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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 B29C
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B29C
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B29C
管理番号 1374697
審判番号 不服2020-8050  
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-06-10 
確定日 2021-06-10 
事件の表示 特願2016- 26190「複合プリフォームの製造方法および複合容器の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 8月24日出願公開、特開2017-144585〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年2月15日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 1年 9月12日付け:拒絶理由通知
同年11月 7日 :意見書及び手続補正書の提出
令和 2年 3月25日付け:拒絶査定
同年 6月10日 :審判請求書及び手続補正書の提出

第2 補正の却下の決定
[結論]
令和2年6月10日にされた手続補正を却下する。

[理由]
1 令和2年6月10日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)の内容
本件補正は、特許請求の範囲の補正であって、本件補正の前後における特許請求の範囲の請求項1の記載は、それぞれ以下のとおりである。

(1)本件補正前
「【請求項1】
プラスチック材料製のプリフォームを準備する工程と、
チューブ状のプラスチック製部材を準備する工程と、
前記プリフォームを冷却する工程および/または前記プラスチック製部材を加熱する工程と、
前記プリフォームを、前記プリフォームの外面が、前記プラスチック製部材の内面に外接するように、前記プラスチック製部材へ嵌め込む工程と、を含んでなることを特徴とする、複合プリフォームの製造方法。」

(2)本件補正後(下線は当審において付与したものである。以下同様。)
「【請求項1】
プラスチック材料製のプリフォームを準備する工程と、
チューブ状のプラスチック製部材を準備する工程と、
前記プリフォームを冷却する工程および/または前記プラスチック製部材を加熱する工程と、
前記プリフォームを、前記プリフォームの外面が、前記プラスチック製部材の内面に外接するように、前記プラスチック製部材へ嵌め込む工程と、を含み、
前記チューブ状のプラスチック製部材は、
樹脂材料を加熱溶融し、チューブ状に押し出することによってチューブ状パリソンを形成し、
前記チューブ状パリソンを金型により挟み込み、
前記チューブ状パリソン内に空気を吹き込み、前記チューブ状パリソンを前記金型に合わせて成形することによって得られたものであることを特徴とする、複合プリフォームの製造方法。」

2 補正の目的
本件補正前の請求項1に係る発明は、「プリフォームを冷却する工程および/またはプラスチック製部材を加熱する工程」を特定することで、「プラスチック製部材へのプリフォームの嵌め込みをスムーズに行うことができ、生産効率の高い複合プリフォームの製造方法を提供する」(【0008】)という課題(以下、「本件補正前の課題」という。)を解決するものである。
他方、本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「チューブ状のプラスチック製部材」について、「樹脂材料を加熱溶融し、チューブ状に押し出することによってチューブ状パリソンを形成し、前記チューブ状パリソンを金型により挟み込み、前記チューブ状パリソン内に空気を吹き込み、前記チューブ状パリソンを前記金型に合わせて成形することによって得られたものである」という構成を付加するものであるところ、付加された構成に関して、本願明細書には、「プラスチック製部材」を「樹脂材料を加熱溶融し、チューブ状に押し出することによってチューブ状パリソンを形成し、前記チューブ状パリソンを金型により挟み込み、前記チューブ状パリソン内に空気を吹き込み、前記チューブ状パリソンを前記金型に合わせて成形することによって得られたもの」とすることで、「金型の設計を変更することにより、得られるプラスチック製部材の設計を変更することができ、プリフォームとの密着性の高いプラスチック製部材を作製することができる」旨の記載(【0050】)がある。
そうすると、本件補正後の請求項1に係る発明は、「プラスチック製部材」について「樹脂材料を加熱溶融し、チューブ状に押し出することによってチューブ状パリソンを形成し、前記チューブ状パリソンを金型により挟み込み、前記チューブ状パリソン内に空気を吹き込み、前記チューブ状パリソンを前記金型に合わせて成形することによって得られたもの」と特定することで、「金型の設計を変更することにより、得られるプラスチック製部材の設計を変更することができ、プリフォームとの密着性の高いプラスチック製部材を作製することができる」という、本件補正前にはない新たな課題も解決するものであるから、本件補正の前後で、請求項1に係る発明の解決しようとする課題は同一であるということはできない。
よって、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮(いわゆる限定的減縮)を目的とするものではない。
また、同項各号掲記の他の事項を目的とするものであるということもできない。

