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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65D
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65D
管理番号 1374786
審判番号 不服2019-13217  
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-10-03 
確定日 2021-06-09 
事件の表示 特願2016-568798「塗り広げることが可能な壁補修用化合物のための多目的ディスペンサ」拒絶査定不服審判事件〔平成27年8月13日国際公開、WO2015/119853、平成29年2月23日国内公表、特表2017-505742〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1. 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)1月30日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年(平成26年)2月10日 アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年1月24日 :手続補正書の提出
平成30年9月18日付け :拒絶理由通知書
平成31年3月22日 :意見書及び手続補正書の提出
令和元年5月30日付け :拒絶査定
令和元年10月3日 :本件審判請求、同時に手続補正書の提出
令和2年4月3日付け :拒絶理由通知
令和2年7月2日 :意見書及び手続補正書の提出(以下、この手続補正書による手続補正を「本件補正」という。)

第2. 本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1?5に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?5のぞれぞれにおいて記載されたとおりのものであるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。

「【請求項1】
パテ状の稠度を有する流動性の壁補修材料を分配するための容器であって、
前記流動性の壁補修材料を分配するための開口部を含むネック部分及び長手方向軸を有する本体部材と、
前記ネック部分に隣接する、前記流動性の壁補修材料を分配するために圧潰可能な中央部分と、
前記流動性の壁補修材料が前記容器から分配された後に前記流動性の壁補修材料を平らにするためのブレードとしての役割を果たし、少なくとも約8ミリメートルの長さで前記本体部分の前記長手方向軸に平行に延在し、約60ミリメートル以下の長さを有する、前記中央部分に隣接する圧潰不可能なテール部分と、
キャップ部材に隣接する研磨アセンブリと、を含み、
前記ネック部分は、前記キャップ部材に連結され、前記テール部分の反対側にあり、
前記中央部分から前記テール部分への移行部分が、前記テール部分の剛性を調整するための形状を有する、容器。」

第3. 拒絶の理由
当審が通知した、令和2年4月3日付け拒絶理由のうちの【理由2】は、次のとおりのものである。
本件出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引 用 文 献 等 一 覧>
1.国際公開第96/40445号
2.国際公開第2005/039991号

第4. 引用文献の記載及び引用発明
1. 引用文献1
(1) 引用文献1の記載
引用文献1には、以下の事項が記載されている。なお、日本語訳は当審が付した仮訳である。

ア. 「The present invention concerns an article for applying and spreading viscous material, and in particular concerns a recloseable tube and cap adapted with an integral spreader for spreading viscous material dispensed from the tube.」(1ページ4?6行)
(この発明は、粘性材料を塗布して拡散するための物品に関し、特に再び閉栓することのできるチューブとキャップ、そして、チューブから分配された粘性材料を広げるためのスプレッダー(spreader)が組み合わされたチューブに関するものである。)

イ. 「Typically, when spreading viscous materials like adhesives and spackling compounds, one must scoop the material from containers using a "putty knife" or other thin flat spreading tool. Inevitably, the ridge along the top edge of the container becomes partially filled with dried compound, thereby preventing an airtight seal when the lid is replaced. Also, the compound near the top of the container partially dries and clots, and thus develops an unworkable and/or unacceptable consistency. Aside from problems with the material itself, the putty knife may be misplaced or dirty, or may have the wrong stiffness/flexibility for spreading the particular viscous material being used. Still further, scooping material from a container with a putty knife requires two hands, one for the putty knife and one for the container, making it difficult for the repair person to do other tasks, such as to hold onto a ladder for balance during the application process or to wipe up misapplied material. 」(1ページ7?18行)
(典型的には、接着剤、補修用漆喰(spackling)化合物等の粘性材料を広げる場合には、「パテナイフ」または他の薄い平坦な広げるための道具を用いて容器から材料をすくう必要がある。必然的に、容器の上縁部に沿って生じた隆起部(ridge)は、乾燥した化合物が部分的に充填され、そのために蓋の開閉時に気密シールが損なわれることとなり、よって、実行困難なおよび/または許容できない粘稠性(consistency)を発生する。この材料自体の問題を別にしても、パテナイフは、置き忘れる、あるいは、汚れるかもしれないし、特定の粘性材料を広げるには適さない剛性/可撓性を有しているかもしれない。さらに、パテナイフを使って、容器から材料をすくう(scooping)ためには、両手が必要である。片手はパテナイフのためで、他方の手は容器のためである。そうすると、修理作業員(repair person)が、材料を供給する間バランスをとるためにはしごを押さえるとか、間違って供給された材料を拭き取るとかといった、他の作業を行うことが難しくなる。)

