12は、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1?4に記載された発明に基づいて、容易に発明をすることができたということができない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。


第6 当合議体が通知した拒絶の理由について
令和3年4月1日に提出された手続補正書により補正されたので、当合議体が通知した拒絶の理由は解消された。


第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2021-06-10 
出願番号 特願2016-42781(P2016-42781)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G02B)
P 1 8・ 113- WY (G02B)
P 1 8・ 121- WY (G02B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 植野 孝郎  
特許庁審判長 樋口 信宏
特許庁審判官 関根 洋之
井口 猶二
発明の名称 微細凹凸構造体および接合体  
代理人 伏見 俊介  
代理人 大浪 一徳  
代理人 田▲崎▼ 聡  
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