3 独立特許要件違反の有無について
上記2で述べたことを理由として本件補正は却下すべきものであると判断されるが、仮に請求項1についての補正が限定的減縮を目的とするものであるといえるとしたときには、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)についての検討がなされるべきところ、以下述べるように、本件補正は当該要件に違反するといわざるを得ない。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(2)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1
(ア)原査定の拒絶の理由で引用され、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である特開2015-128857号公報(平成27年7月16日出願公開。以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
「【請求項1】
複合容器を成形するためのブロー成形方法において、
プラスチック材料製のプリフォームを準備する工程と、
プリフォームの外側を取り囲むようにプラスチック製部材を設けることにより、プリフォームと、プリフォームの外側に密着されたプラスチック製部材とを有する複合プリフォームを作製する工程と、
複合プリフォームを加熱するとともにブロー成形金型内に挿入する工程と、
ブロー成形金型内で複合プリフォームに対してブロー成形を施すことにより、複合プリフォームのプリフォームおよびプラスチック製部材を一体として膨張させる工程とを備えたことを特徴とするブロー成形方法。」
「【請求項8】
複合プリフォームにおいて、
プラスチック材料製のプリフォームと、
プリフォームの外側を取り囲むように設けられたプラスチック製部材とを備え、
プラスチック製部材は、プリフォームの外側に密着されていることを特徴とする複合プリフォーム。」
「【0001】
本発明は、ブロー成形方法、複合プリフォーム、複合容器およびプラスチック製部材に関する。」
「【0006】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、容器に対して様々な機能や特性を付与することが可能な、ブロー成形方法、複合プリフォーム、複合容器およびプラスチック製部材を提供することを目的とする。」
「【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、ブロー成形金型内で複合プリフォームに対してブロー成形を施すことにより、複合プリフォームのプリフォームおよびプラスチック製部材を一体として膨張させる。このためプリフォーム(容器本体)とプラスチック製部材とを別部材から構成することができ、プラスチック製部材の種類や形状を適宜選択することにより、複合容器に様々な機能や特性を付与することができる。」
「【0033】
図1および図2に示す複合容器10Aは、後述するように、ブロー成形金型50を用いてプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを含む複合プリフォーム70(図3参照)に対して2軸延伸ブロー成形を施すことにより、複合プリフォーム70のプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを一体として膨張させて得られたものである。
【0034】
このような複合容器10Aは、内側に位置するプラスチック材料製の容器本体10と、容器本体10の外側に密着して設けられたプラスチック製部材40とを備えている。」
「【0054】
図3に示すように、複合プリフォーム70は、プラスチック材料製のプリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に設けられた有底円筒状のプラスチック製部材40aとを備えている。」
「【0068】
図3および図4(a)に示すように、プラスチック製部材40aは、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部41と、胴部41に連結された底部42とを有していても良い。この場合、プラスチック製部材40aの底部42がプリフォーム10aの底部30aを覆うので、複合容器10Aの胴部20に加え、底部30に対しても様々な機能や特性を付与することができる。」
「【0071】
次に図5(a)?(f)により、本実施の形態によるブロー成形方法(複合容器10Aの製造方法)について説明する。
【0072】
まず、プラスチック材料製のプリフォーム10aを準備する(図5(a)参照)。この場合、例えば図示しない射出成形機を用いて、射出成形法によりプリフォーム10aを作製しても良い。
【0073】
次に、プリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40aを設けることにより、プリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に密着されたプラスチック製部材40aとを有する複合プリフォーム70を作製する(図5(b)参照)。この場合、プラスチック製部材40aは、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部41と、胴部41に連結された底部42とを有している。このプラスチック製部材40aは、胴部20aのうち容器本体10の首部13に対応する部分を除く全域と、底部30aの全域とを覆うように装着される。
【0074】
この場合、プリフォーム10aの外径と同一又はわずかに小さい内径をもつプラスチック製部材40aを、プリフォーム10aに対して押し込むことにより、プリフォーム10aの外面に密着させても良い。あるいは、熱収縮性をもつプラスチック製部材40aをプリフォーム10aの外面に設け、このプラスチック製部材40aを50℃乃至100℃に加熱することにより熱収縮させてプリフォーム10aの外面に密着させても良い。
【0075】
このように、予めプリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40aを密着させ、複合プリフォーム70を作製しておくことにより、複合プリフォーム70を作製する一連の工程(図5(a)?(b))と、複合容器10Aをブロー成形により作製する一連の工程(図5(c)?(f))とを別々の場所(工場等)で実施することが可能になる。」
「【図3】