ウ. 「Viscous materials can also be applied by using a tube to dispense the viscous material, and subsequently spreading the viscous material with an applicator tool. While this method is "neater" than the aforementioned procedure, it still requires two hands - one for squirting the material and one for spreading the material. Also, a clean applicator tool having the desired size, shape and preferred stiffness/flexibility must be obtained.」(1ページ19?23行)
(粘性材料を、チューブを用いて分配し、続いて、粘性材料を適当な道具を用いて広げることも可能である。しかし、それが先に述べた方法よりも、より適切であったとしても、なお、両手が必要である。すなわち、片方の手は材料を吹き出させ、他方の手は材料を広げるためである。また、望ましいサイズ、形状、そして好適な剛性/柔軟性を有する材料を取り除くための道具も必要である。)

エ. 「In one aspect, the present invention includes an article for dispensing and spreading viscous material having a blade configured to spread viscous material, and a tube-engaging member having an attachment flange for attaching to and supporting the blade. The tube-engaging member is configured to operably engage a tube filled with the viscous material and includes a supply tube extending to the blade for communicating the viscous material squeezed from the tube to the blade for spreading by the blade.」(1ページ33行?2ページ5行)
(この発明の一つの態様は、粘性材料を分配しそして広げるための構成を含み、粘性材料を広げるのに適した形状のブレードを有するものである。そして、チューブと連結できる(tube-engaging)、ブレードを取り付けかつ支持できる取り付けフランジ(attachment flange)を有する部材である。そのチューブと連結できる部材は、粘性材料が詰まったチューブと連結でき、チューブから絞り出された粘性材料をブレードによって広げることができるようになっている。)

オ. 「In another aspect, the present invention includes an article for dispensing and spreading viscous material including a one-piece tube having a body defining a chamber for holding a viscous material and a blade-defining end having a relatively wide and flat profile. The blade-defining end includes a supply tube extending from the body to the blade-defining end for supplying material from the chamber to a location proximate an edge of the blade-defining end.(2ページ6?11行)
(この発明の別の態様は、粘性材料を供給し、かつ、広げるための構成を有する発明であって、一体成形されたチューブであり、さらに、そのチューブは、粘性材料を保持するための容器(chamber)を有する胴体部をもち、そして、比較的幅広で平坦な形状のブレードの端部を有する。そのブレードの端部は、胴部からブレードの端部に向けて延びた供給チューブを含み、それは、材料を容器からブレードの端部の近傍の場所へ供給するためである。)

カ. 「Fig. 18 is a front view of a flexible tube embodying the present invention including a dispensing remote end modified to include an integral blade;
Figs. 19-21 are side, top and bottom views of the tube shown in Fig. 18;」(2ページ33行?3ページ2行)
(図18は、この発明の実施例である柔軟性チューブの正面図であって、離れた方の端部が、ブレードが一体化して含まれるように改造されたものである。
図19-21は、側面、平面、そし底面からみた図18のチューブの図である。)