「【図4】


「【図5】



(イ)引用発明
引用文献1の記載事項、特に発明の実施の形態に関する記載事項を中心に整理すると、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「プラスチック材料製のプリフォーム10aを準備する工程と、
有底円筒形状でありプリフォーム10aの外径と同一又はわずかに小さい内径をもつプラスチック製部材40aを準備する工程と、
前記プラスチック製部材40aを、前記プリフォーム10aの外面に密着するように、前記プリフォーム10aに対して押し込む工程と、を含む、
複合プリフォーム70の製造方法。」

イ 引用文献2
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である特開2002-248697号公報(平成14年9月3日出願公開。以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
「【請求項1】 複合コアを形成する方法であって、
繊維ガラス樹脂複合材から成り、かつ、内面及び外面を有すると共に、内径、外径及び厚さを規定する標準サイズ中空円筒形状管を設ける工程と、
研磨外面及び内面を備える押出ポリプロピレン又は他のポリマーから成り、内径、外径及び厚さを規定する硬質スリーブを設ける工程とを含み、
硬質スリーブの内径は、室温で、該管の外径より小さくかつ該管の内径より大きく、
硬質スリーブを加熱する工程であって、スリーブの内径が該管の外径より大きい寸法まで拡大される工程と、
円筒管上に硬質スリーブをスライドさせる工程と、
硬質スリーブを冷却する工程であって、スリーブの内径がその元の直径に向かって縮小し、かつ締り嵌めにて該管の外面と接触する工程とを含む複合コア形成方法。」
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ウエブ材の巻き付けのための複合コアに関する。特に、本発明は、円筒管をカバーするためのスリーブに向けられる。
【0002】
【従来の技術】紙製品等のようなウエブ材は、一般に、回転コア部材上に機械的に巻かれる。巻き付けプロセスの性能を改善するため、カバーが巻き付けウエブコアに一般に適用される。カバーの使用は、巻き付け中のウエブに対する損傷の発生を減らし、それ故、形が損なわれたウエブを捨てる必要性を低減させる。該カバーは、ウエブにおけるでこぼこ(むら)を吸収するため、外面において変形する。
【0003】カバーを伴うコアの使用の発展は、コア部材にプラスチックカバーを適用するいくつかの方法をもたらした。コア又は管部材のいずれかへの熱又は圧縮空気の適用は、それらの直径を変え、該二つの部材の重ね結合を容易にする。
【0004】例えば、米国特許第2,659、547号(Broadbent et al.)は、スリーブでカバーされた円筒バレルを示し、そこで、該スリーブは加熱され、バレル上にスライドできるよう十分にその直径が拡大される。スリーブは、冷えると収縮し、それとバレル間に緊密な嵌合を形成する。」
「【0010】複合コアを組み立てるため、スリーブは加熱されて、管上にスライドされ得るようにその内面の直径を拡大する。その後、スリーブは、室温まで冷えることが許容され、これは、その内面の直径を収縮させ、該管の外面と係合し、緊密嵌合をもたらす。その代わりに、該管の外面の直径は、冷却、乾燥又は他の技術によって縮小され得る。」
「【0011】
【発明の実施の形態】同じ番号が同じ構成要素を示す図において、本発明に従う複合コアが示される。図1に示されるように、本発明に従う複合コア10は、ウエブ材16の巻き付けのための円筒管12及び硬質(剛性)スリーブ14を含む。管12及びスリーブ14は、重なり同心関係で互いに関連する。該重なり関係は、より詳しく後述されるように、管12及びスリーブ14間の締り嵌め、熱嵌め又は接着結合によって形成される。