キ. 「Tube 32B (Figs. 18-21) includes an enlarged flattened section 84B at the dispenser remote end 48B forming a blade 38B and a blade edge 44B. Enlarged flattened section 84B is formed by thermally sealing opposing sidewalls of tube 32B together. The enlarged flattened section 84B extends about an inch or so inwardly from the blade edge 44B on dispensing remote end 48B; however it is noted that section 84B can be substantially any size or shape desired. The inner marginal edge 86B of flattened section 84B is arcuately-shaped to define an area for comfortably receiving a person's thumb or fore fingers. Cap 34B is threadably retained on the dispensing end 36B of tube 32B. Cap 34B includes a pivotable tip 80B for closing dispensing outlet 42B. By thermally bonding the tube sidewalls together to form enlarged flattened section 84B, the stiffness of section 84B is increased above the thickness of a single, unsupported wall of tube 32B so that section 84B is stiff enough to readily spread viscous materials having the viscosity of spackling compounds or caulking compounds. It is noted that a stiffening board or reinforcement ribs can be added to further stiffen section 84B if necessary or desired. However, it is noted that as a practical matter, some flexibility of enlarged flattened section 84B is usually desired.」(5ページ31行?6ページ13行)
(チューブ32B(図18-21)は、ブレード38Bとブレード端部44Bを形成する分配装置の遠い方の端部48Bに設けられた拡大された平坦部分84Bを含む。拡大された平坦部分84Bは、約1インチ前後ブレードの端44Bから内方に、分配装置の離れた方の端部48Bにおいて延びている;しかしながら、拡大された平坦部分84Bは、実質的に所望の寸法あるいは形状を採用することが可能である。平坦部分84Bの内側の境界端86Bは、人の親指、あるいは4本指が心地よく収納できるようにするために弓形である。キャップ34Bは、チューブ32Bの分配端部36Bに螺合している。キャップ34Bは、分配開口42Bを閉じるための軸支片(pivotable tip)80Bを含んでいる。熱的に接着することによって、チューブの側壁は、拡大された平坦部84Bを形成するために相互に接着され、拡大された平坦部84Bの剛性は、拡大された平坦部84Bが、補修用の漆喰化合物(spackling)又は充填剤(caulking)化合物の粘度を有する粘性材料を円滑に広げるのに十分な剛性となるように、チューブ32Bの一枚の側壁のみの厚さであって、なんら支持されないものよりも高められる。もし必要あるいは所望するならば、拡大された平坦部分84Bの剛性をさらに高めるために、強化された板や補強リブを追加することが可能である。しかしながら、実際上の問題から、しばしば、拡大された平坦部84Bがある程度の柔軟性を備えた方が望ましいことに留意されたい。)

ク. 図18?21




ケ. 上記摘記事項キ.の「キャップ34Bは、チューブ32Bの分配端部36Bに螺合している」という記載と、図18にキャップ34Bの内部にチューブ32Bの端部から延びた部分が存在し、その部分には分配開口42Bが存在することの図示されている。そして、その延びた部分の径は、延びた部分が掲載されたチューブ32Bの端部の径よりも細く、ネック(首)と表現することができる。そして、図18の図示から、当該ネック部がキャップ34Bと螺合しており、それは拡大された平坦部84Bの反対側の端部であることが看取できる。

コ. チューブ32Bの形状は、上記ク.の図上、水平方向に長く延びる形状であるから、当該水平方向を長手軸方向と呼ぶことができる。

サ. 上記摘記事項エ.の「チューブから絞り出された粘性材料をブレードによって広げることができるようになっている。」という記載から、「チューブ32B」は内容物である粘性材料を「絞り出」すことが可能であるから、内容物である「流動性を有する漆喰化合物や充填剤化合物」を分配するために圧潰可能な部分を有し、ネック部に含まれた分配開口42Bをとおして内容物が移動するから、「圧潰可能な部分」は、ネック部に隣接したものであるといえる。

シ. 上記ク.の図示から、拡大された平坦部84Bは、チューブ32Bの長手方向軸に平行に延在することが看取でき、さらに、上記摘記事項キ.の「熱的に接着することによって、チューブの側壁は、拡大された平坦部84Bを形成するために相互に接着され」という記載から、拡大された平坦部84Bは、チューブの側壁同士が相互に熱接着されたものであるので、圧を加えて潰れる部分は存在しないことは明らかであるから、圧潰不可能であって、チューブ32Bに隣接するものであるといえる。