【0012】図2に示されるように、円筒管12は中空であり、ウエブ材の巻き付けのための複合コアのベースを形成する。管12は、内径22及び外径24をそれぞれ規定する内面18及び外面20を有する。管12は、回転手段に取り付けられ、複合コアの周囲にウエブ材を巻くための起動力(付勢)を提供し得る。
【0013】管12の硬さは、該管12を形成する材料の硬さ及び管板の厚さによって与えられる。好ましくは、該管は、Shore D硬さ90の繊維ガラス樹脂複合材、ShoreD硬さ88の紙樹脂複合材、及びShore D硬さ62の紙のいずれか一から形成される。
【0014】繊維ガラス管は、高強度管を形成するのに使用される。管12の厚さ、外径24及び内径22間の差異は、締り嵌めでスリーブ14が管12上に配置される際に管12がその形状を維持することを保証するのに十分なものである。
【0015】スリーブ14は中空で、管12のためのカバーを形成し、また、巻付けウエブ材16のための表面を提供する。スリーブ14は、内径30及び外径32をそれぞれ規定する内面26及び外面28を有する。外面28は、その上にウエブ材が巻かれるように適合される。スリーブ14は、管12の外径24より小さい内径30を有する。スリーブ14は管12上にスライドされ、スリーブ内面26が管外面20に接する。
【0016】スリーブ14は硬質材料から成り、該硬さは、スリーブ14を形成する材料の特性及び管板の厚さによって実現される。好ましくは、硬質スリーブ14は、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナイロンABS又はそれらの組み合わせのような押出管材料から形成される。スリーブ14は、巻付けプロセス中のスリーブ14におけるでこぼこ及びスリーブ14のつぶれを防ぐのに十分な厚さである。」
「【0022】図2に示されるように、室温で管12の外径24は、スリーブ14の内径30より大きいが、スリーブ14の外径32より小さい。管12上へのスリーブ14の配置は、熱嵌めによって成し遂げられる。
【0023】熱は、オーブン等のような熱源の使用を通してスリーブ14に適用される。熱が適用されると、スリーブ14の内径30の熱膨張が起こり、管12の外径24より大きい長さまで内径を拡大する。図3参照。例えば、室温で6インチ繊維ガラス樹脂複合管の外径24は、上述したように、6.475インチであるのに対し、ポリプロピレン及びポリスチレンスリーブ14の内径30は6.400インチである。スリーブ14が華氏275?300度まで加熱されると、スリーブ14の内径30は、ほぼ6.500インチまで拡大する。一旦、スリーブ内径30が拡大して管12の外径より大きくなると、図4に示されるように、スリーブ14は、管12上にスライドされる。
【0024】押出し法によって形成されたポリプロピレン及びポリスチレンスリーブ14の特性は、スリーブ14がその元の直径を記憶することを可能にする。スリーブ14が室温まで冷えると、スリーブ14の内径30は縮小して管12と合致係合する。その結果として生じる管12及びスリーブ14間の干渉は、非常に緊密な嵌合をもたらす。図5に示されるように、スリーブ14の内面26は縮小して管12の外面20と締り嵌めし、複合コアを形成する。
【0025】その代わりに、スリーブを紙管に適用するプロセスは、スリーブ14をその上にスライドする前に、水分含有量を減らすため、紙管を乾燥することを含み得る。必要ならば、繊維ガラスから成る管12の外径24は、冷却によって縮小され得る。」
「【図2】


「【図3】


「【図4】


「【図5】



ウ 引用文献3
本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である特開昭57-12619号公報(昭和57年1月22日出願公開。以下、「引用文献3」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
「第1図は多層ダイヘット(3)より多層のパリソン(1)が押出され、成形機のプラテンにはプリフォームボトル金型(2)が取りつけである。プリフォームボトル金型は、パリソンが押出されているダイヘッド(3)の下まで移動する。
第2図のように、この位置でプリフォームボトル金型(2)は閉じ、パリソン(1)をつかむ。この時パリソン(1)は、パリソンコントロールにて最も延伸されやすい位置を肉厚に、延伸されにくい位置を肉薄に肉厚コントロールされている。第3図にて上部をヒートカッターにてカッテングされたパリソンは、吹込マンドレルの取り付けてあるキャリブレーションの下の位置に移動し、第4図のように吹込マンドレル(4)を打ち込みエアーを吸込み有底パリソン(5)を成形する。この時ボトルのネジ径も同時に形成されるが、この有底パリソン(5)の形状は、最終ボトルこの形状に関連し最も次の延伸工程が容易に行なえる形状にするのが好ましい。
次に第5図のようにプリフォームボトル金型(2)はひらき、この時底部のバリをデフラッシングすると同時にボトルはマンドレル(4)に固定された状態で上昇する。」(第4ページ左上欄第5行ないし右上欄第6行)


」(第5ページ下欄)

エ 引用文献4
本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である特開2001-170994号公報(平成13年6月26日出願公開。以下、「引用文献4」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、合成樹脂製壜体に2軸延伸ブロー成形される、予め有底円筒形状に成形された一次成形品としてのプリフォームの内、ブロー成形手段により成形されたプリフォームの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂製2軸延伸ブロー成形壜体成形用の一次成形品であるプリフォームとして、射出成形手段またはブロー成形手段により有底筒状に成形されたものが知られているが、ブロー成形プリフォームは、射出成形プリフォームと比較して、金型を安価に得ることができ、成形可能な形状の自由度が高く、さらに積層構造の採用が簡単である。
【0003】それゆえ、ブロー成形プリフォームは、射出成形プリフォームに比べて、設備経費が安価となる分、製品の価格の低減化が容易となり、形状の自由度が高いことにより、壜体の外観形状に適正に適合する形状に成形することができ、さらに積層構造の採用が容易であることから、所望する物性の低下を有効に抑制した状態で、さらなる肉薄化が可能である、と云う作用を発揮できる。」
「【0016】請求項4記載の発明にあっては、ブロー金型によるパリソンの喰い切り時の押し潰しにより溶着成形されるピンチオフ部の内側(球弧底部の内周面側)に、溶着不良により溝状の“ヒケ”が形成されても、この“ヒケ”による溶着面積の減少を補強リブ条で充分に補うので、プリフォームから壜体への2軸延伸ブロー成形時に、ピンチオフ部が破けることがなく、プリフォームから壜体への安定した2軸延伸ブロー成形動作を得ることができる。」
「【0018】図2は、押し出し成形された円筒状パリソンPから有底円筒状にブロー成形された本発明の第1の発明によるプリフォーム1’の実施例を示す、一部破断した全体正面図で、外周面に螺条をまた外周面下端にネックリング3を設けた短円筒状の口筒部2の下端から、下方に拡径したテーパー筒状の拡径筒部4’(壜体1の肩部4に成形される部分)を垂下連設すると共に、この拡径筒部4’の下端から円筒状の胴筒部5’(壜体1の胴部5に成形される部分)を介して、略球殻状の球弧底部7’(壜体1の底部7に成形される部分)を連設し、さらにネックリング3に対向する内周面部分に、下位が拡径する拡径段部3’を形成した構成となっている。
【0019】このように、口筒部2と壜体1の肩部4に成形される拡径筒部4’との境界部分であるネックリング3に対向した内周面部分に、下位が拡径する拡径段部3’が成形されるので、パリソンPのプリフォーム1’へのブロー成形に先立って、(以下、図5参照)エアブローノズルを有するコアガイド11をパリソンPの上端部内に押し込んで口筒部2を成形した際に、押し込まれたコアガイド11により口筒部2の内周面下端部に肉溜まりが形成されようとするが、この肉溜まりとなろうとする部分がブロー成形される拡径段部3’に吸収されてしまい、この口筒部2内周面下端部分に肉溜まりが成形されることはない。」
「【符号の説明】
1 ; 壜体
1’; プリフォーム
…(中略)…
10; ブロー金型
…(中略)…
P ; パリソン」
「【図2】