(2) 引用発明
上記ア.?キ.の記載事項、ク.の図示、及び、ケ.?シ.の認定事項を総合すると、引用文献1には、次の引用発明が記載されている。

「粘性と流動性を有する漆喰化合物や充填剤化合物等の材料を分配するための容器であって、
前記粘性の漆喰化合物や充填剤化合物等の材料を分配するための分配開口42Bを含むネック部分及び長手軸方向を有するチューブ32Bと、
前記ネック部分に隣接する、前記流動性を有する漆喰化合物や充填剤化合物を分配するために圧潰可能な部分と、
前記流動性の漆喰化合物や充填剤化合物等の材料が前記容器から分配された後に前記流動性の漆喰化合物や充填剤化合物等の材料を平らにするためのブレードとしての役割を果たし、約1インチ前後の長さで前記チューブ32Bの前記長手方向軸に平行に延在する、前記チューブ32Bに隣接する圧潰不可能な拡大された平坦部84Bと、
前記ネック部分は、キャップ34Bに連結され、前記拡大された平坦部84Bの反対側にあり、
前記圧潰可能な部分から前記拡大された平坦部84Bへの移行部分が、弓形である、容器」

2. 引用文献2
(1) 引用文献2の記載
ア. 「BACKGROUND OF INVENTION
Many types of products come in a container with a common cap that serves only to keep the contents of the container sealed within the container. This is good for preserving the contents of the container but has no additional use outside of this limited purpose. There are also some containers that have caps with bristles protruding from the top, surrounding a hole through which contents of the container can escape. While this type of cap is more functional than a common cap, the fact that there is a hole in it means that the contents of the container will leak out as the user is using the bristles. This invention improves on the functionality of both the common cap and bristled cap. 」(1ページ21行?2ページ9行)
(発明の背景
多くの種類の製品が、単に内容物を容器内部に密閉状態を維持するのみの機能を有する一般的なキャップとともに提供されている。これは、容器の内容物を保存するためには良好であるが、しかし、この目的以外の使い方はない。また、頂上部から延びて、内容物が通過するための孔を囲んだ毛を備えたキャップを有する容器も存在する。この種のキャップは、一般的なキャップよりは、一層機能的ではあるものの、その孔は、使用者が毛を使用中にキャップの孔から容器の内容物が漏出するであろう。この発明は、一般的なキャップと毛を備えたキャップの両方の機能を改善するものである。)

イ. 「・・・The benefits of this invention include, but are not limited to: (a) allowing the user to scrub various items using the bristles attached to a container cap, (b) providing a container that has more functionality than a standard container by not only providing a device for storing a product but also includes an attached scrubber, (c) providing a container that has a cap with bristles attached to it that does not leak while the user is scrubbing, (d) providing a container that has a cap with bristles attached to it that can be washed while still attached to the container without liquid entering the container and contaminating its contents, and (e) providing a top enclosure for the container cap that includes an abrasive surface for filing or other purposes and prevents or inhibits accidental spillage of the contents of the container. 」(2ページ15?最下行)
(本発明の利点は、それに限定されるものではないが、(a)ユーザは、容器キャップに取り付けられた毛を用いて、さまざまな対象物をゴシゴシ磨くことができる、(b)製品を保管するための器具を提供するにとどまらず、たわしを付加せしめるようにしたことで、通常の容器よりもより機能的な容器を提供する、(c)使用者がゴシゴシこする作業中に漏洩することがないような、毛が設けられたキャップが取り付けられた容器を供給する、(d)洗っている際にも、液体が容器内に浸入して内容物を汚染しないような、洗浄可能な毛が設けられたキャップが取り付けられた容器を提供する、(e)容器のキャップのための、(施工面)を埋めるあるいは他の目的のために、そして容器内容物の偶発的な漏洩を妨げるために、研磨面を含んだ頂上部の蓋(enclosure)を設ける。)

ウ. 「Fig. 13 is a perspective view of still another embodiment of the dispenser cap of this invention in the completely open position.
Fig. 14 is an enlarged, fragmentary cross-sectional view of the top of the container with the dispenser cap shown in Fig. 13 attached and in a completely closed position and a top enclosure attached and entirely covering dispenser cap. 」(8ページ21?26行)
(図13は、この発明の供給キャップが完全に開いた状態の、他の実施例の斜視図である。
図14は、図13に図示された、完全に閉じた位置の供給キャップを備えた、完全にキャップを覆った状態の頂上蓋を備えた容器の頂上部の部分の拡大された断面図である。)