「【図5】



オ 引用文献5
本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である特開2003-71910号公報(平成15年3月12日出願公開。以下、「引用文献5」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、合成樹脂製壜体に2軸延伸ブロー成形される、予め有底円筒形状に成形された一次成形品としてのプリフォームの内、ブロー成形手段により成形されたプリフォームの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂製2軸延伸ブロー成形壜体成形用の一次成形品であるプリフォームとして、射出成形手段またはブロー成形手段により有底筒状に成形されたものが知られているが、ブロー成形プリフォームは、射出成形プリフォームと比較して、金型を安価に得ることができ、成形可能な形状の自由度が高く、さらに積層構造の採用が簡単である。
【0003】それゆえ、ブロー成形プリフォームは、射出成形プリフォームに比べて、設備経費が安価となる分、製品の価格の低減化が容易となり、形状の自由度が高いことにより、壜体の外観形状に適正に適合する形状に成形することができ、さらに積層構造の採用が容易であることから、所望する物性の低下を有効に抑制した状態で、さらなる肉薄化が可能である、と云う作用を発揮できる。」
「【0076】図8?図11は本発明のプリフォームの積層構造の第8の例を示したものであり、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂材料で、必要とする自己形状保持能力を持たせた外殻体として成形される外側層1aと、ナイロン、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリエチレンテレフタレート等の外側層1aに対して相溶性の低い合成樹脂材料で、撓み変形が自在な袋状に成形される内側層1c、外側層1aおよび内側層1cに対して充分な接着性を発揮する接着性樹脂で形成される縦帯状接着層13、底部接着層14とから積層構造を構成したプリフォームである。
…(中略)…
【0080】このような、縦帯状接着層13、底部接着層14を有したプリフォーム1’は次のような工程で得ることができる。(図11参照)すなわち、円筒状の外側層1aと、外側層1aの内側に位置する円筒状の内側層1cと、外側層1aと内側層1cとの間に、パーティングライン23上に一対の縦帯状接着層13と、同じく外側層1aと内側層1cとの間に間欠的に円環状の環状接着層16を、多層成形用のダイス22から共押出しして、多層のパリソンPを形成する。
【0081】連続して共押出し成形されている外側層1aと内側層1cと一対の縦帯状接着層13に対して、環状接着層16は、環状接着層16用の樹脂供給部に付設したアキュムレータの加圧および除圧の制御により、連続することなく一部に共押出し成形される。
【0082】このように、形成された多層のパリソンPの環状接着層16が形成された部分を、ブロー割り金型10の金型ピンチオフ部21で、ピンチオフして、ブロー成形することにより、この環状接着層16が本発明のプリフォーム1’の積層構造の第8の例の説明において記述した、底部接着層14を形成することとなる。」
「【図8】


「【図11】



(3)対比
ア 本件補正発明と引用発明を対比する。
引用発明における「プラスチック製部材40a」は、「有底円筒形状」であるから、本件補正発明における「チューブ状のプラスチック製部材」に相当する。
引用発明における「プラスチック製部材40aを、プリフォーム10aの外面に密着するように、前記プリフォーム10aに対して押し込む工程」は、「プラスチック製部材40a」と「プリフォーム10a」の構造からみれば、「プリフォーム10a」の外面が、「プラスチック製部材40a」の内面に外接するように、「プラスチック製部材40a」へ嵌め込まれているものといえるから、本件補正発明における「プリフォームを、前記プリフォームの外面が、プラスチック製部材の内面に外接するように、前記プラスチック製部材へ嵌め込む工程」に相当する。

イ してみると、本件補正発明と引用発明との一致点は次のとおりである。
<一致点>
「プラスチック材料製のプリフォームを準備する工程と、
チューブ状のプラスチック製部材を準備する工程と、
前記プリフォームを、前記プリフォームの外面が、前記プラスチック製部材の内面に外接するように、前記プラスチック製部材へ嵌め込む工程と、を含む、
複合プリフォームの製造方法。」

ウ そして、以下の点で相違する。
<相違点1>
チューブ状のプラスチック材料製のプリフォームを準備する工程とプリフォームをプラスチック製部材へ嵌め込む工程との間に、本件補正発明は、「プリフォームを冷却する工程および/またはプラスチック製部材を加熱する工程」を含むと特定されるのに対し、引用発明においては、その工程を含むことが特定されていない点。

<相違点2>
チューブ状のプラスチック製部材に関して、本件補正発明は、「樹脂材料を加熱溶融し、チューブ状に押し出することによってチューブ状パリソンを形成し、前記チューブ状パリソンを金型により挟み込み、前記チューブ状パリソン内に空気を吹き込み、前記チューブ状パリソンを前記金型に合わせて成形することによって得られたものである」と特定されるのに対し、引用発明においては、どのように得られたものであるのか特定されていない点。

(4)判断
ア 相違点1について
引用発明は、「プラスチック製部材40a」を、その内側の「プリフォーム10a」に対して押し込むものであるところ、「プラスチック製部材40a」は、「プリフォーム10aの外径と同一又はわずかに小さい内径をもつ」ものであるから、「プラスチック製部材40a」と「プリフォーム10a」の径の関係からみれば、引用発明の押し込む工程は押し込みがし難いものであること、そして、押し込みがし難い工程をスムーズにすることで生産効率を高めようとすることは、当業者にとって自明の課題であるといえる。
ところで、略円筒の部材に、当該部材の外径と同一又はわずかに小さい内径を有する筒状の部材を嵌合させるにあたって、筒状の部材を加熱膨張させるか又は略円筒の部材を冷却収縮させることで筒状の部材と略円筒の部材とをスムーズに嵌合させる技術は、例えば引用文献2等にみられるように、技術分野を問わず広く知られている周知慣用技術(以下、「周知慣用技術1」という、)である。
そうすると、引用発明において、上記の自明の課題を解決しようとするにあたり、上記周知慣用技術1を適用することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

イ 相違点2について
樹脂製で底部を有する筒状部材の製造方法として、樹脂材料を加熱溶融し、チューブ状に押し出することによってチューブ状パリソンを形成し、前記チューブ状パリソンを金型により挟み込み、前記チューブ状パリソン内に空気を吹き込み、前記チューブ状パリソンを前記金型に合わせて成形する、いわゆるダイレクトブロー成形を用いることは、例えば引用文献3ないし5等にみられるように周知慣用技術(以下、「周知慣用技術2」という。)である。
そして、引用発明の「プラスチック製部材40a」は「有底円筒形状」であることからすると、引用発明の「プラスチック製部材40a」の製造方法として、上記周知慣用技術2を適用することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