エ. 「Figs. 13 and 14
Figs. 13 and 14 show the dispenser cap 12c that is similar to the dispenser caps 12a and 12b in most regards except that there is a male sealing member 26c on a base member 14c rather than on its cover member 16c. The male sealing member 26c is a hollow cylinder and it extends upward from an opening 28c in a top wall of the base member 14c instead of from the dispenser cap's 12c cover member 16c. The male sealing member 26c in effect adds height to the opening 28c. An annular female sealing member 25c extends outward from an interior surface of the cover member's top wall 60c, and when in the closed position (Fig. 14), is aligned with the male sealing member 26c. The female sealing member 25c provides a cavity 25d. The cavity's open mouth 25e receives an outer end of the male sealing member 26c when the dispenser cap 12c is in the closed position. Upon mating engagement, the male sealing member 26c is inserted into the open mouth 25e to form a seal. Like the male sealing member 26a, the male sealing member 26c has a cylindrical lip 27c that has an outside diameter that is slightly larger than the open mouth 25e of the cavity 25d. The female sealing member 25c is located in the center of the interior surface of cover top wall 60c and its cavity 25d is just deep enough to allow a sealing coupling with the male sealing member 26c sufficient to keep the contents of the container 10 within the container 10 and also inhibiting lateral movement. The diameter of the open mouth 25e is slightly less than the diameter of the cylindrical lip 27c so the cylindrical lip 27c fits snugly inside the cavity and a locking engagement upon closure of the cover member 16c. 」(16ページ17行?17ページ15行)
(図13及び14
図13及び14は、供給キャップ12a及び12bと雄シール部材26cを、カバー部材16cにではなくベース部材14cの上に有する点で相違するが、ほとんどの部分で類似の供給キャップ12cを図示している。雄シール部材26は、中空円筒形状を有しており、供給キャップ12cの蓋部材16cではなく、ベース部材14cの頂壁の開口部28cから上方に延びている。雄シール部材26cは、事実上開口28cよりも高くされている。円形の雌シール部材25cは、蓋部材の頂壁60cの内側表面から外方へ飛び出しており、そして、閉位置(図14)は、雄シール部材26cと整列した位置にある。雌シール部材25cは、穴25cを形成している。その穴の開口25eは、供給キャップ12cが閉位置にあるとき、雄シール部材26cの外側端部を受け入れる。両者が嵌合した際には、雄シール部材26cは、シール部を形成するように、開口25eへ挿入され、そして雄シール部材26cは、外側の直径がわずかに穴25dの開口25eよりも大きい円筒状リップ27cを有する。雌シール部材25cは、蓋の頂壁60cの内側表面の中心に位置し、そして、その穴25dは雄シール部材26cと密封連結が可能であって、容器10の内部に内容物が保持するのに十分な程度に、そして、軸方向への動けない程度に十分な程度に十分に深い。開口25eの直径は、円筒状リップ27cの直径よりもわずかに小さいから、円筒状リップ27cは、穴の内側にぴったりと嵌まり、そして、カバー部材16cの蓋をロックする。)

オ. 「 Top Enclosure
The top enclosure 36a shown in Figs. 1 and the top enclosure 36b shown in Figs. 11 and 12 are slightly different. Each is a cylindrical structure covered at one end. As shown in Fig. 14, each have a height d4 just slightly greater than or equal to the height d3 of the bristles 22c plus the height d2 of the cover sidewall 58c plus the height dl of the base sidewall 54c. Each have diameter just broad enough so that the top enclosure fits over its complementary dispenser cap but sufficiently restrictive to fit snug enough so that it will not accidentally slip off. There is also a slot 85 on the outside surface 35b of the cap enclosure 36b to allow the cap to fit over the protruding hinge 18b of the dispenser cap 12b.・・・」(17ページ16?27行)
(頂部蓋
図1に示した頂部蓋36aと、図11及び12に示した頂部蓋36bは、わずかに異なっている。それぞれは、円筒状であって、一方の端部を覆うものである。図14に示されたように、それぞれは、高さが、毛22cの高さd3に蓋側壁の高さd2及びベース側壁54cの高さを加えたものに等しいか、わずかに高い。それぞれの直径は、頂部蓋が補完する供給キャップに適合するのに十分で、しかし、偶発的に外れないようピッタリしたものである。蓋36bのキャップ外側表面35bには、供給キャップ12bのヒンジ18bの飛び出している部分にも適合するようにするために、細長い穴85が存在する。)

カ. 図13及び14




キ. 図13及び14の図示から、供給キャップ12cは、ベース部材14cと、毛22cがされたカバー部材16cとが、ヒンジ18cを介して連結されていいること、そして、ベース部材14cは、チューブ状容器10の細くなった首部に螺合していることが看取できる。

(2) 上記(1)のア.?オ.の記載事項、カ.の図示、及び、キ.の認定事項を総合すると、引用文献2には、次の引用文献2記載事項が記載されている。

「内ネジが切られたベース部材14cと、ゴシゴシ磨くための毛22cが取り付けられたカバー部材16cとが、ヒンジ18cを介して連結されて、チューブ状容器10の細くなった首部に螺合する供給キャップ12c」

第5. 対比
1. 本願発明と引用発明とを対比する。
上記第4.の1.(1)の摘記事項イ.の記載から、引用発明の「粘性と流動性を有する漆喰化合物や充填剤化合物等の材料」は、「パテナイフ」または他の薄い平坦な広げるための道具を用いて広げられるものであるから、当該材料は、「パテ状」の稠度を有するものであって、「流動性」を備えたものであるといえる。さらに、引用発明の内容物は、「補修用の漆喰化合物(スパックリング)(spackling)又は充填剤(caulking)化合物」(第4.の1.(1)の摘記事項キ.)を対象とするものであって、「修理作業員(repair person)が、材料を供給する間バランスをとるためにはしごを押さえる」(第4.の1.(1)の摘記事項イ.)必要があるものであり、さらに、本願明細書の「本開示は、スパックリングなどの流動性壁補修材を分配するための多目的容器を提供する」(【0005】)という記載から、引用発明の「補修用の漆喰化合物(スパックリング)(spackling)」は、本願発明の「流動性の壁補修材料」に相当するといえる。
したがって、引用発明の「粘性と流動性を有する漆喰化合物や充填剤化合物等の材料」は、本願発明の「パテ状の稠度を有する流動性の壁補修材料」に相当する。
引用発明の「分配開口42B」、「チューブ32B」は、本願発明の「開口部」、「本体部材」にそれぞれ相当する。
引用発明の「拡大された平坦部84B」は、約1インチ前後(当審注:約2.54cm=25.4mm)の長さであるから、本願発明の「前記流動性の壁補修材料が前記容器から分配された後に前記流動性の壁補修材料を平らにするためのブレードとしての役割を果たし、少なくとも約8ミリメートルの長さで前記本体部分の前記長手方向軸に平行に延在し、約60ミリメートル以下の長さを有する、前記中央部分に隣接する圧潰不可能なテール部分」に相当する。
引用発明の「キャップ34B」は、本願発明の「キャップ部材」に相当する。

2. そうすると、本願発明と引用発明は以下の点で一致し、かつ、相違する。

<一致点>
「パテ状の稠度を有する流動性の壁補修材料を分配するための容器であって、
前記流動性の壁補修材料を分配するための開口部を含むネック部分及び長手方向軸を有する本体部材と、
前記ネック部分に隣接する、前記流動性の壁補修材料を分配するために圧潰可能な中央部分と、
前記流動性の壁補修材料が前記容器から分配された後に前記流動性の壁補修材料を平らにするためのブレードとしての役割を果たし、少なくとも約8ミリメートルの長さで前記本体部分の前記長手方向軸に平行に延在し、約60ミリメートル以下の長さを有し、前記中央部分に隣接する圧潰不可能なテール部分と、
前記ネック部分は、前記キャップ部材に連結され、前記テール部分の反対側にある、
容器。」