ウ 効果について
本件補正発明が奏するとされる、プリフォームのプラスチック製部材への嵌め込みが容易となる旨の効果(本願明細書の【0021】等を参照。)については、上記周知慣用技術1からみれば、当業者が当然予測できるものであって格別顕著であるとはいえない。
また、金型の設計を変更することでプラスチック製部材の設計を変更することができ、プリフォームとの密着性の高いプラスチック製部材を作製することができる旨の効果(本願明細書の【0050】を参照。)についても、上記周知慣用技術2のダイレクトブロー成形を用いた製造方法が金型を用いていることからすれば、当業者が当然予測できるものであって格別顕著であるとはいえない。

エ 請求人の主張について
請求人は意見書において、引用文献2において開示される発明は紙などが巻き付けられる芯材に関するものであり、本願発明の属する技術分野とは大きく相違するため、引用発明に引用文献2に記載された技術的事項を適用できない旨主張している。
しかしながら、引用文献2は、技術分野を問わず広く知られている周知慣用技術を例示したものに過ぎず、また、引用発明における自明の課題に照らせば、引用発明と引用文献2等から認定し得る上記周知慣用技術1との間に、何ら関連性がないとはいえない。また、引用発明に上記周知慣用技術1の適用を阻害する特段の理由もみあたらない。

また、請求人は審判請求書において、チューブ状のプラスチック製部材が、樹脂材料を加熱溶融し、チューブ状に押し出することによってチューブ状パリソンを形成し、チューブ状パリソンを金型により挟み込み、チューブ状パリソン内に空気を吹き込み、チューブ状パリソンを金型に合わせて成形することによって得られたものである点はいずれの文献にも記載がない旨主張している。
しかしながら、本件補正発明のチューブ状のプラスチック製部材のような樹脂製で底部を有する筒状部材の製造方法として、ダイレクトブロー成形を用いることは、上述したように周知慣用技術(周知慣用技術2)である。そして、プリフォームが嵌め込まれるチューブ状のプラスチック製部材そのものについて本件補正発明と同様の製造方法を記載した文献がないからといって、上記相違点2が想到容易ではないことにならないことは、上記イで検討のとおりである。

したがって、請求人の前記各主張は採用できない。

オ 小括
よって、本件補正発明は、引用発明、上記周知慣用技術1及び上記周知慣用技術2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)独立特許要件のまとめ
以上のとおり、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。

4 補正の却下の決定のむすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項各号掲記のいずれかの事項を目的とするものであるということができず、また、同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定にも違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
令和2年6月10日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし4に係る発明は、令和1年11月7日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(1)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1を主引用例としたとき、この主引用例に記載された発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び引用文献2の記載事項は、前記第2[理由]3(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記第2[理由]3で検討した本件補正発明との対比において、「チューブ状のプラスチック製部材は、樹脂材料を加熱溶融し、チューブ状に押し出することによってチューブ状パリソンを形成し、前記チューブ状パリソンを金型により挟み込み、前記チューブ状パリソン内に空気を吹き込み、前記チューブ状パリソンを前記金型に合わせて成形することによって得られたものである」という事項を特定しないものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、上記事項を付加したものに相当する本件補正発明は、前記第2[理由]3で検討したとおり、引用発明から容易に想到し得たものであるから、本願発明も同様に当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2021-04-09 
結審通知日 2021-04-13 
審決日 2021-04-26 
出願番号 特願2016-26190(P2016-26190)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B29C)
P 1 8・ 575- Z (B29C)
P 1 8・ 572- Z (B29C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 一宮 里枝神田 和輝小山 祐樹  
特許庁審判長 須藤 康洋
特許庁審判官 細井 龍史
岩田 健一
発明の名称 複合プリフォームの製造方法および複合容器の製造方法  
代理人 朝倉 悟  
代理人 堀田 幸裕  
代理人 村田 卓久  
代理人 中村 行孝  
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