<相違点1>
本願発明は、「キャップ部材に隣接する研磨アセンブリ」を含むものであるのに対し、引用発明には、そのような記載がない点。

<相違点2>
本願発明は、「前記中央部分から前記テール部分への移行部分が、前記テール部分の剛性を調整するための形状を有する」ものであるのに対し、引用発明の「チューブ32B」から「拡大された平坦部84B」の移行部分が、そのような形状を有するものであるか、明らかではない点。

第6 相違点についての判断
1. <相違点1>について
引用発明は「粘性と流動性を有する漆喰化合物や充填剤化合物等の材料」が内容物であるところ、そのような材料を分配し、拡大された平坦部84Bによる広げる作業が完了した後に、施工面を平坦とするために、ゴシゴシ研磨することは、通常行われる工程である。
そうすると、粘性と流動性を有するもの内容物とし、一方の端部に分配された内容物を広げるための部材を備えたチューブ状容器である点で共通する引用文献2記載事項を適用して、内ネジが切られたベース部材14cと、ゴシゴシ磨くための毛22cを、引用発明のチューブ32Bのネック部に螺合させるか、あるいは、引用発明のキャップ34Bにヒンジ18cを介して毛22cが立設された蓋部材16cを取り付けることによって、相違点1に係る本願発明とし、上記通常行われる工程を一つの器具によって簡単に施することは、当業者が容易に想到し得た事項である。

2. <相違点2>について
上記第4の1.(1)の摘記事項キ.の「熱的に接着することによって、チューブの側壁は、拡大された平坦部84Bを形成するために相互に接着され、拡大された平坦部84Bの剛性は、拡大された平坦部84Bが、補修用の漆喰化合物(spackling)又は充填剤(caulking)化合物の粘度を有する粘性材料を円滑に広げるのに十分な剛性となるように、チューブ32Bの一枚の側壁のみの厚さであって、なんら支持されないものよりも高められる。」という記載から、「チューブ32B」のうち、「拡大された平坦部84B」とされた部分への移行部分は、内容物が収納可能な空間を備えた部分から、側壁が相互に接着されて平坦部とされた、他の部分とは異なった形状に形成され、かつ、当該形状を経て形成された「拡大された平坦部84B」の剛性は高められた、すなわち剛性が調整されたのであるから、引用発明の「チューブ32B」から「拡大された平坦部84B」、への「移行部分」も、「拡大された平坦部84B」の剛性を調整するための形状を有するものであるといえるので、<相違点2>は、実質的な相違点ではない。

3. 作用効果について
本願発明は、「・・・スパックリングコンパウンドなどの壁補修用化合物を適用するための従来の方法では、ユーザーは、仕事を完了するために、3つの別個のアイテム、すなわち、スパックリングコンパウンドの容器、パテナイフ、及び研磨材を必要とする。壁補修用化合物を貯蔵し、分配し、塗り広げ、かつ磨くために使用することができる多目的容器に対するニーズが存在する。従来技術のディスペンサは、これらの不備を克服できていない。これら不備を克服する多目的容器を提供する」(本願明細書【0004】)との作用効果を奏するものである。しかし、上記引用発明に引用文献2記載事項を適用したものも、容器、拡大された平坦部84B、及び、ゴシゴシ磨くための毛22cが一体となった、多目的に使用できるものであることは明らかであるから、当該作用効果は、当業者が予測し得る範囲を超えるものであるとはいえない。

第7 まとめ
以上のとおりであるから、本件発明は、引用発明及び引用文献2記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明であり、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものであるから、結論のとおり審決する。

 
別掲
 
審理終結日 2020-12-22 
結審通知日 2021-01-05 
審決日 2021-01-19 
出願番号 特願2016-568798(P2016-568798)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B65D)
P 1 8・ 537- WZ (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西山 智宏  
特許庁審判長 森藤 淳志
特許庁審判官 久保 克彦
藤井 眞吾
発明の名称 塗り広げることが可能な壁補修用化合物のための多目的ディスペンサ  
代理人 佃 誠玄  
代理人 野村 和歌子  
代理人 浅村 敬一  
代理人 赤澤 太朗  

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